説明

不正開封防止環付容器

【課題】キャップを開封した時にボトルの口頸部に残った不正開封防止環が使用中に外れてしまうことのない不正開封防止環付容器を提供することが本発明の課題である。
【解決手段】ボトルの口頸部下端部に配置したフランジ部と、口頸部に螺着するキャップ本体と、キャップ本体の周壁下端に複数個の易破断連結帯を介して連結する不正開封防止環とを有する不正開封防止環付容器であって、前記フランジ部天面は、起立する複数の屈曲爪と、屈曲爪の先端かつフランジ部天面と対向する側に係止部とを有し、前記不正開封防止環の下端は、外方に延設した下端板部と、下端板部天面に配置され、係止部と嵌合する突起部とを有することを特徴とする不正開封防止環付容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料などの液体内容物を充填するプラスチック製の不正開封防止環付容器に関するものである。より詳しくは、不正開封防止機能を有するとともに、不正開封防止環の落下を防止する機能を有する不正開封防止環付容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料などの液体内容物を充填した例えばPETボトル(ポリエチレンテレフタレートを二軸延伸ブロー成形したボトル)などのプラスチック製のボトルには、流通過程で誤って又は故意に開封されることを防ぐ、つまり商品のバージン性を確保するために、キャップ本体の周壁下端に複数個の易破断連結帯で不正開封防止環を接続するキャップを、ボトルの口頸部に螺着して封止した不正開封防止環付容器が使用されていた。
【0003】
この不正開封防止環付容器は、内容物を使用するためにキャップ本体を螺脱回転方向へ回転すると、ボトルの口頸部の下方部の周方向に設けられたラチェット爪と、キャップの不正開封防止環の内周面に設けられたラチェット爪が嵌合して、キャップの易破断連結帯が破断し、キャップ本体と不正開封防止環が分離してボトルが開封するものであった。
【0004】
このような不正開封防止環付容器においてキャップの易破断連結帯が破断してキャップ本体と分離した後の不正開封防止環の挙動が開封後特に再閉蓋時に作業の邪魔になることが問題となっており、不正開封防止環がボトル側に残る場合あるいはボトルから外れて再閉蓋時には残っていない場合を含めていくつかの構造が提案されている。
【0005】
特許文献1にはラチェット方式のTEバンド(不正開封防止環)を備えて開封履歴明示機能を有しているキャップであり、不正開封防止環が開栓によっては破断しない第1のブリッジと、開栓に際して容易に破断する第2のブリッジによってキャップに連結されている構造により、開栓に際して、TEバンドが容器口部に残らず、キャップ本体とともにTEバンドを容器口部から取り外すことができるため、容器内容液の注ぎ出し等に際して、TEバンドが容器口部から落下して誤飲等を生じるなどのおそれのないキャップが示されている。
【0006】
しかしながら、上述の従来の不正開封防止環付容器は、不正開封防止環が開栓後にキャップ本体と連結した状態であるために再度キャップを閉蓋する場合に邪魔になり見栄えも悪い等の問題が指摘されている。
【0007】
これに対して、特許文献2には、ねじキャップを開封方向に回転させたときに、封止バンドの破断予定部を確実に破断させることができる容器の抽出口として封止バンドの破断時の変形を防止する構造を採用した提案がなされている。これによれば封止バンドは開封時に確実にねじキャップから分離されるが、分離した後の封止バンドはボトルの口部に残っている場合とボトル口部から外れて落下する場合とのいずれかの不安定な状態になってしまう。
【0008】
特許文献6にはリングに縦方向の弱化線を刻設しかつこの弱化線の傍らの一部のブリッジを強くしておき該ブリッジの破断前に弱化線が破断状態となるようにした構成をキャップに設けることによって、開封時にリングもキャップとともに除去されるというキャップが提案されている。
【0009】
このキャップを用いた場合には、開蓋の際にリングもキャップ本体とともにボトル口頚
部から除去されるがつぎにキャップを再装着する際にはキャップ本体とリングを連結して残っているブリッジを切断して、リングとキャップ本体を分離しなければならないという難点を持っている。
