説明

下肢用マッサージ装置

【課題】下肢用マッサージ装置のマッサージ機構が、人体の下肢を指圧した状態のまま、停止したような場合にも、下肢の出し入れを容易に行えるようにする。
【解決手段】下肢用マッサージ装置1には、左右一対に設けられ且つ使用者の下肢を挿入可能となっている挿入凹部と、この挿入凹部4の内部に設けられて挿入された下肢をマッサージするマッサージ機構5,7と、このマッサージ機構5,7を電動モータ11の出力で駆動させる駆動機構9とが備えられ、駆動機構9には電動モータ11の停止中にマッサージ機構5,7を手動で動作させる手動操作機構30が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下肢用マッサージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、人体の背中だけでなく、人体の下肢をマッサージできる下肢用マッサージ装置が開発されており、例えば、特許文献1に示すようなものがある。
この下肢用マッサージ装置は、左右下肢の各ふくらはぎをマッサージする第1マッサージ機構を内部に備えたレッグレスト部と、このレッグレスト部の先端側に配置され、左右下肢の各足をマッサージする第2マッサージ機構を内部に備えたフットレスト部と、レッグレスト部及び/又はフットレスト部の左右方向中央部に配置され、両マッサージ機構を同時に駆動する駆動機構とを備えている。下肢用マッサージ装置では、使用者のふくらはぎや足を効果的にマッサージ可能となっている。
【特許文献1】再公表2005/023169号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この種の下肢用マッサージ装置では、多くの場合、運転状態から運転停止ボタンを操作して停止させると、第1、第2の各マッサージ機構が、人体の下肢を出し入れしやすいように開いて(指圧状態を解除して)停止するように、電気回路的又はソフト的に制御される構成であった。
ところが、供給電源の非常停止時(停電、ブレーカー作動、コンセントプラグの不合理な引き抜き、或いは装置のヒューズ切断等)には、前記したような電気回路的又はソフト的な制御が正常に作動しないことがある。
【0004】
そのため、場合によっては第1、第2の各マッサージ機構が、人体の下肢を指圧した状態のまま、停止することが予測される。そして、第1、第2の各マッサージ機構が、人体の下肢を指圧した状態のまま、停止した場合、下肢を出し入れし難いということが予測される。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、マッサージ機構が、人体の下肢を指圧した状態のまま停止したような場合にも、下肢の出し入れを容易に行えるようにした下肢用マッサージ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
すなわち、本発明に係る下肢用マッサージ装置は、左右一対に設けられ且つ使用者の下肢を挿入可能となっている挿入凹部と、この挿入凹部の内部に設けられて挿入された下肢をマッサージするマッサージ機構と、このマッサージ機構を電動モータの出力で駆動する駆動機構とを備えているものであって、前記駆動機構には、前記電動モータの停止中にマッサージ機構を手動で動作させる手動操作機構が設けられていることを特徴とする。
好ましくは、前記手動操作機構は、駆動機構が具備する電動モータの出力軸に対して回転操作力を付与するハンドルを有しているとよい。
【0006】
前記ハンドルが、挿入凹部の左右相互間で回転軸心を上下方向へ向けて設けられていると共に、側面視で前記挿入凹部の上端部と重なる位置に配置されていると好ましい。
なお、側面視で前記挿入凹部の上端部と重なる位置に、前記ハンドルを収納可能なハンドル収納部が設けられ、前記手動操作機構には、前記ハンドルを使用ポジションと収納ポジションとに切り換えるポジション切替機構が設けられていて、前記使用ポジションでは、前記ハンドルがハンドル収納部から上方に突出し且つハンドルの回転操作力が電動モータの出力軸に伝達可能となっており、前記非使用ポジションでは、前記ハンドルがハンドル収納部内に収納され且つハンドルの回転操作力が電動モータの出力軸に伝達不能となっているとよい。
【0007】
