説明

乗客コンベアの映像監視装置

【課題】この発明は、エスカレータの異常停止が発生した状況を迅速に把握することできるエスカレータの映像監視装置を得る。
【解決手段】この発明に係るエスカレータの映像監視装置は、エスカレータ1の異常を検知するスイッチ9,10‥‥‥と、複数個のカメラ6,7,8と、複数個のレコーダ22,23,24と、エスカレータ1を停止させる制御手段19と、どのスイッチ9,10‥‥‥が作動したかを判別する故障検出手段20と、この故障検出手段20からの信号により作動したスイッチ9,10‥‥‥の周囲を撮影した映像を記録したレコーダ22,23,24を選択し、かつこのレコーダ22,23,24にエスカレータ1の異常停止時の前後の映像を記録させる信号を送る映像制御手段21とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばエスカレータの異常停止の原因究明に好適な乗客コンベアの映像監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗客コンベアを写す複数のカメラと、このカメラによる映像を表示する複数のモニターと、乗客コンベアの各部に設けられた複数のスイッチと、このスイッチが検知する乗客コンベアの異常を集中管理し、異常の発生した箇所を映すカメラの映像を選択的にモニターに表示させる制御手段とを備えた乗客コンベアの映像監視装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この乗客コンベアの映像監視装置では、乗客コンベアの要所に設けたカメラの映像をモニターで見て、乗客コンベアの異常停止等の発生時点での状況を把握している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−187230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記乗客コンベアの映像監視装置では、カメラにより撮影された映像が記録されるレコーダと乗客コンベアの運行状態とが連動してなく、カメラ乗客コンベアが異常停止した時間帯の映像をレコーダから迅速に取り出すことができず、それだけ乗客コンベアの異常停止の状況把握に時間を要するという問題点があった。
【0005】
この発明は、上記のような問題点を解決することを課題とするものであって、乗客コンベアの異常停止が発生した状況を迅速に把握することで、異常発生の原因究明における効率が大幅に向上した乗客コンベアの映像監視装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る乗客コンベアの映像監視装置は、乗客コンベアの各部位に設けられ乗客コンベアの異常を検知するスイッチと、前記乗客コンベアの各前記部位を撮影する複数個のカメラと、各前記カメラに対応して設けられカメラに撮影された映像をそれぞれ記録する複数個のレコーダと、前記スイッチからの信号により前記乗客コンベアを停止させる制御手段と、前記スイッチからの信号によりどのスイッチが作動したかを判別する故障検出手段と、この故障検出手段からの信号により作動した前記スイッチの周囲を撮影した映像を記録した前記レコーダを選択し、かつこのレコーダに前記乗客コンベアの異常停止時の前後の映像を記録させる信号を送る映像制御手段とを備えている。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る乗客コンベアの映像監視装置によれば、乗客コンベアの異常停止に合わせて、この時間帯の乗客コンベアにおける異常が発生した周囲の映像が自動的に記録されるので、異常が発生した状況を迅速に把握することができ、異常発生の原因究明における効率が大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1のエスカレータの映像監視装置を示す概略側面図である。
【図2】図1のエスカレータの映像監視装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図1のエスカレータの映像監視装置における信号の流れの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態の乗客コンベアの映像監視装置について、図に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1のエスカレータの映像監視装置を示す概略側面図、図2はエスカレータの映像監視装置の構成を示すブロック図、図3は図1のエスカレータの映像監視装置における信号の流れを示す説明図である。
乗客コンベアであるエスカレータ1は、駆動手段2によって駆動され、スカートガード3に沿って移動するステップ4と、このステップ4と同期して移動する移動手摺5とを備えている。
