中空解剖学的構造の永続的閉塞のための構造
【課題】中空解剖学的構造を閉塞するために使用することができる材料、構造、および方法を提供する。
【解決手段】中空解剖学的構造20を治療するための装置は、送達カテーテルまたは鞘16などによって、中空解剖学的構造20内に挿入され、挿入できるサイズとされたインプラント10を含む。インプラント10は、送達用鞘16から出た後、部分的に膨張する。インプラント10は、複数の緩い、かさ高の繊維を含む。繊維は、1つまたは複数の生体吸収性材料から形成される。
【解決手段】中空解剖学的構造20を治療するための装置は、送達カテーテルまたは鞘16などによって、中空解剖学的構造20内に挿入され、挿入できるサイズとされたインプラント10を含む。インプラント10は、送達用鞘16から出た後、部分的に膨張する。インプラント10は、複数の緩い、かさ高の繊維を含む。繊維は、1つまたは複数の生体吸収性材料から形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、「STRUCTURES FOR PERMANENT OCCLUSION OF A HOLLOW ANATOMICAL STRUCTURE」という表題の2005年1月25日に出願した米国仮特許出願第60/647,173号、「STRUCTURES FOR PERMANENT OCCLUSION OF A HOLLOW ANATOMICAL STRUCTURE」という表題の2005年7月1日に出願した米国仮特許出願第60/696,165号の利益を主張するものである。上述の仮特許出願のそれぞれは、全体として、参照により本明細書に組み込まれ、本明細書の一部をなす。
【0002】
本発明は、閉塞デバイスまたは閉塞材料を中空解剖学的構造または周辺天然組織内に挿入することによる中空解剖学的構造の閉塞に関する。
【背景技術】
【0003】
好ましい実施形態は、一般に、下肢内の静脈系に特に関係して中空解剖学的構造(HAS)内に導入するための方法および材料組成に関する。「中空解剖学的構造」という用語は、広義語であり、通常の意味で使用され、限定することなく、静脈、動脈、胃構造、冠状動脈構造、肺構造、生殖器官に関連する管状構造などを含む。好ましい実施形態の方法による閉塞に特に適している中空解剖学的構造は、静脈、好ましくは下肢の静脈、特に脚の静脈を含む。
【0004】
下肢のヒト静脈系は、本質的に、浅静脈系、および2つの系を接続する貫通静脈を有する深静脈系からなる。浅静脈系は、長い、または大きい、伏在静脈および小さな伏在静脈を含む。深静脈系は、一体となって膝窩静脈を形成し、次いで小伏在静脈により結合されたときに大腿静脈となる、前および後脛骨静脈を含む。
【0005】
静脈系は、血流を心臓に送り返すため多数の一方向弁を含む。静脈弁は、通常、二尖弁であり、それぞれの弁尖は血液用の袋または容器を形成する。逆行血流は、強制的に先端の自由表面を合わせ、血液の継続する逆行流を防ぎ、心臓への順行血流のみを許す。不全弁が流路内にある場合、その弁は、弁尖が適切な封止を形成せず、血液の逆行流を止められないため、閉じることができない。静脈弁不全が生じた場合、下側静脈部と介在組織内に緊張と圧力が高まり、ときには、遠位弁膜不全が加わる。弁不全から生じることの多い2つの静脈の病気または症状は、静脈瘤および症例の多い慢性静脈不全である。
【0006】
結果として生じる病気は、進行性であり、下肢の浅静脈の膨張および蛇行、醜い変色、痛み、腫れ、場合によっては潰瘍を含む。この不全は、さらに、深静脈逆流および穿通枝静脈逆流を悪化させる可能性がある。静脈機能不全の現在の治療法としては、静脈剥離、結紮、およびときには、静脈部分移植などの外科手術がある。
【0007】
静脈剥離および静脈部分移植は、あまり好まれない治療法の選択肢である。静脈剥離は、通常、糸で縛ること、つまり結紮と、伏在静脈の除去からなる。結紮は、鼠径部の切開を行うことと、静脈の外側で縫合糸を使い縛って閉じることを伴う。静脈が縛られ、および/または除去されると、血液は、深部静脈を流れ、心臓に戻る。この外科手術は、一般に、手術の程度に応じて、入院または通院で全身または局所麻酔をかけて行われる。静脈剥離は、一般に痛みを伴い、回復に長い時間を要する。この手術は、あまり好まれず、転帰も劣る。結紮と剥離を組み合わせた手術が実施されることもあるが、研究により、剥離単独に勝る利点はほとんどないことが分かっている。静脈部移植は、いくつかの臓器移植手術で採用されている。しかし、一般的には、人体の浅静脈系では使用されない。
【0008】
切除による結紮は、送達カテーテルを通じて加えられる熱エネルギー、例えば電極デバイス(例えば、高周波もしくはRFデバイス)を通じて加えられる電気エネルギー、通常周波数および高周波超音波により送達されるエネルギー、またはレーザーエネルギーを使用した血管内腔の焼灼または凝固を伴う。エネルギー送達デバイスは、通常、静脈内腔内に導入され、静脈壁と接触するように配置される。位置が適切に決まると、RF、レーザー、超音波、または他のエネルギーが、エネルギー送達デバイスに加えられ、これにより、静脈壁を断面直径において収縮させる。断面直径の縮小、例えば、5mm(0.2インチ)から1mm(0.04インチ)までの縮小で、静脈を通る血液の流れは著しく減少し、その結果、効果的な結紮となる。効果的な結紮には必要ないけれども、静脈壁は、完全に潰すことができ、これにより、静脈を通る血液の流れを阻害する内腔いっぱいの閉塞が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
好ましいいくつかの実施形態では、中空解剖学的構造を閉塞するために使用することができる材料、構造、および方法を提示する。好ましくは、中空解剖学的構造を閉塞するために、生体再吸収性材料が使用される。あるいは、生体吸収性、生体内分解性、生分解性、または溶けやすい材料が使用される。いくつかの実施形態では、生体再吸収性、生体吸収性、生体内分解性、生分解性、または溶けやすい物質でない生体適合性材料が使用される。生体再吸収性材料は、好ましくは、標的内腔内の物質を正確に位置付けるために使用することができる侵襲性の極力少ない方法により中空解剖学的構造内に入れられる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施形態によれば、インプラントは、生体再吸収性材料または化合物を含み、閉塞させるため中空解剖学的構造内に導入される。これらの材料は、好ましくは、非現場形成材料である。いくつかの実施形態では、インプラントはひとりでに膨張しうる。他の実施形態では、インプラントは、膨張状態に作動させることができる。インプラントは、好ましくは、一様な、例えば、あらかじめ定められている形状を取らない。インプラントは、外科手術またはカテーテルを介して送達可能である。インプラントの材料は、好ましくは、溶媒ベースであるか、または体液により即座に溶ける、というものではない。一実施形態によれば、膨張するインプラントにより天然流体(例えば、血液)が制限され、これにより天然流体が止まるか、または妨げられ、人体の自然治癒が引き継いで中空解剖学的構造を閉塞させるときに、閉塞が時間の経過とともに生じることが意図されている。中空解剖学的構造を治癒/閉塞するために身体反応および/または凝固カスケードを引き出し、および/または有利には変えることに重点を置いて、限定はしないが、硬化剤、炎症性物質、サイトカイン、増殖因子、凝固因子、組織付着因子、血小板活性化因子、および抗菌物質を含む活性物質をインプラントに加えることができる。
【0011】
一実施形態によれば、閉塞のため固定長または押しつぶすことのできる長さのインプラントを用意することができる。繊維性集合構造は、長繊維を含むことができる。一実施形態では、繊維性集合構造は、繊維および/またはポリラクチド(ポリ乳酸)および/またはポリグリコリド(ポリグリコール酸)から形成された他の構成要素を含むことができる。後述のように、ポリグリコリド(PGA)およびポリラクチド(PLA)は、合成吸収性ポリマーである。これらのポリマーは、開環重合で高分子量ポリマーを合成するか、または乳酸および/またはグリコール酸の直接重縮合で低分子量ポリマーを合成することにより、環状ジエステルラクチドおよび/またはグリコリドから調製できる。一実施形態では、繊維性集合構造は、PGAおよびPLA長繊維を含む。長繊維組成は、いくつかの実施形態においては均質なものとすることができる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の際だって独特の長繊維組成を使用することができる。いくつかの実施形態では、長繊維は、遠位および/または近位端に固有の組成を有することができる。いくつかの実施形態では、長繊維組成それ自体は、PLAおよびPGAの共重合体とすることができる。インプラントの配備は、インプラントを押しつぶすこと、例えば、インプラントを長手方向軸にそって収縮させ、インプラントを半径方向に膨張させ、および/または所定の断面内で繊維密度を高めることを含むことができる。押しつぶすには、スリーブ、プッシュロッド、引き糸、引きワイヤ、押し引き管を使用すること、外部からの手動圧迫を使用すること、および/またはこの組合せを用いることができる。インプラントは、一方向ストッパー、結び目、接着剤、インプラントの加熱、カッター、ゲル化剤、および/またはこれらの組合せにより、配備構成(これは必須というわけではないが)内にロックすることができる。閉塞は、好ましくは、血流を完全に遮断する(例えば、止めるか、または妨げる)こと、天然流体の流れを制限する(例えば、妨げるか、または阻害する)こと、閉塞をもたらす身体自然治癒プロセスの構造/やぐらとして作用させること、および/または硬化剤もしくは他の異物反応増殖剤もしくは薬物の添加、および/またはこれらの組合せにより行われる。
【0012】
他の実施形態では、好適な生体再吸収性材料から織る、編む、および/または編み上げる形でソックス状の物を作ることができる。他の実施形態では、剛性のあるインプラント、例えば、生体再吸収性の栓を、生体再吸収性長繊維材料と結合して、中空解剖学的構造の閉塞に使用することができる。剛性のあるインプラントは、好ましくは、一般的に固定された長さおよび形状を有し、中空解剖学的構造内の流れを強く、部分的または全体として遮断する。
【0013】
好ましい実施形態の方法および材料は、特に、下肢の静脈を閉塞する際に使用するのに好ましいが、他の中空解剖学的構造を閉塞する際にも使用することができ、これらは、限定はしないが、内精索静脈還流に関連する精索静脈瘤、卵巣静脈還流に関連する骨盤うっ血、腹部静脈瘤、浅静脈、穿通枝静脈、痔核、食道静脈瘤、ファローピウス管、輸精管、心臓血管奇形、脳内血管、腰動脈、腹部大動脈瘤(AAA)グラフトエンドリークを防止するための大動脈内への栄養血管、動静脈瘻/奇形に対する血管閉塞、脳血管または周辺血管動脈瘤、動脈瘤性血管閉塞を含む。さらに、これらの実施形態は、必ずしも内腔内部からではない他の中空解剖学的構造を閉塞するが、外部構造的に例えば逆流性食道炎(GERD)の治療の場合のように下部食道括約筋の外側で膨張性薬剤として働く際に使用することもでき、これは、血管外で不全静脈弁をかさ高にし、静脈瘤および慢性静脈不全の治療における弁接合および機能を改善する、または血管接合および機能の改善のため冠状静脈弁の周りの領域をかさ高にする。さらに、これらの実施形態は、必ずしも中空解剖学的構造を閉塞させるために使用されるのではなく、代わりに例えば睡眠時無呼吸の治療における口蓋垂の修正の際にかさ高にする、組織硬化する、および組織強化を行うために、またはうっ血性心不全の治療の際に心筋をかさ高にさせるために、またはカテーテル法手術の際に経皮血管アクセスにより生じる組織経路を閉鎖するために使用することができる。
【0014】
一実施形態によれば、中空解剖学的構造を治療するための装置は、中空解剖学的構造内に挿入できるサイズとされたインプラントを含む。インプラントは、複数の緩い、かさ高の繊維を含む。繊維は、1つまたは複数の生体吸収性材料から形成される。
【0015】
いくつかの変更形態によれば、繊維は、半径方向にかさ高であり、ランダムに配列され、編まれず、かつ/または不織とすることができる。いくつかの変更形態によれば、繊維は、αヒドロキシ酸から形成された材料、および/またはポリグリコール酸、ポリグリコール酸−乳酸共重合体、ポリ乳酸−グリコール酸共重合体、ポリグリコリド−ラクチド共重合体、およびポリグリコリドからなる群から選択された材料から形成されうる。いくつかの変更形態によれば、繊維は、0.1デニールから10デニールとすることができる。いくつかの実施形態では、インプラントは、500本から100,000本の繊維を含むことができる。繊維は、インプラントの第1の端部のところで連結することができる。繊維は、インプラントの第2の端部のところで連結することができる。
【0016】
いくつかの変更形態によれば、装置は、中空解剖学的構造内にあるときにインプラントの移動を制限するように構成された固定要素を備える。いくつかの変更形態によれば、装置は、インプラントに結合されたテザーをさらに備える。テザーは、インプラントの少なくとも一方の端部を越えて延びるように構成されうる。テザーは、いくつかの実施形態ではインプラント内に延びる。テザーは、第1の生体吸収率を有する生体吸収性材料から形成することができる。繊維は、第2の生体吸収率を有する生体吸収性材料から形成することができる。第1の生体吸収率は、第2の生体吸収率と異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、第1の生体吸収率は、第2の生体吸収率よりも低い。他の実施形態では、第1の生体吸収率は、第2の生体吸収率よりも高い。繊維は、インプラント実施後2〜24週の生体吸収時間を持つことができる。
【0017】
いくつかの変更形態によれば、装置は、インプラントロック機構をさらに備える。いくつかの変更形態では、装置は、インプラントに結合された引き糸を備える。引き糸は、インプラントの少なくとも一方の端部を越えて延びるように構成されうる。引き糸は、インプラント内で延びうる。いくつかの変更形態では、インプラントロック機構は、インプラントに結合されたファネルを備える。引き糸は、いくつかの実施形態においては結び目を作ることができる。引き糸は、その少なくとも一部にそって複数の隆起部を備えることができる。
【0018】
いくつかの変更形態によれば、インプラントは、半径方向膨張性要素をさらに備える。繊維は、一般に、中空解剖学的構造内に埋め込まれるときに膨張性要素の内側に位置決めされうる。繊維は、一般に、中空解剖学的構造内に埋め込まれるときに膨張性要素の外側に位置決めされうる。膨張性要素は、一般的にインプラントの全長にわたって延びることができる。膨張性要素は、一般的にインプラントの端部のところに位置決めされうる。いくつかの実施形態では、装置は、中空解剖学的構造内に挿入されるときにインプラントをアンカー固定するように構成された膨張性要素を備える。
【0019】
いくつかの変更形態によれば、インプラントは、薬物をさらに含む。インプラントは、いくつかの実施形態においては硬化剤を含むことができる。いくつかの変更形態によれば、インプラントは、インプラントに応力のかかっていない状態に関連する第1の密度、およびインプラントが半径方向に圧縮されている状態に関連する、それより高い第2の密度を有する。いくつかの変更形態によれば、繊維は、第1の生体吸収率を有する第1の繊維、および第2の生体吸収率を有する第2の繊維を含み、第1の生体吸収率は、第2の生体吸収率と異なる。
【0020】
他の実施形態によれば、中空解剖学的構造を治療するための装置は、中空解剖学的構造内への埋め込みに合わせて構成されたやぐらを含む。このやぐらの少なくとも一部は、概ね縦方向に延び、その長さにそって多数の曲がり部を形成する複数の緩い繊維を含む。繊維は、1つまたは複数の生体吸収性材料から形成される。いくつかの変更形態によれば、繊維は、やぐら内にランダムに配列される。いくつかの実施形態では、複数の繊維のうちの少なくとも1本には、繊維に沿って、繊維の長さよりも極めて短い1つまたは複数の距離だけ間隔をあけて配置された多数の屈曲部を有する。いくつかの変更形態によれば、やぐらの部分は、非編物であり、かつ/または不織である。やぐらの外面は、研磨性であってよい。繊維は、第1の生体吸収率を有する第1の繊維、および第2の生体吸収率を有する第2の繊維を含むことができ、第1の生体吸収率は、第2の生体吸収率と異なっていてもよい。繊維は、インプラント実施後2〜24週の生体吸収時間を持つことができる。
【0021】
他の実施形態によれば、中空解剖学的構造を治療するためのやぐらは、蛇行した非編物である複数の繊維を含み、これらの繊維は1つまたは複数の生体吸収性材料から形成される。いくつかの変更形態によれば、繊維は、ランダムに配列される。繊維は、やぐら内に緩く配列されうる。やぐらの少なくとも一部は、編物でなく、不織とすることができる。繊維は、第1の生体吸収率を有する第1の繊維、および第2の生体吸収率を有する第2の繊維を含むことができ、第1の生体吸収率は、第2の生体吸収率と異なっていてもよい。繊維は、インプラント実施後2〜24週の生体吸収時間を持つことができる。
【0022】
他の実施形態によれば、中空解剖学的構造を治療するための装置は、中空解剖学的構造内への埋め込みに合わせて構成されたインプラントを含む。インプラントは、蛇行した生体再吸収性繊維の積み重ねを含む。いくつかの変更形態によれば、繊維は、ランダムに配列される。繊維は、インプラント内に緩く配列されうる。インプラントの少なくとも一部は、研磨性であってよい。
【0023】
他の実施形態によれば、中空解剖学的構造を治療するための装置は、中空解剖学的構造内に入れられる幅に適合したインプラントを含む。インプラントは、複数の質感加工繊維を含む。繊維は、1つまたは複数の生体吸収性材料から形成される。いくつかの変更形態によれば、繊維は、ランダムに配列される。繊維は、インプラント内に緩く配列されうる。インプラントの少なくとも一部は、編物でなくてよい。インプラントの少なくとも一部は、不織とすることができる。
【0024】
他の実施形態によれば、中空解剖学的構造を治療するための装置は、中空解剖学的構造内に挿入できるサイズとされたインプラントを含む。インプラントは、複数の捲縮繊維を含む。繊維は、1つまたは複数の生体吸収性材料から形成される。いくつかの変更形態によれば、繊維は、インプラント内に緩く配列される。繊維は、いくつかの実施形態において、非編物である。繊維は、いくつかの実施形態において、不織である。
【0025】
他の実施形態によれば、中空解剖学的構造を治療するための装置は、中空解剖学的構造内に挿入できるサイズとされたインプラントを含む。インプラントは、複数の波状繊維を含む。繊維は、1つまたは複数の生体吸収性材料から形成される。いくつかの変更形態によれば、繊維は、インプラント内に緩く配列される。繊維は、編物でなくてよい。繊維は、不織とすることができる。インプラントの外面の少なくとも一部は、研磨性であってよい。繊維は、第1の生体吸収率を有する第1の繊維、および第2の生体吸収率を有する第2の繊維を含むことができ、第1の生体吸収率は、第2の生体吸収率と異なっていてもよい。繊維は、インプラント実施後2〜24週の生体吸収時間を持つことができる。
【0026】
他の実施形態によれば、中空解剖学的構造を治療するための装置は、中空解剖学的構造内への配置に合わせて構成されたやぐらを含む。やぐらは、複数の膨張性繊維を含む。繊維は、1つまたは複数の生体分解性材料から形成される。いくつかの変更形態によれば、繊維は、個別に膨張性を有する。繊維は、インプラント内に緩く配列されうる。やぐらの少なくとも一部は、いくつかの実施形態において、編物でなくてよい。やぐらの少なくとも一部は、いくつかの実施形態において、不織とすることができる。
【0027】
他の実施形態によれば、中空解剖学的構造を治療するための装置は、複数の生体吸収性繊維を含むインプラントを備える。インプラントは、8フレンチ以下の内径を持つ円筒状管内に収めることができる圧縮状態を有する。インプラントは、圧縮状態から、24フレンチ以上の内径を持つ円筒状管の内径いっぱいに広がる十分なサイズを有する膨張状態へ膨張可能である。いくつかの変更形態によれば、インプラントは、膨張状態のときに、24〜36フレンチの内径を持つ円筒状管の内径いっぱいに広がる十分なサイズを有する。いくつかの実施形態では、インプラントは、膨張状態のときに、12〜60フレンチの内径を持つ円筒状管の内径いっぱいに広がる十分なサイズを有する。インプラントは、いくつかの実施形態において、圧縮状態にあるときに6〜8フレンチの内径を持つ円筒状管内にはめ合わせることができる。インプラントは、複数の波状繊維を含むことができる。インプラントの少なくとも一部は、編物でなくてよい。インプラントの少なくとも一部は、不織とすることができる。インプラントは、中空解剖学的構造内にあるときにインプラントの移動を制限するように構成された固定要素を備えることができる。インプラントは、外力が存在しない場合にインプラントが膨張状態に向かう傾向があるように膨張性を持たせることができる。
【0028】
他の実施形態によれば、中空解剖学的構造を治療するための装置は、複数の生体吸収性繊維を含むインプラントを備える。インプラントは、8フレンチ以下の内径を持つ円筒状管内を通過することができる圧縮状態を有する。インプラントは、圧縮状態から、インプラントが平均サイズの成人の大伏在静脈を占有する十分な大きさである横方向サイズを有する治療状態へ膨張可能である。いくつかの変更形態によれば、インプラントは、圧縮状態にあるときに6〜8フレンチの内径を持つ円筒状管内を通過することができる。インプラントは、複数の波状繊維を含むことができる。インプラントの少なくとも一部は、編物でなくてよい。インプラントの少なくとも一部は、不織とすることができる。インプラントは、中空解剖学的構造内にあるときにインプラントの移動を制限するように構成された固定要素を備えることができる。インプラントは、外力が存在しない場合にインプラントが膨張状態に向かう傾向があるように膨張性を持たせることができる。
【0029】
他の実施形態によれば、4mm以上の直径を持つ中空解剖学的構造を治療する方法は、サイズが8フレンチ以下のカテーテルを中空解剖学的構造内に挿入することを含む。生体吸収性繊維性インプラントは、カテーテルに通され、中空解剖学的構造内に入れられる。インプラントでは、中空解剖学的構造の開通性は減少する。いくつかの変更形態によれば、この方法は、インプラントで中空解剖学的構造を閉塞することをさらに含む。インプラントは、いくつかの方法において、中空解剖学的構造内で膨張させられて治療状態にすることができる。この方法は、インプラントが中空解剖学的構造内にあるときにインプラントの閉塞成長侵入を促進することを含むことができる。中空解剖学的構造は、静脈を含むことができる。いくつかの実施形態では、中空解剖学的構造は、大伏在静脈を含む。カテーテルを挿入することは、カテーテルを大伏在大腿静脈接合部から距離をおいて配置されている挿入部位に挿入することを含み、インプラントを挿入部位から大伏在大腿静脈接合部に進めることをさらに含むことができる。中空解剖学的構造は、いくつかの実施形態では、直径を4〜12mmとすることができる。いくつかの実施形態では、中空解剖学的構造は、直径を4〜20mmとすることができる。
【0030】
他の実施形態によれば、静脈を治療する方法は、大伏在大腿静脈接合部から間隔をあけて配置されているアクセス点で静脈にアクセスすることを含む。生体吸収性繊維体は、アクセス点を通じて静脈内に埋め込まれる。この繊維体は、静脈内を大伏在大腿静脈接合部に向かって移動する。いくつかの変更形態によれば、この方法は、中空解剖学的構造内の繊維体を固定し静脈内で繊維体の移動を制限するようにすることをさらに含む。いくつかの方法では、鞘をアクセス点に通すことができ、その繊維体をプッシュロッドでその鞘内に押し通し、静脈内に入れることができる。静脈上で熱処理を行うことができ、熱処理は、高周波エネルギーを送達すること、抵抗素子から熱エネルギーを送達すること、およびレーザーからエネルギーを送達することのうちの1つまたは複数を含むことができる。この方法は、静脈内のこの繊維体の端部を大伏在大腿静脈接合部に移動することをさらに含むことができる。
【0031】
他の実施形態によれば、中空解剖学的構造を治療する方法は、緩い蛇行する複数の繊維を含むインプラントを中空解剖学的構造内に送達することを含む。繊維は、1つまたは複数の生体吸収性材料から形成される。いくつかの変更形態によれば、この方法は、中空解剖学的構造内のインプラントを固定し中空解剖学的構造内でインプラントの移動を制限するようにすることをさらに含む。
【0032】
他の実施形態によれば、中空解剖学的構造を治療するためのキットは、中空解剖学的構造内に挿入できるサイズとされた生体吸収性繊維性インプラントを含む。鞘が、中空解剖学的構造内に挿入できるサイズとされる。鞘は、外径と内径を有する。内径は、インプラントを受け入れてインプラントを中空解剖学的構造内に送達するように構成される。プッシュロッドが、鞘内に挿入できるサイズとされ、インプラントを進めて鞘に通し、インプラントを中空解剖学的構造に送達するように構成される。いくつかの変更形態によれば、鞘は、外径上に研磨要素を備える。研磨要素は、鞘が中空解剖学的構造内に挿入されたときに中空解剖学的構造の表面と係合するように構成することができる。キットは、インプラントロック機構をさらに備えることができる。インプラントロック機構は、インプラントと結合されるように構成された引き糸を備えることができる。インプラントロック機構は、インプラントと結合されたファネルを備えることができる。引き糸は、結び目を作ることができる。引き糸は、その少なくとも一部にそって複数の隆起部を備えることができる。
【0033】
他の実施形態によれば、中空解剖学的構造を治療するためのシステムは、中空解剖学的構造内に挿入できるサイズとされた生体吸収性繊維性インプラントを含む。連続供給機構が、インプラントを中空解剖学的構造内に送達するように構成される。
【0034】
他の実施形態によれば、患者の中空解剖学的構造を治療する方法は、生体吸収性繊維体を中空解剖学的構造内に埋め込むことを含む。この繊維体は、中空解剖学的構造内でこの繊維体の移動を制限するように中空解剖学的構造内に固定される。いくつかの変更形態によれば、この繊維体を固定することは、中空解剖学的構造のアクセス部位でこの繊維体をアンカー固定することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、繊維体の一部が中空解剖学的構造から、患者の皮膚を通り、皮膚のアクセス部位で外に出るように繊維体を位置決めすることをさらに含む。この繊維体は、テザーをさらに含み、この方法は、繊維体の端部を切り取って、繊維体が皮膚の表面と実質的に同じ高さになるようにし、かつテザーがアクセス部位を通して繊維体を越えて延びるようにすることをさらに含むことができる。テザーは、アクセス部位の近くに固定することができる。繊維体を固定することは、膨張性アンカーを中空解剖学的構造内の繊維体の近くに埋め込むことを含むことができる。繊維体を固定することは、中空解剖学的構造内の埋め込み位置の近くで中空解剖学的構造を熱収縮させることを含むことができ、繊維体を埋め込むことは、その繊維体を埋め込み位置に埋め込むことを含むことができる。繊維体を固定することは、フェネストレーションアンカーで繊維体を固定することを含むことができる。繊維体を固定することは、経皮逆行アクセス部位に繊維体を固定することを含むことができる。
【0035】
他の実施形態によれば、中空解剖学的構造を治療するための装置は、生体吸収性繊維体を含む。固定部材が、この繊維体に関連付けられており、中空解剖学的構造内に埋め込まれたときに繊維体の移動を制限するように構成されている。いくつかの変更形態によれば、固定部材は、テザーを含む。固定部材は、アンカーを含むことができる。固定部材は、膨張性要素を含むことができる。固定部材は、組紐を含むことができる。固定部材は、生体吸収性とすることができる。固定部材は、第1の生体吸収率を有し、繊維体は、第2の生体吸収率を有することができ、第1の生体吸収率は、第2の生体吸収率と異なっていてもよい。第1の生体吸収率は、第2の生体吸収率よりも低くてもよい。第1の生体吸収率は、第2の生体吸収率よりも高くてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】伏在静脈および大腿静脈系の一部を示す図である。
【図2A】静脈などの中空解剖学的構造の閉塞のための繊維性集合構造を含むインプラントの一実施形態を示す図であり、繊維性集合構造は、一般的に応力のかかっていない膨張した構成で示されている。
【図2B】概ね応力のかかっていない膨張した構成の繊維内の曲がりを示す図2Aのインプラントの繊維を示す図である。
【図2C】概ね薄型の圧縮された構成の図2Aの繊維性集合構造インプラントを示す図である。
【図2D】概ね薄型の圧縮された構成の繊維内の曲がりを示す図2Cのインプラントの繊維を示す図である。
【図2E】カテーテルまたは送達用鞘が中空解剖学的構造内に挿入されている状態を示す、繊維物質構造を中空解剖学的構造に送達する方法の一実施形態の一部を示す図である。
【図2F】図2Eの方法によるカテーテルまたは送達用鞘にプッシュロッドを通した薄型構成のインプラントを示す図である。
【図2G】図2Eの方法による中空解剖学的構造内で膨張構成をとるインプラントおよび中空解剖学的構造から引き出されている送達カテーテルまたは鞘を示す図である。
【図3】2つの使用状態の繊維性集合構造を示す図である。
【図4】折り畳み使用状況における、2つの使用状態の繊維性集合構造を示す図である。
【図5】織り交ぜられた引き部材を含む他の繊維性集合構造を示す図である。
【図6】繊維性集合構造を静脈などの中空解剖学的構造内に送達する一プロセスを例示する図である。
【図7】繊維性集合構造を配備する際のリングロック機構の使用を例示する図である。
【図8】繊維性集合構造を配備する際の結び目ロック機構の使用を例示する図である。
【図9A】繊維性集合構造を配備する際のラチェットロック機構の使用を例示する図である。
【図9B】静脈などの中空解剖学的構造を閉塞させる他の方法および装置を例示する図である。
【図10】静脈などの中空解剖学的構造を閉塞させる他の方法および装置を例示する図である。
【図11】静脈などの中空解剖学的構造を閉塞させる、織られたソックスを例示する図である。
【図12】静脈などの中空解剖学的構造を閉塞させる他の方法および装置を例示する図である。
【図13】繊維性集合構造のさらなる詳細を例示する図である。
【図14】繊維性集合構造で使用する繊維を例示する図である。
【図15】繊維性集合構造で使用する繊維を例示する図である。
【図16】繊維性集合構造で使用する繊維を例示する図である。
【図17】繊維性集合構造で使用する繊維を例示する図である。
【図18】第1の位置にある連続供給中空解剖学的構造閉塞システムの一実施形態の概略断面図である。
【図19】繊維性集合構造の第1のセグメントが配備されている、第2の位置にある図18のシステムの概略断面図である。
【図20】プッシャロッドの引き込みを例示している、第3の位置にある図18のシステムの概略断面図である。
【図21】連続供給中空解剖学的構造閉塞システムの他の実施形態の概略断面図である。
【図22】連続供給中空解剖学的構造閉塞システムの他の実施形態の概略断面図である。
【図23】図22のデバイスの内側鞘の遠位端の遠位立面図である。
【図24】連続供給中空解剖学的構造閉塞システムを例示する図である。
【図25】連続供給中空解剖学的構造閉塞システムを例示する図である。
【図26】連続供給中空解剖学的構造閉塞システムを例示する図である。
【図27a−b】繊維性集合構造の送達に使用されるピストル型グリップハンドルを例示する図である。
【図27c】繊維性集合構造の送達に使用されるピストル型グリップハンドルを例示する図である。
【図28】コイル上の繊維性集合構造を伴うピストル型グリップハンドルを例示する図である。
【図29】繊維性集合構造の重なり合う送達構成を例示する図である。
【図30】送達用鞘の掻き取り端を例示する図である。
【図31】中空解剖学的構造の内面と接触する複数の研磨性要素を例示する図である。
【図32】一実施形態によるアクセス部位位置にインプラントを固定する一方法を例示する図である。
【図33】一実施形態によるアクセス部位位置にインプラントを固定する一方法を例示する図である。
【図34】一実施形態によるアクセス部位位置にインプラントを固定する一方法を例示する図である。
【図35】一実施形態によるアクセス部位位置にインプラントを固定する一方法を例示する図である。
【図36A−E】いくつかの実施形態による複数の代替え固定技術を例示する図である。
【図36F】いくつかの実施形態による複数の代替え固定技術を例示する図である。
【図37A】いくつかの実施形態による複数の代替え固定方法を例示する図である。
【図37B】いくつかの実施形態による複数の代替え固定方法を例示する図である。
【図37C】いくつかの実施形態による複数の代替え固定方法を例示する図である。
【図37D】いくつかの実施形態による複数の代替え固定方法を例示する図である。
【図37E】いくつかの実施形態による複数の代替え固定方法を例示する図である。
【図38】一実施形態による針先を伴う繋留糸を例示する図である。
【図39】いくつかの実施形態により1つまたは複数の位置でインプラントと結合される繋留糸を例示する図である。
【図40A−C】一実施形態による先端が丸くなっている「V」字型固定要素を例示する図である。
【図41】一実施形態による「U」字型固定要素を例示する図である。
【図42A−C】一実施形態による膨張可能なフープ形固定要素を例示する図である。
【図43A−B】一実施形態による膨張可能な正弦波形ステント固定要素を例示する図である。
【図44A−B】一実施形態による膨張可能なダイヤモンド形ステント固定要素を例示する図である。
【図45A−C】一実施形態による膨張可能なステント固定要素を例示する図である。
【図46A−C】一実施形態による組紐で編んだ膨張可能なステント固定要素を例示する図である。
【図47A−B】一実施形態による膨張可能な多繊維固定要素を例示する図である。
【図48A−C】中空解剖学的構造の近くにかさ高材を用意する方法の一実施形態を例示する図である。
【図49】一実施形態による生体分解性クリップ固定要素を例示する図である。
【図50】一実施形態によるフェネストレーション技術を例示する図である。
【図51A−E】いくつかの実施形態によるフェネストレーション固定技術で使用するように構成されているいくつかのコイルを例示する図である。
【図51F−H】いくつかの実施形態によるフェネストレーション固定技術で使用するように構成されているいくつかのコイルを例示する図である。
【図52A−B】固定要素の一実施形態によるポリマーコイルを例示する図である。
【図53A−B】固定要素の一実施形態による返し付き縫合糸を例示する図である。
【図54A−B】一実施形態による複数の突起を持つ膨張可能な固定要素を例示する図である。
【図54C】一実施形態による複数の突起を持つ膨張可能な固定要素を例示する図である。
【図55A−B】一実施形態によるくさび形固定要素を例示する図である。
【図56A−B】他の実施形態によるくさび形固定要素を例示する図である。
【図57A−C】他の実施形態による「T」字くさび形固定要素を例示する図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下の説明および実施例では、本発明の好ましいいくつかの実施形態を詳細に説明する。当業者であれば、その範囲に含まれる本発明のさまざまな変更形態および修正形態があることを理解するであろう。したがって、好ましい実施形態の説明は、本発明の範囲を限定するものとみなされないであろう。
【0038】
閉塞デバイスまたは閉塞材料を使用して患者または被検体内の中空解剖学的構造(例えば、図1)を閉塞する方法、システム、および装置が提供される。本明細書で使用されているような「被検体(subject)」および「患者(patient)」という用語は、哺乳類などの動物を指す。例えば、当業者の考察対象となる哺乳類は、ヒト、霊長類、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウシ、ヤギ、ブタ、ウマ、ハツカネズミ、ネズミ、ウサギ、モルモットなどである。「被検体」および「患者」という用語は、同義的に使用できる。
【0039】
本明細書で使用されているような「閉塞デバイス(occluding device)」および「閉塞材料(occluding material)」という用語は、広義語であり、通常の意味で使用され、限定はしないが、中空解剖学的構造を閉塞するか、または閉塞させることができる物質またはデバイスを含む。閉塞材料または閉塞デバイスは、実験施設内で形成または加工されるか、またはその場で形成される(例えば、プレポリマーまたは未硬化ポリマーを硬化させることにより)ことが可能である。本明細書で使用されているような「閉塞材料」という用語は、プレポリマー、未硬化ポリマー、未固化材料、さらには重合、事前硬化、または固化された形態で患者内に挿入される閉塞材料を含む。生物由来物質、例えばゼラチン、トロンビンも、閉塞材料とは別に、または組合せで使用することができる。生体再吸収性材料は、特に好ましい閉塞材料であるが、他の材料も必要に応じて使用することができる。例えば、一実施形態では、繊維性集合構造は、繊維および/またはポリラクチド(PLA)および/またはポリグリコリド(PGA)またはその共重合体から形成された他の構成要素を含むことができる。
【0040】
閉塞は、限定はしないが、中の流れを妨げるか、または阻害する栓または他の構造体を中空解剖学的構造(例えば、図1)内に挿入することにより遮断すること、中の流れを妨げるか、または阻害するために中空解剖学的構造の対向する壁を接着してくっつけること、中の流れを妨げるか、または阻害するために中空解剖学的構造の壁を圧縮してくっつけること、または中空解剖学的構造を通る流れを阻害するか、または妨げる印加された力または物質(例えば、エネルギー、化学物質、薬物、物理的接触、圧力など)への生理的反応を開始すること(例えば、線維性栓の形成または結合組織の増殖)を含みうる。閉塞は、即座に行われても、または閉塞の開始を遅らせてもよい。閉塞は、部分的(中空解剖学的構造内の流れを減らすことができる)または完全(中空解剖学的構造内に流れを通さない)とすることができる。閉塞は、永続的または一時的なものとすることができる。閉塞は、材料の吸収特性の影響を受ける可能性がある。閉塞により、中空解剖学的構造に物理的変化または損傷(例えば、組織線維症またはネクローシス)が生じるか、または実質的な物理的変化(例えば、生体適合性のある栓)を生じることなく中空解剖学的構造を遮断することができる。閉塞が生じる仕組みは、限定はしないが、人体の自然異物治癒反応から生じる器質化線維性閉塞の形成、組織に対する傷または損傷の形成、閉塞デバイスまたは閉塞材料の膨張、閉塞デバイスまたは閉塞材料からの化学物質または生物活性物質(例えば、硬化剤、炎症性物質、サイトカイン、増殖因子、凝固因子、組織付着因子、または他の薬剤)の放出、静脈収縮、圧縮、および結紮を含みうる。閉塞の他の仕組み、形態、および効果については、当業者であれば理解するであろう。
【0041】
閉塞構造
図2A〜Dは、中空解剖学的構造を治療するための装置の一実施形態を示している。装置は、中空解剖学的構造20内に挿入できるサイズとされたインプラント10を備える。本明細書で使用されているような「インプラント(implant)」という用語は、広義語であり、通常の意味で使用され、限定はしないが、中空解剖学的構造内に埋め込むことができる物質、構造、またはデバイスを含む。インプラント10は、複数の繊維14を含む繊維性集合構造12を含む。インプラント10は、図2A〜Bに示されているように応力のかかっていないインプラント10の状態に関連する第1の密度を有する。インプラント10は、図2C〜Dに示されているように半径方向に圧力がかかっているインプラント10の状態に関連するより高い第2の密度を有する。インプラント10は、好ましくは、圧縮性および自己膨張性を有する。例えば、インプラント10は、膨張して図2C〜Dの圧縮状態から図2A〜Bの応力のかかっていない状態になりうる複数の膨張性繊維14を含む。
【0042】
インプラント10の膨張は、インプラント10の個々の繊維14の捲縮構成により生じやすくなる。図2A〜Dに示されているように、繊維14は、圧縮状態と応力のかかっていない状態の両方において捲縮している。インプラント10は、複数の緩い、かさ高の繊維14を含む。繊維14に関して本明細書で使用されている「緩い(loose)」という用語は、広義語であり、通常の意味で使用されており、限定はしないが、インプラント10の長さ方向の全部またはかなりの部分(例えば、10%を超える)に沿って全体としてしっかりくっついていない(いくつかの場所において、集合全体には達しない数(例えば、50%未満)の繊維の相互接続、連結、束にすること、または結束を許容する)という意味を含む。繊維14に関して本明細書で使用されているような「かさ高(bulked)」という用語は、広義語であり、通常の意味で使用され、限定はしないが、繊維の集合の間に置かれたときに、類似のデニールまたは断面サイズの実質的にまっすぐの繊維に比べて大きな体積を占有するか、または生じる傾向のあるという意味を含む。
【0043】
インプラント10はさらに、加工された複数の繊維14を含む。インプラント10の個々の繊維14は、好ましくは、例えば、温風捲縮、機械式スタッファーボックス捲縮、仮ねじり加工、伸張加工、延伸加工、または繊維14自体を自己膨張させることができ、繊維性物質12をかさ高にし膨張させる他のプロセスなどのさまざまな一般に知られている繊維加工処理技術により、捲縮、かさ高、および/または変形の加工が行われる。また、この加工により、血液の流れが急に遅くなり、このため、十分な組織成長侵入および最終的な耐久性のある線維性閉塞が容易になる。また、この加工により、インプラント10は、薄い形で送達可能になり、標的中空解剖学的構造20いっぱいになるまで膨張するようにできる。繊維性のインプラント10を作る1つのプロセスは、加工ヤーンを繰り返し伸張し、そのヤーンに関連付けられていた加工を「解放する」ことを含む。繊維14は、機械的に、また繰り返し伸張される。繊維14を伸張することにより、加工の後にそのかさを取り戻すことができる。
【0044】
そのため、図2A〜Dに示されているように、インプラント10は、好ましくは、一般的に縦方向に延び、加工および伸張プロセスを通じて形成された、長さに沿って多数の曲がり部を形成する緩い繊維14のやぐらを含む。本明細書で使用されているような「やぐら(scaffold)」という用語は、広義語であり、通常の意味で使用され、限定されることなく、必ずというわけではないが実際は一時的なものかもしれない支持枠組み構造または格子を含む。繊維14に関して本明細書で使用されているような「曲がり部(bends)」という用語は、広義語であり、通常の意味で使用され、限定はしないが、方向の湾曲したまたは角をなす変化(例えば、頂点)および/または方向の変化の間に延びる繊維の部分を含む。
【0045】
繊維14は、好ましくは、半径方向にかさ高である。繊維14に関して本明細書で使用されているような「半径方向にかさ高(radially bulked)」という用語は、広義語であり、通常の意味で使用され、繊維の断面を越えて半径方向(一般に、実質的にまっすぐに置かれたときに繊維の長手軸に直交するか、または横断する方向)にかさまたは体積を占有または作る傾向があるという意味を含む。例えば、繊維14は、加工および伸張プロセスの結果として捲縮されているか、または曲がっているか、または波打っている構成を持つため、繊維14は、まとめて、および/または個々に、長さ方向に比較的短く、半径方向に比較的厚くなる。そのため、繊維14は、高い空洞率および比較的低い密度を有するやぐらを作る。繊維14の捲縮構成は、繊維14の自己膨張特性を助長する。繊維14は、インプラント10膨張張性を有するように膨張状態に偏る。
【0046】
繊維14は、0.1デニールから10デニールまでの範囲とすることができ、インプラント10は、いくつかの実施形態において、500から100,000本の繊維を含むことができる。いくつかの実施形態では、インプラント10は、500から500,000本までの繊維を含むことができる。これらの繊維14は、好ましくは緩く、編まれず、および/または不織である。例えば、いくつかの実施形態では、繊維14は、互いに堅く固定されているか、またはしっかり付着している、というわけではない。繊維14は、好ましくは、比較的自由に動くことができ、一般的に、インプラント10の長さ方向に沿って互いに関して制限されたり、拘束されたりしない。いくつかの実施形態では、繊維14は、インプラント10の第1の端部で連結することができる。いくつかの実施形態では、繊維14は、インプラント10の第2の端部で連結することができる。繊維サイズおよび構成について、以下でさらに詳しく説明する。
【0047】
繊維14は、好ましくは、1つまたは複数の生体吸収性および/または生体分解性材料から形成される。本明細書で使用されているような「生体吸収性(bioabsorbable)」という用語は、広義語であり、通常の意味で使用され、限定はしないが、存在する生体に摂取され、その一部をなすことができる能力があることを含む。本明細書で使用されているような「生体分解性(biodegradable)」という用語は、広義語であり、通常の意味で使用され、限定はしないが、生物の活動により無害の生成物に特に分解することができる能力があることを含む。いくつかの実施形態では、繊維14は、個別に膨らませることができる。いくつかの実施形態によれば、繊維14は、αヒドロキシ酸から形成され、および/またはポリグリコール酸、ポリグリコール酸−乳酸共重合体、ポリ乳酸−グリコール酸共重合体、ポリグリコリド−ラクチド共重合体、およびポリグリコリドからなる群から選択された材料から形成されうる。これらおよび他の適する材料について、以下でさらに詳しく説明する。繊維14は、第1の生体吸収率を有する第1の繊維、および第2の生体吸収率を有する第2の繊維を含むことができ、第1の生体吸収率は、第2の生体吸収率と異なる。
【0048】
いくつかの実施形態では、インプラント10は、図3〜5に示されているように、半径方向に膨張されることができ、折り重ねることができ、束ねることができ、および/または絡ませることができる。さらに、インプラント10を送達する方法の一実施形態は、図6に示されており、以下でさらに詳しく説明される。
【0049】
いくつかの実施形態では、装置は、中空解剖学的構造内にあるときにインプラント10の移動を制限するように構成された固定要素を備えることができる。本明細書で使用されているような「固定要素(fixation element)」という用語は、広義語であり、通常の意味で使用され、限定はしないが、中空解剖学的構造内に置かれた物体の移動量を減らすか、または移動をなくす傾向のあるデバイスを含む。例えば、装置は、インプラントに結合されたテザーを備えることができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、装置は、さらに、図7〜9を参照しつつ以下でさらに詳しく説明されるように、インプラントロック機構を備える。本明細書で使用されているような「ロック機構(locking mechanism)」という用語は、広義語であり、通常の意味で使用され、限定はしないが、要素または部分の連動またはもつれを形成することができる構造、適所に固定するか、保持するか、または構成を制御する構造またはデバイス、適所に固定する構造を含む。例えば、装置は、インプラント10に結合され、インプラント10の少なくとも1つの端部を越えて延びるように構成されている引き糸30を備えることができる。いくつかの実施形態では、引き糸30により、膨張構成のインプラント10を中空解剖学的構造内に位置決めすることができる。
【0051】
以下でさらに説明されるように、いくつかの実施形態では、インプラント10は、さらに、半径方向膨張性要素を備える。いくつかの実施形態では、繊維14は、一般に、中空解剖学的構造20内に埋め込まれたときに膨張性要素の内側に位置決めされうる。いくつかの実施形態では、インプラント10は、さらに、薬物および/または硬化剤を含む。いくつかの実施形態では、やぐらの外面は、研磨性であってよい。本明細書で使用されているような「研磨性(abrasive)」という用語は、広義語であり、通常の意味で使用され、限定はしないが、例えば摩擦により刺激する、擦る、または磨り減らすように構成されること、またはインプラント10の外面に関して、内皮層と接触している間に移動されたときに内皮層を露出させる十分な研磨性を有するという意味を含む。
【0052】
図2E〜Gは、中空解剖学的構造20の中にインプラント10を送達する方法の一実施形態を例示している。この方法は、本明細書で開示されている多数のインプラントのうちの1つまたは複数を送達するのに適している。図2Eに示されているように、送達カテーテルおよび/または鞘16は、中空解剖学的構造20内に挿入される。一実施形態によれば、送達カテーテル16は、好ましくは8F以下である。いくつかの実施形態では、送達カテーテルは、6Fである。中空解剖学的構造20は、好ましくは4mm以上の内径を有する。いくつかの実施形態では、中空解剖学的構造の内径は、4〜12mmである。いくつかの実施形態では、中空解剖学的構造の内径は、4〜20mmである。中空解剖学的構造は、静脈、例えば、大伏在静脈、または小伏在静脈または、例えばファローピウス管、卵巣静脈、または内精索静脈などの他の中空解剖学的構造とすることができる。
【0053】
インプラント10、例えば、繊維性集合構造12は、図2Fに示されているように送達カテーテル16内に装填される。インプラント10は、好ましくは、送達カテーテル16内にあるときに圧縮構成(図2Cに示されているような)をとる。インプラント10は、送達カテーテル16の遠位端部へ押される。いくつかの実施形態では、プッシュロッド18を使用してインプラント10を進めることができる。プッシュロッド18は、以下でさらに詳しく説明される。例えば、いくつかの実施形態では、インプラント10は、遠位端部上で折り畳むことができ、これによりインプラント10の中間部分に折り目または頂点を形成することができる。プッシュロッド18の遠位先端は、折り目または頂点と係合し、インプラント10を中空解剖学的構造20内に押し込みやすくできる。
【0054】
図2Gに示されているように、インプラント10は、送達カテーテル16の遠位端部から押し出され、中空解剖学的構造20内に押し込まれる。いくつかの実施形態では、プッシュロッド18を使用してインプラント10を遠位に押しやることができる。いくつかの他の実施形態では、プッシュロッド18を、一般的に静止状態に保持し、送達カテーテル16を、近くに引っ張り、インプラント10を中空解剖学的構造20内に入れることができる。図2Gに示されているように、インプラント10は、好ましくは、中空解剖学的構造20内の適所にあるときに治療状態または膨張構成(図2Aに示されているような)をとる。繊維14およびインプラント10の自己膨張特性により、膨張し、中空解剖学的構造20内いっぱいに広がる。インプラント10は、好ましくは、インプラント10内の閉塞成長侵入および凝固に対するやぐらを形成し、最終的に、本明細書でさらに詳しく説明されるように、中空解剖学的構造20の耐久性のある閉塞を形成する。大伏在静脈などの伏在静脈を治療する場合、カテーテル16を大伏在静脈内の大伏在大腿静脈接合部から離れている挿入部位のところで中空解剖学的構造内に挿入し、大伏在大腿静脈接合部に向けて、またはそこに進めることができる。次いで、インプラント10は、カテーテルを通して、大伏在大腿静脈接合部の方へ、またはそこに進められる。必要ならば、インプラント10は、大伏在大腿静脈接合部から挿入部位までずっと延びるように静脈内に配置することができる。
【0055】
さらに、本明細書で説明されている方法の1つまたは複数は、さらに、中空解剖学的構造20内でインプラント10を動かし(最初の埋め込みの前、カテーテル16内、または最初の埋め込みの後)、最後の治療位置に移動することを含むことができる。そのため、図2A〜Dのインプラント10および/または繊維性集合構造12、および本明細書で開示されている他のインプラント10は、インプラント10が8F以下の内径を有する円筒状管(例えば、送達カテーテル)内に収まる(および/または通過できる)圧縮状態(例えば、図2C)をとりうることが理解されるだろう。いくつかの実施形態では、円筒状管の内径は、6〜8Fである。したがって、インプラント10は、好ましくは、膨張して圧縮状態から膨張状態(図2A)になることができ、その場合、インプラント10は、4〜12mmの中空解剖学的構造20の内径いっぱいに広がる、および/または24F以上の内径を有する円筒状管の内径いっぱいに広がる十分なサイズを有する。いくつかの実施形態では、インプラント10は、4〜20mmの中空解剖学的構造20の内径いっぱいに広がる十分なサイズを有する。いくつかの実施形態では、インプラント10は、24〜36Fの範囲の内径を有する円筒状管の内径いっぱいに広がりうる。いくつかの実施形態では、インプラント10は、12〜60Fの範囲の内径を有する円筒状管の内径いっぱいに広がりうる。それとは別に、いくつかの実施形態では、インプラント10は、治療状態に膨らむことができ、その場合、インプラント10は、平均サイズ以上の成人の大伏在静脈を占有する十分な大きさである横方向サイズを有する。
【0056】
