説明

両親媒性化合物ならびにその調製および使用方法

本発明は、両親媒性C−グリコシド誘導体、それを使用する方法、およびそれを合成するプロセスに関する。特に、本発明は、新規環式および直鎖エノン−糖脂質ならびに環式ケトン−糖脂質に関する。一態様においては、本発明は、新規直鎖エノン−糖脂質に関する。本発明は、エノン部分によって連結された極性頭部基と非極性尾部を有する新規クラスの化合物に関する。例えば、本発明の化合物は、式(I)に従って、エノンを介して脂質に連結された炭水化物部分を含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2009年11月6日に出願された米国仮特許出願第61/258,860号および2010年6月18日に出願された米国仮特許出願第61/356,173号の優先権を主張する。各出願の全内容は本明細書において参照として援用される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
界面活性剤は、液体−気体界面に吸着することによって水の表面張力を低下させる。それらは、液体−液体界面に吸着することによって油と水の界面張力も低下させる。多くの界面活性剤は、バルク溶液中で集合して凝集体になることもできる。かかる凝集体の例は、小胞体およびミセルである。界面活性剤がミセルを形成し始める濃度は、臨界ミセル濃度、すなわちCMC(Critical Micelle Concentration)として知られる。ミセルが水中に形成すると、その尾部は油滴を封入することができるコアを形成し、その(イオン性/極性)頭部は水と良好な接触を維持する外殻を形成する。界面活性剤が油中で集合すると、凝集体は逆ミセルと称される。逆ミセルにおいては、頭部はコア中にあり、尾部は油と良好な接触を維持する。界面活性剤は、4つの主要な群、すなわち陰イオン性、陽イオン性、非イオン性および両性イオン性(二重電荷)に分類されることも多い。
【0003】
界面活性剤系の熱力学は、理論的にも実際にも極めて重要である。これは、界面活性剤系が物質の秩序状態と無秩序状態の間の系であるからである。界面活性剤溶液は、秩序相(ミセル)と無秩序相(溶液中の遊離界面活性剤分子および/またはイオン)を含み得る。
【0004】
界面活性剤は、洗浄剤;織物柔軟剤;乳化剤および乳濁液;塗料;接着剤;インク;防曇組成物;土壌修復;分散剤;湿潤剤;スキーワックス、スノーボードワックス;浮遊、洗浄および酵素プロセスにおける再生紙の脱インキ;発泡剤;消泡剤;下剤;農薬;除草剤;一部の殺虫剤;量子ドットコーティング;殺生物剤(消毒剤);シャンプー;ヘアコンディショナー;殺精子剤;消火剤;パイプラインにおける液体抵抗抑制剤;油井における油の移動に使用されるアルカリ界面活性剤ポリマー;強磁性流体;漏洩検出剤などを含めて、多数の実際の適用例および製品において重要な役割を果たす。
【0005】
一部の界面活性剤は、動物、生態系およびヒトに有毒であることが知られており、他の環境汚染物質の拡散を増大させるおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、新しい安全で無毒の界面活性剤、およびその使用方法が必要である。本発明は、これらの要求にこたえるものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の要旨
本発明は、両親媒性分子およびその使用に関する。例えば、本発明は、式Aの新規直鎖C−グリコシドエノン誘導体、それを使用する方法、およびそれを合成するプロセスに関する。
【0008】
【化1】

一態様においては、本発明は、新規直鎖エノン−糖脂質に関する。
【0009】
本発明は、エノン部分によって連結された極性頭部基と非極性尾部を有する新規クラスの化合物に関する。例えば、本発明の化合物は、式(I)に従って、エノンを介して脂質に連結された炭水化物部分を含むことができる。
【0010】
【化2】

式Iの化合物は、両親媒性であり、疎水性成分と親水性成分の両方を有する。かかる分子は、表面活性剤(すなわち、界面活性剤)および/またはポリマー前駆体として広範囲の適用例がある。
【0011】
これらのエノンは、種々の用途に活用することができる剛性、反応性などの独特の物性を有すると考えられる。これらの分子は、炭水化物とR(脂質)部分の間にO−グリコシド結合の代わりにC−グリコシド結合を有し、したがって糖脂質の安定性が増強された、C−グリコシドである。
【0012】
本発明は、一つには、直鎖エノン−グリコシド(例えば、糖脂質)化合物の新規合成にも関する。
【0013】
したがって、本発明は、式Aの化合物に関する。
【0014】
【化3】

式中、炭水化物はC結合グリコシドであり、Rは水素、直鎖アルキル、分枝アルキル、置換直鎖アルキル、置換分枝アルキル、シクロアルキルまたは置換シクロアルキルである。「グリコシド」という用語は、別段の記載がない限り、糖と糖誘導体の両方を指す。例としては、アルキル−、アシル−、硫酸−またはリン酸−グリコシドなどの単糖、多糖(例えば、二糖)およびそのグリコシドが挙げられる。本明細書に定義された「糖誘導体」という用語は、アルキル、アミノ、脂質、ペプチドなどの非炭水化物部分に結合した糖部分を有する化合物、あるいは、1個以上のヒドロキシル基が置換または修飾もしくは反応によって本明細書に記載の別の官能基を形成した糖を指す。ヒドロキシル基によってもたらされる典型的な誘導体化反応は、酸化、エステル化およびエーテル形成である。
【0015】
例えば、式Aの化合物においては、Rは飽和または不飽和アルキルである。Rは、例えば、1以上の不飽和度を有することができる。一部の化合物においては、Rは、不飽和度1、例えば、1個の二重結合を含む。
【0016】
本発明のある化合物においては、Rは脂肪酸の脂肪族鎖である。ある化合物においては、Rは、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23もしくは24個の炭素原子、例えば6、7、8、9、10、11もしくは12個の炭素原子、または例えば13、14、15、16、17、18、19、20、21もしくは22個の炭素原子を有するアルキルである。例えば、Rはウンデカンである。
【0017】
本発明のある化合物においては、炭水化物は、誘導体化された(すなわち、アルキル−、アシル−、硫酸−、リン酸−グリコシドなどの対応するグリコシド)または誘導体化されていない、単糖または多糖(例えば、二糖)である。炭水化物は、例えば、グルコース、キシロース、リキソース、マンノース、マルトース、セロビオース、ガラクトースまたはそのグリコシド誘導体とすることができる。ある化合物においては、炭水化物は、グルコースまたはグルコシドである。
【0018】
本発明の一部の化合物においては、炭水化物はバイオマス群から誘導される。
【0019】
式Aの化合物としては、式Iの化合物が挙げられる。
【0020】
【化4】

式中、糖はC結合グリコシドであり、脂質は、脂肪、ワックス、ステロール、脂溶性ビタミン、モノグリセリド、ジグリセリド、リン脂質および脂肪酸から選択される。
【0021】
式Iのある化合物においては、脂質は、脂肪酸の脂肪族鎖である。例えば、脂肪酸鎖は、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23もしくは24個の炭素原子、例えば6、7、8、9、10、11もしくは12個の炭素原子、または例えば13、14、15、16、17、18、19、20、21もしくは22個の炭素原子を有することができる。一部の化合物においては、脂肪酸鎖は11個の炭素原子を有する。
【0022】
本発明の一部の化合物においては、糖は、誘導体化された(すなわち、対応するグリコシド)または誘導体化されていない、単糖または多糖(例えば、二糖)である。糖は、例えば、グルコース、キシロース、リキソース、マンノース、マルトース、セロビオース、ガラクトースまたはそのグリコシド誘導体とすることができる。ある化合物においては、糖は、グルコースまたはグルコシドである。別の化合物においては、糖はバイオマス群から誘導される。
【0023】
一部の化合物においては、糖は単糖(またはその誘導体)であり、脂質は脂肪酸の脂肪族鎖である。
【0024】
一部の化合物においては、脂質は脂溶性ビタミン、例えば、A、D、EおよびKから選択されるビタミンである。
【0025】
本発明の化合物の一サブセットとしては、式Iaの化合物が挙げられる。
【0026】
【化5】

式中、Rは、H、またはCOORで場合によっては置換されたC〜C24アルキルであって、Rは、H、C〜C10飽和もしくは不飽和アルキル、C〜Cシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、RはCHORまたはCOORであって、RはH、スルホ、スルホナト、ホスホノ、ホスホナト、CORであって、Rは、ヒドロキシ、C〜C10アルコキシ、またはカルボキシ、カルボキシラト、スルホ、スルホナト、ホスホノおよびホスホナトから選択される1個以上の基で場合によっては置換されたC〜C10飽和もしくは不飽和アルキルであり、あるいはRは、カルボキシ、カルボキシラト、スルホ、スルホナト、ホスホノ、ホスホナト、−(CHCHO)Hおよび−(CHCHOHCHO)Hから選択される1個以上の基で場合によっては置換されたC〜C10飽和もしくは不飽和アルキルであって、nは1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり、R、RおよびRの各々は独立に、H、スルホ、スルホナト、ホスホノ、ホスホナト、COR、単糖もしくはそのグリコシド誘導体、またはカルボキシ、カルボキシラト、スルホ、スルホナト、ホスホノ、ホスホナト、−(CHCHO)Hおよび−(CHCHOHCHO)Hから選択される1個以上の基で場合によっては置換されたC〜C10飽和もしくは不飽和アルキルである。
【0027】
上記式Iaの一部の化合物においては、Rは、COORで場合によっては置換されたC〜C22アルキルである。これらの化合物においては、R、RおよびRの少なくとも1個は、スルホ、スルホナト、ホスホノ、ホスホナト、COR、単糖もしくはそのグリコシド誘導体、またはカルボキシ、カルボキシラト、スルホ、スルホナト、ホスホノ、ホスホナト、−(CHCHO)Hおよび−(CHCHOHCHO)Hから選択される1個以上の基で場合によっては置換されたC〜C10アルキルであって、それ以外は各々水素であり、RはCHORであり、R、R、RおよびRの少なくとも1個は、スルホ、スルホナト、ホスホノ、ホスホナト、COR、またはカルボキシ、カルボキシラト、スルホ、スルホナト、ホスホノ、ホスホナト、−(CHCHO)Hおよび−(CHCHOHCHO)Hから選択される1個以上の基で場合によっては置換されたC〜C10アルキルであって、それ以外は各々水素であり、またはR、R、RおよびRは各々水素である。
【0028】
さらに上記式Iaの一部の化合物においては、R、RおよびRの少なくとも1個は、スルホ、スルホナト、ホスホノ、ホスホナト、COR、単糖もしくはそのグリコシド誘導体、またはカルボキシ、カルボキシラト、スルホ、スルホナト、ホスホノ、ホスホナト、−(CHCHO)Hおよび−(CHCHOHCHO)Hから選択される1個以上の基で場合によっては置換されたC〜C10アルキルであって、それ以外は各々水素であり、またはRはCHORであり、R、R、RおよびRの少なくとも1個は、スルホ、スルホナト、ホスホノ、ホスホナト、COR、またはカルボキシ、カルボキシラト、スルホ、スルホナト、ホスホノ、ホスホナト、−(CHCHO)Hおよび−(CHCHOHCHO)Hから選択される1個以上の基で場合によっては置換されたC〜C10アルキルであって、それ以外は各々水素であり、またはR、R、RおよびRは各々水素である。
【0029】
本発明の一化合物である化合物1は、次式を有する。
【0030】
【化6】

本発明は、一つには、本発明の化合物、例えば、式Aまたは式Iの化合物を含む、組成物にも関する。
【0031】
本発明は、一つには、式Aの化合物を合成する方法に関する。
【0032】
【化7】

式中、炭水化物はC結合グリコシドであり、Rは水素、直鎖アルキル、分枝アルキル、置換直鎖アルキル、置換分枝アルキル、シクロアルキルまたは置換シクロアルキルである。この方法は、(a)炭水化物を少しアルカリ性の水溶液中で1,3−ジケトン水溶液と反応させてC−グリコシド中間体
【0033】
【化8】

