説明

乗用田植機における植え付け部の田面走行装置

【課題】田植機もコスト低減し,且つ能率UPが求められている、能率UPは速度UPである、速度UPは大幅なコストUPにはならない、速度UPすると現在の田植機のフロート構造では田面表層の水と泥がフロート前方に山となる、そのために既植えた苗に水と泥を被る事になり、浮き苗が出来たり、隣条が田植えが出来なくなる。
1,6m/sまでは比較的影響は少ないが、2,2m/s位の高速化するとフロート方式では植え付け不能となる。更に回行時に毎回植え付け部UPが必要、これは時間のロスと運転の困難さを増している。
【解決手段】現状は植え付け部の下部にフロートを設ける構造、この方式をクローラーとならしローターで受ける構造にして、2つの機能を進行方向と同方向に回転させて同下部に水と泥を掻き込み、更に鍬込む構造にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水田圃場の代掻き田面を走行する乗用田植機における植え付け部の田面走行装置の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、水田作業機として乗用田植機の苗植え付け作業の高速化が進んできており、これらは概して植え付け部の植え付け条数を多くすることにより単位面積当たりの作業速度の高速化を図るものであるが、植え付け条数を多くしないで現状より更に乗用田植機の走行速度と植え付け速度を早くすることができれば、小型化と低コスト化にも寄与することになり田植機の進歩を大きく可能にすると考えられる。現行の乗用田植機は植え付け部が5条植え、6条植えタイプの普及が多いが、農地集団化による大規模圃場に適合するためと水田面積10a当たりの能率向上のために、植え付け部が8条植えとか10条植えとかの大型田植機が普及し始めている傾向にある。この場合、植え付け部の横幅寸法が8条植えで2.4m、10条植えで3mと、一般的な道路幅より巾が広くなることもあり、道路移動などが非常に困難又は移動が出来ないなどの問題があり、植え付け部の両端を折り畳み方式にするとか、植え付け部を着脱方式にするなどして、移動時の幅を縮小するなどの対策をする必要があり、この対策追加のために結果的に更に大幅なコスト上昇を招く結果となっている。
【0003】
これらのコスト課題を解決することが今後の田植機の進歩に、非常に重要と思われるが、更なる問題として次の課題も潜在している。すなわち、8条植えとか10条植えとかの大型田植機を現状の田面上を滑走して植え付け部を支持する田面滑走フロートを有する形態のもので高速化すると、水田表層の水、又は泥が、田面滑走フロートに押されて、フロートの前方に大きくせり上がる高い波の山や、泥の山が出来る現象が発生する恐れがある。これら波の山や、泥の山が出来ると田植えした隣接の既植え付け苗側に押し流されて既植え付け苗が押し潰されて、植えた苗が土中に埋まる現象となり、これらの現象発生を怖れて結果的に高速走行では田植えが出来ないこととなる。
【0004】
そのため、これらを解決出来る方法として、例えば特許文献1、2のように田面滑走フロートを省略してクローラー型接地体を採用する方式が提案されているが、これらを参考にして、田面滑走フロート型を、高速走行に適する形態に回転無端帯装置で構成されるクローラー型構造の田面走行装置を採用することにより、泥水押しを少なくする走行速度の高速化が可能であり、高速化が出来れば、植え付け条数が5条植え、6条植えタイプでも高能率な植え付けが可能となり結果として小型化になり、低コスト化も可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−248009号公報
【特許文献2】特開平7−312905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述の通り、近年の田植機は走行速度の高速化が秒速1.6m程度まで進んできた。しかしその高速度で苗を植え付けると、苗植付装置の下方に配置される田面滑走フロートにより水田表層の水が前方に押し出されて、高い水の山が出来る。そうすると、この高い水が植え付け巾だけでなく、隣接する既植え付け苗部にも及ぶ結果、植えた苗がその水を被り植えた苗が浮き苗となる。泥も水と同様にフロート前方に山が出来て、大きい抵抗となり山部が隣接苗部に押し寄せると植えた苗が泥を被る。又次作業工程の苗の非植え付け部に泥を被ると、次期行程での植え付けが出来なくなるなどの弊害が発生する課題があった。
【0007】
また最近の傾向として、枕地の凹凸を均すために田面滑走フロートの前方に整地装置を備えた田植機が多くなってきた。該整地装置は田面に前年の稲株や大きい草があるとそれを乗り越えるだけで土中に鍬込まずに進むので、田面に残された稲株や大きい草など夾雑物の上を田面滑走フロートがくると、該田面滑走フロートが田面より浮上して乗り越えてしまう恐れがあり、そうなると苗は植え付けられずに欠株が発生するという課題があった。
