説明

乱用防止固体剤形を製造する方法

本発明は、活性成分および結合剤を含む混合物を超音波および力に呈することによって、乱用の可能性のある少なくとも1つの活性成分および≧500Nの破壊強度を有する結合剤を含有する乱用防止固体剤形を製造する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性成分および結合剤を含む混合物を超音波および力に呈することによって、乱用の可能性のある少なくとも1つの活性成分および500N以上の破壊強度を有する結合剤を含有する乱用防止固体剤形を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の医薬品の活性成分は、適当な適用におけるすぐれた活性以外に、乱用の可能性も有する、すなわち、それらは、意図された作用以外の作用を生ずるために乱用者によって使用される可能性がある。例えば、非常に激しい痛みに奏効する際に活性が高いオピエートは、麻酔または陶酔感状態を誘導するために乱用者によって使用されることが多い。
【0003】
乱用を可能にするためには、錠剤またはカプセルなどの対応する剤形が乱用者によって粉砕される、例えば、乳鉢ですり潰され、得られた粉末から好ましくは水溶液を使用して活性成分が抽出され、必要に応じて脱脂綿またはセルロースの詰め物でろ過後、非経口的に、特に静脈内投与される。経口による乱用投与と比較して、この種類の投与の追加の現象は、活性成分レベルの加速された上昇であり、乱用者に望ましい作用、すなわち「キック」または「ラッシュ」を与える。このキックはまた、粉末状の剤形が経鼻投与される、すなわち鼻で吸われる場合にも得られる。乱用の可能性のある活性成分を含有する徐放性剤形は、乱用により大量に経口摂取された場合でも乱用者が望むキックを生じないので、乱用のためにこのような剤形も粉砕され、抽出される。
【0004】
US−A−4,070,494号は、乱用を防止するために、剤形に膨潤剤を添加することを提案した。活性成分を抽出するために水が添加されると、この物質は膨潤し、ゲルから分離されたろ液は活性成分を少量しか含有しないことを確実にする。
【0005】
国際公開第95/20947号パンフレットに開示されている多層錠剤は、非経口的乱用を防止する方法と同様の方法に基づいており、その錠剤は、各々異なる層に乱用の可能性のある活性成分および少なくとも1つのゲル形成物質を含有する。
【0006】
国際公開第03/015531A2号パンフレットは、経口的乱用を防止する別の方法を開示している。鎮痛作用のあるオピオイドおよび嫌悪剤としての染料を含有する剤形がその公報に記載されている。剤形に混入することによって放出される色は、乱用者が混入されている剤形を使用する気をなくすことが意図されている。
【0007】
乱用を困難にする別の公知の選択肢は、活性成分のアンタゴニスト、例えば、オピオイドの場合にはナロキソンもしくはナルトレキソンまたは例えば、イペカク(トコン)根茎などの生理的防御応答を生じる化合物を剤形に添加することに関係する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、過去と同様に、ほとんどの場合において、剤形を粉砕することが乱用の目的に必要に必要であるので、本発明の目的は、乱用の可能性のある活性成分を含む剤形を製造する方法であり、その方法では、適切に投与される場合には、剤形は望ましい治療作用を確実にするが、乱用者の可能性のある者に従来利用されている手段を使用する単に粉砕による乱用に好適な剤形に活性成分を変換することができない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、活性成分および結合剤を含む混合物を超音波および力に呈することによって、乱用の可能性のある少なくとも1つの活性成分および500N以上の破壊強度を有する少なくとも1つの結合剤を含有する乱用防止固体剤形を製造するための本発明による方法を提供することによって達成された。
【発明の効果】
【0010】
超音波および500N以上の破壊強度を有する剤形が得られる量の記載されている破壊強度を有する少なくとも1つの結合剤を使用する本発明の方法により、従来の手段を使用する剤形の粉砕、従ってその後の乱用を困難にするまたは防止することがかなり可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
粉砕が不充分である場合には、非経口、特に静脈内投与は安全に実施することができずまたは活性成分の抽出は乱用者にとって時間が長くかかりまたは放出が即時ではないので、経口により乱用される場合、「キック」が生じない。
【0012】
本発明によると、粉砕は、例えば、乳棒および乳鉢、ハンマー、木槌または力を適用することによって粉砕するための他の通常の手段などの乱用者が利用することができる従来の手段による固体剤形の粉砕を意味すると解釈される。
【0013】
従って、本発明による方法は、活性成分、好ましくは、乱用の可能性がある薬剤の活性成分の非経口、経鼻および/または経口による乱用を防止するのに好適である剤形を生ずる。
【0014】
乱用の可能性のある活性成分、好ましくは、乱用の可能性のある薬剤の活性成分は、剤形と同様に当業者に公知であり、本発明による方法によって、対応する誘導体、特にエステル、エーテルもしくはアミドの形態で、または各場合において、対応する生理学的に許容される化合物の形態で、特に塩もしくは溶媒和物の形態で、ラセミ体、エナンチオマーもしくは立体異性体として乱用を防御することができる。本発明により製造される剤形は、1つ以上の活性成分、好ましくは、1つだけの活性成分を含有することができる。
【0015】
本発明による方法は、麻薬性鎮痛薬、オピオイド、精神安定薬、好ましくは、ベンゾジアゼピン、バルビツール酸塩、覚醒剤およびさらに麻薬を含む群由来の薬剤の活性成分の乱用を防止するのに特に好適である。
【0016】
本発明による方法は、N−{1−[2−(4−エチル−5−オキソ−2−テトラゾリン−1−イル)エチル]−4−メトキシメチル−4−ピペリジル}プロピオンアニリド(アルフェンタニル)、5,5−ジアリルバルビツール酸(アロバルビタール)、アリルプロジン、アルファプロジン、8−クロロ−1−メチル−6−フェニル−4H−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]−ベンゾジアゼピン(アルプラゾラム)、2−ジエチルアミノプロピオフェノン(アンフェプラモン)、(±)−α−メチルフェネチルアミン(アンフェタミン)、2−(α−メチルフェネチルアミノ)−2−フェニルアセトニトリル(アンフェタミニル)、5−エチル−5−イソペンチルバルビツール酸(アモバルビタール)、アニレリジン、アポコデイン、5,5−ジエチルバルビツール酸(バルビタール)、ベンジルモルフィン、ベンジトラミド(benzitramide)、7−ブロモ−5(2−ピリジル)−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2(3H)−オン(ブロマゼパム)、2−ブロモ−4−(2−クロロフェニル)−9−メチル−6H−チエノ[3,2−f][1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ジアゼピン(ブロチゾラム)、17−シクロプロピルメチル−4,5α−エポキシ−7α[(S)−1−ヒドロキシ−1,2,2−トリメチル−プロピル]−6−メトキシ−6,14−エンド−エタノモルフィナン−3−オール(ブプレノルフィン)、5―ブチル―5―エチルバルビツール酸(ブトバルビタール)、ブトルファノール、7−クロロ−1,3−ジヒドロ−1−メチル−2−オキソ−5−フェニル−2H−1,4−ベンゾジアゼピン−3−イル)ジメチルカルバメート(カマゼパム)、(1S,2S)−2−アミノ−1−フェニル−1−プロパノール(カチン/D−ノルシュードエフェドリン)、7−クロロ−N−メチル−5−フェニル−3H−1,4−ベンゾジアゼピン−2−イルアミン4−オキシド(クロロジアゼポキシド)、7−クロロ−1−メチル−5−フェニル−1H−1,5−ベンゾジアゼピン−2,4(3H,5H)−ジオン(クロバザム)、5−(2−クロロフェニル)−7−ニトロ−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2(3H)−オン(クロナゼパム)、クロニタゼン、7−クロロ−2,3−ジヒドロ−2−オキソ−5−フェニル−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−3−カルボン酸(クロラゼペート)、5−(2−クロロフェニル)−7−エチル−1−メチル−1H−チエノ[2,3−e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン(クロチアゼパム)、10−クロロ−11b−(2−クロロフェニル)−2,3,7,11b−テトラヒドロ−オキサゾロ[3,2−d][1,4]ベンゾジアゼピン−6(5H)−オン(クロキサゾラム)、(−)−メチル−[3β−ベンゾイルオキシ−2β(1αH,5αH)−トロパンカルボキシレート](コカイン)、4,5α−エポキシ−3−メトキシ−17−メチル−7−モルフィナン−6α−オール(コデイン)、5−(1−シクロヘキセニル)−5−エチルバルビツール酸(シクロバルビタール)、シクロルファン(cyclorphan)、シプレノルフィン(cyprenorphine)、7−クロロ−5−(2−クロロフェニル)−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2(3H)−オン(デロラゼパム)、デソモルフィン、デキストロモラミド、(+)−(1−ベンジル−3−ジメチルアミノ−2−メチル−1−フェニルプロピル)プロピオネート(デキストロプロポキシフェン)、デゾシン、ジアンプロミド、ジアモルホン(diamorphone)、7−クロロ−1−メチル−5−フェニル−1H−1,4−ベンゾジアゼピン2(3H)−オン(ジアゼパム)、4,5α−エポキシ−3−メトキシ−17−メチル−6α−モルヒナノール(ジヒドロコデイン)、4,5α−エポキシ−17−メチル−3,6a−モルヒナンジオール(ジヒドロモルフィン)、ジメノキサドール、ジメフェタモール(dimephetamol)、ジメチルチアムブテン、ジオキサフェチルブチレート、ジピパノン、(6aR,10aR)−6,6,9−トリメチル−3−ペンチル−6a,7,8,10a−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[c]クロメン−1−オール(ドロナビノール)、エフェドリン、シュードエフェドリン、エプタゾシン、8−クロロ−6−フェニル−4H−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−(a)][1,4]ベンゾジアゼピン(エスタゾラム)、エトヘプタジン、エチルメチルチアンブテン、エチル[7−クロロ−5−(2−フルオロフェニル)−2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−3−カルボキシレート](エチルロフラゼペート)、4,5α−エポキシ−3−エトキシ−17−メチル−7−モルフィネン−6α−オール(エチルモルフィン)、エトニタゼン、4,5α−エポキシ−7α−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)−6−メトキシ−17−メチル−6,14−エンド−エテノ−モルフィナン−3−オール(エトルフィン)、N−エチル−3−フェニル−8,9,10−トリノルボルナン−2−イルアミン(フェンカンファミン)、7−[2−(α−メチルフェネチルアミノ)エチル]−テオフィリン)(フェネチリン)、3−(α−メチルフェネチルアミノ)プロピオニトリル(フェンプロポレックス)、N−(1−フェネチル−4−ピペリジル)プロピオンアニリド(フェンタニル)、7−クロロ−5−(2−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2(3H)−オン(フルジアゼパム)、5−(2−フルオロフェニル)−1−メチル−7−ニトロ−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2(3H)−オン(フルニトラゼパム)、7−クロロ−1−(2−ジエチルアミノエチル)−5−(2−フルオロフェニル)−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2(3H)−オン(フルラゼパム)、7−クロロ−5−フェニル−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2(3H)−オン(ハラゼパム)、10−ブロモ−11b−(2−フルオロフェニル)−2,3,7,11b−テトラヒドロ[1,3]オキサゾロ[3,2−d][1,4]ベンゾジアゼピン−6(5H)−オン(ハロキサゾラム)、ヘロイン、4,5α−エポキシ−3−メトキシ−17−メチル−6−モルフィナノン(ヒドロコドン)、4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチル−6−モルフィナノン(ヒドロモルホン)、ヒドロキシペチジン、イソメサドン、ヒドロキシメチルモルフィナン、11−クロロ−8,12b−ジヒドロ−2,8−ジメチル−12b−フェニル−4H−[1,3]オキサジノ−[3,2−d][1,4]ベンゾジアゼピン−4,7(6H)−ジオン(ケタゾラム)、1−[4−(3−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−4−ピペリジル]−1−プロパン(ケトベミドン)、(3S,6S)−6−ジメチルアミノ−4,4−ジフェニルヘプタン−3−イルアセテート(レバセチルメサドール(LAAM))、(−)−6−ジメチルアミノ−4,4−ジフェノール−3−ヘプタノン(レボメサドン)、(−)−17−メチル−3−モルフィナノール(レボルファノール)、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、6−(2−クロロフェニル)−2−(4−メチル−1−ピペラジニルメチレン)−8−ニトロ−2H−イミダゾ[1,2−a][1,4]−ベンゾジアゼピン−1(4H)−オン(ロプラゾラム)、7−クロロ−5−(2−クロロフェニル)−3−ヒドロキシ−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2(3H)−オン(ロラゼパム)、7−クロロ−5−(2−クロロフェニル)−3−ヒドロキシ−1−メチル−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2(3H)−オン(ロルメタゼパム)、5−(4−クロロフェニル)−2,5−ジヒドロ−3H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール−5−オール(マジンドール)、7−クロロ−2,3−ジヒドロ−1−メチル−5−フェニル−1H−1,4−ベンゾジアゼピン(メダゼパム)、N−(3−クロロプロピル)−α−メチルフェネチルアミン(メフェノレックス)、メペリジン、2−メチル−2−プロピルトリメチレンジカルバメート(メプロバメート)、メプタジノール、メタゾシン、メチルモルフィン、N,α−ジメチルフェネチルアミン(メタンフェタミン)、(±)−6−ジメチル−アミノ−4,4−ジフェノール−3−ヘプタノン(メサドン)、2−メチル−3−o−トリル−4(3H)−キナゾリノン(メタクアロン)、メチル[2−フェニル−2−(2−ピペリジル)アセテート](メチルフェニデート)、5−エチル−1−メチル−5−フェニルバルビツール酸(メチルフェノバルビタール)、3,3−ジエチル−5−メチル−2,4−ピペリジンジオン(メチルプリロン)、メトポン、8−クロロ−6−(2−フルオロフェニル)−1−メチル−4H−イミダゾ[1,5a][1,4]ベンゾジアゼピン(ミダゾラム)、2−(ベンズヒドリルスルフィニル)アセタミド(モダフィニル)、4,5α−エポキシ−17−メチル−7−モルフィネン−3,6α−ジオール(モルフィン)、ミロフィン(myrophine)、(±)−トランス−3−(1,1,−ジメチルヘプチル)−7,8,9,10α−テトラヒドロ−1−ヒドロキシ−6,6−ジメチル−6H−ジベンゾ−[b,d]ピラン−9(6αH)−オン(ナビロン)、ナルブフェン、ナロルフィン、ナルセイン、ニコモルフィン、1−メチル−7−ニトロ−5−フェニル−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2(3H)−オン(ニメタゼパム)、7−ニトロ−5−フェニル−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2(3H)−オン(ニトラゼパム)、7−クロロ−5−フェニル−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2(3H)−オン(ノルダゼパム)、ノルレボルファノール、6−ジメチルアミノ−4,4−ジフェニル−3−ヘキサノン(ノルメサドン)、ノルモルフィン、ノルピパノン、ケシ(Papaver somniferum)(アヘン)種に属する植物の浸出液、7−クロロ−3−ヒドロキシ−5−フェニル−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2(3H)−オン(オキサゼパム)、(シス−トランス)−10−クロロ−2,3,7,11b−テトラヒドロ−2−メチル−11b−フェニルオキサゾロ−[3,2−d][1,4]ベンゾジアゼピン−6−(5H)−オン(オキサゾラム)、4,5α−エポキシ−14−ヒドロキシ−3−メトキシ−17−メチル−6−モルヒナノン(オキシコドン)、オキシモルホン、(セチゲルム(setigerum)亜種を含む)ケシ(Papaver somniferum)(アヘン)種に属する植物および植物の一部(ケシ(Papaver somniferum))、パパベレタム、2−イミノ−5−フェニル−4−オキサゾリジノン(ペルノリン)、1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロ−6,11−ジメチル−3−(3−メチル−2−ブテニル)−2,6−メタノ−3−ベンザゾシン−8−オール(ペンタゾシン)、5−エチル−5−(1−メチルブチル)−バルビツール酸(ペントバルビタール)、エチル−(1−メチル−4−フェニル−4−ピペリジンカルボキシレート)(ペチジン)、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、フォルコジン、3−メチル−2−フェニルモルホリン(フェンメトラジン)、5−エチル−5−フェニルバルビツール酸(フェノバルビタール)、α,α−ジメチルフェネチルアミン(フェンテルミン)、7−クロロ−5−フェニル−1−(2−プロピニル)−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2(3H)−オン(ピナゼパム)、α−(2−ピペリジル)−ベンズヒドリルアルコール(ピプラドロール)、1’−(3−シアノ−3,3−ジフェニルプロピル)[1,4’−ビピペリジン]−4’−カルボキサミド(ピリトラミド)、7−クロロ−1−(シクロプロピルメチル)−5−フェニル−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2(3H)−オン(プラゼパム)、プロファドール、プロヘプタジン、プロメドール(promedol)、プロペリジン、プロポキシフェン、N−(1−メチル−2−ピペリジノエチル)−N−(
