説明

中継器のベース取付構造

【課題】中継器盤内の中継器取付作業を効率化するようにした中継器のベース取付構造を得ることを目的とする。
【解決手段】略箱形筐体の底部長手方向の両端部に嵌合溝部5と係止部6をそれぞれ設け、前記略箱形筐体の底部近傍の短手方向の両側面に少なくとも1対の係合用突起部7を設けた中継器1と、中継器1を収容する凹状の中継器収容部13に、嵌合溝部5と嵌合する嵌合突部14と、係止部6と係合して保持する係止片15と、係合用突起部7と係合して抜け止めする突起受け部16を設けて構成されるベース11とを備え、ベース11の中継器収容部13に中継器1が収容されて、ベース11の嵌合突部14に中継器1の嵌合溝部5が嵌合すると共にベース11の係止片15に中継器1の係止部6が係止され、ベース11の突起受け部16に中継器1の係合用突起部7が抜け止め状態に係合するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は防災用の端末機器の状態を検出する中継器のベース取付構造に係り、特に中継器盤内の中継器取付作業の効率化を図るようにしたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の中継器は、中継器盤のレール上に配置し、左右にスライドさせて中継器盤に設けたネジ取付部でネジ止め固定していた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−252625号公報(第3頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の中継器では、中継器盤に配置されているレール上を左右にスライドさせ、中継器盤に設けたネジ取付部にネジ止め固定していたため、全ての中継器を固定するまで時間がかかり、また、レールは中継器盤に固定されているため、作業者は横向きにネジ固定等の作業を不安定な姿勢のまま行なわなければならないという問題があった。
本発明はかかる問題点を解決するためになされたもので、中継器盤内の中継器取付作業の効率化を図るようにした中継器のベース取付構造を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る中継器のベース取付構造は、略箱形筐体の底部長手方向の両端部に嵌合溝部と係止部をそれぞれ設け、かつ、前記略箱形筐体の底部近傍の短手方向の両側面に少なくとも1対の係合用突起部を設けた中継器と、前記中継器を収容する凹状の中継器収容部に、前記嵌合溝部と嵌合する嵌合突部と、前記係止部と係合して保持する係止片と、前記係合用突起部を収容して抜け止めする突起受け部を設けて構成されるベースとを備え、前記ベースの中継器収容部に前記中継器が収容されて、前記ベースの嵌合突部に前記中継器の嵌合溝部が嵌合すると共に前記ベースの係止片に前記中継器の係止部が係止され、前記ベースの突起受け部に前記中継器の係合用突起部が抜け止め状態に係合するようにしたものである。
【発明の効果】
【0005】
以上で説明したように本発明の中継器のベース取付構造によれば、ベースの凹状の中継器収容部に略箱形筐体の中継器が収容されて、ベースの嵌合突部に中継器の嵌合溝が嵌合すると共にベースの係止片に中継器の係止部が係止され、ベースの突起受け部に中継器の係合用突起部が抜け止め状態に係合するようにしたので、中継器をベースに取り付ける際は、工具を使わずにベースの各部材と中継器の各部材を嵌合や係止という簡単な作業で行え、組立作業の効率化を図ることができ、しかもベースに中継器がガタなく取り付けられるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1の中継器のベース取付構造を構成する中継器の平面図、図2は同中継器のベース取付構造を構成する中継器の正面図、図3は同中継器のベース取付構造を構成する中継器の側面図、図4は同中継器のベース取付構造を構成するベースの平面図、図5は同中継器のベース取付構造を構成するベースの側面図、図6は同中継器のベース取付構造を構成するベースの背面図、図7は同中継器のベース取付構造を構成するベースに複数の中継器を取り付けた状態の平面図、図8は同中継器のベース取付構造を構成するベースに複数の中継器を取り付けた状態の背面図、図9は図7のA−A線で切断した断面図、図10は中継器盤にベースを取り付けた状態の平面図、図11は中継器盤とベースとの係合状態の断面図である。
【0007】
図1〜図3において、1は端末機器の状態を検出し、その検出信号を火災受信機(図示省略)に送る細長い略箱形筐体の中継器で、中継器本体2と、中継器本体2の上部に取り付けられたカバー3とから構成されている。
その中継器本体2の底部長手方向の両端部にそれぞれ取付フランジ4が設けられている。一方の取付フランジ4にはフランジ端部から切り欠いたU字状の嵌合溝5が設けられており、他方の取付フランジ4には該取付フランジ4の下端縁で構成される係止部6が設けられている。