さらに、前記駆動機構には、電動モータの回転中に手動操作機構の操作が行われた際に電動モータを停止させる駆動停止機構が設けられているとよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る下肢用マッサージ装置を用いることで、マッサージ機構が、人体の下肢を指圧した状態のまま、停止したような場合にも、手動操作機構を操作することによって下肢の出し入れを容易に行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
[第1実施形態]
図1乃至図4は、本発明に係る下肢用マッサージ装置1の第1実施形態を示している。この下肢用マッサージ装置1は、図2に示すように、左右のふくらはぎCが挿入される挿入凹部4を備えたレッグレスト部2と、このレッグレスト部2の先端側に配置され且つ左右の足Fが挿入される挿入凹部4を備えたフットレスト部3とを有している。
レッグレスト部2及びフットレスト部3に形成された挿入凹部4は連続的に連なっており、この挿入凹部4に下肢Lを通すことができるように、レッグレスト部2とフットレスト部3とは一体的に形成されて、下肢用マッサージ装置1は側面視で略く字状になっている。
【0010】
レッグレスト部2は、使用者のふくらはぎCをマッサージするもので、ふくらはぎCをマッサージするレッグマッサージ機構5(第1マッサージ機構)を備えている。
このレッグレスト部2の前面には、左右のふくらはぎCが挿入可能な挿入凹部4,4が設けられており、この挿入凹部4の内面であって幅方向対面側には、ふくらはぎCを挟み込みできるようにふくらはぎ用マッサージ部材6が配置されている。
フットレスト部3は、使用者の足Fをマッサージするもので、足Fの両側部をマッサージするフットマッサージ機構7(第2マッサージ機構)を備えている。このフットレスト部3の前面(上面)には、足Fを挿入可能な挿入凹部4が設けられており、フットレスト部3の挿入凹部4の内面であって幅方向対面側には、足用マッサージ部材8が配置されている。
【0011】
なお、本明細書において、「下肢L」とは、人間の脚部のうち膝より下の部分をさしている。さらに、下肢Lを、膝下でくるぶしより上の部分である「ふくらはぎC」と、くるぶしより下の部分である「足F」とに分けた上で、説明を進める。
また、図2における左右方向を説明における「右左方向」又は「幅方向」と呼ぶ。図2における上下方向を説明における「上下方向」と呼ぶ。図2における紙面貫通方向を説明における「前後方向」と呼ぶ。これらは、下肢用マッサージ装置1に下肢Lを差し入れた使用者から見た、前後・左右・上下方向と一致する。図3や図5に示されているのが、下肢用マッサージ装置1の側面図(左側面図)である。
【0012】
図1乃至図3に示すように、下肢用マッサージ装置1は、レッグマッサージ機構5、フットマッサージ機構7、両マッサージ機構5,7を駆動させる駆動機構9を有している。
この駆動機構9及び両マッサージ機構5,7は、1つのケーシング10内に格納されている。このケーシング10の前面には、差し入れられる下肢Lの長手方向に沿った開口が形成され、この開口をカバー体12で覆うことにより、前述の挿入凹部4が構成されている。カバー体12は、伸縮性や可撓性を有する布、人工皮革、レザー等で形成されている。
【0013】
レッグマッサージ機構5、フットマッサージ機構7としては、様々な形態のものが採用可能であるが、例えば、以下のものが採用可能である。
レッグマッサージ機構5は、左右一対のふくらはぎ用マッサージ部材6と、駆動機構9により回転する回転軸20と、この回転軸20の回転を駆動源としてふくらはぎ用マッサージ部材6に左右方向の繰り返し揺動を行わせる駆動変換部とを有している。
回転軸20は、幅方向両側に設けられた支持ブラケット24に回転自在に支持されている。駆動変換部は、挿入凹部4に対応する配置となるようにして回転軸20の軸中途部に串刺し状態で設けられている。
【0014】
ふくらはぎ用マッサージ部材6は、挿入凹部4に差し入れられたふくらはぎCに沿って延びる長い板材により構成されている。ふくらはぎ用マッサージ部材6は、プラスチックや板バネ等からなる弾性体により構成されており、その板厚方向、すなわち、ふくらはぎCから離れる方向に弾性変形可能となっている。
