説明

中通し竿及びその製造方法

【目的】 糸の摺動抵抗の低減を図ると同時に、その為に形成した竿内面の凹凸を強固にする。
【構成】 竿素材の内周面に、軸芯方向に所定間隔を持って周方向又は略周方向に沿った形状の凸面部を形成する。凸面部を、釣り糸受具10とその釣り糸受具10を竿素材に連結支持する支持部11とで構成する。支持部を、竿素材7の内周表面と同様に、周方向に配置した強化繊維に樹脂を含浸させたプリプレグヤーン11Aにより形成するとともに、釣り糸受具10をプリプレグより硬質でかつ滑動性に富む線材10Aで構成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂と強化繊維とからなる竿素材の内周面を、凹凸面部に形成してある中通し竿及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上記構成を有する中通し竿として、先に本出願人によって提案したものがあり、その要旨は、樹脂と強化繊維とからなる竿素材の内周面を、凹凸面部に形成したものであり、このような構成によって、糸を凸面部で受けて竿内面より浮かせて、糸の繰り出し又は巻とり時等における、糸の摺動抵抗を軽減できるのである(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特許第2807970号(公報第4頁右欄の第5行〜第9行、及び、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
凸面部をプリプレグで形成している。そうすると、仕掛けの繰り出し巻き上げ操作によって、釣り糸が凸面部の先端に強く接触しながら相対移動する状態が継続すると、凸面部表面の樹脂部分が熱や磨耗によって損傷を受けて釣り糸を案内する機能が低下するだけでなく、樹脂が磨耗することによって強化繊維が表出し、釣り糸が炭素繊維等の摩擦係数の大きな素材と接触する状態が現出することとなり、釣り糸が損傷する虞があった。
このような事態は、高負荷を受けて釣り竿が大きな曲がりを生じた場合に、釣り糸が凸面部に強い擦れを生ずることとなる中間竿に形成された凸面部において起こり易い傾向がみられた。
本発明の目的は、上記した傾向を抑制し、凸面部の損傷と釣り糸の損傷を回避できる釣り竿を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
〔構成〕
請求項1に係る発明の特徴構成は、前記竿素材の内周面に、軸芯方向に所定間隔を持って周方向又は略周方向に沿った形状の凸面部を形成するとともに、前記凸面部を、釣り糸受具とその釣り糸受具を前記竿素材に連結支持する支持部とで構成し、前記支持部を、前記竿素材の内周表面と同様に、周方向に配置した強化繊維に樹脂を含浸させたプリプレグにより形成するとともに、前記釣り糸受具を前記プリプレグより硬質でかつ滑動性に富む線材で構成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0006】
〔作用〕
凸面部として、前記プリプレグより硬質でかつ滑動性に富む線材で構成してある釣り糸受具を形成することによって、釣り糸がこの釣り糸受具に強く擦れを生ずることとなっても、大きな摩擦熱等の発生はなく、強化繊維が表出することもない。
しかも、釣り糸受具を支持する支持部がプリプレグ製であるところから、竿素材との密着性が良好であり、この支持部が凸面部の基端部に形成されているので、釣り糸が強く擦り付けられたとしても、凸面部が竿素材の内周面から剥がれることも少ない。
更に、凸面部が強化繊維を周方向に配置したプリプレグにより形成されているので、強化繊維が凸面部を横切ることは少なく、凸面部の保形性を強固なものにできる。
【0007】
〔効果〕
凸面部に、硬質でかつ滑動性に富む線材でなる釣り糸受具を形成したので、釣り竿が大きく曲がりを生じて、釣り糸が釣り糸受具に強く接触する状態が現出されても釣り糸受具が損傷を受け難く、釣り糸にも損傷を与えない。
しかも、釣り糸受具を単独で凸面部に形成するのではなく、この受具をプリプレグ製である支持部で支持する構成を採っているので、凸面部自体が竿素材から剥がれ難い効果がある。
【0008】
請求項2に係る発明の特徴構成は、前記支持部と前記釣り糸受具との表面に亘って、撥水処理を施してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0009】
〔作用効果〕
