説明

両面印刷装置

【課題】レジスタや発券機の搭載され、記録媒体のおもて面にのみ記録可能な印刷装置では、記録媒体の裏面に固定パターンや告知情報が印刷済みの記録紙を用いるとコスト的に割高となっている。
【解決手段】第1のサーマルヘッド1により記録媒体の情報記録面となるおもて面に情報を印刷する際に、第2のサーマルヘッド2が予め登録され選択された固定パターン又は告知情報を一定周期又は任意のタイミングに合わせて記録媒体の非情報記録面となる裏面に繰り返し印刷を行う両面印刷装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体の情報印刷面に画像や文字からなる情報を印刷する際に、非情報印刷面に繰り返しパターンを印刷する両面印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、記録紙に画像や文字を印刷するプリンタは、記録紙のおもて面側に記録ヘッドを設けて、搬送された記録媒体に対して印刷処理を行っている。このため、通常は記録紙のおもて面にのみ画像や文字が印刷され、裏面には何も印刷されていない。また、レシートやチケット等を発券する際には、これらの裏面の非情報印刷面には、固定パターン等が予め印刷されたり、広告等が予め印刷されている記録紙が用いられている。
【0003】
また、例えば特許文献1には、2つのサーマルヘッドを備える両面印字装置を用いて、両面に印刷が可能な記録媒体(感熱紙)が開示されている。この記録媒体は、搬送される記録媒体を挟むように対向する2対のサーマルヘッドとプラテンが搬送方向の上流と下流に配置される印刷装置を用いることで、表裏面に略同時に画像や文字からなる情報を印刷することができる。
【特許文献1】米国特許番号 US 6,759,366号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した記録紙のおもて面側のみに印刷処理をおこなっている場合、おもて面側に印刷を行なう情報以外の情報を印刷しようとする場合は、前記おもて面側に印刷を行なった用紙とは別もしくは前記おもて面側に印刷した用紙に引き続き印刷を行なう事となる。この結果仮におもて面側の印刷と行なった用紙と別のサイズ等の用紙におもて面側に印刷を行なう情報以外の情報を印刷しようとする場合は管理する用紙の種類が増え場合によっては無駄な用紙在庫が発生する事となる。また前記おもて面側に印刷を行なった用紙に引き続きおもて面側に印刷を行なう情報以外の情報を印刷をする場合でも使用する用紙量が増えてしまう。
【0005】
また前述した裏面が印刷済みの記録紙は、確かに裏面におもて面とは異なる情報が印刷されているため用紙量としては裏面に印字しない場合より少なくなるものの、予め別の印刷装置で印刷を行うため、コスト的に割高となっている。またレシートや切符等のロール紙状態で利用する記録媒体において、広告や知らせ等の告知情報を予め印刷していた場合、その記録媒体の使用期間が長くなるほど、最新の告知情報ではなくなる。例えば、広告を印刷した記録媒体では、その広告期間の前に使用量を予想して作成しているため、広告の有効期間が過ぎて残っていた場合には、その記録媒体は使用出来なくなり、廃棄処分となってしまう。また、固定パターンについても、既に印刷されているため、ユーザが所望するように手軽に変更することが出来ない。
【0006】
そこで本発明は、非情報印刷面に未印刷の記録媒体を用いて、予め設定した複数の固定パターンや告知情報から所望するものを選択し、記録媒体の情報印刷面に任意の情報を印刷した際に、非情報印刷面に固定パターン又は告知情報を周期的に印刷することにより、低コストな記録媒体を利用する両面印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、搬送される記録媒体の一方面に当接し、印刷データに基づく情報を印刷する第1のサーマルヘッドと、上記記録媒体の他方面に当接し、指定された情報を印刷する第2のサーマルヘッドと、上記印刷データ及び、1つ又は複数の固定パターン及び告知情報を記憶する記憶部と、上記印刷データに対する印刷スタイルと、上記指定された情報となる上記固定パターン又は告知情報を何れかを選択設定する印刷スタイル設定部と、
