乗員用酸素システムの性能検出方法及びシステム
【課題】乗員用酸素システムの性能検出方法及びシステムを提供する。
【解決手段】乗員用酸素システム100における酸素ボンベ101の酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得するステップと、取得された前記酸素ボンベ101の酸素圧、前記大気温度及び前記操縦室温度に基づいて乗員酸素メッセージを生成するステップと、前記乗員酸素メッセージを受信して、前記酸素ボンベ101における酸素の標準温度での圧力を取得するステップと、前記乗員用酸素システムの性能を確定するステップと、を含む。
【解決手段】乗員用酸素システム100における酸素ボンベ101の酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得するステップと、取得された前記酸素ボンベ101の酸素圧、前記大気温度及び前記操縦室温度に基づいて乗員酸素メッセージを生成するステップと、前記乗員酸素メッセージを受信して、前記酸素ボンベ101における酸素の標準温度での圧力を取得するステップと、前記乗員用酸素システムの性能を確定するステップと、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機設備運行状態検出方法及びシステムに関し、特に、乗員用酸素システムの性能検出方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
現代航空機の飛行高度は、一般的に7000〜15000メートルである。このような高空では、空気における酸素の含有量が非常に小さく、通常、酸素分圧は十数kPaだけであり、正常な呼吸を維持することができない。航空機は、一般的にエンジンにより空気を増圧した後に機室に圧入して酸素供給を提供する。しかしながら、特殊な場合、例えば機室に失圧するか又はその他の要求がある場合に、乗員と乗客に余分な呼吸用酸素を提供しなければならない。
【0003】
航空機には、二セットの独立した酸素システム、つまり乗員用酸素システムと乗客用酸素システムを有する。乗員用酸素システムは、機上酸素ボンベ内に貯蔵された高圧酸素を使用し、それを減圧希釈した後、操縦室内の乗員の使用に専門に供する。乗客用酸素システムは、化学反応により酸素を得て乗客と客室乗務員の使用に供給する。
【0004】
乗員用酸素システムは、航空機の飛行安全性を保障するのに非常に重要である。従来の乗員酸素の性能検出方法は、通常、人工的方式により機上酸素システムの圧力を記録し、機上酸素システムの圧力がある閾値より低い場合、酸素ボンベを交換する。又は、航空機システムを設定することにより、機上酸素システムの圧力がある閾値より低い場合に警報し、酸素ボンベを交換する。幾つかの航空会社は固定時限に従って酸素ボンベを交換する場合もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の方法はいずれも、航空会社の運営コストを向上させる。より重要なのは、機上酸素システムが小さい漏れだけが存在すれば、上述の方法はいずれも、それを速やかに発見することができないので、故障を速やかに排除することができない。よって、現在、乗員用酸素システムの故障の排除とメンテナンスは、ほとんど事後処理であるので、航空機の運行安全性を保証することができない。かつ、乗員用酸素システムの漏れ故障の排除は長い時間にかかるので、直接に航空機の遅延、ひいては欠航をもたらす。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従来の技術に存在している一つ又は複数の技術課題に対して、本発明の第1の面によれば、乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得するステップと、取得された前記酸素ボンベの酸素圧、前記大気温度及び前記操縦室温度に基づいて乗員酸素メッセージを生成するステップと、前記乗員酸素メッセージを受信して、前記酸素ボンベにおける酸素の標準温度での圧力を取得するステップと、前記乗員用酸素システムの性能を確定するステップと、を含む乗員用酸素システムの性能検出方法を提案する。
【0007】
本発明の第2の面によれば、乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得するステップと、取得された前記酸素ボンベの酸素圧、前記大気温度及び前記操縦室温度に基づいて乗員酸素メッセージを生成するステップと、を含む乗員酸素メッセージ生成方法を提案する。
【0008】
また、本発明の第3の面によれば、乗員酸素圧データ取得装置と、乗員酸素圧データ取得装置で取得された乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度に基づいて、乗員酸素メッセージ伝送装置により転送される乗員酸素メッセージを生成する乗員酸素メッセージ生成装置と、乗員酸素メッセージを受信して前記酸素ボンベにおける酸素の標準温度での圧力を取得することにより、前記乗員用酸素システムの性能を確定する乗員酸素圧データ処理装置と、を含む乗員用酸素システムの性能検出システムを提案する。
【0009】
また、本発明の第4の面によれば、乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧を測定する圧力センサと、前記乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得して、航空機空地データ通信システムACARSにより転送される乗員酸素メッセージを生成するACMSの飛行機統合データシステムAIDSのデータ管理ユニットDMU又はその一部と、ACARSからの前記乗員酸素メッセージを受信して、前記酸素ボンベにおける酸素の標準温度での圧力を取得することにより、前記乗員用酸素システムの性能を確定するサーバと、を含む乗員用酸素システムの性能検出システムを提案する。
【0010】
さらに、本発明の第5の面によれば、乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得するステップと、取得された前記酸素ボンベの酸素圧、前記大気温度及び前記操縦室温度に基づいて乗員酸素メッセージを生成するステップと、前記乗員酸素メッセージを受信して、前記酸素ボンベにおける酸素の標準温度での圧力を取得するステップと、前記乗員用酸素システムの性能が劣化したか否かを確定するステップと、前記乗員用酸素システムの性能の劣化に応答して、前記乗員用酸素システムのメンテナンスを手配するステップと、を含む乗員用酸素システムのメンテナンス方法を提案する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の好ましい実施の形態についてさらに詳しく説明する。そのうち、
【図1】図1は本発明の一実施例に係る航空機乗員用酸素システムの構造概略図である。
【図2】図2は本発明の一実施例に係る航空機乗員用酸素システムの分岐構造の概略図である。
【図3】図3は本発明の一実施例に係る圧力センサの回路構造の概略図である。
【図4】図4は本発明の一実施例に係る乗員酸素性能検出システムの概略図である。
【図5】図5は本発明の一実施例に係る乗員酸素メッセージ生成方法のフローチャートである。
【図6】図6は本発明の一実施例に係る乗員酸素性能検出システムの実例の概略図である。
【図7】図7は乗員用酸素システムの性能変化曲線の概略図である。
【図8】図8は本発明の一実施例に係る、乗員用酸素システムの性能検出方法のフローチャートである。
【図9】図9は本発明の一実施例に係る乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素の標準状態圧力と測定時間との関係概略図である。
【図10】図10は本発明の一実施例に係る乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素の標準状態圧力と測定時間との関係概略図である。
【図11】図11は図10に示す実施例に係る乗員用酸素システムの24時間3日の移動平均漏れ率と測定時間との関係概略図である。
【図12】図12は本発明の一実施例に係る、航空機乗員用酸素システムのメンテナンス方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は本発明の一実施例に係る航空機乗員用酸素システムの構造概略図である。図1に示すように、乗員用酸素システム100は、酸素ボンベ101、減圧レギュレータ102及び酸素供給管103を含む。酸素ボンベ101には高圧酸素が貯蔵される。酸素ボンベ101は減圧レギュレータ102に接続される。高圧酸素は、減圧レギュレータ102により低圧酸素に変換される。低圧酸素は、酸素供給管103を介して操縦士マスク110、副操縦士マスク130、観測者マスク120、及び第2の観測者マスク140へ供給される。図において、操縦士マスク110、副操縦士マスク130及び第2の観測者マスク140は、さらに、酸素マスクを収納する収納箱(酸素マスクが収納箱内に収納される)を示しているが、図における観測者マスクは、分離した観測者マスク120と観測者マスク収納箱121を示している。酸素ボンベ101は、さらにリリーフ管104を介して脆性盤105に接続される。酸素ボンベの圧力が大きすぎると、脆性盤105は破砕し、酸素は機室外へ流れる。
【0013】
図2は本発明の一実施例に係る航空機乗員用酸素システムの分岐構造の概略図である。図2に示すように、乗員用酸素システム全体の分岐は高圧ステージと低圧ステージに分けられる。酸素ボンベ101に貯蔵された高圧酸素は、分岐器210を経過した後、一方の分岐はリリーフ管に接続されて脆性盤を介して機室外に接続されることにより過圧を防止し、他方の分岐は減圧分岐器220に接続される。減圧分岐器220は、図1に示す減圧レギュレータとは異なり、減圧と分岐との2つの機能を同時に持つ。減圧分岐した後、2つの分岐は酸素供給管に接続されて、それぞれ乗員の酸素マスクに酸素を供給し、他の一つの分岐はテストポートに接続されてテストを行う。
【0014】
本発明の一実施例によれば、減圧レギュレータ又は減圧分岐器には圧力センサ、例えば酸素ボンベにおける酸素圧を測定する圧力センサ230が取り付けられている。本発明の一実施例によれば、圧力センサ230は、分岐器210の一つの分岐又は酸素ボンベの一つの分岐に取り付けられてもよい。要するに、圧力センサ230は、高圧ステージの何れの位置に取り付けられて酸素ボンベにおける酸素圧を測定することができる。
【0015】
図3は本発明の一実施例に係る圧力センサの回路構造の概略図である。同図に示すように、圧力センサ300は、内部の回路構造を保護するための一つのケース310を含む。本発明の一実施例によれば、圧力センサ300は、電源端Vaと接地端との間に接続された圧電結晶320を含む圧電結晶型センサである。酸素圧は、圧電結晶に作用する。圧電結晶は、酸素圧を電気信号に変換する。酸素圧を示す電気信号は、航空機データシステムに伝送される。異なる類型の航空機は、異なる航空機データシステム、例えばエアバス社の飛行状態監視システムACMS(Aircraft Condition Monitoring System) 又はボーイング社の飛行健康監視システムAHM(Aircraft Heath Monitor)を有する可能性がある。
【0016】
図4は本発明の一実施例に係る乗員酸素性能検出システムの概略図である。同図に示すように、乗員酸素性能検出システムは、乗員酸素圧データ取得装置401、乗員酸素メッセージ生成装置402、乗員酸素メッセージ伝送装置403及び乗員酸素データ処理装置404を含む。
【0017】
乗員酸素圧データ取得装置401は、乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧データを取得する。図1〜図3に示す実施例に係る航空機乗員用酸素システム及びその圧力センサは、本実施例に係る乗員酸素圧データ取得装置401に適用されることにより、所要の乗員酸素圧データを取得することができる。乗員酸素圧データ取得装置401は、その他の方式により乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧データを取得してもよい。飛行安全性に対する乗員酸素の重要性のために、ほとんどの航空機では、乗員酸素の圧力データを自動的に取得することができる。即ち、従来の航空機には、何れも各々の乗員酸素圧データ取得装置が取り付けられている。また、本発明の一実施例によれば、本発明の乗員酸素圧データ取得装置401は、このような乗員酸素圧データ取得装置の何れかであってもよい。
【0018】
また、航空機システムがますます複雑になるにつれて、航空機データシステムは大きく発展されている。例えば、エアバス社のACMSシステム及びボーイング社のAHMシステムがある。また、集中故障表示システムCFDS (Centralized Fault Display System)も発展されている。これらシステムの特徴の一つとしては、実時間で測定したデータに基づいて、所定のトリガー条件を満たすと、特定のデータを含むメッセージを自動的に生成することができる。本実施例における乗員酸素メッセージ生成装置402は、これらシステム又はこれらシステムの一部であってもよい。
【0019】
エアバス社のACMSシステムを例とし、ボーイング社のAHMシステムはそれに照らして処理することができ、ACMSシステムは、飛行統合データシステムAIDS(Aircraft Integrated Data System)を含む。データ管理ユニットDMU(Data Management Unit)は、AIDSシステムのコアである。DMUは、下記2つの非常に重要な機能を持つ。
【0020】
−ブラックボックスからのデータを含む航空機の多数のパラメータを採集、処理、記録する。これらパラメータは、DMUの内部メモリ、又は外部のレコーダ例えばAIDSデジタルレコーダDAR(Digital AIDS Recorder)に格納されている。
【0021】
−システムメッセージを生成し、航空機の状態又はシステムパラメータがメッセージのトリガー条件を満たすと、メッセージをトリガーする。これらメッセージは、全てDMUの不揮発性メモリに格納されている。
【0022】
本発明の一実施例によれば、乗員酸素メッセージ生成装置402は、DMU又はDMUの一部である。乗員酸素メッセージ生成装置402は、乗員酸素圧データ取得装置401から乗員用酸素システムの酸素圧データを取得する。
【0023】
乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧は温度に関するので、酸素圧を取得すると同時に、酸素ボンベにおける酸素の温度を取得しなければならない。しかしながら、酸素システムにおいて、一般的に温度センサを取り付けていない。そのため、その他の測定可能な温度に基づいて酸素ボンベにおける酸素の温度を算出する必要がある。本発明の一実施例によれば、乗員用酸素システムにおいて酸素温度を測定する温度センサを取り付けることができる。
【0024】
乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの位置を考慮すると、本発明の一実施例によれば、下記式により酸素ボンベにおける酸素の温度を算出できる。
【数1】
【0025】
式中、Tatは大気温度又は機体外温度を示し、Tcは操縦室温度を示し、k1とk2は調整パラメータであり、かつ、k1+k2=2を満たす。本発明の一つの実例によれば、k1>k2である。即ち、酸素温度Tは、大気温度Tatと操縦室温度Tcに関し、かつ、大気温度による影響はより大きい。当然ながら、その他の平均値公式を用いて酸素温度を算出してもよい。
【0026】
本発明の一つの実例によれば、k1=k2である。即ち、式(1)は以下の通り書き直すことができる。
【数2】
【0027】
式中、kは調整パラメータである。本発明の一つの実例によれば、kは数値1に比較的に接近する数である。k、k1及びk2は、実際の測定により得られても、統計分析により得られてもよい。
【0028】
本発明の一実施例によれば、k=1を取ることができる。式(2)は以下の通り書き直すことができる。
【数3】
【0029】
このように算出された酸素温度は、式(1)と(2)により算出された値ほど正確ではないが、本発明の乗員用酸素システムの性能を検出する実施例にとっても十分である。
【0030】
上述のように、航空機データシステム、例えばエアバス社のACMS又はボーイング社のAHMシステムは、多数の飛行パラメータを自動的に取得することができる。これらパラメータは、大気温度又は機体外温度Tatと操縦室温度Tcを含む。トリガー条件を満たすと、乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧データを取得すると同時に、この時の大気温度又は機体外温度Tatと操縦室温度Tcを取得し、乗員酸素メッセージを生成する。
【0031】
乗員酸素メッセージは、実時間又はある特定の時間で乗員酸素メッセージ伝送装置により乗員酸素データ処理装置404に伝送される。本発明の一実施例によれば、乗員酸素メッセージ伝送装置は、航空機部分403と地上部分410を含むことにより、航空機から地上までの通信を実現する。乗員酸素メッセージ伝送装置の一つの実例は、航空機空地データ通信システムACARS(Aircraft Communication Addressing and Reporting System)である。ACARSは、航空機と地上局との間にラジオ又は衛星によりメッセージ(つまりショートメッセージ)を伝送するデジタルデータリンクシステムであり、航空会社の空地、地地大流量データ通信にサービスを提供し、各種の情報の交換を実現する。
【0032】
ACARSシステムは一つのACARS管理ユニット(MU)と呼ばれる航空電子コンピュータと制御表示ユニットCDU(Control Display Unit)からなる。MUは、地上からの超短波ラジオデジタルメッセージを送受信するものである。地上では、ACARSシステムは、ラジオ送受信機構を有する地上局410で構成されるネットワークからなり、メッセージ(データリンクメッセージ)を送受信することができる。これら地上局は、一般的に各々のサービス提供者に所有され、受信したメッセージをネットワークにおける異なる航空会社のサーバに配信する。
【0033】
ACARSは、乗員に介入されずに、飛行中の航空機から航空会社の地上局へ飛行動態、エンジンパラメータなどの実時間データ情報を自動的に提供するとともに、地上へその他の各種類の情報を送信することにより、航空会社の運行制御センタはそれ自身のアプリケーションシステムに航空機の実時間で絶えない多数の飛行データ及び関係情報を取得して、本社の航空機の動態を速やかに把握し、航空機に対する実時間監視制御を実現し、航空業務、運営、機器事務などの各関係機関の管理の要求を満たすことができる。一方、地上からは、空中に飛行している航空機に気象情報、航路状況、空中緊急故障排除措置などの多種のサービスを提供し、飛行安全性保障能力及び乗客に対するサービスレベルを向上することができる。通常のVHF地空通信チャネルがますます飽和し、情報伝送量が少なく、速度が遅い現状で、このような双方向のデータ通信システムは、地上、空中の通信保障能力を著しく改善して向上させることができる。
【0034】
本発明の一実施例によれば、乗員酸素メッセージ伝送装置は、航空通信網ATN(Aviation Telecommunication Network)に基づく通信装置又はシステムであってもよい。
【0035】
本発明の一実施例によれば、乗員酸素メッセージ伝送装置は、固体記憶装置であってもよい。乗員酸素メッセージは、当該固体記憶装置に格納される。当該固体記憶装置の転送によっても乗員酸素メッセージの転送を実現することができる。
【0036】
乗員酸素データ処理装置404は、乗員酸素メッセージ伝送装置403からの乗員酸素メッセージを受信する。本発明の一実施例によれば、乗員酸素データ処理装置404は、ある航空会社のサーバであってもよい。本発明の一実施例によれば、当該サーバは、ACARS又はATNにより、ある航空機からの乗員酸素メッセージを受信する。
【0037】
乗員酸素データ処理装置404は、例えばACARSメッセージデコーダの装置によりメッセージデコードを行ってデータを取得してデータサーバに格納する。
【0038】
本発明に係る乗員用酸素システム性能検出方法の正確性を向上させるために、より正確な乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度をできるだけ取得することにより、より正確な乗員酸素メッセージを生成する必要がある。
【0039】
図5は本発明の一実施例に係る乗員酸素メッセージ生成方法のフローチャートである。図5に示す乗員酸素メッセージ生成方法500において、ステップ510で航空機は離陸する。航空機の離陸時又は離陸後、ステップ521で離陸前1分間の乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧データを取得する。ステップ522で、離陸前1分間の大気温度と操縦室温度を取得する。ステップ521と522で単独に記述しているが、同時に実行して一つのステップとなり、又は、ステップ522を先にステップ521を後に実行してもよい。以下の取得ステップはこれと同一である。
【0040】
乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧データ、大気温度及び操縦室温度を含む航空機の運行データとしては、実時間で測定しデータバッファに格納することができる。離陸をトリガー条件として設定してトリガーすると、データバッファから離陸前1分間の関係データを取得することは、絶対可能である。本発明の一実施例によれば、その他のトリガー条件、例えばタイマーにより、実時間で離陸前1分間の乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧データ、大気温度及び操縦室温度を直接に取得することも可能である。
【0041】
本発明の一実施例によれば、ステップ521と522で、離陸前1分間のデータを取得した後、30秒を隔てる乗員酸素圧データ、大気温度及び操縦室温度を取得し、次に、さらに30秒を隔てる乗員酸素圧データ、大気温度及び操縦室温度を取得する。即ち、離陸前1分間、離陸前30秒及び離陸時の3組の乗員酸素圧データ、大気温度及び操縦室温度を取得する。3回で取得されたデータの平均値又は中間値を乗員酸素メッセージを生成するためのデータとする。このように取得された乗員酸素メッセージのデータはより正確である。
【0042】
本発明の一実施例によれば、直接に離陸前(又は離陸時)に取得された酸素圧データ、大気温度及び操縦室温度に基づいて乗員酸素メッセージを生成することができる。ステップ522の後、直接にステップ560に移行し、乗員酸素メッセージを生成する。
【0043】
離陸前(又は離陸時)に取得された乗員酸素圧及び温度データと、着陸した後に取得されたデータとを合わせて乗員酸素メッセージを生成することができる。又は、離陸前の乗員酸素圧と温度データを取得した後、不完全なメッセージを生成して、メモリに記憶し、離陸後の乗員酸素圧と温度データを取得した後に、メッセージを完全に補充する。
【0044】
図10の実施例のように、ステップ530で、離陸前(又は離陸時)に取得された酸素圧データ、大気温度及び操縦室温度、又はこれらデータを含む不完全なメッセージを飛行データシステムのメモリに格納する。ステップ540で、航空機は着陸する。ステップ551で、着陸後1時間の乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧データを取得し、ステップ552で、着陸後1時間の大気温度と操縦室温度を取得する。ステップ551と552にとって、着陸後の時間は、トリガーにより上述のデータを取得するトリガー条件である。ステップ560で、離陸前(又は離陸時)に取得されたデータと着陸した後に取得されたデータとを合わせて、完全な乗員酸素メッセージを生成する。
【0045】
本発明の一実施例によれば、着陸後1時間の酸素圧データ、大気温度及び操縦室温度を取得した後、着陸後1時間30秒の酸素圧データ、大気温度及び操縦室温度、さらに、着陸後1時間60秒の酸素圧データ、大気温度及び操縦室温度を取得する。即ち、着陸後1時間、1時間30秒、及び1時間60秒の3組の酸素圧データ、大気温度及び操縦室温度を取得する。3回で取得されたデータの平均値又は中間値を乗員酸素メッセージを生成するためのデータとする。ステップ551と552にとって、航空機の温度が環境温度と一致したことを保証するとともに、飛行中の影響を排除したことを前提として、その他の時間を選択して乗員酸素圧データと温度データを取得してもよい。
【0046】
本発明の一実施例によれば、航空機が着陸後1時間未満で再度離陸する場合、着陸後1時間で取得されたデータの代わりに、再度離陸前(又は再度離陸時)の酸素圧データ、大気温度及び操縦室温度を取得する。当然ながら、複数回測定して中間値又は平均値を取る方式も含む。
【0047】
図6は本発明の一実施例に係る乗員酸素性能検出システムの実例の概略図である。図6に示すように、乗員酸素性能検出システムは、航空機でのDMUを含む。DMUは、離陸前(離陸時)と着陸後の乗員酸素圧データ、大気温度及び操縦室温度を取得し、乗員酸素メッセージを生成する。DMUは、乗員酸素メッセージをACARSの航空機での管理ユニットMUに送信する。MUは、超短波ラジオ通信により乗員酸素メッセージをACARS地上局のサービス提供者に直接に送信し、又は、通信衛星と通信し、さらに通信衛星により乗員酸素メッセージを地上局のサービス提供者に転送する。地上のサービス提供者は、受信した乗員酸素メッセージを、対応の航空会社のサーバに転送する。乗員酸素メッセージに含まれる乗員酸素データは、サーバで処理される。利用者は、サーバに登録さえすれば、乗員酸素の状況を調査することにより、乗員用酸素システムの性能を検出することができる。
【0048】
本発明に係る乗員酸素性能検出システムによれば、航空機での乗員酸素性能に対する自動的検出を実現することにより、人工記録のコストと、人工記録に現れる可能性がある記録のミスや漏れによる問題をともに解消した。
【0049】