つまり、撥水処理により、釣り糸が支持部や釣り糸受具と接触しても、水分が排除されているので、接着し難く釣り糸の摺動抵抗が大きくはならない。
【0010】
請求項3に係る発明の特徴構成は、芯金に撥水性を有する離型材を塗布するとともに、その離型材の外周面に、前記凹凸面部を形成する凹凸形成用テープを、前記芯金軸芯方向に所定間隔をおいて巻付け、更に、前記凹凸形成用テープ同士における前記芯金軸芯方向所定間隔部分に釣り糸受具を巻回し、前記凹凸形成用テープと前記釣り糸受具との上に樹脂と強化繊維とからなるプリプレグを巻回して竿素材を形成し、その竿素材の外周面に保形用テープを巻回し、その後焼成し脱芯した後に、前記保形用テープを剥離するとともに前記凹凸形成用テープを前記竿素材より剥離し、前記竿素材の内周面に前記釣り糸受具を表出形成する点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0011】
〔作用効果〕
つまり、凹凸形成用のテープを芯金の軸芯方向に所定間隔を置いて巻き付けることによって、その所定間隔部分に凸面部を形成するスペースを確保できる。そして、この所定間隔部分に釣り糸受具とプリプレグ製の支持部とを設けることができ、焼成後にこの凹凸形成用のテープを剥がすと、その剥がした部分が凹面部として残ると同時に釣り糸受具とプリプレグ製の支持部の部分が凸面部として残り、竿素材の内面に凹凸面部が形成される。
したがって、凹凸形成用のテープを間隔を置いて巻き付け、その間隔部分に釣り糸受具と支持部とを巻き付けるだけの簡単な製造方法を採っているので、コスト低減に寄与する。
しかも、凹凸形成用のテープ間に形成された前記所定間隔部分に釣り糸受具と支持部とを巻回する構成を採っているので、凹凸形成用のテープと支持部との表面が面一又はそれに近い状態にあることとなり、そのテープと支持部とに亘って竿素材を構成する第1層としてのプリプレグを巻回しても、そのプリプレグが前記所定間隔内に入り込むことが少ない。このことによって、第1層における引き揃え強化繊維が曲折することが少ない。
また、芯金に塗布したワックス等の離型材が凸面部に付着するので、脱芯後もワックスが残り、このワックスが撥水性を発揮すると同時に、凸面部とその凸面部に接触する釣り糸との間に位置して滑り剤としての役目を果し、釣り糸の摺動抵抗を一層低減する効果を発揮する。
【0012】
請求項4に係る発明の特徴構成は、前記離型材と前記凹凸形成用テープとの間、及び、前記凹凸形成用テープと竿素材との間の少なくともいずれか一方に、離型用テープを巻回する点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0013】
〔作用効果〕
つまり、焼成後に凹凸形成用テープを剥がす際により容易に行うことができ、凹凸面部が所期通りにでき、糸の摺動抵抗の増加を来たすことはないものである。
【0014】
請求項5に係る発明の特徴構成は、芯金に離型材を塗布するとともに、その離型材の外周面に第1離型テープを巻回し、竿素材の内周面に凹凸面部を形成する凹凸形成用テープを、前記芯金軸芯方向に所定間隔をおいて巻付けるとともに、前記巻回した凹凸形成用テープの上から第2離型テープを巻回し、前記第2離型テープの上から離型材を塗布するとともに前記凹凸形成用テープ同士における前記芯金軸芯方向所定間隔相当部分に釣り糸受具形成用の超合金線材を巻回し、前記釣り糸受具形成用の超合金線材の外周面に、周方向に配した強化繊維と樹脂とからなる前記釣り糸受具連結支持部用のプリプレグヤーンを巻回し、前記凹凸形成用テープと前記プリプレグヤーンとの上に、周方向に引き揃え配置した強化繊維と樹脂とからなるプリプレグテープを第1層として巻回し、その上に軸芯方向に強化繊維を配したプリプレグを第2層として巻回して竿素材を形成し、その竿素材の外周面に保形用テープを巻回し、その後焼成し脱芯した後に、前記保形用テープを剥離するとともに前記凹凸形成用テープを前記竿素材より剥離し、前記竿素材の内周面を凹凸面部に形成する点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0015】
〔作用効果〕
つまり、凹凸形成用のテープを芯金の軸芯方向に所定間隔を置いて巻付けるとともに、凸面部としての釣り糸受具とプリプレグヤーンでなる支持部を凹凸形成用テープの間隔内に配置することによって、焼成後に凹凸形成用テープを剥がすと、先端表面に凸面部としての釣り糸受具とプリプレグヤーンでなる支持部が残ることとなり、釣り糸を受ける機能を発揮させることができる。