を具備し、上記第1のサーマルヘッドによる印刷の実行に同期して、上記印刷スタイル設定部により選択設定されている上記固定パターン又は上記告知情報を上記第2のサーマルヘッドが上記記録媒体の他方面に繰り返し印刷を行う両面印刷装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、非情報印刷面に未印刷の記録媒体を用いて、予め設定した複数の固定パターンや告知情報から所望するものを選択し、記録媒体の情報印刷面に任意の情報を印刷した際に、非情報印刷面に固定パターン又は告知情報を周期的に印刷することにより、低コストな記録媒体を利用する両面印刷装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1には、本発明の一実施形態として、記録ヘッドにサーマルヘッドを用いて両面印刷を行う両面印刷装置に搭載される文字属性管理システムの概念的な構成を示す。図2は、サーマルヘッド及び搬送機構の概念的な構成を示す。以下の説明において、記録媒体には両面印刷可能な感熱紙を用いて、画像や文字・数字等の情報からなる印刷データを印刷すべき情報印刷面をおもて面とし、後述する固定パターンや告知情報を繰り返し印刷すべき非情報印刷面を裏面として説明する。
【0010】
この両面印刷装置は、記録媒体12のおもて面12aに当接する第1のサーマルヘッド1と、該記録媒体12の裏面12bに当接する第2のサーマルヘッド2と、記録媒体12を搬送する搬送機構5と、搬送機構5を駆動する記録媒体搬送用モータ3と、各サーマルヘッド1,2及びモータ3の駆動を制御する駆動制御部4と、予め定めたプログラム又はユーザ指定に基づきシステム全体の制御及び演算等を行う制御部(CPU)6と、印刷データや後述する固定パターンや告知情報を記憶するRAM7と、予め定められたプログラム等を記憶しているROM8と、ユーザに入力されたパラメータ等を記憶する不揮発性RAM(NV:non-votatile RAM)9と、印刷スタイルを設定する印刷スタイル設定部10と、入力部11と、を備えている。尚、本実施形態では、RAM7に印刷データや後述する固定パターンや告知情報を記憶している例を説明しているが、情報の書き換えが可能であれば、RAMに限定されるものではなく、例えば、フラッシュROMやハードディスク等を用いることもできる。
【0011】
この構成において、RAM7は、外部の例えばホスト装置(接続された外部コンピュータ等)から入力された画像データや文字情報からなる印刷データや記録媒体12の裏面に印刷する複数の固定パターンや広告や知らせ等の最新の告知情報を記憶する。駆動制御部4は、各サーマルヘッド1,2をそれぞれ独立して駆動させるドライバ機能を有している。
【0012】
また、印刷スタイル設定部10は、セットアップ機能を有しており、それぞれの第1,第2のサーマルヘッド1,2から印刷出力される文字属性等の印刷スタイル及び、ユーザ指定された記録媒体の裏面に印刷するために固定パターンや告知情報を選択し且つ、一定周期又は任意のタイミングに印刷するように設定する。さらに、入力部11は、設定内容を確認可能な表示機能を有するタッチ操作パネル又はキー入力パネル等からなり、固定パターンや告知情報の選択及び、印刷形態(印刷スタイルを含む)及び印刷開始指示を入力する。
【0013】
これらの第1,第2のサーマルヘッド1,2は、例えば、図2に示すように配置される。この配置例において、第1のサーマルヘッド1は、記録媒体12のおもて面12aに当接し、その対向する記録媒体12の裏面12b側には、プラテンローラ13が設けられている。同様に、第2のサーマルヘッド2は、記録媒体12の裏面12bに当接し、その対向する記録媒体12のおもて面12a側には、プラテンローラ14が設けられる。プラテンローラ13,14の駆動は、別個に駆動用モータを設けてもよいし、伝達機構を設けて記録媒体搬送用モータ3を駆動源としてもよい。また、第1,第2のサーマルヘッド1,2の上下流には、記録媒体12を搬送するための搬送機構5が設けられている。さらに、図示していないが、未印刷の記録媒体12を供給する供給部及び、印刷済み記録媒体12を収納する収納部も設けられている。これらの搬送機構5、供給部及び収納部は、一般的な構成であり、記録媒体12がカット紙であってもロール紙であっても対応できるように構成することができる。
【0014】
