説明

上肢把持補助等リング

【課題】医療や福祉の現場では限られた人材と予算の中で、生活上の物品の把持動作やリハビリへの取り組みによって、麻痺を改善させるほどの時間を費やすことは難しい。そのために脳血管障害等による麻痺は、改善の機会を失っている。
【解決手段】本発明では、リングとベルトの組み合わせで、スプーンやコップ等の生活物品の様々な形態への把持を可能としそれを補助する。また、球体との組み合わせ等で、手や足のリハビリも行う事ができ、その使用や装着も簡易で、概ね1回から数回の指導で足りる。
更に脳血管障害による麻痺には、超早期のリハビリが改善を促すという研究報告があるが、本発明では下肢に対して超早期のリハビリへの介入手段を提案することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は上肢及び下肢に、リハビリ器具や日常使う物品を把持、または手や足や体の部位に装着するための器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手や足のリハビリの機器及び日常の道具を装着する場合は、紐や帯状の布や皮、ゴム等のベルトや包帯等を用いられている。
【0003】
また、紐や帯では障害を持つ方が自身で装着できない時の把持に対しては、スプーンやフォーク、歯ブラシ等細長い柄を有する物品に対しての把持補助具がある。
【0004】
それには、例えば手掌から手背に皮や布を用い巻きつける万能カフがある。また、実用新案公報第3048506号に開示されている製品のように、万能カフに補助部品を付け発展したものがある。
【0005】
また、特開2003-28476号の把持補助具がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003-28476号
【特許文献2】実用新案公報第3048506号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
万能カフや実用新案公報第3048506号や特開2003-28476号のこれらは、麻痺上肢で、棒状のものに対する把持補助の機能を有するが、麻痺の状態は個々により違いがあり、またより自然な正しい形で把持するためには十分でない事がある。
【0008】
本発明は、麻痺状態の個別性に対して把持補助具の新たな選択の一つであり且つ、スプーンやフォーク、歯ブラシ、箸等の棒状の物品、図2、図3、図4、図5のように、これまでよりも、より自然で正常な手指の形で把持することを補助する機能を持つ。
【0009】
また、本発明はスプーンやフォーク等の細い棒状の物だけでなく、図6、7のように柄が太い包丁や杖などの把持の補助機能も有する。
【0010】
また、従来のものにはない機能として、球体あるいは柱体等の筒状の物品、例えば図8のようにコップ、他にはペットボトル、缶等の筒状物の把持も可能とした。
【0011】
球体に於いては図9のように把持、例えばボールの把持も可能となる。これは生活用具の把持の補助具としての機能だけでなく球体を使った上肢のリハビリ図10、下肢のリハビリ図11も可能とした。また、本発明単体で図12に示す上肢のリハビリも可能である。
【0012】
このように、手の把持の補助具としての機能と同時に、単体としての肘の支えや球体との組み合わせによる上肢の肩、肘、手首、手指の関節、下肢のリハビリが可能であり、脳梗塞や脳出血後の後遺症等に代表される手や足の麻痺の改善に、相当な量のリハビリや運動を可能とする。
【0013】
わが国の介護・医療・リハビリ環境は、寝たきり状態を作らない事が第一の目的とされているが、限られた予算の中では、寝たきりを防ぐ以上の麻痺の改善に対して、十分な量と質のリハビリに時間を割く事は難しい状態が長年続いている面がある。
【0014】
脳血管障害では、多くの場合後遺症障害として、損傷した脳の対側の上肢や下肢が麻痺状態になる。この麻痺の改善に対して、長年一度損傷し死滅した脳細胞は再生しないと医学的にも言われていたことにより、多くの医療、リハビリの専門機関に於いて、麻痺した側の手足の改善は発病の初期から諦めるものとされた歴史がある。そのためにリハビリは、麻痺側を改善させようと指向すること自体に積極的に取り組む機関は少なく、リハビリは健常な上肢や下肢で、日常生活の動作を行うことだという概念を唱える者もいた。さらに近年のわが国では、急激な高齢化により寝たきり老人の問題が取り立たされるが、それが、更に改善に時間がかかる麻痺手のリハビリを行うよりも歩行を、異常反射で正しい姿勢で歩けなくともとにかく歩ければ良いというような、麻痺側の改善を目指さない指導状況を増やすことになっている。