2−ピリジル)プロピオンアミド、メチル{3−[4−メトキシカルボニル−4−(N−フェニルプロパンアミド)ピペリジノ]プロパノエート}(レミフェンタニル)、5−sec−ブチル−5−エチルバルビツール酸(セクブタバルビタール)、5−アリル−5−(1−メチルブチル)−バルビツール酸(セコバルビタール)、N−{4−メトキシメチル−1−[2−(2−チエニル)エチル]−4−ピペリジル}プロピオン−アニリド(スフェンタニル)、7−クロロ−2−ヒドロキシ−メチル−5−フェニル−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2(3H)−オン(テマゼパム)、7−クロロ−5−(1−シクロヘキセニル)−1−メチル−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2(3H)−オン(テトラゼパム)、エチル(2−ジメチルアミノ−1−フェニル−3−シクロヘキセン−1−カルボキシレート(チリジン(シスおよびトランス))、トラマドール、8−クロロ−6−(2−クロロフェニル)−1−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピン(トリアゾラム)、5−(1−メチルブチル)−5−ビニルバルビツール酸(ビニルビタール)、(1R,2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)フェノール、(1R,2R,4S)−2−(ジメチルアミノ)メチル−4−(p−フルオロベンジルオキシ)−1−(m−メトキシフェニル)シクロヘキサノール,(1R,2R)−3−(2−ジメチルアミノメチル−シクロヘキシル)フェノール、(1S,2S)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)フェノール、(1S,2S)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノール、(2R,3R)−1−ジメチルアミノ−3(3−メトキシフェニル)−2−メチル−ペンタン−3−オール、(1RS,3RS,6RS)−6−ジメチルアミノメチル−1−(3−メトキシフェニル)−シクロヘキサン−1,3−ジオール、好ましくは、ラセミ体として3−(2−ジメチルアミノメチル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)フェニル2−(4−イソブトキシ−フェニル)−プロピオネート、3−(2−ジメチルアミノメチル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)フェニル2−(6−メトキシ−ナフタレン−2−イル)−プロピオネート、3−(2−ジメチルアミノメチル−シクロヘキセ−1−エニル)−フェニル2−(4−イソブチル−フェニル)−プロピオネート、3−(2−ジメチルアミノメチル−シクロヘキセ−1−エニル)−フェニル2−(6−メトキシ−ナフタレン−2−イル)−プロピオネート、(RR−SS)−2−アセトキシ−4−トリフルオロ−メチル−安息香酸3−(2−ジメチルアミノメチル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−フェニルエステル、(RR−SS)−2−ヒドロキシ−4−トリフルオロメチル−安息香酸3−(2−ジメチルアミノメチル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−フェニルエステル、(RR−SS)−4−クロロ−2−ヒドロキシ−安息香酸3−(2−ジメチルアミノメチル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−フェニルエステル、(RR−SS)−2−ヒドロキシ−4−メチル−安息香酸3−(2−ジメチルアミノメチル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−フェニルエステル、(RR−SS)−2−ヒドロキシ−4−メトキシ−安息香酸3−(2−ジメチルアミノメチル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−フェニルエステル、(RR−SS)−2−ヒドロキシ−5−ニトロ−安息香酸3−(2−ジメチル−アミノメチル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−フェニルエステル、(RR−SS)−2’,4’−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−ビフェニル−4−カルボン酸3−(2−ジメチルアミノメチル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−フェニルエステルおよび対応する立体異性化合物、各場合において対応する誘導体、特にアミド、エステルまたはエーテルおよび各場合において、生理学的に許容される化合物、特に塩および溶媒和物、特に好ましくは、塩酸塩を含む群から選択される少なくとも1つのオピオイド、精神安定薬または少なくとも1つの麻薬の乱用を防止するのにより特に好適である。
【0017】
本発明による化合物は、オキシコドン、ヒドロモルホン、モルフィン、トラマドールおよび生理学的に許容される誘導体または化合物、好ましくは、塩および溶媒和物、好ましくは、塩酸塩または硫酸塩またはメチルフェニデートまたは塩または溶媒和物または生理学的に許容される誘導体を含む群から選択されるオピオイド活性成分の乱用を防止するのに特に好適である。
【0018】
本発明による剤形は、さらに、(1R,2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1エチル−2−メチル−プロピル)フェノール、(2R,3R)−1−ジメチルアミノ−3−(3−メトキシフェニル)−2−メチル−ペンタン−3−オール、(1RS,3RS,6RS)−6−ジメチルアミノメチル−1−(3−メトキシフェニル)−シクロヘキサン−1,3−ジオール、(1R,2R)−3−(2−ジメチルアミノンエチル−シクロヘキシル)フェノール、生理学的に許容される塩、好ましくは、塩酸塩、生理学的に許容されるエナンチオマー、立体異性体、ジアステレオマーおよびラセミ体ならびに生理学的に許容される誘導体、好ましくは、エーテル、エステルまたはアミドを含む群から選択されるオピオイド活性成分の乱用を防止するのに特に好適である。
【0019】
これらの化合物およびそれらの製造方法は、それぞれ、EP−A−693475およびEP−A−780369に記載されている。対応する説明は参照として本明細書に取り込まれており、開示内容の一部であるとみなされる。
【0020】
本発明による剤形の必要な破壊強度を達成するために、本願に開示されている方法を使用して測定したとき、少なくとも500 Nの破壊強度を有する少なくとも1つの天然または合成ポリマー(C)および必要に応じて、少なくとも500 Nの破壊強度を有する少なくとも1つのワックス(D)を結合剤として使用する。
【0021】
ポリアルキレンオキサイド、好ましくは、ポリメチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアクリレート、それらのコポリマーを含む群から選択される少なくとも1つのポリマーおよび記載されているポリマーの少なくとも2つの混合物を、好ましくは、ポリマー(C)として使用する。
【0022】
高分子量で熱可塑性のポリアルキレンオキサイドが好ましい。レオロジー測定で測定するとき、分子量が少なくとも50万、好ましくは、少なくとも100万、特に好ましくは、100〜150万、より特に好ましくは、少なくとも500万であるような高分子量ポリエチレンオキサイドが特に好ましい。これらのポリマーは、モデルRVF Brookfield粘度計(スピンドル番号2/回転速度2rpm)を使用して5質量%水溶液で測定するとき、25℃において4500〜17600 cP(mPa・s)の粘度を有し、
記載の粘度計(スピンドル番号1または3/回転速度10rpm)を使用して2質量%水溶液で測定するとき400〜4000 cP(mPa・s)の粘度を有し、または、
記載の粘度計(スピンドル番号2/回転速度 2rpm)を使用して1質量%の水溶液で測定するとき1650〜10000 cP(mPa・s)の粘度を有する。
【0023】
ポリマーは、好ましくは、粉末として使用する。それらは水溶性であってもよい。本発明により製造される剤形の必要な破壊強度を達成するためには、本願に開示されている方法を使用して測定するとき、少なくとも500 Nの破壊強度を有する少なくとも1つの天然、半合成または合成ワックス(D)を追加のさらに別の結合剤として使用することができる。少なくとも60℃、好ましくは、少なくとも80℃の軟化点を有するワックスが好ましい。カルナウバワックスおよびミツロウが、特に好ましく、カルナウバワックスが最も好ましい。カルナウバワックスは、カルナウバヤシの葉から得られ、少なくとも80℃の軟化点を有する天然ワックスである。ワックス成分をさらに使用する場合には、本発明により製造される剤形が少なくとも500Nの破壊強度を有する量の少なくとも1つのポリマー(C)と共に使用される。
【0024】
結合剤成分は、剤形の総質量に対して少なくとも20質量%、好ましくは、少なくとも35質量%、特に好ましくは、少なくとも50〜99.9質量%、より特に好ましくは、少なくとも60質量%の量で好ましくは使用される。
【0025】
補助物質(B)も本発明の方法に使用してもよい。使用することができる補助物質(B)は、固体剤形の製剤に常套的であるような公知の補助物質である。これらは、好ましくは、ポリエチレングリコールなどの可塑剤、活性成分の放出に影響を与える補助物質、好ましくは、疎水性または親水性、好ましくは、親水性ポリマー、より好ましくは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび/または抗酸化剤である。好適な抗酸化剤はアスコルビン酸、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、アスコルビン酸の塩、モノチオグリセロール、亜リン酸、ビタミンC、ビタミンEおよびそれらの誘導体、亜硫酸水素ナトリウム、特に好ましくは、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)またはブチルニドロキシアニソール(BHA)およびα−トコフェロールである。