さらに、回行時には走行車輪の持ち上げによる大きい土塊が出来る傾向があり、この土塊により植え付けが不完全となることもあり、この現象は極めて問題である。
【0008】
従来の乗用田植機における田面滑走フロートによる水と泥押しによる抵抗力は意外に大きく、深田ならばより一層抵抗力が大きくなる。そのため、この抵抗力で車輪のスリップは10%位もあることとなり、消費馬力の浪費を誘因することとなっているが、このスリップが減少すれば消費馬力も小となる利点がある。
【0009】
前述の従来フロート構造では回行時には必ず苗植付装置を田面より上方に上昇させないと回行出来ない。その原因はフロートで泥を横に押すために抵抗が大となり回行が出来ないからである。そのために枕地回行時には毎回必ず植え付け部を上昇する必要があるので、結果として時間と回転半径が大となる。
植え付け部を上昇することにより前後の重量バランスが崩れて、田植機の機体前方側ヘッドが上昇気味となって回行するので、前輪の操向操作性が円滑に行かなくなって回行操作により長時間が掛かり、更に深田では回行の苦労が多く運転の未熟者には回向操作の負担がより大である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたもので、第一に、走行機体の後方に上下動可能に支架した植え付け部の下方に苗植え付け予定箇所より前方位置で、該苗植え付け予定箇所の仮想延長軌跡線上の苗植え付け条間幅内に位置させて無端帯状のクローラーを進行方向に駆動回転自在に備え、更に該クローラーの前部左右に位置させて苗植え付け予定箇所の田面を均す回転型のならしローターを設置した構造とし、該クローラー前部の駆動スプロケットとならしローターとを進行方向に対して横方向に配設した前軸に同軸支持して駆動可能にして、植え付け部が前進しても該クローラーとならしローターの前部に泥や水が滞留しないように構成すると共に、該クローラーとならしローターとにより植え付け部を田面高さに沿って移動させる構造にしたことを特徴とするものである。
【0011】
上記の構成により、走行機体の前進に伴って植え付け部が前進すると苗植え付け条間幅内に位置されるクローラーと苗植え付け予定箇所の田面を均すならしローターが回転して、該クローラーとならしローターの前部に泥や水が滞留しないようにするので、高速植え付けが可能となる。そして、該クローラーとならしローターは同軸支持により構成簡単にして同期回転して作動が確実である。
【0012】
そして、第二に、クローラーの接地部外周に田面上の稲株や夾雑物などを田面に鍬込むために進行方向に横断する突起状の横杆を一定間隔毎に設け、該横杆の先端部に薄片状の水かきを附けた形状にすると共に、ならしロータはスターホイール状に形成したことを特徴とする。これにより、クローラーとならしローターの前部に泥や水が滞留しないようにすると共に、田面に残された稲株や夾雑物などを田面に押し込んで鍬込むので、クローラーとならしローターは確実に田面に沿って前進し苗の植え付けを安定させる。
【0013】
また、第三に、植え付け部の走行速度に対して、クローラーの接地走行速度およびならしローターの接地回転速度をやや早くしたことを特徴とするものである。これにより、クローラーとならしローターの前部の泥や水を積極的に後方に逃がすように作用するので、機体の前進速度を高速化してもクローラーとならしローターの前部に泥や水が滞留することがない。
【0014】
さらに、第四に、植え付け爪による植え付け予定箇所の前方に船舳先形態状の防護板を設置したことを特徴とするものである。これにより、防護板で植え付け予定箇所へ泥や水の流れ込みを阻止するので、高速化による泥や水の影響を受けることなく植え付け爪による苗の植え付けを確実にできる。
【発明の効果】
【0015】
上記の解決手段により、走行機体を高速で前進させても苗植え付け条間幅内に位置されるクローラーと苗植え付け予定箇所の田面を均すならしローターが回転して、該クローラーとならしローターの前部に泥や水が滞留しないようにするので、高速植え付けが可能となる。そして、該クローラーとならしローターは同軸支持により構成簡単にして同期回転して作動が確実である。
【0016】
クローラーとならしローターで、田面に残された稲株や夾雑物などを田面に押し込んで鍬込むので、クローラーとならしローターは確実に田面に沿って前進し苗の植え付けを安定させる。
また植え付け部の走行速度に対して、クローラーの接地走行速度およびならしローターの接地回転速度をやや早くしたことにより、クローラーとならしローターの前部の泥や水を積極的に後方に逃がすように作用するので、機体の前進速度を高速化してもクローラーとならしローターの前部に泥や水が滞留することがない。