一実施形態では、インプラント10は、インプラント10が、8French以下の内径を持つ円筒状管内に収まることができる圧縮状態を有する。インプラント10は、好ましくは、圧縮状態から、インプラント10が平均サイズの成人の大伏在静脈を占有する十分な大きさである横方向サイズを有する治療状態へ膨らませることができる。例えば、いくつかの実施形態では、インプラント10は、好ましくは、圧縮状態から、インプラント10が24French以上の内径を持つ円筒状管の内径いっぱいに広がる十分なサイズを有する膨張状態へ膨らませることができる。インプラント10は、好ましくは、膨張状態のときに、24〜36Frenchの内径を持つ円筒状管の内径いっぱいに広がる十分なサイズを有する。いくつかの実施形態では、インプラント10は、好ましくは、膨張状態のときに、12〜60Frenchの内径を持つ円筒状管の内径いっぱいに広がる十分なサイズを有する。インプラント10は、いくつかの実施形態において、圧縮状態にあるときに6〜8Frenchの内径を持つ円筒状管内にはめ込むことができる。インプラント10は、外力が存在しない場合にインプラントが膨張状態に向かう傾向があるように自己膨張性を持たせることができる。
【0057】
一実施形態によれば、閉塞デバイスまたはインプラント10は、図2〜9Aに示されているように、繊維性集合構造12を含む。繊維性集合構造12は、繊維材料の1つまたは複数のストランド14を含むことができる。繊維性集合構造12は、中空解剖学的構造20内に送達するための送達用鞘16内に配置することができる。送達用鞘16が引き出されると、繊維性集合構造12は、中空解剖学的構造20内に露出される。繊維性集合構造12は、好ましくは、以下でさらに詳しく説明されるように、中空解剖学的構造20を閉塞させる。
【0058】
中空解剖学的構造20を閉塞するために繊維性集合構造12を使用する利点の1つは、熱または他の血管周囲損傷から保護する必要のある他の隣接する解剖学的構造に熱損傷、異常知覚、皮膚火傷または損傷を与えることを心配せずに神経または皮膚の近くにある構造を治療することができる点にある。一実施形態では、繊維性集合構造12を使用することは、大伏在静脈が神経の近くを走っている膝の下の中空解剖学的導管を治療するのに特に役立つ。さらに、いくつかの実施形態では、繊維性集合構造12を使用することで、手術中の中空解剖学的構造圧縮および疼痛処理に膨潤麻酔法を使用する必要がなくなる。一実施形態では、全身および/または局所麻酔法は使用されない。一実施形態では、繊維性集合構造12の埋め込みに局所または表面麻酔法および/または半意識鎮静を使用できる。いくつかの実施形態では、繊維性集合構造12は、蛇行静脈の閉塞を行う場合に特に適している。さらに、生体再吸収性閉塞装置は、精索静脈瘤を治療するために内精索静脈内で有利に使用することができ、また骨盤うっ血症候群またはファローピウス管閉塞および/または恒久的避妊処置のため輸精管を治療するために卵巣静脈内で有利に使用することができる。
【0059】
繊維性集合構造12を形成するのに好適な材料であればどのような材料でも使用できる。これらの材料は、好ましくは、中空解剖学的構造内に挿入するため望ましい形態に加工することができる生体再吸収性材料である。この材料の好適なサイズおよび形状は、閉塞すべき中空解剖学的構造に従って選択することができる。繊維性集合構造12は、2つ以上の材料の複合物質または異なる生体再吸収率、異なる生体分解速度、溶解度、空隙率、強度、剛性度などを持つ単一共重合体を含むことができる。インプラントを製造するための材料および方法は、以下でさらに詳しく説明される。
【0060】
繊維性集合構造12は、好ましくは、単一デバイスで所望の長さの中空解剖学的構造を治療するのに十分な長さである。いくつかの実施形態では、繊維性集合構造12の長さは、約1cm以下から約60cm以上までである。いくつかの実施形態では、例えば、大伏在大腿静脈接合部の近くの小さな部分を治療するのに十分短い長さであるのが望ましい。いくつかの実施形態では、鼠径部から膝までの静脈全体を治療するのに十分長い長さであるのが望ましい。いくつかの実施形態では、鼠径部から足首までの静脈全体を治療するのに十分長い長さであるのが望ましい。
【0061】
図2〜9Aに示されているように、一実施形態では、繊維性集合構造12は、複数の連続する細長い繊維14(いくつかの実施形態では、ヤーンとしてよい)を含む。それとは別に、繊維性集合構造12は、2cmから100cmまでの範囲の長さを有する複数の細い短繊維を含むことができる。繊維性集合構造12は、送達用の第1の構成および中空解剖学的構造20を閉塞するための第2の構成をとりうる。第1の構成では、繊維性集合構造12は、比較的ロープロファイルである。繊維性集合構造12の断面積は、好ましくは、送達用鞘16などの送達デバイスを通して送達しやすいように十分小さい。第2の構成では、繊維性集合構造12は、比較的広い形状である。
【0062】
インプラント10および/または繊維性集合構造12の個別繊維14は、例えば、温風捲縮、機械式スタッファーボックス捲縮、疑似ねじり質感加工、ストレッチ質感加工、延伸質感加工、または繊維14自体を自己膨張させることができ、繊維性物質12をかさ高にし膨張させる他のプロセスなどのさまざまな一般に知られている繊維加工処理技術により捲縮、かさ高、および/または変形の加工が行われる。それとは別に、繊維性物質12自体については、膨張状態でヒートセット、溶媒キャスト、回転注型、成形、押し出し成形、溶媒噴霧、溶融紡糸、電気紡糸、などを実行できる。
【0063】
例えば、いくつかの実施形態では、繊維質感加工は、自己膨張および/または体積充填に対し特に有利なものと考えられる。繊維質感加工では、インプラント10に、インプラント10が過剰充填にならないように空間を満たせる空洞率の高いやぐらを設けることができる。質感加工された繊維14を含むインプラント10は、患者の快適さを向上させることができ、また生物学的閉塞に対し慢性的に重要であり、組織やぐら形成を可能にし、および/または耐久性のある閉塞を実現できる。繊維14の質感加工により、インプラント10の自己膨張、体積充填、および閉塞/やぐら特性が助長される。また、この質感加工により、血液の流れが急に遅くなり、このため、十分な組織成長侵入および最終的な耐久性のある線維性閉塞が容易になる。また、この質感加工により、インプラント10は、ロープロファイルで送達可能になり、標的中空解剖学的構造20いっぱいになるまで膨張するようにできる。質感加工により、繊維14のかさが増え、さらに繊維14を無作為配列することで、インプラント10の自己膨張、体積充填、および閉塞/やぐら特性が高められる。質感加工は、エアータック、スタッファーボックス質感加工、エアージェット質感加工(絡ませる)、ストレッチ質感加工、延伸質感加工、または他の一般的に使用される織物ヤーン微細構造化方法を使って、または使わずに、S&Z疑似ねじり質感加工により行うことができる。
【0064】
ヤーンが生産されるときに、現れてくる長繊維または繊維は、好ましくは、急速に冷却し、そして固化するが、これらは、さらに、供給側の速度よりも速い速度で巻き取ることにより「延伸」することもできる。延伸は、分子構造を安定化し、分子配向を改善することによりヤーンの強度を高めることができる。紡糸口金を使用して、細かな多数の流れを形成し、固化させて長繊維または繊維を作ることができる。長繊維は、延伸されて分子構造を配向し、溶融物は、融点よりも低い温度で冷却することにより固化される(溶融紡糸)。流れているポリマーは、好ましくは、ゲルおよび異物などの塊が紡糸口金の孔を詰まらせないようにするため濾過される。
【0065】
紡糸口金を出た押し出し成形長繊維からの熱流速は、ヤーンの形態構造を決定するのに役立つ。形態は、結晶化度と配向の程度に関係する。高速のときには、押し出し成形ゾーンのせん断速度(長繊維の速度の関数である)も、形態構造に影響を及ぼす。これらの長繊維に対しその後行う延伸の量も、さらに、ヤーンの特性に影響を及ぼす。延伸倍率は、部分延伸ヤーン(POY)の強度に影響を及ぼす。低延伸倍率で形成されるPOYの強度は、高速質感加工には不十分な場合があり、したがって質感加工段階で延伸して長繊維強度を高めることが望ましいと考えられる。そのため、POYが延伸質感加工のため生産されているときに、質感加工速度は、実際には、押し出し成形速度にリンクしている。長繊維は、多くの場合、回転している円筒またはゴデットの周りに巻き付けられる。
【0066】
ほとんどの質感加工システムでは、長繊維または繊維は、ヒートセットで、ある種の捲縮または渦巻き形態にされ、それぞれの長繊維または繊維は、できる限り隣接要素から離される。ヒートセットできない長繊維または繊維では、繊維を絡ませて機械的にロックすることが可能である。この一例は、エアージェット質感加工である。ときには、エアージェットと疑似ねじり質感加工とを組み合わせるのが望ましい場合もある。エアージェット質感加工では、疑似ねじり質感加工ヤーンよりも短繊維ヤーンに近い製品が得られる。
【0067】
スタッファーボックス、エアージェット、およびS&Z疑似ねじりを介した質感加工は、当業ではよく知られている。有用なパラメータは、捲縮および捲縮保持の頻度である。捲縮回復(保持)に関するASTM標準はD4031であり、これは、この背景状況において、捲縮による収縮を捲縮能力または張力下でヤーンが収縮する能力の指標として定義している。質感加工ヤーンがかさを増やした場合、荷重を受けている場合でも縮む。捲縮保持は、これによりヤーンがどれだけの自己膨張を被るかが決定されるため関連性がある。特に血液で濡れている状態では、ヤーンのこの捲縮保持パラメータは、完全なやぐらとし、究極的に、中空解剖学的構造を耐久的に閉塞するのにどれだけ繊維を必要とするかを決定する。
【0068】
質感加工法は、Peter R.Lord著「Handbook of Yarn Production」というタイトルのテキストブック(North America by CRC Press LLC,2000 Corporate Blvd、NW、Boca Raton、FL 33431、USA in 2003、ISBN#0−8493−1781−9)で詳しく説明されており、これは、参照により本明細書に組み込まれ、本明細書の一部となっている。
【0069】
繊維性インプラントを作る一プロセスは、質感加工ヤーンを繰り返し延ばし、そのヤーンに関連付けられていた質感を「ロック解除」することを含む。いくつかの実施形態では、さらに加熱または冷却する必要はない。繊維は、機械的に、また繰り返し引き延ばされる。ストレッチ加工は、手で、および/または機械により実行することができる。エアータックを持つヤーンの場合、この作業で、タックの絡みを取り除くことによりエアータックが効果的に除去される。ヤーンがエアータックを持たない場合でも、この作業で、糸巻きに巻かれたヤーンがそのかさを取り戻すことができるが、それは、糸巻きに巻くときに、ヤーンを巻くのに必要な張力のせいでかさの一部がつぶれる傾向があるからである。インプラント10および/または繊維性集合構造12のさまざまな実施形態を製造することに関する詳細は、さらに、以下の「閉塞構造物を作製する」という表題の節で説明される。
【0070】
繊維性集合構造12の連続する細長い繊維14は、押しつぶされる、例えば、繊維性集合構造の縦軸にそって圧縮することができ、これにより、繊維性集合構造12の断面幅を増やし、中空解剖学的構造20を閉塞させる。いくつかの実施形態では、繊維性集合構造12は、送達用鞘16を出た後、充填直径の数倍まで膨らますことができ、これにより、潜在的に押しつぶす必要がなくなる。例えば、一実施形態の繊維性集合構造12は、約2mmの内径を有する送達用鞘16内に充填される。繊維性集合構造12が送達用鞘16から配備される場合、膨らませて、約5mm以下から約20mm以上までの直径を有する静脈を満たすようにできる。いくつかの実施形態では、繊維性集合構造12が送達用鞘16から配備される場合、膨らませて、約4mm以下から約20mm以上までの直径を有する静脈を満たすようにできる。いくつかの実施形態では、繊維性物質12の膨張および中空解剖学的構造の充填は、繊維質感加工に依存しうるが、それとは別に、物質のその後の送達で、すでに堆積されている物質が詰められて圧縮され、中空解剖学的構造20をもっと完全に充填するように、送達時に曲がるときに繊維14によってなされるよじれと回転を使用することができる。
【0071】
図3に示されているように、いくつかの実施形態では、引き糸30は、繊維性集合構造12と結合することができる。一実施形態では、引き糸30は、繊維性集合構造12の遠位端32と結合される。引き糸30は、ユーザーによって作動されるか、または作動なしで、近くの押し鞘(図に示されていない)と組み合わせて押し込まれ、これにより、以下でさらに詳しく説明されるように、中空解剖学的構造内に配備されるときに、繊維性集合構造12を「押しつぶし」、例えば、縦軸にそって短く、太くし、半径方向に膨らますことができる。いくつかの実施形態では、引き糸30は、自動的に作動させることができる。図4に示されているように、他の実施形態では、引き糸30は、繊維性集合構造12の遠位端32と結合され、以下でさらに説明されるように、引き糸30は、ユーザーによって作動され、繊維性集合構造12を折り畳むことができる。図5に示されているように、一実施形態では、引き糸30は、押しつぶしが一様になるように繊維性集合構造12から出し入れする形で織られる。以下でさらに説明されるように、引き糸30を繊維性集合構造12に通して織り上げることで、繊維性物質にそって「アコーディオン風」の曲げを形成し、膨張特性を改善することができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、引き糸30は、送達用鞘16の遠位部分に当てて、またはプッシュロッド18に当てて、繊維性集合構造を「押しつぶす」ために使用することができる。いくつかの実施形態では、インプラント10の取り出し、または位置変更に、引き糸30、またはアンカー糸または繋留糸40を使用することができる。
【0073】
アンカー糸40は、インプラント10全体を引くか、または位置変更するために繊維性集合構造12に結合することができる。プッシュロッド18も、遠位端を押し、インプラント10に張力をかけることによりインプラント10全体を押すか、または位置変更するためにいくつかの実施形態において使用することができる。送達用鞘16の遠位部分は、さらに、引き糸30を押し込みつつ位置変更に使用することもできる。中空解剖学的構造内でインプラント10の位置を変更し、および/または移動する動作は、中空解剖学的構造20の内側の内皮細胞内層を妨げて/露出させることにより閉塞を改善することができる。さらに、アンカー糸40は、固定要素および/または固着機構として作用するアクセス部位に固定され、これにより、繊維性集合構造12が中空解剖学的構造20から移動しないよう防止することができる。遠位または近位端上の、またはインプラント長にそった、繊維性集合構造12と関連する他の機械的手段は、インプラント移動を制御するために繊維性集合構造12を中空解剖学的構造20に固定すると考えることができるが、この手段は、限定はしないが、フック、返し、自己膨張放射状構造、叉骨形状膨張アンカーワイヤ、コイル形状フック、放射状膨張傘形などを含む。これらの一部または全部は、非生体再吸収および/または生体再吸収性材料から作ることができる。繊維性集合構造の移動は、さらに、RFエネルギー、加熱コイルエネルギー、レーザーエネルギー、または血管結紮のような外科技術を使用して中空解剖学的構造を最初に封止/閉塞することにより制御することもでき、さらには中空解剖学的構造の外部手動圧縮を使用して、急な移動を防止することができる。追加の固定技術および構造は、以下でさらに詳しく説明される。
【0074】
いくつかの実施形態では、バルーンを繊維性集合構造12内に配置することができる。バルーンは、配備後、膨らんで繊維性集合構造12を膨張させることができる。次いで、バルーンをしぼませて引き出し、膨張した繊維性集合構造12を適所に残すことができる。バルーンを使用する利点としては、内腔内に存在する血液などの天然流体を押しのけるか、または最小限度に抑えること、血流を効果的に止めて、これにより残留血液の凝固を助長すること、中空解剖学的構造20の壁にインプラントを固定することによりインプラント10が移動するのを防止することが挙げられる。バルーンは、さらに、血餅および/またはインプラント10がバルーンに張り付かないように潤滑性のあるコーティングも施すことができる。さらに、バルーンは、微孔性にすることもでき、これにより、硬化剤、トロンビン、他の生物活性薬剤をインプラント部位に送達することができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、インプラント10は、マーカーを含むか、または結合される。マーカーは、インプラント10の視覚化に使用することができる。マーカーは、超音波、X線、または他の視覚化手段の下で視覚化に対しエコー性および/または放射線不透過性を有するものとすることができる。いくつかの実施形態では、他の視覚化方法およびマーカーを使用することができる。いくつかの実施形態では、第1のマーカーは、繊維性集合構造12の第1の端部に配置され、第2のマーカーは、繊維性集合構造12の第2の端部に配置される。いくつかの実施形態では、繊維14および/または繊維性集合構造12は、粉末タンタル、粉末タングステン、酸化ビスマス、または硫酸バリウムを含む微量金属を組み込むことで視覚化を向上させることができる。いくつかの実施形態では、繊維組成物は、分解サイクルに入っているときに輸送の際にインプラント10の分解副産物を監視するための生理学的/生物学的マーカーを組み込むことができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、プッシュロッド18を使用して、インプラント10を送達、配備、または固定することができる。一実施形態では、プッシュロッド18は、インプラント10の繊維性集合構造12内に配置される。他の実施形態では、プッシュロッド18は、構造12の近くに配置される。いくつかの実施形態では、プッシュロッド18は、繊維性集合構造12と係合し、送達用鞘16が引き込まれている間にこれを適所に保持する。以下でさらに説明されるように、プッシュロッド18は、繊維性集合構造12を送達用鞘16から中空解剖学的構造20内に送達するために使用することができる。いくつかの実施形態では、繊維性集合構造12は、自動的作動とすることができる。他の実施形態では、プッシュロッド16および繊維性集合構造12は、ユーザーが繊維性集合構造12を作動させて押しつぶされた構成にすることができる。いくつかの実施形態では、繊維性集合構造は外側鞘を持たない。繊維性物質は、好ましくは、傷つけることのない先端を持つプッシュロッド16を使用して置かれる。この実施形態には、繊維性物質12が鞘16内に圧縮される時間を最低限度にし、これによりインプラント10の膨張特性を改善するという利点がある。さらに、送達用鞘を持たないことで、より多くの繊維14を中空解剖学的構造20内に入れることができ、アクセスポートのサイズを大きくする必要はない。
【0077】
送達技術
一実施形態では、中空解剖学的構造を治療するキットは、生体吸収性繊維性インプラント10、およびインプラントを中空解剖学的構造内に送達するためインプラント10を受け入れるように構成された内径を有する中空解剖学的構造20内に挿入できるサイズとされた鞘16を備える。プッシュロッド18は、鞘16内に挿入できるようにサイズが決められ、またインプラント10を進めて鞘16に通し、インプラント10を中空解剖学的構造20に送達するように構成される。いくつかの変更形態によれば、鞘16は、外径上に研磨要素を備える。研磨要素は、鞘16が中空解剖学的構造20内に挿入されたときに中空解剖学的構造20の表面と係合するように構成することができる。キットは、さらに、インプラントロック機構50も備えることができる。インプラントロック機構50は、インプラント10と結合されるように構成された引き糸30を備えることができる。インプラントロック機構50は、インプラント10と結合されたファネル52を備えることができる。引き糸30は、結び目54を作ることができる。引き糸30は、その少なくとも一部にそって複数の瘤56を備えることができる。
【0078】
他の実施形態によれば、中空解剖学的構造20を治療する方法は、1つまたは複数の生体吸収性材料から形成された複数の緩い蛇行する繊維14を含むインプラント10を中空解剖学的構造20内に送達することを含む。例えば、他の技術によれば、4mm以上の直径を持つ中空解剖学的構造20を治療する方法は、サイズが8フレンチ以下のカテーテルを中空解剖学的構造20内に挿入することを含む。生体吸収性繊維性インプラント10は、カテーテルに通され、中空解剖学的構造20内に入れられる。インプラント10では、中空解剖学的構造20の開通性を小さくすることができる。いくつかの実施形態によれば、この方法は、さらに、インプラント10で中空解剖学的構造を閉塞することを含む。インプラント10は、いくつかの方法において、中空解剖学的構造20内で膨らませて治療状態にすることができる。この方法は、インプラント10が中空解剖学的構造20内にある場合にインプラント10の閉塞成長侵入を助長することを含むことができる。中空解剖学的構造20は、静脈を含むことができる。いくつかの実施形態では、中空解剖学的構造20は、大伏在静脈を含む。カテーテルを挿入する工程は、カテーテルを大伏在大腿静脈接合部から距離をとって配置されている挿入部位のところに挿入することを含むことができ、さらにインプラント10を挿入部位から大伏在大腿静脈接合部に進めることを含む。中空解剖学的構造20は、いくつかの実施形態では、直径を4〜12mmとすることができる。中空解剖学的構造20は、いくつかの実施形態では、直径を4〜20mmとすることができる。
【0079】
他の実施形態では、静脈を治療する方法は、大伏在大腿静脈接合部から間隔をあけて配置されているアクセス点において静脈にアクセスすることを含む。生体吸収性繊維体12は、アクセス点を通じて静脈内に埋め込まれる。この繊維体12は、静脈内を大伏在大腿静脈接合部に向かって移動する。いくつかの実施形態では、この方法は、さらに、中空解剖学的構造内20の繊維体12を固定し静脈内で繊維体12の移動を制限するようにすることを含む。いくつかの方法では、鞘16をアクセス点に通すことができ、その繊維体12をプッシュロッド18で鞘16内に押し通し、静脈内に入れることができる。静脈上で熱処理を行うことができ、熱処理は、高周波エネルギーを送達すること、抵抗素子から熱エネルギーを送達すること、およびレーザーからエネルギーを送達することのうちの1つまたは複数を含むことができる。この方法は、さらに、静脈内のこの繊維体12の端部を大伏在大腿静脈接合部に移動することも含むことができる。
【0080】
図6に示されているように、一技術によれば、インプラント10、例えば繊維性集合構造12が備えられる。送達用鞘16およびプッシュロッド18も備えられる。インプラント10は、プッシュロッド18上に装填される。インプラント10は、引き延ばされ、プッシュロッド18上に潰される。プッシュロッド18を使用して、インプラント10を送達用鞘16内に装填する。送達用鞘16の遠位部分が中空解剖学的構造20内に配置されると、プッシュロッド18を使用して、インプラント10を送達用鞘16から押し出すか、またはそれとは別に、外側の鞘16が引っ込められている間、プッシュロッド18を静止させておく。インプラント10は、送達用鞘16から出た後、部分的に膨張する。インプラント10は、送達用鞘16が手前に押され、引き糸30が後に引かれるか、または静止状態に保持され、その移動を制約されているときに、さらに膨らまされ、押しつぶされる。
【0081】
一技術によれば、超音波を使用して、閉塞すべき中空解剖学的構造20の直径を測定することができる。中空解剖学的構造20の圧縮性を決定し、カラーフロー・ドップラー流評価を実行できる。適切なアクセス部位を選択する。局所麻酔薬を選択されたアクセス部位に投与することができる。導入装置鞘16、カニューレ、または他のアクセスデバイスを、アクセス血管内に配置することができる。一実施形態では、6Fの鞘が使用される。他の実施形態では、12Gaカニューレを使用することができる。適切なアクセスデバイスを使用できる。
【0082】
送達デバイス、例えば送達カテーテルまたは鞘16は、中空解剖学的構造20内に挿入され、鞘の先端が治療セグメントの遠位部分に位置するようにされる。繊維性集合構造20は、好ましくは、以下でさらに詳しく説明されるように、送達デバイス内に配置される。繊維性集合構造12の位置は、好ましくは、好適な視覚化技術、例えば、超音波、X線を使用して確認される。いくつかの実施形態では、マーカーをはっきり分かるように繊維性集合構造12上に配置することができる。繊維性集合構造12は、中空解剖学的構造20内に送達される。必要ならば、繊維性集合構造12は、視覚化した状況において、中空解剖学的構造20内に配置するか、または再配置することができる。いくつかの場合において、一方のユーザーが繊維性集合構造12を配置し、他方のユーザーが視覚化機器を操作するようにすると都合がよいであろう。
【0083】
繊維性集合構造12は、好ましくは、膨張構成に合わせて配備される。好適な任意の配備技術および/または膨張技術を使用できる。図3に示されているように、一実施形態では、繊維性集合構造12の遠位部分32に結合されている引き糸30は、引かれ、これにより繊維性集合構造12は押しつぶされる。繊維性集合構造12を押しつぶすと、所定の断面における繊維14の密度が増大する。図4に示されているように、他の実施形態では、繊維性集合構造12の遠位部分32に結合されている引き糸30は、引かれ、これにより繊維性集合構造12はそれ自体の上に折り重なる。繊維性集合構造12を折り畳むと、所定の断面における繊維の密度が増大する。図5に示されているように、他の実施形態では、引き糸30は、繊維性集合構造12の遠位部分32に結合されており、繊維性集合構造12の中間部分を通して織り上げられる。引き糸30を繊維性集合構造12と絡み合わせることで、繊維性集合構造12の押しつぶしが制御され、所定の断面における繊維14の密度が高まる。
【0084】
いくつかの実施形態では、インプラント10は、ロックデバイス50により押しつぶし位置に保持される。適切なロックデバイス50を使用できる。一実施形態では、インプラント10は、リングロック機構50を含む。図7に示されているように、ストッパー56は、引き糸30上に配置される。引き糸30は、インプラント10の遠位端32と結合され、インプラント10の近位部分34と結合されている比較的小さなファネル形状部分52に通される。引き糸30は、ファネル52内に引き通され、このときに、送達用鞘16は、インプラント10(およびこれによりファネル52)を静止状態に保持するのに役立つ。ストッパー56は、ファネル52に引き通されるが、スライドしてファネル52内を反対方向に戻らないよう十分に大きなサイズのものである。したがって、インプラント10は、膨張した、押しつぶされた構成でロックされ、プッシュロッド18および送達用鞘16は、取り出される。
【0085】
他の実施形態では、インプラント10は、結び目ロック機構50を含む。図8に示されているように、結び目54は、プッシュロッド18の周りの引き糸30で緩く結ばれている。結び目54は、インプラント10の近位部分34の近くに置かれる。結び目54は、プッシュロッド18が引き出される前に完全に締まらないようになっている。引き糸30は、インプラント10の遠位端32と結合される。インプラント10が押しつぶされたら、プッシュロッド18は取り外され、引き糸30の結び目54は、インプラント10が押しつぶされたままとなるように締め付けられることができる。したがって、インプラント10は、膨張した、押しつぶされた構成でロックされ、プッシュロッド18および送達用鞘16は、取り出される。
【0086】
他の実施形態では、インプラント10は、ラチェットロック機構50を含む。図9Aに示されているように、複数の戻り止めまたはストッパー58は、引き糸30にそって配置される。一実施形態では、ストッパー58は、ケーブルタイまたはジップタイと類似している。ストッパー58は、引き糸30の一部または全部にそって配置することができる。引き糸30は、インプラント10の遠位端32と結合され、インプラント10の近位部分34と結合されている比較的小さなファネル52形状部分に通される。引き糸30は、ファネル52内に引き通され、このときに、送達用鞘16は、インプラント10(およびこれによりファネル52)を静止状態に保持するのに役立つ。ストッパー58は、ファネル52に引き通されるが、これらは大きすぎて、スライドしてファネル52内を反対方向に戻ることはできない。したがって、インプラント10は、十分に押しつぶされ、次いで、膨張した、押しつぶされた構成でロックされ、プッシュロッド18および送達用鞘16は、取り出される。
【0087】
インプラント10が中空解剖学的構造20内に送達された後、繊維性集合構造12は、視覚化した状況において、中空解剖学的構造20内に配置するか、または再配置することができる。プッシュロッド18およびアンカー糸40を使用して、インプラント10を操作することができる。送達カテーテルを引き出すことができる。プッシュロッド18を引き出すことができる。プッシュロッド18を取り出す際に、外部から圧縮力を加えて、インプラント10がその位置を保つのを助けることができる。鞘16を引き出すことができる。鞘16を取り出す際に、外部から圧縮力を加えて、インプラント10がその位置を保つのを助けることができる。
【0088】
いくつかの技術では、インプラント10は、一定期間留まるようにすることができる。インプラントは、好ましくは、約1分以下から約30分以上までの範囲で留まることができる。いくつかの技術において、外部からの圧縮力を加えて、中空解剖学的構造20の壁を力ずくで押しつぶし、インプラント10にくっつけることができる。いくつかの技術において、血管収縮薬を加えて、中空解剖学的構造20の壁を力ずくで押しつぶし、インプラント10にくっつけることができる。停留期間の後、好適な方法を使用してインプラント10の位置が確認される。いくつかの場合において、インプラント10の位置は、視覚化技術、例えば、超音波、X線を使用して確認される。いくつかの場合において、インプラント10の位置は、触診を使用して確認される。閉塞は、適当な任意の方法を使用して確認することができる。例えば、カラーフロー・ドップラーを使用することで、閉塞を評価または査定することができる。
【0089】
図9Bに示されているように、他の実施形態によれば、閉塞デバイスまたはインプラント10は、繊維性集合構造12および注入可能なゼラチン22または同時にもしくは順次中空解剖学的構造内に配備される他の閉塞材料(上記)を含む。2つの材料を混ぜ合わせるか、または中空解剖学的構造にそって直線的に分離されたままとすることができる。流動性材料が他の材料により移動されることが妨げられるような方法で、2つの材料の特性が選択され、配備される。
【0090】
いくつかの技術では、インプラント10の送達の後に、図9Bに示されているように、硬化剤、ヒドロゲル、または他の活性薬剤22および/または薬物の注入を行うことができる。注入は、繊維性物質12を配備し、また活性薬剤22を注入するために使用される微孔性バルーンカテーテルを使用することで、実行できる。いくつかの技術において、インプラント10を処置室内で活性薬剤22に事前に浸けて、それからインプラント10を治療部位に送達することができる。いくつかの技術において、インプラントは、活性薬剤22の中に事前に浸けられ、その後、製造時にデバイスの梱包が行われる。いくつかの実施形態では、インプラント10は、デバイスの一体化部分として活性薬剤22を含む。インプラント10は、活性薬剤22として機能するコーティングまたは薬物溶離技術を備えることができる。いくつかの技術では、インプラント10の送達の後または前に、活性薬剤22の非局所的送達を行うことができる。例えば、活性薬剤22は、経口送達または局所用ペーストとして送達することができる。
【0091】
血液は、好ましくは、インプラント10の繊維14内に、および/または周りに集まり、凝固する。最初は、血栓が形成され、好ましくは異物自然治癒過程の一部として器質化され線維性組織閉塞を形成する。いくつかの技術において、増殖因子を使用して、線維性組織増殖を促進することができる。いくつかの実施形態では、インプラントのトロンビンコーティングまたはシーディングで、凝固カスケードを開始し促進して、組織成長侵入を増大することができる。生体分解性ポリマーにおいて組織成長侵入を刺激する多くの方法がある。一方法では、緩いポリマーやぐら(例えば、本明細書で開示されているインプラント10の実施形態のどれかにより)形成し、間質腔にヒドロゲル、例えば、フィブリンゲルを充填する。フィブリンゲルは、組織成長侵入を誘発する。組織増殖因子、例えば、線維芽細胞成長因子も、ヒドロゲルとともにインプラント10内に組み込むことができ、組織成長侵入を促進する。このアプローチでは、やぐらが最初に送達され、次いでフィブリノゲン、トロンビン、および/または増殖因子溶液が静脈内に注入される。溶液は、間質腔を充填し、重合して、ヒドロゲルを形成するが、これは、急速な組織成長侵入の基質として使用される。フィブリンゲルの代替えアプローチでは、自家血液を直接、トロンビンと混合し、混合された血液を静脈内に注入する。これにより、血栓状構造が形成され、間質腔を充填し、血栓の特性は、トロンビン濃度により制御することができる。これは、さらに、組織成長侵入を誘発するよい基質でもあり、補助を受けない自然な血栓発生に勝る利点を有する。他の代替え方法では、ヒドロゲルではなくフィブリンまたはトロンビン液を鞘内に注入してから、デバイスを配備し、導入前にインプラント10を液浸する。同様に、インプラント10をこの生物活性液体に予浸し、次いで、薬が使用される状況で臨床使用する前に加工プロセスの一環として乾燥させるか、または製造プロセスの一環として乾燥させることができる。他の技術によれば、自己血液およびフィブリンの混合液は、中空解剖学的構造20内に導入される前に外側鞘16内のインプラント10を包むか、または液浸するように、デバイスが配備される直前に注入される。
【0092】
さらに、インプラント10に対し行える他の表面改質または前処理がある。インプラント10の(複数の)繊維14の表面、さらには材料ポリマー鎖自体を改質または前処理し、例えば、帯電、粗面化し、親アルブミンよりも優先的に親フィブリノゲンとなるようにすることができる。例えば、埋め込んでから最初の1〜3秒以内に、血漿流中の疎水性インプラント材料に最初に発生するのは、表面へのタンパク質吸着である。ほぼすぐに、因子XIIaが活性化され、血栓カスケードが開始する。アルブミンが優先的にインプラント10上に固着する場合、これは、表面を不動態化し、反応性を下げる傾向がある。そのため、ポリマー、またはポリマーの表面を調節し、表面を帯電させるか、または疎水性により、アルブミン吸着を妨げるか、または制限し、フィブリノゲンを表面上に優先的に吸着すると有利である。いくつかの実施形態では、フィブリノゲンをインプラント10に予吸着することで、非不動態化を促進する。いくつかの実施形態では、表面改質を行うことで、トロンビンを追加するか、または追加せずに、線維性閉塞を改善することができる。内在的血栓カスケード機構により、トロンビンは、フィブリノゲン(血漿、液体中で循環する反応性タンパク質モノマー)に作用し、フィブリンモノマーになり、これは、次いで、因子XIIIにより架橋され、フィブリン(固体)になる。この架橋フィブリンは、器質化血栓(つまり、線維性閉塞)である。このタイプの機構の一実施例は、脳内の漿果状動脈瘤を閉塞するためだけでなく、織られ編まれたグラフトについても、コイル上で使用できるダクロン(粗面)である。ダクロンは、申し分のない疎水性も有する。その表面は、アルブミンよりも優先的にフィブリノゲンを吸着し、素早くフィブリンを形成し、これにより、壁在血栓を(すべて埋め込んだ後10分以内に)形成し、内皮細胞化を防ぐのを助ける。しかし、シリコーンおよびポリウレタンは、両方とも生体適合性があり、両方ともフィブリノゲンに比べて優先的にアルブミンを吸着するので、血栓カスケードを積極的にというほどには活性化しない。
【0093】
効率を改善する他の機構は、インプラントの領域内で自然線溶系を阻害することを含む。すでに述べたように、因子XIIaは、血栓カスケードを開始するが、さらにプラスミノゲンをプラスミンに転化する。プラスミンは、血栓(例えば、血餅)を溶解する酵素であるため、望ましくない。プラスミノゲンをプラスミンに転化するのを阻害することにより、実質的に、インプラントの付近の所望の凝固血の溶解に向かう自然な傾向を防ぐことができる。プラスミンは、トロンビンに似ているが、ただし、トロンビンはフィブリノゲンのみを開裂し、望まれているフィブリンモノマーを形成する。プラスミンがフィブリノゲンとフィブリンの両方を開裂する場合、フィブリンを形成すると、生成物(FSP)またはフィブリン分解生成物が分割される。これらのFSPは、好ましくは、血栓形成の阻害を制限するため、取り除かれる。これらのFSPは、線維性閉塞を形成しえないように互いに接触するのを妨げることによりフィブリンモノマーの架橋を阻害する。例えば、組織プラスミノゲン活性化因子(tPA)は、血栓溶解、さらにはReoPro(血小板凝集を妨げるヒト血小板IIb/IIIa受容体に基本的に結合するGPIIb/IIIa阻害薬)などの他の薬物に使用することができる。したがって、好ましくは、薬物、表面コーティング、および生物活性薬剤による前処理を使用するか、または投与して、反対のことをする、つまり、その代わりに、血小板をインプラント10の領域内でより積極的に凝集させ、および/またはプラスミノゲンの活性化を積極的に阻害させる。
【0094】
いくつかの実施形態では、凝固カスケードを誘発して、血栓形成を安定化し、耐久性の高い異物反応および線維性閉塞を促進する生物活性薬剤が望ましい。例えば、いくつかの実施形態では、インプラント10は、増殖因子、組織付着因子、凝固因子、化学療法薬、走化因子、および抗生物質などの望ましい治療および臨床薬剤で前処理することができる。これらの薬剤は、共有結合、イオンまたは疎水性結合、コーティング、化合物形成、インプラント内への物理的吸収、または他の何らかの手段によるインプラントとの組合せを施すことができる。いくつかの生物活性薬剤は、限定はしないが、トブラマイシン、エンタマイシン、およびバンコマイシンなどの抗生物質、因子I〜VIII、トロンビン、およびフィブリノゲンなどの凝固因子、サイトカイン、例えば、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、形質転換増殖因子ベータ(TGF−β)、TNFα、NGF、GM−CSF、IGFα、IL−1、IL−8、およびIL−6、結晶性鉱物およびケイ酸塩などの炎症性微結晶、フィブロネクチン、ラミニン、およびビトロネクチンなどの組織付着因子、アプロチニンなどのプロテアソーム阻害剤、コラーゲンおよびフィブロネクチンなどの細胞外基質分子、微量金属、微量のタルカムパウダー、金属ベリリウム、およびシリカなどの刺激薬、ポリリシンおよびエチレン酢酸ビニルなどの微量のポリマー、単球走化性タンパク質、線維芽細胞刺激因子I、ヒスタミン、エンドセリン−1、アンジオテンシンII、ブロモクリプチン、メチルセルギド、メトトレキサート、N−カルボキシブチルキトサン、四塩化炭素、チオアセトアミド、石英粉塵、線維、およびエタノールなどの、他の接着誘発剤、または血栓形成を安定化するか、または血餅溶解、例えば因子XIII、α2−抗プラスミン、プラスミノゲン、活性化因子阻害剤−1(PAI−1)などを含むタンパク質を阻害する他の分子、さらには、モルイン酸ナトリウム、オレイン酸エタノールアミン、および硫酸テトラデシルナトリウムなどの硬化剤および抗菌/抗感染症薬またはアモキシシリンなどの抗生物質、アンピシリン、ベンジルペニシリン、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、エリスロマイシン、リンコマイシン、リファンピシンまたは銀もしくは銀イオン、コロイド銀、スルファジアジン銀、および/または硝酸銀のような物質を含む。
【0095】
アクセス部位は、繊維性集合構造12を使用することを含む、適切な方法を使用することで、閉じることができる。いくつかの場合において、Steri−stripを使用して、アクセス部位を閉じることができる。いくつかの場合において、アクセス部位は、縫合糸で閉じることができる。圧縮包帯を患者にあてがうことができる。例えば、手術部位が患者の脚である場合、圧縮包帯を脚全体に配置することができる。圧縮包帯は、好ましくは、一技術に従って約3日間適所に残される。約3日間経過した後、その部位に深部静脈血栓症が生じていないか、浅静脈系から深静脈系へ血栓症が拡大していないか、精密検査することができる。インプラントの位置は、視覚化技術、例えば、超音波、X線を使用して、または触診により、確認される。閉塞は、好適な方法、例えば、カラーフロー・ドップラー、またはコントラスト増強蛍光X線を使用して確認することができる。
【0096】
閉塞構造の作製
繊維性集合構造12は、好適な形状および構成を含むことができる。一実施形態では、繊維性集合構造12は、単なる細長い繊維14の束である。他の実施形態では、図10に示されているように、繊維性集合構造12は、一端で結合された細長い繊維14の束であり、概ね飾り房または「たこ」に似ている。他の実施形態では、繊維性集合構造12は、図2〜9Aに示されているように、第1の端部と第2の端部で結合された細長い繊維14の束である。図11に示されているように、一実施形態では、細長い繊維14は、ソックスなど、管状構造に加工することができるヤーンを形成するように配列することができる。いくつかの実施形態では、繊維性集合構造12は、他の閉塞デバイスと結合することができる。例えば、図12に示されているように、一実施形態では、弾丸形生体再吸収性栓70を細長い繊維14の束と結合することができる。いくつかの実施形態では、繊維14の1つまたは複数は、好ましくは、約5ミクロン以下から約30ミクロン以上までの範囲の繊維直径を有する。いくつかの実施形態では、繊維は、外向き軸方向寸法を可変とすることができる。栓70は、中空解剖学的構造20内に配置することができ、栓70および繊維14は、中空解剖学的構造20を閉塞させることができる。
【0097】
図13に示されているように、いくつかの実施形態では、インプラント10は、内腔空間をうまく満たすように繊維14またはストランドをより開かせておくため繊維14と同じ生体分解性材料(または他の生体分解性材料)で作られた、自己膨張要素80、例えば、格子、カーカス、またはコイルを有する。格子、カーカス、またはコイル構造80は、血流内に配備されると自己膨張する。繊維14およびカーカス80は、好適な結合機構により近位および/または遠位端のところで結合されるか、または代替策としてインプラント10全体を通して結合されるようにできる。トロンビン、フィブリノゲン、または他の活性タンパク質、ペプチド、および/または薬剤82を繊維材料14の表面に塗布するか、または組み合わせて生体再吸収性材料の外側原子層内に入れ、表面に線維性閉塞を発現するのを促進することができる。
【0098】
上述のように、いくつかの実施形態では、自己膨張する内部要素80を備えることができる。この自己膨張内部要素は、さらに、生体再吸収性材料(例えば、0.010インチ以下から0.012インチ以上の単繊維)から作ることもできる。この自己膨張内部要素80は、例えば、カーカス、ケージ、コイル、ステント本体、組紐、および/または他の好適な格子構造を含むことができる。要素80は、好ましくは、本明細書で説明されている基本繊維性集合構造12と絡み合う。要素80は、体積充填を改善してさらに大きな血管を処理できるようにするために備えることができる。要素80は、より一貫性の高い、信頼できる生物学的閉塞を行えるようにインプラントと血管壁との接触を改善することができる。いくつかの実施形態では、要素80は、繊維性物質材料12の一部と結合される短い部分であってよい。他の実施形態では、要素80は、インプラント10のほぼ全長にわたって延びることができる。いくつかの実施形態では、要素80は、両方のアンカー固定特性を備えることができ、血流を減らして生物学的閉塞性をより高めることができる。いくつかの実施形態では、自己膨張要素80から間隔をおいて並べられている繊維性集合構造12の一部は、さらに緩い質感、空洞率、およびやぐらを有し、血管直径に広がり、インプラントを移動させる可能性がある圧力ヘッドが生じないようにある程度の血流に対応することができる。
【0099】
繊維性集合構造12を有するインプラント10を製造するために好適な方法を使用することができる。繊維性集合構造12を製造するいくつかの方法は、編むこと、織ること、フェルト地で作ること、絡まらせること、射出成形、熱成形、注型、紡糸、溶融紡糸、電気紡糸、溶媒キャスト、レーザー切断、溶媒の塗布、接着剤の塗布、押し出し成形、延伸、捲縮、および他の繊維加工技術のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0100】
一実施形態では、繊維性集合構造12は、繊維を編むことで形成することができる。一実施形態では、管状繊維性集合構造12は、ニッティングフィクスチャ、例えば、ニッティングノビー、ニッティングネリーで編まれる。ニッティングフィクスチャのサイズは、適宜サイズを決められた管状繊維性集合構造12を形成するように選択することができる。ケーブルは、適当な数だけ使用できる。所望の糸編み数および仕上がり織りの所望の空隙率を得るために必要なケーブルの所望の数に基づいて、適切な数のピンを持つニッティングフィクスチャを選択することができる。一実施形態では、繊維性集合構造12は、繊維材料を編んで管状繊維物質12を形成することにより形成することができる。他の実施形態では、繊維性集合構造12は、繊維材料をフェルト地に仕上げて密度の高い不織メッシュを形成することにより形成することができる。非連続または短繊維ヤーンも、繊維性物質12を形成するために使用することができる。梳綿、延伸、リング精紡、粗紡、ヒートセットで長繊維を捲縮または渦巻き形態にすることによる一般的質感加工は、繊維を加工するために使用される。また、ヒートセットがエアージェット質感加工などにおける生体分解性材料特性に悪影響を及ぼす場合に、繊維を機械的にロックするか、または繊維を絡ませることも可能である。
【0101】
短繊維ヤーンと長繊維ヤーンの組合せも、繊維性物質12を形成するために使用することができる。この一実施例では、短繊維束または低ねじれ短繊維ヤーンの周りに連続長繊維を巻き付けることを伴う。短繊維ヤーンおよび長繊維ヤーンは、異なる原料物質から構成することができる。
【0102】
一実施形態によれば、繊維加工は、スピン仕上げを材料に施し、疑似ねじり質感加工を行えるようにすることを含むことができる。疑似ねじり質感加工は、ヤーンをかさ高にするために使用することができる。Sよりをヤーンに施すことができる。ヤーンは、ねじれ構成で加熱される。ヤーンは、好ましくは、原料物質の内在的繊維温度に応じて、約60℃以下から約150℃以上までの範囲内で加熱される。他の実施形態では、この範囲外の温度、および/またはこの範囲と部分的にオーバーラップする温度も使用できる。次いで、ヤーンを冷まして、ねじれを解く。下流焼きなまし、トルク解放、伸長低減工程をなくして、インプラントの質感加工を高めることができる。材料は、さらに、加熱、引き延ばし、緩和を数回繰り返すこともでき、これで、ヤーンをさらにかさ高にする。
【0103】
他の実施形態では、繊維性集合構造12は、射出成形により形成することができる。材料は、融点よりも高い温度で加熱され、ポジティブモールドとネガティブモールドとの間の空間内に注入され、これにより繊維性集合構造12を形成することができる。いくつかの実施形態では、材料は、ネガティブモールドにのみ注入される。他の実施形態では、繊維性集合構造は、熱成形により形成することができる。材料は、ポジティブモールドとネガティブモールドとの間に押し込まれ、融点以下の温度で加熱されて、成形形状を保持することができる。一実施形態では、PLA、PGA、または他の材料ヤーンは、ヤーンの元のロフトを保持しつつ、ヒートセットして形状を整えることができる。
【0104】
他の実施形態では、繊維性集合構造12は、注型により形成することができる。例えば、一実施形態では、ゼラチン、または他の材料を、管の中に注ぎ込んで、繊維性集合構造12を形成することができる。他の実施形態では、繊維性集合構造12は、回転注型により形成することができる。他の実施形態では、繊維性集合構造12は、溶媒キャストにより形成することができる。例えば、一実施形態では、ポジティブモールドを溶液にさっと浸して、繊維性集合構造12を形成することができる。他の実施形態では、溶液をネガティブモールドに注ぎ込んで、繊維性集合構造12を形成することができる。他の実施形態では、溶液をネガティブモールドとポジティブモールドとの間の空間内に注ぎ込んで、繊維性集合構造12を形成することができる。他の実施形態では、溶媒キャスト時に形成される多孔質構造または注型発泡は、注型時に水溶性物質、例えば、食塩を材料に加え、次いで硬化後に食塩を溶かすことにより作ることができる。例えば、食塩結晶などのポロゲンの存在下での塩化メチレンまたは他の溶媒による溶媒キャストPLLA。他の実施形態では、多孔質構造は、重炭酸アンモニウムを加えて、繊維性集合構造12を形成する材料内にガス充填空隙を形成することにより作ることができる。他の実施形態では、溶媒キャスト技術は、繊維性集合構造12を形成するために使用することができる。繊維結合は、PGA繊維をPLLA溶液に浸すことによりなされる。溶媒が蒸発すると、PGA繊維網がPLLA内に埋め込まれる。さらに加熱すると、2つの繊維の基質が形成される。次いで、塩化メチレンまたは他の溶媒を使用して、PLLAを溶解し、PGA繊維性集合構造12を置き去りにする。
【0105】
いくつかの実施形態では、二次加工は、さらに繊維性集合構造12を定めるために、レーザー切断、溶媒塗布、および/または接着剤塗布を含むことができる。例えば、一実施形態では、PLAおよび塩化メチレンまたは他の溶媒を使用して、繊維性集合構造12を作成することができる。
【0106】
生体再吸収性材料
繊維14および/または他の構成要素を形成するのに適した材料として、1つまたは複数の生体分解性ポリマーが含まれうる。例えば、好適な生体分解性ポリマーとして、ポリグリコリド、ポリラクチド、および乳酸とグリコール酸との共重合体などのαヒドロキシ酸がある。ポリ(乳酸−グリコール酸)(PLGA)は、いくつかの実施形態では、好適な材料である。PLGAは、VICRYL(商標)(ニュージャージー州サマセットのJohnson&Johnsonの一部門であるEthiconにより製造されているPolyglactin 910)という商標名で販売されているグリコリドおよびラクチドの合成吸収性共重合体である。加水分解による酵素分解を通じて吸収される。ポリグリコール酸(PGA)は、合成吸収性ポリマーである。ポリラクチド(PLA)は、乳酸(ラクチド)の環状ジエステルから調製される。生体再吸収性PLAおよび/またはPGAから作られるフォームは、特に好ましい。
【0107】
繊維性集合構造12は、好ましくは、本明細書で説明されている、および/またはすべて参照により本明細書に組み込まれ、本明細書の一部をなす2004年8月31日に出願された「APPARATUS AND MATERIAL COMPOSITION FOR PERMANENT OCCLUSION OF A HOLLOW ANATOMICAL STRUCTURE」という表題の米国仮特許出願第60/605843号、2005年8月26日に出願された「APPARATUS AND MATERIAL COMPOSITION FOR PERMANENT OCCLUSION OF A HOLLOW ANATOMICAL STRUCTURE」という表題の米国特許出願第11/212,539号、2001年5月16日に出願された「STENT GRAFTS WITH BIOACTIVE COATINGS」という表題の米国特許出願第09/859,899号、2001年5月18日に出願された「INJECTABLE DRUG DELIVERY SYSTEMS WITH CYCLODEXTRINE POLYMER BASED HYDROGELS」という表題の米国特許出願第09/861,182号、および1990年7月3日に発行された米国特許第4,938,763号、1995年10月10日に発行された米国特許第5,456,693号、2002年7月23日に発行された米国特許第6,423,085号、2004年1月13日に発行された米国特許第6,676,971号、および2004年3月2日に発行された米国特許第6,699,272号において開示されている1つまたは複数の生体分解性ポリマーから形成される繊維および/または他の構成要素を含む。
【0108】
例えば、一実施形態では、繊維性集合構造12は、繊維14および/またはポリラクチドおよび/またはポリグリコリドから形成された他の構成要素を含むことができる。上述のように、ポリグリコリド(PGA)は、合成吸収性ポリマーである。加水分解感受性を示す、ポリグリコリドは、典型的には、埋め込み処理後数ヶ月以内に吸収される。ポリラクチド(PLA)およびポリグリコリド(PGA)は、開環重合で高分子量ポリマーを合成するか、または乳酸および/またはグリコール酸の直接重縮合で低分子量ポリマーを合成することにより、環状ジエステルラクチドおよび/またはグリコリドから調製できる。乳酸は、3つの立体配置を生み出す2つの光学異性体またはエナンチオマー内に存在するキラル分子である。L−エナンチオマーは、生物学的代謝産物であるが、D−エナンチオマーおよびD,Lラセミ混合物は、乳酸の合成調製から得られる。ポリ−L−ラクチドが身体によって吸収されるのに要する時間は、特に高分子量形態の場合に他の生体吸収性材料と比較して比較的長い。いくつかの実施形態では、繊維性集合構造は、繊維および/またはε−カプロラクトン、PEG、コラーゲン、ゼラチン、でんぷん、ポリ(アクリルアミド−ヒドラジド共重合体)、および/または本明細書に記載される他の生体再吸収性材料から形成される他の構成要素を含むことができる。
