説明

乗客コンベア用オイルパン清掃機

【課題】清掃能力が高く、汎用性も高い乗客コンベア用オイルパン清掃機を提供する。
【解決手段】板状の中間体10と、中間体10の一端に回動可能に設けられた支持部材11と、中間体10の他端に設けられた鈍角のくの字型形状の弾性板12と、弾性板12の下端部の両側端に設けられた折り返し部13とを備え、支持部材11を乗客コンベア1、14の踏段3に取り付けると共に、中間体10を踏段3の進行方向に向って延在させ、かつ弾性板12の下端部をオイルパン5に摺接させて走行させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗客コンベアの下側に沿って延設されたオイルパン上に堆積した塵埃を清掃するための乗客コンベア用オイルパン清掃機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗客コンベアはデパート等で来客サービスのために設けられる場合が多かったが、最近は交通機関の発達により、駅のホームヘの乗客の昇降のサービスのためにも多く設置されるようになり、多くの人が利用している。このように、多くの人が利用する乗客コンベアにおいて、人の衣類等から落ちた挨や風で運ばれた塵等が乗客コンベアの踏段の隙間等から乗客コンベアの内部に侵入し、乗客コンベアの下側に沿って延設されたオイルパン上に長期間に亘って堆積し、多量に堆積した塵挨が乗客コンベアの故障原因になったり、何らかの火花や発熱あるいは投げ捨て煙草の残火によって引火して発火する恐れがあった。
そこで、従来は乗客コンベアの約半数の螺子止めされた踏段を取り外して、作業員が箒やブラシでオイルパン上に堆積した塵挨を掃き落として清掃していた。エスカレーターの内部の狭い空間内での上記清掃作業は挨塗れ、油塗れになるため、作業員の心理的苦痛を増大させるばかりでなく、重量の重い踏段を取り外し、その後、取り付ける作業は大変な重労働であり、2人〜数人の作業員がこの作業のために半日〜1日を費やして実施していた。
【0003】
かかる作業員の清掃作業における重負担を緩和するためのオイルパン清掃装置の従来例として、無端状に連結された踏段鎖の踏段前輪軸に清掃工具を取り付け、この清掃工具を乗客コンベアと共に周回走行させることにより、容易にオイルパン上に堆積した塵挨を掻き集めるようにした乗客コンベアの清掃機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図12は従来の乗客コンベアの清掃機の構成を示す斜視図、図13は該清掃機の使用状態を示す側面図である。図12に示すように、従来の乗客コンベアの清掃機23は、剛体の底板24aと、底板24aの両側端に対を成して立設された側板24bと、底板24aの後端に立設された後板24cと、後板24cの側端部にボルトで固定された支持部材24dと、底板24aの前端に蝶番25aによって回動自在に設けられた塵掻き板25とから構成される。この乗客コンベアの清掃機23を使用する時は、図13に示すように、作業員が機械室26で踏段鎖27下部の踏段28の前輪29の軸に回動自在に支持部材24dを取り付け、ターミナルギア30の駆動力で踏段鎖27に連結された踏段28を走行させる。その結果、塵掻き板25がオイルパン31に摺動走行し、オイルパン31に堆積した塵挨を掻き集めることができる。
【0005】
ここで、オイルパン31は乗客コンベアの上部反転部から下部反転部にかけて上側のオイルパン31が下側のオイルパン31に一部重なる状態で下側から上側に配列した構造をしており、重なり箇所を溶接することにより、継ぎ目から油が漏れ落ちるのを防止しているが、オイルパン31の中には継ぎ目の重なりが逆に重なった箇所もある。
【0006】
図14は該清掃機23がオイルパン上の逆向き継ぎ目箇所を摺動走行する時の状態を示す側面図である。図14に示すように、乗客コンベアの清掃機23の塵掻き板25は、その縦断面形状の先端部25bをオイルパン31の厚さより大きい半径を持つ曲面形状とし、またはオイルパン31と接する先端部から立ち上がる先端前面のオイルパン31に対する立ち上がり角度βを30°以上70°以下とした形状に設計されているため、上述のオイルパン31の継ぎ目の重なりが逆に重なった箇所においても走行できる。なお、踏段28進行方向に向かう底板24aとオイルパン31との成す接触角γは30°以上で、60°以下となるように底板24aの前後方向の長さが設定されている。
