説明

不良シート状製品排除装置

【課題】不良品と判定されたシート状製品を作業者が容易に且つ直ちに目視できるように搬送ラインから排除する不良シート状製品排除装置を提供する。
【解決手段】不良シート状製品排除装置1は、シート状製品を搬送する搬送手段13と、判定手段で不良品と判定されたシート状製品を搬送手段13から排除する排除手段14,15と、排除手段14,15から排除されたシート状製品が集積される集積手段16とを備えている。排除手段14,15は、不良品と判定されたシート状製品を、搬送手段13で搬送されている際に跳ね上げる跳ね上げ機構14と、跳ね上げられたシート状製品を下流側に飛ばす排出機構15とを備えている。集積手段16は、排出機構15よりも下流側に配置されると共に、搬送手段13の上方に配置されている。良品と判定されたシート状製品は、集積手段16の下方を通って搬送される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボールシート用の印刷機などに用いられる不良シート状製品排除装置であって、不良品である場合に、段ボールシートなどのシート状製品を搬送ラインから排除する不良段ボールシート排除装置に関する。
【背景技術】
【0002】
段ボールシート用の印刷機には、不良品である段ボールシートを搬送ラインから排除する排除装置が設けられているものがある。例えば、特開昭63−208457号公報に開示されている印刷機用のシート排除装置は、段ボールに印刷されたバーコードを読み取る読取装置と、バーコード印刷の良否を判定する判定装置と、判定装置にてバーコード印刷が不良であると判定された場合には、不良品の段ボールシートを搬送ラインから排出する仕分け装置とを備えている。また、特開2004−338006号公報には、段ボールシートを撮影して印刷状態を検査し、印刷不良と判定された段ボールシートを搬送ラインから排除する品質保証検査装置が開示されている。
【0003】
特開昭63−208457号公報のシート排除装置が有する仕分け装置は、搬送ライン上で、サンドイッチコンコンベアの下側コンベアやサクションコンベアを下方に揺動させることや、傾斜した係合爪に段ボールシートを当てることで、搬送ラインの下方に設けられた不良品用排出コンベアに不良品の段ボールシートを落下させる。特開2004−338006号公報の品質保証検査装置では、良品用のコンベアの先端に設けられたフラップが上昇すると、不良品の段ボールシートは、当該コンベアの下方に設けられた不良品用コンベアに送られて、さらには、排出コンベア上に投下される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63−208457号公報
【特許文献2】特開2004−338006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
段ボールシートを撮影した画像データに基づいて、当該段ボールシートが良品であるか否かを判定し、良品でない(つまり、不良品であると)と判定された段ボールを搬送ラインから除く場合、搬送ラインの終点にて集積された良品の段ボールシートに不良品の段ボールシートが混在する事態を防止する必要から、良品と判定される段ボールシートが満たすべき判定基準は厳しく設定される。しかしながら、その結果として、本来は良品である段ボールシートが不良品と判定されるケースが起こり易くなる。例えば、印刷された段ボールシートを撮影して、得られた画像データに基づいて段ボールシートの印刷状態の良・不良を判定する場合、撮影時における段ボールシートのそり、撓みや位置ズレが大きいと、印刷状態が良好である良品の段ボールシートが不良品と判定されてしまう。故に、不良品と判定された段ボールシートが(本当に)不良品であるか否かを、作業者が目視することで確認する必要がある。そして、判定処理にて不良品と判定されてしまった良品の段ボールシートを、判定処理にて不良品と判定された段ボールシート群から作業者が取り除いて、集積された良品の段ボールシート群に加える必要がある。
【0006】
しかしながら、上述した従来技術のように、不良品と判定された段ボールシートが搬送ラインの下に排出されると、作業者が段ボールシートを目視により確認するのに不都合である。作業者は、段ボールシートが不良品用の排出コンベアにより搬送ラインの下から出されるまで、段ボールシートを確認できず、また、作業者は、段ボールシートを目視するのにしゃがみ込む必要がある。不良品用の排出コンベアを傾斜させて作業者が目視しやすい位置に段ボールシートを移動させることは可能であるが、搬送ラインと直交するように排出コンベアが長々と延出してしまう。このような構成は、搬送ラインに沿った作業者の移動を妨げる点で好ましくない。
【0007】
本発明は、上記の問題を解決するものであり、不良品用の排出コンベアを長々と設けることなく、不良品と判定されたシート状製品を作業者が容易に且つ直ちに目視できるように搬送ラインから排除する不良シート状製品排除装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の不良シート状製品排除装置は、シート状製品を搬送する搬送手段と、前記シート状製品の良否を判定する判定手段と、前記判定手段で不良品と判定されたシート状製品を前記搬送手段から排除する排除手段と、前記排除手段から排除されたシート状製品が集積される集積手段とを備える不良シート状製品排除装置であって、前記搬送手段はサクションコンベアを備えており、前記排除手段は、前記判定手段で不良品と判定されたシート状製品における前記搬送手段の搬送方向下流側の端部を、そのシート状製品が前記サクションコンベアで搬送されている際に跳ね上げる跳ね上げ機構と、前記跳ね上げ機構で跳ね上げられたシート状製品を下流側に飛ばす排出機構とを備えており、前記集積手段は、前記排出機構よりも下流側に配置されると共に、前記サクションコンベアの上方に配置されており、前記判定手段で良品と判定されたシート状製品は、前記集積手段の下方を通って搬送される。
【0009】
