乗員判定装置
【課題】乗員判定装置において、ノイズによる誤判定を防止しつつ、荷重計測値の変化の遅延による誤判定を軽減する。
【解決手段】乗員判定装置1の乗員判定部241が、出力が予め定められた変化幅以上に変化した荷重センサ部11−1〜11−4の個数に基づいて、荷重センサ部11−1〜11−4の出力にノイズが混入しているか否かを判定し、判定結果に基づいて、荷重センサ部11−1〜11−4の出力、または、荷重センサ部11−1〜11−4の出力から高周波成分を除去するフィルタ部211−1〜211−4の出力のいずれかを選択する。乗員判定部241は、選択したデータを用いて、荷重の合計値が予め定められた閾値以上か否かを判定する。
【解決手段】乗員判定装置1の乗員判定部241が、出力が予め定められた変化幅以上に変化した荷重センサ部11−1〜11−4の個数に基づいて、荷重センサ部11−1〜11−4の出力にノイズが混入しているか否かを判定し、判定結果に基づいて、荷重センサ部11−1〜11−4の出力、または、荷重センサ部11−1〜11−4の出力から高周波成分を除去するフィルタ部211−1〜211−4の出力のいずれかを選択する。乗員判定部241は、選択したデータを用いて、荷重の合計値が予め定められた閾値以上か否かを判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗員判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エアバッグを装備する乗用車において、保護対象の乗員が子供の場合には、エアバッグを展開すべきでないことがある。このような、乗員が大人か子供かの判定等を行うために、座席に作用する荷重を荷重センサにて計測し、計測値が閾値以上か否かを判定する乗員判定装置が用いられる。エンジン等からノイズが発せられる乗用車内など、計測値にノイズが混入し易い環境で乗員判定装置が用いられる場合、ノイズによる誤判定を防止するため、乗員判定装置は、センサの出力から高周波成分を除去するフィルタ処理を行い、このフィルタ処理された計測値が閾値以上か否かを判定するのが一般的である。
この際、荷重センサの出力から高周波成分を除去することにより、計測値の変化が緩やかとなり、このために乗員判定装置が誤判定を行うおそれがある。この誤判定を防止するために、幾つかの技術が提案されている。例えば、特許文献1では、荷重センサの検出データをフィルタ処理して高周波成分を除去し、フィルタ処理された検出データと2つの閾値とを比較して、ヒステリシスを持つ乗員判定を行う乗員判定装置において、ヒステリシスの範囲を超えてオーバーシュートまたはアンダーシュートすべき検出データが、フィルタ処理されているためにヒステリシスの範囲内に収まり、乗員判定装置が誤判定することを防止するために、ヒステリシスの幅を狭める技術が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−47035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高周波成分の除去により荷重センサの計測値の変化が緩やかとなるために生じる誤判定として、計測値が閾値以上あるいは閾値以下に変化するまでの時間の遅延が生じ、この間に乗員判定装置が誤判定することが考えられる。例えば、ある閾値以上の荷重を検出した場合のみエアバッグが展開するよう設定されている座席に大人が着座し、着座から短時間の後にエアバッグを展開すべき状況となった場合、乗員判定装置が閾値以上の荷重を検出してエアバッグが展開されるべきであるにもかかわらず、荷重センサの計測値の変化が緩やかであるために、乗員判定装置が閾値以上の荷重を検出するまでに時間を要し、エアバッグが展開されないおそれがある。
特許文献1をはじめとする従来の技術では、この遅延による誤判定に対する対策は示されていなかった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、ノイズによる誤判定を防止しつつ、計測値の変化の遅延による誤判定を軽減できる乗員判定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、本発明の一態様による乗員判定装置は、座席に作用する荷重を計測して出力する複数の荷重センサ部と、前記荷重センサ部の出力から高周波成分を除去して出力するフィルタ部と、前記荷重センサ部の出力が、所定の時間に所定の変化幅以上変化したか否かを判定する荷重変化判定を行う荷重変化判定部と、出力が前記変化幅以上変化したと判定された荷重センサ部が無い場合、および、出力が前記変化幅以上変化したと判定された荷重センサ部が所定数以上ある場合は、全ての荷重センサ部について、前記荷重センサ部の出力を用いて、前記座席に所定の閾値以上の荷重が作用しているか否かを判定し、出力が前記変化幅以上変化したと判定された荷重センサ部が1つ以上かつ前記所定数未満ある場合は、出力が前記変化幅以上変化したと判定された荷重センサ部については、前記フィルタ部の出力を用い、出力が前記変化幅以上変化しなかったと判定された荷重センサ部については、前記荷重センサ部の出力を用いて、前記座席に所定の閾値以上の荷重が作用しているか否かを判定する乗員判定を行う乗員判定部と、を含む。
【0007】
[2]また、本発明の一態様による乗員判定装置は、上述の乗員判定装置であって、前記乗員判定部は、前記荷重変化判定部が前記荷重センサ部のいずれかについて前記荷重変化判定を行う毎に、前記乗員判定を行う。
【0008】
[3]また、本発明の一態様による乗員判定装置は、上述の乗員判定装置であって、前記乗員判定部は、前記荷重変化判定部が前記荷重センサ部の全てについて前記荷重変化判定を行う毎に、前記乗員判定を行う。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、乗員判定装置において、ノイズによる誤判定を防止しつつ、計測値の変化の遅延による誤判定を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態における乗員判定装置の概略構成を示す構成図である。
【図2】同実施形態における、乗員判定装置1の機能ブロック構成を示すブロック図である。
【図3】同実施形態における、荷重センサ部11−1〜11−4の出力の例を示す図である。
【図4】同実施形態において、フィルタ部211−1〜211−4の出力の例を示す図である。
【図5】同実施形態において、乗員判定部241が、乗員判定に用いるデータの例を示す図である。
【図6】同実施形態において、記憶部231が記憶する荷重変化判定データテーブルの例を示す図である。
【図7】同実施形態において、記憶部231が記憶する選択値データテーブルの例を示す図である。
【図8】同実施形態における、乗員判定装置1の動作を示すシーケンス図である。
【図9】同実施形態における、荷重変化判定部221の動作を示すフローチャートである。
【図10】同実施形態における、乗員判定部241の動作を示すフローチャートである。
【図11】同実施形態において、荷重変化判定部221が荷重センサ部11−1〜11−4の全部について荷重変化判定を行う毎に、乗員判定部241が乗員判定を行う場合の、乗員判定装置1の動作を示すシーケンス図である。
【図12】同実施形態において、荷重変化判定部221が荷重センサ部11−1〜11−4の全部について荷重変化判定を行う毎に、乗員判定部241が乗員判定を行う場合の、荷重変化判定部221の動作を示すフローチャートである。
【図13】同実施形態において、荷重変化判定部221が荷重センサ部11−1〜11−4の全部について荷重変化判定を行う毎に、乗員判定部241が乗員判定を行う場合の、乗員判定部241の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態における乗員判定装置の概略構成を示す構成図である。
同図において、乗員判定装置1は、荷重センサ611−1〜611−4および電子制御装置(Electric Control Unit;ECU)621を具備する。また、シートレール921−1および921−2は、各2点で座席911を支持している。
荷重センサ611−1〜611−4は、シートレール921−1および921−2が座席911を支持する4点の各々に設置されて、座席911に作用する荷重を、座席911の重量との合計値にて計測する。なお、乗員判定装置が具備する荷重センサの個数は、同図に示す4個に限らない。例えば、座席が3点にて支持される場合は、乗員判定装置が3個の荷重センサを具備するなど、座席に作用する全荷重を計測できればよい。
電子制御装置621は、荷重センサ611−1〜611−4の出力する計測値に基づいて、座席911に作用する荷重が、予め定められた閾値以上か否かを判定する。
【0012】
乗員判定装置1は、座席911に作用する荷重が、予め定められた閾値以上か否かを判定する。以下では、この、座席911に作用する荷重が、予め定められた閾値以上か否かの判定を「乗員判定」という。
乗員判定装置1の判定結果を用いて、エアバッグの展開を制御できる。例えば、乗員判定の閾値を、座席911に座る人が大人か子供かを判定する閾値として、座席911に大人が座っていると判定した場合のみエアバッグが展開するように制御できる。
あるいは、乗員判定の閾値を、座席911に人が座っているか否かを判定する閾値として、座席911に人が座っていると判定した場合のみエアコンあるいは照明をオンにすることで消費電力を削減するなど、乗員判定結果をエアバッグの展開制御以外の用途に用いるようにしてもよい。
【0013】
図2は、乗員判定装置1の機能ブロック構成を示すブロック図である。
同図において、乗員判定装置1は、荷重センサ部11−1〜11−4と、電子制御部21とを具備する。電子制御部21は、フィルタ部211−1〜211−4と、荷重変化判定部221と、記憶部231と、乗員判定部241とを具備する。