【0026】
抗酸化剤は、好ましくは、剤形の総質量に対して0.01〜10質量%の量、好ましくは、0.03〜5質量%の量で使用される。
【0027】
超音波を≧500 Nの破壊強度を有する結合剤と併用して使用することによって、従来の手段を用いた剤形の粉砕、従って任意のその後の乱用を困難にするまたは防止するのに非常に充分に高い剤形の破壊強度を簡単且つ再現性よく達成することが本発明の方法を使用して可能である。
【0028】
本発明の方法を使用すると、必要に応じて、錠剤にプレス成形されるまたはカプセルに充填される、錠剤の形態または多顆粒剤形で、好ましくは、マイクロ錠剤、マイクロペレット、顆粒、微粒子、回転楕円体、ビーズまたはペレットの剤形を得ることが可能である。多顆粒剤形は、好ましくは、0.1〜3mmのサイズまたはサイズ分布、特に好ましくは、0.5〜2mmのサイズまたはサイズ分布を有する。
【0029】
経口剤形は、好ましくは、本発明による方法を使用して製造される。
【0030】
本発明の方法は、最初に、乱用の可能性のある少なくとも1つの成分(A)、記載されている破壊強度の少なくとも1つの結合剤および必要に応じて以下に掲載されている少なくとも1つのさらに別の乱用−防止化合物a)〜f)の均一な混合物を形成することによって実施される。例えば、フィラー、可塑剤、放出を制御する物質、抗酸化剤、スリップ剤または染料などのさらに別の補助物質(B)をこの混合物に導入してもよい。
【0031】
混合は、従来のミキサーの助けで実施することができる。例えば、ロールミキサー、シェイキングミキサー、剪断ミキサーまたはコンパルソリーミキサーが好適である。
【0032】
任意の実施後の得られた粉末混合物を超音波に供する。
【0033】
超音波処理中、好ましくは、成形型中の混合物と超音波装置のソノトロードが直接接触する、すなわち、ソノトロードが混合物に接触することが好ましい。図1に示す超音波装置は、好ましくは、本発明による方法において使用される。
【0034】
この図1において、(1)は必要な力を適用するプレスを示し、(2)はコンバーターを示し、(3)はブースターを示し、(4)はソノトロードを示し、(5)は成形型を示し、(6)は底面パンチを示し、(7)は底面プレートを示し、(8)および(9)は超音波発生装置および装置のコントローラーを示す。超音波装置は1つの成形型および1つの底面パンチだけでなく、これらのユニットの2つ以上を含んでもよく、ソノトロードは上面パンチの対応する数に分割される。
【0035】
1kHz〜2MHz、好ましくは、10〜75kHz、特に好ましくは、20〜40kHzの周波数を超音波処理中に維持する。超音波処理は、結合剤が少なくとも軟化するまで実施するべきである。これは、好ましくは、数秒以内、特に好ましくは、少なくとも0.1秒以内、より特に好ましくは、0.1〜5秒以内、特に0.5〜3秒以内で実施される。
【0036】
超音波処理の目的のために、混合物を成形型内に配置し、ソノトロードを混合物に接触させる。
【0037】
混合物はまた、力の適用による成形に供される。混合物は、好ましくは、超音波処理中または超音波処理後に成形される。
【0038】
成形が上記の超音波装置内で進行する場合には、これは、成形型、底面パンチおよびソノトロードの助けにより実施される。この目的を達成するために、ソノトロードは、プレス(1)の助けにより、混合物に必要な力を発揮する。この方法で、混合物の圧縮により成形される、好ましくは、最終形状が得られる。この成形のために、成形型、底面パンチおよび上面パンチとして作用するソノトロードは、好ましくは、形状、好ましくは、最終形状が達成されるように適合され、パンチフォーマットおよびソノトロードフォーマット、すなわち、対向する端面は形状が相補的である。混合物は固まり、ソノトロードにより混合物に適用される力によって成形される。
【0039】
成形中に発揮される力は、好ましくは、一定に保たれるが、超音波処理は、必要に応じて、変わってもよい。例えば、結合剤を迅速に可塑化し、処理時間を短縮するために、なし得る最高のエネルギー注入が超音波処理の開始時に望ましい場合には、この段階的な超音波処理が好ましくは使用される。例えば、高い超音波振幅に設定することによって、総エネルギー注入量の好ましくは30〜60%もが開始時、すなわち超音波処理の最初の段階において与えられる。
【0040】
超音波処理および力の適用は均一なエネルギー移動を確実にし、従って混合物の迅速で、均一な焼結を生じる。この方法で、≧500Nの破壊強度を有する、従って従来の手段を使用して粉砕することができない剤形が得られる。
【0041】
成形を実施する前に、混合物を顆粒化による事前成形に供してもよく、得られた下流を、超音波処理および力の適用によって錠剤などの望ましい剤形に成形する。
【0042】
顆粒化は、当業者に公知の機械および装置において実施することができる。
【0043】
顆粒化を湿式顆粒化として実施する場合には、例えば、エタノール/水またはイソプロパノール/水などの水または水溶液を顆粒化液として使用することができる。
【0044】
事前成形される混合物または顆粒はまた成形のための溶融押出に供してもよく、混合物は、超音波処理および力の適用によって溶融物に変換され、次いで成形型から押し出される。ここでのソノトロードは、超音波を導入する機能、および、ピストン射出成形機械のようにピストンとしての力を適用する機能を担う。この方法で得られるストランドは公知の装置の助けにより望ましい長さにダイシング(singulated)し、さらに必要に応じて、力およびさらなる超音波を適用することによって最終形状に変換することができる。
【0045】
押出物はまた、好ましくは、力を適用して、2つの反転成形ローラーの間でのカレンダー工程によって最終形状に成形することもできる。
【0046】
しかし、混合物または顆粒を、好ましくは、ピストン射出成形機械の助けにより好適な射出成形を使用して押出物に事前成形し、次いで超音波処理および力の適用に供することも可能である。
【0047】
すでに記載したように、剤形の最終形状への形状化は、乱用の可能性のある活性成分および≧500Nの破壊強度を有する少なくとも1つの結合剤を少なくとも含む混合物、好ましくは、粉末形態から、好ましくは、力の適用による直接圧縮によって進行する。ここで混合物は力の適用前または適用中に超音波に供される。適用される力は、成形、例えば、対応する最終形状に錠剤を成形するまたは顆粒をプレス成形するために従来使用される力に対応してもよい。
【0048】
本発明によると、少なくとも50N、好ましくは、少なくとも200N、より特に好ましくは、少なくとも500Nの力が力の適用中に適用されるべきである。
【0049】
必要な力は、ローラーの助けにより混合物に適用されてもよい。しかし、剤形の形状化は、好ましくは、剤形または成形される対応する顆粒の成分の粉状の混合物の直接プレス成形によって進行し、超音波処理は、好ましくは、成形中または成形前に進行する。超音波処理は、結合剤が軟化するまで進行し、従来1秒未満〜せいぜい5秒のうちに実施され、混合物は、剤形が少なくとも500Nの破壊強度を有する程度に圧縮される。
【0050】
超音波処理し、混合物への力の適用による事前成形後に、従来の錠剤プレスにおける最終的な成形を実施することも可能である。本発明により製造される錠剤は、多層錠剤の形態も取ることができる。
【0051】
多層錠剤では、少なくとも活性成分−含有層は超音波処理および力の適用により製造されるべきである。
【0052】
本発明の製造方法により得られる剤形は、硬度により、乱用者が利用可能な従来の粉砕手段の助けにより粉砕できないという点において識別される。これは、経口、非経口、特に静脈内または経鼻的な乱用を実質的に阻止する。しかし、並外れた力により生じる可能性のある粉砕(comminution)および/または粉砕(pulverisation)事象において、本発明による製造方法によって得られる剤形の任意の可能な乱用を防止するために、好ましい実施態様において、これらの剤形は、補助物質として乱用を困難にするまたは防止するさらに別の物質を含有してもよい。
【0053】
従って、本発明の製造方法により得られる剤形は、乱用の可能性のある1つ以上の活性成分および少なくとも1つの結合剤とは別に、補助物質として以下の成分(a)〜(f)の少なくとも1つをさらに含んでもよい:
(a)鼻腔および/または咽頭を刺激する少なくとも1つの物質、
(b)必要最小量の水性液体の助けにより、剤形から得られる抽出物とゲルを形成し、ゲルは、好ましくは、さらに別の量の水性液体に導入したとき視覚的に識別可能な状態を維持する少なくとも1つの増粘剤、
(c)乱用の可能性のある活性成分の各々の少なくとも1つのアンタゴニスト、
(d)少なくとも1つの催吐剤、
(e)嫌悪剤としての少なくとも1つの染料、
および/または
(f)少なくとも1つの苦味物質。
【0054】
成分(a)〜(f)は、さらに、本発明による製造方法によって得られる剤形を乱用防止するのに各々個別に好適である。従って、成分(a)は、好ましくは、経鼻、経口および/または非経口、好ましくは、静脈内による乱用に対して剤形に抵抗性を与えるのに好適であり、成分(b)は、好ましくは、非経口、特に好ましくは、静脈内および/または経鼻的な乱用に対して剤形に抵抗性を与えるのに好適であり、成分(c)は、好ましくは、経鼻および/または非経口、特に好ましくは、静脈内による乱用に対して抵抗するのに好適であり、成分(d)は、好ましくは、非経口、特に好ましくは、静脈内および/または経口および/または経鼻的な乱用に抵抗するのに好適であり、成分(e)は、経口または非経口的な乱用に対する視覚的な抑止物質として好適であり、成分(f)は、経口または経鼻的な乱用に抵抗するのに好適である。上記の成分の少なくとも1つの本発明による併用使用により、本発明による製造方法によって得られる剤形の乱用を防止することがよりさらに効果的になる。
【0055】
例えば、本発明による方法により得られる剤形は、成分(a)〜(f)、好ましくは、(a)、(b)および必要に応じて(c)および/もしくは(f)および/もしくは(e)、または、(a)、(b)および必要に応じて(d)および/もしくは(f)および/もしくは(e)の2つ以上を併用して含んでもよい。
【0056】
別の実施態様において、本発明による方法により製造される剤形は成分(a)〜(f)の全てを含んでもよい。
【0057】
本発明による方法により得られる剤形が乱用防止成分(a)を含む場合には、鼻腔および/または咽頭を刺激し、本発明により考慮されうる物質は、鼻腔および/または咽頭経由で乱用により投与されると、乱用者にとってあまりに不快なので乱用者が投与を望まないまたは投与を継続することができない身体反応、例えば、灼熱痛を生ずる、または例えば、鼻汁もしくはくしゃみの増加による、対応する活性成分の摂取に生理的に対抗する任意の物質である。従来鼻腔および/または咽頭を刺激するこれらの物質はまた、非経口的、特に静脈内投与されると、乱用者がその物質の摂取を希望しないまたは摂取を継続することができないほどの非常に不快感または場合によっては耐えられない疼痛を生ずることもある。
【0058】
鼻腔および/または咽頭を刺激する特に好適な物質は、灼熱痛、掻痒感、くしゃみの衝動、分泌物の形成増加またはこれらの刺激の少なくとも2つの組み合わせを生ずるものである。従来使用することができる適当な物質およびそれらの量はそれら自体当業者に公知であるかまたは簡単な予備試験によって同定することができる。
【0059】
成分(a)の鼻腔および/または咽頭を刺激する物質は、好ましくは、少なくとも1つの辛味物質剤(hot substance drug)の1つ以上の構成成分または1つ以上の植物部分に基づいている。
【0060】
対応する辛味物質剤はそれら自体当業者に公知であり、例えば、Prof. Dr. Hildebert Wagnerによる「Pharmazautische Biologie−Grogen und ihre Inhaltsstoffe」、第2改訂版、Gustav Fisher Verlag, Stuttgart−New York, 1982,82ページ等に記載されている。対応する説明は参照により本明細書に組み入れられ、開示の一部とみなされる。
【0061】
アリイ サティヴィ ブルブス(Alii sativi bulbus)(ニンニク)、アサリ リゾマ クム ヘルバ(Asari rhizoma cum herba((細辛(Asarum)根および葉)、菖蒲根(Calami rhizoma)(菖蒲根)、当帰(Capsici fructus)(トウガラシ属)、Capsici fructus acer(カイエンペッパー)、姜黄(Curcumae longae rhizoma)(ウコン根)、Curcumae xanthorrhizae rhizoma(ジャワウコン根)、Galangae rhizoma(良薑根)、ニクズク(Myristicae semen)(ナツメグ)、コショウ末(Piperis nigri fructus)(コショウ)、Sinapis albae semen(白ガラシ種子)、Sinapis nigri semen(黒ガラシ種子)、ガジュツ(Zedoariae rhizoma)(ガジュツの根茎)およびショウキョウ(Zingiberis rhizoma)(ショウガの根茎)を含む群から、特に当帰(Capsici fructus)(トウガラシ属)、Capsici fructus acer(カイエンペッパー)およびコショウ末(Piperis nigri fructus)(コショウ)を含む群から選択される少なくとも1つの辛味物質剤の1つ以上の構成成分を、好ましくは、本発明による方法によって得られる剤形に成分(a)として添加することができる。
【0062】
辛味物質剤の構成成分は、好ましくは、o−メトキシ(メチル)−フェノール化合物、酸性アミド化合物、マスタードオイルまたは硫化物化合物またはそれらから誘導される化合物を含む。
【0063】
特に好ましくは、辛味物質剤の少なくとも1つの構成成分は、ミリスチシン;エレミシン;イソオイゲノール;α−アサロン;サフロール;ジンジェロール;キサントリゾール;カプサイシノイド、好ましくは、カプサイシン、N−バニリル−9E−オクタデセンアミド、ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシン、ノルカプサイシンおよびノモルカプサイシン(nomorcapsaicin)などのカプサイシン誘導体;ピペリン、好ましくは、トランス−ピペリン;好ましくは、不揮発性マスタードオイルに基づいた、特に好ましくは、p−ヒドロキシベンジルマスタードオイル、メチルメルカプトマスタードオイルまたはメチルスルホニルマスタードオイルに基づいたグルコシノレート;および、これらの構成成分から誘導される化合物からなる群から選択される。
【0064】
用量単位は、錠剤またはカプセルなどの別個のまたは分離可能な投与単位を意味すると考えられる。
【0065】
本発明による方法により得られる剤形は、好ましくは、用量単位の総質量に対して、各々の場合において、0.01〜30質量%、特に好ましくは、0.1〜0.5質量%の対応する辛味物質剤の植物部分を含有してもよい。
【0066】
対応する辛味物質剤の1つ以上の構成成分を使用する場合には、本発明による方法により得られる用量単位における量は、用量単位の総質量に対して好ましくは、0.001〜0.005質量%までの量である。
【0067】
本発明による方法により得られる剤形の乱用を防止するための別の選択肢は、少なくとも1つの増粘剤をさらに別の乱用−防止成分(b)として剤形に添加することにある。それは、必要最小量の水性液体の助けにより、剤形から得られる抽出物とゲルを形成し、かかるゲルが、安全に投与することが実質的に不可能なものであり、好ましくは、さらなる量の水性液体に導入した場合も視覚的に識別可能な状態を維持する。
【0068】
本発明の目的のために、実質的に識別可能は、好ましくは、皮下注射針の助けにより、37℃においてさらなる量の水性液体に導入した場合も、必要最小量の水性液体の助けにより形成される活性成分−含有ゲルが実質的に不溶性で、粘着性であり、安全に非経口投与できる、特に静脈内投与できるようには容易に分散しえないことを意味する。物質は少なくとも1分、好ましくは、少なくとも10分実質的に識別可能である状態を維持する。
【0069】
抽出物の粘度の増加が、針を通過するまたは注射することをより困難にするまたは場合によっては不可能にする。ゲルが実質的に識別可能な状態を維持する場合には、これは、例えば、血液への注射によるなどのさらに別の量の水性液体への導入時に得られるゲルは、最初は粘性の大きい糸状の形態を維持し、実際には小さい断片に機械的に崩壊する場合があり、安全に非経口投与する、特に静脈内投与することができるように分散することができないまたは溶解することもできないことを意味する。少なくとも1つの必要に応じて存在する成分(a)または(c)〜(e)との併用において、これは、さらに、不快な灼熱痛、嘔吐、悪臭および/または視覚的な抑止を生ずる。
【0070】
従って、このようなゲルの静脈内投与は、乱用者の健康に重篤な障害を生ずる可能性がより高いと思われる。
【0071】
増粘剤を、本発明による製造方法により得られる剤形に使用するための成分(b)として好適であるかどうかを検証するために、活性成分を増粘剤と混合し、25℃の温度において10mlの水に懸濁させる。これにより、上記の条件を満たすゲルが形成される場合には、対応する増粘剤は、本発明による方法により得られる剤形の乱用を防止するまたは回避するのに好適である。
【0072】
成分(b)を、本発明による方法により得られる剤形に添加する場合には、11質量%のカルボキシメチルセルロースナトリウムを含有する微結晶セルロース(Avicel(登録商標))RC591)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(Blanose(登録商標)、CMC−Na C300P(登録商標)、Frimulsion BLC−5(登録商標)、Tylose C300 P(登録商標))、ポリアクリル酸(Carbopol(登録商標)980 NF、Carbopol(登録商標)981)、イナゴマメ粉末(Cesagum(登録商標)LA−200、Cesagum(登録商標)LID/150、Cesagum(登録商標)LN−1)、好ましくは、柑橘類またはリンゴのペクチン(Cesapectin(登録商標)HM Medium Rapid Set)、ロウ様(waxy)トウモロコシデンプン(C*Gel04201(登録商標))、アルギン酸ナトリウム(Frimulsion ALG(E401)(登録商標))、グアー粉末(Frimulsion BM(登録商標)、Polygum 26/1−75(登録商標))、カラギナン微粉末(Frimulsion D021(登録商標))、カラヤゴム、ジェランゴム(Kelcogel F(登録商標)、Kelcogel LT100(登録商標))、ガラクトマンナン(Meyprogat 150(登録商標))、タラストーン(tara stone)粉末(Polygum43/1(登録商標))、プロピレングリコールアルギネート(Protanal−Ester SD−LB(登録商標))、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガカント、タラガム(Vidogum SP 200(登録商標))、発酵多糖ウェランガム(K1A96)、キサンタンガム(Xantural 180(登録商標))などのキサンタンからなる群から選択される1つ以上の増粘剤を使用する。キサンタンは特に好ましい。括弧内に記載されている名称は、その物質が市販上知られている商品名である。一般に、上述の増粘剤が、剤形の総質量に対して、0.1〜20質量%、特に好ましくは、0.1〜15質量%の量であることが上記の条件を満たすのに充分である。
【0073】
成分(b)の増粘剤は、提供される場合には、好ましくは、用量単位あたり、すなわち投与単位あたり1.5 mgの量で本発明により得られる剤形に存在する。
