説明

両親媒性グラフトポリマー

本発明は、下記式1で表される少なくとも1つのマクロモノマーと、重合性エチレン性不飽和二重結合を有する少なくとも1つの他のモノマーとを共重合して得られるグラフトポリマーに関する。
【化1】


(式中、Xは炭素数1〜12の分岐また未分岐の2価アルキレン残基を表し、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、硫酸基、リン酸基、またはジカルボン酸のモノエステルおよびその塩を表し、nは5〜500である)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラフトポリマー、該グラフトポリマーの製造方法、およびその分散剤としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
固体を液状媒体に分散するとき、例えば塗料やラッカーを調製するとき、固体は分散されて一次微粒子となり液状分散媒体により濡らされる。かかる一次微粒子は、均質な分散液が得られるように分散媒体中にできるだけ均一に分布しなければならない。また、分散処理後、分散液は安定していなければならない。つまり、一次微粒子が再凝集してより大きな凝集体となり、沈降して分散液が再び分離してはならない。不完全な分散の結果、凝集体が分散液中に残留し、すなわち一次微粒子の凝集が発生し、液体系の粘性上昇、塗料および塗膜の色ズレや光沢の喪失、プラスチックの機械的強度の減少などが生じてしまう。
【0003】
分散に必要なエネルギーおよび分散に掛かる時間を最小限にするために分散剤を使用する。分散剤は界面活性化合物であり、固体表面と分散媒体との界面に作用するため、顔料凝集体を一次粒子に分散することができる。通常、分散媒体と固体の極性は異なるため、固体表面が分散媒体によって直接濡れることはない。分散剤は、通常、ポリマー化合物であり極性の異なる複数のセグメントを有する。そのため、分散剤の一方の極性のセグメントが固体表面と好適に相互作用でき、他方の極性のセグメントが分散媒体と好適に相互作用することができる。極性の異なる複数の領域を形成するために、分散剤は、アニオン性、カチオン性、または中性電荷のセグメントを有することができる。分散剤の他の効果は、立体的障害または同一符号の電荷で帯電された基が互いに反発し合うことにより、分散された一次粒子の再凝集を防ぐことである。
【0004】
特に顔料濃縮物を調製する場合は、顔料濃度はできるだけ高く、すなわちバインダーや溶剤の割合は低くしなければならない。多くの分散剤は、分散媒体中で顔料すなわち固体を十分に安定化することができるにも拘わらず、分散液の粘性の低減能は十分ではない。これは、分散媒体として水を使用する場合に特に問題となる。粉砕物を水に分散させる場合、粘性が著しく上昇することがあるため、得られる分散液の更なる処理を可能とするためには、より多くの分散剤、溶剤または共溶剤を添加しなければならない。しかしながら、これは、分散液における顔料すなわち固体の割合が減少することを意味する。環境保護の観点から、有機溶剤の割合をできるだけ低くしようとする試み、つまり分散溶媒として水だけを使用する試みがなされている。また、コスト面から、分散液に添加する添加剤の数をできるだけ少なくすることが考えられている。したがって、通常は、分散液に消泡剤を添加して分散処理中の泡の形成を抑制する必要がある。多くの添加剤は、たしかに、分散液の一定の特性を向上させるが、同時に、他の特性の悪化も許容しなければならないことが多い。例えば、親水性添加剤を使用した場合、感湿性または耐水性が増加したり減少したりする問題がある。また分散剤は、一般的に親水性セグメントを有するため、例えばラッカーに添加すると、ラッカーの耐湿性を低下させてしまう。
【0005】
分散液から得た塗膜などの耐水性をできるだけ低下させないという要求に加え、分散剤は、着色層の色強度や光沢などの他の比色特性を向上させなければならない。
【0006】
特許文献1には、少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマー50〜93重量%と、分子量が1000〜20000g/molである、少なくとも1つのエチレン性不飽和マクロモノマー2〜25重量%と、少なくとも1つの重合性イミダゾール誘導体5〜25重量%とを含むモノマー混合物(合計:100重量%)をラジカル重合して得られるイミダゾール基含有分岐ポリマーが記載されている。エチレン性不飽和マクロモノマーはポリマー主鎖の側鎖を形成する。エチレン性不飽和モノマーとしては、炭素数1〜22の直鎖または分岐アルコールのアクリレートおよび/またはメタクリレートが好ましく使用される。他の好適なエチレン性不飽和コモノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、メトキシ−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルが含まれる。ビニルイミダゾールは、イミダゾール基含有モノマーとして好ましく使用される。前記マクロモノマーは、例えば、炭素数1〜22の直鎖または分岐アルコールの(メタ)アクリル酸エステルを、個々の末端(メタ)アクリル基機能を保持させるように重合して得られる。他の好適なマクロモノマーとしては、例えばモノヒドロキシルポリシロキサンと(メタ)アクリル酸との反応により得られる、モノビニル末端ポリジメチルシロキサンが挙げられる。これらのポリマーは例えば、塗料、ペースト、および/または、顔料および/または充填剤を含む成形用化合物を調製する際の分散剤として使用可能である。
【0007】
特許文献2には、水溶液系の分散剤として好適なグラフトポリマーが記載されている。ポリマー主鎖は側鎖と比較して疎水性であり、疎水性の(メタ)アクリル酸誘導体モノマーから形成されている。ポリマー主鎖の最大30重量%は、ポリマーの顔料表面への結合力を高める官能基を有するモノマーから形成されている。ポリマー主鎖は親水性側鎖を有しており、これらはアニオン性基を有するか或いは中性のいずれかである。アニオン性側鎖はアニオン性の親水性マクロモノマーから形成されており、これらは(メタ)アクリル酸誘導体の重合により得られ、かかるマクロモノマーは、重合酸基を有するモノマーを2〜100重量%を有する。非イオン性側鎖は、重合によりグラフトポリマーの主鎖に取り込まれる末端(メタ)アクリル酸基を有する親水性ポリ(アルキレングリコール)(メタ)アクリル酸マクロモノマーから形成される。ポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールが好ましい。
【0008】
特許文献3には、側鎖に末端リン酸基を有する塗料用分散剤が記載されている。この分散剤は、リン酸基含有エチレン性不飽和モノマーの共重合により得られる。このリン酸基含有エチレン性不飽和モノマーはポリアルキレンオキシドによりエステル化された(メタ)アクリル酸から誘導され、末端水酸基はリン酸基によりエステル化されるか、或いは末端エポキシ基となっている。このモノマーは下記一般式で表される構造を有する。
【化1】