を形成すること、および(b)C−グリコシド中間体を触媒の存在下でアルデヒドと反応させて式Aのエノングリコシドを形成することを含む。
【0034】
例えば、本発明の方法によって合成された式Aの化合物においては、Rは飽和または不飽和アルキルである。Rは、例えば、1以上の不飽和度を有することができる。一部の化合物においては、Rは、不飽和度1、例えば、1個の二重結合を含む。
【0035】
本発明のある方法においては、Rは脂肪酸の脂肪族鎖である。ある方法においては、Rは、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23もしくは24個の炭素原子、例えば6、7、8、9、10、11もしくは12個の炭素原子、または例えば13、14、15、16、17、18、19、20、21もしくは22個の炭素原子を有するアルキルである。例えば、Rはウンデカンである。一態様においては、Rは脂質である。
【0036】
本発明のある方法においては、炭水化物は、単糖もしくは多糖またはそのグリコシド誘導体である。炭水化物は、例えば、グルコース、キシロース、リキソース、マンノース、マルトース、セロビオースまたはガラクトースとすることができる。ある方法においては、炭水化物は、グルコースまたはグルコシドである。
【0037】
本発明の一部の方法においては、炭水化物は、バイオマス群から誘導される。
【0038】
本発明の方法は、式Iの化合物の合成に使用することができる。
【0039】
【化9】

本発明の方法においては、触媒は、例えばピロリジンとすることができる。
【0040】
本発明の方法においては、ジケトン反応物はアセチルアセトンとすることができる。
【0041】
本発明の合成方法は、さらに、ステップ(b)の前のC−グリコシド中間体の精製、および/または式Aのエノングリコシドの精製を含むことができる。
【0042】
本発明の方法は、エノングリコシドの合成に使用することができる。
【0043】
【化10】

本発明は、一つには、次式の反応性ポリマー前駆体を合成する方法にも関する。
【0044】
【化11】

式中、炭水化物はC結合グリコシドである。この方法は、(a)炭水化物を少しアルカリ性の水溶液中で1,3−ジケトン水溶液と反応させてC−グリコシド中間体
【0045】
【化12】

を形成すること、および(b)C−グリコシド中間体を触媒の存在下でホルムアルデヒドと反応させて次式のエノングリコシドを形成することを含む。
【0046】
【化13】

この方法においては、炭水化物は、単糖もしくは多糖またはそのグリコシドとすることができる。例えば、触媒はピロリジンとすることができる。この方法の一部の実施形態においては、ジケトン反応物はアセチルアセトンである。
【0047】
本発明は、式Bの新規環式両親媒性化合物、その使用方法、およびそれを合成するプロセスにも関する。
【0048】
【化14】

式中、炭水化物はC結合グリコシドであり、RおよびRの各々は独立に、水素、直鎖アルキル、分枝アルキル、置換直鎖アルキル、置換分枝アルキル、シクロアルキルまたは置換シクロアルキルであり、2本の点線−−−−−−の各々は独立に、存在しないか、または結合であり、YはOまたはORであって、Rは水素またはC〜C10アルキルである。特に、環式両親媒性化合物は、次式の化合物である。
【0049】
【化15】

本発明は、RおよびRが飽和または不飽和アルキルから各々独立に選択される、化合物に関する。本発明は、一つには、RおよびRが各々脂肪酸の脂肪族鎖である、化合物に関する。本発明は、一つには、RおよびRが各々2、3、4、5、6、7、8、9または10個の炭素原子を有するアルキル基である、化合物に関する。本発明は、一つには、RおよびRが各々2、3、4、5または6個の炭素原子を有するアルキル基である、化合物に関する。
【0050】
本発明は、炭水化物が、誘導体化された(すなわち、アルキル−、アシル−、硫酸−、リン酸−グリコシドなどの対応するグリコシド)または誘導体化されていない、単糖または多糖(例えば、二糖)である、式Bの化合物に関する。本発明は、一つには、炭水化物がグルコース、キシロース、リキソース、マンノース、マルトース、セロビオース、ガラクトースおよびそのグリコシド誘導体から選択される、化合物に関する。本発明は、一つには、炭水化物がグルコースまたはグルコシドである、化合物に関する。本発明は、一つには、炭水化物がバイオマス群から誘導される、化合物に関する。本発明は、一つには、式Bの化合物における2本の点線がどちらも存在しない、化合物に関する。本発明は、一つには、式Bの化合物における両方の点線が各々結合である、化合物に関する。本発明は、一つには、式Bの化合物における2本の点線の一方が存在せず、他方が結合である、例えば、YがOであり、Yに連結された点線が結合である、化合物に関する。
【0051】
式Bの化合物の一サブセットは、式Ibの化合物である。
【0052】
【化16】

式中、RおよびRの各々は独立に、H、またはCOORで場合によっては置換されたC〜C24アルキルであって、Rは、H、C〜C10アルキル、C〜Cシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、RはCHORまたはCOORであって、RはH、スルホ、スルホナト、ホスホノ、ホスホナト、CORであって、Rは、ヒドロキシ、C〜C10アルコキシ、またはカルボキシ、カルボキシラト、スルホ、スルホナト、ホスホノおよびホスホナトから選択される1個以上の基で場合によっては置換されたC〜C10アルキルであり、あるいはRは、カルボキシ、カルボキシラト、スルホ、スルホナト、ホスホノ、ホスホナト、−(CHCHO)Hおよび−(CHCHOHCHO)Hから選択される1個以上の基で場合によっては置換されたC〜C10アルキルであって、nは1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり、R、RおよびRの各々は独立に、H、スルホ、スルホナト、ホスホノ、ホスホナト、COR、単糖もしくはそのグリコシド誘導体、またはカルボキシ、カルボキシラト、スルホ、スルホナト、ホスホノ、ホスホナト、−(CHCHO)Hおよび−(CHCHOHCHO)Hから選択される1個以上の基で場合によっては置換されたC〜C10アルキルである。
【0053】
本発明は、一つには、RおよびRの各々が独立に、COORで場合によっては置換されたC〜C22アルキル(例えば、C〜Cアルキル、C〜C13アルキルまたはC14〜C22アルキル)である、上記式Ibの化合物に関する。これらの化合物においては、R、RおよびRの少なくとも1個は、スルホ、スルホナト、ホスホノ、ホスホナト、COR、単糖もしくはそのグリコシド誘導体、またはカルボキシ、カルボキシラト、スルホ、スルホナト、ホスホノ、ホスホナト、−(CHCHO)Hおよび−(CHCHOHCHO)Hから選択される1個以上の基で場合によっては置換されたC〜C10アルキルであって、それ以外は各々水素であり、RはCHORであり、R、R、RおよびRの少なくとも1個は、スルホ、スルホナト、ホスホノ、ホスホナト、COR、またはカルボキシ、カルボキシラト、スルホ、スルホナト、ホスホノ、ホスホナト、−(CHCHO)Hおよび−(CHCHOHCHO)Hから選択される1個以上の基で場合によっては置換されたC〜C10アルキルであって、それ以外は各々水素であり、またはR、R、RおよびRは各々水素である。
【0054】
さらに上記式Ibの一部の化合物においては、R、RおよびRの少なくとも1個は、スルホ、スルホナト、ホスホノ、ホスホナト、COR、単糖もしくはそのグリコシド誘導体、またはカルボキシ、カルボキシラト、スルホ、スルホナト、ホスホノ、ホスホナト、−(CHCHO)Hおよび−(CHCHOHCHO)Hから選択される1個以上の基で場合によっては置換されたC〜C10アルキルであって、それ以外は各々水素であり、またはRはCHORであり、R、R、RおよびRの少なくとも1個は、スルホ、スルホナト、ホスホノ、ホスホナト、COR、またはカルボキシ、カルボキシラト、スルホ、スルホナト、ホスホノ、ホスホナト、−(CHCHO)Hおよび−(CHCHOHCHO)Hから選択される1個以上の基で場合によっては置換されたC〜C10アルキルであって、それ以外は各々水素であり、またはR、R、RおよびRは各々水素である。
【0055】
本発明は、一つには、Rが単糖またはそのグリコシド誘導体である、式Ibの化合物に関する。
【0056】
本発明は、一つには、Rがグルコース、キシロース、リキソース、マンノース、ガラクトースまたはそのグリコシド誘導体である、式Ibの化合物に関する。
【0057】
本発明は、一つには、YがOである、式Ibの化合物に関する。
【0058】
本発明は、一つには、YがOHである、式Ibの化合物に関する。
【0059】
式Bの化合物の別の一サブセットは、式IIの環式化合物である。
【0060】
【化17】

式中、糖はC結合グリコシドであり、点線−−−−−−は、存在しないか、または結合であり、脂質および脂質は、脂肪、ワックス、ステロール、脂溶性ビタミン、モノグリセリド、ジグリセリド、リン脂質および脂肪酸から各々独立に選択される。
【0061】
本発明は、脂質および脂質が各々独立に、同じまたは異なる脂肪酸の脂肪族鎖である、化合物に関する。本発明は、一つには、脂肪酸の脂肪族鎖が2、3、4、5、6、7、8、9または10個の炭素原子を有する、化合物に関する。本発明は、一つには、脂肪酸の脂肪族鎖が2、3、4、5または6個の炭素原子を有する、化合物に関する。
【0062】
本発明は、糖が、誘導体化された(すなわち、対応するグリコシド)または誘導体化されていない、単糖または多糖(例えば、二糖)である、化合物に関する。糖は、例えば、グルコース、キシロース、リキソース、マンノース、マルトース、セロビオース、ガラクトースまたはそのグリコシド誘導体とすることができる。ある化合物においては、糖は、グルコースまたはグルコシドである。本発明のある化合物においては、糖は、バイオマス群から誘導される。ある化合物においては、糖は単糖(またはその誘導体)であり、脂質および脂質は各々、脂肪酸の脂肪族鎖である。
【0063】
本発明は、
【0064】
【化18】

から選択される化合物に関する。
【0065】
本発明は、一つには、本発明の環式化合物、例えば、式BまたはIIの化合物を含む、組成物にも関する。
【0066】
本発明は、一つには、式Bの環式化合物を合成する方法に関する。
【0067】
【化19】

式中、炭水化物はC結合グリコシドであり、RおよびRの各々は独立に、水素、直鎖アルキル、分枝アルキル、置換直鎖アルキル、置換分枝アルキル、シクロアルキルまたは置換シクロアルキルであり、2本の点線−−−−−−の各々は独立に、存在しないか、または結合であり、YはOまたはORであって、Rは水素またはC〜C10アルキルである。この方法は、炭水化物含有ケトンをアルカリ性溶液中で過剰のアルデヒドと反応させて、点線の各々が結合であり、YがOである、式Bの化合物を形成することを含む。
【0068】
本発明のある方法においては、炭水化物は、誘導体化されたまたは誘導体化されていない単糖または多糖である。本発明のある方法においては、炭水化物は、グルコース、キシロース、リキソース、マンノース、マルトース、セロビオース、ガラクトースおよびそのグリコシド誘導体から選択される。本発明のある方法においては、炭水化物は、グルコースまたはグルコシドである。本発明のある方法においては、炭水化物は、バイオマス群から誘導される。
【0069】
本発明のある方法においては、RおよびRは各々脂質である。ある方法においては、Rは脂質である。ある方法においては、Rは脂質である。本発明のある方法においては、RおよびRは各々、脂肪酸の脂肪族鎖である。ある方法においては、RおよびRは各々、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の炭素原子を有するアルキルである。ある方法においては、RおよびRは各々、2、3、4、5または6個の炭素原子を有するアルキルである。本発明の方法は、さらに、点線の各々が結合であり、YがOである、式Bの化合物を還元して、点線の少なくとも1本が存在しない式Bの化合物を形成することを含むことができる。
【0070】
本発明のある方法においては、化合物は、式IIの環式化合物である。
【0071】
【化20】

