両面粘着テープ貼付け方法と両面粘着テープ貼付け装置
【課題】ワークの湾曲したテープ貼付け面に対して、上面のセパレータを残しつつも、このセパレータの剥離を生じさせることなく両面粘着テープを確実に貼付けてゆく。
【解決手段】上面側のセパレータs2を残して下面側のセパレータs1の剥離されテープ貼付け部位に供給される両面粘着テープTのセパレータs2の側辺に沿って所定間隔ごとに回転カッタ16で切込みkを形成する。このセパレータs2に切込みkの形成された両面粘着テープTを装置先端部のテープ貼付け部位まで誘導し、貼付けローラ4によって押圧してワークWの表面に連続して貼り付けてゆく。
【解決手段】上面側のセパレータs2を残して下面側のセパレータs1の剥離されテープ貼付け部位に供給される両面粘着テープTのセパレータs2の側辺に沿って所定間隔ごとに回転カッタ16で切込みkを形成する。このセパレータs2に切込みkの形成された両面粘着テープTを装置先端部のテープ貼付け部位まで誘導し、貼付けローラ4によって押圧してワークWの表面に連続して貼り付けてゆく。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面粘着テープをワークの表面に連続して貼付けてゆく両面粘着テープ貼付け方法と両面粘着テープ貼付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粘着テープをワークの表面に連続して貼付けてゆく方法としては、以下の方法が知られている。例えば、セパレータ付きの粘着テープを手持ち式の貼付け装置に導き、セパレータを剥離しながら粘着面が露出させる。この粘着面を所定の貼付け面に押し付けて貼付け装置を移動させることにより、粘着テープを連続的にワークに貼付けてゆく(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−35724号公報
【0004】
両面粘着テープも上記と同様な形態で貼付けてゆくことは可能であるが、次のような不具合が生じることがある。すなわち、両面粘着テープは、粘着テープ本体の両粘着面にセパレータが貼合わされた状態で供給され、一方のセパレータを剥離しながらワークに貼り付けられる。その後、別工程において、ワークに貼付済の粘着テープの表面から他方のセパレータを剥離して粘着面を露出させる。この状態で所望の部材を貼付けることになる。
【0005】
粘着テープを貼付けたワークを移送する場合、粘着テープの表面に残されているセパレータが不用意に剥離浮上してしまうと、露出した粘着面が大気に触れて劣化したり、粘着面に異物が付着して接着性能が低下したりする恐れがある。したがって、ワークに貼付けられた両面粘着テープは、表面のセパレータが勝手に剥離浮上しないようにしておくことが必要となる。
【0006】
ワークの表面の直線径路あるいは直線に近い緩やかな湾曲径路に沿って両面粘着テープを貼付ける場合には、貼付けた粘着テープ表面のセパレータが勝手に剥離浮上するようなことはない。しかしながら、屈曲あるいは曲率の小さい湾曲径路にセパレータ付きの粘着テープを貼付ける場合には、セパレータの伸縮性が両面粘着テープ本体に比べて低いので、その復元力によってセパレータの「浮き」が生じたり、あるいは皺が発生したりするといった問題がある。
【0007】
具体的にセパレータは、粘着テープの粘着面に対して容易に剥離できる低接着性の樹脂テープや樹脂コーティングした紙材などの、粘着テープ本体に比べて伸縮性が小さい材質のものが用いられている。このため、小さい曲率の径路においては両面粘着テープが、湾曲内側では貼付け径路方向に圧縮され、湾曲外側では貼付け径路方向に伸長されて貼り付けられることになる。この場合、圧縮が生じる湾曲内側ではセパレータが多少シワになるだけで、粘着面から大きく剥離することはない。しかしながら、伸長が生じる湾曲外側ではセパレータが両面粘着テープの伸長に追従できず、粘着面から剥離しやすくなり、湾曲外側から発生した剥離がその周辺まで拡大され、湾曲径路の長い範囲でセパレータの剥離浮上が生じてしまう。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、湾曲径路においてもセパレータの剥離を生じることなく両面粘着テープを好適に貼り付けてゆくことのできる両面粘着テープ貼付け方法および両面粘着テープ貼付け装置を提供することを主たる目的としている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、第1の発明は、片面の粘着面を露出させるとともに他面の粘着面にセパレータを貼合せた両面粘着テープをワークの貼付け面に貼付けてゆく両面粘着テープ貼付け方法であって、
供給された前記両面粘着テープに貼合せてあるセパレータの側辺に、テープ長手方向に沿って所定間隔ごとに切込みを形成しながらワークの表面に連続して貼り付けてゆく
ことを特徴とする。
【0010】
(作用・効果) この方法によれば、湾曲した貼付け径路において、セパレータの側辺に沿って交差するように所定間隔をおいて切込みを形成してゆく。したがって、両面粘着テープが伸長される湾曲外側では形成された切込みが開くので、伸縮性の劣るセパレータが張力によって粘着テープ本体から勝手に剥離してテープ長手方向の長い範囲で剥離浮上してしまうことが抑制される。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、
前記セパレータの両側辺にテープ長手方向に沿って所定間隔ごとに切込みを形成することを特徴とする。
【0012】
(作用・効果) この方法によれば、蛇行して湾曲あるいは屈曲した貼付け径路に沿っての貼付けを行う場合、貼付け径路のいずれの湾曲外側においてもセパレータの側辺に切込みが形成される。したがって、いずれの湾曲外側からのセパレータ剥離の進行に対しても好適に抑制することができる。
【0013】
第3の発明は、第1の発明において、
ワーク上の直線状の貼付け径路では前記切込みの形成を回避し、湾曲状の貼付け径路では前記切込みを形成することを特徴とする。
【0014】
(作用・効果) この方法によれば、直線状の貼付け径路と湾曲状あるいは屈曲状の貼付け径路とが混在する場合、セパレータ剥離の恐れのある湾曲状などの貼付け径路でのみ切込み形成を行わせられる。したがって、セパレータ剥離の恐れのない直線状の貼付け径路での不必要な切込み形成を回避し、貼付け操作を簡素化することができる。