エスカレータ1は、エスカレータ1の上部を撮影する第1のカメラ6と、エスカレータ1の中間部を撮影する第2のカメラ7と、エスカレータ1の下部を撮影する第3のカメラ8とを備えている。
エスカレータ1のスカートガード3の下縁部には、エスカレータ1の上部から下部に沿って、上部ハンドガードスイッチ9、上部スカートガードスイッチ10、上部カーブドレールスイッチ11、中間スカートガードスイッチ12、下部カーブドレールスイッチ13、下部スカートガードスイッチ14及び下部ハンドガードスイッチ15がそれぞれ取り付けられている。なお、カーブドレールスイッチ11,13は、前後のステップ4間の隙間に異物が挟まれたときに作動するスイッチである。
また、エスカレータ1の入口部及び出口部には、スイッチである非常停止釦16が取り付けられ、中間部には、スイッチである手摺停止釦17が取り付けられている。
【0010】
各スイッチ9,10,11,12,13,14,15、各停止釦16,17は、エスカレータ1の運転を制御する制御手段19に電気的に接続されている。
また、各スイッチ9,10,11,12,13,14,15、各停止釦16,17は、どのスイッチ9,10,11,12,13,14,15、どの停止釦16,17が作動したかを判別する故障検出手段20に電気的に接続されている。
【0011】
制御手段19及び故障検出手段20は、映像制御手段21に電気的に接続されている。
この映像制御手段21は、第1のレコーダ22、第2のレコーダ23及び第3のレコーダ24に電気的に接続されている。
第1のレコーダ22は、第1のカメラ6に電気的に接続されており、第1のカメラ6により撮影された映像を記録するようになっている。
第2のレコーダ23は、第2のカメラ7に電気的に接続されており、第2のカメラ7により撮影された映像を記録するようになっている。
第3のレコーダ24は、第3のカメラ8に電気的に接続されており、第3のカメラ8により撮影された映像を記録するようになっている。
これらのレコーダ22,23,24は、例えばタクシーの車内の様子をカメラで撮影した映像を記録するために用いられるレコーダであり、所定時間毎に上書き記録して常に記録している。
このレコーダは、上書き可能で、比較的小さなメモリタイプのものであり、ハードディスクタイプのものと比較して、システム構成及びメンテナンスが安価である。
【0012】
また、映像制御手段21は、映像確認用モニター28及びモニター25に電気的に接続されている。エスカレータ監視手段26は、制御手段19に電気的に接続されている。エスカレータ監視手段26は、モニター25に電気的に接続されている。モニター25は、公衆回線を介して情報センター27に接続されている。エスカレータ監視手段26は、エスカレータ1の異常や運行状態(運転時間等)を監視し、モニター25を介して情報センター27にそれらの信号を送るようになっている。
【0013】
図3から分かるように、第1のレコーダ22の記録動作は、上部ハンドガードスイッチ9、上部スカートガードスイッチ10及び上部カーブドレールスイッチ11の作動に連動する。
第2のレコーダ23の記録動作は、中間スカートガードスイッチ12の作動に連動する。
第3のレコーダ24の記録動作は、下部カーブドレールスイッチ13、下部スカートガードスイッチ14及び下部ハンドカードスイッチ15の作動に連動する。
【0014】
また、第1の非常停止釦16の作動は、第1のレコーダ22及び第3のレコーダ24の記録動作に連動している。
手摺停止釦17、制御手段19及び情報センター27は、それぞれ第1のレコーダ22、第2のレコーダ23及び第3のレコーダ24の記録動作に連動している。
【0015】
上記構成のエスカレータの映像監視装置では、例えば、エスカレータ1の上部において、ステップ4とスカートガード3との隙間に異物が挟まれたときには、上部スカートガードスイッチ10が作動し、この上部スカートガードスイッチ10からの作動信号が制御手段19に送信され、この制御手段19からの信号により、駆動手段2の駆動が停止してエスカレータ1の運転が停止される。
また、上部スカートガードスイッチ10からの作動信号が制御手段19に送信されると同時に、その作動信号は、故障検出手段20にも送られ、この故障検出手段20では上部スカートガードスイッチ10が作動したことを判別し、引き続きこの判別信号を映像制御手段21に送る。この映像制御手段21は、上部スカートガードスイッチ10に対応した第1のレコーダ22に映像記録信号を出す。第1のレコーダ22は、その映像記録信号を受けて、上部スカートガードスイッチ10の作動前後の所定の時間については、記録第1のカメラ6により撮影した記録映像が上書きされない。
つまり、エスカレータ1が停止故障した後も引き続き第1のカメラ6により撮影された映像は、第1のレコーダ22に記録されるも、エスカレータ1が停止した時の前後の時間の映像のレコーダのディスクの領域では、上書きはされず、自動的に第1のレコーダ22に記録され続ける。