【0008】
また、中継器本体2の底部近傍の短手方向の両側面にそれぞれ所定の間隔を置いて相対向するよう4対の係合用突起部7が設けられている。
カバー3の上部には端子台8とアドレス設定器接続用コネクタ9が設けられている。
また、中継器本体2の外周面の上部には4つの本体被係合部10aが設けられ、カバー3の外周面の下部には中継器本体2の各本体被係合部10aと係合する4つのカバー係合部10bが設けられている。中継器本体2の本体被係合部10aにカバー3のカバー係合部10bが係合することにより、中継器本体2にカバー3が取り付け固定される。
そのカバー係合部10bは長手方向の両端部で固定するとともに、その中央部分の1対のカバー係合部10bを本体係合部10aに引っ掛けることで、中央部分での隙間の発生やカバー3の浮き上がりを防止する。
【0009】
図4〜図6において、11は例えば4つの中継器1が取り付けられる略正方形で、底が浅く上部が開口した函状のベースで、3つの仕切壁12によって4つの細長い凹状の中継器収容部13が形成されている。
各中継器収容部13の長手方向一端側内壁には中継器本体1の取付フランジ4のU字状の嵌合溝5と嵌合するU字状の嵌合突部14が設けられ、その長手方向他端側の底部には該底部を切り起こして形成された弾性を有する係止片15が設けられている。その係止片15の途中には中継器本体1の取付フランジ4の係止部6を係止する係止段部15aが設けられている。
【0010】
また、各中継器収容部13の短手方向両側内壁の上部にはそれぞれ所定の間隔を置いて相対向するよう4対の抜止用突起受け部16が設けられている。
さらに、ベース11の底部の両端部にはそれぞれ間隔を置いて先端に係止爪17aを有する取付フック17が2つずつ垂下して設けられている。
図10に示すように、21は例えば2つのベース11が取り付けられる中継器盤で、底が浅く上部が開口した函状の中継器盤本体22と、中継器盤本体22の開口を閉鎖する蝶番24で開閉自在なカバー扉23とで構成されている。
その中継器盤本体22の底部には、2つのベース11を取り付けるための係合穴25が8つ設けられている。
【0011】
次に、本発明の実施の形態1の中継器のベース取付構造の取付手順について説明する。
まず、中継器本体2の係合用突起部7が中継器収容部13の抜止用突起受け部16の脇に位置するように、ベース11の中継器収納部13内に中継器1を載せる。
しかる後に、中継器収容部13の嵌合突部14が中継器本体2の取付フランジ4の係止溝5に嵌合するように、中継器収容部13内でその長手方向に中継器本体2をスライドさせる。
【0012】
その中継器本体2のスライドにより、中継器本体2の取付フランジ4の底部が中継器収容部13の底部内に突出する係止片15を弾性に抗して押し下げ、取付フランジ4の下端縁で構成される係止部6が係止片15の係止段部15aを通過したところで係止片15がその弾性により元の位置に復帰し、係止片15の係止段部15aが中継器本体2の底部の係止部6と係合し、それと同時に中継器本体2の両側面の4つの係合用突起部7が中継器収容部13の両側壁の上部に設けた4つの抜止用突起受け部16の直下に位置し、中継器収容部13に対して中継器本体2が上方への抜け止めがされた状態に取り付けられる。
このようにしてベース11の4つの中継器収容部13内に、図7、図8に示すように4つの中継器1を取り付ける。
【0013】
このとき、係合用突起部7の幅は短く、同じ幅に形成された抜止用突起受け部16の直下に位置するまでの移動量は少ない。そのため、取付作業はベース11の正面から中継器本体2を中継器収容部13に嵌め込む動きとなり、最後に中継器本体2をわずかにベース11の側方にずらすことで、簡便に取り付けることができる。なお、係合用突起部7は1対以上あればよく、抜止用突起受け部16もそれに合わせた個数でよい。
【0014】
次に、4つの中継器1を取り付けたベース11の中継器盤21への取り付けを行う。
そのベース11の中継器盤21への取り付けは、ベース11の底部の端部に垂下して設けられた4つの取付フック17を指で少し斜めにしてその先端の係止爪17aが中継器盤21の4つの係合穴25にそれぞれ挿入し、その後に指を離すと取付フック17の弾性により元の位置に戻り、図11に示すように取付フック17の係止爪17aが係合穴25の下縁に係止され、ベース11が中継器盤21に着脱可能に取り付けられる。しかる後に、中継器盤21の開口をカバー扉23で閉鎖する。
【0015】
なお、中継器盤21からベース11を取り外すときは、中継器盤21に取り付けられているベース11の取付フック17を指で少し斜めにして中継器盤21の係合穴25から係止爪17aの係止を解除させ、その後にベース11の取付フック17を中継器盤21の係合穴24から引き抜くことにより、中継器盤21からベース11を工具を使わずに簡単に取り外すことができる。また、中継器盤21に取付フック17を設け、ベース11に係合穴24を設けてもよい。