【0015】
第4の発明は、片面の粘着面を露出させるとともに他面の粘着面にセパレータを貼合せた両面粘着テープをワークの貼付け面に貼付けてゆく両面粘着テープ貼付け装置であって、
ベース部に連続供給された前記両面粘着テープを貼付け作用位置まで導くテープ案内手段と、
前記ベース部の先端部の貼付け部位にまで導かれた前記両面粘着テープをワークの貼付け面に押し付ける貼付け部と、
前記セパレータの側辺にテープ長手方向に沿って所定間隔で切込みを形成するテープ切込み機構と、
を備えたことを特徴とする。
【0016】
(作用・効果)この構成によれば、上記第1の発明に係る両面粘着テープ貼付け方法を好適に実施することができる。
【0017】
第5の発明は、第4の発明において、
前記テープ切込み機構は、ベース部に枢支連結され揺動下降するアームと、
前記アームの下部に備えられ両面粘着テープのセパレータ上側から切断作用する回転カッタと、
を備えたことを特徴とする。
【0018】
(作用・効果)この構成によれば、両面粘着テープを回転カッタと受けローラの間に挟み込んで走行させることで、セパレータの側辺に切込みを所定ピッチで連続して的確に形成することができる。
【0019】
第6の発明は、第4または第5の発明において、
前記テープ切込み機構は、切込みを形成する作用状態と、切込みを形成しない非作用状態とに切換え可能に構成したことを特徴とする。
【0020】
(作用・効果)この構成によれば、直線状の貼付け径路と湾曲状あるいは屈曲状の貼付け径路とが混在するような場合、セパレータ剥離の恐れのある湾曲状などの貼付け径路でのみ切込み形成を行うことができる。したがって、セパレータ剥離の恐れのない直線状の貼付け径路での不必要な切込み形成を回避することができ、上記第3の発明方向を好適に実施することができる。
【0021】
第7の発明は、第5または第6の発明において、
前記ベース部に対してアームを上方に揺動付勢させる弾性体を備えたことを特徴とすることを特徴とする。
【0022】
(作用・効果)この構成によれば、第6の発明を好適に実施することができる。
【0023】
この構成において、アームを揺動付勢に抗して下降させたとき、アームの下部に備わった回転カッタが作用位置で固定されるようアームをベース部に固定保持する保持機構を備えることが好ましい。
【0024】
この構成によれば、湾曲した貼付け径路が長く続くような場合に、作業者が力を入れ続けることなく径路追従操作に専念することができる。したがって、一定の押圧で貼付け作業を軽快に行うことができるので、両面粘着テープのワークへの密着性を高めることもできる。
【0025】
なお、この構成において、貼付け部は、ベース部の先端部で回転自在に軸支されたローラや、両面粘着テープの厚みよりも小さく、かつ、テープ幅よりも大きいテープ貼付け溝をベース部の平坦な先端部の形成して構成したものであってもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明の両面粘着テープ貼付け方法と両面粘着テープ貼付け装置によれば、湾曲あるいは屈曲径路においてもセパレータの剥離を生じることなく両面粘着テープを確実に貼り付けてゆくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】両面粘着テープ貼付け装置の斜視図である。
【図2】両面粘着テープ貼付け装置の分解斜視図である。
【図3】両面粘着テープ貼付け装置の側面図である。
【図4】両面粘着テープ貼付け装置の平面図である。
【図5】セパレータに切込みを形成しないときの貼付け作業状態を示す縦断側面図である。
【図6】セパレータに切込みを形成するときの貼付け作業状態を示す縦断側面図である。
【図7】貼付け作業状態を示す斜視図である。
【図8】テープ切込み箇所を拡大した斜視図である。
【図9】両面面粘着テープの一部を示す斜視図である。
【図10】別実施例の両面粘着テープ貼付け装置を示す全体斜視図である。
【図11】別実施例の両面粘着テープ貼付け装置を示す全体側面図である。
【図12】別実施例の両面粘着テープ貼付け装置を示す全体平面図である。
【図13】別実施例における貼付け作業状態を示す縦断側面図である。
【図14】別実施例における貼付け作業状態を示す縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明する。
【0029】
図1〜図7に、本発明に係る両面粘着テープ貼付け装置の一例が示されており、図1は装置全体の斜視図、図2はその分解した斜視図、図3はその側面図、図4はその平面図である。
【0030】
この実施例で用いられる両面粘着テープTは、例えば図9に示すように、粘着テープ本体tの上下両面にセパレータs1、s2をそれぞれ貼り合せ保持して形成されたものである。粘着テープ本体tは、弾性変形可能な発泡樹脂材からなる幅数mmの基材taの上下両面に粘着層tbを備えて構成されている。
【0031】
セパレータs1、s2としては、剥離層を有する基材、フッ素系ポリマーからなる低接着性基材、無極性ポリマーからなる低接着性基材などを用いることができる。上記剥離層を有する基材としては、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデンなどの剥離剤がコーティングされたプラスチックフィルムや紙材などが利用される。また、上記フッ素系ポリマーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テロラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体などが利用される。また、上記無極性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂が利用される。
【0032】
この両面粘着テープ貼付け装置1は、作業者が片手で把持して使用するように構成されている。図1に示すように、逆L字状に屈曲形成されており、片手で把持可能に構成したベース部2、ベース部2の後端部に備えたテープガイド3、ベース部2の先端部に備えた貼付け部としての貼付けローラ4、ベース部2の前半部に備えたテープ切込み機構5などから構成されている。
