説明

下げ札

【課題】
下げ札の一面の2カ所に第1表示部と、第2表示部を表出させ、第1表示部は対象棒体の周囲に添わせることが出来、また第2表示部は、対象棒体から垂下でき、それら2つの表示部は「捩られる」ことなく、直視できる下げ札を提供する。
【解決手段】
取付対象とする棒体42の周囲43に対して、第1表示部10の内面を添わせ、その状態で第2表示部20を備える部材の自由端21を上記長孔12に挿通させ、取付対象とする棒体の周囲43に巻付部9となる第1表示部10の内面と、上記2本の引止帯16、16の内面が添う状態にし、連結部5が長孔内に位置した状態では、長孔12の端部の両内側の係合部13、13と、上記連結部5の対応合致する両側の掛合部25、25が係合し、かつ、その係合状態では第1表示部10の表面も、第2表示部20の表面も共に取付対象とする棒体42の軸心方向に対して平行する状態になるようにしてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、上部を取付対象とする棒体の周囲に対して装着し、下部の大きな表示部をぶら下げる状態で利用する下げ札に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より上部を、取付対象とする棒体(以下”対象棒体”ともいう)の周囲に対して装着し、下部の大きな表示部をぶら下げる状態で利用する下げ札は広く知られている(例えば特許文献1に示される下げ札等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−181517公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この特許文献1に示される下げ札の装着部は、図4(A)(B)に表れるように第1装着孔23bと、第2装着孔23aを備えている。
従って、一本の対象棒体(例えば植木の枝:図示省略)に対して図4(A)の下げ札を装着する場合、第1装着孔23b(又は第2装着孔23a)のみに上記一本の対象棒体を挿通して装着を終える恐れがある。
すると、表示部1が強風に晒された場合、第1装着孔23b(又は第2装着孔23a)の周囲を構成する掛け止め片部22bの切れ目24b(又は切れ目24a)が開き、上記対象棒体から下げ札が離反して飛んでいく問題点が発生する。
【0005】
上記問題点を解決するためには、図4(B)のように2つの掛け止め片部22b、22aを重合させることが必要となる。しかし単に、2つの掛け止め片部22b、22aを曲げ付けただけでは部材の弾力により、両者間に隙間ができるので、表示部1が強風に晒された場合、切れ目24bと、切れ目24aとは個々に開き、上記対象棒体から下げ札が離反して飛んでいく問題点が発生する。
【0006】
そこで上記2つの掛け止め片部22b、22aを重合させ、ホチキスや接着剤でくっつけることが必要となる。しかし、ホチキスや接着剤を余分に持ち歩くことは煩わしいことであり、また、一本の対象棒体に対して2つの掛け止め片部22b、22aを夫々掛け止めし、然る後両者を重合させ、ホチキスや接着剤でくっつける作業は、大変な手間を必要とし、作業の簡素化に反する問題点がある。
【0007】
本件出願の目的は、上記課題を解決するもので、下げ札の上部を対象棒体の周面に対して添わせる状態で巻き付け出来るようにすることにより、対象棒体に対する下げ札の一体化を可能にして、上記対象棒体から下げ札が離反して飛んでいくことのないようにした下げ札を提供しようとするものである。
【0008】
他の目的は、ホチキスや接着剤等の余分なものが無くても、丈夫な状態で対象棒体に下げ札を装着できるようにした下げ札を提供しようとするものである。
【0009】
他の目的は、対象棒体に対して下げ札を装着する場合、予め、縦横共に比較的大きな長孔を下げ札に備えさせることにより、大きな表示面積を備える第2表示部を楽々と挿通できるように構成し、対象棒体に対する下げ札の装着作業を迅速ならしめた下げ札を提供しようとするものである。
【0010】
他の目的は、下げ札の一面の2カ所に第1表示部と、第2表示部を表出させ、その内の第1表示部は対象棒体の周囲(例えば図3からも理解できるように、上方から直視できる位置)に、また第2表示部は、大きな表示面積を備え、対象棒体から垂下できるようにした下げ札を提供しようとするものである。
【0011】