図7は、乗員用酸素システムの性能変化曲線の概略図である。全ての酸素システムは、少量のガス漏れが存在するため、温度が固定である場合、異なる時間でΔPの圧力差を生成することができる。ガス漏れ率は、PL=ΔP/tで示される。ガス漏れ率PLが安定な場合、乗員用酸素システムの性能は安定期にあり、ガス漏れ率PLが漸次に増大する場合、乗員用酸素システムの性能は減衰期に入り、ガス漏れ率PLは一つの閾値PLgよりも大きい場合、乗員用酸素システムの性能は故障期に入り、故障が現れる可能性があり、飛行安全性に悪影響を与えるとともに、計画でないメンテナンスを生じさせ易いため、航空機の遅延や欠航をもたらす。従来の技術では、乗員用酸素システムが減衰期に入ったか否かを検出する手段がない。本発明の一実施例によれば、このような検出を実現することができる。
【0050】
減衰期の検出は以下の利点があり、即ち、第一、乗員用酸素システムが減衰期にある場合でも、故障が発生する確率はやはり非常に低い。この時機で航空機をメンテナンスすれば、飛行安全性は保障される。第二、乗員用酸素システムが減衰期にあることを検出した後、航空会社は、適時に航空機のメンテナンスを手配することにより、計画でないメンテナンスを避け、航空機の遅延を減少した。同時に、固定時限に従って酸素ボンベを交換するか又はメンテナンスを行うことによるメンテナンスコストの浪費を避けた。当然ながら、本発明の実施例は、故障期の検出にも適用される。
【0051】
図8は本発明の一実施例に係る、乗員用酸素システムの性能検出方法のフローチャートである。図8に示す乗員用酸素システムの性能検出方法800において、ステップ810で、乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧データ、大気温度及び操縦室温度を取得する。ステップ820で、取得された乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧データ、大気温度及び操縦室温度に基づいて乗員酸素メッセージを生成する。ステップ830で、生成された乗員酸素メッセージを乗員酸素メッセージを処理するためのサーバに伝送する。ステップ840で、大気温度と操縦室温度に基づいて、サーバは乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧を標準温度での標準状態圧力に変換する。標準温度は、20℃を取ることができる。当然ながら、その他の温度を採用してもよい。
【0052】
酸素温度を取得した後、異なる温度で測定された乗員酸素の圧力は標準温度での標準状態圧力に変換されることにより、比較及び漏れ率の算出を行うことができる。標準状態圧力は、下記式により算出することができる。
【0053】
【数4】
【0054】
式中、Psは標準状態圧力、Tsは標準温度、Pは測定された酸素圧、Tは測定時の酸素の温度である。標準温度は20℃を取ることができる。当然ながら、その他の温度を採用することができる。
【0055】
図8に示すように、ステップ850で、ステップ810〜840の方式に従って、異なる時間で乗員用酸素システムの標準状態圧力データを複数組取得する。異なる時間で乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素の標準温度での標準状態圧力を複数組取得した後、これらデータに対する処理と評価によって乗員用酸素システムの性能を確定することができる。
【0056】
ステップ860で、異なる時間での複数組の標準状態圧力データを分析することにより、乗員用酸素システムの性能が劣化したか否かを確定する。又は、ステップ870で、異なる時間での複数組の標準状態圧力データを一つのサンプルとして、同一類型の航空機の他の組の標準状態圧力データの他の一つのサンプルと比較することにより、乗員用酸素システムの性能が劣化したか否かを確定する。
【0057】
本発明の一実施例によれば、飛行区間漏れ率により乗員用酸素システムの性能が劣化したか否かを確定する。乗員用酸素システムの飛行区間漏れ率は、下記式により算出することができる。
【数5】
【0058】
式中、t1は航空機の離陸時間、t2は航空機の着陸時間、Ps1は航空機離陸時の乗員酸素標準状態圧力、Ps2は航空機着陸後の乗員酸素標準状態圧力である。これにより、離陸前と着陸後の乗員酸素標準状態圧力の変化ΔPsに基づいて乗員用酸素システムの性能を確定することができる。例えば、ΔPs=Ps1−Ps2は100 PSIよりも大きい場合は、機上酸素システムの性能が劣化した。
【0059】
また、飛行区間漏れ率に基づいて乗員用酸素システムの性能を確定してもよい。例えば、飛行区間漏れ率
【数6】
は48 PSI/日よりも大きい場合は、機上酸素システムの性能が劣化した。
【0060】
算出された飛行区間漏れ率に基づいて、さらにある温度での乗員用酸素システムの圧力の示度を推定する。これにより、冬季で飛行後の航空機とクール状態の飛行機との温度変化が大きいから飛行前の計画でない酸素ボンベ交換を大きく減少することができる。
【0061】
本発明の一実施例によれば、乗員用酸素システムの酸素標準状態圧力Psと乗員用酸素システムの酸素ボンベの取付時間toとの統計関係に基づいて、フィットカーブ(fit curve)の傾きによって乗員用酸素システムの性能を確定する。
【0062】
Psとtoとの関係は、下記式に該当する。
Ps = β1 + β2 * to + μ (6)
【0063】
式中、Psは標準状態圧力、toは乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの取付時間、β1は、飛行時間に関する切片項目、β2は、酸素システムの気密性を表す傾き項目、μは、Psとtoとの間の不確定性を表すランダム摂動項目である。
【0064】
toの平均値は、以下の通り示すことができる。
【数7】
【0065】
式中、nは計算に関与するサンプルデータポイントの個数を示す。
【0066】
Psの平均値は、以下の通り示すことができる。
【数8】
【0067】
式中、nは計算に関与するサンプルデータポイントの個数を示す。
【0068】
式(6)〜(8)によって、β2は下記式により算出することができる。
【数9】
【0069】
β2は負値である。β2の値が小さいほど乗員用酸素システムの気密性が悪くなることは示される。傾き項目であるβ2の変化を検出することにより、乗員用酸素システムの性能を確定することができる。異なる航空機間の傾き項目β2を比較することにより、これら航空機の乗員用酸素システムの性能を知ることもできる。
【0070】
上述の傾き検出方法により乗員用酸素システムの性能を検出する場合、計算に関与するデータポイントで示される時間内には、酸素ボンベ交換又は酸素投与などの事象がないほうが好ましい。
【0071】
本発明の一実施例によれば、漏れ率の互いに独立したサンプルTテスト(Independent Sample Test)の方法により、乗員用酸素システムの性能が劣化した状況を確定する。
【0072】
飛行区間の時間間隔が短いので、システム圧力の変化が小さい可能性があり、外部温度フィット精度と圧力センサ検出精度により影響され易いため、計算により得られた標準状態圧力の波動は大きい場合がある。外部温度精度と圧力センサ精度による影響を減少させるために、本発明の一実施例によれば、飛行区間漏れ率の代わりに、間隔が24時間よりも大きい2つのポイントを用いて圧力比較を行い、即ち24時間間隔漏れ率PL24を用いる。当然ながら、その他の時間間隔、例えば12又は36時間よりも大きい時間間隔を用いてもよい。同時に、サンプリングの問題によるデータ欠点の影響を解消するために、PL24について3日移動平均を用いることができ、その意味としては、3日内の全てのPL24の平均値を算出することである。3日は例として挙げたに過ぎず、その他の日数、例えば2〜4日を用いてもよい。これは、データの状況によって決められる。
【0073】
本発明の一実施例によれば、下記式により、乗員用酸素システムの性能特性を示す24時間3日移動平均漏れ率PL−avg24を算出する。
【数10】
【0074】
式中、nは3日内のデータポイントの個数を示す。
【0075】
本発明の一つの実例によれば、ある期間内に乗員酸素性能が変化したか否かを確定したければ、当該期間内の一組のデータを一組のサンプルとして取ることができ、同時に、同一類型の航空機の他の一組のデータを一組のサンプルとして取った。二組のデータサンプルのPL−avg24を比較し、統計学確率によって二組のデータが顕著な変化が発生したか否かを確定することにより、乗員用酸素システムの性能の劣化期間との劣化度合を判定する。
【0076】
本発明の一つの実例によれば、まず、二組のデータのPL−avg24を算出するとともにPL−avg24の分散を算出する。S12は第1組のPL−avg24(n項のデータを含む)の分散であり、S22は第2組のPL−avg24(m項のデータを含む)の分散であると仮定した。S12/S22はF (n−1,m−1) の分布に従うべきであるので、F分布表を調査することによりF値を確定する。F値によって、二組のデータは明らかな相違を有するか否かを判定することができる。テストによって二組のデータが同一の分布に属する確率が2.5%未満である場合は、二組のデータは明らかな相違を有すると考えられる。
【0077】
その他の独立したサンプルTテスト方法により二組のデータは明らかな相違を有するか否かを確定してもよい。このような相違は明らかである場合は、乗員用酸素システムの性能は明らかな変化が存在していることを証明する。乗員用酸素システムの性能は明らかな変化が存在していると判定した場合は、漏れ率の平均値に基づいてどの組のデータが示す乗員用酸素システムの性能が劣化したかを容易に判定することができる。
【0078】
平均漏れ率の独立したサンプルテスト法は、同一の航空機の異なる期間のデータを用いてもよいし、同一類型の異なる航空機のデータを用いてもよい。そのため、このような方法は比較的に柔軟である。かつ、このようなテスト方式は、酸素ボンベ交換と酸素投与があったか否かに制限されず、酸素ボンベ交換と酸素投与の前後の乗員用酸素システムの性能は明らかな変化が発生したか否かを比較するのに用いられる。
【0079】
以下、実例によってどのように本発明の方法により乗員用酸素システムの性能は明らかな変化が発生したか否かを検出するかを説明する。
【0080】
図9は本発明の一実施例に係る乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素の標準状態圧力と測定時間との関係概略図である。図9では、折れ線はそれぞれ実際のサンプリング変換の標準状態圧力を示し、直線は、酸素の標準状態圧力と測定時間から回帰した直線を示す。傾き検出法の式(9)により検出を行うと、乗員用酸素システムの漏れ率が大きすぎ、傾きが−0.024929であり、正常な傾き−0.015よりも遠く小さい。これは、乗員用酸素システムの性能が劣化し、減衰期に入ったことを示す。
【0081】
図10は本発明の一実施例に係る乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素の標準状態圧力と測定時間との関係概略図である。同図では、乗員用酸素システムにおける酸素ボンベを一回交換する過程を示した。図10では、点は実際のサンプリング変換の標準状態圧力を示す。図11は図10に示す実施例に係る乗員用酸素システムの24時間3日の移動平均漏れ率と測定時間との関係概略図である。酸素ボンベの交換の前後の二組のデータを2つのサンプルとし、独立したサンプルTテスト方法により両者が同一か否かをテストする。計算によると、酸素ボンベの交換の前後の二組のデータが同一である可能性が全くないことを表明した。乗員用酸素システムの性能が劣化し、平均漏れ率は元の2倍である。乗員用酸素システムの性能は減衰期に入った。
【0082】
図9〜図11の実施例から分かるように、本発明に係る乗員用酸素システムの性能検出方法としては、乗員酸素メッセージから取得された乗員用酸素システムの酸素圧データと温度データに対する処理と分析に基づいて、傾きの算出又は独立したサンプルTテストなどの方法により、乗員用酸素システムの性能が劣化したか否かを判定し、さらに、乗員用酸素システムの性能減衰期又は故障期に入るか否かを判断できる。
【0083】
図12は本発明の一実施例に係る、航空機乗員用酸素システムのメンテナンス方法のフローチャートである。図12に示す航空機乗員用酸素システムのメンテナンス方法1200において、ステップ1210で、乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧データ、大気温度及び操縦室温度を取得する。ステップ1220で、取得された乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧データ、大気温度及び操縦室温度に基づいて乗員酸素メッセージを生成する。ステップ1230で、生成された乗員酸素メッセージをサーバに伝送する。ステップ1240で、サーバは乗員酸素メッセージを処理して、乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素の標準温度での標準状態圧力を取得する。ステップ1250で、異なる時間での複数組の標準状態圧力データに基づいて、乗員用酸素システムの性能が劣化したか否かを確定する。ステップ1260で、乗員用酸素システムの性能が劣化したら、適当な時機で乗員用酸素システムのメンテナンスを手配する。
