説明

不正使用防止機能を持つ無効化機構を有する注射器アセンブリ

受動的無効化構造を有する注射器アセンブリは、バレル(202)とプランジャ・ロッド・アセンブリを含んでいる。プランジャ・ロッド・アセンブリは、割り出しロック要素(190)によって連結されるプランジャ・ロッド(204)とストッパ(228)を含んでいる。ストッパがバレルにロックされ、注射器アセンブリを無効にする前の注射器のプランジャのストローク数は、ロック機構に係合するプランジャ・ロッドとストッパの戻り止めの数により決定される。最終の送出ストロークが完了すると、バレルからプランジャ・ロッドを引き出そうとする試みは、ロック要素(130)をバレルに係合させ、ストッパをバレル内に閉じ込め、注射器のさらなる使用を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注射器アセンブリに関し、特に、自動的な無効化機構(an automatic disabling mechanism)有する注射器アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
世界中で、使い捨てのみを目的とする皮下注射器製品の多重使用は、薬物乱用及び伝染病の伝播の助けになっている。定期的に共同使用し、注射器を再使用する静注薬物の使用者は、エイズ・ウイルスに対してハイリスク群(a high-risk group)である。また、多重使用の影響は、集団予防接種計画中における注射器製品の繰り返し使用が多くの病気の蔓延の原因となっているかもしれないいくつかの国において大きな懸案事項である。使い捨ての皮下注射器アセンブリの再使用は、また、伝染病や病気がない場合でさえも、薬物乱用の広がりの助けになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4973310号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この問題を改善するために多くの試みがなされてきた。破壊装置を使用するか、または、注射器が力を加えられることにより使用不可能な状態にされるように壊れ易い帯域を有する注射器アセンブリを提供するか、のどちらかにより使用後に注射器を破壊するという特定の行為に依存した当初の提案がその代表的なものである。別の試みは、注射器の使用者による意識的行為に対し、注射器の機能を破壊または無効にすることを可能とする構造を含むことを伴う。これらの装置の多くは、かなり有効に機能するけれども、これらは、注射器を破壊し、あるいは操作不能にするという使用者の特定の意志とそれに続く実際の行為を必要とする。これらの装置は、皮下注射器を再使用するという特定の意志を持つ使用者にとって効果的ではない。したがって、使用後、使用者の側の付加的な行為なしに自動的にさらなる使用を不可能にするまたは許さないようにする使い捨ての皮下注射器の必要性があった。自動機能は、提供するのが難しい。なぜならば、注射器を操作不可能な状態にする手段は、通常の状態での充填または使用を妨げてはいけないからである。
【0005】
注入後自動的に無効にする使い捨ての注射器は、コシンスキー(Kosinski)の特許文献1に教示されている。この注射器は、プランジャ・ロッドとバレルの内面との間に注射器のバレル内に配置されるロック要素(a locking element)を含んでいる。使用に際し、該注射器は、使用者が予め選択した量の薬剤をバレルの室内に引き込み、この薬剤を注入によるやり方で患者に送出することを可能にする。2度目に注射器を使用すべくプランジャを後退させるという試みは、注射器バレルの内面にロック要素それ自身を埋め込ませ、プランジャ・ロッドの基端側への移動を妨げる。
【0006】
自動的な無効化機構を作動させる前に、予め選択したプランジャ・ロッドのストローク数を許容する使い捨ての注射器の必要性が依然としてある。例えば、プランジャの4ストロークが注入工程を完了するために必要とされ得る。そのような場合とは、注射器アセンブリが注射器バレル内に希釈剤を引き込むべく使用され、溶かれる物質が入っている小瓶内に該希釈剤を分配し、溶かれた薬剤を注射器内に戻し、次に注射器の内容物を患者に送出するような場合である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
受動的な無効化構造(a passive disabling structure)を有する使用可能な注射器アセンブリは、流体を保有する室を画定する内側表面を持つ円筒状の側壁を有するバレル、開口基端部、及びそれを貫通し、室と流体連通する通路を有する末端壁を含んでいる末端部を含んでいる。基端部、開口末端部、及び内部表面を有する細長い中空のプランジャ・ロッドが用意される。ストッパ(a stopper)は、バレルの内側表面とともにシールを形成する周囲表面を有する円形形状のシール要素(a circular-shaped sealing element)、及び該シール要素から基端方向に突出するボス部材(a boss member)を有する。ロック要素は、ストッパとプランジャ・ロッドとの間で相互に作用する。ロック要素は、本体部分から末端方向外側に向って延びる少なくとも1つの片持ち梁状脚部を有する中央本体部分を含んでいる。該脚部は、バレルの内側表面に係合するために、外側を向いて尖った自由端を含んでいる。ロック要素は、ストッパのボスに移動可能に連結され、プランジャ・ロッドの内部表面に移動可能に連結されている。室内に流体を引き込むべくプランジャ・ロッドの基端方向への移動中、プランジャ・ロッド内でロック要素を末端方向に割り出しし、通路を通って室から流体を送出するためのプランジャ・ロッドの末端方向への移動中、ストッパのボス上でロック要素を末端方向に割り出しする構造、及び注射器アセンブリの再使用を防止するためにバレル側壁の内側表面にロック要素を係合させる手段が用意される。
【0008】
バレル側壁の内側表面にロック要素を係合させる構造は、プランジャ・ロッドの末端部に開口を含み、尖った自由端がプランジャ・ロッドを通り越して外側に、且つバレルの内側表面上にまで突出することを可能にするために、該開口の内部表面領域の軸方向の長さを短くし得る。
【0009】
割り出し構造は、プランジャ・ロッドの末端部の内部表面上の少なくとも1つの戻り止め、ボス上の少なくとも1つボス用の戻り止め、及びプランジャ・ロッドの内部表面の凹部に係合する大きさに作られた、その自由端の近傍に外側に向って延びるリブを有する、ストッパ上の少なくとも1つの片持ち梁状アームを含んでいる。割り出し構造は、さらに、ロック要素の中央本体部分の開口部から内側に延びる少なくとも1つのフィンガ要素(a finger element)を有するロック要素を含んでいる。ロック要素は、その尖った自由端が少なくとも1つの戻り止めの基端側でプランジャ・ロッドの内部表面に接触している状態で配置され、ボス部材は、ロック要素の開口部に配置される。この場合、少なくとも1つのフィンガ要素は、少なくとも1つのボス用の戻り止めの基端側でボス部材に接触し、外側に延びるリブは、プランジャ・ロッドの凹部内に配置される。
【0010】
注射器アセンブリは、プランジャ・ロッドの基端方向への移動がロック要素をバレルの内側表面に係合させる前に、使用時にロック要素の最初の位置に依存して、プランジャ・ロッドが、1または2回末端方向に移動し得るように、プランジャ・ロッドの少なくとも1つの戻り止めが2つの軸方向に区切られた戻り止めを含むように、且つ、少なくとも1つのボス用戻り止めが2つの軸方向に区切られたボス用戻り止めを含むように構成され得る。プランジャ・ロッドの軸方向に区切られた2つの戻り止めは、軸方向に区切られた2つの段部を含み、それぞれの段部は、その末端部に、プランジャ・ロッドの内部表面から内側に延びるブラント面(a blunt surface)を有している。軸方向に区切られた2つのボス用の戻り止めは、それぞれ、末端方向内側に向って延びる傾斜した表面、及び該傾斜した表面それぞれの末端部において、半径方向内側に延びるブラント面を含み得る。