本実施形態の両面印刷装置は、記録媒体12のおもて面12aに必要な情報を印刷する前に、印刷スタイル設定部10に予め登録されている1つ又は複数の固定パターン又は告知情報の中から所望するもの、例えば1つの固定パターンを制御コマンドに従い選択し、印刷スタイル設定部10に設定する。その後、第1のサーマルヘッド1における印刷を実行すると、それに同期して、印刷スタイル設定部10に設定されている固定パターンを一定周期又は任意のタイミングに合わせて、第2のサーマルヘッド2が記録媒体12の裏面12bに繰り返し印刷を行う。
【0015】
次に図3は、第2のサーマルヘッド2により記録媒体12の裏面に印刷する固定パターンの第1の例を示す。
図3に示す第1の例では、1枚目の記録媒体21のおもて面21aには印刷データに基づく情報24(Line 01−20)が印刷され、裏面21bには選択した固定パターン「LOGO」23が印刷される。同様に、2枚目の記録媒体22のおもて面22aには印刷データに基づく情報24(Line 01−50)が印刷され、裏面22bには、選択した固定パターン「LOGO」23が印刷される。
この第1の例では、記録媒体の搬送状態(記録媒体21の先端が第2のサーマルヘッド2に掛かる状態)と印刷開始タイミングを同期させて、選択した固定パターン「LOGO」を隙間を空けずに連続的に印刷した例である。
【0016】
次に図4は、第2のサーマルヘッド2により記録媒体の裏面に印刷する固定パターンの第2の例を示す。
図4に示す第2の例では、1枚目の記録媒体31のおもて面31aには印刷データに基づく情報35(Line 01−20)が印刷され、裏面31bには選択した固定パターン「LOGO」34が印刷される。同様に、2枚目の記録媒体32のおもて面32aには印刷データに基づく情報35(Line 01−50)が印刷され、裏面32bには、選択した固定パターン「LOGO」34が間隔を空けて印刷される。この第2の例では、記録媒体の搬送状態(記録媒体31の先端が第2のサーマルヘッド2に掛かる状態)と印刷開始タイミングを同期させて、印刷スタイル設定部10による制御命令又は設定により、固定パターン「LOGO」と後方に続く指定長の隙間を含むスペース33で繰り返し印刷される。
【0017】
次に図5は、第2のサーマルヘッド2により記録媒体の裏面に印刷する固定パターンの第3の例を示す。
図5に示す第3の例では、1枚目の記録媒体41のおもて面41aには印刷データに基づく情報45(Line 01−20)が印刷され、裏面41bには選択した固定パターン「LOGO」44が印刷される。同様に、2枚目の記録媒体42のおもて面42aには印刷データに基づく情報45(Line 01−50)が印刷され、裏面42bには、選択した固定パターン「LOGO」44が所定の間隔を空けて印刷される。この第3の例では、記録媒体の搬送状態(記録媒体41の先端が第2のサーマルヘッド2に掛かる状態)と印刷開始タイミングを同期させて、印刷スタイル設定部10による制御命令又は設定により、印刷開始位置間隔を指定され、隣接する固定パターン「LOGO」の間にスペース43を空けて繰り返し固定パターンが印刷される。
【0018】
次に図6は、第2のサーマルヘッド2により記録媒体の裏面に印刷する固定パターンの第4の例を示す。
図6に示す第4の例では、1枚目の記録媒体51のおもて面51aには印刷データに基づく情報55(Line 01−20)が印刷され、裏面51bには選択した固定パターン「LOGO」54が印刷される。同様に、2枚目の記録媒体52のおもて面52aには印刷データに基づく情報55(Line 01−50)が印刷され、裏面52bには、選択した固定パターン「LOGO」54が間隔を空けて印刷される。この第4の例では、記録媒体の搬送状態(記録媒体31の先端が第2のサーマルヘッド2に掛かる状態)と印刷開始タイミングを同期させて、印刷起動がかかる度に固定パターンの印刷も開始する。このような印刷により、先に印刷された記録媒体の裏面終端にある固定パターン「LOGO」54が途中で終了したとしても、次に続く記録媒体の裏面先端の印刷される固定パターン「LOGO」が最初から印刷される。
【0019】
尚、この第4の例は、前述した第1乃至第3とそれぞれ組み合わせることにより、常に記録媒体の裏面の先端部分から切れ目のない固定パターンの印刷が開始させることができる。
【0020】