【0109】
多くの再吸収性ホモポリマーおよび共重合体は、このデバイスに使用することができ、限定はしないが、臨床使用では一般的な、配合および初期Mw(分子量)に応じて数日から数年の範囲の分解時間により特徴付けられるラクチド、グリコリド、およびカプロラクトンから誘導されたポリマーを含む。乳酸は、キラル分子であり、これは、LおよびD異性体で存在し(L異性体は、生物学的代謝産物である)、そのため、「ポリ乳酸」は、実際には、ポリマー族、純粋なポリ−L−乳酸(L−PLA)、純粋なポリ−D−乳酸(D−PLA)、およびポリ−D,L−乳酸(DL−PLA)を指す。L−PLA、さらにはポリ−カプロラクトン(PCL)のホモポリマーは、臨床的に有用であり、許容される候補である。さらに、ポリグリコール酸(PGA)、ポリグリコール/ポリ−L−乳酸共重合体、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(トリメチレンカーボネート)共重合体、およびポリ(ヒドロキシ酪酸塩)(PHB)ならびにヒドロキシ酪酸塩とヒドロキシ吉草酸塩との共重合体、さらにはポリ酸無水物、ポリオルソエステル、ポリホスファゼン、およびコラーゲン、エラスチン、フィブリノゲン、フィブリネクチン、ビトロネクチン、ラミニン、ゼラチン、および凍結乾燥小腸粘膜下層のような天然生物分解物を含むその他の物質、およびこれらの組合せは、このデバイスの潜在的な候補材料の選択肢である。
【0110】
いくつかの実施形態では、繊維性集合構造の分解速度は、所定の個別分解速度を持つ生体再吸収性材料の比率を変えることにより選択することができる。例えば、一実施形態では、繊維性集合構造は、約50%のPGAおよび約50%のPLAを含む。他の実施形態では、繊維性集合構造は、約65%のPGAおよび約35%のPLAを含む。他の実施形態では、繊維性集合構造は、約70%のPGAおよび約30%のPLAを含む。他の実施形態では、繊維性集合構造は、約80%のPGAおよび約30%のPLAを含む。他の実施形態では、繊維性集合構造は、約90%のPGAおよび約10%のPLAを含む。他の実施形態では、繊維性集合構造は、約100%のPGAを含む。他の実施形態では、繊維性集合構造は、約100%のPLAを含む。
【0111】
分解期間の選択は、耐久性閉塞を維持することに基づく。材料分解期間は、好ましくは、組織成長侵入を通して耐久性のある線維性閉塞が確実なものとなるように、ただし閉塞が成熟できないほど、または閉塞の前に材料が塞栓を起こすほど速すぎないように選択される。組織が成長侵入するにつれ、インプラントは、好ましくは、消えてゆく。インプラントの存在が長すぎる場合、患者が脚にそって触知可能な索状組織を有する可能性がある。
【0112】
いくつかの実施形態では、一定の分解時間となるように分子量が特定の範囲内である材料が選択される。例えば、材料は、約1,000ダルトン以下から、約100,000ダルトン以上までの分子量を持つことができ、所望の分解期間となる。固有粘度が約0.1dl/gm以下から約4dl/gm以上までである材料は、分解速度および材料の加工の容易さに影響を及ぼしうる。いくつかの実施形態では、分解期間は、好ましくは、約2週間以下から約2年間以上までの範囲である。いくつかの実施形態では、材料の1つまたは複数は、患者体内に所望の炎症反応を引き起こしうる。いくつかの実施形態では、材料の1つまたは複数は、材料が生体分解するときに局所反応、例えば、pH変化を引き起こしうる。
【0113】
一実施形態では、ヤーン繊維は、説明されている材料のうちの1つまたは複数から形成できる。いくつかの実施形態では、繊維性集合構造12は、約40デニール以下から約7200デニール以上までの範囲とすることができる。いくつかの実施形態では、繊維性集合構造12は、約200デニール以下から約15000デニール以上までの範囲とすることができる。いくつかの実施形態では、繊維性集合構造12は、約1本から約24本以上の繊維を含むことができる。いくつかの実施形態では、繊維性集合構造12は、約24本から約600本以上の繊維を含むことができる。いくつかの実施形態では、繊維の1つまたは複数は、好ましくは、約5ミクロン以下から約30ミクロン以上までの範囲の繊維直径を有する。他の実施形態では、繊維は、0.1デニールから10デニールまでの範囲とすることができ、インプラントは、いくつかの実施形態において、500から100,000本の繊維を含むことができる。いくつかの実施形態では、インプラントは、500から500,000本までの繊維を含むことができる。いくつかの実施形態では、繊維は、5デニールから50デニールまでの範囲とすることができる。いくつかの実施形態では、インプラントは、10から1,000本までの繊維を含むことができる。
【0114】
いくつかの実施形態では、異なる共重合体繊維14を混合して、1つのさらに大きなヤーンを形成し、繊維性集合構造12の長さにそって生体分解の差を生じるようにできる。例えば、一実施形態では、異なる繊維14を繊維性集合構造12の前端近くでヤーンと絡み合わせ、後端のフィルタとして機能するようにできる。他の実施形態では、異なる繊維14をヤーンと絡み合わせて、繊維性集合構造12が繊維性集合構造12の異なる部分で異なる分解速度を有するようにできる。一実施形態では、例えば、繊維性集合構造12は、その断面全体にわたって異なる分解速度を有し、これにより組織成長侵入を助長する。
【0115】
いくつかの実施形態では、図14に示されているように、複数の材料を組み合わせて、分解プロファイルがカスタマイズされた繊維14を生成することができる。特定の繊維14の分解速度は、繊維の異なる部分にそって異なりうる。さらに、インプラント10の分解速度は、インプラント10の異なる部分にそって異なりうる。一実施形態では、特定の繊維14は、比較的遅い分解速度を有する、例えば、繊維の長さの約25%にそった第1の部分、および比較的速い分解速度を有する、例えば、繊維の長さの約75%にそった第2の部分を持つ。一実施形態では、第1の部分は、第2の部分より遅く分解し、したがって、第1の部分は栓のように働き、中空解剖学的構造20内の血流を妨げる。他の実施形態では、最も中心にある繊維は、最も外側にある繊維と異なる材料で構成することができ、このため、半径方向寸法を通して吸収率に差が生じる。いくつかの実施形態では、複数の材料を共押し出し成形して、図14の上図に示されているように、所望の特性を有する繊維14を形成することができる。いくつかの実施形態では、複数の材料を順次押し出し成形して、図14の中図に示されているように、所望の特性を有する繊維14を形成することができる。いくつかの実施形態では、複数の材料をより合わせて、図14の下図に示されているように、所望の特性を有する繊維14を形成することができる。
【0116】
いくつかの実施形態では、図15に示されているように、繊維14は、断面を可変にし、これにより、繊維外形を一定に保ちつつ分解を加速することができる。いくつかの太さが可変のストランド14は、図15の上図に示されているように、素早く分解する小さな断面を有する領域を含む。非円形断面を有するいくつかのストランド14は、表面積対体積比が大きく、図15の中図および下図に示されているように、分解速度が速い。太さが可変のストランドは、さらに、構造を多孔質および開放状態に保ち、複数の繊維が互いに近い位置に置かれる場合でもやぐらを形成する。図16に示されているように、いくつかの実施形態では、詰め合わせたときに、ストランド14の間にギャップはなく、他の実施形態では、詰め合わせた場合でも、太さが可変のストランド14の間にギャップがある。さらに、図17に示されているように、いくつかの実施形態では、中空繊維14が使用される。中空繊維14は、ろうそくの芯に染みこむように血液を繊維に染みこませ、接触する表面積を広げて分解速度を速くすることができる。さらに、いくつかの実施形態では、特に、所望の繊維長が毛管現象だけで血液が移動できる距離よりも長い場合に、繊維14の長さにそった打ち抜き穴を使用することができる。
【0117】
いくつかの実施形態では、インプラント10は、複数材料のヤーンを含むことができる。一実施形態では、二成分繊維を使用することができる。米国の二成分繊維の生産者としては、BASF Corporation、DuPont Company、Fiber Innovation Technology,Inc.、KoSa、およびSolutia Inc.がある。二成分繊維は、同じ紡糸口金から押し出し成形された異なる化学的および/または物理的特性を持つ2つのポリマーからなり、ポリマーは両方とも同じ長繊維または繊維の中にある。二成分繊維のいくつかの利点、能力、および特性としては、熱接着、自己かさ高、非常に細かい繊維、独特の断面、および安価に得られる特殊なポリマーまたは添加剤の機能性が挙げられる。大半の市販の二成分繊維は、鞘/コア内に、並べて、または偏心している鞘/コア配列で構成される。二成分繊維は、繊維性集合構造12の分解速度を可変にできるため都合がよい。自己かさ高二成分繊維は、並べて、または偏心断面を持たせて、形成されることが最も多い。繊維間の配向が変化することで、熱が加えられるか、または緩和されたときの収縮または歪みの差のせいで捲縮が生じる。
【0118】
連続供給送達システム
いくつかの実施形態では、中空解剖学的構造を治療するシステムは、中空解剖学的構造内に挿入できるようにサイズが決められている生体吸収性繊維性インプラント(図2〜13に示されている実施形態のうちの1つまたは複数のものなど)を含む。連続供給機構は、インプラントを中空解剖学的構造内に送達するように構成されるか、または使用されることが可能である。
【0119】
図18〜23は、連続供給中空解剖学的構造閉塞システム200のいくつかの実施形態を例示している。図18〜23の実施形態は、一般に、繊維性集合構造210の各部を中空解剖学的構造220内に連続的に送達することができる構造を伴い、これにより、実質的に大きな静脈および/または中空解剖学的構造の長い部分を繊維性集合構造210で閉塞させることができる。
【0120】
連続供給中空解剖学的構造閉塞システムと関連して使用される繊維性集合構造210は、本明細書の他の場所で説明されているような、好適な繊維性閉塞構造を含むことができる。例えば、繊維性集合構造は、生体再吸収性材料または他の材料の複数の繊維を含むことができる。いくつかの実施形態では、繊維は、「押しつぶされ」て、さらに高い密度の繊維性構造の物質を形成するように緩く配列することができる。他の実施形態では、繊維性集合構造は、細長い構造にそって複数の間隔で配置されている複数の結び目または他の比較的高い密度の物質を含むことができる。いくつかの実施形態では、細長い繊維性集合構造は、送達デバイスよりも長い未圧縮の長さを持つことができる。例えば、いくつかの実施形態では、繊維性集合構造は、約1mから約30mまでの範囲の未圧縮の長さを持つことができ、特定の一実施形態では、繊維性集合構造は、約3mの未圧縮の長さを有する。埋め込まれた状態では、繊維性集合構造は、典型的には、緩い未圧縮の状態に比べて、実質的に短い長さ、小さい体積を占有するように圧縮される。埋め込み後、繊維性集合構造は、中空解剖学的構造内で約5cm以下から約30cm以上まで、いくつかの実施形態では10cm以下から20cm以上までの範囲の圧縮された長さを持ちうる。
【0121】
図18から23は、連続する長さ相当の繊維性物質210および軸方向に往復する送達部材230を外側鞘232内に含む連続供給中空解剖学的構造閉塞システムの実施形態を例示している。軸方向に往復する部材230は、一般的に、外側鞘232の遠位端240から繊維物質210の一部を排出するように構成される。軸方向に往復する部材230は、一般的に、往復する部材230が外側鞘232に関して遠位方向に移動するときに繊維性物質210と係合するように構成され、これにより、鞘232の遠位端240から細長い繊維性物質210のセグメントを排出する。いくつかの実施形態では、軸方向に往復する部材230は、さらに、部材230が近位方向に移動するときに繊維性集合構造210との係合を解放するように構成され、これにより、往復する部材230は、繊維性物質210を近くまで引っ張らずに、鞘232および繊維性物質210に関して近位に移動することができる。
【0122】
図18〜20の実施例について示されている、一実施形態では、往復する部材230は、外側鞘232内および細長い繊維性集合構造210にそって配置された細長いプッシュロッドを備える。この実施形態の往復する部材230は、遠位プッシャヘッド242を備えることができ、このヘッドは、ヘッド242が繊維性物質210と係合する第1の位置とヘッド242がプッシュロッド230の近位移動時に繊維状物質210との係合を外す第2の位置との間で移動可能である。
【0123】
図18から20の実施形態では、プッシュロッドは、ロッドの遠位端のプッシャヘッド242を介してロッドの近位端に加えられた軸方向力を繊維性集合構造210に伝達する十分なカラム強度を持つ材料および構造を備える。プッシュロッドは、好ましくは、デバイス全体を患者の脈管構造に通して所望の送達部位に送ることができる十分な柔軟性も有する。
【0124】
図21に例示されている実施形態では、プッシャヘッド242は、第1の(開放)位置と第2の(閉鎖)位置との間で枢動するように構成された一対の蝶番付きの脚244を備える。一実施形態では、脚244は、バネまたは他の弾力性のあるバイアス部材により外方向にバイアスをかけられる。このような実施形態では、バイアス力は、好ましくは、プッシュロッドが繊維性集合構造210に関して近位に引っ張られるときに第2の位置の方に脚が偏向できる十分に小さい力である。代替え実施形態では、脚244は、引きおよび/または押しワイヤなどの作動部材により第1の位置と第2の位置との間で手動で移動できる。
【0125】
他の実施形態では、プッシャヘッドは、剛性、弾力性のある材料で作られた複数の脚を備えることができる。これらの脚は、第1の膨張位置に向けて外へ放射状にバイアスがかけられ、これらの脚は、細長い繊維性集合構造と係合する。脚は、さらに、ロッドが近位に引っ張られるときに繊維性集合構造との係合を外す十分に小さいバイアス力を備えうる。さらに他の実施形態では、プッシャヘッドに、往復する部材の遠位移動に際して繊維性集合構造と係合するように構成された単一の半径方向に膨張収縮可能な部材を備えることができる。さらに他の実施形態では、プッシャヘッドは、剛性材料で作ることができる。脚は、フォークまたは「V」字型とすることができ、フォークが前方に押されるときに繊維と係合して繊維性集合構造を送達し、フォークが送達された繊維性集合構造に関して引っ張られるときには繊維と係合しない。さまざまなプッシャヘッド形状が考えられ、本発明の範囲内にある。
【0126】
図21〜23は、連続供給中空解剖学的構造閉塞システムの他の実施形態を例示している。図21〜23の実施形態では、軸方向に往復する部材230は、細長い繊維性集合構造210が延びる内腔250を備える。これらの実施形態の軸方向に往復する部材230は、さらに、好ましくは、往復する部材230が外側鞘230に関して遠位に移動するときに繊維性集合構造210を遠位へ押すように構成された遠位プッシャヘッド242を備える。前記実施形態のように、プッシャヘッド230は、好ましくは、ヘッド230が外側鞘232および繊維性集合構造に関して近位に移動されるときに繊維性集合構造210との係合を外すように構成される。
【0127】
図21の実施形態において、プッシャヘッド230は、一対の蝶番付きグリッパー部材252を備える。他の実施形態では、プッシャヘッドは、1から4まで、またはそれ以上のグリッパー部材を任意の場所で備えることができる。グリッパー部材252はそれぞれ、内向きのバイアスが弾性的にかけられており、グリッパー252の間に延びる繊維性集合構造をつまむ。グリッパー部材252は、好ましくは、グリッパー部材252と細長い繊維性構造210との間の摩擦が、グリッパー部材252を内向きに枢動するさせるのに十分な力となるように構成され、これにより、往復する部材230の遠位移動の際に繊維性構造210を掴む。グリッパー部材252は、さらに、好ましくは、往復する部材230の近位移動の際に繊維性構造210の係合を外すように構成される。これらの特性は、グリッパー部材252に歯を設けるか、またはグリップ部材252の長さおよび/またはバイアス力を変えることにより得られる。
【0128】
図22および23の実施形態は、内側鞘262の遠位端から延びる複数の爪260を有するプッシャヘッド230を備える。爪260は、一般的に、特に、内側鞘262が遠位方向に移動するときに、繊維物質をつまむように半径方向内向きにバイアスがかけられる。爪260は、管の円筒部を切断して尖ったセグメントを形成することにより形成することができる。次いで、爪260は、内側に曲げられ、繊維性物質210と係合するようにできる。他の実施形態では、内側鞘の遠位部は、繊維性物質を中に通して遠位方向に引っ張ることができるが、繊維性物質が近位で押されて遠位開口部内に入ることはできないようなサイズの遠位開口部を備える円錐形部分などの直径が小さい部分を含むことができる。他の実施形態では、外側鞘232は、さらに、外側鞘232の遠位端から延びている複数の爪260を備えるか、またはそれとは別に、円錐形状およびその遠位端で小さな直径、熱成形ポリマーのカモノハシ形状、または機械加工された金属爪特徴を持つ弾性ポリマー材料で構成することができる。さまざまな代替え実施形態が考えられ、本発明の範囲内である。
【0129】
図24〜26の実施形態は、繊維性集合構造210を送達するために使用される剛性フォーク形状プッシャヘッド242を有する往復する部材230を備える。プッシャヘッド242は、繊維性集合構造210の遠位端と係合し、力ずくで図25に示されているような外側鞘232上の爪260を通り越させる。このような相互作用により、優先的に、繊維性集合構造の一部が中空解剖学的構造内に送達される。次いで、往復する部材230は、引っ込められ、繊維性集合構造210との係合が外される。この実施形態では、繊維性集合構造210が逆方向に移動して、外側鞘232に戻るのを、爪260で防ぐ。この動作により、さらに、プッシャヘッド242は図26に示されているように送達されるときに繊維性集合構造210との係合を完全に外すことができる。往復する部材230は、再び、前方に作動され、プッシャヘッド242は、再び、その長さ上の異なる位置で繊維性集合構造210と係合し、さらに繊維性集合構造210を外側鞘232から外へ出し、中空解剖学的構造内に送達する。このサイクルは、所望の量の繊維性集合構造が送達されるか、または所望の治療長が得られるまで連続的に繰り返される。
【0130】
いくつかの実施形態では、一時的に繊維性物質210を実質的静止状態に保持し、軸方向に往復する部材230が、軸方向に往復する部材230の近位移動時に繊維性物質を近位に引っ張らないようにすることが望ましい。いくつかの実施形態では、繊維性物質は、図19に示されているように鞘232から排出された後に外側鞘の遠位縁に単に隣接するだけで近位方向の移動に抵抗しうる。他の実施形態では、外側鞘は、複数の爪、または直径の小さい部分、または上述のプッシャヘッドに類似している他の構造を備えることができる。
【0131】
いくつかの実施形態では、往復する部材230および外側鞘232を自動化された、または手動のピストル型グリップハンドルと関連付けることが望ましく、これにより、図27a〜27cに示されているように、繊維性集合構造210を片手で、簡単に、連続して送達することができる。図27cに示されているように、まず、プッシュロッドは、インプラント材料の手始めに使用される。次いで、ハンドルを動かして、インプラント材料を係合し、先へ進める。次いで、ハンドルは、解放され、インプラント材料は中空解剖学的構造内に分注される。次いで、ハンドルが再び動かされ、さらにインプラント材料を同じ場所に詰め込む。次いで、ハンドルが、部分的にのみ解放される。すでに配備されているインプラント材料と中空解剖学的構造壁との間の摩擦が十分にあれば、材料が追加堆積される。インプラント材料がハンドルで逆戻りしないようにするために手動圧縮も使用できる。次いで、ハンドルが再び動かされ、インプラント材料が、静脈管にそって堆積される。この動作は、所望の治療長の条件が満たされるまで繰り返すことができる。
【0132】
追加の実施形態では、外側鞘232よりも長い繊維性集合構造210の場合、繊維性集合構造210は、糸巻き250にコイル状に巻かれるか、またはカートリッジ(図に示されていない)に収納され、図28に示されているように繊維性集合構造210の遠位端が中空解剖学的構造内に連続的に入ってゆくときに、糸巻き250またはカートリッジから離れて外側鞘232の近位端内に送り込まれるように構成されうる。
【0133】
他の実施形態では、繊維性物質は、小体積流の圧縮ガス(例えば、CO2)を使用して、材料を血管内に排出することで血管内に配備することができ、このため、プッシュロッドを使わなくて済む。
【0134】
他の実施形態では、繊維性集合構造210は、短い充填セグメントではなく長くオーバーラップする形で導入することができる。このような実施形態では、繊維性集合構造210は、カテーテルアセンブリ全体が引っ込められている間に、治療長全体にそって送達される。次いで、カテーテルアセンブリ全体は、前方に進められ、繊維性集合構造210の他のセグメントは、治療長全体にそって送達される。このサイクルを繰り返して、長い治療長上で繊維性集合構造210を送達することができる。このようなオーバーラップする配備システムの一実施形態は、図29に示されている。
【0135】
図30に示されているように、さらに他の実施形態では、外側鞘232の外側は、カテーテルが治療部位に送り込まれるときに血管内膜内層をブラッシングし、擦る動作をする2cm以下から10cm以上までの長さだけ延びる遠位端のところの擦り部分280も備えることができる。これは、血管とさらには血管の内膜内の内弾性板の内側を覆う内皮細胞を効果的に露出し、分離する。この組合せにより、繊維性集合構造210を運ぶカテーテルが治療部位に進んだときに血管内膜内層の同時露出が可能であり、繊維性集合構造を配備する前に血管内膜を傷つける別の工程を加える必要がなくなる。血管の内膜構造を分離することで、組織成長侵入を改善し、凝固カスケードおよび生体治癒過程において繊維性集合構造を血管壁に一体化させることにより、耐久性のより高い閉塞を実現することができる。擦り部分280を実装する代替え手段は、限定はしないが、カテーテルから延びている毛ブラシ要素、例えば、ビーズブラストにより形成される単純な磨り減った表面、エッチングされた表面、微小機械加工小型切刃、ポリマーを使った盛り上がったフラップ、外側鞘表面などに関連する専用設計の、別に機械加工された構成要素を含む。
【0136】
図31に示されているように、いくつかの実施形態では、摩耗面を、鞘、カテーテル、道具、擦過器、および/または中空解剖学的構造の表面と係合するインプラント上に備えることができる。いくつかの実施形態では、摩耗面は、ブラシおよび/またはヤスリを含むことができる。一技術によれば、インプラントを送達するときに、中空解剖学的構造の表面を摩耗面により係合させて、内皮露出し、生物学的閉塞を高めることができる。例えば、ブラシのような構成要素を送達システムの外面に取り付けることが可能であるか、またはインプラント送達に先立って別のブラシを使用することもできる。ブラシの目的は、内腔の内側を覆う内皮細胞を露出し、血管内弾性板を分離することである。両方の動作により、慢性期に組織成長侵入および固定が改善される。ブラシ材料は、いくつかの実施形態では閉塞装置として適所に残すことができる。ブラシは、生体吸収性材料から、または非吸収性材料から作ることができる。図31に示されているように、いくつかの実施形態では、摩耗面は、魚の骨構成290、プロペラ構成292、ジグザグ構成294、スポンジおよび/またはフォームブラシ構成296、および二次らせん形状298のシャフトの周りに巻き付けるように構成された1つまたは複数の剛毛のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0137】
終端と固定
図32〜57Cを参照すると、いくつかの実施形態により、中空解剖学的構造320を治療するための装置300は、生体吸収性繊維体312を備える。固定部材302は、この繊維体312に関連付けられており、中空解剖学的構造320内に埋め込まれたときに繊維体312の移動を制限するように構成されている。いくつかの実施形態の一態様によれば、固定部材302は、テザー340を備える。いくつかの実施形態の他の態様によれば、固定部材302は、アンカー360を備える。いくつかの実施形態の他の態様によれば、固定部材は、膨張性要素380を備える。いくつかの実施形態の他の態様によれば、固定部材は、組紐382を備える。これらおよび他の実施形態、方法、技術、および態様は、さらに説明される。
【0138】
いくつかの実施形態では、インプラント310は、中空解剖学的構造320内にしっかり配置されるように構成される。中空解剖学的構造320内の固定により、インプラントが移動する可能性を低減することができる。いくつかの固定技術および構造は、以下でさらに詳しく説明される。他の好適な固定技術および構造も、インプラントの移動を制限するために使用することができる。一実施形態では、生体再吸収性閉塞やぐらインプラント310は、カテーテル、例えば8Fのカテーテルを通じて送達するように構成される。いくつかの実施形態では、生体再吸収性閉塞やぐらインプラント310は、好ましくは、十分に長いものを用意し、所望の埋め込み長全体にわたって中空解剖学的構造320を治療し、やぐらインプラントの過剰な材料を切り取れるように十分な材料を供給する。以下でさらに説明される一固定技術によれば、やぐらインプラント310は、アクセス部位304の付近の皮膚表面のところで切り取ることができる。やぐらインプラント310の一部は、必要ならば皮膚の下にたくし込むことができる。いくつかの実施形態、テザー340は、好ましくは、やぐら310の遠位部分でやぐらインプラント310と結合される。テザー340は、好ましくは、アクセス部位304を通って延び、アクセス部位304の近くの患者の皮膚に固定される。
【0139】
固定方法
一技術によれば、中空解剖学的構造を治療する方法は、生体吸収性繊維体312を中空解剖学的構造320内に埋め込み、繊維体312を中空解剖学的構造320内に固定して、中空解剖学的構造320内での繊維体312の移動を制限することを含む。この技術の一態様によれば、繊維体312を固定することは、中空解剖学的構造320のアクセス部位304のところに繊維体312をアンカーで固定することを含む。この技術の他の態様によれば、繊維体312を固定することは、膨張性アンカー380を中空解剖学的構造320内の繊維体312の近くに埋め込むことを含む。この技術の他の態様によれば、繊維体312を固定することは、中空解剖学的構造320内の埋め込み位置付近で中空解剖学的構造320を熱収縮することを含む。繊維体312を埋め込むことは、好ましくは、埋め込み位置に繊維体を埋め込むことを含む。この技術の他の態様によれば、繊維体312を固定することは、フェネストレーションアンカー360で繊維体312を固定することを含む。この技術の他の態様によれば、繊維体312を固定することは、経皮逆行アクセス部位306に繊維体をアンカー固定することを含む。これらおよび追加の態様、技術、方法、および実施形態は、以下でさらに詳しく説明される。
【0140】
アクセス部位アンカー
上述のように、また図32〜36および37Bに示されているように、この技術の一態様によれば、繊維体312を固定することは、中空解剖学的構造320のアクセス部位304のところに繊維体312をアンカーで固定することを含む。この技術の他の態様によれば、この方法は、さらに、図33に示されているように、繊維体312の一部が、中空解剖学的構造320から、患者の皮膚を通り、皮膚のアクセス部位304のところに出るように繊維体312の位置を決めることを含む。この技術の他の態様によれば、繊維体は、さらに、テザー340を含み、この方法は、さらに、図34に示されているように、皮膚と実質的に同じ高さになるように、またテザー340が、アクセス部位304を通り繊維体312を越えて延びるように、繊維体312の端部を切り取ることを含む。この事実の他の態様によれば、この方法は、さらに、図35に示されているように、テザー340をアクセス部位304の近くに固定することを含む。これらおよび他の態様、技術、方法、および実施形態は、さらに説明される。
【0141】
治療すべき中空解剖学的構造は、好ましくは、Seldinger技術を使用して治療すべきセグメントの近くの部位でアクセスされる。導入鞘(好ましくは6Fから8Fまでのサイズ)は、インプラント送達時に使用する部位に挿入される。この態様によれば、インプラント310は、アクセス部位304のところで静脈320に結合される。繊維体312をアクセス部位304のところで中空解剖学的構造320に結合するいくつかの方法および構造が、説明される。
【0142】
一実施形態によれば、生体吸収性全長繊維性集合構造312は、アクセス部位304を横切る形で、大伏在大腿静脈接合部近くから延びて血管を通り、生体の外部で終端するように構成される。アンカー糸および/またはテザー340は、インプラント310の遠位部分から近づく形でインプラント310の概ね中心にある部分を通り、アクセス部位304を通って延び、インプラント310が繊維体の中空解剖学的構造320内に配置されたときに生体の外部で終端することができる。いくつかの実施形態では、インプラント310自体は、好ましくは、本明細書に開示されている組合せのいずれかを含む。上述のように、繊維加工パラメータは、好ましくは、インプラント310の自己膨張および/または体積充填特性を高める繊維捲縮保持力を最大にするように選択される。上述のように、インプラント310は、プッシュロッドの先端上であらかじめ折り畳むことができ、場合によっては、手作業で質感加工して、絡み合わせ、必要ならばおよび/または望ましければさらにかさ高にすることができる。生体の外側の終端は、本明細書で説明されている1つまたは複数の能動的固定技術またはインプラントの移動を制限するのに適した他の技術により行うことができる。
【0143】
いくつかの実施形態では、インプラント310は、繋留糸340を含む。繋留糸340は、好ましくは、多繊維糸またはインプラントの残り部分、もしくは編まれた縫合材料よりも太い断面を有する単繊維である。一実施形態では、繋留糸340の第1の端部は、インプラント310の近位端部に付着される。いくつかの実施形態では、繋留糸340は、インプラント310の遠位端部のところで、および/またはインプラント310上の複数の場所で、インプラント310に取り付けられる。繋留糸340の第2の端部は、好ましくは、アクセス部位304のところで生体組織に付着される。付着の一方法によれば、以下でさらに詳しく説明されるように、中空解剖学的構造320の壁の外で繋留糸340に結び目を作る。結び目のかさは、好ましくは、繋留糸340がスライドして中空解剖学的構造320の壁を通って戻るのを防ぐ。例えば、結び目、例えば一つ結びを、繋留糸340の自由端で結び、これによりアクセス部位304のところでインプラント310をアンカー固定することができる。皮膚から出口点の近くで結び目が確実に締まるようにするために丸みのある工具を使用するとよい。複数の結び目を形成することができる。繋留糸340の端部を、結び目プッシャおよび/または丸みを帯びたカニューレの先端に通すことができる。糸通しやすくするために、繋留糸340の端部をシアノアクリレートであらかじめ硬くしておくとよい。いくつかの実施形態では、Loctite 4061を使用して、繋留糸340をあらかじめ硬くしておくことができる。単繊維縫合糸を含む繋留糸340は、いくつかの実施形態では硬化を必要とする場合もあれば、必要としない場合もある。結び目プッシャは、結び目へ進められ、次いで皮膚の表面よりも下に結び目を押し込むために使用される。次いで、結び目プッシャが取り除かれる。したがって、結び目は、中空解剖学的構造320の壁の外側に、ただし皮膚の表面の下に、配置される。過剰な繋留糸は、皮膚表面の真下で切り取ることができる。切開部位では、追加の創縫合技術、例えば、Steri−stripおよび/または組織接着剤を使用することができる。
【0144】
付着の他の方法によれば、繋留糸340は、図38に示されているように、針342で終端するか、または針と結合され、例えば、別の針に通され、次いで、結ばれるか、または皮下組織または皮膚に縫合されうる。結び目は、中空解剖学的構造320の外の皮下組織内に存在し、時間が経つうちに組織内に吸収されうる。いくつかの実施形態では、繋留糸340は、インプラント310と同じ材料で作ることができる。図39に示されているように、インプラント310の長さにそって1つまたは複数の場所に単繊維、編み上げ、および/または多繊維糸340を取り付けることが可能である。いくつかの実施形態によれば、繋留糸340をインプラント310の長さにそって複数の場所に結合することで、インプラント310を所望の場所にアンカー固定しやすくなり、またアンカー部位と反対のインプラント310の端部でインプラント310の移動を防ぐこともできる。繋留糸340を複数の場所に結合することにより、インプラント310が寸法を変える可能性を小さくできる。いくつかの実施形態では、糸の材料も、インプラント310よりも分解が遅い1つまたは複数の生体吸収性材料を含むことができる。さらに、繋留糸340の幾何学的形状および/または構成は、分解速度に影響を及ぼす可能性がある。例えば、インプラント310と同じ材料から作られる繋留糸340は、それにもかかわらず、繋留糸340内の繊維の直径がインプラント310を形成する繊維314の直径よりも著しく大きい場合にさらにゆっくりと分解することができる。
【0145】
いくつかの実施形態では、インプラント310自体がアンカーを形成することができる。インプラント310の少なくとも一部は、アクセス部位304のところで中空解剖学的構造320を出て、皮下組織内に残され、および/または皮膚上に配置されうる。この技術の他の態様によれば、この方法は、さらに、繊維体312の一部が、中空解剖学的構造から、患者の皮膚を通り、皮膚のアクセス部位304のところに出るように繊維体312の位置を決めることを含む。この技術の他の態様によれば、繊維体は、さらに、テザー340を含み、この方法は、さらに、皮膚と実質的に同じ高さになるように、またテザー340が、アクセス部位304を通り繊維体を越えて延びるように、繊維体312の端部を切り取ることを含む。この事実の他の態様によれば、この方法は、さらに、テザー340をアクセス部位304の近くに固定することを含む。それとは別に、いくつかの実施形態では、繋留糸と繊維性物質は両方とも、皮膚と同一の平面となるように切り取られ、および/または皮膚の下にたくし込まれ、切開時に患者の皮膚を通るものは何もない。
【0146】
いくつかの実施形態では、生体吸収性タブ350が備えられる。生体吸収性タブ350は、好ましくは、別々の構成要素である。これは、好ましくは、皮下組織内の中空解剖学的構造320の外側に配備される。生体吸収性タブ350は、好ましくは、中空解剖学的構造320の壁を横切る繋留糸340を介してインプラント310に接続される。それとは別に、生体吸収性タブ350は、インプラントに直接接続できる。例えば、インプラント310の少なくとも一部は、生体吸収性タブ350を含み、および/または結合することができる。タブ350を含むインプラント310の少なくとも一部は、生体吸収性タブ350が皮下組織に結合できるようにアクセス部位304を通って延びることができる。いくつかの実施形態では、タブ350は、約1mm×2mm×10mmの寸法を持つことができる。他の実施形態では、タブ350は、小さい場合も大きい場合もある。タブ350は、PLA、50/50PLGA、および/またはその他の生体吸収性ポリマーから作ることができ、例えば、ある種の生体吸収性ポリマーは、射出成形に特に適していると考えられる。タブ350は、好ましくは、インプラント310と同じ送達用鞘を通して配備できるような幾何学的形状および寸法を有する(例えば、8F)。繋留糸340には、好ましくは、柔軟な(縫合糸に似た)材料を使用する。いくつかの実施形態では、繋留糸340は、単繊維または多繊維編み上げおよび/または多繊維糸とすることができる。繋留糸340を含むいくつかの実施形態では、繋留糸340の第1の部分は、好ましく、生体吸収性タブ350に結合され、繋留糸340の第2の部分は、好ましくは、インプラント310に結合される。インプラント310の取付け位置は、インプラント310の遠位または近位部分、または真ん中部分、または場所の任意の組合せとすることができる。繋留糸340は、中空解剖学的構造320内に埋め込まれた場合にインプラント310がどれだけ引き延ばせるかを制御することができる。図39に示されているように、繋留糸340は、1つまたは複数の結び目344によって、インプラント310の近位部分、インプラント310上の複数の場所、および/またはインプラント310の遠位部分で結合することができる。さらに、繋留糸340は、いくつかの実施形態において、インプラントの真ん中および/または中間部分でのみ結合することができる。図39は、さらに、タブ350と結合されている繋留糸340の一部を示している。他のいくつかの実施形態では、繋留糸340は、他の種類のアンカーと結合されるか、および/または例えば本明細書で説明されているような患者の生体構造の一部と直接結合されうる。テザー340をインプラント310の遠位端部に留めることで、アクセス部位304に関してインプラント310のその端部が実際に固定される。繋留糸340は、好適な方法でタブ350に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、テザー340は、生体吸収性シアノアクリレート接着剤、熱接合技術、および機械的結合のうちの1つまたは複数を使用してタブ350に結合され、例えば、図37Bに示されているように、テザー340で結ばれている結び目は、タブ350内の孔を通してスライドするのを防ぐことができる。
【0147】
図36A〜Fは、アクセス部位304に関してインプラント310を固定するいくつかの技術を例示しており、これら実施形態のうちのいくつかは、上で説明されている。図36Aは、インプラント310が概ね患者の皮膚と同じ高さとなるように切断され、繋留糸340は、皮膚から約5cm(2インチ)を超える部分を切り取られる固定手順を示している。創傷は、好ましくは、Steri−stip、Tegaderm(商標)、または他の好適な創縫合要素で閉じられる。次いで、テザー340は、患者の皮膚にテーピングされる。テープは、数日した後取り外すことができ、テザーは皮膚と同じ高さになるように切り取られる。図36Bは、インプラント310およびテザー340が中空解剖学的構造320の壁に広がり、両方とも概ね患者の皮膚と同じ高さとなるように切断される固定手順を例示している。創傷は、閉じられ、インプラント310およびテザー340は、皮下組織内に保持される。図36Cは、インプラント310が概ね患者の皮膚の高さと同じ高さになるように切断され、生体吸収性タブ350が繋留糸340に取り付けられる固定手順を例示している。タブ350は、皮膚の下の皮下組織に結合され、これによりインプラント310をアンカー固定し、創傷は閉じられる。一技術によれば、アンカータブ350は、繋留糸340の自由端上に通され、繋留糸340は、皮膚から出口点に近い位置で結び目が作られ、これはアンカータブ350を保持する止め結び目として機能する。アンカー350の一端は、切開部内に挿入される。カニューレまたは丸みのある工具を使用して、アンカー350を皮膚表面の下に押し込むことができる。したがって、アンカー350は、静脈の外側に配置することができるが、皮膚表面の下である。切開部位では、追加の創縫合技術、例えば、Steri−stripおよび/または組織接着剤を使用することができる。図36Dは、繋留糸340が針342につながれている固定手順を例示している。創傷は閉じられ、テザー340は、組織内に縫い込まれ、インプラント310をアンカー固定する。図36Eは、繋留糸340が皮膚の上約5cm(2インチ)のところで切り取られる固定手順を例示している。次いで、テザーは、皮膚の下にたくし込まれ、創傷が閉じられる。図36Fは、インプラント310が引き延ばされ、切断され、中空解剖学的構造320の方へスライドして戻され、切開部の膨張を最小限に抑える固定手順を例示している。アンカー糸340は、切開部を出て、皮膚に結合される、例えばテーピングされる。インプラントの太さは、好ましくは、切開部を膨らませることにならない。アンカー糸340は、好ましくは、ロープロファイルであり、このため手術完了後に切開部が完全に閉じる。図36A〜36Fの技術の変更形態および組合せも使用することができる。
【0148】
アクセス部位アンカーを使用するいくつかの実施形態および技術の利点は、インプラントを中空解剖学的構造の壁および/または周辺組織と機械的に結合することができる点にある。手術は比較的容易で、迅速であり、麻酔を追加する必要がない。
【0149】
膨張性アンカー
上述のように、また図37Cに示されているように、この技術の他の態様によれば、繊維体312を固定することは、中空解剖学的構造320内の繊維体312の近くに膨張性アンカー380を埋め込むことを含む。例えば、一実施形態では、膨張性構造380、例えば組紐382は、図37Cに示されているように、カテーテルを通して配備され、大伏在大腿静脈接合部の近くの静脈内で膨張することができる。構造380は、好ましくは、静脈壁と係合し、インプラント310を適所にアンカー固定する十分な半径方向力を有する。インプラント310の近位端部分は、好ましくは、組紐382に結合される。組紐382には、生体吸収性材料を使用することができる。いくつかの実施形態では、単繊維は、多繊維組紐または多繊維糸と比較して曲げ弾性率が高いため、組紐382を形成するうえで好ましい。しかし、多繊維組紐または多繊維糸は、いくつかの実施形態において使用することが可能である。単繊維を使用すると、半径方向強度を高めることができる。いくつかの実施形態では、組紐382は、配備されたときに長さが約2cmとなる。他の実施形態では、組紐382は、それよりも長い場合も短い場合もある。組紐382は、送達カテーテル内に詰め込まれると、細長くなる。例えば、長さ2cmの組紐382は、送達カテーテル内に詰め込まれると細長くなり、長さは約8cmとなる。組紐382では、材料の所定の体積について十分に大きな膨張比が得られる。組紐382の膨張比は、典型的には、編物または織物構造の膨張比よりも大きい。しかし、いくつかの実施形態では、編物または織物膨張性構造を使用することができる。組紐382を軸方向に圧縮する動きがあると、組紐382の個別のストランドが互いに関してスライドすることが許されるため直径が実質的に増大しうる。いくつかの実施形態では、構造380は、約6Fから約20mmまで膨張することができる。
【0150】
他のいくつかの実施形態では、組紐382は、鋸歯状および/または研磨材料を含むことができ、中空解剖学的構造320の壁に対する高い摩擦力を提供することができる。いくつかの実施形態では、組紐382は、組紐382の一端を引っ張ることにより反転させることができる。組紐382を反転させると、組紐が加える半径方向力が増大し、および/または組紐の直径が増大しうる。反転された長さ上の所定の断面における繊維の本数を増やした場合も、組紐382の閉塞特性が高まる。さらに、いくつかの実施形態では、一方または両方向に歯または鋸歯を持つ、組紐382に関連付けられている別の構成要素を形成することができる。この別の構成要素を組紐382の外側部分に配置し、血管壁320との摩擦を改善することができる。いくつかの実施形態では、膨張性構造380は、インプラント310の1つまたは複数の部分に配備することができる。例えば、1つまたは複数の膨張性構造380は、インプラント310の近位部分、遠位部分、および中間部分のうちの1つまたは複数に配備することができる。膨張性構造380は、インプラント310の完全に血管内にある固定要素を実現できる。いくつかの実施形態では、膨張性構造380は、直径を大きくも小さくもでき、および/または中空解剖学的構造320のサイズに基づいて長繊維を加えたり減らしたりすることができる。血管サイズが小さい場合、膨張性構造380は、直径を小さくすることができ、および/または長繊維を減らして、小さな送達用鞘内に有利に収めることができる。
【0151】
他の実施形態によれば、例えば図40A〜Cに示されているように、丸みのある逆「V」字型アンカー383を固定要素302として備えることができる。アンカーの丸みのあるヘッドは、好ましくは、送達カテーテルから突き出て、治療が組織を傷つけることのない先端として機能する。アームは、カテーテル内に配置されている間にわずかにつぶれ、配備されると膨張する。アームの両端は、好ましくは、外向きに曲げられ、血管壁をうまく掴めるようになっている。いくつかの実施形態では、アンカーの少なくとも一部は生体分解性である。
【0152】
他の実施形態によれば、例えば図41に示されているように、「U」字型クリップ384を固定要素302として備えることができる。クリップは、好ましくは、カテーテル内に配置されたときにわずかつぶれ、配備されたときに膨張する中空でない丸いアームを持つ。両端は、いくつかの実施形態では適度に鋭くなっていてよい。
【0153】
他の実施形態によれば、例えば図42A〜Cに示されているように、膨張ワイヤーループ385を固定要素302として備えることができる。ワイヤーループは、好ましくは、送達時につぶれ、配備されると膨張する。いくつかの実施形態では、フックが遠位端に備えられ、中空解剖学的構造の壁への追加固定機能を持たせる。アンカーは、ニッケルチタンワイヤを含むことができ、PLA糸と結合することができる。
【0154】
他の実施形態によれば、例えば図43A〜Bに示されているように、膨張性「正弦波」形状ステント386を固定要素302として備えることができる。ステントは、好ましくは、送達時につぶれ、配備されると膨張する。いくつかの実施形態では、ステントは、溶媒噴霧PLAヤーンを備える。他のいくつかの実施形態では、ステントは、図44A〜Bに示されているように、ひし形387をとりうる。ひし形の端部を互いに近づくように引き寄せる糸を用意し、これにより、中間部分を外へ曲げさせ、中空解剖学的構造の壁に押し当てさせることができる。
【0155】
いくつかの他の実施形態では、ステントは、例えば図45A〜Cに示されているように、固定要素302を形成する編物チューブ388とすることができる。いくつかのを実施形態では、編物ステントは、図45B〜Cに示されているように、比較的短く、例えば長さ2cm程度でありえる。いくつかの実施形態では、編物ステントは、これよりも長くすることができ、例えば、図45Aに示されているように、最大約35cm以上とすることができる。編物ステント類似構造は、溶媒を噴霧したPLAヤーンを含み、4ピンニット編み機上で8プライを使用して編むことができる。いくつかの他の実施形態では、編組ステント389は、図46A〜Cに示されているように、固定要素302として備えることができる。編組ステントは、いくつかの実施形態では、インプラントが配備される前に配備することができる。組紐は、好ましくは、ある程度の自己膨張を示す。引き糸は、組紐と結合され、さらなる膨張を助けることができる。
【0156】
他の実施形態によれば、例えば図47A〜Bに示されているように、多剛毛膨張装置391を固定要素302として備えることができる。膨張装置は、好ましくは、送達時につぶれ、配備されると膨張する。膨張装置は、適度に硬い複数の単繊維ポリマー剛毛を備える。剛毛を1つにまとめる組合せ効果により、膨張装置で中空解剖学的構造の壁を掴むことができる。膨張装置は、1つまたは複数の生体吸収性材料を含むことができる。
【0157】
膨張性アンカー構造を使用するいくつかの実施形態および技術の利点は、1回の手順で膨張性アンカー構造の送達とインプラントの送達とを組み合わせることができる点にある。膨張性要素は、中空部解剖学的構造内に結合され、インプラントをアンカー固定するのに中空解剖学的構造の壁との摩擦に依存する。適切なサイズの膨張性構造を選択することができる。膨張性要素は、生体吸収性である場合もない場合もある。
【0158】
熱固定および/または血管収縮
上述のように、また図37Aに示されているように、この技術の他の態様によれば、繊維体312を固定することは、中空解剖学的構造320内の埋め込み位置に近いところで中空解剖学的構造320を熱収縮させることを含む。繊維体312を埋め込むことは、好ましくは、埋め込み位置に繊維体312を埋め込むことを含む。例えば、一実施形態では、大伏在大腿静脈接合部の近くの静脈の約1cmの部分をスポット収縮するために熱が使用される。中空解剖学的構造320を収縮させる方法は多数ある。一実施形態では、好ましくは内蔵型および電池式加熱コイルをインプラント送達カテーテルの外面上に配置することができる。そのため、熱収縮機能およびインプラント送達機能を実行するように単一カテーテルを構成することができる。電池は、カテーテルのハンドル内に、または直接接触または電気ケーブルを介してカテーテルに接続されている別の充電式パワーベース内に収めることができる。他の実施形態では、好適なエネルギーツールおよび電源を使用することができる。いくつかの実施形態では、ハンドルは、電池の代わりに、または電池に加えて、1つまたは複数のコンデンサを備えることができる。電池により供給されるエネルギーは、時限オン/オフ回路を使用することにより制御することができる。コンデンサの値は、放電されたときに所望のエネルギー量を送達するように選択することができる。
【0159】
熱収縮を行うための一技術によれば、インプラント310、コイルヒーターを備える6F送達カテーテル、6F鞘および拡張器、案内ワイヤ、プッシュロッド、および鋭利な器具が備えられる。鋭利な器具を皮膚、皮下組織、および中空解剖学的構造壁に刺し通して、中空解剖学的構造の内部にアクセスする。案内ワイヤは、鋭利な器具を通して中空解剖学的構造内に挿入される。鋭利な器具は、取り除かれ、中空解剖学的構造内に案内ワイヤが残される。拡張器および鞘アセンブリは、この案内ワイヤ上に通され、中空解剖学的構造内に通される。拡張器および案内ワイヤは、取り除かれ、鞘が適所に残される。インプラント310を送達カテーテル内に装填する準備をする。一実施形態によれば、インプラント310は、繊維性物質であり、600デニールのPLAの3本のストランドを含む。これらのストランドは、好ましくは、二つ重ねにされ、効果的に、6本のストランドを形成する。いくつかの実施形態におけるインプラント310は、好ましくは、溶媒を使って先端のところで融合され、これにより、血液がインプラントを浸し、加熱工程で凝固するのを防止する。アンカー糸は、好ましくは、サイズ3−0のシルクを含む。いくつかの他の実施形態では、アンカー糸は、好ましくは、Vicryl Rapide(商標)を含む。アンカー糸は、結び目でインプラントの遠位端部に結合される。アンカー糸は、好ましくは、インプラント310の長さにそってインプラントのストランドと織り交ぜられる。プッシュロッドは、0.8mm(0.03インチ)のステンレス製マンドレルから形成されたフォーク型プッシュロッドとすることができる。インプラント310は、好ましくは、プッシュロッド上に装填される。3本のストランドは、好ましくは、結び目のところでフォーク上に折り重ねられる。プッシュロッドを使用して、インプラント310をカテーテル内に誘導する。プッシュロッドは、鞘およびプッシュロッド先端がマッチするまで先へ進められる。いくつかの実施形態では、プッシュロッドは、プッシュロッド上のマークが鞘ハブに到達するまで進められる。装填されたカテーテルは、鞘内に挿入される。カテーテルは、中空解剖学的構造内の所望の治療領域の近位端へ進められる。いくつかの実施形態では、膨潤麻酔が治療部位に送達され、麻酔、ヒートシンク、および圧縮効果をもたらす。コイルヒーターは、カテーテル上のボタンを押すことにより作動し、熱を伝えて中空解剖学的構造を収縮させる。カテーテルは、少し引き戻され、外側鞘が引き出される。インプラント310は、プッシュロッドが適所に保持されている間に露出される。したがって、インプラント310は、加熱処理部の背後の中空解剖学的構造内に配備される。インプラント310が完全に配備された状態で、プッシュロッドおよび送達カテーテルは、鞘から引き出される。最後に、鞘は完全に引き出される。必要ならば、および/または望ましい場合には、さらに固定技術を実行することができる。この技術の変更形態および修正形態も形成できる。
【0160】