【0074】
本発明の特に好ましい実施態様において、成分(b)として使用される増粘剤は、必要最小量の水性液体での剤形からの抽出時に、気泡を封入したゲルを形成するものである。得られたゲルは混濁した外観によって識別され、乱用の可能性のある者に、さらなる視覚的な警告を与え、ゲル非経口投与の意欲を阻害する。
【0075】
ポリマー(C)は、必要に応じて、水とゲルを形成する追加の増粘剤として作用する場合もある。
【0076】
本発明の製造方法により得られる剤形において、増粘剤および他の構成成分を相互に空間的に分離された配列で製剤化することも可能である。
【0077】
乱用を阻止および防止するために、本発明による方法により得られる剤形は、成分(c)、すなわち乱用の可能性のある活性成分の1つ以上のアンタゴニストをさらに含んでもよく、アンタゴニストは、好ましくは、本発明による方法により得られる剤形の残りの構成成分から空間的に分離されており、適切に使用される場合には、任意の作用を発揮しない。
【0078】
活性成分の乱用を防止するのに好適なアンタゴニストは当業者に公知であり、本発明による製造方法により得られる剤形内にそのようなものとして存在してもよいし、対応する誘導体、特にエステルもしくはエーテルの形態で存在してもよいし、各場合において、対応する生理学的に許容される化合物の形態、特に塩もしくは溶媒和物の形態で存在してもよい。
【0079】
剤形に存在する活性成分がオピオイドである場合には、使用されるアンタゴニストは、好ましくは、ナロキソン、ナルトレキソン、ナルメフェン、ナリド、ナルメキソン、ナロルフィンまたはナルフィン(naluphine)を含む群から選択され、各場合において必要に応じて対応する生理学的に許容される化合物の形態、特に塩基、塩または溶媒和物の形態のアンタゴニストである。成分(c)が提供される場合には、対応するアンタゴニストは、好ましくは、剤形あたり、すなわち投与単位あたり、≧1mgの量、特に好ましくは、3〜100mgの量、より特に好ましくは、5〜50mgの量で使用される。
【0080】
本発明による方法により得られる剤形が活性成分として覚醒剤を含む場合には、アンタゴニストは、好ましくは、神経遮断剤、好ましくは、ハロペリドール、プロメタジン、フルフェナジン、ペルフェナジン、レボメプロマジン、チオリダジン、ペラジン、クロルプロマジン、クロルプロチキシン、ズクロペンチキソール、フルペンチキソール、プロチペンジル、ゾテピン、ベンペリドール、ピパンペロン、メルペロンおよびブロムペリドールを含む群から選択される少なくとも1つの化合物である。
【0081】
本発明により方法により得られる剤形は、好ましくは、当業者に公知の従来の治療用量、特に好ましくは、投与単位あたりの従来の用量の2倍〜3倍の量のこれらのアンタゴニストを含む。
【0082】
本発明による方法により得られる剤形の乱用の意欲を削ぎ、かつ防止するために、成分(d)も使用する場合には、少なくとも1つの催吐剤を、他の成分とは空間的に分離された配置で存在し、適切に使用される場合には、生体内でその作用を発揮することができないように製剤化される。
【0083】
活性成分の乱用を防止するのに好適な催吐剤は当業者に公知であり、本発明による剤形の製造時にそのようなものとして使用されてもよいし、または対応する誘導体の形態、特にエステルもしくはエーテルの形態、または対応する生理学的に許容される化合物、特に塩もしくは溶媒和物の形態で使用されてもよい。
【0084】
イペカク(トコン)根茎の1つ以上の構成成分、好ましくは、構成成分エメチンに基づいた催吐剤は、好ましくは、例えば、Prof. Dr. Hildebert Wagnerによる「Pharmazeutische Biologie−Drogen und Ihre Inhaltsstoffe」、第2改訂版、Guatav Fisher Verlag、Stuttgart、New York、1982に記載されているように、本発明による方法によって得られる剤形に存在しもよい。対応する文献の説明は参照として本明細書に取り込まれており、開示の一部であるとみなされる。
【0085】
本発明による方法により得られる剤形は、好ましくは、剤形、すなわち、投与単位あたり、≧3mg、好ましくは、≧10mg、より特に好ましくは、≧20mgの量の催吐剤エメチンを成分(d)として含んでもよい。
【0086】
アポモルヒネは、好ましくは、投与単位あたり、好ましくは、≧3mg、特に好ましくは、≧5mg、より特に好ましくは、≧7mgの量で、追加の乱用−防止のための催吐剤として使用することができる。
【0087】
本発明による方法により得られる剤形が、追加の乱用−防止補助物質として成分(e)を含有する場合には、このような染料の使用は、特に、非経口、好ましくは、静脈内投与のために活性成分を抽出しようとするとき、対応する水溶液の強烈な発色を生じ、発色は乱用の可能性のある者に対する抑止剤として作用することができる。従来、活性成分の水性抽出によって開始される経口的な乱用もこの発色によって防止される場合がある。必要な抑止に必要とされる好適な染料および量は国際公開第03/015531号パンフレットに見出すことができ、対応する開示は本発明の開示の一部であるとみなされるべきであり、参照として本明細書に取り込まれている。
【0088】
本発明による方法により得られる剤形が追加の乱用防止補助物質として成分(f)を含有する場合には、少なくとも1つの苦味物質のこのような追加および結果として生ずる剤形の矯味矯臭の障害が、経口的および/または経鼻的な乱用をさらに防止する。
【0089】
好適な苦味物質および有効使用量はUS−2003/0064099A1に見出すことができ、対応する開示は本願の開示であるとみなされ、参照として本明細書に取り込まれる。好適な苦味物質は、好ましくは、芳香油、好ましくは、ペパーミント油、ユーカリ油、苦扁桃油、メントール、果実の芳香物質、好ましくは、レモン、オレンジ、ライム、グレープフルーツの芳香またはそれらの混合物および/または安息香酸デナトニウム(Bitrex(登録商標))である。安息香酸デナトニウムが特に好ましい。
【0090】
さらに別の好ましい実施態様において、少なくとも1つのさらに別の乱用防止成分(a)〜(f)も存在する場合には、本発明により得られる剤形は錠剤またはカプセルの形態を取るだけでなく、経口浸透圧治療システム(OROS)の形態も取る。
【0091】
成分(c)および/または(d)および/または(f)が剤形に存在する場合には、成分(c)および/または(d)および/または(f)は、剤形が適切に投与される場合に、患者を害したり、活性成分の有効性を妨害したりする作用を実質的に全く生じることがないような方法で製剤化されること、または、当該作用を実質的に全く生じることがないような低用量で存在することが確実になるように注意が払われるべきである。
【0092】
本発明により得られる剤形が成分(d)および/または(f)を含有する場合には、剤形は、適切に経口投与される場合には、負の影響を全く生じないように選択されるべきである。しかし、意図された剤形が乱用事象において一線を越えられると、悪心または吐き気または悪臭を生じる。適切な経口投与事象において患者が耐えることができる成分(d)および/または(f)の特定の量は、簡単な予備試験によって当業者が決定することができる。
【0093】
しかし、本発明により得られる剤形は実質的に粉砕が不可能であるという事実にもかかわらず、成分(c)および/または(d)および/または(f)が剤形を保護するために使用される場合には、これらの成分は、好ましくは、乱用により投与される場合には、それらは乱用者に強力な負の作用を生ずるのに充分に高い用量で使用されるべきである。これは、好ましくは、少なくとも活性成分を成分(c)および/または(d)および/または(f)から空間的に分離することによって達成され、活性成分は少なくとも1つのサブユニット(X)に存在し、成分(c)および/または(d)および/または(f)は少なくとも1つのサブユニット(Y)に存在し、剤形が適切に投与される場合には、成分(c)、(d)および(f)は摂取時および/または生体内において作用を発揮せず、製剤の残りの成分特に成分(C)および必要に応じて(D)は同一である。
【0094】
本発明による剤形が成分(c)および(d)または(f)の少なくとも2つを含む場合には、これらは各々同じまたは異なるサブユニット(Y)に存在してもよい。好ましくは、存在する場合には、成分(c)および(d)および(f)は全て1つの同じサブユニット(Y)に存在する。
【0095】
本発明の目的のために、サブユニットは固体製剤であり、各場合において、当業者に公知の従来の補助物質とは異なり、活性成分、少なくとも1つのポリマー(C)および必要に応じて存在する成分(D)および必要に応じて存在する成分(a)および/または(b)および/または(e)の必要に応じて少なくとも1つまたは各場合において、少なくとも1つのポリマー(C)および必要に応じて(D)およびアンタゴニストおよび/または催吐剤および/または成分(e)および/または成分(f)および必要に応じて存在する成分(a)および/または(b)の必要に応じて少なくとも1つを含有する。記載されているサブユニットは上記の方法により製剤化されることが確実になるように注意が払われるべきである。
【0096】
本発明により得られる剤形のサブユニット(X)および(Y)において活性成分を成分(c)または(d)または(f)から分離して製剤化する実質的な利点は、適切に投与されるとき、成分(c)および/または(d)および/または(f)は摂取時および/または生体内においてほとんど放出されず、または患者もしくは治療の成功を妨害する影響を全く発揮しない程度の少量しか放出されず、または患者の生体内を通過する際、効率的に吸収されえない位置においてしか遊離されない。剤形が適切に投与される場合には、好ましくは、成分(c)および/または(d)および/または(f)は患者の生体内においてほとんど放出されないまたは患者が気づかない。
【0097】