【0011】
ロック要素の少なくとも1つの片持ち梁状脚部は、中央本体部分の両側に配置される2つの片持ち梁状脚部を含み得る。ストッパは、バレルの内側表面へのロック要素の係合に打ち勝とうとして、基端方向への過大な力がプランジャ・ロッドに加えられたとき、2つの片持ち梁状脚部に接触し、これを外側に向って押し出すように半径方向に配置される2つのカム突出部をさらに含み得る。
【0012】
ストッパの少なくとも1つの片持ち梁状アームは、ボスの両側に設置される2つの片持ち梁状アームを含み、また、プランジャ・ロッドの内側表面の少なくとも1つの凹部は、プランジャ・ロッドの両側に設置され、2つの片持ち梁状アームの外側に向って延びるリブを収容するように構成される2つの凹部を含み得る。
【0013】
注射器バレルは、末端壁から末端方向に延び、それを貫通し、注射器バレルの室と流体連通する通路を有する細長い先端部をさらに含み得る。注射器アセンブリは、また、末端部、基端部、及びそれを貫通する内腔(a lumen)を有する針カニューレを含み得る。針カニューレの基端部は、内腔がバレルの通路と流体連通するように、注射器バレルの末端部に連結されている。注射器アセンブリは、ステンレス鋼のような金属薄板から作られるロック要素を含み得る。さらに、ストッパ及びそれの全ての要素は、熱可塑性プラスチック材料から一体的に形成され得る。
【0014】
受動的な無効化構造を有する本発明の別の使用可能な注射器アセンブリは、流体を保有する室を画定する内側表面を有する円筒状側壁を含むバレル、開口基端部、及びそれを貫通し、室に流体連通する通路を有する末端壁を含む末端部を備えている。基端部、開口末端部、及び内部表面を有する側壁を有する細長いプランジャ・ロッドが用意される。該内部表面は、少なくとも1つの戻り止めを含み、側壁は、軸方向の開口部及び該軸方向の開口部内に突出する位置決め突起を有する。該突起は、末端面と基端面を含んでいる。ストッパは、バレルの内側表面とシールを形成する周囲表面を有するシール要素及びシール要素から基端方向に突出するボス部材を含んでいる。該ボスは、その表面上に、少なくとも1つの戻り止めを含んでいる。保持要素が壊れ易い連結部でストッパに連結されている。該保持要素は、プランジャの位置決め突起を収容し、軸方向凹部内における位置決め突起の軸方向の移動を制限する基端縁部を有する軸方向凹部を画定している。ロック要素は、ストッパとプランジャ・ロッドとの間で相互に作用する。ロック要素は、本体部分から末端方向外側に向って延びる少なくとも1つの片持ち梁状脚部を有する中央本体部分を含んでいる。該脚部は、バレルの内側表面に係合する、外側に向いた尖った自由端を含んでいる。ロック要素は、尖った自由端が少なくとも1つの戻り止めの基端側でプランジャ・ロッドの内部表面に接触した状態で配置される。ボス部材は、ロック要素の開口部に配置される。少なくとも1つのフィンガ要素が少なくとも1つのボス用戻り止めの基端側でボスに接触している。その結果、バレルを保持している間プランジャに基端方向を向いた力を加えることが、片持ち梁状の脚部の自由端がプランジャ・ロッドの内部表面に沿って少なくとも1つの戻り止めまで末端方向に移動し、位置決め突起の基端面が保持要素の基端縁部に接触し、使用者により選択された距離にわたって基端方向にストッパを移動させるまで、プランジャ・ロッドをストッパに対して基端方向に移動させる。その次に、通路を通って室から流体を排出すべく、プランジャ・ロッドに末端方向への力を加えることは、ロック要素のフィンガ要素が少なくとも1つのボス用戻り止めを乗り越え、少なくとも1つのボス用戻り止めと接触状態となり、また、プランジャ・ロッドがストッパに接触し、ストッパを末端方向に移動させ、室から流体を排出させるまで、少なくとも1つの戻り止めとの係合により、プランジャ・ロッドをロック要素とともに末端方向に移動させる。その次に、プランジャ・ロッドに基端方向への力を加えることは、片持ち梁状の脚部の自由端がプランジャ・ロッドの内部表面に沿って末端方向に移動しプランジャ・ロッドの末端部を過ぎ、その結果、少なくとも1つの片持ち梁状脚部の尖った端部がバレルの内側表面に係合し、ストッパの基端方向への移動を妨げることを助け、注射器アセンブリを使用できない状態にするまで、プランジャ・ロッドを基端方向に移動させる。少なくとも1つの片持ち梁状脚部の尖った端部がバレルの内側表面に係合して後さらにプランジャ・ロッドに基端方向への力を加えることは、保持要素の壊れ易い連結部を壊すのに十分な力で位置決め突起の基端面を保持要素の基端縁部に接触させ、ストッパをプランジャ・ロッドとの係合から解放するだろう。
【0015】
この実施態様の注射器アセンブリは、プランジャ・ロッドのストッパとの組み立ての間、位置決め突起が撓むことを可能とするために、位置決め突起及びプランジャ・ロッドの側壁に連結する可撓性要素を含んでいることが好ましい。位置決め突起及び可撓性要素は、熱可塑性プラスチック材料から一体的に形成されることが好ましい。
【0016】
ストッパの保持要素は、注射器アセンブリの組み立て中、位置決め要素を外側に撓ませるために、基端方向内側に向かう傾斜表面をさらに含み得る。注射器アセンブリは、ロック要素のバレルの内側表面との係合に打ち勝とうとして基端方向に向いた過大な力がプランジャ・ロッドに加えられたとき、片持ち梁状脚部に係合し、該片持ち梁状脚部を外側に押し出すように配置される半径方向の突出部またはカム面をストッパ上にさらに含み得る。片持ち梁状脚部を外側に押し出すことにより、半径方向の突起部またはカム面は、片持ち梁状脚部の尖った自由端をバレルの内側表面内に係合させるさらなる力を提供する。
【0017】
プランジャ・ロッドは、末端部分に対して基端部分を回転させるのに必要とされる接線力が基端部分と末端部分を分離するのに必要とされる軸方向に力より小さいように連結されている末端部分及び基端部分を備える2片構造からなっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の注射器アセンブリの側面図である。
【図2】図1の注射器アセンブリの基端部側の側面図である。
【図3】図1の注射器アセンブリの線3−3に沿う断面図である。
【図4】注射器アセンブリのプランジャ・ロッドをその末端部側から見た斜視図である。
【図5】注射器アセンブリのロック要素をその末端部側から見た斜視図である。
【図6】ロック用クリップをその基端部側から見た斜視図である。
【図7】注射器アセンブリのストッパをその末端部側から見た斜視図である。
【図8】ストッパをその基端部側から見た斜視図である。
【図9】プランジャ・アセンブリの分解組み立て側面図である。
【図10】図9のプランジャ・アセンブリの線10−10に沿う断面図である。
【図11】使用前の注射器アセンブリを示す図1の注射器アセンブリの線3−3に沿う拡大部分断面図である。
【図11A】図11と同様の断面図であるが、90°回転されている拡大部分断面図である。
【図12】1回目の吸引ストローク後の注射器アセンブリを示す図1の注射器アセンブリの線3−3に沿う拡大部分断面図である。
【図12A】図12と同様の断面図であるが、90°回転されている拡大部分断面図である。
【図13】1回目の分配ストローク中の注射器アセンブリを示す図1の注射器アセンブリの線3−3に沿う拡大部分断面図である。
【図13A】図13と同様の断面図であるが、90°回転されている拡大部分断面図である。
【図14】2回目の吸引ストロークの開始時における注射器アセンブリを示す図1の注射器アセンブリの線3−3に沿う拡大部分断面図である。
【図14A】図14と同様の断面図であるが、90°回転されている拡大部分断面図である。
【図15】2回目の分配ストローク後の注射器アセンブリを示す図1の注射器アセンブリの線3−3に沿う拡大部分断面図である。
【図15A】図15と同様の断面図であるが、90°回転されている拡大部分断面図である。