さらに、本発明の不良シート状製品排除装置では、前記排出機構は、前記サクションコンベアの上方に並置された複数の排出ローラと、前記複数の排出ローラにおける前記搬送手段の搬送方向上流側にある排出ローラの上方に配置されると共に、前記サクションコンベアの幅方向に互いに離間して配置された複数の押さえローラとを備えており、前記複数の排出ローラは、より下流側にある排出ローラがより前記サクションコンベアから離れるように配置されており、前記跳ね上げ機構で跳ね上げられたシート状製品は、前記複数の排出ローラと前記複数の押さえローラとの間に挿入され、前記複数の排出ローラと前記複数の押さえローラとは、前記挿入されたシート状製品を下流側に送り出すように回転駆動されており、前記判定手段で良品と判定されたシート状製品は、前記複数の排出ローラの下方を通って搬送される。
【0010】
また、本発明の不良シート状製品排除装置では、前記サクションコンベアは、循環駆動されると共に、搬送されるシート状製品が吸着される複数の無端ベルトを備えており、前記跳ね上げ機構は、前記サクションコンベア前記複数の無端ベルトの上面から出没自在に設けられた複数のフラップを備えており、前記複数の無端ベルトの中の任意の隣接する無端ベルトの間には、前記複数のフラップの中の1又は複数のフラップが設けられている。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、判定手段で不良品と判定されたシート状製品を、サクションコンベアで搬送中に跳ね上げ機構で跳ね上げて、排出機構を用いて下流側に飛ばす。飛ばされたシート状製品は、下流側に設けた集積機構に落ちる。集積機構はサクションコンベアの上方に設けられているので、作業者はしゃがみ込むことなく、集積機構に集められたシート状製品を目視により確認できる。また、良品と判定されたシート状製品は、集積手段の下方を通って搬送される。
【0012】
上述したような複数の排出ローラと複数の押さえローラとを有する排出機構を用いることで、跳ね上げられた一連のシート状製品をほぼ同じような軌道で下流側に飛ばすことができる。また、上述したような複数のフラップを備えた跳ね上げ機構を用いることで、サクションコンベアの幅方向の寸法が夫々異なる複数種類のシート状製品を不良シート状製品排除装置で取り扱うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例である不良シート状製品排除装置が設けられた印刷機の概要を示す側面図である。
【図2】本発明の実施例である不良シート状製品排除装置のサクションコンベアと跳ね上げ機構とを示す上面図である。
【図3】本発明の実施例である不良シート状製品排除装置の跳ね上げ機構の第1及び第2フラップとそれらの周辺の構成を示す拡大図である。
【図4】本発明の実施例である不良シート状製品排除装置の跳ね上げ機構の第3及び第4フラップとそれらの周辺の構成を示す拡大図である。
【図5】本発明の実施例である不良シート状製品排除装置の部分上面図であって、排出機構と不良品集積機構とが示されている。
【図6】図5のA−A線に沿う矢視断面図である。
【図7】図6に示す状態から第1フラップが上昇した模様を示す断面図である。
【図8】図5のB−B線に沿う矢視断面図である。
【図9】本発明の実施例である不良シート状製品排除装置の制御構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の実施例である不良シート状製品排除装置の動作を示すフローチャートである。
【図11】図11a及びbの各々は、本発明の実施例である不良シート状製品排除装置の動作を模式的に示す説明図である。
【図12】図12a及びbの各々は、本発明の実施例である不良シート状製品排除装置の動作を模式的に示す説明図である。
【図13】図13a及びbの各々は、本発明の実施例である不良シート状製品排除装置の動作を模式的に示す説明図である。
【図14】図14a及びbの各々は、本発明の実施例である不良シート状製品排除装置の動作を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について、図を参照して詳述する。図1は、本発明の一実施例である不良シート状製品排除装置(1)が設けられた段ボールシート用印刷機の側面図である。印刷機は、3台の印刷ユニット(2a-c)と、段ボールシートSを1枚ずつ上流側の印刷ユニット(2a)に供給する給紙ユニット(3)と、下流側の印刷ユニット(2c)から送られた段ボールシートSに罫線を形成する罫線ユニット(4)とを備えている。さらに、印刷機は、罫線ユニット(4)から不良シート状製品排除装置(1)に段ボールシートSを送る中間コンベア(5)と不良シート状製品排除装置(1)から送られる良品の段ボールシートSを積み重ねて保持するスタッカ(9)とを備えている。なお、給紙ユニット(3)からスタッカ(9)へ至る段ボールシートの搬送路を搬送ラインと称する。また、本明細書において、「上流」及び「下流」なる文言を、印刷機における段ボールシートSの搬送ラインの流れの方向に依拠して、本発明に係る機構、部分や部材などの位置関係や向きなどに言及する際に使用する。
【0015】
給紙ユニット(3)は、段ボールシートSが積載されるテーブル(21)と、テーブル(21)に積載された段ボールシートSを一枚ずつ所定の時間間隔で下流側に押し出すキッカー(22)と、キッカー(22)から押し出された段ボールシートSを最上流の印刷ユニット(2a)に送り出す一対のフィードロール(23a)(23b)とを備えている。なお、給紙ユニット(3)として、リードエッジ方式の給紙ユニットが使用されてもよい。
【0016】
3台の印刷ユニット(2a-c)の各々は、印版が巻装された円柱状の版胴(24)と、版胴(24)の下方に設けられた受けローラ(25)と、図示を省略したインキ供給機構から送られるインキを印版に塗布するインキ転移ローラ(26)と、版胴(24)を通過した段ボールシートSを下流側に送る上下一対の送りローラ(27a)(27b)とを備えている。版胴(24)を通過することで、段ボールシートSの上面には印版に塗布されたインキが付着する。印刷ユニット(2a-c)のインキの色は異なっており、本印刷機では、3色印刷が段ボールシートSに施される。なお、本印刷機において、印刷ユニットの数や各印刷ユニットで印刷されるインキの色は限定されず、例えば、1台の印刷ユニットのみが印刷機に配設され、単色印刷が段ボールシートSに施されてよい。
