不良率予測方法、不良率予測プログラム、半導体製造装置の管理方法、および半導体装置の製造方法
【課題】ウエハごとの特性不良率と工程別の異物不良率を高精度に予測する予測方法とプログラム、および、この特性不良と工程別の異物不良の発生率の違いに基づいて原因を究明する半導体製造装置の管理方法とこれを用いた半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体製造装置の管理システムにおいて、特性不良・工程別異物不良率予測部121は、フェイルビットモードごとの実績不良率と工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアとを取得し、任意のフェイルビットモードを除いたフェイルビットモードごとの実績不良率と工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアとを用いて工程ごとの異物数を算出し、この異物数を用いて工程ごとの異物不良率ならびにフェイルビットモードごとの異物不良率を算出し、このフェイルビットモードごとの異物不良率と実績不良率とに基づいて任意のフェイルビットモードの特性不良率を算出する。
【解決手段】半導体製造装置の管理システムにおいて、特性不良・工程別異物不良率予測部121は、フェイルビットモードごとの実績不良率と工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアとを取得し、任意のフェイルビットモードを除いたフェイルビットモードごとの実績不良率と工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアとを用いて工程ごとの異物数を算出し、この異物数を用いて工程ごとの異物不良率ならびにフェイルビットモードごとの異物不良率を算出し、このフェイルビットモードごとの異物不良率と実績不良率とに基づいて任意のフェイルビットモードの特性不良率を算出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LSIに代表されるような薄膜デバイスであり、一つまたは複数のメモリデバイスを搭載した製品において、電気的なテスト結果とレイアウトシミュレーション結果を用いて、不良の種類を弁別する方法に関する。また、前記弁別の結果に基づき製造装置の来歴比較を行い、不良の種類ごとにその原因を特定する半導体製造装置の管理方法とこれを用いた半導体装置の製造方法に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスの微細化・高機能化に伴い、特に機能モジュールの中でも集積度の高いメモリデバイスの不良の種類が多様化しており、各工程で発生する異物による配線の短絡・断線・層間非導通不良といった異物不良の他に、膜厚のウエハ面内ばらつきによる配線パターン形状不備やトランジスタ動作ばらつきといったシステマティック不良(パラメトリック不良)も多く発生するようになっている(以後、特性不良とする)。そのため、歩留りを素早く立ち上げるためには、特性不良および工程ごとの異物不良の発生率を定量化した上で、その原因ごとに製造装置、チャンバ、製造条件を調査し不良原因を特定・対策することが重要となる。
【0003】
メモリデバイスでは、その不良解析方法の一つとしてデータの読み書きの最小単位であるセルごとに回路の良否を電気的に判定するフェイルビット解析方法が従来より広く用いられてきた。不良となるセルの影響範囲は、例えば、ワード線とデータ線によるショートであるのか、データ線と電源線とワード線によるショートであるのかなど、発生する異物の大きさと発生箇所により異なるため、フェイルビット解析では、これらの不良セルの発生領域に応じて発生した不良をシングルビット不良・ペアビット不良・ワード線不良などといったフェイルビットモードで定義する。これにより、フェイルビットモードの発生率から、どの層のどの配線上にどの程度の大きさの異物が発生したかを推定でき、その定量化方法として、以下の方法が報告されている(特許文献1)。
【0004】
フェイルビットモードごとの不良率は、ポアソンの歩留り予測モデルを仮定した場合、式(1)によって表すことができる。
【0005】
【数1】
【0006】
ここで、D0Layernは工程ごとの異物数、FFBMmはフェイルビットモードごとの不良率、AcFBMm_Layernは工程ごとフェイルビットモードごとの異物感度θFBMm_Layernとメモリデバイスの面積Aの積算値であるクリティカルエリアを示す。フェイルビットモードごとの異物感度θFBMm_Layernは、配線の組合せごとの異物感度θ配線の組合せ_Layernから算出する。配線の組合せごとの異物感度θ配線の組合せ_Layernは、予め電源・データ線などの配線名を定義した各工程の設計レイアウトに仮想に異物を投下して致命異物を判定するシミュレーションにより算出した異物サイズごと、配線の組合せごとの致命確率分布g(x)配線の組合せ_Layernと、式(2)に示す異物サイズごとの発生確率を示す異物発生確率関数f(x)の積の総和として算出できる(式(3))。
【0007】
【数2】
【0008】
ここで、式(2)のnは粒径分布パラメータ、X0は最小欠陥サイズを示す。不良となる配線の組合せが分かれば、引き起こされるフェイルビットモードを定義できるため、工程ごと配線の組合せごとの異物感度θ配線の組合せ_Layernから、式(4)により、工程ごと、フェイルビットモードごとのθFBMm_Layernを算出する。
【0009】
【数3】
【0010】
ここで、Nは、任意のフェイルビットモードとなる配線の組合せの総数を示す。このθFBMm_Layernにメモリデバイスの面積を積算して算出したクリティカルエリアAcFBMm_Layernとフェイルビットモードごとの実績不良率FFBMmを歩留り算出式(1)に代入し、逆行列を解くことにより、工程ごとの異物数を算出する。
【特許文献1】米国特許出願第6701477(B1)号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、前記のようなフェイルビット解析方法における定量化方法においては、ウエハごとの特性不良率と各工程の異物数を精度良く定量化できれば、例えば特性不良が多発するウエハとそうでないウエハの製造来歴を比較するなど、不良の種類ごとに切り分けてその原因を調査できるため、それぞれの不良の原因究明・対策を加速できる。
【0012】
しかし、上記の方法はフェイルビット実績不良率が全て異物不良によって決まるという仮定に基づいているため特性不良率の定量化はできず、特性不良と異物不良とが発生しているウエハにおいては工程ごとの異物不良率の推定精度が低くなるという問題があった。
【0013】
そこで、本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その代表的な目的は、ウエハごとの特性不良率と工程別の異物不良率を高精度に予測する予測方法とプログラム、および、上記予測により明らかとなったウエハごとの特性不良と工程別の異物不良の発生率の違いに基づいて原因を究明する半導体製造装置の管理方法とこれを用いた半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0014】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0016】
すなわち、代表的なものの概要は、フェイルビットモードごとの実績不良率と工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアとを取得し、任意のフェイルビットモードを除いたフェイルビットモードごとの実績不良率と工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアとを用いて工程ごとの異物数を算出し、工程ごとの異物数を用いて工程ごとの異物不良率ならびにフェイルビットモードごとの異物不良率を算出し、フェイルビットモードごとの異物不良率とフェイルビットモードごとの実績不良率とに基づいて任意のフェイルビットモードの特性不良率を算出することを特徴とするものである。
【0017】
具体的には、以下のようなウエハごとの特性不良率と工程別異物数の推定による半導体製造装置の管理システムが有効である。すなわち、薄膜製品に搭載される1つあるいは複数のメモリデバイスを対象とし、特性不良が発生するフェイルビットモードを除くその他のフェイルビットモードにおいて、工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアと工程ごとの異物数の初期値を用いて予測したフェイルビット不良率と実績不良率との乖離が最小となるように工程ごとの異物数の合わせ込みを行い、この工程ごとの異物数から算出した不良率を異物不良率とし、これと実績不良率との乖離を特性不良率として定量化することを特徴とするメモリデバイス領域を対象としたモード別不良率予測方法と薄膜製品のメモリデバイスの不良率予測方法およびプログラムである。
【0018】
また、薄膜製品のメモリデバイスにおいて、前記特性不良率と工程ごとの異物不良率の算出結果の記憶部と、対象ウエハの製造来歴の入力部と、前記対象ウエハの製造来歴を比較する演算部と、前記比較結果の表示・出力部とを有し、上記予測方法により明らかとなったウエハごとの特性不良と工程別の異物不良の発生率の違いを製造来歴比較により明らかにすることを特徴とする半導体製造装置の管理方法とそのシステムおよびこれを用いた半導体装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0019】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0020】
すなわち、代表的なものによって得られる効果は、対象とするフェイルビット解析結果ごとに特性不良率と工程ごとの異物不良率を高精度に定量化することができる。従って、本方法を複数のウエハに適用することで、ウエハごと、不良原因ごとの不良率の違いに基づき製造装置や製造条件の比較解析を行うことが可能となるため、原因究明の加速による歩留り垂直立ち上げに貢献することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0022】
<実施の形態の概要>
図1は、本発明の実施の形態に係わる半導体製造装置の管理システム100を示す概略図である。図示するように、本実施の形態に係わる管理システム100は、記憶部110と、演算部120と、入力部130と、表示・出力部140とを備えている。記憶部110には、製造来歴記憶領域111と、クリティカルエリア記憶領域112と、工程診断TEG結果記憶領域113と、製品・TEGテスト結果記憶領域114と、解析結果記憶領域115とを備えている。演算部120には、特性不良・工程別異物不良率予測部121と、ウエハ来歴比較部122とを備えている。
【0023】
この管理システム100は、コンピュータシステムを用いて構築され、記憶部110はHDDやメモリなどの装置、演算部120はCPUなどの装置、入力部130はキーボードやマウスなどの装置、表示・出力部140はディスプレイやプリンタなどの装置により実現される。演算部120の特性不良・工程別異物不良率予測部121およびウエハ来歴比較部122は、CPUがHDDなどに記憶された不良率予測プログラムと来歴比較プログラムを含む管理プログラムを実行することにより実現される。
【0024】
特性不良・工程別異物不良率予測部121は、記憶部110からフェイルビットモードごとの実績不良率と工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアとを取得し、この取得したフェイルビットモードごとの実績不良率と工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアとを用いて特性不良率と工程ごとの異物不良率とを算出する部分である。ウエハ来歴比較部122は、特性不良・工程別異物不良率予測部121で算出した特性不良率と工程ごとの異物不良率の発生比率に基づきウエハごとの製造来歴を比較し、この比較結果として不良嫌疑の製造装置および製造条件を算出する部分である。
【0025】
本実施の形態に係わる管理システム100には、ウエハにメモリデバイスを含む機能モジュールを製造する各製造工程の半導体製造装置や、各製造工程でメモリデバイスを含む機能モジュールをテストするテスト装置などが接続され、半導体製造装置から記憶部110の製造来歴記憶領域111に製造来歴が送信され、また、テスト装置から工程診断TEG結果記憶領域113に工程診断TEG結果が送信され、製品・TEGテスト結果記憶領域114に製品・TEGテスト結果が送信される。
【0026】
製造来歴記憶領域111には、ウエハの製造来歴として、ウエハごとに使用装置、装置パラメータ、製造条件といった情報が保存されている。例えば、フォトリソグラフィ工程では、レジスト塗布、プリベーク、露光などといった処理が行われるが、これらの処理時における装置の内部の温度、圧力といった装置パラメータや製造条件、および、使用した装置に関する情報がウエハごとに保存されている。
【0027】
クリティカルエリア記憶領域112には、予め配線名を定義した設計レイアウトに仮想に複数の異物をランダムに投下するレイアウトシミュレーションによって算出したメモリモジュールの工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアや、機能モジュールの工程ごとのクリティカルエリアなどの情報が保存されている。
【0028】
工程診断TEG結果記憶領域113には、各ウエハの工程診断結果が保存されている。製品・TEGテスト結果記憶領域114には、テスト条件ごとに各ウエハのテスト結果が保存されている。解析結果記憶領域115には、フェイルビット解析結果が保存されている。
【0029】
本実施の形態に係わる半導体製造装置の管理システム100により、不良率予測方法と来歴比較方法を含む半導体製造装置の管理方法を実現し、この管理方法を用いて半導体装置の製造方法を実現する。例えば、前回に製造した半導体装置(メモリデバイスを含む機能モジュールが製造されたデバイス)に対して不良率予測と来歴比較を実施し、この結果を次回以降に製造する半導体装置に反映させることで、半導体装置の歩留り向上に貢献できるようになる。
【0030】
メモリデバイスのメモリ部は、セルと呼ばれるトランジスタ動作の最小単位が縦横に繰り返し配置された構造となっており、例えば1セル内に配置されたトランジスタ間をつなぐ配線同士が短絡した場合、1セル内の不良となる一方、同一方向のセルに共通で電流を供給するワード線と電源線が短絡した場合、この同一ライン上の全てのセルが不良となるなど、不良原因・箇所により特徴的な不良パターンを示す。そのため、製造時の電気的な良否判定テストの1つであるフェイルビット解析では、セルの良否判定結果をフェイルビットモードとして分類することにより、各フェイルビットモードの発生率からどの工程の不良がどの程度発生したかを推定できる。