他の目的は、下げ札の一面の2カ所に第1表示部と、第2表示部を表出させ、その内の第1表示部は対象棒体の周囲に添わせることが出来、また第2表示部は、対象棒体から垂下できるようにしたものであっても、「それら2つの表示部は図3からも理解できるように、2つの表示面10,20は、表示面が連続しており(よじられた様子はなく)、遠く離れた場所から見る場合でも、一点から違和感なく直視できる下げ札を提供しようとするものである。
【0012】
他の課題、目的及び利点は図面及びそれに関連した以下の説明により容易に明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明における下げ札は、 屈曲自在の材質で、ほぼ矩形の形態に形成されているシート状の本体2において、 上記本体2における長手方向の中間部2aには、中央部に連結部5が残る状態で両側に欠如部4を備えさせ、上記本体2の長手方向における欠如部4の一方の側に位置する部材6においては、 欠如部4に近い位置の表面に第1表示部10を備えさせ、 欠如部4に遠い位置には、本体2の長手方向に平行する方向に長くなる長孔12を備えさせ、 上記本体2の長手方向における欠如部4の他方の側に位置する部材7においては、表面に第2表示部20を備えさせ、 上記長孔12の幅方向の寸法W2は、上記2つの欠如部4、4の間にあって第1表示部10と第2表示部20とを夫々備える部材を相互に連結している連結部5を、連結部5の表面が長孔12の幅方向に平行する向きで位置させ得るように、両側に引止帯16、16が残る範囲で連結部5の幅寸法W1に対応する大きな寸法にしてあり、 上記長孔12の長さ寸法L1は、上記第2表示部20を備える部材の挿通を可能に第2表示部20を備える部材の幅寸法W3に対応する寸法にして、 取付対象とする棒体42の周囲43に対して、第1表示部10の内面を添わせ、かつ、その状態で第2表示部20を備える部材の自由端21を上記長孔12に挿通させ、取付対象とする棒体の周囲43に巻付部9となる第1表示部10の内面と、上記2本の引止帯16、16の内面が添う状態にし、しかも、上記連結部5が長孔内に位置した状態では、長孔12の端部の両内側の係合部13、13と、上記連結部5の対応合致する両側の掛合部25、25が係合し、かつ、その係合状態では第1表示部10の表面も、第2表示部20の表面も共に取付対象とする棒体42の軸心方向に対して平行する状態になるようにしてある。
【発明の効果】
【0014】
以上のように本発明の下げ札1の本体2は、シート状の材料でほぼ矩形の形態に形成するものなので、製作は簡易で、持ち歩きも、多数枚を重合させた状態で簡便に持ち歩きできる特長がある。
【0015】
しかも上記のように、製作簡易で、持ち歩きも簡便になる構成であっても、「取付対象とする棒体42」に装着する場合の作業性は、図2の(A)〜(C)からも理解できるように、単純に、「幅方向の寸法W2を大きくしてある大きな長孔12」に対して、極めて薄い厚みに出来るシート状の「第2表示部20を備える部材の自由端21」を素早く挿通させ、その自由端21を「大きな長孔12」から引き出すだけの操作で、上記「取付対象とする棒体42」に下げ札1を装着することのできるという、迅速作業を可能にする効果がある。
【0016】
その上本発明にあっては、上記のように下げ札1を、取付対象とする棒体42に対して迅速に装着できる構成であっても、連結部5の幅寸法W1と、長孔12の幅方向の寸法W2とは、取付対象とする棒体42に装着した状態において、本体2における第1表示部10の表面も、第2表示部20の表面も共に「取付対象とする棒体42」の軸心方向に対して平行する状態で整然と並設表示できるように、対応する寸法にしてあるから、図3からも理解できるように第三者に対して第1表示部10の表面と、第2表示部20の表面とを同一視点から認知させることのできる表示効果がある。
【0017】
その上本発明にあっては、上記のように連結部5の幅寸法W1と、長孔12の幅方向の寸法W2とを対応する寸法にして、第三者に対して第1表示部10の表面と、第2表示部20の表面とを同一視点から認知できるようにしてあることにより、「取付対象とする棒体42」に対して装着した状態では、長孔12の端部の両側に位置することになる係合部13、13に対し、上記連結部5の対応合致する両側に位置することになる掛合部25、25が係合して、下げ札1の垂下している第2表示部20が強風に晒されても、「取付対象とする棒体42」に対する下げ札1の巻付部9である「第1表示部10の内面と、上記2本の引止帯16、16の内面は」夫々、取付対象とする棒体42の外周面43に馴染みよく添う装着状態を維持する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】平面図。