【図16】2回目の分配ストローク後にプランジャ・ロッドを後退させることを試みた場合の内部要素の位置を示す図1の注射器アセンブリの線3−3に沿う拡大部分断面図である。
【図16A】図16と同様の断面図であるが、90°回転されている拡大部分断面図である。
【図17】再使用を妨げる付加的構造の相互作用を示す図16の注射器アセンブリと同様の拡大部分断面図である。
【図17A】図17と同様の断面図であるが、90°回転されている拡大部分断面図である。
【図18】ロック要素に係合する注射器バレルの不連続部を示す図16の注射器アセンブリと同様の拡大部分断面図である。
【図19】バレルに取付けられた針を有する本発明の別の注射器アセンブリの斜視図である。
【図20】図19の別の注射器アセンブリの分解組立図である。
【図21】針カニューレを含んでいる図1の注射器の拡大断面図である。
【図22】プランジャ・ロッドの基端部分及び末端部分を含む組み立てられるプランジャ・ロッドの斜視図である。
【図23】プランジャ・ロッドの末端部分の斜視図である。
【図24】図23のプランジャ・ロッドの末端部分の線24−24に沿う断面図である。
【図25】プランジャ・ロッドの基端部分の斜視図である。
【図26】図25のプランジャ・ロッドの基端部分の線25−25に沿う断面図である。
【図27】末端部側から見たストッパの斜視図である。
【図28】基端部側から見たストッパの斜視図である。
【図29】ストッパ、ロック要素及びプランジャ・ロッドの拡大分解組立図である。
【図30】図29のストッパ、ロック・クリップ及びプランジャ・ロッドの側部断面図である。
【図31】使用前の注射器アセンブリを示す図19の注射器アセンブリの線21−21に沿う拡大部分断面図である。
【図31A】図31と同様の断面図であるが、90°回転されている拡大部分断面図である。
【図32】1回目の吸引ストローク後の注射器アセンブリを示す図19の注射器アセンブリの線21−21に沿う拡大部分断面図である。
【図32A】図32と同様の断面図であるが、90°回転されている拡大部分断面図である。
【図33】1回目の分配ストローク中の注射器アセンブリを示す図19の注射器アセンブリの線21−21に沿う拡大部分断面図である。
【図34】2回目の吸引ストロークの開始時における注射器アセンブリを示す図19の注射器アセンブリの線21−21に沿う拡大部分断面図である。
【図35】2回目の分配ストローク後の注射器アセンブリを示す図19の注射器アセンブリの線21−21に沿う拡大部分断面図である。
【図36】2回目の分配ストローク後にプランジャ・ロッドを後退させることを試みた場合の内部要素の位置を示す図19の注射器アセンブリの線21−21に沿う拡大部分断面図である。
【図37】プランジャ・ロッドを後退させる試みにおいて、さらに過大な力が使用される場合、内部要素の相互作用を示す図36の注射器アセンブリの拡大部分断面図である。
【図38】図37と同様の断面図であるが、90°回転されている拡大部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、受動的無効化機構を有する注射器アセンブリを対象にしている。無効化機構は、注射器アセンブリによる調節可能な投与量を可能にし、自動的に無効にされる前に、プランジャ・ロッドによる選択された数のサイクル(cycles)またはストローク(strokes)を可能にする。1つの好ましい実施態様において、無効化機構は、自動的に無効にされる前に、2回の吸引サイクル及び2回の分配サイクルを提供する。アセンブリは、薬剤、医薬品、またはその他の物質を溶くために、選択された容積の希釈剤を吸引し、薬瓶内へ分配し、次に、溶かれた物質を吸引して注射器内に戻すことを可能にする。選択された容積の溶かれた物質は、患者に注入または送出される。この場合、送出される物質の容積は、注射器バレル内に吸引された物質の容積と同じであってもよいし、または異なっていてもよい。注射器は、無効化機構を作動させるプランジャ・ロッドを注入または送出ストローク後に引っ込めることにより自動的に無効にされる。
【0020】
無効化機構は、吸引方向にプランジャ・ロッドを移動させることによる、注射器バレル及びストッパに対するプランジャ・ロッドの軸方向の移動により作動する。ストッパは、プランジャ・ロッドに対するストッパの制限された軸方向の移動を可能にするようにプランジャ・ロッドに連結される。無効化機構は、ストッパに対するプランジャ・ロッドの軸方向の移動の方向を反対方向に向け、段階的なやり方で機構を無効化位置へ移動させることによる一連の段階を介して移動する。機構の無効化位置は、プランジャ・ロッドとストッパとの間の相対的な移動により達成され、注射器バレル内におけるストッパの位置またはストッパによるストロークの長さに依存しない。このように、注射器アセンブリは、所望の容積の薬剤またはその他の物質を分配することができ、無効化機構は、注射器バレル内のストッパの位置にかかわらず、分配または注入ストローク後に作動し得る。無効化機構を作動させることにより、ストッパは、物質を注射器バレル内に吸引するために引っ込められることができないが、注射器バレル内に残っている物質が分配されることを可能とする。
【0021】
図面を参照すると、無効化機構を有する注射器アセンブリ100は、注射器バレル102及びプランジャ・アセンブリ104を含んでいる。バレル102は、流体を保有する室109を画定する内側表面107を有する円筒状側壁106、開口基端部113及びそれを貫通して室と流体連通する通路119を有する末端壁117を含む末端部115を含んでいる。この実施態様において、バレルの末端壁は、そこから末端方向に延び、末端壁の通路と流体連通する通路を有する細長い先端部を含んでいる。この実施態様において、バレル102は、また、基端部171、末端部172及びそれを貫通する内腔173を有する針カニューレ170を含んでいる。針カニューレの基端部は、針カニューレの内腔がバレルの通路119に流体連通するように、細長い先端部103に取り付けられている。
【0022】
プランジャ・アセンブリ104は、細長い中空のプランジャ・ロッド108、ストッパ128及びロック要素130を含んでいる。プランジャ・ロッド108は、基端部111、開口末端部110及び内部表面116及びプランジャ・ロッドの末端部であって、該内部表面内に少なくとも1つの開口部または凹部114を含んでいる。凹部は、末端面121を含んでいる。この実施態様においては、末端面121を有する2つの凹部114がある。プランジャ・ロッドの末端部にある内部表面は、少なくとも1つの戻り止めを含んでいる。この実施態様においては、プランジャ・ロッドの末端部の内部表面上の少なくとも1つの戻り止めは、プランジャ・ロッドの両側に2つずつ、4つの軸方向に区切られた戻り止め118を含んでいる。一対の戻り止めそれぞれは、軸方向に区切られた段部120を形成するように形作られるとともに、各段部は、その末端部において、プランジャ・ロッドの内部表面から内側に延びるブラント面122を有している。
【0023】
ストッパ128は、バレルの内側表面とともにシールを形成する周囲面145を有する円形をしたシール要素144を含んでいる。ボス部材134は、シール要素から基端方向に延びており、少なくとも1つのボス用戻り止めを含み、本実施態様では、2つのボス用戻り止め136を含んでいる。少なくとも1つの片持ち梁状アームがシール要素から基端方向に延びており、本実施態様では、シール要素から基端方向に延びる2つの片持ち梁状アーム140がある。片持ち梁状アーム各々は、外側に向って延びるリブ142を含んでいる。該リブは、プランジャ・ロッドの凹部114内に嵌合する大きさに形成されている。軸方向に区切られたボス用戻り止め136各々は、基端方向内側に向って延びる傾斜面137及び該傾斜面それぞれの末端部におけるブラント面138を含んでいる。ストッパは、ポリエチレンのような熱可塑性プラスチック材料から一体的に形成されることが好ましい。円形をしたシール要素及び/またはその周囲シール面は、熱可塑性エラストマー、天然ゴム、合成ゴム及びそれらの組み合わせのようなエラストマー材料から作られ得る。