【0033】
ベース部2は、滑性に優れた硬質樹脂材で形成されている。このベース部2は、図2ないし図4に示すように、略水平姿勢の前半部に、上下および前方に開放された開口6が前後に形成されている。この開口6には、テープ切込み機構5が組み付けられるとともに、ベース部2の後上がり傾斜された後半部の下面にテープ案内溝7が前後に形成され、その一端側が開口6に連通されている。
【0034】
テープガイド3は、ベース部2の後端に支軸8を介して上下揺動可能に枢支連結される左右一対のブラケット9、両ブラケット9にわたって支架されたガイドローラ10、およびガイドピン11とで構成されている。また、テープガイド3は、図5ないし図7に示すように、図外のテープ供給部から送られてきた両面セパレータ付きの両面粘着テープTが、ガイドローラ10とガイドピン11の間を通るように上方から供給されて下方に巻回案内される。この巻回部位においてテープ下面のセパレータs1が剥離される。セパレータs1の剥離によって下向きの粘着面が露出された両面粘着テープTは、テープ案内溝7を通ってベース部2の下方に誘導され、さらに貼付けローラ4の下方に供給されるようになっている。なお、テープガイド3は、本発明のテープ案内手段に相当する。
【0035】
貼付けローラ4は、両面粘着テープTより幅広の弾性体で構成されており、支軸12を介して遊転自在にベース部2の先端部分に水平軸支されている。
【0036】
テープ切込み機構5は、開口6の後端近くにおいて支軸13を介して上下に揺動可能に枢支連結された作動アーム14、この作動アーム14の前後中間の下部に支軸15を介して遊転自在に支承された回転カッタ16、および、ベース部2に支軸17を介して遊転自在に支承された受けローラ18などから構成されている。なお、作動アーム14は、本発明のアームに相当する。
【0037】
支軸13にはねじりバネ19が外挿される。このねじりバネ19の一端部は、作動アーム14の側面に形成された溝20に係入されるとともに、ねじりバネ19の他端部は、開口6の内部に形成された段部に係合される。このねじりバネ19の弾性復元力によって作動アーム14が上方に揺動付勢されている。なお、溝20にねじりバネ19の一端部を係入した後に、この溝20に樹脂やブロックを封入し、ねじりバネ19の外れを防止するように構成する。
【0038】
図8に示すように、回転カッタ16は、樹脂ローラ16aの外周部の左右両端に支軸15に沿った状態で複数の切刃16bを周方向に等ピッチで放射状に埋設して構成されている。作動アーム14に下方への押し込み外力を付与しない自由状態において、回転カッタ16は、受けローラ18から上方に離間した非作用位置に保持されている。また、作動アーム14に下方への押し込み外力を付与してバネ付勢力に抗して下方へ揺動させることにより、回転カッタ16が受けローラ18に接近したテープ切込み作用位置に移動されるようになっている。なお、回転カッタ16は、両面粘着テープTの幅以上に設定されている。
【0039】
受けローラ18は、ベース部2の下方に案内されてきた両面粘着テープTを下方から受け止め案内するものである。また、受けローラ18は、セパレータs1が剥離されて下向きの粘着面が露出した両面粘着テープTを円滑に案内走行させるために難接着性の樹脂ローラで構成されている。さらに、受けローラ18は、回転カッタ16に対する受け台としても機能するものである。したがって、回転カッタ16に下方から対向するよう受けローラ18の配置位置が設定されている。
【0040】
本発明に係る両面粘着テープ貼付け装置1は以上のように構成されている。次に、この両面粘着テープ貼付け装置1を使用したときのテープ貼り付け作動について説明する。
【0041】
下向きの粘着面が露出された両面粘着テープTの先端をワークWの貼付け面の貼付け開始位置に貼り付けた後、図7に示すように、片手で把持した両面粘着テープ貼付け装置1をワークWに対して相対的に後方に移動させる。このとき、両面粘着テープ貼付け装置1の左右向きに姿勢を変更しつつ、貼付けローラ4で押え込みながら両面粘着テープTを所定の貼付け径路に沿って貼付けてゆく。
【0042】
この場合、直線状の貼付け径路においては、図5に示すように、回転カッタ16を上方の非作用位置に保持しておく。ただし、湾曲した貼付け径路においては、図6に示すように、ベース部2を把持した手の指で作動アーム14を押さえ込んで、回転カッタ16をテープ切込み作用位置に下降させ、受けローラ18と回転カッタ16との間で両面粘着テープTを挟み込む。この挟み込みによって、回転カッタ16の切刃16bが、両面粘着テープTの上方から食い込み、両面粘着テープTの両側辺にテープ長手方向に沿って交差するよう一定のピッチで切込みkが形成される。この場合、回転カッタ16の押し付け具合によってテープ上面のセパレータs2のみを切込んだり、セパレータs2と粘着テープ本体tにわたって切込みkを形成したりすることができる。
【0043】
このように、湾曲した貼付け径路において、セパレータs2の側辺にテープ長手方向に所定のピッチで切込みkを形成してゆくことにより、両面粘着テープTが伸長される湾曲外側では、形成された切込みkが適度に開き、伸縮性の劣るセパレータs2が張力によって粘着テープ本体tから剥離してテープ長手方向の長い範囲で遊離してしまうことが回避される。
【0044】
次に、図10〜図14に、本発明の別実施例が示されている。
【0045】
この実施例は、上記実施例の構成に対して貼付けローラ4を省略して貼付け部を構成したものである。具体的には、ベース部2の平坦な先端部の下面に、両面粘着テープTの厚さより浅く設定されたテープ貼付け案内溝21が形成されている。
【0046】
このテープ貼付け案内溝21に案内されてきた両面粘着テープTをワークWの表面に適度に押圧して弾性変形させながら貼り付けることができるようになっている。
【0047】
本発明は、以下のような形態で実施することもできる。
【0048】
(1)両面粘着テープTの両端に形成する切込みkは、上記実施例のような対向する直線スリット状の他に次にように形成してもよい。
【0049】
例えば、テープ幅左右に交互に切込みkを形成したり、端辺から長手方向の中心に向かって先細りとなるVノッチ状の切欠きを形成したりしてもよい。