【0017】
罫線ユニット(4)は、円筒状の上下一対のクリーザ(28a)(28b)と、円筒状の上下一対のスロッタヘッド(29a)(29b)と、クリーザ(28a)(28b)とスロッタヘッド(29a)(29b)の間に配置された上下一対の送りローラ(30a)(30b)とを備えている。下側のクリーザ(28b)の外周面には周方向に沿って複数の環状の突起部が形成されており、クリーザ(28a)(28b)間を通過することで、下流側の給紙ユニット(3)から送られた段ボールシートSに罫線が形成される。スロッタヘッド(29a)(29b)の外周面には周方向に沿った複数の環状の刃部が形成されており、スロッタヘッド(29a)(29b)を通過することで、段ボールシートSに溝切り加工が施される。なお、本印刷機の罫線ユニット(4)として、ダブルスロッタ型の罫線ユニットが使用されてもよい。
【0018】
中間コンベア(5)は、例えば、サクションコンベアであって、その下流側の端部は、支持台(8)に回動自在に支持されている。図1に示すように、通常、中間コンベア(5)は、水平に配置されて搬送ラインを構成し、罫線ユニット(4)から一定の周期又は間隔で送られる段ボールシートSを不良シート状製品排除装置(1)に送る。段ボールシートSは、他の段ボールシートSと重ならないように送られる。中間コンベア(5)の上流側の端部の上方には、撮像装置(11)が配置されている。撮像装置(11)は、例えば、CCDカメラであって、罫線ユニット(4)のフレームの上端部に固定されたブラケットに取り付けられている。中間コンベア(5)の上流側の端部付近には、段ボールシートSを検知する第1センサ(12)が、中間コンベア(5)の幅方向の略中央付近に設けられている。罫線ユニット(4)から送り出されて中間コンベア(5)の上流側の端部に至った段ボールシートSを第1センサ(12)が検知すると、撮像装置(11)は、段ボールシートSの上面(印刷面)を撮影する。第1センサ(12)には、例えば、反射型光電センサが使用され、段ボールシートSで反射された光を受光することで、当該段ボールシートSを検知する。撮像装置(11)は、中間コンベア(5)に段ボールシートSが送られる毎に、その段ボールシートSの上面を撮影する。撮影により得られた画像データに基づいて、段ボールシートSの印刷状態の良否が判定されるが、その詳細については後述する。
【0019】
不良シート状製品排除装置(1)は、本発明の搬送手段として搬送ラインを構成するサクションコンベア(13)と、本発明の排除手段を構成し、印刷状態が良好ではないと判定された(つまり不良品と判定された)段ボールシートSを搬送ラインにて跳ね上げる跳ね上げ機構(14)と、本発明の排除手段を構成し、跳ね上げられた段ボールシートSを下流側に飛ばして排出する排出機構(15)と、本発明の集積手段を構成し、排出された段ボールシートSを受け取る不良品集積機構(16)と、段ボールシートSが不良品集積機構(16)を越えて飛ばないようにする飛び出し防止機構(17)と、サクションコンベア(13)等が装着される支持機構(18)を備えている。支持機構(18)の上流側の端部は、支持台(8)に固定されている。
【0020】
スタッカ(9)は、鉛直方向に沿って立設された一対の柱部(91)(91)と、柱部(91)(91)に設けられた一対の取付板(92)(92)とを備えている。柱部(91)(91)は、印刷機の幅方向に離間して配置されており、柱部(91)(91)の各々に取付板(92)が設けられている。取付板(92)(92)の各々には、断面矩形の長尺の支持部材(93)(93)が水平に設けられており、支持部材(93)(93)の各々の端部には、不良シート状製品排除装置(1)から送られる(良品と判定された)段ボールシートSが当たるシート規制部(94)が固定されている(図1では、柱部(91)(91)、取付板(92)(92)及び支持部材(93)(93)について、一方のみが図示されている)。シート規制部(94)は、支持部材(93)(93)に固定される枠体と、略鉛直方向に沿って枠体に取り付けられたシート状の可撓性部材(例えば、ビニールシート)とを含んでいる。不良シート状製品排除装置(1)から飛び出た段ボールシートSは、シート規制部(94)の可撓性部材に当たって落下し、昇降自在に設けられた支持テーブル(95)に積み重ねられる。支持テーブル(95)の位置又は高さは、積み重ねられた段ボールシートSの高さ又は枚数に多くなると低くなるように適宜調整される。
【0021】
図2は、不良シート状製品排除装置(1)の上面図である。説明の都合上、排出機構(15)、不良品集積機構(16)及び飛び出し防止機構(17)は、図2にて省略されている。支持機構(18)は、平行に配置された一対のフレーム(81a)(81b)を備えており、これらフレーム(81a)(81b)の間に、サクションコンベア(13)が設けられている。サクションコンベア(13)は、循環駆動される4本の無端ベルト(31a-d)と、フレーム(81a)(81b)の上流側の端部付近に設けられた駆動軸(32)と、フレーム(81a)(81b)の下流側の端部付近に設けられた従動軸(33)と、搬送ラインの搬送方向に離間して配置された2つのサクションボックス(34a)(34b)とを含んでいる。
【0022】
駆動軸(32)の両端部と、従動軸(33)の両端部とは、フレーム(81a)(81b)に設けられた軸受(図示せず)に軸支される。駆動軸(32)の一方の端部は、図示を省略した駆動モータと連結されており、当該駆動モータにより回転駆動される。無端ベルト(31a-d)は、駆動軸(32)に固定された駆動プーリ(35a-d)と、従動軸(33)に固定された従動プーリ(36a-d)との間に夫々掛け渡される。4本の無端ベルト(31a-d)は、互いに平行に配設されており、一方のフレーム(81a)の近くに配置される第1ベルト(31a)と、他方のフレーム(81b)の近くに配置される第4ベルト(31d)と、第1ベルト(31a)と第4ベルト(31d)の間に配置される第2ベルト(31b)及び第3ベルト(31c)からなる。本実施例では、第2ベルト(31b)及び第3ベルト(31c)の幅は、第1ベルト(31a)の幅の略2倍にされており、第4ベルト(31d)の幅は、第1ベルト(31a)の幅と同じにされている。また、第2ベルト(31b)と第3ベルト(31c)の間隔は、第1ベルト(31a)と第2ベルト(31b)の間隔の略2倍にされており、第3ベルト(31c)と第4ベルト(31d)の間隔は、第1ベルト(31a)と第2ベルト(31b)の間隔と同じにされている。なお、本発明において、無端ベルト(31a-d)の本数は特に限定されない。
