説明

中空構造体、照明用シェード、および中空構造体組み立てキット

【課題】利用物が置物やパズルなどとしても楽しむことができる中空構造体、この中空構造体を用いた照明用シェード、および中空構造体組み立てキットを提供すること。
【解決手段】中空構造体1は、外観が略紡錘形状の中空体であり、置物、パズル、照明用シェードとして用いられる。中空構造体1は、各角に係合爪部が形成された略平行四辺形のプラスチック製のシート10−1〜10−18を係合爪部同士を連結させて構成されており、シート10−1〜10−18はいずれも同一形状である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、置物やパズルなどとして用いられる中空構造体、この中空構造体を用いた照明用シェード、および中空構造体組み立てキットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
照明用シェードとしては、ガラス製のもの、硬質プラスチック製のもの、枠体に紙やプラスチックのシートを貼ったものが広く使用されているが、シートの変形可能な性質を利用した新たなタイプのものも提案されている。例えば、1枚のシートを複数箇所でアコーディオン状に折り畳んで筒状にした照明用のアウターシェードが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−120908号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に記載のシェードは、1枚のシートを折り畳んだ形状であるため、漏れてくる光の変化を楽しめる度合いや置物としての味わいが乏しく、かつ、利用者が自分で組み立てるという楽しみを味わえるものではない。
【0004】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、利用物が置物やパズルなどとしても楽しむことができる中空構造体、この中空構造体を用いた照明用シェード、および中空構造体組み立てキットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の中空構造体は、複数の係合爪部を備えたシートを複数枚、前記係合爪部同士を連結させてなる複数の連結部により中空体を構成するように結合させたことを特徴とする。また、本発明に係る中空構造体を製造するための前記シートを複数、備えた中空構造体組み立てキットとしたことを特徴とする。
【0006】
本発明では、複数枚のシートに複数の係合爪部を設け、係合爪部同士を結合させ中空構造体を構成する。このため、複数枚のシートが織り成す外観を楽しむことのできる置物として用いることができる。また、シート同士はそれ自身に形成した係合爪部で結合させるため、接着やネジ止めが不要であり、かつ、分解および組み立てが可能であるため、立体的なパズルとして楽しむこともできる。また、シート間には隙間が発生し、かつ、シート同士を部分的に重ねておくと複数の隙間が各々、異なる方向に向くため、照明用シェードとして用いた場合には斬新さを楽しむことができる。
【0007】
本発明において、前記複数枚のシートは全て同一形状であることが好ましい。このように構成すると、製造コストを低減できるとともに、同一形状のシートから立体的な構造体を形成できるパズルとして楽しむことができる。すなわち、球形や紡錘形の中空構造体を構成する際、シートを全て同一形状にすると、シート同士の重なり部分や隙間が必ず発生するため、このような重なり部分や隙間により、これまでにない美観をもった中空構造体を構成することができる。
【0008】
本発明において、前記連結部では、シート1枚当たりの前記係合爪部の数と異なる枚数の前記シートを結合させてなることを特徴とする。このように構成すると、シート同士が複雑に結合するため、複雑な形状の中空構造体を形成することできる。
【0009】
本発明において、前記シートは、4つの角部の各々に前記係合爪部を備えた略平行四辺形形状(長方形や正方形も含む)を備え、前記連結部として、前記シートが3枚結合されている複数の第1の連結部と、前記シートが5枚結合されている複数の第2の連結部とが構成されていることが好ましい。このように構成すると、例えば、同一形状の前記シート、18枚により外観が略紡錘形状の中空構造体を形成できる。また、前記シートの枚数を減らせば、略球形状の中空構造体を形成できる。また、シート同士が部分的に重なって各々が異なる方向に向く複数の隙間ができるので、照明用シェードとして用いた場合には斬新さを楽しむことができる。
【0010】