【0050】
(2)上記実施例では両面粘着テープTの両側辺に切込みkを形成する場合を示しているが、一定方向にのみ湾曲あるいは屈曲する貼付け径路で貼付けを行う場合には、テープ伸長が行われる湾曲外側となるテープ側辺にのみ切込みkを形成するようにしてもよい。つまり、回転カッタ16の一端側のみに切刃16bを備えるように構成して実施することもできる。
【0051】
(3)上記実施例では、作動アーム14を手や指によって押さえ込み続けることで回転カッタ16をテープ切込み作用位置に切換え保持すようにしているが、適宜デテント機構によって作動アーム14を下方揺動位置に固定保持するように構成することもできる。
【0052】
例えば、作動アーム14の前端部の少なくとも一側面から先端が突出するよう金属製などのボールをバネ付勢させて構成し、このボールと対向し係合する凹部をベース本体の位置に形成して構成する。
【0053】
この構成によれば、湾曲した貼付け径路が長く続くような場合に、作業者は手や指に力を入れ続けることなく径路追従操作に専念することができる。したがって、一定の押圧で貼付け作業を軽快に行うことができるので、両面粘着テープTのワークWへの密着性を高めることもできる。なお、デデント機構は、本発明の保持機構に相当する。
【0054】
(4)上記した別実施例の構造において、テープ貼付け案内溝21の上方に、テープ切り込み機構を構成する回転カッタ16を上げ下げ可能に配備し、テープ貼付け箇所で切込みkの形成を行うように構成することも可能である。
【0055】
(5)両面粘着テープTとして、粘着剤のみからなる粘着テープ本体tの両面にセパレータs1、s2を貼合せたものを用いることもできる。
【0056】
(6)上記実施例では両面にセパレータs1、s2を貼合せた両面粘着テープTを供給して、テープガイド3において一方のセパレータs1を剥離除去しながらワークWに貼付ける場合を示しているが、予め別工程で一方のセパレータs1を剥離除去した粘着テープT、あるいは、片面のみにセパレータs2を貼合せてロール巻きした両面粘着テープTを供給する形態で実施することもできる。
【0057】
(7)上記実施例は、作業者が把持して手作業でテープ貼り付けを行うものを例示しているが、ロボットハンドに装着して全自動でテープ貼り付けを行う形態にして実施することもできる。この場合、予め入力されたプログラムに基づいて回転カッタ16を適宜アクチュエータで位置切換えするとよい。
【0058】
(8)上記各実施例において、ベース部2を長手方向の中心軸(テープ誘導方向)に沿って分離可能とし、分離した中間部にアタッチメントを介在させるとともに、当該アタッチメントの幅に合せた作動アーム14、貼付けローラ4、回転カッタ16、および受けローラ18を変更するよう構成してもよい。
【0059】
この構成によれば、両面粘着テープTの幅に合せて装置設定を適宜に変更することができる。
【符号の説明】
【0060】
2 … ベース部
5 … テープ切込み機構
16 … 回転カッタ
18 … 受けローラ
T … 両面粘着テープ
k … 切込み
s1 … セパレータ
s2 … セパレータ
W … ワーク
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面粘着テープをワークの表面に連続して貼付けてゆく両面粘着テープ貼付け方法と両面粘着テープ貼付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粘着テープをワークの表面に連続して貼付けてゆく方法としては、以下の方法が知られている。例えば、セパレータ付きの粘着テープを手持ち式の貼付け装置に導き、セパレータを剥離しながら粘着面が露出させる。この粘着面を所定の貼付け面に押し付けて貼付け装置を移動させることにより、粘着テープを連続的にワークに貼付けてゆく(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−35724号公報
【0004】
両面粘着テープも上記と同様な形態で貼付けてゆくことは可能であるが、次のような不具合が生じることがある。すなわち、両面粘着テープは、粘着テープ本体の両粘着面にセパレータが貼合わされた状態で供給され、一方のセパレータを剥離しながらワークに貼り付けられる。その後、別工程において、ワークに貼付済の粘着テープの表面から他方のセパレータを剥離して粘着面を露出させる。この状態で所望の部材を貼付けることになる。
【0005】
粘着テープを貼付けたワークを移送する場合、粘着テープの表面に残されているセパレータが不用意に剥離浮上してしまうと、露出した粘着面が大気に触れて劣化したり、粘着面に異物が付着して接着性能が低下したりする恐れがある。したがって、ワークに貼付けられた両面粘着テープは、表面のセパレータが勝手に剥離浮上しないようにしておくことが必要となる。
【0006】
ワークの表面の直線径路あるいは直線に近い緩やかな湾曲径路に沿って両面粘着テープを貼付ける場合には、貼付けた粘着テープ表面のセパレータが勝手に剥離浮上するようなことはない。しかしながら、屈曲あるいは曲率の小さい湾曲径路にセパレータ付きの粘着テープを貼付ける場合には、セパレータの伸縮性が両面粘着テープ本体に比べて低いので、その復元力によってセパレータの「浮き」が生じたり、あるいは皺が発生したりするといった問題がある。
【0007】
具体的にセパレータは、粘着テープの粘着面に対して容易に剥離できる低接着性の樹脂テープや樹脂コーティングした紙材などの、粘着テープ本体に比べて伸縮性が小さい材質のものが用いられている。このため、小さい曲率の径路においては両面粘着テープが、湾曲内側では貼付け径路方向に圧縮され、湾曲外側では貼付け径路方向に伸長されて貼り付けられることになる。この場合、圧縮が生じる湾曲内側ではセパレータが多少シワになるだけで、粘着面から大きく剥離することはない。しかしながら、伸長が生じる湾曲外側ではセパレータが両面粘着テープの伸長に追従できず、粘着面から剥離しやすくなり、湾曲外側から発生した剥離がその周辺まで拡大され、湾曲径路の長い範囲でセパレータの剥離浮上が生じてしまう。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、湾曲径路においてもセパレータの剥離を生じることなく両面粘着テープを好適に貼り付けてゆくことのできる両面粘着テープ貼付け方法および両面粘着テープ貼付け装置を提供することを主たる目的としている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、第1の発明は、片面の粘着面を露出させるとともに他面の粘着面にセパレータを貼合せた両面粘着テープをワークの貼付け面に貼付けてゆく両面粘着テープ貼付け方法であって、
