説明

中空形材を製作するための押出成形機の穴あけマンドレルの位置を制御する方法

本発明は、押出成形工具(3)の手前に支承された容器(5)内に装填され穴あけマンドレル(10)により穴あけされるブロック(4)から押出成形される管材(2)を製作するための押出成形機の、穴あけマンドレルシリンダ(8)を形成するシリンダとピストンとから成る液圧式の穴あけ装置内に配置された穴あけマンドレル(10)の位置を制御する方法に関する。本発明により、穴あけマンドレルシリンダ(8)を、押出速度に依存して予め算出された圧送量に調節されるポンプ(11)により直接駆動し、予め算出されたポンプ圧送量に付加的な圧送量を追加し、その際、穴あけマンドレル(10)の位置を制御するために、穴あけマンドレルシリンダ(8)のリング側(12)に作用する制御弁(16)がタンク(17)に接続されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出成形工具の手前に支承された容器内に装填され穴あけマンドレルにより穴あけされるブロックから押出成形される管材を製作するための押出成形機の、穴あけマンドレルシリンダを形成するシリンダとピストンとから成る液圧式の穴あけ装置内に配置された穴あけマンドレルの位置を制御する方法に関する。
【0002】
中空形材もしくは管材を製作するための金属押出成形機は、ドイツ連邦共和国特許第1227858号明細書から公知となっている。この公知の金属押出成形機では、穴あけマンドレル(Lochdorn)がその穴あけマンドレルシリンダと共に主押出ピストン内に配置されている。穴あけマンドレルシリンダのピストンは穴あけクロスバー(Lochtraverse)に結合されている。穴あけクロスバーは押出成形機のプラテンもしくは走行クロスビーム(Laufholm)内で滑り案内されている。その種の内側に位置する穴あけ装置に対して択一的に、穴あけマンドレルシリンダを押出成形機の主押出ピストンもしくは主押出シリンダの外側に設けることも公知である。
【0003】
穴あけマンドレルが一般に種々異なる長さを有しており、その際、摩耗も考慮しなければならないので、型開口内でのマンドレル先端の正確な調節は、いわゆる固定式のマンドレルを介した管材の押出成形時に、所属の駆動装置を備えたねじ山付スピンドルおよびスピンドルナットにより実施される。ねじ山付スピンドルおよびスピンドルナットは一般にマンドレルストローク制限ロッドとの関連でシリンダクロスビーム(Zylinderholm)または穴あけクロスバー内に配置されている。マンドレルストローク制限のための、穴あけクロスバー内でのねじ山付スピンドルおよびスピンドルナットのその種の配置は、例えば前記特許明細書により開示される。マンドレルストローク制限ロッドはここでは一方の端部でシリンダクロスビーム内に固定されており、受け(Gegenhalter)側の他方の端部にストッパを支持している。このストッパに対して、穴あけクロスバーは、穴あけクロスバー、ひいては穴あけマンドレルのストロークを制限しねじ山付スピンドルを介して調節可能なねじ山付ナットでもって支持される。
【0004】
中空形材もしくは管材の押出成形時、押出ポンチを通して案内される穴あけマンドレルを工具内/型内で位置決めし、この位置を押出中高い精度で維持するために、押出成形機の実際の運転中、穴あけマンドレルの位置は穴あけマンドレルシリンダにより押出工程中維持される。工具内での穴あけマンドレルのこの位置が維持されるように、シリンダは穴あけマンドレルを、押出ポンチがその前進運動を実施するのと正確に同じ速度で後退させねばならない。ただしこの場合、変形加工力、摩擦および液圧的な圧縮性に基づく外乱が問題となる。外乱は制御システムにより高動的に補償されねばならない。
【0005】
さらに、1:120以上の大きな速度範囲をカバーすることが必要である。最終的に、方法技術に基づいて、変化する大きな引張り力が穴あけマンドレルに発生し、この引張り力が押出工程の終わりで逆転することもある点に留意しなければならない。位置決めを保証するために、サーボ弁が使用され、このサーボ弁を介して、穴あけシリンダのための完全な容積が制御される。このサーボ弁は限られた体積範囲で作業することができるにすぎないので、1:120の速度分解能のために、種々異なる大きさの複数のサーボ弁が並列に配列されねばならないことは避けられない。
【0006】
