上引き排気装置における吸引ダクト
【課題】吸引ダクト内面全体に排ガス成分が付着してしまう。
【解決手段】垂下ダクト1の下方開口部より上方部位が挿設された排ガス吸込筒2と、該排ガス吸込筒2の中間部に周設されたリング状の油受け3とを有し、上記排ガス吸込筒2における垂下ダクト1内への挿入部位を筒状部位2aとすると共に、垂下ダクト下端からの突出部位を下方へ漸次拡径する集煙部位4とする。この集煙部位4の整流効果による排ガス吸込筒2の内面に沿った室内空気による層流形成と、上記筒状部位2aによる層流の安定化により、排ガス吸込筒2の内面への排ガス成分の付着を防止し、且つ垂下ダクト1の内面への排ガス成分の付着を少量化する。
【解決手段】垂下ダクト1の下方開口部より上方部位が挿設された排ガス吸込筒2と、該排ガス吸込筒2の中間部に周設されたリング状の油受け3とを有し、上記排ガス吸込筒2における垂下ダクト1内への挿入部位を筒状部位2aとすると共に、垂下ダクト下端からの突出部位を下方へ漸次拡径する集煙部位4とする。この集煙部位4の整流効果による排ガス吸込筒2の内面に沿った室内空気による層流形成と、上記筒状部位2aによる層流の安定化により、排ガス吸込筒2の内面への排ガス成分の付着を防止し、且つ垂下ダクト1の内面への排ガス成分の付着を少量化する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーブルやカウンター上にある七輪、焼物器、或いはテーブル組付式ロースターの様な加熱調理器から立上る排ガスの上引き排気装置における吸引ダクトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、かかる上引き排気装置にあっては、天井に配設された排気ダクトに垂下配設された、下端を各加熱調理器具の直上に位置させる複数本の吸引ダクトを有し、各吸引ダクトの下端内周に油受けを設けてダクト径より開口径を狭くして、加熱調理器からの排ガスを効率的に吸引可能にしたものが見受けられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−294286号公報(段落番号〔0008〕〜〔0010〕、〔0020〕、図2、3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、焼肉等の飲食店舗では営業時間外に仕業点検・清掃として吸引ダクトの清掃を行うのが一般的であるが、上記従来技術にあっては、開口径を狭くして排ガスを効率的に吸引可能にしているかもしれないが、吸引ダクト内面への排ガス中の油脂成分、煤等(以降、排ガス成分と称する)の付着量の少量化に関する構成が全くなく、よって吸引ダクト内面の略全体に排ガス成分が付着してしまって清掃作業が面倒になるなど、解決せねばならない課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記従来技術に基づく、吸引ダクト内面全体に排ガス成分が付着してしまう課題に鑑み、排気ダクト側に上端部を連結する垂下ダクトと、該垂下ダクトの下方開口部より上方部位が挿設された排ガス吸込筒と、該排ガス吸込筒の中間部に周設された、垂下ダクトの下端の直下に位置するリング状の油受けとを有し、上記排ガス吸込筒における垂下ダクト内への挿入部位を筒状部位とすると共に、垂下ダクト下端からの突出部位を下方へ漸次拡径する集煙部位とすることによって、上記集煙部位の整流効果による排ガス吸込筒内面に沿った室内空気による層流形成と、上記筒状部位による層流の安定化により、排ガス吸込筒内面への排ガス成分の付着を防止し、且つ垂下ダクト内面への排ガス成分の付着を少量化する様にして、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0006】