【0024】
ロック要素130は、それを貫通する開口部152を有する中央本体部分148及び本体部分から末端方向外側に延びる少なくとも1つの片持ち梁状脚部150及び開口部から内側に向って延びる少なくとも1つのフィンガ要素154を含んでいる。この実施態様においては、少なくとも2つの片持ち梁状脚部があり、片持ち梁状脚部各々は、バレルの内側表面に係合するために、外側に向けられた尖った自由端155を有する。尖った自由端155の構成は、尖った刃または1以上の鋭い歯などのような、バレルの内側表面に係合することを可能にする構成であればどのようなものであってもよい。ロック要素は、様々な材料またはそれらの材料の組み合わせから作られていてもよい。しかしながら、金属から作られた尖った自由端を有することが好ましく、また、ロック要素全体がステンレス鋼のような金属薄板から一体的に形成されることで作られることが好ましい。
【0025】
この好ましい実施態様において、プランジャ・アセンブリ104は、ロック要素130をプランジャ・ロッド108の末端部内に挿入することにより組み立てられる。次に、ストッパ128のボス134が、図9及び10に例示されるように、片持ち梁状脚部150がストッパの円形をしたシール要素144に向って延在するように、ロック要素130の開口部152を貫通してプランジャ・ロッドの末端部内に挿入される。
【0026】
以下に詳細に説明されるように、プランジャ・アセンブリが、次に、図11及び11Aに示される初期位置まで、開口基端部113を通ってバレル102内に挿入される。注射器要素の初期位置において、ロック要素130は、その尖った自由端155が軸方向に間隔を置いて配置された段部120の基端側でプランジャ・ロッドの内部表面に接触するように配置されている。ボス部材134は、フィンガ要素154がボス用戻り止め136の基端側でボス部材に接触するように、ロック要素130の開口部152内に配置されている。片持ち梁状アーム140の外側に向って延びるリブ142は、プランジャ・ロッドの凹部114内に配置されている。該リブ142は、プランジャ・ロッドに対するストッパの軸方向への制限された移動を可能にするために、凹部114を補完するように構成されている。ストッパ128は、シール要素144に対して基端側に配置されている補強材146をさらに含み、図11Aに示されるように、シール要素の別の寸法を補完する外のり寸法(an outer dimension)を有し、補強材146は、注射器バレルの内側表面に接触する外のり寸法を有し、ストッパ128を安定させるのに役立ち、注射器バレルの軸に実質的に平行な方向にストッパとボス部材を維持するようにシール要素144から間隔を置いて配置されている。図11及び11Aに例示される位置において、注射器アセンブリ100は、バレルの室内に液体を引き込むために使用する準備ができている。
【0027】
示されるように、この実施態様のプランジャ・アセンブリの操作は、その後に第1回目の分配ストロークが続く第1回目の吸入ストローク、第2回目の吸入ストローク及びその後に注射器が無効になる最終分配ストロークを含んでいる。無効化要素が、基端吸入方向のストッパ128の移動を妨げ、または抑制し、それにより、注射器アセンブリの使い捨てに対する機能を制限する。最大ストローク数は、プランジャ・ロッドの軸方向に配置される戻り止めの数及びストッパの軸方向に配置されるボス用戻り止めの数により制限される。しかしながら、注射器の実際のストローク数は、プランジャ・ロッドの戻り止め及び第1回目の使用時におけるストッパの戻り止めに対するロック要素の位置により決定される。例えば、2つのプランジャ用戻り止め及び2つのストッパ用戻り止めを持つ注射器は、2ストロークまたは4ストロークが可能な注射器として最終使用者に供給され得る。このことは、単一の注射器アセンブリが無効になる前に異なるストロークの制限を持って提供され得るので、本発明の重要な特徴である。
【0028】
注射器アセンブリは、今、注射器バレルを保持しながらプランジャ・ロッドの基端部のサム・プレス(a thumb press)123に対し基端方向に向けられた力を加えることにより、滅菌水希釈剤のような流体をバレルの室内に引き込むのに使用され得る。図12及び12Aに例示されるように、このことは、片持ち梁状の脚部150の自由端がプランジャ・ロッドの内部表面116に沿って末端方向に移動し、図12に最も良く例示されるように、軸方向に区切られた段部の最も基端側の段部120のブラント面122を過ぎてパチンと音をたてるまで、プランジャ・ロッドをストッパに対して基端方向に移動させる。また、この第1回目の吸入ストロークの間、外側に向って延びるリブ142は、図12Aに最も良く例示されるように、プランジャ・ロッドの凹部114の末端面121に係合する。リブ142が末端面121に係合すると、ストッパは、プランジャ・ロッドが移動するにつれて、バレルに対して基端方向に引っ張られる。ストッパは、今や、使用者により決定された通りの所望の量の液体が室内に存在するまで、プランジャ・ロッドの作動により基端方向に移動する。
【0029】
室内の液体希釈剤が、凍結乾燥された薬剤のような溶かれるための乾燥薬剤の瓶内に放出され得る。この第1回目の分配ストロークは、バレルを保持している間末端方向にプランジャ・ロッドを移動させることにより達成される。バレルのフランジ124は、バレルの基端部に設けられ、注射器アセンブリの使用中のバレルの動きを制御するのに役立つ。図13及び13Aに最も良く例示されるように、プランジャ・ロッドが末端方向に移動するにつれて、ロック要素130は、ロック要素のフィンガ要素154が傾斜面137を昇り、第2の戻り止め内に入ることにより最も基端側から最も末端側のボス用戻り止めへ滑走するように、それとともにロック要素を引きずって移動するプランジャ・ロッドと一緒に移動する。プランジャ・ロッドがストッパに接触すると、ストッパは、プランジャ・ロッドと一緒に末端方向に移動し始め、例えば、液体希釈剤を凍結乾燥された薬剤の瓶内に放出するだろう。
【0030】
希釈剤と凍結乾燥された薬剤とが混合されると、本発明に係る注射器アセンブリは、今や、図14及び14Aに最も良く例示されるように、注射器バレルを保持している間、プランジャ・ロッドに基端方向に向けられた力を加えることにより、溶かれた何時でも注入できる薬剤を注射器バレルの室内に回収するのに使用され得る。基端方向に向けられた力は、プランジャ・ロッドを基端方向に移動させるだろう。一方、ロック要素130は、ストッパのボス用戻り止めへのその連結により相対的に静止したままである。プランジャの基端方向への動きは、片持ち梁状脚部の尖った自由端155がプランジャ・ロッドの軸方向に間隔を置いて配置されている段部120の最も基端側の段部120から末端側の第2の軸方向に間隔を置いて配置されている段部120へ移動するように、ロック要素をプランジャ・ロッドの内部表面に沿って末端方向移動させる。プランジャの基端方向への動きは、また、ストッパが、今や、溶かれた薬剤を使用者により決定された量まで注射器バレルの室内に引き込みつつあるプランジャ・ロッドとともに基端方向に移動するように、片持ち梁状アーム140の外側に向って延びるリブ142をプランジャ・ロッドの凹部114の末端壁121に係合させる。本発明の利点は、室内に引き込まれる薬剤の量及びしたがって送出され得る薬剤の最大の量は、製造時における構成要素の配置によるのではなく、使用時において使用者により決定されることにある。
【0031】
