説明

不可逆性温度管理インジケータ

【課題】検知すべき温度未満の比較的高温での一過的又は長期間連続的な加熱に曝されても不意に色調変化せず、検知すべき温度に達したときのみ不可逆的に色調が明瞭に変化して、目視でその温度の履歴を確認できるもので、簡便に製造できる簡易な不可逆性温度管理インジケータを提供する。
【解決手段】不可逆性温度管理インジケータ1は、検知すべき温度で熱溶融する粉末状、粒状又はワックス状であってアミド基を複数有するアミド化合物からなる熱溶融性物質11が、それの熱溶融状態で不可逆的に浸透して拡散することによって色調を変化させる熱溶融性物質吸収性基板7上で観察面側若しくは非観察面側に付されたインキ層8に含有され、又はその基板7内に含有されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の温度に到達したかを不可逆的な色調変化で表示する不可逆性温度管理インジケータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
機械、電子機器、定温保存品は、過熱されると故障したり劣化したりしてしまうので、故障・劣化を防止するために、過熱温度を監視する必要がある。電力設備は、送電線事故の前兆として送電線接合部等の抵抗不良による異常発熱現象を引き起こし、また電車等の鉄道設備は、車軸切断事故の前兆として回転体に使用されているベアリング故障やグリース劣化等を原因とする回転軸の異常発熱現象を引き起こすので、それら事故の未然防止のために、発熱温度を監視する必要がある。さらに、射出成型品や光学レンズは、アニール処理が施される際、所期加熱温度下で行われているかの確認のために、加熱温度を測定する必要がある。そこでこれらの温度を管理するのに、検知すべき加熱温度に達したときに不可逆的に色調が変化して目視でその加熱を確認できる温度管理インジケータが、汎用されている。
【0003】
このような温度管理インジケータとして、特許文献1に、所期温度で融解して透明になる粉状のワックスのような熱融解物質と粉末状の着色物質との示温剤が基材上に塗布された示温シールが、開示されている。また、特許文献2に、基材の彩色面側に設定温度で融解するワックスを重畳し、このワックスの表面側にワックスが融解して浸透すると不透明から透明に変化するマスキング材の層が形成された温度表示ラベルが、開示されている。これらは、所期温度以上でワックスのような熱融解物質が融解して透明となる結果、隠蔽されていた着色物質や彩色面が現れ、変色するものである。
【0004】
これらの示温シールや温度表示ラベルのような温度管理インジケータに用いられるパラフィンろうのような市販のワックスは、融点によって分類されており検知すべき温度に応じて自在に選定できる反面、融点を高々120℃とするものである所為で、ワックスを用いたインジケータでは、120℃以上の加熱を検知できない。しかも、ワックスのような熱融解物質は、本来、半透明性であり、微粉砕加工によって光を乱反射させて顔料等の着色物質や基材の彩色面を隠蔽していても、真白よりも幾分着色されているため、そのようなインジケータは、変色前後の色差が小さい所為で、温度管理作業者が誤認する恐れがある。
【0005】
また、温度管理インジケータとして、長鎖脂肪酸類のような単一有機成分である熱溶融性物質とバインダとを含むインキ層が吸収性基板上に付されており、その熱溶融性物質の融点以上の加熱によって溶融してその基板に吸収されて色調変化するものも、知られている。一般に有機成分は、熱安定が悪く、融点が130℃以上であってもそれ以下の比較的高温条件下で長期間曝されると一部分解されて不意に溶融、又は着色してしまったり、バインダとの相溶性が悪くて不均質に分散してしまったりする。その所為で、有機成分を用いたインジケータは、本来検知すべき温度に到達していないにも関わらず、不意に溶融したり着色したりしているのを、加熱下に曝されたと温度管理作業者が誤認する恐れがある。
【0006】
147〜150℃の融点まで加熱されても比較的熱安定性に優れているコレステリン粉末のような熱溶融性物質を含有するインキ層が吸収性基板上に付されたインジケータでさえ、120℃〜130℃で長期間曝されると変色してしまうばかりか、コレステリン粉末自体の透明性に起因してインジケータの熱溶融前後の色差が小さい所為で、温度管理作業者が誤認する恐れがある。しかもこのインジケータは、コレステリン粉末の低滑性の所為でインキ層を形成するためのインキを塗布し難く、生産性が低くて工業的大量生産に向かない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−36525号公報
【特許文献2】特開2001−83020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、検知すべき温度未満の比較的高温での一過的又は長期間連続的な加熱に曝されても不意に色調変化せず、検知すべき温度に達したときのみ不可逆的に色調が明瞭に変化して、目視でその温度の履歴を確認できるもので、簡便に製造できる簡易な不可逆性温度管理インジケータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するためになされた特許請求の範囲の請求項1に記載の不可逆性温度管理インジケータは、検知すべき温度で熱溶融する粉末状、粒状又はワックス状であって複数のアミド基を有するアミド化合物からなる熱溶融性物質が、それの熱溶融状態で不可逆的に浸透して拡散することによって色調を変化させる熱溶融性物質吸収性基板上で観察面側若しくは非観察面側に付されたインキ層に含有され、又はその基板内に含有されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2の不可逆性温度管理インジケータは、請求項1に記載されたもので、該アミド化合物が、ビスアミド化合物であることを特徴とする。