要するに本発明は、排気ダクト側に上端部を連結する垂下ダクトと、該垂下ダクトの下方開口部より上方部位が挿設された排ガス吸込筒と、該排ガス吸込筒の中間部に周設された、垂下ダクトの下端の直下に位置するリング状の油受けとを有し、上記排ガス吸込筒における垂下ダクト内への挿入部位を筒状部位とすると共に、垂下ダクト下端からの突出部位を下方へ漸次拡径する集煙部位としたので、該集煙部位により上方へ行くに従い広がりがちな排ガスを吸い込むほか、その周りの室内空気を広範囲にわたり吸い込むことが出来、而もこの集煙部位による整流効果により、排ガスを含む吸引空気流とその周りの室内空気だけの吸引空気流とに完全に分かれる、即ち排ガスを含む吸引空気流が中央に集まり、その外周が室内空気だけの吸引空気流になって層流状態になるため、排ガス吸込筒の内面に排ガスを含む吸引空気流は接触せず、排ガス吸込筒の内面への排ガス成分の付着を防止することが出来、よって排ガス吸込筒の清掃作業を軽減出来る。
更に、上記集煙部位より上方の筒状部位により上記層流状態を安定化させることが出来るため、排ガス吸込筒を通過後の吸引空気流の層流状態をある程度維持させることが出来、垂下ダクトの内面における排ガス吸込筒の上端部までの部位への排ガス成分の接触を確実に防止することが出来ることと相俟って、垂下ダクトの内面における排ガス成分の接触開始を比較的上方にずらすことが出来る、即ち垂下ダクトの内面全体に対する排ガス成分の付着範囲を狭小化出来、よって垂下ダクトの清掃作業を軽減出来る。
【0007】
上記排ガス吸込筒における筒状部位の上方部位を上方へ漸次縮径する絞り部としたので、排ガス吸込筒を通過後の吸引空気流の流速が上がるため、排ガス吸込筒を通過後の吸引空気流の層流状態をさらに維持させることが出来、垂下ダクトの内面における排ガス成分の接触開始を更に上方にずらすことが出来る、即ち垂下ダクトの内面全体に対する排ガス成分の付着範囲を更に狭小化出来、よって垂下ダクトの清掃作業を更に軽減出来る。
【0008】
上記垂下ダクト及び上記排ガス吸込筒間の間隙空間下部への空気導入口を垂下ダクト側に形成したので、この空気導入口から流入した室内空気が縦方向に長い間隙空間内を通る過程で安定化することから、該間隙空間から出た空気流を、垂下ダクト内面に沿う安定した層流にすることが出来るため、排ガス吸込筒による整流効果と相まって、垂下ダクトの内面における排ガス成分の接触開始を更に上方にずらすことが出来、垂下ダクトの清掃作業の軽減化を更に向上させることが出来る。
【0009】
上記油受けを、上記排ガス吸込筒と、該排ガス吸込筒の中間部に一体周設された鍔状の閉鎖板と、該閉鎖板の外周部にして垂下ダクトの外側に周設された周壁部とで形成したので、垂下ダクトに対する排ガス吸込筒及び油受けの着脱作業の効率化を図ることが出来る。
【0010】
上記垂下ダクトは、排気ダクト側への固定ダクト部材と、該固定ダクト部材に対しスライド自在且つ固定可能に外嵌した昇降ダクト部材とを有して伸縮自在と成しているので、集煙部位の高さを調節することが出来、又上記固定ダクト部材の下方開口部に中継筒を取り付け、該中継筒は上方部位を小径部位、中間部位を下方拡開部位、下方部位を大径部位とし、上記小径部位を固定ダクト部材の内径より小径にして固定ダクト部材内に挿入状態とし、上記大径部位を昇降ダクト部材の内径と同径又は若干小径にして、昇降ダクト部材と大径部位を近接状態としたので、吸引空気流が受けるであろう垂下ダクト内の固定ダクト部材と昇降ダクト部材の境界部での抵抗を極めて低く抑えることが出来、吸引空気中の排ガス成分が、吸引空気の下方拡開部位内面への衝突により該内面に付着するため、垂下ダクト側を可能な限り汚さずに吸引空気中の排ガス成分を除去出来、よって下流側のフィルター側の負担を軽減させることが出来る等その実用的効果甚だ大である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る排ガス吸引ダクトを設置した上引き排気装置の正面図である。
【図2】本発明に係る排ガス吸引ダクトの正面図である
【図3】図2の下端部位の拡大図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】図2の中間部位の拡大図である。