そして、凹凸形成用テープの間に形成された所定間隔内に、釣り糸受具とプリプレグヤーンでなる支持部とでその所定間隔部分を埋めることとなる。このことによって、凹凸形成用テープと釣り糸受具とプリプレグヤーンでなる支持部との外面の段差が少なくなり、第1層及び第2層を巻回しても凹凸面部のない状態で巻付けることができる。したがって、軸芯方向に配置された強化繊維を配置すべき位置より蛇行させることがなく、強化繊維の機能を所期通り発揮させることができる。
また、凹凸形成用テープを巻回した状態でその外周面に施された第2離型テープに対して、更に、その上から離型材が施されているので、その離型材が凸面部に付着し、成形後もワックスが残り、このワックスが撥水性を発揮すると同時に、凸面部とその凸面部に接触する釣り糸との間に位置して滑り剤の役目を果し、釣り糸の摺動抵抗を一層低減する効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
〔第1実施形態〕
中通し竿を製造工程に従って離型用テープ3,5を使用する場合について説明する。
図1(イ)に示すように、芯金1に離型材としてのワックス2を塗布するとともに、図1(ロ)に示すように、この上から第1離型テープとしてのポリエステルテープ3をそのテープ3の側面同士が接触する状態に密巻きにし、この状態から図1(ハ)に示すように、凹凸形成用のテープ4を芯金軸芯方向に所定間隔を持って螺旋状に巻回する。
【0017】
凹凸形成用のテープ4は基材が布、若しくは、ポリオレフィン等のプラスティックであり、細い芯金1へも適用できるように柔軟性、凹凸面部の精度を維持する為の耐熱性、芯金軸芯方向での所定間隔の精度を維持する為の無延伸性、を備えることが要求される。
【0018】
凹凸形成用のテープ4の上から、図1(二)に示すように、第2離型テープとしてのポリエステルテープ5をそのテープ5の側面同士が接触する状態に密巻きする。これによって、凹凸形成用テープ4の剥離が容易になる。
【0019】
次に、釣り糸aを支持する凸面部構造について説明する。
図2(イ)に示すように、凹凸形成用テープ4の所定間隔が形成されている位置で、離型用のポリエステルテープ5の上から、釣り糸受具10を施す。
凹凸形成用テープ4は第2離型テープ5より厚みの厚いものであるので、図2(ハ)に示すように、凹凸形成用テープ4同士の間に形成された溝形状に沿って被覆されている第2離型テープ5の上からその溝部分に釣り糸受け具10を巻回していく。
釣り糸受具10は、プリプレグより硬質でかつ滑動性に富む超合金線材10Aで構成する。ここに、超合金線材10Aとしては、INCONEL625等のNi―Cr合金を使用する。その他、使用可能であれば、チタニュウム、Ni基合金、Cr基合金等を使用できる。又は、タングステンボロン繊維、セラミック繊維などの硬質のものであればよい。
ドラム10Bから引き出した超合金線材10Aを、凹凸形成用テープ4、4の間に位置するように巻回していく。
【0020】
図2(ロ)に示すように、凹凸形成用テープ4,4の間に施された超合金線材10Aを覆うように、その上からプリプレグヤーン11Aを巻回していく。
ここに、プリプレグヤーン11Aとは、多数の強化繊維を引き揃えずに束状に纏めたものに、樹脂を含浸させて形成したものであり、強化繊維等としては、炭素繊維、ガラス繊維等を採用できる。
【0021】
図7に示すように、プリプレグヤーン11Aにおいては、強化繊維の方向を竿の周方向に設定した状態で巻回するとともに、プリプレグヤーン11Aを巻回した状態で、そのプリプレグヤーン11Aの外周面と第2離型テープ5の外周面とが略面一状態となるのが望ましい。このように、そのプリプレグヤーン11Aの外周面と第2離型テープ5の外周面とが略面一状態となることによって、後記するプリプレグシートを施していく場合に、引き揃えシートに含まれる強化繊維の蛇行が少なくなる。
超合金線材10Aにプリプレグヤーン11Aを巻き付けたものを、釣り糸受具10を後記する竿素材7に連結支持する支持部11と称し、釣り糸受具10と支持部11によって後記する凸面部9Bを形成する。
【0022】
超合金線材10Aとプリプレグヤーン11Aを巻回したものに油性ワックス6を塗布し、超合金線材10Aとプリプレグヤーン11Aの外周面に油性ワックス6を残して撥水性を付与するようにしてある。
【0023】