【0011】
請求項3の不可逆性温度管理インジケータは、請求項2に記載されたもので、該ビスアミド化合物が、飽和脂肪酸ビスアミド、不飽和脂肪酸ビスアミド、芳香環含有脂肪酸ビスアミド、及びヒドロキシ脂肪酸ビスアミドから選ばれる脂肪酸ビスアミドであることを特徴とする。
【0012】
請求項4の不可逆性温度管理インジケータは、請求項1に記載されたもので、該アミド化合物が、異なる該複数のアミド基を有することを特徴とする。
【0013】
請求項5の不可逆性温度管理インジケータは、請求項1に記載されたもので、熱溶融状態の該熱溶融性物質に溶解し及び/又は分散して前記変化させる色素が、該熱溶融性物質吸収性基板又は該インキ層に、含有されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の不可逆性温度管理インジケータは、複数のアミド基を有するアミド化合物を熱溶融性物質に用いることにより、検知すべき温度を、約30℃の低温から約280℃の比較的高温までの所望の温度にすることができる。しかも、この不可逆性温度管理インジケータは、検知すべき温度未満、特にそれより10℃程度低い比較的高温での一過的又は長期間連続的な加熱に曝されても、溶融や色調変化がなく、耐熱性が優れたものである。さらにこの不可逆性温度管理インジケータは、本来検知すべき温度に到達したという温度履歴を経たときにのみ、目視可能に色調が不可逆的に変化するので、検知すべき温度の履歴を温度管理作業者が誤認する恐れがない。
【0015】
この不可逆性温度管理インジケータを作製する際、インジケータのインキ層を形成するのに用いられる高滑性の熱溶融性物質とりわけビスアミド化合物とバインダとを含有するインキを用いると、その低粘性に起因してインキを調製し易くまた塗布し易いため、このインジケータは、簡便に効率良く製造でき、生産性が高いものである。
【0016】
この不可逆性温度管理インジケータは、検知すべき温度における色調の変化の前後での色差が大きいから、検知すべき温度に達したことを温度管理作業者が誤認する恐れがない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明を適用する不可逆性温度管理インジケータの平面図、及び模式断面図である。
【図2】本発明を適用する別な不可逆性温度管理インジケータの模式断面図である。
【図3】本発明を適用する別な不可逆性温度管理インジケータの模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の不可逆性温度管理インジケータの実施するための形態について詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。
【0019】
本発明の不可逆性温度管理インジケータの好ましい一例について、図1を参照して説明する。
【0020】
不可逆性温度管理インジケータ1は、四角いラベル状であって、紙製の熱溶融性物質吸収性基板7とその上面に印刷によって形成されているインキ層8とからなる不可逆性示温材9が、基板7側で、支持体4上面の粘着剤層6を介して、貼付されている。熱溶融性物質吸収性基板7は、紙が非拡散性の着色剤で着色されたものであり、熱溶融した液状の熱溶融性物質を吸収できる多孔質を有する。インキ層8に、光散乱性の高い粉末状、粒状又はワックス状の固体状であって基板7を隠蔽している熱溶融性物質11であるビスアミド化合物が、含有されている。不可逆性示温材9は、インキ層8側が観察面となっている。支持体4の上面側は、不可逆性示温材9ごと、保護フィルム10で被覆されている。支持体の下4面側に、剥離紙2で覆われている粘着剤層3が、付されている。
【0021】
支持体4の上面側に、プラスチック薄層(不図示)が付されていてもよく、検知温度等の情報を示す印字層5が付されていてもよい。
【0022】
この不可逆性温度管理インジケータ1は、以下のようにして作製される。先ず、熱溶融性物質であるビスアミド化合物と、バインダと、溶剤とを混練して、インキを調製する。このインキを熱溶融性物質吸収性基板7に印刷して、インキ層8を形成させてから、所望の大きさに切断すると、不可逆性示温材9が得られる。下面に粘着剤層3を介して剥離紙2が付されている支持体4の上面に、粘着剤層6を付す。その粘着剤層6を介して、不可逆性示温材9の熱溶融性物質吸収性基板7を、支持体4へ貼付する。支持体4の上面側を、不可逆性示温材9ごと、保護フィルム10で被覆して、不可逆性示温材9の未貼付部位の粘着剤層6によって、貼り合わせると、不可逆性温度管理インジケータ1が得られる。
【0023】