【0084】
本発明は、人工記録が必要でなく、人的資源を節約した。かつ、本発明は、酸素メッセージから酸素の標準状態での圧力と酸素漏れ率を取得することにより、機上酸素システムの性能を判定し、機上酸素システムの性能が故障期に入る前にメンテナンスを行い、故障の診断を促進し、故障排除時間を短くすることができるので、機上酸素システムの使用時間を延長し、航空会社の運営コストを低下するとともに、機上酸素システムの突然で大規模な漏れによる航空機に搭載した乗客の人身安全の問題を防止し、航空機の運行安全性を向上することができる。本発明は、漏れ率に基づいて当該機上酸素システムの残した使用時間を予測することができるので、使用時間を大幅延長するとともに航空機のメンテナンスコストを低下することができる。
【0085】
上述の実施例は、本発明を説明するのに過ぎず、本発明はこれに限られず、当業者といえども、本発明の範囲を逸脱しない場合に、各種の変化や変形を行うことができるので、全ての同等な技術内容も本発明に開示された範囲に属するはずである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機設備運行状態検出方法及びシステムに関し、特に、乗員用酸素システムの性能検出方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
現代航空機の飛行高度は、一般的に7000〜15000メートルである。このような高空では、空気における酸素の含有量が非常に小さく、通常、酸素分圧は十数kPaだけであり、正常な呼吸を維持することができない。航空機は、一般的にエンジンにより空気を増圧した後に機室に圧入して酸素供給を提供する。しかしながら、特殊な場合、例えば機室に失圧するか又はその他の要求がある場合に、乗員と乗客に余分な呼吸用酸素を提供しなければならない。
【0003】
航空機には、二セットの独立した酸素システム、つまり乗員用酸素システムと乗客用酸素システムを有する。乗員用酸素システムは、機上酸素ボンベ内に貯蔵された高圧酸素を使用し、それを減圧希釈した後、操縦室内の乗員の使用に専門に供する。乗客用酸素システムは、化学反応により酸素を得て乗客と客室乗務員の使用に供給する。
【0004】
乗員用酸素システムは、航空機の飛行安全性を保障するのに非常に重要である。従来の乗員酸素の性能検出方法は、通常、人工的方式により機上酸素システムの圧力を記録し、機上酸素システムの圧力がある閾値より低い場合、酸素ボンベを交換する。又は、航空機システムを設定することにより、機上酸素システムの圧力がある閾値より低い場合に警報し、酸素ボンベを交換する。幾つかの航空会社は固定時限に従って酸素ボンベを交換する場合もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の方法はいずれも、航空会社の運営コストを向上させる。より重要なのは、機上酸素システムが小さい漏れだけが存在すれば、上述の方法はいずれも、それを速やかに発見することができないので、故障を速やかに排除することができない。よって、現在、乗員用酸素システムの故障の排除とメンテナンスは、ほとんど事後処理であるので、航空機の運行安全性を保証することができない。かつ、乗員用酸素システムの漏れ故障の排除は長い時間にかかるので、直接に航空機の遅延、ひいては欠航をもたらす。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従来の技術に存在している一つ又は複数の技術課題に対して、本発明の第1の面によれば、乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得するステップと、取得された前記酸素ボンベの酸素圧、前記大気温度及び前記操縦室温度に基づいて乗員酸素メッセージを生成するステップと、前記乗員酸素メッセージを受信して、前記酸素ボンベにおける酸素の標準温度での圧力を取得するステップと、前記乗員用酸素システムの性能を確定するステップと、を含む乗員用酸素システムの性能検出方法を提案する。
【0007】
本発明の第2の面によれば、乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得するステップと、取得された前記酸素ボンベの酸素圧、前記大気温度及び前記操縦室温度に基づいて乗員酸素メッセージを生成するステップと、を含む乗員酸素メッセージ生成方法を提案する。
【0008】
また、本発明の第3の面によれば、乗員酸素圧データ取得装置と、乗員酸素圧データ取得装置で取得された乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度に基づいて、乗員酸素メッセージ伝送装置により転送される乗員酸素メッセージを生成する乗員酸素メッセージ生成装置と、乗員酸素メッセージを受信して前記酸素ボンベにおける酸素の標準温度での圧力を取得することにより、前記乗員用酸素システムの性能を確定する乗員酸素圧データ処理装置と、を含む乗員用酸素システムの性能検出システムを提案する。
【0009】
また、本発明の第4の面によれば、乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧を測定する圧力センサと、前記乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得して、航空機空地データ通信システムACARSにより転送される乗員酸素メッセージを生成するACMSの飛行機統合データシステムAIDSのデータ管理ユニットDMU又はその一部と、ACARSからの前記乗員酸素メッセージを受信して、前記酸素ボンベにおける酸素の標準温度での圧力を取得することにより、前記乗員用酸素システムの性能を確定するサーバと、を含む乗員用酸素システムの性能検出システムを提案する。
【0010】
さらに、本発明の第5の面によれば、乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得するステップと、取得された前記酸素ボンベの酸素圧、前記大気温度及び前記操縦室温度に基づいて乗員酸素メッセージを生成するステップと、前記乗員酸素メッセージを受信して、前記酸素ボンベにおける酸素の標準温度での圧力を取得するステップと、前記乗員用酸素システムの性能が劣化したか否かを確定するステップと、前記乗員用酸素システムの性能の劣化に応答して、前記乗員用酸素システムのメンテナンスを手配するステップと、を含む乗員用酸素システムのメンテナンス方法を提案する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の好ましい実施の形態についてさらに詳しく説明する。そのうち、
【図1】図1は本発明の一実施例に係る航空機乗員用酸素システムの構造概略図である。
【図2】図2は本発明の一実施例に係る航空機乗員用酸素システムの分岐構造の概略図である。
【図3】図3は本発明の一実施例に係る圧力センサの回路構造の概略図である。
【図4】図4は本発明の一実施例に係る乗員酸素性能検出システムの概略図である。
【図5】図5は本発明の一実施例に係る乗員酸素メッセージ生成方法のフローチャートである。
【図6】図6は本発明の一実施例に係る乗員酸素性能検出システムの実例の概略図である。
【図7】図7は乗員用酸素システムの性能変化曲線の概略図である。
【図8】図8は本発明の一実施例に係る、乗員用酸素システムの性能検出方法のフローチャートである。
【図9】図9は本発明の一実施例に係る乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素の標準状態圧力と測定時間との関係概略図である。
【図10】図10は本発明の一実施例に係る乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素の標準状態圧力と測定時間との関係概略図である。
【図11】図11は図10に示す実施例に係る乗員用酸素システムの24時間3日の移動平均漏れ率と測定時間との関係概略図である。
【図12】図12は本発明の一実施例に係る、航空機乗員用酸素システムのメンテナンス方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は本発明の一実施例に係る航空機乗員用酸素システムの構造概略図である。図1に示すように、乗員用酸素システム100は、酸素ボンベ101、減圧レギュレータ102及び酸素供給管103を含む。酸素ボンベ101には高圧酸素が貯蔵される。酸素ボンベ101は減圧レギュレータ102に接続される。高圧酸素は、減圧レギュレータ102により低圧酸素に変換される。低圧酸素は、酸素供給管103を介して操縦士マスク110、副操縦士マスク130、観測者マスク120、及び第2の観測者マスク140へ供給される。図において、操縦士マスク110、副操縦士マスク130及び第2の観測者マスク140は、さらに、酸素マスクを収納する収納箱(酸素マスクが収納箱内に収納される)を示しているが、図における観測者マスクは、分離した観測者マスク120と観測者マスク収納箱121を示している。酸素ボンベ101は、さらにリリーフ管104を介して脆性盤105に接続される。酸素ボンベの圧力が大きすぎると、脆性盤105は破砕し、酸素は機室外へ流れる。
【0013】
図2は本発明の一実施例に係る航空機乗員用酸素システムの分岐構造の概略図である。図2に示すように、乗員用酸素システム全体の分岐は高圧ステージと低圧ステージに分けられる。酸素ボンベ101に貯蔵された高圧酸素は、分岐器210を経過した後、一方の分岐はリリーフ管に接続されて脆性盤を介して機室外に接続されることにより過圧を防止し、他方の分岐は減圧分岐器220に接続される。減圧分岐器220は、図1に示す減圧レギュレータとは異なり、減圧と分岐との2つの機能を同時に持つ。減圧分岐した後、2つの分岐は酸素供給管に接続されて、それぞれ乗員の酸素マスクに酸素を供給し、他の一つの分岐はテストポートに接続されてテストを行う。
【0014】
本発明の一実施例によれば、減圧レギュレータ又は減圧分岐器には圧力センサ、例えば酸素ボンベにおける酸素圧を測定する圧力センサ230が取り付けられている。本発明の一実施例によれば、圧力センサ230は、分岐器210の一つの分岐又は酸素ボンベの一つの分岐に取り付けられてもよい。要するに、圧力センサ230は、高圧ステージの何れの位置に取り付けられて酸素ボンベにおける酸素圧を測定することができる。
【0015】
図3は本発明の一実施例に係る圧力センサの回路構造の概略図である。同図に示すように、圧力センサ300は、内部の回路構造を保護するための一つのケース310を含む。本発明の一実施例によれば、圧力センサ300は、電源端Vaと接地端との間に接続された圧電結晶320を含む圧電結晶型センサである。酸素圧は、圧電結晶に作用する。圧電結晶は、酸素圧を電気信号に変換する。酸素圧を示す電気信号は、航空機データシステムに伝送される。異なる類型の航空機は、異なる航空機データシステム、例えばエアバス社の飛行状態監視システムACMS(Aircraft Condition Monitoring System) 又はボーイング社の飛行健康監視システムAHM(Aircraft Heath Monitor)を有する可能性がある。
【0016】
図4は本発明の一実施例に係る乗員酸素性能検出システムの概略図である。同図に示すように、乗員酸素性能検出システムは、乗員酸素圧データ取得装置401、乗員酸素メッセージ生成装置402、乗員酸素メッセージ伝送装置403及び乗員酸素データ処理装置404を含む。
【0017】
乗員酸素圧データ取得装置401は、乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧データを取得する。図1〜図3に示す実施例に係る航空機乗員用酸素システム及びその圧力センサは、本実施例に係る乗員酸素圧データ取得装置401に適用されることにより、所要の乗員酸素圧データを取得することができる。乗員酸素圧データ取得装置401は、その他の方式により乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧データを取得してもよい。飛行安全性に対する乗員酸素の重要性のために、ほとんどの航空機では、乗員酸素の圧力データを自動的に取得することができる。即ち、従来の航空機には、何れも各々の乗員酸素圧データ取得装置が取り付けられている。また、本発明の一実施例によれば、本発明の乗員酸素圧データ取得装置401は、このような乗員酸素圧データ取得装置の何れかであってもよい。
【0018】
また、航空機システムがますます複雑になるにつれて、航空機データシステムは大きく発展されている。例えば、エアバス社のACMSシステム及びボーイング社のAHMシステムがある。また、集中故障表示システムCFDS (Centralized Fault Display System)も発展されている。これらシステムの特徴の一つとしては、実時間で測定したデータに基づいて、所定のトリガー条件を満たすと、特定のデータを含むメッセージを自動的に生成することができる。本実施例における乗員酸素メッセージ生成装置402は、これらシステム又はこれらシステムの一部であってもよい。
