説明

両面印刷装置

【課題】製版した両面印刷用のマスタを得てこれを印刷ドラムに巻装して両面印刷してみないと、両面印刷物の印刷画像の表裏方向や、画像位置、綴じ代の位置の違いなどが確認できないため、原稿の向きなどを間違えると1版分の高価なマスタが無駄になってしまう。
【解決手段】制御手段129Aは、両面印刷用製版を開始する前に、両面製版前キー135Aからの起動信号に基づいて、両面機能付きプリンタ150が用紙の表裏面に両面画像の表裏方向および該画像位置の少なくとも一つを確認可能に両面画像を作成するように両面機能付きプリンタ150のプリンタ制御手段を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面孔版印刷装置等を含む両面印刷装置に関し、さらに詳しくは、印刷用紙(以下、単に「用紙」という)の表裏面に印刷を行うことが可能な両面印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、簡便な印刷方式としてデジタル式感熱孔版印刷が知られている。この孔版印刷は、一般的にその厚みが大体1〜2μm程度のものからなる熱可塑性樹脂フィルムと、和紙繊維とか合成繊維あるいは和紙繊維および合成繊維を混抄したもの等からなる多孔質支持体とを貼り合わせたラミネート構造の孔版マスタ(以下、「マスタ」という)の該熱可塑性樹脂フィルム面を、サーマルヘッドの発熱素子に接触させてそのサーマルヘッドの主走査方向への作動を介して加熱穿孔・製版するとともに、プラテンローラ等のマスタ搬送手段でその製版されたマスタ(以下、「製版済みのマスタ」というときがある)を上記主走査方向と直交する副走査方向(マスタ搬送方向)に移動させながら、例えば樹脂あるいは金属網体製のメッシュスクリーンを複層巻着した構成の多孔性円筒状の版胴を外周部に備え回転自在な印刷ドラムに巻装し、印刷ドラムの内部に設けられたインキ供給部材より版胴上の製版済みのマスタにインキを供給し、プレスローラや圧胴等あるいは中押しローラと呼ばれる押圧手段(以下、代表して「プレスローラ」とする)で版胴上の製版済みのマスタに用紙を連続的に押し付けて、版胴の開孔部分、マスタの穿孔部分よりインキを滲み出させ用紙に転移させることによって印刷を行うものである。
なお、「印刷ドラム」のことを単に版胴、あるいは印刷ドラムの外周部に配設された版胴と呼ばれることもあるが、以下、この明細書では版胴を含めて「印刷ドラム」と呼ぶことにする。
【0003】
上記した孔版印刷において、用紙の一方の面にのみ印刷を行う片面印刷に加えて、近年では用紙の消費量および書類の保管スペースを低減させるため等の目的から、用紙の表裏両面(以下、「用紙の両面」というときがある)に印刷を行う両面印刷が大部分を占めるようになってきている。旧来からの両面印刷方法・方式としては、上述したような通常の片面印刷を行う孔版印刷装置等を用いて、その給紙部に積載された用紙を印刷部に通紙し、その用紙の片面(表面)に印刷を終了した後に排紙トレイなどに排出・積載された印刷済み用紙を裏返した上で再度印刷部に通紙し、その印刷済み用紙の残りの片面(裏面)に印刷することで両面印刷物を得るものである。この両面印刷方式では、印刷を二度行うことになることからあるいは片面印刷終了後の片面印刷物のインキが十分に乾燥していわゆるセットされた状態になるまでの待ち時間を稼ぐ必要からトータルの印刷時間が大変長くなるとともに、片面印刷物を綺麗に揃え直す作業とか片面印刷物を再度給紙部にセットしたりする作業が非常に面倒であった。
上述したようなマニュアル操作を伴う旧来の両面印刷方式を改良すべく、自動的に両面印刷を行える両面印刷装置が盛んに開発されてきており、その両面印刷装置の形態としては、いくつもの方式が提案されているが、それらは主として以下の6つに大別され、後述する利点や問題点を有している。
【0004】
(1)片面印刷後ストック再給紙式2パス両面印刷方式…従来の片面孔版印刷装置と略同様の装置構成に対して、排紙トレイを備えた排紙ユニットごと移動可能に構成するとともに、排紙トレイに給紙トレイの機能構成を付加したり新たに反転給紙路等を付加したりする構成(以下、「自動再給紙機構」という)とすること等により、給紙部に積載した用紙を印刷部に通紙して表面印刷を行った表面印刷済み用紙を上記排紙トレイ上に一度排出積載した後、上記排紙トレイ上の表面印刷済み用紙を上記反転給紙路に搬送させて再度印刷部に自動的に再給紙して裏面印刷を行うことによって両面印刷物を得る両面印刷方式である(例えば、特許文献1参照)。この両面印刷方式では、従来の片面孔版印刷装置およびその構成を少し変更(上記自動再給紙機構を付設)するだけで使用可能になるという利点がある。
【0005】
一方、上記(1)の両面印刷方式では、第1に、2回分の製版および印刷を行うことにより、両面印刷物を得るまでに2回分の製版・印刷時間が必要であるとともに、自動的に再給紙するための切り替え時間も必要となる。このため、両面印刷装置の利点である時間生産性が低いという問題点がある。第2に、上記自動再給紙機構の制約から、一度に両面印刷できる印刷枚数も少なく、より多くの両面印刷物を得たい場合には、上記1両面印刷サイクルを繰り返すことになる。その場合、自動原稿搬送装置(ADF)で原稿の両面の画像を一度読み取ることは可能であるが、一度読み取り排出された原稿を再度給送してその画像を読み取るには、大変高価な自動両面原稿搬送装置もしくは自動循環式原稿搬送装置(ARDFもしくはRDH)の設置が必要となる。従って、高価な画像メモリを搭載しなければ両面印刷サイクルを繰り返すことはできない。
第4に、両面印刷を繰り返す度に、製版ないしは給排版の時間もかかるし、またマスタの耐刷枚数(1枚の製版済みのマスタで印刷可能な枚数を指す)は十分あるのにも拘わらず、新規にマスタを製版し直すという無駄なコストもかかってしまう。第5に、表面印刷終了後の印刷物はインキが十分に乾燥していわゆるセットされた状態となっていないため、表面印刷終了後の印刷物をすぐに裏面に印刷しようとすると、搬送ローラやプレスローラ等の押圧手段が画像部に押し付けられて印刷画像がインキ等で汚れたり乱れたりするという不具合が生じることにより、一度表面印刷した表面印刷済み用紙を再び分離・搬送するのはジャムが発生しやすくなったり、印刷装置が大型になる等の問題点を有する。
【0006】
(2)2ドラム対向式1パス同時両面印刷方式…第1の印刷ドラムと、用紙搬送路を介して第1の印刷ドラムと対向配置された第2の印刷ドラムと、第1の印刷ドラムの外周面と第2の印刷ドラムの外周面とを互いに接離させる接離手段とを具備し、接離手段を作動させて各印刷ドラム同士を互いに圧接させることにより、1回の通紙すなわち1パスで、用紙の一方の面である用紙の表面に印刷を行う表面印刷およびその用紙の他方の面である用紙の裏面に印刷を行う裏面印刷を1工程で行って両面印刷物を得る両面印刷方式である(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
上記(1)の両面印刷方式では、第1に、2個の印刷ドラムを上下に配置してこれらを互いに圧接させる構成であるため、片面印刷時においても相手の印刷ドラムが必要となり各印刷ドラム同士を圧接させる必要があり、一方の印刷ドラムには製版済みマスタを、他方の印刷ドラムには未製版のマスタ(無製版マスタ)をそれぞれ巻装しなくてはならず、片面印刷時にはマスタが無駄に消費されてしまう。このように片面印刷の場合でも2版分のマスタが必要となるので、通常の片面印刷装置と比較すると、2倍分の版コストがかかってしまう。第2に、2版分を製版し給排版するので、画像無しの製版が通常の製版より多少高速な製版が可能だとしても、ファーストプリントタイム(FPT)が遅くならざるを得ない。
第3に、通常の印刷ドラムの内周面は円形状であり、各印刷ドラムの外周面上にマスタを保持するための、該各外周面から外方に突出した凸タイプのクランパをそれぞれ有するものにあっては、2個の印刷ドラムを互いに圧接させるために各クランパが向かい合う位置では各クランパの凸部との干渉を避けるための凹部を互いに形成するか、各印刷ドラムを離隔させる必要が生じる。これは、印刷ドラムと比較的小さな外径のプレスローラとの組み合わせと比べて、同じ大きな外径の印刷ドラム同士の場合は、上記クランパの凸部を逃げるにしても逃げる凹部の範囲を広く取らざるを得ず、印刷範囲が狭くならないようにするには、印刷ドラムの外径を更に大きくするしかなく、悪循環となってしまう。
第4に、各印刷ドラムの接触時において大きな騒音が発生したり、あるいは印刷ドラム上への排紙の巻き上がり防止が非常に困難である等の諸問題点を有する。
【0008】
(3)1ドラム転写式1押圧手段1パス両面印刷方式…印刷ドラムの外周面には第1製版画像(表面画像)と第2製版画像(裏面画像)とが形成された分割製版済みマスタ(製版されたマスタ)が巻装されている。印刷ドラム上の裏面製版画像が一旦プレスローラ(転写・押圧手段)に中間転写され、その後通紙された用紙の表面およびその裏面同時に印刷される方式である(例えば、特許文献3参照)。この(3)の両面印刷方式では、1工程両面印刷時においては未乾燥インキの転移現象の発生を抑制することができ、片面印刷時においてはマスタの無駄を無くしてこれを有効に使用することができて、良質の印刷画像を得ることができるとともに、装置の小型化および簡易化を実現することができるという利点を有する。
【0009】
一方、(3)の両面印刷方式では、第1に、第1製版画像および第2製版画像(表面画像および裏面画像)のうちの何れか一方を印刷ドラムから用紙に直接転写させて印刷された表面画像濃度と、他方を用紙とはインキ吸収性の異なるプレスローラに転写させた後に用紙に再転写させて印刷された裏面画像濃度とでは、大きな濃度差が生じてしまい、用紙上における画像濃度が表面と裏面とで異なってしまうという問題点がある。
第2に、本方式では、通常の片面印刷時の給紙タイミングと両面印刷時のそれとは大きく異なってしまう。その結果、給紙系の機構系、制御系が複雑になって、結果的に高価になってしまう。第3に、通常の孔版印刷で使用する製版済みのマスタ上の製版画像は鏡像となる。プレスローラへ中間転写する本方式の場合では、転写する側のマスタ上の製版画像は正像で作る必要がある。それ故に、鏡像のみを製版する方式では、マスタ搬送方向やサーマルヘッドの向きなどを適切に選ぶことで鏡像処理のコストはさほどかからないが、本方式のように正像と鏡像とをどちらも製版する場合は鏡像反転回路を追加しなければならず、コストアップになってしまうという問題点もある。
【0010】
(4)2ドラム対向式転写胴介在型1パス同時両面印刷方式…インキ供給手段を具備し外周面にマスタを巻装して回転自在な第1、第2の印刷ドラムと、これら第1、第2の印刷ドラムとの間に位置する転写胴とを用い、第2の印刷ドラムから転写胴にインキ画像を転移させた後に、同じ用紙の裏面に転写胴上のインキ画像を再転移させることによって用紙の表裏面に同時に印刷を行うという両面印刷方式である(例えば、特許文献4参照)。上記(4)の両面印刷方式では、表面と裏面との印刷画像の濃度差や画質差が解消できないとか、転写胴を含め結果的に3ドラムを配置することになって印刷装置が大型になったり、クリーニングが必要になったりする等の問題点を有する。
【0011】
(5)1ドラム分割印刷同時反転式両面印刷方式…第1の画像および第2の画像を形成された製版済みのマスタを巻装する印刷ドラムと、この印刷ドラムの近傍に用紙を供給する給紙手段と、この給紙手段により供給された用紙の第1の面を印刷ドラム上の第1の画像に押し付けて第1の印刷画像を用紙の第1の面に形成する第1の押圧手段と、第1の印刷画像が第1の面に印刷された用紙を反転させる用紙反転手段と、この用紙反転手段によって反転された用紙の第2の面を印刷ドラム上の第2の画像に押し付けて第2の印刷画像を用紙の第2の面に形成する第2の押圧手段とを具備し、1回の製版工程および1回の印刷工程で用紙の表裏面に同時に印刷を行うという両面印刷方式である(例えば、特許文献5参照)。
【0012】
上記(5)の両面印刷方式では、上述した3つの両面印刷方式および後述する1ドラム分割転写胴1パス両面印刷方式と比べて、両面印刷時の画像サイズを限定すれば、コンパクトな印刷装置でありながら片面印刷および表面と裏面との印刷画像の濃度差等に支障がなく、かつ、高速で短時間に両面印刷ができて印刷所要時間の節約が可能であり、生産性が高いという利点を有する。
一方、上記(5)の両面印刷方式における、例えば特開平9−95033号公報記載の印刷装置では、用紙搬送の確実性・信頼性および高速印刷対応性にはなはだ疑問があり、これに関する問題点を有するとともに、さらに押圧手段(第1および第2の押圧手段としての一次、二次プレスローラ17,24)を2つ使用しこれに対応して印刷ドラム内にインキ供給手段(7,8)を2箇所要するという印刷部周りの構成が複雑になるという問題点も有している。
【0013】
(6)1ドラム分割印刷転写胴1パス両面印刷方式…上記(4)と(5)との中間に位置するような両面印刷方式である(例えば、特許文献6参照)。この1ドラム分割転写胴1パス両面印刷方式を採用した孔版印刷機の基本的な構成は、1つの印刷ドラム外周面に表面用印刷領域と裏面用印刷領域とを有する印刷ドラムと、印刷ドラムの裏面用印刷領域を通過したインキによって転写された裏面用インキ画像がその表面に形成される転写胴と、印刷ドラムと裏面用インキ画像が形成された転写胴との間に用紙を搬送する搬送手段などを具備している。
【0014】
上記(6)の両面印刷方式では、用紙が印刷ドラムと裏面用インキ画像が形成された転写胴との間を通過することによって、1パスで用紙の表裏面に同時に印刷をすることができる。すなわち、上記両面印刷方式においては、1つの印刷ドラム、1つのインキ供給手段、1つの転写胴およびそれぞれ1つの製版ユニットおよび排版ユニットが有ればよいので、部品点数削減によるコスト低減および装置の小型化が可能になるという利点や、印刷ドラムと転写胴との直径比を2:1とすることによって、印刷ドラムと転写胴とを一定回転数(一定回転速度)で回転させた状態で連続的に印刷を行うことができるというような利点も有している。
【0015】
一方、上記(6)の両面印刷方式では、印刷ドラムの外周面からのインキの出易さが表面用印刷領域も裏面用印刷領域も同様であり、かつ、撥インキ性を有する材料が転写胴の外周表面層に使用されていて、なおかつ、例えば同一の原稿による同一の製版画像に基づいて表裏面に同時印刷する場合を基準に比較した場合には、印刷ドラムの外周面から転写胴の外周面に転写するインキ転移量は、印刷ドラムの外周面から直接用紙に転移するインキ転移量に比べて少なくなってしまう。これにより、上記両面印刷方式でも、表面用印刷画像と裏面用印刷画像との間に印刷画像濃度ムラや印刷画像濃度差が発生してしまうという問題点を有する。
(7)上記(1)〜(5)の諸問題点を全て解決して、無駄なマスタを用いることなく片面印刷を行うことができるとともに、両面印刷時には用紙に印刷された表面印刷画像と裏面印刷画像との間に印刷画像濃度ムラや印刷画像濃度差の無い画質良好な印刷物を得ることができ、さらに設置スペースの増大を抑制することが可能な画期的な1工程両面印刷装置、すなわち上記(5)の両面印刷方式を基本方式(但し、単一の押圧手段としてのプレスローラおよび単一のインキ供給手段を採用)として選択して(以下、「1ドラム1押圧手段両面印刷方式」という)、用紙搬送の確実性・信頼性および高速印刷対応性に欠けるという問題点を解消・対策した新しい両面印刷装置が提案され試されている(例えば、特許文献7および8参照)。
【0016】
ちなみに、上記1ドラム1押圧手段両面印刷方式を採用した、本願出願人が提案した特開2003−200645号公報や特開2003−237207号公報に開示した両面印刷装置は、印刷ドラムの回転方向に沿って(1版分の長さ(印刷ドラムの周長に対応したマスタの長さ。以下、同じ。)内に)第1の画像と第2の画像とが2面並んで形成された分割製版済みマスタ(両面印刷用の製版されたマスタ)を巻装する印刷ドラムおよび該印刷ドラムに対して相対的に接離自在な押圧手段を有する印刷部と、用紙を印刷部に向けて給紙する給紙部と、印刷部において印刷された印刷済み用紙を排出する排紙部と、印刷部においてその表面に印刷画像を形成された表面印刷済み用紙を一時的に貯容する補助トレイ(再給紙貯容手段)と、補助トレイに貯容された表面印刷済み用紙を反転させて印刷部に向けて再給紙する再給紙手段と、印刷部を通過した用紙を再給紙貯容手段または排紙部に案内する切換部材(切換手段)等の基本的な構成を具備している。
【0017】
そして、両面印刷時に、給紙部より1枚目の用紙を印刷部に給送してその表面に第1の画像または第2の画像の何れか一方を印刷し、印刷された1枚目の用紙を切換部材により補助トレイに案内した後、給紙部より2枚目の用紙を印刷部に給送してその表面に第1の画像または第2の画像の何れか一方を印刷するとともに再給紙手段により1枚目の用紙を印刷部に再給紙してその裏面に第1の画像または第2の画像の何れか他方を印刷し、切換部材により1枚目の用紙を排紙部に、2枚目の用紙を補助トレイにそれぞれ案内するものである。このように、最初および最後の1枚の通紙を除き印刷ドラムの1回転で用紙の両面に印刷可能に構成されている。
【0018】
特開2003−237207号公報に開示した両面印刷装置は、両面印刷時において、用紙のサイズに拘わらずマスタの先端から所定距離離れた第1の位置から第1の画像を製版し、第1の位置から所定距離離れた第2の位置から第2の画像を製版し、第1の画像と第2の画像との間に間隔(余白部)を設けるようになっている。余白部を適正に設けることによって、表裏面の画像位置のずれを防止することができる。原稿画像の読み取り情報は一旦画像メモリに格納し、製版時に呼び出すようになっている。この両面印刷装置によれば、表裏面の画像位置のずれを防止することができるとともに、両面印刷における時間生産性を向上させることができ、片面印刷の場合も無駄なく実施することができるというものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特許第2880052号公報
【特許文献2】特開平6−71996号公報
【特許文献3】特開平8−332768号公報
【特許文献4】特開平8−118774号公報
【特許文献5】特開平9−95033号公報
【特許文献6】特開平10−129100号公報
【特許文献7】特開2003−200645号公報
【特許文献8】特開2003−237207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、上記(7)の両面印刷方式でも、以下の問題点を有している。すなわち、第1に、製版した両面印刷用のマスタを得てこれを印刷ドラムに巻装して両面印刷してみないと、両面印刷物の印刷画像の表裏方向や、画像位置、綴じ代の位置の違いなどが確認できない。
【0021】
第2に、両面印刷時の製版で原稿読取装置等を使用した場合に、原稿の向きなどを間違えるとサプライとしての1版分のマスタが無駄になってしまう。これでは、上述したようにマスタは現状では一般的に高価であるので無駄にしたくないという要望に反することになってしまう。
【0022】
第3に、1版分のマスタが無駄になってしまうばかりか、所望する両面印刷物でないことに気付かずに両面印刷動作、すなわち版付けもしくは試し刷りの両面印刷、または通常の正規の両面印刷を行ってしまった場合には、サプライとしての両面印刷用の用紙およびこれに伴いインキをも無駄にしてしまうという問題点もある。
【0023】
従って、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、上述した問題点、特にサプライとしてのマスタの無駄、サプライとしての両面印刷用の用紙の無駄を解消できる両面印刷装置を提供することを主な目的とするものであり、請求項ごとの目的を挙げれば以下のとおりである。
【0024】
請求項1、5および6記載の発明の目的は、両面印刷用製版を開始する前に、制御手段によって、画像出力手段をして用紙の両面または出力面に両面画像の表裏方向および画像位置の少なくとも一つを確認可能に両面画像を作成させるように構成することにより、両面画像の表裏方向および画像位置の少なくとも一つを確認してから両面印刷用製版を開始することができるようにし、これによって両面画像の表裏方向や画像位置の間違いによる両面印刷用製版時のマスタの無駄をなくすことにある。
【0025】
請求項2、3、5および6記載の発明の目的は、両面印刷用製版を開始する前に、制御手段によって、表示手段をして両面画像の表裏方向および画像位置の少なくとも一つを確認可能に両面画像を縮小表示させるように構成することにより、両面画像の表裏方向および画像位置の少なくとも一つを確認してから両面印刷用製版を開始することができるようにし、これによって両面画像の表裏方向や画像位置の間違いによる両面印刷用製版時のマスタの無駄をなくすことにある。
【0026】
請求項4、5および6記載の発明の目的は、両面印刷用製版を開始する前に、制御手段によって、3D表示手段をして両面画像の表裏方向および画像位置の少なくとも一つを確認可能に両面画像を3D縮小表示させるとともに、操作パネルの操作によって3D縮小表示された両面画像を自由に回転できるように構成することにより、両面画像の表裏方向および画像位置の少なくとも一つを確認してから両面印刷用製版を開始することができるようにし、これによって両面画像の表裏方向や画像位置の間違いによる両面印刷用製版時のマスタの無駄をなくすことにある。
【0027】
請求項7記載の発明の目的は、製版されたマスタの印刷ドラムへの巻装後であって両面印刷の前に、制御手段によって、少なくとも第1の画像と第2の画像とに亘る用紙サイズの用紙を給紙させてこれに第1の画像と第2の画像とに対応した片面印刷を行った後排紙させるように構成することにより、片面印刷を行った印刷物を印刷ドラムの回転方向に沿った略中央部で二つ折りにすることにより、両面印刷時に相当する両面画像の表裏方向および画像位置の少なくとも一つを確認してから両面印刷を開始することができるようにし、これによって正規の両面印刷用の用紙を使用することなく製版位置等の確認を行うことができるようにすることにある。
【0028】
請求項8記載の発明の目的は、製版されたマスタの上記印刷ドラムへの巻装後であって両面印刷の前に、制御手段によって、第1の画像と第2の画像とに亘る用紙サイズの用紙をバンク給紙手段から自動的に選択・給紙させてこれに第1の画像と第2の画像とに対応した片面印刷を行った後排紙させるように構成することにより、片面印刷を行った印刷物を印刷ドラムの回転方向に沿った略中央部で二つ折りにすることにより、両面印刷時に相当する両面画像の表裏方向および画像位置の少なくとも一つを確認してから両面印刷を開始することができるようにし、これによって正規の両面印刷用の用紙を使用することなく製版位置等の確認を行うことができるようにすることにある。
【0029】
請求項9記載の発明の目的は、請求項7または8記載の発明の目的に加えて、片面印刷を、印刷ドラム上の製版されたマスタにインキを充填し印刷ドラムの外周面に密着させる版付け・印刷で構成することにより、さらに質を落とした用紙を使用することでコストダウンを図ることにある。
【0030】