【0010】
これに対して、特許文献3、特許文献4には、リングの弱化部を挟んで対面していて開蓋時のキャップ本体の回転によりブリッジがすべて破断した後に当接する一対の突起をキャップ本体とリングとに具備することによって、ブリッジ破断後にリングの弱化部を破断するから、リングは開蓋時にキャップ本体から分離しかつ容器本体からも除去され開蓋後リングをキャップ本体あるいは容器本体から除去するという手間を必要としない構造が提案されている。
【0011】
これによれば、リングとキャップ本体および容器本体からの分離は達成されるが分離したリングはボトルの口部に残っている場合とボトル口部から外れて落下する場合とのいずれかの不安定な状態になってしまうという問題は依然残されている。
【0012】
従来の不正開封防止環付容器は、たとえば、ボトルの口頸部の下方部の周方向に4個のラチェット爪が設けられ、キャップの不正開封防止環の内周面の周方向に8個のラチェット爪が設けられており、キャップをボトルの口頸部に螺着するときに、キャップの4個のラチェット爪がボトルの4個のラチェット爪を同時に乗り越えるため、複数回にわたって強いトルク値を必要とし、この結果、キャップの螺着トルク値を一定に安定させることが難しく、キャップがボトルの口頸部に強く螺着し過ぎることがあった。
【0013】
また、キャップをボトルの口頸部から螺脱するときに、キャップの4個のラチェット爪がボトルの4個のラチェット爪と同時に嵌合してキャップ本体と不正開封防止環を連結する複数個の易破断連結帯を同時に破断するため、易破断連結帯の破断に高いトルク値を必要とし、キャップ本体が螺脱しにくいことがあった。
【0014】
これらの問題に対して、特許文献5には、複数個のラチェット爪を下方部の周方向に設けたボトルの口頸部に、キャップ本体の周壁下端に、周方向に複数個のラチェット爪を内周面に設けた不正開封防止環を、複数個の易破断連結帯を介して連結するキャップを螺着し、前記キャップを螺脱するときに、前記ボトルのラチェット爪と前記キャップのラチェット爪とが嵌合して前記キャップの易破断連結帯が破断し、キャップ本体と不正開封防止環が分離して開封する不正開封防止環付容器において、キャップのラチェット爪とボトルの口頸部に設けるラチェット爪の個数を異ならせて、開封時のトルクを分散させた不正開封防止環付容器が提案されている。
【0015】
この提案によれば、キャップをボトルの口頸部に螺着するとき、安定したトルク値で螺着しやすく、また、キャップをボトルの口頸部から螺脱するときに、高いトルク値を必要とせず、キャップ本体が螺脱しやすい不正開封防止環付容器が提供できる。
【0016】
しかしながら、これらの不正開封防止環付容器では、開封時に不正開封防止環がキャップ本体またはボトル口部から分離する構造になっているため、開封してから容器を傾け内容物を注ぎ出した際に不正開封防止環が落下することがあり問題となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2004−149156号公報
【特許文献2】特開2009−292498号公報
【特許文献3】特公平4−8305号公報
【特許文献4】特公平4−51430号公報
【特許文献5】特開2004−25612号公報
【特許文献6】特開昭57−28766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
上述の従来の不正開封防止環付容器の問題に鑑み、キャップを開封した時にボトルの口頸部に残った不正開封防止環が使用中に外れてしまうことのない不正開封防止環付容器を提供することが本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の請求項1に係る発明は、ボトルの口頸部下端部に配置したフランジ部と、口頸部に螺着するキャップ本体と、キャップ本体の周壁下端に複数個の易破断連結帯を介して連結する不正開封防止環とを有する不正開封防止環付容器であって、前記フランジ部天面は、起立する複数の屈曲爪と、屈曲爪の先端かつフランジ部天面と対向する側に係止部とを有し、前記不正開封防止環の下端は、外方に延設した下端板部と、下端板部天面に配置され、係止部と嵌合する突起部とを有することを特徴とする不正開封防止環付容器である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の請求項1に係る発明の不正開封防止環付容器は、ボトルの口頸部下端部に配置したフランジ部と、口頸部に螺着するキャップ本体と、キャップ本体の周壁下端に複数個の易破断連結帯を介して連結する不正開封防止環とを有し、前記フランジ部天面は、起立する複数の屈曲爪と、屈曲爪の先端かつフランジ部天面と対向する側に係止部とを有し、
