説明

中通し釣竿

【課題】本発明は、糸通し具の挿通作業を円滑に行える中通し釣竿を得ることにある。
【解決手段】中通し釣竿1は、釣糸導入部10を有する第1の竿管2と、第1の竿管2に継ぎ合わされる第2の竿管3と、第2の竿管3の後端に設けられ、糸通し具41が挿通可能な糸挿通孔31を有する端部材22とを備えている。糸通し具41は、その挿入先端に第1および第2の竿管2, 3の内側を通して穂先18から引き出し可能な球状の頭部43を有する。端部材22は、第1の竿管2の内側に露出する第1の端面28と、第2の竿管3の内側に露出する第2の端面29とを有し、糸挿通孔31は、第1および第2の端面28, 29の中央部に開口している。端部材22の第1の端面28は、その外周部から糸挿通孔31が開口する中央部の方向に進むに従い凹むように傾斜するテーパ状に形成されている。端部材22の第2の端面29に開口する糸挿通孔31の開口端と第2の竿管3の内周面3aとの間に、糸通し具41の頭部43の半径よりも大きな段差39が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、竿管の内側に糸通し具を用いて釣糸を導入する中通し釣竿に係り、特に糸通し具を竿管内に通し易くするための構造に関する。
【背景技術】
【0002】
中通し釣竿は、釣糸を竿管内に導入するための糸通し具を備えている。糸通し具は、元側竿管の釣糸導入部から元側竿管の内側に挿入されるとともに、この元側竿管に継ぎ合わされた先側竿管の内側を通して、穂先から釣竿の外に引き抜かれるようになっている。
【0003】
竿管内に糸通し具を通す際に、この糸通し具が竿管の内周面あるいは竿管の継ぎ合わせ部分に引っ掛かってしまうと、糸通し具を通す作業に多大な手間と労力を要する。
【0004】
さらに、竿管内に糸通し具を通している時に、例えば釣竿の穂先を上向きにしたり、糸通し具から手を離してしまうと、竿管内に挿入した糸通し具が後戻りして釣糸導入部から釣竿の外に抜け出てしまうことがあり得る。そのため、糸通し具を竿管に通す作業を最初からやり直さなくてはならず、釣りの準備に時間がかかるといった問題が生じてくる。
【0005】
この改善策として、従来、竿管内に挿入される先端部分に工夫を施した糸通し具が知られている。この糸通し具では、竿管内に挿入される線状の本体と、この本体の先端に設けられた頭部と、この頭部の後端に設けられたスカート体とを備えている。
【0006】
頭部は、本体よりも径が大きいとともに、その挿入先端面が曲面状に形成されている。スカート体は、弾力を有する合成樹脂、植毛あるいは鳥の羽等によって形成されており、頭部の後端から本体を中心として放射状に拡がっている。
【0007】
この種の糸通し具を竿管の内側に挿入すると、スカート体の外周縁が竿管の内周面に摺動可能に接触する。この接触により、頭部および本体が竿管の略中心位置に保持され、頭部や本体が竿管の内周面から離れた状態となる。
【0008】
そのため、糸通し具を竿管内に挿入する時に、その挿入先端に位置する頭部が竿管の内周面や竿管の継ぎ合わせ部分に引っ掛かるのを防止でき、糸通し具の挿入作業を円滑に行うことができる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−19360号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に開示された糸通し具では、スカート体が常に竿管の内周面に接している。このような構成によると、スカート体と竿管の内周面との接触部分に糸通し具の挿入を妨げようとする抵抗が生じる虞があり得る。
【0010】
特に中通し釣竿では、竿管の内周面に釣糸を案内する突起が螺旋状に設けられているので、スカート体が突起を乗り越す毎に、このスカート体と突起との間に大きな抵抗が生じるのを避けられない。
【0011】
さらに、竿管の内径は、通常穂先に近づくに従い小さくなるので、糸通し具の挿入作業が進む程にスカート体が竿管の内側にきつく嵌まり込む状態となる。この結果、糸通し具を竿管内に挿入してくと、次第に糸通し具の挿通を妨げようとする抵抗が大きくなり、糸通し具の挿入性が悪くなる。
【0012】
本発明の目的は、竿管に対する糸通し具の挿通性を高めつつ、糸通し具が釣糸導入部の方向に後戻りするのを防止でき、糸通し具の挿通作業を円滑かつ安定して行える中通し釣竿を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の一つの形態に係る中通し釣竿は、
糸通し具が挿入される釣糸導入部を有する第1の竿管と、
上記釣糸導入部よりも前方で上記第1の竿管に継ぎ合わされる第2の竿管と、
上記第2の竿管の後端に設けられ、上記糸通し具が挿通可能な糸挿通孔を有するとともに、上記第1の竿管と上記第2の竿管との継ぎ合わせ部分に位置する端部材と、を備えている。
【0014】
上記糸通し具は、その挿入先端に上記第1および第2の竿管の内側を通して穂先から引き出し可能な球状の頭部を有し、上記端部材は、上記第1の竿管の内側に露出する第1の端面と、上記第2の竿管の内側に露出する第2の端面とを有し、上記糸挿通孔は、上記第1の端面の中央部および上記第2の端面の中央部に夫々開口している。
【0015】