フットマッサージ機構7は、足用マッサージ部材8と、駆動機構9により回転する回転軸20と、この回転軸20の回転を駆動源としてふくらはぎ用マッサージ部材6に左右方向の繰り返し揺動を行わせる駆動変換部とを有している。なお、これらの部位は上記フットマッサージ機構7と略同じ構成であるため、説明を省略する。
【0015】
両マッサージ機構5,7の前後方向及び左右方向の略中間には、両マッサージ機構5,7を駆動させる駆動機構9が配置されている。
この駆動機構9は1つの電動モータ11を有しており、この電動モータ11が出力軸(モータ軸自体又はこのモータ軸と連動して回転する軸)を回転させることで、この回転がレッグマッサージ機構5及びフットマッサージ機構7の各回転軸20に伝達されるようになっている。
電動モータ11は、両マッサージ機構5,7の各回転軸20と伝動効率の良好な連動関係を生じさせるために、前記出力軸が前下がりで後方ほど高くなる向き(前下がり姿勢)に傾斜させて設置するのが好適である。
【0016】
この駆動機構9には電動モータ11の停止中にマッサージ機構5,7を手動で動作させる手動操作機構30が設けられている。また駆動機構9には、電動モータ11の回転中に手動操作機構30の操作が開始されるときに、電動モータ11を停止させる駆動停止機構31が設けられている。
手動操作機構30は、電動モータ11の出力軸(図3及び図4に出力軸の上端部35のみを示す)に対して回転操作力を付与するハンドル36を有している。
出力軸は、電動モータ11のモータ軸自体を後方斜め上方へ延長させることにより、この延長部分で形成させればよい。このことは、前記したように電動モータ11を前下がり姿勢に傾斜させて設定していることが好都合に作用する。
【0017】
出力軸はモータ軸とは別体として形成することもできる。すなわち、電動モータ11のモータ軸に減速機や延長用の伝動軸をジョイントを介し連結することが可能であり、これらの場合は、減速機に設けられた減速軸や伝動軸が出力軸となる。
減速機を設ければ、出力軸の回転(ハンドル36の回転)でモータ軸を増速又は減速させて回転させることができる。
なお、前記ジョイントを使用する場合、このジョイントとして自在継ぎ手を採用すれば、電動モータ11の設置角度に拘束されることなく出力軸の傾きを決められるので、出力軸の上端部35(即ち、ハンドル36が取り付けられる位置)を所望角度に設定できる利点がある。
【0018】
上述したように駆動機構9が両マッサージ機構5,7の左右方向の略中間に設けられていることに伴い、出力軸は、挿入凹部4の左右相互間で軸心を上下方向へ向けて設けられていることになる。また、この出力軸の上端部35に設けられるハンドル36も、挿入凹部4の左右相互間に配置されていることになる。
ハンドル36は、ケーシング10内の上部後方寄りとなる空間で、挿入凹部4の上端部と横並び(側面視で重なる位置)となるように配置され、収納されている。これに対し、ケーシング10の上面には、ハンドル36に対応する位置、即ち、左右の挿入凹部4における中間位置であって且つやや後方へ偏った位置に、当該ケーシング10の内外を貫通する開口部37が形成されている。
【0019】
この開口部37の開口大きさ及びこの開口部37に連通したケーシング10の内部スペースは、ハンドル36を手で掴むことができるように十分な広さを有するように形成されている。ここにおいて、開口部37からケーシング10の内部へ続く内部スペースは、ハンドル36を外部から見えない状態に収納するハンドル収納部38を形成するものである。
駆動停止機構31は、手動操作機構30を非使用時において格納状態に隠すためのカバー部材40と、このカバー部材40の開放動作を検出したときに駆動機構9の電動モータ11に対する通電を切断する電源制御回路41とを有している。
【0020】
カバー部材40は、前記したケーシング10の開口部37を開閉自在にする蓋として設けられたものであって、常態では開口部37を閉鎖状態に保持できるようになっている。
このカバー部材40の前端下部と開口部37における前縁部下部とが、軸心を左右方向に向けたヒンジ部42によって揺動自在に連結されている。これにより、カバー部材40は後端部を上下方向へ揺動させるようにして開口部37に対する開閉揺動を行うようになっている。
カバー部材40の後端部には指を引っ掛けるのに好適な指掛け部43が設けられていると共に、開口部37の後縁部内面に係合離脱自在となるフック44が形成されている。前記したように、カバー部材40を開けてケーシング10の開口部37から内部を臨む位置に、ハンドル36が配置されている。