前記不正開封防止環の下端は、外方に延設した下端板部と、下端板部天面に配置され、係止部と嵌合する突起部とを有する構造であるので、開封する際にキャップを螺脱方向に回すことによって不正開封防止環の突起部とボトル側の係止部とがしっかりと嵌合しているため不正開封防止環はボトル側に残る。
【0021】
その結果、ボトルを傾けても、屈曲爪に支持されるため、不正開封防止環が落下しない。このようにして、キャップを開封した時にボトルの口頸部に残った不正開封防止環が使用中に外れてしまうことを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の不正開封防止環付容器の一例の構成概観図。(a)閉蓋時の容器の上から見た部分断面。(b)閉蓋時の容器の横から見た部分断面。(c)閉蓋前の容器のキャップの概観図。(d)閉蓋前の容器の中栓の概観図。(e)閉蓋前の容器のボトルの概観図。
【図2】図1の不正開封防止環付容器の部分拡大図。(f)キャップ略図(g)回転方向正面から見た突起部。(h)突起部(A−A’)の回転方向断面。(i)中栓略図。(j)回転方向正面から見た屈曲爪。(k)屈曲爪の係止部(B−B’)の回転方向断面。
【図3】図1の不正開封防止環付容器の使用状態の略図。(l)内容物充填前略図。(m)内容物充填閉蓋後略図。(n)開封後略図。(o)内容物充填前係止部回転方向断面。(p)内容物充填閉蓋後係止部回転方向断面。(q)開封後係止部回転方向断面。
【図4】本発明の不正開封防止環付容器の別の一例の構成概観図。(a)閉蓋時の容器の上から見た部分断面。(b)閉蓋時の容器の横から見た部分断面。(c)閉蓋前の容器のキャップの概観図。(d)閉蓋前の容器の中栓の概観図。(e)閉蓋前の容器のボトルの概観図。
【図5】図4の不正開封防止環付容器の部分拡大図。(f)キャップ略図。(g)回転方向正面から見た突起部。(h)突起部(A−A’)の回転方向断面。(i)中栓略図。(j)回転方向正面から見た屈曲爪。(k)屈曲爪の係止部(B−B’)の回転方向断面。
【図6】図4の不正開封防止環付容器の使用状態の略図。(l)内容物充填前略図。(m)内容物充填閉蓋後略図。(n)開封後略図。
【図7】本発明の不正開封防止環付容器の別の一例の構成概観図。(a)閉蓋時の容器の上から見た部分断面。(b)閉蓋時の容器の横から見た部分断面。(c)閉蓋前の容器のキャップの概観図。(d)閉蓋前の容器の中栓の概観図。(e)閉蓋前の容器のボトルの概観図。
【図8】図7の不正開封防止環付容器の使用状態の略図。(l)内容物充填前略図。(m)内容物充填閉蓋後略図。(n)開封後略図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の不正開封防止環付容器のいくつかの実施形態例について、必要に応じて図面を参照しながら説明する。
【0024】
図1には本発明の不正開封防止環付容器の一例の構成概略図を示した。
図1の(a)は閉蓋時の容器の上から見た部分断面図、(b)は閉蓋時の容器の横から見た部分断面図、(c)は閉蓋前の容器のキャップの概観図、(d)は閉蓋前の容器の中栓の概観図、(e)は閉蓋前の容器のボトルの概観図をそれぞれ示している。
【0025】
図2には図1の不正開封防止環付容器の部分拡大図を示した。
図2の(f)はキャップ略図、(g)はキャップの回転方向正面から見た突起部、(h)は突起部(A−A’)の回転方向から見た断面、(i)は中栓略図、(j)は回転方向正面から見た屈曲爪、(k)は屈曲爪の係止部(B−B’)の回転方向断面をそれぞれ示している。
【0026】
図3には図1の不正開封防止環付容器の使用状態の略図を示した。