荷重センサ部11−1〜11−4は、各々荷重センサ611−1〜611−4(図1)により実現され、座席911(図1)に作用する荷重を、座席911の重量との合計値にて計測する。なお、荷重センサ部は図1にて説明した荷重センサにて実現されるので、乗員判定装置は、荷重センサの個数分の荷重センサ部を具備する。
【0014】
電子制御部21は、電子制御装置621(図1)により実現され、荷重センサ部11−1〜11−4の出力に基づいて、座席911(図1)に作用する荷重が、予め定められた閾値以上か否かを判定する。
フィルタ部211−1〜211−4は、それぞれ荷重センサ部11−1〜11−4の出力から高周波成分を除去するローパスフィルタ(Low-pass Filter)である。なお、フィルタ部211−1〜211−4は、コンデンサと抵抗器を用いた回路、または、オペアンプを用いた回路など、ハードウェアにて実現されていてもよい。あるいは、電子制御装置621の具備する中央演算装置(Central Processing Unit;CPU)が、電子制御装置621の具備する記憶装置からプログラムを読み出して実行することにより、フィルタ部211−1〜211−4が、ソフトウェアにて実現されていてもよい。なお、乗員判定装置1は、荷重センサ部と同数のフィルタ部を具備する。
【0015】
荷重変化判定部221は、荷重センサ部11−1〜11−4の各々について、計測値が、所定の時間に所定の変化幅以上変化したか否かを判定する。以下では、この、荷重センサ部11−1〜11−4の各々の出力する計測値が、所定の時間に所定の変化幅以上変化したか否かの判定を「荷重変化判定」という。
記憶部231は、荷重変化判定部221の判定結果等の各種データを記憶する。
乗員判定部241は、荷重変化判定部221の判定結果に基づいて、荷重センサ部11−1〜11−4の出力、または、フィルタ部211−1〜211−4の出力のいずれかを選択し、選択したデータの合計値が予め定められた閾値以上か否かを判定することにより、座席911(図1)に作用する荷重が、予め定められた閾値以上か否かを判定する。
【0016】
次に荷重センサ部11−1〜11−4の出力およびフィルタ部211−1〜211−4の出力について、図3〜図5を用いて説明する。
図3は、荷重センサ部11−1〜11−4の出力の例を示す図である。
図3(a)は、ノイズが混入した出力の例を示す。時刻t11から時刻t12までの時間では、ノイズにより出力が変化している。また、時刻t13では、座席911(図1)に着座していた人が席を離れ、出力が減少している。また、時刻t14では、別の人が座席911に座り、出力が増加している。
図3(b)は、ノイズが混入していない出力の例を示す。同図(a)と異なり、時刻t11から時刻t12までの時間では、出力にノイズが混入しておらず、一定の出力となっている。一方、同図(a)と同様、時刻t13では出力が減少し、時刻t14では出力が増加している。
【0017】
図3(c)は、荷重センサ部11−1〜11−4のいずれかの出力にノイズが混入している場合の、出力の合計値の例を示す。具体的には、荷重センサ部11−1の出力にノイズが混入して同図(a)のようになり、荷重センサ部11−2〜11−4の出力にはノイズが混入せずに同図(b)のようになった場合の、これらの出力の合計値を示す。時刻t11から時刻t12までの時間では、荷重センサ部11−1の出力に混入したノイズにより合計値が変化している。この変化により、図に示すように、出力の合計値が、予め定められた閾値THR以上となる場合がある。したがって、この合計値に基づいて乗員判定を行うと、座席911に作用する荷重の合計値が閾値未満であると判定すべきにもかかわらず、閾値以上であると誤判定する場合がある。
【0018】
図4は、フィルタ部211−1〜211−4の出力の例を示す図である。
図4(a)は、荷重センサ部の出力にノイズが混入している場合の、フィルタ部の出力の例を示す図である。具体的には、荷重センサ部の出力が、図3(a)に示されるようである場合の、フィルタ部の出力の例を示す。時刻t11から時刻t12までの時間では、荷重センサ部の出力に混入しているノイズにより、フィルタ部の出力が変化しているが、高周波成分が除去されているため、図3(a)の場合よりも緩やかな変化となっている。また、時刻t13で、座席911に座る人が席を離れた影響は、時刻t13以降に、図3(a)の場合よりも緩やかな減少となって表れている。時刻t14で、別の人が座席911に座った影響も、時刻t14以降に、図3(a)の場合よりも緩やかな増加となって表れている。
【0019】
図4(b)は、荷重センサ部の出力にノイズが混入している場合の、フィルタ部の出力の例を示す図である。具体的には、荷重センサ部の出力が、図3(b)に示されるようである場合の、フィルタ部の出力の例を示す。時刻t11から時刻t12までの時間では、荷重センサ部の出力にノイズが混入しておらず、フィルタ部の出力は一定となっている。また、時刻t13で、座席911に座る人が席を離れた影響は、時刻t13以降に、図3(b)の場合よりも緩やかな減少となって表れている。時刻t14で、別の人が座席911に座った影響も、時刻t14以降に、図3(b)の場合よりも緩やかな増加となって表れている。
【0020】
図4(c)は、荷重センサ部11−1〜11−4のいずれかの出力にノイズが混入している場合の、フィルタ部211−1〜211−4の出力の合計値の例を示す図である。具体的には、荷重センサ部11−1のノイズが混入している出力から、フィルタ部211−1が高周波成分を除去して同図(a)のようになり、また、荷重センサ部11−2〜11−4のノイズが混入していない出力から、それぞれ、フィルタ部211−2〜211−4が高周波成分を除去して同図(b)のようになった場合の、これらのデータの合計値を示す。
【0021】
時刻t11から時刻t12までの時間では、荷重センサ部11−1の出力に混入しているノイズにより合計値が変化しているが、フィルタ部211−1により高周波成分が除去されているため、図3(c)の場合よりも緩やかな変化となって、荷重方向(図の縦方向)の変化量が小さく、閾値THR未満のままとなっている。また、時刻t13で、座席911に座る人が席を離れた影響は、時刻t13以降に、図3(c)の場合よりも緩やかな減少となって表れている。時刻t14で、別の人が座席911に座った影響も、時刻t14以降に、図3(c)の場合よりも緩やかな増加となって表れている。
この合計値に基づいて乗員判定を行うと、時刻t11から時刻t12までの時間のノイズの影響が緩和されているので、座席911に作用する荷重の合計値が閾値未満であると、正しく判定できる。一方、時刻t14で人が座席911に座った影響が緩やかに出ているため、合計値が閾値THR以上となるのに、時刻t14から時刻t15までの時間の遅延が生じている。このため、時刻t14から時刻t15までの間では、座席911に作用する荷重の合計値が閾値以上であると判定すべきにもかかわらず、閾値未満であると誤判定してしまう。
【0022】
図5は、乗員判定部241が、乗員判定に用いるデータの例を示す図である。荷重センサ部11−1〜11−4のいずれかの出力が、一定以上の変化を示している場合(予め定められた時間に、予め定められた変化幅以上の変化を示している場合)、乗員判定部241は、他の荷重センサ部の出力も、一定以上の変化を示しているか否かを判定する。複数の荷重センサ部の出力が一定以上変化している場合は、座席911に作用する荷重の変化による変化である可能性が高い。そこで、乗員判定部241は、荷重センサ部11−1〜11−4の出力を、フィルタ部211−1〜211−4を介さずにそのまま使用する。一方、1つの荷重センサ部の出力のみが一定以上変化している場合は、ノイズの混入による変化である可能性が高い。そこで、乗員判定部241は、荷重センサ部11−1〜11−4の出力から、フィルタ部211−1〜211−4によって高周波成分を除去するノイズ除去が行われたデータを使用する。
【0023】
例えば、時刻t11から時刻t12までの時間において、荷重センサ部11−1の出力に、図3(a)に示すノイズが混入しており、荷重センサ部11−2〜11−4の出力には、図3(b)のようにノイズが混入していない場合、荷重センサ部11−1の出力のみが一定以上変化し、乗員判定部241は、荷重センサ部11−1の出力について、図4(a)のように、フィルタ部211−1によって高周波成分の除去されたデータを使用する。これにより、図5の時刻t11〜t12の部分ようにノイズの影響が緩和され、乗員判定部241は、座席911に作用する荷重の合計値が閾値未満であると、正しく判定できる。
【0024】
一方、時刻t12以降の時間においては、図3(a)および同図(b)のように、荷重センサ部11−1〜11−4の出力が同様の変化を示す場合は、乗員判定部241は、荷重センサ部11−1〜11−4の出力をそのまま用いる。これにより、図5の時刻t12以降の部分のように、高周波成分除去による遅延が生じない。例えば、時刻t14で人が座席911に座ったことにより、すぐに合計値が閾値THR以上となっており、図4(c)の場合のような、時刻t14から時刻t15までの時間の遅延が生じない。
【0025】
次に、記憶部231が記憶するデータのデータ構造について、図6および図7を用いて説明する。
図6は、記憶部231が記憶する荷重変化判定データテーブルの例を示す図である。荷重変化判定部221は、荷重センサ部11−1〜11−4の各々について、定期的に荷重変化判定を行う。そして、記憶部231は、荷重センサ部11−1〜11−4の各々について、最新の荷重変化判定時における荷重センサ部の出力する計測値である「今回値」と、その直前の荷重変化判定時における荷重センサ部の出力する計測値である「前回値」と、前回値と今回値との差が予め定められた変化量以上か否かを示す「荷重変化判定結果」とを、互いに対応付けて、荷重変化判定データテーブルに記憶する。
【0026】
図7は、記憶部231が記憶する選択値データテーブルの例を示す図である。選択値データテーブルは、乗員判定部241が乗員判定に用いるデータを示す。具体的には、荷重センサ部11−1〜11−4の各々について、荷重センサ部の出力、または、フィルタ部の出力のいずれかが、選択値データテーブルに含まれている。以下では、選択値データテーブルに含まれる、荷重センサ部の出力、または、フィルタ部の出力を「選択値」という。
