説明

上衣

【課題】前開き部を閉じた際に風雨などの浸入を効果的に防ぐことができる上衣の提供を目的とする。
【解決手段】前開き部に臨む左右の前身頃縁部に沿ってそれぞれ左係止部と右係止部とを設けてあり前開き部を閉じるために左係止部と右係止部とを係止する係止具と、左右の係止部を閉じ合わせた係止具上に重ねるために帯形で左右の前身頃の一方の縁部に当該縁部に沿って連結してある下前立てと、下前立て上に重ねるために帯形で他方の前身頃の縁部に当該縁部に沿って連結してあり外側に被係着部を有して且つ外側向きに折り返した折返し部とを有する中前立てと、中前立て上に重ねるために帯形で一方の前身頃の縁部に当該縁部に沿って連結してあり内側に中前立ての被係着部に係着させるための係着部を有する上前立てとを有することを特徴とする上衣とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前開き部の防水性および防寒性に優れた上衣に関する。
【背景技術】
【0002】
防寒用の上衣では、例えば前開き部を閉じるスライドファスナー部分を覆うように帯状の持ち出した前立てを設けて、スライドファスナー部分から風雨等が内側に浸入するのを防止する技術が公知である。
実開平1−102106号公報に、スライドファスナー部分を内カバー片で覆い、内カバー片の外側を外カバー片で覆う技術を開示する。
しかし、この技術では外部から内カバー片と外カバー片との隙間を通ってスライドファスナー部分まで浸入する風雨をある程度防ぐことはできるが、風雨などが強い場合には隙間が拡がってしまい、スライドファスナーの合わせ目まで伝ってしまうため浸入防止効果が不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平1−102106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記技術的課題に鑑みて、前開き部を閉じた際に風雨などの浸入を効果的に防ぐことができる上衣の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る上衣は、前開き部に臨む左右の前身頃縁部に沿ってそれぞれ左係止部と右係止部とを設けてあり前開き部を閉じるために左係止部と右係止部とを係止する係止具と、左右の係止部を閉じ合わせた係止具上に重ねるために帯形で左右の前身頃の一方の縁部に当該縁部に沿って連結してある下前立てと、下前立て上に重ねるために帯形で他方の前身頃の縁部に当該縁部に沿って連結してあり外側に被係着部を有して且つ外側向きに折り返した折返し部とを有する中前立てと、中前立て上に重ねるために帯形で一方の前身頃の縁部に当該縁部に沿って連結してあり内側に中前立ての被係着部に係着させるための係着部を有する上前立てとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る上衣においては、左右の前身頃縁部の一方に連結した上前立てと下前立てとの間に、他方の前身頃縁部に連結した中前立てを差し挟むようにして、スライドファスナーなどの係止具の合わせ目上に重ねて閉じる。
これにより、この上前立てと中前立てと下前立ての閉じ合わせ部分おいて、外部から風雨などが、上前立てと中前立てとの間の隙間を通ってスライドファスナーなどの係止具部分まで到達することを防止でき、風雨などの浸入を効果的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】(a)は本発明に係る上衣の前開き部を開けた状態の外観説明図を示し、(b)はA部を拡大した説明図を示す。
【図2】(a)は本発明に係る上衣の前開き部を閉じた状態の外観説明図を示し、(b)はB部を拡大した説明図を示す。
【図3】左合わせ部と右合わせ部とを閉じ合わせる手順の説明図を示す。
【図4】係着部と被係着部にドット釦を用いた状態の説明図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1(a)は本発明に関する上衣10の前開き部13を開けた状態の外観説明図で、図1(b)はA部を拡大した説明図を示す。
また、図2(a)は上衣10の前開き部13を閉じた状態の外観説明図を示し、図2(b)はB部を拡大した説明図を示す。
上衣10は、前開き部13を閉じるためのスライドファスナー(係止具)20のスライダー部21cを有するテープ部(係止部)21aを前開き部13に臨む左前身頃15の縁部15aに沿って縁部15aの先端に取り付け、スライダー部21cを有しないテープ部(係止部)21bを右前身頃16の縁部16aに沿って縁部16aの先端に取り付けてある。
ここで左右とは、上衣10の着用者からみた左右を意味する。
左前身頃15には、帯形の上前立て50が左前身頃15の縁部15aに沿って、上前立て取付部52を縁部15aに連結して取り付けてある。
上前立て50の内側面51には、面状ファスナーの係着部53を設けてある。
そして、左前身頃15には帯形の下前立て30を縁部15aに沿って、下前立て取付部31を上前立て50の取付部52に連結することで取付部31を介して取り付けてある。
上前立て50には、この下前立て取付部31と上前立て取付部52とを覆い隠すステッチ52aが設けてある。
右前身頃16には、帯形の中前立て40を右前身頃16の縁部16aに沿って、中前立て取付部42を縁部16aに連結して取り付けてある。
中前立て40には、この取付部42を覆い隠すステッチ42aが設けてある。