請求項10および12記載の発明の目的は、ユーザが製版されたマスタの印刷ドラムへの巻装後であって両面印刷の前に行われる版付けまたは試し刷り両面印刷動作によって得られた両面印刷物を確認した際、不具合ガイダンス選択手段によって不具合表示手段に表示された両面印刷時の表裏画像の向きの違い、綴じ代の位置の違いおよびソータに出力した場合に表裏が逆等の不具合項目のうちの少なくとも一つの不具合項目を選択するだけで、後は制御手段によって、修正ガイダンス表示手段をして修正ガイダンスを自動的に表示させるように構成することにより、ユーザが修正ガイダンス表示手段に表示された修正ガイダンスに従って、両面印刷用の原稿の位置等を修正した後、再製版を行うことができるようにし、これによって両面印刷の製版位置を修正する時に操作を間違えることなく両面印刷を行えるようにすることにある。
【0031】
請求項11および12記載の発明の目的は、ユーザが製版されたマスタの印刷ドラムへの巻装後であって両面印刷の前に行われる版付けまたは試し刷り両面印刷動作によって得られた両面印刷物を確認した際、不具合ガイダンス選択手段によって不具合表示手段に表示された両面印刷時の表裏画像の向きの違い、綴じ代の位置の違いおよびソータに出力した場合に表裏が逆等の不具合項目のうちの少なくとも一つの不具合項目を選択するだけで、後は制御手段によって、修正ガイダンス表示手段をして修正ガイダンスを自動的に表示させるとともに、画像記憶手段から画像データを呼び出して製版手段をして自動的に修正ガイダンスに対応した修正再製版を行わせるように構成することにより、ユーザは両面印刷用の原稿の位置や両面印刷の製版位置を修正することなく、操作を間違えることなく両面印刷を行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0032】
請求項1記載の発明は、両面印刷用製版を行うための画像データに基づいて、製版手段により第1の画像と第2の画像とが1版分の長さのマスタ内に並べて製版されたマスタを印刷ドラムの外周面に巻装し、該印刷ドラムに対して相対的に接離自在な押圧手段によって上記印刷ドラム上の製版されたマスタに用紙の表面を押し付けて第1の画像または第2の画像の一方を印刷した後、その用紙を反転再給紙して上記押圧手段によって上記印刷ドラム上の製版されたマスタに用紙の裏面を押し付けて第1の画像または第2の画像の他方を印刷する両面印刷装置において、上記両面印刷用製版を開始する前に、用紙の表裏面または該用紙の表裏面に相当する出力面に上記画像データに応じた両面画像を作成する画像出力手段に上記両面印刷装置を通信可能に接続するか、または上記両面印刷装置が上記画像出力手段を内蔵しており、上記両面印刷用製版を開始する前に、上記画像出力手段をして上記用紙の表裏面または上記出力面に上記両面画像の表裏方向および該画像位置の少なくとも一つを確認可能に上記両面画像を作成させる制御手段を有することを特徴とする。
【0033】
ここで、「両面印刷用製版を行うための画像データ」とは、例えば画像読取手段(原稿読取装置)で読み取られた画像データや、コンピュータ等の外部出力手段(外部出力装置)から出力された画像データを意味し、両面印刷用製版を行うためにマスタに両面印刷用の鏡像を形成・製版すべく例えばサーマルヘッド等を含む製版手段へ送信される画像データを意味していない(以下、同じ)。
【0034】
請求項2記載の発明は、両面印刷用製版を行うための画像データに基づいて、製版手段により第1の画像と第2の画像とが1版分の長さのマスタ内に並べて製版されたマスタを印刷ドラムの外周面に巻装し、該印刷ドラムに対して相対的に接離自在な押圧手段によって上記印刷ドラム上の製版されたマスタに用紙の表面を押し付けて第1の画像または第2の画像の一方を印刷した後、その用紙を反転再給紙して上記押圧手段によって上記印刷ドラム上の製版されたマスタに用紙の裏面を押し付けて第1の画像または第2の画像の他方を印刷する両面印刷装置において、上記両面印刷用製版を開始する前に、上記画像データに応じた両面画像を縮小して表示する表示手段と、上記両面印刷用製版を開始する前に、上記表示手段をして上記両面画像の表裏方向および該画像位置の少なくとも一つを確認可能に上記両面画像を縮小表示させる制御手段とを有することを特徴とする。
【0035】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の両面印刷装置において、上記両面印刷装置を操作するための操作パネルを有し、上記表示手段は、上記操作パネルに配置されていることを特徴とする。
【0036】
請求項4記載の発明は、両面印刷用製版を行うための画像データに基づいて、製版手段により第1の画像と第2の画像とが1版分の長さのマスタ内に並べて製版されたマスタを印刷ドラムの外周面に巻装し、該印刷ドラムに対して相対的に接離自在な押圧手段によって上記印刷ドラム上の製版されたマスタに用紙の表面を押し付けて第1の画像または第2の画像の一方を印刷した後、その用紙を反転再給紙して上記押圧手段によって上記印刷ドラム上の製版されたマスタに用紙の裏面を押し付けて第1の画像または第2の画像の他方を印刷する両面印刷装置において、上記両面印刷装置を操作するための操作パネルと、上記両面印刷用製版を開始する前に、上記画像データに応じた両面画像を縮小表示し、かつ、3次元的に3D表示する3D表示手段と、上記両面印刷用製版を開始する前に、上記操作パネルからの信号に基づいて、上記3D表示手段をして上記両面画像の表裏方向および該画像位置の少なくとも一つを確認可能に3D縮小表示させるとともに上記両面画像を回転させる制御手段とを有することを特徴とする。
【0037】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4の何れか一つに記載の両面印刷装置において、両面印刷用の原稿の画像を読み取ることにより上記画像データを生成する画像読取手段を有することを特徴とする。
【0038】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5の何れか一つに記載の両面印刷装置において、上記両面印刷用製版を行うための画像データを生成するコンピュータに、上記両面印刷装置が通信可能に接続されていることを特徴とする。
【0039】
請求項7記載の発明は、第1の画像と第2の画像とが1版分の長さのマスタ内に並べて製版されたマスタを印刷ドラムの外周面に巻装し、該印刷ドラムに対して相対的に接離自在な押圧手段によって上記印刷ドラム上の製版されたマスタに用紙の表面を押し付けて第1の画像または第2の画像の一方を印刷した後、その用紙を反転再給紙して上記押圧手段によって上記印刷ドラム上の製版されたマスタに用紙の裏面を押し付けて第1の画像または第2の画像の他方を印刷する両面印刷装置において、製版されたマスタの上記印刷ドラムへの巻装後であって両面印刷の前に、少なくとも第1の画像と第2の画像とに亘る用紙サイズの用紙を給紙させてこれに第1の画像と第2の画像とに対応した片面印刷を行った後排紙させる制御手段を有し、片面印刷を行った印刷物を上記回転方向の略中央部で二つ折りにすることにより、両面印刷時に相当する両面画像の表裏方向および該画像位置の少なくとも一つを確認可能であることを特徴とする。
【0040】
請求項8記載の発明は、第1の画像と第2の画像とが1版分の長さのマスタ内に並べて製版されたマスタを印刷ドラムの外周面に巻装し、該印刷ドラムに対して相対的に接離自在な押圧手段によって上記印刷ドラム上の製版されたマスタに用紙の表面を押し付けて第1の画像または第2の画像の一方を印刷した後、その用紙を反転再給紙して上記押圧手段によって上記印刷ドラム上の製版されたマスタに用紙の裏面を押し付けて第1の画像または第2の画像の他方を印刷する両面印刷装置において、複数の用紙サイズの用紙の何れかを選択されてこれを上記印刷ドラムと上記押圧手段との間に給送するバンク給紙手段と、製版されたマスタの上記印刷ドラムへの巻装後であって両面印刷の前に、第1の画像と第2の画像とに亘る用紙サイズの用紙を上記バンク給紙手段から自動的に選択・給紙させてこれに第1の画像と第2の画像とに対応した片面印刷を行った後排紙させる制御手段とを有し、片面印刷を行った印刷物を上記回転方向の略中央部で二つ折りにすることにより、両面印刷時に相当する両面画像の表裏方向および該画像位置の少なくとも一つを確認可能であることを特徴とする。
【0041】
請求項9記載の発明は、請求項7または8記載の両面印刷装置において、上記片面印刷は、上記印刷ドラム上の製版されたマスタにインキを充填し上記外周面に密着させる版付け・印刷であることを特徴とする。
【0042】
請求項10記載の発明は、両面印刷用製版を行うための原稿の画像を読み取る画像読取手段と、該画像読取手段からの画像データに基づいて、製版手段により第1の画像と第2の画像とが1版分の長さのマスタ内に並べて製版されたマスタを印刷ドラムの外周面に巻装し、該印刷ドラムに対して相対的に接離自在な押圧手段によって上記印刷ドラム上の製版されたマスタに用紙の表面を押し付けて第1の画像または第2の画像の一方を印刷した後、その用紙を反転再給紙して上記押圧手段によって上記印刷ドラム上の製版されたマスタに用紙の裏面を押し付けて第1の画像または第2の画像の他方を印刷する両面印刷装置において、製版されたマスタの上記印刷ドラムへの巻装後であって両面印刷の前に、両面印刷時の表裏画像の向きの違い、綴じ代の位置の違いおよびソータに出力した場合に表裏が逆等の不具合項目のうちの少なくとも一つを表示する不具合表示手段と、上記両面印刷の前に行われる版付けまたは試し刷り両面印刷動作によって得られた両面印刷物を確認した結果、上記不具合項目のうちの少なくとも一つが分かった場合に、上記不具合表示手段からその不具合項目を選択するための不具合ガイダンス選択手段と、上記不具合ガイダンス選択手段により選択された上記不具合項目に対応してそれを修正するための修正ガイダンスを表示する修正ガイダンス表示手段と、上記不具合ガイダンス選択手段からの信号に基づいて、上記修正ガイダンス表示手段をして上記修正ガイダンスを自動的に表示させる制御手段とを有し、上記修正ガイダンス表示手段に表示された上記修正ガイダンスに従って、上記両面印刷用の原稿の位置等を修正した後、再製版を行うことが可能であることを特徴とする。
【0043】
請求項11記載の発明は、両面印刷用製版を行うための原稿の画像を読み取る画像読取手段と、該画像読取手段からの画像データに基づいて、製版手段により第1の画像と第2の画像とが1版分の長さのマスタ内に並べて製版されたマスタを印刷ドラムの外周面に巻装し、該印刷ドラムに対して相対的に接離自在な押圧手段によって上記印刷ドラム上の製版されたマスタに用紙の表面を押し付けて第1の画像または第2の画像の一方を印刷した後、その用紙を反転再給紙して上記押圧手段によって上記印刷ドラム上の製版されたマスタに用紙の裏面を押し付けて第1の画像または第2の画像の他方を印刷する両面印刷装置において、上記画像データを一時的に記憶する画像記憶手段と、製版されたマスタの上記印刷ドラムへの巻装後であって両面印刷の前に、両面印刷時の表裏画像の向きの違い、綴じ代の位置の違いおよびソータに出力した場合に表裏が逆等の不具合項目のうちの少なくとも一つを表示する不具合表示手段と、上記両面印刷の前に行われる版付けまたは試し刷り両面印刷動作によって得られた両面印刷物を確認した結果、上記不具合項目のうちの少なくとも一つが分かった場合に、上記不具合表示手段からその不具合項目を選択するための不具合ガイダンス選択手段と、上記不具合ガイダンス選択手段により選択された上記不具合項目に対応してそれを修正するための修正ガイダンスを表示する修正ガイダンス表示手段と、上記不具合ガイダンス選択手段により選択された不具合ガイダンスに対応して上記不具合を修正するための修正ガイダンスを表示する修正ガイダンス表示手段と、上記不具合ガイダンス選択手段からの信号に基づいて、上記修正ガイダンス表示手段をして上記修正ガイダンスを自動的に表示させるとともに、上記画像記憶手段から上記画像データを呼び出して上記製版手段をして自動的に上記修正ガイダンスに対応した修正再製版を行わせる制御手段とを有することを特徴とする。
【0044】
請求項12記載の発明は、請求項10または11記載の両面印刷装置において、上記画像読取手段からの画像データに代えて、上記両面印刷用製版を行うための画像データを生成するコンピュータに、上記両面印刷装置が通信可能に接続されていることを特徴とする。
【0045】
本発明には、特許請求の範囲に記載した発明を導くとともに後述する実施形態を理解しやすくするために、以下の技術構成およびこれに応じた効果を奏する複数の発明が包含されている。
技術構成1記載の発明では、画像読取手段により原稿画像を読み取り、製版手段により1版分の長さ内に表面印刷用の第1の画像と裏面印刷用の第2の画像が並べて製版されたマスタを印刷ドラムの外周面に巻装し、該印刷ドラムに対して相対的に接離自在な押圧手段で上記印刷ドラムに押圧して片面印刷を行うとともに反転再給紙して他面印刷を行い、第1の画像を先に印刷した場合に両面印刷終了後の用紙が第2の画像を上にして排出される両面印刷装置において、画像読取手段に並べてセットされた第1の画像原稿と第2の画像原稿を、第2の画像原稿から先に読み取りながら第2の画像、第1の画像の順に製版するように制御する製版制御手段を有し、第2の画像から印刷することとしたので、印刷終了後の印刷物の仕分け作業を労力を要することなく容易にできる。ユーザは両面印刷の製版位置を気にする必要がないので使用性の向上を図ることができる。
【0046】
技術構成2記載の発明では、画像読取手段により原稿画像を読み取り、製版手段により1版分の長さ内に表面印刷用の第1の画像と裏面印刷用の第2の画像が並べて製版されたマスタを印刷ドラムの外周面に巻装し、該印刷ドラムに対して相対的に接離自在な押圧手段で用紙を印刷ドラムに押圧して片面印刷を行うとともに反転再給紙して他面印刷を行い、第1の画像を先に印刷した場合に両面印刷終了後の用紙が第2の画像を上にして排出される両面印刷装置において、第1の画像原稿から順に読み取りながら第1の画像、第2の画像の順に製版する製版制御手段を有し、第2の画像から印刷することとしたので、印刷終了後の印刷物の仕分け作業を労力を要することなく容易にできる。ユーザは両面印刷の製版位置を気にする必要がないので使用性の向上を図ることができる。
【0047】
技術構成3記載の発明では、技術構成1または2記載の両面印刷装置において、両面印刷を終えて排出された用紙を反転させて仕分けする仕分け手段を有していることとしたので、ページ順が揃った仕分けを自動的に行うことができる。
【0048】
技術構成4記載の発明では、原稿の画像情報に基づいて製版手段により1版分の長さ内に表面印刷用の第1の画像と裏面印刷用の第2の画像が並べて製版されたマスタを印刷ドラムの外周面に巻装し、該印刷ドラムに対して相対的に接離自在な押圧手段で用紙を上記印刷ドラムに押圧して片面印刷を行うとともに反転再給紙して他面印刷を行い、第1の画像を先に印刷した場合に両面印刷終了後の用紙が第2の画像を上にして排出される両面印刷装置において、全原稿の画像情報を格納する画像メモリと、両面製版時上記画像メモリより最終ページ原稿の画像情報から順に2ページ毎抽出しページ数の大きい第2の画像から製版する製版制御手段を有し、第2の画像から印刷することとしたので、印刷終了後の印刷物の仕分け作業を労力を要することなく容易にできる。ユーザは両面印刷の製版位置を気にする必要がないので使用性の向上を図ることができる。原稿読み取り後は画像読取手段を他の目的(例えばオンラインスキャナとして)に使用でき、多機能化を実現できる。
【0049】
技術構成5記載の発明では、原稿の画像情報に基づいて製版手段により1版分の長さ内に表面印刷用の第1の画像と裏面印刷用の第2の画像が並べて製版されたマスタを印刷ドラムの外周面に巻装し、該印刷ドラムに対して相対的に接離自在な押圧手段で用紙を上記印刷ドラムに押圧して片面印刷を行うとともに反転再給紙して他面印刷を行い、第1の画像を先に印刷した場合に両面印刷終了後の用紙が第2の画像を上にして排出される両面印刷装置において、全原稿の画像情報を格納する画像メモリと、両面製版時に画像メモリから最終ページ原稿の画像情報から順に2ページ毎抽出してページ数の小さい第1の画像から製版する製版制御手段を有し、ページ数の大きい第2の画像から印刷することとしたので、印刷終了後の印刷物の仕分け作業を労力を要することなく容易にできる。ユーザは両面印刷の製版位置を気にする必要がないので使用性の向上を図ることができる。原稿読み取り後は画像読取手段を他の目的(例えばオンラインスキャナとして)に使用でき、多機能化を実現できる。
【0050】
技術構成6記載の発明では、技術構成4または5記載の両面印刷装置において、全原稿枚数が奇数の場合、製版制御手段は、最終ページの画像情報の次に1ページ分のダミーデータを書き込み、該ダミーデータを第2の画像とすることとしたので、印刷枚数に拘わらずページ順の適正な印刷物を得ることができる。
【0051】
技術構成7記載の発明では、技術構成4ないし6のうちの何れか1つに記載の両面印刷装置において、両面印刷を終えて排出された用紙をそのままの状態で仕分けする仕分け手段を有していることとしたので、積載された印刷物の一番上が最初のページとなる印刷物を得ることができ、取り出した後逆さまにする労力を要しない。
【0052】
技術構成8記載の発明では、技術構成4ないし7のうちの何れか1つに記載の両面印刷装置において、全原稿の画像情報が、印刷装置本体の外部に設けられた出力手段により出力されることとしたので、印刷装置の配置自由度を向上させることができる。
【0053】
技術構成9記載の発明では、画像読取手段により原稿画像を読み取り、製版手段により1版分の長さ内に表面印刷用の第1の画像と裏面印刷用の第2の画像が並べて製版されたマスタを印刷ドラムの外周面に巻装し、接離自在な押圧部材で用紙を上記印刷ドラムに押圧して片面印刷を行うとともに反転再給紙して他面印刷を行い、第1の画像を先に印刷した場合に両面印刷終了後の用紙が第2の画像を上にして排出される両面印刷装置において、ページ順に読み取られた原稿の画像情報を2ページ分毎に格納するメモリサイズを有する画像メモリと、該画像メモリから画像情報を抽出してページ数の大きい第2の画像から製版する製版制御手段を有し、第2の画像から印刷することとしたので、画像メモリのサイズを小さくでき、低コスト化を図ることができる。
【0054】
技術構成10記載の発明では、画像読取手段により原稿画像を読み取り、製版手段により1版分の長さ内に表面印刷用の第1の画像と裏面印刷用の第2の画像が並べて製版されたマスタを印刷ドラムの外周面に巻装し、接離自在な押圧部材で用紙を上記印刷ドラムに押圧して片面印刷を行うとともに反転再給紙して他面印刷を行い、第1の画像を先に印刷した場合に両面印刷終了後の用紙が第2の画像を上にして排出される両面印刷装置において、ページ順に読み取られた原稿の画像情報を2ページ分毎に格納するメモリサイズを有する画像メモリと、該画像メモリから画像情報を抽出してページ数の小さい第1の画像から製版する製版制御手段を有し、ページ数の大きい第2の画像から印刷することとしたので、画像メモリのサイズを小さくでき、低コスト化を図ることができる。
【0055】
技術構成11記載の発明では、技術構成9または10記載の両面印刷装置において、原稿枚数の最終ページが奇数ページの場合、上記製版制御手段は、最終ページの画像情報の次に1ページ分のダミーデータを書き込み、該ダミーデータを第2の画像とすることとしたので、印刷枚数に拘わらずページ順の適正な印刷物を得ることができる。
【0056】
技術構成12記載の発明では、技術構成9ないし11のうちの何れか1つに記載の両面印刷装置において、両面印刷を終えて排出された用紙を反転させて仕分けする仕分け手段を有していることとしたので、ページ順を揃えて自動的に仕分けすることができる。
【0057】
技術構成13記載の発明では、原稿の画像情報に基づいて製版手段により1版分の長さ内に表面印刷用の第1の画像と裏面印刷用の第2の画像が並べて製版されたマスタを印刷ドラムの外周面に巻装し、接離自在な押圧部材で用紙を上記印刷ドラムに押圧して片面印刷を行うとともに反転再給紙して他面印刷を行い、第1の画像を先に印刷した場合に両面印刷終了後の用紙が第2の画像を上にして排出される両面印刷装置において、原稿の読み取り方式または両面印刷後の仕分け方式に応じて、第1の画像と第2の画像の製版順序及び第1の画像と第2の画像の印刷順序を適合させる制御手段を有していることとしたので、ADFやソータ等のオプションの種類に拘わらずページ順の適正な印刷物を容易に得ることができる。
【発明の効果】
【0058】
請求項1、5および6記載の発明によれば、両面印刷用製版を開始する前に、制御手段によって、画像出力手段をして用紙の両面または出力面に両面画像の表裏方向および画像位置の少なくとも一つを確認可能に両面画像を作成させるように構成したので、ユーザは画像出力手段に作成された両面画像の表裏方向および画像位置の少なくとも一つを確認してから両面印刷用製版を開始することができ、これによって両面画像の表裏方向や画像位置の間違いによる両面印刷用製版時のマスタの無駄をなくすことができる。
【0059】
請求項2、3、5および6記載の発明によれば、両面印刷用製版を開始する前に、制御手段によって、表示手段をして両面画像の表裏方向および画像位置の少なくとも一つを確認可能に両面画像を縮小表示させるように構成したので、ユーザは表示手段に表示された両面画像の表裏方向および画像位置の少なくとも一つを確認してから両面印刷用製版を開始することができ、これによって両面画像の表裏方向や画像位置の間違いによる両面印刷用製版時のマスタの無駄をなくすことができる。
【0060】
請求項4、5および6記載の発明によれば、両面印刷用製版を開始する前に、制御手段によって、3D表示手段をして両面画像の表裏方向および画像位置の少なくとも一つを確認可能に両面画像を3D縮小表示させるとともに、操作パネルの操作によって3D縮小表示された両面画像を自由に回転できるように構成したので、ユーザは3D表示手段に3D縮小表示された両面画像の表裏方向および画像位置の少なくとも一つを確認してから両面印刷用製版を開始することができ、これによって両面画像の表裏方向や画像位置の間違いによる両面印刷用製版時のマスタの無駄をなくすことができる。
【0061】
請求項7記載の発明によれば、製版されたマスタの印刷ドラムへの巻装後であって両面印刷の前に、制御手段によって、少なくとも第1の画像と第2の画像とに亘る用紙サイズの用紙を給紙させてこれに第1の画像と第2の画像とに対応した片面印刷を行った後排紙させるように構成したので、ユーザは片面印刷を行った印刷物を印刷ドラムの回転方向に沿った略中央部で二つ折りにすることにより、両面印刷時に相当する両面画像の表裏方向および画像位置の少なくとも一つを確認してから両面印刷を開始することができ、これによって正規の両面印刷用の用紙を使用することなく製版位置等の確認を行うことができる。
【0062】
