説明

中継ハーネス

【課題】ユーザーにおいて、入出力のための接続を容易に行える中継ハーネスを提供する。
【解決手段】第1のサイズのコネクタを有する第1の機器と、前記第1のサイズよりも小型の第2のサイズのコネクタを有する第2の機器1との間の接続を中継する中継ハーネス2は、ケーブル21と、このケーブル21の一端に取り付けられた前記第1のサイズである第1コネクタ22と、前記ケーブル21の他端に取り付けられた前記第2のサイズであって、かつ前記第2の機器1の前記コネクタに接続可能な第2コネクタ23とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、デジタルパネルメータとPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)といった複数の機器間の接続を中継する中継ハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルパネルメータとしては、特許文献1に示すようなものがある。同文献に記載のデジタルパネルメータでは、前面に表示部と各種の操作キーとを含む操作パネルがある。
【0003】
上記のようなデジタルパネルメータにおいて、例えば、デジタルデータをPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)に出力する場合、まず、ユーザは、一端にオス型のコネクタを、他端にメス型のコネクタを取り付けた接続ケーブルとしてのハーネスを用意する。ハーネスの両端のコネクタは、同規格で同じサイズの同コンタクト数(芯数)のもので、具体的には、比較的大型のD−sub規格のコネクタである。これは、この規格のコネクタが電子機器相互の接続に広く使用され、配線接続も容易なためである。
【0004】
そして、ユーザーは、前記のハーネスの一端にあるコネクタを、デジタルパネルメータ側のコネクタに接続し、ハーネスの他端のコネクタをPLC側のコネクタに接続して、デジタルパネルメータのデジタルデータがPLCに入力されるようにする。
【特許文献1】特開平10−177411号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、デジタルパネルメータ等の電子機器では、高性能化とともに、小型化が重要視されており、近年、その外形が小さくなり、比較的大型のD−sub規格等のコネクタを装備するが困難となりつつある。
【0006】
これに対しては、デジタルパネルメータの入出力側には小型のコネクタを設けておいて、一方では、ハーネスの一端に、この小型のコネクタに接続可能な小型のコネクタを設ければよいが、小型のコネクタはコンタクト間隔が狭ピッチで、このように狭ピッチのコネクタをケーブルの一端に取り付けてハーネスを作成するには、細かい配線接続の作業が必要で、ユーザーには大きな負担となる。狭ピッチのコネクタをケーブルに接続するための配線治具は、既に存在し販売されているが、高価であり、どのユーザーにも容易に利用できるものではない。
【0007】
そこで、本発明の課題は、ユーザーにおいて、入出力のための接続を容易に行える中継ハーネスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第1のサイズのコネクタを有する第1の機器と、前記第1のサイズよりも小型の第2のサイズのコネクタを有する第2の機器との間の接続を中継する中継ハーネスであって、ケーブルと、このケーブルの一端に取り付けられた前記第1のサイズである第1コネクタと、前記ケーブルの他端に取り付けられた前記第2のサイズであって、かつ前記第2の機器の前記コネクタに接続可能な第2コネクタとを備えている。
【0009】
第1のサイズのコネクタは、D−subコネクタであるのが好ましい。
【0010】
第2の機器としては、デジタルパネルメータのような計測機器や温度調節器などの小型化が望まれる機器であるのが好ましい。
【0011】
上記構成によると、ケーブルの各端には、第1のサイズの第1コネクタと、この第1のサイズよりも小型の第2のサイズであって、かつ第2の機器の第2のサイズのコネクタに接続可能な第2コネクタとがそれぞれ取り付けられているので、第2コネクタを、第2の機器の小型のコネクタに接続する一方、第1コネクタを、第1の機器側の接続に用いることにより、第1の機器と第2の機器との接続が可能となる。しかも、ユーザーにおいて、ケーブルの一端に小型のコネクタを配線接続して専用のハーネスを作成するという面倒な作業を行う必要がなくなる。また、メーカー側では、ユーザー側の事情に左右されることなく、第2の機器の小型化を図ることができる。
【0012】
一つの実施態様においては、前記第1コネクタが、両端に前記第1のサイズのコネクタを有する接続ケーブルの一端のコネクタに接続可能であって、該接続ケーブルの他端のコネクタが、前記第1の機器の前記コネクタに接続可能である。