【0021】
電源制御回路41は、例えば、電動モータ11の駆動回路を接続状態とする検出器45を設けておき、カバー部材40が開かれたときに検出器45が非接続状態に切り替わることで電動モータ11の駆動電源を切断する構成とすればよい。なお、電源制御回路41は、検出器45の検出信号で電動モータ11の駆動回路を切断したり、ブレーキ制御する構成としてもよい。
以上述べた下肢用マッサージ装置1の使用態様を述べる。
図2に示す如く、まず、使用者は、左右一対の挿入凹部4,4にそれぞれの下肢L,Lを差し入れる。その後、下肢用マッサージ装置1を作動状態とする。すると、レッグマッサージ機構5のふくらはぎ用マッサージ部材6がふくらはぎCを挟み込みつつ押圧し、ふくらはぎCに揉み施術を行う。同時に、フットマッサージ機構7の足用マッサージ部材8が足Fを挟み込みつつ押圧し、足Fに対する揉み施術を行う。
【0022】
供給電源が非常停止(停電、ブレーカー作動、コンセントプラグの不合理な引き抜き、或いはヒューズ切断等)することによって、万が一、レッグマッサージ機構5やフットマッサージ機構7が、人体の下肢L,Lを指圧した状態のまま、停止したとする。そして、これにより下肢L,Lを左右の挿入凹部4,4から出し難い状態に陥ったとする。
このような場合、使用者は、何ら慌てることなく、ケーシング10の上面に設けられたカバー部材40を開き、開口部37内に格納されているハンドル36を掴んで回転操作すればよい。ハンドル36の回転操作により、出力軸(上端部35参照)がゆっくりと回転する。出力軸は、前記したように駆動機構9の電動モータ11と連動するものであるから、この出力軸が回転することでレッグマッサージ機構5やフットマッサージ機構7の回転軸20へと回転が伝えられる。
【0023】
その結果、レッグマッサージ機構5のふくらはぎ用マッサージ部材6がふくらはぎCを開放し、また、フットマッサージ機構7の足用マッサージ部材8が足Fを開放するようになる。ふくらはぎCや足Fが十分に開放されたところで、各挿入凹部4,4から下肢L,Lを抜き出せばよい。
なお、下肢用マッサージ装置1を作動中にあって、供給電源が非常停止していないにも拘わらず、興味本位、いたずら、或いは誤操作によってカバー部材40が開かれたときには、駆動停止機構31の電源制御回路41が作動し、電動モータ11への通電を切断する。そのため、電動モータ11が停止することになり、一緒にハンドル36も回転を停止することになり、ハンドル36が衣服などを巻き込むようなことはない。
[第2実施形態]
図5乃至図7は、本発明に係る下肢用マッサージ装置1の第2実施形態を示している。本第2実施形態の下肢用マッサージ装置1が前記した第1実施形態と最も異なるところは、手動操作機構30にポジション切替機構50が設けられている点にある。
【0024】
詳しくは、挿入凹部4の上端部と横並びされる位置に、手動操作機構30のハンドル36を外部から見えない状態に収納するハンドル収納部38が設けられている。つまり、ケーシング10の上面に対し、ハンドル36に対応する位置、即ち、左右の挿入凹部4における中間位置であって且つやや後方へ偏った位置に、当該ケーシング10の内外を貫通する開口部37が形成されている。
この開口部37の開口大きさ及びこの開口部37に連通したケーシング10の内部スペースは、ハンドル36を出し入れできることを目安に、十分な広さを有するように形成されている。ここにおいて、開口部37からケーシング10の内部へ続く内部スペースがハンドル収納部38として形成されているものである。
【0025】
ポジション切替機構50は、ハンドル36をハンドル収納部38の上方(ケーシング10の外部)へ突出させる使用ポジションと、ハンドル36をハンドル収納部38内(ケーシング10内)に収納する非使用ポジションとに切り替える。ハンドル36を使用ポジションにしたときには、ハンドル36の回転操作と駆動機構9が具備する電動モータ11の出力軸とは連動状態が保持されるようになっている。
ポジション切替機構50には、種々の機構を採用することができる。一例を挙げると、ポジション切替機構50は、ノック機構53とクラッチ機構54とを組み合わせた構成とすることができる。
【0026】