請求項8記載の発明によれば、製版されたマスタの上記印刷ドラムへの巻装後であって両面印刷の前に、制御手段によって、第1の画像と第2の画像とに亘る用紙サイズの用紙をバンク給紙手段から自動的に選択・給紙させてこれに第1の画像と第2の画像とに対応した片面印刷を行った後排紙させるように構成したので、ユーザは片面印刷を行った印刷物を印刷ドラムの回転方向に沿った略中央部で二つ折りにすることにより、両面印刷時に相当する両面画像の表裏方向および画像位置の少なくとも一つを確認してから両面印刷を開始することができ、これによって正規の両面印刷用の用紙を使用することなく製版位置等の確認を行うことができる。
【0063】
請求項9記載の発明によれば、請求項7または8記載の発明の効果に加えて、片面印刷を、印刷ドラム上の製版されたマスタにインキを充填し印刷ドラムの外周面に密着させる版付け・印刷としたので、質を落とした用紙、例えば印刷済みの用紙の未印刷面やヤレ紙を使用することでコストダウンを図ることができる。
【0064】
請求項10および12記載の発明によれば、ユーザが製版されたマスタの印刷ドラムへの巻装後であって両面印刷の前に行われる版付けまたは試し刷り両面印刷動作によって得られた両面印刷物を確認した際、不具合ガイダンス選択手段によって不具合表示手段に表示された両面印刷時の表裏画像の向きの違い、綴じ代の位置の違いおよびソータに出力した場合に表裏が逆等の不具合項目のうちの少なくとも一つの不具合項目を選択するだけで、後は制御手段によって、修正ガイダンス表示手段をして修正ガイダンスを自動的に表示させるように構成したので、ユーザは修正ガイダンス表示手段に表示された修正ガイダンスに従って、両面印刷用の原稿の位置等を修正した後、再製版を行うことができ、これによって両面印刷の製版位置を修正する時に操作を間違えることなく両面印刷を行うことができる。
【0065】
請求項11および12記載の発明によれば、ユーザが製版されたマスタの印刷ドラムへの巻装後であって両面印刷の前に行われる版付けまたは試し刷り両面印刷動作によって得られた両面印刷物を確認した際、不具合ガイダンス選択手段によって不具合表示手段に表示された両面印刷時の表裏画像の向きの違い、綴じ代の位置の違いおよびソータに出力した場合に表裏が逆等の不具合項目のうちの少なくとも一つの不具合項目を選択するだけで、後は制御手段によって、修正ガイダンス表示手段をして修正ガイダンスを自動的に表示させるとともに、画像記憶手段から画像データを呼び出して製版手段をして自動的に修正ガイダンスに対応した修正再製版を行わせるように構成したので、ユーザは両面印刷用の原稿の位置や両面印刷の製版位置を修正することなく、また操作を間違えることなく両面印刷を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す両面孔版印刷装置の正面図である。
【図2】図1の両面孔版印刷装置の再給紙手段、プレスローラ接離機構および印刷ドラムの外周面から離間したプレスローラを説明する正面図である。
【図3】図1の両面孔版印刷装置の再給紙手段、プレスローラ接離機構および印刷ドラムの外周面に接触したプレスローラを説明する正面図である。
【図4】図1の両面孔版印刷装置のプレスローラ接離機構を説明する側面図である。
【図5】第1の実施形態の第1の例の制御構成を示すブロック図である。
【図6】図1の両面孔版印刷装置の操作パネルの要部の平面図である。
【図7】第1の実施形態の第1の例の他の観点からのブロック図である。
【図8】表面画像および裏面画像が形成された両面印刷用のマスタを説明する平面図である。
【図9】印圧タイミングを説明するフローチャートである。
【図10】裏面印刷画像、表面印刷画像が形成された両面印刷済みの用紙の排出状態を示す平面図である。
【図11】全面画像が形成された片面印刷用のマスタを説明する平面図である。
【図12】全面印刷画像が形成された片面印刷済みの用紙の排出状態を説明する平面図である。
【図13】第1の画像原稿と第2の画像原稿を示す平面図である。
【図14】コンタクトガラスに対する第1の画像原稿と第2の画像原稿のセット状態と読み取り状態を示す平面図である。
【図15】第2の画像、第1の画像の順に製版したマスタの平面図である。
【図16】両面印刷済みの用紙の排出状態を示す平面図である。
【図17】両面印刷済みの用紙の排出・積載状態を示す模式図である。
【図18】反転積載式のソータで反転された両面印刷済みの用紙の積載状態を示す平面図である。
【図19】反転積載式のソータのソータ収納ビンへの両面印刷済みの用紙の積載状態を示す模式図であって、(a)は通常製版方式の場合を、(b)は第2の画像を先に製版する方式の場合を示す。
【図20】第1の実施形態の第2の例の制御構成を示すブロック図である。
【図21】第1の実施形態の第2の例における水平積載式のソータのソータ収納ビンへの両面印刷済みの用紙の積載状態を示す模式図であって、(a)は通常製版方式の場合を、(b)は第2の画像を先に製版する方式の場合を示す。
【図22】ADFで原稿をセットして読み取る状態を示す平面図である。
【図23】第1の実施形態の第3の例において原稿枚数が奇数枚の場合のダミー原稿を設定して製版したマスタの平面図である。
【図24】第1の実施形態の第4の例の制御構成を示すブロック図である。
【図25】第2の実施形態の第1の例の制御構成を示すブロック図である。
【図26】第2の実施形態の第2および第3の例、第3の実施形態の第1の例の制御構成を示すブロック図である。
【図27】第3の実施形態の第2の例の制御構成を示すブロック図である。
【図28】第4の実施形態の制御構成を示すブロック図である。
【図29】第5の実施形態の制御構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態および実施例を含む本発明の実施の形態(以下、「実施形態」という)を説明する。実施形態の例や変形例等に亘り、同一の機能および形状等を有する部材や構成部品等の構成要素については、同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき構成要素であっても、その図において特別に説明する必要がないものは適宜断わりなく省略することがある。公開特許公報等の構成要素を引用して説明する場合は、その符号に括弧を付して示し、各実施形態等のそれと区別するものとする。
【0068】
(第1の実施形態)
以下、図1、図5ないし図19を参照して、本実施形態における両面印刷装置の一例としての両面孔版印刷装置1の構成を簡単に説明するとともに、印刷動作の要旨を説明する。両面孔版印刷装置1は、図1に示すように、後述する本発明に特有の構成および動作部分を除き、特開2003−200645号公報記載の両面孔版印刷装置(1)と同様の構成を有していて同様の動作が可能である。両面孔版印刷装置1は、上述した1ドラム1押圧手段両面印刷方式を採用して反転再給紙動作を行えるものである。両面孔版印刷装置1の細部の構成および動作は、後述する。
【0069】
印刷ドラム12は、矢印方向(時計回り方向)に回転駆動される。印刷ドラム12の外周面には、製版手段としての製版部3により穿孔・製版されたマスタ64がその先端部をクランパ19によりクランプされて巻装されるようになっている。
【0070】
製版されたマスタ64には、図8に示すように、表面印刷用の第1の画像201(以下、「表面画像201」という)と、裏面印刷用の第2の画像202(以下、「裏面画像202」という)が印刷ドラム12の回転方向にこの順に並んで形成されている。以下、製版されたマスタ64を、「両面印刷用のマスタ64」というときがある。孔版印刷では、インキがマスタ64の穿孔部分から用紙(記録媒体)に直接転写されるので、両面印刷用のマスタ64上の画像は鏡像になる。図8は、印刷ドラム12に巻き付けた状態の両面印刷用のマスタ64を展開してそのマスタ64を構成している熱可塑性樹脂フィルム面側から見た図を示している。表面画像201と裏面画像202の間には、所定の間隔204が設定されている。図8において、符号203は、両面綴じ代部を示している。表面画像201および裏面画像202は、製版画像である。両面印刷用のマスタ64は、分割製版済みマスタ64とも呼ばれる
【0071】
両面印刷用のマスタ64上の画像の元となる両面印刷用製版を行うためのデジタルの画像データは、図示しない原稿を図1に示す画像読取手段としての画像読取部(スキャナ)7で読み取って作成される。上記原稿のセットは、図示しない自動原稿搬送装置(ADF)や自動両面原稿搬送装置(ARDF)、あるいはオペレータやユーザ(以下、「ユーザ」という)によるコンタクトガラス93上への原稿セット操作により行われる。これらのデジタル画像データが後述する画像処理を施された後、製版部3に送られて両面印刷用のマスタ製版が行われる。また、両面印刷用製版を行うためのデジタルの画像データは、図20に示すように、通信可能に接続されて構成されたネットワーク上からPC(パーソナルコンピュータ)コントローラ172経由で制御手段129に入力する場合もある。
【0072】
上述したように、「両面印刷用製版を行うための画像データ」とは、例えば画像読取部7(原稿読取装置)で読み取られた画像データや、上記パーソナルコンピュータ等を含むコンピュータ等の外部出力手段(外部出力装置)から出力された画像データを意味し、両面印刷用製版を行うためにマスタに両面印刷用の鏡像を形成・製版すべく例えばサーマルヘッド等を含む製版手段へ送信される画像データを意味していない。
【0073】
昇降可能な給紙トレイ67には、用紙Pが積載されている。用紙Pは、表面画像201と裏面画像202の大きさに適応したサイズを有している。すなわち、片面印刷時の最大印刷サイズが例えばA3サイズである場合には、両面印刷の場合の最大印刷サイズはおおよそA4サイズとなり、最大通紙サイズもA4サイズとなる。通紙方向は、短手方向(縦置き)となる。
【0074】
用紙Pは給紙部4から1枚ずつ分離されてレジストローラ対71のニップ部へ送られ、ここで一旦停止されてスキューを修正される。この状態にあるのが用紙P3である。その後、用紙P3はレジストローラ対71により所定の位相タイミングで印刷ドラム12と押圧手段・押圧部材としてのプレスローラ13との間である印圧部へ向けて送り出される。
【0075】
上記所定の位相タイミングを含め、一般的な位相タイミングの発生方法を説明する。印刷ドラム12には、位相タイミング検知板133が取り付けられており、これに対応して装置本体11側に設置されたホームポジションセンサ(フォトインタラプタ)134により位相タイミング信号が発生する。図5に示す給紙部4は、上記位相タイミング信号と図示しないメインモータが一定角度回転する毎に発生する回転パルス信号を用いて、印刷ドラム12の回転位相位置(タイミング)をリアルタイムで検知・認識することができる。
【0076】
印刷ドラム12の任意の位相角度にて位相タイミング信号を発生させるためには、位相タイミング検知板133が印刷ドラム12の任意の位相角度分の回転位相位置(タイミング)を検知してから位相タイミング信号を発生させる。これにより、位相タイミング信号を遅らせて発生することができる。この結果、給紙部4は、印刷ドラム12の任意の位相角度にて位相タイミング信号を発生することが可能となる。
【0077】
印刷部2で表面画像201に対応して表面印刷画像を印刷された用紙P2は、上向き(二点鎖線で示す位置)に切り換えられている切換部材10により図1の左下の方向に案内され、再給紙トレイ8に向けて排出される。排出された用紙P2は再給紙トレイ8のエンドフェンス8aに突き当たり、再給紙トレイ8に着地する。
再給紙トレイ8に収容された用紙P2は後述するベルト式の吸引搬送装置により矢印方向(右方向)に搬送され、その先端を再給紙位置決め部材24に一体形成されたストッパ24aに突き当てられて停止する。
【0078】
用紙P2はこの状態で待機しており、次の用紙P3が表面画像201を印刷されるタイミングで印圧部へ送られた後、これに続いて、裏面画像202を印刷されるタイミングで、プレスローラ13の周面に沿って印圧部へ向けて再給紙される。プレスローラ13と接触する用紙P2の表面には表面画像201に対応した表面印刷画像が形成・印刷されているが、用紙P2がプレスローラ13の表面に密着しているため、位置ずれは生ぜず、こすれ汚れや画線の太りなどの不具合は発生しない。
上記次の用紙P3の後端と用紙P2の先端の間には、上述した所定の間隔204に対応した適正な隙間が存在するようになっている。再給紙された用紙P2はプレスローラ13の図中矢印方向の回転によって反転されており、非印刷面が上面となり該上面に裏面画像202に対応した裏面印刷画像が形成・印刷される。
【0079】
両面印刷を完了して印刷部2を抜けた用紙P1は、下向き(実線で示す位置)に切り換えられている切換部材10により左方向に案内され、後述するベルト式の吸引搬送装置により搬送されて排紙トレイ86上に排出、積載される。
用紙P1は、図10(a)に示すように、ハッチングを施して示す裏面印刷画像202aを上にした状態で排出される。図10(b)は排出された用紙P1を透視した場合の表面印刷画像201aを示していて、メッシュ模様で表す。以下、説明の簡明化を図るため、製版画像である表面画像201に対応して表面印刷画像201aが形成・印刷されることを、「表面画像201が印刷される」という。同じく、製版画像である裏面画像202に対応した裏面印刷画像202aが形成・印刷されることを、「裏面画像202が印刷される」という。
【0080】
両面印刷を行う場合には、ユーザは図6に示す操作パネル103上の両面印刷モードキー117を押す。両面印刷モードキー117を押すと、LED(発光ダイオード表示装置)で構成される両面印刷モード表示ランプ117aが点灯することにより、両面印刷モード状態であることを確認できる。次いで、適宜、後述する用紙厚み設定キー116を押下して使用する用紙Pの厚みを設定した後、製版スタートキー104を押すと、スタート信号が生成されて、これが図5および図7に示す制御手段129へ送信されて制御手段129から版付け・両面印刷動作開始に係る指令が出される。
【0081】
一方、片面印刷を行う場合には、図6に示すように、片面印刷モードキー118が押されると、LEDで構成される片面印刷モード表示ランプ118aが点灯することにより、両面印刷モード状態であることを確認できる。次いで、製版スタートキー104を押すと、スタート信号が生成されて、これが図5および図7に示す制御手段129へ送信されて制御手段129から版付け・片面印刷動作開始に係る指令が出される。片面印刷の場合には、図11に示すように、マスタ64には全面画像205が製版される。すなわち、片面印刷の場合には、表面画像201と裏面画像202を統合した全領域(所定の間隔204を含む)に亘って画像を配置することが可能となる。
片面印刷を終えて印刷部2を抜けた用紙P4(図12参照)は、全面画像205に対応した全面印刷画像205aが形成・印刷され、下向きに切り換えられている切換部材10により左方向に案内され、上記吸引搬送装置により搬送されて排紙トレイ86上に排出、積載される。このように、通常の片面印刷装置と全く同様に片面印刷を行うことができる。
【0082】
次に、図9に基づいて印圧制御を説明する。両面印刷の場合、印刷1枚目では再給紙トレイ8上に中間ストックされている用紙は存在しない。従って、再給紙トレイ8から再給紙されることはなく、この状態で裏面画像202に対応する領域でプレスローラ13が印刷ドラム12に押圧されると、プレスローラ13がマスタ64に直接接触してインキで汚れ、次用紙のインキ汚損を招く。これを防止するために、印刷1枚目の裏面画像202の領域では印圧を解除する必要がある。
このため、本実施形態では、表面画像201の領域だけ印圧がかかるカム板と、全域で印圧がかかるカム板と、裏面画像202の領域だけ印圧がかかるカム板の3つのカム板を用いて印圧を切り換えて制御するようになっている。
印刷1枚目では、表面画像201の領域だけ印圧がかかるカム板が選択され、その後は全域で印圧がかかるカム板が選択され、最後の用紙の再給紙においては裏面画像202の領域だけ印圧がかかるカム板が選択される。
【0083】
片面印刷のときは用紙Pの搬送経路が比較的直線に近いので、厚紙であっても問題なく印刷することが可能である。しかしながら、両面印刷の場合には、用紙Pが比較的小径のプレスローラ13に密着して反転しながらの用紙搬送になるので、例えば135kg紙のような厚紙を搬送して印刷することは困難である。
本実施形態では、図6に示すように、上記用紙厚み設定キー116を繰り返し押すことでLCD(液晶表示装置)で構成される液晶ディスプレイ120に用紙厚みが表示され、選択して設定できるようになっている。設定された用紙Pの厚みが所定の厚みより大きく、かつ、両面印刷モードが選択されている場合には、制御手段129によりその選択が解除されるとともに、液晶ディスプレイ120に例えば「厚紙選択のため両面印刷できません」なる旨の警告表示がなされる。これにより、ユーザが誤って厚紙で両面印刷し、ジャムを発生させる不具合を回避することができる。
【0084】
また、操作パネル103上の用紙サイズ設定キー115を繰り返し押すことで液晶ディスプレイ120に用紙サイズが表示され、選択して設定できるようになっている。両面印刷の場合、本実施形態では最大A4サイズであり、しかも短手方向に通紙しなければならない。従って、A4サイズより大きな用紙Pが給紙トレイ67にセットされていたり、A4サイズであっても長手方向に通紙する向きにセットされている場合、正常に両面印刷できないので制御手段129は液晶ディスプレイ120に例えば「用紙サイズが合わないため両面印刷できません」なる旨の警告表示を行う。
セットされた用紙Pのサイズ検知は、図1に示すように、給紙トレイ67に設けられた複数の用紙サイズ検知センサ73とサイドフェンス72のセット幅を検知する図示しない検知手段との検知情報によってなされ、最終的にはそれらの検知情報に基づいて制御手段129によって認識・判断される。
【0085】
図8に示したように、両面印刷用のマスタ64に形成された表面画像201と裏面画像202との間には所定の間隔204を設けている。この所定の間隔204により用紙Pの重なりが防止される。
所定の間隔204が無い場合、あるいは少なすぎる場合には、表面画像201のみが印刷された用紙P2の後端部の上側に再給紙された裏面画像202を印刷するための用紙P2が重なってしまう。この場合、狙った位置に画像が印刷されないだけでなく、表面印刷画像201aを形成された印刷済みの用紙P2が再給紙トレイ8に排出されるときに裏面印刷画像202aを形成された両面印刷済みの用紙P1も再給紙トレイ8に排出される場合がある。両面印刷済みの用紙P1は排紙トレイ86に排出されなければならないので、所定の間隔204を設けることによって不具合を回避することができる。
【0086】
図8において、それぞれ説明の簡明化を図るために括弧を付して示す符号201bは、製版画像である表面画像201に対応した原稿の画像である表面原稿画像を、同じく括弧を付して示す符号202bは、製版画像である裏面画像202に対応した原稿の画像である裏面原稿画像を、それぞれ示している。
両面印刷モードが選択されている場合、図1に示す画像読取部7において、コンタクトガラス93上に図8に示した表面原稿画像201bを有する原稿と図8に示した裏面原稿画像202bを有する原稿とが密着状態で、あるいは若干の隙間をおいて並べてセットされたとき、製版制御手段としての制御手段129は、複数の原稿サイズ検知センサ(反射型フォトセンサ)102からの検知情報に基づいて全体の原稿サイズを判断する。
【0087】
制御手段129は検知された原稿サイズを基に、原稿の横方向の長さを半分にした前半の長さを表面原稿画像201bとして認識し、残りの後半の長さを裏面原稿画像202bとして認識する。表面原稿画像201bと裏面原稿画像202bとが1枚の原稿に記載されている場合も同様に認識される。図8に示すように、制御手段129は製版部3を制御して、表面原稿画像201bの読み取り動作に並行してマスタ64上に位置m1(コンタクトガラス93上のセット基準位置または自動搬送の読み取り基準位置)から表面画像201を製版し、表面画像201の製版終了後、マスタ64を所定の間隔204(本実施形態ではA4サイズの場合20mm)空送りし、続いて位置m2から裏面画像202を製版する。
裏面画像202の製版開始は、画像読取部7のキャリッジ(図示せず)をホーム位置に一旦戻してから再度走行させて裏面画像202の先端位置まできたときに読み取りおよび製版を開始する。上記キャリッジを戻す動作をさせないで停止させておき、マスタ64を所定の間隔204空送りしてから続けて読み取り開始し、製版するようにしてもよい。
【0088】
原稿サイズおよび用紙PのサイズがA4サイズより小さい場合、所定の間隔204もこれに対応して大きくなるが、表面画像201の製版基準位置m1および裏面画像202の製版基準位置m2は変化しない。
本実施形態では原稿サイズの検知手段として、コンタクトガラス93の下に設置された複数の原稿サイズ検知センサ102を使用することとしたが、図示しないADFを使う場合には、例えばADFの原稿サイドフェンス幅検知と原稿長さ検知の組み合わせにより検知される。
自動検知せずに、例えば操作パネル103上に設けられた図示しない原稿サイズ入力手段を介して手動で入力するようにしてもよい。
【0089】
両面印刷の場合、本実施形態では両面印刷用のマスタ64に形成される最大の製版画像サイズは、図8に示したようにA4サイズであり、しかも副走査方向や原稿の搬送方向に短手(縦置き)で製版しなければならない。従って、A4サイズより大きな原稿がコンタクトガラス93や図示しないADFの原稿載置台にセットされていたり、A4サイズであっても副走査方向(原稿の搬送方向であったり、上記キャリッジの送り方向だったりする)が長手でセットされていたりする場合、正常な両面印刷用製版ができないので、制御手段129は原稿画像の縮小や原稿画像の90度回転処理などの画像処理を自動的に実行させることで用紙サイズに合うように画像読取部7を制御する。
【0090】
次に、図1ないし図5を参照して、本実施形態における両面孔版印刷装置1の構成および印刷動作を詳細に説明する。
図1に示すように、両面孔版印刷装置1は、上記した特開2003−200645号公報または特開2003−237207号公報に開示した両面印刷装置(1)と同様に、印刷部2、製版部3、給紙部4、排版部5、排紙部6、画像読取部7、再給紙貯容手段としての補助トレイ8とも呼ばれる再給紙トレイ8、再給紙手段9、切換手段としての切換部材10等を有している。また、両面孔版印刷装置1は、上記特開2003−200645号公報に開示した両面印刷装置(1)と同様の版付け(同公報の段落「0092」ないし「0104」参照)および試し刷り(同公報の段落「0105」参照)を含む片面印刷動作(同公報の段落「0106」参照)ならびに版付け両面印刷(同公報の段落「0107」ないし「0125」参照)および試し刷り両面印刷(同公報の段落「0126」ないし「0131」参照)を含む両面印刷動作(同公報の段落「0132」以降参照)が可能になされている。これらの基本的な動作は、第1の実施形態を含め、後述する各実施形態の例でも各制御手段の制御の下に同様に行うことができるため、その一々の説明を省略することがある。
【0091】
上記特開2003−200645号公報の構成および動作を参照するに当たり、同公報記載の「補助トレイ8」を「再給紙トレイ8」と、同公報記載の「再給紙搬送部材25」を「再給紙搬送ユニット25」と、同公報記載の「版胴12」を「印刷ドラム12」と、同公報記載の「第1製版画像65A」を「第1の画像201」と、同公報記載の「第2製版画像65B」を「第2の画像202」と、同公報記載の「分割製版済みマスタ65」を「両面印刷用のマスタ64」と、同公報記載の「両面印刷キー117」を「両面印刷モードキー117」と、同公報記載の「LED117a」を「両面印刷モード表示ランプ117a」と、同公報記載の「片面印刷キー118」を「片面印刷モードキー117」と、同公報記載の「LED118a」を「片面印刷モード表示ランプ118a」と、同公報記載の「表示装置200」を「液晶ディスプレイ200」と、それぞれの主な構成要素を読み替えれば容易に理解できるので、詳細な構成および動作説明をできるだけ省略する。
【0092】
図1に示すように、印刷部2は、装置本体11の略中央に配設されており、印刷ドラム12とプレスローラ13とを有している。本実施形態では、後述する実施形態等を含め、印刷ドラム12、インキ供給手段15およびプレスローラ13はそれぞれ単一である。
印刷ドラム12は、インキ供給パイプを兼ねた支軸14に回転自在に支持された図示しない一対の端板としてのドラムフランジと、各ドラムフランジの外周面に巻着・固定された版胴を構成する図示しない多孔性支持板と、図示しない多孔性支持板の外周面に巻装された図示しないメッシュスクリーンとから主に構成されている。印刷ドラム12は、図示しないギヤおよび無端ベルトを備えた駆動力伝達手段を介して、上記メインモータ等を有する印刷ドラム駆動手段121(図5参照)によって回転駆動されるとともに、装置本体11に対して着脱可能に構成されている。印刷ドラム12は、片面印刷時において最大でA3サイズの印刷物を得ることが可能な大きさを有している。
【0093】
印刷ドラム12の内部には、インキ供給手段15が配設されている。インキ供給手段15は、支軸14、インキローラ16、ドクターローラ17等を有している。インキローラ16は、印刷ドラム12内に設けられた図示しない側板間に回転自在に支持されており、その周面を印刷ドラム12の内周面に近接して配置され、印刷ドラム駆動手段121からの回転力を伝達されて印刷ドラム12と同方向に回転駆動される。ドクターローラ17も前記側板間に回転自在に支持されており、その周面をインキローラ16の周面に近接して配置され、印刷ドラム12とは逆方向に回転駆動される。支軸14には、複数の小さな孔が穿設されており、支軸14から供給されたインキがインキローラ16とドクターローラ17との近接部に形成される断面楔形状の空間に溜まることによりインキ溜まり18が形成される。
【0094】
印刷ドラム12の外周面上には、印刷ドラム12の一母線に沿って平面をなすステージ部が形成されており、この上には印刷ドラム12の外周面上にマスタの先端部を保持させるクランパ19が配設されている。クランパ19は、印刷ドラム12が所定の位置まで回転されたときに図示しない開閉手段によって開閉される。
印刷ドラム12の下方には、プレスローラ13が配設されている。プレスローラ13は金属製の芯部13aにゴム等の弾性体を巻成して構成されており、印刷ドラム12の軸方向に延在して設けられている。プレスローラ13は、図2に示すように芯部13aの両端部を一対のアーム部材20によって回転自在に支持されている。各アーム部材20は、略L字形状をなし、その曲折部近傍の部位に取り付けられた揺動軸21によってそれぞれ一体化されており、揺動軸21は装置本体11によって回動自在に支持されている。
【0095】
各アーム部材20間には、プレスローラ13の他、再給紙案内部材22、再給紙レジストローラ23、再給紙位置決め部材24、再給紙搬送ユニット25、クリーニングローラ26、ガイド板27等が設けられている。プレスローラ13の右方近傍に配設された再給紙案内部材22は、各支軸28a、29a、30a上にそれぞれ一体的に設けられそれぞれの周面をプレスローラ13の周面に圧接させた複数のコロ状のローラ28、29、30と、用紙Pをプレスローラ13の周面に沿わせるための曲面状に形成された用紙ガイド板31とを有している。各支軸28a、29a、30aは、それぞれの両端部を各アーム部材20に回転自在に支持されており、図示しない付勢手段によってそれぞれ芯部13aに向けて付勢されている。
【0096】
各ローラ28、29、30は、対応する支軸28a、29a、30aに、プレスローラ13のほぼ全幅にわたってそれぞれ所定の間隔をもって一体的に取り付けられている。用紙ガイド板31は、プレスローラ13の周面から各ローラ28、29、30の半径よりも小さな距離である所定距離だけ離れた位置に配設されており、その両端部を各アーム部材20に固着されている。用紙ガイド板31は、芯部13aを中心とした円弧を形成する曲面となるように形成されており、用紙ガイド板31には各ローラ28、29、30の周面をプレスローラ13の周面に当接させるための複数の開口部が形成されている。
【0097】
プレスローラ13の下方には、再給紙レジストローラ23が配設されている。コロ状の再給紙レジストローラ23は、支軸23aに回転自在に支持されており、支軸23aは揺動アーム32の一端に取り付けられている。揺動アーム32は、ほぼへ字形状をなし、各アーム部材20間に固設された支軸32aにその曲折部を揺動自在に支持されており、その配設位置は再給紙レジストローラ23がプレスローラ13の幅方向のほぼ中央部に位置し、かつ自身が各ローラ30の配設位置の中間に位置するように定められている。
揺動アーム32の他端には、図示しないブラケットを介して一方のアーム部材20に取り付けられたソレノイド33のプランジャ33aと、一端を一方のアーム部材20に固着され揺動アーム32に対して支軸32aを中心に図2において反時計回り方向への回動付勢力を付与する引張ばね34の他端とが取り付けられている。この構成より再給紙レジストローラ23は、ソレノイド33が通電・作動されるとその周面を所定の圧接力でプレスローラ13の周面に圧接する図2に実線で示す圧接位置を占め、ソレノイド33の作動が解除されると引張ばね34の付勢力によってその周面がプレスローラ13の周面から離間する図2に二点鎖線で示す離間位置を占める。ソレノイド33と引張ばね34とによって再給紙レジスト接離機構40が構成されている。
【0098】
再給紙レジストローラ23の上方近傍には、再給紙位置決め部材24が配設されている。再給紙位置決め部材24は、断面L字形状を呈する板材からなり、その幅はプレスローラ13の幅とほぼ同じ幅となるように形成されていて、そのストッパ24aが上方を向く態様で両端部を各アーム部材20に固着されている。再給紙位置決め部材24には、再給紙レジストローラ23が揺動時に衝突しないための図示しない切欠部が形成されている。
【0099】
プレスローラ13の下方であって再給紙位置決め部材24の左方には、再給紙搬送ユニット25が配設されている。再給紙搬送ユニット25は、搬送部材本体35、駆動ローラ36、従動ローラ37、無端ベルト38、吸引ファン39等を有しており、その上面に再給紙トレイ8を一体的に有している。
上面が開放され、その幅が各アーム部材20間の間隔よりも若干小さくなるように形成された筐体である搬送部材本体35は、用紙搬送方向上流側および下流側の両側面に図示しない軸受を有しており、図示しない各軸受は駆動軸36aおよび従動軸37aをそれぞれ回転自在に支持している。駆動軸36aは、その両端部が搬送部材本体35の両側面を貫通しており、貫通した両端部は、装置本体11に設けられた図示しない軸受部材によって回転自在に支持されている。
駆動軸36aの一端には、図示しない駆動ギヤが取り付けられており、駆動軸36aは、装置本体11に設けられた搬送ユニット駆動モータ122(図5参照)によって回転駆動される。従動軸37aは、その両端部が搬送部材本体35の両側面を貫通しないように構成されている。搬送部材本体35の用紙搬送方向上流側端部の両側面外側にはボス35aがそれぞれ一体的に設けられており、各ボス35aは各アーム部材20に形成された図示しない長穴にそれぞれ嵌合されている。この構成より搬送部材本体35は、後述するプレスローラ接離機構55によりプレスローラ13が印刷ドラム12に対して接離される際に、各アーム部材20の揺動に伴って駆動軸36aを中心とした揺動が可能となっている。
【0100】
コロ状をなす複数の駆動ローラ36は、それぞれ駆動軸36aに一体的に取り付けられており、各駆動ローラ36間にはそれぞれ所定の間隔が設けられている。駆動ローラ36と同形状である複数の従動ローラ37は、各駆動ローラ36と同間隔でそれぞれ従動軸37aに一体的に取り付けられている。各駆動ローラ36とこれに対応した各従動ローラ37との間には、図示しない複数の穴部を有する無端ベルト38が所定の張力で掛け渡されている。摩擦抵抗部材からなる無端ベルト38は、搬送ユニット駆動モータ122によって駆動軸36aが回転駆動されることにより図2に矢印で示す方向に移動される。
【0101】
搬送部材本体35の下面には、吸引ファン39が一体的に取り付けられており、搬送部材本体35の上面には、再給紙トレイ8が一体的に取り付けられている。再給紙トレイ8には、各無端ベルト38を用紙搬送面に臨ませるための図示しない複数の開口部が形成されており、その用紙搬送方向下流側端部には搬送される用紙Pを受け止めるためのエンドフェンス8aが一体的に形成されている。
吸引ファン39の取付面である搬送部材本体35の下面には、図示しない穴部が設けられており、これにより吸引ファン39が作動することで筐体である搬送部材本体35の内部に負圧を発生させ、移動する各無端ベルト38の上面に用紙Pを吸引させる。吸引ファン39の吸引力および無端ベルト38の摩擦抵抗力は、用紙Pの先端が再給紙位置決め部材24のストッパ24aに当接した際に、用紙Pと各無端ベルト38との間で滑りが発生する程度の強さにそれぞれ設定されている。
上述した再給紙案内部材22、再給紙レジストローラ23、再給紙位置決め部材24、および再給紙搬送ユニット25によって再給紙手段9が構成されている。
【0102】
プレスローラ13の近傍であって再給紙搬送ユニット25の上方に位置する部位には、プレスローラ13の周面をクリーニングするクリーニングローラ26が配設されている。プレスローラ13の幅とほぼ同じ幅を有するクリーニングローラ26は、少なくともその表面が和紙やスポンジ等の吸湿性の高い材質によって構成されており、その中心に芯部26aを一体的に有している。
クリーニングローラ26は、芯部26aを各アーム部材20に形成された図示しない長穴に嵌合されることで回転自在に支持されており、この長穴内に設けられた図示しない付勢手段によってプレスローラ13に向けて付勢され、その周面をプレスローラ13の周面に所定の圧接力で常時圧接されている。クリーニングローラ26は、一方のアーム部材20に設けられた図示しないクリーニングローラ駆動手段によって、プレスローラ13の回転時においてプレスローラ13と同方向に、プレスローラ13の周速度の10分の1程度の周速度で回転駆動される。
【0103】
クリーニングローラ26の左上方には、ガイド板27が配設されている。ガイド板27は、板材からなり、その両端部を各アーム部材20に固設されており、プレスローラ13によって印刷ドラム12に圧接された用紙Pがクリーニングローラ26に触れないように、かつ再給紙トレイ8に向かうように案内する。ガイド板27は、プレスローラ13およびクリーニングローラ26の周面に近接する位置に配設されている。
各アーム部材20のプレスローラ13が支持された一端側と対向する他端側には、それぞれ回転自在なカムフォロア41が互いに外側を向く態様で配設されている。また、各アーム部材20のカムフォロア41が配設された位置の近傍には、一端を装置本体11に固着された印圧ばね42の他端がそれぞれ取り付けられている。
これにより各アーム部材20は、揺動軸21を中心に図において時計回り方向への回動付勢力をそれぞれ付与されている。
【0104】
各カムフォロア41の左方近傍には、3枚のカム板43A、43B、43Cを有する多段カム43がそれぞれ配設されている。各カム板43A、43B、43Cは、両端を装置本体11に回転自在かつ図2の紙面方向に移動自在に支持されたカム軸44にそれぞれ所定の間隙をもって固着されており、装置手前側からカム板43B、カム板43A、カム板43Cの順に配設されている。
各カム板43A、43B、43Cは、カム軸44と同心の円板である基部とそれぞれ同一突出量の凸部とを有している。多段カム43は、図4に示すように、カム軸44に取り付けられた駆動ギヤ45および装置本体11に回転自在に支持された支軸46に取り付けられた伝達ギヤ47を介して印刷ドラム駆動手段121からの回転力を伝達され、図2において時計回り方向に回転駆動される。
【0105】
プレスローラ13は、各カム板43A、43B、43Cの何れかの凸部がカムフォロア41と当接したときにその周面が印刷ドラム12の周面より離間する図2に示す離間位置を占め、何れかの凸部とカムフォロア41との当接が解除されたときに印圧ばね42の付勢力によってその周面が印刷ドラム12の周面に圧接する図3に示す圧接位置を占める。各カム板43A、43B、43Cは、プレスローラ13が圧接位置を占めたときにその基部とカムフォロア41とが接触しないように構成されている。各カム板43A、43B、43Cの凸部の形状は、プレスローラ13と印刷ドラム12との接触範囲が、カム板43Aでは図1に示す表面領域と中間領域と裏面領域とを全て合わせた範囲となるように、カム板43Bでは表面領域と同じ範囲となるように、カム板43Cでは表面領域の下流側部分と中間領域と裏面領域とを合わせた範囲となるようにそれぞれ形成されている。また、各カム板43A、43B、43C間の間隔は、アーム部材20の板厚よりも十分に大きくなるように設定されている。
【0106】
図2において各アーム部材20の右方近傍には、プレスローラ13が離間位置を占めた状態で各アーム部材20の揺動を禁止する、図示しないプレスローラ係止手段が配設されている。図示しないプレスローラ係止手段は図示しないソレノイドを有しており、この図示しないソレノイドのオン・オフの切り換えによって各アーム部材20を保持する状態と保持を解除する状態とが選択的に切り換えられる。図示しないソレノイドは、カムフォロア41が各カム板43A、43B、43Cの何れかの凸部と当接した状態で通電・作動される。
カム軸44の下方近傍には、図4に示すように移動アーム48と段差カム49とが配設されている。移動アーム48は、ほぼL字形状をなし、装置本体11に回転自在に支持された支軸48aにその曲折部を取り付けられており、移動アーム48の一端にはローラ48bが、また他端にはカムフォロア48cがそれぞれ回転自在に取り付けられている。移動アーム48の他端と曲折部との間の部位には、一端を装置本体11に取り付けられた引張ばね50の他端が取り付けられており、移動アーム48には支軸48aを中心に、図において時計回り方向への回動付勢力が付与されている。
【0107】
ローラ48bは、カム軸44の中程に間隔をおいて固着された円板44a、44b間に配置されており、カムフォロア48cは引張ばね50の付勢力によりその周面を段差カム49の周面に当接させている。各円板44a、44b間の間隔は、ローラ48bの直径よりも僅かに大きくなるように設定されている。
段差カム49は、その周面に3箇所のカム部49a、49b、49cを有しており、装置本体11に回転自在に支持された支軸51に固着されている。支軸51には、装置本体11に取り付けられたステッピングモータ52の出力軸に取り付けられたギヤ53と噛合するギヤ54が取り付けられており、ステッピングモータ52の作動により段差カム49は図4の矢印方向に回転駆動される。この構成より、ステッピングモータ52が作動して段差カム49が回転すると移動アーム48が支軸48aを中心に揺動し、ローラ48bが円板44aあるいは円板44bを押すことでカム軸44が図4の左右方向に移動する。
【0108】
各カム部49a、49b、49cは、カムフォロア48cとカム部49aとが当接したときにカム板43Bがカムフォロア41と当接可能位置となるように、カムフォロア48cとカム部49bとが当接したときにカム板43Aがカムフォロア41と当接可能位置となるように、カムフォロア48cとカム部49cとが当接したときにカム板43Cがカムフォロア41と当接可能位置となるようにカム軸44を移動させる形状にそれぞれ形成されている。
上述したカムフォロア41、印圧ばね42、多段カム43、図示しないプレスローラ係止手段、移動アーム48、段差カム49によってプレスローラ接離機構55が構成されており、このプレスローラ接離機構55の作動によってプレスローラ13は図2に示す離間位置と図3に示す圧接位置とを選択的に占める。
【0109】
印刷ドラム12とプレスローラ13との接触位置の左方であって用紙Pの搬送経路上には、用紙Pの搬送経路を切り換える切換部材10が配設されている。切換部材10は、印刷ドラム12およびプレスローラ13とほぼ同じ幅を有する板材からなり、その用紙搬送方向下流側端部を装置本体11に回動自在に支持された支軸に固着されており、ソレノイド123(図5参照)が作動することによって断面鋭角状に形成された用紙搬送方向上流側端部を図1に実線で示す第1の位置と二点鎖線で示す第2の位置とに選択的に位置決めされる。
切換部材10は、第1の位置を占めたときにその先端がプレスローラ13の周面に近接するとともに印刷ドラム12上のクランパ19と干渉しない位置に置かれ、第2の位置を占めたときにその先端が印刷ドラム12の周面に近接する位置に置かれる。印刷ドラム12とプレスローラ13との間を通過した用紙Pは、切換部材10が第1の位置を占めたときに排紙部6へと案内され、切換部材10が第2の位置を占めたときにガイド板27と装置本体11に固着されたガイド板56との間を通って再給紙トレイ8へと案内される。
【0110】
装置本体11の右上方には、製版部3が配設されている。製版部3は、マスタ保持部材57、プラテンローラ58、サーマルヘッド59、切断手段60、マスタストック部61、テンションローラ対62、反転ローラ対63等を有している。
製版部3はマスタ64に製版を行い、図8で示したような表面画像201と裏面画像202を製版する。表面画像201は、両面印刷用のマスタ64が印刷ドラム12の外周面上に巻装されたときに図1に示す表面領域と対応する位置に形成され、裏面画像202は裏面領域と対応する位置に形成される。
マスタ保持部材57は、装置本体11の図示しない側板対にそれぞれ設けられており、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とを貼り合わせたマスタ64をロール状に巻成してなるマスタロール64aの芯部64bの両端を回転自在かつ着脱自在に支持する。
【0111】
マスタ保持部材57の左方に設けられたプラテンローラ58は、装置本体11の図示しない側板に回転自在に支持されており、ステッピングモータを含む製版駆動手段124(図5参照)によって回転駆動される。プラテンローラ58の下方に位置し多数の発熱素子を有するサーマルヘッド59は、装置本体11の図示しない側板に取り付けられており、図示しない付勢手段の付勢力によってその発熱素子面をプラテンローラ58に圧接されている。サーマルヘッド59は、マスタ64の熱可塑性樹脂フィルム面に接触しつつ発熱素子を選択的に発熱させ、マスタ64に対して位置選択的に熱溶融穿孔製版を行う。
【0112】
プラテンローラ58およびサーマルヘッド59の左方には、切断手段60が配設されている。切断手段60は、装置本体11の図示しないフレームに固設された固定刃60aと、この固定刃60aに移動自在に支持された可動刃60bとを有し、固定刃60aに対して可動刃60bが回転移動することによりマスタ64を切断する周知の構成である。
切断手段60のマスタ搬送方向下流側下方には、マスタストック部61が配設されている。マスタストック部61は、製版済みマスタを一時的に貯容する空間を有し、複数の板部材によってその内部を仕切られており、その最奥部には図示しない吸引ファンが配設されている。この吸引ファンが作動することにより密閉された空間であるマスタストック部61の内部に負圧が発生し、製版して搬送されてきた製版済みマスタはマスタストック部61の最奥部に向けて貯容される。
【0113】
切断手段60とマスタストック部61との間の部位には、テンションローラ対62が配設されている。テンションローラ対62は、それぞれ装置本体11の図示しない側板に回転自在に支持された駆動ローラ62aと従動ローラ62bとからなり、従動ローラ62bが図示しない付勢手段によってその周面を駆動ローラ62aの周面に圧接されており、製版駆動手段124によって駆動ローラ62aが回転駆動されることによりマスタ64を挟持して搬送する。
駆動ローラ62aは、その周速度がプラテンローラ58の周速度よりも若干速く設定されているとともにその内部には図示しないトルクリミッタが設けられており、プラテンローラ58とテンションローラ対62との間においてマスタ64に対して所定の張力が付与されるように構成されている。
【0114】
マスタストック部61のマスタ搬送方向下流側には、それぞれ装置本体11の図示しない側板に回転自在に支持された駆動ローラ63aと従動ローラ63bとからなる反転ローラ対63が配設されている。反転ローラ対63は、製版駆動手段124によって回転駆動される駆動ローラ63aと図示しない付勢手段によってこれに圧接配置された従動ローラ63bとによってマスタ64を挟持して搬送する。駆動ローラ63aの内部には図示しないワンウェイクラッチが設けられている。
【0115】
また、テンションローラ対62と反転ローラ対63との間の部位には、図示しない可動マスタガイド板が配設されている。この可動マスタガイド板は図示しない支持部材に揺動自在に支持されており、図示しないソレノイドによってその上面がマスタ64の搬送路を構成する搬送位置と、マスタ64のマスタストック部61への進入を妨げない退避位置とに選択的に位置決めされる。
【0116】
製版部3の下方には、給紙部4が配設されている。給紙部4は、給紙トレイ67、給紙ローラ68、分離ローラ69、分離パッド70、レジストローラ対71等を有している。上面に多数の用紙Pを積載可能な給紙トレイ67は、装置本体11に上下動自在に支持されており、昇降手段を含む給紙駆動手段125(図5参照)によって上下動される。A3サイズの用紙Pを縦置き可能な給紙トレイ67の上面には、図示しないレール部材によって用紙搬送方向と直行する用紙幅方向に移動自在に支持された一対のサイドフェンス72が設けられている。
また、給紙トレイ67の自由端部側には、積載された用紙Pのサイズを検知する複数の用紙サイズ検知センサ73が設けられている。用紙サイズ検知手段として機能する用紙サイズセンサ73は、各センサの組み合わせによって用紙Pのサイズおよび向き(縦置きあるいは横置き)を検知する周知の構成である。
【0117】
給紙トレイ67の上方には、表面に高摩擦抵抗部材を有する給紙ローラ68が配設されている。給紙ローラ68は装置本体11に揺動自在に支持された図示しないブラケットに回転自在に支持されており、給紙トレイ67が図示しない昇降手段によって上昇されたときに所定の圧接力で給紙トレイ67上の最上位の用紙Pに圧接する。給紙ローラ68は給紙駆動手段125によって回転駆動される。