【図6】図5の断面図である。
【図7】排ガス吸込筒の斜視図である。
【図8】垂下ダクトの斜視図である。
【図9】吸引ダクトの下端部位での流れを示す断面図である。
【図10】吸引ダクトの中間部位での流れを示す断面図である。
【図11(a)】排ガス吸込筒と垂下ダクトとの隙間を空気導入口とした吸引ダクトの下端部位での流れを示す断面図である。
【図11(b)】閉鎖板の周壁部と吸引ダクトを貫通する孔を空気導入口とした吸引ダクトの下端部位での流れを示す断面図である。
【図12】固定ダクト部材と昇降ダクト部材との隙間を空気導入口とした吸引ダクトの中間部位での流れを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る排ガス吸引ダクトにあっては、図1に示す様に、天井に配設された排気ダクトAに、防火ダンパーB及び油脂回収フィルターCを有する連結ボックスDを介して連結されている。
【0013】
この排ガス吸引ダクトにあっては、伸縮自在な垂下ダクト1と、該垂下ダクト1の下方開口部より挿設した排ガス吸込筒2と、該排ガス吸込筒2の中間部に周設された、垂下ダクト1の下端の直下に位置するリング状の油受け3とを有している。
【0014】
上記排ガス吸込筒2にあっては図3、4、7に示す様に縦長筒状にして、下方部位が上記垂下ダクト1の下端より下方突出し、垂下ダクト1内への挿入部位を筒状部位2aとし、垂下ダクト1の下端からの突出部位を、下方へ漸次拡径させてラッパ状に形成した集煙部位4とし、上記筒状部位2aの上端部位を上方へ漸次縮径させて絞り部5を形成している。
【0015】
上記油受け3にあっては、上記排ガス吸込筒2と、該排ガス吸込筒2の中間部に、具体的には、筒状部位2aと集煙部位4の境界部に一体周設された、上記垂下ダクト1の下端より下方に位置する鍔状の閉鎖板6と、該閉鎖板6の外周部にして垂下ダクト1の外側に周設された周壁部7とで形成している。
【0016】
上記垂下ダクト1の伸縮構造は、図2、5、6、8に示す様に、上記連結ボックスDに連結する固定ダクト部材8と、該固定ダクト部材8に対しスライド可能に外嵌する昇降ダクト部材9と、固定ダクト部材8に対する昇降ダクト部材9の固定手段10とを有している。
上記固定ダクト部材8の下方開口部に中継筒11を設け、該中継筒11の上方部位を小径部位12、中間部位を下方拡開部位13、下方部位を大径部位14とし、上記小径部位12を固定ダクト部材8の内径より小径にして固定ダクト部材8内に挿入状態とし、上記大径部位14を昇降ダクト部材9の内径と同径又は若干小径にして、昇降ダクト部材9と大径部位14を近接状態としている。
又、大径部位14の下端内側に油受け15を形成している。
【0017】
垂下ダクト1(昇降ダクト部材9)に対する排ガス吸込筒2の取付構造にあっては、図3、4、7、8に示す様に、垂下ダクト1(昇降ダクト部材9)の外周面下端部に2個のピン16、16aを突設し、排ガス吸込筒2の周壁部7に上端で開口する縦長L形又は横長J形の切込17、17aを形成し、排ガス吸込筒2を、その切込17、17aの開口部に垂下ダクト1(昇降ダクト部材9)のピン16、16aを位置させた状態で押し上げた後に回転させて、垂下ダクト1(昇降ダクト部材9)に対し排ガス吸込筒2が取り付けられる。
【0018】
本発明に係る排ガス吸引ダクトの他の実施例にあっては、図11(a)、(b)に示す様に、垂下ダクト1と排ガス吸込筒2との間の間隙空間20の下部への空気導入口21が形成され、該空気導入口21は、図11(a)に示す様に、周壁部7と垂下ダクト1との間、垂下ダクト1の下端と排ガス吸込筒2との間に形成された隙間であったり、或いは図11(b)に示す様に、近接状態とした周壁部7及び垂下ダクト1を貫通する複数個の孔としている。
又、図12に示す様に、固定ダクト部材8と中継筒11の垂下ダクト1との間に間隙空間22を形成し、該間隙空間22への空気導入口23を、固定ダクト部材8と昇降ダクト部材9との間、中継筒11の下方拡開部位13と固定ダクト部材8の下端との間の隙間としている。
【0019】
尚、図面上、排ガス吸込筒2に対し油受け3(閉鎖板6)を一体成形しているが、排ガス吸込筒2と油受け3とに分離可能としても良い。
【0020】
次に本発明に係る排ガス吸引ダクトの作用について説明する。
排気ファン(図示せず)により集煙部位4から排ガスを吸引するが、その周りの室内空気も一緒に吸引することから、図9、11(a)、(b)に示す様に、排ガス吸込筒2の内周面に沿う様に室内空気による層流が形成され、その内側を排ガスが流れて、排ガスが排ガス吸込筒2の内面に接触することが抑止され、吸引後、ある程度長い排ガス吸込筒2における垂下ダクト1への挿入部位を通過させることで垂下ダクト1の内面における排ガス吸込筒2の上端部までの部位への排ガスの接触が確実に防止され、更に排ガス吸込筒2の上方開口部から垂下ダクト1内に流入すると、拡径による圧力低下に伴い流速が徐々に減ぜられると共に吸引空気流自体が拡がって層流が徐々に無くなって行き、垂下ダクト1内面における排ガス成分の付着位置が比較的上方からになる。
而も、排ガス吸込筒2に絞り部5が形成されていれば排ガス吸込筒2の上方開口部での流速が速くなり、減速率も下がって吸引流自体の拡がりも緩くなって、垂下ダクト1における排ガス成分の付着位置が更に上方からになる。
【0021】
図11(a)、(b)に示す様に、空気導入口21から間隙空間20内に室内空気が吸引された場合、垂下ダクト1内面に沿う層流が形成されて、垂下ダクト1内に流入した吸引空気が垂下ダクト1に接触しないか、或いは接触したとしても接触開始が上端側寄りになる。
【0022】
図12に示す様に、空気導入口23から間隙空間22内に室内空気が吸引された場合、垂下ダクト1内面に沿う層流が形成されて、垂下ダクト1内に流入した吸引空気が垂下ダクト1に接触しないか、或いは接触したとしても接触開始が上端側寄りになる。
【符号の説明】
【0023】
1 垂下ダクト
2 排ガス吸込筒
2a 筒状部位
3 油受け
4 集煙部位
5 絞り部
6 閉鎖板
7 周壁部
8 固定ダクト部材
9 昇降ダクト部材
11 中継筒
12 小径部位
13 下方拡開部位
14 大径部位
20 間隙空間
21 空気導入口
A 排気ダクト
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーブルやカウンター上にある七輪、焼物器、或いはテーブル組付式ロースターの様な加熱調理器から立上る排ガスの上引き排気装置における吸引ダクトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、かかる上引き排気装置にあっては、天井に配設された排気ダクトに垂下配設された、下端を各加熱調理器具の直上に位置させる複数本の吸引ダクトを有し、各吸引ダクトの下端内周に油受けを設けてダクト径より開口径を狭くして、加熱調理器からの排ガスを効率的に吸引可能にしたものが見受けられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−294286号公報(段落番号〔0008〕〜〔0010〕、〔0020〕、図2、3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、焼肉等の飲食店舗では営業時間外に仕業点検・清掃として吸引ダクトの清掃を行うのが一般的であるが、上記従来技術にあっては、開口径を狭くして排ガスを効率的に吸引可能にしているかもしれないが、吸引ダクト内面への排ガス中の油脂成分、煤等(以降、排ガス成分と称する)の付着量の少量化に関する構成が全くなく、よって吸引ダクト内面の略全体に排ガス成分が付着してしまって清掃作業が面倒になるなど、解決せねばならない課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記従来技術に基づく、吸引ダクト内面全体に排ガス成分が付着してしまう課題に鑑み、排気ダクト側に上端部を連結する垂下ダクトと、該垂下ダクトの下方開口部より上方部位が