上記端部材の第1の端面は、その外周部から上記糸挿通孔が開口する中央部の方向に進むに従い凹むように傾斜するテーパ状に形成されるとともに、上記端部材の第2の端面に開口する糸挿通孔の開口端と上記第2の竿管の内周面との間に、上記糸通し具の頭部の半径よりも大きな段差が形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、糸通し具の球状をなす頭部が第1の竿管の内側を通って端部材に達した際に、頭部は端部材の第1の端面の傾斜に沿って糸挿通孔の開口端に滑らかに誘導されるとともに、この糸挿通孔の内側を通って第2の竿管の内側に送り込まれる。よって、糸通し具の頭部が端部材に引っ掛かり難くなり、糸通し具の挿入作業を円滑に行うことができる。
【0017】
しかも、竿管内に糸通し具を通している最中に、例えば釣竿の姿勢の変化に伴って糸通し具が釣糸導入部の方向に後戻りしようとした場合、糸通し具の頭部が端部材の第2の端面と第2の竿管の内周面との間の段差に引っ掛かり易くなる。このため、端部材を利用して糸通し具の後戻りを防止することができ、糸通し具の挿通作業を円滑かつ安定して行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下本発明の第1の実施の形態を、図1ないし図5に基づいて説明する。
【0019】
図1は、主にイカ釣りで使用する餌木竿のような中通し釣竿1を開示している。本実施の形態に係る中通し釣竿1は、元竿管となる第1の竿管2と、穂先竿管となる第2の竿管3とを互いに継ぎ合わすことで構成されている。第1および第2の竿管2,3は、例えば強化繊維に合成樹脂材料を含浸させた繊維強化プリプレグを用いて円筒状に形成されており、夫々可撓性を有している。
【0020】
本発明において、第1の竿管2は元竿管に特定されるものではなく、例えば元竿管と穂先竿管との間に位置する中竿管あるいは元前竿管であってもよい。さらに、中通し釣竿1にしても餌木竿に限らず、例えばルアーロッド、磯竿又は船竿でもよいとともに、その竿管の継ぎ数も2に限らない。
【0021】
図1ないし図3に示すように、第1の竿管2は、竿尻側から順に尻栓4、握り部5および各種のリールを固定するリールシート6を備えている。さらに、第1の竿管2は、その前端に位置する第1の継ぎ端部7と、外周面に開口する釣糸導入孔8とを有している。釣糸導入孔8は、リールシート6よりも第1の継ぎ端部7に近い位置に設けられている。
【0022】
第1の竿管2の外周面に釣糸導入部の一例である釣糸導入ガイド10が取り付けられている。釣糸導入ガイド10は、リールから繰り出される釣糸11(図4に示す)を釣糸導入孔8を介して第1の竿管2の内側に導くためのものであり、第1の継ぎ端部7に隣接している。
【0023】
釣糸導入ガイド10は、ガイド本体12を有している。ガイド本体12は、一対の固定部材13a,13bを介して第1の竿管2の外周面に固定されている。固定部材13a,13bは、周知の糸巻き、糸止め等によって形成されている。
【0024】
ガイド本体12は、第1のガイドリング14および第2のガイドリング15を有している。第1のガイドリング14は、リールから繰り出される釣糸11を第1の竿管2の外周面に向けて導くとともに、第2のガイドリング15は、第1のガイドリング14から導かれた釣糸11を、釣糸導入孔8を介して第1の竿管2の内側に向けて案内する。
【0025】
上記第2の竿管3は、第1の竿管2に振出し式に継ぎ合わされる第2の継ぎ端部17と、穂先18とを備えている。第2の継ぎ端部17は、第1の竿管2と第2の竿管3とを継ぎ合わせた時に、第1の継ぎ端部7の内側に所定の締め代で嵌まり込み、これにより第1の竿管2と第2の竿管3が同軸状に連結される。第1および第2の竿管2,3の継ぎ方式は、振出し式に限らず、並継ぎでもよいことは勿論である。
【0026】
穂先18にトップガイド19が取り付けられている。トップガイド19は、糸抵抗を低減させるためのものであり、穂先18から同軸状に突出している。
【0027】
さらに、第2の竿管3の内周面に、釣糸11を案内する凸部20が設けられている。凸部20は、第2の竿管3の内周面3aから突出するとともに、第2の竿管3の軸方向に連続するように螺旋状に形成されている。凸部20は、隣り合う複数のループ20aを有している。ループ20aは、第2の竿管3の周方向に連続するとともに、第2の竿管3の軸方向に間隔を存して並んでいる。
【0028】
凸部20は、例えば繊維強化樹脂のような耐摩耗性を有する材料で形成することが望ましい。それとともに、凸部20は、第2の竿管3の内側に露出する部分が略山形の断面形状を有することが好ましい。これにより、第2の竿管3の内側に釣糸11を導いた時に、凸部20の頂部が釣糸11に点接触することになり、釣糸11と凸部20との接触面積および釣糸11と凸部20との接触部分に生じる抵抗が小さくなる。
【0029】
なお、凸部20は、第2の竿管3の軸方向に連続する螺旋状に形成するものに限らず、例えば第2の竿管3の周方向に連続する複数のリング状の構成要素を、第2の竿管3の軸方向に間隔を存して配置してもよい。
【0030】
図2ないし図5に示すように、第2の竿管3の第2の継ぎ端部17に栓体22が取り付けられている。栓体22は、第2の継ぎ端部17を閉塞する端部材の一例であり、ABS樹脂、ポリオキシメチレン樹脂あるいはナイロンのような合成樹脂材料によって形成されている。
【0031】