【0031】
ここで、特性不良、および、各工程の異物不良によって引き起こされるフェイルビットモードごとの不良発生比率は、図2に示すようにそれぞれ異なるため、特性不良・工程別異物不良率予測部121では、この発生比率の違いを用いて特性不良率と工程ごとの異物不良率とを定量化する。図2の例では、特性不良、工程X,Y,Zの異物不良によって引き起こされるフェイルビットモードの発生比率を示している。各フェイルビットモードは、例えば後述する図3に図示するように、モードAはシングルビットモードであるシングルビット不良、モードBはペアビット不良、モードCはX方向ライン不良、モードDはY方向ライン不良を表す。
【0032】
この特性不良率と工程ごとの異物不良率とを定量化する方法などを含めて、本発明の特徴を各実施の形態において具体的に説明する。なお、以下に説明する各実施の形態は、互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明などの関係にあり、各実施の形態を任意に組み合わせて実現できるものである。
【0033】
<実施の形態1>
前記図1に示した半導体製造装置の管理システム100を用いた実施の形態1を、図3,図4,図5に基づいて説明する。
【0034】
フェイルビットモードごとの異物不良率は前述した通り、工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアAcFBMm_Layernと工程ごとの異物数D0Layernを式(1)に代入することで算出可能であるが、特性不良はウエハごとに原因が異なる可能性もあり、モデル化が困難である。そのため、まず、特性不良が発生するフェイルビットモード(図3、モードA)を除くその他のフェイルビットモード(図3、モードB,C,D)から、工程ごとの異物数D0Layernを算出し、この結果を式(1)に代入することでフェイルビットモードごとの異物不良率FFBMmを算出し、これと実績不良率fFBMmとの差として特性不良率を定量化する方法を考案した。
【0035】
すなわち、まず、図4の12101に示すように、レイアウトシミュレーションから算出した工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアAcFBMm_Layernと任意の工程ごとの異物数D0Layern(初期値)とを式(1)に代入し、フェイルビットモードごとの異物不良率FFBMmの初期値を算出する。ここで、工程ごとの異物数D0Layern(初期値)は、工程診断TEGの結果を使用してもよいし、任意の値を設定してもよい。次に、特性不良を含むフェイルビットモードを対象外とし、その他のフェイルビットモードごとに実績不良率fFBMmと予測不良率FFBMmの乖離の大きさを式(5)により異物数D0FBMm−fbmmに換算して算出し、この値が最も大きくなるフェイルビットモードを選出する。
【0036】
【数4】
【0037】
ここで、D0FBMm−fbmmは任意のフェイルビットモードの実績不良率と予測不良率との乖離を異物数に換算した値であり、AcFBMmは任意のフェイルビットモードのクリティカルエリア、FFBMmは任意のフェイルビットモードの予測不良率、fFBMmは実績フェイルビット不良率を示す。D0FBMm−fbmmの算出方法として、式(6)のように工程ごとに任意の重み付係数wLayernを設定しておくことも可能であるし、式(7)のように任意の係数k、k’を設定することも可能である。
【0038】
【数5】
【0039】
図4の12101の例では、乖離が最大となるフェイルビットモードとしてフェイルビットモードD(FBMD)が選出される。このフェイルビットモードDでは実績不良率より予測不良率の方が大きいため、式(8)を用いてフェイルビットモードDの不良が発生する工程Y(LayerY)と工程Z(LayerZ)の異物数の初期値を実績不良率と予測不良率とを一致させる異物数へと変更する。
【0040】
【数6】
【0041】
ここで、D0LayerY0、D0LayerZ0はそれぞれ工程Y,Zの異物数の初期値、D0FBMD−fbmDは式(5)あるいは式(6)あるいは式(7)により算出したフェイルビットモードDの乖離分の異物数、AcFBMD_LayerYは工程YのフェイルビットモードDのクリティカルエリア、AcFBMD_LayerZは工程ZのフェイルビットモードDのクリティカルエリア、wLayerY、wLayerZは式(6)あるいは(7)で設定した工程Y,Zの重み付け係数を示し、式(5)を用いた場合はwLayerY、wLayerZを1とする。式(8)では、全ての工程の異物数D0が正の値であることを制約条件としており、負の値となる場合には、例えば以下の(i)、(ii)ような処理が考えられる。
【0042】
(i)負の値となった時点で繰り返し計算を終了する。
【0043】
(ii)二番目に乖離の大きいフェイルビットモードに合わせ込みを行い、異物数が負となる場合は、三番目に乖離の大きいフェイルビットモードに合わせ込むというように、異物数が正となるフェイルビットモードのうち乖離が最も大きいフェイルビットモードを算出する。どのフェイルビットモードを用いても異物数が負になる工程がある場合には繰り返し計算を終了する。
【0044】
フェイルビットモードDの不良が発生する工程Y、工程Zの異物数を変更すると、その他のモードA,B,Cにおける工程Y,Zの不良率も変化するため、12102に示すように全てのフェイルビットモードの予測不良率と実績不良率との乖離が変化し、乖離が最大となるフェイルビットモードとして新たにフェイルビットモードBが選出される。フェイルビットモードB(FBMB)では、予測不良率よりも実績不良率の方が大きいため、フェイルビットモードBの不良が発生する工程X、工程Y、工程Zの異物数D0LayerX、D0LayerY、D0LayerZを式(9)を用いて変更する。
【0045】
【数7】
【0046】
ここで、D0LayerX1、D0LayerY2、D0LayerZ2はそれぞれ合わせ込み後の工程X,Y,Zの異物数を、D0LayerX0は工程Xの異物数の初期値を、D0LayerY1、D0LayerZ1は式(8)によりフェイルビットモードDに合わせ込んだ後の工程Yと工程Zの異物数を、D0FBMB−fbmBは式(5)あるいは式(6)あるいは式(7)により算出したフェイルビットモードBの乖離分の異物数を、AcFBMB_LayerX、AcFBMB_LayerY、AcFBMB_LayerZは工程X、工程Y、工程ZのフェイルビットモードBのクリティカルエリアを示す。このように、予め設定した収束条件(設定回数や乖離量の閾値など)まで繰り返し異物数の合わせ込みを行う(12101〜12103)。その後、繰り返し合わせ込みを行うごとに算出した異物数を式(1)に代入して算出したフェイルビットモードごとの予測不良率と実績不良率の乖離の合計値を算出し、この乖離が最も小さくなる工程ごとのD0Layernを選出し、これを式(10)に代入することで工程ごとの異物不良率FLayernを算出でき、さらに、異物数D0Layernを用いた予測不良率と実績不良率との差として特性不良を定量化する(12104)。
【0047】
【数8】
【0048】
ここで、AcFBMm_Layernは任意の工程nのフェイルビットモードmごとのクリティカルエリア、D0Layernは任意の工程nの異物数、FLayernは任意の工程nの異物不良率を示す。
【0049】
特性不良を多く含むフェイルビット不良モードが不明の場合、まずはフェイルビットモードAを除いて工程ごとの異物数D0を推定し(12101、12102)、次にフェイルビットモードBを除いて工程ごとの異物数D0を推定する(12103)というように、除外するフェイルビットモードを一つあるいは複数ずつ変更して異物数を算出し、それぞれの異物数を式(1)に代入してフェイルビットモードごとの予測不良率を算出し、除外するフェイルビットモード以外の実績不良率と予測不良率との乖離の合計が最小となる組合せを選択すればよい。
【0050】
図5に、特性不良率および工程ごとの異物不良率を定量化するための実施の形態1のフローチャートを示す。この特性不良率および工程ごとの異物不良率を定量化するためのフローは、管理プログラムに含まれる不良率予測プログラムを実行することにより実現される特性不良・工程別異物不良率予測部121を主体とする処理である。
【0051】
[図5のステップ200]まず、計算パラメータの設定において、製品・TEGテスト結果記憶領域114より解析対象ウエハ(ロット平均値、指定期間の平均値を用いてもよい)のフェイルビット解析結果を選択する。また、クリティカルエリア記憶領域112より対象製品の工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアAcFBMm_Layernを取得する。さらに、工程診断TEG結果記憶領域113から各工程の平均異物数D0Layernの初期値を取得する。初期値のD0Layernは任意の値を設定してもよい。
【0052】
[図5のステップ201]前記ステップ200にて取得したクリティカルエリアAcFBMm_Layernと異物数D0Layernとを式(1)に代入し、フェイルビットモードごとの不良率を算出(予測)する。
【0053】
[図5のステップ202]前記ステップ200にて取得したフェイルビットモードごとの実績不良率のうち、特性不良が発生するフェイルビットモードを選択する。特性不良が発生するフェイルビットモードが予め分かっている場合は、直接フェイルビットモードを指定し、明らかでない場合は、対象とする任意のフェイルビットモードを自動選出する。
【0054】
[図5のステップ203]前記ステップ202以外のフェイルビットモードにおいて、前記ステップ200のフェイルビット実績不良率(実績値)と前記ステップ201のフェイルビット予測不良率(予測値)との乖離の合計値を算出し、解析結果記憶領域115に記憶する。
【0055】
[図5のステップ204]前記ステップ202以外のフェイルビットモードにおいて実績不良率と予測不良率との乖離が最大となるフェイルビットモードを選出する。不良率の乖離が最大となるフェイルビットモードを選出する場合や、式(5)あるいは式(6)あるいは式(7)により算出した異物数D0FBMm−fbmmの乖離が最大となるフェイルビットモードを選出する場合がある。
【0056】
[図5のステップ205]前記ステップ204において選出したフェイルビットモードにおいて、実績不良率と予測不良率とが一致するように式(8)あるいは式(9)を用いて該当工程の異物数を算出する。
【0057】
[図5のステップ206]前記ステップ205で算出した該当工程の異物数D0Layernが全て正の値であるかを判定する。正の値である場合(Y)はステップ207に進み、正の値でない場合(N)は、(i)繰り返し計算を終了し、ステップ210に進む。(i)の他に(ii)ステップ204に戻り、予測不良率と実績不良率との乖離が2番目に大きいフェイルビットモードを選出し、ステップ205〜206を行い、どのフェイルビットモードを用いても異物数D0Layernが負の値となる場合はステップ210に進む方法もある。
【0058】
[図5のステップ207]前記ステップ205で算出した異物数を式(1)に代入し、全てのフェイルビットモードの予測不良率を再計算する。
【0059】
[図5のステップ208]前記ステップ207で再計算したフェイルビットモードごとの予測不良率のうち、前記ステップ202で指定した特性不良が発生するフェイルビットモード以外のフェイルビットモードの予測不良率と実績不良率の乖離の合計値を算出し、解析結果記憶領域115に記憶する。
【0060】
[図5のステップ209]前記ステップ204からステップ208が予め設定した乖離量の閾値(あるいは繰り返し回数)まで完了したかを判定する。完了した場合(Y)はステップ210に進み、完了していない場合(N)はステップ204からステップ209を繰り返す。
【0061】
[図5のステップ210]前記ステップ202において、特性不良の対象のフェイルビットモードを自動で決定した場合、対象とする任意のフェイルビットモードの計算が全て完了したかを判定する。完了した場合(Y)はステップ211に進み、完了していない場合(N)は、ステップ202に戻り、次に対象とするフェイルビットモードを選択し、ステップ203からステップ210を繰り返す。
【0062】
[図5のステップ211]前記ステップ203、および、ステップ208で記憶した予測不良率と実績不良率との乖離の合計値のうち、乖離が最小となる場合の工程ごとの異物数を選出して、解析結果記憶領域115に記憶する。
【0063】
[図5のステップ212]前記ステップ211で選出した工程ごとの異物数を式(10)に代入し、工程ごとの異物不良率を算出する。また、前記ステップ211で選出した工程ごとの異物数を用いてステップ202で指定した特性不良の対象モードフェイルビットモードの不良率を算出し、これと実績不良率との乖離として特性不良率を算出し、これらの結果を解析結果記憶領域115に記憶する。
【0064】
[図5のステップ213]解析対象である全ウエハの計算が完了したかを判定する。完了した場合(Y)は終了し、完了していない場合(N)は、ステップ200に戻り、次の解析対象ウエハを選択し、ステップ201からステップ213を繰り返す。
【0065】
<実施の形態2>
前記図1に示した半導体製造装置の管理システム100を用いた実施の形態2を、図6,図7に基づいて説明する。
【0066】
特性不良率と工程ごとの異物不良率を定量化するための実施の形態2について、図6を用いて説明する。まず、特性不良が発生するフェイルビットモード(図6、モードA)を除くその他のフェイルビットモード(図6、モードB,C,D)のうち、実績不良率と予測不良率との乖離が最大となるフェイルビットモードDを選出し、関連工程の異物数の合わせ込みを行う。実施の形態2では、この時、この工程ごとの異物数D0Layernを用いて、ロジック部、メモリ部などといった機能モジュールおよびチップ全体の歩留り予測も行い、これらの予測結果とチップ全体、ロジック部、メモリ部の実績不良率との比較も行う。
【0067】
これにより、例えば、フェイルビットモードごとの実績不良率と予測不良率との乖離は小さくても、12113のように特性不良が発生していないはずのロジック部の予測不良率が実績不良率よりも極端に大きい値となった場合は、異物数D0Layernの推定精度に問題があるなど、フェイルビットモードを用いて算出した異物数D0Layernの妥当性を確認できるため予測精度を向上できる。このように特性不良を含まないフェイルビットモードを用いた異物数の合わせ込みを行い(12111〜12113)、これらの結果の中から、12114に示すように、特性不良を含まないフェイルビットモード、および、特性不良を含まない機能モジュールの実績不良率と予測不良率との乖離が最小となる場合の不良率を異物不良率とし、これと実績不良率との乖離を特性不良率とする。