【図2】(A)と、(B)と、(C)は、夫々「取付対象とする棒体42」に下げ札1を装着する場合の手順を説明するための斜視図。
【図3】(A)は正面図、(B)は背面図。
【図4】従来の下げ札を表す図で、(A)は正面図、(B)は斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1は、複数の下げ札1を、大きなシートに対して同時に一緒に印刷し、それらの下げ札1に対して同時に多数の欠如部4と、多数の長孔12を空け、切れ目1aで夫々切り離すことにより複数の下げ札1を同時に多数製造する点を説明するための平面図(実線で表示された下げ札1はその内の一枚を示す)。
図2は、「取付対象とする棒体42」に下げ札1を装着する場合の手順を説明するための斜視図で、(A)は「取付対象とする棒体42」に第1表示部10の内面を当て付けた状態を示し、(B)は、「取付対象とする棒体42」を巻付部9を包み込むような状態において、長孔12に対して第2表示部20を備える部材の自由端21を挿通させる状態を示し、(C)は「取付対象とする棒体42」を巻付部9で包み込んだ状態において、長孔12の内側に連結部5を位置させ、かつ連結部5の表面を取付対象とする棒体42の軸心方向に対して平行する状態に装着した状態を示す。
図3は、「取付対象とする棒体42」に下げ札1を装着した状態を示す図で、(A)は第1表示部10の表面も、第2表示部20の表面も共に棒体42の軸心方向に対して平行する状態に装着されている状態を示す正面図、(B)は巻付部9が、取付対象とする棒体42の周面に対して馴染みよく装着されている状態を示す背面図。
【0020】
図1に表れている下げ札1における本体2は、屈曲自在のシート状の材質、例えば弾力性の有る材料として周知の薄くて耐水性のある紙材、プラスチックの薄板材等で、図示されているようにほぼ矩形の形態に形成されている。なお、角が有ると見栄えが悪い場合は、四隅の角に丸みを付しても良い。
上記本体2における長手方向の中間部2aには、図示のように、中央部に連結部5が残る状態で両側に括れが出来るように半円弧状(山形形状であっても良い)の欠如部4、4を備えさせてある。
上記連結部5の幅寸法W1は、図2(C)に表れているように、第1表示部10の表面と第2表示部20の表面とが捩れないように長孔12の幅寸法W2に対応をさせた寸法であり、同寸法か、又はW2より小さい寸法にしてある。
【0021】
上記本体2の長手方向(矢印27方向)における欠如部4の一方の側に位置する部材6においては、欠如部4に近い位置の表面には、図3のように対象棒体42、例えば自転車のハンドル、自動二輪車のバックミラー支持軸、植木の枝等の表面に位置することになって目立ち易い状態になる第1表示部10を備えさせている。
また欠如部4に遠い位置には、図2(B)に表れているように、第2表示部20の自由端21を挿通し易いように幅広に形成し、かつ、本体2の長手方向27に平行する方向に長くなる長孔12を備えさせてある。9は図2(C)に表れているように、対象棒体42の表面に対して、自体の内面9aを馴染みよく添わせるように巻き付けるための巻付部(巻回し部)で、引止帯16、第1表示部10等で構成されている。15は、二本の引止帯16で上記連結部5に連なっている引止部材で、図2(C)に表れているように、連結部5を包囲して、連結部5と一体化する。なお、6aは第1表示部10の側の表面、6bはそれの裏面を示す。
上記本体2の長手方向27における欠如部4の他方の側に位置する部材7においては、表面7aに多くの文字(黒塗り部分)、或いは任意の図形が表示できるように、広い面積に形成してある第2表示部20を備える。この第2表示部20は図3に表れているように取り付け状態では多くの場合垂れ下がり状態になる。なお7bはそれの裏面を示す。
上記長孔12の幅方向の寸法W2は、前述したように上記2つの欠如部4、4の間にあって第1表示部10と第2表示部20とを夫々備える部材を相互に連結している連結部5を、連結部5の表面が長孔12の幅方向に平行する向きで位置させ得るように、両側に引止帯16、16が残る範囲で連結部5の幅寸法W1に対応する大きな寸法、即ち、等しいか乃至は大きい寸法にしてある。