本発明はそれゆえ、冒頭で述べた形式の方法を改良して、簡単に、特にサーボ弁を必要とせずに、すべての要求に応じた穴あけマンドレル位置制御を可能にする方法を提供することである。
【0007】
この課題は本発明により、穴あけマンドレルシリンダを、押出速度に依存して予め算出された圧送量に調節されるポンプにより直接駆動し、予め算出されたポンプ圧送量に付加的な圧送量を追加し、その際、穴あけマンドレルの位置を制御するために、穴あけマンドレルシリンダのリング側に作用する制御弁がタンクに接続されるようにすることにより解決される。直接駆動、すなわち介在する制御弁がなく、その結果、ポンプと穴あけマンドレルシリンダとの間にサーボ弁が存在せず、むしろ一般的な、価格および運転に関して好都合なカートリッジ弁が運動方向のために使用され得るにすぎないことにより、ポンプ体積流量に関する圧力損失は発生しない。それにより、ポンプ圧が穴あけマンドレルシリンダにおける作業圧に相当することが達成される。加えて、エネルギ損失はほとんど発生せず、ポンプにおける作業圧は比較的低い。直接駆動は、極めて高い精度を有して迅速に作業する唯一の小さな制御弁だけを全速度範囲のために必要とするにすぎない。それにより、同時に極めて大きなコスト節減が付随する。
【0008】
本発明による制御原理では、ポンプが押出速度に依存して、穴あけマンドレルシリンダの、ほぼ同じ大きさの引き戻し速度を生ぜしめる圧送量に調節される。穴あけマンドレルはそれにより全押出工程中工具内でほぼ一定の位置を占める。それにもかかわらず、位置決めおよび外乱の修正を可能にするために、本発明により、穴あけマンドレルシリンダの算出された圧送量に対して補足的に、付加的な圧送量がポンプ圧送量に提供される。この付加的な圧送量は、穴あけマンドレルシリンダが工具位置から後方に押出方向とは逆向きに走出する可能性を排除する。制御のために穴あけマンドレルシリンダのリング側に設けられた小さな制御弁は、シリンダのリング側からタンクへの接続を形成し、タンクへの、位置決めのために必要なオイル量を制御する。タンクへのオイル量が、付加的な圧送量の値よりも小さければ、穴あけマンドレルは後方に工具から進出運動する。これに対してタンクへのオイル量が大きければ、穴あけマンドレルはさらに工具内に進入運動する。レギュレータを介して位置を遵守する制御弁はそれにより外乱を補償する。
【0009】
本発明の有利な構成では、穴あけマンドレルシリンダのアウトレット圧を、所定の圧力に制御して調節することが提案される。これにより、穴あけマンドレル位置制御は穴あけマンドレルに対する引張り力の低下時または力の逆転時にも実現される。このために、穴あけマンドレルシリンダのシリンダアウトレット側もしくはピストン面の側には有利には比例圧力制限弁が存在する。それにより、安定した制御特性が穴あけマンドレルにおける力の逆転時または低下時にも達成される。
【0010】
有利には、穴あけマンドレルシリンダの両側の圧力を監視する、例えば穴あけマンドレルシリンダのリング側ならびにアウトレット側に配置されたロードセル(圧力測定セル)により監視するようになっていると、第2のレギュレータの接続下および両シリンダ側における圧力の監視下で、所定の値の下回り時に、アウトレット圧は、穴あけマンドレルシリンダの引き戻し側に所定の圧力が調節されるまで高められる。液圧システムはそれにより常に緊張した状態にあり、力方向とは無関係の制御を可能にする。
【0011】
本発明の別の特徴および詳細は、請求項と、唯一の図面に極めて概略的に示した制御コンセプトの以下の説明とから得られる。
【0012】
中空形材もしくは管材2を製作するためのその種の十分に公知の押出成形機1から、図面には極めて概略的に、型を有する工具3と、工具3の手前に配置され、装填された加圧したいブロック4を収容する容器5と、クロスビーム(Holm)7を備えた押出ポンチ6と、液圧供給部を備えた穴あけマンドレルシリンダ8とが示されているにすぎない。穴あけマンドレルシリンダ8は往復運動可能なピストン9を収容する。ピストン9は、ピストン9により支持され、押出ポンチ6を通して案内され、かつその先端もしくは前端でもって工具3内に位置決め制御される穴あけマンドレル10を有している。
【0013】
穴あけマンドレルシリンダ8はポンプ11により直接駆動される。この目的のために、穴あけマンドレルシリンダ8のリング側12は液圧管路13を介して図示のポンプ11に接続されている。ポンプ11には圧送方向でインレット弁14が対応配置されている。液圧管路13から分岐したタンク管路15はインテグラルに、図示されていないレギュレータに接続された小さな制御弁(NG10)16を有しており、タンク17に開口している。