【0019】
エアバス社のACMSシステムを例とし、ボーイング社のAHMシステムはそれに照らして処理することができ、ACMSシステムは、飛行統合データシステムAIDS(Aircraft Integrated Data System)を含む。データ管理ユニットDMU(Data Management Unit)は、AIDSシステムのコアである。DMUは、下記2つの非常に重要な機能を持つ。
【0020】
−ブラックボックスからのデータを含む航空機の多数のパラメータを採集、処理、記録する。これらパラメータは、DMUの内部メモリ、又は外部のレコーダ例えばAIDSデジタルレコーダDAR(Digital AIDS Recorder)に格納されている。
【0021】
−システムメッセージを生成し、航空機の状態又はシステムパラメータがメッセージのトリガー条件を満たすと、メッセージをトリガーする。これらメッセージは、全てDMUの不揮発性メモリに格納されている。
【0022】
本発明の一実施例によれば、乗員酸素メッセージ生成装置402は、DMU又はDMUの一部である。乗員酸素メッセージ生成装置402は、乗員酸素圧データ取得装置401から乗員用酸素システムの酸素圧データを取得する。
【0023】
乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧は温度に関するので、酸素圧を取得すると同時に、酸素ボンベにおける酸素の温度を取得しなければならない。しかしながら、酸素システムにおいて、一般的に温度センサを取り付けていない。そのため、その他の測定可能な温度に基づいて酸素ボンベにおける酸素の温度を算出する必要がある。本発明の一実施例によれば、乗員用酸素システムにおいて酸素温度を測定する温度センサを取り付けることができる。
【0024】
乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの位置を考慮すると、本発明の一実施例によれば、下記式により酸素ボンベにおける酸素の温度を算出できる。
【数1】
【0025】
式中、Tatは大気温度又は機体外温度を示し、Tcは操縦室温度を示し、k1とk2は調整パラメータであり、かつ、k1+k2=2を満たす。本発明の一つの実例によれば、k1>k2である。即ち、酸素温度Tは、大気温度Tatと操縦室温度Tcに関し、かつ、大気温度による影響はより大きい。当然ながら、その他の平均値公式を用いて酸素温度を算出してもよい。
【0026】
本発明の一つの実例によれば、k1=k2である。即ち、式(1)は以下の通り書き直すことができる。
【数2】
【0027】
式中、kは調整パラメータである。本発明の一つの実例によれば、kは数値1に比較的に接近する数である。k、k1及びk2は、実際の測定により得られても、統計分析により得られてもよい。
【0028】
本発明の一実施例によれば、k=1を取ることができる。式(2)は以下の通り書き直すことができる。
【数3】
【0029】
このように算出された酸素温度は、式(1)と(2)により算出された値ほど正確ではないが、本発明の乗員用酸素システムの性能を検出する実施例にとっても十分である。
【0030】
上述のように、航空機データシステム、例えばエアバス社のACMS又はボーイング社のAHMシステムは、多数の飛行パラメータを自動的に取得することができる。これらパラメータは、大気温度又は機体外温度Tatと操縦室温度Tcを含む。トリガー条件を満たすと、乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧データを取得すると同時に、この時の大気温度又は機体外温度Tatと操縦室温度Tcを取得し、乗員酸素メッセージを生成する。
【0031】
乗員酸素メッセージは、実時間又はある特定の時間で乗員酸素メッセージ伝送装置により乗員酸素データ処理装置404に伝送される。本発明の一実施例によれば、乗員酸素メッセージ伝送装置は、航空機部分403と地上部分410を含むことにより、航空機から地上までの通信を実現する。乗員酸素メッセージ伝送装置の一つの実例は、航空機空地データ通信システムACARS(Aircraft Communication Addressing and Reporting System)である。ACARSは、航空機と地上局との間にラジオ又は衛星によりメッセージ(つまりショートメッセージ)を伝送するデジタルデータリンクシステムであり、航空会社の空地、地地大流量データ通信にサービスを提供し、各種の情報の交換を実現する。
【0032】
ACARSシステムは一つのACARS管理ユニット(MU)と呼ばれる航空電子コンピュータと制御表示ユニットCDU(Control Display Unit)からなる。MUは、地上からの超短波ラジオデジタルメッセージを送受信するものである。地上では、ACARSシステムは、ラジオ送受信機構を有する地上局410で構成されるネットワークからなり、メッセージ(データリンクメッセージ)を送受信することができる。これら地上局は、一般的に各々のサービス提供者に所有され、受信したメッセージをネットワークにおける異なる航空会社のサーバに配信する。
【0033】
ACARSは、乗員に介入されずに、飛行中の航空機から航空会社の地上局へ飛行動態、エンジンパラメータなどの実時間データ情報を自動的に提供するとともに、地上へその他の各種類の情報を送信することにより、航空会社の運行制御センタはそれ自身のアプリケーションシステムに航空機の実時間で絶えない多数の飛行データ及び関係情報を取得して、本社の航空機の動態を速やかに把握し、航空機に対する実時間監視制御を実現し、航空業務、運営、機器事務などの各関係機関の管理の要求を満たすことができる。一方、地上からは、空中に飛行している航空機に気象情報、航路状況、空中緊急故障排除措置などの多種のサービスを提供し、飛行安全性保障能力及び乗客に対するサービスレベルを向上することができる。通常のVHF地空通信チャネルがますます飽和し、情報伝送量が少なく、速度が遅い現状で、このような双方向のデータ通信システムは、地上、空中の通信保障能力を著しく改善して向上させることができる。
【0034】
本発明の一実施例によれば、乗員酸素メッセージ伝送装置は、航空通信網ATN(Aviation Telecommunication Network)に基づく通信装置又はシステムであってもよい。
【0035】
本発明の一実施例によれば、乗員酸素メッセージ伝送装置は、固体記憶装置であってもよい。乗員酸素メッセージは、当該固体記憶装置に格納される。当該固体記憶装置の転送によっても乗員酸素メッセージの転送を実現することができる。
【0036】
乗員酸素データ処理装置404は、乗員酸素メッセージ伝送装置403からの乗員酸素メッセージを受信する。本発明の一実施例によれば、乗員酸素データ処理装置404は、ある航空会社のサーバであってもよい。本発明の一実施例によれば、当該サーバは、ACARS又はATNにより、ある航空機からの乗員酸素メッセージを受信する。
【0037】
乗員酸素データ処理装置404は、例えばACARSメッセージデコーダの装置によりメッセージデコードを行ってデータを取得してデータサーバに格納する。
【0038】
本発明に係る乗員用酸素システム性能検出方法の正確性を向上させるために、より正確な乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度をできるだけ取得することにより、より正確な乗員酸素メッセージを生成する必要がある。
【0039】
図5は本発明の一実施例に係る乗員酸素メッセージ生成方法のフローチャートである。図5に示す乗員酸素メッセージ生成方法500において、ステップ510で航空機は離陸する。航空機の離陸時又は離陸後、ステップ521で離陸前1分間の乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧データを取得する。ステップ522で、離陸前1分間の大気温度と操縦室温度を取得する。ステップ521と522で単独に記述しているが、同時に実行して一つのステップとなり、又は、ステップ522を先にステップ521を後に実行してもよい。以下の取得ステップはこれと同一である。
【0040】
乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧データ、大気温度及び操縦室温度を含む航空機の運行データとしては、実時間で測定しデータバッファに格納することができる。離陸をトリガー条件として設定してトリガーすると、データバッファから離陸前1分間の関係データを取得することは、絶対可能である。本発明の一実施例によれば、その他のトリガー条件、例えばタイマーにより、実時間で離陸前1分間の乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧データ、大気温度及び操縦室温度を直接に取得することも可能である。
【0041】
本発明の一実施例によれば、ステップ521と522で、離陸前1分間のデータを取得した後、30秒を隔てる乗員酸素圧データ、大気温度及び操縦室温度を取得し、次に、さらに30秒を隔てる乗員酸素圧データ、大気温度及び操縦室温度を取得する。即ち、離陸前1分間、離陸前30秒及び離陸時の3組の乗員酸素圧データ、大気温度及び操縦室温度を取得する。3回で取得されたデータの平均値又は中間値を乗員酸素メッセージを生成するためのデータとする。このように取得された乗員酸素メッセージのデータはより正確である。
【0042】
本発明の一実施例によれば、直接に離陸前(又は離陸時)に取得された酸素圧データ、大気温度及び操縦室温度に基づいて乗員酸素メッセージを生成することができる。ステップ522の後、直接にステップ560に移行し、乗員酸素メッセージを生成する。
【0043】
離陸前(又は離陸時)に取得された乗員酸素圧及び温度データと、着陸した後に取得されたデータとを合わせて乗員酸素メッセージを生成することができる。又は、離陸前の乗員酸素圧と温度データを取得した後、不完全なメッセージを生成して、メモリに記憶し、離陸後の乗員酸素圧と温度データを取得した後に、メッセージを完全に補充する。
【0044】
図10の実施例のように、ステップ530で、離陸前(又は離陸時)に取得された酸素圧データ、大気温度及び操縦室温度、又はこれらデータを含む不完全なメッセージを飛行データシステムのメモリに格納する。ステップ540で、航空機は着陸する。ステップ551で、着陸後1時間の乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧データを取得し、ステップ552で、着陸後1時間の大気温度と操縦室温度を取得する。ステップ551と552にとって、着陸後の時間は、トリガーにより上述のデータを取得するトリガー条件である。ステップ560で、離陸前(又は離陸時)に取得されたデータと着陸した後に取得されたデータとを合わせて、完全な乗員酸素メッセージを生成する。
【0045】
本発明の一実施例によれば、着陸後1時間の酸素圧データ、大気温度及び操縦室温度を取得した後、着陸後1時間30秒の酸素圧データ、大気温度及び操縦室温度、さらに、着陸後1時間60秒の酸素圧データ、大気温度及び操縦室温度を取得する。即ち、着陸後1時間、1時間30秒、及び1時間60秒の3組の酸素圧データ、大気温度及び操縦室温度を取得する。3回で取得されたデータの平均値又は中間値を乗員酸素メッセージを生成するためのデータとする。ステップ551と552にとって、航空機の温度が環境温度と一致したことを保証するとともに、飛行中の影響を排除したことを前提として、その他の時間を選択して乗員酸素圧データと温度データを取得してもよい。
【0046】
本発明の一実施例によれば、航空機が着陸後1時間未満で再度離陸する場合、着陸後1時間で取得されたデータの代わりに、再度離陸前(又は再度離陸時)の酸素圧データ、大気温度及び操縦室温度を取得する。当然ながら、複数回測定して中間値又は平均値を取る方式も含む。
【0047】
図6は本発明の一実施例に係る乗員酸素性能検出システムの実例の概略図である。図6に示すように、乗員酸素性能検出システムは、航空機でのDMUを含む。DMUは、離陸前(離陸時)と着陸後の乗員酸素圧データ、大気温度及び操縦室温度を取得し、乗員酸素メッセージを生成する。DMUは、乗員酸素メッセージをACARSの航空機での管理ユニットMUに送信する。MUは、超短波ラジオ通信により乗員酸素メッセージをACARS地上局のサービス提供者に直接に送信し、又は、通信衛星と通信し、さらに通信衛星により乗員酸素メッセージを地上局のサービス提供者に転送する。地上のサービス提供者は、受信した乗員酸素メッセージを、対応の航空会社のサーバに転送する。乗員酸素メッセージに含まれる乗員酸素データは、サーバで処理される。利用者は、サーバに登録さえすれば、乗員酸素の状況を調査することにより、乗員用酸素システムの性能を検出することができる。
【0048】
本発明に係る乗員酸素性能検出システムによれば、航空機での乗員酸素性能に対する自動的検出を実現することにより、人工記録のコストと、人工記録に現れる可能性がある記録のミスや漏れによる問題をともに解消した。