式中、糖はC結合グリコシドであり、点線−−−−−−は、存在しないか、または結合であり、脂質および脂質は、脂肪、ワックス、ステロール、脂溶性ビタミン、モノグリセリド、ジグリセリド、リン脂質および脂肪酸から各々独立に選択される。
【0072】
本発明のある方法においては、アルカリ性溶液はピロリジンを含む。本発明のある方法においては、炭水化物含有ケトンは、2、2.1、2.2、2.5、3.0、3.5、4.0、5.0、7.0、10.0当量のアルデヒドと反応される。本発明のある方法においては、アルデヒドは、ブチルアルデヒドまたはヘキサナールから選択される。
【0073】
本発明のある方法においては、化合物は、
【0074】
【化21】

である。
【0075】
本発明のある方法においては、化合物は、
【0076】
【化22】

である。
【0077】
別段の記載がない限り、本明細書で使用するすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されているのと同じ意味を有する。本明細書においては、単数形は、別段の記載がない限り、複数形も含む。本明細書に記載のものと類似した、または等価である、方法および材料を本発明の実施または試験に使用することができるが、適切な方法および材料を以下に記述する。また、材料、方法および実施例は、単なる説明のためのものであって、限定的であることを意図するものではない。
【0078】
本発明の他の特徴および効果は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】図1は、選択された化合物のCMC曲線の比較を示すグラフである。CMCは、それぞれの曲線の変曲点を調べることによって推定される。
【図2】図2は、SDSおよび選択されたC−グリコシド界面活性剤の溶液のRoss−Miles発泡試験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0080】
化合物
本発明は、新規の直鎖および環式C結合炭水化物誘導体に関する。
【0081】
【化23】

本発明の化合物は、アルデヒドと中間体Aのアルドール縮合の反応生成物である。環式シリーズは、異性体の混合物として得ることができる。両シリーズは、更に官能性を持たせ、または修飾することができ、例えば、エノンをケトンに還元することができる。両シリーズは、水中で独特の界面活性を示す。
【0082】
直鎖シリーズ
本発明は、新規直鎖C結合炭水化物誘導体、その使用方法、およびそれを合成するプロセスに関する。本発明は、一つには、式Aのエノンに結合したC−グリコシドに関する。
【0083】
【化24】

式中、「炭水化物」はC結合グリコシドであり、Rは、水素、または直鎖もしくは分枝、置換もしくは非置換とすることができ、1以上の不飽和度を含むことができ、環式アルキル官能基を含むことができ、複素環を含めて、ヘテロ原子置換を含むこともできる、アルキル鎖である。
【0084】
本発明は、一つには、新規エノン−糖脂質にも関する。
【0085】
例えば、本発明は、エノン部分によって連結された極性頭部基と非極性尾部を有する新規クラスの両親媒性化合物に関する。例えば、本発明の化合物は、式(I)に従って、エノンを介して脂質に連結された炭水化物部分を含むことができる。
【0086】
【化25】

本発明によるエノンで連結された化合物は、二段階プロセスによって生成することができる。
【0087】
まず、C−グリコシルケトン中間体
【0088】
【化26】

を、水性媒体中で炭水化物と1,3−ジケトンのKnoevenagel型縮合反応によって生成することができる。例えば、Rodrigues at al.,Chem.Commun.(2000)2049−2050;Riemann et al.,Aust.J.Chem.,55(2002)147−154;およびHersant et al.,Carbohydrate Research 339(2004)741−745を参照されたい。
【0089】
炭水化物は、グルコース、キシロース、リキソース、マンノース、マルトース、セロビオース、ガラクトース、そのグリコシド誘導体などの単糖もしくは多糖またはその誘導体とすることができる。例えば、炭水化物反応物は、バイオマス群とすることができる。
【0090】
適切なジケトン反応物としては、例えば、アセチルアセトンまたはアセト酢酸エチルが挙げられる。
【0091】
スキームIは、炭水化物としてグルコースを含む反応の一例を示す。
スキームI:
【0092】
【化27】

第2ステップにおいては、C−グリコシルケトン(中間体A)をアルデヒドRC(O)Hとのアルドール縮合反応に供する。結果は、C−グリコシドに対してアルファ位のエノン、すなわち、式Aの化合物である。
【0093】
【化28】

反応の第2ステップに使用されるアルデヒドは、例えば、直鎖または分枝アルキルとすることができ、不飽和を含むことができる。一部の実施形態においては、アルキル鎖は、炭素原子の代わりに置換基またはヘテロ原子を含むことができる。
【0094】
さらに、縮合反応は、アルデヒドの代わりにケトンを用いて実施することができる。
【0095】
好ましくは、アルデヒドまたはケトン部分は、例えば脂質と同様に、非極性であり、得られるグリコシルエノン複合物は両親媒性である。例えば、式Iの化合物は、この様式で生成することができる。
【0096】
【化29】

脂質は、例えば、脂肪酸などの任意の脂質とすることができる。炭素鎖は、典型的には、4から24炭素長であり、飽和または不飽和とすることができ、例えば、酸素、ハロゲン、窒素および/または硫黄を含む官能基に結合することができる。(式で既に規定されたもの以外の)二重結合が存在する場合、シス(Z)またはトランス(E)幾何異性の可能性があり、分子の分子立体配置にかなり影響を及ぼす。シス二重結合は、脂肪酸鎖を曲げ、その効果は、鎖中の二重結合が多いほど明らかである。
【0097】
C−グリコシルケトンと疎水性脂質の反応の一例を下記スキームIIに示す。
スキームII:
【0098】
【化30】

上記方法によって得られたC−グリコシルエノンの単糖または多糖のヒドロキシル基は、さらに、Luders,H;Balzer,D.,ed.Nonionic Surfactants:Alkyl Polyglucosides,Ch.4.Marcel Dekker Inc.,New York,2000.ISBN0−8247−9390−0に記載されたものなどの誘導体化反応に供することができる。特定の誘導体化を選択して、C−グリコシルエノンのHLBを制御することができる。糖部分の1個以上のヒドロキシル基を置換することができる官能基の例を以下に列挙する。
【0099】
【化31】

理論に拘泥するものではないが、エノン部分は、例えば、Bisht et al.Carb.Res.2008,343,1399−1406、米国特許第7,049,300号、同7,358,346号、および国際公開第02/051803号、国際公開第02/0518028号に記載のものなどの伝統的な炭水化物系両親媒性物質に比べて独特の諸性質を有する、官能基を有する両親媒性物質を与えると考えられる。例えば、エノンの共役spの性質は、ある程度の広範な剛性を分子中央に与えることができ、分子の自己集合挙動に影響を及ぼし得る。さらに、エノンは、これらの分子の挙動を適切な条件下で調整可能にし得る要素である、Michael付加、E−Z配座反転および光異性化に関与し得る。
【0100】
さらに、エノンは、新規組成物の開発に使用される遊離基重合反応にも関与し得る。
【0101】
したがって、本発明のエノン−グリコシド(例えば、エノン糖脂質)は、水のみを溶媒として使用して、2段階合成によって製造することができ、再生可能で容易に利用可能な基質を組み込むことができる。
【0102】
環式シリーズ
本発明は、新規環式C結合炭水化物誘導体、その使用方法、およびそれを合成するプロセスに関する。本発明は、一つには、式Bの化合物に関する。
【0103】
【化32】

式中、「炭水化物」はC結合グリコシドであり、RおよびRの各々は独立に、水素、直鎖アルキル、分枝アルキル、置換直鎖アルキル、置換分枝アルキル、シクロアルキルまたは置換シクロアルキルであり、2本の点線−−−−−−の各々は独立に、存在しないか、または結合であり、YはOまたはORであって、Rは水素またはC〜C10アルキルである。
【0104】
本発明は、一つには、式B1の化合物に関する。
【0105】
【化33】

式中、炭水化物、RおよびRは、本明細書に定義されたとおりである。
【0106】
本発明は、一つには、
【0107】
【化34】

から選択される式を有する化合物に関する。式中、炭水化物、RおよびRは、本明細書に定義されたとおりである。
【0108】
本発明は、一つには、次式を有する化合物に関する。
【0109】
【化35】

式中、炭水化物、RおよびRは、本明細書に定義されたとおりである。
【0110】
本発明は、一つには、
【0111】
【化36】

【0112】
【化37】

から選択される式を有する化合物に関する。式中、炭水化物、RおよびRは、本明細書に定義されたとおりである。
【0113】
本発明は、一つには、次式を有する化合物に関する。
【0114】
【化38】

式中、炭水化物、RおよびRは、本明細書に定義されたとおりである。式B7からB14の化合物と同様に、式B15の化合物は、その鏡像異性体のすべてを含む。
【0115】
本発明は、一つには、次式を有する化合物に関する。
【0116】
【化39】

式中、炭水化物、RおよびRは、本明細書に定義されたとおりである。同様に、式(B16)の化合物は、その鏡像異性体のすべてを含む。
【0117】
一部の化合物においては、RとRは同じである。一部の化合物においては、RとRは異なる。
【0118】
一部の化合物においては、RおよびRは、飽和または不飽和アルキルから各々独立に選択される。一部の化合物においては、Rは、不飽和度1のアルキルである。一部の化合物においては、Rは、不飽和度1のアルキルである。
【0119】
一部の化合物においては、RおよびRは各々、脂肪酸の脂肪族鎖である。一部の化合物においては、Rは、脂肪酸の脂肪族鎖である。一部の化合物においては、Rは、脂肪酸の脂肪族鎖である。
【0120】
一部の化合物においては、RおよびRは各々、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の炭素原子を有するアルキル基である。一部の化合物においては、Rは、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の炭素原子を有するアルキル基である。一部の化合物においては、Rは、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0121】
一部の化合物においては、RおよびRは各々、2、3、4、5または6個の炭素原子を有するアルキル基である。一部の化合物においては、Rは、2、3、4、5または6個の炭素原子を有するアルキル基である。一部の化合物においては、Rは、2、3、4、5または6個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0122】
一部の化合物においては、炭水化物は単糖または多糖である。一部の化合物においては、炭水化物はグルコース、キシロース、リキソース、マンノース、マルトース、セロビオースおよびガラクトースから選択される。一部の化合物においては、炭水化物はグルコースである。
【0123】
一部の化合物においては、炭水化物は、バイオマス群から誘導される。「バイオマス」という用語は、生きている、または最近生きていた生物体、例えば、木、植物から誘導される生体材料を指す。
【0124】
一部の化合物においては、点線は存在しない。点線が存在しないときには、6員環は完全飽和である。一部の化合物においては、点線は結合である。点線が結合であるときには、6員環は二重結合を有する。6員環は、アルファ、ベータ不飽和カルボニル部分を有する。
【0125】
本発明は、式IIの化合物に関する。
【0126】
【化40】

式中、糖はC結合グリコシドであり、点線−−−−−−は、存在しないか、または結合であり、脂質および脂質は、脂肪、ワックス、ステロール、脂溶性ビタミン、モノグリセリド、ジグリセリド、リン脂質および脂肪酸から各々独立に選択される。
【0127】
一部の化合物においては、脂質と脂質は同じである。一部の化合物においては、脂質と脂質は異なる。
【0128】
一部の化合物においては、脂質および脂質は各々、脂肪酸の脂肪族鎖である。一部の化合物においては、脂質は、脂肪酸の脂肪族鎖である。一部の化合物においては、脂質は、脂肪酸の脂肪族鎖である。
【0129】
一部の化合物においては、脂肪酸の脂肪族鎖は、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の炭素原子を有する。一部の化合物においては、脂肪酸の脂肪族鎖は、2、3、4、5または6個の炭素原子を有する。
【0130】
一部の化合物においては、糖は、単糖または多糖である。一部の化合物においては、糖は、グルコース、キシロース、リキソース、マンノース、マルトース、セロビオースおよびガラクトースから選択される。一部の化合物においては、糖はグルコースである。
【0131】
一部の化合物においては、糖は、バイオマス群から誘導される。
【0132】
一部の化合物においては、糖は単糖であり、脂質および脂質は各々、脂肪酸の脂肪族鎖である。一部の化合物においては、糖は単糖であり、脂質は、脂肪酸の脂肪族鎖である。一部の化合物においては、糖は単糖であり、脂質は、脂肪酸の脂肪族鎖である。
【0133】
本発明は、
【0134】
【化41】