この不可逆性温度管理インジケータ1は、機械、設備、定温保存品等の被検温体について温度管理したり温度測定したりする際、以下のようにして使用される。先ず、離型紙2を剥がし、現れた粘着剤層3を介して、インジケータ1を被検温体(不図示)に貼付する。このとき、インジケータ1の不可逆性示温材9のインキ層8に含まれる固体状の熱溶融性物質11であるビスアミド化合物がその光乱反射により、熱溶融性物質吸収性基板7の色調を隠蔽しているので、不可逆性示温材9が白く現れている。被検温体、又はその周辺の温度が上昇すると、インジケータ1に熱が伝わる。熱溶融性物質11の融点以上の温度にまで加熱されると、熱溶融性物質であるビスアミド化合物は、熱溶融して固体状から透明な液体状になり、熱溶融性物質吸収性基板7へ吸収されて、光乱反射しなくなる。その結果、不可逆性示温材9は、熱溶融性物質吸収性基板7の色調が目視できるようになる。これにより、温度管理作業者は、被検温体が検知温度に到達したことを、目視で確認することできる。検知温度に到達したインジケータは、長期間経過しても、不可逆的に変化した色調のまま、退色しないので、温度管理の履歴の証拠として保存することができる。これら不可逆性温度管理インジケータは、定期的な温度管理を必要とする設備等の保守管理や温度測定時の記録として広く用いられる。
【0024】
別な不可逆性温度管理インジケータ1は、図2に示すように、非拡散性の着色剤で着色された紙製の不透明な熱溶融性物質吸収性基板7とその下面に印刷によって形成されている前記のような熱溶融性物質11含有のインキ層8とからなる不可逆性示温材9が、インキ層8側で、支持体4上面の粘着剤層6を介して、貼付されたものであってもよい。不可逆性示温材9は、熱溶融性物質吸収性基板7側が観察面となっており、それの着色剤の色調が現れているものである。この不可逆性温度管理インジケータ1は、温度の上昇によって、インキ層8中の熱溶融性物質11が熱溶融して透明な液体状になって熱溶融性物質吸収性基板7の多孔質へ吸収される結果、基板7の光透過性が向上し、基板7が半透明に透けたり滲んだりしたことが目視できるようになって、インジケータの色調の変化として現れる。これにより、温度管理作業者は、被検温体が検知温度に到達したことを、目視で確認することできる。
【0025】
なお、熱溶融状態の熱溶融性物質に溶解して分散する拡散性色素が、熱溶融性物質吸収性基板7、又はインキ層8に、含有されていてもよい(不図示)。
【0026】
さらに別な不可逆性温度管理インジケータ1は、図3に示すように、支持体4上に、顔料や染料のような拡散性色素12と前記のような熱溶融性物質11とを含有する熱溶融性物質吸収性基板7が、付されたものであってもよい。この不可逆性温度管理インジケータ1は、温度の上昇によって、熱溶融性物質吸収性基板7中の熱溶融性物質11が熱溶融して液体状になり、熱溶融した熱溶融性物質11に拡散性色素12が溶解し、それらが混合したまま、熱溶融性物質吸収性基板7へ、拡散する結果、色素12の呈する色調に変化する。これにより、温度管理作業者は、被検温体が検知温度に到達したことを、目視で確認することできる。
【0027】
図1〜図3に示すインジケータに用いられる熱溶融性物質11として、ビスアミド化合物の例を示したが、複数のアミド基を有するアミド化合物、例えば融点を約30℃〜280℃とするものであれば、特に限定されない。このような熱溶融性物質11を用いたインジケータ1が熱安定性に優れている理由は、必ずしも明らかではないが、ビスアミド化合物のようなアミド化合物が分子内に有する極性の強いアミド基同士の水素結合により、ビスアミド化合物同士が会合しており、融点よりもやや低い温度まで加熱されても会合したまま解離しないからであると推察される。
【0028】
また、図1〜図2に示すインジケータのインキ層8を形成するのに、アミド化合物である熱溶融性物質11を含有するインキを用いると塗布し易かったり、図3に示すインジケータの熱溶融性物質吸収性基板7にこのような熱溶融性物質11を含有させ易かったりする理由は、必ずしも明らかでないが、ビス脂肪酸アミド化合物を始めとする複数のアミド基を有するアミド化合物が、分子内に親水性のアミド基と、疎水性の脂肪酸鎖のようなアルキル基とを有するから、優れた界面活性作用に基づく高い滑性を奏し、熱溶融性物質吸収性基板7の多孔質への滑り性が高いからであると、推察される。
【0029】
ビスアミド化合物は、例えば、N,N’−メチレンビス酢酸アミド、N,N’−メチレンビスプロピオン酸アミド、N,N’−メチレンビス酪酸アミド、N,N’−メチレンビス吉草酸アミド、N,N’−メチレンビスカプロン酸アミド、N,N’−メチレンビスエナント酸アミド、N,N’−メチレンビスカプリル酸アミド、N,N’−メチレンビスペラルゴン酸アミド、N,N’−メチレンビスカプリン酸アミド、N,N’−メチレンビスウンデシル酸アミド、N,N’−メチレンビスラウリン酸アミド、N,N’−メチレンビストリデシル酸アミド、N,N’−メチレンビスミリスチン酸アミド、N,N’−メチレンビスペンタデシル酸アミド、N,N’−メチレンビスパルミチン酸アミド、N,N’−メチレンビスヘプタデシル酸アミド、N,N’−メチレンビスステアリン酸アミド、N,N’−メチレンビスノナデカン酸アミド、N,N’−メチレンビスアラキン酸アミド、N,N’−メチレンビスベヘン酸アミド、N,N’−メチレンビスリグノセリン酸アミド、N,N’−メチレンビスセロチン酸アミド、N,N’−メチレンビスヘプタコン酸アミド、N,N’−メチレンビスモンタン酸アミド、N,N’−メチレンビスメリシン酸アミド、N,N’−メチレンビスラクセル酸アミド、N,N’−メチレンビスリノール酸アミド、N,N’−メチレンビスエルカ酸アミド、N,N’−エチレンビス酢酸アミド、N,N’−エチレンビスプロピオン酸アミド、N,N’−エチレンビス酪酸アミド、N,N’−エチレンビス吉草酸アミド、N,N’−エチレンビスカプロン酸アミド、N,N’−エチレンビスエナント酸アミド、N,N’−エチレンビスカプリル酸アミド、N,N’−エチレンビスペラルゴン酸アミド、N,N’−エチレンビスカプリン酸アミド、N,N’−エチレンビスウンデシル酸アミド、N,N’−エチレンビスラウリン酸アミド、N,N’−エチレンビストリデシル酸アミド、N,N’−エチレンビスミリスチン酸アミド、N,N’−エチレンビスペンタデシル酸アミド、N,N’−エチレンビスパルミチン酸アミド、N,N’−エチレンビスヘプタデシル酸アミド、N,N’−エチレンビスステアリン酸アミド、N,N’−エチレンビスノナデカン酸アミド、N,N’−エチレンビスアラキン酸アミド、N,N’−エチレンビスベヘン酸アミド、N,N’−エチレンビスリグノセリン酸アミド、N,N’−エチレンビスセロチン酸アミド、N,N’−エチレンビスヘプタコン酸アミド、N,N’−エチレンビスモンタン酸アミド、N,N’−エチレンビスメリシン酸アミド、N,N’−エチレンビスラクセル酸アミド、N,N’−エチレンビスリノール酸アミド、N,N’−エチレンビスエルカ酸アミド、N,N’−トリメチレンビス酢酸アミド、N,N’−トリメチレンビスプロピオン酸アミド、N,N’−トリメチレンビス酪酸アミド、N,N’−トリメチレンビス吉草酸アミド、N,N’−トリメチレンビスカプロン酸アミド、N,N’−トリメチレンビスエナント酸アミド、N,N’−トリメチレンビスカプリル酸アミド、N,N’−トリメチレンビスペラルゴン酸アミド、N,N’−トリメチレンビスカプリン酸アミド、N,N’−トリメチレンビスウンデシル酸アミド、N,N’−トリメチレンビスラウリン酸アミド、N,N’−トリメチレンビストリデシル酸アミド、N,N’−トリメチレンビスミリスチン酸アミド、N,N’−トリメチレンビスペンタデシル酸アミド、N,N’−トリメチレンビスパルミチン酸アミド、N,N’−トリメチレンビスヘプタデシル酸アミド、N,N’−トリメチレンビスステアリン酸アミド、N,N’−トリメチレンビスノナデカン酸アミド、N,N’−トリメチレンビスアラキン酸アミド、N,N’−トリメチレンビスベヘン酸アミド、N,N’−トリメチレンビスリグノセリン酸アミド、N,N’−トリメチレンビスセロチン酸アミド、N,N’−トリメチレンビスヘプタコン酸アミド、N,N’−トリメチレンビスモンタン酸アミド、N,N’−トリメチレンビスメリシン酸アミド、N,N’−トリメチレンビスラクセル酸アミド、N,N’−トリメチレンビスリノール酸アミド、N,N’−トリメチレンビスエルカ酸アミド、N,N’−テトラメチレンビス酢酸アミド、N,N’−テトラメチレンビスプロピオン酸アミド、N,N’−テトラメチレンビス酪酸アミド、N,N’−テトラメチレンビス吉草酸アミド、N,N’−テトラメチレンビスカプロン酸アミド、N,N’−テトラメチレンビスエナント酸アミド、N,N’−テトラメチレンビスカプリル酸アミド、N,N’−テトラメチレンビスペラルゴン酸アミド、N,N’−テトラメチレンビスカプリン酸アミド、N,N’−テトラメチレンビスウンデシル酸アミド、N,N’−テトラメチレンビスラウリン酸アミド、N,N’−テトラメチレンビストリデシル酸アミド、N,N’−テトラメチレンビスミリスチン酸アミド、N,N’−テトラメチレンビスペンタデシル酸アミド、N,N’−テトラメチレンビスパルミチン酸アミド、N,N’−テトラメチレンビスヘプタデシル酸アミド、N,N’−テトラメチレンビスステアリン酸アミド、N,N’−テトラメチレンビスノナデカン酸アミド、N,N’−テトラメチレンビスアラキン酸アミド、N,N’−テトラメチレンビスベヘン酸アミド、N,N’−テトラメチレンビスリグノセリン酸アミド、N,N’−テトラメチレンビスセロチン酸アミド、N,N’−テトラメチレンビスヘプタコン酸アミド、N,N’−テトラメチレンビスモンタン酸アミド、N,N’−テトラメチレンビスメリシン酸アミド、N,N’−テトラメチレンビスラクセル酸アミド、N,N’−テトラメチレンビスリノール酸アミド、N,N’−テトラメチレンビスエルカ酸アミド、N,N’−ペンタメチレンビス酢酸アミド、N,N’−ペンタメチレンビスプロピオン酸アミド、N,N’−ペンタメチレンビス酪酸アミド、N,N’−ペンタメチレンビス吉草酸アミド、N,N’−ペンタメチレンビスカプロン酸アミド、N,N’−ペンタメチレンビスエナント酸アミド、N,N’−ペンタメチレンビスカプリル酸アミド、N,N’−ペンタメチレンビスペラルゴン酸アミド、N,N’−ペンタメチレンビスカプリン酸アミド、N,N’−ペンタメチレンビスウンデシル酸アミド、N,N’−ペンタメチレンビスラウリン酸アミド、N,N’−ペンタメチレンビストリデシル酸アミド、N,N’−ペンタメチレンビスミリスチン酸アミド、N,N’−ペンタメチレンビスペンタデシル酸アミド、N,N’−ペンタメチレンビスパルミチン酸アミド、N,N’−ペンタメチレンビスヘプタデシル酸アミド、N,N’−ペンタメチレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ペンタメチレンビスノナデカン酸アミド、N,N’−ペンタメチレンビスアラキン酸アミド、N,N’−ペンタメチレンビスベヘン酸アミド、N,N’−ペンタメチレンビスリグノセリン酸アミド、N,N’−ペンタメチレンビスセロチン酸アミド、N,N’−ペンタメチレンビスヘプタコン酸アミド、N,N’−ペンタメチレンビスモンタン酸アミド、N,N’−ペンタメチレンビスメリシン酸アミド、N,N’−ペンタメチレンビスラクセル酸アミド、N,N’−ペンタメチレンビスリノール酸アミド、N,N’−ペンタメチレンビスエルカ酸アミド、N,N’−ヘキサメチレンビス酢酸アミド、N,N’−ヘキサメチレンビスプロピオン酸アミド、N,N’−ヘキサメチレンビス酪酸アミド、N,N’−ヘキサメチレンビス吉草酸アミド、N,N’−ヘキサメチレンビスカプロン酸アミド、N,N’−ヘキサメチレンビスエナント酸アミド、N,N’−ヘキサメチレンビスカプリル酸アミド、N,N’−ヘキサメチレンビスペラルゴン酸アミド、N,N’−ヘキサメチレンビスカプリン酸アミド、N,N’−ヘキサメチレンビスウンデシル酸アミド、N,N’−ヘキサメチレンビスラウリン酸アミド、N,N’−ヘキサメチレンビストリデシル酸アミド、N,N’−ヘキサメチレンビスミリスチン酸アミド、N,N’−ヘキサメチレンビスペンタデシル酸アミド、N,N’−ヘキサメチレンビスパルミチン酸アミド、N,N’−ヘキサメチレンビスヘプタデシル酸アミド、N,N’−ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ヘキサメチレンビスノナデカン酸アミド、N,N’−ヘキサメチレンビスアラキン酸アミド、N,N’−ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、N,N’−ヘキサメチレンビスリグノセリン酸アミド、N,N’−ヘキサメチレンビスセロチン酸アミド、N,N’−ヘキサメチレンビスヘプタコン酸アミド、N,N’−ヘキサメチレンビスモンタン酸アミド、N,N’−ヘキサメチレンビスメリシン酸アミド、N,N’−ヘキサメチレンビスラクセル酸アミド、N,N’−ヘキサメチレンビスリノール酸アミド、N,N’−ヘキサメチレンビスエルカ酸アミド、N,N’−メチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’−エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’−トリメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’−テトラメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’−ペンタンメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’−ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド等のようなビスアミド化合物とその誘導体:(R-CO-NH)-(C)-(NH-CO-R)(R、Rは飽和又は不飽和の炭化水素基及び/又は芳香族基とする基、p,q,rは正数);
オキサミド、マロンアミド、スクシンアミド、グルタル酸ジアミド、アジピン酸ジアミド、ピメリン酸ジアミド、スベリン酸ジアミド、アゼライン酸ジアミド、セバシン酸ジアミド、マレイン酸アミド、フマル酸アミド、フタル酸アミド、イソフタル酸アミド、テレフタル酸アミド、N,N’−ジメチルオキサミド、N,N’−ジエチルオキサミド、N,N’−ジブチルオキサミド、シュウ酸ジアニリド、N,N’−ジメチルマロンアミド、N,N’−ジエチルマロンアミド、N,N’−ジブチルマロンアミド、マロン酸ジアニリド、N,N’−ジメチルスクシンアミド、N,N’−ジエチルスクシンアミド、N,N’−ジブチルスクシンアミド、コハク酸ジアニリド、N,N’−ジメチルグルタル酸ジアミド、N,N’−ジエチルグルタル酸ジアミド、N,N’−ジブチルグルタル酸ジアミド、グルタル酸ジアニリド、N,N’−ジメチルアジピン酸ジアミド、N,N’−ジエチルアジピン酸ジアミド、N,N’−ジブチルアジピン酸ジアミド、アジピン酸ジアニリド、N,N’−ジメチルピメリン酸ジアミド、N,N’−ジエチルピメリン酸ジアミド、N,N’−ジブチルピメリン酸ジアミド、ピメリン酸ジアニリド、N,N’−ジメチルスベリン酸ジアミド、N,N’−ジエチルスベリン酸ジアミド、N,N’−ジブチルスベリン酸ジアミド、スベリン酸ジアニリド、N,N’−ジメチルアゼライン酸ジアミド、N,N’−ジエチルアゼライン酸ジアミド、N,N’−ジブチルアゼライン酸ジアミド、アゼライン酸ジアニリド、N,N’−ジメチルセバシン酸ジアミド、N,N’−ジエチルセバシン酸ジアミド、N,N’−ジブチルセバシン酸ジアミド、セバシン酸ジアニリド、N,N’−ジメチルマレイン酸アミド、N,N’−ジエチルマレイン酸アミド、N,N’−ジブチルマレイン酸アミド、マレイン酸ジアニリド、N,N’−ジメチルフマル酸アミド、N,N’−ジエチルフマル酸アミド、N,N’−ジブチルフマル酸アミド、フマル酸ジアニリド、N,N’−ジメチルフタル酸アミド、N,N’−ジエチルフタル酸アミド、N,N’−ジブチルフタル酸アミド、フタル酸ジアニリド、N,N’−ジメチルイソフタル酸アミド、N,N’−ジエチルイソフタル酸アミド、N,N’−ジブチルイソフタル酸アミド、イソフタル酸ジアニリド、N,N’−ジメチルテレフタル酸アミド、N,N’−ジエチルテレフタル酸アミド、N,N’−ジブチルテレフタル酸アミド、テレフタル酸ジアニリド、N−メチル−N’−フェニルオキサミド、N−エチル−N’−フェニルオキサミド、N−ブチル−N’−フェニルオキサミド、N−メチル−N’−フェニルマロンアミド、N−エチル−N’−フェニルマロンアミド、N−ブチル−N’−フェニルマロンアミド、N−メチル−N’−フェニルスクシンアミド、N−エチル−N’−フェニルスクシンアミド、N−ブチル−N’−フェニルスクシンアミド、N−メチル−N’−フェニルグルタル酸ジアミド、N−エチル−N’−フェニルグルタル酸ジアミド、N−ブチル−