供給された前記両面粘着テープに貼合せてあるセパレータの側辺に、テープ長手方向に沿って所定間隔ごとに切込みを形成しながらワークの表面に連続して貼り付けてゆく
ことを特徴とする。
【0010】
(作用・効果) この方法によれば、湾曲した貼付け径路において、セパレータの側辺に沿って交差するように所定間隔をおいて切込みを形成してゆく。したがって、両面粘着テープが伸長される湾曲外側では形成された切込みが開くので、伸縮性の劣るセパレータが張力によって粘着テープ本体から勝手に剥離してテープ長手方向の長い範囲で剥離浮上してしまうことが抑制される。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、
前記セパレータの両側辺にテープ長手方向に沿って所定間隔ごとに切込みを形成することを特徴とする。
【0012】
(作用・効果) この方法によれば、蛇行して湾曲あるいは屈曲した貼付け径路に沿っての貼付けを行う場合、貼付け径路のいずれの湾曲外側においてもセパレータの側辺に切込みが形成される。したがって、いずれの湾曲外側からのセパレータ剥離の進行に対しても好適に抑制することができる。
【0013】
第3の発明は、第1の発明において、
ワーク上の直線状の貼付け径路では前記切込みの形成を回避し、湾曲状の貼付け径路では前記切込みを形成することを特徴とする。
【0014】
(作用・効果) この方法によれば、直線状の貼付け径路と湾曲状あるいは屈曲状の貼付け径路とが混在する場合、セパレータ剥離の恐れのある湾曲状などの貼付け径路でのみ切込み形成を行わせられる。したがって、セパレータ剥離の恐れのない直線状の貼付け径路での不必要な切込み形成を回避し、貼付け操作を簡素化することができる。
【0015】
第4の発明は、片面の粘着面を露出させるとともに他面の粘着面にセパレータを貼合せた両面粘着テープをワークの貼付け面に貼付けてゆく両面粘着テープ貼付け装置であって、
ベース部に連続供給された前記両面粘着テープを貼付け作用位置まで導くテープ案内手段と、
前記ベース部の先端部の貼付け部位にまで導かれた前記両面粘着テープをワークの貼付け面に押し付ける貼付け部と、
前記セパレータの側辺にテープ長手方向に沿って所定間隔で切込みを形成するテープ切込み機構と、
を備えたことを特徴とする。
【0016】
(作用・効果)この構成によれば、上記第1の発明に係る両面粘着テープ貼付け方法を好適に実施することができる。
【0017】
第5の発明は、第4の発明において、
前記テープ切込み機構は、ベース部に枢支連結され揺動下降するアームと、
前記アームの下部に備えられ両面粘着テープのセパレータ上側から切断作用する回転カッタと、
を備えたことを特徴とする。
【0018】
(作用・効果)この構成によれば、両面粘着テープを回転カッタと受けローラの間に挟み込んで走行させることで、セパレータの側辺に切込みを所定ピッチで連続して的確に形成することができる。
【0019】
第6の発明は、第4または第5の発明において、
前記テープ切込み機構は、切込みを形成する作用状態と、切込みを形成しない非作用状態とに切換え可能に構成したことを特徴とする。
【0020】
(作用・効果)この構成によれば、直線状の貼付け径路と湾曲状あるいは屈曲状の貼付け径路とが混在するような場合、セパレータ剥離の恐れのある湾曲状などの貼付け径路でのみ切込み形成を行うことができる。したがって、セパレータ剥離の恐れのない直線状の貼付け径路での不必要な切込み形成を回避することができ、上記第3の発明方向を好適に実施することができる。
【0021】
第7の発明は、第5または第6の発明において、
前記ベース部に対してアームを上方に揺動付勢させる弾性体を備えたことを特徴とすることを特徴とする。
【0022】
(作用・効果)この構成によれば、第6の発明を好適に実施することができる。
【0023】
この構成において、アームを揺動付勢に抗して下降させたとき、アームの下部に備わった回転カッタが作用位置で固定されるようアームをベース部に固定保持する保持機構を備えることが好ましい。
【0024】
この構成によれば、湾曲した貼付け径路が長く続くような場合に、作業者が力を入れ続けることなく径路追従操作に専念することができる。したがって、一定の押圧で貼付け作業を軽快に行うことができるので、両面粘着テープのワークへの密着性を高めることもできる。
【0025】
なお、この構成において、貼付け部は、ベース部の先端部で回転自在に軸支されたローラや、両面粘着テープの厚みよりも小さく、かつ、テープ幅よりも大きいテープ貼付け溝をベース部の平坦な先端部の形成して構成したものであってもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明の両面粘着テープ貼付け方法と両面粘着テープ貼付け装置によれば、湾曲あるいは屈曲径路においてもセパレータの剥離を生じることなく両面粘着テープを確実に貼り付けてゆくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】両面粘着テープ貼付け装置の斜視図である。
【図2】両面粘着テープ貼付け装置の分解斜視図である。
【図3】両面粘着テープ貼付け装置の側面図である。
【図4】両面粘着テープ貼付け装置の平面図である。
【図5】セパレータに切込みを形成しないときの貼付け作業状態を示す縦断側面図である。
【図6】セパレータに切込みを形成するときの貼付け作業状態を示す縦断側面図である。
【図7】貼付け作業状態を示す斜視図である。
【図8】テープ切込み箇所を拡大した斜視図である。
【図9】両面面粘着テープの一部を示す斜視図である。
【図10】別実施例の両面粘着テープ貼付け装置を示す全体斜視図である。