から選択される化合物に関する。
【0135】
本発明は、
【0136】
【化42】

から選択される化合物を含む。
【0137】
本発明は、
【0138】
【化43】

【0139】
【化44】

から選択される化合物にも関する。
【0140】
本発明は、
【0141】
【化45】

【0142】
【化46】

から選択される化合物に関する。
【0143】
本発明は、
【0144】
【化47】

【0145】
【化48】

【0146】
【化49】

【0147】
【化50】

(式中、各Rは独立にHまたはSONaである)、
【0148】
【化51】

(式中、各Rは独立にHまたは−(CHCHO)−Hであって、nは、1、2または3である)、
【0149】
【化52】

【0150】
【化53】

から選択される化合物に関する。
【0151】
本発明は、
【0152】
【化54】

から選択される化合物にも関する。
【0153】
本発明は、本明細書に記載の化合物を含む組成物に関する。組成物は、さらに、陰イオン界面活性剤などの界面活性剤を含むことができる。
【0154】
用途
本発明の化合物は、両親媒性であり、疎水性成分と親水性成分の両方を有する。かかる分子は、表面活性剤(すなわち、界面活性剤)および/またはポリマー前駆体として広範囲の適用例がある。
【0155】
界面活性剤としての本発明の化合物の挙動を特徴づけるために、表面張力を濃度の関数としてプロットし、これらの界面活性剤の臨界ミセル濃度(CMC)を計算することができる。さらに、界面活性剤の疎水性−親油性バランス(HLB)をGriffinの方法に従って計算することができる。例えば、Pasquali,R.C.;Taurozzi,M.P.;Bregni,C.Int.J.Pharm.2008,356,44を参照されたい。さらに、界面活性剤の起泡性は、公知のASTMプロトコル、すなわち、ASTM Standard D1173,2007、ASTM International,DOI:10.1520/D1173−07に従うRoss−Miles発泡試験によって評価することができる。
【0156】
その両親媒性のために、本発明の化合物は、例えば、界面活性剤;乳化剤;潤滑剤;抗菌剤または消毒剤;生理活性治療薬;鏡像異性固相媒体用ポリマー前駆体;両親媒性膜用ポリマー前駆体;相間移動触媒;凝固剤;DNA、薬物または巨大分子伝播ベクター;抗原提示ナノ粒子;制御放出薬物送達成分;種々の他の機能的ナノ物質などの種々の用途に使用される可能性がある。
【0157】
例えば、本発明の化合物は、パーソナルケアまたは家庭用の洗浄剤として使用される処方に使用することができ、薬物送達用処方に使用することができ、および/または界面活性剤を利用したさら地修復用処方に使用することができる。
【0158】
本発明の一部の化合物は、例えばポリマー前駆体として、使用することができる。C−グリコシドケトン中間体(A)とホルムアルデヒド(R=H)の反応は、極めて反応性の重合官能基である式Aの非置換エノンを生成する。かかる分子は、メチルビニルケトンを置換することができる。生成ポリマーは、鏡像異性、生分解性および両親媒性であり、再生可能材料でできている。
【0159】
合成
直鎖シリーズ
本発明は、一つには、式Aのエノングリコシドを合成する方法に関する。この方法は、
(a)炭水化物を少しアルカリ性の水溶液中で1,3−ジケトン水溶液と反応させてC−グリコシド中間体
【0160】
【化55】

を形成すること、および
(b)C−グリコシド中間体を触媒の存在下でアルデヒドと反応させて次式のエノングリコシドを形成することを含む。
【0161】
【化56】

式中、「炭水化物」はC結合グリコシドであり、Rは、水素、または直鎖もしくは分枝、置換もしくは非置換とすることができ、1以上の不飽和度を含むことができ、環式アルキル官能基を含むことができ、複素環を含めて、ヘテロ原子置換を含むこともできる、アルキル鎖である。
【0162】
例えば、本発明の合成に使用される炭水化物は、単糖または多糖とすることができる。一合成においては、炭水化物はグルコースである。
【0163】
ステップ(a)における水溶液は、例えば、炭酸水素ナトリウムを含めて、任意の数の試薬によってアルカリ性にすることができる。
【0164】
本発明の方法に使用されるアルデヒドは非極性とすることができる。例えば、アルデヒドは脂質とすることができ、種々の不飽和度を含むことができる。不飽和化合物は、シス(Z)またはトランス(E)立体配置の二重結合を含むことができる。
【0165】
本発明の方法のステップ(b)における触媒は、例えば、ピロリジンとすることができる。
【0166】
本発明は、一つには、式Iのエノン糖脂質化合物の合成に関する。
【0167】
【化57】

本発明のエノン−糖脂質両親媒性物質の製造は、理想的には、有害材料の使用を最小限にし、水以外の溶媒をほぼ必要とせず、再生可能な供給原料を最大に含む。
【0168】
ステップ(a)は、定量収率近くまで進行すると考えられ、後処理は、無機不純物を除去するイオン交換、および/または所望の純度のc−グリコシド中間体を与える抽出ステップを含むことができる。第2ステップ(b)後、例えば、塩基を塩に転化し、続いて沈殿させて、触媒を除去することができる。例えば、触媒を次いで再生し、再使用することができる。次いで、残留不純物を蒸留または二相抽出によって除去することができる。
【0169】
環式シリーズ
本発明は、一つには、式Bの環式化合物を合成する方法に関する。
【0170】
【化58】

式中、炭水化物はC結合グリコシドであり、RおよびRの各々は独立に、水素、直鎖アルキル、分枝アルキル、置換直鎖アルキル、置換分枝アルキル、シクロアルキルまたは置換シクロアルキルであり、2本の点線−−−−−−の各々は独立に、存在しないか、または結合であり、YはOまたはORであって、Rは水素またはC〜C10アルキルである。この方法は、炭水化物含有ケトンをアルカリ性溶液中で過剰のアルデヒドと反応させて式B’の化合物を形成することを含む。
【0171】
【化59】

次いで、この化合物を還元して式Bの化合物を形成する。下記スキームは一例を示す。
【0172】
【化60】

一部の方法においては、炭水化物は単糖または多糖である。
【0173】
一部の方法においては、炭水化物はグルコース、キシロース、リキソース、マンノース、マルトース、セロビオースおよびガラクトースから選択される。
【0174】
一部の方法においては、炭水化物はグルコースである。
【0175】
一部の方法においては、炭水化物はバイオマス群から誘導される。
【0176】
一部の方法においては、RおよびRは各々脂質である。一部の方法においては、Rは脂質である。一部の化合物においては、Rは脂質である。
【0177】
一部の方法においては、RおよびRは各々、脂肪酸の脂肪族鎖である。一部の化合物においては、Rは脂肪酸の脂肪族鎖である。一部の化合物においては、Rは脂肪酸の脂肪族鎖である。
【0178】
一部の方法においては、RおよびRは各々、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の炭素原子を有するアルキルである。一部の化合物においては、Rは、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の炭素原子を有するアルキルである。一部の化合物においては、Rは、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の炭素原子を有するアルキルである。
【0179】
一部の方法においては、RおよびRは各々、2、3、4、5または6個の炭素原子を有するアルキルである。一部の化合物においては、Rは、2、3、4、5または6個の炭素原子を有するアルキルである。一部の化合物においては、Rは、2、3、4、5または6個の炭素原子を有するアルキルである。
【0180】
一部の方法においては、エノン二重結合は、水素ガスおよびパラジウム触媒の存在下で還元される。
【0181】
一部の方法においては、化合物は、式IIの環式化合物である。
【0182】
【化61】

式中、糖はC結合グリコシドであり、点線−−−−−−は、存在しないか、または結合であり、脂質および脂質は、脂肪、ワックス、ステロール、脂溶性ビタミン、モノグリセリド、ジグリセリド、リン脂質および脂肪酸から各々独立に選択される。
【0183】
一部の方法においては、アルカリ性溶液はピロリジンを含む。
【0184】
一部の方法においては、炭水化物含有ケトンは、2、2.1、2.2、2.5、3.0、3.5、4.0、5.0、7.0、10.0当量のアルデヒドと反応される。一部の方法においては、アルデヒドは、ブチルアルデヒドまたはヘキサナールから選択される。
【0185】
一部の方法においては、化合物は、
【0186】
【化62】

である。
【0187】
一部の方法においては、化合物は、
【0188】
【化63】

である。
【0189】
一部の方法においては、糖部分は更に修飾される。下記スキームIII、IVおよびVを例として示す。
スキームIII
【0190】
【化64】

上記スキームIIIに示すように、C−グリコシド(1.0当量)、[ビス(アセトキシ)ヨード]ベンゼン(2.2当量)および2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(0.2当量)を化合させ、アセトニトリルと水の1:1溶液にとることができる。3時間撹拌後、次いで、反応物を1N HClで酸性化し、1−ブタノールで抽出するか、または濃縮してメタノールで抽出することができ、無機残留物が残る。次いで、対応する有機層を濃縮して、所望のカルボキシル誘導体が濃縮された混合物を得ることができる。更なる手順の詳細は、例えば、J.Org.Chem.1999,64,293−295に見いだすことができる。
スキームIV
【0191】
【化65】

スキームIVに示すように、C−グリコシド(1.0当量)をイソプロピルアルコールに溶解させ、水酸化ナトリウム(7.5当量)を添加することができる。40分間撹拌後、クロロ酢酸を5分割して5分間隔で添加することができる(5.0当量)。次いで、反応物を40℃に3時間加熱することができる。次いで、反応物を1N HClで酸性化し、1−ブタノールで抽出するか、または濃縮してメタノールで抽出することができ、無機残留物が残る。次いで、対応する有機層を濃縮して、所望のカルボキシル誘導体が濃縮された混合物を得ることができる。更なる手順の詳細は、例えば、Carb.Res.2010,345,120に見いだすことができる。
スキームV
【0192】
【化66】

スキームVに示すように、トリエチルアミン1.1当量をC−グリコシド1.0当量および無水マレイン酸1.0当量に室温で添加することができ、スラリーを撹拌しながら50℃に1時間加熱することができる。次いで、反応混合物を水に溶解させ、1N HClで酸性化することができる。次いで、この水層を、1−ブタノールで抽出するか、または濃縮してメタノールで抽出することができ、無機残留物が残る。次いで、対応する有機相を濃縮することができ、所望のカルボキシル誘導体が濃縮された混合物が生成する。例えば、J.Med.Chem.1986,29,1868−1871を参照されたい。
【0193】
糖部分の1個以上のヒドロキシル基を置換することができる官能基の例を以下に列挙する。
【0194】
【化67】