【0118】
給紙ローラ68の左方には、表面にそれぞれ高摩擦抵抗部材を有する分離ローラ69と分離パッド70とが配設されている。分離ローラ69は、タイミングベルト69aを介して給紙ローラ68に駆動連結されており、給紙ローラ68の回転駆動時にこれと同期して同方向に回転駆動される。分離パッド70は、図示しない付勢手段の付勢力によって分離ローラ69に圧接されている。
分離ローラ69および分離パッド70の左方には、レジストローラ対71が配設されている。レジストローラ対71は、駆動ローラ71aと従動ローラ71bとからなり、給紙駆動手段125に含まれる図示しないレジストローラ駆動モータによって駆動ローラ71aが印刷ドラム12と同期した所定のタイミングで回転し、駆動ローラ71aに圧接された従動ローラ71bとによって用紙Pを印刷部2に向けて所定のタイミングで給送する。
【0119】
印刷部2の左上方には、排版部5が配設されている。排版部5は、上排版部材74、下排版部材75、排版ボックス76、圧縮板77等を有している。
上排版部材74は、駆動ローラ78、従動ローラ79、無端ベルト80等を有し、排版駆動手段126(図5参照)によって駆動ローラ78が図の時計回り方向に回転駆動されることにより無端ベルト80が図1の矢印方向に移動する。
下排版部材75は、駆動ローラ81、従動ローラ82、無端ベルト83等を有し、駆動ローラ78を回転駆動する排版駆動手段126の駆動力をギヤやベルト等の図示しない駆動力伝達手段によって伝達されることで駆動ローラ81が図の反時計回り方向に回転駆動されることにより、無端ベルト83が図1の矢印方向に移動する。
また、下排版部材75は、排版駆動手段126に含まれる図示しない移動手段によって移動自在に設けられており、図に示す位置と従動ローラ82の外周面上に位置する無端ベルト83が印刷ドラム12の外周面に当接する位置とを選択的に占める。
【0120】
排版ボックス76は、内部に使用済みマスタを貯容する容器であり、装置本体11に対して着脱自在に設けられている。上排版部材74と下排版部材75とによって運ばれた使用済みマスタを排版ボックス76の内部に押し込む圧縮板77は装置本体11に上下動自在に支持されており、排版駆動手段126に含まれる図示しない昇降手段によって上下動される。
【0121】
排版部5の下方には、排紙部6が配設されている。排紙部6は、剥離爪84、排紙搬送ユニット85、排紙トレイ86等を有している。
剥離爪84は、印刷ドラム12の幅方向に複数配置され、装置本体11に揺動自在に支持された支軸にそれぞれ一体的に取り付けられている。複数の剥離爪84は、図示しない爪揺動手段によって揺動され、その先端が印刷ドラム12の周面に近接する図に示す位置と、クランパ19等の障害物を回避するためにその先端が印刷ドラム12の外周面から離間する位置とを選択的に占める。図示しない爪揺動手段は、印刷ドラム駆動手段121からの駆動力を図示しない駆動力伝達手段により伝達され、印刷ドラム12の回転と同期して剥離爪84を揺動させる。
【0122】
剥離爪84の下方であって切換部材10の左方に配設された排紙搬送ユニット85は、駆動ローラ87、従動ローラ88、無端ベルト89、吸引ファン90等を有している。コロ状の駆動ローラ87は、図示しないユニット側板に回転自在に支持された図示しない支軸に所定の間隔で複数取り付けられており、排紙駆動手段127(図5参照)によってそれぞれ一体的に回転駆動される。
従動ローラ88も同側板に回転自在に支持された図示しない支軸に各駆動ローラ87と等間隔で複数設けられており、各駆動ローラ87およびこれと対応する各従動ローラ88には複数の孔を有する無端ベルト89がそれぞれ掛け渡されている。駆動ローラ87、従動ローラ88、無端ベルト89の下方には、吸引ファン90が配設されている。排紙搬送ユニット85は、吸引ファン90の吸引力によって各無端ベルト89上に用紙Pを吸引し、各駆動ローラ87の回転によって用紙Pを図1の矢印方向に搬送する。
排紙搬送ユニット85によって搬送された用紙Pをその上面に積載する排紙トレイ86は、用紙搬送方向に移動自在な1個のエンドフェンス91と、用紙幅方向に移動自在な一対のサイドフェンス92とを有している。
【0123】
印刷装置本体9の上部には、画像読取部7が配設されている。画像読取部7は、原稿を載置するコンタクトガラス93、コンタクトガラス93に対して接離自在に設けられた圧板94、原稿画像を走査して読み取る反射ミラー95、96、97、98および蛍光灯99、走査された原稿画像を集束するレンズ100、集束された画像を光電変換処理するCCD等の画像センサ101、原稿のサイズを検知する複数の原稿サイズ検知センサ102等を有しており、原稿画像の読取動作は読取駆動手段128(図5参照)の作動によって行われる。
画像センサ101で光電変換処理されたアナログの画像データ(画像情報)は、後述する図7、図20、図24ないし図26に示されているように、A/D変換器でデジタルの画像データ(画像情報)に変換処理され、さらにCCD画像処理部で周知の画像処理を施されて制御手段129に送信・入力される。さらにデジタルの画像データは制御手段129の制御下でサーマルヘッド画像処理部においてサーマルヘッド駆動用の処理(鏡像化)を施されて、サーマルヘッド駆動回路を介してサーマルヘッド59へ送信される。
原稿サイズ検知手段として機能する原稿サイズセンサ102は、各センサの組み合わせによって原稿のサイズおよび向き(縦置きあるいは横置き)を検知する周知の構成である。
【0124】
また、図1に示すように、印刷ドラム12を構成する図示しないフランジの外面には位相タイミング検知板133が取り付けられており、印刷ドラム12の周囲近傍には装置本体11に取り付けられたホームポジションセンサ134が配設されている。ホームポジションセンサ134は、クランパ19がプレスローラ13と対向する位置を印刷ドラム12が占めたときに位相タイミング検知板133を検知して図5等に示す制御手段129に向けて信号を出力する。
【0125】
図6を参照して、両面孔版印刷装置1を操作するための操作パネル103の細部構成を説明する。操作パネル103は、両面孔版印刷装置1の上記各部に各種動作指示を与えたり上記各部からの情報を得たりするものである。
操作パネル103は、図1において装置本体11の上部前面に設けられている。操作パネル103には、製版スタートキー104、印刷スタートキー105、試し刷りキー106、連続キー107、クリア/ストップキー108、テンキー109、エンターキー110、プログラムキー111、モードクリアキー112、印刷速度設定キー113、4方向キー114、用紙サイズ設定キー115、用紙厚み設定キー116、両面印刷モードキー117、片面印刷モードキー118、表示部119、液晶ディスプレイ120等が配置されている。図6において、括弧を付して示す両面製版前キー135A、135B、135Cは、後述する第2の実施形態で使用されるものであり、第1の実施形態では使用されないことを表す。
【0126】
製版スタートキー104は、両面孔版印刷装置1に製版動作を行わせる際に押下され、製版スタートキー104が押下されると排版動作および原稿読取動作が行われた後もしくは一部並行して製版動作が行われ、その後、版付け・印刷とも呼ばれる版付け動作が行われて両面孔版印刷装置1は印刷待機状態となる。製版スタートキー104は、版付け・両面印刷動作を開始させる起動信号としてのスタート信号を生成する起動手段としての機能を有する。
印刷スタートキー105は、両面孔版印刷装置1に印刷動作を行わせる際に押下され、両面孔版印刷装置1が印刷待機状態となり各種印刷条件が設定された後に印刷スタートキー105が押下されることにより印刷動作が行われる。試し刷りキー106は、両面孔版印刷装置1に試し刷りを行わせる際に押下され、各種条件が設定された後に試し刷りキー106が押下されることにより1枚だけ印刷が行われる。
テンキー109は、数値入力等に用いられる。モードクリアキー112は、各種のモードをクリアして初期状態に戻す際に押下される。版付け・印刷は、通常の片面および両面印刷動作と比較して、正規の印刷枚数としてカウントされないことおよび印刷速度が非常に遅いことのみ相違する。
【0127】
用紙サイズ設定キー115は、用紙サイズを任意で入力する際に押下され、用紙サイズ設定キー115で入力された用紙サイズは、用紙サイズ検知センサ73によって検知された用紙サイズ情報よりも優先される。用紙厚み設定キー116は、両面印刷に先立って用紙Pの厚みを入力する際に押下され、例えば「普通紙」、「薄紙」、「厚紙」の3種類のうちの何れか一つを選択する構成となっている。
【0128】
両面印刷モードキー117は、両面孔版印刷装置1に両面印刷動作を行わせる際に製版スタートキー104の押下前に押下され、両面印刷モードキー117が押下されるとその近傍に配置された両面印刷モード表示ランプ117aが点灯してユーザに両面印刷モードであることを表示・報知される。また、両面印刷モードキー117が押下された際には、用紙厚み設定キー116によって使用する用紙Pの厚みを入力した後でないと製版スタートキー104の入力が拒否される。片面印刷モードキー118も、両面印刷モードキー117と同様に両面孔版印刷装置1に片面印刷動作を行わせる際にスタートキー104の押下前に押下され、片面印刷モードキー118が押下されるとその近傍に配置された片面印刷モード表示ランプ118aが点灯してユーザに片面印刷モードであることが表示・報知される。両面孔版印刷装置1は、初期状態時において片面印刷モード表示ランプ118aが点灯しており、片面印刷モードが自動的に初期設定されている。
両面印刷モードキー117、用紙厚み設定キー116、製版スタートキー104は、この順に押下したとき、版付け両面印刷動作を開始させるための起動信号を生成する版付け両面印刷起動手段としての機能を有する。また、両面印刷モードキー117、用紙厚み設定キー116、製版スタートキー104、試し刷りキー106は、この順に押下したとき、試し両面印刷動作を開始させるための起動信号を生成する試し両面印刷起動手段としての機能を有する。
【0129】
7セグメントLEDからなる表示部119は、主に印刷枚数等の数字を表示する。LCDからなる液晶ディスプレイ120は、階層表示構造となっており、その下方に設けられた選択設定キー120a、120b、120c、120dを押下することにより、変倍や画像位置調整等の様々なモードへの変更、各モードの選択や設定、が可能に構成されている。選択設定キー120a、120b、120c、120dは、後述する実施形態において本発明に特有の機能を付与される。
【0130】
液晶ディスプレイ120には、図示しない「製版・プリントできます」のような両面孔版印刷装置1の状態が表示される他、製版あるいは排版ジャム、給紙あるいは排紙ジャム等のアラーム、印刷用紙、マスタ、インキ等のサプライの供給指示等も随時表示される。液晶ディスプレイ120は、後述する実施形態において、両面印刷用製版を開始する前に、両面印刷用の画像データに応じた両面画像を縮小して表示する表示手段としての機能を有する。また、液晶ディスプレイ120は、両面印刷用製版を開始する前に、両面印刷用の画像データに応じた両面画像を縮小し、かつ、それを3次元的に表示する3D表示手段としての機能を有する他、後述する本発明に特有の機能を付与される。
【0131】
4方向キー114は、後述する実施形態において、上キー114a、下キー114b、左キー114c、右キー114dからなり、3D縮小表示された両面画像を各方向に所定の角度回転するための画像回転設定手段としての機能を有する。
連続キー107、クリア/ストップキー108、エンターキー110、プログラムキー111、印刷速度設定キー113は、特開2003−200645号公報の図7に示したものと同様であり、同明細書に記載のそれらと同様の機能を有する。
【0132】
図5は、両面孔版印刷装置1の制御構成を示すブロック図である。同図において制御手段129は、内部にCPU130、ROM131、RAM132、図示しないタイマおよび図示しない入出力ポートを有する周知のマイクロコンピュータを具備しており、装置本体11の内部に設けられている。
【0133】
CPU130は、操作パネル103からの各種信号および装置本体11に設けられた各種センサからの検知信号およびROM131から呼び出された動作プログラムに基づいて、印刷部2、製版部3、給紙部4、排版部5、排紙部6、画像読取部7に設けられた各駆動手段、再給紙手段9に設けられた再給紙レジスト接離機構40および搬送ユニット駆動モータ122、切換部材10を作動させるソレノイド123の作動等を制御し、両面孔版印刷装置1全体の動作を制御する。
【0134】
ROM131には、両面孔版印刷装置1全体の動作プログラムが記憶されており、この動作プログラムはCPU130によって適宜呼び出される。RAM132は、CPU130の計算結果を一時的に記憶する機能、操作パネル103上の各種キーおよび各種センサから設定および入力されたデータ信号およびオン・オフ信号を随時記憶する機能等を有している。また制御手段129は、ホームポジションセンサ134からのホームポジション信号と、印刷ドラム駆動手段121に設けられた図示しないエンコーダからの信号とに基づいて、印刷ドラム12の回転位相位置の把握も行っている。図5に示す制御手段129と図7に示す制御手段129は同じもので、それぞれ別の観点からのブロック図である。図7において、「PSU」はパワーサプライユニットを示している。以下、説明の簡明化を図るためCPU130を、制御手段129というときがある。
【0135】
上述のように、上記構成において通常のマスタ製版方式で両面印刷を行った場合、図10に示すように、両面印刷後の用紙P1は裏面印刷画像202aを上にして排紙トレイ86に積載される。つまり、上記した特開2003−200645号公報や特開2003−237207号公報に開示した両面印刷装置と同様に、先に表面画像を製版し、余白部を形成した後裏面画像を製版して両面印刷用のマスタを作る。製版された両面印刷用のマスタを使用して、両面印刷を行うと、両面印刷が終了して排出された用紙は裏面印刷画像を上にして排紙トレイに積載されるようになっている。
【0136】
複数ページの原稿を多部数両面印刷して手でページ順に仕分けしようとする場合、各印刷物(1つの製版済みのマスタにより印刷された用紙の束)毎に排紙トレイから取り出した後、ページ数の大きい印刷物から順に仕分けることになるが、各印刷物は裏面印刷画像(偶数ページ)が上になっているので、そのままの状態で仕分けるためには1枚1枚を逆さまにしなければならず、効率的にするには全ての印刷物を逆さまにしてから仕分けないとページがずれることになる。印刷後に全ての印刷物を逆さまにすることは大変不便である。
【0137】
そこで、両面孔版印刷装置1に図示しない水平積載方式のソータを連結して自動で仕分けをしようとする場合であって、複数ページの原稿に対応して多部数連続的に両面印刷した場合で、かつ、最終ページが奇数の場合は、そのページをより単純で総印刷時間を短縮できる片面印刷とすることもできる。しかしながら、その場合、その最終ページが上面にして上記ソータの図示しないソータ収納ビンに排出・積載されるので、ページ順が狂ってしまう。ページ順が狂うとは、最終ページとその前のページ間に空白のページが挟まってしまうという不具合である。
【0138】
また、両面孔版印刷装置1に図示しない反転積載方式のソータを連結して自動で仕分けをしようとする場合、裏面印刷画像を上にして排紙トレイに積載された用紙はソータによって反転されるため、装置の上下方向に多段に設けられたソータ収納ビンに表面印刷画像を上にして積載される。次の原稿により両面印刷された用紙も同様に積載されるため、ソータ収納ビンに積載された仕分け後の印刷物は、下から順に2ページ目、1ページ目、4ページ目、3ページ目・・・と、ページ順が表裏ずれてしまい、印刷物をソータ収納ビンから取り出して逆さまにしても上からページ順が狂ってしまい正しいページ順のものを得ることはできない。
このように、本発明に包含される別の発明に係る本実施形態の第1の例では、手作業による仕分けや、仕分け手段を用いた自動仕分けをページ順が正しい状態で効率的にできる両面印刷装置の提供をその主な目的としている。
【0139】
上述したように複数ページの原稿を用いて両面印刷して手作業で仕分け(ページ揃え)をする場合、各印刷毎に排紙トレイ86から取り出し、ページ数の大きい印刷物から仕分けることになるが、各印刷物は裏面印刷画像(偶数ページ)202aが上になっているので、全ての印刷物を逆さまにしてからでないと仕分けることができない。ページ数が多い場合には非常な労力となる。
この問題を解消するために、本実施形態の第1の例では、先に裏面画像(第2の画像)を製版し、所定の間隔204を設けた後、表面画像(第1の画像)を製版するようにした。上記例では表面画像201として「表」の画像を、裏面画像202として「裏」の画像で説明したが、図13に示すように、表面画像として「F」の画像を、裏面画像として「G」の画像を用いて説明する。
【0140】
図14に示すように、コンタクトガラス93上に表原稿としての第1の画像原稿206と裏原稿としての第2の画像原稿207が密着状態で並べてセットされる。符号93aはセット基準位置を示す。
制御手段129は、まず第2の画像原稿207を先に読み取り(矢印A)、次に上記キャリッジをホーム位置に戻して第1の画像原稿206を読み取る(矢印B)ように画像読取部7を制御する。コンタクトガラス93上に第2の画像原稿207、第1の画像原稿206の順に並べてセットした場合には、通常の読み取り動作(上記キャリッジの左から右への移動による連続的な読み取り)がなされる。
読み取り動作と並行してマスタ64の製版が行われ、図15に示すように、裏面画像202、表面画像201の順に製版される。このように製版された両面印刷用のマスタ64を印刷ドラム12の外周面に巻装して両面印刷を行うと、図16に示すように、両面印刷後の用紙P1は表面印刷画像(奇数ページ)201aを上にして排紙トレイ86上に積載される。各印刷物は、図17に示すように、奇数ページ目が上になるので、手作業でソート(仕分け)する場合、各印刷物を逆さまにすることなく取り出した状態で仕分けできる。なお、用紙P1の厚みは分かりやすいように誇張表示している。
通常の製版(第1の画像原稿206、第2の画像原稿207の順に読み取って製版する)を行い、カム板の制御によって第1の画像を通過させ、最初に第2の画像を印刷するようにしても同様の仕分け状態を得ることができる。
【0141】
図19に示すように、装置本体11に後処理・仕分け手段としての反転積載式のソータ208が連結されている場合、通常の製版方式で複数ページの原稿に基づいて両面印刷したとき、図19(a)に示すように、排紙トレイ86上で上になっていた裏面印刷画像202aは反転するので、用紙P1はソータ収納ビン208a上に偶数ページ目を下にして積載される。このため、ページの順番が表裏ずれてページ順にソートできない。
【0142】
上述した本実施形態におけるマスタ製版後の両面印刷の場合には、図18に示すように、反転されるために裏面印刷画像202aが上となる状態でソータ収納ビン208a上に排出される。このため、図19(b)に示すように、ソータ収納ビン208a上に積載された印刷物は下から順にページが揃った状態となり、ユーザは取り出した後、印刷物を逆さまにすれば上から順にページが揃った状態を得ることができる。図18において、符号209はソータステイプル位置を示す。
反転積載式のソータ208が連結した場合においても、通常の製版を行い、カム板の制御によって第1の画像を通過させ、最初に第2の画像を印刷するようにすれば図19(b)に示したソート状態を得ることができる。
【0143】
次に、図20ないし図22を参照して、本実施形態の第2の例を説明する。
図20に示すように、本例では、全原稿の画像情報を格納する画像メモリ174を有し、該画像メモリ174より最終ページ原稿の画像情報から順に2ページ毎抽出してページ数の大きい第2の画像から製版するとともに、第2の画像から印刷することを特徴とする。
図20において、「各種負荷」とは、図5に示した印刷部2、製版部3、給紙部4、排版部5、排紙部6、画像読取部7に設けられた各駆動手段、再給紙手段9に設けられた再給紙レジスト接離機構40および搬送ユニット駆動モータ122、切換部材10を作動させるソレノイド123等を総括的に示す制御対象駆動手段の総称である。「各種センサ」とは、両面孔版印刷装置1に配設された上述した各センサを総括的に示すセンサの総称である。符号210は、排紙トレイ86に積載されるべき用紙P1を反転させずにそのままソートする、図示しない中間搬送装置を介して機械的に連結された水平積載式のソータ210(以下、単に「ソータ210」というときがある)を示す。ソータ210は、外部I/F(インターフェース)211を介して制御手段129に通信可能に接続されている。ソータ210および上記中間搬送装置の具体例としては、例えば本願出願人が提案した特開平7−309520号公報の図1、図2等に示されているビンユニット昇降式のソータ装置(2)および中間搬送装置(52)が挙げられる。
装置本体11にソータ210が連結されている場合、通常の製版方式で製版して両面印刷したときは、図21(a)に示すように、裏面印刷画像202aを上にしたままでソータ収納ビン210aに積載されるため、ページ順は下から上に向かって大きくなる。従って、ユーザは印刷終了後各ソータ収納ビン210aの印刷物を取り出して逆さまにしなければならない。
【0144】
画像メモリ174は、図示しないADFを介してあるいはコンタクトガラス93上に手動操作で載置・セットした原稿画像を画像読取部7で読み取った画像データを一時保存できるようになっており、一時保存時の画像メモリ174のアドレスは読み取りデータ順に決まっている。両面印刷モード時の原稿読み取り時は、画像メモリ174に両面印刷用の原稿毎に読み取った画像データを一時保存するようになっている。例えば、用紙PのサイズがA4縦で、上記ADFにA4縦の原稿を複数枚セットした場合には、A4縦の原稿毎に画像メモリ174にその画像データを一時保存する。
用紙PのサイズがA4縦で、上記ADFにA3横の原稿(両面1枚原稿)を複数枚セットした場合には、A4縦原稿毎に読み取って、A4縦の原稿毎に画像メモリ174にその画像データを一時保存する。図22に、上記ADFで第1の画像原稿206と第2の画像原稿207をセットして読み取る状態を示す。
【0145】
本例では、初めに原稿の全てを読み取って画像メモリ174に一時保存し、水平積載式のソータ210のソータ収納ビン210aに積載された用紙P1の一番下が最後のページになるように、画像メモリ174に格納されたメモリ画像の中からページ数の大きい最後のページより2ページ毎に読み出して製版する。製版順序は、図15で示したのと同じように、最終ページ(第2の画像、偶数ページ)、最終ページより1つ少ないページ(第1の画像、奇数ページ)の順に製版する。残りのページも同様に製版する。
このように製版された両面印刷用のマスタ64で両面印刷を行い、水平積載式ソータ210でソートすると、図21(b)に示すように、ソータ収納ビン210aに積載された印刷物は、用紙の一番上が最初のページで一番下が最終ページとなる。従って、ユーザは印刷終了後印刷物を逆さまにする労力を要しない。手作業のソートにおいても第1の例と同様に逆さまにする労力を要しない。