本発明において、前記複数枚のシートには、前記複数の係合爪部が各々、前記複数の連結部のうちのいずれの連結部を構成するかを示す指標が付されていることが好ましい。このように構成すると、製造者あるいは利用者が容易に組み立てることができる。また、指標を目立たなくしておけば、パズルとして分解、組立を行う際に便利である。
【0011】
本発明に係る中空構造体は、置物やパズルなどとして用いることができる。また、本発明に係る中空構造体は照明用シェードとしても用いることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、複数枚のシートに複数の係合爪部を設け、係合爪部同士を結合させ中空構造体を構成するため、複数枚のシートが織り成す外観を楽しむことのできる置物として用いることができる。また、シート同士はそれ自身に形成した係合爪部で結合させるため、接着やネジ止めが不要であり、かつ、分解および組み立てが可能であるため、立体的なパズルとして楽しむこともできる。また、シート間には隙間が発生し、かつ、シート同士を部分的に重ねておくと複数の隙間が各々、異なる方向に向くため、照明用シェードとして用いた場合には斬新さを楽しむことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
(中空構造体の構成)
図1(a)、(b)は、本発明を適用した中空構造体の正面図、およびシート同士の重なり部分に形成された隙間の説明図である。図2は、図1に示す中空構造体を背面側で縦方向に切断して展開した様子を模式的に示す説明図である。なお、図2は、シートおよび連結部の位置のみを表わしており、シートの形状について変形させてある。
【0015】
図1(a)および図2において、本発明を適用した中空構造体1は、外観が略紡錘形状の中空体であり、計18枚の白色のプラスチック製のシート10−1〜10−18を互いに結合させることにより構成されている。このため、中空構造体1では、シート同士の重なり部によって複数の凹凸が形成されているとともに、図1(b)に示すように、シート同士の重なり部には隙間15が形成されている。また、隙間15は、各々が異なる方向に向いている。このため、中空構造体1の内側に光源を配置して、中空構造体1を照明用シェードとして用いると、図1(a)、(b)に矢印で示すように、光が様々な方向に出射されるので、これまでのシェードでは味わうことのできない斬新さを楽しむことができる。
【0016】
また、本形態の中空構造体1では、複数枚のシート10−1〜10−18が織り成す外観を楽しむことのできる置物として用いることができる。
【0017】
さらに、本形態の中空構造体1は、後述するように、シート10−1〜10−18自身に形成した係合爪部でシート同士を結合させるため、接着やネジ止めが不要であり、かつ、分解および組み立てが可能であるので、立体的なパズルとして楽しむこともできる。
【0018】
(シートおよび中空構造体組み立てキットの説明)
図3は、本発明を適用した中空構造体に用いたシートの説明図である。図4(a)、(b)は、図3に示すシートを3枚、結合させた連結部の説明図、および図3に示すシートを5枚、結合させた連結部の説明図である。
【0019】
このような構成の中空構造体1は、図3に示す計18枚のシート10−1〜10−18により構成され、このようなシート10−1〜10−18は、中空構造体組み立てキットとして販売されることもある。ここで、18枚のシート10−1〜10−18は、いずれも同一形状であり、4辺のうち、平行に相対向する2辺が直線で、他の2辺は外側に膨らんだ略平行四辺形の平面形状を有している。また、いずれのシート10−1〜10−18にも4つの角の各々には切り欠き110、120、130、140によって外向きの係合爪部11、12、13、14が形成されている。ここで、4つの係合爪部11、12、13、14のうち、対角に位置する2つの係合爪部12、13は、切り欠き120、130が辺に対して直線的に延長された形状を有する一方、対角に位置する他の2つの係合爪部11、14は、切り欠き110、140が辺に対して斜めに延びている。
【0020】