【0068】
図7に、特性不良率および工程ごとの異物不良率を定量化するための実施の形態2のフローチャートを示す。この特性不良率および工程ごとの異物不良率を定量化するためのフローは、特性不良・工程別異物不良率予測部121を主体とする処理である。
【0069】
[図7のステップ300]まず、計算パラメータの設定において、製品・TEGテスト結果記憶領域114より解析対象ウエハ(ロット平均、指定期間の平均値を用いてもよい)のフェイルビット解析結果、および、チップ全体、ロジック部、メモリ部などの機能モジュールごとのプローブテスト結果を選択する。このテスト結果として、ファンクション不良などの不良カテゴリごとの不良率を用いてもよいし、電源電圧、温度などのテスト条件を変更した複数の実績不良率と比較してもよい。この場合、特性不良の原因がどの不良カテゴリ、あるいは、どのテスト条件でどの程度発生しているのかを特定できるため、特性不良原因究明に有効である。次に、クリティカルエリア記憶領域112より対象製品の工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアAcFBMm_Layernおよび、チップ全体、ロジック部、メモリ部などといった機能モジュールごとに、工程ごとのクリティカルエリアAcmod.i_Layernを取得する。さらに、工程診断TEG結果記憶領域113から各工程の平均異物数D0Layernの初期値を取得する。初期値のD0Layernは任意の値を設定してもよい。
【0070】
[図7のステップ301]前記ステップ300にて取得したクリティカルエリアAcFBMm_Layernと異物数D0Layernとを式(1)に代入し、フェイルビットモードごとの不良率を予測する。さらに、式(11)を用いてチップ全体、ロジック部、メモリ部などといった機能モジュールごとの不良率を算出する。
【0071】
【数9】
【0072】
ここで、Acmod.i_Layernは機能モジュールの工程ごとのクリティカルエリア、D0Layernは工程ごとの異物数、Fmod.iは機能モジュールの不良率を示す。
【0073】
[図7のステップ302]前記ステップ300にて取得したフェイルビットモードごとの実績不良率のうち、特性不良が発生するフェイルビットモードと機能モジュールを選択する。特性不良が発生するフェイルビットモードが予め分かっている場合は、直接フェイルビットモードを指定し、明らかでない場合は、対象とする任意のフェイルビットモードを自動選出する。
【0074】
[図7のステップ303]前記ステップ302以外のフェイルビットモードにおいて、前記ステップ300のフェイルビット実績不良率(実績値)と前記ステップ301のフェイルビット予測不良率(予測値)と、前記ステップ302で指定した特性不良を含む機能モジュール以外の機能モジュールの不良率と実績不良率との乖離の合計値を算出し、初期値の乖離として解析結果記憶領域115に記憶しておく。
【0075】
[図7のステップ304]前記ステップ302以外のフェイルビットモードにおいて実績不良率と予測不良率との乖離が最大となるフェイルビットモードを選出する。不良率の乖離が最大となるフェイルビットモードを選出する場合や、式(5)あるいは式(6)あるいは式(7)により算出した異物数D0FBMm−fbmmの乖離が最大となるフェイルビットモードを選出する場合がある。
【0076】
[図7のステップ305]前記ステップ304において選出したフェイルビットモードにおいて、実績不良率と予測不良率とが一致するように式(8)あるいは式(9)を用いて該当工程の異物数を算出する。
【0077】
[図7のステップ306]前記ステップ305で算出した該当工程の異物数D0Layernが全て正の値であるかを判定する。正の値である場合(Y)はステップ307に進み、正の値でない場合(N)は、(i)繰り返し計算を終了し、ステップ311に進む。(i)の他に(ii)ステップ304に戻り、予測不良率と実績不良率との乖離が2番目に大きいフェイルビットモードを選出し、ステップ305〜306を行い、どのフェイルビットモードを用いても異物数D0Layernが負の値となる場合はステップ311に進む方法もある。
【0078】
[図7のステップ307]前記ステップ305で算出した異物数を用いて全てのフェイルビットモードの予測不良率、および、チップ全体、ロジック部、メモリ部などの機能モジュールの不良率を再計算する。
【0079】
[図7のステップ308]前記ステップ307で再計算した予測不良率のうち、前記ステップ302で指定した特性不良を含むフェイルビットモード以外のフェイルビットモードの予測不良率と実績不良率との乖離と、前記ステップ302で指定した特性不良を含む機能モジュール以外の機能モジュールの不良率と実績不良率との乖離の合計値を算出し、解析結果記憶領域115に記憶する。
【0080】
[図7のステップ309]前記ステップ304からステップ308が予め設定した繰り返し回数(あるいは閾値条件)まで完了したかを判定する。完了した場合(Y)はステップ310に進み、完了していない場合(N)はステップ304からステップ309を繰り返す。
【0081】
[図7のステップ310]前記ステップ302において、特性不良の対象のフェイルビットモードを自動で決定した場合、対象とする任意のフェイルビットモードの計算が全て完了したかを判定する。完了した場合(Y)はステップ311に進み、完了していない場合(N)は、ステップ302に戻り、次に対象とするフェイルビットモードを選択し、ステップ303からステップ310を繰り返す。
【0082】
[図7のステップ311]前記ステップ303、および、ステップ308で記憶した予測不良率と実績不良率との乖離の合計値のうち、乖離が最小となる場合を選出し、その工程ごとの異物数を式(10)に代入し、工程ごとの異物不良率を予測する。
【0083】
[図7のステップ312]前記ステップ311で選出した工程ごとの異物数を用いて全てのフェイルビットモードの予測不良率を計算し、これと実績不良率との乖離として特性不良率を計算する。
【0084】
[図7のステップ313]前記ステップ311で算出した工程ごとの異物数算出結果と、前記ステップ312で計算した予測不良率と実績不良率との乖離としての特性不良率を、解析結果記憶領域115に記憶する。
【0085】
[図7のステップ314]解析対象である全ウエハの計算が完了したかを判定する。完了した場合(Y)は終了し、完了していない場合(N)は、ステップ300に戻り、次の解析対象ウエハを選択し、ステップ301からステップ313を繰り返す。
【0086】
<実施の形態3>
前記図1に示した半導体製造装置の管理システム100を用いた実施の形態3を、図8に基づいて説明する。
【0087】
本発明によれば、前記実施の形態1および実施の形態2に示す特性不良率と工程ごとの異物不良率を算出する方法において、対象とするメモリデバイスは、図8(i)の図形cと(ii)の図形c’、(i)の図形dと(ii)の図形d’に示すように寸法の異なるレイアウトや、図8(iii)のようにレイアウト形状の異なる複数のメモリなどを同時に用いることも可能である。その場合、式(12)のように、メモリごとのクリティカルエリアAcMem.i_FBMm_Layern、AcMem.ii_FBMm_Layern、AcMem.iii_FBMm_Layernと実績フェイルビット不良率FMem.i_FBMm、FMem.ii_FBMm、FMem.iii_FBMmとの関係式が成り立つため、工程ごとの異物数D0Layernの算出に活用できるパラメータが増え、異物数推定精度を向上できる。
【0088】
【数10】
【0089】
<実施の形態4>
前記図1に示した半導体製造装置の管理システム100を用いた実施の形態4を説明する。
【0090】
前記実施の形態1〜3では、特性不良を含まないフェイルビットモードにおいて、全ての異物数が正の値となる条件の範囲でフェイルビットモードごとの実績不良率と予測不良率との誤差が最小となる異物数を探索的に算出したが、この異物不良率の算出は、例えば、式(13)に示す線形計画法により実績不良率と予測不良率の誤差eが最小となるように工程ごとの異物数D0Layernを算出する方法や、最小二乗法、重回帰分析、逆行列計算といった方法を用いることも可能である。
【0091】
【数11】
【0092】
<実施の形態5>
前記図1に示した半導体製造装置の管理システム100を用いた実施の形態5を、図9,図10,図11、図12に基づいて説明する。
【0093】
前記実施の形態1〜4に基づきウエハごとに算出された特性不良率と工程ごとの異物不良率は、例えば、図9に表示されているようなグラフ300を、表示・出力部140に表示することも可能である。このグラフ300の結果では、ロットA,B,Cのウエハ1,2,3における特性不良率および工程X,Y,Z不良率の例において、各ロットのウエハ2で特性不良率が高いことが確認できるため、製造来歴記憶領域111より、グラフ300に表示された全てのウエハの製造来歴を取得し、ウエハ来歴比較部122においてウエハ2とそれ以外のウエハの装置来歴を比較することにより、特性不良の嫌疑原因として、ウエハ2のみが共通で使用した装置やチャンバ、製造条件、あるいは、特徴的な製造パラメータを絞り込むことができる。
【0094】
また、図10に表示されているようなグラフ310を表示・出力部140に表示することも可能である。このグラフ310の結果では、グラフ300において、ロットA,B,Cのウエハ1,2,3ごとに算出した特性不良率および工程X,Y,Z不良率について、それぞれ平均値および標準偏差を表示したグラフである。任意のウエハにおける平均的な特性不良率および工程ごとの不良率、および、ばらつきの大きい不良が特定できるため、重点対策すべき不良を抽出し、その不良のウエハごとの発生率を確認できる。
【0095】
図9で特性不良の嫌疑原因として抽出されたウエハ2のみが共通で使用した装置やチャンバ、製造条件、あるいは特徴的な製造パラメータを絞り込む際には、例えば図11に表示されているようなグラフ320を表示・出力部140に出力することも可能である。図11の例では、ウエハ1が工程X_処理aの装置a−1のチャンバAと工程X_処理bの装置b−1のチャンバAで処理され、ウエハ2が工程X_処理aの装置a−1のチャンバBと工程X_処理bの装置b−1のチャンバAで処理され、ウエハ3が工程X_処理aの装置a−1のチャンバAと工程X_処理bの装置b−2のチャンバCで処理された場合に、特性不良の嫌疑原因として、ウエハ2のみが共通で使用した工程X_処理aの装置a−1のチャンバBを絞り込むことができる。なお、工程X_処理bの装置b−1のチャンバAは、ウエハ2以外にウエハ1でも使用しているので、特性不良の嫌疑原因として絞り込まれることはない。
【0096】
図12は、本実施の形態に係わる半導体製造装置の管理システムにおいて、特性不良・工程別異物不良率予測部121で算出したウエハ(ロット)ごとの特性不良率と工程ごとの異物不良率の結果に基づき、不良原因となる製造装置、チャンバ、製造条件を検出するためのフローチャートの実施の形態を示す。この不良原因となる製造装置、チャンバ、製造条件を検出するためのフローは、管理プログラムに含まれる来歴比較プログラムを実行することにより実現されるウエハ来歴比較部122を主体とする処理である。
【0097】
[図12のステップ400]特性不良・工程別異物不良率予測部121で算出したウエハ(ロット、指定期間)ごとの特性不良率と工程ごとの異物不良率の結果に基づき、解析対象ウエハを選択する。その際、特性不良率が高いウエハと低いウエハ、対象工程の異物不良率が高いウエハと低いウエハというように、究明すべき不良原因ごとのウエハ選定を行う。
【0098】
[図12のステップ401]前記ステップ400で選択したウエハに関する製造来歴データを、製造来歴記憶領域111より取得する。
【0099】
[図12のステップ402]前記ステップ401で取得したウエハごとの製造来歴について、前記ステップ400のグループごとの違いを解析し、その比較結果を解析結果記憶領域115に記憶し、また、表示・出力部140に結果を表示する。
【0100】
[図12のステップ403]前記ステップ400で指定した全ての不良原因に対する解析が完了したかを判定する。完了した場合(Y)は終了し、完了していない場合(N)は、ステップ402〜403を繰り返し行う。
【0101】
<実施の形態の効果>
前記実施の形態によれば、特性不良が発生するフェイルビットモードを除くその他のフェイルビットモードのクリティカルエリアと工程別の任意の異物数を用いて予測したフェイルビット不良率と実績不良率との乖離を最小化とする異物数を算出し、この工程ごとの異物数から算出した不良率を異物不良率とし、これと実績不良率との乖離を特性不良率として定量化することができる。
【0102】
また、前記特性不良率と工程ごとの異物不良率の算出結果に基づき、例えば対象とする不良の発生率が高いウエハと低いウエハなど、不良原因を切り分けてその製造来歴を比較することにより、対象とする不良の原因装置、チャンバ、製造条件を究明することができる。
【0103】
すなわち、近年、配線ピッチの微細化が進み、特性不良の発生率が増大している。この特性不良は装置内でランダムに発生する異物起因の不良と異なり、ウエハごとに発生原因や発生率のばらつきが大きいため、ウエハ1枚1枚の発生率を定量化し、その原因究明に結びつけることが重要となる。しかし、従来方法は工程ごとの異物不良率のみしか定量化出来ず、また、発生した不良を全て異物不良と仮定しているため、特性不良の発生率の高いウエハでは予測精度が低くなるという問題があった。
【0104】
これに対し、本実施の形態では、特性不良率と工程ごとの異物不良率をウエハごとに高精度に算出できるために非常に有効である。また、その結果得られたウエハごとの不良原因に基づき、製造来歴の比較解析を実施することで、対象とする不良の発生率が高いウエハと低いウエハとの製造装置、チャンバ、製造条件の違いを明らかにできる。これらは、不良要因の早期解明によるメモリデバイスの歩留り向上に貢献できる。
【0105】
このように、本実施の形態によれば、対象とするフェイルビット解析結果ごとに特性不良率と工程ごとの異物不良率を高精度に定量化できるので、本方法を複数のウエハに適用することで、ウエハごと、不良原因ごとの不良率の違いに基づき製造装置や製造条件の比較解析を行うことが可能となるため、原因究明の加速による歩留り垂直立ち上げに貢献できる。
【0106】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0107】