【0023】
略矩形のサクションボックス(34a)(34b)の両側面は、フレーム(81a)(81b)の内面に固定されており、プーリ(35a-d)(36a-d)間に掛け渡された無端ベルト(31a-d)の上部(下流側に移動する部分)は、サクションボックス(34a)(34b)の上面付近に近接して配置される。無端ベルト(31a-d)の下部(上流側に戻る部分)は、サクションボックス(34a)(34b)の下方に配置される(図6等参照)。サクションボックス(34a)(34b)の上面には、無端ベルト(31a-d)に沿って複数の開口(37)が形成されており、サクションボックス(34a)(34b)の下面には、図示を省略した排気手段に繋がった排気口(38)が形成されている(下流側のサクションボックス(34b)についてのみ、開口(37)と排気口(38)を波線で図示する)。無端ベルト(31a-d)には多数の細孔(図示せず)が形成されており、排気手段がサクションボックス(34a)(34b)内の空気を吸引することで、無端ベルト(31a-d)に吸着された状態で、サクションコンベア(13)により段ボールシートSが搬送される。図2では、搬送される段ボールシートSが一点鎖線で示されている。
【0024】
サクションボックス(34a)(34b)の間には、両端がフレーム(81a)(81b)に固定された矩形の板状部材(82)が、無端ベルト(31a-d)の上部に近接して、その下方に配置されている(図6等参照)。板状部材(82)は、無端ベルト(31a-d)の上部のぶれを制限すると共に、跳ね上げ機構(14)を保護するために設けられる。不良シート状製品排除装置(1)の跳ね上げ機構(14)は、不良品と判定された段ボールシートSを上向きに跳ね上げる4つのフラップ(41a-d)を備えている。これらフラップ(41a-d)は、板状部材(82)に対して出没自在に設けられている。板状部材(82)には、第1ベルト(31a)と第2ベルト(31b)の間に第1開口(83a)が開設されており、第2ベルト(31b)と第3ベルト(31c)の間に第2開口(83b)及び第3開口(83c)が開設されており、第3ベルト(31c)と第4ベルト(31d)の間に第4開口(83d)が開設されている。これら開口(84a-d)は略矩形の開口であって、これら開口(83a-d)を介してフラップ(41a-d)が出し入れされる。板状部材(82)には、段ボールシートSの端部がフラップ(41a-d)に引っ掛かるのを防止するコ字状のガイド部材(84a-d)が、各開口(83a-d)の縁に沿って固定されている。
【0025】
本発明の作用効果が得られる限りにおいて、フラップ(41a-d)の形状、数や配置は特に限定されない。しかしながら、段ボールシートSの端部を幅方向に沿って同じような形状で跳ね上げるためには、任意の隣接する無端ベルト(31a-d)の間に、1又は複数のフラップが設けられるのが好ましいであろう。フレーム(81a)(81b)と無端ベルト(31a)(31d)の間にもフラップが設けられてもよい。
【0026】
サクションボックス(34a)の上流側にて、第2ベルト(31b)と第3ベルト(31c)の間には、中間コンベア(5)から送られた段ボールシートSを検知する第2センサ(19)が設けられている。第2センサ(19)は、例えば、段ボールシートSから反射された光により当該ボールシートを検知する反射型光電センサであって、図示を省略した横架部材に装着されている。さらに、第2フラップ(41b)と第3フラップ(41c)の間には、後述するように使用される第3センサ(20)が設けられている。第3センサ(20)は、例えば、反射型光電センサであって、板状部材(82)の下面に設けられた支持部材(図示せず)に装着されており、板状部材(82)に開設された開口を介して光を上方に照射し、反射された光を受光する。
【0027】
図3は、第1及び第2フラップ(41a)(41b)とそれら周辺の機構を示す拡大図であって、フレーム(81a)と板状部材(82)が破断して示されている。図4は、第3及び第4フラップ(41c)(41d)とそれら周辺の機構を示す拡大図であって、フレーム(81b)と板状部材(82)とが破断して示されている。なお、簡単のため、図3及び図4では、サクションボックス(34a)(34b)と無端ベルト(31a-d)などが省略されている。
【0028】
各フラップ(41a-d)は、板状のベース部材(42)と、ベース部材(42)の上端面に固定された略矩形のガイド板(43)と、ベース部材(42)の下流側の端部に枢着された一対のガイドローラ(44a)(44b)とを含んでいる。ガイドローラ(44a)(44b)は、ベース部材(42)を挟むように、また、ガイド板(43)の上面を含む平面が、ガイドローラ(44a)(44b)の周面と接するように配置される。ガイド板(43)の上流側の端部は、下向きに屈曲している(図6等参照)。
【0029】
また、不良シート状製品排除装置(1)の跳ね上げ機構(14)は、各フラップ(41a-d)のベース部材(42)の上流側の端部を貫通し、無端ベルト(31a-d)(又は段ボールシートSの搬送方向)と直交するように配置された軸部材(45)と、軸部材(45)が挿入される複数の軸受け部(46)と、軸部材(45)をその回転軸回りに回転駆動するアクチュエータ(47)とを備えている。各フラップ(41a-d)のベース部材(42)の上流側の端部は、溶接やキー結合などにより軸部材(45)に固定されている。軸受け部(46)は、フレーム(81a)(81b)を連結する横架部材(85)に固定されている。アクチュエータ(47)は、例えばエアシリンダであって、図3(及び図6など)に示すように、フレーム(81a)の下面に固定されたブラケット(86)に、アクチュエータ(47)の筒部の下端が枢支される。アクチュエータ(47)のロッドの先端部は、軸部材(45)のフレーム(81a)側の端部に固定された第1アーム部材(48)の下端部に枢支される(図6等参照)。アクチュエータ(47)の伸縮に伴って、軸部材(45)がその中心軸回りに正逆に回転して、フラップ(41a-d)が傾動又は揺動する。 軸部材(45)のフレーム(81b)側の端部には、図4に示すように第2アーム部材(49)が固定されている。フレーム(81b)には、軸部材(45)の回転に伴う第2アーム部材(49)の変位又は移動を規制することで、フラップ(41a-d)の傾き又は姿勢を調整する調整手段(87)が設けられている(図8参照)。