混合物または純粋もしくは実質的に純粋な形態の、本発明の化合物のあらゆる形態が企図される。
【0195】
本明細書においては、化合物の構造式は、便宜上ある異性体を表す場合もあるが、本発明は、幾何異性体、非対称炭素に基づく光学異性体、立体異性体、互変異性体などの異性体すべてを含む。さらに、式で表された化合物の結晶多形も存在し得る。なお、あらゆる結晶形、結晶形混合物またはその無水物もしくは水和物が本発明の範囲に含まれる。
【0196】
「異性」とは、分子式が同一であるが、その原子の結合配列またはその原子の空間配置が異なる、化合物を意味する。その原子の空間配置が異なる異性体を「立体異性体」と称する。互いに鏡像ではない立体異性体を「ジアステレオ異性体」と称し、互いに重ねることができない鏡像である立体異性体を「鏡像異性体」または時折、光学異性体と称する。逆の鏡像異性の個々の鏡像異性体を等量含む混合物を「ラセミ混合物」と称する。
【0197】
4個の同一でない置換基に結合した炭素原子を「キラル中心」と称する。
【0198】
「鏡像異性体」とは、少なくとも1個のキラル中心を有する化合物を意味する。1個を超えるキラル中心を有する化合物は、個々のジアステレオマーとして、または「ジアステレオマー混合物」と称するジアステレオマーの混合物として、存在し得る。1個のキラル中心が存在するとき、立体異性体は、そのキラル中心の絶対配置(RまたはS)によって特徴づけることができる。絶対配置とは、キラル中心に結合した置換基の空間配置を指す。考察するキラル中心に結合した置換基は、Cahn、IngoldおよびPrelogの順位則に従って順位づけされる。(Cahn et al.,Angew.Chem.Inter.Edit.1966,5,385;正誤表511;Cahn et al.,Angew.Chem.1966,78,413;Cahn and Ingold,J.Chem.Soc.1951(London),612;Cahn et al.,Experientia 1956,12,81;Cahn,J.Chem.Educ.1964,41,116)。本願の一部の式においては、1個以上のキラル中心は、不斉炭素に隣接するアステリスクによって識別される。別の式においては、キラル中心は識別されないが、それでも鏡像異性体はこれらの式によって包含される。
【0199】
「幾何異性体」とは、二重結合の周りの回転障害にその存在を負うジアステレオマーを意味する。これらの立体配置は、基がCahn−Ingold−Prelog則に従って分子中の二重結合と同じまたは逆の側にあることを示す、接頭辞シスとトランスまたはZとEによってその名称で区別される。
【0200】
本発明の一部の化合物は、やはり本発明の範囲に包含されることが意図される互変異性型で存在することができる。「互変異性体」とは、その構造が原子配列において著しく異なるが、容易かつ素早い平衡で存在する、化合物を指す。本発明の化合物は、異なる互変異性体として表し得ることを理解されたい。化合物が互変異性型を有するときには、互変異性型すべてが本発明の範囲内にあることが意図され、化合物の命名はどの互変異性型も除外しないことも理解すべきである。さらに、一つの互変異性体を記述する場合でも、本発明は、本化合物の互変異性体すべてを含む。
【0201】
本明細書では「塩」という用語は、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、アルキルスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、乳酸塩および酒石酸塩を含めた酸付加塩、Na、K、Liなどのアルカリ金属陽イオン、Mg2+、Ca2+などのアルカリ土類金属塩、または有機アミン塩を含むことができる。
【0202】
「混合」という用語は、化合、ブレンド、撹拌、振とう、回転またはかき混ぜを意味する。「撹拌」という用語は、混合、振とう、かき混ぜまたは回転を意味する。「かき混ぜ」という用語は、混合、振とう、撹拌または回転を意味する。
【0203】
別段の記載がない限り、本開示は、特定の手順、出発材料などに限定されず、したがって変わり得る。本明細書で使用する用語は、特定の実施形態を記述するためのものにすぎず、限定的であることを意図するものではないことも理解されたい。
【0204】
本明細書では、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が別のことを明示しない限り、複数形を含む。したがって、例えば、「反応物」という表記は、単一の反応物だけでなく、2つ以上の異なる反応物の組合せまたは混合物も含み、「置換基」という表記は、単一の置換基、2個以上の置換基などを含む。
【0205】
本明細書では、「例えば」、「例として」、「など」または「を含めて」という句は、より一般的な主題を更に明らかにする例を示すことを意味する。これらの例は、本開示を理解する助けとして提供するにすぎず、決して限定的であることを意味するものではない。さらに、本明細書では「することができる」、「任意に選択される」、「場合によっては」または「場合によっては...されていてもよい」という用語は、続いて記述される状況が生じても、生じなくてもよいことを意味し、したがって、その記述は、状況が生じる場合と生じない場合を含む。例えば、「場合によっては存在する」という句は、対象が存在しても、存在しなくてもよいことを意味し、したがって、その記述は、対象が存在する場合と対象が存在しない場合を含む。
【0206】
本明細書では、「式を有する」または「構造を有する」という句は、限定的であることを意図するものではなく、「含む」という用語が一般に使用されるのと同様に使用される。
【0207】
本明細書では「アルキル」という用語は、必ずではないが典型的にはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、オクチル、デシルなどの1から約24個の炭素原子を含む、分枝または非分枝の飽和または不飽和の炭化水素基を指す。一般に、必ずではないが、本明細書に記載の脂質中のアルキル基は、4から約28個の炭素原子を含むことができ、かかる基は10から約28個の炭素原子を含むことができる。「置換アルキル」とは、1個以上の置換基で置換されたアルキルを指し、「ヘテロ原子含有アルキル」および「ヘテロアルキル」という用語は、少なくとも1個の炭素原子がO、S、Se、N、Pなどのヘテロ原子で置換されたアルキル基を指す。
【0208】
本明細書では「シクロアルキル」という用語は、3から30個の炭素原子を有する飽和または不飽和の非芳香族炭化水素環を含むものとする。したがって、「C〜Cシクロアルキル」という用語は、3、4、5、6、7または8個の炭素原子をその環構造中に有するシクロアルキルを指す。一実施形態においては、シクロアルキル基は、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシルなど、5または6個の炭素を環構造中に有する。「置換シクロアルキル」とは、1個以上の置換基で置換されたシクロアルキルを指し、「ヘテロ原子含有シクロアルキル」および「ヘテロシクロアルキル」という用語は、少なくとも1個の炭素原子がヘテロ原子で置換されたシクロアルキル環を指す。
【0209】
「アリール」は、少なくとも1個の芳香環を有する「共役」または多環系を含めて、芳香族性を有する基を含む。例としては、フェニル、ベンジルなどが挙げられる。
【0210】
「ヘテロアリール」基は、1から4個のヘテロ原子を環構造中に有する上で定義したアリール基であり、「アリール複素環」または「複素環式芳香族」とも称する。本明細書では「ヘテロアリール」という用語は、炭素原子と1個以上のヘテロ原子、例えば、窒素、酸素および硫黄からなる群から独立に選択される1または1〜2または1〜3または1〜4または1〜5または1〜6個のヘテロ原子とからなる安定な5、6もしくは7員単環式または7、8、9、10、11もしくは12員二環式芳香族複素環を含むものとする。窒素原子は、置換されていても、いなくてもよい(すなわち、NまたはNR、ここで、Rは、Hまたは定義された別の置換基である)。窒素および硫黄ヘテロ原子は、場合によっては酸化されていてもよい(すなわち、N→OおよびS(O)、ここでp=1または2)。芳香族複素環中のSとO原子の総数は1以下であることに留意されたい。
【0211】
ヘテロアリール基の例としては、ピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジンなどが挙げられる。
【0212】
さらに、「アリール」および「ヘテロアリール」という用語は、多環式アリールおよびヘテロアリール基、例えば、三環式、二環式、例えば、ナフタレン、ベンゾオキサゾール、ベンゾジオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチオフェン、メチレンジオキシフェニル、キノリン、イソキノリン、ナフチリジン、インドール、ベンゾフラン、プリン、ベンゾフラン、デアザプリン、インドリジンを含む。
【0213】
多環式芳香環の場合、環の1個のみが芳香族である必要があるが(例えば、2,3−ジヒドロインドール)、環のすべてが芳香族でもよい(例えば、キノリン)。第2の環は、縮合することも、架橋することもできる。シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールも互いに縮合することができる。架橋環は、1個以上の炭素原子が2個の非隣接炭素原子と結合したときに生じる。一実施形態においては、架橋環は、1または2個の炭素原子である。なお、架橋は、常に、単環式環を三環式環に転化する。環が架橋されるとき、環に対して列挙された置換基が架橋上に存在することもできる。縮合(例えば、ナフチル、テトラヒドロナフチル)およびスピロ環も含まれる。
【0214】
「置換アルキル」などにおけるような「置換」によって、アルキルまたは他の部分において、炭素原子に結合した少なくとも1個の水素原子は、1個以上の非水素置換基、例えば官能基で置換されるものとする。
【0215】
官能基の例としては、ハロ、ヒドロキシル、スルフヒドリル、C〜C24アルコキシ、C〜C24アルケニルオキシ、C〜C24アルキニルオキシ、C〜C20アリールオキシ、(C〜C24アルキルカルボニル(−CO−アルキル)およびC〜C20アリールカルボニル(−CO−アリール)を含めた)アシル、アシルオキシ(−O−アシル)、C〜C24アルコキシカルボニル(−(CO)−O−アルキル)、C〜C20アリールオキシカルボニル(−(CO)−O−アリール)、ハロカルボニル(−CO)−X、ここでXはハロである)、C〜C24アルキルカルボナト(−O−(CO)−O−アルキル)、C〜C20アリールカルボナト(−O−(CO)−O−アリール)、カルボキシ(−COOH)、カルボキシラト(−COO)、カルバモイル(−(CO)−NH)、一置換C〜C24アルキルカルバモイル(−(CO)−NH(C〜C24アルキル))、二置換アルキルカルバモイル(−(CO)−N(C〜C24アルキル))、一置換アリールカルバモイル(−(CO)−NH−アリール)、チオカルバモイル(−(CS)−NH)、カルバミド(−NH−(CO)−NH)、シアノ(−C≡N)、イソシアノ(−N≡C)、シアナト(−O−C≡N)、イソシアナト(−O−N≡C)、イソチオシアナト(−S−C≡N)、アジド(−N=N=N)、ホルミル(−(CO)−H)、チオホルミル(−(CS)−H)、アミノ(−NH)、モノおよびジ(C〜C24アルキル)置換アミノ、モノおよびジ(C〜C20アリール)置換アミノ、C〜C24アルキルアミド(−NH−(CO)−アルキル)、C〜C20アリールアミド(−NH−(CO)−アリール)、イミノ(−CR=NH、ここでR=水素、C〜C24アルキル、C〜C20アリール、C〜C20アルカリール、C〜C20アラルキルなど)、アルキルイミノ(−CR=N(アルキル)、ここでR=水素、アルキル、アリール、アルカリールなど)、アリールイミノ(−CR=N(アリール)、ここでR=水素、アルキル、アリール、アルカリールなど)、ニトロ(−NO)、ニトロソ(−NO)、スルホ(−SO−OH)、スルホナト(−SO−O)、C〜C24アルキルスルファニル(−S−アルキル、「アルキルチオ」とも称する)、アリールスルファニル(−S−アリール、「アリールチオ」とも称する)、C〜C24アルキルスルフィニル(−(SO)−アルキル)、C〜C20アリールスルフィニル(−(SO)−アリール)、C〜C24アルキルスルホニル(−SO−アルキル)、C〜C20アリールスルホニル(−SO−アリール)、ホスホノ(−P(O)(OH))、ホスホナト(−P(O)(O)、ホスフィナト(−P(O)(O))、ホスホ(−PO)、−ホスフィノ(−PH)、モノおよびジ(C〜C24アルキル)置換ホスフィノ、モノおよびジ(C〜C20アリール)置換ホスフィノ、ならびに(C〜C18アルキルを含めた、C〜C12アルキルを更に含めた、およびC〜Cアルキルを更に含めた)C〜C24アルキル、(C〜C18アルケニルを含めた、C〜C12アルケニルを更に含めた、およびC〜Cアルケニルを更に含めた)C〜C24アルケニル、(C〜C18アルキニルを含めた、C〜C12アルキニルを更に含めた、およびC〜Cアルキニルを更に含めた)C〜C24アルキニル、(C〜C20アリールを含めた、およびC〜C12アリールを更に含めた)C〜C30アリール、および(C〜C20アラルキルを含めた、およびC〜C12アラルキルを更に含めた)C〜C30アラルキルなどのヒドロカルビル部分が挙げられるが、それだけに限定されない。さらに、上記官能基は、特定の基が許容される場合、上で具体的に列挙したものなどの1個以上の追加の官能基または1個以上のヒドロカルビル部分で更に置換することができる。
【0216】
「鏡像異性体」とは、少なくとも1個のキラル中心を有する化合物を意味する。1個を超えるキラル中心を有する化合物は、個々のジアステレオマーとして、または「ジアステレオマー混合物」と称するジアステレオマーの混合物として、存在し得る。1個のキラル中心が存在するとき、立体異性体は、そのキラル中心の絶対配置(RまたはS)によって特徴づけることができる。絶対配置とは、キラル中心に結合した置換基の空間配置を指す。考察するキラル中心に結合した置換基は、Cahn、IngoldおよびPrelogの順位則に従って順位づけされる。(Cahn et al.,Angew.Chem.Inter.Edit.1966,5,385;正誤表511;Cahn et al.,Angew.Chem.1966,78,413;Cahn and Ingold,J.Chem.Soc.1951(London),612;Cahn et al.,Experientia 1956,12,81;Cahn,J.Chem.Educ.1964,41,116)。
【0217】
本明細書で使用する百分率および比はすべて、別段の記載がない限り、重量基準である。
【0218】
略語一覧:CMC(Critical Micelle Concentration)=臨界ミセル濃度、HLB(Hydrophilic Lipophilic Balance)=親水性親油性バランス、IFT(Interfacial Tension)=界面張力、MW(Molecular Weight)=分子量。
【0219】
本明細書に開示する方法は、所望の化合物の大規模と小規模の両方の調製に適していることが理解されるであろう。本明細書に記載の方法の好ましい実施形態においては、エノン−糖脂質は、実験/実験室規模ではなく、大規模に、例えば工業生産規模で、調製することができる例えば、本開示の方法によるバッチタイププロセスは、少なくとも1g、または少なくとも5g、または少なくとも10g、または少なくとも100g、または少なくとも1kg、または少なくとも100kgの生成物のバッチを調製することができる。さらに、この方法は、純度が少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも98.5%の生成物を調製することができる。さらに、この方法は、約0.5%を超える量で存在する1種類以下の不純物を含むエノン糖脂質生成物を調製することができる。
【0220】
本明細書で言及する特許、特許出願および刊行物すべてを参照によりその全体を本明細書に援用する。しかし、明確な定義を含む特許、特許出願または刊行物が参照により援用される場合、その明確な定義は、それが記載された援用された特許、特許出願または刊行物に適用され、本願の文章の残りには適用されないと理解すべきである。矛盾が生じた場合には、定義を含めて本明細書が基準になる。本明細書で引用する参考文献は、本発明の従来技術であるとは認められない。
【0221】
本発明をその好ましい特定の実施形態に関連して記述したが、上記記述は、本発明を説明するものであって、その範囲を限定するものではないことを理解されたい。本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更を行うことができ、均等物を置換することができ、さらに、他の態様、効果および改変が、本発明が関係する当業者には明白であることが当業者によって理解されるであろう。
【実施例】
【0222】
以下の実施例は、説明のためのものであって、本発明の範囲を限定するものと決して解釈すべきではない。
【0223】
(実施例1)
直鎖エノンで連結されたC−グリコシド界面活性剤の代表的合成:
化合物1((E)−1−((2S,3R,4R,5S,6R)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)ペンタデカ−3−エン−2−オン)の合成
DMF(2mL)に溶解した1−((2S,3R,4R,5S,6R)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)プロパン−2−オン(1.1g、5.0mmol)を1当量のピロリジン(410uL、5.0mmol)およびヘプタン(4mL)と化合させた。混合物を室温でN雰囲気下で10分間撹拌した後、1当量のドデカナール(1.2mL、5.0mmol)を徐々に添加した。初期に二相で出現した反応混合物を撹拌しながら次第に均一化した。出発材料の消費後、反応混合物を室温に冷却し、シリカ上にアセトンを使用してあらかじめ装填し、次いでアセトンを移動相に使用したカラムクロマトグラフィーによってシリカゲル上で精製した。所望の画分を収集し、濃縮して、化合物1を白色ワックス状固体として得た。δ H (500 MHz, MeOD) 6.96 (1 H, dt, J 7.0, 15.9), 6.17 (1 H, dd, J 7.9, 9.3), 3.76 (1 H, dd, J 2.4, 11.9), 3.69 (1 H, td, J 2.5, 9.2), 3.62 (1 H, dd, J 5.1, 11.9), 3.34 (1 H, t, J 8.7), 3.30 - 3.27 (1 H, m), 3.23 - 3.18 (1 H, m), 3.10 (1 H, t, J 9.1), 3.01 (1 H, dd, J 2.6, 16.0), 2.77 (1 H, dd, J 9.0, 16.0), 2.29 - 2.21 (2 H, m), 1.53 - 1.44 (2 H, m), 1.37 - 1.25 (16 H, m), 0.90 (3 H, t, J 7.0); δ C (126 MHz, MeOD) 201.36, 150.61, 131.76, 81.77, 79.90, 77.49, 75.26, 71.84, 62.92, 43.73, 33.75, 33.24, 30.93, 30.91, 30.84, 30.69, 30.64, 30.51, 29.41, 23.90, 14.60; m/z (HRMS) 387.2741(M + H. C2139は387.2741を必要とする)。
【0224】
別の直鎖エノンで連結されたC−グリコシド化合物、すなわち、化合物44〜46を類似の方法によって合成した。
【0225】
(E)−1−((2S,3R,4R,5S,6R)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)トリデカ−3−エン−2−オン(化合物44):δ H (400 MHz, MeOD) 6.97 (1 H, dt, J 7.0, 15.9), 6.18 (1 H, dt, J 1.4, 15.9), 3.77 (1 H, dd, J 2.4, 11.9), 3.70 (1 H, td, J 2.6, 9.2), 3.62 (1 H, dd, J 5.0, 11.9), 3.38 - 3.33 (1 H, m), 3.31 - 3.27 (1 H, m), 3.23 - 3.18 (1 H, m), 3.11 (1 H, dd, J 8.8, 9.4), 3.02 (1 H, dd, J 2.5, 16.0), 2.78 (1 H, dd, J 9.0, 16.0), 2.30 - 2.20 (2 H, m), 1.54 - 1.45 (2 H, m), 1.38 - 1.26 (12 H, m), 0.91 (3 H, t, J 6.9); δ C (101 MHz, MeOD) 201.28, 150.57, 131.60, 81.60, 79.71, 77.31, 75.08, 71.63, 62.72, 43.54, 33.63, 33.09, 30.69, 30.57, 30.48, 30.38, 29.26, 23.77, 14.49; m/z (HRMS) 359.2435 (M + H. C1935は359.2428を必要とする)。
【0226】
(E)−1−((2S,3R,4R,5S,6R)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−(ヒドロキシ−メチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)ウンデカ−3−エン−2−オン(化合物45):δ H (500 MHz, MeOD) 6.96 (1 H, dt, J 7.0, 15.8), 6.17 (1 H, d, J 15.9), 3.76 (1 H, dd, J 2.3, 11.9), 3.69 (1 H, td, J 2.5, 9.3), 3.62 (1 H, dd, J 5.1, 11.9), 3.37 - 3.32 (1 H, m), 3.30 - 3.27 (1 H, m), 3.23 - 3.18 (1 H, m), 3.11 (1 H, t, J 9.1), 3.01 (1 H, dd, J 2.5, 16.0), 2.77 (1 H, dd, J 9.0, 16.0), 2.25 (2 H, q, J 7.5), 1.54 - 1.46 (2 H, m), 1.37 - 1.28 (8 H, m), 0.91 (3 H, t, J 6.9); δ C (126 MHz, MeOD) 201.64, 150.91, 131.98, 82.00, 80.12, 77.71, 75.48, 72.04, 63.13, 43.95, 34.00, 33.35, 30.72, 30.62, 29.65, 24.12, 14.83; m/z (HRMS) 331.2112 (M +H. C1731は331.2115を必要とする)。
【0227】
(E)−1−((2S,3R,4R,5S,6R)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−(ヒドロキシ−メチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)ノナ−3−エン−2−オン(化合物46):δ H (500 MHz, MeOD) 6.96 (1 H, dt, J 7.0, 15.8), 6.18 (1 H, d, J 15.9), 3.76 (1 H, dd, J 2.1, 11.8), 3.69 (1 H, td, J 2.5, 9.7), 3.62 (1 H, dd, J 5.1, 11.9), 3.37 - 3.32 (1 H, m, J 8.8), 3.30 - 3.26 (1 H, m), 3.23 - 3.17 (1 H, m), 3.10 (1 H, t, J 9.1), 3.00 (1 H, dd, J 2.3, 15.9), 2.77 (1 H, dd, J 9.0, 16.0), 2.31 - 2.20 (2 H, m, J 1.3, 8.0), 1.56 - 1.46 (2 H, m), 1.43 - 1.22 (4 H, m), 0.92 (3 H, t, J 6.5); δ C (126 MHz, MeOD) 201.59, 150.86, 131.99, 82.01, 80.12, 77.71, 75.48, 72.05, 63.13, 43.94, 33.96, 32.97, 29.33, 23.92, 14.73; m/z (HRMS) 325.1626 (M +Na. C1526NaOは325.1626を必要とする)。
【0228】
アルデヒド1.0当量の存在下でN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)とヘプタンの二相系における反応、直鎖エノンの収率が大きく増大することが認められた。精製生成物は、化合物47および48として表される微量のエノンの脱共役類似体も含むことも認められた。Jorgensen et al.,Tet.Lett.1964,19,1203によって示唆されたように、この異性化現象の平衡は、UV照射の使用によって脱共役生成物側に劇的に移行させることができる。したがって、化合物1にUV灯をMeOH中で6時間照射すると、その結果、定量的13C NMR分光法によって測定して、化合物47と48の未帰属の混合物(約2.25:1)に>80%転化された。δ H (500 MHz, MeOD) 5.59 - 5.44 (2 H, m), 3.74 (1 H, dd, J 2.3, 11.9), 3.64 - 3.58 (2 H, m), 3.30 - 3.23 (3 H, m), 3.21 - 3.17 (2 H, m), 3.04 (1 H, t, J 9.2), 2.85 (1 H, dd, J 2.9, 16.0), 2.63 - 2.53 (1 H, m), 2.05 - 196 (2 H, m), 1.36 - 1.31 (2 H, m), 1.26 - 1.25 (14 H, m), 0.86 (3 H, t, J 6.6); δ C (126 MHz, MeOH) 210.03, 135.74, 123.01, 81.27, 79.31, 76.84, 74.78, 71.37, 62.58, 47.83, 45.70, 32.86, 30.55, 30.48, 30.42, 30.32, 30.26, 30.17, 30.08, 23.55, 14.39 m/z (HRMS) 387.2741(M + H. C2139は387.2741を必要とする)。
【0229】
(実施例2)
環式エノンで連結されたC−グリコシド界面活性剤の代表的合成:
化合物2(4−エチル−5−プロピル−2−((2S,3R,4R,5S,6R)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)シクロヘキサ−2−エノン)の合成
丸底フラスコ中で、ノヌロース(400mg、1.8mmol)をMeOH(2.0ml)に溶解させ、撹拌棒を用いて室温でN雰囲気下で撹拌した。次いで、ピロリジン(150μl、1.8mmol)、続いてブチルアルデヒド(342μl、3.8mmol)を導入し、溶液を48時間激しく撹拌した。次いで、溶液をヘプタンで2回抽出し、n−ブタノールで希釈し、HOで2回洗浄した。遠心分離を使用して、乳濁液を必要に応じて破壊した。次いで、淡黄色の溶液が完全に無色になるまで有機相をAmberlite IR−120Hイオン交換樹脂で処理した。次いで、溶液をろ過し、濃縮して、化合物2を得た。δ H (500 MHz, MeOH) 7.04 (1 H, s), 4.17 (1 H, d, J 9.9), 3.82 (1 H, d, J 11.9), 3.70 - 3.60 (1 H, m), 3.44 - 3.32 (3 H, m), 3.30 - 3.25 (1 H, m), 2.59 (1 H, dd, J 15.9, 28.8), 2.32 - 2.14 (2 H, m), 2.03 - 1.87 (1 H, m), 1.81 - 1.69 (1 H, m), 1.68 - 1.49 (2 H, m), 1.48 - 1.36 (1 H, m), 1.35 - 1.24 (2 H, m), 1.00 (3 H, t, J 7.4), 0.93 (3 H, t, J 6.3); δ C (126 MHz, MeOH) 201.04, 154.92, 138.29, 82.72, 80.40, 76.56, 76.26, 72.21, 63.37, 44.29, 43.38, 38.81, 36.67, 25.96, 21.00, 14.90, 11.66; m/z (HRMS) 329.1955 (M + H. C1729は329.1959を必要とする)。
【0230】
化合物3(4−ブチル−5−ペンチル−2−((2S,3R,4R,5S,6R)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)シクロヘキサ−2−エノン)の合成
上記類似の手順に従って、ノヌロース(6.5g、29.5mmol)のMeOH(20ml)溶液をピロリジン(2.4ml、29.5mmol)およびヘキサナール(7.6ml、62.0mmol)と化合させた。後処理後、化合物3をオフホワイト固体として得た。δ H (500 MHz, MeOH) 7.03 (1 H, d, J 2.9), 4.17 (1 H, d, J 9.6), 3.82 (1 H, d, J 11.9), 3.68 - 3.62 (1 H, m), 3.44 - 3.32 (3 H, m), 3.30 - 3.25 (1 H, m), 2.62 (1 H, dd, J 4.0, 16.0), 2.39 - 2.27 (1 H, m), 2.19 (1 H, dd, J 9.7, 16.0), 1.99 - 1.85 (1 H, m), 1.74 - 1.61 (1 H, m), 1.61 - 1.49 (2 H, m), 1.41 - 1.24 (11 H, m), 0.95 (3 H, t, J 5.5), 0.91 (3 H, t, J 6.8); δ C (126 MHz, MeOD) 200.57, 154.55, 137.56, 82.27, 79.97, 76.14, 75.89, 71.78, 62.93, 42.91, 42.47, 39.60, 39.15, 33.94, 33.03, 32.60, 29.97, 27.18, 23.99, 23.62, 14.34; m/z (HRMS) 385.2587 (M + H. C2137は385.2585を必要とする)。
【0231】
化合物28〜31(4−エチル−5−ヘプチル−2−((2S,3R,4R,5S,6R)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)シクロヘキサ−2−エノン)の合成
化合物45(100mg、0.3mmol)のMeOH(0.5ml)溶液にピロリジン(25μl、0.3mmol)、続いてブチルアルデヒド(29μl、0.32mmol)を添加した。次いで、反応混合物を、36時間撹拌し、さらに、ヘプタンで2回抽出し、MeOH相を濃縮し、生成した残留物をn−ブタノール2mlに溶解させることによって、処理した。次いで、ブタノール相を、HOで2回洗浄し、次いで、淡黄色の溶液が無色になるまでAmberlite IR−120Hイオン交換樹脂と一緒に撹拌した。次いで、溶液をろ過し、濃縮して、化合物28〜31の混合物を無色の固体残留物として得た。δ H (500 MHz, MeOD) 7.04 (1 H, d, J 3.2), 4.17 (1 H, d, J 9.4), 3.82 (1 H, dd, J 2.1, 11.9), 3.68 - 3.62 (1 H, m), 3.42 - 3.32 (3 H, m), 3.29 - 3.25 (1 H, m), 2.62 (1 H, dd, J 4.3, 16.1), 2.32 - 2.15 (2 H, m), 1.99 - 1.88 (1 H, m), 180 - 1.69 (1 H, m), 1.68 - 1.52 (2 H, m), 1.44 - 1.37 (1 H, m), 1.35 - 1.28 (10 H, m), 1.00 (3 H, t, J 7.4), 0.90 (3 H, t, J 6.9); δ C (126 MHz, MeOD) 200.64, 154.47, 137.84, 82.27, 79.98, 76.13, 75.82, 71.79, 62.95, 43.88, 42.99, 38.61, 33.92, 32.98, 30.76, 30.34, 27.46, 25.53, 23.67, 14.38, 11.22; m/z (HRMS) 385.2585 (M + H. C2137は385.2585を必要とする)。
【0232】
(実施例3)
臨界ミセル濃度(CMC)
本発明の化合物のCMCを当該技術分野において公知の方法を使用して測定する。図1は、シリーズ間の選択された界面活性剤のCMC曲線の比較を示す。
【0233】
CMCの傾向から分かるように、シリーズ間で親水性親油性バランス(HLB)および分子量(MW)が類似した界面活性剤を見ると、界面活性剤の構造組成に起因して表面活性がかなり異なる。このデータから、化合物3は界面張力(IFT)が最も大きく低下し、極めて低い推定CMCを有し、性質の極めて望ましい組合せを有することも分かる。
【0234】
下表1でも分かるように、C−グリコシドは、CMCおよびIFT(γ)低下の点でそのO−グリコシド対応物と極めて類似した挙動を示した(表面張力測定は、Typ T107B Ptプレートを備えたSigma 703 Tensiometerを使用して得られ、すべての実験は72.7±0.2mN/mに較正されたDI水を使用して室温で行われた)。さらに、CMCは、Griffinの方法に従って計算された疎水性親油性バランス(HLB)に直接関連するように見える。実際、CMC領域は、HLBの増加につれてますます広くなった。これは、ミセルの多分散性に起因することが多い一般的現象である。例えば、Pasquali,R.C.;Taurozzi,M.P.;Bregni,C.Int.J.Pharm.2008,356,44;およびMukerjee,P.;Mysels,K.J.Critical Micelle Concentrations of Aqueous Surfactant Systems.U.S.Department of Commerce,1970,p.14を参照されたい。
【0235】
表1
【0236】
【表1】