【0027】
次に、乗員判定装置1の動作について、図8〜図10を用いて説明する。
図8は、乗員判定装置1の動作を示すシーケンス図である。乗員判定装置1が起動すると、荷重変化判定部221は、荷重センサ部11−1〜11−4の出力を順次読み取り、記憶部231が記憶する荷重変化判定データテーブルに、今回値として書き込む(シーケンスS111〜S114)。
つぎに、荷重変化判定部221は、荷重センサ部11−1の出力を読み取り、記憶部231が記憶する荷重変化判定データテーブルのうち、荷重センサ部11−1の前回値欄と今回値欄と判定結果欄とのデータを更新する(シーケンスS121)。データ更新の具体的動作については後述する。その後、荷重変化判定部221は、データを更新した荷重センサ部11−1の識別情報を含む更新通知を乗員判定部241に出力し、乗員判定部241は乗員判定を行う(シーケンスS122)。
【0028】
荷重センサ部11−2〜11−4についても同様に、荷重変化判定部221が、荷重センサ部の出力を読み取って荷重変化判定データテーブルを更新して乗員判定部241に更新通知を出力し、乗員判定部241は乗員判定を行う(シーケンスS123〜128)。
以後、荷重変化判定部221は、荷重センサ部11−1〜11−4について、荷重センサ部の出力を読み取って荷重変化判定データテーブルを更新して乗員判定部241に更新通知を出力する処理を順次繰り返し、乗員判定部241は、荷重変化判定部221から更新通知が出力される毎に乗員判定を行う(シーケンスS131〜)。
【0029】
図9は、荷重変化判定部221の動作を示すフローチャートである。
荷重変化判定部221は、乗員判定装置1が起動すると同図の処理を開始する。
まず、荷重変化判定部221は、荷重センサ部11−1〜11−4の各々について順次処理を行うループL11にて、荷重センサ部11−1〜11−4の各々の出力を読み取って、荷重変化判定データテーブルの該当欄に今回値として書き込む(ステップS101〜S103)。
【0030】
次に、荷重変化判定部221は、荷重センサ部11−1〜11−4の各々について順次処理を行うループL12を開始する(ステップS104)。荷重変化判定部221は、処理対象の荷重センサ部11−i(iは、1≦i≦4の正整数)について、荷重変化判定データテーブルから今回値を読み出し、前回値として該当欄に書き込む。そして、荷重変化判定部221は、荷重センサ部11−iの出力を読み取って荷重変化判定データテーブルの該当欄に今回値として書き込む(以上、ステップS105)。また、荷重変化判定部221は、荷重変化判定データテーブルから、荷重センサ部11−iの前回値と今回値とを読み出し、前回値と今回値との差の絶対値(前回の出力と今回の出力との間の変化量)を算出する(ステップS106)。荷重変化判定部221は、算出した差の絶対値が予め定められた変化幅A以上か否かを判定する(ステップS107)。変化幅A以上と判定した場合(ステップS106:YES)は、荷重変化判定データテーブルの荷重センサ部11−iの荷重変化判定結果の欄に、変化幅A以上の変化ありを示す情報(図6の例では、文字列「変化あり」)を書き込み(ステップS108)、荷重センサ部11−iの識別情報を含む更新通知を乗員判定部241に出力する(ステップS110)。そして、荷重変化判定部221は、荷重センサ部11−1〜11−4の全てについてステップS105以降の処理を行ったか否かを判定し、未処理の荷重センサ部があると判定した場合は、引き続きループL12の処理を行う。一方、全ての荷重センサ部についてステップS105以下の処理を行ったと判定した場合は、ループL12の処理を終了してステップS104に戻る(以上、ステップS111)。
【0031】
一方、ステップS107で、変化量が変化幅A未満であると判定した場合(ステップS106:NO)は、荷重変化判定データテーブルの荷重センサ部11−iの荷重変化判定結果の欄に、変化幅A以上の変化なしを示す情報(図6の例では、文字列「変化なし」)を書き込み(ステップS109)、ステップS110に進む。
【0032】
図10は、乗員判定部241の動作を示すフローチャートである。
荷重変化判定部221から更新通知が出力されると、乗員判定部241は同図の処理を開始する。
乗員判定部241は、荷重変化判定データテーブルのデータが更新された荷重センサ部の識別情報を、更新通知から読み出し、また、荷重センサ部11−1〜11−4の各々について、荷重変化判定の結果を記憶部231の荷重変化判定データテーブルから読み出す(ステップS201)。
【0033】
乗員判定部241は、読み出した判定結果のうち、更新通知から読み出した識別情報が示す、更新対象の荷重センサ部の判定結果が、変化幅A以上の変化ありを示すか否かを判定する(ステップS202)。変化幅A以上の変化ありと判定した場合(ステップS202:YES)は、荷重変化判定データテーブルから読み出した、他の荷重センサ部についての判定結果の中に、変化幅A以上の変化ありを示すものがあるか否かを判定する(ステップS203)。変化幅A以上の変化ありを示すものがあると判定した場合(ステップS203:YES)は、複数の荷重センサ部の出力が変化しているので、ノイズではなく座席911に作用する荷重の変化によって、出力が変化したと考えられる。そこで、乗員判定部241は、更新通知から読み出した識別情報が示す荷重センサ部の出力を読み取って(ステップS204)、記憶部231が記憶する選択値データテーブルの該当欄に書き込む(ステップS206)。その後、乗員判定部241は、荷重センサ部11−1〜11−4の各々に対応付けられた選択値を選択値データテーブルから読み出し(ステップS207)、読み出した選択値の合計値が閾値THR以上か否かを判定する乗員判定を行い、判定結果を乗員判定装置1の外部に出力する(ステップS208)。その後、乗員判定部241は、同図の処理を終了する。
【0034】
一方、ステップS202において、変化幅A以上の変化なしと判定した場合(ステップS202:NO)は、ステップS204に進む。
また、ステップS203において、変化幅A以上の変化ありを示すものがないと判定した場合(ステップS203:NO)は、1つの荷重センサ部の出力のみが変化しているので、ノイズの混入による変化であると考えられる。そこで、乗員判定部241は、更新通知から読み出した識別情報が示す荷重センサ部に対応するフィルタ部の出力を読み取って(ステップS205)、記憶部231が記憶する選択値データテーブルの該当欄に書き込み(ステップS206)、ステップS207に進む。
【0035】
以上のように、乗員判定部241は、出力が変化幅A以上に変化した荷重センサ部11−1〜11−4の個数に基づいて、荷重センサ部11−1〜11−4の出力にノイズが混入しているか否かを判定し、ノイズが混入していると判定した荷重センサ部11−1〜11−4については、フィルタ部211−1〜211−4の出力を用いるので、荷重計測値に混入しているノイズによる誤判定を防止できる。
また、乗員判定部241は、ノイズが混入していないと判定した荷重センサ部11−1〜11−4については、フィルタ部211−1〜211−4を介さずに、荷重センサ部11−1〜11−4の出力する計測値をそのまま用いるので、計測値の変化に高周波成分除去による遅延が生じず、計測値の変化の遅延による誤判定を軽減できる。
【0036】
なお、乗員判定部241がノイズの有無を判定する際の基準は、図10のステップS202およびS203で示した、1個の荷重センサ部の出力のみが変化幅A以上に変化したか否かに限らない。例えば、複数の荷重センサ部の出力に同時にノイズが混入しやすい環境では、同図のステップS203において、更新対象の荷重センサ部以外に、出力が変化幅A以上に変化した荷重センサ部が複数あるか否かを判定するようにしてもよい。これにより、ノイズによる誤判定のおそれを、さらに低減させられる。
【0037】
以上では、荷重変化判定部221が荷重センサ部11−1〜11−4のいずれかについて荷重変化判定を行う毎に、乗員判定部241が乗員判定を行う場合について説明したが、乗員判定部241が乗員判定を行うタイミングは、これに限らない。
図11は、荷重変化判定部221が荷重センサ部11−1〜11−4の全部について荷重変化判定を行う毎に、乗員判定部241が乗員判定を行う場合の、乗員判定装置1の動作を示すシーケンス図である。
乗員判定装置1が起動すると、荷重変化判定部221は、荷重センサ部11−1〜11−4の出力を順次読み取り、記憶部231に、荷重変化判定データテーブルの今回値として書き込む(シーケンスS211〜S214)。
【0038】
つぎに、荷重変化判定部221は、荷重センサ部11−1の出力を読み取り、記憶部231が記憶する荷重変化判定データテーブルのうち、荷重センサ部11−1の前回値欄と今回値欄と判定結果欄とのデータを更新する(シーケンスS221)。荷重センサ部11−2〜11−4についても、同様の処理を順次行う(シーケンスS222〜S224)。その後、荷重変化判定部221は、更新通知を乗員判定部241に出力し、乗員判定部241は乗員判定を行う(シーケンスS225)。
以後、荷重変化判定部221は、荷重センサ部11−1〜11−4について、荷重センサ部の出力を読み取って荷重変化判定データテーブルを順次更新した後、乗員判定部241に更新通知を出力する処理を繰り返し、乗員判定部241は、荷重変化判定部221から更新通知が出力される毎に乗員判定を行う(シーケンスS231〜)。
【0039】
図12は、荷重変化判定部221が荷重センサ部11−1〜11−4の全部について荷重変化判定を行う毎に、乗員判定部241が乗員判定を行う場合の、荷重変化判定部221の動作を示すフローチャートである。
荷重変化判定部221は、乗員判定装置1が起動すると同図の処理を開始する。