【図11】別実施例の両面粘着テープ貼付け装置を示す全体側面図である。
【図12】別実施例の両面粘着テープ貼付け装置を示す全体平面図である。
【図13】別実施例における貼付け作業状態を示す縦断側面図である。
【図14】別実施例における貼付け作業状態を示す縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明する。
【0029】
図1〜図7に、本発明に係る両面粘着テープ貼付け装置の一例が示されており、図1は装置全体の斜視図、図2はその分解した斜視図、図3はその側面図、図4はその平面図である。
【0030】
この実施例で用いられる両面粘着テープTは、例えば図9に示すように、粘着テープ本体tの上下両面にセパレータs1、s2をそれぞれ貼り合せ保持して形成されたものである。粘着テープ本体tは、弾性変形可能な発泡樹脂材からなる幅数mmの基材taの上下両面に粘着層tbを備えて構成されている。
【0031】
セパレータs1、s2としては、剥離層を有する基材、フッ素系ポリマーからなる低接着性基材、無極性ポリマーからなる低接着性基材などを用いることができる。上記剥離層を有する基材としては、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデンなどの剥離剤がコーティングされたプラスチックフィルムや紙材などが利用される。また、上記フッ素系ポリマーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テロラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体などが利用される。また、上記無極性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂が利用される。
【0032】
この両面粘着テープ貼付け装置1は、作業者が片手で把持して使用するように構成されている。図1に示すように、逆L字状に屈曲形成されており、片手で把持可能に構成したベース部2、ベース部2の後端部に備えたテープガイド3、ベース部2の先端部に備えた貼付け部としての貼付けローラ4、ベース部2の前半部に備えたテープ切込み機構5などから構成されている。
【0033】
ベース部2は、滑性に優れた硬質樹脂材で形成されている。このベース部2は、図2ないし図4に示すように、略水平姿勢の前半部に、上下および前方に開放された開口6が前後に形成されている。この開口6には、テープ切込み機構5が組み付けられるとともに、ベース部2の後上がり傾斜された後半部の下面にテープ案内溝7が前後に形成され、その一端側が開口6に連通されている。
【0034】
テープガイド3は、ベース部2の後端に支軸8を介して上下揺動可能に枢支連結される左右一対のブラケット9、両ブラケット9にわたって支架されたガイドローラ10、およびガイドピン11とで構成されている。また、テープガイド3は、図5ないし図7に示すように、図外のテープ供給部から送られてきた両面セパレータ付きの両面粘着テープTが、ガイドローラ10とガイドピン11の間を通るように上方から供給されて下方に巻回案内される。この巻回部位においてテープ下面のセパレータs1が剥離される。セパレータs1の剥離によって下向きの粘着面が露出された両面粘着テープTは、テープ案内溝7を通ってベース部2の下方に誘導され、さらに貼付けローラ4の下方に供給されるようになっている。なお、テープガイド3は、本発明のテープ案内手段に相当する。
【0035】
貼付けローラ4は、両面粘着テープTより幅広の弾性体で構成されており、支軸12を介して遊転自在にベース部2の先端部分に水平軸支されている。
【0036】
テープ切込み機構5は、開口6の後端近くにおいて支軸13を介して上下に揺動可能に枢支連結された作動アーム14、この作動アーム14の前後中間の下部に支軸15を介して遊転自在に支承された回転カッタ16、および、ベース部2に支軸17を介して遊転自在に支承された受けローラ18などから構成されている。なお、作動アーム14は、本発明のアームに相当する。
【0037】
支軸13にはねじりバネ19が外挿される。このねじりバネ19の一端部は、作動アーム14の側面に形成された溝20に係入されるとともに、ねじりバネ19の他端部は、開口6の内部に形成された段部に係合される。このねじりバネ19の弾性復元力によって作動アーム14が上方に揺動付勢されている。なお、溝20にねじりバネ19の一端部を係入した後に、この溝20に樹脂やブロックを封入し、ねじりバネ19の外れを防止するように構成する。
【0038】
図8に示すように、回転カッタ16は、樹脂ローラ16aの外周部の左右両端に支軸15に沿った状態で複数の切刃16bを周方向に等ピッチで放射状に埋設して構成されている。作動アーム14に下方への押し込み外力を付与しない自由状態において、回転カッタ16は、受けローラ18から上方に離間した非作用位置に保持されている。また、作動アーム14に下方への押し込み外力を付与してバネ付勢力に抗して下方へ揺動させることにより、回転カッタ16が受けローラ18に接近したテープ切込み作用位置に移動されるようになっている。なお、回転カッタ16は、両面粘着テープTの幅以上に設定されている。
【0039】
受けローラ18は、ベース部2の下方に案内されてきた両面粘着テープTを下方から受け止め案内するものである。また、受けローラ18は、セパレータs1が剥離されて下向きの粘着面が露出した両面粘着テープTを円滑に案内走行させるために難接着性の樹脂ローラで構成されている。さらに、受けローラ18は、回転カッタ16に対する受け台としても機能するものである。したがって、回転カッタ16に下方から対向するよう受けローラ18の配置位置が設定されている。
【0040】
本発明に係る両面粘着テープ貼付け装置1は以上のように構成されている。次に、この両面粘着テープ貼付け装置1を使用したときのテープ貼り付け作動について説明する。
【0041】
下向きの粘着面が露出された両面粘着テープTの先端をワークWの貼付け面の貼付け開始位置に貼り付けた後、図7に示すように、片手で把持した両面粘着テープ貼付け装置1をワークWに対して相対的に後方に移動させる。このとき、両面粘着テープ貼付け装置1の左右向きに姿勢を変更しつつ、貼付けローラ4で押え込みながら両面粘着テープTを所定の貼付け径路に沿って貼付けてゆく。