船舳先形態状の防護板で植え付け予定箇所へ泥や水の流れ込みを阻止するので、高速化による泥や水の影響を受けることなく植え付け爪による苗の植え付けを確実にできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来の乗用田植機におけるフロート装着型の植え付け部側面図である。
【図2】本発明の乗用田植機の全体側面図である。
【図3】本発明の乗用田植機の植え付け部側面図である。
【図4】本発明の乗用田植機の平面図である。
【図5】本発明の田面走行部(側部位置型)の詳細側面図である。
【図6】本発明の田面走行部(中央位置型)の詳細側面図である。
【図7】本発明の田面走行部の要部配置を示す拡大平面図である。
【図8】本発明のクローラーの形状を示す要部拡大側面図である。
【図9】本発明の田面走行部の詳細背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は従来型の乗用田植機を示し、走行機体の後方に上下動可能に支持される植え付け部4のフロート3構造のタイプを例示している。このものは、植え付けの前進速度が1,6m/s位までは、水2も泥1もフロート3の前方に極端に盛り上がらないので植え付けは出来る。しかし植え付けの前進速度が2,2m/s位になると水2や泥1が大きく盛り上がる傾向にある。そうなると盛り上がる水2により田表層に大きい波が出来て既植え付け苗を倒すこととなり、泥1が押し戻される場合は既植え付け苗が泥を被る弊害が発生する。更に隣接の次行程条の植え付け部にも泥を被るので苗が植え付けられない恐れが発生する。又フロート3で水2が押し戻される事により浮いた稲株が田表層の両隅(枕地部分)に漂うように集積されると植えた苗上に被る現象が出る、このために植えられた苗が成長しない。これらの現象は深田が多い日本では、より顕著に発生するので田植えが出来ない現象が起こる。
これが現状の乗用田植機が抱えている問題であり、ユーザーから今後小型安価と能率向上をより求められるのに呼応する事が出来ない。本発明はこの現象を解決するものである。
【0019】
次に本発明の一実施形態を図面の図2〜図9に基づいて説明する。40は乗用田植機の走行機体であり、この走行機体40は機体の前方側に図示しないエンジン及び操縦ハンドル41と運転席42とを備え、後方に油圧シリンダ機構等で昇降動作されるトップリンク、ロアリンクよりなる昇降機構43によって植付装置14を左右ローリング自在に支持している。
【0020】
上記植付装置14には植付機枠44に苗載台45及び伝導ケース46から駆動される植付爪7が6条分設けてあり、上記植付機枠44の下方に後述する接地体を構成する無端帯装置15を、在来の田植機の接地(滑走)フロート3に代えて設けている。
そしてこの無端帯装置15は、接地用センサとして作用させて植付深さ制御できるように、後方の後軸17を中心として前方側が地面に沿って上下動可能となるように設けてある。
【0021】
この無端帯装置15は、外周面に突起歯を多数突設した広巾なベルト状の側部クローラー5を有する田面走行部A29と、中央クローラー18を有する田面走行部B30から構成される。田面走行部A29はエンジンから駆動軸8に伝達され、ギヤーケース(図示せず)内のベベルギア10が回動され、後軸17を回動させ、該後軸17に軸装されているスプロケット32、更にスプロケット12に伝達されて側部クローラー5が回動されて4組の田面走行部A29を走行させる。
中央に一組配置される田面走行部B30は、エンジンからの駆動を上記同様に後軸17に伝導され、該後軸17に軸装されているスプロケット32、更にスプロケット12、スプロケット26に伝達され中央クローラー18は田面走行部B30を走行させる。
田面走行部A29は後軸17にスプロケット32は軸装され、フレーム24に前軸A13は軸支され、スプロケット12は前軸A13に遊動される。側部クローラー5はスプロケット32とスプロケット12に懸架されて回動する、側部クローラー5の左右には苗植え付け予定箇所を均す側面視スターホイル状のならしローター6が前軸A13に軸装される。
【0022】
田面走行部B30は後軸17にスプロケット32は軸装され、フレーム31に前軸A13は軸支され、スプロケット12は前軸A13に遊動される。前軸B25はリンク11に固定され、スプロケット26を遊動している、中央クローラー18はスプロケット12とスプロケット26とスプロケット12に懸架されて回動する、中央クローラー18の左右には苗植え付け予定箇所を均す側面視スターホイル状のならしローター6が前軸A13に軸装される。
側部クローラー5、中央クローラー18の接地回転速度は走行速度よりも大きな周速で回転させるようにしている。したがって機体の前進速度よりもクローラーの後方への掻き込み速度が早いので、各クローラーの前部に泥や水を堆積することを防止できる。