栓体22は、第2の継ぎ端部17の内側に位置する固定部23と、第2の継ぎ端部17から第2の竿管3の外に同軸状に突出する突出部24とを備えている。固定部23の外周面に雄ねじ部25が形成されている。雄ねじ部25は、第2の継ぎ端部17の内周面に形成した雌ねじ部26にねじ込まれている。このねじ込みにより、栓体22が第2の継ぎ端部17に取り外し可能に固定されて、第2の竿管3と一体化されている。
【0032】
突出部24は、第1の竿管2と第2の竿管3とを継ぎ合わせた時に、第1の竿管2の第1の継ぎ端部7の内側に入り込むようになっている。突出部24の外周面24aと第1の竿管2の内周面2aとの間には、周方向に連続する隙間gが形成されている。
【0033】
この隙間gの存在により、第1の継ぎ端部7と第2の継ぎ端部17との嵌合部分の長さのばらつきを少なく抑えることができる。それとともに、第1の継ぎ端部7と第2の継ぎ端部17とを嵌合させる時に、栓体22と第1の竿管2との間に摺動抵抗が生じるのを防止でき、第1および第2の竿管2,3を継ぎ合わせる際の作業性が良好となる。
【0034】
さらに、第1の竿管2の第1の継ぎ端部7と栓体22とが非接触の状態に保たれるので、例えば第1の竿管2と第2の竿管3とを相対的に回転させたとしても、第1の竿管2から栓体22に直接トルクが伝わることはない。そのため、第2の竿管3の第2の継ぎ端部17にねじ込まれている栓体22が弛むことはなく、栓体22の脱落やがたつきを解消できる。
【0035】
なお、栓体22の突出部24の外周面にOリング27が取り付けられている。Oリング27は、第2の竿管3から栓体22が緩むのを防いでいる。
【0036】
図5に示すように、栓体22は、第1の端面28と第2の端面29とを有している。第1の端面28は、栓体22の突出部24の突出端に位置し、第1の竿管2と第2の竿管3とを継ぎ合わせた時に、第1の竿管2の第1の継ぎ端部7の内側に露出する。第2の端面29は、栓体22の固定部23の一端に位置し、常に第2の竿管3の内側に露出している。
【0037】
栓体22は、釣糸11を通す円形の糸挿通孔31を有している。糸挿通孔31は、栓体22の軸線O1に沿って同軸状に形成されている。糸挿通孔31は、第1の端面28の中央部に開口する第1の開口端32aと、第2の端面29の中央部に開口する第2の開口端32bとを有している。第1の開口端32aの直径D1は、第2の開口端32bの直径D2よりも小さくなっている。
【0038】
さらに、糸挿通孔31は、第1の開口端32aと第2の開口端32bとの間の中間部に小径部34を有している。小径部34では、糸挿通孔31の内径D3が最も小さくなるように絞り込まれている。
【0039】
小径部34の内周面にリング部材35が同軸状に取り付けられている。リング部材35は、例えばセラミックスのような耐摩耗性に優れた材料で造られており、その内径D4が小径部34の内径D3よりも小さくなっている。そのため、糸挿通孔31の最小径は、リング部材35によって規定されている。
【0040】
図5に示すように、栓体22の第1の端面28は、その外周部から上記糸挿通孔31の第1の開口端32aの方向に進むに従い次第に凹むように傾斜するテーパ状に形成されている。言い換えると、第1の端面28は、第1の開口端32aを取り囲むように凹んでおり、この凹みの底に第1の開口端32aが位置している。
【0041】
本実施の形態では、テーパ状をなす第1の端面28の外周縁は、突出部24の外周面24aに連続している。そのため、第1の端面28と突出部24の外周面24aとで規定される端部36は、鋭角に尖っており、この端部36の外側に隙間gが位置している。
【0042】
栓体22の第2の端面29は、栓体22の軸線O1と直交する平坦面となっている。第2の端面29と糸挿通孔31の内周面31aとで規定される角部38は、直角に尖るとともに上記糸挿通孔31の第2の開口端32bを構成している。
【0043】
第2の開口端32bと第2の竿管3の内周面3aとの間に段差39が形成されている。段差39は、第2の竿管3の径方向に沿うとともに、この第2の竿管3の周方向に連続している。さらに、段差39は、糸挿通孔31の最小径を規定するリング部材35よりも第2の竿管3の前方に位置している。
【0044】
図4に示すように、釣糸11を中通し釣竿1の内側に挿入する際には、専用の糸通し具41が用いられる。糸通し具41は、線状の本体42と、球状の頭部43とを備えている。
【0045】
本体42は、中通し釣竿1に対する釣糸11の挿通長を上回るような長さを有し、本実施の形態では、高剛性の形状記憶合金によって構成されている。形状記憶合金は、永久変形に対して耐久性があるとともに、防錆性も兼ね備えているので、釣り用品として好適する。
【0046】
糸通し具41に用いる形状記憶合金としては、縦弾性率が4000〜8000kgf/mm2(39200〜78400N/mm2)程度であり、特に6500kgf/mm2(63700N/mm2)が好ましい。
【0047】
Ni-Tiの2元系の形状記憶合金の場合は、Niが54〜56重量%、Tiが44〜46重量%の各範囲で2元系合金とする。さらに、Ni-Ti-Cuの3元系の形状記憶合金の場合は、Tiの量を46〜47重量%とし、Ni-Ti-Coの3元系の形状記憶合金の場合は、Tiの量を54〜55重量%とする等、糸通し具41の使用環境温度の状況に応じて使い分ける。