【0007】
このように従来の乗客コンベアの清掃機23は、無端状に連結された踏段鎖27の踏段28の前輪軸に清掃機23を取り付け、この清掃機23を乗客コンベアと共に周回走行させることにより、容易にオイルパン31上に堆積した塵挨を掻き集めることができる。しかも、塵掻き板25の縦断面形状の先端部25bをオイルパン31の厚さより大きい半径を持つ曲面形状、またはオイルパン31と接する先端部から立ち上がる先端前面のオイルパン31に対する立ち上がり角度βを30°以上70°以下にすることにより、オイルパン31の継ぎ目の重なりが逆に重なった箇所においても走行することができる。
【0008】
また、他の従来例として、乗客コンベアの下部機械室の床面に清掃装置の清掃体の両端が支持されるガイドレールを設置し、操作ハンドルを介して機械室の奥に位置する清掃体を機械室の手前へと引き出すことにより、乗客コンベア機械室の床面に堆積した塵埃を掻き出すようにした乗客コンベアの清掃装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
図15はこのような乗客コンベアの清掃装置の構成を示す斜視図、図16は該清掃装置の使用状態を示す側面図である。図15、16に示すように、乗客コンベアの清掃装置32は下部機械室33の床面に設置されるものであり、2つの連結板34により互いに連結されると共に、コの字状の断面形状を有する一対のガイドレール35a、35bと、ガイドレール35a、35bに移動自在に係合する対のガイド36a、36bと、ガイド36a、36bに両端部が支持される清掃体37と、この清掃体37にビスにより取り付けられた可撓性のワイパーブレード38と、清掃体37に一端が固定された操作ハンドル39とから構成されている。この乗客コンベアの清掃装置32を使用するときは、清掃体37を下部機械室33の奥側の連結板34側に位置させておき、操作ハンドル39を介して清掃体37を下部機械室33の手前側の連結板側へと引き出す。その結果、乗客コンベアの踏段鎖に取り付けられた踏段を取り外すことなく、容易に塵埃を掻き出すことができる。
【特許文献1】特開平9−183584号公報
【特許文献2】特開2005−3300047号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1に開示された従来の清掃機23は、オイルパン31の継ぎ目の重なりが逆に重なった箇所においても走行できるように、その縦断面形状の先端部25bに設けた形状のため、オイルパン31上の油を含んだ塵埃が硬化していた場合に、その硬化した塵埃まで乗り上げてしまい、塵埃の取りこぼしが生じ、清掃能力が低下するという問題があった。また、このような清掃機23を特許文献2に開示された清掃装置32を備えた乗客コンベアに適用しようとすると、図16に示すように、連結板34がガイドレール35a、35bのコの字状の内側に設けられて、ガイドレール35a、35bの板厚だけオイルパン31から浮いているため、塵掻き板25が連結板34とオイルパン31との隙間に入り込んでしまい、清掃機23や清掃装置32あるいは乗客コンベア等が破損する虞がある。そのため、上記清掃機23はこの種の清掃装置32を備えた乗客コンベアに使用することができず、汎用性が低いという問題があった。
【0011】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、清掃能力が高く、汎用性も高い乗客コンベア用オイルパン清掃機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的を達成するために、本発明に係る乗客コンベア用オイルパン清掃機は、無端状に連結された踏段鎖に踏段が取り付けられた無端状コンベアを周回走行させることにより、前記踏段上の乗客を搬送する乗客コンベアの下側に沿って延設されたオイルパン上に堆積した塵埃を清掃するための乗客コンベア用オイルパン清掃機において、板状の中間体と、前記中間体の一端に回動可能に設けられた支持部材と、前記中間体の他端に設けられたくの字型形状の弾性板と、前記弾性板の下端部の両側端に設けられた起立片とを備え、前記支持部材を前記踏段に取り付けると共に、前記中間体を前記踏段の進行方向に向って延在させ、かつ前記弾性板の下端部を前記オイルパンに摺接させて走行させるようにしたことを特徴としている。