【0030】
図5は、不良シート状製品排除装置(1)の部分上面図であって、排出機構(15)、不良品集積機構(16)及び飛び出し防止機構(17)が示されている。図6は、図5のA−A線に沿う矢視断面図であり、図7は、図6に示す待機位置から跳ね上げ位置に第1フラップ(41a)が上昇又は傾動した模様を示す断面図である。図8は、図5のB−B線に沿う矢視断面図である。
【0031】
不良シート状製品排除装置(1)の排出機構(15)は、フラップ(41a-d)の上昇により跳ね上げられた段ボールシートSを不良品集積機構(16)に向けて飛ばして排出する。排出機構(15)は、サクションコンベア(13)の上方に、且つ、フラップ(41a-d)の下流側に設けられている。排出機構(15)は、並置された3本の長円筒状の排出ローラ(51a-c)と、上流側の排出ローラ(51a)の上方に配置された短円筒状の7個の押さえローラ(52)とを備えている。上昇したフラップ(41a-d)で跳ね上げられた段ボールシートSは、排出ローラ(51a-c)と押さえローラ(52)とで挟まれる。
【0032】
排出ローラ(51a-c)は、それらの回転軸が、搬送ラインの搬送方向又は無端ベルト(31a-d)に対して直交するように配置される。さらに、排出ローラ(51a-c)は、より下流側にある排出ローラがサクションコンベア(13)からより離間するように配置されており、フラップ(41a-d)の上昇時において、排出ローラ(51a-c)の上側から排出ローラ(51a-c)の外周面と接する平面Fが、ガイド板(43)の上面とほぼ同一平面にあるように配置される(図7参照)。このように、排出ローラ(51a-c)が配置されることで、不良品集積機構(16)に向かう段ボールシートSの排出時の向きや姿勢が与えられる(又は定められる)。また、押さえローラ(52)により、段ボールシートSの排出時の向きや姿勢のぶれが抑制されて、排出される一連の段ボールシートSの軌道が安定する。排出ローラ(51a-c)(より具体的には平面F)と押さえローラ(52)の外周面との離間距離は、段ボールシートSの厚さと同じ程度にされるか、若干短くされる。詳細は省略するが、排出ローラ(51a-c)と押さえローラ(52)は、板状部材(82)と平面Fがなす角度や離間距離などが調整可能に設けられている。
【0033】
本実施例では、排出ローラ(51a-c)の各々は、フレーム(81a)(81b)の間隔と略同じ長さの円筒状に形成されており、その中心軸に沿って排出ローラ(51a-c)を貫通する軸部材(53a-c)に固定される。これらの軸部材(53a-c)は、フレーム(81a)(81b)に固定された支持板(54a)(54b)に設けられた軸受け(図示せず)に軸支される。上流側の排出ローラ(51a)が固定された軸部材(53a)は、例えばスプロケットやチェーンなどを含む連結手段を介して、排出ローラ駆動モータ(55)と連結されている。支持板(54b)側にて、3本の排出ローラ(51a-c)の軸部材(53a-c)は、例えばスプロケットやチェーンなどを含む連結手段を介して連結されており、排出ローラ駆動モータ(55)によって、3本の排出ローラ(51a-c)は、段ボールシートSを不良品集積機構(16)に向けて送るように回転駆動される(図6及び図7にて、排出ローラ(51a-c)の回転の向きを矢印で示す)。
【0034】
7個の押さえローラ(52)は、両端が支持板(54a)(54b)に設けられた軸受け(図示せず)に軸支された軸部材(56)に、同心状に固定されている。本実施例では、押さえローラ(52)の直径は、排出ローラ(51a-c)の直径の約2倍の大きさにされている。7個の押さえローラ(52)の中でフレーム(81a)に最も近い押さえローラ(52)は、第1無端ベルト(31a)上に配置されており、フレーム(81b)に最も近い押さえローラ(52)は、第4無端ベルト(31d)上に配置されている。残りの押さえローラ(52)は、押さえローラ(52)と押さえローラ(52)の間に所定の間隔で配置されている。支持板(54a)側の軸部材(56)の端部は、例えばスプロケットやチェーンなどを含む連結手段を介して、押さえローラ駆動モータ(57)と連結されている。押さえローラ駆動モータ(57)によって、押さえローラ(52)は、段ボールシートSを不良品集積機構(16)に向けて送るように回転駆動される(図6及び図7にて、押さえローラ(52)の回転の向きを矢印で示す)。本発明の作用効果が得られる限りにおいて、押さえローラ(52)の個数や押さえローラ(52)の並べ方は特に制限されない。
【0035】
不良シート状製品排除装置(1)の動作中、排出ローラ(51a-c)と押さえローラ(52)は常時回転している。段ボールシートSがスムースに排出されるように、排出ローラ(51a-c)の搬送速度、つまり、排出ローラ(51a-c)の周長×単位時間当たりの回転数と、押さえローラ(52)の搬送速度、つまり、押さえローラ(52)の周長×単位時間当たりの回転数とは、サクションコンベア(13)の搬送速度、つまり、無端ベルト(31a-d)の移動速度よりも若干大きくされる。なお、試作した不良シート状製品排除装置(1)では、押さえローラ(52)の搬送速度を、排出ローラ(51a-c)の搬送速度よりも若干大きくすることで飛ばされる一連の段ボールシートの軌道がより安定した。
【0036】