例えば、前記実施の形態においては、半導体製造装置の管理システム100を例に説明したが、本発明は以下のようなカテゴリを含む技術として捉えることができる。
【0108】
(1)特性不良・工程別異物不良率予測部121を主体とする不良率予測方法、この不良率予測方法を実現する不良率予測プログラム、さらに特性不良・工程別異物不良率予測部121を構成要素として含む不良率予測システム。
【0109】
(2)ウエハ来歴比較部122を主体とする来歴比較方法、この来歴比較方法を実現する来歴比較プログラム、さらにウエハ来歴比較部122を構成要素として含む来歴比較システム。
【0110】
(3)(1)と(2)を組み合わせ、特性不良・工程別異物不良率予測部121とウエハ来歴比較部122を主体とする半導体製造装置の管理方法、この管理方法を実現する管理プログラム、さらに特性不良・工程別異物不良率予測部121とウエハ来歴比較部122を構成要素として含む半導体製造装置の管理システム。
【0111】
(4)(3)の半導体製造装置の管理方法を用いた半導体装置の製造方法、半導体製造装置の管理システムを構成要素として含む半導体装置の製造システム。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明は、LSIに代表されるような薄膜デバイスであり、一つまたは複数のメモリデバイスを搭載した製品において、電気的なテスト結果とレイアウトシミュレーション結果を用いて、不良の種類を弁別する方法、また、前記弁別の結果に基づき製造装置の来歴比較を行い、不良の種類ごとにその原因を特定する半導体製造装置の管理方法とこれを用いた半導体装置の製造方法に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の実施の形態に係わる半導体製造装置の管理システムを示す概略図である。
【図2】本発明の実施の形態において、不良原因別のフェイルビットモードごとの不良発生比率を示す概念図である。
【図3】本発明の実施の形態において、フェイルビットモード別の不良原因の不良率を示す概念図である。
【図4】本発明の実施の形態において、特性不良率と工程別異物不良率の算出方法(実施の形態1)を示す概略図である。
【図5】本発明の実施の形態において、特性不良率と工程別異物不良率の算出方法(実施の形態1)を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態において、特性不良率と工程別異物不良率の算出方法(実施の形態2)を示す概略図である。
【図7】本発明の実施の形態において、特性不良率と工程別異物不良率の算出方法(実施の形態2)を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態において、寸法の異なる機能モジュール、およびレイアウトの異なる機能モジュールの例を示す概略図である。
【図9】本発明の実施の形態において、ウエハごとの特性不良率と工程別異物不良率の算出結果を表示するグラフを示す概略図である。
【図10】本発明の実施の形態において、任意ウエハの特性不良率と工程別異物不良率の平均値とその標準偏差の算出結果を表示するグラフを示す概略図である。
【図11】本発明の実施の形態において、不良発生ウエハと定常ウエハの製造来歴比較結果を表示するグラフを示す概略図である。
【図12】本発明の実施の形態において、製造来歴比較による不良原因装置の究明方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0114】
100…半導体製造装置の管理システム、
110…記憶部、111…製造来歴記憶領域、112…クリティカルエリア記憶領域、113…工程診断TEG結果記憶領域、114…製品・TEGテスト結果記憶領域、115…解析結果記憶領域、
120…演算部、121…特性不良・工程別異物不良率予測部、122…ウエハ来歴比較部、
130…入力部、
140…表示・出力部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、LSIに代表されるような薄膜デバイスであり、一つまたは複数のメモリデバイスを搭載した製品において、電気的なテスト結果とレイアウトシミュレーション結果を用いて、不良の種類を弁別する方法に関する。また、前記弁別の結果に基づき製造装置の来歴比較を行い、不良の種類ごとにその原因を特定する半導体製造装置の管理方法とこれを用いた半導体装置の製造方法に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスの微細化・高機能化に伴い、特に機能モジュールの中でも集積度の高いメモリデバイスの不良の種類が多様化しており、各工程で発生する異物による配線の短絡・断線・層間非導通不良といった異物不良の他に、膜厚のウエハ面内ばらつきによる配線パターン形状不備やトランジスタ動作ばらつきといったシステマティック不良(パラメトリック不良)も多く発生するようになっている(以後、特性不良とする)。そのため、歩留りを素早く立ち上げるためには、特性不良および工程ごとの異物不良の発生率を定量化した上で、その原因ごとに製造装置、チャンバ、製造条件を調査し不良原因を特定・対策することが重要となる。
【0003】
メモリデバイスでは、その不良解析方法の一つとしてデータの読み書きの最小単位であるセルごとに回路の良否を電気的に判定するフェイルビット解析方法が従来より広く用いられてきた。不良となるセルの影響範囲は、例えば、ワード線とデータ線によるショートであるのか、データ線と電源線とワード線によるショートであるのかなど、発生する異物の大きさと発生箇所により異なるため、フェイルビット解析では、これらの不良セルの発生領域に応じて発生した不良をシングルビット不良・ペアビット不良・ワード線不良などといったフェイルビットモードで定義する。これにより、フェイルビットモードの発生率から、どの層のどの配線上にどの程度の大きさの異物が発生したかを推定でき、その定量化方法として、以下の方法が報告されている(特許文献1)。
【0004】
フェイルビットモードごとの不良率は、ポアソンの歩留り予測モデルを仮定した場合、式(1)によって表すことができる。
【0005】
【数1】
【0006】
ここで、D0Layernは工程ごとの異物数、FFBMmはフェイルビットモードごとの不良率、AcFBMm_Layernは工程ごとフェイルビットモードごとの異物感度θFBMm_Layernとメモリデバイスの面積Aの積算値であるクリティカルエリアを示す。フェイルビットモードごとの異物感度θFBMm_Layernは、配線の組合せごとの異物感度θ配線の組合せ_Layernから算出する。配線の組合せごとの異物感度θ配線の組合せ_Layernは、予め電源・データ線などの配線名を定義した各工程の設計レイアウトに仮想に異物を投下して致命異物を判定するシミュレーションにより算出した異物サイズごと、配線の組合せごとの致命確率分布g(x)配線の組合せ_Layernと、式(2)に示す異物サイズごとの発生確率を示す異物発生確率関数f(x)の積の総和として算出できる(式(3))。
【0007】
【数2】
【0008】
ここで、式(2)のnは粒径分布パラメータ、X0は最小欠陥サイズを示す。不良となる配線の組合せが分かれば、引き起こされるフェイルビットモードを定義できるため、工程ごと配線の組合せごとの異物感度θ配線の組合せ_Layernから、式(4)により、工程ごと、フェイルビットモードごとのθFBMm_Layernを算出する。
【0009】
【数3】
【0010】
ここで、Nは、任意のフェイルビットモードとなる配線の組合せの総数を示す。このθFBMm_Layernにメモリデバイスの面積を積算して算出したクリティカルエリアAcFBMm_Layernとフェイルビットモードごとの実績不良率FFBMmを歩留り算出式(1)に代入し、逆行列を解くことにより、工程ごとの異物数を算出する。
【特許文献1】米国特許出願第6701477(B1)号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、前記のようなフェイルビット解析方法における定量化方法においては、ウエハごとの特性不良率と各工程の異物数を精度良く定量化できれば、例えば特性不良が多発するウエハとそうでないウエハの製造来歴を比較するなど、不良の種類ごとに切り分けてその原因を調査できるため、それぞれの不良の原因究明・対策を加速できる。
【0012】
しかし、上記の方法はフェイルビット実績不良率が全て異物不良によって決まるという仮定に基づいているため特性不良率の定量化はできず、特性不良と異物不良とが発生しているウエハにおいては工程ごとの異物不良率の推定精度が低くなるという問題があった。
【0013】
そこで、本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その代表的な目的は、ウエハごとの特性不良率と工程別の異物不良率を高精度に予測する予測方法とプログラム、および、上記予測により明らかとなったウエハごとの特性不良と工程別の異物不良の発生率の違いに基づいて原因を究明する半導体製造装置の管理方法とこれを用いた半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0014】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0016】
すなわち、代表的なものの概要は、フェイルビットモードごとの実績不良率と工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアとを取得し、任意のフェイルビットモードを除いたフェイルビットモードごとの実績不良率と工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアとを用いて工程ごとの異物数を算出し、工程ごとの異物数を用いて工程ごとの異物不良率ならびにフェイルビットモードごとの異物不良率を算出し、フェイルビットモードごとの異物不良率とフェイルビットモードごとの実績不良率とに基づいて任意のフェイルビットモードの特性不良率を算出することを特徴とするものである。
【0017】
具体的には、以下のようなウエハごとの特性不良率と工程別異物数の推定による半導体製造装置の管理システムが有効である。すなわち、薄膜製品に搭載される1つあるいは複数のメモリデバイスを対象とし、特性不良が発生するフェイルビットモードを除くその他のフェイルビットモードにおいて、工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアと工程ごとの異物数の初期値を用いて予測したフェイルビット不良率と実績不良率との乖離が最小となるように工程ごとの異物数の合わせ込みを行い、この工程ごとの異物数から算出した不良率を異物不良率とし、これと実績不良率との乖離を特性不良率として定量化することを特徴とするメモリデバイス領域を対象としたモード別不良率予測方法と薄膜製品のメモリデバイスの不良率予測方法およびプログラムである。
【0018】
また、薄膜製品のメモリデバイスにおいて、前記特性不良率と工程ごとの異物不良率の算出結果の記憶部と、対象ウエハの製造来歴の入力部と、前記対象ウエハの製造来歴を比較する演算部と、前記比較結果の表示・出力部とを有し、上記予測方法により明らかとなったウエハごとの特性不良と工程別の異物不良の発生率の違いを製造来歴比較により明らかにすることを特徴とする半導体製造装置の管理方法とそのシステムおよびこれを用いた半導体装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0019】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0020】
すなわち、代表的なものによって得られる効果は、対象とするフェイルビット解析結果ごとに特性不良率と工程ごとの異物不良率を高精度に定量化することができる。従って、本方法を複数のウエハに適用することで、ウエハごと、不良原因ごとの不良率の違いに基づき製造装置や製造条件の比較解析を行うことが可能となるため、原因究明の加速による歩留り垂直立ち上げに貢献することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0022】
<実施の形態の概要>
図1は、本発明の実施の形態に係わる半導体製造装置の管理システム100を示す概略図である。図示するように、本実施の形態に係わる管理システム100は、記憶部110と、演算部120と、入力部130と、表示・出力部140とを備えている。記憶部110には、製造来歴記憶領域111と、クリティカルエリア記憶領域112と、工程診断TEG結果記憶領域113と、製品・TEGテスト結果記憶領域114と、解析結果記憶領域115とを備えている。演算部120には、特性不良・工程別異物不良率予測部121と、ウエハ来歴比較部122とを備えている。
【0023】
この管理システム100は、コンピュータシステムを用いて構築され、記憶部110はHDDやメモリなどの装置、演算部120はCPUなどの装置、入力部130はキーボードやマウスなどの装置、表示・出力部140はディスプレイやプリンタなどの装置により実現される。演算部120の特性不良・工程別異物不良率予測部121およびウエハ来歴比較部122は、CPUがHDDなどに記憶された不良率予測プログラムと来歴比較プログラムを含む管理プログラムを実行することにより実現される。
【0024】
特性不良・工程別異物不良率予測部121は、記憶部110からフェイルビットモードごとの実績不良率と工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアとを取得し、この取得したフェイルビットモードごとの実績不良率と工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアとを用いて特性不良率と工程ごとの異物不良率とを算出する部分である。ウエハ来歴比較部122は、特性不良・工程別異物不良率予測部121で算出した特性不良率と工程ごとの異物不良率の発生比率に基づきウエハごとの製造来歴を比較し、この比較結果として不良嫌疑の製造装置および製造条件を算出する部分である。
【0025】
本実施の形態に係わる管理システム100には、ウエハにメモリデバイスを含む機能モジュールを製造する各製造工程の半導体製造装置や、各製造工程でメモリデバイスを含む機能モジュールをテストするテスト装置などが接続され、半導体製造装置から記憶部110の製造来歴記憶領域111に製造来歴が送信され、また、テスト装置から工程診断TEG結果記憶領域113に工程診断TEG結果が送信され、製品・TEGテスト結果記憶領域114に製品・TEGテスト結果が送信される。
【0026】