ステップS301〜S303は、図9のステップS101〜S103と同様である。また、ループL32の、ステップS304〜S308、S309、S310は、それぞれ、図1のステップS104〜S108、S109、S111と同様である。ステップS311において、荷重変化判定部221は、更新通知を乗員判定部241に出力する。その後、ステップS304に戻る。図12において荷重変化判定部221が行う処理は、ループL32で、荷重センサ部11−1〜11−4の全てについて、荷重変化判定データテーブルのデータを更新した後に、乗員判定部241に更新通知を出力する点、および、更新通知に、荷重センサ部の識別情報が含まれない点で、図9の処理と異なる。
【0040】
図13は、荷重変化判定部221が荷重センサ部11−1〜11−4の全部について荷重変化判定を行う毎に、乗員判定部241が乗員判定を行う場合の、乗員判定部241の動作を示すフローチャートである。
荷重変化判定部221から更新通知が出力されると、乗員判定部241は同図の処理を開始する。
乗員判定部241は、荷重センサ部11−1〜11−4の各々について、荷重変化判定の結果を記憶部231の荷重変化判定データテーブルから読み出す(ステップS401)。
【0041】
乗員判定部241は、読み出した判定結果のうち、変化幅A以上の変化ありを示す判定結果の個数が、0より大きく、かつ、2未満か否か(すなわち、1か否か)を判定する(ステップS402)。変化幅A以上の変化ありを示す判定結果の個数が、0より大きく、かつ、2未満であると判定した場合(ステップS402:YES)、荷重変化判定部221は、荷重センサ部11−1〜11−4の各々について順次処理を行うループL41を開始する(ステップS403)。荷重変化判定部221は、ステップS401で読み出した判定結果のうち、処理対象の荷重センサ部11−i(iは、1≦i≦4の正整数)の判定結果が、変化幅A以上の変化ありを示すか否かを判定する(ステップS404)。変化幅A以上の変化ありを示すと判定した場合(ステップS403:YES)、乗員判定部241は、処理対象の荷重センサ部11−iに対応するフィルタ部211−iの出力を読み取り、記憶部231が記憶する選択値データテーブルの、荷重センサ部11−iの欄に書き込む(ステップS405)。
【0042】
そして、荷重変化判定部221は、荷重センサ部11−1〜11−4の全てについてステップS404以降の処理を行ったか否かを判定し、未処理の荷重センサ部があると判定した場合は、引き続きループL41の処理を行う。一方、全ての荷重センサ部についてステップS404以下の処理を行ったと判定した場合は、ループL41の処理を終了する(以上ステップS407)。
その後、乗員判定部241は、荷重センサ部11−1〜11−4の各々に対応付けられた選択値を選択値データテーブルから読み出し(ステップS411)、読み出した選択値の合計値が、閾値THR以上か否かを判定する乗員判定を行い、判定結果を乗員判定装置1の外部に出力する(ステップS412)。
【0043】
一方、ステップS404において、変化幅A以上の変化なしを示すと判定した場合(ステップS404:YES)、乗員判定部241は、処理対象の荷重センサ部11−iが出力する計測値を読み取り、記憶部231が記憶する選択値データテーブルの、荷重センサ部11−iの欄に書き込む(ステップS406)。その後ステップS407に進む。
また、ステップS402において、変化幅A以上の変化ありを示す判定結果の個数が、0または2以上であると判定した場合(ステップS402:NO)、荷重変化判定部221は、荷重センサ部11−1〜11−4の各々について順次処理を行うループL42にて、荷重センサ部11−1〜11−4が出力する計測値を順次読み取り、記憶部231が記憶する選択値データテーブルの該当欄に書き込む(ステップS408〜ステップS410)。その後、ステップS411に進む。
【0044】
以上のように、乗員判定部241は、荷重センサ部11−1〜11−4の出力にノイズが混入しているか否かを判定し、判定結果に応じて、荷重センサ部11−1〜11−4の出力、または、荷重センサ部11−1〜11−4の出力のいずれかを選択する。したがって、荷重変化判定部221が荷重センサ部11−1〜11−4の各々について荷重変化判定を行う毎に、乗員判定部241が乗員判定を行う場合と同様、重量計測値に混入しているノイズによる誤判定を防止でき、かつ、計測値の変化の遅延による誤判定を軽減できる。
【0045】
また、荷重変化判定部221が荷重センサ部11−1〜11−4の全部について荷重変化判定を行う毎に、乗員判定部241が乗員判定を行うことにより、荷重変化判定部221が荷重センサ部11−1〜11−4のいずれかについて荷重変化判定を行う毎に、乗員判定部241が乗員判定を行う場合よりも荷重変化判定を行う頻度が低く、荷重変化判定部221の負荷を低減できる。特に、電子制御装置621の具備する1個のCPUが、時分割処理によって荷重変化判定部221と乗員判定部241とを実現する場合、荷重変化判定を行う頻度を低くすることによって、荷重変化判定部221の処理に割り当てる時間を増やせるので、荷重変化判定部221が荷重センサ部11−1〜11−4の全部について荷重変化判定を行う時間を短くでき、座席911に作用する荷重の変化に対する乗員判定結果の追従性を高められる。
【0046】
一方、前述した荷重変化判定部221が荷重センサ部11−1〜11−4のいずれかについて荷重変化判定を行う毎に、乗員判定部241が乗員判定を行う場合は、荷重変化判定部221が荷重センサ部11−1〜11−4の全部について荷重変化判定を行う毎に、乗員判定部241が乗員判定を行う場合よりも迅速に、荷重変化判定の結果を乗員判定に反映させることができ、座席911に作用する荷重の変化に対する乗員判定結果の追従性を高められる。特に、荷重センサ部の出力が、乗員判定部241がノイズの有無を判定する際の基準である変化幅A未満の変化を示す場合は、荷重判定部の出力の変化が速やかに荷重判定結果に反映される。
【0047】
このような、荷重センサ部の出力値が変化幅A未満の変化を示す場合としては、例えば、座席911に着座する者が、座席911の端に座った後、座席911の座面中央に座り直す場合が考えられる。着座者が座席911の端に座った時点では、1つの荷重センサ部に荷重が集中し、他の荷重センサ部には比較的小さい荷重がかかる。荷重が集中する荷重センサ部の出力の変化は、変化幅A以上となり、フィルタ部の出力が選択されて、直ちには乗員判定に反映されない。一方、荷重が集中する荷重センサ部以外の荷重センサ部の出力の変化は、変化幅A以下となり、荷重変化判定部221が荷重変化判定を行った後速やかに、乗員判定に反映される。この、荷重が集中する荷重センサ部以外の荷重センサ部のうち、荷重変化判定部221が荷重変化判定を行った荷重センサの出力の合計値が閾値THR以上となった時点で、着座による荷重の変化が乗員判定結果に反映されるので、乗員判定結果の追従性が高まることが期待できる。
【0048】
また、着座者が座席911の端に座った時点では、荷重が集中した荷重センサ部以外の荷重センサ部の出力を全て合計しても閾値THR未満であった場合でも、着座者が座席911の座面中央に座り直すことにより、荷重が集中した荷重センサ部以外の各荷重センサ部の出力が変化幅A以下の範囲で増加し、さらには、荷重が集中した荷重センサ部の出力が変化幅A以下の範囲で減少することにより、荷重センサ部の出力の合計値が閾値THR以上となることが考えられる。この場合も、荷重変化判定部221が荷重変化判定を行った荷重センサの出力の合計値が閾値THR以上となった時点で、着座による荷重の変化が乗員判定結果に反映されるので、乗員判定結果の追従性が高まることが期待できる。
【0049】
なお、乗員判定部241がノイズの有無を判定する際の基準は、図13のステップS402で示した、1個の荷重センサ部の出力のみが変化幅A以上に変化したか否かに限らない。例えば、複数の荷重センサ部の出力に同時にノイズが混入しやすい環境では、同図のステップS202において、1個または2個の荷重センサ部の出力が変化幅A以上に変化したか否かを判定するようにしてもよい。これにより、ノイズによる誤判定のおそれを、さらに低減させられる。
【0050】
なお、電子制御部21の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の保持装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0051】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、乗員判定装置に用いて好適である。
【符号の説明】
【0053】
1 乗員判定装置
11−1〜11−4 荷重センサ部
21 電子制御部
211−1〜211−4 フィルタ部
221 荷重変化判定部
231 記憶部
241 乗員判定部
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗員判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エアバッグを装備する乗用車において、保護対象の乗員が子供の場合には、エアバッグを展開すべきでないことがある。このような、乗員が大人か子供かの判定等を行うために、座席に作用する荷重を荷重センサにて計測し、計測値が閾値以上か否かを判定する乗員判定装置が用いられる。エンジン等からノイズが発せられる乗用車内など、計測値にノイズが混入し易い環境で乗員判定装置が用いられる場合、ノイズによる誤判定を防止するため、乗員判定装置は、センサの出力から高周波成分を除去するフィルタ処理を行い、このフィルタ処理された計測値が閾値以上か否かを判定するのが一般的である。