ノック機構53は、ハンドル36と駆動機構9が具備する電動モータ11の出力軸55との間(ハンドル36の下部)に、短円筒形の回動部材57を有しており、この回動部材57をバネ58でハンドル36へ向けて押し上げ付勢するようになっている。
そして、ハンドル36を1回押すごとに、回動部材57を出力軸55まわりで小回動させると共に、この回動部材57が1ピッチ回動するごとに当該回動部材57に上昇停止と下降停止とを交互に行わせるようになっている。
なお、回動部材57を下降させるときにはバネ58のバネ力に抗する状態になるが、回動部材57を上昇させるとき、及び上昇後のポジションを保持させるときに、このバネ58のバネ力が利用される。
【0027】
クラッチ機構54は、ノック機構53によって回動部材57が上昇位置と下降位置とに交互に切り替わるのに連動させて、ハンドル36と前記出力軸55とを一体回転可能にさせるか、或いは、ハンドル36を空転状態にさせるかを切り替えるようになっている。
このクラッチ機構54は、出力軸55の上端部35に対し、その径方向へ突出する係合ピン60と、回動部材57の内周面に設けられた係合片61とを有している。
図6に示すように、回動部材57が上昇位置にあるとき(ハンドル36が突出状態にあるとき)には係合ピン60と係合片61とが周方向において係合し、図5に示すように、回動部材57が下降位置にあるとき(ハンドル36が格納状態にあるとき)には係合ピン60と係合片61とが軸方向に離反して非係合となる構成である。
【0028】
出力軸55の係合ピン60は、出力軸55の軸心に直交してこれを貫通するように両側へ突出しており、従って出力軸55の周方向において180°配置で2本設けられていることになる。また回動部材57の係合片61は、回動部材57の内周面に沿った周方向で180°の2箇所に設けられている。
駆動停止機構31は、使用ポジション状態にあるハンドル36を検出した上で、電動モータ11に対する通電を切断する電源制御回路70を有している。電源制御回路70は、例えば、近接スイッチや透過型又は反射型の光学センサ等の検出器71を有した構成とすることができ、ハンドル36を検出した信号で電動モータ11の駆動回路を切断するようにすればよい。
【0029】
以上述べた第2実施形態の下肢用マッサージ装置1において、レッグマッサージ機構5やフットマッサージ機構7によるマッサージ動作中(揉み施術中)に供給電源が非常停止し、万が一、レッグマッサージ機構5やフットマッサージ機構7が、人体の下肢L,Lを指圧した状態のまま、停止したとする。そして、これにより下肢L,Lを左右の挿入凹部4,4から出し難い状態に陥ったとする。
このような場合、使用者は、何ら慌てることなく、ケーシング10上面の開口部37内(ハンドル収納部38)に格納されているハンドル36を1回、軽く押し込むようにする。これにより、図6に示すようにハンドル36はケーシング10(ハンドル収納部38)から外部へ突出するようになるので、使用者はハンドル36を掴んで回転操作すればよい。
【0030】
ハンドル36の回転操作により、出力軸55がゆっくりと回転する。出力軸55は、前記したように駆動機構9の電動モータ11と連動するものであるから、この出力軸55が回転することでレッグマッサージ機構5やフットマッサージ機構7の回転軸20へと回転が伝えられる。その結果、レッグマッサージ機構5のふくらはぎ用マッサージ部材6がふくらはぎCを開放し、また、フットマッサージ機構7の足用マッサージ部材8が足Fを開放するようになる。ふくらはぎCや足Fが十分に開放されたところで、各挿入凹部4,4から下肢L,Lを抜き出せばよい。
【0031】
なお、下肢用マッサージ装置1を作動中にあって、供給電源が非常停止していないにも拘わらず、興味本位、いたずら、或いは誤操作によってケーシング10上面の開口部37内(ハンドル収納部38)に格納されているハンドル36が押し込み操作され、外部へ突出したときには、駆動停止機構31の電源制御回路70が作動し、電動モータ11への通電を切断する。そのため、電動モータ11が停止することになり、一緒にハンドル36も回転を停止することになり、ハンドル36が衣服などを巻き込むようなことはない。
なお、下肢用マッサージ装置1としての基本的な装置構成等(レッグマッサージ機構5やフットマッサージ機構7、駆動機構9、ケーシング10等)は第1実施形態と略同様であるためここでの詳説は省略する。
