説明

両面堀込引手

【課題】建具の扉に使用される見付けの細いタイプの引手において、厚さが薄い扉に取り付けても充分な指先差込空間を確保できるようにする。
【解決手段】表側本体10に扉の取付孔に挿入可能な箱体20を形成し、この箱体内に扉の見付け方向に移動可能に側枠部21を収納する。この側枠部21を箱体20内に収納した状態で上記取付孔に表側本体10を装着する。その後、上記側枠部21を見付け方向に移動して指先差込空間32を確保し、上記扉の内面側から内側本体11を取付孔に装着して上記表側本体10に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種扉に使用される引手に関し、特に扉の両面に指先を挿入するための堀込部を有する両面堀込引手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
開き戸、引き戸、折り戸その他の建具用の扉には、指先を差し込むための堀込部を有する引手が広く使用されている。この引手には指先を充分差し込みできるように見付け方向に広がる空間が形成され、前面には遮蔽板が形成されている(例えば特許文献1参照)。そのため、このような引手は見付けが大きくなり、体裁がよくない。そこで、見付けを小さくした細幅の引手が知られている。図5は、従来の細幅の引手1の一例を示し、差込口を形成するフランジ2の内側に指先差込空間を形成するための略弧状の筒部3を設け、該筒部3の先端を扉4に設けた取付孔5から扉内に差込み、該筒部全体を鎖線に示すように回転させながらフランジ2を扉面に着座させて取り付けている。しかし、このような構成の引手1を扉4の両面に対応して設けようとすると、取付時に上記筒部を回転させるためのスペースが扉内になければならないから、厚さが厚い扉でなければ取り付けることがむずかしく、例えば扉厚40mm程度の厚さの扉では指先が入らないほど浅くなってしまうおそれがあった。また、従来の引手は、引手の取付孔の他に、引手を扉に固定するためのねじ孔等を設ける必要があるので、加工が面倒であり、扉の強度の低下をきたすおそれもあった。
【特許文献1】特開2007−132176号公報(図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の解決課題は、両面に堀込部を有する建具の引手において、見付けを細くでき、薄い扉でも充分な深さの指先差込空間を確保できるようにした両面堀込引手を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、扉の両面に開口する取付孔に扉の表面側から装着可能な表側本体と内面側から該取付孔に装着可能な内側本体を具備し、各本体は指先を挿入する差込口を形成するフランジと該差込口に続いて扉の見付け方向に延びる案内板を有し、いずれか一方の上記本体に上記取付孔に挿入される箱体を形成し、該箱体内に扉の見付け方向に移動可能な側枠部を設け、上記扉の両側から上記表側本体と内側本体を上記取付孔に装着して連結し、上記側枠部を見付け方向に移動させて指先差込空間を形成したことを特徴とする両面堀込引手が提供され、上記課題が解決される。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、上記のように構成され、表側本体か内側本体のいずれか一方に扉の取付孔に挿入される箱体を形成し、該箱体内に見付け方向に移動可能な側枠部を設けたので、該本体を扉の取付孔に装着する際は該側枠部を箱体内に収納した状態で該取付孔に挿入し、取付孔に取付後、該側枠部を見付け方向に移動させれば、該箱体内に充分な広さの指先差込空間を確保することができ、扉厚の薄い扉でも見付けの少ない体裁のよい両面引手が得られる。また、上記表側本体と内側本体を案内板部分で連結することにより、扉には上記取付孔を設けるだけでよく、従来のように各本体を扉に固定するためのねじ孔等を設ける必要がないので、加工工程が低減され、扉強度の劣化を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1、図2は、本発明の一実施例を示し、本発明の堀込引手は表側本体10と内側本体11を具備し、各本体は扉12の両面に開口する取付孔13にそれぞれ装着可能に形成されている。各本体は指先を挿入する差込口14,15を形成するフランジ16,17を有し、該差込口に続いて内方端が扉12の見付け方向に延びる案内板18,19がフランジの内方に形成されている。上記表側本体10または内側本体11のいずれか一方、実施例においては表側本体10には上記取付孔13に挿入される箱体20が設けられ、該箱体内には扉の見付け方向に移動可能に側枠部21が設けられている。