この際、荷重センサの出力から高周波成分を除去することにより、計測値の変化が緩やかとなり、このために乗員判定装置が誤判定を行うおそれがある。この誤判定を防止するために、幾つかの技術が提案されている。例えば、特許文献1では、荷重センサの検出データをフィルタ処理して高周波成分を除去し、フィルタ処理された検出データと2つの閾値とを比較して、ヒステリシスを持つ乗員判定を行う乗員判定装置において、ヒステリシスの範囲を超えてオーバーシュートまたはアンダーシュートすべき検出データが、フィルタ処理されているためにヒステリシスの範囲内に収まり、乗員判定装置が誤判定することを防止するために、ヒステリシスの幅を狭める技術が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−47035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高周波成分の除去により荷重センサの計測値の変化が緩やかとなるために生じる誤判定として、計測値が閾値以上あるいは閾値以下に変化するまでの時間の遅延が生じ、この間に乗員判定装置が誤判定することが考えられる。例えば、ある閾値以上の荷重を検出した場合のみエアバッグが展開するよう設定されている座席に大人が着座し、着座から短時間の後にエアバッグを展開すべき状況となった場合、乗員判定装置が閾値以上の荷重を検出してエアバッグが展開されるべきであるにもかかわらず、荷重センサの計測値の変化が緩やかであるために、乗員判定装置が閾値以上の荷重を検出するまでに時間を要し、エアバッグが展開されないおそれがある。
特許文献1をはじめとする従来の技術では、この遅延による誤判定に対する対策は示されていなかった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、ノイズによる誤判定を防止しつつ、計測値の変化の遅延による誤判定を軽減できる乗員判定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、本発明の一態様による乗員判定装置は、座席に作用する荷重を計測して出力する複数の荷重センサ部と、前記荷重センサ部の出力から高周波成分を除去して出力するフィルタ部と、前記荷重センサ部の出力が、所定の時間に所定の変化幅以上変化したか否かを判定する荷重変化判定を行う荷重変化判定部と、出力が前記変化幅以上変化したと判定された荷重センサ部が無い場合、および、出力が前記変化幅以上変化したと判定された荷重センサ部が所定数以上ある場合は、全ての荷重センサ部について、前記荷重センサ部の出力を用いて、前記座席に所定の閾値以上の荷重が作用しているか否かを判定し、出力が前記変化幅以上変化したと判定された荷重センサ部が1つ以上かつ前記所定数未満ある場合は、出力が前記変化幅以上変化したと判定された荷重センサ部については、前記フィルタ部の出力を用い、出力が前記変化幅以上変化しなかったと判定された荷重センサ部については、前記荷重センサ部の出力を用いて、前記座席に所定の閾値以上の荷重が作用しているか否かを判定する乗員判定を行う乗員判定部と、を含む。
【0007】
[2]また、本発明の一態様による乗員判定装置は、上述の乗員判定装置であって、前記乗員判定部は、前記荷重変化判定部が前記荷重センサ部のいずれかについて前記荷重変化判定を行う毎に、前記乗員判定を行う。
【0008】
[3]また、本発明の一態様による乗員判定装置は、上述の乗員判定装置であって、前記乗員判定部は、前記荷重変化判定部が前記荷重センサ部の全てについて前記荷重変化判定を行う毎に、前記乗員判定を行う。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、乗員判定装置において、ノイズによる誤判定を防止しつつ、計測値の変化の遅延による誤判定を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態における乗員判定装置の概略構成を示す構成図である。
【図2】同実施形態における、乗員判定装置1の機能ブロック構成を示すブロック図である。
【図3】同実施形態における、荷重センサ部11−1〜11−4の出力の例を示す図である。
【図4】同実施形態において、フィルタ部211−1〜211−4の出力の例を示す図である。
【図5】同実施形態において、乗員判定部241が、乗員判定に用いるデータの例を示す図である。
【図6】同実施形態において、記憶部231が記憶する荷重変化判定データテーブルの例を示す図である。
【図7】同実施形態において、記憶部231が記憶する選択値データテーブルの例を示す図である。
【図8】同実施形態における、乗員判定装置1の動作を示すシーケンス図である。
【図9】同実施形態における、荷重変化判定部221の動作を示すフローチャートである。
【図10】同実施形態における、乗員判定部241の動作を示すフローチャートである。
【図11】同実施形態において、荷重変化判定部221が荷重センサ部11−1〜11−4の全部について荷重変化判定を行う毎に、乗員判定部241が乗員判定を行う場合の、乗員判定装置1の動作を示すシーケンス図である。
【図12】同実施形態において、荷重変化判定部221が荷重センサ部11−1〜11−4の全部について荷重変化判定を行う毎に、乗員判定部241が乗員判定を行う場合の、荷重変化判定部221の動作を示すフローチャートである。
【図13】同実施形態において、荷重変化判定部221が荷重センサ部11−1〜11−4の全部について荷重変化判定を行う毎に、乗員判定部241が乗員判定を行う場合の、乗員判定部241の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態における乗員判定装置の概略構成を示す構成図である。
同図において、乗員判定装置1は、荷重センサ611−1〜611−4および電子制御装置(Electric Control Unit;ECU)621を具備する。また、シートレール921−1および921−2は、各2点で座席911を支持している。
荷重センサ611−1〜611−4は、シートレール921−1および921−2が座席911を支持する4点の各々に設置されて、座席911に作用する荷重を、座席911の重量との合計値にて計測する。なお、乗員判定装置が具備する荷重センサの個数は、同図に示す4個に限らない。例えば、座席が3点にて支持される場合は、乗員判定装置が3個の荷重センサを具備するなど、座席に作用する全荷重を計測できればよい。
電子制御装置621は、荷重センサ611−1〜611−4の出力する計測値に基づいて、座席911に作用する荷重が、予め定められた閾値以上か否かを判定する。
【0012】
乗員判定装置1は、座席911に作用する荷重が、予め定められた閾値以上か否かを判定する。以下では、この、座席911に作用する荷重が、予め定められた閾値以上か否かの判定を「乗員判定」という。
乗員判定装置1の判定結果を用いて、エアバッグの展開を制御できる。例えば、乗員判定の閾値を、座席911に座る人が大人か子供かを判定する閾値として、座席911に大人が座っていると判定した場合のみエアバッグが展開するように制御できる。
あるいは、乗員判定の閾値を、座席911に人が座っているか否かを判定する閾値として、座席911に人が座っていると判定した場合のみエアコンあるいは照明をオンにすることで消費電力を削減するなど、乗員判定結果をエアバッグの展開制御以外の用途に用いるようにしてもよい。
【0013】
図2は、乗員判定装置1の機能ブロック構成を示すブロック図である。
同図において、乗員判定装置1は、荷重センサ部11−1〜11−4と、電子制御部21とを具備する。電子制御部21は、フィルタ部211−1〜211−4と、荷重変化判定部221と、記憶部231と、乗員判定部241とを具備する。
荷重センサ部11−1〜11−4は、各々荷重センサ611−1〜611−4(図1)により実現され、座席911(図1)に作用する荷重を、座席911の重量との合計値にて計測する。なお、荷重センサ部は図1にて説明した荷重センサにて実現されるので、乗員判定装置は、荷重センサの個数分の荷重センサ部を具備する。
【0014】
電子制御部21は、電子制御装置621(図1)により実現され、荷重センサ部11−1〜11−4の出力に基づいて、座席911(図1)に作用する荷重が、予め定められた閾値以上か否かを判定する。
フィルタ部211−1〜211−4は、それぞれ荷重センサ部11−1〜11−4の出力から高周波成分を除去するローパスフィルタ(Low-pass Filter)である。なお、フィルタ部211−1〜211−4は、コンデンサと抵抗器を用いた回路、または、オペアンプを用いた回路など、ハードウェアにて実現されていてもよい。あるいは、電子制御装置621の具備する中央演算装置(Central Processing Unit;CPU)が、電子制御装置621の具備する記憶装置からプログラムを読み出して実行することにより、フィルタ部211−1〜211−4が、ソフトウェアにて実現されていてもよい。なお、乗員判定装置1は、荷重センサ部と同数のフィルタ部を具備する。
【0015】
荷重変化判定部221は、荷重センサ部11−1〜11−4の各々について、計測値が、所定の時間に所定の変化幅以上変化したか否かを判定する。以下では、この、荷重センサ部11−1〜11−4の各々の出力する計測値が、所定の時間に所定の変化幅以上変化したか否かの判定を「荷重変化判定」という。
記憶部231は、荷重変化判定部221の判定結果等の各種データを記憶する。
乗員判定部241は、荷重変化判定部221の判定結果に基づいて、荷重センサ部11−1〜11−4の出力、または、フィルタ部211−1〜211−4の出力のいずれかを選択し、選択したデータの合計値が予め定められた閾値以上か否かを判定することにより、座席911(図1)に作用する荷重が、予め定められた閾値以上か否かを判定する。
【0016】
次に荷重センサ部11−1〜11−4の出力およびフィルタ部211−1〜211−4の出力について、図3〜図5を用いて説明する。
図3は、荷重センサ部11−1〜11−4の出力の例を示す図である。
図3(a)は、ノイズが混入した出力の例を示す。時刻t11から時刻t12までの時間では、ノイズにより出力が変化している。また、時刻t13では、座席911(図1)に着座していた人が席を離れ、出力が減少している。また、時刻t14では、別の人が座席911に座り、出力が増加している。