収縮は、さらに、高周波(RF)放射カテーテル(VNUS Closure(商標)カテーテルなど)または静脈内レーザーなどの他の熱的手段を介して行わせることもできる。加熱素子に関する追加の開示は、2002年6月11日に発行された「METHOD OF LIGATING HOLLOW ANATOMICAL STRUCTURES」という表題の米国特許第6,401,719号、または2001年1月30日に発行された「EXPANDABLE CATHETER HAVING TWO SETS OF ELECTRODES」という表題の米国特許第6,179,832号、または2004年8月3日に発行された「Expandable vein ligator catheter having multiple electrode leads,and method」という表題の米国特許第6,769,433号、または2003年10月28日に発行された「Expandable catheter having improved electrode design,and method for applying energy」という表題の米国特許第6,638,273号、または2005年9月8日に出願された「METHODS AND APPARATUS FOR TREATMENT OF HOLLOW ANATOMICAL STRUCTURES」という表題の米国特許出願第11/222069号、または2005年9月27日に出願された「SYSTEMS AND METHODS FOR TREATING A HOLLOW ANATOMICAL STRUCTURE」という表題の米国特許出願第11/236316号、または2004年9月27日に出願された「RESISTIVE ELEMENT SYSTEM」という表題の米国仮特許出願第60/613,415号において行われている。上述の米国特許および出願は、参照により本明細書に組み込まれており、本明細書の一部をなす。
【0161】
それとは別に、図48A〜Cに示されているように、外部充填剤を使用することができる。例えば、図48Aは、充填剤390を使って治療をする前の血管320を示している。図48Bに示されているように、充填剤390を血管を囲む区画内に注入し、血管320を圧迫することができる。図48Cに示されているように、治療の後、充填材料390は組織により吸収され、置き換えられるようにできる。充填剤390は、好ましくは、粘性が高く、生理食塩水に比べて長く持続する材料を含む。大伏在大腿静脈接合部の近くの静脈周囲空間392内に注入された材料は、一時的に、静脈を閉塞し、これは、数日から数週間の間持続し、インプラントの移動および粒子塞栓を制限することができる。いくつかの実施形態によれば、例えばFloSeal、VNUSeal、および/またはゼラチンなどの材料は、十分に大きなアクセス、例えば6Fが利用可能な場合に使用できる。いくつかの実施形態では、小さなアクセス部位に対してはTissueMend(分解可能シアノアクリレート)および/またはAtrigel(注入可能PLA)を使用することができる。さらに、いくつかの実施形態では、充填材料390は、例えば本明細書で説明されているような連続供給機構により供給されるヤーンを含むことができる。
【0162】
それとは別に、いくつかの実施形態では、移動を防止するために、血管320を血管内から、または血管の外部から結紮されうる。一実施形態は、図49に示されているように、中空解剖学的構造のサイズを制約する外部生体吸収性(または非吸収性)結紮クリップ394または縫合糸を含む。中空解剖学的構造の直径を縮小することは、流れの制約とともに、インプラント310の物理的ストッパーとして働く。インプラント310は、中空解剖学的構造320の直径を縮小した部分の背後に配備される。
【0163】
熱処理および/または血管収縮を使用するいくつかの実施形態および技術の利点は、中空解剖学的構造の自然組織を使用してインプラント移動に対する物理的障壁を形成することができるという点にある。血管サイズを縮小すると、血流が減る。血流を減らすと、凝固が改善され、インプラントに対する流れの問題が緩和される。インプラントの位置決め精度は高まる。
【0164】
フェネストレーションアンカー
上述のように、また図37Dに示されているように、この技術の他の態様によれば、繊維体を固定することは、フェネストレーションアンカー360で繊維体312を固定することを含む。例えば、一実施形態では、フェネストレーションアンカー360は、生体吸収性タブ350と構造面で類似しているが、ただし、アクセス部位304から離れて、管腔内にフェネストレーションアンカー360を配備する方法は、もっと複雑である。いくつかの実施形態では、フェネストレーションアンカー360を中空解剖学的構造320、例えば静脈内に配備することは、Seldinger技術を使用する静脈アクセスと類似している。しかし、体の外側から静脈の内側に進む、針を使った静脈にアクセスする代わりに、手順を逆転する。針先端操舵可能カテーテルを使用して、静脈の内部の開始点から血管周囲腔にアクセスすることができる。一技術では、超音波誘導の下で、針は、好ましくは、大伏在大腿静脈接合部の近くに配置され、静脈壁を穿刺する。カテーテルの拡張部分およびインプラント送達用鞘は、両方とも、針上を進み、静脈壁を横切る。針および拡張器は、取り外され、鞘内腔が開いたままにされ、アンカーおよびインプラントを送達できる。フェネストレーションアンカーは、血管周囲腔内に配備され、鞘は、引っ込められ、フェネストレーションアンカーが静脈の外側に残される。鞘をさらに引き込むと、インプラント310が露出する。タブ350について上で説明されているように、フェネストレーションアンカー360およびインプラント310は、好ましくは、繋留糸340により静脈壁を通して接続される。追加の壁貫通フェネストレーションの概念が、図50〜54Cに示されている。
【0165】
図50に示されているように、この技術の他の態様によれば、繊維体312を固定することは、中空解剖学的構造320内に繊維体を縫合することにより中空解剖学的構造内の繊維体をアンカー固定することを含む。例えば、例示されている実施形態に示されているように、インプラント310は、血管壁を通して、またインプラント310を通して、血管320にそって結ばれた単一または一連の外部縫合糸362によりアンカー固定し、適所に保持することができる。この技術は、単純な開放外科手術ループにより、または血管のフェネストレーションを行い、および/または超音波で針を誘導することによる侵襲の最小限のカニューレおよび/または針送達結び目、クリップ、および/またはステープルを使用することにより、実現できる。いくつかの実施形態では、フェネストレーションクリップおよび/または縫合結び目362は、インプラント310を血管壁に留める。いくつかの実施形態では、生体吸収性の棒またはピン364は、中空解剖学的構造の1つまたは複数の壁を通して、またインプラント310を通して、フェネストレーションを行うことができる。
【0166】
他のいくつかの実施形態によれば、図51A〜Hに示されているようなフェネストレーションコイル366を、固定手順に使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、針と縫合糸の補助により小さなコイルを単独で配備することができる。いくつかの実施形態では、送達デバイスによりさらに大きなコイルをすべて一度に配備することができる。いくつかの実施形態では、フェネストレーションコイル366には、断面が矩形または丸形のニッケルチタンワイヤを使用することができる。大直径コイルは、大きな粒子に対するフィルタとして、さらにはいくつかの実施形態ではアンカーとして作用しうる。他の実施形態によれば、図52A〜Bに示されているように、ポリマーコイル366は、固定手順において用意することができる。例えば、矩形の棒材をきつく巻いたコイルに形成することができる。コイルは、まっすぐにされ、送達カテーテル内に挿入される。コイルは、次いで、中空解剖学的構造内に押し出され、そこでコイル形状の少なくとも一部を復元することができる。一実施形態では、コイルは、ポリエチレンを含み、6Fの鞘内に差し込むことができる。
【0167】
他の実施形態によれば、例えば図53A〜Bに示されているように、返し付き縫合糸368を固定要素として備えることができる。返し付き縫合糸368は、いくつかの実施形態では創縫合に、またいくつかの実施形態ではインプラントを中空解剖学的構造に固定するために使用することができる。返し付き縫合糸368は、好ましくは、自己固着し、いくつかの実施形態では生体吸収性である場合もない場合もある。
【0168】
他の実施形態によれば、図54A〜Cに示されているように、多突起膨張装置370は、固定要素302として使用することができる。この要素は、好ましくは、複数の細い平坦なアームおよび/または突起物が第1の端部に固定され、アームは固定要素302の第2の端部近くで互いから離れる形で曲がっている。要素302は、送達に際しては圧縮され、カテーテルから出た後、膨張することができる。固定要素302は、好ましくは、インプラント310と結合される。固定要素302は、インプラント310の近位部分、遠位部分、および中間部分のうちの1つまたは複数のところで結合することかできる。いくつかの実施形態では、膨張装置370が備える突起は4つ以下または以上に加減することができる。いくつかの実施形態では、図54Cに示されているように、突起の先端は鋭く、膨張装置370は手前に押されたときに中空解剖学的構造320の壁を掴み、および/または貫くことができる。
【0169】
インプラントおよびフェネストレーションアンカーを配備する一技術によれば、フェネストレーションアンカー、ニードルカテーテル、6Fの鞘と結合されたインプラントが備えられる。カテーテル先端は、引き込み式の針を備える。針は、好ましくは、カテーテルを最初に中空解剖学的構造内挿入するときに引っ込められる。カテーテルは、鞘を通り、所望の治療領域の近位端にまで進められる。治療領域に対し好ましくは膨潤麻酔法が施され、これにより麻酔薬を供給し、中空解剖学的構造の外側に針を通す先となり、アンカーを配備するための空間を形成する。針が配備され、好ましくは適所にロックされる。ニードルカテーテルが先へ進められ、所望の位置で中空解剖学的構造の壁を穿刺する。カテーテルおよび鞘は、中空解剖学的構造の壁の外側まで延びる。針は、ロック解除され、引っ込められて、カテーテルが引き出されて中空解剖学的構造の壁上に鞘を残す。インプラントを送達カテーテル内に装填する準備をする。フォーク型プッシュロッドが用意される。一実施形態によれば、インプラントは、繊維性物質であり、600デニールのPLAの3本のストランドを含む。これらのストランドは、好ましくは、二つ重ねにされ、効果的に、6本のストランドを形成する。一実施形態によれば、アンカーは、1mm×2mm×10mmの棒で、中心に孔が通っている。アンカー糸が用意される。アンカー糸の端部が、止め結び目内に形成され、アンカーを保持する。好ましくは、他の結び目で、インプラントの遠位端部をアンカー点から約5mm離して固定する。いくつかの実施形態では、アンカーとインプラントとの間の距離は、小さくも大きくもできる。繋留糸は、好ましくは、インプラントの長さにそってインプラントのストランドと織り交ぜられる。インプラントは、プッシュロッド上に装填される。3本のストランドは、好ましくは、インプラント上の結び目のところでフォーク上に折り重ねられる。アンカーは、カテーテル内に押し込められる。プッシュロッドおよびインプラントは、カテーテル内に送り込まれ、アンカーをインプラントの前に押し出す。アンカーは、カテーテルの先端を出る。アンカーは、好ましくは、インプラントおよびプッシュロッドがカテーテルの先端近くにある間にカテーテルの外側に完全に配備される。いくつかの実施形態では、鞘のアンカーおよび先端は、好ましくは、硫酸バリウムおよび/または気泡または超音波の下でアンカーおよび先端が見やすくなるようにする他の好適なマーカーをドープされる。次いで、カテーテルは引っ込められる。最初に、カテーテルが引っ込められるときにアンカーが続く。アンカーの形状構成により、中空解剖学的構造内に再入することが妨げられる。インプラントが完全に露出されるまでカテーテルが引っ込み続けるとインプラントが露出される。この技術の変更形態および修正形態も形成できる。
【0170】
フェネストレーションアンカーを使用するいくつかの実施形態および技術の利点は、インプラントを中空解剖学的構造の壁および/または周辺組織と機械的に結合することができる点にある。この手順では、さらに、他のいくつかの技術と比較してインプラントの位置決め精度を高めることができる。
【0171】
逆行アクセスアンカー
上述のように、また図37Eに示されているように、この技術の他の態様によれば、繊維体を固定することは、経皮逆行アクセス部位306に繊維体をアンカー固定することを含む。例えば、一実施形態では、静脈アクセス部位306は、膝または足首の近くではなく大伏在大腿静脈接合部の近くに配置される。アクセス部位の相対的位置以外に、この技術は、本明細書で説明されている他のアクセス部位アンカー技術と類似しており、必要に応じて他の技術と組み合わせることができる。逆行アクセスが従来のGSVアクセスに勝る利点は、大伏在大腿静脈接合部に非常に近い、近位端のところでインプラント310を組織に固定することができ、これによりインプラント310が深血管系内に移動することを制約できる点にある。逆行アクセスで使用されるカテーテルには、静脈弁上の移動性を改善する特徴がさらにある。このような特徴としては、先端が丸い、精神的外傷を残すことが少ない先端形状、および/または操舵性が挙げられる。
【0172】
経皮逆行アクセスアンカーを使用するいくつかの実施形態および技術の利点は、インプラントを中空解剖学的構造の壁および/または周辺組織と機械的に結合することができる点にある。この手順では、さらに、大伏在大腿静脈接合部により近いアクセス部位を持たせることによる他のいくつかの技術と比べてインプラントの位置決め精度を高められる。鞘を挿入することで、結紮および剥離手術を行うために使用されるものと比べて切開部を小さくできる。鼠径部で大腿静脈にアクセスすることは、一般的な方法であり、大腿静脈へのアクセスは、容易に行われる。血流の大半は、適所のインプラントで閉塞されるので、止血のために特別な血管閉鎖デバイスまたは広範な用手圧迫を使用する必要性はなくなる。
【0173】
くさび固定
図55A〜Bに示されているように、この技術の他の態様によれば、繊維体312を固定することは、中空解剖学的構造320内にアンカー要素372をくさびとして打ち込むことにより中空解剖学的構造内320の繊維体312をアンカー固定することを含む。例えば、例示されている実施形態では、細長い部材372が、静脈に垂直に配置され、これによりくさびとして適所に打ち込まれる。いくつかの実施形態では、細長い部材372は、PLA、50/50PLGA、または射出成形に適している他の生体吸収性ポリマーから作られる。いくつかの実施形態では、細長い部材の端部は平坦である。他の実施形態では、端部は、鋭利であるか、尖っているか、および/または丸くなっていてもよい。
【0174】
図56A〜57Cは、1つまたは複数の固定技術において使用することもできる他の形状および構成を有する追加の細長い部材を例示している。例えば、図56A〜Bに示されているように、溶媒噴霧ヤーン374を備える傾斜棒を用意することができる。傾斜棒374は、好ましくは、上述の細長い部材372よりも柔軟性がある。他の実施形態によれば、例えば図57A〜Cに示されているように、スイベル「T」字型構造376を固定要素302として備えることができる。スイベルは、互いに結合された第1および第2の細長い部分を有し、第1の細長い部分は第2の細長い部分に関して旋回するようになっている。固定要素302が中空解剖学的構造内に配置された場合、細長い部分が旋回され、一方の細長い部分が、静脈壁の幅にわたって配置され、したがって適所にくさびとして打ち込まれるようにできる。この要素は、糸、プッシュロッド、または他の好適な工具308のうちの1つまたは複数を使用して作動させることができる。適当な任意の材料を使用できる。
【0175】
栓固定
この技術の他の態様によれば、繊維体を固定することは、中空解剖学的構造内に栓を配置することにより繊維体を中空解剖学的構造内にアンカー固定することを含む。例えば、予備成形発泡栓または発泡スポンジを、代替え摩擦アンカーとして、上述の膨張性要素、例えば組紐の代わりに使用することができる。一実施形態では、発泡体はインプラントに結合される。いくつかの実施形態では、発泡体は、インプラント自体に比べてかなり容易に流れを阻害することができる。発泡体は、例えば、ポリグリコリド、ポリラクチド、ポリカプロラクトン、および/またはこれらの材料の共重合体などの生体分解性材料で作ることができる。生体吸収性発泡体に関する詳細は、参照により本明細書に組み込まれている、S.I.Jeongらの論文「Manufacture of Elastic Biodegradable PLCL Scaffolds for Mechano−Active Vascular Tissue Engineering」(J.Biomater.Sci.Polymer Edn,Vol.15,No.5.,pp.645−660 (2004))において述べられている。
【0176】
固定技術の利点
固定のためのいくつかの好ましい実施形態および方法は、インプラントの移動を防止するために血管腔にテーパーを付ける機能に特に適合されている。例えば、機械式アンカーは、血管のテーパーと無関係に機能するという固有の利点を有する。さらに、膨張要素は、都合のよいことに、例えば、非一様な膨張により直径が一定でない血管に合うように適合させることができる。さらに、インプラントの移動防止のため、流れ低減も望ましい場合がある。膨張組紐および/または熱収縮技術などのいくつか技術には、インプラントが受ける流れを制約するという付加的機能がある。流れの低減には、さらにインプラント移動を低減するための2つの異なる機構がある。インプラントに作用する力が低減され、生物学的閉塞プロセスの一部である凝固は、低減された流れがある場合に容易に発生しうる。しかし、急性治癒期では、完全閉塞流は、内腔の膨張を引き起こす可能性のある圧力上昇をもたらすことにより移動防止の効果にマイナスの影響を及ぼしうる。これは、膨れた静脈は容易に分かる可能性が高く、再疎通なしで閉塞される可能性は低いため、多くの場合に望ましくない。したがって、急性治癒期では、流れを減らしても流れを完全に阻止しないことが有利と考えられる。膨張アンカーおよび熱収縮アンカー実施形態に加えて、インプラント自体も流れ制約機能を備える。
【0177】
追加の送達システムおよび技術
他の実施形態および技術によれば、インプラントは、送達カテーテルを使用せずに、中空解剖学的構造内に直接送達することができる。例えば、プッシュロッドを使用して、インプラントを自然血管内に押し通すことができる。これは、インプラントはアクセス鞘よりも小さい送達用カテーテルを通る必要はないので、インプラント内に追加の繊維を収納するための空間を増やすことができるという利点を有する。他の利点は、いくつかの実施形態では、インプラントの材料が血管にそって引きずられるときに、他の実施形態と同様に、中空解剖学的構造の壁を研磨するが、そこでは、研磨要素は、スリーブ、カテーテル、および/またはインプラントと結合され、内皮細胞を露出し、より耐久性のある生物学的閉塞を形成する。
【0178】
追加の実施形態は、殺菌の方法を含む。このようないくつかの方法は、患者体内に挿入する(または他の形で接触する)ことが意図されている、または患者の治療に際して手術野で、またはその近くで使用することが意図されている本明細書で開示されている装置のいずれかを最終的または一部最終的に殺菌することを含むことができる。現在知られていようと、または今後開発されようと、任意の好適な殺菌方法を使用することができる。
【0179】
したがって、いくつかの方法は、最終的にまたは一部最終的に、インプラント10/301および/または本明細書で開示されている実施形態もしくはその派生物のいずれか、送達カテーテル16、プッシュロッド18、繊維性物質210、送達部材230、および/または鞘232を含む、閉塞システム200、および/または本明細書で開示されている固定要素のうちのいずれか1つまたは組合せを殺菌することを含む。現在知られていようと、または今後開発されようと、任意の好適な殺菌方法を使用することができる。例えば、この方法は、シクロデキストリン(Cidex(商標))、エチレンオキシド(EtO)、蒸気、過酸化水蒸気、電子線(Eビーム)、ガンマ線、x線、またはこれら殺菌剤の任意の組合せなどの有効な用量の殺菌剤で上記装置のどれかを殺菌することを含むことができる。
【0180】
殺菌方法は、部分的にまたは完全に組み立てられている(または部分的にまたは完全に分解されている)間に、当該装置に対し実行することができ、そのため、これらの方法は、さらに、1回分の用量の選択された殺菌剤を施す前に装置を部分的にまたは完全に組み立てる(または部分的にまたは完全に分解する)ことを含むことができる。殺菌方法は、さらに、適宜、装置を殺菌剤に曝す前に1つまたは複数の生物学的または化学的マーカーを装置に施し、曝した後に、死んでいるかどうか、または(複数の)マーカーの反応状態を評価することを含むこともできる。他の選択肢として、殺菌方法は、殺菌剤濃度、相対湿度、圧力、および/または装置温度などの装置を収めた殺菌室における関連するパラメータを監視することを伴うことができる。
【0181】
殺菌方法の前記説明をかんがみると、他の実施形態は殺菌装置を備える。殺菌装置は、患者体内に挿入する(または他の形で接触する)ことが意図されている、または患者の治療に際して手術野で、またはその近くで使用することが意図されている本明細書で開示されている装置のいずれかを含むことができる。より具体的には、殺菌装置として、インプラント10/310および/または本明細書で開示されている実施形態もしくはその派生物のいずれか、送達カテーテル16、プッシュロッド18、繊維性物質210、送達部材230、および/または鞘232を含む、閉塞システム200、および/または本明細書で開示されている固定要素のうちのいずれか1つまたは組合せを実現することができる。
【0182】
結論
上記の説明では、多数の方法、システム、装置、および材料を開示している。本明細書で開示されている発明は、方法、システム、装置、および材料の変更とともに製造方法および機器の変更の影響も受けやすい。このような修正は、本明細書に開示されている発明のこの開示または実施を考察する当業者には明白なことである。したがって、本発明は、本明細書に開示されている特定の実施形態には限定されず、これらはその真の範囲および精神の範囲内にあるすべての修正および代替えを対象とする。
【0183】
本明細書でさらに説明されている場合を除き、本明細書で説明されている実施形態、特徴、システム、デバイス、材料、方法、および技術は、いくつかの実施形態において、2004年8月31日に出願された「APPARATUS AND MATERIAL COMPOSITION FOR PERMANENT OCCLUSION OF A HOLLOW ANATOMICAL STRUCTURE」という表題の米国仮特許出願第60/605,843号、および2005年8月26日に出願された「APPARATUS AND MATERIAL COMPOSITION FOR PERMANENT OCCLUSION OF A HOLLOW ANATOMICAL STRUCTURE」という表題の米国特許出願第11/212,539号で説明されている実施形態、特徴、システム、デバイス、材料、方法、および技術のうちの1つまたは複数と類似している場合がある。それに加えて、本明細書で説明されている実施形態、特徴、システム、デバイス、材料、方法、および技術は、いくつかの実施形態において、上述の米国仮特許出願第60/605,843号および米国特許出願第11/212,539号で開示されている実施形態、特徴、システム、デバイス、材料、方法、および技術のうちの1つまたは複数に関連して応用または使用できる。上述の米国仮特許出願第60/605,843号および米国特許出願第11/212,539号は、参照により本明細書に組み込まれており、本明細書の一部をなす。
【0184】
多くの応用例、刊行物、および外部文書が参照により本明細書に組み込まれている。本明細書の本文の記述内容と組み込まれている文書のいずれかの記述内容とに食い違いまたは矛盾がある場合、本文の記述内容に有利なように解決されるものとする。
また、好ましい構成態様として、本発明を次のように構成することもできる。
1.中空解剖学的構造を治療するための装置であって、
前記中空解剖学的構造内に挿入できるサイズとされたインプラントを備え、前記インプラントは、複数の緩いかさ高の繊維を含み、前記繊維は1つまたは複数の生体吸収性材料から形成されている装置。
2.前記繊維は半径方向にかさ高である上記1に記載の装置。
3.前記繊維はランダムに配列されている上記1に記載の装置。
4.前記繊維は非編物である上記1に記載の装置。
5.前記繊維は不織である上記1に記載の装置。
6.前記繊維はαヒドロキシ酸から形成されている上記1に記載の装置。
7.前記繊維は、ポリグリコール酸、ポリグリコール酸−乳酸共重合体、ポリ乳酸−グリコール酸共重合体、ポリグリコリド−ラクチド共重合体、およびポリグリコリドからなる群から選択された材料から形成される上記1に記載の装置。
8.前記繊維のうちの少なくとも一部は、0.1デニールから10デニールである上記1に記載の装置。
9.前記インプラントは、500から500,000本の繊維を含む上記1に記載の装置。
10.前記繊維は、前記インプラントの第1の端部で接合されている上記1に記載の装置。
11.前記繊維は、前記インプラントの第2の端部で接合されている上記10に記載の装置。
12.前記インプラントは、前記中空解剖学的構造内にあるときに前記インプラントの移動を制限するように構成された固定要素を備える上記1に記載の装置。
13.前記インプラントに結合されたテザーをさらに備える上記1に記載の装置。
14.前記テザーは、前記インプラントの少なくとも1つの端部を越えて延びるように構成されている上記13に記載の装置。
15.前記テザーは、前記インプラント内に延びる上記13に記載の装置。
16.前記テザーは、第1の生体吸収率を有する生体吸収性材料から形成され、前記繊維は、第2の生体吸収率を有する生体吸収性材料から形成され、前記第1の生体吸収率は、前記第2の生体吸収率と異なる上記13に記載の装置。
17.前記第1の生体吸収率は、前記第2の生体吸収率よりも低い上記16に記載の装置。
18.前記第1の生体吸収率は、前記第2の生体吸収率よりも高い上記16に記載の装置。
19.前記繊維は、インプラント実施後2〜24週の生体吸収時間を有する上記1に記載の装置。
20.インプラントロック機構をさらに備える上記1に記載の装置。
21.前記インプラントと結合された引き糸をさらに備え、前記引き糸は前記インプラントを半径方向に膨張するように動作可能である上記1に記載の装置。
22.前記引き糸は、前記インプラントの少なくとも1つの端部を越えて延びるように構成されている上記21に記載の装置。
23.前記引き糸は、前記インプラント内に延びる上記21に記載の装置。
24.前記インプラントロック機構は、前記インプラントと結合されたファネルを備える上記20に記載の装置。
25.前記引き糸は、結び目が作られている上記21に記載の装置。
26.前記引き糸は、その少なくとも一部に沿って複数の隆起部を備える上記21に記載の装置。
27.前記インプラントは、半径方向膨張性要素をさらに備える上記1に記載の装置。
28.前記繊維は、前記中空解剖学的構造内に埋め込まれるときに概ね前記膨張性要素の内部に配置される上記27に記載の装置。
29.前記繊維は、前記中空解剖学的構造内に埋め込まれるときに概ね前記膨張性要素の外部に配置される上記27に記載の装置。
30.前記膨張性要素は、概ね前記インプラントの全長にわたって膨張する上記27に記載の装置。
31.前記膨張性要素は、概ね前記インプラントの端部に配置されている上記27に記載の装置。
32.前記膨張性要素は組紐を備える上記27に記載の装置。
33.前記中空解剖学的構造内に挿入されるときに前記インプラントを固定するように構成された自己膨張要素をさらに備える上記12に記載の装置。
34.前記インプラントは薬物をさらに含む上記1に記載の装置。
35.前記インプラントは硬化剤をさらに含む上記1に記載の装置。
36.前記インプラントは、前記インプラントが応力のかかっていない状態に関連する第1の密度、および前記インプラントが半径方向に圧縮されている状態に関連する、それより高い第2の密度を有する上記1に記載の装置。
37.前記繊維は、第1の生体吸収率を有する第1の繊維、および第2の生体吸収率を有する第2の繊維を含み、前記第1の生体吸収率は、前記第2の生体吸収率と異なる上記1に記載の装置。
38.中空解剖学的構造を治療するための装置であって、
前記中空解剖学的構造内に埋め込むように構成されたやぐらを備え、前記やぐらの少なくとも一部分は概ね縦方向に延び、その長さに沿って多数の曲がり部を形成する複数の緩い繊維を含み、前記繊維は1つまたは複数の生体吸収性材料から形成される装置。
39.前記繊維は、前記やぐら内にランダムに配列されている上記38に記載の装置。
40.前記複数の繊維のうちの1本は、前記繊維に沿って、前記繊維の長さよりも極めて短い1つまたは複数の距離だけ間隔をあけて並べられている多数の前記曲がり部を備えている上記38に記載の装置。
41.前記やぐらの前記部分は、非編物である上記38に記載の装置。
42.前記やぐらの前記部分は、不織である上記38に記載の装置。
43.前記やぐらの外面は、研磨性である上記38に記載の装置。
44.前記繊維は、第1の生体吸収率を有する第1の繊維、および第2の生体吸収率を有する第2の繊維を含み、前記第1の生体吸収率は、前記第2の生体吸収率と異なる上記38に記載の装置。
45.前記繊維は、インプラント実施後2〜24週の生体吸収時間を有する上記38に記載の装置。
46.中空解剖学的構造を治療するためのやぐらであって、
蛇行する非編物である複数の繊維を含み、前記繊維は1つまたは複数の生体吸収性材料から形成されるやぐら。
47.前記繊維はランダムに配列されている上記46に記載のやぐら。
48.前記繊維は、前記やぐら内に緩く配列されている上記46に記載のやぐら。
49.前記やぐらの少なくとも一部は、編物でなく不織である上記46に記載のやぐら。
50.前記繊維は、第1の生体吸収率を有する第1の繊維、および第2の生体吸収率を有する第2の繊維を含み、前記第1の生体吸収率は、前記第2の生体吸収率と異なる上記46に記載のやぐら。
51.前記繊維は、インプラント実施後2〜24週の生体吸収時間を有する上記46に記載のやぐら。
52.中空解剖学的構造を治療するための装置であって、
前記中空解剖学的構造内に埋め込むように構成されたインプラントを備え、前記インプラントは蛇行した生体再吸収性繊維の積み重ねを含む装置。
53.前記繊維はランダムに配列されている上記52に記載の装置。
54.前記繊維は、前記インプラント内に緩く配列されている上記52に記載の装置。
55.前記インプラントの少なくとも一部は、研磨性である上記52に記載の装置。
56.中空解剖学的構造を治療するための装置であって、
前記中空解剖学的構造内に配置するのに適した幅を有するインプラントを備え、前記インプラントは質感加工された複数の繊維を含み、前記繊維は1つまたは複数の生体吸収性材料から形成される装置。
57.前記繊維はランダムに配列されている上記56に記載の装置。
58.前記繊維は、前記インプラント内に緩く配列されている上記56に記載の装置。
59.前記インプラントの少なくとも一部は、非編物である上記56に記載の装置。
60.前記インプラントの少なくとも一部は、不織である上記56に記載の装置。
61.中空解剖学的構造を治療するための装置であって、
前記中空解剖学的構造内に挿入できるサイズとされたインプラントを備え、前記インプラントは複数の捲縮繊維を含み、前記繊維は1つまたは複数の生体吸収性材料から形成される装置。
62.前記繊維は、前記インプラント内に緩く配列されている上記61に記載の装置。
63.前記繊維は、非編物である上記61に記載の装置。
64.前記繊維は、不織である上記61に記載の装置。
65.中空解剖学的構造を治療するための装置であって、
前記中空解剖学的構造内に挿入できるサイズとされたインプラントを備え、前記インプラントは複数の波状繊維を含み、前記繊維は1つまたは複数の生体吸収性材料から形成される装置。
66.前記繊維は、前記インプラント内に緩く配列されている上記65に記載の装置。
67.前記繊維は、非編物である上記65に記載の装置。
68.前記繊維は、不織である上記65に記載の装置。
69.前記インプラントの外面の少なくとも一部は、研磨性である上記65に記載の装置。
70.前記繊維は、第1の生体吸収率を有する第1の繊維、および第2の生体吸収率を有する第2の繊維を含み、前記第1の生体吸収率は、前記第2の生体吸収率と異なる上記65に記載の装置。
71.前記繊維は、インプラント実施後2〜24週の生体吸収時間を有する上記65に記載の装置。
72.中空解剖学的構造を治療するための装置であって、
前記中空解剖学的構造内に配置されるように構成されたやぐらを備え、前記やぐらは複数の自己膨張繊維を含み、前記繊維は1つまたは複数の生体分解性材料から形成される装置。
73.前記繊維は、個別に自己膨張する上記72に記載の装置。
74.前記繊維は、前記インプラント内に緩く配列されている上記72に記載の装置。
75.前記やぐらの少なくとも一部分は、非編物である上記72に記載の装置。
76.前記やぐらの少なくとも一部分は、不織である上記72に記載の装置。
77.中空解剖学的構造を治療するための装置であって、
複数の生体吸収性繊維を含むインプラントを備え、
前記インプラントは圧縮状態を有し、このときに前記インプラントは、8フレンチ以下の内径を有する円筒状管内に収めることができ、
前記インプラントは圧縮状態から、インプラントが12フレンチ以上の内径を持つ円筒状管の内径いっぱいに広がる十分なサイズを有する膨張状態へ膨張可能である装置。
78.前記インプラントは、前記膨張状態のときに、12〜60フレンチの内径を持つ円筒状管の内径いっぱいに広がる十分なサイズを有する上記77に記載の装置。
79.前記インプラントは、前記圧縮状態にあるときに6〜8フレンチの内径を持つ円筒状管内にはめ込むことができる上記77に記載の装置。
80.前記インプラントは、複数の波状繊維を含む上記77に記載の装置。
81.前記インプラントの少なくとも一部分は、非編物である上記77に記載の装置。
82.前記インプラントの少なくとも一部分は、不織である上記77に記載の装置。
83.前記インプラントは、前記中空解剖学的構造内にあるときに前記インプラントの移動を制限するように構成された固定要素を備える上記77に記載の装置。
84.前記インプラントは、外力が存在しない場合に前記インプラントが前記膨張状態に向かう傾向があるような自己膨張性を有する上記77に記載の装置。
85.中空解剖学的構造を治療するための装置であって、
複数の生体吸収性繊維を含むインプラントを備え、
前記インプラントは圧縮状態を有し、このときに前記インプラントは、8フレンチ以下の内径を有する円筒状管内を通過することができ、
前記インプラントは、前記圧縮状態から、前記インプラントが平均サイズの成人の大伏在静脈を占有する十分な大きさである横方向サイズを有する治療状態へ膨らませることができる装置。
86.前記インプラントは、前記圧縮状態にあるときに6〜8フレンチの内径を持つ円筒状管内を通過することができる上記85に記載の装置。
87.前記インプラントは、複数の波状繊維を含む上記85に記載の装置。
88.前記インプラントの少なくとも一部分は、非編物である上記85に記載の装置。
89.前記インプラントの少なくとも一部分は、不織である上記85に記載の装置。
90.前記インプラントは、前記中空解剖学的構造内にあるときに前記インプラントの移動を制限するように構成された固定要素を備える上記85に記載の装置。
91.前記インプラントは、外力が存在しない場合に前記インプラントが前記膨張状態に向かう傾向があるような自己膨張性を有する上記85に記載の装置。
92.4mm以上の直径を有する中空解剖学的構造を治療する方法であって、
8フレンチ以下のサイズのカテーテルを前記中空解剖学的構造内に挿入することと、
生体吸収性繊維性インプラントを前記カテーテルに通し、前記中空解剖学的構造内に入れることと、
前記インプラントでは、前記中空解剖学的構造の開通性を低減することと、を含む方法。
93.前記中空解剖学的構造を前記インプラントで閉塞することをさらに含む上記92に記載の方法。
94.前記インプラントを前記中空解剖学的構造内で治療状態にまで膨張させることをさらに含む上記92に記載の方法。
95.前記インプラントが前記中空解剖学的構造内にあるときに前記インプラントで閉塞成長侵入を促進することをさらに含む上記94に記載の方法。
96.前記中空解剖学的構造は、静脈を含む上記92に記載の方法。
97.前記中空解剖学的構造は、大伏在静脈を含む上記92に記載の方法。
98.前記カテーテルを挿入することは、前記カテーテルを大伏在大腿静脈接合部から距離をおいて配置されている挿入部位に挿入することを含み、前記インプラントを前記挿入部位から前記大伏在大腿静脈接合部に進めることをさらに含む上記97に記載の方法。
99.前記中空解剖学的構造は、4〜20mmの直径を有する上記92に記載の方法。
100.静脈を治療する方法であって、
大伏在大腿静脈接合部から距離をおいたアクセス点で前記静脈にアクセスすることと、
生体吸収性繊維体を、前記アクセス点を通して前記静脈内に埋め込むことと、
前記静脈内の前記繊維体を前記大伏在大腿静脈接合部に向けて移動することと、を含む方法。
101.前記静脈内の前記繊維体の移動を制限するために前記繊維体を前記中空解剖学的構造内で固定することをさらに含む上記100に記載の方法。
102.前記アクセス点を通して鞘を挿入し、前記繊維体をプッシュロッドで押して前記鞘に通し、前記静脈に入れることをさらに含む上記100に記載の方法。
103.前記静脈上で熱処理を行うことをさらに含み、前記熱処理は、高周波エネルギーを送達すること、抵抗素子から熱エネルギーを送達すること、およびレーザーからエネルギーを送達することのうちの1つまたは複数を含む上記100に記載の方法。
104.前記静脈内の前記繊維体の端部を前記大伏在大腿静脈接合部に移動することをさらに含む上記100に記載の方法。
105.中空解剖学的構造を治療する方法であって、
前記中空解剖学的構造内に、複数の緩い蛇行する繊維を含むインプラントを送達することを含み、前記繊維は1つまたは複数の生体吸収性材料から形成される方法。
106.前記中空解剖学的構造内の前記インプラントの移動を制限するために前記インプラントを前記中空解剖学的構造内で固定することをさらに含む上記105に記載の方法。
107.中空解剖学的構造を治療するためのキットであって、
前記中空解剖学的構造内に挿入できるサイズとされた生体吸収性繊維性インプラントと、
前記中空解剖学的構造内に挿入できるサイズであり、外径および、前記中空解剖学的構造内に前記インプラントを送達するために前記インプラントを受け入れるように構成されている内径を有する鞘と、
前記鞘内に挿入できるサイズであり、前記インプラントを進めて前記鞘に通し、前記インプラントを前記中空解剖学的構造に送達するように構成されるプッシュロッドとを備えるキット。
108.前記鞘は、前記外径上に研磨要素を備え、前記研磨要素は前記鞘が前記中空解剖学的構造内に挿入されたときに前記中空解剖学的構造の表面と係合するように構成されている上記107に記載のキット。
109.インプラントロック機構をさらに備える上記107に記載のキット。
110.前記インプラントロック機構は、前記インプラントと結合されるように構成された引き糸を備える上記109に記載のキット。
111.前記インプラントロック機構は、前記インプラントと結合されたファネルを備える上記109に記載のキット。
112.前記引き糸は、結び目が作られている上記110に記載のキット。
113.前記引き糸は、その少なくとも一部に沿って複数の隆起部を備えている上記110に記載のキット。
114.中空解剖学的構造を治療するためのシステムであって、
前記中空解剖学的構造内に挿入できるサイズとされた生体吸収性繊維性インプラントと、
前記インプラントを前記中空解剖学的構造内に送達するように構成された連続供給機構とを備えるシステム。
115.患者の中空解剖学的構造を治療する方法であって、
生体吸収性繊維体を前記中空解剖学的構造内に埋め込むことと、
前記中空解剖学的構造内の前記繊維体の移動を制限するように前記繊維体を前記中空解剖学的構造内で固定することと、を含む方法。
116.前記繊維体を固定することは、前記中空解剖学的構造のアクセス部位のところで前記繊維体をアンカー固定することを含む上記115に記載の方法。
117.前記繊維体の一部が、前記中空解剖学的構造から、前記患者の皮膚を通り、前記皮膚のアクセス部位で外に出るように前記繊維体を位置決めすることをさらに含む上記115に記載の方法。
118.前記繊維体はテザーをさらに含み、前記繊維体の端部を切り取って、前記繊維体が皮膚と実質的に同じ高さになるようにし、前記テザーがアクセス部位を通して前記繊維体を越えて延びるようにすることをさらに含む上記117に記載の方法。
119.前記テザーを前記アクセス部位の近くに固定することをさらに含む上記118に記載の方法。
120.前記繊維体を固定することは、前記中空解剖学的構造内の前記繊維体の近くに膨張性アンカーを埋め込むことを含む上記115に記載の方法。
121.前記繊維体を固定することは、前記中空解剖学的構造内の埋め込み位置の近くで前記中空解剖学的構造を熱収縮させることを含み、前記繊維体を埋め込むことは、前記繊維体を前記埋め込み位置に埋め込むことを含む上記115に記載の方法。
122.前記繊維体を固定することは、前記繊維体をフェネストレーションアンカーで固定することを含む上記115に記載の方法。
123.前記繊維体を固定することは、前記繊維体を皮下逆行アクセス部位にアンカー固定することを含む上記115に記載の方法。
124.中空解剖学的構造を治療するための装置であって、
生体吸収性繊維体と、
前記繊維体に関連付けられ、前記中空解剖学的構造内に埋め込まれたときに前記繊維体の移動を制限するように構成される固定部材とを備える装置。
125.前記固定部材は、テザーを含む上記124に記載の装置。
126.前記固定部材は、アンカーを含む上記124に記載の装置。
127.前記固定部材は、膨張性要素を含む上記124に記載の装置。
128.前記固定部材は、組紐を含む上記124に記載の装置。
129.前記固定部材は、生体吸収性である上記124に記載の装置。
130.前記固定部材は、第1の生体吸収率を有し、前記繊維体は、第2の生体吸収率を有し、前記第1の生体吸収率は、前記第2の生体吸収率と異なる上記129に記載の装置。
131.前記第1の生体吸収率は、前記第2の生体吸収率よりも低い上記130に記載の装置。
132.前記第1の生体吸収率は、前記第2の生体吸収率よりも高い上記130に記載の装置。
201.中空解剖学的構造を治療するための装置であって、
前記中空解剖学的構造内に挿入できるサイズとされたインプラントを備え、前記インプラントは、複数の緩いかさ高の繊維を含み、前記繊維は1つまたは複数の生体吸収性材料から形成されている装置。
202.前記繊維は半径方向にかさ高である上記201に記載の装置。
203.前記繊維はランダムに配列されている上記201に記載の装置。
204.前記繊維は非編物である上記201に記載の装置。
205.前記繊維は不織である上記201に記載の装置。
206.前記繊維はαヒドロキシ酸から形成されている上記201に記載の装置。
207.前記繊維は、ポリグリコール酸、ポリグリコール酸−乳酸共重合体、ポリ乳酸−グリコール酸共重合体、ポリグリコリド−ラクチド共重合体、およびポリグリコリドからなる群から選択された材料から形成される上記201に記載の装置。
208.前記繊維のうちの少なくとも一部は、0.1デニールから10デニールである上記201に記載の装置。
209.前記インプラントは、500から500,000本の繊維を含む上記201に記載の装置。
210.前記繊維は、前記インプラントの第1の端部で接合されている上記201に記載の装置。
211.前記繊維は、前記インプラントの第2の端部で接合されている上記210に記載の装置。
212.前記インプラントは、前記中空解剖学的構造内にあるときに前記インプラントの移動を制限するように構成された固定要素を備える上記201に記載の装置。
213.前記繊維は、インプラント実施後2〜24週の生体吸収時間を有する上記201に記載の装置。
214.前記インプラントは薬物をさらに含む上記201に記載の装置。
215.前記インプラントは硬化剤をさらに含む上記201に記載の装置。
216.前記インプラントは、前記インプラントが応力のかかっていない状態に関連する第1の密度、および前記インプラントが半径方向に圧縮されている状態に関連する、それより高い第2の密度を有する上記201に記載の装置。
217.前記繊維は、第1の生体吸収率を有する第1の繊維、および第2の生体吸収率を有する第2の繊維を含み、前記第1の生体吸収率は、前記第2の生体吸収率と異なる上記201に記載の装置。
218.中空解剖学的構造を治療するための装置であって、
前記中空解剖学的構造内に埋め込むように構成されたやぐらを備え、前記やぐらの少なくとも一部分は概ね縦方向に延び、その長さに沿って多数の曲がり部を形成する複数の緩い繊維を含み、前記繊維は1つまたは複数の生体吸収性材料から形成される装置。
219.前記繊維は、前記やぐら内にランダムに配列されている上記218に記載の装置。
220.前記複数の繊維のうちの1本は、前記繊維に沿って、前記繊維の長さよりも極めて短い1つまたは複数の距離だけ間隔をあけて並べられている多数の前記曲がり部を備えている上記218に記載の装置。
221.前記やぐらの前記部分は、非編物である上記218に記載の装置。
222.前記やぐらの前記部分は、不織である上記218に記載の装置。
223.前記やぐらの外面は、研磨性である上記218に記載の装置。
224.前記繊維は、第1の生体吸収率を有する第1の繊維、および第2の生体吸収率を有する第2の繊維を含み、前記第1の生体吸収率は、前記第2の生体吸収率と異なる上記218に記載の装置。
225.前記繊維は、インプラント実施後2〜24週の生体吸収時間を有する上記218に記載の装置。
226.中空解剖学的構造を治療するためのやぐらであって、
蛇行する非編物である複数の繊維を含み、前記繊維は1つまたは複数の生体吸収性材料から形成されるやぐら。
227.前記繊維はランダムに配列されている上記226に記載のやぐら。
228.前記繊維は、前記やぐら内に緩く配列されている上記226に記載のやぐら。
229.前記やぐらの少なくとも一部は、編物でなく不織である上記226に記載のやぐら。
230.前記繊維は、第1の生体吸収率を有する第1の繊維、および第2の生体吸収率を有する第2の繊維を含み、前記第1の生体吸収率は、前記第2の生体吸収率と異なる上記226に記載のやぐら。
231.前記繊維は、インプラント実施後2〜24週の生体吸収時間を有する上記226に記載のやぐら。
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、「STRUCTURES FOR PERMANENT OCCLUSION OF A HOLLOW ANATOMICAL STRUCTURE」という表題の2005年1月25日に出願した米国仮特許出願第60/647,173号、「STRUCTURES FOR PERMANENT OCCLUSION OF A HOLLOW ANATOMICAL STRUCTURE」という表題の2005年7月1日に出願した米国仮特許出願第60/696,165号の利益を主張するものである。上述の仮特許出願のそれぞれは、全体として、参照により本明細書に組み込まれ、本明細書の一部をなす。
【0002】
本発明は、閉塞デバイスまたは閉塞材料を中空解剖学的構造または周辺天然組織内に挿入することによる中空解剖学的構造の閉塞に関する。
【背景技術】
【0003】
好ましい実施形態は、一般に、下肢内の静脈系に特に関係して中空解剖学的構造(HAS)内に導入するための方法および材料組成に関する。「中空解剖学的構造」という用語は、広義語であり、通常の意味で使用され、限定することなく、静脈、動脈、胃構造、冠状動脈構造、肺構造、生殖器官に関連する管状構造などを含む。好ましい実施形態の方法による閉塞に特に適している中空解剖学的構造は、静脈、好ましくは下肢の静脈、特に脚の静脈を含む。
【0004】
下肢のヒト静脈系は、本質的に、浅静脈系、および2つの系を接続する貫通静脈を有する深静脈系からなる。浅静脈系は、長い、または大きい、伏在静脈および小さな伏在静脈を含む。深静脈系は、一体となって膝窩静脈を形成し、次いで小伏在静脈により結合されたときに大腿静脈となる、前および後脛骨静脈を含む。
【0005】
静脈系は、血流を心臓に送り返すため多数の一方向弁を含む。静脈弁は、通常、二尖弁であり、それぞれの弁尖は血液用の袋または容器を形成する。逆行血流は、強制的に先端の自由表面を合わせ、血液の継続する逆行流を防ぎ、心臓への順行血流のみを許す。不全弁が流路内にある場合、その弁は、弁尖が適切な封止を形成せず、血液の逆行流を止められないため、閉じることができない。静脈弁不全が生じた場合、下側静脈部と介在組織内に緊張と圧力が高まり、ときには、遠位弁膜不全が加わる。弁不全から生じることの多い2つの静脈の病気または症状は、静脈瘤および症例の多い慢性静脈不全である。
【0006】
結果として生じる病気は、進行性であり、下肢の浅静脈の膨張および蛇行、醜い変色、痛み、腫れ、場合によっては潰瘍を含む。この不全は、さらに、深静脈逆流および穿通枝静脈逆流を悪化させる可能性がある。静脈機能不全の現在の治療法としては、静脈剥離、結紮、およびときには、静脈部分移植などの外科手術がある。
【0007】
静脈剥離および静脈部分移植は、あまり好まれない治療法の選択肢である。静脈剥離は、通常、糸で縛ること、つまり結紮と、伏在静脈の除去からなる。結紮は、鼠径部の切開を行うことと、静脈の外側で縫合糸を使い縛って閉じることを伴う。静脈が縛られ、および/または除去されると、血液は、深部静脈を流れ、心臓に戻る。この外科手術は、一般に、手術の程度に応じて、入院または通院で全身または局所麻酔をかけて行われる。静脈剥離は、一般に痛みを伴い、回復に長い時間を要する。この手術は、あまり好まれず、転帰も劣る。結紮と剥離を組み合わせた手術が実施されることもあるが、研究により、剥離単独に勝る利点はほとんどないことが分かっている。静脈部移植は、いくつかの臓器移植手術で採用されている。しかし、一般的には、人体の浅静脈系では使用されない。
【0008】
切除による結紮は、送達カテーテルを通じて加えられる熱エネルギー、例えば電極デバイス(例えば、高周波もしくはRFデバイス)を通じて加えられる電気エネルギー、通常周波数および高周波超音波により送達されるエネルギー、またはレーザーエネルギーを使用した血管内腔の焼灼または凝固を伴う。エネルギー送達デバイスは、通常、静脈内腔内に導入され、静脈壁と接触するように配置される。位置が適切に決まると、RF、レーザー、超音波、または他のエネルギーが、エネルギー送達デバイスに加えられ、これにより、静脈壁を断面直径において収縮させる。断面直径の縮小、例えば、5mm(0.2インチ)から1mm(0.04インチ)までの縮小で、静脈を通る血液の流れは著しく減少し、その結果、効果的な結紮となる。効果的な結紮には必要ないけれども、静脈壁は、完全に潰すことができ、これにより、静脈を通る血液の流れを阻害する内腔いっぱいの閉塞が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
好ましいいくつかの実施形態では、中空解剖学的構造を閉塞するために使用することができる材料、構造、および方法を提示する。好ましくは、中空解剖学的構造を閉塞するために、生体再吸収性材料が使用される。あるいは、生体吸収性、生体内分解性、生分解性、または溶けやすい材料が使用される。いくつかの実施形態では、生体再吸収性、生体吸収性、生体内分解性、生分解性、または溶けやすい物質でない生体適合性材料が使用される。生体再吸収性材料は、好ましくは、標的内腔内の物質を正確に位置付けるために使用することができる侵襲性の極力少ない方法により中空解剖学的構造内に入れられる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施形態によれば、インプラントは、生体再吸収性材料または化合物を含み、閉塞させるため中空解剖学的構造内に導入される。これらの材料は、好ましくは、非現場形成材料である。いくつかの実施形態では、インプラントはひとりでに膨張しうる。他の実施形態では、インプラントは、膨張状態に作動させることができる。インプラントは、好ましくは、一様な、例えば、あらかじめ定められている形状を取らない。インプラントは、外科手術またはカテーテルを介して送達可能である。インプラントの材料は、好ましくは、溶媒ベースであるか、または体液により即座に溶ける、というものではない。一実施形態によれば、膨張するインプラントにより天然流体(例えば、血液)が制限され、これにより天然流体が止まるか、または妨げられ、人体の自然治癒が引き継いで中空解剖学的構造を閉塞させるときに、閉塞が時間の経過とともに生じることが意図されている。中空解剖学的構造を治癒/閉塞するために身体反応および/または凝固カスケードを引き出し、および/または有利には変えることに重点を置いて、限定はしないが、硬化剤、炎症性物質、サイトカイン、増殖因子、凝固因子、組織付着因子、血小板活性化因子、および抗菌物質を含む活性物質をインプラントに加えることができる。
【0011】