【0048】
本体42は、糸通し具41の挿入方向に沿う後端にループ式やフック式の糸掛け部44を有している。リールから繰り出される釣糸11は、本体42の糸掛け部44に取り外し可能に接続される。
【0049】
頭部43は、本体42の先端に固定されて、糸通し具41の挿入方向に沿う前端に位置している。頭部43は、例えばステンレスや真鍮のような金属材料、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオキシメチレン樹脂のような硬質樹脂材料又は磁性材料によって形成することができる。磁性材料としては、希土類系、アルニコ系、フェライト系、樹脂合成型等の中から任意に選択が可能である。
【0050】
頭部43の直径は、釣糸導入孔8、糸挿通孔31の最小径を規定するリング部材35およびトップガイド19を挿通可能な大きさとなっている。そのため、糸通し具41は、釣糸導入孔8から第1および第2の竿管2,3の内側に挿入された後、穂先18のトップガイド19から中通し釣竿1の外に引き出されるようになっている。
【0051】
本実施の形態では、糸挿通孔31の第2の開口端32bと第2の竿管3の内周面3aとの間に位置する段差39は、糸通し具41の頭部43の半径よりも大きく設定されている。さらに、糸通し具41の頭部43の半径は、栓体22の突出部24と第1の竿管2の内周面2aとの間の隙間gに、栓体22の第1の端面28と突出部24の外周面24aとで規定される端部36の厚みを加えた寸法よりも大きくなっている。
【0052】
糸通し具41の頭部43は、完全な球に限らず、少なくとも糸通し具41の挿入方向に沿う前半部が球面状に湾曲していればよく、頭部43の後半部の形状は問わない。この際、頭部43の直径とは、球面状をなす前半部を径方向に切断した時に得られる円弧の二点を結ぶ弦の最大長さのことを意味し、この弦の最大長さの半分を半径と規定する。
【0053】
リールから繰り出される釣糸11を中通し釣竿1の内側に導く手順について説明する。
【0054】
まず、釣糸11の先端を糸通し具41の糸掛け部44に接続する。次に、図4に示すように、糸通し具41の頭部43を釣糸導入ガイド10の第1および第2のガイドリング14,15を通して釣糸導入孔8に導く。
【0055】
この状態で糸通し具41の本体42を手で掴んで釣糸導入孔8に押し込んでいく。図4に示すように、高剛性の本体42は、直線状を保って釣糸導入孔8から第1の竿管2の内側に挿入される。そのため、本体42の押し込み動作に伴い、頭部43が栓体22の第1の端面28に突き当たる。
【0056】
第1の端面28は、その外周部から糸挿通孔31の第1の開口端32aに向けて凹むように傾斜するテーパ状をなしているので、第1の端面28に頭部43が突き当たると、頭部43は、第1の端面28の傾斜に沿って第1の開口端32aの方向に滑らかに誘導される。
【0057】
さらに、本実施の形態によると、頭部43の半径は、栓体22の突出部24と第1の竿管2の内周面2aとの間の隙間gに、栓体22の第1の端面28と突出部24の外周面24aとで規定される端部36の厚みを加えた寸法よりも大きい。このため、たとえ頭部43が第1の端面28と第1の竿管2の内周面2aとの間に跨るような姿勢で第1の端面28に突き当たったとしても、頭部43が隙間gに入り込んだり、この隙間gに引っ掛かることはない。
【0058】
したがって、糸通し具41の頭部43は、容易に端部36を乗り越えるとともに、第1の端面28に沿って滑らかに糸挿通孔31の第1の開口端32aに誘導される。それとともに、頭部43は、本体42の剛性によって栓体22の軸線O1の付近に保持される。このため、頭部43は、本体42の押し込み動作により小径なリング部材35を貫通して糸挿通孔31の第2の開口端32bから第2の竿管3の内側に導かれる。
【0059】
糸挿通孔31は、第1の開口端32aよりも第2の開口端32bの方が径が大きいので、リング部材35を貫通した頭部43が糸挿通孔31の内周面31aに接触し難くなる。このため、頭部43は、大きな接触抵抗を伴うことなく糸挿通孔31を貫通して第2の竿管3の内側に導入される。
【0060】
よって、糸通し具41の挿通性が良好となり、糸通し具41の挿通作業を短時間のうちに安定して行うことができる。
【0061】
一方、糸通し具41の本体42を中通し釣竿1に押し込んでいる最中に、例えば中通し釣竿1の姿勢の変化に伴って本体42が釣糸導入孔8の方向に後戻りした場合、糸通し具41の頭部43は、重力の影響を受けて第2の竿管3の内周面3aに沿うようにして栓体22の方向に戻る。
【0062】
この際、第2の竿管3の内周面3aと糸挿通孔31の第2の開口端32bとの間に、頭部43の半径よりも大きい段差39が存在するので、図5に二点鎖線で示すように、頭部43が段差39に引っ掛かり易くなる。このため、栓体22の第2の端面29を利用して糸通し具41の後戻りを防止することができ、糸通し具41が釣糸導入孔8から中通し釣竿1の外に抜け落ち難くなる。
【0063】
したがって、糸通し具41の挿通性を高めつつ、糸通し具41が後戻りし難い中通し釣竿1を得ることができる。
【0064】
本発明は上記第1の実施の形態に特定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施可能である。