この状態より、図3(イ)に示すように、周方向に配した炭素繊維に樹脂を含浸させたシート状プリプレグをテープ状に細断し、そのテープ7Aを側面同士が接触する状態に密巻きして、最内層を形成する。これより更に、図3(ロ)に示すような、前後端の膨出嵌合部を形成するプリプレグパターン7aを巻回した後、図3(ハ)に示すように、炭素繊維を軸芯方向に配したプリプレグテープ7Bを、その側面同士が接触する状態になるように密巻きして、第2層を形成する。そして、さらに、周方向に炭素繊維を配したプリプレグテープ7Cと軸芯方向に炭素繊維を配したプリプレグテープ7Dを巻回して第3層及び第4層を形成し、図5に示すように、4層構造の竿素材7を形成する。ここまでの巻回状態が図5に示すものである。
【0024】
このような竿素材7の上から、図3(ニ)に示すように、保形用テープとしてのポリエステルテープ8を巻回して、図4(イ)に示すように、焼成し、図4(ロ)に示すように、焼成後ポリエステルテープ8を剥離し、図4(ハ)に示すように、離型用テープ3,5とともに凹凸形成用テープ4を取り外す。これによって、内周面に螺旋状の凹凸面部9A,9Bを有する竿素材7を形成することができるとともに、凸面部9B内に超合金線材製の釣り糸受具10と周方向の強化繊維を配置することができるのである。
【0025】
次に、凹凸面部9A,9Bの形状について説明する。図6に示すように、凹凸面部9A,9Bの寸法は、次のようになる。凸面部9Bの幅L'=0.8〜1.2mm、凹面部9Aの幅L=6.7〜7.3mm、凸面部9Bの高さH=0.4〜0.6mmである。凸面部9Bの断面形状としては、角形に近いが、台形、三角形等を採用できる。
【0026】
〔第2実施形態〕
次に、竿素材9を形成する方法として、第1実施例とは異なる点について説明する。図1及び図7に示すように、芯金1に対してワックス2を塗布した後、直接その上から凹凸形成用テープ4と超合金線材10A、及び、プリプレグヤーン11Aを芯金軸芯方向に所定間隔を持って巻回するとともに、その上から第1層7Aとしてのプリプレグテープをその側面同士が接触する状態に密巻きする。前記した場合の竿素材7の断面構造は図7に示すようになる。
これによって、第1実施形態において使用した離型用のポリエステルテープ3,5を必要とせず、製造工程等を簡素化できる。
【0027】
上記のような製造方法を採るためには、凹凸形成用テープ4、及び、プリプレグヤーン11Aと第1層7Aとを直接接触させているので、凹凸形成用テープ4を単独で剥離性のよいものにする。上記製法によると、第1層7Aによる凸面部9Bにおいては、ワックス2が接着するので撥水性が付与されるとともに、凹凸形成用テープ4に表面処理を施すことによって、凹面部9Aに親水性を施すことができ、糸を支持する凸面部9Bにおいては撥水性による水等の排除が可能となり、糸と水との接触する機会を少なくできるとともに、凹面部9Aでの親水性により凹面部9Aからの水の排出を抑えて、これも糸と水との接触する機会を少なくできる。
【0028】
〔別実施形態〕
(1) 第1実施形態においては、図4(ハ)に示すように、凹凸面部9A,9Bを螺旋状に形成したが、凸面部9Bがリング状になるように構成してもよい。この場合には、凹凸形成用テープ4を巻回していく場合には、テープ4を凹面部9A毎にリング状に巻付けて行くことが必要である。
このように周方向にリング状に凸面部9Bを形成することによって、凸面部9Bと周方向に配された炭素繊維とが同方向になるので、炭素繊維が凹凸面部の切り換わり点と交差することがないので曲げられることがなく、竿の曲げに対する強度を高く維持できる。
(2) 竿を形成するプリプレグに使用される樹脂としては、エポキシ等の熱硬化性樹脂以外に熱可塑性樹脂を使用できる。
(3) 保形用テープ8としては、熱収縮テープを使用してもよい。
(4) 離型材としては、ワックス以外にシリコン等を利用してもよい。
(5) 上記した竿素材7においては、糸を挿通する内部経路より水を外部に排出する為に、竿素材7に貫通孔を形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】竿の製造工程における前半工程を示す斜視図 (イ) ワックスを塗布した状態、 (ロ) 第1離型用テープを巻回する状態、 (ハ) 凹凸形成用テープを巻回する状態、 (ニ) 第2離型用テープを巻回する状態、
【図2】竿の製造工程における中間工程を示す斜視図 (イ) 超合金線材を巻回して釣り糸受具を形成する状態、 (ロ) プリプレグヤーンを巻回して支持部を形成する状態、 (ハ) (イ)の超合金線材を巻回する状態を拡大したもの、