しかし実際には、脳の働きは損傷した細胞の再生がなされなくとも、他の部位が代償してその役目を担う可塑性という働きがあり、これは麻痺した側も正しい方法で十分な量のリハビリや生活での使用を行うことで脳の働きは改善が図られるということが、近年の研究レベルの臨床では証明もされている。
【0015】
ただ、下肢については構造的に立位や歩行が可能となれば自重がかかる事から、寝たきりをなくそうという動きにより、以前よりも改善した状況が無い訳ではない。しかし上肢については、自身での使用の意識がなされなくては、十分な量のリハビリや使用量が確保できない特有の構造もあり、研究レベルでの麻痺側の改善が証明されても、国の予算不足やそれに伴う人材の確保の問題もあり、麻痺側の上肢の改善を目指す機関は更に少なく難しい課題が今も残されている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
物品の把持を補助する器具であって、可撓性のあるO状リングと、該O状リングと小カンを接合部材によって適時適応の数を装着し、該小カンを通しベルトを着脱自在に備る、或いはO状リングにベルトを直に通し着脱自在に備えたことを特徴とする物品の把持を補助する器具。
【0017】
例えば図2、図3、図4、図5のような棒状の細い柄の付いた日常の生活物品、また図6、図7のような柄の太い物品、また缶やペットボトル等、図8の13のような柱体の物品、また図9の15の球体など様々な形態に対して装着又は把持の補助具となる。
【0018】
また下肢のリハビリでは図11、上肢でのリハビリでは図12のような装着をすることができる。
【発明の効果】
【0019】
生活での物品の把持補助具としての機能だけでなく、上肢や下肢の更なる機能の改善を目指すリハビリの機能を有する。
【0020】
それは、図1の1のO状リングと図1の2のベルトで、スプーンやコップ等の生活物品の様々な形態への把持を可能とし、それを補助する。そして、発明単体或いは球体との組み合わせで、肩、肘、手首、手指や股関節、膝関節等の各種のリハビリも行う事ができる
【0021】
また、肩、肘、手首、手指の関節、及びこれらの関節からの連動した働きで、全身各所の機能のリハビリを行う事にもなる。
【0022】
これは、研究レベルでは相応の刺激を入れることで麻痺の改善の可能性が言われる点と、現場では、限られた予算や人材で、相応の時間を作ることができないという相反する矛盾に対しても改善を図る要素を備えている。このような効果を持つ器具の必要性は極めて高い。
【0023】
上述した肩、肘、手首、手指の関節、及びこれらの関節からの連動した働きで、全身各所の機能のリハビリとは、例えば図10の使用例では、図10の18のように球体の運動をした場合、これは手先だけの動きでなく、この動きは上肢全体の連動した動きでもあり且つ、この上肢の動きは符号15の体幹部や下肢へも連動した働きを起こし全身のリハビリ運動となっている。
【0024】
また、図12の使用例に於いても、肘を本発明で補助することで、上肢は符号17の台を押し曲げした時の力は、符号15の人の体幹部や下肢に連動し、これも全身のリハビリ運動となっている。
【0025】
また、把持補助具として、また各種リハビリの使用に於いて、その使用や装着は簡易であり、軽度から中程度のある程度動きのある麻痺状態であれば、概ね1回から数回の指導で、以降は専門家や援助者は必要とせず、時折正しい方法で行っているかの確認をすることで対応できる。
【0026】
そしてそれは、使用対象の方が自主的に単独でリハビリの機会や日常での麻痺手の使用の機会を得ることが可能ととなり、機能の回復の為の新たな時間の確保を可能とし、上肢の機能の更なる向上につなげる可能性を広げる効果を持つ。
【0027】
また、手のリハビリでは従来の多くの方法が、握るという作用を促す、握力増強を強調したものが多いが、手の開く作用を促すものは少ない。
【0028】
それに比べ、本発明と球体との組み合わせによるリハビリの作用は、球体に対する手の把持を補助することで、球体を転がす運動を行う事ができる。手で球体を転がす動作は、指や手の屈筋、伸筋の微妙なコントロールを促し、単に握る作用や握る方向への異常な反射を高めることなく、バランスの取れた運動刺激を手掌他、上肢全体に働きかけることができる。
【0029】
脳血管障害等による後遺症麻痺には超早期のリハビリが麻痺の改善に有効であると言われているが、本発明では下肢に於いて、それを可能とした方法が示せる。