【0065】
例えば上記第1の実施の形態では、栓体22を第2の竿管3の第2の継ぎ端部17にねじ込むことで固定したが、接着等の手段により第2の継ぎ端部17に固定してもよい。
【0066】
さらに、第2の竿管3の第2の継ぎ端部17に位置する端部材は、栓体に限らず、例えばセラミックス製のリング部材であってもよい。リング部材は、中央に糸挿通孔を有する中空の筒状であり、この糸挿通孔の最小内径は、糸通し具41の頭部43の直径よりも大きい。セラミックス製のリング部材は、割れ防止のため第2の竿管3の第2の継ぎ端部17の内側に収容し、第2の継ぎ端部17の外に突出しないように取り付けることが好ましい。
【0067】
図6は、本発明の第2の実施の形態を開示している。
【0068】
この第2の実施の形態は、栓体22の第2の端面29の形状が上記第1の実施の形態と相違している。それ以外の中通し釣竿1の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0069】
図6に示すように、栓体22の第2の端面29は、栓体22の固定部23の外周面から糸挿通孔31の第2の開口端32bに進むに従い第1の端面28から遠ざかる方向に突出するように傾斜するテーパ状に形成されている。この傾斜により、第2の端面29と糸挿通孔31の内周面31aとで規定される角部38は、鋭角に尖っている。
【0070】
さらに、栓体22の第2の端面29と第2の竿管3の内周面3aとの間に段差39に連なる空隙51が形成されている。空隙51は、第2の竿管3の周方向に連続するとともに、第2の竿管3の内側に向けて次第に拡開するような断面形状を有している。
【0071】
このような構成によると、栓体22の第2の端面29を傾斜させたことで、この第2の端面29と第2の竿管3の内周面3aとの間に空隙51が存在する。このため、糸通し具41の本体42を中通し釣竿1に押し込んでいる最中に、何らかの理由により本体42が釣糸導入孔8の方向に後戻りした場合、頭部43が空隙51に入り込む。
【0072】
言い換えると、頭部43がテーパ状の第2の端面29に接した時点で、この頭部43は、第2の端面29の傾斜に沿うように空隙51に誘導されることになる。そのため、頭部43が段差39により引っ掛かり易くなり、栓体22の第2の端面29を利用して糸通し具41の後戻りを確実に防止することができる。
【0073】
図7は、本発明の第3の実施の形態を開示している。
【0074】
この第3の実施の形態は、糸通し具41の頭部43の構成が上記第1の実施の形態と相違している。これ以外の中通し釣竿1の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0075】
図7に示すように、頭部43は、糸通し具41の挿入方向に沿う後方に突出する係止部61を有している。係止部61は、頭部43と同一の材料で頭部43と一体成形してもよいし、頭部43とは独立した別の部品として頭部43に接着あるいはねじ込み等の手段により固定するようにしてもよい。
【0076】
係止部61は、頭部43の後方に進むに従い拡開するような円錐状をなしており、その後端に円形の端面62を有している。端面62は、例えば糸通し具41の挿入方向と直交する方向に広がる平面又は頭部43に向けて凹む窪み面であり、この端面62の中央部に本体42が固定されている。端面62と本体42とは、互いに直交し合うような位置関係を保っている。端面62の外周縁62aは、エッジ状に尖っている。
【0077】
係止部61の端面62の外径は、頭部43の直径よりも一回り大きく、かつ糸挿通孔31の最小径を規定するリング部材35の内径、穂先18の内径およびトップガイド19の内径よりも小さくなっている。ここで、穂先18の内径とは、第2の竿管3の内周面3aに位置する凸部20が穂先先端まで達している場合には、この凸部20によって狭められた部分の内径のことを指している。
【0078】
このような構成によると、糸通し具41は、球状の頭部43から後方に突出する係止部61を有し、この係止部61の後端に糸通し具41の挿入方向と直交する方向に広がる円形の端面62が形成されている。
【0079】
このため、糸通し具41の本体42を中通し釣竿1に押し込んでいる最中に、何らかの理由により本体42が釣糸導入孔8の方向に後戻りした場合、端面62の尖った外周縁62aが第2の竿管3の内周面3aの凸部20に引っ掛かり易くなる。
【0080】
したがって、糸通し具41の頭部43が栓体22の第2の端面29に引っ掛かる以前に、糸通し具41の後戻りを阻止することができ、糸通し具41が後戻りする距離を短く抑えることができる。
【0081】
さらに、たとえ係止部61の外周縁62aが凸部20を乗り越えたとしても、係止部61が栓体22の第2の端面29に達した時点で、係止部61の端面62の外周縁62aが段差39に引っ掛かる。
【0082】
この結果、糸通し具41の後戻りをより確実に防止することができ、糸通し具41の挿通作業を安定して行うことができる。
【0083】
上記第3の実施の形態では、第2の竿管3の内周面3aの凸部20を保護する観点から、少なくとも係止部61の表面を例えば樹脂層で被覆することが望ましい。特に第2の竿管3の内周面3aに撥水層が積層されている場合には、係止部61の表面を樹脂層で覆うことで、撥水層も同時に保護することができる。
【0084】