本発明の注射器アセンブリは、今や、図15及び15Aに最も良く例示されている2回目であって最終の分配ストロークの準備が整っている。プランジャ・ロッドに末端方向に向けられた力を加え、プランジャ・ロッドをバレルに対して末端方向に移動させることにより、薬剤が患者に送出される。プランジャ・ロッドが末端方向に進むにつれ、ロック要素の尖った自由端155の軸方向に間隔を置いて配置された段部120の最も末端側のブラント面122との係合は、ロック要素のフィンガ要素154が、ボス用戻り止めの最も末端側の傾斜面137を乗り越えて最も末端側のボス用戻り止め136を末端側へ通過するように、ロック要素を末端方向に移動させる。末端方向に移動するプランジャ・ロッドがストッパに接触すると、ストッパ及びプランジャ・ロッドのいずれもが、バレルの末端部に向って移動し、通路を通って室の内容物を排出する。
【0032】
注射器アセンブリは、今や、使用が完了し、廃棄される状態にある。基端方向にプランジャ・ロッドを移動させ、さらなる使用のために注射器アセンブリに再充填しようとするいかなる試みも、ロック要素が注射器を無効化する。具体的には、図16及び16Aに最も良く例示されるように、プランジャ・ロッドを基端方向に移動させることは、ロック・クリップの尖った自由端155がプランジャ・ロッドの端部を過ぎてパチンと音をたて、バレルの側壁の内側表面107に係合するまで、プランジャ・ロッドが短い距離移動させることを可能とする。プランジャのさらなる基端方向への動きは、バレル側壁の内側表面へのロック要素の係合により阻止される。さらに、注射器を不適切に再使用しようとしてより大きい基端方向に向けられた力が用いられると、図17に例示されるように、ストッパのカム面125が、尖った自由端155を注射器バレルの壁内に押し込むように配置される。したがって、注射器バレルからプランジャ・ロッドを引っ張り出すために増大された力は、結果として、バレル内へのロック要素の尖った自由端の係合を増大させる力をもたらすことになる。ロック要素を支持し、該ロック要素がバレルの内側表面に係合することを可能とするために、プランジャ・ロッドの末端部にロック要素の尖った自由端の経路に沿って切抜き領域126を設けることが好ましい。さらに、該切抜きを取り囲む領域のプランジャ・ロッドの末端部における領域は、薬剤の最終的投与分を送出する前に、使用者がプランジャ・ロッドの2回目の引き抜きをうっかり行った場合、自由端が末端方向に移動し、切抜き領域及びプランジャ・ロッドを通り越してバレルの内側表面に係合しないように強制される限り、たとえロック要素の尖った自由端がバレルに接触しているとしても、薬剤が依然として送出され得るように、ロック要素を支持すべく構成され得る。この場合、切抜きを取り囲む領域は、動きを支持し、制限し、ロック要素の尖った自由端の変形を防止するのに役立つ。
【0033】
図18に例示されるように、バレルの内側表面上に凹部又は凸部のような不連続部を設け、ロック要素の尖った自由端のバレルの内側表面との係合をさらに改善することも本発明の範囲内にある。図18において、注射器バレル102は、バレルの内側表面107上に内側に向けられた凸部127の形をした不連続部を含んでいる。この実施例において、凸部127は、バレル内へ突出し、内側表面の周りを360°囲んで延在する環状リングである。不連続部は、ロック要素に係合するように形作られている環状の凸部、環状の凹部又は1以上の凸部あるいは凹部の形をしていてもよい。それらは、全て、バレル内に配置され、ロック要素130の尖った自由端155に係合し、バレル及び内側表面上におけるロック要素の把持力を増大させる。
【0034】
本注射器アセンブリは、使用時に使用者により選択される様々な量の希釈剤が注射器内に吸引され、溶かれるべき物質が入っている小瓶内に該希釈剤を送出し、選択された量の溶かれた物質を注射器内に戻し、次に、注射器の内容物を送出することを可能とすることにより、従来装置より優れた改善点を提供する。選択された量の溶かれた物質は、使用者の自由裁量により溶かれた最大量以下であり得る。注射器アセンブリは、最後の注入ストローク後に、分配方向から吸引方向にプランジャ・ロッドの移動方向を変えることにより、自動的に無効になる。注射器プランジャの注入ストロークの後、プランジャ・ロッドは、無効化機構を動作させるべく引っ込められ、注射器バレルの基端部に向うストッパの軸方向の移動を妨げ、それにより、ストッパが取り外されることを防止し、注射器の再使用を妨げる。
【0035】
本注射器アセンブリがストッパ上及びプランジャ・ロッド内に2以上の戻り止めを有する場合、ストッパ用戻り止め及びプランジャ・ロッド用戻り止めに対するロック要素の最初の位置により注射器アセンブリの最大ストローク数が変更され得る。
【0036】
図1−18の注射器アセンブリに代わる別の実施態様を例示する図面、特に、図19−38を参照する。使用者の観点から見ると、注射器アセンブリ200の別の実施態要は、図1−18の注射器アセンブリと同様に作用する。しかしながら、注射器アセンブリ200は、主に注射器アセンブリの不正使用防止(the tamper resistance)を改善することを目的とする多くの構造的、機能的変更を含んでいる。
【0037】
使用可能な注射器アセンブリ200は、注射器バレル202及びプランジャ・アセンブリ204を含んでいる。バレル202は、流体を保持する室209を画定する内側表面207を有する円筒状の側壁206、開口基端部213及びそれを貫通し室と流体連通する通路219を有する末端壁217を含む末端部215を含んでいる。この実施態様においては、バレルの末端壁は、そこから末端方向に延在し、末端壁の通路と流体連通する通路を有する細長い先端部203を含んでいる。この実施態様において、バレル202は、また、基端部171、末端部172及びそれを貫通する内腔173を有する針カニューレ170を含んでいる。針カニューレの基端部は、針カニューレの内腔がバレルの通路219と流体連通するように、細長い先端部203に取り付けられている。
【0038】
プランジャ・アセンブリ204は、細長い中空のプランジャ・ロッド208、ストッパ228、及びロック要素130を含んでいる。細長いプランジャ・ロッド208は、基端部211、内部表面216を持つ側壁212を有する開口末端部210を含んでいる。内部表面は、少なくとも1つの戻り止め218を含んでいる。側壁は、軸方向の開口部214及び軸方向の開口部内に突出する位置決め突起220を含んでいる。位置決め突起は、末端面221及び基端面222を含んでいる。この実施態様においては、プランジャ・ロッドの内部表面の少なくとも1つの戻り止めは、プランジャ・ロッドの両側に2つずつの軸方向に区切られた4つの戻り止め218を含んでいる。一組の戻り止めそれぞれは、軸方向に区切られた段部225を形成するとともに、各段部がプランジャ・ロッドの内部表面から内側に向って延びるブラント面226をその末端部に有するように形作られることが好ましい。
【0039】
ストッパ228は、バレルの内側表面とともにシールを形成する周囲面231を有するシール要素229を含んでいる。ボス部材232が、シール要素から基端方向に突出している。ボス上には少なくとも1つのボス用戻り止めがあり、この実施態様においては、2つのボス用戻り止め233がある。ボス用戻り止めは、軸方向に区切られ、基端方向内側に向って延びる傾斜面240及び傾斜面それぞれの末端部においてブラント面241を含むことが好ましい。ストッパは、壊れ易い連結部235によりストッパに連結され、プランジャ・ロッドの位置決め突起220を受け入れ、軸方向凹部237内にある位置決め突起の軸方向の動きを制限する、基端縁部239を有する軸方向凹部237を画定する少なくとも1つの保持要素234を含んでいる。この実施態様においては、ボス部材の両側に配置される2つの保持要素があり、各保持要素は、好ましくは、3つの壊れ易い連結部により適切な位置に保持される。壊れ易い連結部は、保持要素をボス及び/又はシール要素の一部につなぐ壊れ易い結節(breakable protuberances)で作られることが好ましい。壊れ易い連結部は、プラスチック材料から一体的に成形されることが好ましい。いろいろな材料が該構造体を成形するのに適している。ポリスチレンやポリエチレンが好ましい。壊れ易い連結部は、構成要素の形状及び壊れ易い連結部の大きさや形により種々の要素の境界に沿ってどこにあってもよい。壊れ易い連結部は、また、壊れ易い接着剤で要素を連結することにより、あるいは、機械的なスナップ式装置などで部品をつなぐことにより作られ得る。これらの可能性の全てが本発明の範囲内にあり、一体的に成形された構造体が好ましい。ストッパは、熱可塑性プラスチック材料から一体的に形成されることが好ましい。シール要素及び/又はその周囲シール面は、エラストマー材料から作られ得る。