罫線ユニット(4)では段ボールシートSに溝切り加工が施される。フラップ(41a-d)の上昇時に、形成された溝に起因して段ボールシートSが変形することを防止又は抑制するために、段ボールシートSの下流側の部分に形成された複数の溝における隣接する溝の間と、最もフレーム(81a)に近い溝と段ボールシートSのフレーム(81a)側の縁の間と、最もフレーム(81b)に近い溝と段ボールシートSのフレーム(81b)側の縁の間とが、フラップ(41a-d)上昇時に、フラップ(41a-d)の少なくとも1つで支持又はガイドされるのが好ましい。排出ローラ(51a-c)と押さえローラ(52)の間に挿入された段ボールシートSについても、その下流側の部分に形成された複数の溝における隣接する溝の間と、最もフレーム(81a)に近い溝と段ボールシートSのフレーム(81a)側の縁の間と、最もフレーム(81b)に近い溝と段ボールシートSのフレーム(81b)側の縁の間とが、押さえローラ(52)の少なくとも1つで押さえられるのが好ましい。
【0037】
図5に示すように、不良品集積機構(16)は、サクションコンベア(13)の上方に、且つ、排出機構(15)の下流側に設けられている。不良品集積機構(16)は、無端ベルト(31a-d)に平行に、且つ無端ベルト(31a-d)の上部の上方に配置された矩形のベース板(61)と、該ベース板(61)上に、上流側に寄せて配設された不良品用コンベア(62)と、ベース板(61)の下流側の端部に、ベース板(61)に対して略垂直に設けられた板状又はシート状の可撓性部材(63)と、当該可撓性部材(63)を支持する一対の支持部材(64a)(64b)とを備えている。
【0038】
排出機構(15)から排出された段ボールシートSは、不良品用コンベア(62)上に落下する。不良品用コンベア(62)は、例えば、薄型のベルトコンベアであって、落下した段ボールシートSをフレーム(81a)からフレーム(81b)に向かって移動させる。ベース板(61)のフレーム(81b)側の端部には、第1壁部(65)がベース板(61)に略垂直に設けられており、不良品用コンベア(62)の上に落ちた段ボールシートSは、第1壁部(65)に当たることで、移動が規制される。排出機構(15)から排出された段ボールシートSは、不良品用コンベア(62)上を飛んで、可撓性部材(63)に当たって不良品用コンベア(62)の上に落とされてもよい。可撓性部材(63)には例えばビニールシートが使用される。ベース板(61)の上流側の端部には、第2壁部(66)が設けられており、図1に示すように不良シート状製品排除装置(1)が傾斜した状態で使用される場合に、段ボールシートSが不良品集積機構(16)からずり落ちる事態が防止されている。
【0039】
作業者は、第1壁部(65)の外側に立って、不良品集積機構(16)に段ボールシートSが送られるとその段ボールシートSを目視して不良品であるか否かを確認する。または、作業者は、不良品集積機構(16)に集積された複数の段ボールシートSを一枚ずつ手に取って良品であるか否かを確認する。
【0040】
不良シート状製品排除装置(1)の調整時などに、排出機構(15)から段ボールシートSがかなりの速度又は勢いで排出されることが起こり得る。 飛び出し防止機構(17)は、このような場合に、段ボールシートSが不良品集積機構(16)を越えて飛ばないようにするものである。飛び出し防止機構(17)は、フラップ(41a-d)の上流側にてフレーム(81a)(81b)に固定されたコ字状の支持枠(71)と、支持枠(71)の上部から下流側に延出する一対の支持部材(72a)(72b)に支持された軸体(73)と、軸体(73)に固定された、可撓性を有する4本の帯状部材(74a-d)とを備えている。軸体(73)の両端部は、支持部材(72a)(72b)の各々に設けられた軸受(図示せず)に軸支されている。軸体(73)は無端ベルト(31a-d)に直交するように配置されており、帯状部材(74a-d)は、軸体(73)から延出して、不良品用コンベア(62)の上方に至る。
【0041】
フレーム(81a)に近い帯状部材(74a)は、第1無端ベルト(31a)上に、フレーム(81b)に近い帯状部材(74d)は、第4無端ベルト(31d)上に、残りの2本の帯状部材(74b)(74c)は、帯状部材(74a-d)が所定の間隔で離間するように帯状部材(74a)(74d)の間に配置されている。図示を省略した調整機構により、軸体(73)の回転角は調整保持可能であり、帯状部材(74a-d)の角度又は姿勢は適宜調整される。排出機構(15)からかなりの速度で排出又は飛ばされた段ボールシートSは、帯状部材(74a-d)に当たって不良品用コンベア(62)上に落とされるので、排出機構(15)から排出された段ボールシートSが可撓性部材(63)を飛び越えて不良品集積機構(16)の外に出るような事態が防止されている。
【0042】
図8に示すように、フラップ(41a-d)の傾き又は姿勢を調整する調整手段(87)は、フレーム(81b)に取付部材(88)を介して固定されたコ字状のブロック体(89)を備えている。ブロック体(89)は、上方に開くように、且つ下流側が高くなるように傾斜して配置されている。ブロック体(89)の対向する延出部の各々にはネジ孔が形成されており、当該ネジ孔には、ボルト(90a)(90b)が外側から挿入されて螺合する。ボルト(90a)(90b)の先端部は、ブロック体(89)の延出部から内向きに突出しており、これらボルト(90a)(90b)の先端部の間に、跳ね上げ機構(14)の軸部材(45)に固定された第2アーム部材(49)の下端部が配置される。跳ね上げ機構(14)の待機状態では、図8に示すように、第2アーム部材(49)の下端は、上流側のボルト(90a)の先端に当接する。アクチュエータ(47)が伸びて、軸部材(45)の回転に伴って第2アーム部材(49)が回転又は揺動すると、第2アーム部材(49)の下端は、下流側のボルト(90b)の先端に当接する。これにより、図7に示す上昇位置にて、跳ね上げ機構(14)のフラップ(41a-d)が停止する。下流側のボルト(90b)の挿入度合に応じて、上昇停止時におけるフラップ(41a-d)の傾きが変化する。
【0043】
良品と判定された段ボールシートSは、排出機構(15)の排出ローラ(51a-c)の下と不良品集積機構(16)のベース板(61)の下を通って、サクションコンベア(13)によりスタッカ(9)まで搬送される。図6に示すように、ガイド部材(84a-d)の上面が、無端ベルト(31a-d)の上部の上面(搬送面)以下に配置されることで、また、フラップ(41a-d)のガイド板(43)とガイドローラ(52)が、排出機構(15)の休止時にガイド部材(84a-d)の上面から突出しないように配置されることで、良品と判定された段ボールシートSは、サクションコンベア(13)によりスムースに搬送される。