ならしローター6は前軸A13に軸装され、且つ側部クローラー5及び中央クローラー18の両端近くに位置して装備され、形状は泥1や水2や稲株等が鍬込み易くするために回転体で、その表面は側面視スターホイル状に凹凸形状をしている。
【0023】
またこの実施形態における中央クローラー18の感知部23は田面の凹凸或いは硬軟を感知し、田面走行部A29と田面走行部B30を水平に走行させる機能を持つ、田面走行部B30はリンク11にスプリング21とリンク22が懸架されていて感知部23が凹凸或いは硬軟を感知すると後軸17を中心にして田面走行部B30が、長孔13部を上下に制御しながら植え付け作業を行う。
田面走行部A29は田面走行部B30と前軸A13と後軸17とで繋がっているので、感知部23が可動すると4組の田面走行部A29も同様に可動し水平を保ちながら前進する。その為に苗の植付深さを所望の一定深さに植え付け作業が出来る。
【0024】
次に図7において田面走行部A29と田面走行部B30の実施形態について説明をする、田面に田植えをする時田面は凹凸や軟弱な状態や更に稲株が残っているのが普通の田植え前の田面の状態である、この様な田面に田植えをすると欠株となる、これを無くすには鍬込むことである、もう1つ大きい問題は速度を2,2m/s位の高速に上げると現形態のフロート3が水2と泥1を鍬込まずに押して行くので、水2と泥1が植えた条や隣接条の苗を押し潰す作用をするために2,2m/s位の高速度には上げることが出来ない。本発明では、田面走行部A29と田面走行部B30の側部クローラー5と中央クローラー18と、更にならしローター6とが水2と泥1を鍬込んで植えて行くので欠株が発生しない。これは前記のように機体の前進速度よりもクローラーの後方への掻き込み速度が早いので、各クローラーの前部に泥や水を堆積することを防止できることに起因する。
側部クローラー5と中央クローラー18が水2と泥1を鍬込んで行くが、接地側の一側から通過する泥水がある、それを通過しても植え付けた苗を倒さないように、植え付け爪7の前方に防護板20を設ける、防護板20は枠体A33に取り附けられた枠体Bにネジ35で螺着されている、防護板20の先端部は船の舳先状形態にしてあり鋭角で植え付け爪7を防護するような形状である。
【0025】
植え付け作業時に田面走行部A29と田面走行部B30の側部クローラー5と中央クローラー18が水2と泥1を鍬込んで行くが、接地側の一側から通過する泥水がある、植え付け爪7で植えられた苗を守る為に防護板20があるが、泥水の通過のために側部クローラー5と中央クローラー18の終端位置を植え付け爪7より前方にして、更に側部クローラー5と中央クローラー18の間隔を設けた構造である為に泥水の前押しや側方への泥水流の発生を抑制することが出来、泥水流による植え付け苗の押し倒し等を防止することが出来る。又側部クローラー5と中央クローラー18は無端帯状の輪型でその外周に等間隔に配設される多数の突起ラグ27を以って地表を掻き取るように均すので除草及び碎土整地を良好に行う事が出来る。側部クローラー5と中央クローラー18は無端帯状の輪型で多数の突起ラグ27は先端部が突起ラグ27より薄くなって水かき28形状をしているので、泥や水の押し返しを少なくしてより地表を掻き取るように均すので除草及び碎土整地を良好にする。
【0026】
また広巾な接地面に形成された無端帯装置15は、植付深さ自動制御機構の田面走向部B30の感知センサ機能を持ちながら、植付装置14を安定状態に支持して植付け爪7による植付深さを一定に行なわせるように作用できる。このとき、植付け爪7の前方に配設された無端帯装置15は、地表を良好に整地しながら機体の走行を促進させるように作用を行なう特徴がある。
【0027】
前述の従来フロート3構造では回行時には必ず苗植付装置14を田面より上方に上昇させないと回行出来ない。その原因はフロート3で泥を横に押すために抵抗が大となり回行が出来ないからである。そのために枕地回行時には毎回必ず植え付け部14を上昇する必要があるので、結果として時間と回転半径が大となる。
植え付け部14を上昇することにより前後の重量バランスが崩れて、田植機の機体前方側ヘッドが上昇気味となって回行するので、前輪の操向操作性が円滑に行かなくなって回行操作により長時間が掛かり、更に深田では回行の苦労が多く運転の未熟者には回向操作の負担がより大となる。
【0028】
以上に説明したように、各クローラーの接地走行速度は、走行車輪による植え付け部の走行速度よりややクローラーの方を早く設定するので泥や水の押し返しがないことになる。。更にクローラーのラグの形をより泥や水を鍬込むために特殊な形でクローラーの先端部に水かきを附けた形状にしたクローラーのラグ形状にされているので田面の泥や水の押し返しを少なくしてより地表を掻き取るように均すので除草及び碎土整地を良好にする。