【0042】
この場合、直線状の貼付け径路においては、図5に示すように、回転カッタ16を上方の非作用位置に保持しておく。ただし、湾曲した貼付け径路においては、図6に示すように、ベース部2を把持した手の指で作動アーム14を押さえ込んで、回転カッタ16をテープ切込み作用位置に下降させ、受けローラ18と回転カッタ16との間で両面粘着テープTを挟み込む。この挟み込みによって、回転カッタ16の切刃16bが、両面粘着テープTの上方から食い込み、両面粘着テープTの両側辺にテープ長手方向に沿って交差するよう一定のピッチで切込みkが形成される。この場合、回転カッタ16の押し付け具合によってテープ上面のセパレータs2のみを切込んだり、セパレータs2と粘着テープ本体tにわたって切込みkを形成したりすることができる。
【0043】
このように、湾曲した貼付け径路において、セパレータs2の側辺にテープ長手方向に所定のピッチで切込みkを形成してゆくことにより、両面粘着テープTが伸長される湾曲外側では、形成された切込みkが適度に開き、伸縮性の劣るセパレータs2が張力によって粘着テープ本体tから剥離してテープ長手方向の長い範囲で遊離してしまうことが回避される。
【0044】
次に、図10〜図14に、本発明の別実施例が示されている。
【0045】
この実施例は、上記実施例の構成に対して貼付けローラ4を省略して貼付け部を構成したものである。具体的には、ベース部2の平坦な先端部の下面に、両面粘着テープTの厚さより浅く設定されたテープ貼付け案内溝21が形成されている。
【0046】
このテープ貼付け案内溝21に案内されてきた両面粘着テープTをワークWの表面に適度に押圧して弾性変形させながら貼り付けることができるようになっている。
【0047】
本発明は、以下のような形態で実施することもできる。
【0048】
(1)両面粘着テープTの両端に形成する切込みkは、上記実施例のような対向する直線スリット状の他に次にように形成してもよい。
【0049】
例えば、テープ幅左右に交互に切込みkを形成したり、端辺から長手方向の中心に向かって先細りとなるVノッチ状の切欠きを形成したりしてもよい。
【0050】
(2)上記実施例では両面粘着テープTの両側辺に切込みkを形成する場合を示しているが、一定方向にのみ湾曲あるいは屈曲する貼付け径路で貼付けを行う場合には、テープ伸長が行われる湾曲外側となるテープ側辺にのみ切込みkを形成するようにしてもよい。つまり、回転カッタ16の一端側のみに切刃16bを備えるように構成して実施することもできる。
【0051】
(3)上記実施例では、作動アーム14を手や指によって押さえ込み続けることで回転カッタ16をテープ切込み作用位置に切換え保持すようにしているが、適宜デテント機構によって作動アーム14を下方揺動位置に固定保持するように構成することもできる。
【0052】
例えば、作動アーム14の前端部の少なくとも一側面から先端が突出するよう金属製などのボールをバネ付勢させて構成し、このボールと対向し係合する凹部をベース本体の位置に形成して構成する。
【0053】
この構成によれば、湾曲した貼付け径路が長く続くような場合に、作業者は手や指に力を入れ続けることなく径路追従操作に専念することができる。したがって、一定の押圧で貼付け作業を軽快に行うことができるので、両面粘着テープTのワークWへの密着性を高めることもできる。なお、デデント機構は、本発明の保持機構に相当する。
【0054】
(4)上記した別実施例の構造において、テープ貼付け案内溝21の上方に、テープ切り込み機構を構成する回転カッタ16を上げ下げ可能に配備し、テープ貼付け箇所で切込みkの形成を行うように構成することも可能である。
【0055】
(5)両面粘着テープTとして、粘着剤のみからなる粘着テープ本体tの両面にセパレータs1、s2を貼合せたものを用いることもできる。
【0056】
(6)上記実施例では両面にセパレータs1、s2を貼合せた両面粘着テープTを供給して、テープガイド3において一方のセパレータs1を剥離除去しながらワークWに貼付ける場合を示しているが、予め別工程で一方のセパレータs1を剥離除去した粘着テープT、あるいは、片面のみにセパレータs2を貼合せてロール巻きした両面粘着テープTを供給する形態で実施することもできる。
【0057】
(7)上記実施例は、作業者が把持して手作業でテープ貼り付けを行うものを例示しているが、ロボットハンドに装着して全自動でテープ貼り付けを行う形態にして実施することもできる。この場合、予め入力されたプログラムに基づいて回転カッタ16を適宜アクチュエータで位置切換えするとよい。
【0058】
(8)上記各実施例において、ベース部2を長手方向の中心軸(テープ誘導方向)に沿って分離可能とし、分離した中間部にアタッチメントを介在させるとともに、当該アタッチメントの幅に合せた作動アーム14、貼付けローラ4、回転カッタ16、および受けローラ18を変更するよう構成してもよい。
【0059】
この構成によれば、両面粘着テープTの幅に合せて装置設定を適宜に変更することができる。
【符号の説明】
【0060】
2 … ベース部
5 … テープ切込み機構
16 … 回転カッタ
18 … 受けローラ
T … 両面粘着テープ
k … 切込み
s1 … セパレータ
s2 … セパレータ
W … ワーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
片面の粘着面を露出させるとともに他面の粘着面にセパレータを貼合せた両面粘着テープをワークの貼付け面に貼付けてゆく両面粘着テープ貼付け方法であって、
供給された前記両面粘着テープに貼合せてあるセパレータの側辺に、テープ長手方向に沿って所定間隔ごとに切込みを形成しながらワークの表面に連続して貼り付けてゆく
ことを特徴とする両面粘着テープ貼付け方法。
【請求項2】
請求項1に記載の両面粘着テープ貼付け方法において、
前記セパレータの両側辺にテープ長手方向に沿って所定間隔ごとに切込みを形成する
ことを特徴とする両面粘着テープ貼付け方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の両面粘着テープ貼付け方法において、
ワーク上の直線状の貼付け径路では前記切込みの形成を回避し、湾曲状の貼付け径路では前記切込みを形成する