(式中、αは0または1であり、α=1のとき、Xは二価アルキル基、二価アリール基または二価アラルキル基を表す。βおよびγは、それぞれ独立して、0〜100を表す(ただし、β及びγは同時に0ではない)。Rは水素原子またはメチル基を表し、RIIはPO基、水酸基およびエポキシ基から選ばれる基を表す)
【0009】
特許文献4には、(A)スルホン基含有不飽和モノマーと、(B)ポリオキシアルキレン鎖を有する非イオン性モノマーと、(C)(i)1分子につき2つの第三級アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーもしくは(ii)1分子につき1つの第三級アルキル基および1つの第二級水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、(D)他のエチレン性不飽和モノマーとを重合することにより得られる、分散剤として好適なポリマーが記載されている。好適な前記モノマー(B)は、下記式で表される構造を有するものである。
【化2】

(式中、RIIIは水素原子又はメチル基を表し、RIVは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。εは6〜50の整数を表し、δは2または3を表す。オキシアルキレン単位Cδ2δOについて、δが2であるときまたは3であるときの何れの場合も、εはδと同一でも異なっていてもよい)
【0010】
特許文献5には、(a)アルキル基で置換されてもよいスチレン0〜80mol%と、(b)長鎖アルコール(アルキル鎖は酸素原子が介在されていてもよい)でエステル化されている(メタ)アクリル酸0〜70mol%と、(c)少なくとも1つの塩基性窒素原子を有する複素環基を少なくとも1つ有する、少なくとも1つのモノマー5〜50mol%と、(d)架橋可能な基を有するモノマー0〜10mol%と、他のモノマー0〜20mol%とを重合して得られる、分散剤として使用可能なポリマーが記載されている。
【0011】
特許文献6には、顔料分散剤として使用可能なアミン変性ポリマーの製造方法が記載されている。このポリマーは、イソシアネート基含有エチレン性不飽和モノマーを、該イソシアネート基と反応可能な基を有さない他のモノマーと重合させることにより得られる。重合反応中またはその後に、イソシアネート基を(1)ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルおよび末端アミノ基含有ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルからなる群から選ばれる化合物、(2)少なくとも1つの第三級アミノ基および前記イソシアネート基と反応可能な官能基を有する化合物、および任意で(3)前記イソシアネート基と反応可能な官能基を有する他の化合物と反応させる。
【0012】
特許文献7には、(a)(i)官能基としてイソシアネート基、無水物基またはエポキシ基を有するエチレン性不飽和モノマーと(ii)前記(i)の官能基と反応可能な官能基を有さない少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーとを重合することにより得られる官能化コポリマーと、(b)ポリアルキレングリコールホモポリマー、コポリマー、およびその混合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物と、(c)(i)脂肪族基、芳香族基および置換芳香族基により置換されていてもよいヒドラジド、および(ii)下記式で表されるイミンからなる群から選択される顔料表面と相互作用可能な基を有する化合物と、を反応させることにより得られる、顔料分散剤が記載されている。
【化3】

(式中、RはOHまたはNHR’を表し、R’は水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。RVIおよびRVIIは同一でも異なっていてもよく、脂肪族基、芳香族または縮合芳香族基、およびベンゾイル基またはアルカノイル基からなる群から選択される官能基を表す(前記基はアルキル基、アルコキシ基、水酸基またはハロゲン原子により置換されていてもよい))
【0013】
特許文献8には、分散剤として水系分散媒体に使用可能なグラフトポリマーが記載されている。このグラフトポリマーは、ポリマー主鎖または側鎖のいずれかが親水性であり、いずれの場合も残りの全ての鎖が疎水性となるように構成されている。ポリマー主鎖および側鎖は、エチレン性不飽和モノマーの重合により得られる。疎水性部はエチレン性不飽和モノマーから得られ、グラフトポリマーの疎水性部分に対して少なくとも50重量%は(メタ)アクリル酸の芳香族エステル、(メタ)アクリル酸アミド、およびビニルアリールエステルからなる群から選ばれるモノマーに由来する。グラフトポリマーの親水性部は、アニオン性ポリマー中で、任意で保護されている酸基を有するモノマーから形成される。好適なモノマーは、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸である。好適な保護モノマーは、トリメチルシリル(メタ)アクリレート、1−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、1−エトキシ(メタ)アクリレート、2−テトラヒドロピラニル(メタ)アクリレートである。カチオン性グラフトポリマーの場合、カチオン性部分はアミノ基含有モノマーから由来しうる。好適なモノマーは、N,N’−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、4−アミノスチレン、または2−ビニルピリジンである。非イオン性の親水性モノマーは、下記式で表される構造を有する。
【化4】

(式中、ζは0または1である。ζ=1の場合、Xは2価アルキル基、2価アリール基または2価アラルキル基を表し、ηは1〜100であり、RVIIIは水素原子またはメチル基を表し、RIXは水素原子、および炭素数1〜4のアルキル基からなる群から選ばれる)
【0014】
特許文献9には、(メタ)アクリルアミドおよび(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる疎水性モノマーと、(メタ)アクリルアミドスルホン酸、(メタ)アクリルアミドジスルホン酸およびスチレン−スルホン酸からなる群から選ばれる親水性モノマーとの共重合により得られる分散剤が記載されている。
【0015】
特許文献2には、分散剤として水溶液系で使用可能なグラフトポリマーが記載されている。このグラフトポリマーは、アニオン性または非イオン性の親水性側鎖が結合した疎水性ポリマー主鎖を有する。非イオン性側鎖は、(メタ)アクリル酸末端のポリアルキレングリコールを重合によりポリマー主鎖に組み込むことにより、グラフトポリマーへ組み込まれる。
【0016】
特許文献10には、不飽和モノカルボン酸誘導体もしくは不飽和ジカルボン酸誘導体、およびオキシアルキレングリコール−アルケニルエーテルにから得られるコポリマーが記載されており、無機バインダーまたはアスファルトバインダー系の水性縣濁液(コンクリート混合物など)の添加剤として好適である。このコポリマーは、少なくとも3つの成分、好ましくは少なくとも4つの成分(a)、(b)、(c)、(d)を含む。25〜98.99mol%の量で配合される第1の成分(a)は、モノカルボン酸誘導体またはジカルボン酸誘導体であって、下記一般式Ia、Ib、またはIcで表される。
【化5】

【0017】
モノカルボン酸誘導体Iaの場合、Rは水素原子または炭素数1〜20の脂肪族炭化水素残基を表す。式IaおよびIbにおいて、Xは−OMθおよび/または−O−(C2LO)−RXI、または−NH−(C2LO)−RXIを表す(ただし、Mは水素原子、または1価または2価の金属カチオン、アンモニウムまたは有機アミン残基を表し、Mが1価金属カチオンであるか2価の金属カチオンであるかによって、θは0.5または1である)。RXIは水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素残基、脂環式残基または芳香族残基を表す。L=2であり、K=0〜200である。
【0018】
1〜48.9mol%の量で配合される第2の成分は下記式IIに対応し、オキシアルケニルグリコール−アルケニルエーテルに由来する。
【化6】