【0013】
上記構成によると、サイズが大きい第1のサイズのコネクタを両端に有する接続ケーブル、すなわち、ユーザーが従来使用している接続ケーブル(ハーネス)を利用することができるので、第1の機器と第2の機器との接続に必要なケーブル長さに容易に対応できることになる。
【0014】
他の実施態様においては、前記第1コネクタが、前記第1の機器の前記コネクタに接続可能である。
【0015】
上記構成によると、ユーザーが従来使用している接続ケーブル(ハーネス)を利用することなく、当該中継ケーブルのみを用いて第1の機器と第2の機器とを接続できることになる。
【0016】
好ましい実施態様においては、前記第2の機器は、そのケース内に複数の基板が収納され、前記第2のサイズの前記コネクタが、前記複数の基板の少なくとも一つの基板に装備されるものである。
【0017】
この第2のサイズのコネクタが装備される基板は、BCD(Binary Coded Decimal)出力用の基板であるのが好ましい。
【0018】
また、前記複数の基板として、共用配線を有するベース基板と、機能に応じた専用回路を有するとともに、前記ベース基板の接続部に装着することでその専用回路がベース基板の共用配線に接続される複数の装着用基板とを備え、前記第2のサイズのコネクタが、前記装着用基板に装備されるのが好ましい。
【0019】
ここで、共用配線とは、複数の基板の間で共用される配線をいい、例えば、複数の装着用基板の間で共用されるバス配線、電源線、アナログ信号線等をいう。
【0020】
機能とは、例えば、入力、出力、電源、通信といった機能のみならず、アナログ入力、デジタル入力、さらには、リレー出力、トランジスタ出力といった出力形式や入出力点数などの機能をいうものであり、専用回路とは、かかる機能に応じた専用の回路をいい、例えば、入力回路、出力回路、電源回路などの回路をいう。
【0021】
さらに、前記ベース基板は、前記ケースの前面部に沿って設けられるとともに、前記装着用基板は、一端がケースの背面側に臨むよう前記ベース基板と直交する向きで該ベース基板に装着され、ケースの背面側に臨む装着用基板の端部に、前記第2のサイズのコネクタが装備されるのが好ましい。
【0022】
また、前記ケースの前面部および前記ベース基板は、横長に成形され、複数の装着用基板は、その幅方向を、前記ベース基板の縦方向に沿わせて配列され、前記装着用基板の幅寸法および前記装着用基板に装備される前記第2のサイズのコネクタは、前記ケースの前面部の縦寸法よりも小さいものである。
【0023】
上記構成によると、第2の機器のケースの背面側に、複数の装着用基板の端部が、ケースの横方向に沿って整列することになり、各装着用基板への入出力用の配線接続が容易となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ユーザーにおいて、細かい配線接続作業により専用のハーネスを作成する必要がない。また、メーカー側では、電子機器の入出力用のコネクタを小型のものとして、電子機器をより小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面によって本発明の最良の実施の形態について詳細に説明する。
【0026】
図1は、第1の機器(図示せず)と第2の機器との接続を中継する本発明に係る中継ハーネスおよび第2の機器としてのデジタルパネルメータを背面側から見た斜視図で、中継ハーネスはデジタルパネルメータに接続されている。図2は、デジタルパネルメータと中継ハーネスとを前面側から見た斜視図で、中継ハーネスはデジタルパネルメータから分離されている。図3は、デジタルパネルメータの内部構成を示す分解斜視図、図4は中継ハーネスおよび従来のハーネスの平面図である。
【0027】
図1ないし図4に示すように、デジタルパネルメータ1は、横長のケース3を備え、このケース3の前面部に液晶等の表示部4と各種の操作キー5,5,…とが設けられている。デジタルパネルメータ1の内部回路は、機能毎にモジュール化されて、それぞれ別個の基板で構成されており、したがって、デジタルパネルメータ1は、そのケース3内に複数の基板を有している。
【0028】
この実施の形態のデジタルパネルメータ1は、本件出願人が、平成14年5月20日に出願し、平成15年11月28日に公開された「電子機器および電子機器の使用方法」(特開2003−338674号公報)の電子機器としての基本的な構成を備えるものである。
【0029】
すなわち、この実施の形態のデジタルパネルメータ1は、図3に示すように、共用配線を有するベース基板6のコネクタ8a〜8eに対して、所要の機種に対応するように、入力、出力、電源、通信などの機能毎の装着用基板7A〜7Eを装着することにより、共用配線を介して各基板7A〜7Eの専用回路が接続され、入力用基板7Aに実装されたメインCPUが、各装着用基板を識別してその機種に対応する制御動作を可能とし、これによって、装着用基板7A〜7Eを複数の機種で共用可能とするものである。