【0040】
ロック要素130は、そこを貫通する開口部152を有する中央本体部分148及び該本体部分から末端方向外側に向って延びる少なくとも1つの片持ち梁状脚部150及び開口部から内側に向って延びる少なくとも1つのフィンガ要素154を含んでいる。この実施態様においては、少なくとも2つの片持ち梁状脚部があり、該片持ち梁状脚部それぞれは、バレルの内側表面に係合する、外側に向けられている尖った自由端155を有している。尖った自由端155の構造は、鋭い刃や1以上の先の尖った歯などのように、バレルの内側表面に係合することができる構造であればどのような構造であってもよい。
【0041】
この実施態様においては、ストッパの保持要素234は、基端方向内側に向いている斜面227を含むことが好ましい。また、プランジャ・ロッド208は、プランジャ・アセンブリの組み立て時に位置決め突起が外側に撓むことを可能とするために、位置決め突起それぞれとプランジャ・ロッドの側壁とを連結する可撓性要素223を含むことが好ましい。ストッパの斜面は、組み立て時に、プランジャ・ロッドの突起に接触し、それが保持要素の基端縁部を通り過ぎるまで該突起を外側に押しやり、その後、位置決め突起220は、ストッパの軸方向凹部237内に移動することができる。以下により詳細に説明されるように、軸方向凹部は、位置決め突起の軸方向の長さより大きく、この関係がプランジャ・ロッドとストッパとの間の相対的動き、すなわち遊び(lost motion)を提供する。
【0042】
注射器の最初の位置においては、図31及び31Aに最も良く例示されるように、ロック要素130は、その尖った自由端155が軸方向に区切られた段部225の基端側でプランジャ・ロッドの内部表面に接触する状態で配置されている。ボス部材232は、フィンガ要素154がボス用戻り止め233の基端側でボス部材に接触するように、ロック要素130の開口部152に配置されている。位置決め突起220は、ストッパの軸方向凹部237内に配置されている。位置決め突起は、ストッパの軸方向凹部を補完し、プランジャ・ロッドに対してストッパの制限された軸方向の移動を許容するように構成される。図31及び31Aに例示される位置では、注射器アセンブリ200は、バレルの室内に液体を引き入れるために使える状態にある。
【0043】
示されるように、この実施態様のプランジャ・アセンブリの動作は、1回目の吸引ストローク、続いて1回目の分配ストローク、2回目の吸引ストローク、そして最終分配ストロークを含み、その後、注射器は、無効にされ得る。無効にする要素は、基端吸引方向のストッパの移動を防止又は阻止し、それにより、使い捨てのために注射器アセンブリの機能を制限する。ストロークの最大数は、プランジャ・ロッドの軸方向に配置される戻り止めの数及びストッパの軸方向に配置されるボス用戻り止めの数により制限される。しかしながら、注射器が行ない得る実際のストローク数は、最初の使用時において、プランジャ・ロッドの戻り止め及びストッパの戻り止めに対するロック要素の位置により決定されるだろう。例えば、2つのプランジャ用戻り止め及び2つのストッパ用戻り止めを持つ注射器は、2ストローク又は4ストロークが可能である注射器として末端使用者に対し供給され得る。
【0044】
注射器アセンブリは、今や、注射器バレルを保持している間にプランジャ・ロッドの基端部のサム・プレス243に基端方向に向けられた力を加えることにより、滅菌水のような液体希釈剤をバレルの室内に引き込むために使用され得る。図32及び32Aに示されるように、このことは、図32に最も良く示されるように、片持ち梁状脚部150の自由端がプランジャ・ロッドの内部表面に沿って末端方向に移動し、軸方向に区切られた段部225の最も基端側の段部225のブラント面226を過ぎてパチンと音をたてるまで、ストッパに対してプランジャ・ロッドを基端方向に移動させる。また、この最初の吸引ストローク中、図32Aに最もよく例示されるように、位置決め突起220の基端面222が保持要素234の基端縁部239に接触すると、プランジャ・ロッドが基端方向に移動するにつれて、ストッパがバレルに対して基端方向に引き込められる。ストッパは、今や、使用者により決定された通り、所望の量の液体が室内に入るまで、プランジャ・ロッドの作用によって基端方向に移動する。
【0045】
室内の液体希釈剤は、今や、溶かれるために凍結乾燥された薬剤のような乾燥した薬剤の瓶内に排出され得る。この最初の分配ストロークは、バレルを保持している間にプランジャ・ロッドを末端方向に移動させることにより達成される。バレル・フランジ224は、バレルの基端部に設けられ、注射器アセンブリの使用中、バレルの動きを制御するのに役立つ。図33及び31Aに最も良く例示されるように、プランジャ・ロッドが末端方向に移動すると、ロック要素のフィンガ要素130が、傾斜面240を乗り越え、第2の戻り止めに落ち込むことにより、最も基端側のボス用戻り止めから最も末端側のボス用戻り止めまで摺動するように、ロック要素130は、プランジャ・ロッドとともに移動し、プランジャ・ロッドでロック要素を引きずる。プランジャ・ロッドがストッパに接触すると、ストッパは、プランジャ・ロッドと一緒に末端方向に移動し始め、液体希釈剤を室から、例えば、凍結乾燥された薬剤の瓶内に排出されるだろう。
【0046】
希釈剤と凍結乾燥された薬剤とが混合されると、図34及び32Aに最も良く例示されるように、注射器バレルを保持している間に、プランジャ・ロッドに基端方向に向けられた力を加えることにより、本発明に係る注射器アセンブリは、今や、溶かれた、いつでも注入できる薬剤を注射器バレルの室内に引き込むのに使用され得る。この基端方向に向けられた力は、プランジャ・ロッドを基端方向に移動させ、他方、ロック要素130は、ストッパのボス用戻り止めとの接触によって相対的に静止したままだろう。プランジャ・ロッドの基端方向への動きは、片持ち梁状脚部の尖った自由端155が軸方向に区切られた段部225の最も基端側の段部から最も末端側の段部まで移動させるように、ロック要素をプランジャ・ロッドの内部表面に沿って末端方向に移動させる。プランジャ・ロッドの基端方向への動きは、また、ストッパが今やプランジャ・ロッドとともに基端方向に移動し、溶かれた薬剤を使用者により決定された量まで注射器バレルの室内に引き込むように、プランジャ・ロッドの位置決め突起の基端面222をストッパの保持要素234の基端縁部239に接触させる。本発明の利点は、室内に引き込まれた薬剤の量、したがって送出され得る薬剤の最大量が使用時において使用者により決定され、製造時において構成要素の配置により決定されるものではないということにある。
【0047】
本発明の注射器アセンブリは、今や、図35及び31Aに最も良く例示されるように、2回目であって最終の分配ストロークの準備が整っている。薬剤は、プランジャ・ロッドに末端方向に向けられた力を加え、プランジャ・ロッドをバレルに対して末端方向に移動させることにより、患者に送出される。プランジャ・ロッドが末端方向に進むと、ロック要素の尖った自由端155の、軸方向に区切られた段部225の最も末端側のブラント面226との係合が、ロック要素のフィンガ要素154が最も末端側のボス用戻り止め233を末端方向に通り過ぎ、ボス用戻り止めの最も末端側の傾斜面240を乗り越えるように、ロック要素を末端方向に移動させる。図31Aに例示されるように、末端方向に移動するプランジャ・ロッドがストッパに接触すると、ストッパ及びプランジャ・ロッドの両方がバレルの末端方向に向って移動し、通路を介して室の内容物を排出する。
【0048】