ことを特徴とする両面粘着テープ貼付け方法。
【請求項4】
片面の粘着面を露出させるとともに他面の粘着面にセパレータを貼合せた両面粘着テープをワークの貼付け面に貼付けてゆく両面粘着テープ貼付け装置であって、
ベース部に連続供給された前記両面粘着テープを貼付け作用位置まで導くテープ案内手段と、
前記ベース部の先端部の貼付け部位にまで導かれた前記両面粘着テープをワークの貼付け面に押し付ける貼付け部と、
前記セパレータの側辺にテープ長手方向に沿って所定間隔で切込みを形成するテープ切込み機構と、
を備えたことを特徴とする両面粘着テープ貼付け装置。
【請求項5】
請求項4に記載の両面粘着テープ貼付け装置において、
前記テープ切込み機構は、ベース部に枢支連結され揺動下降するアームと、
前記アームの下部に備えられ両面粘着テープのセパレータ上側から切断作用する回転カッタと、
前記両面粘着テープを粘着面側から受ける受けローラと、
を備えたことを特徴とする両面粘着テープ貼付け装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の両面粘着テープ貼付け装置において、
前記テープ切込み機構は、切込みを形成する作用状態と、切込みを形成しない非作用状態とに切換え可能に構成してある
ことを特徴とする両面粘着テープ貼付け装置。
【請求項7】
請求項6に記載の両面粘着テープ貼付け装置において、
前記ベース部に対してアームを上方に揺動付勢させる弾性体を備えた
ことを特徴とする両面粘着テープ貼付け装置。
【請求項8】
請求項7に記載の両面粘着テープ貼付け装置において、
前記アームを揺動付勢に抗して下降させたとき、アームの下部に備わった回転カッタが作用位置で固定されるようアームをベース部に固定保持する保持機構を備えた
ことを特徴とする両面粘着テープ貼付け装置。
【請求項9】
請求項4ないし請求項8のいずれかに記載の両面粘着テープ貼付け装置において、
前記貼付け部は、ベース部の先端部で回転自在に軸支されたローラである
ことを特徴とする両面粘着テープ貼付け装置。
【請求項10】
請求項4ないし請求項8のいずれかに記載の両面粘着テープ貼付け装置において、
前記貼付け部は、両面粘着テープの厚みよりも小さく、かつ、テープ幅よりも大きいテープ貼付け溝をベース部の平坦な先端部の形成して構成した
ことを特徴とする両面粘着テープ貼付け装置。
【請求項1】
片面の粘着面を露出させるとともに他面の粘着面にセパレータを貼合せた両面粘着テープをワークの貼付け面に貼付けてゆく両面粘着テープ貼付け方法であって、
供給された前記両面粘着テープに貼合せてあるセパレータの側辺に、テープ長手方向に沿って所定間隔ごとに切込みを形成しながらワークの表面に連続して貼り付けてゆく
ことを特徴とする両面粘着テープ貼付け方法。
【請求項2】
請求項1に記載の両面粘着テープ貼付け方法において、
前記セパレータの両側辺にテープ長手方向に沿って所定間隔ごとに切込みを形成する
ことを特徴とする両面粘着テープ貼付け方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の両面粘着テープ貼付け方法において、
ワーク上の直線状の貼付け径路では前記切込みの形成を回避し、湾曲状の貼付け径路では前記切込みを形成する
ことを特徴とする両面粘着テープ貼付け方法。
【請求項4】
片面の粘着面を露出させるとともに他面の粘着面にセパレータを貼合せた両面粘着テープをワークの貼付け面に貼付けてゆく両面粘着テープ貼付け装置であって、
ベース部に連続供給された前記両面粘着テープを貼付け作用位置まで導くテープ案内手段と、
前記ベース部の先端部の貼付け部位にまで導かれた前記両面粘着テープをワークの貼付け面に押し付ける貼付け部と、
前記セパレータの側辺にテープ長手方向に沿って所定間隔で切込みを形成するテープ切込み機構と、
を備えたことを特徴とする両面粘着テープ貼付け装置。
【請求項5】
請求項4に記載の両面粘着テープ貼付け装置において、
前記テープ切込み機構は、ベース部に枢支連結され揺動下降するアームと、
前記アームの下部に備えられ両面粘着テープのセパレータ上側から切断作用する回転カッタと、
前記両面粘着テープを粘着面側から受ける受けローラと、
を備えたことを特徴とする両面粘着テープ貼付け装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の両面粘着テープ貼付け装置において、
前記テープ切込み機構は、切込みを形成する作用状態と、切込みを形成しない非作用状態とに切換え可能に構成してある
ことを特徴とする両面粘着テープ貼付け装置。
【請求項7】
請求項6に記載の両面粘着テープ貼付け装置において、
前記ベース部に対してアームを上方に揺動付勢させる弾性体を備えた
ことを特徴とする両面粘着テープ貼付け装置。
【請求項8】
請求項7に記載の両面粘着テープ貼付け装置において、
前記アームを揺動付勢に抗して下降させたとき、アームの下部に備わった回転カッタが作用位置で固定されるようアームをベース部に固定保持する保持機構を備えた
ことを特徴とする両面粘着テープ貼付け装置。
【請求項9】
請求項4ないし請求項8のいずれかに記載の両面粘着テープ貼付け装置において、
前記貼付け部は、ベース部の先端部で回転自在に軸支されたローラである
ことを特徴とする両面粘着テープ貼付け装置。
【請求項10】
請求項4ないし請求項8のいずれかに記載の両面粘着テープ貼付け装置において、
前記貼付け部は、両面粘着テープの厚みよりも小さく、かつ、テープ幅よりも大きいテープ貼付け溝をベース部の平坦な先端部の形成して構成した
ことを特徴とする両面粘着テープ貼付け装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−260674(P2010−260674A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−111962(P2009−111962)
【出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】
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