【図3】竿の製造工程における中間工程を示す斜視図 (イ) 第1層のプリプレグテープを巻回する状態、 (ロ) プリプレグパターンを巻回する状態、 (ハ) 第2層のプリプレグテープを巻回する状態、 (ニ) 保形用テープを巻回する状態、
【図4】竿の製造工程における後半工程を示し、 (イ) 竿を焼成する状態を示す概念図 (ロ) 保形用テープを剥離する状態を示す概念図 (ハ) 凹凸形成用テープを剥離する状態を示す縦断側面図
【図5】図3(二)に対応する断面構造を示す縦断側面図
【図6】凹凸面部の形状を示す縦断側面図
【図7】図5に示す積層構造のものから、剥離用テープとワックスとを省略した状態を示す縦断側面図
【符号の説明】
【0030】
1 芯金
2 離型材
3,5 離型用テープ
4 凹凸形成用テープ
7 竿素材
7A 第1層
7B 第2層
7C 第3層
8 保形用テープ
9A,9B 凹凸面部
10 釣り糸受具
10A 超合金線材
11 支持部
11A プリプレグヤーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂と強化繊維とからなる竿素材により構成される中通し竿であって、前記竿素材の内周面に、軸芯方向に所定間隔を持って周方向又は略周方向に沿った形状の凸面部を形成するとともに、前記凸面部を、釣り糸受具とその釣り糸受具を前記竿素材に連結支持する支持部とで構成し、前記支持部を、前記竿素材の内周表面と同様に、周方向に配置した強化繊維に樹脂を含浸させたプリプレグにより形成するとともに、前記釣り糸受具を前記プリプレグより硬質でかつ滑動性に富む線材で構成してある中通し竿。
【請求項2】
前記支持部と前記釣り糸受具との表面に亘って、撥水処理を施してある請求項1記載の中通し竿。
【請求項3】
芯金に撥水性を有する離型材を塗布するとともに、その離型材の外周面に、前記凹凸面部を形成する凹凸形成用テープを、前記芯金軸芯方向に所定間隔をおいて巻付け、更に、前記凹凸形成用テープ同士における前記芯金軸芯方向所定間隔部分に釣り糸受具を巻回するとともに、前記釣り糸受具の外面に、強化繊維を周方向に配置したプリプレグヤーンを巻回して支持部とするとともに、前記凹凸形成用テープと前記プリプレグヤーンとの上に樹脂と強化繊維とからなるプリプレグを巻回して竿素材を形成し、その竿素材の外周面に保形用テープを巻回し、その後焼成し脱芯した後に、前記保形用テープを剥離するとともに前記凹凸形成用テープを前記竿素材より剥離し、前記竿素材の内周面に前記釣り糸受具を表出形成する中通し竿の製造方法。
【請求項4】
前記離型材と前記凹凸形成用テープとの間、及び、前記凹凸形成用テープと竿素材との間の少なくともいずれか一方に、離型用テープを巻回する請求項3記載の中通し竿の製造方法。
【請求項5】
芯金に離型材を塗布するとともに、その離型材の外周面に第1離型テープを巻回し、竿素材の内周面に凹凸面部を形成する凹凸形成用テープを、前記芯金軸芯方向に所定間隔をおいて巻付けるとともに、前記巻回した凹凸形成用テープの上から第2離型テープを巻回し、前記第2離型テープの上から離型材を塗布するとともに前記凹凸形成用テープ同士における前記芯金軸芯方向所定間隔相当部分に釣り糸受具形成用の超合金線材を巻回し、前記釣り糸受具形成用の超合金線材の外周面に、周方向に配した強化繊維と樹脂とからなる前記釣り糸受具連結支持部用のプリプレグヤーンを巻回し、前記凹凸形成用テープと前記プリプレグヤーンとの上に、周方向に引き揃え配置した強化繊維と樹脂とからなるプリプレグテープを第1層として巻回し、その上に軸芯方向に強化繊維を配したプリプレグを第2層として巻回して竿素材を形成し、その竿素材の外周面に保形用テープを巻回し、その後焼成し脱芯した後に、前記保形用テープを剥離するとともに前記凹凸形成用テープを前記竿素材より剥離し、前記竿素材の内周面を凹凸面部に形成する中通し竿の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−195517(P2007−195517A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−20834(P2006−20834)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(000002439)株式会社シマノ (1,038)
【Fターム(参考)】