上記の条件は、使用される特定の成分(c)、(d)および/または(f)ならびにサブユニットまたは剤形の製剤化に応じて変わってもよいことを当業者は理解するだろう。特定の剤形の最適な製剤化は、簡単な予備試験によって決定することができる。不可欠であることは、特定のサブユニットが結合剤成分、すなわち、ポリマー(C)および必要に応じて成分(D)を含有し、記載されている方法で製剤化されているということである。
【0098】
期待と異なり、活性成分を乱用する目的のために、乱用者が、サブユニット(Y)に成分(c)および/または(e)および/または(d)および/または(f)を含む本発明により得られるこのような剤形の粉砕に成功し、好適な抽出剤で抽出される粉末を得る場合には、活性成分だけでなく、特定の成分(c)および/または(e)および/または(f)および/または(d)が活性成分から容易に分離できない形態で得られ、不正に操作されている剤形が特に経口および/または非経口投与によって投与されるとき、摂取時および/または生体内にその作用を発揮するだけでなく、合わせて乱用者に成分(c)および/または(d)および/または(f)に対応する追加の負の影響を発揮する、または活性成分を抽出しようとすると、発色が抑制として作用し、従って剤形の乱用を防止する。
【0099】
活性成分が、好ましくは、異なるサブユニットにおいて成分(c)、(d)および/または(e)から空間的に分離されている剤形は多数の異なる方法で製剤化することができ、成分(c)および/または(d)の上記の放出条件が満たされる限り、対応するサブユニットは、互いに対して任意の望ましい空間的配列において本発明による剤形に各々存在することができる。
【0100】
適切な投与事象では乱用防止および活性成分放出のどちらも製剤の性質によって妨害されず、かつポリマー(C)および必要に応じて(D)が、好ましくは、製剤に含まれ、かつ製剤化が必要な硬度を達成するために本発明による上記の方法により実施される限り、必要に応じて存在してもよい成分(a)および/または(b)は、好ましくは、特定のサブユニット(X)および(Y)において、サブユニット(X)および(Y)に対応する個々のサブユニットの形態で、本発明により得られる剤形中に製剤化することができることを当業者は理解している。
【0101】
本発明により得られる剤形の好ましい実施態様において、サブユニット(X)および(Y)は多顆粒剤形で存在し、ミクロ錠剤、マイクロカプセル、マイクロペレット、顆粒、スフェロイド、ビーズまたはペレットが好ましく、例えば、機械的な選択(mechanical selection)によってサブユニット(X)および(Y)を分離することが不可能になるように、サブユニット(X)およびサブユニット(Y)にこの剤形、すなわち形状を選択する。多顆粒剤形は、好ましくは、0.1〜3mm、好ましくは、0.5〜2mmの範囲のサイズである。
【0102】
多顆粒剤形におけるサブユニット(X)および(Y)も、好ましくは、カプセルに充填されてもまたは錠剤にプレス成形されてもよく、各場合において最終的な製剤化は、サブユニット(X)および(Y)も得られる剤形に保持されるような方法で進行する。
【0103】
同じ形状の多顆粒サブユニット(X)および(Y)はまた、乱用者が単純な選別によって互いから分離することができないように、視覚的に互いに識別可能であるべきではない。これは、例えば、この隠蔽機能とは別に、例えば、1つ以上の活性成分の放出遅延または耐胃酸仕上げの特定のサブユニットへの提供などのさらに別の機能を組み入れることができるコーティングとして同一のものを適用することによって達成することができる。
【0104】
多顆粒サブユニットはまた、製薬学的に安全な懸濁媒体中でのスラリーまたは懸濁液として経口剤形として製剤化することもできる。
【0105】
本発明のさらに別の好ましい実施態様において、サブユニット(X)および(Y)は、各場合において、互いに対して層内で配列されるように製造される。
【0106】
層状サブユニット(X)および(Y)は、好ましくは、この目的のために、互いに対して垂直または水平に配置され、各場合において、好ましい層配列(X)−(Y)または(X)−(Y)−(X)とは別に、任意の望ましい他の層配列を、必要に応じて、成分(a)および/または(b)を含有する層と合わせて考慮することができるように、1つ以上の層状サブユニット(X)および1つ以上の層状サブユニット(Y)が剤形に存在してもよい。
【0107】
本発明による方法により製造される別の好ましい剤形は、サブユニット(Y)がコアを形成し、サブユニット(X)に完全に封入されているものであり、分離層(Z)がその層の間に存在してもよい。このような構造も、好ましくは、上記の多顆粒剤形に好適であり、サブユニット(X)および(Y)ならびに必要に応じて存在する分離層(Z)は本発明による硬度要件を満足しなければならず、1つの同じ多顆粒剤形に製剤化される。本発明による方法のさらに別の好ましい実施態様において、サブユニット(X)はコアを形成し、サブユニット(Y)に封入され、後者はコアから剤形の表面に至る少なくとも1つのチャネルを含む。
【0108】
本発明により製剤化される剤形は、サブユニット(X)の1つの層とサブユニット(Y)の1つの層の間に、各場合において、サブユニット(X)を空間的に(Y)から分離する働きをする1つ以上、好ましくは、1つの必要に応じて膨潤性の分離層(Z)を含んでもよい。
【0109】
本発明により製剤化される剤形が、少なくとも部分的に垂直または水平の配列において層状のサブユニット(X)および(Y)および必要に応じて存在する分離層(Z)を含む場合には、剤形は、好ましくは、錠剤またはラミネートの形態を取る。
【0110】
特に好ましい一実施態様において、サブユニット(Y)の遊離表面全体および必要に応じてサブユニット(X)の遊離表面の必要に応じて少なくとも一部および必要に応じて存在する分離層(Z)の遊離表面の必要に応じて少なくとも一部は、成分(c)および/または(e)および/または(d)および/または(f)の放出を防止する少なくとも1つのバリヤー層(Z’)でコーティングされてもよい。バリヤー層(Z’)も、本発明による硬度要件を満たすような方法で製剤化され、製造されなければならない。
【0111】
本発明により製造される剤形の特に好ましい別の実施態様は、垂直または水平配列の層状のサブユニット(X)および(Y)ならびにその間に配列されている少なくとも1つのプッシュ層(p)ならびに必要に応じて分離層(Z)を含み、かかる剤形において、サブユニット(X)および(Y)、プッシュ層ならびに必要に応じて存在する分離層(Z)からなる層構造の遊離表面全体には、半透過性コーティングが付いている。該半透過性コーティングは、放出媒体、すなわち、従来生体液に透過性であるが、活性成分ならびに成分(c)および/または(d)および/または(f)に実質的に不透過性であり、このコーティングは、サブユニット(X)の領域に活性成分を放出するための少なくとも1つの開口部を含む。
【0112】
対応する剤形は、特に米国特許第4,612,008号、米国特許第4,765,989号および米国特許第4,783,337号により、好適な材料およびそれらの製造方法と同様に、例えば、経口浸透圧治療システム(OROS)の名称で当業者に公知である。対応する説明は参照として本明細書に取り込まれており、開示の一部であるとみなされる。必須であることは、これらのシステムは、≧500Nの破壊強度を生ずるように、製造中に本発明により適合されるということである。
【0113】
さらに別の好ましい実施態様において、本発明により製造される剤形のサブユニット(X)は、錠剤の形態であり、該錠剤の端面および必要に応じて2つの主要な面の一方は、成分(c)および/または(d)および/または(f)を含有するバリヤー層で被覆されている。
【0114】
本発明による剤形を製剤化する際に使用される、サブユニット(X)もしくは(Y)の補助物質、ならびに、必要に応じて存在する分離層(Z)の補助物質、ならびに/または、バリヤー層(Z’)の補助物質は、本発明による剤形におけるそれらの配列に応じて、投与様式によって、ならびに、必要に応じて存在する成分(a)および/または(b)および/または(e)の特定の活性成分ならびに成分(c)および/または(d)および/または(f)に応じて変わることを当業者は理解している。必要な特性を有する材料は、各場合において、それ自体当業者に公知である。
【0115】
本発明による剤形のサブユニット(Y)からの成分(c)および/または(d)および/または(f)の放出が被覆、好ましくは、バリヤー層の助けにより防止される場合には、サブユニットは、本発明により製造される剤形の必要な破壊強度を達成するために少なくとも1つのポリマー(C)および必要に応じて(D)を含有する限り、当業者に公知の従来の材料からなってもよい。
【0116】
成分(c)および/または(d)および/または(f)の放出を防止するために対応するバリヤー層(Z’)が提供されない場合には、サブユニット(Y)からの特定の成分(c)および/または(d)の放出が実質的に阻止されるようにサブユニットの材料を選択するべきである。
バリヤー層を製造するのに好適であるように以下に記載されている材料は、好ましくは、この目的に使用することができる。
【0117】
好ましい材料は、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、グルカン、スクレログルカン、マンナン、キサンタン、ポリ[ビス(p−カルボキシフェノキシ)プロパンとセバシン酸とのコポリマー、好ましくは、ポリ[ビス(p−カルボキシフェノキシ)プロパンとセバシン酸とのモル比20:80のコポリマー(Polifeprosan20(登録商標)の名称で購入可能)、カルボキシメチルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、(メタ)アクリル酸およびそのエステルに基づいたポリマー、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ハロゲン化ポリビニル、ポリグリコリド、ポリシロキサンおよびポリウレタンならびにそれらのコポリマーを含む群から選択されるものである。