(式中、L’は2〜4、K’+K’’は250〜500、λは0〜3であり、RXIおよびLは前記と同様である。RXIIは水素原子又は炭素数1〜5の脂肪族炭化水素を表す)
【0019】
オキシアルケニルグリコール鎖の最も単純かつ簡単な構成単位としてエチレンオキシドを用いた場合、オキシアルケニルグリコール鎖の分子量は少なくとも11000g/molとなる。
【0020】
0.01〜6mol%の量で配合される第3の成分(c)は、下記式IIIaまたはIIIbに対応する。
【化7】

(式中、RXIIIは水素原子またはメチル基を表し、Qは−H、−COOMθ、または−COORXIVを表す(ただしRXIVは脂肪族炭化水素残基または芳香族炭化水素残基であり、Mおよびθは前記と同様である)
【0021】
T=−COORXIVの場合、Qは−COOMθまたは−COORXIVを表す。さらに、Tは下記式で表される構造を有しうる。
【化8】

(式中、μは1〜150、υは0〜15である。Uは−CO−NH−、−O−、または−OCH−でありうる)
【0022】
さらに、Tは(CHω−V−(CHω−CH=CH−RXI(ただしωは0〜4でありうり、Vは−O−CO−C−CO−O−残基である)でありうる。
【0023】
0〜60mol%の量で配合される第4の成分(d)は、下記式IVaおよび/またはIVbで表される不飽和ジカルボン酸誘導体から由来する。
【化9】

【0024】
特許文献11には、下記式で表される水溶性アリルまたはビニルエーテル存在下で、不水溶性のオレフィン性不飽和化合物を重合して得られる、水性ポリマー分散体が記載されている。
【化10】

(式中、oは0または1、πは0または1、ρは1〜20の整数、Xは0またはN[(A−O)−RXVI]、Aは炭素数2〜4のアルキレン基、σは5〜900の整数、RXVIは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基である)
【0025】
上記式で表されるマクロモノマーは、乳化重合または縣濁重合に用いられる乳化剤または分散剤として使用可能であり、水不溶性モノマーのエマルジョンに微量添加して使用される。実施例ではマクロモノマーの添加量は約0.1mol%である。マクロモノマーを添加することによって、モノマーからなる液滴が安定化する。マクロモノマーは、その親水性ポリグリコール鎖によりモノマー液滴と液相との界面に主に存在するため、ポリマー中に均質に取り込まれない。したがって、ポリマー中のマクロモノマーの割合は非常に小さいため、ラテックスの崩壊後、ポリマーの物性が重合により取り込まれたマクロモノマーの影響を実質的に受けることはない。エマルジョン中の個々の液滴は、その中でモノマー重合が進行するある種の「マイクロリアクター」を形成する。大まかに言うと、各々の液滴が高分子ポリマー粒子を形成するが、形成されるポリマー粒子の分子量が高いと溶液や分散液の粘性が上昇してしまう。そのため、特許文献11に記載のポリマーは、塗料やワニスなどに使用する分散剤としては好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1081169A1号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1197536A2号明細書
【特許文献3】国際公開第01/10918号パンフレット
【特許文献4】欧州特許出願公開第1348724A1号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第0311157A1号明細書
【特許文献6】米国特許第5,231,134号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第0661357A2号明細書
【特許文献8】欧州特許出願公開第0826751A2号明細書
【特許文献9】国際公開第99/66004号パンフレット
【特許文献10】独国特許出願公開第102004005434A1号明細書
【特許文献11】欧州特許出願公開第1069139A1号明細書
【非特許文献】
【0027】
【非特許文献1】"Lehrbuch der Lacke und Beschichtungen", Vol. 5, S. Hirzel Verlag Stuttgart, 2003, pages 277-360
【非特許文献2】Mathias J. Lippok-Lohmer K., Welt der Farben, 10/1997, p.28-30, "Methode zur Messung farbtiefer Pigmente"
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
本発明は、分散剤として使用可能なグラフトコポリマーを提供することを第一の目的とし、かかるグラフトポリマーを使用することによって、顔料濃度が高く且つ粘性が低いため加工が容易であり、塗料樹脂の色強度や光沢が高く、長期間安定した分散液を形成可能な顔料濃縮物を調製することができる。
【課題を解決するための手段】
【0029】
前記目的は、特許請求の範囲に記載の請求項1の特徴を有するグラフトコポリマーにより達成される。かかるグラフトコポリマーの有利な実施形態は従属項の主題である。
【0030】
よって本発明の主題は、下記式1で表される少なくとも1つのマクロモノマーと、重合性エチレン性不飽和二重結合を有する少なくとも1つの他のモノマーとを共重合して得られるグラフトポリマーである。
【化11】