挿設された排ガス吸込筒と、該排ガス吸込筒の中間部に周設された、垂下ダクトの下端の直下に位置するリング状の油受けとを有し、上記排ガス吸込筒における垂下ダクト内への挿入部位を筒状部位とすると共に、垂下ダクト下端からの突出部位を下方へ漸次拡径する集煙部位とすることによって、上記集煙部位の整流効果による排ガス吸込筒内面に沿った室内空気による層流形成と、上記筒状部位による層流の安定化により、排ガス吸込筒内面への排ガス成分の付着を防止し、且つ垂下ダクト内面への排ガス成分の付着を少量化する様にして、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0006】
要するに本発明は、排気ダクト側に上端部を連結する垂下ダクトと、該垂下ダクトの下方開口部より上方部位が挿設された排ガス吸込筒と、該排ガス吸込筒の中間部に周設された、垂下ダクトの下端の直下に位置するリング状の油受けとを有し、上記排ガス吸込筒における垂下ダクト内への挿入部位を筒状部位とすると共に、垂下ダクト下端からの突出部位を下方へ漸次拡径する集煙部位としたので、該集煙部位により上方へ行くに従い広がりがちな排ガスを吸い込むほか、その周りの室内空気を広範囲にわたり吸い込むことが出来、而もこの集煙部位による整流効果により、排ガスを含む吸引空気流とその周りの室内空気だけの吸引空気流とに完全に分かれる、即ち排ガスを含む吸引空気流が中央に集まり、その外周が室内空気だけの吸引空気流になって層流状態になるため、排ガス吸込筒の内面に排ガスを含む吸引空気流は接触せず、排ガス吸込筒の内面への排ガス成分の付着を防止することが出来、よって排ガス吸込筒の清掃作業を軽減出来る。
更に、上記集煙部位より上方の筒状部位により上記層流状態を安定化させることが出来るため、排ガス吸込筒を通過後の吸引空気流の層流状態をある程度維持させることが出来、垂下ダクトの内面における排ガス吸込筒の上端部までの部位への排ガス成分の接触を確実に防止することが出来ることと相俟って、垂下ダクトの内面における排ガス成分の接触開始を比較的上方にずらすことが出来る、即ち垂下ダクトの内面全体に対する排ガス成分の付着範囲を狭小化出来、よって垂下ダクトの清掃作業を軽減出来る。
【0007】
上記排ガス吸込筒における筒状部位の上方部位を上方へ漸次縮径する絞り部としたので、排ガス吸込筒を通過後の吸引空気流の流速が上がるため、排ガス吸込筒を通過後の吸引空気流の層流状態をさらに維持させることが出来、垂下ダクトの内面における排ガス成分の接触開始を更に上方にずらすことが出来る、即ち垂下ダクトの内面全体に対する排ガス成分の付着範囲を更に狭小化出来、よって垂下ダクトの清掃作業を更に軽減出来る。
【0008】
上記垂下ダクト及び上記排ガス吸込筒間の間隙空間下部への空気導入口を垂下ダクト側に形成したので、この空気導入口から流入した室内空気が縦方向に長い間隙空間内を通る過程で安定化することから、該間隙空間から出た空気流を、垂下ダクト内面に沿う安定した層流にすることが出来るため、排ガス吸込筒による整流効果と相まって、垂下ダクトの内面における排ガス成分の接触開始を更に上方にずらすことが出来、垂下ダクトの清掃作業の軽減化を更に向上させることが出来る。
【0009】
上記油受けを、上記排ガス吸込筒と、該排ガス吸込筒の中間部に一体周設された鍔状の閉鎖板と、該閉鎖板の外周部にして垂下ダクトの外側に周設された周壁部とで形成したので、垂下ダクトに対する排ガス吸込筒及び油受けの着脱作業の効率化を図ることが出来る。
【0010】