製造来歴記憶領域111には、ウエハの製造来歴として、ウエハごとに使用装置、装置パラメータ、製造条件といった情報が保存されている。例えば、フォトリソグラフィ工程では、レジスト塗布、プリベーク、露光などといった処理が行われるが、これらの処理時における装置の内部の温度、圧力といった装置パラメータや製造条件、および、使用した装置に関する情報がウエハごとに保存されている。
【0027】
クリティカルエリア記憶領域112には、予め配線名を定義した設計レイアウトに仮想に複数の異物をランダムに投下するレイアウトシミュレーションによって算出したメモリモジュールの工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアや、機能モジュールの工程ごとのクリティカルエリアなどの情報が保存されている。
【0028】
工程診断TEG結果記憶領域113には、各ウエハの工程診断結果が保存されている。製品・TEGテスト結果記憶領域114には、テスト条件ごとに各ウエハのテスト結果が保存されている。解析結果記憶領域115には、フェイルビット解析結果が保存されている。
【0029】
本実施の形態に係わる半導体製造装置の管理システム100により、不良率予測方法と来歴比較方法を含む半導体製造装置の管理方法を実現し、この管理方法を用いて半導体装置の製造方法を実現する。例えば、前回に製造した半導体装置(メモリデバイスを含む機能モジュールが製造されたデバイス)に対して不良率予測と来歴比較を実施し、この結果を次回以降に製造する半導体装置に反映させることで、半導体装置の歩留り向上に貢献できるようになる。
【0030】
メモリデバイスのメモリ部は、セルと呼ばれるトランジスタ動作の最小単位が縦横に繰り返し配置された構造となっており、例えば1セル内に配置されたトランジスタ間をつなぐ配線同士が短絡した場合、1セル内の不良となる一方、同一方向のセルに共通で電流を供給するワード線と電源線が短絡した場合、この同一ライン上の全てのセルが不良となるなど、不良原因・箇所により特徴的な不良パターンを示す。そのため、製造時の電気的な良否判定テストの1つであるフェイルビット解析では、セルの良否判定結果をフェイルビットモードとして分類することにより、各フェイルビットモードの発生率からどの工程の不良がどの程度発生したかを推定できる。
【0031】
ここで、特性不良、および、各工程の異物不良によって引き起こされるフェイルビットモードごとの不良発生比率は、図2に示すようにそれぞれ異なるため、特性不良・工程別異物不良率予測部121では、この発生比率の違いを用いて特性不良率と工程ごとの異物不良率とを定量化する。図2の例では、特性不良、工程X,Y,Zの異物不良によって引き起こされるフェイルビットモードの発生比率を示している。各フェイルビットモードは、例えば後述する図3に図示するように、モードAはシングルビットモードであるシングルビット不良、モードBはペアビット不良、モードCはX方向ライン不良、モードDはY方向ライン不良を表す。
【0032】
この特性不良率と工程ごとの異物不良率とを定量化する方法などを含めて、本発明の特徴を各実施の形態において具体的に説明する。なお、以下に説明する各実施の形態は、互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明などの関係にあり、各実施の形態を任意に組み合わせて実現できるものである。
【0033】
<実施の形態1>
前記図1に示した半導体製造装置の管理システム100を用いた実施の形態1を、図3,図4,図5に基づいて説明する。
【0034】
フェイルビットモードごとの異物不良率は前述した通り、工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアAcFBMm_Layernと工程ごとの異物数D0Layernを式(1)に代入することで算出可能であるが、特性不良はウエハごとに原因が異なる可能性もあり、モデル化が困難である。そのため、まず、特性不良が発生するフェイルビットモード(図3、モードA)を除くその他のフェイルビットモード(図3、モードB,C,D)から、工程ごとの異物数D0Layernを算出し、この結果を式(1)に代入することでフェイルビットモードごとの異物不良率FFBMmを算出し、これと実績不良率fFBMmとの差として特性不良率を定量化する方法を考案した。
【0035】
すなわち、まず、図4の12101に示すように、レイアウトシミュレーションから算出した工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアAcFBMm_Layernと任意の工程ごとの異物数D0Layern(初期値)とを式(1)に代入し、フェイルビットモードごとの異物不良率FFBMmの初期値を算出する。ここで、工程ごとの異物数D0Layern(初期値)は、工程診断TEGの結果を使用してもよいし、任意の値を設定してもよい。次に、特性不良を含むフェイルビットモードを対象外とし、その他のフェイルビットモードごとに実績不良率fFBMmと予測不良率FFBMmの乖離の大きさを式(5)により異物数D0FBMm−fbmmに換算して算出し、この値が最も大きくなるフェイルビットモードを選出する。
【0036】
【数4】
【0037】
ここで、D0FBMm−fbmmは任意のフェイルビットモードの実績不良率と予測不良率との乖離を異物数に換算した値であり、AcFBMmは任意のフェイルビットモードのクリティカルエリア、FFBMmは任意のフェイルビットモードの予測不良率、fFBMmは実績フェイルビット不良率を示す。D0FBMm−fbmmの算出方法として、式(6)のように工程ごとに任意の重み付係数wLayernを設定しておくことも可能であるし、式(7)のように任意の係数k、k’を設定することも可能である。
【0038】
【数5】
【0039】
図4の12101の例では、乖離が最大となるフェイルビットモードとしてフェイルビットモードD(FBMD)が選出される。このフェイルビットモードDでは実績不良率より予測不良率の方が大きいため、式(8)を用いてフェイルビットモードDの不良が発生する工程Y(LayerY)と工程Z(LayerZ)の異物数の初期値を実績不良率と予測不良率とを一致させる異物数へと変更する。
【0040】
【数6】
【0041】
ここで、D0LayerY0、D0LayerZ0はそれぞれ工程Y,Zの異物数の初期値、D0FBMD−fbmDは式(5)あるいは式(6)あるいは式(7)により算出したフェイルビットモードDの乖離分の異物数、AcFBMD_LayerYは工程YのフェイルビットモードDのクリティカルエリア、AcFBMD_LayerZは工程ZのフェイルビットモードDのクリティカルエリア、wLayerY、wLayerZは式(6)あるいは(7)で設定した工程Y,Zの重み付け係数を示し、式(5)を用いた場合はwLayerY、wLayerZを1とする。式(8)では、全ての工程の異物数D0が正の値であることを制約条件としており、負の値となる場合には、例えば以下の(i)、(ii)ような処理が考えられる。
【0042】
(i)負の値となった時点で繰り返し計算を終了する。
【0043】
(ii)二番目に乖離の大きいフェイルビットモードに合わせ込みを行い、異物数が負となる場合は、三番目に乖離の大きいフェイルビットモードに合わせ込むというように、異物数が正となるフェイルビットモードのうち乖離が最も大きいフェイルビットモードを算出する。どのフェイルビットモードを用いても異物数が負になる工程がある場合には繰り返し計算を終了する。
【0044】
フェイルビットモードDの不良が発生する工程Y、工程Zの異物数を変更すると、その他のモードA,B,Cにおける工程Y,Zの不良率も変化するため、12102に示すように全てのフェイルビットモードの予測不良率と実績不良率との乖離が変化し、乖離が最大となるフェイルビットモードとして新たにフェイルビットモードBが選出される。フェイルビットモードB(FBMB)では、予測不良率よりも実績不良率の方が大きいため、フェイルビットモードBの不良が発生する工程X、工程Y、工程Zの異物数D0LayerX、D0LayerY、D0LayerZを式(9)を用いて変更する。
【0045】
【数7】
【0046】
ここで、D0LayerX1、D0LayerY2、D0LayerZ2はそれぞれ合わせ込み後の工程X,Y,Zの異物数を、D0LayerX0は工程Xの異物数の初期値を、D0LayerY1、D0LayerZ1は式(8)によりフェイルビットモードDに合わせ込んだ後の工程Yと工程Zの異物数を、D0FBMB−fbmBは式(5)あるいは式(6)あるいは式(7)により算出したフェイルビットモードBの乖離分の異物数を、AcFBMB_LayerX、AcFBMB_LayerY、AcFBMB_LayerZは工程X、工程Y、工程ZのフェイルビットモードBのクリティカルエリアを示す。このように、予め設定した収束条件(設定回数や乖離量の閾値など)まで繰り返し異物数の合わせ込みを行う(12101〜12103)。その後、繰り返し合わせ込みを行うごとに算出した異物数を式(1)に代入して算出したフェイルビットモードごとの予測不良率と実績不良率の乖離の合計値を算出し、この乖離が最も小さくなる工程ごとのD0Layernを選出し、これを式(10)に代入することで工程ごとの異物不良率FLayernを算出でき、さらに、異物数D0Layernを用いた予測不良率と実績不良率との差として特性不良を定量化する(12104)。
【0047】
【数8】
【0048】
ここで、AcFBMm_Layernは任意の工程nのフェイルビットモードmごとのクリティカルエリア、D0Layernは任意の工程nの異物数、FLayernは任意の工程nの異物不良率を示す。
【0049】
特性不良を多く含むフェイルビット不良モードが不明の場合、まずはフェイルビットモードAを除いて工程ごとの異物数D0を推定し(12101、12102)、次にフェイルビットモードBを除いて工程ごとの異物数D0を推定する(12103)というように、除外するフェイルビットモードを一つあるいは複数ずつ変更して異物数を算出し、それぞれの異物数を式(1)に代入してフェイルビットモードごとの予測不良率を算出し、除外するフェイルビットモード以外の実績不良率と予測不良率との乖離の合計が最小となる組合せを選択すればよい。
【0050】
図5に、特性不良率および工程ごとの異物不良率を定量化するための実施の形態1のフローチャートを示す。この特性不良率および工程ごとの異物不良率を定量化するためのフローは、管理プログラムに含まれる不良率予測プログラムを実行することにより実現される特性不良・工程別異物不良率予測部121を主体とする処理である。
【0051】
[図5のステップ200]まず、計算パラメータの設定において、製品・TEGテスト結果記憶領域114より解析対象ウエハ(ロット平均値、指定期間の平均値を用いてもよい)のフェイルビット解析結果を選択する。また、クリティカルエリア記憶領域112より対象製品の工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアAcFBMm_Layernを取得する。さらに、工程診断TEG結果記憶領域113から各工程の平均異物数D0Layernの初期値を取得する。初期値のD0Layernは任意の値を設定してもよい。
【0052】
[図5のステップ201]前記ステップ200にて取得したクリティカルエリアAcFBMm_Layernと異物数D0Layernとを式(1)に代入し、フェイルビットモードごとの不良率を算出(予測)する。
【0053】
[図5のステップ202]前記ステップ200にて取得したフェイルビットモードごとの実績不良率のうち、特性不良が発生するフェイルビットモードを選択する。特性不良が発生するフェイルビットモードが予め分かっている場合は、直接フェイルビットモードを指定し、明らかでない場合は、対象とする任意のフェイルビットモードを自動選出する。
【0054】
[図5のステップ203]前記ステップ202以外のフェイルビットモードにおいて、前記ステップ200のフェイルビット実績不良率(実績値)と前記ステップ201のフェイルビット予測不良率(予測値)との乖離の合計値を算出し、解析結果記憶領域115に記憶する。
【0055】
[図5のステップ204]前記ステップ202以外のフェイルビットモードにおいて実績不良率と予測不良率との乖離が最大となるフェイルビットモードを選出する。不良率の乖離が最大となるフェイルビットモードを選出する場合や、式(5)あるいは式(6)あるいは式(7)により算出した異物数D0FBMm−fbmmの乖離が最大となるフェイルビットモードを選出する場合がある。
【0056】
[図5のステップ205]前記ステップ204において選出したフェイルビットモードにおいて、実績不良率と予測不良率とが一致するように式(8)あるいは式(9)を用いて該当工程の異物数を算出する。
【0057】
[図5のステップ206]前記ステップ205で算出した該当工程の異物数D0Layernが全て正の値であるかを判定する。正の値である場合(Y)はステップ207に進み、正の値でない場合(N)は、(i)繰り返し計算を終了し、ステップ210に進む。(i)の他に(ii)ステップ204に戻り、予測不良率と実績不良率との乖離が2番目に大きいフェイルビットモードを選出し、ステップ205〜206を行い、どのフェイルビットモードを用いても異物数D0Layernが負の値となる場合はステップ210に進む方法もある。
【0058】
[図5のステップ207]前記ステップ205で算出した異物数を式(1)に代入し、全てのフェイルビットモードの予測不良率を再計算する。
【0059】
[図5のステップ208]前記ステップ207で再計算したフェイルビットモードごとの予測不良率のうち、前記ステップ202で指定した特性不良が発生するフェイルビットモード以外のフェイルビットモードの予測不良率と実績不良率の乖離の合計値を算出し、解析結果記憶領域115に記憶する。
【0060】
[図5のステップ209]前記ステップ204からステップ208が予め設定した乖離量の閾値(あるいは繰り返し回数)まで完了したかを判定する。完了した場合(Y)はステップ210に進み、完了していない場合(N)はステップ204からステップ209を繰り返す。
【0061】
[図5のステップ210]前記ステップ202において、特性不良の対象のフェイルビットモードを自動で決定した場合、対象とする任意のフェイルビットモードの計算が全て完了したかを判定する。完了した場合(Y)はステップ211に進み、完了していない場合(N)は、ステップ202に戻り、次に対象とするフェイルビットモードを選択し、ステップ203からステップ210を繰り返す。
【0062】
[図5のステップ211]前記ステップ203、および、ステップ208で記憶した予測不良率と実績不良率との乖離の合計値のうち、乖離が最小となる場合の工程ごとの異物数を選出して、解析結果記憶領域115に記憶する。
【0063】