N’−フェニルグルタル酸ジアミド、N−メチル−N’−フェニルアジピン酸ジアミド、N−エチル−N’−フェニルアジピン酸ジアミド、N−ブチル−N’−フェニルアジピン酸ジアミド、N−メチル−N’−フェニルピメリン酸ジアミド、N−エチル−N’−フェニルピメリン酸ジアミド、N−ブチル−N’−フェニルピメリン酸ジアミド、N−メチル−N’−フェニルスベリン酸ジアミド、N−エチル−N’−フェニルスベリン酸ジアミド、N−ブチル−N’−フェニルスベリン酸ジアミド、N−メチル−N’−フェニルアゼライン酸ジアミド、N−エチル−N’−フェニルアゼライン酸ジアミド、N−ブチル−N’−フェニルアゼライン酸ジアミド、N−メチル−N’−フェニルセバシン酸ジアミド、N−エチル−N’−フェニルセバシン酸ジアミド、N−ブチル−N’−フェニルセバシン酸ジアミド、N−メチル−N’−フェニルマレイン酸アミド、N−エチル−N’−フェニルマレイン酸アミド、N−ブチル−N’−フェニルマレイン酸アミド、N−メチル−N’−フェニルフマル酸アミド、N−エチル−N’−フェニルフマル酸アミド、N−ブチル−N’−フェニルフマル酸アミド、N−メチル−N’−フェニルフタル酸アミド、N−エチル−N’−フェニルフタル酸アミド、N−ブチル−N’−フェニルフタル酸アミド、N−メチル−N’−フェニルイソフタル酸アミド、N−エチル−N’−フェニルイソフタル酸アミド、N−ブチル−N’−フェニルイソフタル酸アミド、N−メチル−N’−フェニルテレフタル酸アミド、N−エチル−N’−フェニルテレフタル酸アミド、N−ブチル−N’−フェニルテレフタル酸アミド等のようなジカルボン酸アミド化合物とその誘導体:(R-NH-CO)-(C)-(CO-NH-R)(R、Rは飽和及び不飽和炭化水素を中心とする分子群、s、t、uは正数)等が挙げられる。
また、ビスアミド化合物は、工業用原材料として分散剤や滑剤等として使用されるアルフローH−50シリーズ(日油株式会社の商品名;アルフローは登録商標)、アルフローAD−281シリーズ(日油株式会社の商品名)、アルフローAD−221シリーズ(日油株式会社製の商品名)、ビスアマイドシリーズ(日本化成株式会社の商品名)、スリパックスシリーズ(日本化成株式会社の商品名;スリパックスは登録商標)、トリノーンシリーズ(日本化成株式会社の商品名;トリノーンは登録商標)でもよい。
【0030】
三つ以上のアミド基を有するアミド化合物は、例えば、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の共縮重合化合物や、ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸の共縮重合化合物等のポリアミド化合物等が挙げられる。
【0031】
複数のアミド基を有するアミド化合物、とりわけビスアミド化合物は、飽和脂肪酸ビスアミド、不飽和脂肪酸ビスアミド、芳香環含有脂肪酸ビスアミド、ヒドロキシ脂肪酸ビスアミドであることが好ましい。ビスアミド化合物は、例えば(C2v+1CONH)2(CH又は(C2x+1NHCO)2(CH(但しv及びxは1〜35、w及びyは1〜10)で示されるものであると、なお一層好ましい。
【0032】
熱溶融性物質としてのアミド化合物は、1種類であってもよく、温度調整のために複数混合して使用してもよい。
【0033】
不可逆性温度管理インジケータのインキ層を形成するためのインキは、ビスアミド化合物、バインダ、溶剤を、0.1〜100:0.1〜50:1〜500の重量比で混練されて調製されることが好ましい。インキには、必要に応じて添加物が添加されていてもよい。
【0034】
ビヒクルを構成するインキ用バインダとして、ビニル樹脂、シリコーン樹脂、ロジン樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ケトン樹脂、マレイン酸樹脂、クマリン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合樹脂、ABS樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、MMA−スチレン共重合樹脂、ポリカーボネート樹脂、エチルセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂、プロピルセルロース樹脂、酢酸・酪酸セルロース樹脂、硝酸セルロース樹脂、ポリクロロフルオロエチレン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン共重合樹脂、ポリビニリデンフルオライド樹脂、ポリウレタン樹脂、ナイロン6樹脂、ナイロン66樹脂、ナイロン610樹脂、ナイロン11樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリシクロヘキサンテレフタレート樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エチルセルロース、天然ゴムや合成ゴム、石油樹脂、油脂が挙げられる。またこれらは1種類であってもよいし、複数混合して用いてもよい。
【0035】