【0032】
以上開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、本発明に係る下肢用マッサージ装置1は、椅子型マッサージ装置のフットレストとして一体又は着脱自在な状態で連結することも可能である。
また、本発明に係る下肢用マッサージ装置1は、装置1から後方へ伸びるスタンドを備えていてもよい。このスタンドを用いて装置1自体を斜めに載置することで、装置1の前面が斜め上方を向いて挿入凹部4,4に下肢L,Lがより挿入しやすい姿勢となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】第1実施形態にかかる下肢用マッサージ装置の斜視図である。
【図2】第1実施形態にかかる下肢用マッサージ装置の正面図である。
【図3】第1実施形態にかかる下肢用マッサージ装置の側断面図である。
【図4】第1実施形態にかかるハンドルの操作説明図である。
【図5】第2実施形態にかかる下肢用マッサージ装置の側断面図である。
【図6】第2実施形態にかかるハンドルの操作説明図である。
【図7】ノック機構の一例を示した側断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 下肢用マッサージ装置
4 挿入凹部
5 レッグマッサージ機構(第1マッサージ機構)
7 フットマッサージ機構(第2マッサージ機構)
9 駆動機構
10 ケーシング
11 電動モータ
30 手動操作機構
31 駆動停止機構
36 ハンドル
38 ハンドル収納部
40 カバー部材
41 電源制御回路(第1実施形態)
50 ポジション切替機構
70 電源制御回路(第2実施形態)
L 下肢
C ふくらはぎ
F 足

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対に設けられ且つ使用者の下肢を挿入可能となっている挿入凹部と、この挿入凹部の内部に設けられて挿入された下肢をマッサージするマッサージ機構と、このマッサージ機構を電動モータの出力で駆動する駆動機構とを備えている下肢用マッサージ装置において、
前記駆動機構には、前記電動モータの停止中にマッサージ機構を手動で動作させる手動操作機構が設けられていることを特徴とする下肢用マッサージ装置。
【請求項2】
前記手動操作機構は、駆動機構が具備する電動モータの出力軸に対して回転操作力を付与するハンドルを有していることを特徴とする請求項1記載の下肢用マッサージ装置。
【請求項3】
前記ハンドルが、挿入凹部の左右相互間で回転軸心を上下方向へ向けて設けられていると共に、側面視で前記挿入凹部の上端部と重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項2記載の下肢用マッサージ装置。
【請求項4】
側面視で前記挿入凹部の上端部と重なる位置に、前記ハンドルを収納可能なハンドル収納部が設けられ、
前記手動操作機構には、前記ハンドルを使用ポジションと収納ポジションとに切り換えるポジション切替機構が設けられていて、
前記使用ポジションでは、前記ハンドルがハンドル収納部から上方に突出し且つハンドルの回転操作力が電動モータの出力軸に伝達可能となっており、前記非使用ポジションでは、前記ハンドルがハンドル収納部内に収納され且つハンドルの回転操作力が電動モータの出力軸に伝達不能となっていることを特徴とする請求項2又は3記載の下肢用マッサージ装置。
【請求項5】
前記駆動機構には、電動モータの回転中に手動操作機構の操作が行われた際に前記電動モータを停止させる駆動停止機構が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の下肢用マッサージ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−297349(P2009−297349A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−156747(P2008−156747)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(592009214)大東電機工業株式会社 (106)
【Fターム(参考)】