図3の(l)は内容物充填前の略図、(m)は内容物充填閉蓋後の略図、(n)は開封後の略図、(o)は内容物充填前係止部回転方向断面、(p)は内容物充填閉蓋後係止部回転方向断面、(q)は開封後係止部回転方向断面をそれぞれ示している。
【0027】
なお、以下の実施形態例ではボトルの口頸部下端部に配置したフランジ部として、ボトル本体の口頸部に打栓あるいは螺着された中栓のフランジ部を用いた例を示したが、このフランジ部はもちろんボトル本体の口頸部に直接形成(図示しない)されていても良い。
【0028】
本発明の不正開封防止環付容器は図1、図2、図3に示したように、ボトルの口頸部を形成する中栓(2)の下端部に配置したフランジ部(7)と、口頸部に螺着するキャップ(1)と、キャップ本体(14)の周壁下端に複数個の易破断連結帯(11)を介して連結する不正開封防止環(4)とを有し、フランジ部(7)の天面には、起立する複数の屈曲爪(8)と、屈曲爪の先端かつフランジ部天面と対向する側に係止部(9)とを有し、不正開封防止環(4)の下端は、外方に延設した下端板部(5)と、下端板部天面に配置され、係止部(9)と嵌合する突起部(6)とを有する構造である。
【0029】
本発明の不正開封防止環付容器は、ボトルの口頸部に不正開封防止環付キャップを螺着するものであり、図1(c)に示したように螺合の時は「閉」螺脱の時は「開」の矢印方向でキャップ(1)を回転させることにより螺合及び螺脱を行う。
【0030】
この不正開封防止環付容器は、開封するためにキャップ本体(14)を螺脱回転方向へ回転すると、ボトルの口頸部に固定された中栓(2)の下方部の周方向に外延して設けられたフランジ部(7)の天面に設けられる屈曲爪(8)と、キャップの不正開封防止環(4)の外周面の下端板部(5)に設けられた突起部(6)が屈曲爪(8)の先端にある係合部で嵌合して、キャップの易破断連結帯(11)が破断した時に、不正開封防止環(4)
が突起部(6)で屈曲爪(8)と嵌合することによってボトル口頸部からの分離が阻止され、不正開封防止環(4)がボトルから落ちて作業の邪魔になることがなくなる。
【0031】
ボトルの口頸部に固定された中栓(2)の下方部(雄ねじの下)に設けられる図2の(i)に示す複数個の屈曲爪(8)は図2の(j)にその回転方向正面から見た図で示すようにフランジ外周部(13)から立ち上がって内側に屈曲し、その先端にフランジ天面に向いた係止部(9)を備えたものである。屈曲爪先端の係止部のB−B’線における回転方向断面の形状を図2の(k)に示す。屈曲爪先端の係止部(9)はキャップの螺着時に接触する側(図の右側)の下面に傾斜面をもちキャップの螺脱時に接触する側(図の左側)に垂直面をもつ。
【0032】
屈曲爪(8)の形状をこのようにすることによって、開封時に易破断連結帯(11)が破断したときに切り離された不正開封防止環(4)はその突起部(6)の周方向への移動が係止部(9)の嵌合によって制限され、中心方向からの移動がフランジ外周部(13)から立ち上がった屈曲爪(8)によって制限される結果不正開封防止環はボトル口頸部から落ちることがなくなる。
【0033】
キャップ(1)の周壁下端に複数個の易破断連結帯(11)を介して連結する不正開封防止環(4)を備えたキャップの略図を図2の(f)に示した。
このキャップは不正開封防止環(4)の下端が、外方に延設した下端板部(5)と、下端板部天面に配置され、屈曲爪(8)先端の係止部(9)と嵌合する突起部(6)とを有する構造となっている。
【0034】
図2の(f)に示す複数の突起部(6)は図2の(g)にその回転方向正面から見た図で示すように屈曲爪(8)に対応する周方向の下端板部(5)の空隙の位置で、下端板部天面に連接して設けられ、その先端に中栓のフランジ部(7)天面に向いた係止部(9)と嵌合する形状を備えたものである。
【0035】
突起部(6)の先端のA−A’線における回転方向断面の形状を図2の(k)に示す。突起部先端の係止部(9)と嵌合する部分はキャップの螺着時に接触する側(図の左側)の上面に傾斜面をもちキャップの螺脱時に接触する側(図の右側)に垂直面をもつ。
【0036】