(式中、Xは炭素数1〜12の分岐また未分岐の2価のアルキレン残基を表し、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、硫酸基、リン酸基、またはジカルボン酸のモノエステルおよびその塩を表し、nは5〜500である)
【発明を実施するための形態】
【0031】
式1で表されるマクロモノマーのビニル基の反応性は、その分子サイズや立体障害のために比較的低い。したがって、式1で表されるマクロモノマーの反応性は他のモノマーと比較して低く、その多くは重合によってポリマー鎖に取り込まれないだろうと予測された。しかしながら、驚くべきことに、式1で表されるマクロモノマーのビニル基は、他のモノマーから形成されるポリマー鎖に取り込まれて分散剤が得られる程度に十分な反応性を有することがわかった。グラフトコポリマー調製時に、グラフトコポリマーの分子量が大きくなり過ぎず顔料粒子などの固体粒子の分散剤として機能可能な程度にグラフトコポリマーを小さく保つように、反応を制御する。本発明に係るグラフトポリマーの平均分子量は、DIN 55 672に準拠したサイズ排除クロマトグラフィーによるポリスチレン換算量で、好ましくは5000〜200000g/mol、より好ましくは7500〜100000g/mol、特に好ましくは10000〜75000g/molである。
【0032】
ポリアルキレングリコール側鎖が存在するため、グラフトコポリマーは極性溶媒、特には水系溶媒や塗料用樹脂と相溶する。ポリアルキレングリコール側鎖として、ポリエチレングリコール鎖および/またはポリプロピレングリコール鎖を使用することが特に好ましい。全ての側鎖を同じポリアルキレングリコールとしてもよいが、異なるポリアルキレングリコール鎖とすることも可能である。また、ポリアルキレングリコール鎖を互いに異なるグリコール、例えばポリエチレン/ポリプロピレングリコールから構成することも可能である。ポリアルキレングリコール鎖の平均鎖長nは5〜500、好ましくは10〜150、特に好ましくは20〜50である。
【0033】
式1で表されるマクロモノマーのビニル基は、短鎖のアルキル残基で置換されてもよいが、未置換のビニル残基(すなわちR=R=R=H)とすることが好ましい。重合中のマクロモノマーの反応性を十分にするためである。
【0034】
ビニル基は、炭素数1〜12、好ましくは炭素数2〜6の分岐または未分岐の2価の残基Xを介して、ポリアルキレングリコール鎖に結合している。好ましくは、残基Xは未分岐のアルキレン基である。特に好ましくは、Xはn−ブチレン基である。
【0035】
ポリアルキレングリコール鎖の遊離端は水酸基を有しうる。この水酸基はまた、例えばグラフトポリマーの分散性に影響を与えるために変性されてもよい。そのために、水酸基を例えば2価酸によりエステル化して、グラフトコポリマーにイオン性基などを導入することが可能である。かかるエステル化には、無機多価酸および有機多価酸の双方が好適に使用される。好適な無機酸は、例えばリン酸または硫酸であり、ポリアルキレングリコール鎖は末端リン酸基または末端硫酸基を有することになる。好適な有機酸は、特には炭素数2〜10のジカルボン酸である。好適なジカルボン酸は、例えばコハク酸、マロン酸またはマレイン酸であり、例えば、その無水物を介してモノエステルとしてグラフトコポリマーに容易に導入することが可能である。イオン性基は、プロトン化酸、またはアルカリ金属塩(ナトリウム塩やカリウム塩など)のいずれの形態でも存在することが可能である。イオン性基はまた、例えば、テトラアルキルアンモニウム塩(テトラエチルアンモニウム塩など)のアンモニウム塩の形態で存在することができる。
【0036】
本発明に係るグラフトコポリマーは、式1で表されるマクロモノマーを、少なくとも1つの他の重合性エチレン性不飽和モノマーと重合することにより得られる。この少なくとも1つの他の重合性エチレン性不飽和モノマーはグラフトコポリマーの主鎖を形成し、この主鎖からポリアルキレングリコール鎖が「櫛」のように突出している。他のモノマーを適宜選択することによって、本発明に係るグラフトコポリマーを分散対象である固体、特には顔料の表面の極性と一致させることが可能となる。
【0037】
前記他のモノマーの選択は特に限定されず、前記少なくとも1つの他の重合性エチレン性不飽和モノマーは芳香族基または脂肪族基を有することが可能であり、酸性、塩基性または中性でありうる。前記少なくとも1つの他の重合性エチレン性不飽和モノマーは1種のみを使用することができるが、複数種を使用することもできる。例えば、複数種使用することによって、固体粒子表面へのグラフトコポリマーの密着を促進する基をポリマー主鎖に導入することができる。
【0038】
前記少なくとも1つの他のモノマーとして、好ましくは1つまたは2つの重合性炭素−炭素二重結合を有する低分子化合物を使用することが可能であるが、マクロモノマーを使用することも可能である。かかるマクロモノマーは低分子化合物から得られたものであり、少なくとも1つの重合性炭素−炭素二重結合を有することが好ましい。前記少なくとも1つの他のモノマーの分子量は最大で、5000g/mol、好ましくは4000g/mol、特に好ましくは2500g/molである。
【0039】
前記他のモノマーの分子量は、式1で表されるマクロモノマーの分子量より大幅に小さいことが特に好ましい。前記他のモノマーの分子量は最大で350g/molであることが好ましく、300g/mol未満であることが好ましく、70〜250g/molであることが特に好ましい。マクロモノマーを使用した場合、その分子量は220g/molよりも大きいことが好ましい。
【0040】
前記他のモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸およびその誘導体(特に炭素数1〜22の直鎖、分岐または環状の脂肪族アルキル基を有するこれらの酸のエステルおよびアミド)、スチレンおよびその誘導体、および無水マレイン酸からなる群から選ばれることが好ましい。
【0041】
本発明の一実施形態において、前記他のモノマーは、少なくとも50mol%、好ましくは少なくとも60mol%、より好ましくは少なくとも70mol%、特に好ましくは少なくとも80mol%がアクリル酸またはメタクリル酸由来であり、他の実施形態では前記他のモノマーは、少なくとも90mol%がアクリル酸またはメタクリル酸由来である。よって、他のモノマーの好ましい群には、アクリル酸、メタクリル酸、およびその誘導体がある。
【0042】
アクリル酸またはメタクリル酸の好ましい誘導体は、アルキル基の炭素数は1〜22である、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、および(メタ)アクリル酸アミノアルキルエステルからなる群から選ばれるものであって、さらにヒドロキシアルキル基の遊離水酸基またはアミノアルキル基の遊離アミノ基が炭素数1〜4のアルキル基を1つまたは2つ有してもよく、あるいはモノカルボン酸またはジカルボン酸と反応して、ジカルボン酸のエステルまたはモノエステル、モノカルボン酸またはジカルボン酸のアミドまたはイミドを形成してもよい。
【0043】
好適な他のモノマーとしては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0044】
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートやフェニル(メタ)アクリレートなどのアリール(メタ)アクリレート(ただし、アリール残基は未置換でもよいし、4−ニトロフェニルメタクリレートのように最大2つの置換基で置換されてもよい)などの炭素数1〜22の直鎖、分岐または環状脂肪族アルコールのアルキル(メタ)アクリレート;
【0045】
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、それらの塩、無水コハク酸とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(2−ヒドロキシエチルメタクリレートなど)との反応生成物;