【0030】
図11で示すような球体との組み合わせにより、股関節の内旋筋、外旋筋及び大腿四頭筋への運動を行う事ができる。これは脳血管障害の発病早期の座位や立位ができずベッドに寝ている状況下でも、麻痺側下肢の運動を対象者である脳血管障害を患った本人で行う事ができ、介助者或いは例えば看護士に、膝裏面にボールの設置を行えば、後は対象者が単独でリハビリ運動ができる。
【0031】
しかもその設置作業は従来の看護や介護業務、例えば排泄や体位変換時に行う事ができ、設置後は対象の当事者の自主的な運動で行えば良く、上肢の装着等と同じように、初回から数回の指導で当事者の方がその方法を覚えれば、特に専門家や援助者はその場で終了まで見届ける必要は無く、後に設置した発明と球体の撤去を行えばよい。
【0032】
このような従来の業務に僅かな作業時間を費やすことで、早期のリハビリに取り組むことができ、対象者の下肢の改善を促す可能性をこれまでよりも高めることが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の本体形態を示す図
【図2】本発明の実施例1を示す図
【図3】本発明の実施例2を示す図
【図4】本発明の実施例3を示す図
【図5】本発明の実施例4を示す図
【図6】本発明の実施例5を示す図
【図7】本発明の実施例6を示す図
【図8】本発明の実施例7を示す図
【図9】本発明の実施例8を示す図
【図10】本発明の実施例9を示す図
【図11】本発明の実施例10を示す図
【図12】本発明の実施例11を示す図
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1の1のO状リングには可撓性を有するエラストマー製等のゴムや樹脂を用いた。
【0035】
本件でいう図1のO状リングの可撓性とは、適度な柔軟性を有し外からの力に対して変形可能な部材で、たとえばエラストマー製等のゴムや樹脂、他にロープや紐、皮や繊維のベルト等を用いることも出来る。
【0036】
また、本発明で把持する対象物の状態により、図1のO状リングの表面はすべる性質を持たせることで把持がしやすくなることがある。すべる性質を持たせるには、例えば微粒子や潤滑性素材を図1の1のO状リングに混ぜたり、付着させたりする方法がある。
【0037】
また、本発明ではO状リング1の表面にグリップ性を持たせることで把持がしやすくすることができる。例えば表面にリンプル等や凹凸を持たせる方法、摩擦抵抗を増やす加工法等がある。
【0038】
図1の2には、伸張性を有する面ファスナーの雌を用いた。この伸張性は様々な形態の物品の把持及び、使用者の体型や使用部位の状態に対する適応を広げる。
【0039】
また面ファスナーの機能により、本発明は着脱自在となる。
【0040】
なお図1の2には、伸張性を有する面ファスナー以外の、ベルトを用いることが出来る。たとえ長さ調整機能を付加すれば、特に伸張性のないベルトを用いることも可能となる。
【0041】
たとえば長さ調整機能には、バックルや送りカン等の機構を用いる方法、ベルト面に吸着性のある素材を用いる方法、ベルトにホックやボタン機構等の溝や凹凸を組み合わせる方法、ベルト体にベルトが通過できる穴を設ける方法等がある。
【0042】
また着脱自在には、バックルや送りカン等の機構を用いる方法、ベルト面に吸着性のある素材を用いる方法、ベルトにホックやボタン機構等の溝や凹凸の組み合わせる方法、ベルト体にベルトが通過できる穴を設ける方法等がある。
【0043】
また図1の2は、把持或いは装着時に身体や部位と、また物品と馴染むように可撓性のある素材、例えばエラストマーを用いる方法や伸張性のある繊維や皮、樹脂性のベルトを用いることも出来る。
【0044】
また図1の2は上述した素材や機能を一対或いは複数対に組み合わせることで使用の様々な状況に適応することが可能となる。
【0045】
例えば、伸張性のない面ファスナーとバックルや送りカンの組み合わせでは、固定性を増すことを目的とした物品の把持や装着が可能になる。
【0046】
或いは、伸張性のある面ファスナーとバックルや送りカンとの組み合わせでは、面ファスナーの伸張性以上の長さ調整機能を持たせることが可能となる。
【0047】
他にもバックルと、ベルト面に吸着性のある素材を用いる方法、ベルトにホックやボタン機構等や溝や凹凸の組み合わせる方法、ベルト体にベルトが通過できる穴を設ける方法などもあり、そしてこれら等を組み合わせることでベルトは様々な接続や長さ調整機能と着脱自在の構造を有する。
【0048】