【0014】
工具3内での前端の正確な位置決めを伴う穴あけマンドレル10の位置制御のために、ポンプ11の、押出速度に依存して予め算出された圧送量に、外乱の修正のために、付加的な量の液圧媒体が穴あけマンドレルシリンダ8のリング側12に供給される。小さな制御弁16の、レギュレータにより生ぜしめられる切換により、タンク17へのオイル量が付加的な圧送量の値よりも小さいと、穴あけマンドレル10は直ちに後方に工具3から進出運動する。それに対して、タンク17へのオイル量が付加的な圧送量の値よりも大きいと、穴あけマンドレル10はさらに工具3内に進入運動する。穴あけマンドレル10はそれにより常に、全押出工程中、工具3内でのほぼ一定の位置を見出す。
【0015】
穴あけマンドレルシリンダ8の両シリンダ側12,18は圧力監視されている。このために、穴あけマンドレルシリンダ8のリング側12ならびにアウトレット側18には、ロードセル19aもしくは19bが対応配置されている。穴あけマンドレルシリンダ8のアウトレット側18からタンク管路15に通じており、タンク管路15に小さな制御弁16の下側で接続されたアウトレット管路20には、図示されていない別のレギュレータに接続された比例圧力制限弁もしくは圧力制御弁21が接続されている。
【0016】
両シリンダ側での圧力の監視および第2のレギュレータによる圧力制御弁21の切換により、所定の値の下回り時、アウトレット側18の圧力は、穴あけマンドレルシリンダ8のリング側12もしくは引き戻し側で決められた圧力が調節されるまで高められることができる。液圧システムはそれにより常に緊張した状態にあり、力方向とは無関係の制御を可能にする。その結果、穴あけマンドレル10に対する引張り力の低下または力の逆転にも対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】中空形材を製作するための押出成形機を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出成形工具(3)の手前に支承された容器(5)内に装填され穴あけマンドレル(10)により穴あけされるブロック(4)から押出成形される管材(2)を製作するための押出成形機の、穴あけマンドレルシリンダ(8)を形成するシリンダとピストンとから成る液圧式の穴あけ装置内に配置された穴あけマンドレル(10)の位置を制御する方法において、
穴あけマンドレルシリンダ(8)を、押出速度に依存して予め算出された圧送量に調節されるポンプ(11)により直接駆動し、予め算出されたポンプ圧送量に付加的な圧送量を追加し、その際、穴あけマンドレル(10)の位置を制御するために、穴あけマンドレルシリンダ(8)のリング側(12)に作用する制御弁(16)がタンク(17)に接続されるようにすることを特徴とする、中空形材を製作するための押出成形機の穴あけマンドレルの位置を制御する方法。
【請求項2】
穴あけマンドレルシリンダ(8)のアウトレット圧を、所定の圧力に制御して調節する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
穴あけマンドレルシリンダ(8)の両側の圧力を監視する、請求項1または2記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2007−517669(P2007−517669A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−548109(P2006−548109)
【出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【国際出願番号】PCT/DE2005/000049
【国際公開番号】WO2005/068100
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(597021727)エス エム エス オイムコ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (4)
【氏名又は名称原語表記】SMS Eumuco GmbH
【住所又は居所原語表記】Josefstrasse 10、 D−51377 Leverkusen、 Germany 
【Fターム(参考)】