【0046】
3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3,4−ジヒドロキシブチルモノメタクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2,5−ジメチル−1,6−ヘキサンジオールモノメタクリレートなどの炭素数2〜36の直鎖、分岐または環状脂肪族ジオールのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;
【0047】
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、1−ブトキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルオキシメチル(メタ)アクリレート、メトキシメトキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジルオキシメチル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、アリルオキシメチル(メタ)アクリレート、1−エトキシブチル(メタ)アクリレート、1−エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシメチル(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレートなどの、エーテルモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、またはポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコール(炭素数5〜80)モノ(メタ)アクリレート;
【0048】
カプロラクトンおよび/またはバレロラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(ヒドロキシ(メタ)クリレートは炭素数2〜8の直鎖、分岐または環状脂肪族ジオールから由来していることが好ましい)、マレイン酸と反応させた分子量220〜5000g/molのアルコール開始(alcohol-initiated)カプロラクトンエステルおよび/またはバレロラクトンエステル;
【0049】
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートクロリド、N,N’−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどのアミノアルキル(メタ)アクリレート;
【0050】
炭素数6〜20のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレートなどのハロゲン化アルコール(メタ)アクリレート;
【0051】
2,3−エポキシブチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどのオキシアルキル(メタ)アクリレート;
【0052】
スチレン、および4−メチルスチレン、4−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸ナトリウム塩などの置換スチレン;
【0053】
(メタ)アクリロニトリル;
【0054】
4−ビニルピリジン、1−[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]−2−イミダゾリノンなどのエチレン性不飽和複素環;
【0055】
トリプロピレングリコールメタクリレートフォスフェート、エチレングリコールメタクリレートフォスフェートなどのリン酸含有モノマー;
【0056】
カリウム[3−(メタクリロイルオキシ)プロピル]スルフォネート、アンモニウム[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]スルフォネート;
【0057】
ビニルアセテートなどの炭素数1〜20のカルボン酸のビニルエステル;
【0058】
マレイミド、N−フェニルマレイミド、炭素数1〜22の直鎖、分岐または環状脂肪族アルキル基を有するN−置換マレイミド(N−エチルマレイミド、N−オクチルマレイミドなど);
【0059】
(メタ)アクリルアミド、炭素数1〜22の直鎖、分岐または環状脂肪族アルキル基を有する、N−アルキル置換(メタ)アクリルアミドおよびN、N−ジアルキル置換(メタ)アクリルアミド(N(t−ブチル)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミドなど);および
【0060】
(メタ)アクリル酸−(トリメチルシリルエステル)、メタクリル酸−[3−(トリメチルシリル)プロピルエステル]などのシリル基含有(メタ)アクリレート。
【0061】
他の実施形態において、前記他のモノマーは、スチレンおよび/またはスチレン誘導体を少なくとも2mol%、好ましくは少なくとも4mol%、特に好ましくは少なくとも6mol%含む。一実施形態では、前記他のモノマー中のスチレンおよび/またはスチレン誘導体の割合は30mol%未満、好ましくは20mol%未満である。
【0062】
十分な分散作用を達成するためには、本発明に係るグラフトコポリマーにおける式1で表されるマクロモノマーの割合は、少なくとも1mol%であることが好ましく、少なくとも2mol%であることがより好ましく、一実施形態では少なくとも3mol%である。本発明に係るグラフトコポリマーにおける式1で表されるマクロモノマーの割合は、1〜20mol%の範囲から選択されることが好ましく、2〜15mol%がより好ましく、3〜10mol%が特に好ましい。
【0063】
本発明に係るグラフトコポリマーの主鎖における遊離カルボン酸基の割合は、0〜50mol%が好ましく、5〜40mol%がより好ましく、10〜30mol%が特に好ましい。この割合は、本発明に係るグラフトポリマーの主鎖へ遊離カルボン酸基を導入するモノマーと、遊離カルボン酸基を導入しない他のモノマーとの割合に依存する。遊離カルボン酸基が存在することによって、固体粒子、特に顔料への本発明に係るグラフトポリマーの接着力が向上する。これらカルボン酸基は、好ましくはアクリル酸もしくはメタクリル酸を介して、或いは前述のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと無水コハク酸等との反応生成物を介して、グラフトコポリマーの主鎖に導入される。
【0064】
本発明はさらに、上述のグラフトコポリマーの製造方法に関する。本発明では前記式1で表される少なくとも1つのマクロモノマーと前記他のモノマーを用意し、ラジカル重合させる。そのために、前記式1で表される少なくとも1つのマクロモノマーおよび前記他のモノマーの溶液を溶媒を用いて調製し、均質溶液中でモノマーをラジカル重合させる。また、乳化重合または縣濁重合などの不均質重合を行うこともできる。
【0065】
分散剤として使用できるようにするためには、本発明に係る式1で表されるグラフトポリマーの分子量は大きすぎてはならない。したがって、重合反応は、モノマーを溶解可能な好適な溶媒中で行うことが好ましい。重合反応中、グラフトコポリマーの分子量は連鎖停止反応によって所望の範囲に保持される。溶媒としては、沸点が好ましい反応温度範囲内であり、かつ前記式1で表されるマクロモノマーまたは前記他のモノマーの基と反応可能な基を有さない化合物から選択できる。溶媒の沸点で反応が起こるような溶媒を選択することが好ましい。好適な溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトンなどのケトン;ブチルアセテート、ペンチルプロピオネートなどのエステル;ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル;N−メチルピロリドン;ケトエステル;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;およびこれらの混合溶媒が挙げられる。
【0066】