一実施形態によれば、閉塞のため固定長または押しつぶすことのできる長さのインプラントを用意することができる。繊維性集合構造は、長繊維を含むことができる。一実施形態では、繊維性集合構造は、繊維および/またはポリラクチド(ポリ乳酸)および/またはポリグリコリド(ポリグリコール酸)から形成された他の構成要素を含むことができる。後述のように、ポリグリコリド(PGA)およびポリラクチド(PLA)は、合成吸収性ポリマーである。これらのポリマーは、開環重合で高分子量ポリマーを合成するか、または乳酸および/またはグリコール酸の直接重縮合で低分子量ポリマーを合成することにより、環状ジエステルラクチドおよび/またはグリコリドから調製できる。一実施形態では、繊維性集合構造は、PGAおよびPLA長繊維を含む。長繊維組成は、いくつかの実施形態においては均質なものとすることができる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の際だって独特の長繊維組成を使用することができる。いくつかの実施形態では、長繊維は、遠位および/または近位端に固有の組成を有することができる。いくつかの実施形態では、長繊維組成それ自体は、PLAおよびPGAの共重合体とすることができる。インプラントの配備は、インプラントを押しつぶすこと、例えば、インプラントを長手方向軸にそって収縮させ、インプラントを半径方向に膨張させ、および/または所定の断面内で繊維密度を高めることを含むことができる。押しつぶすには、スリーブ、プッシュロッド、引き糸、引きワイヤ、押し引き管を使用すること、外部からの手動圧迫を使用すること、および/またはこの組合せを用いることができる。インプラントは、一方向ストッパー、結び目、接着剤、インプラントの加熱、カッター、ゲル化剤、および/またはこれらの組合せにより、配備構成(これは必須というわけではないが)内にロックすることができる。閉塞は、好ましくは、血流を完全に遮断する(例えば、止めるか、または妨げる)こと、天然流体の流れを制限する(例えば、妨げるか、または阻害する)こと、閉塞をもたらす身体自然治癒プロセスの構造/やぐらとして作用させること、および/または硬化剤もしくは他の異物反応増殖剤もしくは薬物の添加、および/またはこれらの組合せにより行われる。
【0012】
他の実施形態では、好適な生体再吸収性材料から織る、編む、および/または編み上げる形でソックス状の物を作ることができる。他の実施形態では、剛性のあるインプラント、例えば、生体再吸収性の栓を、生体再吸収性長繊維材料と結合して、中空解剖学的構造の閉塞に使用することができる。剛性のあるインプラントは、好ましくは、一般的に固定された長さおよび形状を有し、中空解剖学的構造内の流れを強く、部分的または全体として遮断する。
【0013】
好ましい実施形態の方法および材料は、特に、下肢の静脈を閉塞する際に使用するのに好ましいが、他の中空解剖学的構造を閉塞する際にも使用することができ、これらは、限定はしないが、内精索静脈還流に関連する精索静脈瘤、卵巣静脈還流に関連する骨盤うっ血、腹部静脈瘤、浅静脈、穿通枝静脈、痔核、食道静脈瘤、ファローピウス管、輸精管、心臓血管奇形、脳内血管、腰動脈、腹部大動脈瘤(AAA)グラフトエンドリークを防止するための大動脈内への栄養血管、動静脈瘻/奇形に対する血管閉塞、脳血管または周辺血管動脈瘤、動脈瘤性血管閉塞を含む。さらに、これらの実施形態は、必ずしも内腔内部からではない他の中空解剖学的構造を閉塞するが、外部構造的に例えば逆流性食道炎(GERD)の治療の場合のように下部食道括約筋の外側で膨張性薬剤として働く際に使用することもでき、これは、血管外で不全静脈弁をかさ高にし、静脈瘤および慢性静脈不全の治療における弁接合および機能を改善する、または血管接合および機能の改善のため冠状静脈弁の周りの領域をかさ高にする。さらに、これらの実施形態は、必ずしも中空解剖学的構造を閉塞させるために使用されるのではなく、代わりに例えば睡眠時無呼吸の治療における口蓋垂の修正の際にかさ高にする、組織硬化する、および組織強化を行うために、またはうっ血性心不全の治療の際に心筋をかさ高にさせるために、またはカテーテル法手術の際に経皮血管アクセスにより生じる組織経路を閉鎖するために使用することができる。
【0014】
一実施形態によれば、中空解剖学的構造を治療するための装置は、中空解剖学的構造内に挿入できるサイズとされたインプラントを含む。インプラントは、複数の緩い、かさ高の繊維を含む。繊維は、1つまたは複数の生体吸収性材料から形成される。
【0015】
いくつかの変更形態によれば、繊維は、半径方向にかさ高であり、ランダムに配列され、編まれず、かつ/または不織とすることができる。いくつかの変更形態によれば、繊維は、αヒドロキシ酸から形成された材料、および/またはポリグリコール酸、ポリグリコール酸−乳酸共重合体、ポリ乳酸−グリコール酸共重合体、ポリグリコリド−ラクチド共重合体、およびポリグリコリドからなる群から選択された材料から形成されうる。いくつかの変更形態によれば、繊維は、0.1デニールから10デニールとすることができる。いくつかの実施形態では、インプラントは、500本から100,000本の繊維を含むことができる。繊維は、インプラントの第1の端部のところで連結することができる。繊維は、インプラントの第2の端部のところで連結することができる。
【0016】
いくつかの変更形態によれば、装置は、中空解剖学的構造内にあるときにインプラントの移動を制限するように構成された固定要素を備える。いくつかの変更形態によれば、装置は、インプラントに結合されたテザーをさらに備える。テザーは、インプラントの少なくとも一方の端部を越えて延びるように構成されうる。テザーは、いくつかの実施形態ではインプラント内に延びる。テザーは、第1の生体吸収率を有する生体吸収性材料から形成することができる。繊維は、第2の生体吸収率を有する生体吸収性材料から形成することができる。第1の生体吸収率は、第2の生体吸収率と異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、第1の生体吸収率は、第2の生体吸収率よりも低い。他の実施形態では、第1の生体吸収率は、第2の生体吸収率よりも高い。繊維は、インプラント実施後2〜24週の生体吸収時間を持つことができる。
【0017】
いくつかの変更形態によれば、装置は、インプラントロック機構をさらに備える。いくつかの変更形態では、装置は、インプラントに結合された引き糸を備える。引き糸は、インプラントの少なくとも一方の端部を越えて延びるように構成されうる。引き糸は、インプラント内で延びうる。いくつかの変更形態では、インプラントロック機構は、インプラントに結合されたファネルを備える。引き糸は、いくつかの実施形態においては結び目を作ることができる。引き糸は、その少なくとも一部にそって複数の隆起部を備えることができる。
【0018】
いくつかの変更形態によれば、インプラントは、半径方向膨張性要素をさらに備える。繊維は、一般に、中空解剖学的構造内に埋め込まれるときに膨張性要素の内側に位置決めされうる。繊維は、一般に、中空解剖学的構造内に埋め込まれるときに膨張性要素の外側に位置決めされうる。膨張性要素は、一般的にインプラントの全長にわたって延びることができる。膨張性要素は、一般的にインプラントの端部のところに位置決めされうる。いくつかの実施形態では、装置は、中空解剖学的構造内に挿入されるときにインプラントをアンカー固定するように構成された膨張性要素を備える。
【0019】
いくつかの変更形態によれば、インプラントは、薬物をさらに含む。インプラントは、いくつかの実施形態においては硬化剤を含むことができる。いくつかの変更形態によれば、インプラントは、インプラントに応力のかかっていない状態に関連する第1の密度、およびインプラントが半径方向に圧縮されている状態に関連する、それより高い第2の密度を有する。いくつかの変更形態によれば、繊維は、第1の生体吸収率を有する第1の繊維、および第2の生体吸収率を有する第2の繊維を含み、第1の生体吸収率は、第2の生体吸収率と異なる。
【0020】
他の実施形態によれば、中空解剖学的構造を治療するための装置は、中空解剖学的構造内への埋め込みに合わせて構成されたやぐらを含む。このやぐらの少なくとも一部は、概ね縦方向に延び、その長さにそって多数の曲がり部を形成する複数の緩い繊維を含む。繊維は、1つまたは複数の生体吸収性材料から形成される。いくつかの変更形態によれば、繊維は、やぐら内にランダムに配列される。いくつかの実施形態では、複数の繊維のうちの少なくとも1本には、繊維に沿って、繊維の長さよりも極めて短い1つまたは複数の距離だけ間隔をあけて配置された多数の屈曲部を有する。いくつかの変更形態によれば、やぐらの部分は、非編物であり、かつ/または不織である。やぐらの外面は、研磨性であってよい。繊維は、第1の生体吸収率を有する第1の繊維、および第2の生体吸収率を有する第2の繊維を含むことができ、第1の生体吸収率は、第2の生体吸収率と異なっていてもよい。繊維は、インプラント実施後2〜24週の生体吸収時間を持つことができる。
【0021】
他の実施形態によれば、中空解剖学的構造を治療するためのやぐらは、蛇行した非編物である複数の繊維を含み、これらの繊維は1つまたは複数の生体吸収性材料から形成される。いくつかの変更形態によれば、繊維は、ランダムに配列される。繊維は、やぐら内に緩く配列されうる。やぐらの少なくとも一部は、編物でなく、不織とすることができる。繊維は、第1の生体吸収率を有する第1の繊維、および第2の生体吸収率を有する第2の繊維を含むことができ、第1の生体吸収率は、第2の生体吸収率と異なっていてもよい。繊維は、インプラント実施後2〜24週の生体吸収時間を持つことができる。
【0022】
他の実施形態によれば、中空解剖学的構造を治療するための装置は、中空解剖学的構造内への埋め込みに合わせて構成されたインプラントを含む。インプラントは、蛇行した生体再吸収性繊維の積み重ねを含む。いくつかの変更形態によれば、繊維は、ランダムに配列される。繊維は、インプラント内に緩く配列されうる。インプラントの少なくとも一部は、研磨性であってよい。
【0023】
他の実施形態によれば、中空解剖学的構造を治療するための装置は、中空解剖学的構造内に入れられる幅に適合したインプラントを含む。インプラントは、複数の質感加工繊維を含む。繊維は、1つまたは複数の生体吸収性材料から形成される。いくつかの変更形態によれば、繊維は、ランダムに配列される。繊維は、インプラント内に緩く配列されうる。インプラントの少なくとも一部は、編物でなくてよい。インプラントの少なくとも一部は、不織とすることができる。
【0024】
他の実施形態によれば、中空解剖学的構造を治療するための装置は、中空解剖学的構造内に挿入できるサイズとされたインプラントを含む。インプラントは、複数の捲縮繊維を含む。繊維は、1つまたは複数の生体吸収性材料から形成される。いくつかの変更形態によれば、繊維は、インプラント内に緩く配列される。繊維は、いくつかの実施形態において、非編物である。繊維は、いくつかの実施形態において、不織である。
【0025】
他の実施形態によれば、中空解剖学的構造を治療するための装置は、中空解剖学的構造内に挿入できるサイズとされたインプラントを含む。インプラントは、複数の波状繊維を含む。繊維は、1つまたは複数の生体吸収性材料から形成される。いくつかの変更形態によれば、繊維は、インプラント内に緩く配列される。繊維は、編物でなくてよい。繊維は、不織とすることができる。インプラントの外面の少なくとも一部は、研磨性であってよい。繊維は、第1の生体吸収率を有する第1の繊維、および第2の生体吸収率を有する第2の繊維を含むことができ、第1の生体吸収率は、第2の生体吸収率と異なっていてもよい。繊維は、インプラント実施後2〜24週の生体吸収時間を持つことができる。
【0026】
他の実施形態によれば、中空解剖学的構造を治療するための装置は、中空解剖学的構造内への配置に合わせて構成されたやぐらを含む。やぐらは、複数の膨張性繊維を含む。繊維は、1つまたは複数の生体分解性材料から形成される。いくつかの変更形態によれば、繊維は、個別に膨張性を有する。繊維は、インプラント内に緩く配列されうる。やぐらの少なくとも一部は、いくつかの実施形態において、編物でなくてよい。やぐらの少なくとも一部は、いくつかの実施形態において、不織とすることができる。
【0027】
他の実施形態によれば、中空解剖学的構造を治療するための装置は、複数の生体吸収性繊維を含むインプラントを備える。インプラントは、8フレンチ以下の内径を持つ円筒状管内に収めることができる圧縮状態を有する。インプラントは、圧縮状態から、24フレンチ以上の内径を持つ円筒状管の内径いっぱいに広がる十分なサイズを有する膨張状態へ膨張可能である。いくつかの変更形態によれば、インプラントは、膨張状態のときに、24〜36フレンチの内径を持つ円筒状管の内径いっぱいに広がる十分なサイズを有する。いくつかの実施形態では、インプラントは、膨張状態のときに、12〜60フレンチの内径を持つ円筒状管の内径いっぱいに広がる十分なサイズを有する。インプラントは、いくつかの実施形態において、圧縮状態にあるときに6〜8フレンチの内径を持つ円筒状管内にはめ合わせることができる。インプラントは、複数の波状繊維を含むことができる。インプラントの少なくとも一部は、編物でなくてよい。インプラントの少なくとも一部は、不織とすることができる。インプラントは、中空解剖学的構造内にあるときにインプラントの移動を制限するように構成された固定要素を備えることができる。インプラントは、外力が存在しない場合にインプラントが膨張状態に向かう傾向があるように膨張性を持たせることができる。
【0028】
他の実施形態によれば、中空解剖学的構造を治療するための装置は、複数の生体吸収性繊維を含むインプラントを備える。インプラントは、8フレンチ以下の内径を持つ円筒状管内を通過することができる圧縮状態を有する。インプラントは、圧縮状態から、インプラントが平均サイズの成人の大伏在静脈を占有する十分な大きさである横方向サイズを有する治療状態へ膨張可能である。いくつかの変更形態によれば、インプラントは、圧縮状態にあるときに6〜8フレンチの内径を持つ円筒状管内を通過することができる。インプラントは、複数の波状繊維を含むことができる。インプラントの少なくとも一部は、編物でなくてよい。インプラントの少なくとも一部は、不織とすることができる。インプラントは、中空解剖学的構造内にあるときにインプラントの移動を制限するように構成された固定要素を備えることができる。インプラントは、外力が存在しない場合にインプラントが膨張状態に向かう傾向があるように膨張性を持たせることができる。
【0029】
他の実施形態によれば、4mm以上の直径を持つ中空解剖学的構造を治療する方法は、サイズが8フレンチ以下のカテーテルを中空解剖学的構造内に挿入することを含む。生体吸収性繊維性インプラントは、カテーテルに通され、中空解剖学的構造内に入れられる。インプラントでは、中空解剖学的構造の開通性は減少する。いくつかの変更形態によれば、この方法は、インプラントで中空解剖学的構造を閉塞することをさらに含む。インプラントは、いくつかの方法において、中空解剖学的構造内で膨張させられて治療状態にすることができる。この方法は、インプラントが中空解剖学的構造内にあるときにインプラントの閉塞成長侵入を促進することを含むことができる。中空解剖学的構造は、静脈を含むことができる。いくつかの実施形態では、中空解剖学的構造は、大伏在静脈を含む。カテーテルを挿入することは、カテーテルを大伏在大腿静脈接合部から距離をおいて配置されている挿入部位に挿入することを含み、インプラントを挿入部位から大伏在大腿静脈接合部に進めることをさらに含むことができる。中空解剖学的構造は、いくつかの実施形態では、直径を4〜12mmとすることができる。いくつかの実施形態では、中空解剖学的構造は、直径を4〜20mmとすることができる。
【0030】
他の実施形態によれば、静脈を治療する方法は、大伏在大腿静脈接合部から間隔をあけて配置されているアクセス点で静脈にアクセスすることを含む。生体吸収性繊維体は、アクセス点を通じて静脈内に埋め込まれる。この繊維体は、静脈内を大伏在大腿静脈接合部に向かって移動する。いくつかの変更形態によれば、この方法は、中空解剖学的構造内の繊維体を固定し静脈内で繊維体の移動を制限するようにすることをさらに含む。いくつかの方法では、鞘をアクセス点に通すことができ、その繊維体をプッシュロッドでその鞘内に押し通し、静脈内に入れることができる。静脈上で熱処理を行うことができ、熱処理は、高周波エネルギーを送達すること、抵抗素子から熱エネルギーを送達すること、およびレーザーからエネルギーを送達することのうちの1つまたは複数を含むことができる。この方法は、静脈内のこの繊維体の端部を大伏在大腿静脈接合部に移動することをさらに含むことができる。
【0031】
他の実施形態によれば、中空解剖学的構造を治療する方法は、緩い蛇行する複数の繊維を含むインプラントを中空解剖学的構造内に送達することを含む。繊維は、1つまたは複数の生体吸収性材料から形成される。いくつかの変更形態によれば、この方法は、中空解剖学的構造内のインプラントを固定し中空解剖学的構造内でインプラントの移動を制限するようにすることをさらに含む。
【0032】
他の実施形態によれば、中空解剖学的構造を治療するためのキットは、中空解剖学的構造内に挿入できるサイズとされた生体吸収性繊維性インプラントを含む。鞘が、中空解剖学的構造内に挿入できるサイズとされる。鞘は、外径と内径を有する。内径は、インプラントを受け入れてインプラントを中空解剖学的構造内に送達するように構成される。プッシュロッドが、鞘内に挿入できるサイズとされ、インプラントを進めて鞘に通し、インプラントを中空解剖学的構造に送達するように構成される。いくつかの変更形態によれば、鞘は、外径上に研磨要素を備える。研磨要素は、鞘が中空解剖学的構造内に挿入されたときに中空解剖学的構造の表面と係合するように構成することができる。キットは、インプラントロック機構をさらに備えることができる。インプラントロック機構は、インプラントと結合されるように構成された引き糸を備えることができる。インプラントロック機構は、インプラントと結合されたファネルを備えることができる。引き糸は、結び目を作ることができる。引き糸は、その少なくとも一部にそって複数の隆起部を備えることができる。
【0033】
他の実施形態によれば、中空解剖学的構造を治療するためのシステムは、中空解剖学的構造内に挿入できるサイズとされた生体吸収性繊維性インプラントを含む。連続供給機構が、インプラントを中空解剖学的構造内に送達するように構成される。
【0034】
他の実施形態によれば、患者の中空解剖学的構造を治療する方法は、生体吸収性繊維体を中空解剖学的構造内に埋め込むことを含む。この繊維体は、中空解剖学的構造内でこの繊維体の移動を制限するように中空解剖学的構造内に固定される。いくつかの変更形態によれば、この繊維体を固定することは、中空解剖学的構造のアクセス部位でこの繊維体をアンカー固定することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、繊維体の一部が中空解剖学的構造から、患者の皮膚を通り、皮膚のアクセス部位で外に出るように繊維体を位置決めすることをさらに含む。この繊維体は、テザーをさらに含み、この方法は、繊維体の端部を切り取って、繊維体が皮膚の表面と実質的に同じ高さになるようにし、かつテザーがアクセス部位を通して繊維体を越えて延びるようにすることをさらに含むことができる。テザーは、アクセス部位の近くに固定することができる。繊維体を固定することは、膨張性アンカーを中空解剖学的構造内の繊維体の近くに埋め込むことを含むことができる。繊維体を固定することは、中空解剖学的構造内の埋め込み位置の近くで中空解剖学的構造を熱収縮させることを含むことができ、繊維体を埋め込むことは、その繊維体を埋め込み位置に埋め込むことを含むことができる。繊維体を固定することは、フェネストレーションアンカーで繊維体を固定することを含むことができる。繊維体を固定することは、経皮逆行アクセス部位に繊維体を固定することを含むことができる。
【0035】
他の実施形態によれば、中空解剖学的構造を治療するための装置は、生体吸収性繊維体を含む。固定部材が、この繊維体に関連付けられており、中空解剖学的構造内に埋め込まれたときに繊維体の移動を制限するように構成されている。いくつかの変更形態によれば、固定部材は、テザーを含む。固定部材は、アンカーを含むことができる。固定部材は、膨張性要素を含むことができる。固定部材は、組紐を含むことができる。固定部材は、生体吸収性とすることができる。固定部材は、第1の生体吸収率を有し、繊維体は、第2の生体吸収率を有することができ、第1の生体吸収率は、第2の生体吸収率と異なっていてもよい。第1の生体吸収率は、第2の生体吸収率よりも低くてもよい。第1の生体吸収率は、第2の生体吸収率よりも高くてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】伏在静脈および大腿静脈系の一部を示す図である。
【図2A】静脈などの中空解剖学的構造の閉塞のための繊維性集合構造を含むインプラントの一実施形態を示す図であり、繊維性集合構造は、一般的に応力のかかっていない膨張した構成で示されている。
【図2B】概ね応力のかかっていない膨張した構成の繊維内の曲がりを示す図2Aのインプラントの繊維を示す図である。
【図2C】概ね薄型の圧縮された構成の図2Aの繊維性集合構造インプラントを示す図である。
【図2D】概ね薄型の圧縮された構成の繊維内の曲がりを示す図2Cのインプラントの繊維を示す図である。
【図2E】カテーテルまたは送達用鞘が中空解剖学的構造内に挿入されている状態を示す、繊維物質構造を中空解剖学的構造に送達する方法の一実施形態の一部を示す図である。
【図2F】図2Eの方法によるカテーテルまたは送達用鞘にプッシュロッドを通した薄型構成のインプラントを示す図である。
【図2G】図2Eの方法による中空解剖学的構造内で膨張構成をとるインプラントおよび中空解剖学的構造から引き出されている送達カテーテルまたは鞘を示す図である。
【図3】2つの使用状態の繊維性集合構造を示す図である。
【図4】折り畳み使用状況における、2つの使用状態の繊維性集合構造を示す図である。
【図5】織り交ぜられた引き部材を含む他の繊維性集合構造を示す図である。
【図6】繊維性集合構造を静脈などの中空解剖学的構造内に送達する一プロセスを例示する図である。
【図7】繊維性集合構造を配備する際のリングロック機構の使用を例示する図である。
【図8】繊維性集合構造を配備する際の結び目ロック機構の使用を例示する図である。
【図9A】繊維性集合構造を配備する際のラチェットロック機構の使用を例示する図である。
【図9B】静脈などの中空解剖学的構造を閉塞させる他の方法および装置を例示する図である。
【図10】静脈などの中空解剖学的構造を閉塞させる他の方法および装置を例示する図である。
【図11】静脈などの中空解剖学的構造を閉塞させる、織られたソックスを例示する図である。
【図12】静脈などの中空解剖学的構造を閉塞させる他の方法および装置を例示する図である。
【図13】繊維性集合構造のさらなる詳細を例示する図である。
【図14】繊維性集合構造で使用する繊維を例示する図である。
【図15】繊維性集合構造で使用する繊維を例示する図である。
【図16】繊維性集合構造で使用する繊維を例示する図である。
【図17】繊維性集合構造で使用する繊維を例示する図である。
【図18】第1の位置にある連続供給中空解剖学的構造閉塞システムの一実施形態の概略断面図である。
【図19】繊維性集合構造の第1のセグメントが配備されている、第2の位置にある図18のシステムの概略断面図である。
【図20】プッシャロッドの引き込みを例示している、第3の位置にある図18のシステムの概略断面図である。
【図21】連続供給中空解剖学的構造閉塞システムの他の実施形態の概略断面図である。
【図22】連続供給中空解剖学的構造閉塞システムの他の実施形態の概略断面図である。
【図23】図22のデバイスの内側鞘の遠位端の遠位立面図である。
【図24】連続供給中空解剖学的構造閉塞システムを例示する図である。
【図25】連続供給中空解剖学的構造閉塞システムを例示する図である。
【図26】連続供給中空解剖学的構造閉塞システムを例示する図である。
【図27a−b】繊維性集合構造の送達に使用されるピストル型グリップハンドルを例示する図である。
【図27c】繊維性集合構造の送達に使用されるピストル型グリップハンドルを例示する図である。
【図28】コイル上の繊維性集合構造を伴うピストル型グリップハンドルを例示する図である。
【図29】繊維性集合構造の重なり合う送達構成を例示する図である。
【図30】送達用鞘の掻き取り端を例示する図である。
【図31】中空解剖学的構造の内面と接触する複数の研磨性要素を例示する図である。
【図32】一実施形態によるアクセス部位位置にインプラントを固定する一方法を例示する図である。
【図33】一実施形態によるアクセス部位位置にインプラントを固定する一方法を例示する図である。
【図34】一実施形態によるアクセス部位位置にインプラントを固定する一方法を例示する図である。
【図35】一実施形態によるアクセス部位位置にインプラントを固定する一方法を例示する図である。
【図36A−E】いくつかの実施形態による複数の代替え固定技術を例示する図である。
【図36F】いくつかの実施形態による複数の代替え固定技術を例示する図である。
【図37A】いくつかの実施形態による複数の代替え固定方法を例示する図である。
【図37B】いくつかの実施形態による複数の代替え固定方法を例示する図である。
【図37C】いくつかの実施形態による複数の代替え固定方法を例示する図である。
【図37D】いくつかの実施形態による複数の代替え固定方法を例示する図である。
【図37E】いくつかの実施形態による複数の代替え固定方法を例示する図である。
【図38】一実施形態による針先を伴う繋留糸を例示する図である。
【図39】いくつかの実施形態により1つまたは複数の位置でインプラントと結合される繋留糸を例示する図である。
【図40A−C】一実施形態による先端が丸くなっている「V」字型固定要素を例示する図である。
【図41】一実施形態による「U」字型固定要素を例示する図である。
【図42A−C】一実施形態による膨張可能なフープ形固定要素を例示する図である。
【図43A−B】一実施形態による膨張可能な正弦波形ステント固定要素を例示する図である。
【図44A−B】一実施形態による膨張可能なダイヤモンド形ステント固定要素を例示する図である。
【図45A−C】一実施形態による膨張可能なステント固定要素を例示する図である。
【図46A−C】一実施形態による組紐で編んだ膨張可能なステント固定要素を例示する図である。
【図47A−B】一実施形態による膨張可能な多繊維固定要素を例示する図である。
【図48A−C】中空解剖学的構造の近くにかさ高材を用意する方法の一実施形態を例示する図である。
【図49】一実施形態による生体分解性クリップ固定要素を例示する図である。
【図50】一実施形態によるフェネストレーション技術を例示する図である。
【図51A−E】いくつかの実施形態によるフェネストレーション固定技術で使用するように構成されているいくつかのコイルを例示する図である。
【図51F−H】いくつかの実施形態によるフェネストレーション固定技術で使用するように構成されているいくつかのコイルを例示する図である。
【図52A−B】固定要素の一実施形態によるポリマーコイルを例示する図である。
【図53A−B】固定要素の一実施形態による返し付き縫合糸を例示する図である。
【図54A−B】一実施形態による複数の突起を持つ膨張可能な固定要素を例示する図である。
【図54C】一実施形態による複数の突起を持つ膨張可能な固定要素を例示する図である。
【図55A−B】一実施形態によるくさび形固定要素を例示する図である。
【図56A−B】他の実施形態によるくさび形固定要素を例示する図である。
【図57A−C】他の実施形態による「T」字くさび形固定要素を例示する図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下の説明および実施例では、本発明の好ましいいくつかの実施形態を詳細に説明する。当業者であれば、その範囲に含まれる本発明のさまざまな変更形態および修正形態があることを理解するであろう。したがって、好ましい実施形態の説明は、本発明の範囲を限定するものとみなされないであろう。
【0038】
閉塞デバイスまたは閉塞材料を使用して患者または被検体内の中空解剖学的構造(例えば、図1)を閉塞する方法、システム、および装置が提供される。本明細書で使用されているような「被検体(subject)」および「患者(patient)」という用語は、哺乳類などの動物を指す。例えば、当業者の考察対象となる哺乳類は、ヒト、霊長類、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウシ、ヤギ、ブタ、ウマ、ハツカネズミ、ネズミ、ウサギ、モルモットなどである。「被検体」および「患者」という用語は、同義的に使用できる。
【0039】
本明細書で使用されているような「閉塞デバイス(occluding device)」および「閉塞材料(occluding material)」という用語は、広義語であり、通常の意味で使用され、限定はしないが、中空解剖学的構造を閉塞するか、または閉塞させることができる物質またはデバイスを含む。閉塞材料または閉塞デバイスは、実験施設内で形成または加工されるか、またはその場で形成される(例えば、プレポリマーまたは未硬化ポリマーを硬化させることにより)ことが可能である。本明細書で使用されているような「閉塞材料」という用語は、プレポリマー、未硬化ポリマー、未固化材料、さらには重合、事前硬化、または固化された形態で患者内に挿入される閉塞材料を含む。生物由来物質、例えばゼラチン、トロンビンも、閉塞材料とは別に、または組合せで使用することができる。生体再吸収性材料は、特に好ましい閉塞材料であるが、他の材料も必要に応じて使用することができる。例えば、一実施形態では、繊維性集合構造は、繊維および/またはポリラクチド(PLA)および/またはポリグリコリド(PGA)またはその共重合体から形成された他の構成要素を含むことができる。
【0040】
閉塞は、限定はしないが、中の流れを妨げるか、または阻害する栓または他の構造体を中空解剖学的構造(例えば、図1)内に挿入することにより遮断すること、中の流れを妨げるか、または阻害するために中空解剖学的構造の対向する壁を接着してくっつけること、中の流れを妨げるか、または阻害するために中空解剖学的構造の壁を圧縮してくっつけること、または中空解剖学的構造を通る流れを阻害するか、または妨げる印加された力または物質(例えば、エネルギー、化学物質、薬物、物理的接触、圧力など)への生理的反応を開始すること(例えば、線維性栓の形成または結合組織の増殖)を含みうる。閉塞は、即座に行われても、または閉塞の開始を遅らせてもよい。閉塞は、部分的(中空解剖学的構造内の流れを減らすことができる)または完全(中空解剖学的構造内に流れを通さない)とすることができる。閉塞は、永続的または一時的なものとすることができる。閉塞は、材料の吸収特性の影響を受ける可能性がある。閉塞により、中空解剖学的構造に物理的変化または損傷(例えば、組織線維症またはネクローシス)が生じるか、または実質的な物理的変化(例えば、生体適合性のある栓)を生じることなく中空解剖学的構造を遮断することができる。閉塞が生じる仕組みは、限定はしないが、人体の自然異物治癒反応から生じる器質化線維性閉塞の形成、組織に対する傷または損傷の形成、閉塞デバイスまたは閉塞材料の膨張、閉塞デバイスまたは閉塞材料からの化学物質または生物活性物質(例えば、硬化剤、炎症性物質、サイトカイン、増殖因子、凝固因子、組織付着因子、または他の薬剤)の放出、静脈収縮、圧縮、および結紮を含みうる。閉塞の他の仕組み、形態、および効果については、当業者であれば理解するであろう。
【0041】
閉塞構造
図2A〜Dは、中空解剖学的構造を治療するための装置の一実施形態を示している。装置は、中空解剖学的構造20内に挿入できるサイズとされたインプラント10を備える。本明細書で使用されているような「インプラント(implant)」という用語は、広義語であり、通常の意味で使用され、限定はしないが、中空解剖学的構造内に埋め込むことができる物質、構造、またはデバイスを含む。インプラント10は、複数の繊維14を含む繊維性集合構造12を含む。インプラント10は、図2A〜Bに示されているように応力のかかっていないインプラント10の状態に関連する第1の密度を有する。インプラント10は、図2C〜Dに示されているように半径方向に圧力がかかっているインプラント10の状態に関連するより高い第2の密度を有する。インプラント10は、好ましくは、圧縮性および自己膨張性を有する。例えば、インプラント10は、膨張して図2C〜Dの圧縮状態から図2A〜Bの応力のかかっていない状態になりうる複数の膨張性繊維14を含む。
【0042】
インプラント10の膨張は、インプラント10の個々の繊維14の捲縮構成により生じやすくなる。図2A〜Dに示されているように、繊維14は、圧縮状態と応力のかかっていない状態の両方において捲縮している。インプラント10は、複数の緩い、かさ高の繊維14を含む。繊維14に関して本明細書で使用されている「緩い(loose)」という用語は、広義語であり、通常の意味で使用されており、限定はしないが、インプラント10の長さ方向の全部またはかなりの部分(例えば、10%を超える)に沿って全体としてしっかりくっついていない(いくつかの場所において、集合全体には達しない数(例えば、50%未満)の繊維の相互接続、連結、束にすること、または結束を許容する)という意味を含む。繊維14に関して本明細書で使用されているような「かさ高(bulked)」という用語は、広義語であり、通常の意味で使用され、限定はしないが、繊維の集合の間に置かれたときに、類似のデニールまたは断面サイズの実質的にまっすぐの繊維に比べて大きな体積を占有するか、または生じる傾向のあるという意味を含む。
【0043】
インプラント10はさらに、加工された複数の繊維14を含む。インプラント10の個々の繊維14は、好ましくは、例えば、温風捲縮、機械式スタッファーボックス捲縮、仮ねじり加工、伸張加工、延伸加工、または繊維14自体を自己膨張させることができ、繊維性物質12をかさ高にし膨張させる他のプロセスなどのさまざまな一般に知られている繊維加工処理技術により、捲縮、かさ高、および/または変形の加工が行われる。また、この加工により、血液の流れが急に遅くなり、このため、十分な組織成長侵入および最終的な耐久性のある線維性閉塞が容易になる。また、この加工により、インプラント10は、薄い形で送達可能になり、標的中空解剖学的構造20いっぱいになるまで膨張するようにできる。繊維性のインプラント10を作る1つのプロセスは、加工ヤーンを繰り返し伸張し、そのヤーンに関連付けられていた加工を「解放する」ことを含む。繊維14は、機械的に、また繰り返し伸張される。繊維14を伸張することにより、加工の後にそのかさを取り戻すことができる。
【0044】
そのため、図2A〜Dに示されているように、インプラント10は、好ましくは、一般的に縦方向に延び、加工および伸張プロセスを通じて形成された、長さに沿って多数の曲がり部を形成する緩い繊維14のやぐらを含む。本明細書で使用されているような「やぐら(scaffold)」という用語は、広義語であり、通常の意味で使用され、限定されることなく、必ずというわけではないが実際は一時的なものかもしれない支持枠組み構造または格子を含む。繊維14に関して本明細書で使用されているような「曲がり部(bends)」という用語は、広義語であり、通常の意味で使用され、限定はしないが、方向の湾曲したまたは角をなす変化(例えば、頂点)および/または方向の変化の間に延びる繊維の部分を含む。
【0045】
繊維14は、好ましくは、半径方向にかさ高である。繊維14に関して本明細書で使用されているような「半径方向にかさ高(radially bulked)」という用語は、広義語であり、通常の意味で使用され、繊維の断面を越えて半径方向(一般に、実質的にまっすぐに置かれたときに繊維の長手軸に直交するか、または横断する方向)にかさまたは体積を占有または作る傾向があるという意味を含む。例えば、繊維14は、加工および伸張プロセスの結果として捲縮されているか、または曲がっているか、または波打っている構成を持つため、繊維14は、まとめて、および/または個々に、長さ方向に比較的短く、半径方向に比較的厚くなる。そのため、繊維14は、高い空洞率および比較的低い密度を有するやぐらを作る。繊維14の捲縮構成は、繊維14の自己膨張特性を助長する。繊維14は、インプラント10膨張張性を有するように膨張状態に偏る。
【0046】
繊維14は、0.1デニールから10デニールまでの範囲とすることができ、インプラント10は、いくつかの実施形態において、500から100,000本の繊維を含むことができる。いくつかの実施形態では、インプラント10は、500から500,000本までの繊維を含むことができる。これらの繊維14は、好ましくは緩く、編まれず、および/または不織である。例えば、いくつかの実施形態では、繊維14は、互いに堅く固定されているか、またはしっかり付着している、というわけではない。繊維14は、好ましくは、比較的自由に動くことができ、一般的に、インプラント10の長さ方向に沿って互いに関して制限されたり、拘束されたりしない。いくつかの実施形態では、繊維14は、インプラント10の第1の端部で連結することができる。いくつかの実施形態では、繊維14は、インプラント10の第2の端部で連結することができる。繊維サイズおよび構成について、以下でさらに詳しく説明する。
【0047】
繊維14は、好ましくは、1つまたは複数の生体吸収性および/または生体分解性材料から形成される。本明細書で使用されているような「生体吸収性(bioabsorbable)」という用語は、広義語であり、通常の意味で使用され、限定はしないが、存在する生体に摂取され、その一部をなすことができる能力があることを含む。本明細書で使用されているような「生体分解性(biodegradable)」という用語は、広義語であり、通常の意味で使用され、限定はしないが、生物の活動により無害の生成物に特に分解することができる能力があることを含む。いくつかの実施形態では、繊維14は、個別に膨らませることができる。いくつかの実施形態によれば、繊維14は、αヒドロキシ酸から形成され、および/またはポリグリコール酸、ポリグリコール酸−乳酸共重合体、ポリ乳酸−グリコール酸共重合体、ポリグリコリド−ラクチド共重合体、およびポリグリコリドからなる群から選択された材料から形成されうる。これらおよび他の適する材料について、以下でさらに詳しく説明する。繊維14は、第1の生体吸収率を有する第1の繊維、および第2の生体吸収率を有する第2の繊維を含むことができ、第1の生体吸収率は、第2の生体吸収率と異なる。
【0048】
いくつかの実施形態では、インプラント10は、図3〜5に示されているように、半径方向に膨張されることができ、折り重ねることができ、束ねることができ、および/または絡ませることができる。さらに、インプラント10を送達する方法の一実施形態は、図6に示されており、以下でさらに詳しく説明される。
【0049】
いくつかの実施形態では、装置は、中空解剖学的構造内にあるときにインプラント10の移動を制限するように構成された固定要素を備えることができる。本明細書で使用されているような「固定要素(fixation element)」という用語は、広義語であり、通常の意味で使用され、限定はしないが、中空解剖学的構造内に置かれた物体の移動量を減らすか、または移動をなくす傾向のあるデバイスを含む。例えば、装置は、インプラントに結合されたテザーを備えることができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、装置は、さらに、図7〜9を参照しつつ以下でさらに詳しく説明されるように、インプラントロック機構を備える。本明細書で使用されているような「ロック機構(locking mechanism)」という用語は、広義語であり、通常の意味で使用され、限定はしないが、要素または部分の連動またはもつれを形成することができる構造、適所に固定するか、保持するか、または構成を制御する構造またはデバイス、適所に固定する構造を含む。例えば、装置は、インプラント10に結合され、インプラント10の少なくとも1つの端部を越えて延びるように構成されている引き糸30を備えることができる。いくつかの実施形態では、引き糸30により、膨張構成のインプラント10を中空解剖学的構造内に位置決めすることができる。
【0051】
以下でさらに説明されるように、いくつかの実施形態では、インプラント10は、さらに、半径方向膨張性要素を備える。いくつかの実施形態では、繊維14は、一般に、中空解剖学的構造20内に埋め込まれたときに膨張性要素の内側に位置決めされうる。いくつかの実施形態では、インプラント10は、さらに、薬物および/または硬化剤を含む。いくつかの実施形態では、やぐらの外面は、研磨性であってよい。本明細書で使用されているような「研磨性(abrasive)」という用語は、広義語であり、通常の意味で使用され、限定はしないが、例えば摩擦により刺激する、擦る、または磨り減らすように構成されること、またはインプラント10の外面に関して、内皮層と接触している間に移動されたときに内皮層を露出させる十分な研磨性を有するという意味を含む。
【0052】
図2E〜Gは、中空解剖学的構造20の中にインプラント10を送達する方法の一実施形態を例示している。この方法は、本明細書で開示されている多数のインプラントのうちの1つまたは複数を送達するのに適している。図2Eに示されているように、送達カテーテルおよび/または鞘16は、中空解剖学的構造20内に挿入される。一実施形態によれば、送達カテーテル16は、好ましくは8F以下である。いくつかの実施形態では、送達カテーテルは、6Fである。中空解剖学的構造20は、好ましくは4mm以上の内径を有する。いくつかの実施形態では、中空解剖学的構造の内径は、4〜12mmである。いくつかの実施形態では、中空解剖学的構造の内径は、4〜20mmである。中空解剖学的構造は、静脈、例えば、大伏在静脈、または小伏在静脈または、例えばファローピウス管、卵巣静脈、または内精索静脈などの他の中空解剖学的構造とすることができる。
【0053】
インプラント10、例えば、繊維性集合構造12は、図2Fに示されているように送達カテーテル16内に装填される。インプラント10は、好ましくは、送達カテーテル16内にあるときに圧縮構成(図2Cに示されているような)をとる。インプラント10は、送達カテーテル16の遠位端部へ押される。いくつかの実施形態では、プッシュロッド18を使用してインプラント10を進めることができる。プッシュロッド18は、以下でさらに詳しく説明される。例えば、いくつかの実施形態では、インプラント10は、遠位端部上で折り畳むことができ、これによりインプラント10の中間部分に折り目または頂点を形成することができる。プッシュロッド18の遠位先端は、折り目または頂点と係合し、インプラント10を中空解剖学的構造20内に押し込みやすくできる。
【0054】
図2Gに示されているように、インプラント10は、送達カテーテル16の遠位端部から押し出され、中空解剖学的構造20内に押し込まれる。いくつかの実施形態では、プッシュロッド18を使用してインプラント10を遠位に押しやることができる。いくつかの他の実施形態では、プッシュロッド18を、一般的に静止状態に保持し、送達カテーテル16を、近くに引っ張り、インプラント10を中空解剖学的構造20内に入れることができる。図2Gに示されているように、インプラント10は、好ましくは、中空解剖学的構造20内の適所にあるときに治療状態または膨張構成(図2Aに示されているような)をとる。繊維14およびインプラント10の自己膨張特性により、膨張し、中空解剖学的構造20内いっぱいに広がる。インプラント10は、好ましくは、インプラント10内の閉塞成長侵入および凝固に対するやぐらを形成し、最終的に、本明細書でさらに詳しく説明されるように、中空解剖学的構造20の耐久性のある閉塞を形成する。大伏在静脈などの伏在静脈を治療する場合、カテーテル16を大伏在静脈内の大伏在大腿静脈接合部から離れている挿入部位のところで中空解剖学的構造内に挿入し、大伏在大腿静脈接合部に向けて、またはそこに進めることができる。次いで、インプラント10は、カテーテルを通して、大伏在大腿静脈接合部の方へ、またはそこに進められる。必要ならば、インプラント10は、大伏在大腿静脈接合部から挿入部位までずっと延びるように静脈内に配置することができる。
【0055】
さらに、本明細書で説明されている方法の1つまたは複数は、さらに、中空解剖学的構造20内でインプラント10を動かし(最初の埋め込みの前、カテーテル16内、または最初の埋め込みの後)、最後の治療位置に移動することを含むことができる。そのため、図2A〜Dのインプラント10および/または繊維性集合構造12、および本明細書で開示されている他のインプラント10は、インプラント10が8F以下の内径を有する円筒状管(例えば、送達カテーテル)内に収まる(および/または通過できる)圧縮状態(例えば、図2C)をとりうることが理解されるだろう。いくつかの実施形態では、円筒状管の内径は、6〜8Fである。したがって、インプラント10は、好ましくは、膨張して圧縮状態から膨張状態(図2A)になることができ、その場合、インプラント10は、4〜12mmの中空解剖学的構造20の内径いっぱいに広がる、および/または24F以上の内径を有する円筒状管の内径いっぱいに広がる十分なサイズを有する。いくつかの実施形態では、インプラント10は、4〜20mmの中空解剖学的構造20の内径いっぱいに広がる十分なサイズを有する。いくつかの実施形態では、インプラント10は、24〜36Fの範囲の内径を有する円筒状管の内径いっぱいに広がりうる。いくつかの実施形態では、インプラント10は、12〜60Fの範囲の内径を有する円筒状管の内径いっぱいに広がりうる。それとは別に、いくつかの実施形態では、インプラント10は、治療状態に膨らむことができ、その場合、インプラント10は、平均サイズ以上の成人の大伏在静脈を占有する十分な大きさである横方向サイズを有する。
【0056】
一実施形態では、インプラント10は、インプラント10が、8French以下の内径を持つ円筒状管内に収まることができる圧縮状態を有する。インプラント10は、好ましくは、圧縮状態から、インプラント10が平均サイズの成人の大伏在静脈を占有する十分な大きさである横方向サイズを有する治療状態へ膨らませることができる。例えば、いくつかの実施形態では、インプラント10は、好ましくは、圧縮状態から、インプラント10が24French以上の内径を持つ円筒状管の内径いっぱいに広がる十分なサイズを有する膨張状態へ膨らませることができる。インプラント10は、好ましくは、膨張状態のときに、24〜36Frenchの内径を持つ円筒状管の内径いっぱいに広がる十分なサイズを有する。いくつかの実施形態では、インプラント10は、好ましくは、膨張状態のときに、12〜60Frenchの内径を持つ円筒状管の内径いっぱいに広がる十分なサイズを有する。インプラント10は、いくつかの実施形態において、圧縮状態にあるときに6〜8Frenchの内径を持つ円筒状管内にはめ込むことができる。インプラント10は、外力が存在しない場合にインプラントが膨張状態に向かう傾向があるように自己膨張性を持たせることができる。
【0057】
一実施形態によれば、閉塞デバイスまたはインプラント10は、図2〜9Aに示されているように、繊維性集合構造12を含む。繊維性集合構造12は、繊維材料の1つまたは複数のストランド14を含むことができる。繊維性集合構造12は、中空解剖学的構造20内に送達するための送達用鞘16内に配置することができる。送達用鞘16が引き出されると、繊維性集合構造12は、中空解剖学的構造20内に露出される。繊維性集合構造12は、好ましくは、以下でさらに詳しく説明されるように、中空解剖学的構造20を閉塞させる。
【0058】
中空解剖学的構造20を閉塞するために繊維性集合構造12を使用する利点の1つは、熱または他の血管周囲損傷から保護する必要のある他の隣接する解剖学的構造に熱損傷、異常知覚、皮膚火傷または損傷を与えることを心配せずに神経または皮膚の近くにある構造を治療することができる点にある。一実施形態では、繊維性集合構造12を使用することは、大伏在静脈が神経の近くを走っている膝の下の中空解剖学的導管を治療するのに特に役立つ。さらに、いくつかの実施形態では、繊維性集合構造12を使用することで、手術中の中空解剖学的構造圧縮および疼痛処理に膨潤麻酔法を使用する必要がなくなる。一実施形態では、全身および/または局所麻酔法は使用されない。一実施形態では、繊維性集合構造12の埋め込みに局所または表面麻酔法および/または半意識鎮静を使用できる。いくつかの実施形態では、繊維性集合構造12は、蛇行静脈の閉塞を行う場合に特に適している。さらに、生体再吸収性閉塞装置は、精索静脈瘤を治療するために内精索静脈内で有利に使用することができ、また骨盤うっ血症候群またはファローピウス管閉塞および/または恒久的避妊処置のため輸精管を治療するために卵巣静脈内で有利に使用することができる。
【0059】
繊維性集合構造12を形成するのに好適な材料であればどのような材料でも使用できる。これらの材料は、好ましくは、中空解剖学的構造内に挿入するため望ましい形態に加工することができる生体再吸収性材料である。この材料の好適なサイズおよび形状は、閉塞すべき中空解剖学的構造に従って選択することができる。繊維性集合構造12は、2つ以上の材料の複合物質または異なる生体再吸収率、異なる生体分解速度、溶解度、空隙率、強度、剛性度などを持つ単一共重合体を含むことができる。インプラントを製造するための材料および方法は、以下でさらに詳しく説明される。
【0060】
繊維性集合構造12は、好ましくは、単一デバイスで所望の長さの中空解剖学的構造を治療するのに十分な長さである。いくつかの実施形態では、繊維性集合構造12の長さは、約1cm以下から約60cm以上までである。いくつかの実施形態では、例えば、大伏在大腿静脈接合部の近くの小さな部分を治療するのに十分短い長さであるのが望ましい。いくつかの実施形態では、鼠径部から膝までの静脈全体を治療するのに十分長い長さであるのが望ましい。いくつかの実施形態では、鼠径部から足首までの静脈全体を治療するのに十分長い長さであるのが望ましい。
【0061】
図2〜9Aに示されているように、一実施形態では、繊維性集合構造12は、複数の連続する細長い繊維14(いくつかの実施形態では、ヤーンとしてよい)を含む。それとは別に、繊維性集合構造12は、2cmから100cmまでの範囲の長さを有する複数の細い短繊維を含むことができる。繊維性集合構造12は、送達用の第1の構成および中空解剖学的構造20を閉塞するための第2の構成をとりうる。第1の構成では、繊維性集合構造12は、比較的ロープロファイルである。繊維性集合構造12の断面積は、好ましくは、送達用鞘16などの送達デバイスを通して送達しやすいように十分小さい。第2の構成では、繊維性集合構造12は、比較的広い形状である。
【0062】
インプラント10および/または繊維性集合構造12の個別繊維14は、例えば、温風捲縮、機械式スタッファーボックス捲縮、疑似ねじり質感加工、ストレッチ質感加工、延伸質感加工、または繊維14自体を自己膨張させることができ、繊維性物質12をかさ高にし膨張させる他のプロセスなどのさまざまな一般に知られている繊維加工処理技術により捲縮、かさ高、および/または変形の加工が行われる。それとは別に、繊維性物質12自体については、膨張状態でヒートセット、溶媒キャスト、回転注型、成形、押し出し成形、溶媒噴霧、溶融紡糸、電気紡糸、などを実行できる。
【0063】
例えば、いくつかの実施形態では、繊維質感加工は、自己膨張および/または体積充填に対し特に有利なものと考えられる。繊維質感加工では、インプラント10に、インプラント10が過剰充填にならないように空間を満たせる空洞率の高いやぐらを設けることができる。質感加工された繊維14を含むインプラント10は、患者の快適さを向上させることができ、また生物学的閉塞に対し慢性的に重要であり、組織やぐら形成を可能にし、および/または耐久性のある閉塞を実現できる。繊維14の質感加工により、インプラント10の自己膨張、体積充填、および閉塞/やぐら特性が助長される。また、この質感加工により、血液の流れが急に遅くなり、このため、十分な組織成長侵入および最終的な耐久性のある線維性閉塞が容易になる。また、この質感加工により、インプラント10は、ロープロファイルで送達可能になり、標的中空解剖学的構造20いっぱいになるまで膨張するようにできる。質感加工により、繊維14のかさが増え、さらに繊維14を無作為配列することで、インプラント10の自己膨張、体積充填、および閉塞/やぐら特性が高められる。質感加工は、エアータック、スタッファーボックス質感加工、エアージェット質感加工(絡ませる)、ストレッチ質感加工、延伸質感加工、または他の一般的に使用される織物ヤーン微細構造化方法を使って、または使わずに、S&Z疑似ねじり質感加工により行うことができる。
【0064】
ヤーンが生産されるときに、現れてくる長繊維または繊維は、好ましくは、急速に冷却し、そして固化するが、これらは、さらに、供給側の速度よりも速い速度で巻き取ることにより「延伸」することもできる。延伸は、分子構造を安定化し、分子配向を改善することによりヤーンの強度を高めることができる。紡糸口金を使用して、細かな多数の流れを形成し、固化させて長繊維または繊維を作ることができる。長繊維は、延伸されて分子構造を配向し、溶融物は、融点よりも低い温度で冷却することにより固化される(溶融紡糸)。流れているポリマーは、好ましくは、ゲルおよび異物などの塊が紡糸口金の孔を詰まらせないようにするため濾過される。
【0065】
紡糸口金を出た押し出し成形長繊維からの熱流速は、ヤーンの形態構造を決定するのに役立つ。形態は、結晶化度と配向の程度に関係する。高速のときには、押し出し成形ゾーンのせん断速度(長繊維の速度の関数である)も、形態構造に影響を及ぼす。これらの長繊維に対しその後行う延伸の量も、さらに、ヤーンの特性に影響を及ぼす。延伸倍率は、部分延伸ヤーン(POY)の強度に影響を及ぼす。低延伸倍率で形成されるPOYの強度は、高速質感加工には不十分な場合があり、したがって質感加工段階で延伸して長繊維強度を高めることが望ましいと考えられる。そのため、POYが延伸質感加工のため生産されているときに、質感加工速度は、実際には、押し出し成形速度にリンクしている。長繊維は、多くの場合、回転している円筒またはゴデットの周りに巻き付けられる。