さらに、上記第3の実施の形態において、係止部61を頭部43と別の構成要素とする場合には、この係止部61を例えば弾性変形が可能なゴム状弾性体で構成してもよい。係止部61が弾力を有するのであれば、端面62の外径を糸挿通孔31の最小径を規定するリング部材35の内径および穂先先端の内径よりも大きく形成することができる。
【0085】
これにより、糸通し具41が後戻りしようとした場合に、端面62の外周縁62aが穂先18の内周面や栓体22の第2の端面29により強固に引っ掛かり易くなり、糸通し具41の後戻りを確実に防止できる。
【0086】
なお、係止部61が弾性変形可能な場合でも、糸通し具41の挿通性のことを考慮すると、端面62の外径は、トップガイド19の内径や穂先先端の内径よりも小さくすることが好ましい。
【0087】
さらに、係止部61の形状にしても円錐状に限らず、例えば頭部43の後端から放射状に突出する複数のアーム部を有する形状としてもよい。
【0088】
図8は、本発明の第4の実施の形態を開示している。
【0089】
この第4の実施の形態は、栓体22の構成が上記第1の実施の形態と相違している。これ以外の中通し釣竿1の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0090】
第4の実施の形態では、糸通し具41の頭部43が磁性材料によって形成されている。磁性材料としては、例えば希土類系、アルニコ系、フェライト系、樹脂合成型等の中から任意に選択することができる。
【0091】
さらに、図8に示すように、栓体22の第1の端面28にリング状の第1の磁性体71が配置されている。第1の磁性体71は、糸通し具41の頭部43と同極の磁性材料で構成されている。本実施の形態では、第1の端面28に周方向に連続する凹所72が形成されている。第1の磁性体71は、凹所72に埋め込まれている。これにより、第1の端面28と第1の磁性体71とが同一の平面上に位置している。第1の磁性体71は、糸挿通孔31の第1の開口端32aを周方向に連続して取り囲んでいる。
【0092】
栓体22の第2の端面29にリング状の第2の磁性体73が配置されている。第2の磁性体73は、吸着体の一例であり、糸通し具41の頭部43と逆極の磁性材料で構成されている。第2の磁性体73は、第2の端面29に例えば接着や圧入等の手段により固定されており、糸挿通孔31の第2の開口端32bを取り囲んでいる。
【0093】
このような構成において、糸通し具41の本体42の押し込み動作に伴い、本体42の前端に位置する頭部43が栓体22の第1の端面28の直前に達すると、頭部43と第1の磁性体71とが磁力により反発し合う。特に第1の磁性体71は、糸挿通孔31の第1の開口端32aを取り囲んでいるので、頭部43は、反発する磁力によって第1の開口端32aと向かい合う位置に浮遊するように保持され、第1の端面28との接触が回避される。
【0094】
このため、糸通し具41の本体42を軽く押し込むだけで、頭部43を第1の開口端32aから糸挿通孔31の内側に誘導することができる。したがって、頭部43は、大きな接触抵抗を伴うことなく糸挿通孔31を貫通して第2の竿管3の内側に導入されることになり、糸通し具41の挿通作業を容易に行なうことができる。
【0095】
一方、糸通し具41の本体42を中通し釣竿1に押し込んでいる最中に、何らかの理由により本体42が釣糸導入孔8の方向に後戻りした場合、糸通し具41の頭部43が栓体22の第2の端面29に近づいた時点で、頭部43が磁力により第2の磁性体73に吸着される。
【0096】
このため、糸通し具41の頭部43が栓体22に確実に吸着され、糸通し具41の後戻りを回避することができる。
【0097】
第4の実施の形態では、栓体22のテーパ状に傾斜する第1の端面28に第1の磁性体71を配置したが、この第1の端面28は、栓体22の軸線O1と直交する平坦面であってもよい。言い換えると、第1の端面28をテーパ状に傾斜させた場合は、頭部43は第1の端面28に沿って糸挿通孔31に滑らかに誘導されるので、第1の磁性体71を省略することができる。
【0098】
さらに、栓体22の第2の端面29に、第2の磁性体73の代わりに金属板を取り付けるようにしてもよい。
【0099】
図9は、本発明の第5の形態を開示している。
【0100】
この第5の実施の形態は、糸通し具41の頭部43の形状が上記第1の実施の形態と相違している。
【0101】
図9に示すように、頭部43は、半球状の曲面部81と、円形の後端面82とで構成されている。後端面82は、曲面部81の径方向に沿う平坦面であり、この後端面82の外周縁と曲面部81の表面とで規定される角部83は、略直角に尖っている。
【0102】
形状記憶合金で造られる本体42は、後端面82の中央部に例えば接着あるいはねじ込み等の手段により連結されている。この本体42と後端面82とは、互いに直交するような位置関係を保っている。
【0103】
このような構成によると、糸通し具41の本体42を中通し釣竿1に押し込んでいる最中に、何らかの理由により本体42が釣糸導入孔8の方向に後戻りした場合、頭部43の尖った角部83が第2の竿管3の内周面3aの凸部20に引っ掛かり易くなる。
【0104】
したがって、糸通し具41の頭部43が栓体22の第2の端面29に引っ掛かる以前に、糸通し具41の後戻りを阻止することができ、糸通し具41が後戻りする距離を短く抑えることができる。