突起部(6)の形状をこのようにすることによって、開封時に易破断連結帯(11)が破断したときに切り離された不正開封防止環(4)はその突起部(6)の周方向への移動が係止部(9)の嵌合によって制限され、中心方向からの移動がフランジ外周部(13)から立ち上がった屈曲爪(8)によって制限される結果不正開封防止環はボトル口頸部から落ちることがなくなる。
【0037】
図3には本発明の不正開封防止環付容器の使用状態の略図を示した。図3の(l)は内容物充填前の略図、(m)は内容物充填閉蓋後の略図、(n)は開封後の略図、(o)は内容物充填前係止部の回転方向の断面、(p)は内容物充填閉蓋後係止部の回転方向の断面、(q)は開封後係止部の回転方向の断面を示している。
【0038】
図3の(l)は本発明の不正開封防止環付容器のキャップとボトル口頸部(中栓)の略図である。充填前の部品としての構成を端的に示した。図3の(o)はその充填前の係止部(9)近辺の突起部(6)及び屈曲爪(8)の回転方向の断面の模式図であり、下の矢印は不正開封防止環にかかる力の方向を示している。
【0039】
図3の(m)は本発明の不正開封防止環付容器のキャップとボトル口頸部(中栓)の略図である。内容物を充填して閉蓋後の状態を端的に示した。図3の(p)はその係止部(9
)近辺の突起部(6)及び屈曲爪(8)の回転方向の断面の模式図であり、下の矢印は不正開封防止環にかかる力の方向を示している。
【0040】
図3の(n)は本発明の不正開封防止環付容器のキャップとボトル口頸部(中栓)の略図である。開封後の状態を端的に示した。図3の(q)はその開封後の係止部(9)近辺の突起部(6)及び屈曲爪(8)の回転方向の断面の模式図であり、下の矢印は不正開封防止環(4)にかかる力の方向を示している。
【0041】
図3の(o)に断面を示したように、屈曲爪(8)の係止部(9)と突起部(6)は互いに回転方向斜面部をすり合わせる方向で螺合方向に力を加えて閉蓋される。閉蓋された状態では(p)に示すように突起部(6)と屈曲爪(8)が互いにその垂直部でかみ合う形で係止される。この時の係止は必ずしもぴったり嵌合する必要はなく多少の遊びがあっても構わない。
【0042】
これを開封するときは(q)に示すように螺脱方向の力を加えることによって突起部(6)を通して不正開封防止環(4)とキャップ本体(14)をつなぐ易破断連結帯(11)が破断して開封する。この時分離した不正開封防止環(4)は前述の理由によってボトル口頸部に残り容易に離脱することはない。
【0043】
図4には本発明の不正開封防止環付容器の他の一例の構成概略図を示した。
図4の(a)は閉蓋時の容器の上から見た部分断面図、(b)は閉蓋時の容器の横から見た部分断面図、(c)は閉蓋前の容器のキャップの概観図、(d)は閉蓋前の容器の中栓の概観図、(e)は閉蓋前の容器のボトルの概観図をそれぞれ示している。
【0044】
図5には図4の不正開封防止環付容器の部分拡大図を示した。
図5の(f)はキャップ略図、(g)はキャップの回転方向正面から見た突起部、(h)は突起部(A−A’)の回転方向から見た断面、(i)は中栓略図、(j)は回転方向正面から見た屈曲爪、(k)は屈曲爪の係止部(B−B’)の回転方向断面をそれぞれ示している。
【0045】
図6には図4の不正開封防止環付容器の使用状態の略図を示した。
図6の(l)は内容物充填前の略図、(m)は内容物充填閉蓋後の略図、(n)は開封後の略図を示している。なお内容物充填前係止部回転方向断面、内容物充填閉蓋後係止部回転方向断面、開封後係止部回転方向断面の図は図3の例の場合と同様であるので省略した。
【0046】
本発明の不正開封防止環付容器は図4、図5、図6に示したように、ボトルの口頸部を形成する中栓(2)の下端部に配置したフランジ部(7)と、口頸部に螺着するキャップ本体(14)と、キャップ本体の周壁下端に複数個の易破断連結帯(11)を介して連結する不正開封防止環(4)とを有し、フランジ部(7)の天面には、起立する複数の屈曲爪(8)と、屈曲爪の先端かつフランジ部天面と対向する側に係止部(9)とを有し、不正開封防止環(4)の下端は、外方に延設した下端板部(5)と、下端板部天面に配置され、係止部(9)と嵌合する突起部(6)とを有する構造である。突起部(6)の閉蓋方向隣接下端板部(7)には屈曲爪(8)が下部から貫通するための孔が開いている。