【0049】
図7は、乗員用酸素システムの性能変化曲線の概略図である。全ての酸素システムは、少量のガス漏れが存在するため、温度が固定である場合、異なる時間でΔPの圧力差を生成することができる。ガス漏れ率は、PL=ΔP/tで示される。ガス漏れ率PLが安定な場合、乗員用酸素システムの性能は安定期にあり、ガス漏れ率PLが漸次に増大する場合、乗員用酸素システムの性能は減衰期に入り、ガス漏れ率PLは一つの閾値PLgよりも大きい場合、乗員用酸素システムの性能は故障期に入り、故障が現れる可能性があり、飛行安全性に悪影響を与えるとともに、計画でないメンテナンスを生じさせ易いため、航空機の遅延や欠航をもたらす。従来の技術では、乗員用酸素システムが減衰期に入ったか否かを検出する手段がない。本発明の一実施例によれば、このような検出を実現することができる。
【0050】
減衰期の検出は以下の利点があり、即ち、第一、乗員用酸素システムが減衰期にある場合でも、故障が発生する確率はやはり非常に低い。この時機で航空機をメンテナンスすれば、飛行安全性は保障される。第二、乗員用酸素システムが減衰期にあることを検出した後、航空会社は、適時に航空機のメンテナンスを手配することにより、計画でないメンテナンスを避け、航空機の遅延を減少した。同時に、固定時限に従って酸素ボンベを交換するか又はメンテナンスを行うことによるメンテナンスコストの浪費を避けた。当然ながら、本発明の実施例は、故障期の検出にも適用される。
【0051】
図8は本発明の一実施例に係る、乗員用酸素システムの性能検出方法のフローチャートである。図8に示す乗員用酸素システムの性能検出方法800において、ステップ810で、乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧データ、大気温度及び操縦室温度を取得する。ステップ820で、取得された乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧データ、大気温度及び操縦室温度に基づいて乗員酸素メッセージを生成する。ステップ830で、生成された乗員酸素メッセージを乗員酸素メッセージを処理するためのサーバに伝送する。ステップ840で、大気温度と操縦室温度に基づいて、サーバは乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧を標準温度での標準状態圧力に変換する。標準温度は、20℃を取ることができる。当然ながら、その他の温度を採用してもよい。
【0052】
酸素温度を取得した後、異なる温度で測定された乗員酸素の圧力は標準温度での標準状態圧力に変換されることにより、比較及び漏れ率の算出を行うことができる。標準状態圧力は、下記式により算出することができる。
【0053】
【数4】
【0054】
式中、Psは標準状態圧力、Tsは標準温度、Pは測定された酸素圧、Tは測定時の酸素の温度である。標準温度は20℃を取ることができる。当然ながら、その他の温度を採用することができる。
【0055】
図8に示すように、ステップ850で、ステップ810〜840の方式に従って、異なる時間で乗員用酸素システムの標準状態圧力データを複数組取得する。異なる時間で乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素の標準温度での標準状態圧力を複数組取得した後、これらデータに対する処理と評価によって乗員用酸素システムの性能を確定することができる。
【0056】
ステップ860で、異なる時間での複数組の標準状態圧力データを分析することにより、乗員用酸素システムの性能が劣化したか否かを確定する。又は、ステップ870で、異なる時間での複数組の標準状態圧力データを一つのサンプルとして、同一類型の航空機の他の組の標準状態圧力データの他の一つのサンプルと比較することにより、乗員用酸素システムの性能が劣化したか否かを確定する。
【0057】
本発明の一実施例によれば、飛行区間漏れ率により乗員用酸素システムの性能が劣化したか否かを確定する。乗員用酸素システムの飛行区間漏れ率は、下記式により算出することができる。
【数5】
【0058】
式中、t1は航空機の離陸時間、t2は航空機の着陸時間、Ps1は航空機離陸時の乗員酸素標準状態圧力、Ps2は航空機着陸後の乗員酸素標準状態圧力である。これにより、離陸前と着陸後の乗員酸素標準状態圧力の変化ΔPsに基づいて乗員用酸素システムの性能を確定することができる。例えば、ΔPs=Ps1−Ps2は100 PSIよりも大きい場合は、機上酸素システムの性能が劣化した。
【0059】
また、飛行区間漏れ率に基づいて乗員用酸素システムの性能を確定してもよい。例えば、飛行区間漏れ率
【数6】
は48 PSI/日よりも大きい場合は、機上酸素システムの性能が劣化した。
【0060】
算出された飛行区間漏れ率に基づいて、さらにある温度での乗員用酸素システムの圧力の示度を推定する。これにより、冬季で飛行後の航空機とクール状態の飛行機との温度変化が大きいから飛行前の計画でない酸素ボンベ交換を大きく減少することができる。
【0061】
本発明の一実施例によれば、乗員用酸素システムの酸素標準状態圧力Psと乗員用酸素システムの酸素ボンベの取付時間toとの統計関係に基づいて、フィットカーブ(fit curve)の傾きによって乗員用酸素システムの性能を確定する。
【0062】
Psとtoとの関係は、下記式に該当する。
Ps = β1 + β2 * to + μ (6)
【0063】
式中、Psは標準状態圧力、toは乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの取付時間、β1は、飛行時間に関する切片項目、β2は、酸素システムの気密性を表す傾き項目、μは、Psとtoとの間の不確定性を表すランダム摂動項目である。
【0064】
toの平均値は、以下の通り示すことができる。
【数7】
【0065】
式中、nは計算に関与するサンプルデータポイントの個数を示す。
【0066】
Psの平均値は、以下の通り示すことができる。
【数8】
【0067】
式中、nは計算に関与するサンプルデータポイントの個数を示す。
【0068】
式(6)〜(8)によって、β2は下記式により算出することができる。
【数9】
【0069】
β2は負値である。β2の値が小さいほど乗員用酸素システムの気密性が悪くなることは示される。傾き項目であるβ2の変化を検出することにより、乗員用酸素システムの性能を確定することができる。異なる航空機間の傾き項目β2を比較することにより、これら航空機の乗員用酸素システムの性能を知ることもできる。
【0070】
上述の傾き検出方法により乗員用酸素システムの性能を検出する場合、計算に関与するデータポイントで示される時間内には、酸素ボンベ交換又は酸素投与などの事象がないほうが好ましい。
【0071】
本発明の一実施例によれば、漏れ率の互いに独立したサンプルTテスト(Independent Sample Test)の方法により、乗員用酸素システムの性能が劣化した状況を確定する。
【0072】
飛行区間の時間間隔が短いので、システム圧力の変化が小さい可能性があり、外部温度フィット精度と圧力センサ検出精度により影響され易いため、計算により得られた標準状態圧力の波動は大きい場合がある。外部温度精度と圧力センサ精度による影響を減少させるために、本発明の一実施例によれば、飛行区間漏れ率の代わりに、間隔が24時間よりも大きい2つのポイントを用いて圧力比較を行い、即ち24時間間隔漏れ率PL24を用いる。当然ながら、その他の時間間隔、例えば12又は36時間よりも大きい時間間隔を用いてもよい。同時に、サンプリングの問題によるデータ欠点の影響を解消するために、PL24について3日移動平均を用いることができ、その意味としては、3日内の全てのPL24の平均値を算出することである。3日は例として挙げたに過ぎず、その他の日数、例えば2〜4日を用いてもよい。これは、データの状況によって決められる。
【0073】
本発明の一実施例によれば、下記式により、乗員用酸素システムの性能特性を示す24時間3日移動平均漏れ率PL−avg24を算出する。
【数10】
【0074】
式中、nは3日内のデータポイントの個数を示す。
【0075】
本発明の一つの実例によれば、ある期間内に乗員酸素性能が変化したか否かを確定したければ、当該期間内の一組のデータを一組のサンプルとして取ることができ、同時に、同一類型の航空機の他の一組のデータを一組のサンプルとして取った。二組のデータサンプルのPL−avg24を比較し、統計学確率によって二組のデータが顕著な変化が発生したか否かを確定することにより、乗員用酸素システムの性能の劣化期間との劣化度合を判定する。
【0076】
本発明の一つの実例によれば、まず、二組のデータのPL−avg24を算出するとともにPL−avg24の分散を算出する。S12は第1組のPL−avg24(n項のデータを含む)の分散であり、S22は第2組のPL−avg24(m項のデータを含む)の分散であると仮定した。S12/S22はF (n−1,m−1) の分布に従うべきであるので、F分布表を調査することによりF値を確定する。F値によって、二組のデータは明らかな相違を有するか否かを判定することができる。テストによって二組のデータが同一の分布に属する確率が2.5%未満である場合は、二組のデータは明らかな相違を有すると考えられる。
【0077】
その他の独立したサンプルTテスト方法により二組のデータは明らかな相違を有するか否かを確定してもよい。このような相違は明らかである場合は、乗員用酸素システムの性能は明らかな変化が存在していることを証明する。乗員用酸素システムの性能は明らかな変化が存在していると判定した場合は、漏れ率の平均値に基づいてどの組のデータが示す乗員用酸素システムの性能が劣化したかを容易に判定することができる。
【0078】
平均漏れ率の独立したサンプルテスト法は、同一の航空機の異なる期間のデータを用いてもよいし、同一類型の異なる航空機のデータを用いてもよい。そのため、このような方法は比較的に柔軟である。かつ、このようなテスト方式は、酸素ボンベ交換と酸素投与があったか否かに制限されず、酸素ボンベ交換と酸素投与の前後の乗員用酸素システムの性能は明らかな変化が発生したか否かを比較するのに用いられる。
【0079】
以下、実例によってどのように本発明の方法により乗員用酸素システムの性能は明らかな変化が発生したか否かを検出するかを説明する。
【0080】
図9は本発明の一実施例に係る乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素の標準状態圧力と測定時間との関係概略図である。図9では、折れ線はそれぞれ実際のサンプリング変換の標準状態圧力を示し、直線は、酸素の標準状態圧力と測定時間から回帰した直線を示す。傾き検出法の式(9)により検出を行うと、乗員用酸素システムの漏れ率が大きすぎ、傾きが−0.024929であり、正常な傾き−0.015よりも遠く小さい。これは、乗員用酸素システムの性能が劣化し、減衰期に入ったことを示す。
【0081】
図10は本発明の一実施例に係る乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素の標準状態圧力と測定時間との関係概略図である。同図では、乗員用酸素システムにおける酸素ボンベを一回交換する過程を示した。図10では、点は実際のサンプリング変換の標準状態圧力を示す。図11は図10に示す実施例に係る乗員用酸素システムの24時間3日の移動平均漏れ率と測定時間との関係概略図である。酸素ボンベの交換の前後の二組のデータを2つのサンプルとし、独立したサンプルTテスト方法により両者が同一か否かをテストする。計算によると、酸素ボンベの交換の前後の二組のデータが同一である可能性が全くないことを表明した。乗員用酸素システムの性能が劣化し、平均漏れ率は元の2倍である。乗員用酸素システムの性能は減衰期に入った。
【0082】
図9〜図11の実施例から分かるように、本発明に係る乗員用酸素システムの性能検出方法としては、乗員酸素メッセージから取得された乗員用酸素システムの酸素圧データと温度データに対する処理と分析に基づいて、傾きの算出又は独立したサンプルTテストなどの方法により、乗員用酸素システムの性能が劣化したか否かを判定し、さらに、乗員用酸素システムの性能減衰期又は故障期に入るか否かを判断できる。
【0083】
図12は本発明の一実施例に係る、航空機乗員用酸素システムのメンテナンス方法のフローチャートである。図12に示す航空機乗員用酸素システムのメンテナンス方法1200において、ステップ1210で、乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧データ、大気温度及び操縦室温度を取得する。ステップ1220で、取得された乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧データ、大気温度及び操縦室温度に基づいて乗員酸素メッセージを生成する。ステップ1230で、生成された乗員酸素メッセージをサーバに伝送する。ステップ1240で、サーバは乗員酸素メッセージを処理して、乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素の標準温度での標準状態圧力を取得する。ステップ1250で、異なる時間での複数組の標準状態圧力データに基づいて、乗員用酸素システムの性能が劣化したか否かを確定する。ステップ1260で、乗員用酸素システムの性能が劣化したら、適当な時機で乗員用酸素システムのメンテナンスを手配する。