注射器アセンブリは、今や、使用が完了し、いつでも無効にされる準備ができている。プランジャ・ロッドを基端方向に移動させ、さらなる使用のために注射器アセンブリを再充填しようとするいかなる試みも、ロック要素が注射器を無効にするだろう。具体的には、図36及び32Aに最も良く例示されるように、基端方向へプランジャ・ロッドを移動させることは、ロック・クリップの尖った自由端155がプランジャ・ロッドの端部を過ぎてパチンと音を立て、バレルの側壁の内側表面207に係合するまで、プランジャ・ロッドが短い距離移動することを可能とする。プランジャのさらなる基端方向への動きは、ロック要素のバレル側壁の内側表面への係合により阻止される。さらに、ストッパ上にカム面242を有することが好ましい。該カム面は、ロック要素の片持ち梁状脚部に接触し、基端方向に向けられたより大きな力が注射器を不適切に再使用しようとする試みにおいて使用されると、尖った自由端155を注射器バレルの壁内にさらに押し付けるように配置されている。
【0049】
注射器アセンブリを不適切に再使用しようとする試みにおいて使用されるさらなる基端方向に向けられた力は、位置決め突起の基端面がこの過度な力をストッパの保持要素の基端縁部に伝え、図37及び38に最も良く例示されるように、ストッパの壊れ易い連結部235が、プランジャ・ロッドとストッパを切り離し、プランジャ・アセンブリの機能性を破壊するようにばらばらにされるだろう。したがって、プランジャ・ロッドへの過大な力がバレルの内側表面へのロック要素の尖った自由端の把持力に打ち勝つのに十分に強いとしても、ばらばらにされた保持要素が、プランジャ・ロッドがストッパ無しに注射器アセンブリを離れることを容易にする。
【0050】
本発明のプランジャ・ロッドは、プランジャ・ロッドの基端部を末端部に対して回転させるのに必要とされる接線力が該基端部分を該末端部分から切り離すのに必要とされる軸方向の力より小さいように連結されている末端部分244と基端部分245とを備えるツーピース構造体(a two-piece construction)であることが好ましい。本実施態様においては、連結部は、プランジャ・ロッドの基端部分245の末端突出部246で与えられている。プランジャ・ロッドの末端部分244は、末端突出部246を受け入れる凹部251を含んでいる。該凹部は、末端部分の基端部249にある。溝253が該凹部に形成され、隆起した周囲結節247をスナップ嵌合装置で受け入れる。結節は、末端方向内側に向って細くなっており、結節が溝内に嵌合する時、係合力を減少させ、他方、解放力を増大させる。このことは、本実施態様の重要な特徴である。なぜならば、使用者がロック要素を押さえつけ、プランジャ・アセンブリをバレルから引き抜くためにプランジャの基端部分を回転させるべく接線力すなわち回転力(torque)を加えることにより注射器アセンブリを適切に再使用しようとすることを試みることができるからである。この構造においては、プランジャ・ロッドの基端部分は、プランジャ・ロッドの末端部分を介して回転力を伝えるよりはむしろ、害を及ぼさない形で回転するだろう。連結が引っ張りに抗するよりも回転に抗するのに弱いように、プランジャ・ロッドの基端部分と末端部分とを連結するたくさんの方法がある。せん断よりも引っ張りに強い構造が使用され得る。プランジャの基端部分と末端部分との間に追加された要素が所望の特性を提供するために使用され得る。プランジャの基端部分及び末端部分の交差部は、せん断より引っ張りに強いきつく包まれたフィルムにより一緒に保持され得る。引っ張りよりねじりに弱い、プランジャ・ロッドの基端部分と末端部分との間の連結を達成するこれらの多くの方法の全ては、本発明の範囲内にあり、溝を有する凹部と結合する隆起した周囲結節を持つ末端突出部は、これらの多くの可能性を単に代表するものである。
【0051】
本実施態様の重要な利点は、バレルの側壁に加えられる過大な力に抵抗し、プランジャ・ロッドをストッパに連結する構造を外すことにある。本実施態様においては、プランジャ・ロッド上の過大な力は、例え、プランジャ・ロッドの位置決め突起220を曲げることが可能であるとしても、取り外すよりはむしろストッパとより深く係合するように該突起を押し進めるだけである。図1−18の実施態様においては、工具と同様な過大な力をバレルの側壁に加え、プランジャ・ロッドにおけるストッパの取り外しを可能とするのに十分離れた状態に、外側に向って延びるリブを押し込むことにより、片持ち梁状のアーム140の外側に向って延びるリブ142は、ほぼ間違いなく、プランジャ・ロッドの開口部114から撓む。図1−18の実施態様の構成要素は、この危険を最小限度に抑える、あるいは排除するように設計される。しかしながら、本実施態様の構成要素は、バレルの側壁を撓ませることにより、本質的に、プランジャ・ロッド及びストッパの操作の妨げとなる。
【0052】
様々な実施態様が本発明を説明するために選択されてきたが、当然のことながら、変更や修正が本発明の範囲から逸脱することなくなされ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を保持する室を画定する内側表面を有する円筒状の側壁、開口基端部、及びそれを貫通し、前記室に流体連通する通路を有する末端壁を含んでいる末端部を含むバレル、
基端部、内部表面を有する側壁を含んでいる開口末端部であって、前記側壁が軸方向の開口部を有する開口末端部、前記内部表面上の少なくとも1つの戻り止め、及び前記開口部内に突出する位置決め突起であって、末端面及び基端面を有する位置決め突起を有する細長いプランジャ・ロッド、
前記バレルの前記内側表面とともにシールを形成する周囲面を有する円形形状のシール要素、前記シール要素から基端方向に突出するボス部材、前記ボス上の少なくとも1つのボス用戻り止め、壊れ易い連結部により前記ストッパに連結され、前記プランジャの前記位置決め突起を受け入れ、軸方向凹部内における前記位置決め突起の軸方向の移動を制限する、基端縁部を有する前記軸方向凹部を画定している保持部材を含むストッパ、
そこを貫通する開口部を有する中央本体部分、前記本体部分から末端方向外側に向って延びる少なくとも1つの片持ち梁状脚部であって、前記バレルの前記内側表面に係合する、外側に向けられている尖った自由端を有する片持ち梁状脚部、及び前記開口部から基端方向内側に向って延びる少なくとも1つのフィンガ要素を含むロック要素、
を備え、
前記ロック要素は、前記尖った自由端が前記少なくとも1つの戻り止めの基端側で前記プランジャ・ロッドの前記内部表面に接触するように配置され、前記ボス部材は、前記ロック要素の前記開口部に配置され、前記少なくとも1つのフィンガ要素は、前記少なくとも1つのボス用戻り止めの基端側で前記ボスに接触しており、その結果、前記バレルを保持している間に基端方向に向けられた力を前記プランジャ・ロッドに加えることが、前記片持ち梁状の脚部の前記自由端が前記プランジャ・ロッドの前記内部表面に沿って前記少なくとも1つの戻り止めまで末端方向に移動し、前記位置決め突起の基端面が前記保持要素の前記基端縁部に接触し、選択された距離にわたって前記ストッパを基端方向に移動させるまで、前記ストッパに対して前記プランジャ・ロッドを基端方向に移動させ、続いて、前記室から前記通路を通って流体を排出するために、末端方向に向けられた力を前記プランジャ・ロッドに加えることが、前記ロック要素の前記フィンガ要素が前記少なくとも1つのボス用戻り止めを乗り越え、前記少なくとも1つのボス用戻り止めに接触し、前記プランジャ・ロッドが前記ストッパに接触し、前記ストッパを末端方向に移動させ、前記室から流体を排出するまで、前記少なくとも1つの戻り止めにそれが係合していることにより、前記ロック要素とともに前記プランジャ・ロッドを末端方向に移動させ、その後、基端方向に向けられた力を前記プランジャ・ロッドに加えることが、前記少なくとも1つの片持ち梁状脚部の前記尖った自由端が前記バレルの前記内側表面に係合し、前記ストッパの基端方向への移動を阻止することを助け、注射器アセンブリを無効にするように、前記片持ち梁状脚部の前記自由端が前記プランジャ・ロッドの前記末端部を過ぎて前記内部表面に沿って末端方向に移動するまで、前記プランジャ・ロッドを基端方向に移動させることを特徴とする無効化構造を有する使用可能な注射器アセンブリ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの片持ち梁状脚部の前記尖った自由端が前記バレルの内側表面に係合した後に、さらなる基端方向に向けられた力をプランジャ・ロッドに加えることが、前記位置決め突起の基端面を前記保持要素の前記基端縁部に接触させ、前記ストッパとの前記壊れ易い連結部を分断し、ストッパを前記プランジャ・ロッドとの係合から解放することを特徴とする請求項1に記載の注射器アセンブリ。