【0146】
画像メモリ174に格納されたメモリ画像の中からページ数の大きい最後のページより2ページ毎に読み出し、ページ数の小さい第1の画像から製版し、カム板を制御してページ数の大きい第2の画像から印刷するようにしても、図21(b)に示したのと同様の印刷物の状態を得ることができる。
画像メモリ174に格納するための全原稿の画像情報の入手は、ADFや画像読取部7での原稿セット読み取りによるものに限られない。図20に示すように、装置本体11に通信可能にオンライン接続されたPC(パーソナルコンピュータ、以下、「PCないしはパソコン」という)170から画像データを得るようにしてもよい。PC170は、両面孔版印刷装置1の装置本体11の外部に設けられた出力手段である。
オンライン・PC170からの画像データ出力による製版の場合は、外部I/F(インターフェース)171、PCコントローラ(パソコン・コントローラ)172およびビデオインターフェース173(以下、「VIDEO I/F173」という)を介して1ページ目から順次制御手段129のCPU130に送信されてくる。VIDEO I/F173は、PCコントローラ172からの画像データを制御手段129で使えるように接続する機能を有する。装置本体11の外部に設けられた出力手段としては、他に、光(IrDA等)や電波(Bluetooth、無線LAN等)等による無線通信により通信・接続された外部接続機器(ホストコンピュータ等)がある。
【0147】
図23を参照して、本実施形態の第3の例を説明する。
原稿の枚数が奇数枚の場合には、画像メモリ174に格納されたメモリ画像の中からページ数の大きい最後のページより2ページ毎に読み出して製版する方式では、最後のメモリ読み出しが単ページとなり、原稿の表裏が合わなくなる。
本例では、制御手段129は読み取った全原稿のページ数を判断し、最終ページが奇数ページの場合には、最終ページの画像情報の次に1ページ分のダミーデータを書き込み、該ダミーデータを第2の画像とする。
【0148】
図23に示すように、マスタ64には、まずダミーデータによる空白の第2の画像(裏面画像)211が製版され(実質的無製版)、次に本来の最終ページ画像としての表面画像201(第1の画像)が製版される。
このように製版された両面印刷用のマスタ64で両面印刷を行い、水平積載式ソータ210でソートすると、ソータ収納ビン210aに積載された印刷物は、用紙の一番上が最初のページで一番下が空白ページとなる。手作業のソートにおいても第1の例と同様に逆さまにする労力を要しない。
【0149】
図24を参照して、本実施形態の第4の例を説明する。
本例では、ページ順に読み取られた原稿の画像情報を2ページ分毎に格納するメモリサイズを有する2面式画像メモリ175を有しており、該2面式画像メモリ175から画像情報を抽出してページ数の大きい第2の画像から製版するとともに、第2の画像から印刷することを特徴とする。
反転積載式のソータ208は、排紙トレイ86に積載されるべき用紙P1を反転させてソートする機能・構成を有する。反転積載式のソータ208(以下、単に「ソータ208」というときがある)は、外部I/F211を介して制御手段129に通信可能に接続されている。ソータ208の具体例としては、例えば特開2001−146361号公報の図1や特開平11−314834号公報の図1等に示されているものが挙げられる。
装置本体11に後処理・仕分け手段として反転積載式のソータ208が連結されている場合、通常の製版方式で複数ページの原稿を両面印刷したとき、図19(a)に示したように、排紙トレイ86上で上になっていた裏面印刷画像202aは反転するので、用紙P1はソータ収納ビン208a上に偶数ページ目を下にして積載される。このため、ページの順番が表裏ずれてページ順にソートできない。
本例では、ADFを介してあるいはコンタクトガラス93上に手動操作で載置・セットした原稿画像を画像読取部で読み取った原稿のデータを2面式画像メモリ175に一時保存する。一時保存時のアドレスは読み取りデータ順に決まっている。両面印刷モード時の原稿読み取り時は、2面式画像メモリ175に表面画像データと、裏面画像データが一時保存される。
【0150】
例えば、用紙PのサイズがA4縦で、ADFにA4縦サイズの原稿を複数枚セットした場合には、A4縦原稿毎に2面式画像メモリ175にその画像データを一時保存する。また、用紙PのサイズがA4縦で、ADFにA3横の原稿(両面1枚原稿)を複数枚セットした場合には、A4縦原稿毎に読み取って、A4縦の原稿毎に2面式画像メモリ175にその画像データを一時保存する。
用紙PのサイズがA4縦で、画像読取部7のコンタクトガラス93上に2枚の原稿を並べてセットした場合は、A4縦原稿毎に2面式画像メモリ175にその画像データを一時保存する。
両面原稿を製版するときには、一時保存時の2面式画像メモリ175からまず裏面画像データを呼び出して製版し、所定の間隔204を設けた後表面画像データを呼び出して製版する。製版後制御手段129は2面式画像メモリ175に格納された画像を消去して次の読み取り動作に備える。
【0151】
このように製版された両面印刷用のマスタ64で両面印刷を行った場合、両面印刷済みの用紙P1は表面印刷画像(奇数ページ)を上にして排紙トレイ86に積載されるので、反転積載式のソータ208でソートする場合、ページの順番が表裏ずれるという不具合は解消される。
この方式では、原稿の枚数に拘わらず、2面式画像メモリ175のメモリサイズは両面用に原稿2枚分あればよい。本例では両面印刷時の最大サイズがA4縦であるため、メモリサイズはAサイズのメモリが2枚分あればよい。
2面式画像メモリ175から、ページ数の小さい第1の画像、ページ数の大きい第2の画像の順に呼び出して製版し、カム板を制御してページ数の大きい第2の画像から印刷するようにしても同様のソート機能を得ることができる。
原稿枚数の最終ページが奇数ページの場合、図23で示したのと同様に、制御手段129は最終ページの画像情報の次に1ページ分のダミーデータを書き込み、該ダミデータを第2の画像とする。
【0152】
自動的に原稿読み取りの搬送を行うためにADFを用いるが、ADFには「ページ順読み取り方式」や「逆ページ読み取り方式」があり、原稿の送り方が異なる。また、ソータにおいても同様に上述したような「水平積載方式」や「反転積載方式」などがある。
例えば、ADFに「ページ順読み取り方式」を、ソータに「反転積載方式」を使用した場合には、ソータのソータ収納ビンに積載された用紙の一番下が原稿1枚目の表面印刷画像になるように、1枚目の原稿を読み取って裏面画像データに基づいて製版し、所定の間隔を設けた後2枚目の原稿を読み取って表面画像データに基づいて製版する。
この両面印刷用のマスタを用いて両面印刷を行うと、表面画像を上にして排出される。排出された用紙はソータで反転され、ソータ収納ビンに積載された用紙の一番下が最初のページの表面印刷画像となる。続けて原稿を同様に製版し印刷をすると、ソータ収納ビンにページ順にソートされて積載された印刷物を得ることができる。
【0153】
例えば、ADFに「逆ページ読み取り方式」を、ソータに「水平積載方式」を使用した場合、ソータのソータ収納ビンに積載された用紙の一番上が原稿1枚目の表面印刷画像になるように、最終原稿を読み取って裏面画像データに基づいて製版し、所定の間隔を設けた後次の原稿を読み取って表面画像データに基づいて製版する。
この両面印刷用のマスタを用いて両面印刷を行うと表面印刷画像を上にして排出される。排出された用紙はソータに搬送されると、ソータ収納ビンに積載された用紙の一番下が最後のページの裏面印刷画像となる。続けて原稿を同様に製版し印刷をすると、ソータ収納ビンにページ順にソートされて積載された印刷物を得ることができる。
【0154】
そこで、原稿の読み取り方式(ADFの種類等)、両面印刷後の仕分け方式(ソータの種類等)と、上述した、第1の画像と第2の画像の製版順序および第1の画像と第2の画像の印刷順序との最適な関係をROM131に予め記憶しておき、ADFの種類が自動検知されまたは操作パネル103により設定され、あるいはソータの種類が自動検知されまたは操作パネル103により設定された場合、制御手段129はこれに対応した最適な製版順序および印刷順序を選択して制御する構成としてもよい(本実施形態の第5の例)。
【0155】
図25および図26を参照して、本発明に係る第2の実施形態を説明する。
上述した本実施形態の第1ないし第5の例でも説明したように、両面印刷用製版を行うための画像データとしては、図示しないADFの原稿載置台に載置・セットされた両面印刷用の原稿や、コンタクトガラス93上に手動操作で載置・セットされた両面印刷用の原稿を画像読取部7で読み取った両面印刷用の画像データや、PC170から両面孔版印刷装置1に出力された両面印刷用の画像データがある。両面印刷用の原稿を上記ADFの上記原稿載置台にセットしたり、コンタクトガラス93上にセットしたりする際、たとえ操作マニュアルがあるにしても、両面印刷用の原稿の画像の表裏方向およびその画像位置の合わせ方は、直感的に理解しにくく、特に誤り・間違いやすい操作であることが分かった。これは、PC170にて両面印刷用の画像データを作成する際でも同様である。
【0156】
そこで、第2の実施形態では、両面印刷用製版を行うための画像データに基づいて、製版部3によりマスタ64を製版して両面印刷用のマスタ64を得て、これを印刷ドラム12に巻装して印刷してみないと、両面印刷物の印刷画像の表裏方向や、画像位置、綴じ代の位置の違いなどが確認できないという点、および画像読取部7を使用して両面印刷用の原稿をセットしその画像を読み取る場合に、その原稿の向き・セット方向などを間違えると1版分のマスタが無駄になってしまう点に鑑みて、高価なマスタ64を無駄にしない両面孔版印刷装置を得るものである。
【0157】
(第2の実施形態の第1の例)
第2の実施形態の第1の例は、図25に示すように、第1の実施形態と比較して、製版部3で両面印刷用製版を開始する前に、用紙Pの表裏面に両面印刷用製版を行うための画像データに応じた両面画像を作成する画像出力手段としての両面機能付きプリンタ150に、両面孔版印刷装置1を通信可能に接続した点、操作パネル103に括弧を付して示す両面製版前キー135Aを配設した点および制御手段129に代えた制御手段129Aを有する点が主に相違する。
【0158】
両面機能付きプリンタ150は、両面孔版印刷装置1の装置本体11内に設けられた外部I/F151、プリンタコントローラ152、およびVIDEO I/F173を介して、制御手段129AのCPU130A(図5参照)に互いに通信可能に接続されている。両面機能付きプリンタ150は、両面機能付きプリンタ150の全体動作を制御する図示しないプリンタ制御手段を介して、外部I/F151に互いに通信可能に接続されている。プリンタコントローラ152は、制御手段129Aで作った製版用画像データを両面機能付きプリンタ150に出力するためにデータを変換する機能を有する。両面機能付きプリンタ150の具体例としては、例えば株式会社リコー製の両面専用機能を有する「imagio Color 4055」が挙げられるが、これに限定されるものではなく、両面機能付きプリンタであれば周知のもの全てが含まれる。
【0159】
両面製版前キー135Aは、両面印刷用製版を開始する前に、両面機能付きプリンタ150を後述するように作動させるための起動信号を生成する画像出力起動手段としての機能を有する。両面製版前キー135Aの内部には、図示しないLEDが内蔵されていて、両面製版前キー135Aを1回押下すると上記LEDが点灯して、両面機能付きプリンタ150を作動させるための起動信号が生成されたことを知らせ、両面製版前キー135Aを2回押下すると上記LEDが消灯して、上記起動信号が消滅したことを知らせるようになっている。
【0160】
制御手段129Aは、図5に示したように、内部にCPU130A、ROM131A、RAM132A、図示しないタイマおよび図示しない入出力ポートを有するマイクロコンピュータを具備しており、装置本体11の内部に設けられている。上記プリンタ制御手段も、マイクロコンピュータを具備して構成されている。
CPU130Aは、第1の実施形態のCPU130(制御手段129)と比較して、第1ないし第5の例の制御機能を除去してこれに代えて、両面印刷用製版を開始する前に、すなわち両面製版前キー135Aからの起動信号に基づいて、両面機能付きプリンタ150が用紙の表裏面(両面)に上記両面画像の表裏方向および該画像位置の少なくとも一つを確認可能に上記両面画像を作成するように両面機能付きプリンタ150の上記プリンタ制御手段を制御する制御機能を有することが主に相違する。
【0161】
その他の点は第1の実施形態のCPU130(制御手段129)と同様であり、CPU130Aは、操作パネル103からの各種信号および装置本体11に設けられた各種センサからの検知信号およびROM131Aから呼び出された動作プログラムに基づいて、印刷部2、製版部3、給紙部4、排版部5、排紙部6、画像読取部7に設けられた各駆動手段、再給紙手段9に設けられた再給紙レジスト接離機構40および搬送ユニット駆動モータ122、切換部材10を作動させるソレノイド123の作動等を制御し、両面孔版印刷装置1全体の動作を制御する。
【0162】
ROM131Aには、両面孔版印刷装置1全体の動作プログラムが記憶されている他、両面機能付きプリンタ150を作動・制御するためのプログラムも記憶されており、この動作プログラムはCPU130Aによって適宜呼び出される。RAM132Aは、CPU130Aの計算結果を一時的に記憶する機能、操作パネル103上の各種キーおよび各種センサから設定および入力されたデータ信号およびオン・オフ信号を随時記憶する機能等を有している。また制御手段129Aは、ホームポジションセンサ134からのホームポジション信号と、印刷ドラム駆動手段121に設けられた図示しないエンコーダからの信号とに基づいて、印刷ドラム12の回転位相位置の把握も行っている。
【0163】
図5に示す制御手段129Aと図25に示す制御手段129Aとは同じもので、それぞれ別の観点からのブロック図である。以下、説明の簡明化を図るためCPU130Aを、制御手段129Aというときがある。なお、図20や図24を借用して説明すると、図25に示す両面孔版印刷装置1に対して水平積載式のソータ210や反転積載式のソータ208を適宜連結するとともに、外部I/F211を介して制御手段129Aに対して、第1ないし第5の例の制御機能を適宜付加して構成し動作するようにしても構わない。
【0164】
第2の実施形態の第1の例の動作を説明する。
両面印刷を行う前において、先ず、ユーザは図示しないADFの原稿載置台に両面印刷用の原稿を載置・セットしたり、あるいはコンタクトガラス93上に載置・セットしたりした後、図6に示す操作パネル103上の両面製版前キー135Aを押す。これにより、両面製版前キー135Aから後述する動作を自動的に起動するための起動信号が生成されて、これが制御手段129Aに入力されるとともに、両面製版前キー135A内部の上記LEDが点灯することにより、ユーザは両面製版前モード状態であることを確認する。
【0165】
次いで、両面印刷用の原稿の画像が上述したと同様にして画像読取部7で読み取られ処理され、両面印刷用製版を行うためのデジタルの画像データが制御手段129Aに送信・入力される。この際、制御手段129Aは両面製版前モード状態であることを認識しており、両面印刷用製版を開始する前に、両面機能付きプリンタ150の上記プリンタ制御手段に一度両面印刷用のデジタルの画像データを送信して、その画像データに応じた両面画像の表裏方向および該画像位置の少なくとも一つを確認可能に両面画像を用紙の両面に作成・出力させるように両面機能付きプリンタ150の制御対象駆動を制御するので、その両面画像が用紙の両面に作成・出力される。ユーザは、用紙の両面に作成・出力された両面画像を見て、適宜その両面画像の表裏方向やその画像位置を確認することができる。
【0166】
両面画像の表裏方向やその画像位置を確認した結果、両面印刷条件がオーケー(以下、「OK」と記述する)と判断した場合に、上述したように両面印刷モードキー117を押した後、両面印刷モード表示ランプ117aの点灯を確認し、さらに上記したように両面製版・印刷条件を各種キーで入力・設定し、最後に製版スタートキー104を押すと、スタート信号が生成されてこれが図25に示す制御手段129Aへ送信されると、制御手段129Aから両面印刷用製版開始の指令が出される。以下の動作は、第1の実施形態と同様に行われるためその説明を省略する。
両面印刷条件がOKでないエヌジー(以下、「NG」と記述する)の場合には、ADFの原稿載置台にセットした両面印刷用の原稿、あるいはコンタクトガラス93上にセットした両面印刷用の原稿の画像の向きや位置などを適宜修正した後、あるいは原稿セットマニュアル等を参照して修正した後、両面印刷動作を行うための上記操作を行うこととなる。
【0167】
両面孔版印刷装置1と両面機能付きプリンタ150との接続方法は、図25に示したように両面孔版印刷装置1に直接的に両面機能付きプリンタ150が接続されている方式のものに限らず、両面孔版印刷装置1にネットワークを介して単数のあるいは複数の両面機能付きプリンタ150が接続されている方式でもよい。また、両面孔版印刷装置1自体が画像出力手段としての両面機能付きプリンタ150を内蔵していてもよい。また、画像出力手段としては、両面機能付きプリンタ150に限らず、用紙の表裏面に相当する出力面を備えた、すなわち用紙のサイズと少なくとも同じ大きさ以上の出力面としての表示画面(ディスプレイ)を備えた3D表示が可能な3D表示装置であってもよい。この場合には、ディスプレイに両面画像の表裏方向および該画像位置の少なくとも一つを確認可能に両面画像を作成・出力させるようにすればよい。
要するに、両面印刷用製版を開始する前に、印刷用版としてのマスタ等を使用しないで画像を出力できる画像出力手段によって、画像データに応じた両面画像の表裏方向および該画像位置の少なくとも一つを確認可能に両面画像を用紙の両面にまたは出力面に作成・出力させることが可能であれば、画像出力手段との接続方法は問わずどのような方式でも構わない。
【0168】
従って、第2の実施形態の第1の例によれば、両面印刷用製版を開始する前に、ユーザは両面製版前キー135Aを押すだけで、制御手段129Aからの指令の下に両面機能付きプリンタ150によって画像データに応じた両面画像が用紙の両面に自動的に作成・出力されるので、ユーザは用紙の両面に作成・出力された両面画像の表裏方向および該画像位置を確認した後に、両面印刷用製版を行うことにより、両面印刷物の印刷画像の表裏方向や、画像位置、綴じ代の位置の違いなどに直結する両面印刷用製版のミスがなくなるので、製版時のマスタの無駄をなくすことができる。
【0169】
(第2の実施形態の第2の例)
第2の実施形態の第2の例は、図26に示すように、第2の実施形態の第1の例と比較して、両面機能付きプリンタ150を除去してこれに代えて、製版部3で両面印刷用製版を開始する前に、両面印刷用製版を行うための画像データに応じた両面画像を縮小表示して表示する表示手段としての、操作パネル103に配置された液晶ディスプレイ120を有する点、両面製版前キー135Aに代えて、操作パネル103に括弧を付して示す両面製版前キー135Bを配設した点および制御手段129Aに代えた制御手段129Bを有する点が主に相違する。
【0170】
両面製版前キー135Bは、両面印刷用製版を開始する前に、図示しない液晶駆動回路を介して液晶ディスプレイ120を後述するように作動させるための起動信号を生成する表示起動手段としての機能を有する。両面製版前キー135Bの内部には、図示しないLEDが内蔵されていて、両面製版前キー135Bを1回押下すると上記LEDが点灯して、液晶ディスプレイ120を作動させるための起動信号が生成されたことを知らせ、同キー135Bを2回押下すると上記LEDが消灯して、上記起動信号が消滅したことを知らせるようになっている。
【0171】
制御手段129Bは、図5に示したように、内部にCPU130B、ROM131B、RAM132B、図示しないタイマおよび図示しない入出力ポートを有する周知のマイクロコンピュータを具備しており、装置本体11の内部に設けられている。
CPU130Bは、第1の例のCPU130A(制御手段129A)と比較して、その第1の制御機能を除去して、両面印刷用製版を開始する前に、すなわち両面製版前キー135Bからの液晶ディスプレイ120を作動させるための起動信号に基づいて、液晶ディスプレイ120が上記両面画像の表裏方向および該画像位置の少なくとも一つを確認可能に上記両面画像を縮小表示するように上記液晶駆動回路を制御する制御機能を有することが主に相違する。
【0172】
その他の点は第1の例のCPU130A(制御手段129A)と同様であり、CPU130Bは、操作パネル103からの各種信号および装置本体11に設けられた各種センサからの検知信号およびROM131Bから呼び出された動作プログラムに基づいて、印刷部2、製版部3、給紙部4、排版部5、排紙部6、画像読取部7に設けられた各駆動手段、再給紙手段9に設けられた再給紙レジスト接離機構40および搬送ユニット駆動モータ122、切換部材10を作動させるソレノイド123の作動等を制御し、両面孔版印刷装置1全体の動作を制御する。
【0173】
ROM131Bには、両面孔版印刷装置1全体の動作プログラムが記憶されている他、液晶ディスプレイ120を作動・制御するためのプログラムも記憶されており、この動作プログラムはCPU130Bによって適宜呼び出される。RAM132Bは、CPU130Bの計算結果を一時的に記憶する機能、操作パネル103上の各種キーおよび各種センサから設定および入力されたデータ信号およびオン・オフ信号を随時記憶する機能等を有している。また制御手段129Bは、ホームポジションセンサ134からのホームポジション信号と、印刷ドラム駆動手段121に設けられた図示しないエンコーダからの信号とに基づいて、印刷ドラム12の回転位相位置の把握も行っている。
【0174】
図5に示す制御手段129Bと図26に示す制御手段129Bとは同じもので、それぞれ別の観点からのブロック図である。以下、説明の簡明化を図るためCPU130Bを、制御手段129Bというときがある。なお、図20や図24を借用して説明すると、図26に示す両面孔版印刷装置1に対して水平積載式のソータ210や反転積載式のソータ208を適宜連結するとともに、外部I/F211を介して制御手段129Bに対して、第1ないし第5の例の制御機能を適宜付加して構成し動作するようにしてもよい。また、構成が複雑になるとともにコストアップしても構わないのであれば、第1の例の両面機能付きプリンタ150を連結するとともに制御手段129Bに第2の実施形態の第1の例の制御手段129Aの制御機能を付加したものであっても構わない。
【0175】
第2の実施形態の第2の例の動作を説明する。