【0084】
本発明は、人工記録が必要でなく、人的資源を節約した。かつ、本発明は、酸素メッセージから酸素の標準状態での圧力と酸素漏れ率を取得することにより、機上酸素システムの性能を判定し、機上酸素システムの性能が故障期に入る前にメンテナンスを行い、故障の診断を促進し、故障排除時間を短くすることができるので、機上酸素システムの使用時間を延長し、航空会社の運営コストを低下するとともに、機上酸素システムの突然で大規模な漏れによる航空機に搭載した乗客の人身安全の問題を防止し、航空機の運行安全性を向上することができる。本発明は、漏れ率に基づいて当該機上酸素システムの残した使用時間を予測することができるので、使用時間を大幅延長するとともに航空機のメンテナンスコストを低下することができる。
【0085】
上述の実施例は、本発明を説明するのに過ぎず、本発明はこれに限られず、当業者といえども、本発明の範囲を逸脱しない場合に、各種の変化や変形を行うことができるので、全ての同等な技術内容も本発明に開示された範囲に属するはずである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得するステップと、
取得された前記酸素ボンベの酸素圧、前記大気温度及び前記操縦室温度に基づいて乗員酸素メッセージを生成するステップと、
前記乗員酸素メッセージを受信して、前記酸素ボンベにおける酸素の標準温度での圧力を取得するステップと、
前記乗員用酸素システムの性能を確定するステップと、を含む、
乗員用酸素システムの性能検出方法。
【請求項2】
離陸前の前記酸素ボンベにおける酸素の標準温度での圧力を取得するステップと、
着陸後の前記酸素ボンベにおける酸素の標準温度での圧力を取得するステップと、をさらに含む、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
離陸前と着陸後の前記酸素ボンベにおける酸素の標準温度での圧力の差は100PSIよりも大きい場合は、前記乗員用酸素システムの性能が劣化したと確定する、
請求項2記載の方法。
【請求項4】
離陸前と着陸後の前記酸素ボンベにおける酸素漏れ率は48PSI/日よりも大きい場合は、前記乗員用酸素システムの性能が劣化したと確定する、
請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記酸素ボンベにおける酸素の標準温度での圧力Psと前記酸素ボンベの取付時間toの統計関係に基づいて、フィットカーブの傾きを確定するステップをさらに含む、
請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記フィットカーブの傾きβ2は下記式により算出し、
【数1】
式中、
【数2】
はtoの平均値、
【数3】
はPsの平均値、nはサンプリングポイントの個数である、
請求項5記載の方法。
【請求項7】
所定の時間間隔の一組の移動平均漏れ率を算出するステップと、
算出された前記組の移動平均漏れ率を、対照用の他の一組の移動平均漏れ率と比較するステップと、
顕著な変化があるか否かを判定するステップと、をさらに含む、
請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記組の移動平均漏れ率の分散と、対照用の他の一組の移動平均漏れ率の分散とを算出するステップと、
前記組の移動平均漏れ率の分散と対照用の他の一組の移動平均漏れ率の分散との比が従っているF分布に基づいて、顕著な変化があるか否かを判定するステップと、をさらに含む、
請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記時間間隔は24時間よりも大きい、請求項7記載の方法。
【請求項10】
移動平均漏れ率は2〜4日内の移動平均漏れ率である、請求項7記載の方法。
【請求項11】
大気温度と操縦室温度に基づいて前記酸素ボンベにおける酸素の温度を取得するステップをさらに含む、
請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記酸素ボンベにおける酸素の温度は下記式により算出し、
【数4】
式中、Tatは大気温度又は機体外温度を示し、Tcは操縦室温度を示し、k1とk2は調整パラメータであり、かつk1+k2=2を満たす、
請求項11記載の方法。
【請求項13】
k1はk2よりも大きい、請求項12記載の方法。
【請求項14】
k1=k2=1である、請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得するステップは、
離陸前の第1の時間の前記乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得するステップを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項16】
第1の時間は1分間である、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得するステップは、
離陸前1分間、離陸前30秒及び離陸時の前記乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得するステップを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項18】
前記乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得するステップは、
着陸後の第2の時間の前記乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得するステップを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項19】
前記乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得するステップは、
着陸後の第2の時間、第2の時間後30秒、及び第2の時間後60秒の時の前記乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得するステップを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項20】
第2の時間は1時間である、請求項19記載の方法。
【請求項21】
航空機着陸後から再度離陸までの時間間隔は第2の時間より小さい場合は、再度離陸前の前記乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得する、
請求項19記載の方法。
【請求項22】
乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得するステップと、
取得された前記酸素ボンベの酸素圧、前記大気温度及び前記操縦室温度に基づいて乗員酸素メッセージを生成するステップと、を含む、
乗員酸素メッセージ生成方法。
【請求項23】
前記乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得するステップは、
離陸前の第1の時間の前記乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得するステップを含む、
請求項22記載の方法。
【請求項24】
第1の時間は1分間である、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得するステップは、
離陸前1分間、離陸前30秒及び離陸時の前記乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得するステップを含む、
請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度と操縦室温度を取得するステップは、
着陸後の第2の時間の前記乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得するステップを含む、
請求項22記載の方法。
【請求項27】
前記乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得するステップは、
着陸後の第2の時間、第2の時間後30秒と第2の時間後60秒の時の前記乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得するステップを含む、
請求項22記載の方法。
【請求項28】
第2の時間は1時間である、請求項27記載の方法。
【請求項29】
航空機着陸後から再度離陸までの時間間隔は第2の時間より小さい場合は、再度離陸前の前記乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得する、
請求項27記載の方法。
【請求項30】
乗員酸素圧データ取得装置と、
乗員酸素圧データ取得装置で取得された乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧と大気温度及び操縦室温度に基づいて、乗員酸素メッセージ伝送装置により転送される乗員酸素メッセージを生成する乗員酸素メッセージ生成装置と、
乗員酸素メッセージを受信して、前記酸素ボンベにおける酸素の標準温度での圧力を取得することにより、前記乗員用酸素システムの性能を確定する乗員酸素圧データ処理装置と、を含む、
乗員用酸素システムの性能検出システム。
【請求項31】
乗員酸素圧データ取得装置は、乗員用酸素システムの高圧ステージに取り付けられた圧力センサを含む、
請求項30記載のシステム。
【請求項32】
乗員酸素メッセージ生成装置は、航空機データシステム又はその一部である、
請求項30記載のシステム。
【請求項33】
乗員酸素メッセージ生成装置は、エアバス社のACMSシステム、又はボーイング社のAHMシステム、又はその一部である、
請求項32記載のシステム。
【請求項34】
前記乗員酸素圧データ処理装置は、離陸前と着陸後の前記酸素ボンベにおける酸素の標準温度での圧力の差が100PSIよりも大きいと判定した場合は、前記乗員用酸素システムの性能が劣化したと確定する、
請求項30記載のシステム。
【請求項35】
前記乗員酸素圧データ処理装置は、離陸前と着陸後の前記酸素ボンベにおける酸素漏れ率が48PSI/日よりも大きいと判定した場合は、前記乗員用酸素システムの性能が劣化したと確定する、
請求項30記載のシステム。
【請求項36】
前記乗員酸素圧データ処理装置は、前記酸素ボンベにおける酸素の標準温度での圧力Psと前記酸素ボンベの取付時間toとの統計関係に基づいて、フィットカーブの傾きを確定する、
請求項30記載のシステム。
【請求項37】
前記フィットカーブの傾きβ2は、下記式により算出し、
【数5】
式中、
【数6】
はtoの平均値を示し、
【数7】
はPsの平均値を示し、nはサンプリングポイントの個数である、
請求項36記載のシステム。
【請求項38】
前記乗員酸素圧データ処理装置は、所定の時間間隔の一組の移動平均漏れ率を算出し、算出された前記組の移動平均漏れ率を、対照用の他の一組の移動平均漏れ率と比較することにより、顕著な変化があるか否かを判定する、
請求項30記載のシステム。
【請求項39】
前記乗員酸素圧データ処理装置は、前記組の移動平均漏れ率の分散と対照用の他の一組の移動平均漏れ率の分散を算出するとともに、前記組の移動平均漏れ率の分散と対照用の他の一組の移動平均漏れ率の分散との比が従っているF分布に基づいて顕著な変化があるか否かを判定する、
請求項38記載のシステム。
【請求項40】
前記時間間隔は24時間よりも大きい、請求項38記載のシステム。
【請求項41】
移動平均漏れ率は2〜4日内の移動平均漏れ率である、請求項38記載のシステム。
【請求項42】
乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧を測定する圧力センサと、
前記乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得して、航空機空地データ通信システムACARSにより転送される乗員酸素メッセージを生成する、ACMSシステムの航空機総合データシステムAIDSのデータ管理ユニットDMU又はその一部と、
ACARSからの前記乗員酸素メッセージを受信して、前記酸素ボンベにおける酸素の標準温度での圧力を取得することにより、前記乗員用酸素システムの性能を確定するサーバと、を含む、
乗員用酸素システムの性能検出システム。
【請求項43】
乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得するステップと、
取得された前記酸素ボンベの酸素圧、前記大気温度及び前記操縦室温度に基づいて乗員酸素メッセージを生成するステップと、
前記乗員酸素メッセージを受信して、前記酸素ボンベにおける酸素の標準温度での圧力を取得するステップと、