反応は20〜200℃の範囲で好適な手法により行う。最初に溶媒または混合溶媒を反応温度まで加熱した後、時間をかけてモノマーまたは混合モノマーを滴下するのが好ましい。滴下時間は、均一な反応が起こるような好適な時間とする。滴下時間は、バッチサイズにも依るが、30分間〜6時間が好ましい。
【0067】
ラジカル重合は通常の方法で開始することが可能である。加熱や光照射などによりラジカルを発生させることができるが、通常のラジカル開始剤を混合モノマーに添加してラジカル重合を行う。好適なラジカル開始剤としては、例えば、過酸化ジアルキル、ペルオキシエステル、ペルオキシジカーボネート、過酸化ジアシル、ヒドロペルオキシド、ペルオキシケタルなどの過酸化物;2,2’−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)などのアゾ化合物が挙げられる。ラジカル重合温度におけるラジカル開始剤の半減期は約1〜30分が好ましい。
【0068】
本発明に係るグラフトコポリマーの分子量を所望の範囲内とするために、連鎖移動剤を反応混合物に添加することが好ましい。好適な連鎖移動剤としては、例えば、オクチルメルカプタン、n−またはtert−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン、ハロゲン化化合物、チオサリチル酸、メルカプト酢酸、メルカプトエタノール、ブテン−1−オール、α−メチルスチレン二量体が挙げられる。メルカプタンが連鎖移動剤として好適に使用される。
【0069】
更なる処理として、まず、ラジカル開始剤を添加して全ての未反応モノマーを分解させる。次いで溶媒を除去して任意で水と置換する。
【0070】
本発明はさらに、分散媒体と、固体と、本発明に係るグラフトポリマーとを少なくとも含む分散溶液に関する。特に好ましくは、塗料やワニスを製造するために、固体として顔料を使用する。
【0071】
分散溶液自体は、分散媒体、固体およびグラフトポリマーを含む分散溶液をグラインドするなどの通常の方法で調製される。好適な分散媒体は、例えば水である。分散溶液は、上記成分以外に、塗料やワニスに通常使用される成分を含みうる。
【実施例】
【0072】
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。
【0073】
[実施例1]
攪拌器、滴下ロートおよび還流冷却器を装着した3口フラスコにトルエン100gを投入し、沸騰するまで加熱し、窒素ガスでフラスコ内を置換した。次に、ブチルアクリレート43.96g、メチルメタクリレート22.91g、ブチルメタクリレート24.4g、メタクリル酸14.77g、ジメチルアミノエチルメタクリレート26.98g、平均分子量2000g/molのビニルポリエチレングリコール(商品名VPEG 2000:クラリアント社製 フランクフルト、ドイツ)116.97g、ドデシルメルカプタン1.16g、および2,2’−ジメチル−2,2’−アゾジプロピオノニトリル(商品名Peroxan(R) AZDN:Pergan Chemie社製 ボホルト、ドイツ)9.39gの混合物をトルエン70gに溶解した溶液を、約2時間掛けて滴下した。滴下中、フラスコ内の成分を沸騰させた状態で攪拌した。滴下終了時に、固体を分析して変換率を調べ、少量のPeroxan(R) AZDNを添加して全ての未反応モノマーを反応させて、完全に変換させた。更なる処理として、トルエンを留去して水で置換した。トルエン残査は水性の共沸混合物として除去された。水を添加して、溶液の最終固形分を約40重量%にした。
【0074】
[実施例2]
攪拌器、滴下ロートおよび還流冷却器を装着した3口フラスコにトルエン300gを投入し、沸騰するまで加熱し、窒素ガスでフラスコ内を置換した。次に、ブチルアクリレート42.10g、メチルメタクリレート16.06g、ブチルメタクリレート22.81g、メタクリル酸20.72g、ジメチルアミノエチルメタクリレート37.83g、スチレン33.42g、VPEG 2000 328.06g、ドデシルメルカプタン1.62g、およびPeroxan(R) AZDN13.17gの混合物をトルエン170gに溶解した溶液を、約2時間掛けて滴下した。滴下中、フラスコ内の成分を沸騰させた状態で攪拌した。滴下終了時に、固体を分析して変換率を調べ、少量のPeroxan(R) AZDNを添加して全ての未反応モノマーを反応させて、完全に変換させた。更なる処理として、トルエンを留去して水で置換した。トルエン残査は水性の共沸混合物として除去された。水を添加して、溶液の最終固形分を約40重量%にした。
【0075】
[実施例3]
攪拌器、滴下ロートおよび還流冷却器を装着した3口フラスコにトルエン240gを投入し、沸騰するまで加熱し、窒素ガスでフラスコ内を置換した。次に、ブチルアクリレート61.00g、メチルメタクリレート39.73g、スチレン41.33g、ヒドロキシエチルメタクリレートとリン酸の反応生成物33.5g、VPEG 2000 324.59g、tert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート(商品名Peroxan(R) PO:Pergan Chemie社製)34.33g、および過酸化ジベンゾイル(商品名Peroxan(R) BP−25WD、Pergan Chemie社製)6.41gの混合物をトルエン150gに溶解した溶液を、約2時間掛けて滴下した。滴下中、フラスコ内の成分を沸騰させた状態で攪拌した。滴下終了時に、固体を分析して変換率を調べ、少量のPeroxan(R) POを添加して全ての未反応モノマーを反応させて、完全に変換させた。更なる処理として、トルエンを留去して水で置換した。トルエン残査は水性の共沸混合物として除去された。水を添加して、溶液の最終固形分を約40重量%にした。
【0076】
[実施例4]
攪拌器、滴下ロートおよび還流冷却器を装着した3口フラスコにトルエン125gを投入し、沸騰するまで加熱し、窒素ガスでフラスコ内を置換した。次に、ブチルアクリレート35.92g、メチルメタクリレート16.84g、ブチルメタクリレート23.92g、スチレン23.36g、ジメチルアミノエチルメタクリレート35.27g、VPEG 2000 114.68g、ドデシルメルカプタン0.92g、およびPeroxan(R) AZDN18.42gの混合物をトルエン110gに溶解した溶液を、約2時間掛けて滴下した。滴下中、フラスコ内の成分を沸騰させた状態で攪拌した。滴下終了時に、固体を分析して変換率を調べ、少量のPeroxan(R) AZDNを添加して全ての未反応モノマーを反応させて、完全に変換させた。更なる処理として、トルエンを留去して水で置換した。トルエン残査は水性の共沸混合物として除去された。水を添加して、溶液の最終固形分を約40重量%にした。
【0077】
[実施例5]
攪拌器、滴下ロートおよび還流冷却器を装着した3口フラスコにトルエン125gを投入し、沸騰するまで加熱し、窒素ガスでフラスコ内を置換した。次に、ブチルメタアクリレート17.9g、メチルメタクリレート12.6g、スチレン26.2g、メタクリル酸21.6g、VPEG 2000 171.6g、およびPeroxan(R) PO 9.1gの混合物をトルエン62.5gに溶解した溶液を、約2時間掛けて滴下した。滴下中、フラスコ内の成分を沸騰させた状態で攪拌した。滴下終了時に、固体を分析して変換率を調べ、少量のPeroxan(R) POを添加して全ての未反応モノマーを反応させて、完全に変換させた。更なる処理として、トルエンを留去して水で置換した。トルエン残査は水性の共沸混合物として除去された。水を添加して、溶液の最終固形分を約40重量%にした。
【0078】
[実施例6]