[図5のステップ212]前記ステップ211で選出した工程ごとの異物数を式(10)に代入し、工程ごとの異物不良率を算出する。また、前記ステップ211で選出した工程ごとの異物数を用いてステップ202で指定した特性不良の対象モードフェイルビットモードの不良率を算出し、これと実績不良率との乖離として特性不良率を算出し、これらの結果を解析結果記憶領域115に記憶する。
【0064】
[図5のステップ213]解析対象である全ウエハの計算が完了したかを判定する。完了した場合(Y)は終了し、完了していない場合(N)は、ステップ200に戻り、次の解析対象ウエハを選択し、ステップ201からステップ213を繰り返す。
【0065】
<実施の形態2>
前記図1に示した半導体製造装置の管理システム100を用いた実施の形態2を、図6,図7に基づいて説明する。
【0066】
特性不良率と工程ごとの異物不良率を定量化するための実施の形態2について、図6を用いて説明する。まず、特性不良が発生するフェイルビットモード(図6、モードA)を除くその他のフェイルビットモード(図6、モードB,C,D)のうち、実績不良率と予測不良率との乖離が最大となるフェイルビットモードDを選出し、関連工程の異物数の合わせ込みを行う。実施の形態2では、この時、この工程ごとの異物数D0Layernを用いて、ロジック部、メモリ部などといった機能モジュールおよびチップ全体の歩留り予測も行い、これらの予測結果とチップ全体、ロジック部、メモリ部の実績不良率との比較も行う。
【0067】
これにより、例えば、フェイルビットモードごとの実績不良率と予測不良率との乖離は小さくても、12113のように特性不良が発生していないはずのロジック部の予測不良率が実績不良率よりも極端に大きい値となった場合は、異物数D0Layernの推定精度に問題があるなど、フェイルビットモードを用いて算出した異物数D0Layernの妥当性を確認できるため予測精度を向上できる。このように特性不良を含まないフェイルビットモードを用いた異物数の合わせ込みを行い(12111〜12113)、これらの結果の中から、12114に示すように、特性不良を含まないフェイルビットモード、および、特性不良を含まない機能モジュールの実績不良率と予測不良率との乖離が最小となる場合の不良率を異物不良率とし、これと実績不良率との乖離を特性不良率とする。
【0068】
図7に、特性不良率および工程ごとの異物不良率を定量化するための実施の形態2のフローチャートを示す。この特性不良率および工程ごとの異物不良率を定量化するためのフローは、特性不良・工程別異物不良率予測部121を主体とする処理である。
【0069】
[図7のステップ300]まず、計算パラメータの設定において、製品・TEGテスト結果記憶領域114より解析対象ウエハ(ロット平均、指定期間の平均値を用いてもよい)のフェイルビット解析結果、および、チップ全体、ロジック部、メモリ部などの機能モジュールごとのプローブテスト結果を選択する。このテスト結果として、ファンクション不良などの不良カテゴリごとの不良率を用いてもよいし、電源電圧、温度などのテスト条件を変更した複数の実績不良率と比較してもよい。この場合、特性不良の原因がどの不良カテゴリ、あるいは、どのテスト条件でどの程度発生しているのかを特定できるため、特性不良原因究明に有効である。次に、クリティカルエリア記憶領域112より対象製品の工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアAcFBMm_Layernおよび、チップ全体、ロジック部、メモリ部などといった機能モジュールごとに、工程ごとのクリティカルエリアAcmod.i_Layernを取得する。さらに、工程診断TEG結果記憶領域113から各工程の平均異物数D0Layernの初期値を取得する。初期値のD0Layernは任意の値を設定してもよい。
【0070】
[図7のステップ301]前記ステップ300にて取得したクリティカルエリアAcFBMm_Layernと異物数D0Layernとを式(1)に代入し、フェイルビットモードごとの不良率を予測する。さらに、式(11)を用いてチップ全体、ロジック部、メモリ部などといった機能モジュールごとの不良率を算出する。
【0071】
【数9】
【0072】
ここで、Acmod.i_Layernは機能モジュールの工程ごとのクリティカルエリア、D0Layernは工程ごとの異物数、Fmod.iは機能モジュールの不良率を示す。
【0073】
[図7のステップ302]前記ステップ300にて取得したフェイルビットモードごとの実績不良率のうち、特性不良が発生するフェイルビットモードと機能モジュールを選択する。特性不良が発生するフェイルビットモードが予め分かっている場合は、直接フェイルビットモードを指定し、明らかでない場合は、対象とする任意のフェイルビットモードを自動選出する。
【0074】
[図7のステップ303]前記ステップ302以外のフェイルビットモードにおいて、前記ステップ300のフェイルビット実績不良率(実績値)と前記ステップ301のフェイルビット予測不良率(予測値)と、前記ステップ302で指定した特性不良を含む機能モジュール以外の機能モジュールの不良率と実績不良率との乖離の合計値を算出し、初期値の乖離として解析結果記憶領域115に記憶しておく。
【0075】
[図7のステップ304]前記ステップ302以外のフェイルビットモードにおいて実績不良率と予測不良率との乖離が最大となるフェイルビットモードを選出する。不良率の乖離が最大となるフェイルビットモードを選出する場合や、式(5)あるいは式(6)あるいは式(7)により算出した異物数D0FBMm−fbmmの乖離が最大となるフェイルビットモードを選出する場合がある。
【0076】
[図7のステップ305]前記ステップ304において選出したフェイルビットモードにおいて、実績不良率と予測不良率とが一致するように式(8)あるいは式(9)を用いて該当工程の異物数を算出する。
【0077】
[図7のステップ306]前記ステップ305で算出した該当工程の異物数D0Layernが全て正の値であるかを判定する。正の値である場合(Y)はステップ307に進み、正の値でない場合(N)は、(i)繰り返し計算を終了し、ステップ311に進む。(i)の他に(ii)ステップ304に戻り、予測不良率と実績不良率との乖離が2番目に大きいフェイルビットモードを選出し、ステップ305〜306を行い、どのフェイルビットモードを用いても異物数D0Layernが負の値となる場合はステップ311に進む方法もある。
【0078】
[図7のステップ307]前記ステップ305で算出した異物数を用いて全てのフェイルビットモードの予測不良率、および、チップ全体、ロジック部、メモリ部などの機能モジュールの不良率を再計算する。
【0079】
[図7のステップ308]前記ステップ307で再計算した予測不良率のうち、前記ステップ302で指定した特性不良を含むフェイルビットモード以外のフェイルビットモードの予測不良率と実績不良率との乖離と、前記ステップ302で指定した特性不良を含む機能モジュール以外の機能モジュールの不良率と実績不良率との乖離の合計値を算出し、解析結果記憶領域115に記憶する。
【0080】
[図7のステップ309]前記ステップ304からステップ308が予め設定した繰り返し回数(あるいは閾値条件)まで完了したかを判定する。完了した場合(Y)はステップ310に進み、完了していない場合(N)はステップ304からステップ309を繰り返す。
【0081】
[図7のステップ310]前記ステップ302において、特性不良の対象のフェイルビットモードを自動で決定した場合、対象とする任意のフェイルビットモードの計算が全て完了したかを判定する。完了した場合(Y)はステップ311に進み、完了していない場合(N)は、ステップ302に戻り、次に対象とするフェイルビットモードを選択し、ステップ303からステップ310を繰り返す。
【0082】
[図7のステップ311]前記ステップ303、および、ステップ308で記憶した予測不良率と実績不良率との乖離の合計値のうち、乖離が最小となる場合を選出し、その工程ごとの異物数を式(10)に代入し、工程ごとの異物不良率を予測する。
【0083】
[図7のステップ312]前記ステップ311で選出した工程ごとの異物数を用いて全てのフェイルビットモードの予測不良率を計算し、これと実績不良率との乖離として特性不良率を計算する。
【0084】
[図7のステップ313]前記ステップ311で算出した工程ごとの異物数算出結果と、前記ステップ312で計算した予測不良率と実績不良率との乖離としての特性不良率を、解析結果記憶領域115に記憶する。
【0085】
[図7のステップ314]解析対象である全ウエハの計算が完了したかを判定する。完了した場合(Y)は終了し、完了していない場合(N)は、ステップ300に戻り、次の解析対象ウエハを選択し、ステップ301からステップ313を繰り返す。
【0086】
<実施の形態3>
前記図1に示した半導体製造装置の管理システム100を用いた実施の形態3を、図8に基づいて説明する。
【0087】
本発明によれば、前記実施の形態1および実施の形態2に示す特性不良率と工程ごとの異物不良率を算出する方法において、対象とするメモリデバイスは、図8(i)の図形cと(ii)の図形c’、(i)の図形dと(ii)の図形d’に示すように寸法の異なるレイアウトや、図8(iii)のようにレイアウト形状の異なる複数のメモリなどを同時に用いることも可能である。その場合、式(12)のように、メモリごとのクリティカルエリアAcMem.i_FBMm_Layern、AcMem.ii_FBMm_Layern、AcMem.iii_FBMm_Layernと実績フェイルビット不良率FMem.i_FBMm、FMem.ii_FBMm、FMem.iii_FBMmとの関係式が成り立つため、工程ごとの異物数D0Layernの算出に活用できるパラメータが増え、異物数推定精度を向上できる。
【0088】
【数10】
【0089】
<実施の形態4>
前記図1に示した半導体製造装置の管理システム100を用いた実施の形態4を説明する。
【0090】
前記実施の形態1〜3では、特性不良を含まないフェイルビットモードにおいて、全ての異物数が正の値となる条件の範囲でフェイルビットモードごとの実績不良率と予測不良率との誤差が最小となる異物数を探索的に算出したが、この異物不良率の算出は、例えば、式(13)に示す線形計画法により実績不良率と予測不良率の誤差eが最小となるように工程ごとの異物数D0Layernを算出する方法や、最小二乗法、重回帰分析、逆行列計算といった方法を用いることも可能である。
【0091】
【数11】
【0092】
<実施の形態5>
前記図1に示した半導体製造装置の管理システム100を用いた実施の形態5を、図9,図10,図11、図12に基づいて説明する。
【0093】
前記実施の形態1〜4に基づきウエハごとに算出された特性不良率と工程ごとの異物不良率は、例えば、図9に表示されているようなグラフ300を、表示・出力部140に表示することも可能である。このグラフ300の結果では、ロットA,B,Cのウエハ1,2,3における特性不良率および工程X,Y,Z不良率の例において、各ロットのウエハ2で特性不良率が高いことが確認できるため、製造来歴記憶領域111より、グラフ300に表示された全てのウエハの製造来歴を取得し、ウエハ来歴比較部122においてウエハ2とそれ以外のウエハの装置来歴を比較することにより、特性不良の嫌疑原因として、ウエハ2のみが共通で使用した装置やチャンバ、製造条件、あるいは、特徴的な製造パラメータを絞り込むことができる。
【0094】
また、図10に表示されているようなグラフ310を表示・出力部140に表示することも可能である。このグラフ310の結果では、グラフ300において、ロットA,B,Cのウエハ1,2,3ごとに算出した特性不良率および工程X,Y,Z不良率について、それぞれ平均値および標準偏差を表示したグラフである。任意のウエハにおける平均的な特性不良率および工程ごとの不良率、および、ばらつきの大きい不良が特定できるため、重点対策すべき不良を抽出し、その不良のウエハごとの発生率を確認できる。
【0095】
図9で特性不良の嫌疑原因として抽出されたウエハ2のみが共通で使用した装置やチャンバ、製造条件、あるいは特徴的な製造パラメータを絞り込む際には、例えば図11に表示されているようなグラフ320を表示・出力部140に出力することも可能である。図11の例では、ウエハ1が工程X_処理aの装置a−1のチャンバAと工程X_処理bの装置b−1のチャンバAで処理され、ウエハ2が工程X_処理aの装置a−1のチャンバBと工程X_処理bの装置b−1のチャンバAで処理され、ウエハ3が工程X_処理aの装置a−1のチャンバAと工程X_処理bの装置b−2のチャンバCで処理された場合に、特性不良の嫌疑原因として、ウエハ2のみが共通で使用した工程X_処理aの装置a−1のチャンバBを絞り込むことができる。なお、工程X_処理bの装置b−1のチャンバAは、ウエハ2以外にウエハ1でも使用しているので、特性不良の嫌疑原因として絞り込まれることはない。
【0096】
図12は、本実施の形態に係わる半導体製造装置の管理システムにおいて、特性不良・工程別異物不良率予測部121で算出したウエハ(ロット)ごとの特性不良率と工程ごとの異物不良率の結果に基づき、不良原因となる製造装置、チャンバ、製造条件を検出するためのフローチャートの実施の形態を示す。この不良原因となる製造装置、チャンバ、製造条件を検出するためのフローは、管理プログラムに含まれる来歴比較プログラムを実行することにより実現されるウエハ来歴比較部122を主体とする処理である。
【0097】
[図12のステップ400]特性不良・工程別異物不良率予測部121で算出したウエハ(ロット、指定期間)ごとの特性不良率と工程ごとの異物不良率の結果に基づき、解析対象ウエハを選択する。その際、特性不良率が高いウエハと低いウエハ、対象工程の異物不良率が高いウエハと低いウエハというように、究明すべき不良原因ごとのウエハ選定を行う。
【0098】
[図12のステップ401]前記ステップ400で選択したウエハに関する製造来歴データを、製造来歴記憶領域111より取得する。
【0099】
[図12のステップ402]前記ステップ401で取得したウエハごとの製造来歴について、前記ステップ400のグループごとの違いを解析し、その比較結果を解析結果記憶領域115に記憶し、また、表示・出力部140に結果を表示する。
【0100】
[図12のステップ403]前記ステップ400で指定した全ての不良原因に対する解析が完了したかを判定する。完了した場合(Y)は終了し、完了していない場合(N)は、ステップ402〜403を繰り返し行う。
【0101】
<実施の形態の効果>
前記実施の形態によれば、特性不良が発生するフェイルビットモードを除くその他のフェイルビットモードのクリティカルエリアと工程別の任意の異物数を用いて予測したフェイルビット不良率と実績不良率との乖離を最小化とする異物数を算出し、この工程ごとの異物数から算出した不良率を異物不良率とし、これと実績不良率との乖離を特性不良率として定量化することができる。