a−HLB=Griffinの方法による疎水性親油性バランス
b−AG=O−アルキルグルコシド(Rybinski、W.v.;Hill、K.Angew.Chem.Int.Ed.1998,37,1328参照)。
【0237】
最後に、起泡性を公知のASTMプロトコル(すなわち、ASTM Standard D1173,2007、ASTM International,DOI:10.1520/D1173−07)に従うRoss−Miles発泡試験によって評価した。図2に示すように、SDSと比較して、C−グリコシドの起泡性は比較的小さく、(「2b」で示された)化合物3は、5分後に過剰の泡をほとんど示さなかった。しかし、予想外に、化合物3をSDSと20%溶液として併用すると、起泡性は、SDS単独のそれを超え、泡の高さは5分間一定であった。(「1d」で示された)化合物1も類似の予想外の挙動を示し、C−グリコシドが陰イオン界面活性剤の存在下で発泡を増大させ、安定化させる効果を有することを示唆している。
【0238】
化合物1の光異性体である化合物47と48は、CMC、界面張力(γ)低下、ならびに発泡増大および安定化能力の点で予想外にほぼ同じ挙動を示すことも認められた。
【0239】
(実施例4)
修飾糖部分を有する、環式エノンで連結されたC−グリコシド界面活性剤の代表的合成
化合物32の合成
【0240】
【化68】