【0105】
それとともに、たとえ頭部43の角部83が凸部20を乗り越えたとしても、頭部43が栓体22の第2の端面29に達した時点で、頭部43の角部83が段差39に確実に引っ掛かる。この結果、糸通し具41の後戻りをより確実に防止することができ、糸通し具41の挿通作業を安定して行うことができる。
【0106】
第5の実施の形態において、図9に二点鎖線で示すように、頭部43の後端面82に例えば摩擦係数の大きな樹脂又はゴム製の円板85を接着等の手段により固定してもよい。さらに、円板85の代わりに頭部43の後端面82を樹脂又はゴム製の被膜で覆うようにしてもよい。
【0107】
図10は、本発明の第6の実施の形態を開示している。
【0108】
この第6の実施の形態は、糸通し具41の頭部43の形状が上記第5の実施の形態と相違している。
【0109】
図10に示すように、頭部43は、半球状の曲面部81と、円錐形の後端面91とで構成されている。後端面91は、その外周縁から中央に進むに従い凹むように傾斜するテーパ状に形成されており、この後端面91の中央に本体42が例えば接着あるいはねじ込み等の手段により固定されている。
【0110】
後端面91を傾斜させたことに伴い、後端面91の外周縁と曲面部81の表面とで規定される角部92は、鋭角に尖っている。
【0111】
このような構成においても、本体42が釣糸導入孔8の方向に後戻りした場合、頭部43の尖った角部92が第2の竿管3の内周面3aの凸部20又は段差39により引っ掛かり易くなる。
【0112】
よって、糸通し具41の後戻りを確実に防止することができ、糸通し具41の挿通作業を安定して行うことができる。
【0113】
なお、第6の実施の形態において、図10に二点鎖線で示すように、頭部43の後端面91に例えば摩擦係数の大きな樹脂又はゴム製の円板93を接着等の手段により固定したり、後端面91を樹脂又はゴム製の被膜で覆ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る中通し釣竿の側面図。
【図2】本発明の第1の実施の形態において、第1の竿管と第2の竿管とを分離した状態を示す中通し釣竿の側面図。
【図3】本発明の第1の実施の形態において、第1の竿管の釣糸導入部と第2の竿管の栓体との位置関係を示す断面図。
【図4】本発明の第1の実施の形態において、釣糸を接続した糸通し具を釣糸導入部から第1の竿管の内側に挿入した状態を示す中通し釣竿の断面図。
【図5】本発明の第1の実施の形態において、第2の竿管に取り付けた栓体の部分を拡大して示す断面図。
【図6】本発明の第2の実施の形態において、第2の竿管に取り付けた栓体の部分を拡大して示す断面図。
【図7】本発明の第3の実施の形態において、第2の竿管に取り付けた栓体の部分を拡大して示す断面図。
【図8】本発明の第4の実施の形態において、第2の竿管に取り付けた栓体の部分を拡大して示す断面図。
【図9】本発明の第5の実施の形態に係る糸通し具の概略図。
【図10】本発明の第6の実施の形態に係る糸通し具の概略図。
【符号の説明】
【0115】
2…第1の竿管、3…第2の竿管、10…釣糸導入部(釣糸導入ガイド)、11…釣糸、18…穂先、22…端部材(栓体)、28…第1の端面、29…第2の端面、31…糸挿通孔、39…段差、41…糸通し具、43…頭部、61…係止部、71…第1の磁性体、73…吸着体(第2の磁性体)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸通し具が挿入される釣糸導入部を有する第1の竿管と、
上記釣糸導入部よりも前方で上記第1の竿管に継ぎ合わされる第2の竿管と、
上記第2の竿管の後端に設けられ、上記糸通し具が挿通可能な糸挿通孔を有するとともに、上記第1の竿管と上記第2の竿管との継ぎ合わせ部分に位置する端部材と、を具備し、
釣糸を接続した上記糸通し具を上記釣糸導入部から上記第1および第2の竿管の内側に導入する中通し釣竿であって、
上記糸通し具は、その挿入先端に上記第1および第2の竿管の内側を通して穂先から引き出し可能な球状の頭部を有し、
上記端部材は、上記第1の竿管の内側に露出する第1の端面と、上記第2の竿管の内側に露出する第2の端面とを有し、上記糸挿通孔は、上記第1の端面の中央部および上記第2の端面の中央部に夫々開口し、
上記端部材の第1の端面は、その外周部から上記糸挿通孔が開口する中央部の方向に進むに従い凹むように傾斜するテーパ状に形成されるとともに、上記端部材の第2の端面に開口する糸挿通孔の開口端と上記第2の竿管の内周面との間に、上記糸通し具の頭部の半径よりも大きな段差が形成されていることを特徴とする中通し釣竿。
【請求項2】
請求項1の記載において、上記糸挿通孔は、内径が最も小さくなるように絞られた小径部を有し、この小径部の内面に、上記糸通し具の頭部が挿通可能で、しかも内径が上記小径部よりも小さなリング部材を取り付けたことを特徴とする中通し釣竿。
【請求項3】
請求項1又は請求項2の記載において、上記端部材は、上記第2の竿管の後端から第1の竿管の内側に向けて同軸状に突出する突出部を有し、この突出部の外周面と上記第1の竿管の内周面との間に周方向に連続する隙間が形成されているとともに、上記糸通し具の頭部の半径は、上記隙間に上記端部材の第1の端面と上記突出部の外周面とで規定される端部の厚みを加えた寸法よりも大きいことを特徴とする中通し釣竿。