【請求項3】
前記位置決め突起は、少なくとも2つの位置決め突起を含むことを特徴とする請求項1に記載の注射器アセンブリ。
【請求項4】
前記軸方向の開口部は、2つの軸方向の開口部を含み、前記位置決め突起は、各前記軸方向の開口部内に突出する少なくとも1つの位置決め突起を含み、前記ストッパは、前記軸方向の開口部のそれぞれと整列する軸方向凹部を含むことを特徴とする請求項1に記載の注射器アセンブリ。
【請求項5】
前記軸方向の開口部それぞれは、少なくとも2つの位置決め突起を含むことを特徴とする請求項4に記載の注射器アセンブリ。
【請求項6】
前記ストッパとの組み立て中に前記位置決め突起が外側に向って撓むことを可能とするために、前記位置決め突起と前記プランジャ・ロッドの前記側壁とを接続する可撓性要素を含むことを特徴とする請求項1に記載の注射器アセンブリ。
【請求項7】
前記位置決め突起及び前記可撓性要素は、熱可塑性プラスチック材料から一体的に形成されることを特徴とする請求項6に記載の注射器アセンブリ。
【請求項8】
前記ストッパの前記保持要素は、前記注射器アセンブリの組み立て中に前記位置決め要素を外側に向って撓ませるために、基端方向に且つ内側に向けられた斜面をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の注射器アセンブリ。
【請求項9】
前記プランジャ・ロッドの基端方向への移動が前記ロック要素を前記バレルの前記内側表面に係合させる前に、前記プランジャ・ロッドが末端方向に2回移動し得るように、前記プランジャ・ロッド内の前記少なくとも1つの戻り止めは、軸方向に区切られた2つの戻り止めを含み、且つ、前記ボス上の前記少なくとも1つの戻り止めは、軸方向に区切られた2つの戻り止めを含むことを特徴とする請求項1に記載の注射器アセンブリ。
【請求項10】
前記プランジャ・ロッド内の前記軸方向に区切られた2つの戻り止めは、それぞれがその末端部において前記内部表面から内側に向って延びるブラント面を有する、軸方向に区切られた2つの段部を含むことを特徴とする請求項9に記載の注射器アセンブリ。
【請求項11】
前記軸方向に区切られた2つのボス用戻り止めは、それぞれ、基端方向内側に向って延びる傾斜面及び前記傾斜面それぞれの末端部において半径方向内側に向って延びるブラント面を含むことを特徴とする請求項9に記載の注射器アセンブリ。
【請求項12】
前記ロック要素の前記少なくとも1つの片持ち梁状脚部は、前記中央本体部分の反対側に配置される2つの片持ち梁状脚部を含み、軸方向に区切られたさらなる2つの戻り止めが、前記軸方向に区切られた2つの戻り止めに対向して前記プランジャ・ロッドに設けられることを特徴とする請求項9に記載の注射器アセンブリ。
【請求項13】
前記ロック要素の前記バレルの前記内側表面との係合に打ち勝とうとして、基端方向に向けられた過大な力が前記プランジャ・ロッドに加えられたとき、前記2つの片持ち梁状脚部に係合し、これを外側に向って押し出すように配置される、前記ストッパ上の2つの半径方向の突出部をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の注射器アセンブリ。
【請求項14】
前記プランジャ・ロッドは、末端部分に対して基端部分を回転させるのに必要とされる接線力が前記末端部分から前記基端部分を分離するのに必要とされる軸方向の力より小さいように連結される、末端部分と基端部分を含むことを特徴とする請求項1に記載の注射器アセンブリ。
【請求項15】
前記バレルの前記末端壁は、前記末端壁の通路と流体連通する通路を有する、末端壁から末端方向に延びる細長い先端部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の注射器アセンブリ。
【請求項16】
末端部、基端部及びそれを貫通する内腔を有する針カニューレをさらに含み、前記針カニューレの前記基端部は、前記内腔が前記通路と流体連通するように、前記バレルの前記末端部に連結されることを特徴とする請求項1に記載の注射器アセンブリ。
【請求項17】
前記ロック要素は、金属薄板から作られることを特徴とする請求項1に記載の注射器アセンブリ。
【請求項18】
前記ストッパは、熱可塑性プラスチック材料から一体的に形成されることを特徴とする請求項1に記載の注射器アセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図11A】
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【図12】
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【図12A】
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【図13】
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【図13A】
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【図14】
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【図14A】
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【図15】
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【図15A】
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【図16】
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【図16A】
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【図17】
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【図17A】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図31A】
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【図32】
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【図32A】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【公表番号】特表2010−520031(P2010−520031A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552846(P2009−552846)
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/055847
【国際公開番号】WO2008/109630
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】