【0030】
この実施形態では、デジタルパネルメータ1は、そのケース3内に、ベース基板6と、入力用基板7Aと、電源用基板7Bと、BCD出力を与える出力用基板7Cと、通信用基板7Dと、イベント入力用基板7Eとを備えている。前記の各基板7A,7B,7C,7D,7Eは、それぞれその機能に対応した専用回路を有するが、図面では、各基板6,7A,7B,7C,7D,7E(7と総称)の外形等、本発明の説明に必要とする部分のみを図示し、専用回路やその配線等の図示を省略している。
【0031】
ベース基板6は、ケース3の前面部に沿って設けられるもので、これには、表示部4の駆動回路や表示制御回路のほかに、各基板7の専用回路を接続するために、共用バス配線、共用電源線、共用アナログ信号線等の共用配線と、各基板7に対応した第1から第5の基板コネクタ8a,8b,8c,8d,8e(8と総称)とを有している。
【0032】
また、入力用基板7Aは、上述のように各基板7を識別して全体の動作を制御して所要の機種として動作させるメインCPUを備えている。
【0033】
各基板7は、前記ベース基板6と直交する向きで、ケース3の背面側から装着されるもので、装着前端に基板コネクタ9a,9b,9c,9d,9e(9と総称)を有しており、ベース基板6に対して前記した向きに装着されることで、各基板7側の基板コネクタ9と、対応するベース基板6側の基板コネクタ8とが接続されて、各基板7の専用回路が共用配線に接続されるようになっている。
【0034】
また、各基板7の装着後端は、ケース3の背面側に臨んでおり、各基板7の後端にはそれぞれ入出力部10a,10b,10c,10d,10e(10と総称)が設けられている。各入出力部10には、装着用基板7の固定部11と、ケース3への係止部12とが突設されている。係止部12の先端は、ケース3に形成された係止窓13に係止される。
【0035】
各装着用基板7の入出力部10a,10b,10c,10d,10eのうち、出力用基板7Cを除く各基板7A,7B,7D,7Eの入出力部10a,10b,10d,10eは、いずれも複数の端子取り付け部を有する端子台となっている。出力用基板7Cの入出力部10cには、第2のサイズのコネクタとして、メス型のコネクタ14が設けられている。このコネクタ14には、ケース3の縦寸法内に収まるよう、ケース3の縦寸法より短い幅を有するものが使用されている。
【0036】
中継ハーネス2は、前記した出力用基板7Cの入出力部10cに対して用意されたもので、ケーブル21と、このケーブル21の一端に取り付けられた第1コネクタ22と、前記ケーブル21の他端に取り付けられた第2コネクタ23とからなる。
【0037】
第1コネクタ22は、比較的に大型の規格のもので、具体的には、第1のサイズのコネクタとしてのD−subタイプのコネクタである。第2コネクタ23は、前記第1コネクタ22より小型でかつ、出力用基板7Cの入出力部10cに設けられている第2のサイズのコネクタ14に接続可能なものである。したがって、第2コネクタ23は、出力用基板7C側のコネクタ14と同規格で、同コンタクト数(芯数)である。
【0038】
上記の構成において、デジタルパネルメータ1のケース3の背面側にある各装着用基板7の入出力部10のうち、出力用基板7Cを除く装着用基板7A,7B,7D,7Eの入出力部10a,10b,10d,10eの端子台には、電源線や、センサや他の機器から引き出した電線が接続される。
【0039】
出力用基板7Cについては、図4に示すように、その入出力部10cにあるコネクタ14に、中継ハーネス2の第2コネクタ23を接続し、また、中継ハーネス2の第1コネクタ22には、従来のハーネス、すなわち、ケーブルの両端に、第1のサイズのコネクタであるD−subタイプのコネクタ25,25がそれぞれ取り付けられたハーネス26の一端のコネクタ25を接続し、この従来のハーネス26の他端25を、図外の第1の機器としてのプログラマブル・ロジック・コントローラの入力側に設けられているコネクタに接続する。
【0040】
出力用基板7C上に設けられている専用回路が生成するBCDのデジタルデータは、該基板7Cの入出力部10cに設けられいるコネクタ14、このコネクタ14に接続されている中継ハーネス2およびこの中継ハーネス2に接続されている従来のハーネス26を通じて、プログラマブル・ロジック・コントローラに入力される。
【0041】
このようにユーザーが使用している従来のハーネスをそのまま用いることができるので、ユーザーが、細かい配線接続作業により専用のハーネスを作成する必要がない。
【0042】