【0044】
サクションコンベア(13)で搬送される段ボールシートSの無端ベルト(31a-d)間の部分が、下方に撓み又は湾曲する事態が起こり得る。このような事態が生じても、段ボールシートSをスムーズに跳ね上げて排出機構(15)に送るために、ガイド部材(84a-d)は設けられている。ガイド部材(84a-d)がない場合、段ボールシートSの無端ベルト(31a-d)間の部分が撓んだ状態にてフラップ(41a-d)が上昇すると、段ボールシートSの先端がフラップ(41a-d)のガイド板(43)の端面に当接する事態や、段ボールシートSの先端がガイド板(43)の先端部と板状部材(82)との間に挟まる事態が起こり得る。本実施例の不良シート状製品排除装置(1)では、図7に示すように、跳ね上げ機構(14)のフラップ(41a-d)が上昇した状態で、フラップ(41a-d)のガイド板(43)の上面とガイド部材(84a-d)の上流側の傾斜面とは、ほぼ同一面内に配置されており、ガイド部材(84a-d)は、段ボールシートに対してフラップ(41a-d)のガイド板(43)の端面を遮蔽する。これにより、段ボールシートSの無端ベルト(31a-d)間の部分が撓んだ状態も、ガイド部材(84a-d)の傾斜面に案内されて、段ボールシートがフラップ(41a-d)によりスムースに跳ね上げられる。また、良品と判定された段ボールシートSは、無端ベルト(31a-d)間の部分が撓んでも、ガイド部材(84a-d)の傾斜面に当たってスムーズに搬送される。
【0045】
図9は、不良シート状製品排除装置(1)の制御構成を示すブロック図である。図10は、当該不良シート状製品排除装置(1)の動作を示すフローチャートである。図11a及びb、図12a及びb、図13a及びb、及び図14a及びbは、不良シート状製品排除装置(1)の動作を模式的に示す説明図である。不良シート状製品排除装置(1)は、当該不良シート状製品排除装置(1)を統括的に制御し、図10のフローチャートに示す動作を記述したプログラムを実行し、また本発明の判定手段として機能するCPU(101)と、当該プログラムを含む不良シート状製品排除装置(1)の制御を記述したプログラムを格納するROM(102)と、撮像装置(11)で生成された段ボールシートSの画像データやCPU(101)の演算処理に使用されるデータなどを記憶するRAM(103)と、CPU(101)等と撮像装置(11)等を接続するためのI/O(104)とを備えている。
【0046】
図10を参照すると、罫線ユニット(4)から排出された段ボールシートSを第1センサ(12)が検知すると(ステップS1)、その旨を示す信号を第1センサ(12)から受信したCPU(101)は、検知された段ボールシートの撮影を撮像装置(11)に対して指示し、CPU(101)からの指示を受けた撮像装置(11)は、その段ボールシートSを撮影する(ステップS3)。より具体的には、図11aに示すように、第1センサ(12)は、罫線ユニット(4)から中間コンベア(5)に送られた段ボールシートSの下流側の先端部を検知する。その旨を示す信号を第1センサ(12)から受信したCPU(101)は、図11bに示すように、撮影時に段ボールシートSの上面の全体(又はその印刷領域の全体)が撮像装置(11)の画角に収まるようなタイミングで、撮像装置(11)に対して撮影の指令を出す。
【0047】
撮像装置(11)で得られた段ボールシートSの画像データはRAM(103)に記憶され、当該画像データに基づいて、CPU(101)は、段ボールシートの印刷状態の良否、つまり、段ボールシートSが良品であるか否かを判定する(ステップS5)。例えば、RAM(103)には、良品の段ボールシートSを撮影した基準画像データが予め記憶されており、ステップS5では、ステップS3で得られた画像データと基準画像データとが比較される。予め設定された誤差範囲又は許容範囲内でこれら画像データが同じであると見なされる場合には、ステップS3で得られた画像データに係る段ボールシートSが良品であると判定される。なお、先述したように、スタッカ(9)に集積された段ボールシートに、不良品の段ボールシートSが混在しないように、ステップS5の判定基準(例えば、上記の誤差範囲又は許容範囲)は(良品に対して)厳しくされる。
【0048】
ステップS5にて、罫線ユニット(4)から送られた段ボールシートSが良品でないと、つまり、不良品であると判定された場合、図12aに示すように、中間コンベア(5)から送られた段ボールシートSの下流側の先端部を、サクションコンベア(13)に設けられた第2センサ(19)が検知すると(ステップS7)、その旨を示す信号を第2センサ(19)から受信したCPU(101)は、当該信号を受信してから所定時間経過後に、図7に示す伸び位置へのロッドの移動をアクチュエータ(47)に対して指示する。CPU(101)からの指示を受けたアクチュエータ(47)がロッドを伸ばして、これにより、フラップ(41a-d)が上昇する(ステップS9)。図12bに示すように、段ボールシートSの先端部が、フラップ(41a-d)の手前に来るとフラップ(41a-d)が上昇するように、上記所定期間は、サクションコンベア(13)の搬送速度を踏まえて決定される。フラップ(41a-d)は、上昇した状態で不良品と判定された段ボールシートSを待ち受ける。
【0049】