ビヒクルを構成するインキ用溶剤として、n−ヘキサン、n−ヘプタン、ミネラルスピリット、インキオイル、ソルベントナフサ、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、第二ブチルアルコール、イソブチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、2−メチルシクロヘキシルアルコール、トリデシルアルコール、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリン、ジペンテン、ヘプタン、メチルイソブチルカルビノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、テトラヒドロフラン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、ジエチルケトン、エチルアミルケトン、メチルシクロヘキサン、イソブチルケトン、ジアセトンアルコール、イソホロン、ジメチルホルムアミド、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、ブチルカルビトール、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、水等が挙げられる。またこれらは1種類であってもよく、複数混合して用いてもよい。
【0036】
市販の印刷用ビヒクルであってもよい。そのようなビヒクルとして、F−Glossメジウム(大日本インキ化学工業株式会社の商品名)、Hy
Unity Soyメジウム(東洋インキ製造株式会社の商品名)、Nouvel Maxiメジウム(大日精化工業株式会社の商品名)、Nouvel Senior Soyメジウム(大日精化工業株式会社の商品名)、Qセット200メジウム(十条ケミカル株式会社の商品名)、No.900メジウム(十条ケミカル株式会社の商品名)、ハイセットマットメジウム(ミノグループの商品名)、JRPメジウム(セイコーアドバンスの商品名)、PAS
No.800メジウム(十条ケミカル株式会社の商品名)、FBHDメジウム(東洋インキ製造株式会社の商品名)、スチレンBメジウム(東洋インキ製造株式会社の商品名)、NEW
LPスーパーRメジウム(東洋インキ製造株式会社の商品名)が挙げられる。
【0037】
添加物として、例えばワックス、より具体的にはカルナウバろう、木ろう、みつろう、無水ラノリン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、モンタンろう、オゾケライト、ペトロラタム、ワセリン、ポリエチレンワックス、ポリテトラフルオロエチレン、塩化パラフィン、脂肪酸アミドが挙げられる。
【0038】
別な添加物として、液状ドライヤ、ペーストドライヤが、挙げられる。
【0039】
別な添加物として、分散剤、より具体的には、レシチン、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリアクリル酸の部分脂肪酸エステル、アルキルアミン脂肪酸塩、アルキルジアミン、アルキルトリアミン、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物、リグニンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸エステルナトリウム、アルキルアリールスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリールエーテル、スチレンマレイン酸樹脂、ポリアクリル酸誘導体、水素添加ヒマシ油、アルミニウムせっけん、アルミニウムキレート、アルミニウムアルコレート、有機ベントナイト、酸化ポリエチレン、直鎖ポリアミノアミド、ポリカルボン酸アルキルアミン、アルギン酸ナトリウム、カゼイン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキサイド、シリコーン、非イオン活性剤、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、オイゲノール、フェルノール系防かび剤、コロイダルシリカ、低分子ポリエチレン、バニリン、クマリン、はっか油、ラベンダー油、アセトフェノン、バリウム、カルシウムの金属セッケン、ポリアミド、イソシアネート、硝化綿、アンモニア水、アルコールアミン類、モルホリンが、挙げられる。
【0040】
別な添加物として、重合性モノマー、重合開始剤、より具体的にはベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤等が、挙げられる。
【0041】
さらに別な添加物として、温度に応じた示温材の色調の変化を際立たせたり目視し易い色調に整えたりする調整顔料、より具体的には、酸化チタン、炭酸カルシウム、二酸化ケイ素、アルミナホワイト(Al23・xH2O)、クレー、沈降性硫酸バリウム、グロスホワイト、ファストイエローG、ファストイエロー10G、ジスアゾイエローAAA、ジスアゾイエローAAMX、ジスアゾイエローAAOT、黄色酸化鉄、ジスアゾイエローHR、ジニトロアニリンオレンジ、ジスアゾオレンジPMP、ジスニシジンオレンジ、トルイジンレッド、塩素化パラレッド、ビリリアントファストスカーレット、ピラゾロンレッドB、バリウムレッド2B、カルシウムレッド2B、バリウムリソールレッド、レーキレッドC、ブリリアンカーミン6B、ピグメントスカーレット3Bレーキ、ローダミン6G
PTMA トーナー、べんがら、ナフトールレッドFGR、キナクリドンマゼンダ、ローダミンB PTMA トーナー、メチルバイオレット PTMA トーナー、キナクリドンレッド、ジオキサジンバイオレット、ビクトリアピュアブルー