図3(b)は、ノイズが混入していない出力の例を示す。同図(a)と異なり、時刻t11から時刻t12までの時間では、出力にノイズが混入しておらず、一定の出力となっている。一方、同図(a)と同様、時刻t13では出力が減少し、時刻t14では出力が増加している。
【0017】
図3(c)は、荷重センサ部11−1〜11−4のいずれかの出力にノイズが混入している場合の、出力の合計値の例を示す。具体的には、荷重センサ部11−1の出力にノイズが混入して同図(a)のようになり、荷重センサ部11−2〜11−4の出力にはノイズが混入せずに同図(b)のようになった場合の、これらの出力の合計値を示す。時刻t11から時刻t12までの時間では、荷重センサ部11−1の出力に混入したノイズにより合計値が変化している。この変化により、図に示すように、出力の合計値が、予め定められた閾値THR以上となる場合がある。したがって、この合計値に基づいて乗員判定を行うと、座席911に作用する荷重の合計値が閾値未満であると判定すべきにもかかわらず、閾値以上であると誤判定する場合がある。
【0018】
図4は、フィルタ部211−1〜211−4の出力の例を示す図である。
図4(a)は、荷重センサ部の出力にノイズが混入している場合の、フィルタ部の出力の例を示す図である。具体的には、荷重センサ部の出力が、図3(a)に示されるようである場合の、フィルタ部の出力の例を示す。時刻t11から時刻t12までの時間では、荷重センサ部の出力に混入しているノイズにより、フィルタ部の出力が変化しているが、高周波成分が除去されているため、図3(a)の場合よりも緩やかな変化となっている。また、時刻t13で、座席911に座る人が席を離れた影響は、時刻t13以降に、図3(a)の場合よりも緩やかな減少となって表れている。時刻t14で、別の人が座席911に座った影響も、時刻t14以降に、図3(a)の場合よりも緩やかな増加となって表れている。
【0019】
図4(b)は、荷重センサ部の出力にノイズが混入している場合の、フィルタ部の出力の例を示す図である。具体的には、荷重センサ部の出力が、図3(b)に示されるようである場合の、フィルタ部の出力の例を示す。時刻t11から時刻t12までの時間では、荷重センサ部の出力にノイズが混入しておらず、フィルタ部の出力は一定となっている。また、時刻t13で、座席911に座る人が席を離れた影響は、時刻t13以降に、図3(b)の場合よりも緩やかな減少となって表れている。時刻t14で、別の人が座席911に座った影響も、時刻t14以降に、図3(b)の場合よりも緩やかな増加となって表れている。
【0020】
図4(c)は、荷重センサ部11−1〜11−4のいずれかの出力にノイズが混入している場合の、フィルタ部211−1〜211−4の出力の合計値の例を示す図である。具体的には、荷重センサ部11−1のノイズが混入している出力から、フィルタ部211−1が高周波成分を除去して同図(a)のようになり、また、荷重センサ部11−2〜11−4のノイズが混入していない出力から、それぞれ、フィルタ部211−2〜211−4が高周波成分を除去して同図(b)のようになった場合の、これらのデータの合計値を示す。
【0021】
時刻t11から時刻t12までの時間では、荷重センサ部11−1の出力に混入しているノイズにより合計値が変化しているが、フィルタ部211−1により高周波成分が除去されているため、図3(c)の場合よりも緩やかな変化となって、荷重方向(図の縦方向)の変化量が小さく、閾値THR未満のままとなっている。また、時刻t13で、座席911に座る人が席を離れた影響は、時刻t13以降に、図3(c)の場合よりも緩やかな減少となって表れている。時刻t14で、別の人が座席911に座った影響も、時刻t14以降に、図3(c)の場合よりも緩やかな増加となって表れている。
この合計値に基づいて乗員判定を行うと、時刻t11から時刻t12までの時間のノイズの影響が緩和されているので、座席911に作用する荷重の合計値が閾値未満であると、正しく判定できる。一方、時刻t14で人が座席911に座った影響が緩やかに出ているため、合計値が閾値THR以上となるのに、時刻t14から時刻t15までの時間の遅延が生じている。このため、時刻t14から時刻t15までの間では、座席911に作用する荷重の合計値が閾値以上であると判定すべきにもかかわらず、閾値未満であると誤判定してしまう。
【0022】
図5は、乗員判定部241が、乗員判定に用いるデータの例を示す図である。荷重センサ部11−1〜11−4のいずれかの出力が、一定以上の変化を示している場合(予め定められた時間に、予め定められた変化幅以上の変化を示している場合)、乗員判定部241は、他の荷重センサ部の出力も、一定以上の変化を示しているか否かを判定する。複数の荷重センサ部の出力が一定以上変化している場合は、座席911に作用する荷重の変化による変化である可能性が高い。そこで、乗員判定部241は、荷重センサ部11−1〜11−4の出力を、フィルタ部211−1〜211−4を介さずにそのまま使用する。一方、1つの荷重センサ部の出力のみが一定以上変化している場合は、ノイズの混入による変化である可能性が高い。そこで、乗員判定部241は、荷重センサ部11−1〜11−4の出力から、フィルタ部211−1〜211−4によって高周波成分を除去するノイズ除去が行われたデータを使用する。
【0023】
例えば、時刻t11から時刻t12までの時間において、荷重センサ部11−1の出力に、図3(a)に示すノイズが混入しており、荷重センサ部11−2〜11−4の出力には、図3(b)のようにノイズが混入していない場合、荷重センサ部11−1の出力のみが一定以上変化し、乗員判定部241は、荷重センサ部11−1の出力について、図4(a)のように、フィルタ部211−1によって高周波成分の除去されたデータを使用する。これにより、図5の時刻t11〜t12の部分ようにノイズの影響が緩和され、乗員判定部241は、座席911に作用する荷重の合計値が閾値未満であると、正しく判定できる。
【0024】
一方、時刻t12以降の時間においては、図3(a)および同図(b)のように、荷重センサ部11−1〜11−4の出力が同様の変化を示す場合は、乗員判定部241は、荷重センサ部11−1〜11−4の出力をそのまま用いる。これにより、図5の時刻t12以降の部分のように、高周波成分除去による遅延が生じない。例えば、時刻t14で人が座席911に座ったことにより、すぐに合計値が閾値THR以上となっており、図4(c)の場合のような、時刻t14から時刻t15までの時間の遅延が生じない。
【0025】
次に、記憶部231が記憶するデータのデータ構造について、図6および図7を用いて説明する。
図6は、記憶部231が記憶する荷重変化判定データテーブルの例を示す図である。荷重変化判定部221は、荷重センサ部11−1〜11−4の各々について、定期的に荷重変化判定を行う。そして、記憶部231は、荷重センサ部11−1〜11−4の各々について、最新の荷重変化判定時における荷重センサ部の出力する計測値である「今回値」と、その直前の荷重変化判定時における荷重センサ部の出力する計測値である「前回値」と、前回値と今回値との差が予め定められた変化量以上か否かを示す「荷重変化判定結果」とを、互いに対応付けて、荷重変化判定データテーブルに記憶する。
【0026】
図7は、記憶部231が記憶する選択値データテーブルの例を示す図である。選択値データテーブルは、乗員判定部241が乗員判定に用いるデータを示す。具体的には、荷重センサ部11−1〜11−4の各々について、荷重センサ部の出力、または、フィルタ部の出力のいずれかが、選択値データテーブルに含まれている。以下では、選択値データテーブルに含まれる、荷重センサ部の出力、または、フィルタ部の出力を「選択値」という。
【0027】
次に、乗員判定装置1の動作について、図8〜図10を用いて説明する。
図8は、乗員判定装置1の動作を示すシーケンス図である。乗員判定装置1が起動すると、荷重変化判定部221は、荷重センサ部11−1〜11−4の出力を順次読み取り、記憶部231が記憶する荷重変化判定データテーブルに、今回値として書き込む(シーケンスS111〜S114)。
つぎに、荷重変化判定部221は、荷重センサ部11−1の出力を読み取り、記憶部231が記憶する荷重変化判定データテーブルのうち、荷重センサ部11−1の前回値欄と今回値欄と判定結果欄とのデータを更新する(シーケンスS121)。データ更新の具体的動作については後述する。その後、荷重変化判定部221は、データを更新した荷重センサ部11−1の識別情報を含む更新通知を乗員判定部241に出力し、乗員判定部241は乗員判定を行う(シーケンスS122)。
【0028】
荷重センサ部11−2〜11−4についても同様に、荷重変化判定部221が、荷重センサ部の出力を読み取って荷重変化判定データテーブルを更新して乗員判定部241に更新通知を出力し、乗員判定部241は乗員判定を行う(シーケンスS123〜128)。
以後、荷重変化判定部221は、荷重センサ部11−1〜11−4について、荷重センサ部の出力を読み取って荷重変化判定データテーブルを更新して乗員判定部241に更新通知を出力する処理を順次繰り返し、乗員判定部241は、荷重変化判定部221から更新通知が出力される毎に乗員判定を行う(シーケンスS131〜)。
【0029】
図9は、荷重変化判定部221の動作を示すフローチャートである。
荷重変化判定部221は、乗員判定装置1が起動すると同図の処理を開始する。
まず、荷重変化判定部221は、荷重センサ部11−1〜11−4の各々について順次処理を行うループL11にて、荷重センサ部11−1〜11−4の各々の出力を読み取って、荷重変化判定データテーブルの該当欄に今回値として書き込む(ステップS101〜S103)。
【0030】