このように構成した18枚のシート10−1〜10−18は、係合爪部同士を結合させてなる計20箇所の連結部A〜Tで結合されて略紡錘形状の中空構造体1を構成する。ここで、連結部A〜Tは、図2に示すように、概ね、連結部A、B、C、D、Tが経線方向で並び、連結部A、E、F、G、Tが経線方向で並び、連結部A、H、I、J、Tが経線方向で並び、連結部A、K、L、M、Tが経線方向で並び、連結部A、N、O、P、Tが経線方向で並び、連結部A、Q、R、S、Tが経線方向で並んだ状態にある。また、各連結部の経線方向における位置は、隣接する連結部の列間でずれている。さらに、いずれの連結部A〜Tでも、シート1枚当たりの係合爪部の数と異なる枚数のシートを結合させてなる。すなわち、20箇所の連結部A〜Tのうち、第1の連結部A、B、C、F、G、H、I、L、M、N、O、R、S、Tでは、図4(a)に示すように、3枚のシートが連結され、第2の連結部D、E、J、K、P、Qでは、図4(b)に示すように、5枚のシートが連結されている。また、経線方向で並ぶ5つの連結部には、第2の連結部が1つ含まれた状態にあり、第2の連結部の経線方向における位置は、隣接する連結部の列間でずれている。なお、第1の連結部A、B、C、F、G、H、I、L、M、N、O、R、S、T、および第2の連結部D、E、J、K、P、Qのいずれにおいても、係合爪部11、12、13、14は係合中心において同一方向に向いて係合している。
【0021】
このような係合を行うにあたって、18枚のシート10−1〜10−18に形成されている各係合爪部11、12、13、14が、20箇所の連結部A〜Tのうちのいずれの連結部を構成するかは、以下に示すように、
シート10−1(11,12,13,14)=(A,N,K,H)
シート10−2(11,12,13,14)=(Q,N,A,B)
シート10−3(11,12,13,14)=(E,C,Q,B)
シート10−4(11,12,13,14)=(Q,O,K,N)
シート10−5(11,12,13,14)=(P,O,Q,R)
シート10−6(11,12,13,14)=(D,R,Q,C)
シート10−7(11,12,13,14)=(E,B,A,H)
シート10−8(11,12,13,14)=(D,S,P,R)
シート10−9(11,12,13,14)=(D,C,E,F)
シート10−10(11,12,13,14)=(J,G,D,F)
シート10−11(11,12,13,14)=(T,M,P,S)
シート10−12(11,12,13,14)=(T,S,D,G)
シート10−13(11,12,13,14)=(T,G,J,M)
シート10−14(11,12,13,14)=(J,L,P,M)
シート10−15(11,12,13,14)=(E,I,J,F)
シート10−16(11,12,13,14)=(K,I,E,H)
シート10−17(11,12,13,14)=(P,L,K,O)
シート10−18(11,12,13,14)=(K,L,J,I)
設定されている。
【0022】
例えば、シート10−1に形成されている係合爪部11、12、13、14は各々、連結部A、N、K、Hを構成する。また、シート10−2に形成されている係合爪部11、12、13、14は各々、連結部Q、N、A、Bを構成する。従って、シート10−1〜10−18には、各係合爪部11、12、13、14が20箇所の連結部A〜Tのうちのいずれの連結部を構成するかを示す指標を刻印や印刷などの方法で付しておくことが好ましく、このように構成すると、製造者あるいは利用者が容易に組み立てることができる。また、指標を刻印などにより形成して目立たなくしておけば、パズルとして分解、組立を行う際に便利である。
【0023】
なお、18枚のシート10−1〜10−18はいずれも同一形状であるため、中空構造体1を組み立てる際、いずれのシート同士から結合させていくかについては制限がなく、例えば、シート10−2とシート10−3とのように、係合爪部11、12、13、14が割り振られた連結部が2つ共通するシート同士を連結させ、次に、シート10−4のように、上記の2枚のシート10−2、3のうち、一方のシートと係合爪部11、12、13、14が割り振られた連結部が2つ共通するシート、例えばシート10−4を結合させていけばよい。
【0024】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、複数枚のシート10−1〜10−18に複数の係合爪部11、12、13、14を設け、係合爪部同士を結合させ中空構造体1を構成する。このため、複数枚のシート10−1〜10−18が織り成す外観を楽しむことのできる置物として用いることができる。また、シート10−1〜10−18同士はそれ自身に形成した係合爪部11、12、13、14で結合させるため、接着やネジ止めが不要であり、かつ、分解および組み立てが可能であるため、立体的なパズルとして楽しむこともできる。また、シート10−1〜10−18間には隙間が発生し、かつ、シート10−1〜10−18同士の部分的な重なり部分には隙間15が形成されるので、照明用シェードとして用いた場合には斬新さを楽しむことができる。
【0025】
また、複数枚のシート10−1〜10−18は全て同一形状であるため、製造コストを低減できるとともに、同一形状のシート10−1〜10−18から立体的な構造体を形成できるパズルとして楽しむことができる。