上記垂下ダクトは、排気ダクト側への固定ダクト部材と、該固定ダクト部材に対しスライド自在且つ固定可能に外嵌した昇降ダクト部材とを有して伸縮自在と成しているので、集煙部位の高さを調節することが出来、又上記固定ダクト部材の下方開口部に中継筒を取り付け、該中継筒は上方部位を小径部位、中間部位を下方拡開部位、下方部位を大径部位とし、上記小径部位を固定ダクト部材の内径より小径にして固定ダクト部材内に挿入状態とし、上記大径部位を昇降ダクト部材の内径と同径又は若干小径にして、昇降ダクト部材と大径部位を近接状態としたので、吸引空気流が受けるであろう垂下ダクト内の固定ダクト部材と昇降ダクト部材の境界部での抵抗を極めて低く抑えることが出来、吸引空気中の排ガス成分が、吸引空気の下方拡開部位内面への衝突により該内面に付着するため、垂下ダクト側を可能な限り汚さずに吸引空気中の排ガス成分を除去出来、よって下流側のフィルター側の負担を軽減させることが出来る等その実用的効果甚だ大である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る排ガス吸引ダクトを設置した上引き排気装置の正面図である。
【図2】本発明に係る排ガス吸引ダクトの正面図である
【図3】図2の下端部位の拡大図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】図2の中間部位の拡大図である。
【図6】図5の断面図である。
【図7】排ガス吸込筒の斜視図である。
【図8】垂下ダクトの斜視図である。
【図9】吸引ダクトの下端部位での流れを示す断面図である。
【図10】吸引ダクトの中間部位での流れを示す断面図である。
【図11(a)】排ガス吸込筒と垂下ダクトとの隙間を空気導入口とした吸引ダクトの下端部位での流れを示す断面図である。
【図11(b)】閉鎖板の周壁部と吸引ダクトを貫通する孔を空気導入口とした吸引ダクトの下端部位での流れを示す断面図である。
【図12】固定ダクト部材と昇降ダクト部材との隙間を空気導入口とした吸引ダクトの中間部位での流れを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る排ガス吸引ダクトにあっては、図1に示す様に、天井に配設された排気ダクトAに、防火ダンパーB及び油脂回収フィルターCを有する連結ボックスDを介して連結されている。
【0013】
この排ガス吸引ダクトにあっては、伸縮自在な垂下ダクト1と、該垂下ダクト1の下方開口部より挿設した排ガス吸込筒2と、該排ガス吸込筒2の中間部に周設された、垂下ダクト1の下端の直下に位置するリング状の油受け3とを有している。
【0014】
上記排ガス吸込筒2にあっては図3、4、7に示す様に縦長筒状にして、下方部位が上記垂下ダクト1の下端より下方突出し、垂下ダクト1内への挿入部位を筒状部位2aとし、垂下ダクト1の下端からの突出部位を、下方へ漸次拡径させてラッパ状に形成した集煙部位4とし、上記筒状部位2aの上端部位を上方へ漸次縮径させて絞り部5を形成している。
【0015】
上記油受け3にあっては、上記排ガス吸込筒2と、該排ガス吸込筒2の中間部に、具体的には、筒状部位2aと集煙部位4の境界部に一体周設された、上記垂下ダクト1の下端より下方に位置する鍔状の閉鎖板6と、該閉鎖板6の外周部にして垂下ダクト1の外側に周設された周壁部7とで形成している。
【0016】
上記垂下ダクト1の伸縮構造は、図2、5、6、8に示す様に、上記連結ボックスDに連結する固定ダクト部材8と、該固定ダクト部材8に対しスライド可能に外嵌する昇降ダクト部材9と、固定ダクト部材8に対する昇降ダクト部材9の固定手段10とを有している。
上記固定ダクト部材8の下方開口部に中継筒11を設け、該中継筒11の上方部位を小径部位12、中間部位を下方拡開部位13、下方部位を大径部位14とし、上記小径部位12を固定ダクト部材8の内径より小径にして固定ダクト部材8内に挿入状態とし、上記大径部位14を昇降ダクト部材9の内径と同径又は若干小径にして、昇降ダクト部材9と大径部位14を近接状態としている。
又、大径部位14の下端内側に油受け15を形成している。
【0017】
垂下ダクト1(昇降ダクト部材9)に対する排ガス吸込筒2の取付構造にあっては、図3、4、7、8に示す様に、垂下ダクト1(昇降ダクト部材9)の外周面下端部に2個のピン16、16aを突設し、排ガス吸込筒2の周壁部7に上端で開口する縦長L形又は横長J形の切込17、17aを形成し、排ガス吸込筒2を、その切込17、17aの開口部に垂下ダクト1(昇降ダクト部材9)のピン16、16aを位置させた状態で押し上げた後に回転させて、垂下ダクト1(昇降ダクト部材9)に対し排ガス吸込筒2が取り付けられる。