【0013】
このように構成された乗客コンベア用オイルパン清掃機では、くの字型形状の弾性板をオイルパンに摺動走行させることにより、油を含んだ塵埃が硬化した場合においても、塵埃の取りこぼしが生じることなく、塵埃を掻き集めることができる。また、くの字型形状の弾性板はオイルパン上の段差に接触すると折れ曲がり、オイルパン上の段差を乗り越えた後再び元の形状に戻ることができるので、例えば、オイルパン上に継ぎ目が逆に重なった場合に生じる段差を乗り越えることができる。その結果、乗客コンベア用オイルパン清掃機やオイルパンあるいは乗客コンベア等の損傷を防ぎつつオイルパン清掃を円滑に行うことができる。しかも、乗客コンベアに機械室床面の清掃装置等が備えられている場合においても、弾性板下端の両側端に設けられた起立片が機械室床面の清掃装置等の連結板と接触することにより、弾性板が折れ曲がり、隙間を乗り越えることができる。したがって、乗客コンベアにこの種の清掃装置等が備えられている場合でも使用することができる。
【0014】
また、本発明に係る乗客コンベア用オイルパン清掃機は、起立片が弾性体の下端部の両側端を折り曲げて形成した折り返し部であることを特徴としている。
【0015】
このように構成された乗客コンベア用オイルパン清掃機では、弾性体の下端部の両側端を折り曲げ、簡単に起立片を設けることができるので、溶接等により弾性体の下端部の両側端に起立片を設けることに比して、上述の段差を乗り越える際に受ける衝撃による起立片の取り外れ等の破損を抑えることができる。
【0016】
また、本発明に係る乗客コンベア用オイルパン清掃機は、支持部材を踏段の幅寸法の半分以下に設定し、支持部材を1台の踏段に対して複数取り付け可能にしたことを特徴としている。
【0017】
このように構成された乗客コンベア用オイルパン清掃機では、該オイルパン清掃機を一台の踏段に複数取り付けることにより、オイルパン上の塵埃等による左右異なる起伏に対して、より追従性が増し、ゴミの取りこぼしを減らすことができる。
【0018】
また、本発明に係る乗客コンベア用オイルパン清掃機は、弾性板に中間体よりも外側に突出する延出部を設けたことを特徴としている。
【0019】
このように構成された乗客コンベア用オイルパン清掃機では、弾性板に中間体よりも外側に突出する延出部を設け、踏段の前輪を進行方向に案内する案内レール下方のオイルパン上に弾性板の延出部を摺接させることにより、案内レール下方の塵埃も清掃することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の乗客コンベア用オイルパン清掃機は、弾性板の下端部をオイルパンに摺接させつつ走行させることにより、油を含んだ塵埃が硬化した場合においても、塵埃の取りこぼしが生じることなく、塵埃を掻き集めることができ、清掃能力を高めることができる。また、オイルパン上の継ぎ目が逆に重なった段差に対して、くの字型形状の弾性板が折れ曲がり、段差を乗り越えることができる。しかも、弾性板下端の両側端に設けられた起立片により、乗客コンベアに機械室床面の清掃装置等が備えられている場合に生じる隙間においても、弾性体がその隙間に入り込むことを防ぎつつ隙間を乗り越えることができる。その結果、乗客コンベアにこの種の清掃装置等が備えられている場合でも使用することができ、汎用性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1は本発明のオイルパン清掃機が適用される乗客コンベア全体の概略構成図、図2は図1に示す乗客コンベアの上部機械室の説明図、図3は本発明の第1実施形態に係るオイルパン清掃機の構成を示す斜視図、図4は該オイルパン清掃機がオイルパンの逆向き継ぎ目箇所の段差を走行する時の状態を示す側面図、図5は該オイルパン清掃機の他の取付状態を示す側面図である。
【0022】