両面印刷を行う前において、先ず、ユーザは図示しないADFの原稿載置台に両面印刷用の原稿を載置・セットしたり、あるいはコンタクトガラス93上に載置・セットしたりした後、図6に示す操作パネル103上の両面製版前キー135Bを押す。これにより、同キー135Bから液晶ディスプレイ120を作動させるための起動信号が生成されて、これが制御手段129Bに入力されるとともに、同キー135B内部の上記LEDが点灯することにより、両面製版前モード状態であることを確認できる。
【0176】
次いで、両面印刷用の原稿の画像が上述したと同様にして画像読取部7で読み取られ処理され、両面印刷用製版を行うためのデジタルの画像データが制御手段129Bに送信・入力される。この際、制御手段129Bは両面製版前モード状態であることを認識しており、両面印刷用製版を開始する前に、液晶ディスプレイ120に一度両面印刷用のデジタルの画像データを送信して、画像データに応じた両面画像の表裏方向および該画像位置の少なくとも一つを確認可能に両面画像を縮小表示させるように液晶ディスプレイ120を制御するので、その両面画像が液晶ディスプレイ120に縮小表示される。ユーザは、液晶ディスプレイ120に縮小表示された両面画像を見て、適宜その両面画像の表裏方向やその画像位置を確認する。両面画像の表裏方向やその画像位置を確認した結果、両面印刷条件がOKと判断した場合に、第2の実施形態の第1の例と同様に両面印刷モードキー117を押した後、両面印刷モード表示ランプ117aの点灯を確認し、さらに上記したように両面製版・印刷条件を各種キーで入力・設定し、最後に製版スタートキー104を押すと、スタート信号が生成されてこれが図26に示す制御手段129Bへ送信されると、制御手段129Bから両面印刷用製版開始の指令が出される。以下の動作は、第1の実施形態と同様に行われるためその説明を省略する。両面印刷条件がNGの場合には、第1の実施形態の第1の例と同様の操作を行うこととなる。
【0177】
従って、第2の実施形態の第2の例によれば、両面印刷用製版を開始する前に、ユーザは両面製版前キー135Bを押すだけで、制御手段129Bからの指令の下に両面印刷用の画像データに応じた両面画像が液晶ディスプレイ120に縮小表示されるので、ユーザは液晶ディスプレイ120に縮小表示された両面画像の表裏方向および該画像位置を確認した後に、両面印刷用製版を行うことにより、両面印刷物の印刷画像の表裏方向や、画像位置、綴じ代の位置の違いなどに直結する両面印刷用製版のミスがなくなるので、製版時のマスタの無駄をなくすことができる。
【0178】
(第2の実施形態の第3の例)
第2の実施形態の第3の例は、図26に示すように、第2の実施形態の第2の例と比較して、製版部3で両面印刷用製版を開始する前に、液晶ディスプレイ120をして縮小表示された両面画像を3次元的に表示できるように3D表示手段として液晶ディスプレイ120を構成した点、両面製版前キー135Bに代えて、操作パネル103に括弧を付して示す両面製版前キー135Cを配設した点および制御手段129Bに代えた制御手段129Cを有する点が主に相違する。
ここで、「3D表示」とは、マイクロコンピュータを含むコンピュータを用いて、3次元(3D)の物体を表示させる周知の表示方式(例えばジオメトリ処理、レンダリングの順に行われる)に係る技術が採用されている。
両面製版前キー135Cは、両面印刷用製版を開始する前に、図示しない液晶駆動回路を介して液晶ディスプレイ120を後述するように作動させるための起動信号を生成する3D表示起動手段としての機能を有する。両面製版前キー135Cの内部には、図示しないLEDが内蔵されていて、両面製版前キー135Cを1回押下すると上記LEDが点灯して、液晶ディスプレイ120を作動させるための起動信号が生成されたことを知らせ、同キー135Cを2回押下すると上記LEDが消灯して、上記起動信号が消滅したことを知らせるようになっている。
制御手段129Cは、図5に示したように、内部にCPU130C、ROM131C、RAM132C、図示しないタイマおよび図示しない入出力ポートを有する周知のマイクロコンピュータを具備しており、装置本体11の内部に設けられている。
【0179】
CPU130Cは、第2の例のCPU130B(制御手段129B)と比較して、CPU130Bに代えてこれを除去して、両面印刷用製版を開始する前に、すなわち両面製版前キー135Cからの液晶ディスプレイ120を作動させるための起動信号および4方向キー114からの信号に基づいて、液晶ディスプレイ120が上記両面画像の表裏方向および該画像位置の少なくとも一つを確認可能に上記両面画像を3D縮小表示させるとともに、その3D縮小表示された両面画像を回転させる制御機能を有することが主に相違する。
その他の点は第2の例のCPU130B(制御手段129B)と同様であり、CPU130Cは、操作パネル103からの各種信号および装置本体11に設けられた各種センサからの検知信号およびROM131Cから呼び出された動作プログラムに基づいて、印刷部2、製版部3、給紙部4、排版部5、排紙部6、画像読取部7に設けられた各駆動手段、再給紙手段9に設けられた再給紙レジスト接離機構40および搬送ユニット駆動モータ122、切換部材10を作動させるソレノイド123の作動等を制御し、両面孔版印刷装置1全体の動作を制御する。
【0180】
ROM131Cには、両面孔版印刷装置1全体の動作プログラムが記憶されている他、液晶ディスプレイ120を作動・制御するためのプログラムも記憶されており、この動作プログラムはCPU130Cによって適宜呼び出される。RAM132Cは、CPU130Cの計算結果を一時的に記憶する機能、操作パネル103上の各種キーおよび各種センサから設定および入力されたデータ信号およびオン・オフ信号を随時記憶する機能等を有している。また制御手段129Cは、ホームポジションセンサ134からのホームポジション信号と、印刷ドラム駆動手段121に設けられた図示しないエンコーダからの信号とに基づいて、印刷ドラム12の回転位相位置の把握も行っている。
【0181】
図5に示す制御手段129Cと図26に示す制御手段129Cとは同じもので、それぞれ別の観点からのブロック図である。以下、説明の簡明化を図るためCPU130Cを、制御手段129Cというときがある。なお、図20や図24を借用して説明すると、図26に示した両面孔版印刷装置1に対して水平積載式のソータ210や反転積載式のソータ208を適宜連結するとともに、外部I/F211を介して制御手段129Cに対して、第1ないし第5の例の制御機能を適宜付加してもよい。また、構成が複雑になるとともにコストアップしても構わないのであれば、第1の例の両面機能付きプリンタ150を連結するとともに制御手段129Cに第2の実施形態の第1の例の制御手段129Aの制御機能を付加したり、第2の実施形態の第2の例の制御手段129Bの制御機能を付加したりしたものであっても構わない。
【0182】
第2の実施形態の第3の例の動作を説明する。
両面印刷を行う前において、先ず、ユーザは図示しないADFの原稿載置台に両面印刷用の原稿を載置・セットしたり、あるいはコンタクトガラス93上に載置・セットしたりした後、図6に示す操作パネル103上の両面製版前キー135Cを押す。これにより、同キー135Cから液晶ディスプレイ120を作動させるための起動信号が生成されて、これが制御手段129Cに入力されるとともに、同キー135C内部の上記LEDが点灯することにより、両面製版前モード状態であることを確認できる。
次いで、両面印刷用の原稿の画像が上述したと同様にして画像読取部7で読み取られ処理され、両面印刷用製版を行うためのデジタルの画像データが制御手段129Cに送信・入力される。この際、制御手段129Cは両面製版前モード状態であることを認識しており、両面印刷用製版を開始する前に、液晶ディスプレイ120に一度両面印刷用のデジタルの画像データを送信して、画像データに応じた両面画像の表裏方向および該画像位置の少なくとも一つを確認可能に両面画像を3D縮小表示させるように液晶ディスプレイ120を制御するので、その両面画像が液晶ディスプレイ120に3D縮小表示される。
【0183】
次いで、ユーザは、液晶ディスプレイ120に3D縮小表示された両面画像を見て、4方向キー114の上キー114a、下キー114b、左キー114c、右キー114dを適宜所望とする回転分に応じて押下・操作することにより、3D縮小表示された両面画像を各方向に所定の角度自由に回転させることでその両面画像の表裏方向やその画像位置を確認することができる。両面画像の表裏方向やその画像位置を確認した結果、両面印刷条件がOKと判断した場合に、第2の実施形態の第2の例と同様に両面印刷モードキー117を押した後、両面印刷モード表示ランプ117aの点灯を確認し、さらに上記したように両面製版・印刷条件を各種キーで入力・設定し、最後に製版スタートキー104を押すと、スタート信号が生成されてこれが図26に示す制御手段129Cへ送信されると、制御手段129Cから両面印刷用製版開始の指令が出される。以下の動作は、第1の実施形態と同様に行われるためその説明を省略する。
【0184】
従って、第2の実施形態の第3の例によれば、ユーザは液晶ディスプレイ120に3D縮小表示された両面画像の表裏方向および該画像位置を確認した後に、両面印刷用製版を行うことにより、両面印刷物の印刷画像の表裏方向や、画像位置、綴じ代の位置の違いなどに直結する両面印刷用製版のミスがなくなるので、製版時のマスタの無駄をなくすことができる。
【0185】
図26および図27を参照して、本発明に係る第3の実施形態を説明する。
この第3の実施形態では、第2の実施形態ほどの顕著な効果を望まなくてもよい場合に有益である。すなわち、両面印刷用製版を行うための画像データに基づいて、製版部3によりマスタ64を製版して両面印刷用のマスタ64を得て、これを印刷ドラム12に巻装して両面印刷してみないと、両面印刷物の印刷画像の表裏方向や、画像位置、綴じ代の位置の違いなどが確認できないという点、および画像読取部7を使用して両面印刷用の原稿をセットしその画像を読み取る場合に、その原稿の向き・セット方向などを間違えたことを知らずに通常の両面印刷を行ってしまうとその両面印刷に使用した用紙およびこれに伴って消費するインキが無駄になってしまう点に鑑みて、両面印刷に使用するサプライとしての用紙およびインキを無駄にしない両面孔版印刷装置を得るものである。
【0186】
(第3の実施形態の第1の例)
図26に、第3の実施形態の第1の例を示す。第3の実施形態の第1の例は、第2の実施形態の第1の例と比較して、両面機能付きプリンタ150および両面製版前キー135Aを除去するとともに、制御手段129Aに代えて、両面印刷用のマスタ64の印刷ドラム12への巻装後であって両面印刷の前に、図8に示す両面印刷用のマスタ64における少なくとも表面画像201と裏面画像202とに亘る用紙サイズの用紙Pを給紙部4から給紙させてこれに表面画像201と裏面画像202とに対応した表面印刷画像201aと裏面印刷画像202aとを形成する片面印刷を行った後排紙させる制御手段129D(以下、「制御手段129D」という)を有する点が主に相違する。
【0187】
制御手段129Dは、図5に示したように、内部にCPU130D、ROM131D、RAM132D、図示しないタイマおよび図示しない入出力ポートを有するマイクロコンピュータを具備しており、装置本体11の内部に設けられている。
CPU130Dは、第1の実施形態のCPU130(制御手段129)と比較して、第1ないし第5の例の制御機能を除去してこれに代えて、両面印刷用のマスタ64の印刷ドラム12への巻装後であって両面印刷の前に、図8に示す両面印刷用のマスタ64における少なくとも表面画像201と裏面画像202とに亘る用紙サイズの用紙Pを給紙部4から給紙させてこれに表面画像201と裏面画像202とに対応した表面印刷画像201aと裏面印刷画像202aとを形成する片面印刷を行った後排紙させるように印刷部2、給紙部4、排紙部6に設けられた各駆動手段、切換部材10を作動させるソレノイド123の作動等を制御する制御機能を有することが主に相違する。
【0188】
その他の点は第1の実施形態のCPU130(制御手段129)と同様であり、CPU130Dは、操作パネル103からの各種信号および装置本体11に設けられた各種センサからの検知信号およびROM131Dから呼び出された動作プログラムに基づいて、印刷部2、製版部3、給紙部4、排版部5、排紙部6、画像読取部7に設けられた各駆動手段、再給紙手段9に設けられた再給紙レジスト接離機構40および搬送ユニット駆動モータ122、切換部材10を作動させるソレノイド123の作動等を制御し、両面孔版印刷装置1全体の動作を制御する。
【0189】
ROM131Dには、両面孔版印刷装置1全体の動作プログラムが記憶されている他、CPU130Dの上記制御機能を発揮するためのプログラムも記憶されており、この動作プログラムはCPU130Dによって適宜呼び出される。RAM132Dは、CPU130Dの計算結果を一時的に記憶する機能、操作パネル103上の各種キーおよび各種センサから設定および入力されたデータ信号およびオン・オフ信号を随時記憶する機能等を有している。また制御手段129Dは、ホームポジションセンサ134からのホームポジション信号と、印刷ドラム駆動手段121に設けられた図示しないエンコーダからの信号とに基づいて、印刷ドラム12の回転位相位置の把握も行っている。
【0190】
図5に示す制御手段129Dと図26に示す制御手段129Dとは同じもので、それぞれ別の観点からのブロック図である。以下、説明の簡明化を図るためCPU130Dを、制御手段129Dというときがある。なお、図20や図24を借用して説明すると、図26に示す両面孔版印刷装置1に対して水平積載式のソータ210や反転積載式のソータ208を適宜連結するとともに、外部I/F211を介して制御手段129Dに対して、第1ないし第5の例の制御機能を適宜付加して構成し動作するようにしても構わない。
【0191】
第3の実施形態の第1の例の動作を説明する。
まず、この動作の前提条件として、ユーザによって給紙トレイ67にはA3サイズの用紙Pが積載・セットされているものとする。ユーザは図示しないADFの原稿載置台に両面印刷用の原稿を載置・セットしたり、あるいはコンタクトガラス93上に載置・セットしたりした後、図6に示す操作パネル103上の各種キーによって製版条件を設定した後、両面印刷モードキー117を押した後に続けて片面印刷モードキー118を押す。これにより、両面印刷モード表示ランプ117aおよび片面印刷モード表示ランプ118aがともに点灯することにより、本実施形態に特有の両面印刷モード状態であることを確認できる。これらのキー117、118からの各信号が制御手段129Dの上記制御を実行するためのトリガとなる。次いで、従来と同様に、用紙厚み設定キー116を押下して使用する用紙Pの厚みを設定した後、製版スタートキー104を押すと、スタート信号が生成されて、これが制御手段129Dへ送信されて制御手段129Dから両面印刷用製版ないし版付け・片面印刷動作開始に係る指令が出される。なお、両面印刷モードキー117を押した後に続けて片面印刷モードキー118を押すことに限らず、これを一つの専用キーを設けてトリガ信号を発生させることも可能である。
【0192】
以下、制御手段129Dの制御下において、図8を参照して説明したと同様の両面印刷用製版・給版動作(詳細動作は上記特開2003−200645号公報の段落「0109」ないし「0111」参照)が自動的に実行された後、本実施形態に特有の版付け・片面印刷動作が自動的に実行される。すなわち、図8に示す両面印刷用のマスタ64における少なくとも表面画像201と裏面画像202とに亘るA3サイズの用紙Pを給紙部4から給紙させてこれに表面画像201と裏面画像202とに対応した表面印刷画像201aと裏面印刷画像202aとを形成する片面印刷が行われた後、版付け印刷物として排紙トレイ86に排紙・排出される。
ユーザは、片面印刷を行った版付け後の印刷物を印刷ドラム12の回転方向の略中央部に相当する用紙幅方向に沿って二つ折りにすることにより、両面印刷時に相当する両面画像の表裏方向および該画像位置を確認する。
【0193】
ユーザは両面画像の表裏方向やその画像位置を確認した結果、両面印刷条件がOKと判断した場合に、給紙トレイ67に両面印刷用のA4サイズの用紙Pを積載・セットして、テンキー109によって印刷枚数を設定・入力した後に印刷スタートキー105を押すと、この信号がトリガとなって制御手段129Dは両面印刷動作を実行することを認識して、第1の実施形態と同様の両面印刷動作が行われる。両面印刷条件がNGの場合には、再度、上記両面印刷用製版・給版動作から行うこととなる。
【0194】
(第3の実施形態の第2の例)
図27に、第3の実施形態の第2の例を示す。第3の実施形態の第2の例は、第3の実施形態の第1の例と比較して、複数の給紙手段を備えたバンク給紙手段としてのバンク給紙ユニット160を両面孔版印刷装置1に連結した点および制御手段129Dに代えた制御手段129Eを有する点が主に相違する。
【0195】
バンク給紙ユニット160は、オプションであり、複数の用紙サイズ(この例では、例えばA3サイズおよびA4サイズの2種類の用紙P)の用紙Pの何れかを選択されてこれを印刷ドラム12とプレスローラ13との間に給送するバンク給紙手段としての機能・構成を有する。バンク給紙ユニット160は、図1を借りて説明すると、両面孔版印刷装置1における給紙部4の分離ローラ69とレジストローラ対71との間の給紙路にその下側から立ち上がるように連結された図示しない縦給紙路を介して、給紙可能に機械的に連結されているとともに、通信可能に電気的に接続されている。
【0196】
バンク給紙ユニット160の具体例としては、例えば本願出願人が提案した特開2000−108481や特開2000−128398号公報の図1および図15等に開示されているバンク給紙部(200)を挙げることができる。バンク給紙部(200)は、給紙手段(29−1)、トレイ上(143)および同公報の図14に示されていると同様の用紙サイズ検出機構を備えた上段の給紙部としてのバンク上給紙部(201)および給紙手段(29−2)、トレイ下(145)および同公報の図14に示されていると同様の用紙サイズ検出機構を備えた下段の給紙部としてのバンク下給紙部(202)等とを具備している周知の構成をなす。
バンク給紙ユニット160は、自身に配設された図示しないバンク給紙制御手段(上記同公報ではバンク給紙制御装置(148))が外部I/F161を介して制御手段129Eに互いにシリアル通信可能に接続されている。
【0197】
制御手段129Eは、図5に示したように、内部にCPU130E、ROM131E、RAM132E、図示しないタイマおよび図示しない入出力ポートを有するマイクロコンピュータを具備しており、装置本体11の内部に設けられている。
CPU130Eは、第3の実施形態のCPU130D(制御手段129D)と比較して、CPU130Dに代えて、両面印刷用のマスタ64の印刷ドラム12への巻装後であって両面印刷の前に、図8に示す両面印刷用のマスタ64における少なくとも表面画像201と裏面画像202とに亘る用紙サイズの用紙Pをバンク給紙ユニット160から自動的に選択・給紙させてこれに表面画像201と裏面画像202とに対応した表面印刷画像201aと裏面印刷画像202aとを形成する片面印刷を行った後排紙させるように印刷部2、給紙部4、排紙部6に設けられた各駆動手段、切換部材10を作動させるソレノイド123の作動等を制御する制御機能を有することが主に相違する。
【0198】
その他の点は第3の実施形態のCPU130D(制御手段129D)と同様であり、CPU130Eは、操作パネル103からの各種信号および装置本体11に設けられた各種センサからの検知信号およびROM131Eから呼び出された動作プログラムに基づいて、印刷部2、製版部3、給紙部4、排版部5、排紙部6、画像読取部7に設けられた各駆動手段、再給紙手段9に設けられた再給紙レジスト接離機構40および搬送ユニット駆動モータ122、切換部材10を作動させるソレノイド123の作動等を制御し、両面孔版印刷装置1全体の動作を制御する。
【0199】
ROM131Eには、両面孔版印刷装置1全体の動作プログラムが記憶されている他、CPU130Eの上記制御機能を発揮するためのプログラムも記憶されており、この動作プログラムはCPU130Eによって適宜呼び出される。RAM132Eは、CPU130Eの計算結果を一時的に記憶する機能、操作パネル103上の各種キーおよび各種センサから設定および入力されたデータ信号およびオン・オフ信号を随時記憶する機能等を有している。また制御手段129Eは、ホームポジションセンサ134からのホームポジション信号と、印刷ドラム駆動手段121に設けられた図示しないエンコーダからの信号とに基づいて、印刷ドラム12の回転位相位置の把握も行っている。
【0200】
図5に示す制御手段129Eと図27に示す制御手段129Eとは同じもので、それぞれ別の観点からのブロック図である。以下、説明の簡明化を図るためCPU130Eを、制御手段129Eというときがある。なお、図20や図24を借用して説明すると、図27に示す両面孔版印刷装置1に対して水平積載式のソータ210や反転積載式のソータ208を適宜連結するとともに、外部I/F211を介して制御手段129Eに対して、第1ないし第5の例の制御機能を適宜付加して構成し動作するようにしても構わない。
【0201】
第3の実施形態の第2の例の動作を説明する。
まず、この動作の前提条件として、ユーザによってバンク上給紙部(201)のトレイ上(143)にはA4サイズの用紙Pが、バンク下給紙部(202)トレイ下(145)にはA3サイズの用紙Pがそれぞれ積載・セットされているものとする。ユーザは図示しないADFの原稿載置台に両面印刷用の原稿を載置・セットしたり、あるいはコンタクトガラス93上に載置・セットしたりした後、図6に示す操作パネル103上の各種キーによって製版条件を設定した後、両面印刷モードキー117を押した後に続けて片面印刷モードキー118を押す。これにより、両面印刷モード表示ランプ117aおよび片面印刷モード表示ランプ118aがともに点灯することにより、本実施形態に特有の両面印刷モード状態であることを確認できる。これらのキー117、118からの各信号が制御手段129Eの上記制御を実行するためのトリガとなる。次いで、従来と同様に、用紙厚み設定キー116を押下して使用する用紙Pの厚みを設定した後、製版スタートキー104を押すと、スタート信号が生成されて、これが制御手段129Eへ送信されて制御手段129Eから両面印刷用製版ないし版付け・片面印刷動作開始に係る指令が出される。
【0202】
以下、制御手段129Eの制御下において、図8を参照して説明したと同様の両面印刷用製版・給版動作(詳細動作は上記特開2003−200645号公報の段落「0109」ないし「0111」参照)が自動的に実行された後、本実施形態に特有の版付け・片面印刷動作が自動的に実行される。すなわち、制御手段129Eは、図8に示す両面印刷用のマスタ64における少なくとも表面画像201と裏面画像202とに亘るA3サイズの用紙Pを積載しているトレイ下(145)を備えたバンク下給紙部(202)を、上記用紙サイズ検出機構からの信号に基づいて自動的に選択して、その給紙手段(29−2)を作動させることによりバンク下給紙部(202)から自動的に給紙させる。そして、そのA3サイズの用紙Pに表面画像201と裏面画像202とに対応した表面印刷画像201aと裏面印刷画像202aとを形成する片面印刷が行われた後、版付け印刷物として排紙トレイ86に排紙・排出される。