【0018】
本発明に係る排ガス吸引ダクトの他の実施例にあっては、図11(a)、(b)に示す様に、垂下ダクト1と排ガス吸込筒2との間の間隙空間20の下部への空気導入口21が形成され、該空気導入口21は、図11(a)に示す様に、周壁部7と垂下ダクト1との間、垂下ダクト1の下端と排ガス吸込筒2との間に形成された隙間であったり、或いは図11(b)に示す様に、近接状態とした周壁部7及び垂下ダクト1を貫通する複数個の孔としている。
又、図12に示す様に、固定ダクト部材8と中継筒11の垂下ダクト1との間に間隙空間22を形成し、該間隙空間22への空気導入口23を、固定ダクト部材8と昇降ダクト部材9との間、中継筒11の下方拡開部位13と固定ダクト部材8の下端との間の隙間としている。
【0019】
尚、図面上、排ガス吸込筒2に対し油受け3(閉鎖板6)を一体成形しているが、排ガス吸込筒2と油受け3とに分離可能としても良い。
【0020】
次に本発明に係る排ガス吸引ダクトの作用について説明する。
排気ファン(図示せず)により集煙部位4から排ガスを吸引するが、その周りの室内空気も一緒に吸引することから、図9、11(a)、(b)に示す様に、排ガス吸込筒2の内周面に沿う様に室内空気による層流が形成され、その内側を排ガスが流れて、排ガスが排ガス吸込筒2の内面に接触することが抑止され、吸引後、ある程度長い排ガス吸込筒2における垂下ダクト1への挿入部位を通過させることで垂下ダクト1の内面における排ガス吸込筒2の上端部までの部位への排ガスの接触が確実に防止され、更に排ガス吸込筒2の上方開口部から垂下ダクト1内に流入すると、拡径による圧力低下に伴い流速が徐々に減ぜられると共に吸引空気流自体が拡がって層流が徐々に無くなって行き、垂下ダクト1内面における排ガス成分の付着位置が比較的上方からになる。
而も、排ガス吸込筒2に絞り部5が形成されていれば排ガス吸込筒2の上方開口部での流速が速くなり、減速率も下がって吸引流自体の拡がりも緩くなって、垂下ダクト1における排ガス成分の付着位置が更に上方からになる。
【0021】
図11(a)、(b)に示す様に、空気導入口21から間隙空間20内に室内空気が吸引された場合、垂下ダクト1内面に沿う層流が形成されて、垂下ダクト1内に流入した吸引空気が垂下ダクト1に接触しないか、或いは接触したとしても接触開始が上端側寄りになる。
【0022】
図12に示す様に、空気導入口23から間隙空間22内に室内空気が吸引された場合、垂下ダクト1内面に沿う層流が形成されて、垂下ダクト1内に流入した吸引空気が垂下ダクト1に接触しないか、或いは接触したとしても接触開始が上端側寄りになる。
【符号の説明】
【0023】
1 垂下ダクト
2 排ガス吸込筒
2a 筒状部位
3 油受け
4 集煙部位
5 絞り部
6 閉鎖板
7 周壁部
8 固定ダクト部材
9 昇降ダクト部材
11 中継筒
12 小径部位
13 下方拡開部位
14 大径部位
20 間隙空間
21 空気導入口
A 排気ダクト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ダクト側に上端部を連結する垂下ダクトと、該垂下ダクトの下方開口部より上方部位が挿設された排ガス吸込筒と、該排ガス吸込筒の中間部に周設された、垂下ダクトの下端の直下に位置するリング状の油受けとを有し、上記排ガス吸込筒における垂下ダクト内への挿入部位を筒状部位とすると共に、垂下ダクト下端からの突出部位を下方へ漸次拡径する集煙部位としたことを特徴とする上引き排気装置における吸引ダクト。
【請求項2】
上記筒状部位の上方部位を上方へ漸次縮径する絞り部としたことを特徴とする請求項1記載の上引き排気装置における吸引ダクト。
【請求項3】
上記垂下ダクト及び上記排ガス吸込筒間の間隙空間下部への空気導入口を垂下ダクト側に形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の上引き排気装置における吸引ダクト。