段ボールシートSは、サクションコンベア(13)の無端ベルト(31a-d)に吸引された状態で搬送されているので、段ボールシートSの先端部は、フラップ(41a-d)と接触するとフラップ(41a-d)により跳ね上げられる。段ボールシートSは、サクションコンベア(13)で押される(無端ベルト(31a-d)によって下流側に付勢される)と共にフラップ(41a-d)にガイドされて排出機構(15)に向かって進み、 図13aに示すように、湾曲した状態で排出機構(15)の排出ローラ(51a-c)と押さえローラ(52)との間に挿入される。排出ローラ(51a-c)と押さえローラ(52)は、サクションコンベア(13)の搬送速度よりも速い搬送速度で下流側に段ボールシートSを送るように回転駆動されており、図13bに示すように、段ボールシートSは、不良品集積機構(16)の上方に飛ばされてサクションコンベア(13)から排除される。段ボールシートSがフラップ(41a-d)にガイドされて跳ね上げられる際に、第3センサ(20)はオンになり、跳ね上げられた段ボールシートSが不良品集積機構(16)の上方に飛ばされる際に、第3センサ(20)はオフになる(ステップS11)。オフなった旨を示す信号を第3センサ(20)から受信すると、CPU(101)は、図6に示す縮み位置へのロッドの移動をアクチュエータ(47)に対して指示し、CPU(101)からの指示を受けたアクチュエータ(47)はロッドを縮ませる。これにより、フラップ(41a-d)が収納されて待機状態になる(ステップS13)。図14aに示すように、飛ばされた段ボールシートSは、直接に、又は、可撓性部材(63)に当たって、不良品集積機構(16)の不良品用コンベア(62)の上に落ちる。
【0050】
ステップS5で良品と判定された場合、図14bに示すように、段ボールシートSは、排出ローラ(51a-c)の下と不良品集積機構(16)の下とを通って、サクションコンベア(13)によりスタッカ(9)へと搬送される。ステップS5で良品と判定された場合、又は、ステップS13の後、CPU(101)は、不良シート状製品排除装置(1)で処理すべき次の段ボールシートがあるか否かを確認し(ステップS15)、次の段ボールシートがある場合には、当該段ボールシートに対して、ステップS1及びそれ以降のステップを再度行う。なお、複数の段ボールシートに対して、図10に示した処理を時間をずらして並行して実行してもよい。
【0051】
上記の実施例では、不良シート状製品排除装置(1)が段ボールシート用の印刷機の一部として設けられているが、本発明の不良シート状製品排除装置は、印刷機以外の装置やシステムの一部として、例えば、特開2004−338006号公報(特許文献2)に開示された品質保証検査装置などの一部として使用されてもよい。
【0052】
本発明は、段ボールシート以外にも、合成樹脂フィルムなどのシート状製品に適用されてよい。上記の実施例では、段ボールシートの印刷状態に基づいて良・不良が判定されているが、印刷状態に代えて、段ボールシートなどのシート状製品の形状に基づいて良・不良が判定されてもよく、さらには、シート状製品の印刷状態及び形状に基づいて良・不良が判定されてもよい。
【0053】
本実施例では、複数の短円筒状の押さえローラ(52)を所定の間隔で並べて使用しているので、段ボールシートの印刷面(上面)における押さえローラ(52)と接触する部分の面積を少なくする点で好ましい。印刷されていないシート状製品の形状の良・不良が判定される場合には、排出ローラ(51a-c)のように、フレーム(81a)(81b)の間隔と同程度の長さを有する押さえローラ(52)が使用されてよい。
【0054】
上記説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0055】
(1) 不良シート状製品排除装置
(2a-c) 印刷ユニット
(3) 給紙ユニット
(4) 罫線ユニット
(5) 中間コンベア
(9) スタッカ
(11) 撮像装置
(13) サクションコンベア
(14) 跳ね上げ機構
(15) 排出機構
(16) 不良品集積機構
(17) 飛び出し防止機構
(31a-d) 無端ベルト
(41a-d) フラップ
(51a-c) 排出ローラ
(52) 押さえローラ
(101) CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状製品を搬送する搬送手段と、前記シート状製品の良否を判定する判定手段と、前記判定手段で不良品と判定されたシート状製品を前記搬送手段から排除する排除手段と、前記排除手段から排除されたシート状製品が集積される集積手段とを備える不良シート状製品排除装置であって、
前記搬送手段はサクションコンベアを備えており、
前記排除手段は、前記判定手段で不良品と判定されたシート状製品における前記搬送手段の搬送方向下流側の端部を、そのシート状製品が前記サクションコンベアで搬送されている際に跳ね上げる跳ね上げ機構と、前記跳ね上げ機構で跳ね上げられたシート状製品を下流側に飛ばす排出機構とを備えており、
前記集積手段は、前記排出機構よりも下流側に配置されると共に、前記サクションコンベアの上方に配置されており、前記判定手段で良品と判定されたシート状製品は、前記集積手段の下方を通って搬送される不良シート状製品排除装置。
【請求項2】
前記排出機構は、前記サクションコンベアの上方に並置された複数の排出ローラと、前記複数の排出ローラにおける前記搬送手段の搬送方向上流側にある排出ローラの上方に配置されると共に、前記サクションコンベアの幅方向に互いに離間して配置された複数の押さえローラとを備えており、
前記複数の排出ローラは、より下流側にある排出ローラがより前記サクションコンベアから離れるように配置されており、
前記跳ね上げ機構で跳ね上げられたシート状製品は、前記複数の排出ローラと前記複数の押さえローラとの間に挿入され、
前記複数の排出ローラと前記複数の押さえローラとは、前記挿入されたシート状製品を下流側に送り出すように回転駆動されており、
前記判定手段で良品と判定されたシート状製品は、前記複数の排出ローラの下方を通って搬送される、請求項1に記載の不良シート状製品排除装置。
【請求項3】
前記サクションコンベアは、循環駆動されると共に、搬送されるシート状製品が吸着される複数の無端ベルトを備えており、
前記跳ね上げ機構は、前記サクションコンベア前記複数の無端ベルトの上面から出没自在に設けられた複数のフラップを備えており、前記複数の無端ベルトの中の任意の隣接する無端ベルトの間には、前記複数のフラップの中の1又は複数のフラップが設けられている、請求項1又は請求項2に記載の不良シート状製品排除装置。











【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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