攪拌器、滴下ロートおよび還流冷却器を装着した3口フラスコにトルエン125gを投入し、沸騰するまで加熱し、窒素ガスでフラスコ内を置換した。次に、ブチルアクリレート14.2g、メチルメタクリレート11.1g、スチレン23.0g、無水コハク酸と2−ヒドロキシエチルメタクリレート(50%トルエン溶液)の反応生成物101.9g、VPEG 2000 150.8g、Peroxan(R) PO 20.7g、およびPeroxan(R) BP−25 WD 3.9gの混合物をトルエン60gに溶解した溶液を、約2時間掛けて滴下した。滴下中、フラスコ内の成分を沸騰させた状態で攪拌した。滴下終了時に、固体を分析して変換率を調べ、少量のPeroxan(R) POを添加して全ての未反応モノマーを反応させて、完全に変換させた。更なる処理として、トルエンを留去して水で置換した。トルエン残査は水性の共沸混合物として除去された。水を添加して、溶液の最終固形分を約40重量%にした。
【0079】
[実施例7]
攪拌器、滴下ロートおよび還流冷却器を装着した3口フラスコにトルエン125gを投入し、沸騰するまで加熱し、窒素ガスでフラスコ内を置換した。次に、メチルメタクリレート30.54g、スチレン31.77g、ヒドロキシエチルピリジンとα、α−ジメチル−メタ−イソプレニルベンジルイソシアネート(商品名TMI: Cytec Industries社製 ウエストパターソン、ニュージャージー州、米国)の反応生成物131.96g、メタクリル酸8.75g、VPEG 1100(クラリアント社製)131.97g、およびPeroxan(R) PO 13.2gの混合物をトルエン62.5gに溶解した溶液を、約2時間掛けて滴下した。滴下中、フラスコ内の成分を沸騰させた状態で攪拌した。滴下終了時に、固体を分析して変換率を調べ、少量のPeroxan(R) POを添加して全ての未反応モノマーを反応させて、完全に変換させた。更なる処理として、トルエンを留去して水で置換した。トルエン残査は水性の共沸混合物として除去された。水を添加して、溶液の最終固形分を約40重量%にした。
【0080】
[実施例8]
(ポリエステル1の合成)
還流冷却器を装着した丸底フラスコ内で、ε−カプロラクトン333.9gおよびデカノール65.9gを140℃に約30分間加熱した。次いで、ジブチルスズオキシド(BuSnO、商品名Fascat(R) 4201:Atofina Chemicals社製 フィラデルフィア、ペンシルベニア州、米国)を添加し、150℃に加熱した。固形分98%を超える無水マレイン酸を添加し、酸価を測定して反応をモニターした。酸価が55mgKOH/g未満となった時点で反応を停止して、生成物をフラスコから取り出した。
【0081】
攪拌器、滴下ロートおよび還流冷却器を装着した3口フラスコにトルエン125gを投入し、沸騰するまで加熱し、窒素ガスでフラスコ内を置換した。次に、ブチルアクリレート33.30g、メチルメタクリレート17.35g、ブチルメタクリレート6.16g、スチレン9.02g、無水コハク酸と2−ヒドロキシエチルメタクリレート(50%トルエン溶液)の反応生成物99.73g、ポリエステル1 45.72g、VPEG 2000 88.59g、Peroxan(R) PO 23.43g、およびPeroxan(R) BP−25 WD 5.25gの混合物をトルエン75gに溶解した溶液を、約2時間掛けて滴下した。滴下中、フラスコ内の成分を沸騰させた状態で攪拌した。滴下終了時に、固体を分析して変換率を調べ、少量のPeroxan(R) POを添加して全ての未反応モノマーを反応させて、完全に変換させた。更なる処理として、トルエンを留去して水で置換した。トルエン残査は水性の共沸混合物として除去された。水を添加して、溶液の最終固形分を約40重量%にした。
【0082】
[実施例9]
攪拌器、滴下ロートおよび還流冷却器を装着した3口フラスコにトルエン125gを投入し、沸騰するまで加熱し、窒素ガスでフラスコ内を置換した。次に、ブチルアクリレート25.94g、メチルメタクリレート6.76g、ブチルメタクリレート4.80g、スチレン7.03g、ジメチルアミノエチルメタクリレート31.83g、ポリエステル1 35.62g、VPEG 2000 138.03g、ドデシルメルカプタン0.68g、およびPeroxan(R) AZDN 5.54gの混合物をトルエン70gに溶解した溶液を、約2時間掛けて滴下した。滴下中、フラスコ内の成分を沸騰させた状態で攪拌した。滴下終了時に、固体を分析して変換率を調べ、少量のPeroxan(R) AZDNを添加して全ての未反応モノマーを反応させて、完全に変換させた。更なる処理として、トルエンを留去して水で置換した。トルエン残査は水性の共沸混合物として除去された。水を添加して、溶液の最終固形分を約40重量%にした。
【0083】
[実施例10]
攪拌器、滴下ロートおよび還流冷却器を装着した3口フラスコにトルエン125gを投入し、沸騰するまで加熱し、窒素ガスでフラスコ内を置換した。次に、ブチルアクリレート34.61g、メチルメタクリレート18.03g、ブチルメタクリレート6.40g、スチレン9.38g、無水コハク酸と2−ヒドロキシエチルメタクリレート(50%トルエン溶液)の反応生成物41.46g、ジメチルアミノエチルメタクリレート21.24g、ポリエステル1 47.52g、VPEG 2000 92.08g、ドデシルメルカプタン1.00g、およびPeroxan(R) AZDN 8.13gの混合物をトルエン70gに溶解した溶液を、約2時間掛けて滴下した。滴下中、フラスコ内の成分を沸騰させた状態で攪拌した。滴下終了時に、固体を分析して変換率を調べ、少量のPeroxan(R) AZDNを添加して全ての未反応モノマーを反応させて、完全に変換させた。更なる処理として、トルエンを留去して水で置換した。トルエン残査は水性の共沸混合物として除去された。水を添加して、溶液の最終固形分を約40重量%にした。
【0084】
[実施例11]
攪拌器、滴下ロートおよび還流冷却器を装着した3口フラスコにトルエン125gを投入し、沸騰するまで加熱し、窒素ガスでフラスコ内を置換した。次に、ブチルアクリレート25.63g、メチルメタクリレート10.02g、ブチルメタクリレート4.74g、スチレン6.95g、無水コハク酸と2−ヒドロキシエチルメタクリレート(50%トルエン溶液)の反応生成物30.71g、ジメチルアミノエチルメタクリレート15.73g、ポリエステル1 35.19g、VPEG 2000 136.39g、ドデシルメルカプタン0.74g、およびPeroxan(R) AZDN 6.02gの混合物をトルエン70gに溶解した溶液を、約2時間掛けて滴下した。滴下中、フラスコ内の成分を沸騰させた状態で攪拌した。滴下終了時に、固体を分析して変換率を調べ、少量のPeroxan(R) AZDNを添加して全ての未反応モノマーを反応させて、完全に変換させた。更なる処理として、トルエンを留去して水で置換した。トルエン残査は水性の共沸混合物として除去された。水を添加して、溶液の最終固形分を約40重量%にした。
【0085】
実施例1〜11で合成したグラフトポリマーの試験
Byk−Gardner社製のspectro−guide(R)測定装置を用いて比色値を測定した。対応する色強度の計算は、Kubelka−Munk理論に基づいて行った。かかる理論の詳細は非特許文献1に記載されている。
【0086】
試験1:有機着色顔料を用いた色強度および光沢度の評価
下記表1に列挙する水系顔料ペースト濃縮物を、実施例5および7のグラフトポリマー、および市販の分散剤(商品名Disperbyk190:BYK−Chemie社製 ベーゼル、ドイツ)を使用して調製した。これらの着色顔料ペースト濃縮物をデコレート用白色塗料(Decorator’s white paint)に配合し、得られた装飾用塗料を200μmドクターナイフでボール紙(商品名bykocharts(R):Byk−Gardner社製 ゲレストリート、ドイツ)に塗布した。分散液の品質を評価するため、色強度および光沢度を市販の分散剤を使用したものと比較して測定した。
【0087】
顔料ペーストは下記顔料を使用して調製した。
Heliogen(R) Green L9361 (BASF社製 ルードビッヒスハーフェン、ドイツ)
Hostaperm(R) Pink E (クラリアント社製)
Hostaperm(R) Ruby D3B (クラリアント社製)
Heliogen(R) Blue L6989F (BASF社製)
Novoperm(R) Red F5RK (クラリアント社製)
【0088】
【表1】