図1に示すように、乗客コンベア1は、無端状に連結した踏段鎖2と、踏段鎖2に連結された複数台の踏段3と、踏段鎖2の上側に備えられた欄干4と、踏段鎖2の下側に沿って延設されたオイルパン5と、この踏段鎖2を移動させることで踏段3を循環走行させるためのターミナルギヤ6と、上下の乗降口にそれぞれ設けられた乗降口床板7と、上側の乗降口下方に設けられた上部機械室8Hと、下側の乗降口下方に設けられた下部機械室8Lとを備えている。また、図2に示すように、踏段3は、踏段枠(ステップフレーム)3Aと、踏み体(ステップトレッド)3Bと、ライザー3Cと、踏段鎖2に連結された前輪3Dと、後輪3Eとを備え、ターミナルギヤ6により、上下の乗降口床板7下方の上部機械室8H、下部機械室8L内で走行方向を反転し、循環走行する。この乗客コンベア1の踏段3の踏み体3B上面後部に後述するオイルパン清掃機の支持部材が取り付けられる。
【0023】
図3に示すように、本発明の第1実施形態例に係るオイルパン清掃機9は、板状の中間体10と、中間体10の一端に回動可能に設けられた支持部材11と、中間体10の他端に設けられた鈍角のくの字型形状の弾性板12と、弾性板12の下端部の両側端に設けられた折り返し部13とを備えている。ここで、弾性板12は、厚さが薄く、オイルパン上面にこびりついた塵埃を剥がすのに十分な硬度を有し、かつ折れ曲がりにより破損しない弾性を有するプラスチック等から作られる。また、折り返し部13は起立片を構成するものであり、この折り返し部13は弾性板12の下端部の両側端を三角形状に折り返すことで一体形成されている。
【0024】
このオイルパン清掃機9を使用する時には、下部機械室8Lでオイルパン清掃機9の支持部材11を踏段3の踏み体3Bの上面後部に取り付け、踏段3を下り走行させることにより、オイルパン清掃機9が取り付けられた踏段3を上部機械室8Hの水平部オイルパン5Hの位置に移動させる。このとき、オイルパン清掃機9の中間体10は、支持部材11に回動支持されているため、オイルパン5上の塵埃Wを乗り越えて移動し、ゴミの収集は行われない。そして、上部オイルパン水平部5Hから踏段3を逆転運転させ、オイルパン清掃機9をオイルパン5上で摺接走行させると、弾性板12がオイルパン5上の塵埃Wを掻き集めながら下部オイルパン水平部5L方向に移動する。
【0025】
ここで、図4に示すように、オイルパン5上に継ぎ目が逆に重なって段差がある場合、走行中の弾性板12の下端部がその段差に接触すると、弾性板12が折れ曲がり、段差を乗り越えた後再び元の形状に戻ることができるので、オイルパン清掃機9やオイルパン5あるいは乗客コンベア1等の損傷を防ぎつつオイルパン5の清掃を円滑に行うことができる。なお、塵埃Wを取り残した場合でも、再度オイルパン清掃機9が取り付けられた踏段3を上下の乗降口間で往復走行させることにより、オイルパン5上の塵埃Wを下部オイルパン5L上に集めることができる。最後に、作業者が掻き集めた塵埃Wを下部機械室8Lで回収する。
【0026】
以上、踏段を外すことなくオイルパン清掃機9を踏段3の踏み体3Bの上面後部に取り付けた場合を説明したが、図5に示すように、支持部材11は、少なくとも1台以上の踏段3を取り外してできた空間に接する他の踏段3の踏段枠3Aにおいても着脱可能に取り付けることができる。これにより、踏み体3Bとオイルパン5との間隔h3が小さい場合、オイルパン5とオイルパン清掃機9とのなす角αが鋭角になるのを抑え、清掃能力の低下を防ぐことができる。しかも、踏段3を少なくとも1台以上外した空間に塵埃Wを収集することによって、掻き集めた塵埃Wによる踏段3の汚れを最小限にすることができる。
【0027】
図6は前述した第1実施形態例に係るオイルパン清掃機が適用される他の乗客コンベア全体の概略構成図、図7は該オイルパン清掃機が該乗客コンベアの隙間を走行する時の状態を示す側面図である。
【0028】
図6に示すように、この乗客コンベア14は、上部機械室8Hと下部機械室8Lにそれぞれ清掃装置15が備えられている。これら清掃装置15は図15、16を用いて先に説明したものと基本的に同じであり、上部機械室8Hの水平部オイルパン5Hと下部機械室8Lの水平部オイルパン5Lに沿って、それぞれコの字状の断面形状を有する一対のガイドレール16が左右に間隔を置いて設置されている。図7に示すように、左右のガイドレール16の先端内側上に両者を繋ぐ連結板17を有しているため、ガイドレール16の厚さ分だけオイルパン5と連結板17とに高さh1の隙間Sが生じている。このようなことを考慮して、前述した折り返し部13の先端の高さh2は隙間Sの高さh1よりも高く設計されている。