【請求項4】
上記油受けを、上記排ガス吸込筒と、該排ガス吸込筒の中間部に一体周設された鍔状の閉鎖板と、該閉鎖板の外周部にして垂下ダクトの外側に周設された周壁部とで形成したことを特徴とする請求項1、2又は3記載の上引き排気装置における吸引ダクト。
【請求項5】
上記垂下ダクトは、排気ダクト側への固定ダクト部材と、該固定ダクト部材に対しスライド自在且つ固定可能に外嵌した昇降ダクト部材とを有して伸縮自在と成し、固定ダクト部材の下方開口部に中継筒を取り付け、該中継筒は上方部位を小径部位、中間部位を下方拡開部位、下方部位を大径部位とし、上記小径部位を固定ダクト部材の内径より小径にして固定ダクト部材内に挿入状態とし、上記大径部位を昇降ダクト部材の内径と同径又は若干小径にして、昇降ダクト部材と大径部位を近接状態としたことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の上引き排気装置における吸引ダクト。
【請求項1】
排気ダクト側に上端部を連結する垂下ダクトと、該垂下ダクトの下方開口部より上方部位が挿設された排ガス吸込筒と、該排ガス吸込筒の中間部に周設された、垂下ダクトの下端の直下に位置するリング状の油受けとを有し、上記排ガス吸込筒における垂下ダクト内への挿入部位を筒状部位とすると共に、垂下ダクト下端からの突出部位を下方へ漸次拡径する集煙部位としたことを特徴とする上引き排気装置における吸引ダクト。
【請求項2】
上記筒状部位の上方部位を上方へ漸次縮径する絞り部としたことを特徴とする請求項1記載の上引き排気装置における吸引ダクト。
【請求項3】
上記垂下ダクト及び上記排ガス吸込筒間の間隙空間下部への空気導入口を垂下ダクト側に形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の上引き排気装置における吸引ダクト。
【請求項4】
上記油受けを、上記排ガス吸込筒と、該排ガス吸込筒の中間部に一体周設された鍔状の閉鎖板と、該閉鎖板の外周部にして垂下ダクトの外側に周設された周壁部とで形成したことを特徴とする請求項1、2又は3記載の上引き排気装置における吸引ダクト。
【請求項5】
上記垂下ダクトは、排気ダクト側への固定ダクト部材と、該固定ダクト部材に対しスライド自在且つ固定可能に外嵌した昇降ダクト部材とを有して伸縮自在と成し、固定ダクト部材の下方開口部に中継筒を取り付け、該中継筒は上方部位を小径部位、中間部位を下方拡開部位、下方部位を大径部位とし、上記小径部位を固定ダクト部材の内径より小径にして固定ダクト部材内に挿入状態とし、上記大径部位を昇降ダクト部材の内径と同径又は若干小径にして、昇降ダクト部材と大径部位を近接状態としたことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の上引き排気装置における吸引ダクト。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11(a)】
【図11(b)】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11(a)】
【図11(b)】
【図12】
【公開番号】特開2011−117630(P2011−117630A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−273503(P2009−273503)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(591031902)シンポ株式会社 (18)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(591031902)シンポ株式会社 (18)
【Fターム(参考)】
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