【0102】
また、前記特性不良率と工程ごとの異物不良率の算出結果に基づき、例えば対象とする不良の発生率が高いウエハと低いウエハなど、不良原因を切り分けてその製造来歴を比較することにより、対象とする不良の原因装置、チャンバ、製造条件を究明することができる。
【0103】
すなわち、近年、配線ピッチの微細化が進み、特性不良の発生率が増大している。この特性不良は装置内でランダムに発生する異物起因の不良と異なり、ウエハごとに発生原因や発生率のばらつきが大きいため、ウエハ1枚1枚の発生率を定量化し、その原因究明に結びつけることが重要となる。しかし、従来方法は工程ごとの異物不良率のみしか定量化出来ず、また、発生した不良を全て異物不良と仮定しているため、特性不良の発生率の高いウエハでは予測精度が低くなるという問題があった。
【0104】
これに対し、本実施の形態では、特性不良率と工程ごとの異物不良率をウエハごとに高精度に算出できるために非常に有効である。また、その結果得られたウエハごとの不良原因に基づき、製造来歴の比較解析を実施することで、対象とする不良の発生率が高いウエハと低いウエハとの製造装置、チャンバ、製造条件の違いを明らかにできる。これらは、不良要因の早期解明によるメモリデバイスの歩留り向上に貢献できる。
【0105】
このように、本実施の形態によれば、対象とするフェイルビット解析結果ごとに特性不良率と工程ごとの異物不良率を高精度に定量化できるので、本方法を複数のウエハに適用することで、ウエハごと、不良原因ごとの不良率の違いに基づき製造装置や製造条件の比較解析を行うことが可能となるため、原因究明の加速による歩留り垂直立ち上げに貢献できる。
【0106】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0107】
例えば、前記実施の形態においては、半導体製造装置の管理システム100を例に説明したが、本発明は以下のようなカテゴリを含む技術として捉えることができる。
【0108】
(1)特性不良・工程別異物不良率予測部121を主体とする不良率予測方法、この不良率予測方法を実現する不良率予測プログラム、さらに特性不良・工程別異物不良率予測部121を構成要素として含む不良率予測システム。
【0109】
(2)ウエハ来歴比較部122を主体とする来歴比較方法、この来歴比較方法を実現する来歴比較プログラム、さらにウエハ来歴比較部122を構成要素として含む来歴比較システム。
【0110】
(3)(1)と(2)を組み合わせ、特性不良・工程別異物不良率予測部121とウエハ来歴比較部122を主体とする半導体製造装置の管理方法、この管理方法を実現する管理プログラム、さらに特性不良・工程別異物不良率予測部121とウエハ来歴比較部122を構成要素として含む半導体製造装置の管理システム。
【0111】
(4)(3)の半導体製造装置の管理方法を用いた半導体装置の製造方法、半導体製造装置の管理システムを構成要素として含む半導体装置の製造システム。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明は、LSIに代表されるような薄膜デバイスであり、一つまたは複数のメモリデバイスを搭載した製品において、電気的なテスト結果とレイアウトシミュレーション結果を用いて、不良の種類を弁別する方法、また、前記弁別の結果に基づき製造装置の来歴比較を行い、不良の種類ごとにその原因を特定する半導体製造装置の管理方法とこれを用いた半導体装置の製造方法に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の実施の形態に係わる半導体製造装置の管理システムを示す概略図である。
【図2】本発明の実施の形態において、不良原因別のフェイルビットモードごとの不良発生比率を示す概念図である。
【図3】本発明の実施の形態において、フェイルビットモード別の不良原因の不良率を示す概念図である。
【図4】本発明の実施の形態において、特性不良率と工程別異物不良率の算出方法(実施の形態1)を示す概略図である。
【図5】本発明の実施の形態において、特性不良率と工程別異物不良率の算出方法(実施の形態1)を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態において、特性不良率と工程別異物不良率の算出方法(実施の形態2)を示す概略図である。
【図7】本発明の実施の形態において、特性不良率と工程別異物不良率の算出方法(実施の形態2)を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態において、寸法の異なる機能モジュール、およびレイアウトの異なる機能モジュールの例を示す概略図である。
【図9】本発明の実施の形態において、ウエハごとの特性不良率と工程別異物不良率の算出結果を表示するグラフを示す概略図である。
【図10】本発明の実施の形態において、任意ウエハの特性不良率と工程別異物不良率の平均値とその標準偏差の算出結果を表示するグラフを示す概略図である。
【図11】本発明の実施の形態において、不良発生ウエハと定常ウエハの製造来歴比較結果を表示するグラフを示す概略図である。
【図12】本発明の実施の形態において、製造来歴比較による不良原因装置の究明方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0114】
100…半導体製造装置の管理システム、
110…記憶部、111…製造来歴記憶領域、112…クリティカルエリア記憶領域、113…工程診断TEG結果記憶領域、114…製品・TEGテスト結果記憶領域、115…解析結果記憶領域、
120…演算部、121…特性不良・工程別異物不良率予測部、122…ウエハ来歴比較部、
130…入力部、
140…表示・出力部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリデバイスのフェイルビットモードごとの実績不良率と、予め配線名を定義した設計レイアウトに仮想に複数の異物をランダムに投下するレイアウトシミュレーションによって算出した工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアとを記憶する記憶部と、
前記フェイルビットモードごとの実績不良率と、前記工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアとを用いて、特性不良率と異物不良率とを算出する予測部と、を備えたシステムにおける不良率予測方法であって、
前記予測部は、
前記記憶部に記憶している前記フェイルビットモードごとの実績不良率と前記工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアとを取得する第1ステップと、
任意のフェイルビットモードを除いた前記フェイルビットモードごとの実績不良率と前記工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアとを用いて工程ごとの異物数を算出する第2ステップと、
前記工程ごとの異物数を用いて工程ごとの異物不良率ならびにフェイルビットモードごとの異物不良率を算出する第3ステップと、
前記フェイルビットモードごとの異物不良率と前記フェイルビットモードごとの実績不良率とに基づいて前記任意のフェイルビットモードの特性不良率を算出する第4ステップと、を実行することを特徴とする不良率予測方法。
【請求項2】
請求項1に記載の不良率予測方法において、
前記第2ステップで前記工程ごとの異物数を算出する際には、最小二乗法、重回帰、数理計画法、逆行列計算の少なくとも一つの解法を用いることを特徴とする不良率予測方法。
【請求項3】
請求項1に記載の不良率予測方法において、
前記任意のフェイルビットモードは、シングルビットモードであることを特徴とする不良率予測方法。
【請求項4】
請求項1に記載の不良率予測方法において、
前記フェイルビットモードごとの実績不良率は、少なくとも一つ以上の電源電圧、あるいは、少なくとも一つ以上の温度条件、あるいは、少なくとも一つ以上のフェイルビットテストパターンで取得した結果を用いることを特徴とする不良率予測方法。
【請求項5】
請求項1に記載の不良率予測方法において、
前記フェイルビットモードごとの実績不良率および前記工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアは、配線の寸法やレイアウトの異なる複数種類のメモリセル、および、ロジックを模したセルを含む、少なくとも2つ以上のメモリセルのフェイルビットモードごとの実績不良率と工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアを用いることを特徴とする不良率予測方法。
【請求項6】
請求項1に記載の不良率予測方法において、
前記フェイルビットモードごとの実績不良率は、ウエハ単位、ロット単位、指定期間単位、任意のウエハ単位のいずれかのフェイルビットモードごとの実績不良率を用いることを特徴とする不良率予測方法。
【請求項7】
請求項1に記載の不良率予測方法において、
前記フェイルビットモードごとの実績不良率および前記工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアの他に、少なくとも一つ以上の機能モジュールの実績不良率と、設計レイアウトに仮想に複数の異物をランダムに投下するシミュレーションによって算出した機能モジュールの工程ごとのクリティカルエリアとを用いることを特徴とする不良率予測方法。
【請求項8】
請求項7に記載の不良率予測方法において、
前記機能モジュールの実績不良率は、少なくとも1つ以上の電源電圧、あるいは、少なくとも1つ以上の温度条件の結果、あるいは、少なくとも1つ以上のテストカテゴリ別の結果を用いることを特徴とする不良率予測方法。
【請求項9】
請求項1に記載の不良率予測方法において、
前記第2および第3ステップでは、
前記任意のフェイルビットモードを除いた前記フェイルビットモードごとの実績不良率と前記工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアと任意の異物数を用いて算出したフェイルビットモードごとの異物不良率との乖離が最大となるフェイルビットモードを選出し、
前記乖離が最大となるフェイルビットモードの異物不良率と実績不良率との乖離に基づき第1の異物数の合わせ込みを行い、前記任意の異物数の合わせ込みにより算出した新たな異物数を用いて算出した前記フェイルビットモードごとの異物不良率と前記フェイルビットモードごとの実績不良率との乖離が最大となるフェイルビットモードを算出し、
前記乖離が最大となるフェイルビットモードの異物不良率と実績不良率との乖離に基づき第2の異物数の合わせ込みを行うといった複数回の合わせ込みにより異物数を更新した後、前記フェイルビットモードごとの異物不良率と前記フェイルビットモードごとの実績不良率との乖離が最小となる合わせ込み回数の異物数を用いて前記工程ごとの異物不良率ならびに前記フェイルビットモードごとの異物不良率を算出する、ことを特徴とする不良率予測方法。
【請求項10】
請求項9に記載の不良率予測方法において、
前記任意のフェイルビットモードは、シングルビットモードであることを特徴とする不良率予測方法。
【請求項11】
請求項9に記載の不良率予測方法において、
前記フェイルビットモードごとの実績不良率は、少なくとも一つ以上の電源電圧、あるいは、少なくとも一つ以上の温度条件、あるいは、少なくとも一つ以上のフェイルビットテストパターンで取得した結果を用いることを特徴とする不良率予測方法。
【請求項12】
請求項9に記載の不良率予測方法において、
前記フェイルビットモードごとの実績不良率および前記工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアは、配線の寸法やレイアウトの異なる複数種類のメモリセル、および、ロジックを模したセルを含む、少なくとも2つ以上のメモリセルのフェイルビットモードごとの実績不良率と工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアを用いることを特徴とする不良率予測方法。
【請求項13】
請求項9に記載の不良率予測方法において、
前記フェイルビットモードごとの実績不良率は、ウエハ単位、ロット単位、指定期間単位、任意のウエハ単位のいずれかのフェイルビットモードごとの実績不良率を用いることを特徴とする不良率予測方法。
【請求項14】
請求項9に記載の不良率予測方法において、
前記フェイルビットモードごとの実績不良率および前記工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアの他に、少なくとも一つ以上の機能モジュールの実績不良率と、設計レイアウトに仮想に複数の異物をランダムに投下するシミュレーションによって算出した機能モジュールの工程ごとのクリティカルエリアとを用いることを特徴とする不良率予測方法。
【請求項15】
請求項14に記載の不良率予測方法において、
前記機能モジュールの実績不良率は、少なくとも1つ以上の電源電圧、あるいは、少なくとも1つ以上の温度条件の結果、あるいは、少なくとも1つ以上のテストカテゴリ別の結果を用いることを特徴とする不良率予測方法。
【請求項16】
メモリデバイスのフェイルビットモードごとの実績不良率と、予め配線名を定義した設計レイアウトに仮想に複数の異物をランダムに投下するレイアウトシミュレーションによって算出した工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアとを記憶する記憶部と、予測部と、を備えたコンピュータシステムを用いて、特性不良率と異物不良率とを算出する不良率予測プログラムであって、
前記予測部に、
前記記憶部に記憶している前記フェイルビットモードごとの実績不良率と前記工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアとを取得する第1ステップと、
任意のフェイルビットモードを除いた前記フェイルビットモードごとの実績不良率と前記工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアとを用いて工程ごとの異物数を算出する第2ステップと、
前記工程ごとの異物数を用いて工程ごとの異物不良率ならびにフェイルビットモードごとの異物不良率を算出する第3ステップと、
前記フェイルビットモードごとの異物不良率と前記フェイルビットモードごとの実績不良率とに基づいて前記任意のフェイルビットモードの特性不良率を算出する第4ステップと、を実行させることを特徴とする不良率予測プログラム。