以上説明したように、本実施形態の両面印刷装置によれば、記録媒体のおもて面の情報記録面に印刷データを印刷するに伴って、裏面の非情報記録面に設定した固定パターンや告知情報を印刷することができる。従って、記録媒体の非情報記録面に予め固定パターンや告知情報が印刷されている高コストの記録媒体を使用する必要が無くなる。
【0021】
また、非情報記録面に印刷する固定パターンや告知情報は、ユーザが容易に設定でき、その都度が所望する固定パターンや最新の告知情報を印刷することができる。また、印刷の度、両面印刷により非情報記録面に固定パターンや告知情報を印刷することができるため、低コストな記録媒体を利用することができる。さらに、裏面が印刷されている記録媒体を前もって確保する必要はなく、不必要に在庫させたり、不要になった記録媒体の廃棄を無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る記録ヘッドにサーマルヘッドを用いて両面印刷を行う両面印刷装置に搭載される文字属性管理システムの概念的な構成を示す図である。
【図2】サーマルヘッド及び搬送機構の概念的な構成を示す図である。
【図3】第2のサーマルヘッドにより記録媒体の裏面に印刷する固定パターンの第1の例を示す図である。
【図4】第2のサーマルヘッドにより記録媒体の裏面に印刷する固定パターンの第2の例を示す図である。
【図5】第2のサーマルヘッドにより記録媒体の裏面に印刷する固定パターンの第3の例を示す図である。
【図6】第2のサーマルヘッドにより記録媒体の裏面に印刷する固定パターンの第4の例を示す図である
【符号の説明】
【0023】
1…第1のサーマルヘッド、2…第2のサーマルヘッド、3…記録媒体搬送用モータ、4…駆動制御部、5…搬送機構、6…制御部(CPU)、7…RAM、8…ROM、9…不揮発性RAM(NVRAM)、10…印刷スタイル設定部、11…入力部、12…記録媒体、12a…おもて面、12b…裏面、13,14…プラテンローラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される記録媒体の一方面に当接し、印刷データに基づく情報を印刷する第1のサーマルヘッドと、
上記記録媒体の他方面に当接し、指定された情報を印刷する第2のサーマルヘッドと、
上記印刷データ及び、1つ又は複数の固定パターン及び告知情報を記憶する記憶部と、
上記印刷データに対する印刷スタイルと、上記指定された情報となる上記固定パターン又は告知情報を何れかを選択設定する印刷スタイル設定部と、
を具備し、
上記第1のサーマルヘッドによる上記印刷データの印刷実行に同期して、上記印刷スタイル設定部により選択設定されている上記固定パターン又は上記告知情報を上記第2のサーマルヘッドが上記記録媒体の他方面に繰り返し印刷を行うことを特徴とする両面印刷装置。
【請求項2】
上記両面印刷装置において、
上記第2のサーマルヘッドが上記記録媒体の他方面に上記固定パターン又は上記告知情報を繰り返し印刷する際に、一定周期及び/又は任意のタイミングに合わせて印刷することを特徴とする請求項1に記載の両面印刷装置。
【請求項3】
上記両面印刷装置において、
上記第2のサーマルヘッドが上記記録媒体の他方面に印刷する上記一定周期は、
上記固定パターン又は上記告知情報とその後方に続く指定長の隙間を含むスペースで繰り返し印刷されることを特徴とする請求項2に記載の両面印刷装置。
【請求項4】
上記両面印刷装置において、
上記第2のサーマルヘッドが上記記録媒体の他方面に印刷する上記一定周期は、
上記固定パターン又は上記告知情報とその後方に続く固定パターン又は告知情報との間の指定長の隙間を空けて繰り返し印刷されることを特徴とする請求項2に記載の両面印刷装置。
【請求項5】
上記両面印刷装置において、
上記第2のサーマルヘッドが上記記録媒体の他方面に印刷する上記任意のタイミングは、
上記記録媒体の先端が上記第2のサーマルヘッドに掛かる時に、上記固定パターン又は上記告知情報の印刷を開始することを特徴とする請求項2に記載の両面印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−320253(P2007−320253A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−155026(P2006−155026)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】