次に、荷重変化判定部221は、荷重センサ部11−1〜11−4の各々について順次処理を行うループL12を開始する(ステップS104)。荷重変化判定部221は、処理対象の荷重センサ部11−i(iは、1≦i≦4の正整数)について、荷重変化判定データテーブルから今回値を読み出し、前回値として該当欄に書き込む。そして、荷重変化判定部221は、荷重センサ部11−iの出力を読み取って荷重変化判定データテーブルの該当欄に今回値として書き込む(以上、ステップS105)。また、荷重変化判定部221は、荷重変化判定データテーブルから、荷重センサ部11−iの前回値と今回値とを読み出し、前回値と今回値との差の絶対値(前回の出力と今回の出力との間の変化量)を算出する(ステップS106)。荷重変化判定部221は、算出した差の絶対値が予め定められた変化幅A以上か否かを判定する(ステップS107)。変化幅A以上と判定した場合(ステップS106:YES)は、荷重変化判定データテーブルの荷重センサ部11−iの荷重変化判定結果の欄に、変化幅A以上の変化ありを示す情報(図6の例では、文字列「変化あり」)を書き込み(ステップS108)、荷重センサ部11−iの識別情報を含む更新通知を乗員判定部241に出力する(ステップS110)。そして、荷重変化判定部221は、荷重センサ部11−1〜11−4の全てについてステップS105以降の処理を行ったか否かを判定し、未処理の荷重センサ部があると判定した場合は、引き続きループL12の処理を行う。一方、全ての荷重センサ部についてステップS105以下の処理を行ったと判定した場合は、ループL12の処理を終了してステップS104に戻る(以上、ステップS111)。
【0031】
一方、ステップS107で、変化量が変化幅A未満であると判定した場合(ステップS106:NO)は、荷重変化判定データテーブルの荷重センサ部11−iの荷重変化判定結果の欄に、変化幅A以上の変化なしを示す情報(図6の例では、文字列「変化なし」)を書き込み(ステップS109)、ステップS110に進む。
【0032】
図10は、乗員判定部241の動作を示すフローチャートである。
荷重変化判定部221から更新通知が出力されると、乗員判定部241は同図の処理を開始する。
乗員判定部241は、荷重変化判定データテーブルのデータが更新された荷重センサ部の識別情報を、更新通知から読み出し、また、荷重センサ部11−1〜11−4の各々について、荷重変化判定の結果を記憶部231の荷重変化判定データテーブルから読み出す(ステップS201)。
【0033】
乗員判定部241は、読み出した判定結果のうち、更新通知から読み出した識別情報が示す、更新対象の荷重センサ部の判定結果が、変化幅A以上の変化ありを示すか否かを判定する(ステップS202)。変化幅A以上の変化ありと判定した場合(ステップS202:YES)は、荷重変化判定データテーブルから読み出した、他の荷重センサ部についての判定結果の中に、変化幅A以上の変化ありを示すものがあるか否かを判定する(ステップS203)。変化幅A以上の変化ありを示すものがあると判定した場合(ステップS203:YES)は、複数の荷重センサ部の出力が変化しているので、ノイズではなく座席911に作用する荷重の変化によって、出力が変化したと考えられる。そこで、乗員判定部241は、更新通知から読み出した識別情報が示す荷重センサ部の出力を読み取って(ステップS204)、記憶部231が記憶する選択値データテーブルの該当欄に書き込む(ステップS206)。その後、乗員判定部241は、荷重センサ部11−1〜11−4の各々に対応付けられた選択値を選択値データテーブルから読み出し(ステップS207)、読み出した選択値の合計値が閾値THR以上か否かを判定する乗員判定を行い、判定結果を乗員判定装置1の外部に出力する(ステップS208)。その後、乗員判定部241は、同図の処理を終了する。
【0034】
一方、ステップS202において、変化幅A以上の変化なしと判定した場合(ステップS202:NO)は、ステップS204に進む。
また、ステップS203において、変化幅A以上の変化ありを示すものがないと判定した場合(ステップS203:NO)は、1つの荷重センサ部の出力のみが変化しているので、ノイズの混入による変化であると考えられる。そこで、乗員判定部241は、更新通知から読み出した識別情報が示す荷重センサ部に対応するフィルタ部の出力を読み取って(ステップS205)、記憶部231が記憶する選択値データテーブルの該当欄に書き込み(ステップS206)、ステップS207に進む。
【0035】
以上のように、乗員判定部241は、出力が変化幅A以上に変化した荷重センサ部11−1〜11−4の個数に基づいて、荷重センサ部11−1〜11−4の出力にノイズが混入しているか否かを判定し、ノイズが混入していると判定した荷重センサ部11−1〜11−4については、フィルタ部211−1〜211−4の出力を用いるので、荷重計測値に混入しているノイズによる誤判定を防止できる。
また、乗員判定部241は、ノイズが混入していないと判定した荷重センサ部11−1〜11−4については、フィルタ部211−1〜211−4を介さずに、荷重センサ部11−1〜11−4の出力する計測値をそのまま用いるので、計測値の変化に高周波成分除去による遅延が生じず、計測値の変化の遅延による誤判定を軽減できる。
【0036】
なお、乗員判定部241がノイズの有無を判定する際の基準は、図10のステップS202およびS203で示した、1個の荷重センサ部の出力のみが変化幅A以上に変化したか否かに限らない。例えば、複数の荷重センサ部の出力に同時にノイズが混入しやすい環境では、同図のステップS203において、更新対象の荷重センサ部以外に、出力が変化幅A以上に変化した荷重センサ部が複数あるか否かを判定するようにしてもよい。これにより、ノイズによる誤判定のおそれを、さらに低減させられる。
【0037】
以上では、荷重変化判定部221が荷重センサ部11−1〜11−4のいずれかについて荷重変化判定を行う毎に、乗員判定部241が乗員判定を行う場合について説明したが、乗員判定部241が乗員判定を行うタイミングは、これに限らない。
図11は、荷重変化判定部221が荷重センサ部11−1〜11−4の全部について荷重変化判定を行う毎に、乗員判定部241が乗員判定を行う場合の、乗員判定装置1の動作を示すシーケンス図である。
乗員判定装置1が起動すると、荷重変化判定部221は、荷重センサ部11−1〜11−4の出力を順次読み取り、記憶部231に、荷重変化判定データテーブルの今回値として書き込む(シーケンスS211〜S214)。
【0038】
つぎに、荷重変化判定部221は、荷重センサ部11−1の出力を読み取り、記憶部231が記憶する荷重変化判定データテーブルのうち、荷重センサ部11−1の前回値欄と今回値欄と判定結果欄とのデータを更新する(シーケンスS221)。荷重センサ部11−2〜11−4についても、同様の処理を順次行う(シーケンスS222〜S224)。その後、荷重変化判定部221は、更新通知を乗員判定部241に出力し、乗員判定部241は乗員判定を行う(シーケンスS225)。
以後、荷重変化判定部221は、荷重センサ部11−1〜11−4について、荷重センサ部の出力を読み取って荷重変化判定データテーブルを順次更新した後、乗員判定部241に更新通知を出力する処理を繰り返し、乗員判定部241は、荷重変化判定部221から更新通知が出力される毎に乗員判定を行う(シーケンスS231〜)。
【0039】
図12は、荷重変化判定部221が荷重センサ部11−1〜11−4の全部について荷重変化判定を行う毎に、乗員判定部241が乗員判定を行う場合の、荷重変化判定部221の動作を示すフローチャートである。
荷重変化判定部221は、乗員判定装置1が起動すると同図の処理を開始する。
ステップS301〜S303は、図9のステップS101〜S103と同様である。また、ループL32の、ステップS304〜S308、S309、S310は、それぞれ、図1のステップS104〜S108、S109、S111と同様である。ステップS311において、荷重変化判定部221は、更新通知を乗員判定部241に出力する。その後、ステップS304に戻る。図12において荷重変化判定部221が行う処理は、ループL32で、荷重センサ部11−1〜11−4の全てについて、荷重変化判定データテーブルのデータを更新した後に、乗員判定部241に更新通知を出力する点、および、更新通知に、荷重センサ部の識別情報が含まれない点で、図9の処理と異なる。
【0040】
図13は、荷重変化判定部221が荷重センサ部11−1〜11−4の全部について荷重変化判定を行う毎に、乗員判定部241が乗員判定を行う場合の、乗員判定部241の動作を示すフローチャートである。
荷重変化判定部221から更新通知が出力されると、乗員判定部241は同図の処理を開始する。
乗員判定部241は、荷重センサ部11−1〜11−4の各々について、荷重変化判定の結果を記憶部231の荷重変化判定データテーブルから読み出す(ステップS401)。
【0041】
乗員判定部241は、読み出した判定結果のうち、変化幅A以上の変化ありを示す判定結果の個数が、0より大きく、かつ、2未満か否か(すなわち、1か否か)を判定する(ステップS402)。変化幅A以上の変化ありを示す判定結果の個数が、0より大きく、かつ、2未満であると判定した場合(ステップS402:YES)、荷重変化判定部221は、荷重センサ部11−1〜11−4の各々について順次処理を行うループL41を開始する(ステップS403)。荷重変化判定部221は、ステップS401で読み出した判定結果のうち、処理対象の荷重センサ部11−i(iは、1≦i≦4の正整数)の判定結果が、変化幅A以上の変化ありを示すか否かを判定する(ステップS404)。変化幅A以上の変化ありを示すと判定した場合(ステップS403:YES)、乗員判定部241は、処理対象の荷重センサ部11−iに対応するフィルタ部211−iの出力を読み取り、記憶部231が記憶する選択値データテーブルの、荷重センサ部11−iの欄に書き込む(ステップS405)。
【0042】
そして、荷重変化判定部221は、荷重センサ部11−1〜11−4の全てについてステップS404以降の処理を行ったか否かを判定し、未処理の荷重センサ部があると判定した場合は、引き続きループL41の処理を行う。一方、全ての荷重センサ部についてステップS404以下の処理を行ったと判定した場合は、ループL41の処理を終了する(以上ステップS407)。