前記乗員用酸素システムの性能が劣化したか否かを確定するステップと、
前記乗員用酸素システムの性能の劣化に応答して、前記乗員用酸素システムのメンテナンスを手配するステップと、を含む、
乗員用酸素システムのメンテナンス方法。
【請求項1】
乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得するステップと、
取得された前記酸素ボンベの酸素圧、前記大気温度及び前記操縦室温度に基づいて乗員酸素メッセージを生成するステップと、
前記乗員酸素メッセージを受信して、前記酸素ボンベにおける酸素の標準温度での圧力を取得するステップと、
前記乗員用酸素システムの性能を確定するステップと、を含む、
乗員用酸素システムの性能検出方法。
【請求項2】
離陸前の前記酸素ボンベにおける酸素の標準温度での圧力を取得するステップと、
着陸後の前記酸素ボンベにおける酸素の標準温度での圧力を取得するステップと、をさらに含む、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
離陸前と着陸後の前記酸素ボンベにおける酸素の標準温度での圧力の差は100PSIよりも大きい場合は、前記乗員用酸素システムの性能が劣化したと確定する、
請求項2記載の方法。
【請求項4】
離陸前と着陸後の前記酸素ボンベにおける酸素漏れ率は48PSI/日よりも大きい場合は、前記乗員用酸素システムの性能が劣化したと確定する、
請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記酸素ボンベにおける酸素の標準温度での圧力Psと前記酸素ボンベの取付時間toの統計関係に基づいて、フィットカーブの傾きを確定するステップをさらに含む、
請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記フィットカーブの傾きβ2は下記式により算出し、
【数1】
式中、
【数2】
はtoの平均値、
【数3】
はPsの平均値、nはサンプリングポイントの個数である、
請求項5記載の方法。
【請求項7】
所定の時間間隔の一組の移動平均漏れ率を算出するステップと、
算出された前記組の移動平均漏れ率を、対照用の他の一組の移動平均漏れ率と比較するステップと、
顕著な変化があるか否かを判定するステップと、をさらに含む、
請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記組の移動平均漏れ率の分散と、対照用の他の一組の移動平均漏れ率の分散とを算出するステップと、
前記組の移動平均漏れ率の分散と対照用の他の一組の移動平均漏れ率の分散との比が従っているF分布に基づいて、顕著な変化があるか否かを判定するステップと、をさらに含む、
請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記時間間隔は24時間よりも大きい、請求項7記載の方法。
【請求項10】
移動平均漏れ率は2〜4日内の移動平均漏れ率である、請求項7記載の方法。
【請求項11】
大気温度と操縦室温度に基づいて前記酸素ボンベにおける酸素の温度を取得するステップをさらに含む、
請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記酸素ボンベにおける酸素の温度は下記式により算出し、
【数4】
式中、Tatは大気温度又は機体外温度を示し、Tcは操縦室温度を示し、k1とk2は調整パラメータであり、かつk1+k2=2を満たす、
請求項11記載の方法。
【請求項13】
k1はk2よりも大きい、請求項12記載の方法。
【請求項14】
k1=k2=1である、請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得するステップは、
離陸前の第1の時間の前記乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得するステップを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項16】
第1の時間は1分間である、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得するステップは、
離陸前1分間、離陸前30秒及び離陸時の前記乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得するステップを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項18】
前記乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得するステップは、
着陸後の第2の時間の前記乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得するステップを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項19】
前記乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得するステップは、
着陸後の第2の時間、第2の時間後30秒、及び第2の時間後60秒の時の前記乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得するステップを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項20】
第2の時間は1時間である、請求項19記載の方法。
【請求項21】
航空機着陸後から再度離陸までの時間間隔は第2の時間より小さい場合は、再度離陸前の前記乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得する、
請求項19記載の方法。
【請求項22】
乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得するステップと、
取得された前記酸素ボンベの酸素圧、前記大気温度及び前記操縦室温度に基づいて乗員酸素メッセージを生成するステップと、を含む、
乗員酸素メッセージ生成方法。
【請求項23】
前記乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得するステップは、
離陸前の第1の時間の前記乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得するステップを含む、
請求項22記載の方法。
【請求項24】
第1の時間は1分間である、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得するステップは、
離陸前1分間、離陸前30秒及び離陸時の前記乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得するステップを含む、
請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度と操縦室温度を取得するステップは、
着陸後の第2の時間の前記乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得するステップを含む、
請求項22記載の方法。
【請求項27】
前記乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得するステップは、
着陸後の第2の時間、第2の時間後30秒と第2の時間後60秒の時の前記乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得するステップを含む、
請求項22記載の方法。
【請求項28】
第2の時間は1時間である、請求項27記載の方法。
【請求項29】
航空機着陸後から再度離陸までの時間間隔は第2の時間より小さい場合は、再度離陸前の前記乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得する、
請求項27記載の方法。
【請求項30】
乗員酸素圧データ取得装置と、
乗員酸素圧データ取得装置で取得された乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧と大気温度及び操縦室温度に基づいて、乗員酸素メッセージ伝送装置により転送される乗員酸素メッセージを生成する乗員酸素メッセージ生成装置と、
乗員酸素メッセージを受信して、前記酸素ボンベにおける酸素の標準温度での圧力を取得することにより、前記乗員用酸素システムの性能を確定する乗員酸素圧データ処理装置と、を含む、
乗員用酸素システムの性能検出システム。
【請求項31】
乗員酸素圧データ取得装置は、乗員用酸素システムの高圧ステージに取り付けられた圧力センサを含む、
請求項30記載のシステム。
【請求項32】
乗員酸素メッセージ生成装置は、航空機データシステム又はその一部である、
請求項30記載のシステム。
【請求項33】
乗員酸素メッセージ生成装置は、エアバス社のACMSシステム、又はボーイング社のAHMシステム、又はその一部である、
請求項32記載のシステム。
【請求項34】
前記乗員酸素圧データ処理装置は、離陸前と着陸後の前記酸素ボンベにおける酸素の標準温度での圧力の差が100PSIよりも大きいと判定した場合は、前記乗員用酸素システムの性能が劣化したと確定する、
請求項30記載のシステム。
【請求項35】
前記乗員酸素圧データ処理装置は、離陸前と着陸後の前記酸素ボンベにおける酸素漏れ率が48PSI/日よりも大きいと判定した場合は、前記乗員用酸素システムの性能が劣化したと確定する、
請求項30記載のシステム。
【請求項36】
前記乗員酸素圧データ処理装置は、前記酸素ボンベにおける酸素の標準温度での圧力Psと前記酸素ボンベの取付時間toとの統計関係に基づいて、フィットカーブの傾きを確定する、
請求項30記載のシステム。
【請求項37】
前記フィットカーブの傾きβ2は、下記式により算出し、
【数5】
式中、
【数6】
はtoの平均値を示し、
【数7】
はPsの平均値を示し、nはサンプリングポイントの個数である、
請求項36記載のシステム。
【請求項38】
前記乗員酸素圧データ処理装置は、所定の時間間隔の一組の移動平均漏れ率を算出し、算出された前記組の移動平均漏れ率を、対照用の他の一組の移動平均漏れ率と比較することにより、顕著な変化があるか否かを判定する、
請求項30記載のシステム。
【請求項39】
前記乗員酸素圧データ処理装置は、前記組の移動平均漏れ率の分散と対照用の他の一組の移動平均漏れ率の分散を算出するとともに、前記組の移動平均漏れ率の分散と対照用の他の一組の移動平均漏れ率の分散との比が従っているF分布に基づいて顕著な変化があるか否かを判定する、
請求項38記載のシステム。
【請求項40】
前記時間間隔は24時間よりも大きい、請求項38記載のシステム。
【請求項41】
移動平均漏れ率は2〜4日内の移動平均漏れ率である、請求項38記載のシステム。
【請求項42】
乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧を測定する圧力センサと、
前記乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得して、航空機空地データ通信システムACARSにより転送される乗員酸素メッセージを生成する、ACMSシステムの航空機総合データシステムAIDSのデータ管理ユニットDMU又はその一部と、
ACARSからの前記乗員酸素メッセージを受信して、前記酸素ボンベにおける酸素の標準温度での圧力を取得することにより、前記乗員用酸素システムの性能を確定するサーバと、を含む、
乗員用酸素システムの性能検出システム。
【請求項43】
乗員用酸素システムにおける酸素ボンベの酸素圧、大気温度及び操縦室温度を取得するステップと、
取得された前記酸素ボンベの酸素圧、前記大気温度及び前記操縦室温度に基づいて乗員酸素メッセージを生成するステップと、
前記乗員酸素メッセージを受信して、前記酸素ボンベにおける酸素の標準温度での圧力を取得するステップと、
前記乗員用酸素システムの性能が劣化したか否かを確定するステップと、
前記乗員用酸素システムの性能の劣化に応答して、前記乗員用酸素システムのメンテナンスを手配するステップと、を含む、
乗員用酸素システムのメンテナンス方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−1396(P2013−1396A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−138733(P2012−138733)
【出願日】平成24年6月20日(2012.6.20)
【出願人】(512162041)エア チャイナ リミテッド (5)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月20日(2012.6.20)
【出願人】(512162041)エア チャイナ リミテッド (5)
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