PTMA トーナー、フタロシアニンブルー、アルカリブルートーナー、紺青、群青、ブリリアントグリーン PTMA トーナー、ダイヤモンドグリーン PTMA トーナー、フタロシアニングリーン、カーボンブラック、亜鉛華、アルミニウム粉、ブロンズ粉、昼光蛍光顔料、パール顔料等が、挙げられる。
【0042】
これらの添加物は、印刷適性やインキ適性に応じ必要に応じて適宜用いられるもので、1種類を用いてもよく、複数混合して用いてもよい。
【0043】
このようなインキは、ビスアミド化合物、バインダ、溶剤、添加物をボールミル、ロールミル、サンドミル等の混練機で混合して作製する。
【0044】
インキの印刷方法は、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、フレキソ印刷、平版印刷、凸版印刷が挙げられる。
【0045】
熱溶融性物質吸収性基板は、多孔質の材料が適しており、例えば、濾紙、不織布、布帛、上質紙、模造紙等が挙げられる。この基板の色は、赤色、黒色、紺色、青色、オレンジ色、緑色、えんじ色等のものが好ましい。
【実施例】
【0046】
以下、本発明の不可逆性温度管理インジケータの実施例を具体的に説明する。
【0047】
(実施例1)
熱溶融性物質であるビスアミド化合物として、N,N’−エチレンビスステアリン酸アミド(和光純薬工業株式会社製)100g、バインダとしてエチルセルロース10g、溶媒としてエタノール400gを120mmボールポットミルに入れて、3昼夜粉砕混練して、インキを調製した。得られたインキをスクリーン印刷(150メッシュ)で、熱溶融性物質吸収性基板である黒上質紙に印刷した。自然乾燥して、表面上にビスアミド化合物含有インキ層が付された白色の示温材を得た。この示温材を10mmφに打ち抜いた。それを30mm間隔でプラスチック板製支持体に貼付してから、示温材ごと保護フィルムで被覆した後、30mm×30mmの大きさに裁断して、図1に示すような不可逆性温度管理インジケータを得た。このインジケータを温度昇温速度2〜3℃/分の条件で、温度上昇したところ、インジケータの示温材は、140℃で、白色から黒色へ不可逆的に色調が変化した。
【0048】
(実施例2)
実施例1と同様の不可逆性温度管理インジケータを作製し、1,000時間、130℃の長期加熱試験を行った。このインジケータは、長期加熱試験後でも、試験前と同様な色調のままであった。長期加熱試験後のインジケータを、温度昇温速度2〜3℃/分の条件で、温度上昇したところ、実施例1の場合と同様に、140℃で色調が変化した。
【0049】
(比較例1)
熱溶融性物質としてコレステリン(東京化成工業株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、不可逆性温度管理インジケータを作製し、実施例1と同様な温度昇温速度で加熱すると、140℃で白色から黒色へ色調が変化した。
【0050】
(比較例2)
実施例1と同様のコレステリンを用いて不可逆性温度管理インジケータを作製し、130℃の長期加熱試験を行った。このインジケータは、130℃で長期加熱試験開始後、24時間経過すると、明らかに変色した。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の不可逆性温度管理インジケータは、機械設備の温度管理、配電設備の過熱事故防止、定温保存品の温度履歴確認のために用いられる。
【符号の説明】
【0052】
1は不可逆性温度管理インジケータ、2は離型紙、3は粘着剤層、4は支持体、5は印字層、6は粘着剤層、7は熱溶融性物質吸収性基板、8はインキ層、9は不可逆性示温材、10は保護フィルム、11は熱溶融性物質、12は拡散性色素である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知すべき温度で熱溶融する粉末状、粒状又はワックス状であって複数のアミド基を有するアミド化合物からなる熱溶融性物質が、それの熱溶融状態で不可逆的に浸透して拡散することによって色調を変化させる熱溶融性物質吸収性基板上で観察面側若しくは非観察面側に付されたインキ層に含有され、又はその基板内に含有されていることを特徴とする不可逆性温度管理インジケータ。
【請求項2】
該アミド化合物が、ビスアミド化合物であることを特徴とする請求項1に記載の不可逆性温度管理インジケータ。
【請求項3】
該ビスアミド化合物が、飽和脂肪酸ビスアミド、不飽和脂肪酸ビスアミド、芳香環含有脂肪酸ビスアミド、及びヒドロキシ脂肪酸ビスアミドから選ばれる脂肪酸ビスアミドであることを特徴とする請求項2に記載の不可逆性温度管理インジケータ。
【請求項4】
該アミド化合物が、異なる該複数のアミド基を有することを特徴とする請求項1に記載の不可逆性温度管理インジケータ。
【請求項5】
熱溶融状態の該熱溶融性物質に溶解し及び/又は分散して前記変化させる色素が、該熱溶融性物質吸収性基板又は該インキ層に、含有されていることを特徴とする請求項1に記載の不可逆性温度管理インジケータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−256297(P2010−256297A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−109725(P2009−109725)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000232922)日油技研工業株式会社 (67)
【Fターム(参考)】