その後、乗員判定部241は、荷重センサ部11−1〜11−4の各々に対応付けられた選択値を選択値データテーブルから読み出し(ステップS411)、読み出した選択値の合計値が、閾値THR以上か否かを判定する乗員判定を行い、判定結果を乗員判定装置1の外部に出力する(ステップS412)。
【0043】
一方、ステップS404において、変化幅A以上の変化なしを示すと判定した場合(ステップS404:YES)、乗員判定部241は、処理対象の荷重センサ部11−iが出力する計測値を読み取り、記憶部231が記憶する選択値データテーブルの、荷重センサ部11−iの欄に書き込む(ステップS406)。その後ステップS407に進む。
また、ステップS402において、変化幅A以上の変化ありを示す判定結果の個数が、0または2以上であると判定した場合(ステップS402:NO)、荷重変化判定部221は、荷重センサ部11−1〜11−4の各々について順次処理を行うループL42にて、荷重センサ部11−1〜11−4が出力する計測値を順次読み取り、記憶部231が記憶する選択値データテーブルの該当欄に書き込む(ステップS408〜ステップS410)。その後、ステップS411に進む。
【0044】
以上のように、乗員判定部241は、荷重センサ部11−1〜11−4の出力にノイズが混入しているか否かを判定し、判定結果に応じて、荷重センサ部11−1〜11−4の出力、または、荷重センサ部11−1〜11−4の出力のいずれかを選択する。したがって、荷重変化判定部221が荷重センサ部11−1〜11−4の各々について荷重変化判定を行う毎に、乗員判定部241が乗員判定を行う場合と同様、重量計測値に混入しているノイズによる誤判定を防止でき、かつ、計測値の変化の遅延による誤判定を軽減できる。
【0045】
また、荷重変化判定部221が荷重センサ部11−1〜11−4の全部について荷重変化判定を行う毎に、乗員判定部241が乗員判定を行うことにより、荷重変化判定部221が荷重センサ部11−1〜11−4のいずれかについて荷重変化判定を行う毎に、乗員判定部241が乗員判定を行う場合よりも荷重変化判定を行う頻度が低く、荷重変化判定部221の負荷を低減できる。特に、電子制御装置621の具備する1個のCPUが、時分割処理によって荷重変化判定部221と乗員判定部241とを実現する場合、荷重変化判定を行う頻度を低くすることによって、荷重変化判定部221の処理に割り当てる時間を増やせるので、荷重変化判定部221が荷重センサ部11−1〜11−4の全部について荷重変化判定を行う時間を短くでき、座席911に作用する荷重の変化に対する乗員判定結果の追従性を高められる。
【0046】
一方、前述した荷重変化判定部221が荷重センサ部11−1〜11−4のいずれかについて荷重変化判定を行う毎に、乗員判定部241が乗員判定を行う場合は、荷重変化判定部221が荷重センサ部11−1〜11−4の全部について荷重変化判定を行う毎に、乗員判定部241が乗員判定を行う場合よりも迅速に、荷重変化判定の結果を乗員判定に反映させることができ、座席911に作用する荷重の変化に対する乗員判定結果の追従性を高められる。特に、荷重センサ部の出力が、乗員判定部241がノイズの有無を判定する際の基準である変化幅A未満の変化を示す場合は、荷重判定部の出力の変化が速やかに荷重判定結果に反映される。
【0047】
このような、荷重センサ部の出力値が変化幅A未満の変化を示す場合としては、例えば、座席911に着座する者が、座席911の端に座った後、座席911の座面中央に座り直す場合が考えられる。着座者が座席911の端に座った時点では、1つの荷重センサ部に荷重が集中し、他の荷重センサ部には比較的小さい荷重がかかる。荷重が集中する荷重センサ部の出力の変化は、変化幅A以上となり、フィルタ部の出力が選択されて、直ちには乗員判定に反映されない。一方、荷重が集中する荷重センサ部以外の荷重センサ部の出力の変化は、変化幅A以下となり、荷重変化判定部221が荷重変化判定を行った後速やかに、乗員判定に反映される。この、荷重が集中する荷重センサ部以外の荷重センサ部のうち、荷重変化判定部221が荷重変化判定を行った荷重センサの出力の合計値が閾値THR以上となった時点で、着座による荷重の変化が乗員判定結果に反映されるので、乗員判定結果の追従性が高まることが期待できる。
【0048】
また、着座者が座席911の端に座った時点では、荷重が集中した荷重センサ部以外の荷重センサ部の出力を全て合計しても閾値THR未満であった場合でも、着座者が座席911の座面中央に座り直すことにより、荷重が集中した荷重センサ部以外の各荷重センサ部の出力が変化幅A以下の範囲で増加し、さらには、荷重が集中した荷重センサ部の出力が変化幅A以下の範囲で減少することにより、荷重センサ部の出力の合計値が閾値THR以上となることが考えられる。この場合も、荷重変化判定部221が荷重変化判定を行った荷重センサの出力の合計値が閾値THR以上となった時点で、着座による荷重の変化が乗員判定結果に反映されるので、乗員判定結果の追従性が高まることが期待できる。
【0049】
なお、乗員判定部241がノイズの有無を判定する際の基準は、図13のステップS402で示した、1個の荷重センサ部の出力のみが変化幅A以上に変化したか否かに限らない。例えば、複数の荷重センサ部の出力に同時にノイズが混入しやすい環境では、同図のステップS202において、1個または2個の荷重センサ部の出力が変化幅A以上に変化したか否かを判定するようにしてもよい。これにより、ノイズによる誤判定のおそれを、さらに低減させられる。
【0050】
なお、電子制御部21の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の保持装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0051】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、乗員判定装置に用いて好適である。
【符号の説明】
【0053】
1 乗員判定装置
11−1〜11−4 荷重センサ部
21 電子制御部
211−1〜211−4 フィルタ部
221 荷重変化判定部
231 記憶部
241 乗員判定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座席に作用する荷重を計測して出力する複数の荷重センサ部と、
前記荷重センサ部の出力から高周波成分を除去して出力するフィルタ部と、
前記荷重センサ部の出力が、所定の時間に所定の変化幅以上変化したか否かを判定する荷重変化判定を行う荷重変化判定部と、
出力が前記変化幅以上変化したと判定された荷重センサ部が無い場合、および、出力が前記変化幅以上変化したと判定された荷重センサ部が所定数以上ある場合は、全ての荷重センサ部について、前記荷重センサ部の出力を用いて、前記座席に所定の閾値以上の荷重が作用しているか否かを判定し、出力が前記変化幅以上変化したと判定された荷重センサ部が1つ以上かつ前記所定数未満ある場合は、出力が前記変化幅以上変化したと判定された荷重センサ部については、前記フィルタ部の出力を用い、出力が前記変化幅以上変化しなかったと判定された荷重センサ部については、前記荷重センサ部の出力を用いて、前記座席に所定の閾値以上の荷重が作用しているか否かを判定する乗員判定を行う乗員判定部と、
を含む乗員判定装置。
【請求項2】
前記乗員判定部は、前記荷重変化判定部が前記荷重センサ部のいずれかについて前記荷重変化判定を行う毎に、前記乗員判定を行う、
請求項1に記載の乗員判定装置。
【請求項3】
前記乗員判定部は、前記荷重変化判定部が前記荷重センサ部の全てについて前記荷重変化判定を行う毎に、前記乗員判定を行う、
請求項1に記載の乗員判定装置。
【請求項1】
座席に作用する荷重を計測して出力する複数の荷重センサ部と、
前記荷重センサ部の出力から高周波成分を除去して出力するフィルタ部と、
前記荷重センサ部の出力が、所定の時間に所定の変化幅以上変化したか否かを判定する荷重変化判定を行う荷重変化判定部と、
出力が前記変化幅以上変化したと判定された荷重センサ部が無い場合、および、出力が前記変化幅以上変化したと判定された荷重センサ部が所定数以上ある場合は、全ての荷重センサ部について、前記荷重センサ部の出力を用いて、前記座席に所定の閾値以上の荷重が作用しているか否かを判定し、出力が前記変化幅以上変化したと判定された荷重センサ部が1つ以上かつ前記所定数未満ある場合は、出力が前記変化幅以上変化したと判定された荷重センサ部については、前記フィルタ部の出力を用い、出力が前記変化幅以上変化しなかったと判定された荷重センサ部については、前記荷重センサ部の出力を用いて、前記座席に所定の閾値以上の荷重が作用しているか否かを判定する乗員判定を行う乗員判定部と、
を含む乗員判定装置。
【請求項2】
前記乗員判定部は、前記荷重変化判定部が前記荷重センサ部のいずれかについて前記荷重変化判定を行う毎に、前記乗員判定を行う、
請求項1に記載の乗員判定装置。
【請求項3】
前記乗員判定部は、前記荷重変化判定部が前記荷重センサ部の全てについて前記荷重変化判定を行う毎に、前記乗員判定を行う、
請求項1に記載の乗員判定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−201403(P2011−201403A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70140(P2010−70140)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(300052246)株式会社ホンダエレシス (105)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(300052246)株式会社ホンダエレシス (105)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]