図1の3の接合部材は、図1の1のO状リングと共に、図1の2のベルトの幅を通すことができる幅の図1の4の小カンを通した。
【0049】
図1の3の接合部材は、図1の1のO状リングと図1の4の小カンを通すが、その場で固定されずに1のO状リング上を可動する遊びを持つようにした。
【0050】
他に、図1の3の接合部材は、把持や装着する物品等の形状や状況により、図1の1のO状リング上の任意の場所に固定することもできる。
【0051】
それは例えば、図1の1や3に吸着性を持たせる方法、1や3の間の摩擦抵抗を利用する方法、1や3の表面に凹凸や切れ込みによる組み合わせによる方法、図1の1の素材上に止め具を装着し図1の1と図1の3の軌道を止める方法、或いは、図1の3の素材上を介して図1の1を締め付け、或いは圧を加えた止め具で軌道を止め固定する方法、また図1の1を膨張させ図1の図1の3との隙間をなくす、或いは図1の3を内面方向に収縮あるいは締め付けて固定する方法等がある。またこれらの複合による方法がある。
【0052】
また、他に図1の3の接合部材は着脱自在とすれば、使用状況にあわせた個数、0個から複数個の選択ができる。
【0053】
また接合部材を着脱自在とした場合は、接合部材に通す小カンの幅の変更も可能となり、使用状況により図1の2のベルトの幅を変えたい場合の対応も可能となる。それは、使用者の体型や把持や装着の対象物品の性状によっての選択になるが、例えば図11のような下肢のリハビリや図12のようなリハビリを行う場合は、ベルトの長さの変更だけでなく、より安定させるためにベルトの幅を広げる事が適切な場合があるが、その選択が可能となる。
【0054】
例えば、図1の3の接合部材の着脱自在には、面ファスナーを用いる方法他、帯やベルトを用い、バックルや送りカン等の機構を用いる方法、ベルト接着面に吸着性のある素材を用いる方法、ホックやボタン機構等の溝や凹凸や切れ込みを組み合わせる方法、ベルト体にベルトが通過できる穴を設ける方法等がある。また、これらの複合による方法がある。
【0055】
また、使用状況によっては着脱をしない構造にすることもある。それは例えば、図10の18のように、球体の運動ベクトルを起こすようなリハビリや、他には、把持あるいは、装着した物品に重量が有る時や、振るような動作を加える必要があり、接合分に強い力が加わる時の強度を求める場合等がある。
【0056】
図1の3の接合部材は、小カンを接合部材によって適宜の数を装着することができる。それは、把持或いは装着する物品やその状況により、図1の3の接合部材の装着する個数を0個から複数個に調整ができ、これは、例えば、使用状態が1つの物品に固定している状況や図10の18のような強い運動ベクトルを有しない使用の場合は、特に図1の3の接合部材は使用せずに、図1の1のO状リングに図1の2のベルトを直接通し使用する選択もできる。
【0057】
他に図1の3の接合部材0個の場合とは、図1の3の接合部材は、手に不自由さがある方が、図1の1のO状リングに図1の2のベルトを通す際、O状リングと物品や人の手足、体等の部位が密着していると、図1の2のベルトが通し難くなることがあり、それを解決するものであるが、使用者に器用さがあり、O状リングと物品や人の手足、体等の部位が密着していても、図1の2のベルトの装着が容易な場合は図1の3の接合部材0個の選択も問題はない。
【0058】
また、図1の3の接合部材は、例えば図10の18の球体の運動ベクトルような運動性を、球体や他の物品に求めた使用をする場合、球体や物品は図1の1のO状リングや図1の2のベルトから脱落しようとする運動を起こすことがある。その場合、図1の3の接合部材及び図1の4の小カンを介すことで、脱落の力は緩衝され脱落を防ぐ働きがある。
【0059】
また、図1の3の接合部材は、その個数を増やすことで、図1の2のベルトの装着本数を増すことができ、それは使用状況、物品の形状や使用者の体型の変化に対しての適応を広げる。
【0060】
本発明では図1の1のO状リングの可撓性と図1の2のベルトの伸張性や長さの調節機構及び図1の3の可動及び固定の選択、またその使用個数の選択と、それら要素の組み合わせにより、多種の多物品の形状やサイズに対して、装着や把持の補助が可能となる。
【0061】
例えば、本申請の図面で示した、伸張性のある面ファスナーを用いた例では図2、図3、図4、図5、図6、図7、図8など小物の把持補助具としての実施例では、図1の2のベルトは、同じサイズで対応ができた。この例に於ける面ファスナの寸法は、概ね幅40ミリ、長さは収縮時概ね240ミリ 伸張時概ね420ミリであった。この時用いたO状リングのリング内径の直径は概75ミリ、リング線体形状は円形で線体直径は概ね3.5ミリを用いた。