ユーザは、片面印刷を行った版付け後の印刷物を印刷ドラム12の回転方向の略中央部に相当する用紙幅方向に沿って二つ折りにすることにより、両面印刷時に相当する両面画像の表裏方向および該画像位置を確認する。
【0203】
ユーザは両面画像の表裏方向やその画像位置を確認した結果、両面印刷条件がOKと判断した場合に、テンキー109によって印刷枚数を設定・入力した後に印刷スタートキー105を押すと、この信号がトリガとなって制御手段129Eは両面印刷動作を実行することを認識して、A4サイズの用紙Pを積載しているトレイ上(143)を備えたバンク上給紙部(201)を、上記用紙サイズ検出機構からの信号に基づいて自動的に選択して、その給紙手段(29−1)を作動させることによりバンク上給紙部(201)から自動的に給紙させる。以下、第1の実施形態と同様の両面印刷動作が行われる。両面印刷条件がNGの場合には、再度、上記両面印刷用製版・給版動作から行うこととなる。
【0204】
第3の実施形態の第1および第2の例では、版付け後の印刷物を確認して両面印刷時に相当する両面画像の表裏方向および該画像位置を確認することが不十分の場合には、試し刷りキー106を押すことで、さらに1枚のA3サイズの用紙を給紙してその印刷物を確認するようなことも勿論可能である。
【0205】
第3の実施形態の第1および第2の例において、版付け印刷に使用される用紙Pは、上記例ではA3サイズであって、版付け印刷物を見て両面画像の表裏方向および該画像位置を確認することができ、かつ、ジャム等を発生しない程度の厚みのものであれば、例えば片面に印刷画像が形成されたヤレ紙と呼ばれる印刷済みの用紙の未印刷面に上記両面印刷画像を形成すべく使用してもよい。この場合には、用紙の無駄をさらに少なくすることができる。
【0206】
従って、第3の実施形態の第1および第2の例によれば、通常の正規の両面印刷に使用するサプライとしてのA4サイズの用紙およびインキの無駄をなくすことができるとともに、後述する第4および第5の実施形態における版付け・試し刷り両面印刷動作を行う場合と比較して、簡単な版付け・片面印刷動作であることにより再製版のための時間(再製版に至るまでのトータルの再製版時間)も短縮できる。
【0207】
(第4の実施形態)
図28を参照して、本発明に係る第4の実施形態を説明する。
この第4の実施形態では、第2の実施形態ほどの顕著な効果や第3の実施形態ほどの効果を望まなくてもよい場合に有益である。すなわち、両面印刷用製版を行うための画像データに基づいて、製版部3によりマスタ64を製版して両面印刷用のマスタ64を得て、これを印刷ドラム12に巻装して両面印刷してみないと、両面印刷物の印刷画像の表裏方向や、画像位置、綴じ代の位置の違いなどが確認できないという点、および画像読取部7を使用して両面印刷用の原稿をセットしその画像を読み取る場合に、その原稿の向き・セット方向などを間違えたことを知らずに通常の両面印刷を行ってしまうとその両面印刷に使用した用紙およびこれに伴って消費するインキが無駄になってしまう点に鑑みて、両面印刷に使用するサプライとしての用紙およびインキを無駄にしない両面孔版印刷装置を得るものである。
【0208】
第4の実施形態は、図28に示すように、第2の実施形態の第1の例と比較して、両面機能付きプリンタ150および両面製版前キー135Aを除去した点、制御手段129Aに代えて、液晶ディスプレイ120をして修正ガイダンスを自動的に表示させる制御手段129F(以下、「制御手段129F」という)を有する点、反転積載式のソータ208または水平積載式のソータ210を連結した点、不具合ガイダンス選択手段としての選択設定キー120a、120b、120c、120dを有する点および上記した不具合表示手段および修正ガイダンス表示手段としての液晶ディスプレイ120を有する点が主に相違する。
【0209】
選択設定キー120a、120b、120c、120dは、両面印刷用のマスタ64の印刷ドラム12への巻装後であって通常の両面印刷の前に行われる版付け両面印刷動作または試し刷り両面印刷動作によって得られた両面印刷物をユーザが確認した結果、両面印刷時の表裏画像の向きの違い、綴じ代の位置の違いおよび反転積載式のソータ208または水平積載式のソータ210に配紙・出力した場合に表裏が逆等の不具合項目のうちの少なくとも一つが分かった場合に、液晶ディスプレイ120に表示された不具合項目からその不具合項目を選択するための不具合ガイダンス選択手段としての機能を有する。
【0210】
液晶ディスプレイ120は、両面印刷用のマスタ64の印刷ドラム12への巻装後であって通常の両面印刷の前に、両面印刷時の表裏画像の向きの違い、綴じ代の位置の違いおよび反転積載式のソータ208または水平積載式のソータ210に配紙・出力した場合に表裏が逆等の不具合項目のうちの少なくとも一つを表示する不具合表示手段としての機能を有する。
また、液晶ディスプレイ120は、選択設定キー120a、120b、120c、120dにより選択された不具合項目に対応してその不具合を修正するための修正ガイダンスを表示する修正ガイダンス表示手段としての機能も有する。
【0211】
制御手段129Fは、図5に示したように、内部にCPU130F、ROM131F、RAM132F、図示しないタイマおよび図示しない入出力ポートを有するマイクロコンピュータを具備しており、装置本体11の内部に設けられている。
【0212】
CPU130Fは、第1の実施形態のCPU130(制御手段129)と比較して、第1ないし第5の例の制御機能を除去してこれに代えて、両面印刷用のマスタ64の印刷ドラム12への巻装後であって通常の両面印刷の前に、選択設定キー120a、120b、120c、120dからの不具合項目選択に係る信号に基づいて、液晶ディスプレイ120が修正ガイダンスを自動的に表示するように上記図示しない液晶駆動回路を制御する制御機能を有する点が主に相違する。
その他の点は第1の実施形態のCPU130(制御手段129)と同様であり、CPU130Fは、操作パネル103からの各種信号および装置本体11に設けられた各種センサからの検知信号およびROM131Fから呼び出された動作プログラムに基づいて、印刷部2、製版部3、給紙部4、排版部5、排紙部6、画像読取部7に設けられた各駆動手段、再給紙手段9に設けられた再給紙レジスト接離機構40および搬送ユニット駆動モータ122、切換部材10を作動させるソレノイド123の作動等を制御し、両面孔版印刷装置1全体の動作を制御する。
【0213】
ROM131Fには、両面孔版印刷装置1全体の動作プログラムが記憶されている他、CPU130Fの上記制御機能を発揮するためのプログラムも記憶されており、この動作プログラムはCPU130Fによって適宜呼び出される。RAM132Fは、CPU130Fの計算結果を一時的に記憶する機能、操作パネル103上の各種キーおよび各種センサから設定および入力されたデータ信号およびオン・オフ信号を随時記憶する機能等を有している。また制御手段129Fは、ホームポジションセンサ134からのホームポジション信号と、印刷ドラム駆動手段121に設けられた図示しないエンコーダからの信号とに基づいて、印刷ドラム12の回転位相位置の把握も行っている。
【0214】
図5に示す制御手段129Fと図28に示す制御手段129Fとは同じもので、それぞれ別の観点からのブロック図である。以下、説明の簡明化を図るためCPU130Fを、制御手段129Fというときがある。なお、図20や図24を借用して説明すると、図28に示す両面孔版印刷装置1の制御手段129Fに対して、第1ないし第5の例の制御機能を適宜付加して構成し動作するようにしても構わない。
【0215】
第4の実施形態の動作を説明する。
版付け両面印刷動作の詳細は、上記特開2003−200645号公報の段落「0107」ないし「0125」に詳細に記載されているとおりに行われ、版付け両面印刷動作によって得られた版付け・両面印刷物が排紙トレイ87、あるいは反転積載式のソータ208または水平積載式のソータ210に排出される。ユーザは排紙トレイ87に排出された版付け・両面印刷物の内容を確認すべく見た時に、版付け・両面印刷物の表裏画像の向きが違っていたり、綴じ代の位置が違っていたり、あるいはソータ208、210に配紙・出力された場合に表裏が逆だったりしたことが分かる。このような場合に、まず、ユーザは例えば選択設定キー120aを適宜押すと、制御手段129Fは選択設定キー120aからの信号に基づいて、液晶ディスプレイ120に表示されている表示画面を上記不具合の全項目を表わす不具合ガイダンス・表示画面に切り替える制御を行う。不具合ガイダンス・表示画面には、例えば「印刷が表裏逆」、「綴じ代の位置が表裏逆」、「裏面印刷画像の向きが逆」等が表示される。
【0216】
ユーザは液晶ディスプレイ120に表示された全不具合項目の中から、自身が確認した上記不具合項目に対応したその不具合項目を選択すべく、例えば選択設定キー120bまたは4方向キー114で「印刷が表裏逆」を選択した場合には、「印刷が表裏逆」表示が白黒反転する。この際の反転表示信号に基づいて、制御手段129Fは「印刷が表裏逆」に対応した修正ガイダンスをROM131Fから抽出して、その修正ガイダンスとして「製版の順序を逆にして下さい」を液晶ディスプレイ120に表示する制御を行う。
【0217】
また、例えば選択設定キー120bまたは4方向キー114で「裏面印刷画像の向きが逆」を選択した場合には、「裏面印刷画像の向きが逆」表示が白黒反転する。この際の反転表示信号に基づいて、制御手段129Fは「裏面印刷画像の向きが逆」に対応した修正ガイダンスをROM131Fから抽出して、その修正ガイダンスとして「裏面印刷用の第2の画像を180度回転して下さい」を液晶ディスプレイ120に表示する制御を行う。
【0218】
ユーザは液晶ディスプレイ120に表示された修正ガイダンス、すなわち「製版の順序を逆にして下さい」に従って両面印刷用の原稿の位置・向きを修正したり、「裏面印刷用の第2の画像を180度回転して下さい」に従って裏面印刷用の原稿の位置・向きを修正したりした上で、再度、両面印刷用製版を行うこととなる。
【0219】
一方、試し刷り両面印刷動作の詳細は、上記特開2003−200645号公報の段落「0126」ないし「0131」に詳細に記載されているとおりに行われ、試し刷り両面印刷動作によって得られた試し刷り・両面印刷物が排紙トレイ87、あるいは反転積載式のソータ208または水平積載式のソータ210に排出される。以下、制御手段129Fの制御の下に版付け両面印刷動作と同様に行われる。なお、試し刷り両面印刷動作は、版付け両面印刷動作と比較して、設定された印刷速度で比較的高速で行われる点が主に相違するだけである。
【0220】
従って、第4の実施形態によれば、通常の正規の両面印刷に使用するサプライとしてのA4サイズの用紙およびインキの無駄をなくすことができるとともに、選択設定キー120a、120b、120c、120dで自身が確認した不具合項目を選択するだけで、後は自動的に液晶ディスプレイ120に修正ガイダンスが表示されるので、ユーザは修正ガイダンスに従った修正手順で操作を行えばよく、両面印刷の製版位置を修正する時に操作を間違えることなく両面印刷を行うことができる。
【0221】
(第5の実施形態)
図29を参照して、本発明に係る第5の実施形態を説明する。
第5の実施形態は、図29に示すように、第4の実施形態と比較して、画像読取部7で読み取られた両面印刷用の画像データを一時的に記憶する画像記憶手段としての画像メモリ176を付加した点、制御手段129Fに代えて、選択設定キー120a、120b、120c、120dからの不具合項目選択に係る信号に基づいて、修正ガイダンス表示手段としての液晶ディスプレイ120をして修正ガイダンスを自動的に表示させるとともに、画像メモリ176から画像データを呼び出して製版部3をして自動的に修正ガイダンスに対応した修正再製版を行わせる制御手段129G(以下、「制御手段129G」という)を有する点が主に相違する。
【0222】
制御手段129Gは、図5に示したように、内部にCPU130G、ROM131G、RAM132G、図示しないタイマおよび図示しない入出力ポートを有するマイクロコンピュータを具備しており、装置本体11の内部に設けられている。
【0223】
CPU130Gは、第4の実施形態のCPU130F(制御手段129F)と比較して、両面印刷用のマスタ64の印刷ドラム12への巻装後であって通常の両面印刷の前に、選択設定キー120a、120b、120c、120dからの不具合項目選択に係る信号に基づいて、液晶ディスプレイ120が修正ガイダンスを自動的に表示するように上記図示しない液晶駆動回路を制御するとともに、画像メモリ176から画像データを呼び出して製版部3が自動的に修正ガイダンスに対応した修正再製版を行うように製版部3の製版駆動手段124およびサーマルヘッド画像処理部を制御する制御機能を有する点が主に相違する。
その他の点は第4の実施形態のCPU130F(制御手段129F)と同様であり、CPU130Gは、操作パネル103からの各種信号および装置本体11に設けられた各種センサからの検知信号およびROM131Gから呼び出された動作プログラムに基づいて、印刷部2、製版部3、給紙部4、排版部5、排紙部6、画像読取部7に設けられた各駆動手段、再給紙手段9に設けられた再給紙レジスト接離機構40および搬送ユニット駆動モータ122、切換部材10を作動させるソレノイド123の作動等を制御し、両面孔版印刷装置1全体の動作を制御する。
【0224】
ROM131Gには、両面孔版印刷装置1全体の動作プログラムが記憶されている他、CPU130Gの上記制御機能を発揮するためのプログラムも記憶されており、この動作プログラムはCPU130Gによって適宜呼び出される。RAM132Gは、CPU130Gの計算結果を一時的に記憶する機能、操作パネル103上の各種キーおよび各種センサから設定および入力されたデータ信号およびオン・オフ信号を随時記憶する機能等を有している。また制御手段129Gは、ホームポジションセンサ134からのホームポジション信号と、印刷ドラム駆動手段121に設けられた図示しないエンコーダからの信号とに基づいて、印刷ドラム12の回転位相位置の把握も行っている。
【0225】
図5に示す制御手段129Gと図29に示す制御手段129Gとは同じもので、それぞれ別の観点からのブロック図である。以下、説明の簡明化を図るためCPU130Gを、制御手段129Gというときがある。なお、図20や図24を借用して説明すると、図29に示す両面孔版印刷装置1の制御手段129Gに対して、第1ないし第5の例の制御機能を適宜付加して構成し動作するようにしても構わない。
【0226】
第5の実施形態の動作を、第4の実施形態のそれと相違する点を中心に説明する。
版付け両面印刷動作が第4の実施形態のそれと同様に行われ、ユーザは排紙トレイ87に排出された版付け・両面印刷物の内容を確認すべく見た時に、版付け・両面印刷物の表裏画像の向きが違っていたり、綴じ代の位置が違っていたり、あるいはソータ208、210に配紙・出力された場合に表裏が逆だったりしたことが分かる。このような場合に、まず、ユーザは例えば選択設定キー120aを適宜押すと、制御手段129Gは選択設定キー120aからの信号に基づいて、液晶ディスプレイ120に表示されている表示画面を上記不具合の全項目を表わす不具合ガイダンス・表示画面に切り替える制御を行う。不具合ガイダンス・表示画面には、例えば「印刷が表裏逆」、「綴じ代の位置が表裏逆」、「裏面印刷画像の向きが逆」等が表示される。
【0227】
ユーザは液晶ディスプレイ120に表示された全不具合項目の中から、自身が確認した上記不具合項目に対応した不具合項目を選択すべく、例えば選択設定キー120bまたは4方向キー114で「印刷が表裏逆」を選択した場合には、「印刷が表裏逆」表示が白黒反転する。この際の反転表示信号に基づいて、制御手段129Gは「印刷が表裏逆」に対応した修正ガイダンスをROM131Gから抽出して、その修正ガイダンスとして「製版の順序を逆にして下さい」を液晶ディスプレイ120に表示する制御を行う。
【0228】
また、例えば選択設定キー120bまたは4方向キー114で「裏面印刷画像の向きが逆」を選択した場合には、「裏面印刷画像の向きが逆」表示が白黒反転する。この際の反転表示信号に基づいて、制御手段129Gは「裏面印刷画像の向きが逆」に対応した修正ガイダンスをROM131Gから抽出して、その修正ガイダンスとして「裏面印刷用の第2の画像を180度回転して下さい」を液晶ディスプレイ120に表示する制御を行う。
【0229】
この表示制御と同時的に、制御手段129Gは画像メモリ176から画像データを呼び出して、製版部3が自動的に修正ガイダンスに対応した修正再製版を行うように製版駆動手段124およびサーマルヘッド画像処理部を制御することにより、「製版の順序を逆にして下さい」に従って両面印刷用の原稿の位置・向きを修正したことに相当する製版位置等の修正が、「裏面印刷用の第2の画像を180度回転して下さい」に従って裏面印刷用の原稿の位置・向きを修正したことに相当する製版位置等の修正が自動的に行われることとなる。試し刷り両面印刷動作でも、第4の実施形態で注記した以外は上述した動作と同様に行われる。
【0230】
従って、第5の実施形態によれば、通常の正規の両面印刷に使用するサプライとしてのA4サイズの用紙およびインキの無駄をなくすことができるとともに、選択設定キー120a、120b、120c、120dで自身が確認した不具合項目を選択するだけで、後は自動的に液晶ディスプレイ120に修正ガイダンスが表示されるとともに、一時保存されていた両面印刷用の画像データによって自動的に修正ガイダンスに従った再製版が行われるので、ユーザはさらに操作を間違えることなく正確に両面印刷を行うことができる。
【0231】
第2の実施形態の第1ないし第3の例、第3の実施形態の第1および第2の例、第4ならびに第5の実施形態では、両面印刷用の原稿画像を画像読取部7で読み取ることにより両面印刷用の画像データを得る場合について説明したが、これに限らず、PC170から出力される両面印刷用の画像データに基づいて実行されるものであってもよい。
【0232】
本発明は、上述した各実施形態や上記した特開2003−200645号公報または特開2003−237207号公報に開示した両面印刷装置に適用できることは勿論のこと、本願出願人が提案した特願2002−200645号に記載されている両面印刷装置等にも適用できる。また、プレスローラを用いての再給紙反転作用を巧みに利用した上記各公報等の両面印刷装置ほどの効果を望まなくてもよいのであれば、上記(5)1ドラム分割印刷同時反転式両面印刷方式を採用している特開平9−95033号公報や特開平9−95035号公報記載の技術等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0233】
1 両面印刷装置としての両面孔版印刷装置
2 印刷部
3 製版手段としての製版部
7 画像読取手段としての画像読取部
9 再給紙手段
11 印刷装置本体
12 印刷ドラム
13 押圧手段としてのプレスローラ
64 マスタ
103 操作パネル
117 両面印刷モードキー
118 片面印刷モードキー
120 表示手段、修正ガイダンス表示手段としての液晶ディスプレイ
120a〜120d 不具合ガイダンス選択手段としての選択設定キー
129、129A〜129G 制御手段
150 画像出力手段としての両面機能付きプリンタ
160 バンク給紙手段としてのバンク給紙ユニット
170 出力手段、コンピュータとしてのパーソナルコンピュータ(PC)
176 画像記憶手段としての画像メモリ
201 第1の画像としての表面画像
201a 表面印刷画像
202 第2の画像としての裏面画像
202a 裏面印刷画像
203 両面綴じ代部
204 所定の間隔
208 仕分け手段としての反転積載式のソータ
210 仕分け手段としての水平積載式のソータ
P 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画像と第2の画像とが1版分の長さのマスタ内に並べて製版されたマスタを印刷ドラムの外周面に巻装し、該印刷ドラムに対して相対的に接離自在な押圧手段によって上記印刷ドラム上の製版されたマスタに用紙の表面を押し付けて第1の画像または第2の画像の一方を印刷した後、その用紙を反転再給紙して上記押圧手段によって上記印刷ドラム上の製版されたマスタに用紙の裏面を押し付けて第1の画像または第2の画像の他方を印刷する両面印刷装置において、
製版されたマスタの上記印刷ドラムへの巻装後であって両面印刷の前に、少なくとも第1の画像と第2の画像とに亘る用紙サイズの用紙を給紙させてこれに第1の画像と第2の画像とに対応した片面印刷を行った後排紙させる制御手段を有し、
片面印刷を行った印刷物を上記回転方向の略中央部で二つ折りにすることにより、両面印刷時に相当する両面画像の表裏方向および該画像位置の少なくとも一つを確認可能であることを特徴とする両面印刷装置。
【請求項2】
第1の画像と第2の画像とが1版分の長さのマスタ内に並べて製版されたマスタを印刷ドラムの外周面に巻装し、該印刷ドラムに対して相対的に接離自在な押圧手段によって上記印刷ドラム上の製版されたマスタに用紙の表面を押し付けて第1の画像または第2の画像の一方を印刷した後、その用紙を反転再給紙して上記押圧手段によって上記印刷ドラム上の製版されたマスタに用紙の裏面を押し付けて第1の画像または第2の画像の他方を印刷する両面印刷装置において、
複数の用紙サイズの用紙の何れかを選択されてこれを上記印刷ドラムと上記押圧手段との間に給送するバンク給紙手段と、
製版されたマスタの上記印刷ドラムへの巻装後であって両面印刷の前に、第1の画像と第2の画像とに亘る用紙サイズの用紙を上記バンク給紙手段から自動的に選択・給紙させてこれに第1の画像と第2の画像とに対応した片面印刷を行った後排紙させる制御手段とを有し、
片面印刷を行った印刷物を上記回転方向の略中央部で二つ折りにすることにより、両面印刷時に相当する両面画像の表裏方向および該画像位置の少なくとも一つを確認可能であることを特徴とする両面印刷装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の両面印刷装置において、
上記片面印刷は、上記印刷ドラム上の製版されたマスタにインキを充填し上記外周面に密着させる版付け・印刷であることを特徴とする両面印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2010−143230(P2010−143230A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−48161(P2010−48161)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【分割の表示】特願2003−416956(P2003−416956)の分割
【原出願日】平成15年12月15日(2003.12.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000221937)東北リコー株式会社 (509)