【0029】
クローラーの巾は植え付け部の条間巾が30cmの場合は、左右両ビーク(植え付け爪)の幅位置(条間)よりやや狭く設定することになる。クローラーの配置長さは植え付け部のビーク近辺位まで延長する。クローラーの高さ位置は田面に対し常にセンサーにより一定の高さを保つ構造である。
クローラーの形状は先端部が水かきを持ち、駆動スプロケットと転輪、遊動輪で構成される。
【0030】
植え付け部のフロート構造はフロートの前面がブルドーザーの如く水と泥を押して行く、1,6m/s以上の速度UPすると特に強くなる、このことから1,6m/s以上の速度では植え付けが出来ない、2,2m/s以上の速度で植え付けが可能になれば約40%の能率向上が出来る。本発明のクローラーとならしローター同軸の構造にすると、クローラーとならしローターが駆動されているので、水と泥を2つが食い込んで進む、従って速度UPが可能となる。また、8条とか10条の機械はコストが高い、更に巾が広いので移動用トラックが別に必要となる、又巾が広いと道路運搬が出来ない、小型高速化となれば大幅なコスト低減になる。
【0031】
現在の市場に普及されている乗用型の田植え機械は、植え付け横幅の全域に亘るように横方向にならしローターが設けられており、該ならしローターで整地をしてからその後にフロートが設置されている、しかしこのフロートがブルドーザーの作用をして車輪が10%位もスリップしている、本発明構造になるとこの抵抗が軽減され速度UPが可能となる。
【0032】
現市場の乗用型の田植え機械は回行時にフロートが泥を押すので必ず植え付け部のUPが必要である、本発明構造では2つの働きでUPの必要性がない、植え付け部をUPすると後バランスとなりヘッドUPするので操作が困難、更に時間的にも早くなり隣接の条に入りやすい、これらの働きで初歩の人にも運転がより可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
今後田植機には施肥機とか防除機等のセットがより多くなる、その場合に田植機の後方に大きい荷重が掛かる可能性がある、クローラー5とならしローター6による荷重を受ける面積が大で深い田でも田植えが出来る。更に本発明は生産後販売する予定で、顧客から強い要望もある。
【符号の説明】
【0034】
1 泥、
2 水
3 フロート
4 従来型の植え付け部
5 クローラー
6 ならしローター
7 植え付け爪
15 無端帯装置
18 クローラー
20 防護板
29 田面走行部A
30 田面走行部B

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体の後方に上下動可能に支架した植え付け部の下方に苗植え付け予定箇所より前方位置で、該苗植え付け予定箇所の仮想延長軌跡線上の苗植え付け条間幅内に位置させて無端帯状のクローラーを進行方向に駆動回転自在に備え、更に該クローラーの前部左右に位置させて苗植え付け予定箇所の田面を均す回転型のならしローターを設置した構造とし、該クローラー前部の駆動スプロケットとならしローターとを進行方向に対して横方向に配設した駆動軸に同軸支持して駆動可能にして、植え付け部が前進しても該クローラーとならしローターの前部に泥や水が滞留しないように構成すると共に、該クローラーとならしローターとにより植え付け部を田面高さに沿って移動させる構造にしたことを特徴とする乗用田植機における植え付け部の田面走行装置。
【請求項2】
クローラーの接地部外周に田面上の稲株や夾雑物などを田面に鍬込むために進行方向に横断する突起状の横杆を一定間隔毎に設け、該横杆の先端部に薄片状の水かきを附けた形状にすると共に、ならしロータはスターホイール状に形成したことを特徴とする請求項1に記載の乗用田植機における植え付け部の田面走行装置。
【請求項3】
植え付け部の走行速度に対して、クローラーの接地走行速度およびならしローターの接地回転速度をやや早くしたことを特徴とする請求項1に記載の乗用田植機における植え付け部の田面走行装置。
【請求項4】
植え付け爪による植え付け予定箇所の前方に船舳先形態状の防護板を設置したことを特徴とする請求項1に記載の乗用田植機における植え付け部の田面走行装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−193794(P2011−193794A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−63955(P2010−63955)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(397008775)有限会社曽田農機設計事務所 (3)
【Fターム(参考)】