【請求項4】
請求項3の記載において、上記端部材の第1の端面は、上記端部材の外周面に連続するとともに、上記端部材の端部は、鋭角に尖っていることを特徴とする中通し釣竿。
【請求項5】
請求項1の記載において、上記第2の竿管は、その内周面に上記釣糸を案内する凸部を有し、この凸部は、上記第2の竿管の周方向に沿うとともに、上記第2の竿管の軸方向に間隔を存して並んでいることを特徴とする中通し釣竿。
【請求項6】
請求項1又は請求項2の記載において、上記端部材の第2の端面と上記糸挿通孔の内周面とで規定される角部は、直角もしくは鋭角に尖っていることを特徴とする中通し釣竿。
【請求項7】
糸通し具が挿入される釣糸導入部を有する第1の竿管と、
上記釣糸導入部よりも前方で上記第1の竿管に継ぎ合わされるとともに、内周面に釣糸を案内する凸部を有する第2の竿管と、
上記第2の竿管の後端に設けられ、上記糸通し具が挿通可能な糸挿通孔を有するとともに、上記第1の竿管と上記第2の竿管との継ぎ合わせ部分に位置する端部材と、を具備し、
釣糸を接続した上記糸通し具を上記釣糸導入部から上記第1および第2の竿管の内側に導入する中通し釣竿であって、
上記端部材は、上記第1の竿管の内側に露出する端面を有し、この端面の中央部に上記糸挿通孔が開口するとともに、上記端面は、その外周部から上記糸挿通孔が開口する中央部の方向に進むに従い凹むように傾斜するテーパ状に形成され、
上記糸通し具は、その挿入先端に位置する球状の頭部と、この頭部よりも上記糸通し具の挿入方向に沿う後方に位置する係止部とを有し、上記頭部および上記係止部は、上記第1および第2の竿管の内側を通して穂先から引き出し可能な大きさを有するとともに、上記係止部の後端は、上記糸通し具の挿入方向と交差する方向に延びていることを特徴とする中通し釣竿。
【請求項8】
糸通し具が挿入される釣糸導入部を有する第1の竿管と、
上記釣糸導入部よりも前方で上記第1の竿管に継ぎ合わされるとともに、内周面に釣糸を案内する凸部を有する第2の竿管と、
上記第2の竿管の後端に設けられ、上記糸通し具が挿通可能な糸挿通孔を有するとともに、上記第1の竿管と上記第2の竿管との継ぎ合わせ部分に位置する端部材と、を具備し、
釣糸を接続した上記糸通し具を上記釣糸導入部から上記第1および第2の竿管の内側に導入する中通し釣竿であって、
上記端部材は、上記第1の竿管の内側に露出する端面を有し、この端面の中央部に上記糸挿通孔が開口するとともに、上記端面は、その外周部から上記糸挿通孔が開口する中央部の方向に進むに従い凹むように傾斜するテーパ状に形成され、
上記糸通し具は、その挿入先端に位置する球状の頭部と、この頭部よりも上記糸通し具の挿入方向に沿う後方に位置する係止部とを含み、上記頭部および上記係止部は、上記第1および第2の竿管の内側を通して穂先から引き出し可能であり、上記糸通し具の少なくとも係止部は、上記糸挿通孔の内径よりも大きな形状を有するとともに、弾性変形が可能であることを特徴とする中通し釣竿。
【請求項9】
請求項7又は請求項8の記載において、上記端部材は、上記第2の竿管の後端から第1の竿管の内側に向けて同軸状に突出する突出部を有し、この突出部の外周面と上記第1の竿管の内周面との間に周方向に連続する隙間が形成されているとともに、上記糸通し具の頭部の半径は、上記隙間に上記端部材の端面と突出部の外周面とで規定される端部の厚みを加えた寸法よりも大きいことを特徴とする中通し釣竿。
【請求項10】
糸通し具が挿入される釣糸導入部を有する第1の竿管と、
上記釣糸導入部よりも前方で上記第1の竿管に継ぎ合わされる第2の竿管と、
上記第2の竿管の後端に設けられ、上記糸通し具が挿通可能な糸挿通孔を有するとともに、上記第1の竿管と上記第2の竿管との継ぎ合わせ部分に位置する端部材と、を具備し、
釣糸を接続した上記糸通し具を上記釣糸導入部から上記第1および第2の竿管の内側に導入する中通し釣竿であって、
上記糸通し具は、その挿入先端に位置する頭部が磁性材料で構成され、
上記端部材は、上記第1の竿管の内側に露出する第1の端面と、上記第2の竿管の内側に露出する第2の端面とを有するとともに、上記糸挿通孔は、上記第1の端面の中央部および第2の端面の中央部に夫々開口し、
上記端部材の第1の端面は、その外周部から上記糸挿通孔が開口する中央部の方向に進むに従い凹むように傾斜するテーパ状に形成され、上記端部材の第2の端面に、上記糸通し具の頭部が磁力により吸着する吸着体を設けたことを特徴とする中通し釣竿。
【請求項11】
請求項10の記載において、上記端部材の第1の端面に、上記糸通し具の頭部と同じ極性を有する磁性体を設けたことを特徴とする中通し釣竿。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−267709(P2007−267709A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−100341(P2006−100341)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000002495)ダイワ精工株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】