【0066】
ほとんどの質感加工システムでは、長繊維または繊維は、ヒートセットで、ある種の捲縮または渦巻き形態にされ、それぞれの長繊維または繊維は、できる限り隣接要素から離される。ヒートセットできない長繊維または繊維では、繊維を絡ませて機械的にロックすることが可能である。この一例は、エアージェット質感加工である。ときには、エアージェットと疑似ねじり質感加工とを組み合わせるのが望ましい場合もある。エアージェット質感加工では、疑似ねじり質感加工ヤーンよりも短繊維ヤーンに近い製品が得られる。
【0067】
スタッファーボックス、エアージェット、およびS&Z疑似ねじりを介した質感加工は、当業ではよく知られている。有用なパラメータは、捲縮および捲縮保持の頻度である。捲縮回復(保持)に関するASTM標準はD4031であり、これは、この背景状況において、捲縮による収縮を捲縮能力または張力下でヤーンが収縮する能力の指標として定義している。質感加工ヤーンがかさを増やした場合、荷重を受けている場合でも縮む。捲縮保持は、これによりヤーンがどれだけの自己膨張を被るかが決定されるため関連性がある。特に血液で濡れている状態では、ヤーンのこの捲縮保持パラメータは、完全なやぐらとし、究極的に、中空解剖学的構造を耐久的に閉塞するのにどれだけ繊維を必要とするかを決定する。
【0068】
質感加工法は、Peter R.Lord著「Handbook of Yarn Production」というタイトルのテキストブック(North America by CRC Press LLC,2000 Corporate Blvd、NW、Boca Raton、FL 33431、USA in 2003、ISBN#0−8493−1781−9)で詳しく説明されており、これは、参照により本明細書に組み込まれ、本明細書の一部となっている。
【0069】
繊維性インプラントを作る一プロセスは、質感加工ヤーンを繰り返し延ばし、そのヤーンに関連付けられていた質感を「ロック解除」することを含む。いくつかの実施形態では、さらに加熱または冷却する必要はない。繊維は、機械的に、また繰り返し引き延ばされる。ストレッチ加工は、手で、および/または機械により実行することができる。エアータックを持つヤーンの場合、この作業で、タックの絡みを取り除くことによりエアータックが効果的に除去される。ヤーンがエアータックを持たない場合でも、この作業で、糸巻きに巻かれたヤーンがそのかさを取り戻すことができるが、それは、糸巻きに巻くときに、ヤーンを巻くのに必要な張力のせいでかさの一部がつぶれる傾向があるからである。インプラント10および/または繊維性集合構造12のさまざまな実施形態を製造することに関する詳細は、さらに、以下の「閉塞構造物を作製する」という表題の節で説明される。
【0070】
繊維性集合構造12の連続する細長い繊維14は、押しつぶされる、例えば、繊維性集合構造の縦軸にそって圧縮することができ、これにより、繊維性集合構造12の断面幅を増やし、中空解剖学的構造20を閉塞させる。いくつかの実施形態では、繊維性集合構造12は、送達用鞘16を出た後、充填直径の数倍まで膨らますことができ、これにより、潜在的に押しつぶす必要がなくなる。例えば、一実施形態の繊維性集合構造12は、約2mmの内径を有する送達用鞘16内に充填される。繊維性集合構造12が送達用鞘16から配備される場合、膨らませて、約5mm以下から約20mm以上までの直径を有する静脈を満たすようにできる。いくつかの実施形態では、繊維性集合構造12が送達用鞘16から配備される場合、膨らませて、約4mm以下から約20mm以上までの直径を有する静脈を満たすようにできる。いくつかの実施形態では、繊維性物質12の膨張および中空解剖学的構造の充填は、繊維質感加工に依存しうるが、それとは別に、物質のその後の送達で、すでに堆積されている物質が詰められて圧縮され、中空解剖学的構造20をもっと完全に充填するように、送達時に曲がるときに繊維14によってなされるよじれと回転を使用することができる。
【0071】
図3に示されているように、いくつかの実施形態では、引き糸30は、繊維性集合構造12と結合することができる。一実施形態では、引き糸30は、繊維性集合構造12の遠位端32と結合される。引き糸30は、ユーザーによって作動されるか、または作動なしで、近くの押し鞘(図に示されていない)と組み合わせて押し込まれ、これにより、以下でさらに詳しく説明されるように、中空解剖学的構造内に配備されるときに、繊維性集合構造12を「押しつぶし」、例えば、縦軸にそって短く、太くし、半径方向に膨らますことができる。いくつかの実施形態では、引き糸30は、自動的に作動させることができる。図4に示されているように、他の実施形態では、引き糸30は、繊維性集合構造12の遠位端32と結合され、以下でさらに説明されるように、引き糸30は、ユーザーによって作動され、繊維性集合構造12を折り畳むことができる。図5に示されているように、一実施形態では、引き糸30は、押しつぶしが一様になるように繊維性集合構造12から出し入れする形で織られる。以下でさらに説明されるように、引き糸30を繊維性集合構造12に通して織り上げることで、繊維性物質にそって「アコーディオン風」の曲げを形成し、膨張特性を改善することができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、引き糸30は、送達用鞘16の遠位部分に当てて、またはプッシュロッド18に当てて、繊維性集合構造を「押しつぶす」ために使用することができる。いくつかの実施形態では、インプラント10の取り出し、または位置変更に、引き糸30、またはアンカー糸または繋留糸40を使用することができる。
【0073】
アンカー糸40は、インプラント10全体を引くか、または位置変更するために繊維性集合構造12に結合することができる。プッシュロッド18も、遠位端を押し、インプラント10に張力をかけることによりインプラント10全体を押すか、または位置変更するためにいくつかの実施形態において使用することができる。送達用鞘16の遠位部分は、さらに、引き糸30を押し込みつつ位置変更に使用することもできる。中空解剖学的構造内でインプラント10の位置を変更し、および/または移動する動作は、中空解剖学的構造20の内側の内皮細胞内層を妨げて/露出させることにより閉塞を改善することができる。さらに、アンカー糸40は、固定要素および/または固着機構として作用するアクセス部位に固定され、これにより、繊維性集合構造12が中空解剖学的構造20から移動しないよう防止することができる。遠位または近位端上の、またはインプラント長にそった、繊維性集合構造12と関連する他の機械的手段は、インプラント移動を制御するために繊維性集合構造12を中空解剖学的構造20に固定すると考えることができるが、この手段は、限定はしないが、フック、返し、自己膨張放射状構造、叉骨形状膨張アンカーワイヤ、コイル形状フック、放射状膨張傘形などを含む。これらの一部または全部は、非生体再吸収および/または生体再吸収性材料から作ることができる。繊維性集合構造の移動は、さらに、RFエネルギー、加熱コイルエネルギー、レーザーエネルギー、または血管結紮のような外科技術を使用して中空解剖学的構造を最初に封止/閉塞することにより制御することもでき、さらには中空解剖学的構造の外部手動圧縮を使用して、急な移動を防止することができる。追加の固定技術および構造は、以下でさらに詳しく説明される。
【0074】
いくつかの実施形態では、バルーンを繊維性集合構造12内に配置することができる。バルーンは、配備後、膨らんで繊維性集合構造12を膨張させることができる。次いで、バルーンをしぼませて引き出し、膨張した繊維性集合構造12を適所に残すことができる。バルーンを使用する利点としては、内腔内に存在する血液などの天然流体を押しのけるか、または最小限度に抑えること、血流を効果的に止めて、これにより残留血液の凝固を助長すること、中空解剖学的構造20の壁にインプラントを固定することによりインプラント10が移動するのを防止することが挙げられる。バルーンは、さらに、血餅および/またはインプラント10がバルーンに張り付かないように潤滑性のあるコーティングも施すことができる。さらに、バルーンは、微孔性にすることもでき、これにより、硬化剤、トロンビン、他の生物活性薬剤をインプラント部位に送達することができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、インプラント10は、マーカーを含むか、または結合される。マーカーは、インプラント10の視覚化に使用することができる。マーカーは、超音波、X線、または他の視覚化手段の下で視覚化に対しエコー性および/または放射線不透過性を有するものとすることができる。いくつかの実施形態では、他の視覚化方法およびマーカーを使用することができる。いくつかの実施形態では、第1のマーカーは、繊維性集合構造12の第1の端部に配置され、第2のマーカーは、繊維性集合構造12の第2の端部に配置される。いくつかの実施形態では、繊維14および/または繊維性集合構造12は、粉末タンタル、粉末タングステン、酸化ビスマス、または硫酸バリウムを含む微量金属を組み込むことで視覚化を向上させることができる。いくつかの実施形態では、繊維組成物は、分解サイクルに入っているときに輸送の際にインプラント10の分解副産物を監視するための生理学的/生物学的マーカーを組み込むことができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、プッシュロッド18を使用して、インプラント10を送達、配備、または固定することができる。一実施形態では、プッシュロッド18は、インプラント10の繊維性集合構造12内に配置される。他の実施形態では、プッシュロッド18は、構造12の近くに配置される。いくつかの実施形態では、プッシュロッド18は、繊維性集合構造12と係合し、送達用鞘16が引き込まれている間にこれを適所に保持する。以下でさらに説明されるように、プッシュロッド18は、繊維性集合構造12を送達用鞘16から中空解剖学的構造20内に送達するために使用することができる。いくつかの実施形態では、繊維性集合構造12は、自動的作動とすることができる。他の実施形態では、プッシュロッド16および繊維性集合構造12は、ユーザーが繊維性集合構造12を作動させて押しつぶされた構成にすることができる。いくつかの実施形態では、繊維性集合構造は外側鞘を持たない。繊維性物質は、好ましくは、傷つけることのない先端を持つプッシュロッド16を使用して置かれる。この実施形態には、繊維性物質12が鞘16内に圧縮される時間を最低限度にし、これによりインプラント10の膨張特性を改善するという利点がある。さらに、送達用鞘を持たないことで、より多くの繊維14を中空解剖学的構造20内に入れることができ、アクセスポートのサイズを大きくする必要はない。
【0077】
送達技術
一実施形態では、中空解剖学的構造を治療するキットは、生体吸収性繊維性インプラント10、およびインプラントを中空解剖学的構造内に送達するためインプラント10を受け入れるように構成された内径を有する中空解剖学的構造20内に挿入できるサイズとされた鞘16を備える。プッシュロッド18は、鞘16内に挿入できるようにサイズが決められ、またインプラント10を進めて鞘16に通し、インプラント10を中空解剖学的構造20に送達するように構成される。いくつかの変更形態によれば、鞘16は、外径上に研磨要素を備える。研磨要素は、鞘16が中空解剖学的構造20内に挿入されたときに中空解剖学的構造20の表面と係合するように構成することができる。キットは、さらに、インプラントロック機構50も備えることができる。インプラントロック機構50は、インプラント10と結合されるように構成された引き糸30を備えることができる。インプラントロック機構50は、インプラント10と結合されたファネル52を備えることができる。引き糸30は、結び目54を作ることができる。引き糸30は、その少なくとも一部にそって複数の瘤56を備えることができる。
【0078】
他の実施形態によれば、中空解剖学的構造20を治療する方法は、1つまたは複数の生体吸収性材料から形成された複数の緩い蛇行する繊維14を含むインプラント10を中空解剖学的構造20内に送達することを含む。例えば、他の技術によれば、4mm以上の直径を持つ中空解剖学的構造20を治療する方法は、サイズが8フレンチ以下のカテーテルを中空解剖学的構造20内に挿入することを含む。生体吸収性繊維性インプラント10は、カテーテルに通され、中空解剖学的構造20内に入れられる。インプラント10では、中空解剖学的構造20の開通性を小さくすることができる。いくつかの実施形態によれば、この方法は、さらに、インプラント10で中空解剖学的構造を閉塞することを含む。インプラント10は、いくつかの方法において、中空解剖学的構造20内で膨らませて治療状態にすることができる。この方法は、インプラント10が中空解剖学的構造20内にある場合にインプラント10の閉塞成長侵入を助長することを含むことができる。中空解剖学的構造20は、静脈を含むことができる。いくつかの実施形態では、中空解剖学的構造20は、大伏在静脈を含む。カテーテルを挿入する工程は、カテーテルを大伏在大腿静脈接合部から距離をとって配置されている挿入部位のところに挿入することを含むことができ、さらにインプラント10を挿入部位から大伏在大腿静脈接合部に進めることを含む。中空解剖学的構造20は、いくつかの実施形態では、直径を4〜12mmとすることができる。中空解剖学的構造20は、いくつかの実施形態では、直径を4〜20mmとすることができる。
【0079】
他の実施形態では、静脈を治療する方法は、大伏在大腿静脈接合部から間隔をあけて配置されているアクセス点において静脈にアクセスすることを含む。生体吸収性繊維体12は、アクセス点を通じて静脈内に埋め込まれる。この繊維体12は、静脈内を大伏在大腿静脈接合部に向かって移動する。いくつかの実施形態では、この方法は、さらに、中空解剖学的構造内20の繊維体12を固定し静脈内で繊維体12の移動を制限するようにすることを含む。いくつかの方法では、鞘16をアクセス点に通すことができ、その繊維体12をプッシュロッド18で鞘16内に押し通し、静脈内に入れることができる。静脈上で熱処理を行うことができ、熱処理は、高周波エネルギーを送達すること、抵抗素子から熱エネルギーを送達すること、およびレーザーからエネルギーを送達することのうちの1つまたは複数を含むことができる。この方法は、さらに、静脈内のこの繊維体12の端部を大伏在大腿静脈接合部に移動することも含むことができる。
【0080】
図6に示されているように、一技術によれば、インプラント10、例えば繊維性集合構造12が備えられる。送達用鞘16およびプッシュロッド18も備えられる。インプラント10は、プッシュロッド18上に装填される。インプラント10は、引き延ばされ、プッシュロッド18上に潰される。プッシュロッド18を使用して、インプラント10を送達用鞘16内に装填する。送達用鞘16の遠位部分が中空解剖学的構造20内に配置されると、プッシュロッド18を使用して、インプラント10を送達用鞘16から押し出すか、またはそれとは別に、外側の鞘16が引っ込められている間、プッシュロッド18を静止させておく。インプラント10は、送達用鞘16から出た後、部分的に膨張する。インプラント10は、送達用鞘16が手前に押され、引き糸30が後に引かれるか、または静止状態に保持され、その移動を制約されているときに、さらに膨らまされ、押しつぶされる。
【0081】
一技術によれば、超音波を使用して、閉塞すべき中空解剖学的構造20の直径を測定することができる。中空解剖学的構造20の圧縮性を決定し、カラーフロー・ドップラー流評価を実行できる。適切なアクセス部位を選択する。局所麻酔薬を選択されたアクセス部位に投与することができる。導入装置鞘16、カニューレ、または他のアクセスデバイスを、アクセス血管内に配置することができる。一実施形態では、6Fの鞘が使用される。他の実施形態では、12Gaカニューレを使用することができる。適切なアクセスデバイスを使用できる。
【0082】
送達デバイス、例えば送達カテーテルまたは鞘16は、中空解剖学的構造20内に挿入され、鞘の先端が治療セグメントの遠位部分に位置するようにされる。繊維性集合構造20は、好ましくは、以下でさらに詳しく説明されるように、送達デバイス内に配置される。繊維性集合構造12の位置は、好ましくは、好適な視覚化技術、例えば、超音波、X線を使用して確認される。いくつかの実施形態では、マーカーをはっきり分かるように繊維性集合構造12上に配置することができる。繊維性集合構造12は、中空解剖学的構造20内に送達される。必要ならば、繊維性集合構造12は、視覚化した状況において、中空解剖学的構造20内に配置するか、または再配置することができる。いくつかの場合において、一方のユーザーが繊維性集合構造12を配置し、他方のユーザーが視覚化機器を操作するようにすると都合がよいであろう。
【0083】
繊維性集合構造12は、好ましくは、膨張構成に合わせて配備される。好適な任意の配備技術および/または膨張技術を使用できる。図3に示されているように、一実施形態では、繊維性集合構造12の遠位部分32に結合されている引き糸30は、引かれ、これにより繊維性集合構造12は押しつぶされる。繊維性集合構造12を押しつぶすと、所定の断面における繊維14の密度が増大する。図4に示されているように、他の実施形態では、繊維性集合構造12の遠位部分32に結合されている引き糸30は、引かれ、これにより繊維性集合構造12はそれ自体の上に折り重なる。繊維性集合構造12を折り畳むと、所定の断面における繊維の密度が増大する。図5に示されているように、他の実施形態では、引き糸30は、繊維性集合構造12の遠位部分32に結合されており、繊維性集合構造12の中間部分を通して織り上げられる。引き糸30を繊維性集合構造12と絡み合わせることで、繊維性集合構造12の押しつぶしが制御され、所定の断面における繊維14の密度が高まる。
【0084】
いくつかの実施形態では、インプラント10は、ロックデバイス50により押しつぶし位置に保持される。適切なロックデバイス50を使用できる。一実施形態では、インプラント10は、リングロック機構50を含む。図7に示されているように、ストッパー56は、引き糸30上に配置される。引き糸30は、インプラント10の遠位端32と結合され、インプラント10の近位部分34と結合されている比較的小さなファネル形状部分52に通される。引き糸30は、ファネル52内に引き通され、このときに、送達用鞘16は、インプラント10(およびこれによりファネル52)を静止状態に保持するのに役立つ。ストッパー56は、ファネル52に引き通されるが、スライドしてファネル52内を反対方向に戻らないよう十分に大きなサイズのものである。したがって、インプラント10は、膨張した、押しつぶされた構成でロックされ、プッシュロッド18および送達用鞘16は、取り出される。
【0085】
他の実施形態では、インプラント10は、結び目ロック機構50を含む。図8に示されているように、結び目54は、プッシュロッド18の周りの引き糸30で緩く結ばれている。結び目54は、インプラント10の近位部分34の近くに置かれる。結び目54は、プッシュロッド18が引き出される前に完全に締まらないようになっている。引き糸30は、インプラント10の遠位端32と結合される。インプラント10が押しつぶされたら、プッシュロッド18は取り外され、引き糸30の結び目54は、インプラント10が押しつぶされたままとなるように締め付けられることができる。したがって、インプラント10は、膨張した、押しつぶされた構成でロックされ、プッシュロッド18および送達用鞘16は、取り出される。
【0086】
他の実施形態では、インプラント10は、ラチェットロック機構50を含む。図9Aに示されているように、複数の戻り止めまたはストッパー58は、引き糸30にそって配置される。一実施形態では、ストッパー58は、ケーブルタイまたはジップタイと類似している。ストッパー58は、引き糸30の一部または全部にそって配置することができる。引き糸30は、インプラント10の遠位端32と結合され、インプラント10の近位部分34と結合されている比較的小さなファネル52形状部分に通される。引き糸30は、ファネル52内に引き通され、このときに、送達用鞘16は、インプラント10(およびこれによりファネル52)を静止状態に保持するのに役立つ。ストッパー58は、ファネル52に引き通されるが、これらは大きすぎて、スライドしてファネル52内を反対方向に戻ることはできない。したがって、インプラント10は、十分に押しつぶされ、次いで、膨張した、押しつぶされた構成でロックされ、プッシュロッド18および送達用鞘16は、取り出される。
【0087】
インプラント10が中空解剖学的構造20内に送達された後、繊維性集合構造12は、視覚化した状況において、中空解剖学的構造20内に配置するか、または再配置することができる。プッシュロッド18およびアンカー糸40を使用して、インプラント10を操作することができる。送達カテーテルを引き出すことができる。プッシュロッド18を引き出すことができる。プッシュロッド18を取り出す際に、外部から圧縮力を加えて、インプラント10がその位置を保つのを助けることができる。鞘16を引き出すことができる。鞘16を取り出す際に、外部から圧縮力を加えて、インプラント10がその位置を保つのを助けることができる。
【0088】
いくつかの技術では、インプラント10は、一定期間留まるようにすることができる。インプラントは、好ましくは、約1分以下から約30分以上までの範囲で留まることができる。いくつかの技術において、外部からの圧縮力を加えて、中空解剖学的構造20の壁を力ずくで押しつぶし、インプラント10にくっつけることができる。いくつかの技術において、血管収縮薬を加えて、中空解剖学的構造20の壁を力ずくで押しつぶし、インプラント10にくっつけることができる。停留期間の後、好適な方法を使用してインプラント10の位置が確認される。いくつかの場合において、インプラント10の位置は、視覚化技術、例えば、超音波、X線を使用して確認される。いくつかの場合において、インプラント10の位置は、触診を使用して確認される。閉塞は、適当な任意の方法を使用して確認することができる。例えば、カラーフロー・ドップラーを使用することで、閉塞を評価または査定することができる。
【0089】
図9Bに示されているように、他の実施形態によれば、閉塞デバイスまたはインプラント10は、繊維性集合構造12および注入可能なゼラチン22または同時にもしくは順次中空解剖学的構造内に配備される他の閉塞材料(上記)を含む。2つの材料を混ぜ合わせるか、または中空解剖学的構造にそって直線的に分離されたままとすることができる。流動性材料が他の材料により移動されることが妨げられるような方法で、2つの材料の特性が選択され、配備される。
【0090】
いくつかの技術では、インプラント10の送達の後に、図9Bに示されているように、硬化剤、ヒドロゲル、または他の活性薬剤22および/または薬物の注入を行うことができる。注入は、繊維性物質12を配備し、また活性薬剤22を注入するために使用される微孔性バルーンカテーテルを使用することで、実行できる。いくつかの技術において、インプラント10を処置室内で活性薬剤22に事前に浸けて、それからインプラント10を治療部位に送達することができる。いくつかの技術において、インプラントは、活性薬剤22の中に事前に浸けられ、その後、製造時にデバイスの梱包が行われる。いくつかの実施形態では、インプラント10は、デバイスの一体化部分として活性薬剤22を含む。インプラント10は、活性薬剤22として機能するコーティングまたは薬物溶離技術を備えることができる。いくつかの技術では、インプラント10の送達の後または前に、活性薬剤22の非局所的送達を行うことができる。例えば、活性薬剤22は、経口送達または局所用ペーストとして送達することができる。
【0091】
血液は、好ましくは、インプラント10の繊維14内に、および/または周りに集まり、凝固する。最初は、血栓が形成され、好ましくは異物自然治癒過程の一部として器質化され線維性組織閉塞を形成する。いくつかの技術において、増殖因子を使用して、線維性組織増殖を促進することができる。いくつかの実施形態では、インプラントのトロンビンコーティングまたはシーディングで、凝固カスケードを開始し促進して、組織成長侵入を増大することができる。生体分解性ポリマーにおいて組織成長侵入を刺激する多くの方法がある。一方法では、緩いポリマーやぐら(例えば、本明細書で開示されているインプラント10の実施形態のどれかにより)形成し、間質腔にヒドロゲル、例えば、フィブリンゲルを充填する。フィブリンゲルは、組織成長侵入を誘発する。組織増殖因子、例えば、線維芽細胞成長因子も、ヒドロゲルとともにインプラント10内に組み込むことができ、組織成長侵入を促進する。このアプローチでは、やぐらが最初に送達され、次いでフィブリノゲン、トロンビン、および/または増殖因子溶液が静脈内に注入される。溶液は、間質腔を充填し、重合して、ヒドロゲルを形成するが、これは、急速な組織成長侵入の基質として使用される。フィブリンゲルの代替えアプローチでは、自家血液を直接、トロンビンと混合し、混合された血液を静脈内に注入する。これにより、血栓状構造が形成され、間質腔を充填し、血栓の特性は、トロンビン濃度により制御することができる。これは、さらに、組織成長侵入を誘発するよい基質でもあり、補助を受けない自然な血栓発生に勝る利点を有する。他の代替え方法では、ヒドロゲルではなくフィブリンまたはトロンビン液を鞘内に注入してから、デバイスを配備し、導入前にインプラント10を液浸する。同様に、インプラント10をこの生物活性液体に予浸し、次いで、薬が使用される状況で臨床使用する前に加工プロセスの一環として乾燥させるか、または製造プロセスの一環として乾燥させることができる。他の技術によれば、自己血液およびフィブリンの混合液は、中空解剖学的構造20内に導入される前に外側鞘16内のインプラント10を包むか、または液浸するように、デバイスが配備される直前に注入される。
【0092】
さらに、インプラント10に対し行える他の表面改質または前処理がある。インプラント10の(複数の)繊維14の表面、さらには材料ポリマー鎖自体を改質または前処理し、例えば、帯電、粗面化し、親アルブミンよりも優先的に親フィブリノゲンとなるようにすることができる。例えば、埋め込んでから最初の1〜3秒以内に、血漿流中の疎水性インプラント材料に最初に発生するのは、表面へのタンパク質吸着である。ほぼすぐに、因子XIIaが活性化され、血栓カスケードが開始する。アルブミンが優先的にインプラント10上に固着する場合、これは、表面を不動態化し、反応性を下げる傾向がある。そのため、ポリマー、またはポリマーの表面を調節し、表面を帯電させるか、または疎水性により、アルブミン吸着を妨げるか、または制限し、フィブリノゲンを表面上に優先的に吸着すると有利である。いくつかの実施形態では、フィブリノゲンをインプラント10に予吸着することで、非不動態化を促進する。いくつかの実施形態では、表面改質を行うことで、トロンビンを追加するか、または追加せずに、線維性閉塞を改善することができる。内在的血栓カスケード機構により、トロンビンは、フィブリノゲン(血漿、液体中で循環する反応性タンパク質モノマー)に作用し、フィブリンモノマーになり、これは、次いで、因子XIIIにより架橋され、フィブリン(固体)になる。この架橋フィブリンは、器質化血栓(つまり、線維性閉塞)である。このタイプの機構の一実施例は、脳内の漿果状動脈瘤を閉塞するためだけでなく、織られ編まれたグラフトについても、コイル上で使用できるダクロン(粗面)である。ダクロンは、申し分のない疎水性も有する。その表面は、アルブミンよりも優先的にフィブリノゲンを吸着し、素早くフィブリンを形成し、これにより、壁在血栓を(すべて埋め込んだ後10分以内に)形成し、内皮細胞化を防ぐのを助ける。しかし、シリコーンおよびポリウレタンは、両方とも生体適合性があり、両方ともフィブリノゲンに比べて優先的にアルブミンを吸着するので、血栓カスケードを積極的にというほどには活性化しない。
【0093】
効率を改善する他の機構は、インプラントの領域内で自然線溶系を阻害することを含む。すでに述べたように、因子XIIaは、血栓カスケードを開始するが、さらにプラスミノゲンをプラスミンに転化する。プラスミンは、血栓(例えば、血餅)を溶解する酵素であるため、望ましくない。プラスミノゲンをプラスミンに転化するのを阻害することにより、実質的に、インプラントの付近の所望の凝固血の溶解に向かう自然な傾向を防ぐことができる。プラスミンは、トロンビンに似ているが、ただし、トロンビンはフィブリノゲンのみを開裂し、望まれているフィブリンモノマーを形成する。プラスミンがフィブリノゲンとフィブリンの両方を開裂する場合、フィブリンを形成すると、生成物(FSP)またはフィブリン分解生成物が分割される。これらのFSPは、好ましくは、血栓形成の阻害を制限するため、取り除かれる。これらのFSPは、線維性閉塞を形成しえないように互いに接触するのを妨げることによりフィブリンモノマーの架橋を阻害する。例えば、組織プラスミノゲン活性化因子(tPA)は、血栓溶解、さらにはReoPro(血小板凝集を妨げるヒト血小板IIb/IIIa受容体に基本的に結合するGPIIb/IIIa阻害薬)などの他の薬物に使用することができる。したがって、好ましくは、薬物、表面コーティング、および生物活性薬剤による前処理を使用するか、または投与して、反対のことをする、つまり、その代わりに、血小板をインプラント10の領域内でより積極的に凝集させ、および/またはプラスミノゲンの活性化を積極的に阻害させる。
【0094】
いくつかの実施形態では、凝固カスケードを誘発して、血栓形成を安定化し、耐久性の高い異物反応および線維性閉塞を促進する生物活性薬剤が望ましい。例えば、いくつかの実施形態では、インプラント10は、増殖因子、組織付着因子、凝固因子、化学療法薬、走化因子、および抗生物質などの望ましい治療および臨床薬剤で前処理することができる。これらの薬剤は、共有結合、イオンまたは疎水性結合、コーティング、化合物形成、インプラント内への物理的吸収、または他の何らかの手段によるインプラントとの組合せを施すことができる。いくつかの生物活性薬剤は、限定はしないが、トブラマイシン、エンタマイシン、およびバンコマイシンなどの抗生物質、因子I〜VIII、トロンビン、およびフィブリノゲンなどの凝固因子、サイトカイン、例えば、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、形質転換増殖因子ベータ(TGF−β)、TNFα、NGF、GM−CSF、IGFα、IL−1、IL−8、およびIL−6、結晶性鉱物およびケイ酸塩などの炎症性微結晶、フィブロネクチン、ラミニン、およびビトロネクチンなどの組織付着因子、アプロチニンなどのプロテアソーム阻害剤、コラーゲンおよびフィブロネクチンなどの細胞外基質分子、微量金属、微量のタルカムパウダー、金属ベリリウム、およびシリカなどの刺激薬、ポリリシンおよびエチレン酢酸ビニルなどの微量のポリマー、単球走化性タンパク質、線維芽細胞刺激因子I、ヒスタミン、エンドセリン−1、アンジオテンシンII、ブロモクリプチン、メチルセルギド、メトトレキサート、N−カルボキシブチルキトサン、四塩化炭素、チオアセトアミド、石英粉塵、線維、およびエタノールなどの、他の接着誘発剤、または血栓形成を安定化するか、または血餅溶解、例えば因子XIII、α2−抗プラスミン、プラスミノゲン、活性化因子阻害剤−1(PAI−1)などを含むタンパク質を阻害する他の分子、さらには、モルイン酸ナトリウム、オレイン酸エタノールアミン、および硫酸テトラデシルナトリウムなどの硬化剤および抗菌/抗感染症薬またはアモキシシリンなどの抗生物質、アンピシリン、ベンジルペニシリン、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、エリスロマイシン、リンコマイシン、リファンピシンまたは銀もしくは銀イオン、コロイド銀、スルファジアジン銀、および/または硝酸銀のような物質を含む。
【0095】
アクセス部位は、繊維性集合構造12を使用することを含む、適切な方法を使用することで、閉じることができる。いくつかの場合において、Steri−stripを使用して、アクセス部位を閉じることができる。いくつかの場合において、アクセス部位は、縫合糸で閉じることができる。圧縮包帯を患者にあてがうことができる。例えば、手術部位が患者の脚である場合、圧縮包帯を脚全体に配置することができる。圧縮包帯は、好ましくは、一技術に従って約3日間適所に残される。約3日間経過した後、その部位に深部静脈血栓症が生じていないか、浅静脈系から深静脈系へ血栓症が拡大していないか、精密検査することができる。インプラントの位置は、視覚化技術、例えば、超音波、X線を使用して、または触診により、確認される。閉塞は、好適な方法、例えば、カラーフロー・ドップラー、またはコントラスト増強蛍光X線を使用して確認することができる。
【0096】
閉塞構造の作製
繊維性集合構造12は、好適な形状および構成を含むことができる。一実施形態では、繊維性集合構造12は、単なる細長い繊維14の束である。他の実施形態では、図10に示されているように、繊維性集合構造12は、一端で結合された細長い繊維14の束であり、概ね飾り房または「たこ」に似ている。他の実施形態では、繊維性集合構造12は、図2〜9Aに示されているように、第1の端部と第2の端部で結合された細長い繊維14の束である。図11に示されているように、一実施形態では、細長い繊維14は、ソックスなど、管状構造に加工することができるヤーンを形成するように配列することができる。いくつかの実施形態では、繊維性集合構造12は、他の閉塞デバイスと結合することができる。例えば、図12に示されているように、一実施形態では、弾丸形生体再吸収性栓70を細長い繊維14の束と結合することができる。いくつかの実施形態では、繊維14の1つまたは複数は、好ましくは、約5ミクロン以下から約30ミクロン以上までの範囲の繊維直径を有する。いくつかの実施形態では、繊維は、外向き軸方向寸法を可変とすることができる。栓70は、中空解剖学的構造20内に配置することができ、栓70および繊維14は、中空解剖学的構造20を閉塞させることができる。
【0097】
図13に示されているように、いくつかの実施形態では、インプラント10は、内腔空間をうまく満たすように繊維14またはストランドをより開かせておくため繊維14と同じ生体分解性材料(または他の生体分解性材料)で作られた、自己膨張要素80、例えば、格子、カーカス、またはコイルを有する。格子、カーカス、またはコイル構造80は、血流内に配備されると自己膨張する。繊維14およびカーカス80は、好適な結合機構により近位および/または遠位端のところで結合されるか、または代替策としてインプラント10全体を通して結合されるようにできる。トロンビン、フィブリノゲン、または他の活性タンパク質、ペプチド、および/または薬剤82を繊維材料14の表面に塗布するか、または組み合わせて生体再吸収性材料の外側原子層内に入れ、表面に線維性閉塞を発現するのを促進することができる。
【0098】
上述のように、いくつかの実施形態では、自己膨張する内部要素80を備えることができる。この自己膨張内部要素は、さらに、生体再吸収性材料(例えば、0.010インチ以下から0.012インチ以上の単繊維)から作ることもできる。この自己膨張内部要素80は、例えば、カーカス、ケージ、コイル、ステント本体、組紐、および/または他の好適な格子構造を含むことができる。要素80は、好ましくは、本明細書で説明されている基本繊維性集合構造12と絡み合う。要素80は、体積充填を改善してさらに大きな血管を処理できるようにするために備えることができる。要素80は、より一貫性の高い、信頼できる生物学的閉塞を行えるようにインプラントと血管壁との接触を改善することができる。いくつかの実施形態では、要素80は、繊維性物質材料12の一部と結合される短い部分であってよい。他の実施形態では、要素80は、インプラント10のほぼ全長にわたって延びることができる。いくつかの実施形態では、要素80は、両方のアンカー固定特性を備えることができ、血流を減らして生物学的閉塞性をより高めることができる。いくつかの実施形態では、自己膨張要素80から間隔をおいて並べられている繊維性集合構造12の一部は、さらに緩い質感、空洞率、およびやぐらを有し、血管直径に広がり、インプラントを移動させる可能性がある圧力ヘッドが生じないようにある程度の血流に対応することができる。
【0099】
繊維性集合構造12を有するインプラント10を製造するために好適な方法を使用することができる。繊維性集合構造12を製造するいくつかの方法は、編むこと、織ること、フェルト地で作ること、絡まらせること、射出成形、熱成形、注型、紡糸、溶融紡糸、電気紡糸、溶媒キャスト、レーザー切断、溶媒の塗布、接着剤の塗布、押し出し成形、延伸、捲縮、および他の繊維加工技術のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0100】
一実施形態では、繊維性集合構造12は、繊維を編むことで形成することができる。一実施形態では、管状繊維性集合構造12は、ニッティングフィクスチャ、例えば、ニッティングノビー、ニッティングネリーで編まれる。ニッティングフィクスチャのサイズは、適宜サイズを決められた管状繊維性集合構造12を形成するように選択することができる。ケーブルは、適当な数だけ使用できる。所望の糸編み数および仕上がり織りの所望の空隙率を得るために必要なケーブルの所望の数に基づいて、適切な数のピンを持つニッティングフィクスチャを選択することができる。一実施形態では、繊維性集合構造12は、繊維材料を編んで管状繊維物質12を形成することにより形成することができる。他の実施形態では、繊維性集合構造12は、繊維材料をフェルト地に仕上げて密度の高い不織メッシュを形成することにより形成することができる。非連続または短繊維ヤーンも、繊維性物質12を形成するために使用することができる。梳綿、延伸、リング精紡、粗紡、ヒートセットで長繊維を捲縮または渦巻き形態にすることによる一般的質感加工は、繊維を加工するために使用される。また、ヒートセットがエアージェット質感加工などにおける生体分解性材料特性に悪影響を及ぼす場合に、繊維を機械的にロックするか、または繊維を絡ませることも可能である。
【0101】
短繊維ヤーンと長繊維ヤーンの組合せも、繊維性物質12を形成するために使用することができる。この一実施例では、短繊維束または低ねじれ短繊維ヤーンの周りに連続長繊維を巻き付けることを伴う。短繊維ヤーンおよび長繊維ヤーンは、異なる原料物質から構成することができる。
【0102】
一実施形態によれば、繊維加工は、スピン仕上げを材料に施し、疑似ねじり質感加工を行えるようにすることを含むことができる。疑似ねじり質感加工は、ヤーンをかさ高にするために使用することができる。Sよりをヤーンに施すことができる。ヤーンは、ねじれ構成で加熱される。ヤーンは、好ましくは、原料物質の内在的繊維温度に応じて、約60℃以下から約150℃以上までの範囲内で加熱される。他の実施形態では、この範囲外の温度、および/またはこの範囲と部分的にオーバーラップする温度も使用できる。次いで、ヤーンを冷まして、ねじれを解く。下流焼きなまし、トルク解放、伸長低減工程をなくして、インプラントの質感加工を高めることができる。材料は、さらに、加熱、引き延ばし、緩和を数回繰り返すこともでき、これで、ヤーンをさらにかさ高にする。
【0103】
他の実施形態では、繊維性集合構造12は、射出成形により形成することができる。材料は、融点よりも高い温度で加熱され、ポジティブモールドとネガティブモールドとの間の空間内に注入され、これにより繊維性集合構造12を形成することができる。いくつかの実施形態では、材料は、ネガティブモールドにのみ注入される。他の実施形態では、繊維性集合構造は、熱成形により形成することができる。材料は、ポジティブモールドとネガティブモールドとの間に押し込まれ、融点以下の温度で加熱されて、成形形状を保持することができる。一実施形態では、PLA、PGA、または他の材料ヤーンは、ヤーンの元のロフトを保持しつつ、ヒートセットして形状を整えることができる。
【0104】
他の実施形態では、繊維性集合構造12は、注型により形成することができる。例えば、一実施形態では、ゼラチン、または他の材料を、管の中に注ぎ込んで、繊維性集合構造12を形成することができる。他の実施形態では、繊維性集合構造12は、回転注型により形成することができる。他の実施形態では、繊維性集合構造12は、溶媒キャストにより形成することができる。例えば、一実施形態では、ポジティブモールドを溶液にさっと浸して、繊維性集合構造12を形成することができる。他の実施形態では、溶液をネガティブモールドに注ぎ込んで、繊維性集合構造12を形成することができる。他の実施形態では、溶液をネガティブモールドとポジティブモールドとの間の空間内に注ぎ込んで、繊維性集合構造12を形成することができる。他の実施形態では、溶媒キャスト時に形成される多孔質構造または注型発泡は、注型時に水溶性物質、例えば、食塩を材料に加え、次いで硬化後に食塩を溶かすことにより作ることができる。例えば、食塩結晶などのポロゲンの存在下での塩化メチレンまたは他の溶媒による溶媒キャストPLLA。他の実施形態では、多孔質構造は、重炭酸アンモニウムを加えて、繊維性集合構造12を形成する材料内にガス充填空隙を形成することにより作ることができる。他の実施形態では、溶媒キャスト技術は、繊維性集合構造12を形成するために使用することができる。繊維結合は、PGA繊維をPLLA溶液に浸すことによりなされる。溶媒が蒸発すると、PGA繊維網がPLLA内に埋め込まれる。さらに加熱すると、2つの繊維の基質が形成される。次いで、塩化メチレンまたは他の溶媒を使用して、PLLAを溶解し、PGA繊維性集合構造12を置き去りにする。
【0105】
いくつかの実施形態では、二次加工は、さらに繊維性集合構造12を定めるために、レーザー切断、溶媒塗布、および/または接着剤塗布を含むことができる。例えば、一実施形態では、PLAおよび塩化メチレンまたは他の溶媒を使用して、繊維性集合構造12を作成することができる。
【0106】
生体再吸収性材料
繊維14および/または他の構成要素を形成するのに適した材料として、1つまたは複数の生体分解性ポリマーが含まれうる。例えば、好適な生体分解性ポリマーとして、ポリグリコリド、ポリラクチド、および乳酸とグリコール酸との共重合体などのαヒドロキシ酸がある。ポリ(乳酸−グリコール酸)(PLGA)は、いくつかの実施形態では、好適な材料である。PLGAは、VICRYL(商標)(ニュージャージー州サマセットのJohnson&Johnsonの一部門であるEthiconにより製造されているPolyglactin 910)という商標名で販売されているグリコリドおよびラクチドの合成吸収性共重合体である。加水分解による酵素分解を通じて吸収される。ポリグリコール酸(PGA)は、合成吸収性ポリマーである。ポリラクチド(PLA)は、乳酸(ラクチド)の環状ジエステルから調製される。生体再吸収性PLAおよび/またはPGAから作られるフォームは、特に好ましい。
【0107】
繊維性集合構造12は、好ましくは、本明細書で説明されている、および/またはすべて参照により本明細書に組み込まれ、本明細書の一部をなす2004年8月31日に出願された「APPARATUS AND MATERIAL COMPOSITION FOR PERMANENT OCCLUSION OF A HOLLOW ANATOMICAL STRUCTURE」という表題の米国仮特許出願第60/605843号、2005年8月26日に出願された「APPARATUS AND MATERIAL COMPOSITION FOR PERMANENT OCCLUSION OF A HOLLOW ANATOMICAL STRUCTURE」という表題の米国特許出願第11/212,539号、2001年5月16日に出願された「STENT GRAFTS WITH BIOACTIVE COATINGS」という表題の米国特許出願第09/859,899号、2001年5月18日に出願された「INJECTABLE DRUG DELIVERY SYSTEMS WITH CYCLODEXTRINE POLYMER BASED HYDROGELS」という表題の米国特許出願第09/861,182号、および1990年7月3日に発行された米国特許第4,938,763号、1995年10月10日に発行された米国特許第5,456,693号、2002年7月23日に発行された米国特許第6,423,085号、2004年1月13日に発行された米国特許第6,676,971号、および2004年3月2日に発行された米国特許第6,699,272号において開示されている1つまたは複数の生体分解性ポリマーから形成される繊維および/または他の構成要素を含む。
【0108】
例えば、一実施形態では、繊維性集合構造12は、繊維14および/またはポリラクチドおよび/またはポリグリコリドから形成された他の構成要素を含むことができる。上述のように、ポリグリコリド(PGA)は、合成吸収性ポリマーである。加水分解感受性を示す、ポリグリコリドは、典型的には、埋め込み処理後数ヶ月以内に吸収される。ポリラクチド(PLA)およびポリグリコリド(PGA)は、開環重合で高分子量ポリマーを合成するか、または乳酸および/またはグリコール酸の直接重縮合で低分子量ポリマーを合成することにより、環状ジエステルラクチドおよび/またはグリコリドから調製できる。乳酸は、3つの立体配置を生み出す2つの光学異性体またはエナンチオマー内に存在するキラル分子である。L−エナンチオマーは、生物学的代謝産物であるが、D−エナンチオマーおよびD,Lラセミ混合物は、乳酸の合成調製から得られる。ポリ−L−ラクチドが身体によって吸収されるのに要する時間は、特に高分子量形態の場合に他の生体吸収性材料と比較して比較的長い。いくつかの実施形態では、繊維性集合構造は、繊維および/またはε−カプロラクトン、PEG、コラーゲン、ゼラチン、でんぷん、ポリ(アクリルアミド−ヒドラジド共重合体)、および/または本明細書に記載される他の生体再吸収性材料から形成される他の構成要素を含むことができる。
【0109】
多くの再吸収性ホモポリマーおよび共重合体は、このデバイスに使用することができ、限定はしないが、臨床使用では一般的な、配合および初期Mw(分子量)に応じて数日から数年の範囲の分解時間により特徴付けられるラクチド、グリコリド、およびカプロラクトンから誘導されたポリマーを含む。乳酸は、キラル分子であり、これは、LおよびD異性体で存在し(L異性体は、生物学的代謝産物である)、そのため、「ポリ乳酸」は、実際には、ポリマー族、純粋なポリ−L−乳酸(L−PLA)、純粋なポリ−D−乳酸(D−PLA)、およびポリ−D,L−乳酸(DL−PLA)を指す。L−PLA、さらにはポリ−カプロラクトン(PCL)のホモポリマーは、臨床的に有用であり、許容される候補である。さらに、ポリグリコール酸(PGA)、ポリグリコール/ポリ−L−乳酸共重合体、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(トリメチレンカーボネート)共重合体、およびポリ(ヒドロキシ酪酸塩)(PHB)ならびにヒドロキシ酪酸塩とヒドロキシ吉草酸塩との共重合体、さらにはポリ酸無水物、ポリオルソエステル、ポリホスファゼン、およびコラーゲン、エラスチン、フィブリノゲン、フィブリネクチン、ビトロネクチン、ラミニン、ゼラチン、および凍結乾燥小腸粘膜下層のような天然生物分解物を含むその他の物質、およびこれらの組合せは、このデバイスの潜在的な候補材料の選択肢である。
【0110】
いくつかの実施形態では、繊維性集合構造の分解速度は、所定の個別分解速度を持つ生体再吸収性材料の比率を変えることにより選択することができる。例えば、一実施形態では、繊維性集合構造は、約50%のPGAおよび約50%のPLAを含む。他の実施形態では、繊維性集合構造は、約65%のPGAおよび約35%のPLAを含む。他の実施形態では、繊維性集合構造は、約70%のPGAおよび約30%のPLAを含む。他の実施形態では、繊維性集合構造は、約80%のPGAおよび約30%のPLAを含む。他の実施形態では、繊維性集合構造は、約90%のPGAおよび約10%のPLAを含む。他の実施形態では、繊維性集合構造は、約100%のPGAを含む。他の実施形態では、繊維性集合構造は、約100%のPLAを含む。
【0111】
分解期間の選択は、耐久性閉塞を維持することに基づく。材料分解期間は、好ましくは、組織成長侵入を通して耐久性のある線維性閉塞が確実なものとなるように、ただし閉塞が成熟できないほど、または閉塞の前に材料が塞栓を起こすほど速すぎないように選択される。組織が成長侵入するにつれ、インプラントは、好ましくは、消えてゆく。インプラントの存在が長すぎる場合、患者が脚にそって触知可能な索状組織を有する可能性がある。
【0112】
いくつかの実施形態では、一定の分解時間となるように分子量が特定の範囲内である材料が選択される。例えば、材料は、約1,000ダルトン以下から、約100,000ダルトン以上までの分子量を持つことができ、所望の分解期間となる。固有粘度が約0.1dl/gm以下から約4dl/gm以上までである材料は、分解速度および材料の加工の容易さに影響を及ぼしうる。いくつかの実施形態では、分解期間は、好ましくは、約2週間以下から約2年間以上までの範囲である。いくつかの実施形態では、材料の1つまたは複数は、患者体内に所望の炎症反応を引き起こしうる。いくつかの実施形態では、材料の1つまたは複数は、材料が生体分解するときに局所反応、例えば、pH変化を引き起こしうる。
【0113】
一実施形態では、ヤーン繊維は、説明されている材料のうちの1つまたは複数から形成できる。いくつかの実施形態では、繊維性集合構造12は、約40デニール以下から約7200デニール以上までの範囲とすることができる。いくつかの実施形態では、繊維性集合構造12は、約200デニール以下から約15000デニール以上までの範囲とすることができる。いくつかの実施形態では、繊維性集合構造12は、約1本から約24本以上の繊維を含むことができる。いくつかの実施形態では、繊維性集合構造12は、約24本から約600本以上の繊維を含むことができる。いくつかの実施形態では、繊維の1つまたは複数は、好ましくは、約5ミクロン以下から約30ミクロン以上までの範囲の繊維直径を有する。他の実施形態では、繊維は、0.1デニールから10デニールまでの範囲とすることができ、インプラントは、いくつかの実施形態において、500から100,000本の繊維を含むことができる。いくつかの実施形態では、インプラントは、500から500,000本までの繊維を含むことができる。いくつかの実施形態では、繊維は、5デニールから50デニールまでの範囲とすることができる。いくつかの実施形態では、インプラントは、10から1,000本までの繊維を含むことができる。
【0114】
いくつかの実施形態では、異なる共重合体繊維14を混合して、1つのさらに大きなヤーンを形成し、繊維性集合構造12の長さにそって生体分解の差を生じるようにできる。例えば、一実施形態では、異なる繊維14を繊維性集合構造12の前端近くでヤーンと絡み合わせ、後端のフィルタとして機能するようにできる。他の実施形態では、異なる繊維14をヤーンと絡み合わせて、繊維性集合構造12が繊維性集合構造12の異なる部分で異なる分解速度を有するようにできる。一実施形態では、例えば、繊維性集合構造12は、その断面全体にわたって異なる分解速度を有し、これにより組織成長侵入を助長する。
【0115】
いくつかの実施形態では、図14に示されているように、複数の材料を組み合わせて、分解プロファイルがカスタマイズされた繊維14を生成することができる。特定の繊維14の分解速度は、繊維の異なる部分にそって異なりうる。さらに、インプラント10の分解速度は、インプラント10の異なる部分にそって異なりうる。一実施形態では、特定の繊維14は、比較的遅い分解速度を有する、例えば、繊維の長さの約25%にそった第1の部分、および比較的速い分解速度を有する、例えば、繊維の長さの約75%にそった第2の部分を持つ。一実施形態では、第1の部分は、第2の部分より遅く分解し、したがって、第1の部分は栓のように働き、中空解剖学的構造20内の血流を妨げる。他の実施形態では、最も中心にある繊維は、最も外側にある繊維と異なる材料で構成することができ、このため、半径方向寸法を通して吸収率に差が生じる。いくつかの実施形態では、複数の材料を共押し出し成形して、図14の上図に示されているように、所望の特性を有する繊維14を形成することができる。いくつかの実施形態では、複数の材料を順次押し出し成形して、図14の中図に示されているように、所望の特性を有する繊維14を形成することができる。いくつかの実施形態では、複数の材料をより合わせて、図14の下図に示されているように、所望の特性を有する繊維14を形成することができる。
【0116】
いくつかの実施形態では、図15に示されているように、繊維14は、断面を可変にし、これにより、繊維外形を一定に保ちつつ分解を加速することができる。いくつかの太さが可変のストランド14は、図15の上図に示されているように、素早く分解する小さな断面を有する領域を含む。非円形断面を有するいくつかのストランド14は、表面積対体積比が大きく、図15の中図および下図に示されているように、分解速度が速い。太さが可変のストランドは、さらに、構造を多孔質および開放状態に保ち、複数の繊維が互いに近い位置に置かれる場合でもやぐらを形成する。図16に示されているように、いくつかの実施形態では、詰め合わせたときに、ストランド14の間にギャップはなく、他の実施形態では、詰め合わせた場合でも、太さが可変のストランド14の間にギャップがある。さらに、図17に示されているように、いくつかの実施形態では、中空繊維14が使用される。中空繊維14は、ろうそくの芯に染みこむように血液を繊維に染みこませ、接触する表面積を広げて分解速度を速くすることができる。さらに、いくつかの実施形態では、特に、所望の繊維長が毛管現象だけで血液が移動できる距離よりも長い場合に、繊維14の長さにそった打ち抜き穴を使用することができる。