4−ブチル−5−ペンチル−2−((2S,3R,4R,5S,6R)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)シクロヘキサ−2−エノン(8.3g、21.6mmol)をメタノール(MeOH)に溶解させ、Pd/C(20%、ウェット)約800mgを充填した。混合物をParr反応器中で800psi H雰囲気下に置き、機械的に撹拌した。24時間後、溶液を反応器から取り出し、Celiteに通してMeOHおよびHOでリンスした。次いで、混合物を濃縮して、淡黄色残留物(8.2g)を得た。H NMRによれば、所望の生成物の特徴的なエノンプロトン(約7.0〜7.2ppm)および必要なプロトンすべてが完全に消失した。m/z(HRMS)387.27403(2S,3R,4R,5S,6R)−2−(3−ブチル−6−ヒドロキシ−4−ペンチルシクロヘキサ−1−エニル)−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオール、C2138の予想[M+H]=387.274115)。
【0241】
化合物33の合成
【0242】
【化69】

4−ブチル−5−ペンチル−2−((2S,3R,4R,5S,6R)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)シクロヘキサノン(16.0g)をグリシドール(16ml)と丸底フラスコ中で化合させ、ロータリーエバポレータ上に置いた。混合物を水浴中で85℃で1時間低真空下で回転させた。1時間後、溶液を室温に冷却し、n−ブタノールに溶解させ、HOで3回洗浄した。次いで、n−ブタノール相を濃縮した。十分乾燥させた後、23.2gを回収した。付加された質量は、約2〜2.5当量のグリシドールの取り込みに対応する。H NMRによれば、0.8〜1.8ppm領域に対する3.0〜4.0ppm領域のプロトンの比は約1.1:1.4であった。m/z(HRMS)483.29297(n=1の場合、予想される[M+Na]=483.292840)。
【0243】
化合物34の合成
【0244】
【化70】

1.24gの1−((2S,3R,4R,5R,6R)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)プロパン−2−オン(Aust.J.Chem.2002,55,147−154;Bioorg.Med.Chem.Lett.2009,19,845−849)をMeOH(10ml)、ピロリジン(0.464ml)およびヘキサナール(1.5ml)と化合させた。次いで、溶液を室温で48時間撹拌し、ヘプタンで3回抽出し、次いでメタノール相を濃縮した。次いで、残留物をn−ブタノールに溶解させ、HOで3回洗浄した。次いで、n−ブタノール相をDowex H樹脂の存在下で30分間撹拌した後、ろ過し、濃縮した。生成した残留物(1.5g)は、7.0〜7.3ppm範囲の特徴的なエノンプロトンを含めて、必要なプロトンすべてをH NMRによって示した。HRMSは[M+Na]=407.24083を示した(4−ブチル−5−ペンチル−2−((2S,3R,4R,5R,6R)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)シクロヘキサ−2−エノン、C2136の予想[M+Na]=407.2404)。
【0245】
化合物35の合成
【0246】
【化71】

1.25gの1−((2S,3R,4S,5R)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)プロパン−2−オン(Aust.J.Chem.2002,55,147−154;Bioorg.Med.Chem.Lett.2009,19,845−849)をMeOH(10ml)、ピロリジン(0.55ml)およびヘキサナール(1.8ml)と化合させた。次いで、溶液を室温で48時間撹拌し、ヘプタンで3回抽出し、次いでメタノール相を濃縮した。残留物をn−ブタノールに溶解させ、HOで3回洗浄した。次いで、n−ブタノール相をDowex H樹脂の存在下で30分間撹拌した後、ろ過し、濃縮した。生成した残留物(1.2g)は、6.8〜7.2ppm範囲の特徴的なエノンプロトンを含めて、必要なプロトンすべてを示した。通常のMSは[M+H]=355.26を示した。(4−ブチル−5−ペンチル−2−((2S,3R,5R)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)シクロヘキサ−2−エノン、C2034の予想[M+H]=355.25)。HRMSは[M+Na]=377.22963を示した([M+Na]の予想質量=377.229846)。
【0247】
化合物36の合成
【0248】
【化72】

934mgの1−((2S,3R,4S,5S,6R)−3,4−ジヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)−5−((2S,3R,4S,5R,6R)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)プロパン−2−オン(Bioorg.Med.Chem.Lett.2009,19,845−849)をMeOH(10ml)、ピロリジン(0.2ml)およびヘキサナール(0.66ml)と化合させた。次いで、溶液を室温で48時間撹拌し、ヘプタンで3回抽出し、次いでメタノール相を濃縮した。残留物をn−ブタノールに溶解させ、HOで3回洗浄した。次いで、n−ブタノール相をDowex H樹脂の存在下で30分間撹拌した後、ろ過し、濃縮した。生成した残留物(648mg)は、7.0〜7.3ppm範囲の特徴的なエノンプロトンを含めて、必要なプロトンすべてを示した。HRMSは[M+H]=547.31200を示した(4−ブチル−2−((2S,3R,4S,5S,6R)−3,4−ジヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)−5−((2S,3R,4S,5R,6R)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−5−ペンチルシクロヘキサ−2−エノン、C274611の予想質量[M+H]=547.311289)。
【0249】
化合物37の合成
【0250】
【化73】