表1:顔料ペースト濃縮物の組成
注1:Tego Chemie Service社 エッセン、ドイツ
注2:2−アミノ−2−メチレン−1プロパノール:Augus Chemie社製 イッベンビューレン、ドイツ
【0089】
着色顔料ペースト濃縮物をデコレート用白色塗料(商品名Opus 1、白色、光沢あり:J.W.Ostendorf社製 クースフェルト、ドイツ)に1:25の割合で配合した。各着色塗料の色強度および光沢度を表2a、2bに示す。
【0090】
【表2】

表2a:実施例5および7における各着色塗料の色強度増加分
【0091】
【表3】

表2b:実施例5および7における各着色塗料の光沢度増加分
【0092】
試験2:無機着色顔料を用いた色強度および光沢度の評価
表3に列挙した顔料ペースト凝縮物を実施例6のグラフトポリマーを用いて調製し、白色顔料に配合した後、前記試験1と同様にボール紙上に塗布し、色強度および光沢度を測定した。なお、顔料ペースト濃縮物は下記顔料から調製した。
【0093】
Bayferrox(R) 130 M:Lanxess社 レーヴァークーセン ドイツ
Bayferrox(R) 3920 :Lanxess社
Sicopal(R) L 1120 :BASF社 ルードヴィッヒハーフェン ドイツ
Sicopal(R) L 1600 :BASF社
【0094】
【表4】

表3:顔料ペースト濃縮物の組成
【0095】
着色顔料ペースト濃縮物をデコレート用白色塗料(商品名Opus 1、白色、光沢あり)に1:10の割合で配合して前記と同様にボール紙へ塗布した後、色強度と光沢度を測定した。結果を表4a、4bに示す。
【0096】
【表5】

表4a:実施例6における各着色塗料の色強度増加分
【0097】
【表6】

表4b:実施例6における各着色塗料の光沢度増加分
【0098】
試験3:カーボンブラック顔料を用いた色強度および光沢度の評価
表5に示す顔料ペースト濃縮物を実施例2、6、11のグラフトポリマーを用いて調製し、無着色バインダー(商品名Necowel(R) 5088:Ashland−Sudchemie−Kernfest社製 ヒルデン ドイツ)と配合した。得られた塗料を試験1と同様にガラス板に塗布した。顔料ペースト濃縮物は下記のカーボンブラック顔料を用いて調製した。
【0099】
FW 200:Degussa社 デュッセルドルフ ドイツ
FW 285:Degussa社
【0100】
【表7】

表5:顔料ペースト濃縮物の組成
【0101】
顔料ペースト濃縮物は1:25の割合で無着色バインダーと配合した。黒さMy、ブルーシフトddM、および光沢度に基づいて分散液の品質を評価した。かかる比色分析は非特許文献2に基づいて行った。結果を表6a、6b、6cに示す。
【0102】
【表8】

表6a:各着色塗料の黒さdMy
【0103】
【表9】

表6b:各着色塗料のブルーシフトddM
【0104】
試験4:白色顔料を用いた色強度および光沢度の評価
酸化チタン顔料を樹脂ベース(商品名Necowel(R) 5088:Ashland−Sudchemie−Kernfest社製 ヒルデン ドイツ)に配合してデコレート用塗料を調製した。組成を下記表7に示す。白色顔料として下記の顔料を用いた。
【0105】
Titanium oxide 2160:Kronos Worldwide社 ダラス 米国
Titanium oxide 2190:Kronos Worldwide社
Titanium oxide 2310:Kronos Worldwide社
【0106】
【表10】

表7:デコレート用塗料の組成
:Elementis Specialties社 ハイツタウン ニュージャージー州 米国
【0107】
試験1と同様にデコレート用塗料をボード紙に塗布した。標準分散剤を添加したサンプルを基準として光沢度の差を測定し、分散液の品質を評価した。結果を表8a、8bに示す。
【0108】
【表11】

表8a:各白色顔料の光沢度増加分
【0109】
また、上記白色顔料ペーストを試験3の黒色塗料に配合した。色強度として白色化度を測定した。黒色塗料の白色化されるほど、白色化度、すなわち色強度が高い。
【0110】
【表12】

表8b:各白色顔料の色強度(白色化度)増加分


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式1で表される少なくとも1つのマクロモノマーと、重合性エチレン性不飽和二重結合を有する少なくとも1つの他のモノマーとを共重合して得られるグラフトポリマー。
【化1】

(式中、Xは炭素数1〜12の分岐また未分岐の2価アルキレン残基を表し、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、硫酸基、リン酸基、またはジカルボン酸のモノエステルおよびその塩を表し、nは5〜500である)
【請求項2】
前記少なくとも1つの他のモノマーの分子量は5000g/mol未満である、請求項1に記載のグラフトポリマー。
【請求項3】
サイズ排除クロマトグラフィーによる平均分子量は5000〜200000g/molである、請求項1〜2のいずれか一項に記載のグラフトポリマー。
【請求項4】
前記式1で表される少なくとも1つのマクロモノマーのグラフトポリマー中における割合は少なくとも1mol%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のグラフトポリマー。
【請求項5】
前記少なくとも1つの他のモノマーは(メタ)アクリル酸、その誘導体、およびスチレンから選ばれる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のグラフトポリマー。
【請求項6】
前記(メタ)アクリル酸誘導体は、アルキル基の炭素数が1〜22である、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、および(メタ)アクリル酸アルキルアミドから選ばれる、請求項5に記載のグラフトポリマー。
【請求項7】
式1で表される少なくとも1つのマクロモノマーと、重合性エチレン性不飽和二重結合を有する少なくとも1つの他のモノマーとを用意し、均質相または不均質相でラジカル重合させる、請求項1に記載のグラフトポリマーの製造方法。
【請求項8】
前記式1で表される少なくとも1つのマクロモノマーおよび前記少なくとも1つの他のモノマーの溶液または水性エマルジョンを溶媒または水を用いて調製し、該モノマーをラジカル重合させる、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
ラジカル重合を行うために、重合開始剤を前記溶液または前記水性エマルジョンに添加する、請求項7または8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記溶液に連鎖移動剤を添加する、請求項7〜9のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項11】
分散媒体と、固体と、請求項1〜6のいずれか一項に記載のグラフトポリマーとを少なくとも含む分散液。
【請求項12】
前記固体は顔料である、請求項11に記載の分散液。

【公表番号】特表2010−506984(P2010−506984A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−532735(P2009−532735)
【出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【国際出願番号】PCT/EP2007/009109
【国際公開番号】WO2008/046652
【国際公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(591056237)ジュート−ヒェミー アクチェンゲゼルシャフト (33)
【氏名又は名称原語表記】Sued−Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Lenbachplatz 6, D−80333 Muenchen,Germany
【Fターム(参考)】