【0029】
このような乗客コンベア14に生じる隙間Sをオイルパン清掃機9が走行する場合、弾性板12の折り返し部13の先端は連結板17の側面に接触し、連結板17下方に入り込まないので、折り返し部13の先端を支点としてくの字型形状の弾性板12が折れ曲がり、連結板17を乗り越えることができる。したがって、乗客コンベア14においてもオイルパン清掃機9を使用することができる。
【0030】
なお、前述した第1実施形態例において、起立片は弾性板12の下端部の両側端を折り曲げて一体形成した折り返し部としたが、弾性板12とは別体の起立片を溶接等により後付けしてもよい。また、起立片先端の高さh2が隙間Sの高さh1より高ければ、起立片の形状は三角形状でなくてもよい。
【0031】
図8は本発明の第2実施形態例に係るオイルパン清掃機の構成を示す斜視図である。
【0032】
図8に示すように、本発明の第2実施形態例に係るオイルパン清掃機18は、支持部材11と中間体10および折り返し部13が設けられた弾性板12の幅寸法を踏段3の幅寸法の半分以下に設定し、オイルパン清掃機18を1台の踏段3に対して2つ設けている。また、中間体10の中央に板状のウェート19をそれぞれ設けている。
【0033】
このオイルパン清掃機18は、オイルパン5上に製作・取付誤差に起因して凹凸が生じた場合、あるいはオイルパン5の幅方向にわたり異なる大きさをもつ硬化した塵埃Wが存在した場合、2つの各オイルパン清掃機18が各々独立して塵埃Wを掻き集めることによって、より追従性が増し、塵埃Wの取りこぼしを減らすことができる。また、多量の塵埃Wがあった場合や、なんらかの原因でオイルパン5上に障害物があった場合に、オイルパン清掃機18のどちらか1つが破損したとしても、破損したほうのオイルパン清掃機18の交換ですむ。また、各中間体10の中央部の板状のウェート19を重いものに変えることで各オイルパン清掃機18の楔効果を大きくすることができるので、清掃能力を高めることができる。
【0034】
なお、上記の第2実施形態例では、オイルパン清掃機18を1台の踏段3に2つ取り付けた場合について説明したが、オイルパン清掃機18を1台の踏段3に3つ以上取り付けてもよい。
【0035】
図9は本発明の第3実施形態例に係るオイルパン清掃機の構成を示す斜視図、図10は本発明の第3実施形態例に係るオイルパン清掃機の使用時の状態を示す断面正面図である。
【0036】
図9に示すように、本発明の第3実施形態例に係るオイルパン清掃機20は、弾性板12に中間体10よりも外側に突出する延出部12aを設けており、この延出部12aに折り返し部13が形成されている。
【0037】
ここで、図10に示すように、一般に乗客コンベア1、14の踏段鎖2に連結された踏段3の前輪3D下には、前輪3Dを案内する案内レール21用のレールブラケット22があるため、レールブラケット22下方のオイルパン5上の清掃をすることができない。そこで、弾性板12に中間体10よりも外側に突出する延出部12aを設けたオイルパン清掃機18でオイルパン5上を摺動走行させることにより、レールブラケット22下方のオイルパン5上を清掃することができる。このとき、弾性板12は、レールブラケット22とオイルパン5上の間の間隔に入る高さとする。
【0038】
図11は本発明の第4実施形態例に係るオイルパン清掃機の構成を示す斜視図である。
【0039】
上記の第3実施形態例では、オイルパン清掃機20を1台の踏段3に1つだけ取り付けているが、図11に示すように、オイルパン清掃機20を1台の踏段3に2つ取り付けてもよいし、3つ以上取り付けてもよい。ただし、その場合において、隣接する各オイルパン清掃機20間には、弾性板12に延出部12aを設けてもよいし、設けなくてもよい。また、弾性板12の延出部12aとして、弾性板12に別の部材を溶接等で設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明のオイルパン清掃機が適用される乗客コンベア全体の概略構成図である。