上記長孔12の長さ寸法L1は、上記第2表示部20を備える部材7の挿通を容易にするために第2表示部20を備える部材7の幅寸法W3に対応する寸法、即ち、等しいか乃至は大きい寸法にしてある。
【0022】
次に、対象棒体42の周囲43に対して下げ札1を装着する例を説明する。図1に実線で示されている下げ札1(左端の一枚の下げ札1)を取付対象とする棒体42の周囲43に対して、図2(A)に表してあるように、第1表示部10の内面10aが対象棒体42の周囲43に添うようにし、
次に、図2(B)に表してあるように、その状態で第2表示部20を備える部材の自由端21を上記長孔12に挿通させる。この場合、第2表示部20を備える部材の自由端21に比較して、上記長孔12の幅寸法w2は、極めて大きく形成されているので、その場合の挿通作業は極めて迅速に行うことが出来る。
次に上記長孔12を通過させた後の第2表示部20を備える部材の自由端21は、図2(C)のように垂れ下がる。しかも、取付対象とする棒体42の周囲43に対しては、巻付部9となる第1表示部10の内面と、上記2本の引止帯16、16の内面が添う状態にし、しかも、上記連結部5が長孔内に位置した状態では、長孔12の端部の両内側の係合部13、13(当接する部分)と、上記連結部5の対応合致する両側の掛合部25、25(対応当接する部分)が係合する。しかも、係合部13、13と、掛合部25、25とが対向して係合した状態では、第1表示部10の表面も、第2表示部20の表面も共に取付対象とする棒体42の軸心方向に対して平行し、図3に表れているように美しい整った状態になるようにしてある。
【符号の説明】
【0023】
1・・・下げ札、2・・・本体、2a・・・中間部、4・・・欠如部、5・・・連結部、9・・・巻付部(巻回し部)、10・・・第1表示部、12・・・長孔、13・・・係合部、 15・・・引止部材、16・・・引止帯、20・・・第2表示部、21・・・自由端、25・・・掛合部、40・・・自転車(原付)、41・・・ハンドル、42・・・棒体、43・・・棒体の周囲。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈曲自在の材質で、ほぼ矩形の形態に形成されているシート状の本体において、
上記本体における長手方向の中間部には、中央部に連結部が残る状態で両側に欠如部を備えさせ、
上記本体の長手方向における欠如部の一方の側に位置する部材においては、欠如部に近い位置の表面に第1表示部を備えさせ、
欠如部に遠い位置には、本体の長手方向に平行する方向に長くなる長孔を備えさせ、
上記本体の長手方向における欠如部の他方の側に位置する部材においては、表面に第2表示部を備えさせ、
上記長孔の幅方向の寸法は、上記2つの欠如部の間にあって第1表示部と第2表示部とを夫々備える部材を相互に連結している連結部を、連結部の表面が長孔の幅方向に平行する向きで位置させ得るように、両側に引止帯が残る範囲で連結部の幅寸法に対応する大きな寸法にしてあり、
上記長孔の長さ寸法は、上記第2表示部を備える部材の挿通を可能に第2表示部を備える部材の幅寸法に対応する寸法にして、取付対象とする棒体の周囲に対して、第1表示部の内面を添わせ、かつ、その状態で第2表示部を備える部材の自由端を上記長孔に挿通させ、取付対象とする棒体の周囲に巻付部となる第1表示部の内面と、上記2本の引止帯の内面が添う状態にし、しかも、上記連結部が長孔内に位置した状態では、長孔の端部の両内側の係合部と、上記連結部の対応合致する両側の掛合部が係合し、かつ、その係合状態では第1表示部の表面も、第2表示部の表面も共に取付対象とする棒体の軸心方向に対して平行する状態になるようにしてあることを特徴とする下げ札。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−3334(P2013−3334A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134063(P2011−134063)
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(595132441)▲蔦▼井株式会社 (10)