【0026】
本発明において、連結部A〜Tでは、シート1枚当たりの係合爪部11、12、13、14の数と異なる枚数のシートを結合させてあるので、シート同士が複雑に結合するため、複雑な形状の中空構造体1を形成することできる。例えば、図1に示すように、同一形状のシート10−1〜10−18から外観が略紡錘形状の中空構造体1を形成でき、照明用シェードとして用いた場合には斬新さを楽しむことができる。
【0027】
(その他の実施の形態)
上記形態において、シートとしては、黒色のプラスチックシートなどといった遮光性のもの、透明なプラスチックシートなどといった透光性のもの、白色のプラスチックシートなどといった半透光性のものを用いることができ、白色のプラスチックシートなどといった半透光性のものを用いた場合には、照明用シェードとして用いた際、シートを介して淡い光が漏れてくるのを楽しむことができる。
【0028】
また、シートとしては、表面に模様が付されたものを用いてもよく、また、中空構造体を組み立てた際に、各シートに形成した模様や図柄が一体の模様や図柄を構成するようにしてもよい。また、シートについては、ある程度の可撓性と形状復帰力を備えておれば、塩化ビニルシートなどといったプラスチックシートに限らず、プラスチックと紙とを積層したものを用いてもよい。
【0029】
さらに、上記形態では、計18枚の略平行四辺形のシートを用いて外観が略紡錘形状の中空構造体を構成したが、シートの枚数を減らせば、略球形の中空構造体を構成できる。また、4つの係合爪部を備えた略矩形のシートを1つの連結部で4枚ずつ連結して、外観が略球形の中空構造体を構成してもよい。
【0030】
さらにまた、上記形態では、複数枚のシートが全て同一形状のものを用いたが、例えば、2つの形状のシートを各々、数枚ずつ用いて中空構造体を構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】(a)、(b)は、本発明を適用した中空構造体の正面図、およびシート同士の重なり部分に形成された隙間の説明図である。
【図2】本発明を適用した中空構造体を展開した状態を模式的に示す説明図である。
【図3】本発明を適用した中空構造体に用いたシートの説明図である。
【図4】(a)、(b)は、図3に示すシートを3枚、結合させた連結部の説明図、および、図3に示すシートを5枚、結合させた連結部の説明図である。
【符号の説明】
【0032】
1・・中空構造体
10−1〜10−18・・シート
11〜14・・係合爪部
15・・隙間
A〜T・・連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の係合爪部を備えたシートを複数枚、前記係合爪部同士を連結させてなる複数の連結部により中空体を構成するように結合させたことを特徴とする中空構造体。
【請求項2】
前記複数枚のシートは全て同一形状であることを特徴とする請求項1に記載の中空構造体。
【請求項3】
前記連結部では、シート1枚当たりの前記係合爪部の数と異なる枚数の前記シートを結合させてなることを特徴とする請求項2に記載の中空構造体。
【請求項4】
前記シートは、4つの角部の各々に前記係合爪部を備えた略平行四辺形形状を備え、
前記連結部として、前記シートが3枚結合されている複数の第1の連結部と、前記シートが5枚結合されている複数の第2の連結部とが構成されていることを特徴とする請求項3に記載の中空構造体。
【請求項5】
前記複数枚のシートには、前記複数の係合爪部が各々、前記複数の連結部のうちのいずれの連結部を構成するかを示す指標が付されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の中空構造体。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の中空構造体からなることを特徴とする照明用シェード。
【請求項7】
請求項1乃至5の何れか一項に規定する中空構造体を製造するための前記シートを複数、備えてなることを特徴とする中空構造体組み立てキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−305462(P2007−305462A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−133749(P2006−133749)
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【出願人】(506162518)有限会社GLOBAL HITS (1)