【0047】
本発明の不正開封防止環付容器は、ボトルの口頸部に不正開封防止環付キャップを螺着するものであり、図4(c)に示したように螺合の時は「閉」螺脱の時は「開」の矢印方向でキャップ(1)を回転させることにより螺合及び螺脱を行う。
【0048】
この不正開封防止環付容器は、開封するためにキャップ本体(14)を螺脱回転方向へ回
転すると、ボトルの口頸部に固定された中栓(2)の下方部の周方向に外延して設けられたフランジ部(7)の天面に設けられる屈曲爪(8)と、キャップの不正開封防止環(4)の外周面の下端板部(5)に設けられた突起部(6)が下端板部の孔を上方向に貫通した屈曲爪(8)の先端にある係合部で嵌合して、キャップの易破断連結帯(11)が破断した時に、不正開封防止環(4)が突起部(6)で屈曲爪(8)と嵌合することによってボトル口頸部からの分離が阻止され、不正開封防止環(4)がボトルから落ちることが阻止される。
【0049】
ボトルの口頸部に固定された中栓(2)の下方部(雄ねじの下)に設けられる図5の(i)に示す複数個の屈曲爪(8)は図5の(j)にその回転方向正面から見た図で示すようにフランジ外周部(13)からやや離れたフランジ天面から立ち上がって回転方向側に屈曲し、その先端にフランジ天面に対向した係止部(9)を備えたものである。
【0050】
屈曲爪先端の係止部のB−B’線における回転方向断面の形状を図5の(k)に示す。屈曲爪先端の係止部(9)はキャップの螺着時に接触する側(図の右側)の下面に傾斜面をもちキャップの螺脱時に接触する側(図の左側)に垂直面をもつ。
【0051】
屈曲爪(8)の形状をこのようにすることによって、開封時に易破断連結帯(11)が破断したときに切り離された不正開封防止環(4)はその突起部(6)の周方向への移動が係止部(9)の嵌合によって制限され、中心方向からの移動がフランジ(7)から立ち上がった屈曲爪(8)によって制限される結果不正開封防止環はボトル口頸部から落ちることがなくなる。
【0052】
キャップ本体(14)の周壁下端に複数個の易破断連結帯(11)を介して連結する不正開封防止環(4)を備えたキャップの略図を図5の(f)に示した。
このキャップは不正開封防止環(4)の下端が、外方に延設した下端板部(5)と、下端板部天面に配置され、屈曲爪(8)先端の係止部(9)と嵌合する突起部(6)とを有する構造となっている。
【0053】
図5の(f)に示す複数の突起部(6)は図5の(g)にその回転方向正面から見た図で示すように屈曲爪(8)に対応する周方向の下端板部(5)の空隙の位置で、下端板部天面に連接して設けられ、その先端に中栓のフランジ部(7)の天面に向いた係止部(9)と嵌合する形状を備えたものである。
【0054】
突起部(6)の先端のA−A’線における回転方向断面の形状を図5の(k)に示す。突起部先端の係止部(9)と嵌合する部分はキャップの螺着時に接触する側(図の左側)の上面に傾斜面をもちキャップの螺脱時に接触する側(図の右側)に垂直面をもつ。
【0055】
突起部(6)の形状をこのようにすることによって、開封時に易破断連結帯(11)が破断したときに切り離された不正開封防止環(4)はその突起部(6)の周方向への移動が係止部(9)の嵌合によって制限され、さらにフランジ部(7)の天面から立ち上がった屈曲爪(8)によって制限される結果不正開封防止環はボトル口頸部から落ちることがなくなる。
【0056】
図6には本発明の不正開封防止環付容器の使用状態の略図を示した。図6の(l)は内容物充填前の略図、(m)は内容物充填閉蓋後の略図、(n)は開封後の略図を示している。
図6の(l)は本発明の不正開封防止環付容器のキャップとボトル口頸部(中栓)の略図である。充填前の部品としての構成を端的に示した。
図6の(m)は本発明の不正開封防止環付容器のキャップとボトル口頸部(中栓)の略図
である。内容物を充填して閉蓋後の状態を端的に示した。
図6の(n)は本発明の不正開封防止環付容器のキャップとボトル口頸部(中栓)の略図である。開封後の状態を端的に示した。
【0057】