【0117】
いくつかの実施形態では、インプラント10は、複数材料のヤーンを含むことができる。一実施形態では、二成分繊維を使用することができる。米国の二成分繊維の生産者としては、BASF Corporation、DuPont Company、Fiber Innovation Technology,Inc.、KoSa、およびSolutia Inc.がある。二成分繊維は、同じ紡糸口金から押し出し成形された異なる化学的および/または物理的特性を持つ2つのポリマーからなり、ポリマーは両方とも同じ長繊維または繊維の中にある。二成分繊維のいくつかの利点、能力、および特性としては、熱接着、自己かさ高、非常に細かい繊維、独特の断面、および安価に得られる特殊なポリマーまたは添加剤の機能性が挙げられる。大半の市販の二成分繊維は、鞘/コア内に、並べて、または偏心している鞘/コア配列で構成される。二成分繊維は、繊維性集合構造12の分解速度を可変にできるため都合がよい。自己かさ高二成分繊維は、並べて、または偏心断面を持たせて、形成されることが最も多い。繊維間の配向が変化することで、熱が加えられるか、または緩和されたときの収縮または歪みの差のせいで捲縮が生じる。
【0118】
連続供給送達システム
いくつかの実施形態では、中空解剖学的構造を治療するシステムは、中空解剖学的構造内に挿入できるようにサイズが決められている生体吸収性繊維性インプラント(図2〜13に示されている実施形態のうちの1つまたは複数のものなど)を含む。連続供給機構は、インプラントを中空解剖学的構造内に送達するように構成されるか、または使用されることが可能である。
【0119】
図18〜23は、連続供給中空解剖学的構造閉塞システム200のいくつかの実施形態を例示している。図18〜23の実施形態は、一般に、繊維性集合構造210の各部を中空解剖学的構造220内に連続的に送達することができる構造を伴い、これにより、実質的に大きな静脈および/または中空解剖学的構造の長い部分を繊維性集合構造210で閉塞させることができる。
【0120】
連続供給中空解剖学的構造閉塞システムと関連して使用される繊維性集合構造210は、本明細書の他の場所で説明されているような、好適な繊維性閉塞構造を含むことができる。例えば、繊維性集合構造は、生体再吸収性材料または他の材料の複数の繊維を含むことができる。いくつかの実施形態では、繊維は、「押しつぶされ」て、さらに高い密度の繊維性構造の物質を形成するように緩く配列することができる。他の実施形態では、繊維性集合構造は、細長い構造にそって複数の間隔で配置されている複数の結び目または他の比較的高い密度の物質を含むことができる。いくつかの実施形態では、細長い繊維性集合構造は、送達デバイスよりも長い未圧縮の長さを持つことができる。例えば、いくつかの実施形態では、繊維性集合構造は、約1mから約30mまでの範囲の未圧縮の長さを持つことができ、特定の一実施形態では、繊維性集合構造は、約3mの未圧縮の長さを有する。埋め込まれた状態では、繊維性集合構造は、典型的には、緩い未圧縮の状態に比べて、実質的に短い長さ、小さい体積を占有するように圧縮される。埋め込み後、繊維性集合構造は、中空解剖学的構造内で約5cm以下から約30cm以上まで、いくつかの実施形態では10cm以下から20cm以上までの範囲の圧縮された長さを持ちうる。
【0121】
図18から23は、連続する長さ相当の繊維性物質210および軸方向に往復する送達部材230を外側鞘232内に含む連続供給中空解剖学的構造閉塞システムの実施形態を例示している。軸方向に往復する部材230は、一般的に、外側鞘232の遠位端240から繊維物質210の一部を排出するように構成される。軸方向に往復する部材230は、一般的に、往復する部材230が外側鞘232に関して遠位方向に移動するときに繊維性物質210と係合するように構成され、これにより、鞘232の遠位端240から細長い繊維性物質210のセグメントを排出する。いくつかの実施形態では、軸方向に往復する部材230は、さらに、部材230が近位方向に移動するときに繊維性集合構造210との係合を解放するように構成され、これにより、往復する部材230は、繊維性物質210を近くまで引っ張らずに、鞘232および繊維性物質210に関して近位に移動することができる。
【0122】
図18〜20の実施例について示されている、一実施形態では、往復する部材230は、外側鞘232内および細長い繊維性集合構造210にそって配置された細長いプッシュロッドを備える。この実施形態の往復する部材230は、遠位プッシャヘッド242を備えることができ、このヘッドは、ヘッド242が繊維性物質210と係合する第1の位置とヘッド242がプッシュロッド230の近位移動時に繊維状物質210との係合を外す第2の位置との間で移動可能である。
【0123】
図18から20の実施形態では、プッシュロッドは、ロッドの遠位端のプッシャヘッド242を介してロッドの近位端に加えられた軸方向力を繊維性集合構造210に伝達する十分なカラム強度を持つ材料および構造を備える。プッシュロッドは、好ましくは、デバイス全体を患者の脈管構造に通して所望の送達部位に送ることができる十分な柔軟性も有する。
【0124】
図21に例示されている実施形態では、プッシャヘッド242は、第1の(開放)位置と第2の(閉鎖)位置との間で枢動するように構成された一対の蝶番付きの脚244を備える。一実施形態では、脚244は、バネまたは他の弾力性のあるバイアス部材により外方向にバイアスをかけられる。このような実施形態では、バイアス力は、好ましくは、プッシュロッドが繊維性集合構造210に関して近位に引っ張られるときに第2の位置の方に脚が偏向できる十分に小さい力である。代替え実施形態では、脚244は、引きおよび/または押しワイヤなどの作動部材により第1の位置と第2の位置との間で手動で移動できる。
【0125】
他の実施形態では、プッシャヘッドは、剛性、弾力性のある材料で作られた複数の脚を備えることができる。これらの脚は、第1の膨張位置に向けて外へ放射状にバイアスがかけられ、これらの脚は、細長い繊維性集合構造と係合する。脚は、さらに、ロッドが近位に引っ張られるときに繊維性集合構造との係合を外す十分に小さいバイアス力を備えうる。さらに他の実施形態では、プッシャヘッドに、往復する部材の遠位移動に際して繊維性集合構造と係合するように構成された単一の半径方向に膨張収縮可能な部材を備えることができる。さらに他の実施形態では、プッシャヘッドは、剛性材料で作ることができる。脚は、フォークまたは「V」字型とすることができ、フォークが前方に押されるときに繊維と係合して繊維性集合構造を送達し、フォークが送達された繊維性集合構造に関して引っ張られるときには繊維と係合しない。さまざまなプッシャヘッド形状が考えられ、本発明の範囲内にある。
【0126】
図21〜23は、連続供給中空解剖学的構造閉塞システムの他の実施形態を例示している。図21〜23の実施形態では、軸方向に往復する部材230は、細長い繊維性集合構造210が延びる内腔250を備える。これらの実施形態の軸方向に往復する部材230は、さらに、好ましくは、往復する部材230が外側鞘230に関して遠位に移動するときに繊維性集合構造210を遠位へ押すように構成された遠位プッシャヘッド242を備える。前記実施形態のように、プッシャヘッド230は、好ましくは、ヘッド230が外側鞘232および繊維性集合構造に関して近位に移動されるときに繊維性集合構造210との係合を外すように構成される。
【0127】
図21の実施形態において、プッシャヘッド230は、一対の蝶番付きグリッパー部材252を備える。他の実施形態では、プッシャヘッドは、1から4まで、またはそれ以上のグリッパー部材を任意の場所で備えることができる。グリッパー部材252はそれぞれ、内向きのバイアスが弾性的にかけられており、グリッパー252の間に延びる繊維性集合構造をつまむ。グリッパー部材252は、好ましくは、グリッパー部材252と細長い繊維性構造210との間の摩擦が、グリッパー部材252を内向きに枢動するさせるのに十分な力となるように構成され、これにより、往復する部材230の遠位移動の際に繊維性構造210を掴む。グリッパー部材252は、さらに、好ましくは、往復する部材230の近位移動の際に繊維性構造210の係合を外すように構成される。これらの特性は、グリッパー部材252に歯を設けるか、またはグリップ部材252の長さおよび/またはバイアス力を変えることにより得られる。
【0128】
図22および23の実施形態は、内側鞘262の遠位端から延びる複数の爪260を有するプッシャヘッド230を備える。爪260は、一般的に、特に、内側鞘262が遠位方向に移動するときに、繊維物質をつまむように半径方向内向きにバイアスがかけられる。爪260は、管の円筒部を切断して尖ったセグメントを形成することにより形成することができる。次いで、爪260は、内側に曲げられ、繊維性物質210と係合するようにできる。他の実施形態では、内側鞘の遠位部は、繊維性物質を中に通して遠位方向に引っ張ることができるが、繊維性物質が近位で押されて遠位開口部内に入ることはできないようなサイズの遠位開口部を備える円錐形部分などの直径が小さい部分を含むことができる。他の実施形態では、外側鞘232は、さらに、外側鞘232の遠位端から延びている複数の爪260を備えるか、またはそれとは別に、円錐形状およびその遠位端で小さな直径、熱成形ポリマーのカモノハシ形状、または機械加工された金属爪特徴を持つ弾性ポリマー材料で構成することができる。さまざまな代替え実施形態が考えられ、本発明の範囲内である。
【0129】
図24〜26の実施形態は、繊維性集合構造210を送達するために使用される剛性フォーク形状プッシャヘッド242を有する往復する部材230を備える。プッシャヘッド242は、繊維性集合構造210の遠位端と係合し、力ずくで図25に示されているような外側鞘232上の爪260を通り越させる。このような相互作用により、優先的に、繊維性集合構造の一部が中空解剖学的構造内に送達される。次いで、往復する部材230は、引っ込められ、繊維性集合構造210との係合が外される。この実施形態では、繊維性集合構造210が逆方向に移動して、外側鞘232に戻るのを、爪260で防ぐ。この動作により、さらに、プッシャヘッド242は図26に示されているように送達されるときに繊維性集合構造210との係合を完全に外すことができる。往復する部材230は、再び、前方に作動され、プッシャヘッド242は、再び、その長さ上の異なる位置で繊維性集合構造210と係合し、さらに繊維性集合構造210を外側鞘232から外へ出し、中空解剖学的構造内に送達する。このサイクルは、所望の量の繊維性集合構造が送達されるか、または所望の治療長が得られるまで連続的に繰り返される。
【0130】
いくつかの実施形態では、一時的に繊維性物質210を実質的静止状態に保持し、軸方向に往復する部材230が、軸方向に往復する部材230の近位移動時に繊維性物質を近位に引っ張らないようにすることが望ましい。いくつかの実施形態では、繊維性物質は、図19に示されているように鞘232から排出された後に外側鞘の遠位縁に単に隣接するだけで近位方向の移動に抵抗しうる。他の実施形態では、外側鞘は、複数の爪、または直径の小さい部分、または上述のプッシャヘッドに類似している他の構造を備えることができる。
【0131】
いくつかの実施形態では、往復する部材230および外側鞘232を自動化された、または手動のピストル型グリップハンドルと関連付けることが望ましく、これにより、図27a〜27cに示されているように、繊維性集合構造210を片手で、簡単に、連続して送達することができる。図27cに示されているように、まず、プッシュロッドは、インプラント材料の手始めに使用される。次いで、ハンドルを動かして、インプラント材料を係合し、先へ進める。次いで、ハンドルは、解放され、インプラント材料は中空解剖学的構造内に分注される。次いで、ハンドルが再び動かされ、さらにインプラント材料を同じ場所に詰め込む。次いで、ハンドルが、部分的にのみ解放される。すでに配備されているインプラント材料と中空解剖学的構造壁との間の摩擦が十分にあれば、材料が追加堆積される。インプラント材料がハンドルで逆戻りしないようにするために手動圧縮も使用できる。次いで、ハンドルが再び動かされ、インプラント材料が、静脈管にそって堆積される。この動作は、所望の治療長の条件が満たされるまで繰り返すことができる。
【0132】
追加の実施形態では、外側鞘232よりも長い繊維性集合構造210の場合、繊維性集合構造210は、糸巻き250にコイル状に巻かれるか、またはカートリッジ(図に示されていない)に収納され、図28に示されているように繊維性集合構造210の遠位端が中空解剖学的構造内に連続的に入ってゆくときに、糸巻き250またはカートリッジから離れて外側鞘232の近位端内に送り込まれるように構成されうる。
【0133】
他の実施形態では、繊維性物質は、小体積流の圧縮ガス(例えば、CO2)を使用して、材料を血管内に排出することで血管内に配備することができ、このため、プッシュロッドを使わなくて済む。
【0134】
他の実施形態では、繊維性集合構造210は、短い充填セグメントではなく長くオーバーラップする形で導入することができる。このような実施形態では、繊維性集合構造210は、カテーテルアセンブリ全体が引っ込められている間に、治療長全体にそって送達される。次いで、カテーテルアセンブリ全体は、前方に進められ、繊維性集合構造210の他のセグメントは、治療長全体にそって送達される。このサイクルを繰り返して、長い治療長上で繊維性集合構造210を送達することができる。このようなオーバーラップする配備システムの一実施形態は、図29に示されている。
【0135】
図30に示されているように、さらに他の実施形態では、外側鞘232の外側は、カテーテルが治療部位に送り込まれるときに血管内膜内層をブラッシングし、擦る動作をする2cm以下から10cm以上までの長さだけ延びる遠位端のところの擦り部分280も備えることができる。これは、血管とさらには血管の内膜内の内弾性板の内側を覆う内皮細胞を効果的に露出し、分離する。この組合せにより、繊維性集合構造210を運ぶカテーテルが治療部位に進んだときに血管内膜内層の同時露出が可能であり、繊維性集合構造を配備する前に血管内膜を傷つける別の工程を加える必要がなくなる。血管の内膜構造を分離することで、組織成長侵入を改善し、凝固カスケードおよび生体治癒過程において繊維性集合構造を血管壁に一体化させることにより、耐久性のより高い閉塞を実現することができる。擦り部分280を実装する代替え手段は、限定はしないが、カテーテルから延びている毛ブラシ要素、例えば、ビーズブラストにより形成される単純な磨り減った表面、エッチングされた表面、微小機械加工小型切刃、ポリマーを使った盛り上がったフラップ、外側鞘表面などに関連する専用設計の、別に機械加工された構成要素を含む。
【0136】
図31に示されているように、いくつかの実施形態では、摩耗面を、鞘、カテーテル、道具、擦過器、および/または中空解剖学的構造の表面と係合するインプラント上に備えることができる。いくつかの実施形態では、摩耗面は、ブラシおよび/またはヤスリを含むことができる。一技術によれば、インプラントを送達するときに、中空解剖学的構造の表面を摩耗面により係合させて、内皮露出し、生物学的閉塞を高めることができる。例えば、ブラシのような構成要素を送達システムの外面に取り付けることが可能であるか、またはインプラント送達に先立って別のブラシを使用することもできる。ブラシの目的は、内腔の内側を覆う内皮細胞を露出し、血管内弾性板を分離することである。両方の動作により、慢性期に組織成長侵入および固定が改善される。ブラシ材料は、いくつかの実施形態では閉塞装置として適所に残すことができる。ブラシは、生体吸収性材料から、または非吸収性材料から作ることができる。図31に示されているように、いくつかの実施形態では、摩耗面は、魚の骨構成290、プロペラ構成292、ジグザグ構成294、スポンジおよび/またはフォームブラシ構成296、および二次らせん形状298のシャフトの周りに巻き付けるように構成された1つまたは複数の剛毛のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0137】
終端と固定
図32〜57Cを参照すると、いくつかの実施形態により、中空解剖学的構造320を治療するための装置300は、生体吸収性繊維体312を備える。固定部材302は、この繊維体312に関連付けられており、中空解剖学的構造320内に埋め込まれたときに繊維体312の移動を制限するように構成されている。いくつかの実施形態の一態様によれば、固定部材302は、テザー340を備える。いくつかの実施形態の他の態様によれば、固定部材302は、アンカー360を備える。いくつかの実施形態の他の態様によれば、固定部材は、膨張性要素380を備える。いくつかの実施形態の他の態様によれば、固定部材は、組紐382を備える。これらおよび他の実施形態、方法、技術、および態様は、さらに説明される。
【0138】
いくつかの実施形態では、インプラント310は、中空解剖学的構造320内にしっかり配置されるように構成される。中空解剖学的構造320内の固定により、インプラントが移動する可能性を低減することができる。いくつかの固定技術および構造は、以下でさらに詳しく説明される。他の好適な固定技術および構造も、インプラントの移動を制限するために使用することができる。一実施形態では、生体再吸収性閉塞やぐらインプラント310は、カテーテル、例えば8Fのカテーテルを通じて送達するように構成される。いくつかの実施形態では、生体再吸収性閉塞やぐらインプラント310は、好ましくは、十分に長いものを用意し、所望の埋め込み長全体にわたって中空解剖学的構造320を治療し、やぐらインプラントの過剰な材料を切り取れるように十分な材料を供給する。以下でさらに説明される一固定技術によれば、やぐらインプラント310は、アクセス部位304の付近の皮膚表面のところで切り取ることができる。やぐらインプラント310の一部は、必要ならば皮膚の下にたくし込むことができる。いくつかの実施形態、テザー340は、好ましくは、やぐら310の遠位部分でやぐらインプラント310と結合される。テザー340は、好ましくは、アクセス部位304を通って延び、アクセス部位304の近くの患者の皮膚に固定される。
【0139】
固定方法
一技術によれば、中空解剖学的構造を治療する方法は、生体吸収性繊維体312を中空解剖学的構造320内に埋め込み、繊維体312を中空解剖学的構造320内に固定して、中空解剖学的構造320内での繊維体312の移動を制限することを含む。この技術の一態様によれば、繊維体312を固定することは、中空解剖学的構造320のアクセス部位304のところに繊維体312をアンカーで固定することを含む。この技術の他の態様によれば、繊維体312を固定することは、膨張性アンカー380を中空解剖学的構造320内の繊維体312の近くに埋め込むことを含む。この技術の他の態様によれば、繊維体312を固定することは、中空解剖学的構造320内の埋め込み位置付近で中空解剖学的構造320を熱収縮することを含む。繊維体312を埋め込むことは、好ましくは、埋め込み位置に繊維体を埋め込むことを含む。この技術の他の態様によれば、繊維体312を固定することは、フェネストレーションアンカー360で繊維体312を固定することを含む。この技術の他の態様によれば、繊維体312を固定することは、経皮逆行アクセス部位306に繊維体をアンカー固定することを含む。これらおよび追加の態様、技術、方法、および実施形態は、以下でさらに詳しく説明される。
【0140】
アクセス部位アンカー
上述のように、また図32〜36および37Bに示されているように、この技術の一態様によれば、繊維体312を固定することは、中空解剖学的構造320のアクセス部位304のところに繊維体312をアンカーで固定することを含む。この技術の他の態様によれば、この方法は、さらに、図33に示されているように、繊維体312の一部が、中空解剖学的構造320から、患者の皮膚を通り、皮膚のアクセス部位304のところに出るように繊維体312の位置を決めることを含む。この技術の他の態様によれば、繊維体は、さらに、テザー340を含み、この方法は、さらに、図34に示されているように、皮膚と実質的に同じ高さになるように、またテザー340が、アクセス部位304を通り繊維体312を越えて延びるように、繊維体312の端部を切り取ることを含む。この事実の他の態様によれば、この方法は、さらに、図35に示されているように、テザー340をアクセス部位304の近くに固定することを含む。これらおよび他の態様、技術、方法、および実施形態は、さらに説明される。
【0141】
治療すべき中空解剖学的構造は、好ましくは、Seldinger技術を使用して治療すべきセグメントの近くの部位でアクセスされる。導入鞘(好ましくは6Fから8Fまでのサイズ)は、インプラント送達時に使用する部位に挿入される。この態様によれば、インプラント310は、アクセス部位304のところで静脈320に結合される。繊維体312をアクセス部位304のところで中空解剖学的構造320に結合するいくつかの方法および構造が、説明される。
【0142】
一実施形態によれば、生体吸収性全長繊維性集合構造312は、アクセス部位304を横切る形で、大伏在大腿静脈接合部近くから延びて血管を通り、生体の外部で終端するように構成される。アンカー糸および/またはテザー340は、インプラント310の遠位部分から近づく形でインプラント310の概ね中心にある部分を通り、アクセス部位304を通って延び、インプラント310が繊維体の中空解剖学的構造320内に配置されたときに生体の外部で終端することができる。いくつかの実施形態では、インプラント310自体は、好ましくは、本明細書に開示されている組合せのいずれかを含む。上述のように、繊維加工パラメータは、好ましくは、インプラント310の自己膨張および/または体積充填特性を高める繊維捲縮保持力を最大にするように選択される。上述のように、インプラント310は、プッシュロッドの先端上であらかじめ折り畳むことができ、場合によっては、手作業で質感加工して、絡み合わせ、必要ならばおよび/または望ましければさらにかさ高にすることができる。生体の外側の終端は、本明細書で説明されている1つまたは複数の能動的固定技術またはインプラントの移動を制限するのに適した他の技術により行うことができる。
【0143】
いくつかの実施形態では、インプラント310は、繋留糸340を含む。繋留糸340は、好ましくは、多繊維糸またはインプラントの残り部分、もしくは編まれた縫合材料よりも太い断面を有する単繊維である。一実施形態では、繋留糸340の第1の端部は、インプラント310の近位端部に付着される。いくつかの実施形態では、繋留糸340は、インプラント310の遠位端部のところで、および/またはインプラント310上の複数の場所で、インプラント310に取り付けられる。繋留糸340の第2の端部は、好ましくは、アクセス部位304のところで生体組織に付着される。付着の一方法によれば、以下でさらに詳しく説明されるように、中空解剖学的構造320の壁の外で繋留糸340に結び目を作る。結び目のかさは、好ましくは、繋留糸340がスライドして中空解剖学的構造320の壁を通って戻るのを防ぐ。例えば、結び目、例えば一つ結びを、繋留糸340の自由端で結び、これによりアクセス部位304のところでインプラント310をアンカー固定することができる。皮膚から出口点の近くで結び目が確実に締まるようにするために丸みのある工具を使用するとよい。複数の結び目を形成することができる。繋留糸340の端部を、結び目プッシャおよび/または丸みを帯びたカニューレの先端に通すことができる。糸通しやすくするために、繋留糸340の端部をシアノアクリレートであらかじめ硬くしておくとよい。いくつかの実施形態では、Loctite 4061を使用して、繋留糸340をあらかじめ硬くしておくことができる。単繊維縫合糸を含む繋留糸340は、いくつかの実施形態では硬化を必要とする場合もあれば、必要としない場合もある。結び目プッシャは、結び目へ進められ、次いで皮膚の表面よりも下に結び目を押し込むために使用される。次いで、結び目プッシャが取り除かれる。したがって、結び目は、中空解剖学的構造320の壁の外側に、ただし皮膚の表面の下に、配置される。過剰な繋留糸は、皮膚表面の真下で切り取ることができる。切開部位では、追加の創縫合技術、例えば、Steri−stripおよび/または組織接着剤を使用することができる。
【0144】
付着の他の方法によれば、繋留糸340は、図38に示されているように、針342で終端するか、または針と結合され、例えば、別の針に通され、次いで、結ばれるか、または皮下組織または皮膚に縫合されうる。結び目は、中空解剖学的構造320の外の皮下組織内に存在し、時間が経つうちに組織内に吸収されうる。いくつかの実施形態では、繋留糸340は、インプラント310と同じ材料で作ることができる。図39に示されているように、インプラント310の長さにそって1つまたは複数の場所に単繊維、編み上げ、および/または多繊維糸340を取り付けることが可能である。いくつかの実施形態によれば、繋留糸340をインプラント310の長さにそって複数の場所に結合することで、インプラント310を所望の場所にアンカー固定しやすくなり、またアンカー部位と反対のインプラント310の端部でインプラント310の移動を防ぐこともできる。繋留糸340を複数の場所に結合することにより、インプラント310が寸法を変える可能性を小さくできる。いくつかの実施形態では、糸の材料も、インプラント310よりも分解が遅い1つまたは複数の生体吸収性材料を含むことができる。さらに、繋留糸340の幾何学的形状および/または構成は、分解速度に影響を及ぼす可能性がある。例えば、インプラント310と同じ材料から作られる繋留糸340は、それにもかかわらず、繋留糸340内の繊維の直径がインプラント310を形成する繊維314の直径よりも著しく大きい場合にさらにゆっくりと分解することができる。
【0145】
いくつかの実施形態では、インプラント310自体がアンカーを形成することができる。インプラント310の少なくとも一部は、アクセス部位304のところで中空解剖学的構造320を出て、皮下組織内に残され、および/または皮膚上に配置されうる。この技術の他の態様によれば、この方法は、さらに、繊維体312の一部が、中空解剖学的構造から、患者の皮膚を通り、皮膚のアクセス部位304のところに出るように繊維体312の位置を決めることを含む。この技術の他の態様によれば、繊維体は、さらに、テザー340を含み、この方法は、さらに、皮膚と実質的に同じ高さになるように、またテザー340が、アクセス部位304を通り繊維体を越えて延びるように、繊維体312の端部を切り取ることを含む。この事実の他の態様によれば、この方法は、さらに、テザー340をアクセス部位304の近くに固定することを含む。それとは別に、いくつかの実施形態では、繋留糸と繊維性物質は両方とも、皮膚と同一の平面となるように切り取られ、および/または皮膚の下にたくし込まれ、切開時に患者の皮膚を通るものは何もない。
【0146】
いくつかの実施形態では、生体吸収性タブ350が備えられる。生体吸収性タブ350は、好ましくは、別々の構成要素である。これは、好ましくは、皮下組織内の中空解剖学的構造320の外側に配備される。生体吸収性タブ350は、好ましくは、中空解剖学的構造320の壁を横切る繋留糸340を介してインプラント310に接続される。それとは別に、生体吸収性タブ350は、インプラントに直接接続できる。例えば、インプラント310の少なくとも一部は、生体吸収性タブ350を含み、および/または結合することができる。タブ350を含むインプラント310の少なくとも一部は、生体吸収性タブ350が皮下組織に結合できるようにアクセス部位304を通って延びることができる。いくつかの実施形態では、タブ350は、約1mm×2mm×10mmの寸法を持つことができる。他の実施形態では、タブ350は、小さい場合も大きい場合もある。タブ350は、PLA、50/50PLGA、および/またはその他の生体吸収性ポリマーから作ることができ、例えば、ある種の生体吸収性ポリマーは、射出成形に特に適していると考えられる。タブ350は、好ましくは、インプラント310と同じ送達用鞘を通して配備できるような幾何学的形状および寸法を有する(例えば、8F)。繋留糸340には、好ましくは、柔軟な(縫合糸に似た)材料を使用する。いくつかの実施形態では、繋留糸340は、単繊維または多繊維編み上げおよび/または多繊維糸とすることができる。繋留糸340を含むいくつかの実施形態では、繋留糸340の第1の部分は、好ましく、生体吸収性タブ350に結合され、繋留糸340の第2の部分は、好ましくは、インプラント310に結合される。インプラント310の取付け位置は、インプラント310の遠位または近位部分、または真ん中部分、または場所の任意の組合せとすることができる。繋留糸340は、中空解剖学的構造320内に埋め込まれた場合にインプラント310がどれだけ引き延ばせるかを制御することができる。図39に示されているように、繋留糸340は、1つまたは複数の結び目344によって、インプラント310の近位部分、インプラント310上の複数の場所、および/またはインプラント310の遠位部分で結合することができる。さらに、繋留糸340は、いくつかの実施形態において、インプラントの真ん中および/または中間部分でのみ結合することができる。図39は、さらに、タブ350と結合されている繋留糸340の一部を示している。他のいくつかの実施形態では、繋留糸340は、他の種類のアンカーと結合されるか、および/または例えば本明細書で説明されているような患者の生体構造の一部と直接結合されうる。テザー340をインプラント310の遠位端部に留めることで、アクセス部位304に関してインプラント310のその端部が実際に固定される。繋留糸340は、好適な方法でタブ350に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、テザー340は、生体吸収性シアノアクリレート接着剤、熱接合技術、および機械的結合のうちの1つまたは複数を使用してタブ350に結合され、例えば、図37Bに示されているように、テザー340で結ばれている結び目は、タブ350内の孔を通してスライドするのを防ぐことができる。
【0147】
図36A〜Fは、アクセス部位304に関してインプラント310を固定するいくつかの技術を例示しており、これら実施形態のうちのいくつかは、上で説明されている。図36Aは、インプラント310が概ね患者の皮膚と同じ高さとなるように切断され、繋留糸340は、皮膚から約5cm(2インチ)を超える部分を切り取られる固定手順を示している。創傷は、好ましくは、Steri−stip、Tegaderm(商標)、または他の好適な創縫合要素で閉じられる。次いで、テザー340は、患者の皮膚にテーピングされる。テープは、数日した後取り外すことができ、テザーは皮膚と同じ高さになるように切り取られる。図36Bは、インプラント310およびテザー340が中空解剖学的構造320の壁に広がり、両方とも概ね患者の皮膚と同じ高さとなるように切断される固定手順を例示している。創傷は、閉じられ、インプラント310およびテザー340は、皮下組織内に保持される。図36Cは、インプラント310が概ね患者の皮膚の高さと同じ高さになるように切断され、生体吸収性タブ350が繋留糸340に取り付けられる固定手順を例示している。タブ350は、皮膚の下の皮下組織に結合され、これによりインプラント310をアンカー固定し、創傷は閉じられる。一技術によれば、アンカータブ350は、繋留糸340の自由端上に通され、繋留糸340は、皮膚から出口点に近い位置で結び目が作られ、これはアンカータブ350を保持する止め結び目として機能する。アンカー350の一端は、切開部内に挿入される。カニューレまたは丸みのある工具を使用して、アンカー350を皮膚表面の下に押し込むことができる。したがって、アンカー350は、静脈の外側に配置することができるが、皮膚表面の下である。切開部位では、追加の創縫合技術、例えば、Steri−stripおよび/または組織接着剤を使用することができる。図36Dは、繋留糸340が針342につながれている固定手順を例示している。創傷は閉じられ、テザー340は、組織内に縫い込まれ、インプラント310をアンカー固定する。図36Eは、繋留糸340が皮膚の上約5cm(2インチ)のところで切り取られる固定手順を例示している。次いで、テザーは、皮膚の下にたくし込まれ、創傷が閉じられる。図36Fは、インプラント310が引き延ばされ、切断され、中空解剖学的構造320の方へスライドして戻され、切開部の膨張を最小限に抑える固定手順を例示している。アンカー糸340は、切開部を出て、皮膚に結合される、例えばテーピングされる。インプラントの太さは、好ましくは、切開部を膨らませることにならない。アンカー糸340は、好ましくは、ロープロファイルであり、このため手術完了後に切開部が完全に閉じる。図36A〜36Fの技術の変更形態および組合せも使用することができる。
【0148】
アクセス部位アンカーを使用するいくつかの実施形態および技術の利点は、インプラントを中空解剖学的構造の壁および/または周辺組織と機械的に結合することができる点にある。手術は比較的容易で、迅速であり、麻酔を追加する必要がない。
【0149】
膨張性アンカー
上述のように、また図37Cに示されているように、この技術の他の態様によれば、繊維体312を固定することは、中空解剖学的構造320内の繊維体312の近くに膨張性アンカー380を埋め込むことを含む。例えば、一実施形態では、膨張性構造380、例えば組紐382は、図37Cに示されているように、カテーテルを通して配備され、大伏在大腿静脈接合部の近くの静脈内で膨張することができる。構造380は、好ましくは、静脈壁と係合し、インプラント310を適所にアンカー固定する十分な半径方向力を有する。インプラント310の近位端部分は、好ましくは、組紐382に結合される。組紐382には、生体吸収性材料を使用することができる。いくつかの実施形態では、単繊維は、多繊維組紐または多繊維糸と比較して曲げ弾性率が高いため、組紐382を形成するうえで好ましい。しかし、多繊維組紐または多繊維糸は、いくつかの実施形態において使用することが可能である。単繊維を使用すると、半径方向強度を高めることができる。いくつかの実施形態では、組紐382は、配備されたときに長さが約2cmとなる。他の実施形態では、組紐382は、それよりも長い場合も短い場合もある。組紐382は、送達カテーテル内に詰め込まれると、細長くなる。例えば、長さ2cmの組紐382は、送達カテーテル内に詰め込まれると細長くなり、長さは約8cmとなる。組紐382では、材料の所定の体積について十分に大きな膨張比が得られる。組紐382の膨張比は、典型的には、編物または織物構造の膨張比よりも大きい。しかし、いくつかの実施形態では、編物または織物膨張性構造を使用することができる。組紐382を軸方向に圧縮する動きがあると、組紐382の個別のストランドが互いに関してスライドすることが許されるため直径が実質的に増大しうる。いくつかの実施形態では、構造380は、約6Fから約20mmまで膨張することができる。
【0150】
他のいくつかの実施形態では、組紐382は、鋸歯状および/または研磨材料を含むことができ、中空解剖学的構造320の壁に対する高い摩擦力を提供することができる。いくつかの実施形態では、組紐382は、組紐382の一端を引っ張ることにより反転させることができる。組紐382を反転させると、組紐が加える半径方向力が増大し、および/または組紐の直径が増大しうる。反転された長さ上の所定の断面における繊維の本数を増やした場合も、組紐382の閉塞特性が高まる。さらに、いくつかの実施形態では、一方または両方向に歯または鋸歯を持つ、組紐382に関連付けられている別の構成要素を形成することができる。この別の構成要素を組紐382の外側部分に配置し、血管壁320との摩擦を改善することができる。いくつかの実施形態では、膨張性構造380は、インプラント310の1つまたは複数の部分に配備することができる。例えば、1つまたは複数の膨張性構造380は、インプラント310の近位部分、遠位部分、および中間部分のうちの1つまたは複数に配備することができる。膨張性構造380は、インプラント310の完全に血管内にある固定要素を実現できる。いくつかの実施形態では、膨張性構造380は、直径を大きくも小さくもでき、および/または中空解剖学的構造320のサイズに基づいて長繊維を加えたり減らしたりすることができる。血管サイズが小さい場合、膨張性構造380は、直径を小さくすることができ、および/または長繊維を減らして、小さな送達用鞘内に有利に収めることができる。
【0151】
他の実施形態によれば、例えば図40A〜Cに示されているように、丸みのある逆「V」字型アンカー383を固定要素302として備えることができる。アンカーの丸みのあるヘッドは、好ましくは、送達カテーテルから突き出て、治療が組織を傷つけることのない先端として機能する。アームは、カテーテル内に配置されている間にわずかにつぶれ、配備されると膨張する。アームの両端は、好ましくは、外向きに曲げられ、血管壁をうまく掴めるようになっている。いくつかの実施形態では、アンカーの少なくとも一部は生体分解性である。
【0152】
他の実施形態によれば、例えば図41に示されているように、「U」字型クリップ384を固定要素302として備えることができる。クリップは、好ましくは、カテーテル内に配置されたときにわずかつぶれ、配備されたときに膨張する中空でない丸いアームを持つ。両端は、いくつかの実施形態では適度に鋭くなっていてよい。
【0153】
他の実施形態によれば、例えば図42A〜Cに示されているように、膨張ワイヤーループ385を固定要素302として備えることができる。ワイヤーループは、好ましくは、送達時につぶれ、配備されると膨張する。いくつかの実施形態では、フックが遠位端に備えられ、中空解剖学的構造の壁への追加固定機能を持たせる。アンカーは、ニッケルチタンワイヤを含むことができ、PLA糸と結合することができる。
【0154】
他の実施形態によれば、例えば図43A〜Bに示されているように、膨張性「正弦波」形状ステント386を固定要素302として備えることができる。ステントは、好ましくは、送達時につぶれ、配備されると膨張する。いくつかの実施形態では、ステントは、溶媒噴霧PLAヤーンを備える。他のいくつかの実施形態では、ステントは、図44A〜Bに示されているように、ひし形387をとりうる。ひし形の端部を互いに近づくように引き寄せる糸を用意し、これにより、中間部分を外へ曲げさせ、中空解剖学的構造の壁に押し当てさせることができる。
【0155】
いくつかの他の実施形態では、ステントは、例えば図45A〜Cに示されているように、固定要素302を形成する編物チューブ388とすることができる。いくつかのを実施形態では、編物ステントは、図45B〜Cに示されているように、比較的短く、例えば長さ2cm程度でありえる。いくつかの実施形態では、編物ステントは、これよりも長くすることができ、例えば、図45Aに示されているように、最大約35cm以上とすることができる。編物ステント類似構造は、溶媒を噴霧したPLAヤーンを含み、4ピンニット編み機上で8プライを使用して編むことができる。いくつかの他の実施形態では、編組ステント389は、図46A〜Cに示されているように、固定要素302として備えることができる。編組ステントは、いくつかの実施形態では、インプラントが配備される前に配備することができる。組紐は、好ましくは、ある程度の自己膨張を示す。引き糸は、組紐と結合され、さらなる膨張を助けることができる。
【0156】
他の実施形態によれば、例えば図47A〜Bに示されているように、多剛毛膨張装置391を固定要素302として備えることができる。膨張装置は、好ましくは、送達時につぶれ、配備されると膨張する。膨張装置は、適度に硬い複数の単繊維ポリマー剛毛を備える。剛毛を1つにまとめる組合せ効果により、膨張装置で中空解剖学的構造の壁を掴むことができる。膨張装置は、1つまたは複数の生体吸収性材料を含むことができる。
【0157】
膨張性アンカー構造を使用するいくつかの実施形態および技術の利点は、1回の手順で膨張性アンカー構造の送達とインプラントの送達とを組み合わせることができる点にある。膨張性要素は、中空部解剖学的構造内に結合され、インプラントをアンカー固定するのに中空解剖学的構造の壁との摩擦に依存する。適切なサイズの膨張性構造を選択することができる。膨張性要素は、生体吸収性である場合もない場合もある。
【0158】
熱固定および/または血管収縮
上述のように、また図37Aに示されているように、この技術の他の態様によれば、繊維体312を固定することは、中空解剖学的構造320内の埋め込み位置に近いところで中空解剖学的構造320を熱収縮させることを含む。繊維体312を埋め込むことは、好ましくは、埋め込み位置に繊維体312を埋め込むことを含む。例えば、一実施形態では、大伏在大腿静脈接合部の近くの静脈の約1cmの部分をスポット収縮するために熱が使用される。中空解剖学的構造320を収縮させる方法は多数ある。一実施形態では、好ましくは内蔵型および電池式加熱コイルをインプラント送達カテーテルの外面上に配置することができる。そのため、熱収縮機能およびインプラント送達機能を実行するように単一カテーテルを構成することができる。電池は、カテーテルのハンドル内に、または直接接触または電気ケーブルを介してカテーテルに接続されている別の充電式パワーベース内に収めることができる。他の実施形態では、好適なエネルギーツールおよび電源を使用することができる。いくつかの実施形態では、ハンドルは、電池の代わりに、または電池に加えて、1つまたは複数のコンデンサを備えることができる。電池により供給されるエネルギーは、時限オン/オフ回路を使用することにより制御することができる。コンデンサの値は、放電されたときに所望のエネルギー量を送達するように選択することができる。
【0159】
熱収縮を行うための一技術によれば、インプラント310、コイルヒーターを備える6F送達カテーテル、6F鞘および拡張器、案内ワイヤ、プッシュロッド、および鋭利な器具が備えられる。鋭利な器具を皮膚、皮下組織、および中空解剖学的構造壁に刺し通して、中空解剖学的構造の内部にアクセスする。案内ワイヤは、鋭利な器具を通して中空解剖学的構造内に挿入される。鋭利な器具は、取り除かれ、中空解剖学的構造内に案内ワイヤが残される。拡張器および鞘アセンブリは、この案内ワイヤ上に通され、中空解剖学的構造内に通される。拡張器および案内ワイヤは、取り除かれ、鞘が適所に残される。インプラント310を送達カテーテル内に装填する準備をする。一実施形態によれば、インプラント310は、繊維性物質であり、600デニールのPLAの3本のストランドを含む。これらのストランドは、好ましくは、二つ重ねにされ、効果的に、6本のストランドを形成する。いくつかの実施形態におけるインプラント310は、好ましくは、溶媒を使って先端のところで融合され、これにより、血液がインプラントを浸し、加熱工程で凝固するのを防止する。アンカー糸は、好ましくは、サイズ3−0のシルクを含む。いくつかの他の実施形態では、アンカー糸は、好ましくは、Vicryl Rapide(商標)を含む。アンカー糸は、結び目でインプラントの遠位端部に結合される。アンカー糸は、好ましくは、インプラント310の長さにそってインプラントのストランドと織り交ぜられる。プッシュロッドは、0.8mm(0.03インチ)のステンレス製マンドレルから形成されたフォーク型プッシュロッドとすることができる。インプラント310は、好ましくは、プッシュロッド上に装填される。3本のストランドは、好ましくは、結び目のところでフォーク上に折り重ねられる。プッシュロッドを使用して、インプラント310をカテーテル内に誘導する。プッシュロッドは、鞘およびプッシュロッド先端がマッチするまで先へ進められる。いくつかの実施形態では、プッシュロッドは、プッシュロッド上のマークが鞘ハブに到達するまで進められる。装填されたカテーテルは、鞘内に挿入される。カテーテルは、中空解剖学的構造内の所望の治療領域の近位端へ進められる。いくつかの実施形態では、膨潤麻酔が治療部位に送達され、麻酔、ヒートシンク、および圧縮効果をもたらす。コイルヒーターは、カテーテル上のボタンを押すことにより作動し、熱を伝えて中空解剖学的構造を収縮させる。カテーテルは、少し引き戻され、外側鞘が引き出される。インプラント310は、プッシュロッドが適所に保持されている間に露出される。したがって、インプラント310は、加熱処理部の背後の中空解剖学的構造内に配備される。インプラント310が完全に配備された状態で、プッシュロッドおよび送達カテーテルは、鞘から引き出される。最後に、鞘は完全に引き出される。必要ならば、および/または望ましい場合には、さらに固定技術を実行することができる。この技術の変更形態および修正形態も形成できる。
【0160】
収縮は、さらに、高周波(RF)放射カテーテル(VNUS Closure(商標)カテーテルなど)または静脈内レーザーなどの他の熱的手段を介して行わせることもできる。加熱素子に関する追加の開示は、2002年6月11日に発行された「METHOD OF LIGATING HOLLOW ANATOMICAL STRUCTURES」という表題の米国特許第6,401,719号、または2001年1月30日に発行された「EXPANDABLE CATHETER HAVING TWO SETS OF ELECTRODES」という表題の米国特許第6,179,832号、または2004年8月3日に発行された「Expandable vein ligator catheter having multiple electrode leads,and method」という表題の米国特許第6,769,433号、または2003年10月28日に発行された「Expandable catheter having improved electrode design,and method for applying energy」という表題の米国特許第6,638,273号、または2005年9月8日に出願された「METHODS AND APPARATUS FOR TREATMENT OF HOLLOW ANATOMICAL STRUCTURES」という表題の米国特許出願第11/222069号、または2005年9月27日に出願された「SYSTEMS AND METHODS FOR TREATING A HOLLOW ANATOMICAL STRUCTURE」という表題の米国特許出願第11/236316号、または2004年9月27日に出願された「RESISTIVE ELEMENT SYSTEM」という表題の米国仮特許出願第60/613,415号において行われている。上述の米国特許および出願は、参照により本明細書に組み込まれており、本明細書の一部をなす。
【0161】
それとは別に、図48A〜Cに示されているように、外部充填剤を使用することができる。例えば、図48Aは、充填剤390を使って治療をする前の血管320を示している。図48Bに示されているように、充填剤390を血管を囲む区画内に注入し、血管320を圧迫することができる。図48Cに示されているように、治療の後、充填材料390は組織により吸収され、置き換えられるようにできる。充填剤390は、好ましくは、粘性が高く、生理食塩水に比べて長く持続する材料を含む。大伏在大腿静脈接合部の近くの静脈周囲空間392内に注入された材料は、一時的に、静脈を閉塞し、これは、数日から数週間の間持続し、インプラントの移動および粒子塞栓を制限することができる。いくつかの実施形態によれば、例えばFloSeal、VNUSeal、および/またはゼラチンなどの材料は、十分に大きなアクセス、例えば6Fが利用可能な場合に使用できる。いくつかの実施形態では、小さなアクセス部位に対してはTissueMend(分解可能シアノアクリレート)および/またはAtrigel(注入可能PLA)を使用することができる。さらに、いくつかの実施形態では、充填材料390は、例えば本明細書で説明されているような連続供給機構により供給されるヤーンを含むことができる。
【0162】
それとは別に、いくつかの実施形態では、移動を防止するために、血管320を血管内から、または血管の外部から結紮されうる。一実施形態は、図49に示されているように、中空解剖学的構造のサイズを制約する外部生体吸収性(または非吸収性)結紮クリップ394または縫合糸を含む。中空解剖学的構造の直径を縮小することは、流れの制約とともに、インプラント310の物理的ストッパーとして働く。インプラント310は、中空解剖学的構造320の直径を縮小した部分の背後に配備される。
【0163】
熱処理および/または血管収縮を使用するいくつかの実施形態および技術の利点は、中空解剖学的構造の自然組織を使用してインプラント移動に対する物理的障壁を形成することができるという点にある。血管サイズを縮小すると、血流が減る。血流を減らすと、凝固が改善され、インプラントに対する流れの問題が緩和される。インプラントの位置決め精度は高まる。
【0164】
フェネストレーションアンカー
上述のように、また図37Dに示されているように、この技術の他の態様によれば、繊維体を固定することは、フェネストレーションアンカー360で繊維体312を固定することを含む。例えば、一実施形態では、フェネストレーションアンカー360は、生体吸収性タブ350と構造面で類似しているが、ただし、アクセス部位304から離れて、管腔内にフェネストレーションアンカー360を配備する方法は、もっと複雑である。いくつかの実施形態では、フェネストレーションアンカー360を中空解剖学的構造320、例えば静脈内に配備することは、Seldinger技術を使用する静脈アクセスと類似している。しかし、体の外側から静脈の内側に進む、針を使った静脈にアクセスする代わりに、手順を逆転する。針先端操舵可能カテーテルを使用して、静脈の内部の開始点から血管周囲腔にアクセスすることができる。一技術では、超音波誘導の下で、針は、好ましくは、大伏在大腿静脈接合部の近くに配置され、静脈壁を穿刺する。カテーテルの拡張部分およびインプラント送達用鞘は、両方とも、針上を進み、静脈壁を横切る。針および拡張器は、取り外され、鞘内腔が開いたままにされ、アンカーおよびインプラントを送達できる。フェネストレーションアンカーは、血管周囲腔内に配備され、鞘は、引っ込められ、フェネストレーションアンカーが静脈の外側に残される。鞘をさらに引き込むと、インプラント310が露出する。タブ350について上で説明されているように、フェネストレーションアンカー360およびインプラント310は、好ましくは、繋留糸340により静脈壁を通して接続される。追加の壁貫通フェネストレーションの概念が、図50〜54Cに示されている。
【0165】
図50に示されているように、この技術の他の態様によれば、繊維体312を固定することは、中空解剖学的構造320内に繊維体を縫合することにより中空解剖学的構造内の繊維体をアンカー固定することを含む。例えば、例示されている実施形態に示されているように、インプラント310は、血管壁を通して、またインプラント310を通して、血管320にそって結ばれた単一または一連の外部縫合糸362によりアンカー固定し、適所に保持することができる。この技術は、単純な開放外科手術ループにより、または血管のフェネストレーションを行い、および/または超音波で針を誘導することによる侵襲の最小限のカニューレおよび/または針送達結び目、クリップ、および/またはステープルを使用することにより、実現できる。いくつかの実施形態では、フェネストレーションクリップおよび/または縫合結び目362は、インプラント310を血管壁に留める。いくつかの実施形態では、生体吸収性の棒またはピン364は、中空解剖学的構造の1つまたは複数の壁を通して、またインプラント310を通して、フェネストレーションを行うことができる。
【0166】
他のいくつかの実施形態によれば、図51A〜Hに示されているようなフェネストレーションコイル366を、固定手順に使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、針と縫合糸の補助により小さなコイルを単独で配備することができる。いくつかの実施形態では、送達デバイスによりさらに大きなコイルをすべて一度に配備することができる。いくつかの実施形態では、フェネストレーションコイル366には、断面が矩形または丸形のニッケルチタンワイヤを使用することができる。大直径コイルは、大きな粒子に対するフィルタとして、さらにはいくつかの実施形態ではアンカーとして作用しうる。他の実施形態によれば、図52A〜Bに示されているように、ポリマーコイル366は、固定手順において用意することができる。例えば、矩形の棒材をきつく巻いたコイルに形成することができる。コイルは、まっすぐにされ、送達カテーテル内に挿入される。コイルは、次いで、中空解剖学的構造内に押し出され、そこでコイル形状の少なくとも一部を復元することができる。一実施形態では、コイルは、ポリエチレンを含み、6Fの鞘内に差し込むことができる。
【0167】
他の実施形態によれば、例えば図53A〜Bに示されているように、返し付き縫合糸368を固定要素として備えることができる。返し付き縫合糸368は、いくつかの実施形態では創縫合に、またいくつかの実施形態ではインプラントを中空解剖学的構造に固定するために使用することができる。返し付き縫合糸368は、好ましくは、自己固着し、いくつかの実施形態では生体吸収性である場合もない場合もある。
【0168】