【図2】図1に示す乗客コンベアの上部機械室の説明図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るオイルパン清掃機の構成を示す斜視図である。
【図4】該オイルパン清掃機がオイルパンの逆向き継ぎ目箇所の段差を走行する時の状態を示す側面図である。
【図5】該オイルパン清掃機の他の取付状態を示す側面図である。
【図6】本発明の第1実施形態例に係るオイルパン清掃機が適用される他の乗客コンベア全体の概略構成図である。
【図7】該オイルパン清掃機が該乗客コンベアの隙間を走行する時の状態を示す側面図である。
【図8】本発明の第2実施形態例に係るオイルパン清掃機の構成を示す斜視図である。
【図9】本発明の第3実施形態例に係るオイルパン清掃機の構成を示す斜視図である。
【図10】本発明の第3実施形態例に係るオイルパン清掃機の使用時の状態を示す断面正面図である。
【図11】本発明の第4実施形態例に係るオイルパン清掃機の構成を示す斜視図である。
【図12】従来の乗客コンベアの清掃機の構成を示す斜視図である。
【図13】該清掃機の使用状態を示す側面図である。
【図14】該清掃機がオイルパン上の逆向き継ぎ目箇所を摺動走行する時の状態を示す側面図である。
【図15】乗客コンベアの清掃装置の構成を示す斜視図である。
【図16】該清掃装置の使用状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 乗客コンベア
2 踏段鎖
3 踏段
3A 踏段枠
3B 踏み体
3C ライザー
3D 前輪
3E 後輪
4 欄干
5 オイルパン
6 ターミナルギヤ
7 乗降口床板
8H 上部機械室
8L 下部機械室
9 オイルパン清掃機
10 中間体
11 支持部材
12 弾性板
12a 延出部
13 折り返し部
14 他の乗客コンベア
15 清掃装置
16 ガイドレール
17 連結板
18 オイルパン清掃機
19 ウェート
20 オイルパン清掃機
21 案内レール
22 レールブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状に連結された踏段鎖に踏段が取り付けられた無端状コンベアを周回走行させることにより、前記踏段上の乗客を搬送する乗客コンベアの下側に沿って延設されたオイルパン上に堆積した塵埃を清掃するための乗客コンベア用オイルパン清掃機において、板状の中間体と、前記中間体の一端に回動可能に設けられた支持部材と、前記中間体の他端に設けられたくの字型形状の弾性板と、前記弾性板の下端部の両側端に設けられた起立片とを備え、前記支持部材を前記踏段に取り付けると共に、前記中間体を前記踏段の進行方向に向って延在させ、かつ前記弾性板の下端部を前記オイルパンに摺接させて走行させるようにしたことを特徴とする乗客コンベア用オイルパン清掃機。
【請求項2】
請求項1記載の乗客コンベア用オイルパン清掃機において、前記起立片が前記弾性体の下端部の両側端を折り曲げて形成した折り返し部であることを特徴とする乗客コンベア用オイルパン清掃機。
【請求項3】
請求項1記載の乗客コンベア用オイルパン清掃機において、前記支持部材を前記踏段の幅寸法の半分以下に設定し、前記支持部材を1台の前記踏段に対して複数取り付け可能にしたことを特徴とする乗客コンベア用オイルパン清掃機。
【請求項4】
請求項1記載の乗客コンベア用オイルパン清掃機において、前記弾性板に前記中間体よりも外側に突出する延出部を設けたことを特徴とする乗客コンベア用オイルパン清掃機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2010−6558(P2010−6558A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−169156(P2008−169156)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(000232955)株式会社日立ビルシステム (895)
【Fターム(参考)】