【0062】
また、例えば図9の実施例の場合は、直径が野球のボール等の数センチから十数センチの手まり等程のサイズの差で有れば、図1の2のベルトは1つのベルトサイズで対応が可能であった。この時の図1の2のベルトは幅40ミリ、長さは収縮時概ね630ミリ、伸張時1220ミリを使用した。
【0063】
また図10、図11の球体との組み合わせで手や足のリハビリを行う時は、これも図1の2のベルトは幅40ミリ、長さは収縮時概ね630ミリ、伸張時1220ミリで図9の例と同じサイズで対応ができた。
【0064】
そして、図12の肘の支える機能のリハビリを行うときには、図1の2のベルトは幅40ミリ、長さ収縮時1300ミリ、概ね伸張時2500ミリを用いた。
【0065】
これは、脱着自在の特徴及び伸張性のある面ファスナーの特徴から、概ね日常生活の自助具としての使用では、一つのサイズで適応ができ、またリハビリに於いては足や手に関わらず2つのサイズがあれば、今回示した実施例ではベルトの交換のみで共用が可能であり、多様性があって経済性が優れている。
【0066】
また、子供や女性、男性など体型が違う場合は、図1の1のO状リングや図1の2のベルトのサイズや素材の変更を行うことで対応が可能であり、様々な体型や年齢へも対応が可能である。
【0067】
この発明を実施するための最良の形態の説明では、図面に示した実施に用いた部材の各仕様は、図1の1のO状リングはリング内直径は概ね80ミリ、リング線体形状は円形で線体直径は概ね3.5ミリでエストラマー製品を用いた。
【0068】
また図面に示した図1の2のベルトは、伸張性のある面ファスナを用い、その寸法は、実施例図2、図3、図4、図5、図6、図7、図8については幅40ミリ、長さは収縮時概ね240ミリ、伸張時概ね420ミリのものを使用した。そして実施例図9、図10、図11では、幅40ミリ、長さは収縮時概ね630ミリ、伸張時1220ミリを使用した。実施例、図12では、幅40ミリ、長さ収縮時1300ミリ、概ね伸張時2500ミリを用いた。
【0069】
また接合部材の図1の3の管は、図1の2のベルトと同素材を短くカットし、これに図1のO状リングと図1の4の小カンを通す構造として、カットした両端を縫い合わせ管とした。この管の幅はベルト幅と同じ40ミリとした。
【0070】
図1の4の小カンは、線体の直径3ミリ、内径が幅40ミリで図1の2のベルトが通るものを用いた。
【0071】
また、本発明に於ける図1の1のO状リング、図1の2ベルト、図1の3の管の素材に、各種性質を持つ粒子や繊維、素材を織り込んだり、混ぜ込んだり、付着させることで、血行や生体の電位の調整や神経や感覚の働きを促すなど、麻痺の状態に対しての改善を図ることが可能となる。
【0072】
例えば、電気や磁気的な性質を帯びた粒子や繊維や磁石、鉱石、金属等、また例えば遠線赤外線等の各種の体に有効な波長や光を放出するセラミックや鉱石、金属等、また装着者自身が体内から放出する熱や各種波長や光を反射させて作用させる。
【0073】
また、本発明に於ける図1の1のO状リング、図1の2のベルト、図1の3の管の素材に、凹凸や形状の起伏などで、手や足、或いは体に刺激を与え、血行の改善や反射による体への調整機能を有する。
【符号の説明】
【0074】
1 O状リング
2 ベルト
3 管
4 小カン
5 面ファスナー雄面
6 手
7 スプーン
8 箸
9 歯ブラシ
10鉛筆
11包丁
12杖
13コップ
14球体
15人
16椅子
17台
18球体の運動ベクトル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の把持を補助する器具であって、可撓性のあるO状リングと、該O状リングと小カンを接合部材によって装着し、該小カンを通しベルトを着脱自在に備える、或いはO状リングにベルトを直に通し着脱自在に備えたことを特徴とする物品の把持を補助する器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−212393(P2011−212393A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−85925(P2010−85925)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(710002761)
【Fターム(参考)】