【0007】
上記側枠部21は、上記案内板の内方端に対向する側板22と該側板22の両側に位置する端板23と上下に位置する天板24及び底板25でほぼ上記箱体20に内接する大きさの形状に形成され、該箱体の側面には側枠部21を突出させるよう開口部26が設けられている。該側枠部21の内部には、上記表側本体10と内側本体11の案内板18,19間に挟着される仕切板27が設けられ、上記箱体との間には該側枠部の移動範囲を規制するストッパーが設けられている。該ストッパーは適宜の位置に設けることができ、図3(B)に示すように上記端板23の縁部を屈曲して上記開口部26の内縁に当接するストッパー28を形成したり、上記箱体の上面若しくは下面に見付け方向に延びる所要長さのスリットを形成し、該スリットに摺動可能にピンを通し、上記側枠部の天板若しくは底板に該ピンを固定してストッパーとしてもよい(図示略)。
【0008】
上記表側本体10と内側本体11は上記取付孔13に装着した状態で連結される。図に示す実施例においては、表側本体10の案内板18の裏面にナット29を設け、内側本体11の案内板19に形成した挿通孔30からねじ31を通して該案内板18のナット29にねじ着し表側本体10と内側本体11を固定するようにしてあるが、その他適宜の構成により両者を固定することができる。
【0009】
図4を参照し、上記引手を扉に取り付けるには、上記側枠部21を箱体20内に収納した状態で扉12の表面側から取付孔13に上記表側本体10の箱体20を差込み(A)、次に上記側枠部21を見付け方向に移動させて指先差込空間32を確保する(B)。そして、扉12の内面側から上記内側本体11の案内板19を上記取付孔13に嵌着し(C)、最後に内面側からねじ31を上記ナット29に挿入して案内板どうしを固定すれば、上記仕切板も挟着状態で固定され、側枠部21も固定される(D)。なお、上記側板部21は上記内側本体11を表側本体10に緩く締着してから見付け方向に移動させ、その後にねじ着して固定してもよい。
【0010】
上記実施例の引手は、上記表側本体や内側本体が正面視矩形状であるが、正方形や円形その他適宜の形状の引手に本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施例を示す分解斜視図。
【図2】表側本体を示し、(A)は断面図、(B)は正面図。
【図3】扉に取り付けた状態を示し、(A)は背面図、(B)は断面図、(C)は正図。
【図4】取付状態を示す説明図。
【図5】従来の引手の一例を示す説明図。
【符号の説明】
【0012】
10 表側本体
11 内側本体
14,15 差込口
16,17 フランジ
18,19 案内板
20 箱体
21 側枠部
27 仕切板
32 指先差込空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉の両面に開口する取付孔に扉の表面側から装着可能な表側本体と内面側から該取付孔に装着可能な内側本体を具備し、各本体は指先を挿入する差込口を形成するフランジと該差込口に続いて扉の見付け方向に延びる案内板を有し、いずれか一方の上記本体に上記取付孔に挿入される箱体を形成し、該箱体内に扉の見付け方向に移動可能な側枠部を設け、上記扉の両側から上記表側本体と内側本体を上記取付孔に装着して連結し、上記側枠部を見付け方向に移動させて指先差込空間を形成したことを特徴とする両面堀込引手。
【請求項2】
上記表側本体と内側本体は上記案内板部分で連結されていることを特徴とする請求項1に記載の両面堀込引手。
【請求項3】
上記側枠部は上記案内板間に挟着される仕切板を含んでいる請求項1または2に記載の両面堀込引手。
【請求項4】
上記側枠部は上記箱体に内接する形状に形成され、該箱体と側枠部間には該側枠部の移動範囲を規制するストッパーが形成されている請求項1から3のいずれかに記載の両面堀込引手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−144489(P2009−144489A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−325784(P2007−325784)
【出願日】平成19年12月18日(2007.12.18)
【出願人】(000138613)株式会社ユニオン (42)