【0016】
また、第1のレコーダ22からは、エスカレータ1の運転が停止した前後の時間帯の記録映像が、記録映像信号として、映像制御手段21及びモニター25に介して情報センター27に送られる。
【0017】
また、例えば、エスカレータ1の運転に異常を感じたときには、例えば第1の非常停止釦16を押すことで、非常停止釦16からの作動信号が制御手段19に送信され、この制御手段19からの信号により、駆動手段2の駆動が停止してエスカレータ1の運転が停止される。
また、非常停止釦16からの作動信号が制御手段19に送信されると同時に、その作動信号は、故障検出手段20にも送られ、この故障検出手段20では非常停止釦16が作動したことを判別し、引き続きこの判別信号を映像制御手段21に送る。この映像制御手段21は、非常停止釦16に対応した第3のレコーダ24に映像記録指令信号を出す。第3のレコーダ24は、その映像記録指令信号を受けて、非常停止釦16の作動前後の所定の時間については、第3のカメラ8により撮影した記録映像が上書きされない。
つまり、エスカレータ1が停止した時の前後の時間の映像は、自動的に第3のレコーダ24に記録される。
【0018】
また、第3のレコーダ24からは、エスカレータ1の運転が停止した前後の時間帯の映像が、映像記録信号として、映像制御手段21及びモニター25に介して情報センター27に送られる。
【0019】
この実施の形態のエスカレータの映像監視装置によれば、エスカレータ1の異常停止に合わせて、その時間帯のエスカレータ1の映像が自動的にレコーダ22,23,24に記録されるので、異常が発生した状況を迅速に把握することができ、異常発生の原因究明における効率が大幅に向上する。
また、映像制御手段21では、作動したスイッチ9,10,11,12,13,14,15、釦16,17の周囲を撮影したカメラ6,7,8を選択し、その選択されたカメラ6,7,8で撮影したレコーダ22,23,24に映像記録信号が送信されるので、各レコーダ22,23,24には、エスカレータ1の異常停止時前後の映像が効率良く記録される。
また、情報センター27からは、映像制御手段21を通じて異常の発生時点の前後の時間帯の記録映像を収集できるので、エスカレータ1の異常発生の原因究明を遠隔地で行うことができる。
【0020】
なお、上記の実施の形態では、乗客コンベアとしてエスカレータ1の場合について説明したが、この発明は、乗客コンベアである動く歩道にも適用することができる。
【符号の説明】
【0021】
1 エスカレータ、2 駆動手段、3 スカートガード、4 ステップ、5 移動手摺、6 第1のカメラ、7 第2のカメラ、8 第3のカメラ、9 上部ハンドガードスイッチ、10 上部スカートガードスイッチ、11 上部カーブドレールスイッチ、12 中間スカードガードスイッチ、13 下部カーブドレールスイッチ、14 下部スカートガードスイッチ、15 下部ハンドカードスイッチ、16 非常停止釦、17 手摺停止釦、19 制御手段、20 故障検出手段、21 映像制御手段、22 第1のレコーダ、23 第2のレコーダ、24 第3のレコーダ、25 モニター、26 エスカレータ監視手段、27 情報センター、28 映像確認用モニター。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗客コンベアの各部位に設けられ乗客コンベアの異常を検知するスイッチと、
前記乗客コンベアの各前記部位を撮影する複数個のカメラと、
各前記カメラに対応して設けられカメラに撮影された映像をそれぞれ記録する複数個のレコーダと、
前記スイッチからの信号により前記乗客コンベアを停止させる制御手段と、
前記スイッチからの信号によりどのスイッチが作動したかを判別する故障検出手段と、
この故障検出手段からの信号により作動した前記スイッチの周囲を撮影した映像を記録した前記レコーダを選択し、かつこのレコーダに前記乗客コンベアの異常停止時の前後の映像を記録させる信号を送る映像制御手段と
を備えたことを特徴とする乗客コンベアの映像監視装置。
【請求項2】
前記制御手段からの前記信号が送られ、前記乗客コンベアの異常を集中管理する情報センターを備え、
この情報センターからは、前記映像制御手段を通じて前記乗客コンベアの異常停止の前後の記録映像を収集できることを特徴とする請求項1に記載の乗客コンベアの映像監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−222109(P2010−222109A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−72332(P2009−72332)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】