380mgの4−ブチル−5−ペンチル−2−((2S,3R,4R,5S,6R)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)シクロヘキサ−2−エノンをMeOH5mlに溶解させ、NaBH 19mgを充填した(わずかな発泡)。次いで、溶液を1時間撹拌し、1N HCl(aq)5mlで希釈し、20分間撹拌した。次いで、溶液をn−ブタノールおよびHOで希釈し、分割した。次いで、n−ブタノール相をHOで2回洗浄し、濃縮した。残留物324mgを回収した。H NMRは、オレフィンプロトンの5.6〜6.0ppm領域への予想されたシフトを示し、他の必要なプロトンすべてが存在した。HRMSは[M+Na]=409.25623を示した((2S,3R,4R,5S,6R)−2−(3−ブチル−6−ヒドロキシ−4−ペンチルシクロヘキサ−1−エニル)−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオール、C2138の予想質量=409.256060)。
【0251】
化合物38の合成
【0252】
【化74】

70mgの4−ブチル−5−ペンチル−2−((2S,3R,4R,5S,6R)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)シクロヘキサノンをMeOH5mlに溶解させ、NaBH 19mgを充填した(わずかな発泡)。次いで、溶液を1時間撹拌し、1N HCl(aq)5mlで希釈し、20分間撹拌した。次いで、溶液をn−ブタノールおよびHOで希釈し、分割した。次いで、n−ブタノール相をHOで2回洗浄し、濃縮した。残留物67mgを回収した。H NMRによれば、2.0〜2.5ppm領域のプロトンおよび存在した他の必要なプロトンすべてが消失した。HRMSは[M+Na]=411.27193を示した((2S,3R,4R,5S,6R)−2−(5−ブチル−2−ヒドロキシ−4−ペンチルシクロヘキシル)−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオール、C2140の予想質量=411.271710)。
【0253】
化合物39の合成
【0254】
【化75】

5−ヘプチル−4−ヘキシル−2−((2S,3R,4R,5S,6R)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)シクロヘキサ−2−エノン(730mg、1.66mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)10mlに溶解させ、ピリジニウムで安定化された三酸化硫黄(50〜60%活性)470mgを充填した。次いで、混合物を50℃で18時間加熱した。溶液を室温に冷却し、HOおよびn−ブタノールで希釈した。有機層と水層を分離させ、発泡が収まるまで水層を炭酸水素ナトリウムで処理した。次いで、水層を濃縮し、固体残留物をメタノールで抽出し、濃縮した。淡黄色発泡体410mgが生成した。H NMRは、スルホン化出発材料と一致したピークを示し、特性プロトンが4.0〜4.2ppm範囲でシフトした。HRMSは[M+Na+]=565.24150を示した([M+Na+]の予想質量=565.259825)。
【0255】
化合物40の合成
【0256】
【化76】

5−ヘプチル−4−ヘキシル−2−((2S,3R,4R,5S,6R)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)シクロヘキサ−2−エノン(1.25g、2.84mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)10mlに溶解させ、トリエチルアミン1.4mlおよび2−ブロモエタノール0.605mlを充填した。次いで、混合物を50℃で18時間加熱した。18時間後、溶液を室温に冷却し、HOおよびn−ブタノールで希釈した。有機および層をHOで3回洗浄し、次いで濃縮した。淡褐色残留物1.13gが生成した。H NMRは、エトキシル化出発材料と一致したピークを示し、特性プロトンが3.4〜3.8ppm範囲でシフトした。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式BまたはAの化合物
【化77】

(式中、炭水化物はC結合グリコシドであり、
、RおよびRの各々は独立に、水素、直鎖アルキル、分枝アルキル、置換直鎖アルキル、置換分枝アルキル、シクロアルキルまたは置換シクロアルキルであり、
2本の点線−−−−−−の各々は独立に、存在しないか、または結合であり、
YはOまたはORであって、Rは水素またはC〜C10アルキルである。)。
【請求項2】
R、RおよびRの各々が独立に飽和または不飽和アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記アルキルの不飽和度が1である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
、RおよびRの各々が独立に、6、7、8、9、10、11または12個の炭素原子を有するアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
、RおよびRの各々が独立に、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22個の炭素原子を有するアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
炭水化物が単糖もしくは多糖またはそのグリコシド誘導体である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
炭水化物がグルコース、キシロース、リキソース、マンノース、マルトース、セロビオース、ガラクトースまたはそのグリコシド誘導体である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
前記化合物が式Iaの化合物であって、
【化78】

式中、Rは、H、またはCOORで場合によっては置換されたC〜C24アルキルであって、Rは、H、C〜C10アルキル、C〜Cシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、
はCHORまたはCOORであって、RはH、スルホ、スルホナト、ホスホノ、ホスホナト、CORであって、Rは、ヒドロキシ、C〜C10アルコキシ、またはカルボキシ、カルボキシラト、スルホ、スルホナト、ホスホノおよびホスホナトから選択される1個以上の基で場合によっては置換されたC〜C10アルキルであり、あるいはRは、カルボキシ、カルボキシラト、スルホ、スルホナト、ホスホノ、ホスホナト、−(CHCHO)Hおよび−(CHCHOHCHO)Hから選択される1個以上の基で場合によっては置換されたC〜C10アルキルであって、nは1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり、
、RおよびRの各々は独立に、H、スルホ、スルホナト、ホスホノ、ホスホナト、COR、単糖もしくはそのグリコシド誘導体、またはカルボキシ、カルボキシラト、スルホ、スルホナト、ホスホノ、ホスホナト、−(CHCHO)Hおよび−(CHCHOHCHO)Hから選択される1個以上の基で場合によっては置換されたC〜C10アルキルである、
請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
が、COORで場合によっては置換されたC〜C22アルキルである、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
、RおよびRの少なくとも1個が、スルホ、スルホナト、ホスホノ、ホスホナト、COR、単糖もしくはそのグリコシド誘導体、またはカルボキシ、カルボキシラト、スルホ、スルホナト、ホスホノ、ホスホナト、−(CHCHO)Hおよび−(CHCHOHCHO)Hから選択される1個以上の基で場合によっては置換されたC〜C10アルキルであって、それ以外は各々水素である、請求項8に記載の化合物。
【請求項11】
がCHORであり、R、R、RおよびRの少なくとも1個が、スルホ、スルホナト、ホスホノ、ホスホナト、COR、またはカルボキシ、カルボキシラト、スルホ、スルホナト、ホスホノ、ホスホナト、−(CHCHO)Hおよび−(CHCHOHCHO)Hから選択される1個以上の基で場合によっては置換されたC〜C10アルキルであって、それ以外は各々水素である、請求項8に記載の化合物。
【請求項12】
、R、RおよびRが各々水素である、請求項8に記載の化合物。
【請求項13】
前記化合物が、
【化79】

である、請求項8に記載の化合物。
【請求項14】
前記化合物が式Bの化合物であり、RおよびRの各々が独立に、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の炭素原子を有するアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
およびRの各々が独立に飽和アルキルである、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
炭水化物が単糖もしくは多糖またはそのグリコシド誘導体である、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
炭水化物がグルコース、キシロース、リキソース、マンノース、マルトース、セロビオース、ガラクトースまたはそのグリコシド誘導体である、請求項15に記載の化合物。
【請求項18】
前記2本の点線−−−−−−の両方が各々結合である、請求項15に記載の化合物。
【請求項19】
前記2本の点線−−−−−−の一方が存在せず、他方が結合である、請求項15に記載の化合物。
【請求項20】
YがOである、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
前記化合物が式Ibの化合物であり、
【化80】

式中、RおよびRの各々は独立に、H、またはCOORで場合によっては置換されたC〜C24アルキルであって、Rは、H、C〜C10アルキル、C〜Cシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、
はCHORまたはCOORであって、RはH、スルホ、スルホナト、ホスホノ、ホスホナト、CORであって、Rは、ヒドロキシ、C〜C10アルコキシ、またはカルボキシ、カルボキシラト、スルホ、スルホナト、ホスホノおよびホスホナトから選択される1個以上の基で場合によっては置換されたC〜C10アルキルであり、あるいはRは、カルボキシ、カルボキシラト、スルホ、スルホナト、ホスホノ、ホスホナト、−(CHCHO)Hおよび−(CHCHOHCHO)Hから選択される1個以上の基で場合によっては置換されたC〜C10アルキルであって、nは1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり、
、RおよびRの各々は独立に、H、スルホ、スルホナト、ホスホノ、ホスホナト、COR、単糖もしくはそのグリコシド誘導体、またはカルボキシ、カルボキシラト、スルホ、スルホナト、ホスホノ、ホスホナト、−(CHCHO)Hおよび−(CHCHOHCHO)Hから選択される1個以上の基で場合によっては置換されたC〜C10アルキルである、
請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
およびRの各々が独立に、COORで場合によっては置換されたC〜Cアルキルである、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
およびRの各々が独立に、COORで場合によっては置換されたC〜C22アルキルである、請求項21に記載の化合物。
【請求項24】
、RおよびRの少なくとも1個が、スルホ、スルホナト、ホスホノ、ホスホナト、COR、単糖もしくはそのグリコシド誘導体、またはカルボキシ、カルボキシラト、スルホ、スルホナト、ホスホノ、ホスホナト、−(CHCHO)Hおよび−(CHCHOHCHO)Hから選択される1個以上の基で場合によっては置換されたC〜C10アルキルであって、それ以外は各々水素である、請求項21に記載の化合物。
【請求項25】
が単糖またはそのグリコシド誘導体である、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
がグルコース、キシロース、リキソース、マンノース、ガラクトースまたはそのグリコシド誘導体である、請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
がCHORであり、R、R、RおよびRの少なくとも1個が、スルホ、スルホナト、ホスホノ、ホスホナト、COR、またはカルボキシ、カルボキシラト、スルホ、スルホナト、ホスホノ、ホスホナト、−(CHCHO)Hおよび−(CHCHOHCHO)Hから選択される1個以上の基で場合によっては置換されたC〜C10アルキルであって、それ以外は各々水素である、請求項21に記載の化合物。
【請求項28】
、R、RおよびRが各々水素である、請求項21に記載の化合物。
【請求項29】
前記2本の点線−−−−−−の両方が存在しないか、または各々結合である、請求項21に記載の化合物。
【請求項30】
前記2本の点線−−−−−−の一方が存在せず、他方が結合である、請求項21に記載の化合物。
【請求項31】
YがOである、請求項21に記載の化合物。
【請求項32】
YがOHである、請求項21に記載の化合物。
【請求項33】
前記化合物が、
【化81】

である、請求項21に記載の化合物。
【請求項34】
前記化合物が化合物3〜43のいずれかである、請求項1に記載の化合物。
【請求項35】
請求項1から34のいずれか一項に記載の化合物を含む組成物。
【請求項36】
界面活性剤を更に含む、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
前記界面活性剤が陰イオン性である、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
式Bの化合物を合成する方法であって、
【化82】

式中、炭水化物はC結合グリコシドであり、
、RおよびRの各々は独立に、水素、直鎖アルキル、分枝アルキル、置換直鎖アルキル、置換分枝アルキル、シクロアルキルまたは置換シクロアルキルであり、
2本の点線−−−−−−の各々は独立に、存在しないか、または結合であり、
YはOまたはORであって、Rは水素またはC〜C10アルキルであり、前記方法が、炭水化物含有ケトンをアルカリ性溶液中で過剰のアルデヒドと反応させて、前記点線の各々が結合であり、YがOである、式Bの化合物を形成すること
を含む、方法。
【請求項39】
前記炭水化物が単糖もしくは多糖またはそのグリコシド誘導体である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記炭水化物がグルコース、キシロース、リキソース、マンノース、マルトース、セロビオース、ガラクトースまたはそのグリコシド誘導体である、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記炭水化物がグルコースまたはグルコシドである、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記炭水化物含有ケトンが2、2.1、2.2、2.5、3.0、3.5、4.0、5.0、7.0、10.0当量のアルデヒドと反応される、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
前記点線の各々が結合であり、YがOである、式Bの前記化合物を還元して、前記点線の少なくとも1本が存在しない式Bの化合物を形成することを更に含む、請求項38に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−510177(P2013−510177A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538060(P2012−538060)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/055831
【国際公開番号】WO2011/057192
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(593152720)
【氏名又は名称原語表記】Yale University
【Fターム(参考)】