屈曲爪(8)の係止部(9)と突起部(6)は互いに回転方向斜面部をすり合わせる方向で螺合方向に力を加えて閉蓋される。閉蓋された状態では突起部(6)と屈曲爪(8)が互いにその垂直部でかみ合う形で係止される。この時の係止は必ずしもぴったり嵌合する必要はなく多少の遊びがあっても構わない。
【0058】
これを開封するときは螺脱方向の力を加えることによって突起部(6)を通して不正開封防止環(4)とキャップ本体(14)をつなぐ易破断連結帯(11)が破断して開封する。この時分離した不正開封防止環(4)は前述の理由によってボトル口頸部に残り容易に離脱することはない。
【0059】
図7には本発明の不正開封防止環付容器の他の一例の構成概略図を示した。
図7の(a)は閉蓋時の容器の上から見た部分断面図、(b)は閉蓋時の容器の横から見た部分断面図、(c)は閉蓋前の容器のキャップの概観図、(d)は閉蓋前の容器の中栓の概観図、(e)は閉蓋前の容器のボトルの概観図をそれぞれ示している。
【0060】
図8には図7の不正開封防止環付容器の使用状態の略図を示した。
図8の(l)は内容物充填前の略図、(m)は内容物充填閉蓋後の略図、(n)は開封後の略図を示している。なお内容物充填前係止部回転方向断面、内容物充填閉蓋後係止部回転方向断面、開封後係止部回転方向断面の図は図3の例の場合と同様であるので省略した。
【0061】
本発明の不正開封防止環付容器は図7、図8に示したように、ボトルの口頸部を形成する中栓(2)の下端部に配置したフランジ部(7)と、口頸部に螺着するキャップ本体(14)と、キャップ本体の周壁下端に複数個の易破断連結帯(11)を介して連結する不正開封防止環(4)とを有し、フランジ部(7)の天面には、起立する複数の屈曲爪(8)と、屈曲爪の先端かつフランジ部天面と対向する側に係止部(9)とを有し、不正開封防止環(4)の下端は、外方に延設した下端板部(5)と、下端板部天面に配置され、係止部(9)と嵌合する突起部(6)とを有する構造である。
【0062】
突起部(6)の閉蓋方向隣接下端板部(7)には屈曲爪(8)が下部から貫通するための孔が開いている。さらにボトル本体の口頸部外周面に中栓(2)の内周面に設けられたラチェット(図示せず)と嵌合して開封時の中栓の回転を阻止するラチェット(12)が設けられ、中栓(2)の内周面とボトル本体の口頸部外周面には螺合して閉蓋を行うための雌ねじおよび雄ねじが設けられている。
【0063】
本発明の不正開封防止環付容器は、ボトルの口頸部に不正開封防止環付キャップを螺着するものであり、図7(c)に示したように螺合の時は「閉」螺脱の時は「開」の矢印方向でキャップ(1)を回転させることにより螺合及び螺脱を行う。
【0064】
この不正開封防止環付容器は、開封するためにキャップ本体(14)を螺脱回転方向へ回転すると、ボトルの口頸部に固定された中栓(2)の下方部の周方向に外延して設けられたフランジ部(7)の天面に設けられる屈曲爪(8)と、キャップの不正開封防止環(4)の外周面の下端板部(5)に設けられた突起部(6)が下端板部の孔を上方向に貫通した屈曲爪(8)の先端にある係合部で嵌合して、キャップの易破断連結帯(11)が破断した時に、不正開封防止環(4)が突起部(6)で屈曲爪(8)と嵌合することによってボトル口頸部からの分離が阻止され、不正開封防止環(4)がボトルから落ちることが
阻止される。
【0065】
ボトルの口頸部に固定された中栓(2)の下方部(雄ねじの下)に設けられる複数個の屈曲爪(8)はフランジ外周部(13)からやや離れたフランジ天面から立ち上がって回転方向側に屈曲し、その先端にフランジ天面に対向した係止部(9)を備えたものである。屈曲爪先端の係止部(9)はキャップの螺着時に接触する側の下面に傾斜面をもちキャップの螺脱時に接触する側に垂直面をもつ。
【0066】
屈曲爪(8)の形状をこのようにすることによって、開封時に易破断連結帯(11)が破断したときに切り離された不正開封防止環(4)はその突起部(6)の周方向への移動が係止部(9)の嵌合によって制限され、中心方向からの移動がフランジ(7)から立ち上がった屈曲爪(8)によって制限される結果不正開封防止環はボトル口頸部から落ちることがなくなる。
【0067】
キャップ本体(1)の周壁下端に複数個の易破断連結帯(11)を介して連結する不正開封防止環(4)を備えたキャップは不正開封防止環(4)の下端が、外方に延設した下端板部(5)と、下端板部天面に配置され、屈曲爪(8)先端の係止部(9)と嵌合する突起部(6)とを有する構造となっている。