【0016】
以上で説明したように本発明の実施の形態1によれば、ベース11の中継器収容部13に略箱形筐体の中継器1を収容させ、ベース11の嵌合突部14に中継器1の取付フランジ4の嵌合溝5を嵌合させると共にベース11の係止片15に中継器1の取付フランジ4の係止部6を係止させ、ベース11の抜止用突起受け部16に中継器1の係合用突起部7を抜け止め状態に係止させるようにしたので、中継器1をベース11に取り付ける際は、工具を使わずにベース11の各部材と中継器1の各部材との嵌合や係止という簡単な作業で行え、組立作業の効率化を図ることができ、しかもベース11に中継器1がガタなく取り付けられる。
【0017】
また、ベース11に少なくとも一つ以上の中継器収容部13を並設し、中継器1をそれぞれの中継器収容部13に同一方向に配置するようにしたので、複数の中継器1を整列状態にベース11に工具を使わず簡単な作業で取り付けることが可能になる。
さらに、中継器1を取り付けするベース11が、中継器盤21と着脱可能に取り付けされるので、ベース11を中継器盤21に対して工具を使わずに簡単に取り付け、取り外しができ、例えば、床面上でベース11に複数の中継器1を取り付けし、各中継器1の配線接続後に、中継器盤21に取り付けしてもよく、作業者が楽な姿勢で短時間に作業を実施することができる。
本発明の実施の形態1では、ベース11に取り付けする中継器1は4つとし、中継器盤21に取り付けするベース11は2つとする例を示したが、防火対象物の規模により中継器1やベース11の数は適宜に選択してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態1の中継器のベース取付構造を構成する中継器の平面図。
【図2】同中継器のベース取付構造を構成する中継器の正面図。
【図3】同中継器のベース取付構造を構成する中継器の側面図。
【図4】同中継器のベース取付構造を構成するベースの平面図。
【図5】同中継器のベース取付構造を構成するベースの側面図。
【図6】同中継器のベース取付構造を構成するベースの背面図。
【図7】同中継器のベース取付構造を構成するベースに複数の中継器を取り付けた状態の平面図。
【図8】同中継器のベース取付構造を構成するベースに複数の中継器を取り付けた状態の背面図。
【図9】図7のA−A線で切断した断面図。
【図10】中継器盤にベースを取り付けた状態の平面図。
【図11】中継器盤とベースとの係合状態の断面図。
【符号の説明】
【0019】
1 中継器、2 中継器本体、3 カバー、4 取付フランジ、5 嵌合溝、6 係止部、7 係合用突起部、8 端子台、9 アドレス設定器接続用コネクタ、10a 本体被係合部、10b カバー係合部、11 ベース、12 仕切壁、13 中継器収容部、14 嵌合突部、15 係止片、16 抜止用突起受け部、17 取付フック、17a 係止爪、21 中継器盤、22 中継器盤本体、23 カバー扉、24 蝶番、25 係合穴。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略箱形筐体の底部長手方向の両端部に嵌合溝部と係止部をそれぞれ設け、かつ、前記略箱形筐体の底部近傍の短手方向の両側面に少なくとも1対の係合用突起部を設けた中継器と、
前記中継器を収容する凹状の中継器収容部に、前記嵌合溝部と嵌合する嵌合突部と、前記係止部と係合して保持する係止片と、前記係合用突起部を収容して抜け止めする突起受け部を設けて構成されるベースとを備え、
前記ベースの中継器収容部に前記中継器が収容されて、前記ベースの嵌合突部に前記中継器の嵌合溝部が嵌合すると共に前記ベースの係止片に前記中継器の係止部が係止され、前記ベースの突起受け部に前記中継器の係合用突起部が抜け止め状態に係合することを特徴とする中継器のベース取付構造。
【請求項2】
前記ベースに少なくとも一つ以上の前記中継器収容部が並設され、前記中継器がそれぞれの中継器収容部に同一方向に配置されるようにしたことを特徴とする請求項1記載の中継器のベース取付構造。
【請求項3】
前記中継器を取り付けする前記ベースが、中継器盤と着脱可能に取り付けされることを特徴とする請求項1〜2記載の中継器のベース取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−334592(P2007−334592A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−164990(P2006−164990)
【出願日】平成18年6月14日(2006.6.14)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】