他の実施形態によれば、図54A〜Cに示されているように、多突起膨張装置370は、固定要素302として使用することができる。この要素は、好ましくは、複数の細い平坦なアームおよび/または突起物が第1の端部に固定され、アームは固定要素302の第2の端部近くで互いから離れる形で曲がっている。要素302は、送達に際しては圧縮され、カテーテルから出た後、膨張することができる。固定要素302は、好ましくは、インプラント310と結合される。固定要素302は、インプラント310の近位部分、遠位部分、および中間部分のうちの1つまたは複数のところで結合することかできる。いくつかの実施形態では、膨張装置370が備える突起は4つ以下または以上に加減することができる。いくつかの実施形態では、図54Cに示されているように、突起の先端は鋭く、膨張装置370は手前に押されたときに中空解剖学的構造320の壁を掴み、および/または貫くことができる。
【0169】
インプラントおよびフェネストレーションアンカーを配備する一技術によれば、フェネストレーションアンカー、ニードルカテーテル、6Fの鞘と結合されたインプラントが備えられる。カテーテル先端は、引き込み式の針を備える。針は、好ましくは、カテーテルを最初に中空解剖学的構造内挿入するときに引っ込められる。カテーテルは、鞘を通り、所望の治療領域の近位端にまで進められる。治療領域に対し好ましくは膨潤麻酔法が施され、これにより麻酔薬を供給し、中空解剖学的構造の外側に針を通す先となり、アンカーを配備するための空間を形成する。針が配備され、好ましくは適所にロックされる。ニードルカテーテルが先へ進められ、所望の位置で中空解剖学的構造の壁を穿刺する。カテーテルおよび鞘は、中空解剖学的構造の壁の外側まで延びる。針は、ロック解除され、引っ込められて、カテーテルが引き出されて中空解剖学的構造の壁上に鞘を残す。インプラントを送達カテーテル内に装填する準備をする。フォーク型プッシュロッドが用意される。一実施形態によれば、インプラントは、繊維性物質であり、600デニールのPLAの3本のストランドを含む。これらのストランドは、好ましくは、二つ重ねにされ、効果的に、6本のストランドを形成する。一実施形態によれば、アンカーは、1mm×2mm×10mmの棒で、中心に孔が通っている。アンカー糸が用意される。アンカー糸の端部が、止め結び目内に形成され、アンカーを保持する。好ましくは、他の結び目で、インプラントの遠位端部をアンカー点から約5mm離して固定する。いくつかの実施形態では、アンカーとインプラントとの間の距離は、小さくも大きくもできる。繋留糸は、好ましくは、インプラントの長さにそってインプラントのストランドと織り交ぜられる。インプラントは、プッシュロッド上に装填される。3本のストランドは、好ましくは、インプラント上の結び目のところでフォーク上に折り重ねられる。アンカーは、カテーテル内に押し込められる。プッシュロッドおよびインプラントは、カテーテル内に送り込まれ、アンカーをインプラントの前に押し出す。アンカーは、カテーテルの先端を出る。アンカーは、好ましくは、インプラントおよびプッシュロッドがカテーテルの先端近くにある間にカテーテルの外側に完全に配備される。いくつかの実施形態では、鞘のアンカーおよび先端は、好ましくは、硫酸バリウムおよび/または気泡または超音波の下でアンカーおよび先端が見やすくなるようにする他の好適なマーカーをドープされる。次いで、カテーテルは引っ込められる。最初に、カテーテルが引っ込められるときにアンカーが続く。アンカーの形状構成により、中空解剖学的構造内に再入することが妨げられる。インプラントが完全に露出されるまでカテーテルが引っ込み続けるとインプラントが露出される。この技術の変更形態および修正形態も形成できる。
【0170】
フェネストレーションアンカーを使用するいくつかの実施形態および技術の利点は、インプラントを中空解剖学的構造の壁および/または周辺組織と機械的に結合することができる点にある。この手順では、さらに、他のいくつかの技術と比較してインプラントの位置決め精度を高めることができる。
【0171】
逆行アクセスアンカー
上述のように、また図37Eに示されているように、この技術の他の態様によれば、繊維体を固定することは、経皮逆行アクセス部位306に繊維体をアンカー固定することを含む。例えば、一実施形態では、静脈アクセス部位306は、膝または足首の近くではなく大伏在大腿静脈接合部の近くに配置される。アクセス部位の相対的位置以外に、この技術は、本明細書で説明されている他のアクセス部位アンカー技術と類似しており、必要に応じて他の技術と組み合わせることができる。逆行アクセスが従来のGSVアクセスに勝る利点は、大伏在大腿静脈接合部に非常に近い、近位端のところでインプラント310を組織に固定することができ、これによりインプラント310が深血管系内に移動することを制約できる点にある。逆行アクセスで使用されるカテーテルには、静脈弁上の移動性を改善する特徴がさらにある。このような特徴としては、先端が丸い、精神的外傷を残すことが少ない先端形状、および/または操舵性が挙げられる。
【0172】
経皮逆行アクセスアンカーを使用するいくつかの実施形態および技術の利点は、インプラントを中空解剖学的構造の壁および/または周辺組織と機械的に結合することができる点にある。この手順では、さらに、大伏在大腿静脈接合部により近いアクセス部位を持たせることによる他のいくつかの技術と比べてインプラントの位置決め精度を高められる。鞘を挿入することで、結紮および剥離手術を行うために使用されるものと比べて切開部を小さくできる。鼠径部で大腿静脈にアクセスすることは、一般的な方法であり、大腿静脈へのアクセスは、容易に行われる。血流の大半は、適所のインプラントで閉塞されるので、止血のために特別な血管閉鎖デバイスまたは広範な用手圧迫を使用する必要性はなくなる。
【0173】
くさび固定
図55A〜Bに示されているように、この技術の他の態様によれば、繊維体312を固定することは、中空解剖学的構造320内にアンカー要素372をくさびとして打ち込むことにより中空解剖学的構造内320の繊維体312をアンカー固定することを含む。例えば、例示されている実施形態では、細長い部材372が、静脈に垂直に配置され、これによりくさびとして適所に打ち込まれる。いくつかの実施形態では、細長い部材372は、PLA、50/50PLGA、または射出成形に適している他の生体吸収性ポリマーから作られる。いくつかの実施形態では、細長い部材の端部は平坦である。他の実施形態では、端部は、鋭利であるか、尖っているか、および/または丸くなっていてもよい。
【0174】
図56A〜57Cは、1つまたは複数の固定技術において使用することもできる他の形状および構成を有する追加の細長い部材を例示している。例えば、図56A〜Bに示されているように、溶媒噴霧ヤーン374を備える傾斜棒を用意することができる。傾斜棒374は、好ましくは、上述の細長い部材372よりも柔軟性がある。他の実施形態によれば、例えば図57A〜Cに示されているように、スイベル「T」字型構造376を固定要素302として備えることができる。スイベルは、互いに結合された第1および第2の細長い部分を有し、第1の細長い部分は第2の細長い部分に関して旋回するようになっている。固定要素302が中空解剖学的構造内に配置された場合、細長い部分が旋回され、一方の細長い部分が、静脈壁の幅にわたって配置され、したがって適所にくさびとして打ち込まれるようにできる。この要素は、糸、プッシュロッド、または他の好適な工具308のうちの1つまたは複数を使用して作動させることができる。適当な任意の材料を使用できる。
【0175】
栓固定
この技術の他の態様によれば、繊維体を固定することは、中空解剖学的構造内に栓を配置することにより繊維体を中空解剖学的構造内にアンカー固定することを含む。例えば、予備成形発泡栓または発泡スポンジを、代替え摩擦アンカーとして、上述の膨張性要素、例えば組紐の代わりに使用することができる。一実施形態では、発泡体はインプラントに結合される。いくつかの実施形態では、発泡体は、インプラント自体に比べてかなり容易に流れを阻害することができる。発泡体は、例えば、ポリグリコリド、ポリラクチド、ポリカプロラクトン、および/またはこれらの材料の共重合体などの生体分解性材料で作ることができる。生体吸収性発泡体に関する詳細は、参照により本明細書に組み込まれている、S.I.Jeongらの論文「Manufacture of Elastic Biodegradable PLCL Scaffolds for Mechano−Active Vascular Tissue Engineering」(J.Biomater.Sci.Polymer Edn,Vol.15,No.5.,pp.645−660 (2004))において述べられている。
【0176】
固定技術の利点
固定のためのいくつかの好ましい実施形態および方法は、インプラントの移動を防止するために血管腔にテーパーを付ける機能に特に適合されている。例えば、機械式アンカーは、血管のテーパーと無関係に機能するという固有の利点を有する。さらに、膨張要素は、都合のよいことに、例えば、非一様な膨張により直径が一定でない血管に合うように適合させることができる。さらに、インプラントの移動防止のため、流れ低減も望ましい場合がある。膨張組紐および/または熱収縮技術などのいくつか技術には、インプラントが受ける流れを制約するという付加的機能がある。流れの低減には、さらにインプラント移動を低減するための2つの異なる機構がある。インプラントに作用する力が低減され、生物学的閉塞プロセスの一部である凝固は、低減された流れがある場合に容易に発生しうる。しかし、急性治癒期では、完全閉塞流は、内腔の膨張を引き起こす可能性のある圧力上昇をもたらすことにより移動防止の効果にマイナスの影響を及ぼしうる。これは、膨れた静脈は容易に分かる可能性が高く、再疎通なしで閉塞される可能性は低いため、多くの場合に望ましくない。したがって、急性治癒期では、流れを減らしても流れを完全に阻止しないことが有利と考えられる。膨張アンカーおよび熱収縮アンカー実施形態に加えて、インプラント自体も流れ制約機能を備える。
【0177】
追加の送達システムおよび技術
他の実施形態および技術によれば、インプラントは、送達カテーテルを使用せずに、中空解剖学的構造内に直接送達することができる。例えば、プッシュロッドを使用して、インプラントを自然血管内に押し通すことができる。これは、インプラントはアクセス鞘よりも小さい送達用カテーテルを通る必要はないので、インプラント内に追加の繊維を収納するための空間を増やすことができるという利点を有する。他の利点は、いくつかの実施形態では、インプラントの材料が血管にそって引きずられるときに、他の実施形態と同様に、中空解剖学的構造の壁を研磨するが、そこでは、研磨要素は、スリーブ、カテーテル、および/またはインプラントと結合され、内皮細胞を露出し、より耐久性のある生物学的閉塞を形成する。
【0178】
追加の実施形態は、殺菌の方法を含む。このようないくつかの方法は、患者体内に挿入する(または他の形で接触する)ことが意図されている、または患者の治療に際して手術野で、またはその近くで使用することが意図されている本明細書で開示されている装置のいずれかを最終的または一部最終的に殺菌することを含むことができる。現在知られていようと、または今後開発されようと、任意の好適な殺菌方法を使用することができる。
【0179】
したがって、いくつかの方法は、最終的にまたは一部最終的に、インプラント10/301および/または本明細書で開示されている実施形態もしくはその派生物のいずれか、送達カテーテル16、プッシュロッド18、繊維性物質210、送達部材230、および/または鞘232を含む、閉塞システム200、および/または本明細書で開示されている固定要素のうちのいずれか1つまたは組合せを殺菌することを含む。現在知られていようと、または今後開発されようと、任意の好適な殺菌方法を使用することができる。例えば、この方法は、シクロデキストリン(Cidex(商標))、エチレンオキシド(EtO)、蒸気、過酸化水蒸気、電子線(Eビーム)、ガンマ線、x線、またはこれら殺菌剤の任意の組合せなどの有効な用量の殺菌剤で上記装置のどれかを殺菌することを含むことができる。
【0180】
殺菌方法は、部分的にまたは完全に組み立てられている(または部分的にまたは完全に分解されている)間に、当該装置に対し実行することができ、そのため、これらの方法は、さらに、1回分の用量の選択された殺菌剤を施す前に装置を部分的にまたは完全に組み立てる(または部分的にまたは完全に分解する)ことを含むことができる。殺菌方法は、さらに、適宜、装置を殺菌剤に曝す前に1つまたは複数の生物学的または化学的マーカーを装置に施し、曝した後に、死んでいるかどうか、または(複数の)マーカーの反応状態を評価することを含むこともできる。他の選択肢として、殺菌方法は、殺菌剤濃度、相対湿度、圧力、および/または装置温度などの装置を収めた殺菌室における関連するパラメータを監視することを伴うことができる。
【0181】
殺菌方法の前記説明をかんがみると、他の実施形態は殺菌装置を備える。殺菌装置は、患者体内に挿入する(または他の形で接触する)ことが意図されている、または患者の治療に際して手術野で、またはその近くで使用することが意図されている本明細書で開示されている装置のいずれかを含むことができる。より具体的には、殺菌装置として、インプラント10/310および/または本明細書で開示されている実施形態もしくはその派生物のいずれか、送達カテーテル16、プッシュロッド18、繊維性物質210、送達部材230、および/または鞘232を含む、閉塞システム200、および/または本明細書で開示されている固定要素のうちのいずれか1つまたは組合せを実現することができる。
【0182】
結論
上記の説明では、多数の方法、システム、装置、および材料を開示している。本明細書で開示されている発明は、方法、システム、装置、および材料の変更とともに製造方法および機器の変更の影響も受けやすい。このような修正は、本明細書に開示されている発明のこの開示または実施を考察する当業者には明白なことである。したがって、本発明は、本明細書に開示されている特定の実施形態には限定されず、これらはその真の範囲および精神の範囲内にあるすべての修正および代替えを対象とする。
【0183】
本明細書でさらに説明されている場合を除き、本明細書で説明されている実施形態、特徴、システム、デバイス、材料、方法、および技術は、いくつかの実施形態において、2004年8月31日に出願された「APPARATUS AND MATERIAL COMPOSITION FOR PERMANENT OCCLUSION OF A HOLLOW ANATOMICAL STRUCTURE」という表題の米国仮特許出願第60/605,843号、および2005年8月26日に出願された「APPARATUS AND MATERIAL COMPOSITION FOR PERMANENT OCCLUSION OF A HOLLOW ANATOMICAL STRUCTURE」という表題の米国特許出願第11/212,539号で説明されている実施形態、特徴、システム、デバイス、材料、方法、および技術のうちの1つまたは複数と類似している場合がある。それに加えて、本明細書で説明されている実施形態、特徴、システム、デバイス、材料、方法、および技術は、いくつかの実施形態において、上述の米国仮特許出願第60/605,843号および米国特許出願第11/212,539号で開示されている実施形態、特徴、システム、デバイス、材料、方法、および技術のうちの1つまたは複数に関連して応用または使用できる。上述の米国仮特許出願第60/605,843号および米国特許出願第11/212,539号は、参照により本明細書に組み込まれており、本明細書の一部をなす。
【0184】
多くの応用例、刊行物、および外部文書が参照により本明細書に組み込まれている。本明細書の本文の記述内容と組み込まれている文書のいずれかの記述内容とに食い違いまたは矛盾がある場合、本文の記述内容に有利なように解決されるものとする。
また、好ましい構成態様として、本発明を次のように構成することもできる。
1.中空解剖学的構造を治療するための装置であって、
前記中空解剖学的構造内に挿入できるサイズとされたインプラントを備え、前記インプラントは、複数の緩いかさ高の繊維を含み、前記繊維は1つまたは複数の生体吸収性材料から形成されている装置。
2.前記繊維は半径方向にかさ高である上記1に記載の装置。
3.前記繊維はランダムに配列されている上記1に記載の装置。
4.前記繊維は非編物である上記1に記載の装置。
5.前記繊維は不織である上記1に記載の装置。
6.前記繊維はαヒドロキシ酸から形成されている上記1に記載の装置。
7.前記繊維は、ポリグリコール酸、ポリグリコール酸−乳酸共重合体、ポリ乳酸−グリコール酸共重合体、ポリグリコリド−ラクチド共重合体、およびポリグリコリドからなる群から選択された材料から形成される上記1に記載の装置。
8.前記繊維のうちの少なくとも一部は、0.1デニールから10デニールである上記1に記載の装置。
9.前記インプラントは、500から500,000本の繊維を含む上記1に記載の装置。
10.前記繊維は、前記インプラントの第1の端部で接合されている上記1に記載の装置。
11.前記繊維は、前記インプラントの第2の端部で接合されている上記10に記載の装置。
12.前記インプラントは、前記中空解剖学的構造内にあるときに前記インプラントの移動を制限するように構成された固定要素を備える上記1に記載の装置。
13.前記インプラントに結合されたテザーをさらに備える上記1に記載の装置。
14.前記テザーは、前記インプラントの少なくとも1つの端部を越えて延びるように構成されている上記13に記載の装置。
15.前記テザーは、前記インプラント内に延びる上記13に記載の装置。
16.前記テザーは、第1の生体吸収率を有する生体吸収性材料から形成され、前記繊維は、第2の生体吸収率を有する生体吸収性材料から形成され、前記第1の生体吸収率は、前記第2の生体吸収率と異なる上記13に記載の装置。
17.前記第1の生体吸収率は、前記第2の生体吸収率よりも低い上記16に記載の装置。
18.前記第1の生体吸収率は、前記第2の生体吸収率よりも高い上記16に記載の装置。
19.前記繊維は、インプラント実施後2〜24週の生体吸収時間を有する上記1に記載の装置。
20.インプラントロック機構をさらに備える上記1に記載の装置。
21.前記インプラントと結合された引き糸をさらに備え、前記引き糸は前記インプラントを半径方向に膨張するように動作可能である上記1に記載の装置。
22.前記引き糸は、前記インプラントの少なくとも1つの端部を越えて延びるように構成されている上記21に記載の装置。
23.前記引き糸は、前記インプラント内に延びる上記21に記載の装置。
24.前記インプラントロック機構は、前記インプラントと結合されたファネルを備える上記20に記載の装置。
25.前記引き糸は、結び目が作られている上記21に記載の装置。
26.前記引き糸は、その少なくとも一部に沿って複数の隆起部を備える上記21に記載の装置。
27.前記インプラントは、半径方向膨張性要素をさらに備える上記1に記載の装置。
28.前記繊維は、前記中空解剖学的構造内に埋め込まれるときに概ね前記膨張性要素の内部に配置される上記27に記載の装置。
29.前記繊維は、前記中空解剖学的構造内に埋め込まれるときに概ね前記膨張性要素の外部に配置される上記27に記載の装置。
30.前記膨張性要素は、概ね前記インプラントの全長にわたって膨張する上記27に記載の装置。
31.前記膨張性要素は、概ね前記インプラントの端部に配置されている上記27に記載の装置。
32.前記膨張性要素は組紐を備える上記27に記載の装置。
33.前記中空解剖学的構造内に挿入されるときに前記インプラントを固定するように構成された自己膨張要素をさらに備える上記12に記載の装置。
34.前記インプラントは薬物をさらに含む上記1に記載の装置。
35.前記インプラントは硬化剤をさらに含む上記1に記載の装置。
36.前記インプラントは、前記インプラントが応力のかかっていない状態に関連する第1の密度、および前記インプラントが半径方向に圧縮されている状態に関連する、それより高い第2の密度を有する上記1に記載の装置。
37.前記繊維は、第1の生体吸収率を有する第1の繊維、および第2の生体吸収率を有する第2の繊維を含み、前記第1の生体吸収率は、前記第2の生体吸収率と異なる上記1に記載の装置。
38.中空解剖学的構造を治療するための装置であって、
前記中空解剖学的構造内に埋め込むように構成されたやぐらを備え、前記やぐらの少なくとも一部分は概ね縦方向に延び、その長さに沿って多数の曲がり部を形成する複数の緩い繊維を含み、前記繊維は1つまたは複数の生体吸収性材料から形成される装置。
39.前記繊維は、前記やぐら内にランダムに配列されている上記38に記載の装置。
40.前記複数の繊維のうちの1本は、前記繊維に沿って、前記繊維の長さよりも極めて短い1つまたは複数の距離だけ間隔をあけて並べられている多数の前記曲がり部を備えている上記38に記載の装置。
41.前記やぐらの前記部分は、非編物である上記38に記載の装置。
42.前記やぐらの前記部分は、不織である上記38に記載の装置。
43.前記やぐらの外面は、研磨性である上記38に記載の装置。
44.前記繊維は、第1の生体吸収率を有する第1の繊維、および第2の生体吸収率を有する第2の繊維を含み、前記第1の生体吸収率は、前記第2の生体吸収率と異なる上記38に記載の装置。
45.前記繊維は、インプラント実施後2〜24週の生体吸収時間を有する上記38に記載の装置。
46.中空解剖学的構造を治療するためのやぐらであって、
蛇行する非編物である複数の繊維を含み、前記繊維は1つまたは複数の生体吸収性材料から形成されるやぐら。
47.前記繊維はランダムに配列されている上記46に記載のやぐら。
48.前記繊維は、前記やぐら内に緩く配列されている上記46に記載のやぐら。
49.前記やぐらの少なくとも一部は、編物でなく不織である上記46に記載のやぐら。
50.前記繊維は、第1の生体吸収率を有する第1の繊維、および第2の生体吸収率を有する第2の繊維を含み、前記第1の生体吸収率は、前記第2の生体吸収率と異なる上記46に記載のやぐら。
51.前記繊維は、インプラント実施後2〜24週の生体吸収時間を有する上記46に記載のやぐら。
52.中空解剖学的構造を治療するための装置であって、
前記中空解剖学的構造内に埋め込むように構成されたインプラントを備え、前記インプラントは蛇行した生体再吸収性繊維の積み重ねを含む装置。
53.前記繊維はランダムに配列されている上記52に記載の装置。
54.前記繊維は、前記インプラント内に緩く配列されている上記52に記載の装置。
55.前記インプラントの少なくとも一部は、研磨性である上記52に記載の装置。
56.中空解剖学的構造を治療するための装置であって、
前記中空解剖学的構造内に配置するのに適した幅を有するインプラントを備え、前記インプラントは質感加工された複数の繊維を含み、前記繊維は1つまたは複数の生体吸収性材料から形成される装置。
57.前記繊維はランダムに配列されている上記56に記載の装置。
58.前記繊維は、前記インプラント内に緩く配列されている上記56に記載の装置。
59.前記インプラントの少なくとも一部は、非編物である上記56に記載の装置。
60.前記インプラントの少なくとも一部は、不織である上記56に記載の装置。
61.中空解剖学的構造を治療するための装置であって、
前記中空解剖学的構造内に挿入できるサイズとされたインプラントを備え、前記インプラントは複数の捲縮繊維を含み、前記繊維は1つまたは複数の生体吸収性材料から形成される装置。
62.前記繊維は、前記インプラント内に緩く配列されている上記61に記載の装置。
63.前記繊維は、非編物である上記61に記載の装置。
64.前記繊維は、不織である上記61に記載の装置。
65.中空解剖学的構造を治療するための装置であって、
前記中空解剖学的構造内に挿入できるサイズとされたインプラントを備え、前記インプラントは複数の波状繊維を含み、前記繊維は1つまたは複数の生体吸収性材料から形成される装置。
66.前記繊維は、前記インプラント内に緩く配列されている上記65に記載の装置。
67.前記繊維は、非編物である上記65に記載の装置。
68.前記繊維は、不織である上記65に記載の装置。
69.前記インプラントの外面の少なくとも一部は、研磨性である上記65に記載の装置。
70.前記繊維は、第1の生体吸収率を有する第1の繊維、および第2の生体吸収率を有する第2の繊維を含み、前記第1の生体吸収率は、前記第2の生体吸収率と異なる上記65に記載の装置。
71.前記繊維は、インプラント実施後2〜24週の生体吸収時間を有する上記65に記載の装置。
72.中空解剖学的構造を治療するための装置であって、
前記中空解剖学的構造内に配置されるように構成されたやぐらを備え、前記やぐらは複数の自己膨張繊維を含み、前記繊維は1つまたは複数の生体分解性材料から形成される装置。
73.前記繊維は、個別に自己膨張する上記72に記載の装置。
74.前記繊維は、前記インプラント内に緩く配列されている上記72に記載の装置。
75.前記やぐらの少なくとも一部分は、非編物である上記72に記載の装置。
76.前記やぐらの少なくとも一部分は、不織である上記72に記載の装置。
77.中空解剖学的構造を治療するための装置であって、
複数の生体吸収性繊維を含むインプラントを備え、
前記インプラントは圧縮状態を有し、このときに前記インプラントは、8フレンチ以下の内径を有する円筒状管内に収めることができ、
前記インプラントは圧縮状態から、インプラントが12フレンチ以上の内径を持つ円筒状管の内径いっぱいに広がる十分なサイズを有する膨張状態へ膨張可能である装置。
78.前記インプラントは、前記膨張状態のときに、12〜60フレンチの内径を持つ円筒状管の内径いっぱいに広がる十分なサイズを有する上記77に記載の装置。
79.前記インプラントは、前記圧縮状態にあるときに6〜8フレンチの内径を持つ円筒状管内にはめ込むことができる上記77に記載の装置。
80.前記インプラントは、複数の波状繊維を含む上記77に記載の装置。
81.前記インプラントの少なくとも一部分は、非編物である上記77に記載の装置。
82.前記インプラントの少なくとも一部分は、不織である上記77に記載の装置。
83.前記インプラントは、前記中空解剖学的構造内にあるときに前記インプラントの移動を制限するように構成された固定要素を備える上記77に記載の装置。
84.前記インプラントは、外力が存在しない場合に前記インプラントが前記膨張状態に向かう傾向があるような自己膨張性を有する上記77に記載の装置。
85.中空解剖学的構造を治療するための装置であって、
複数の生体吸収性繊維を含むインプラントを備え、
前記インプラントは圧縮状態を有し、このときに前記インプラントは、8フレンチ以下の内径を有する円筒状管内を通過することができ、
前記インプラントは、前記圧縮状態から、前記インプラントが平均サイズの成人の大伏在静脈を占有する十分な大きさである横方向サイズを有する治療状態へ膨らませることができる装置。
86.前記インプラントは、前記圧縮状態にあるときに6〜8フレンチの内径を持つ円筒状管内を通過することができる上記85に記載の装置。
87.前記インプラントは、複数の波状繊維を含む上記85に記載の装置。
88.前記インプラントの少なくとも一部分は、非編物である上記85に記載の装置。
89.前記インプラントの少なくとも一部分は、不織である上記85に記載の装置。
90.前記インプラントは、前記中空解剖学的構造内にあるときに前記インプラントの移動を制限するように構成された固定要素を備える上記85に記載の装置。
91.前記インプラントは、外力が存在しない場合に前記インプラントが前記膨張状態に向かう傾向があるような自己膨張性を有する上記85に記載の装置。
92.4mm以上の直径を有する中空解剖学的構造を治療する方法であって、
8フレンチ以下のサイズのカテーテルを前記中空解剖学的構造内に挿入することと、
生体吸収性繊維性インプラントを前記カテーテルに通し、前記中空解剖学的構造内に入れることと、
前記インプラントでは、前記中空解剖学的構造の開通性を低減することと、を含む方法。
93.前記中空解剖学的構造を前記インプラントで閉塞することをさらに含む上記92に記載の方法。
94.前記インプラントを前記中空解剖学的構造内で治療状態にまで膨張させることをさらに含む上記92に記載の方法。
95.前記インプラントが前記中空解剖学的構造内にあるときに前記インプラントで閉塞成長侵入を促進することをさらに含む上記94に記載の方法。
96.前記中空解剖学的構造は、静脈を含む上記92に記載の方法。
97.前記中空解剖学的構造は、大伏在静脈を含む上記92に記載の方法。
98.前記カテーテルを挿入することは、前記カテーテルを大伏在大腿静脈接合部から距離をおいて配置されている挿入部位に挿入することを含み、前記インプラントを前記挿入部位から前記大伏在大腿静脈接合部に進めることをさらに含む上記97に記載の方法。
99.前記中空解剖学的構造は、4〜20mmの直径を有する上記92に記載の方法。
100.静脈を治療する方法であって、
大伏在大腿静脈接合部から距離をおいたアクセス点で前記静脈にアクセスすることと、
生体吸収性繊維体を、前記アクセス点を通して前記静脈内に埋め込むことと、
前記静脈内の前記繊維体を前記大伏在大腿静脈接合部に向けて移動することと、を含む方法。
101.前記静脈内の前記繊維体の移動を制限するために前記繊維体を前記中空解剖学的構造内で固定することをさらに含む上記100に記載の方法。
102.前記アクセス点を通して鞘を挿入し、前記繊維体をプッシュロッドで押して前記鞘に通し、前記静脈に入れることをさらに含む上記100に記載の方法。
103.前記静脈上で熱処理を行うことをさらに含み、前記熱処理は、高周波エネルギーを送達すること、抵抗素子から熱エネルギーを送達すること、およびレーザーからエネルギーを送達することのうちの1つまたは複数を含む上記100に記載の方法。
104.前記静脈内の前記繊維体の端部を前記大伏在大腿静脈接合部に移動することをさらに含む上記100に記載の方法。
105.中空解剖学的構造を治療する方法であって、
前記中空解剖学的構造内に、複数の緩い蛇行する繊維を含むインプラントを送達することを含み、前記繊維は1つまたは複数の生体吸収性材料から形成される方法。
106.前記中空解剖学的構造内の前記インプラントの移動を制限するために前記インプラントを前記中空解剖学的構造内で固定することをさらに含む上記105に記載の方法。
107.中空解剖学的構造を治療するためのキットであって、
前記中空解剖学的構造内に挿入できるサイズとされた生体吸収性繊維性インプラントと、
前記中空解剖学的構造内に挿入できるサイズであり、外径および、前記中空解剖学的構造内に前記インプラントを送達するために前記インプラントを受け入れるように構成されている内径を有する鞘と、
前記鞘内に挿入できるサイズであり、前記インプラントを進めて前記鞘に通し、前記インプラントを前記中空解剖学的構造に送達するように構成されるプッシュロッドとを備えるキット。
108.前記鞘は、前記外径上に研磨要素を備え、前記研磨要素は前記鞘が前記中空解剖学的構造内に挿入されたときに前記中空解剖学的構造の表面と係合するように構成されている上記107に記載のキット。
109.インプラントロック機構をさらに備える上記107に記載のキット。
110.前記インプラントロック機構は、前記インプラントと結合されるように構成された引き糸を備える上記109に記載のキット。
111.前記インプラントロック機構は、前記インプラントと結合されたファネルを備える上記109に記載のキット。
112.前記引き糸は、結び目が作られている上記110に記載のキット。
113.前記引き糸は、その少なくとも一部に沿って複数の隆起部を備えている上記110に記載のキット。
114.中空解剖学的構造を治療するためのシステムであって、
前記中空解剖学的構造内に挿入できるサイズとされた生体吸収性繊維性インプラントと、
前記インプラントを前記中空解剖学的構造内に送達するように構成された連続供給機構とを備えるシステム。
115.患者の中空解剖学的構造を治療する方法であって、
生体吸収性繊維体を前記中空解剖学的構造内に埋め込むことと、
前記中空解剖学的構造内の前記繊維体の移動を制限するように前記繊維体を前記中空解剖学的構造内で固定することと、を含む方法。
116.前記繊維体を固定することは、前記中空解剖学的構造のアクセス部位のところで前記繊維体をアンカー固定することを含む上記115に記載の方法。
117.前記繊維体の一部が、前記中空解剖学的構造から、前記患者の皮膚を通り、前記皮膚のアクセス部位で外に出るように前記繊維体を位置決めすることをさらに含む上記115に記載の方法。
118.前記繊維体はテザーをさらに含み、前記繊維体の端部を切り取って、前記繊維体が皮膚と実質的に同じ高さになるようにし、前記テザーがアクセス部位を通して前記繊維体を越えて延びるようにすることをさらに含む上記117に記載の方法。
119.前記テザーを前記アクセス部位の近くに固定することをさらに含む上記118に記載の方法。
120.前記繊維体を固定することは、前記中空解剖学的構造内の前記繊維体の近くに膨張性アンカーを埋め込むことを含む上記115に記載の方法。
121.前記繊維体を固定することは、前記中空解剖学的構造内の埋め込み位置の近くで前記中空解剖学的構造を熱収縮させることを含み、前記繊維体を埋め込むことは、前記繊維体を前記埋め込み位置に埋め込むことを含む上記115に記載の方法。
122.前記繊維体を固定することは、前記繊維体をフェネストレーションアンカーで固定することを含む上記115に記載の方法。
123.前記繊維体を固定することは、前記繊維体を皮下逆行アクセス部位にアンカー固定することを含む上記115に記載の方法。
124.中空解剖学的構造を治療するための装置であって、
生体吸収性繊維体と、
前記繊維体に関連付けられ、前記中空解剖学的構造内に埋め込まれたときに前記繊維体の移動を制限するように構成される固定部材とを備える装置。
125.前記固定部材は、テザーを含む上記124に記載の装置。
126.前記固定部材は、アンカーを含む上記124に記載の装置。
127.前記固定部材は、膨張性要素を含む上記124に記載の装置。
128.前記固定部材は、組紐を含む上記124に記載の装置。
129.前記固定部材は、生体吸収性である上記124に記載の装置。
130.前記固定部材は、第1の生体吸収率を有し、前記繊維体は、第2の生体吸収率を有し、前記第1の生体吸収率は、前記第2の生体吸収率と異なる上記129に記載の装置。
131.前記第1の生体吸収率は、前記第2の生体吸収率よりも低い上記130に記載の装置。
132.前記第1の生体吸収率は、前記第2の生体吸収率よりも高い上記130に記載の装置。
201.中空解剖学的構造を治療するための装置であって、
前記中空解剖学的構造内に挿入できるサイズとされたインプラントを備え、前記インプラントは、複数の緩いかさ高の繊維を含み、前記繊維は1つまたは複数の生体吸収性材料から形成されている装置。
202.前記繊維は半径方向にかさ高である上記201に記載の装置。
203.前記繊維はランダムに配列されている上記201に記載の装置。
204.前記繊維は非編物である上記201に記載の装置。
205.前記繊維は不織である上記201に記載の装置。
206.前記繊維はαヒドロキシ酸から形成されている上記201に記載の装置。
207.前記繊維は、ポリグリコール酸、ポリグリコール酸−乳酸共重合体、ポリ乳酸−グリコール酸共重合体、ポリグリコリド−ラクチド共重合体、およびポリグリコリドからなる群から選択された材料から形成される上記201に記載の装置。
208.前記繊維のうちの少なくとも一部は、0.1デニールから10デニールである上記201に記載の装置。
209.前記インプラントは、500から500,000本の繊維を含む上記201に記載の装置。
210.前記繊維は、前記インプラントの第1の端部で接合されている上記201に記載の装置。
211.前記繊維は、前記インプラントの第2の端部で接合されている上記210に記載の装置。
212.前記インプラントは、前記中空解剖学的構造内にあるときに前記インプラントの移動を制限するように構成された固定要素を備える上記201に記載の装置。
213.前記繊維は、インプラント実施後2〜24週の生体吸収時間を有する上記201に記載の装置。
214.前記インプラントは薬物をさらに含む上記201に記載の装置。
215.前記インプラントは硬化剤をさらに含む上記201に記載の装置。
216.前記インプラントは、前記インプラントが応力のかかっていない状態に関連する第1の密度、および前記インプラントが半径方向に圧縮されている状態に関連する、それより高い第2の密度を有する上記201に記載の装置。
217.前記繊維は、第1の生体吸収率を有する第1の繊維、および第2の生体吸収率を有する第2の繊維を含み、前記第1の生体吸収率は、前記第2の生体吸収率と異なる上記201に記載の装置。
218.中空解剖学的構造を治療するための装置であって、
前記中空解剖学的構造内に埋め込むように構成されたやぐらを備え、前記やぐらの少なくとも一部分は概ね縦方向に延び、その長さに沿って多数の曲がり部を形成する複数の緩い繊維を含み、前記繊維は1つまたは複数の生体吸収性材料から形成される装置。
219.前記繊維は、前記やぐら内にランダムに配列されている上記218に記載の装置。
220.前記複数の繊維のうちの1本は、前記繊維に沿って、前記繊維の長さよりも極めて短い1つまたは複数の距離だけ間隔をあけて並べられている多数の前記曲がり部を備えている上記218に記載の装置。
221.前記やぐらの前記部分は、非編物である上記218に記載の装置。
222.前記やぐらの前記部分は、不織である上記218に記載の装置。
223.前記やぐらの外面は、研磨性である上記218に記載の装置。
224.前記繊維は、第1の生体吸収率を有する第1の繊維、および第2の生体吸収率を有する第2の繊維を含み、前記第1の生体吸収率は、前記第2の生体吸収率と異なる上記218に記載の装置。
225.前記繊維は、インプラント実施後2〜24週の生体吸収時間を有する上記218に記載の装置。
226.中空解剖学的構造を治療するためのやぐらであって、
蛇行する非編物である複数の繊維を含み、前記繊維は1つまたは複数の生体吸収性材料から形成されるやぐら。
227.前記繊維はランダムに配列されている上記226に記載のやぐら。
228.前記繊維は、前記やぐら内に緩く配列されている上記226に記載のやぐら。
229.前記やぐらの少なくとも一部は、編物でなく不織である上記226に記載のやぐら。
230.前記繊維は、第1の生体吸収率を有する第1の繊維、および第2の生体吸収率を有する第2の繊維を含み、前記第1の生体吸収率は、前記第2の生体吸収率と異なる上記226に記載のやぐら。
231.前記繊維は、インプラント実施後2〜24週の生体吸収時間を有する上記226に記載のやぐら。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空解剖学的構造を治療するための装置であって、
編まれておらず、織られておらず、長手方向軸線に沿って延びるほぼ互いに平行な生体吸収性材料製の複数の緩い繊維を有するインプラントを備え、前記繊維の各々は、繊維の長さに沿って多数の屈曲部を有し、前記屈曲部は、屈曲部のない繊維よりも大きな横幅を前記繊維に提供し、前記屈曲部は又、第2の状態において、前記繊維がより長い長さ、より小さい横幅を有し、第1の状態において前記第2の状態よりも短い長さ、大きい横幅を有するように、前記繊維に弾力性を提供し、各繊維は、第1の状態においては第2の状態と比較して、長さに沿う屈曲部がより著しくなり、第2の状態から第1の状態への形状の変化を通して、長手方向軸線を横切る横方向の寸法が、前記インプラントの他の繊維とは独立して、自己膨張するように構成され、前記繊維の各々は、約0.1デニールから約10デニールであり、
前記インプラントは、前記インプラントを8フレンチ以下の内径を有する円筒状管内に収めることができる圧縮状態を有するように構成され、
前記複数の繊維は、少なくとも約500本の繊維を有する繊維の細長い束に形成され、個々の繊維の単独での自己膨張性の集積により、前記圧縮状態から、前記インプラントが広がり、12フレンチ以上の内径を有する中空解剖学的構造の内径に適合するように構成された膨張状態に、横方向に膨張するように構成され、
前記インプラントは、中空解剖学的構造内に高い空洞率のやぐらを提供し、空洞の中への血液の浸入を可能にするように構成されている装置。
【請求項2】
前記インプラントは、前記膨張状態において、広がり、12〜60フレンチの内径を有する中空解剖学的構造の内径に適合するのに十分な大きさを有する請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記インプラントは、前記圧縮状態において、6〜8フレンチの内径を有する円筒状管内に収めることができる請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記インプラントは、前記中空解剖学的構造内における前記インプラントの移動を制限するように構成された固定要素を有する請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記インプラントは、繊維の単独での自己膨張性の集積により、元の断面の大きさの少なくとも50%の割合で横方向に膨張可能である請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記繊維は、前記インプラントの脈管壁係合表面を形成する請求項1記載の装置。
【請求項7】
前記表面は、前記インプラントの半径方向の最も外方の部分である請求項6記載の装置。
【請求項8】
中空解剖学的構造を治療するための装置であって、
編まれておらず、織られておらず、長手方向軸線に沿って延びる生体吸収性材料製の複数の緩い繊維を有するインプラントを備え、前記繊維の各々は、個々に半径方向に自己膨張するように構成されると共に、各繊維が弾力性を有し、インプラントの長手方向軸線を横切る方向の寸法は拡張できるが、半径方向に圧縮されると繊維の幅が減少し、長手方向軸線に沿って延びる繊維の長さは増大するように波状の構成を有し、前記繊維は、約0.1デニールから約10デニールであり、
前記インプラントは、前記インプラントを8フレンチ以下の内径を有する円筒状管内を通過させることができる圧縮状態を有するように構成され、
前記インプラントは、個々の繊維の単独での自己膨張性の集積により、前記圧縮状態から、高い空洞率のやぐらを形成しながら、前記インプラントが人間の大人の平均的な大伏在静脈の大きさを占拠するのに十分な横方向の大きさを有する処置状態に、半径方向に膨張することができ、
前記インプラントは、さらに、前記大伏在静脈を通る血液の流れを早急に遅くするように、前記大伏在静脈の長手方向軸線に沿って拡張するように構成され、
前記個々の繊維は、個々の繊維の波状の構成に作用する圧縮が減少したとき、拡張した幅、減少した長さを呈することにより自己膨張するように構成されている装置。
【請求項9】
前記インプラントは、前記圧縮状態において、6〜8フレンチの内径を有する円筒状管を通過することができる請求項8記載の装置。
【請求項10】
前記インプラントは、前記中空解剖学的構造内における前記インプラントの移動を制限するように構成された固定要素を有する請求項8記載の装置。
【請求項11】
前記繊維は、前記インプラントの脈管壁係合表面を形成する請求項8記載の装置。
【請求項12】
前記表面は、前記インプラントの半径方向の最も外方の部分である請求項11記載の装置。
【請求項13】
中空解剖学的構造を閉塞するための装置であって、
編まれておらず、織られておらず、緩く配置されたやぐらの繊維を有するインプラントを備え、前記繊維は生体吸収性で、個々に自己膨張性に構成され、前記繊維は、長さに沿って連続した波を有し、個々の繊維が捲縮しているため、第1の状態では第2の状態と比較して、大きな幅、短い長さを有するように捲縮されており、前記やぐらは、少なくとも約500本の繊維を有する繊維の細長い束に形成され、
前記インプラントは、前記インプラントを8フレンチ以下の内径を有する円筒状管内に収めることができる圧縮状態を有するように構成され、
前記インプラントは、個々の繊維の単独での自己膨張性の集積により、前記圧縮状態から、前記インプラントが、前記やぐらを形成しながら、12フレンチ以上の内径を有する円筒状管の内径に広がるのに十分に大きい横方向の大きさを有する膨張状態に、横方向に膨張することができ、前記やぐらは、血液が空洞の中に流れるのを許容するように高い空洞率を有するように構成されている装置。
【請求項14】
前記インプラントは、前記中空解剖学的構造内における前記インプラントの移動を制限するように構成された固定要素を有する請求項13記載の装置。
【請求項15】
前記インプラントは、繊維の単独での自己膨張性の集積により、元の断面の大きさの少なくとも50%の割合で横方向に膨張可能である請求項13記載の装置。
【請求項16】
前記インプラントが、前記膨張状態において、広がり、24〜36フレンチの内径を有する中空解剖学的構造の内径に適合するのに十分な大きさを有する請求項13記載の装置。
【請求項17】
前記繊維は、前記インプラントの脈管壁係合表面を形成する請求項13記載の装置。
【請求項18】
前記表面は、前記インプラントの半径方向の最も外方の部分である請求項17記載の装置。
【請求項1】
中空解剖学的構造を治療するための装置であって、
編まれておらず、織られておらず、長手方向軸線に沿って延びるほぼ互いに平行な生体吸収性材料製の複数の緩い繊維を有するインプラントを備え、前記繊維の各々は、繊維の長さに沿って多数の屈曲部を有し、前記屈曲部は、屈曲部のない繊維よりも大きな横幅を前記繊維に提供し、前記屈曲部は又、第2の状態において、前記繊維がより長い長さ、より小さい横幅を有し、第1の状態において前記第2の状態よりも短い長さ、大きい横幅を有するように、前記繊維に弾力性を提供し、各繊維は、第1の状態においては第2の状態と比較して、長さに沿う屈曲部がより著しくなり、第2の状態から第1の状態への形状の変化を通して、長手方向軸線を横切る横方向の寸法が、前記インプラントの他の繊維とは独立して、自己膨張するように構成され、前記繊維の各々は、約0.1デニールから約10デニールであり、
前記インプラントは、前記インプラントを8フレンチ以下の内径を有する円筒状管内に収めることができる圧縮状態を有するように構成され、
前記複数の繊維は、少なくとも約500本の繊維を有する繊維の細長い束に形成され、個々の繊維の単独での自己膨張性の集積により、前記圧縮状態から、前記インプラントが広がり、12フレンチ以上の内径を有する中空解剖学的構造の内径に適合するように構成された膨張状態に、横方向に膨張するように構成され、
前記インプラントは、中空解剖学的構造内に高い空洞率のやぐらを提供し、空洞の中への血液の浸入を可能にするように構成されている装置。
【請求項2】
前記インプラントは、前記膨張状態において、広がり、12〜60フレンチの内径を有する中空解剖学的構造の内径に適合するのに十分な大きさを有する請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記インプラントは、前記圧縮状態において、6〜8フレンチの内径を有する円筒状管内に収めることができる請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記インプラントは、前記中空解剖学的構造内における前記インプラントの移動を制限するように構成された固定要素を有する請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記インプラントは、繊維の単独での自己膨張性の集積により、元の断面の大きさの少なくとも50%の割合で横方向に膨張可能である請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記繊維は、前記インプラントの脈管壁係合表面を形成する請求項1記載の装置。
【請求項7】
前記表面は、前記インプラントの半径方向の最も外方の部分である請求項6記載の装置。
【請求項8】
中空解剖学的構造を治療するための装置であって、
編まれておらず、織られておらず、長手方向軸線に沿って延びる生体吸収性材料製の複数の緩い繊維を有するインプラントを備え、前記繊維の各々は、個々に半径方向に自己膨張するように構成されると共に、各繊維が弾力性を有し、インプラントの長手方向軸線を横切る方向の寸法は拡張できるが、半径方向に圧縮されると繊維の幅が減少し、長手方向軸線に沿って延びる繊維の長さは増大するように波状の構成を有し、前記繊維は、約0.1デニールから約10デニールであり、
前記インプラントは、前記インプラントを8フレンチ以下の内径を有する円筒状管内を通過させることができる圧縮状態を有するように構成され、
前記インプラントは、個々の繊維の単独での自己膨張性の集積により、前記圧縮状態から、高い空洞率のやぐらを形成しながら、前記インプラントが人間の大人の平均的な大伏在静脈の大きさを占拠するのに十分な横方向の大きさを有する処置状態に、半径方向に膨張することができ、
前記インプラントは、さらに、前記大伏在静脈を通る血液の流れを早急に遅くするように、前記大伏在静脈の長手方向軸線に沿って拡張するように構成され、
前記個々の繊維は、個々の繊維の波状の構成に作用する圧縮が減少したとき、拡張した幅、減少した長さを呈することにより自己膨張するように構成されている装置。
【請求項9】
前記インプラントは、前記圧縮状態において、6〜8フレンチの内径を有する円筒状管を通過することができる請求項8記載の装置。
【請求項10】
前記インプラントは、前記中空解剖学的構造内における前記インプラントの移動を制限するように構成された固定要素を有する請求項8記載の装置。
【請求項11】
前記繊維は、前記インプラントの脈管壁係合表面を形成する請求項8記載の装置。
【請求項12】
前記表面は、前記インプラントの半径方向の最も外方の部分である請求項11記載の装置。
【請求項13】
中空解剖学的構造を閉塞するための装置であって、
編まれておらず、織られておらず、緩く配置されたやぐらの繊維を有するインプラントを備え、前記繊維は生体吸収性で、個々に自己膨張性に構成され、前記繊維は、長さに沿って連続した波を有し、個々の繊維が捲縮しているため、第1の状態では第2の状態と比較して、大きな幅、短い長さを有するように捲縮されており、前記やぐらは、少なくとも約500本の繊維を有する繊維の細長い束に形成され、
前記インプラントは、前記インプラントを8フレンチ以下の内径を有する円筒状管内に収めることができる圧縮状態を有するように構成され、
前記インプラントは、個々の繊維の単独での自己膨張性の集積により、前記圧縮状態から、前記インプラントが、前記やぐらを形成しながら、12フレンチ以上の内径を有する円筒状管の内径に広がるのに十分に大きい横方向の大きさを有する膨張状態に、横方向に膨張することができ、前記やぐらは、血液が空洞の中に流れるのを許容するように高い空洞率を有するように構成されている装置。
【請求項14】
前記インプラントは、前記中空解剖学的構造内における前記インプラントの移動を制限するように構成された固定要素を有する請求項13記載の装置。
【請求項15】
前記インプラントは、繊維の単独での自己膨張性の集積により、元の断面の大きさの少なくとも50%の割合で横方向に膨張可能である請求項13記載の装置。
【請求項16】
前記インプラントが、前記膨張状態において、広がり、24〜36フレンチの内径を有する中空解剖学的構造の内径に適合するのに十分な大きさを有する請求項13記載の装置。
【請求項17】
前記繊維は、前記インプラントの脈管壁係合表面を形成する請求項13記載の装置。
【請求項18】
前記表面は、前記インプラントの半径方向の最も外方の部分である請求項17記載の装置。
【図1】
【図2A−D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27a−b】
【図27c】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36A−E】
【図36F】
【図37A】
【図37B】
【図37C】
【図37D】
【図37E】
【図38】
【図39】
【図40A−C】
【図41】
【図42A−C】
【図43A−B】
【図44A−B】
【図45A−C】
【図46A−C】
【図47A−B】
【図48A−C】
【図49】
【図50】
【図51A−E】
【図51F−H】
【図52A−B】
【図53A−B】
【図54A−B】
【図54C】
【図55A−B】
【図56A−B】
【図57A−C】
【図2A−D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27a−b】
【図27c】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36A−E】
【図36F】
【図37A】
【図37B】
【図37C】
【図37D】
【図37E】
【図38】
【図39】
【図40A−C】
【図41】
【図42A−C】
【図43A−B】
【図44A−B】
【図45A−C】
【図46A−C】
【図47A−B】
【図48A−C】
【図49】
【図50】
【図51A−E】
【図51F−H】
【図52A−B】
【図53A−B】
【図54A−B】
【図54C】
【図55A−B】
【図56A−B】
【図57A−C】
【公開番号】特開2012−71143(P2012−71143A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235095(P2011−235095)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【分割の表示】特願2007−552374(P2007−552374)の分割
【原出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【分割の表示】特願2007−552374(P2007−552374)の分割
【原出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】
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