【0068】
複数の突起部(6)は屈曲爪(8)に対応する周方向の下端板部(5)の空隙の位置で、下端板部天面に連接して設けられ、その先端に中栓のフランジ部(7)の天面に向いた係止部(9)と嵌合する形状を備えたものである。突起部先端の係止部(9)と嵌合する部分はキャップの螺着時に接触する側の上面に傾斜面をもちキャップの螺脱時に接触する側に垂直面をもつ。
【0069】
突起部(6)の形状をこのようにすることによって、開封時に易破断連結帯(11)が破断したときに切り離された不正開封防止環(4)はその突起部(6)の周方向への移動が係止部(9)の嵌合によって制限され、さらにフランジ部(7)の天面から立ち上がった屈曲爪(8)によって制限される結果不正開封防止環はボトル口頸部から落ちることがなくなる。
【0070】
図8には本発明の不正開封防止環付容器の使用状態の略図を示した。図8の(l)は内容物充填前の略図、(m)は内容物充填閉蓋後の略図、(n)は開封後の略図を示している。
図8の(l)は本発明の不正開封防止環付容器のキャップとボトル口頸部(中栓)の略図である。充填前の部品としての構成を端的に示した。
図8の(m)は本発明の不正開封防止環付容器のキャップとボトル口頸部(中栓)の略図である。内容物を充填して閉蓋後の状態を端的に示した。
図8の(n)は本発明の不正開封防止環付容器のキャップとボトル口頸部(中栓)の略図である。開封後の状態を端的に示した。
【0071】
屈曲爪(8)の係止部(9)と突起部(6)は互いに回転方向斜面部をすり合わせる方向で螺合方向に力を加えて閉蓋される。閉蓋された状態では突起部(6)と屈曲爪(8)が互いにその垂直部でかみ合う形で係止される。この時の係止は必ずしもぴったり嵌合する必要はなく多少の遊びがあっても構わない。
【0072】
これを開封するときは螺脱方向の力を加えることによって突起部(6)を通して不正開封防止環(4)とキャップ本体をつなぐ易破断連結帯(11)が破断して開封する。この時分離した不正開封防止環(4)は前述の理由によってボトル口頸部に残り容易に離脱することはない。
【0073】
本発明の不正開封防止環付容器を構成するボトル本体は、通常、ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂を二軸延伸ブロー成形するか、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂をダイレクトブロー成形したものが用いられ、キャップと中栓は、ポリエチレンやポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂を射出成形したものが用いられる。
【符号の説明】
【0074】
1…キャップ
2…中栓
3…ボトル本体
4…不正開封防止環
5…下端板部
6…突起部
7…フランジ部
8…屈曲爪
9…係止部
10…プルリング
11…易破断連結帯
12…ラチェット
13…フランジ外周部
14…キャップ本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボトルの口頸部下端部に配置したフランジ部と、口頸部に螺着するキャップ本体と、キャップ本体の周壁下端に複数個の易破断連結帯を介して連結する不正開封防止環とを有する不正開封防止環付容器であって、前記フランジ部天面は、起立する複数の屈曲爪と、屈曲爪の先端かつフランジ部天面と対向する側に係止部とを有し、前記不正開封防止環の下端は、外方に延設した下端板部と、下端板部天面に配置され、係止部と嵌合する突起部とを有することを特徴とする不正開封防止環付容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−230785(P2011−230785A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−101046(P2010−101046)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】