【請求項17】
請求項16に記載の不良率予測プログラムにおいて、
前記フェイルビットモードごとの実績不良率および前記工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアの他に、少なくとも一つ以上の機能モジュールの実績不良率と、設計レイアウトに仮想に複数の異物をランダムに投下するレイアウトシミュレーションによって算出した機能モジュールの工程ごとのクリティカルエリアとを用いることを特徴とする不良率予測プログラム。
【請求項18】
メモリデバイスのフェイルビットモードごとの実績不良率と、予め配線名を定義した設計レイアウトに仮想に複数の異物をランダムに投下するレイアウトシミュレーションによって算出した工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアとを記憶する記憶部と、
前記フェイルビットモードごとの実績不良率と、前記工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアとを用いて、特性不良率と異物不良率とを算出する予測部と、
ウエハごとの製造来歴の比較解析を行う比較部と、を備えたシステムにおける半導体製造装置の管理方法であって、
前記予測部は、前記記憶部に記憶している前記フェイルビットモードごとの実績不良率と前記工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアとを取得し、この取得した前記フェイルビットモードごとの実績不良率と前記工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアとを用いて特性不良率と工程ごとの異物不良率とを算出し、
前記比較部は、前記予測部で算出した前記特性不良率と前記工程ごとの異物不良率、あるいはそれらの発生比率に基づきウエハごとの製造来歴を比較し、この比較結果として不良嫌疑の製造装置および製造条件を算出する、ことを特徴とする半導体製造装置の管理方法。
【請求項19】
請求項18に記載の半導体製造装置の管理方法において、
前記予測部は、前記フェイルビットモードごとの実績不良率および前記工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアの他に、少なくとも一つ以上の機能モジュールの実績不良率と、少なくとも一つ以上の機能モジュールのクリティカルエリアとを用いて、前記特性不良率と前記工程ごとの異物不良率とを算出することを特徴とする半導体製造装置の管理方法。
【請求項20】
請求項18に記載の半導体製造装置の管理方法を用い、前記メモリデバイスを搭載した半導体装置を製造することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項1】
メモリデバイスのフェイルビットモードごとの実績不良率と、予め配線名を定義した設計レイアウトに仮想に複数の異物をランダムに投下するレイアウトシミュレーションによって算出した工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアとを記憶する記憶部と、
前記フェイルビットモードごとの実績不良率と、前記工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアとを用いて、特性不良率と異物不良率とを算出する予測部と、を備えたシステムにおける不良率予測方法であって、
前記予測部は、
前記記憶部に記憶している前記フェイルビットモードごとの実績不良率と前記工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアとを取得する第1ステップと、
任意のフェイルビットモードを除いた前記フェイルビットモードごとの実績不良率と前記工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアとを用いて工程ごとの異物数を算出する第2ステップと、
前記工程ごとの異物数を用いて工程ごとの異物不良率ならびにフェイルビットモードごとの異物不良率を算出する第3ステップと、
前記フェイルビットモードごとの異物不良率と前記フェイルビットモードごとの実績不良率とに基づいて前記任意のフェイルビットモードの特性不良率を算出する第4ステップと、を実行することを特徴とする不良率予測方法。
【請求項2】
請求項1に記載の不良率予測方法において、
前記第2ステップで前記工程ごとの異物数を算出する際には、最小二乗法、重回帰、数理計画法、逆行列計算の少なくとも一つの解法を用いることを特徴とする不良率予測方法。
【請求項3】
請求項1に記載の不良率予測方法において、
前記任意のフェイルビットモードは、シングルビットモードであることを特徴とする不良率予測方法。
【請求項4】
請求項1に記載の不良率予測方法において、
前記フェイルビットモードごとの実績不良率は、少なくとも一つ以上の電源電圧、あるいは、少なくとも一つ以上の温度条件、あるいは、少なくとも一つ以上のフェイルビットテストパターンで取得した結果を用いることを特徴とする不良率予測方法。
【請求項5】
請求項1に記載の不良率予測方法において、
前記フェイルビットモードごとの実績不良率および前記工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアは、配線の寸法やレイアウトの異なる複数種類のメモリセル、および、ロジックを模したセルを含む、少なくとも2つ以上のメモリセルのフェイルビットモードごとの実績不良率と工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアを用いることを特徴とする不良率予測方法。
【請求項6】
請求項1に記載の不良率予測方法において、
前記フェイルビットモードごとの実績不良率は、ウエハ単位、ロット単位、指定期間単位、任意のウエハ単位のいずれかのフェイルビットモードごとの実績不良率を用いることを特徴とする不良率予測方法。
【請求項7】
請求項1に記載の不良率予測方法において、
前記フェイルビットモードごとの実績不良率および前記工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアの他に、少なくとも一つ以上の機能モジュールの実績不良率と、設計レイアウトに仮想に複数の異物をランダムに投下するシミュレーションによって算出した機能モジュールの工程ごとのクリティカルエリアとを用いることを特徴とする不良率予測方法。
【請求項8】
請求項7に記載の不良率予測方法において、
前記機能モジュールの実績不良率は、少なくとも1つ以上の電源電圧、あるいは、少なくとも1つ以上の温度条件の結果、あるいは、少なくとも1つ以上のテストカテゴリ別の結果を用いることを特徴とする不良率予測方法。
【請求項9】
請求項1に記載の不良率予測方法において、
前記第2および第3ステップでは、
前記任意のフェイルビットモードを除いた前記フェイルビットモードごとの実績不良率と前記工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアと任意の異物数を用いて算出したフェイルビットモードごとの異物不良率との乖離が最大となるフェイルビットモードを選出し、
前記乖離が最大となるフェイルビットモードの異物不良率と実績不良率との乖離に基づき第1の異物数の合わせ込みを行い、前記任意の異物数の合わせ込みにより算出した新たな異物数を用いて算出した前記フェイルビットモードごとの異物不良率と前記フェイルビットモードごとの実績不良率との乖離が最大となるフェイルビットモードを算出し、
前記乖離が最大となるフェイルビットモードの異物不良率と実績不良率との乖離に基づき第2の異物数の合わせ込みを行うといった複数回の合わせ込みにより異物数を更新した後、前記フェイルビットモードごとの異物不良率と前記フェイルビットモードごとの実績不良率との乖離が最小となる合わせ込み回数の異物数を用いて前記工程ごとの異物不良率ならびに前記フェイルビットモードごとの異物不良率を算出する、ことを特徴とする不良率予測方法。
【請求項10】
請求項9に記載の不良率予測方法において、
前記任意のフェイルビットモードは、シングルビットモードであることを特徴とする不良率予測方法。
【請求項11】
請求項9に記載の不良率予測方法において、
前記フェイルビットモードごとの実績不良率は、少なくとも一つ以上の電源電圧、あるいは、少なくとも一つ以上の温度条件、あるいは、少なくとも一つ以上のフェイルビットテストパターンで取得した結果を用いることを特徴とする不良率予測方法。
【請求項12】
請求項9に記載の不良率予測方法において、
前記フェイルビットモードごとの実績不良率および前記工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアは、配線の寸法やレイアウトの異なる複数種類のメモリセル、および、ロジックを模したセルを含む、少なくとも2つ以上のメモリセルのフェイルビットモードごとの実績不良率と工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアを用いることを特徴とする不良率予測方法。
【請求項13】
請求項9に記載の不良率予測方法において、
前記フェイルビットモードごとの実績不良率は、ウエハ単位、ロット単位、指定期間単位、任意のウエハ単位のいずれかのフェイルビットモードごとの実績不良率を用いることを特徴とする不良率予測方法。
【請求項14】
請求項9に記載の不良率予測方法において、
前記フェイルビットモードごとの実績不良率および前記工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアの他に、少なくとも一つ以上の機能モジュールの実績不良率と、設計レイアウトに仮想に複数の異物をランダムに投下するシミュレーションによって算出した機能モジュールの工程ごとのクリティカルエリアとを用いることを特徴とする不良率予測方法。
【請求項15】
請求項14に記載の不良率予測方法において、
前記機能モジュールの実績不良率は、少なくとも1つ以上の電源電圧、あるいは、少なくとも1つ以上の温度条件の結果、あるいは、少なくとも1つ以上のテストカテゴリ別の結果を用いることを特徴とする不良率予測方法。
【請求項16】
メモリデバイスのフェイルビットモードごとの実績不良率と、予め配線名を定義した設計レイアウトに仮想に複数の異物をランダムに投下するレイアウトシミュレーションによって算出した工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアとを記憶する記憶部と、予測部と、を備えたコンピュータシステムを用いて、特性不良率と異物不良率とを算出する不良率予測プログラムであって、
前記予測部に、
前記記憶部に記憶している前記フェイルビットモードごとの実績不良率と前記工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアとを取得する第1ステップと、
任意のフェイルビットモードを除いた前記フェイルビットモードごとの実績不良率と前記工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアとを用いて工程ごとの異物数を算出する第2ステップと、
前記工程ごとの異物数を用いて工程ごとの異物不良率ならびにフェイルビットモードごとの異物不良率を算出する第3ステップと、
前記フェイルビットモードごとの異物不良率と前記フェイルビットモードごとの実績不良率とに基づいて前記任意のフェイルビットモードの特性不良率を算出する第4ステップと、を実行させることを特徴とする不良率予測プログラム。
【請求項17】
請求項16に記載の不良率予測プログラムにおいて、
前記フェイルビットモードごとの実績不良率および前記工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアの他に、少なくとも一つ以上の機能モジュールの実績不良率と、設計レイアウトに仮想に複数の異物をランダムに投下するレイアウトシミュレーションによって算出した機能モジュールの工程ごとのクリティカルエリアとを用いることを特徴とする不良率予測プログラム。
【請求項18】
メモリデバイスのフェイルビットモードごとの実績不良率と、予め配線名を定義した設計レイアウトに仮想に複数の異物をランダムに投下するレイアウトシミュレーションによって算出した工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアとを記憶する記憶部と、
前記フェイルビットモードごとの実績不良率と、前記工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアとを用いて、特性不良率と異物不良率とを算出する予測部と、
ウエハごとの製造来歴の比較解析を行う比較部と、を備えたシステムにおける半導体製造装置の管理方法であって、
前記予測部は、前記記憶部に記憶している前記フェイルビットモードごとの実績不良率と前記工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアとを取得し、この取得した前記フェイルビットモードごとの実績不良率と前記工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアとを用いて特性不良率と工程ごとの異物不良率とを算出し、
前記比較部は、前記予測部で算出した前記特性不良率と前記工程ごとの異物不良率、あるいはそれらの発生比率に基づきウエハごとの製造来歴を比較し、この比較結果として不良嫌疑の製造装置および製造条件を算出する、ことを特徴とする半導体製造装置の管理方法。
【請求項19】
請求項18に記載の半導体製造装置の管理方法において、
前記予測部は、前記フェイルビットモードごとの実績不良率および前記工程ごとフェイルビットモードごとのクリティカルエリアの他に、少なくとも一つ以上の機能モジュールの実績不良率と、少なくとも一つ以上の機能モジュールのクリティカルエリアとを用いて、前記特性不良率と前記工程ごとの異物不良率とを算出することを特徴とする半導体製造装置の管理方法。
【請求項20】
請求項18に記載の半導体製造装置の管理方法を用い、前記メモリデバイスを搭載した半導体装置を製造することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−73992(P2010−73992A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−241415(P2008−241415)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
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