なお、本発明の他の実施の形態として、中継ハーネス2のケーブル21の長さを十分な長さとし、図5に示すように、出力用基板7Cの入出力部10cにあるコネクタ14に、中継ハーネス2の第2コネクタ23を接続し、また、中継ハーネス2の第1コネクタ22には、従来のハーネス26を介することなく、図外の第1の機器としてのプログラマブル・ロジック・コントローラの入力側に設けられているコネクタに直接接続してもよい。
【0043】
上述の実施の形態では、第1の機器として、プログラマブル・ロジック・コントローラに適用して説明したけれども、プログラマブル・ロジック・コントローラに限らず、表示機器やその他の機器に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、サイズの異なるコネクタを有する機器間の接続に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る中継ハーネスおよびデジタルパネルメータを背面側から見た斜視図である。
【図2】図1のデジタルパネルメータと中継ハーネスとを前面側から見た斜視図である。
【図3】図1のデジタルパネルメータの内部構成を示す分解斜視図である。
【図4】図1のデジタルパネルメータ、中継ハーネスおよび従来のハーネスの平面図である。
【図5】本発明の他の実施の形態のデジタルパネルメータおよび中継ハーネスの平面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 デジタルパネルメータ(第2の機器)
2 中継ハーネス
21 ケーブル
22 第1コネクタ
23 第2コネクタ
6 ベース基板
14 コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のサイズのコネクタを有する第1の機器と、前記第1のサイズよりも小型の第2のサイズのコネクタを有する第2の機器との間の接続を中継する中継ハーネスであって、
ケーブルと、このケーブルの一端に取り付けられた前記第1のサイズである第1コネクタと、前記ケーブルの他端に取り付けられた前記第2のサイズであって、かつ前記第2の機器の前記コネクタに接続可能な第2コネクタとを備えたことを特徴とする中継ハーネス。
【請求項2】
前記第1コネクタが、両端に前記第1のサイズのコネクタを有する接続ケーブルの一端のコネクタに接続可能であって、該接続ケーブルの他端のコネクタが、前記第1の機器の前記コネクタに接続可能であることを特徴とする請求項1に記載の中継ハーネス。
【請求項3】
前記第1コネクタが、前記第1の機器の前記コネクタに接続可能である請求項1に記載の中継ハーネス。
【請求項4】
前記第2の機器は、そのケース内に複数の基板が収納され、前記第2のサイズの前記コネクタが、前記複数の基板の少なくとも一つの基板に装備されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の中継ハーネス。
【請求項5】
前記複数の基板として、共用配線を有するベース基板と、機能に応じた専用回路を有するとともに、前記ベース基板の接続部に装着することでその専用回路がベース基板の共用配線に接続される複数の装着用基板とを備え、
前記第2のサイズのコネクタが、前記装着用基板に装備されることを特徴とする請求項4に記載の中継ハーネス。
【請求項6】
前記ベース基板は、前記ケースの前面部に沿って設けられるとともに、前記装着用基板は、一端がケースの背面側に臨むよう前記ベース基板と直交する向きで該ベース基板に装着され、
ケースの背面側に臨む装着用基板の端部に、前記第2のサイズのコネクタが装備されることを特徴とする請求項5に記載の中継ハーネス。
【請求項7】
前記ケースの前面部および前記ベース基板は、横長に成形され、
複数の装着用基板は、その幅方向を、前記ベース基板の縦方向に沿わせて配列され、
前記装着用基板の幅寸法および前記装着用基板に装備される前記第2のサイズのコネクタは、前記ケースの前面部の縦寸法よりも小さいことを特徴とする請求項6に記載の中継ハーネス。
【請求項8】
前記第2のサイズのコネクタが装備される前記基板が、BCD出力用の基板であることを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載の中継ハーネス。
【請求項9】
前記第1のサイズのコネクタが、D−Subコネクタであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の中継ハーネス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−92824(P2006−92824A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−274456(P2004−274456)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】