中前立て40の外側面41には、面状ファスナーの被係着部43を設けてあり、また、中前立て40の端部には外側向きに折り返した折返し部44を設けてある。
この折返し部44は、中前立て40の前開き部13側の端部を外側向きに折り返して、折り返した山形部44bをカンヌキ部45でジグザグ状に縫い合わせて折返し形状を固定してある。
上衣10は、左前身頃15の縁部15aに、スライドファスナー20のテープ部21aと下前立て30と上前立て50を連結して、前開き部13を左側から閉じる左合わせ部11を設けてある。
右前身頃16の縁部16aに、スライドファスナー20のテープ部21bと中前立て40を連結して、前開き部13を右側から閉じる右合わせ部12を設けてある。
【0009】
図3は、左合わせ部11と右合わせ部12とを閉じ合わせる手順の説明図を示す。
左合わせ部11と右合わせ部12は、図3(a)に示すようにファスナー20を閉じて、図3(b)に示すようにスライドファスナー20の合わせ目22を覆うように下前立て30を重ねる。
そして、図3(c)に示すように下前立て30上に中前立て40を重ね、中前立て40の面状ファスナーの被係着部43に上前立て50の面状ファスナーの係着部53を係着させて図3(d)に示すように中前立て40上に上前立て50を重ねて、左合わせ部11と右合わせ部12とを閉じ合わせる。
この被係着部43と係着部53は、互いに係脱自在に係着するものであればよく、例えば図4に示すようにドット釦を用いてもよく、図4(a)に示すように中前立て40に設けたドット釦オス61と上前立て50に設けたドット釦メス62とを、図4(b)に示すように係着させるものでもよい。
【0010】
図2(b)に示すように、スライドファスナー20を閉じて、左合わせ部11と右合わせ部12とを閉じ合わせた状態では、左前身頃15側からスライドファスナー20上に延出した上前立て50と下前立て30との間に、右前身頃16側からスライドファスナー20上に延出した中前立て40が挟まれている。
左合わせ部11と右合わせ部12との閉じ合わせ部10aには、外部から隙間開口部14bより上前立て50と中前立て40との間を通り、中前立て40と下前立て30との間を通り、下前立て30とスライドファスナー20を取り付けている右前身頃16の縁部16aとの間を通ってスライドファスナー20の合わせ目22までに至る隙間14が形成される。
この隙間14の、上前立て50と中前立て40の間から中前立て40と下前立て30の間にかけては、折返し形状の隙間折返し部14aを形成してある。
外部から隙間開口部14bを通って侵入しようとする風雨などは、上前立て50と中前立て40との間に配置された折返し部44の谷形部44aで遮断する。
そして、折返し部44を越えて隙間14を通って浸入しようとする強い風雨などは、隙間折返し部14aの折返し形状で遮断する。
これにより閉じ合わせ部10a内において、風雨などが外部から隙間開口部14bを通って、スライドファスナー20及び、左・右前身頃縁部15a、16aまで到達することを効果的に防止する。
【符号の説明】
【0011】
10 上衣
10a 閉じ合わせ部
11 左合わせ部
12 右合わせ部
13 前開き部
14 隙間
14a 隙間の折返し部
14b 隙間開口部
15 左前身頃
15a 左前身頃縁部
16 右前身頃
16a 右前身頃縁部
20 スライドファスナー(係止具)
21a、21b ファスナーテープ部(係止部)
21c ファスナースライダー部
22 スライドファスナーの合わせ目
30 下前立て
31 下前立て取付部
40 中前立て
41 中前立て外側面
42 中前立て取付部
42a ステッチ
43 面状ファスナーの被係着部
44 折返し部
44a 谷形部
44b 山形部
45 カンヌキ部
50 上前立て
51 上前立て内側面
52 上前立て取付部
52a ステッチ
53 面状ファスナーの係着部
61 ドット釦オス
62 ドット釦メス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前開き部に臨む左右の前身頃縁部に沿ってそれぞれ左係止部と右係止部とを設けてあり前開き部を閉じるために左係止部と右係止部とを係止する係止具と、
左右の係止部を閉じ合わせた係止具上に重ねるために帯形で左右の前身頃の一方の縁部に当該縁部に沿って連結してある下前立てと、
下前立て上に重ねるために帯形で他方の前身頃の縁部に当該縁部に沿って連結してあり外側に被係着部を有して且つ外側向きに折り返した折返し部とを有する中前立てと、
中前立て上に重ねるために帯形で一方の前身頃の縁部に当該縁部に沿って連結してあり内側に中前立ての被係着部に係着させるための係着部を有する上前立てとを有することを特徴とする上衣。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−216069(P2010−216069A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−134602(P2010−134602)
【出願日】平成22年6月12日(2010.6.12)
【基礎とした実用新案登録】実用新案登録第3138295号
【原出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【出願人】(593127418)株式会社 カジメイク (1)
【Fターム(参考)】