【0118】
特に好適な材料は、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート(低、中または高分子量)、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、カルボキシメチルセルロース、セルローストリアセテート、硫酸セルロースナトリウム、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリイソブチルメタクリレート、ポリヘキシルメタクリレート、ポリイソデシルメタクリレート、ポリラウリルメタクリレート、ポリフェニルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリイソプロピルアクリレート、ポリイソブチルアクリレート、ポリオクタデシルアクリレート、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリビニルアセテートおよびポリ塩化ビニルを含む群から選択することができる。
【0119】
特に好適なコポリマーは、ブチルメタクリレートとイソブチルメタクリレートとのコポリマー、メチルビニルエーテルとマレイン酸との高分子量のコポリマー、メチルビニルエーテルとマレイン酸モノエチルエステルとのコポリマー、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸とのコポリマーおよびビニルアルコールと酢酸ビニルとのコポリマーを含む群から選択することができる。
【0120】
バリヤー層を製剤化するのに特に好適なさらに別の材料は、デンプン入りポリカプロラクトン(国際公開公報第98/20073号)、脂肪族ポリエステルアミド(DE 19 753 534 A1、DE 19 800 698 A1、EP 0 820 698 A1)、脂肪族および芳香族ポリエステルウレタン(DE 19822979)、ポリヒドロキシアルカノエート、特にポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレート、カゼイン(DE 4 309 528)、ポリラクチドおよびコポリラクチド(EP 0 980 894 A1)である。対応する説明は参照として本明細書に取り込まれており、開示の一部であるとみなされる。
【0121】
上記の材料は、必要に応じて、好ましくは、グリセリルモノステアレート、半合成トリグリセリド誘導体、半合成グリセリド、水素化ヒマシ油、グリセリルパルミトステアレート、グリセリルベヘネート、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、タルカム、安息香酸ナトリウム、ホウ酸およびコロイド状シリカ、脂肪酸、置換トリグリセリド、グリセリド、ポリオキシアルキレングリコールおよびそれらの誘導体を含む群から選択される当業者に公知のさらに別の従来の補助物質とブレンドしてもよい。
【0122】
本発明により得られる剤形が分離層(Z’)を含む場合には、非被覆サブユニット(Y)のように、その層は、好ましくは、バリヤー層について記載されている上記の材料からなってもよい。特定のサブユニットからの活性成分または成分(c)および/または(d)の放出は分離層の厚さによって制御されうることを当業者は理解している。
【0123】
本発明により得られる剤形は、活性成分の制御された放出を示す。好ましくは、患者に1日2回投与が好適である。
【0124】
本発明により製造される剤形は、少なくとも部分的にさらに別の徐放性形態の乱用の可能性のある1つ以上の活性成分を含んでもよく、徐放性は、例えば、徐放性マトリックスに活性成分を包埋することによってまたは1つ以上の徐放性コーティングを適用することによって当業者に公知の従来の材料および方法の助けにより達成することができる。しかし、活性成分の放出は、各場合において上記の条件を満たすように、例えば、剤形の適切な投与事象では、必要に応じて存在する成分(c)および/または(d)が妨害作用を発揮することができる前に活性成分が実質的に完全に放出されるように制御されなければならない。制御された放出を実施する材料の追加は、必要な破壊強度を妨害してはいけない。
【0125】
本発明により得られる剤形からの制御された放出は、好ましくは、マトリックスに活性成分を包埋することによって達成することができる。マトリックス材料として作用する補助物質は活性成分の放出を制御する。マトリックス材料は、例えば、活性成分の放出が主に拡散によって進行する親水性材料または活性成分の放出が、主にマトリックスの孔からの拡散によって進行する疎水性材料であってもよい。
【0126】
当業者に公知の生理学的に許容される疎水性材料をマトリックス材料として使用することができる。親水性ポリマー、特に好ましくは、セルロースエーテル、セルロースエステルおよび/またはアクリル樹脂は、好ましくは、親水性マトリックス材料として使用される。エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリ(メタ)アクリル酸、および/または、それらの塩、アミドもしくはエステルなどの誘導体はマトリックス材料としてより特に好ましく使用される。
【0127】
疎水性ポリマー、ワックス、脂肪、長鎖脂肪酸、脂肪アルコールまたは対応するエステルもしくはエーテルまたはそれらの混合物などの疎水性材料から製造されるマトリックス材料もまた好ましい。C12〜C30脂肪酸および/またはC12〜C30脂肪アルコールおよび/またはワックスのモノ−またはジグリセリドまたはそれらの混合物は疎水性材料として特に好ましく使用される。
【0128】
上記の親水性および疎水性材料の混合物をマトリックス材料として使用することも可能である。
【0129】
本発明に必要な少なくとも500Nの破壊強度を達成する作用をする結合剤成分、すなわち成分(C)および必要に応じて存在する成分(D)は、さらに、追加のマトリックス材料として作用することができる。
【0130】
本発明により得られる剤形が経口投与のために意図されている場合には、好ましくは、耐胃酸性で、放出環境のpH値の関数として溶解するコーティングも含んでもよい。このコーティングによって、本発明による剤形は溶解されない状態で胃を通過し、活性成分は腸においてのみ放出されることを確実にすることが可能である。耐胃酸性のコーティングは、好ましくは、5〜7.5のpHにおいて溶解する。
【0131】
活性成分の制御された放出および耐胃酸性コーティングの適用のための対応する材料および方法は、例えば、Kurt H. Bauer, K. Lehmann, Hermann P. Osterwald、 Rothgang, Gerhartによる「Coated Pharmaceutical Dosage Forms−Fundamentals, Manufacturing Techniques, Biopharmaceutical Aspects, Test Methods and Raw Materials」、第1版、1998年、Medpham Scientific Publishersにより当業者に公知である。対応する文献の説明は参照として本明細書に取り込まれており、開示の一部であるとみなされる。
【0132】
破壊強度を求める方法
ポリマーを結合剤、すなわち、成分(C)または(D)として使用することができるかどうかを立証するために、ポリマーの軟化点に少なくとも対応し、材料のDSCダイアグラムの助けにより求められる温度において150Nの力を使用してポリマーを圧縮して径10mmおよび高さ5mmの錠剤を成形する。この方法で製造された錠剤を使用して、欧州薬局方1997年版、143、144ページ、方法番号2.9.8に公開されている錠剤の破壊強度を求める方法により以下に記載する装置を用いて破壊強度を求める。
【0133】
測定に使用される装置は「Zwick Z 2.5」材料テスター、最大牽引1150mmのFmax=2.5kNであり、カラム1つおよびスピンドル1つ、後部空間100mm、0.1〜800mm/分の間で調節可能な試験速度およびtestControlソフトウェアで設定されるべきである。測定は、ねじ込み式挿入およびシリンダー(径10mm)の圧力ピストン、力変換器、Fmax.1kN、径=8mm、ISO 7500−1により10Nからクラス0.5、2Nからクラス1およびDIN 55350−18による製造業者の検査証(Zwick gross force Fmax=1.45kN)を使用して実施され(装置は全てZwick GmbH&Co. KG, Ulm, Germany)、テスターはオーダー番号BTC−FR2.5 TH. D09であり、力変換器はオーダー番号BTC−LC 0050N. P01であり、センタリング装置はオーダー番号BO 70000 S06である。
【0134】
図2は、測定前および測定中にこの目的に使用される錠剤、特に錠剤(4’)調節装置(6’)の破壊強度の測定を示す。この目的のために、2つの2−パートクランプ装置(2’)の助けにより、力適用装置(示していない)の上方圧力プレート(1’)と下方圧力プレート(3’)の間に錠剤(4’)を保持する。2つの2−パートクランプ装置(2’)は、測定対象の錠剤を収容し、センタリングするのに必要な空間(5’)が確立されたら、各場合において、上方および下方圧力プレートによりしっかりと固定される。空間(5’)は、各場合において、2つの2−パートクランプが載置されている圧力プレート上で水平方向に外側または内側方向に2−パートクランプ装置を移動することによって確立することができる。
【0135】
特定の負荷下において耐破壊性であると思われる錠剤には、破壊しないものだけでなく、力の作用下において塑性変形を経験した可能性のあるものも含む。
【0136】
本発明により得られる剤形の破壊強度は記載されている測定方法によって求められ、錠剤以外の剤形も試験される。
【0137】
本発明は、以下において、実施例に言及して説明される。これらの説明は、単に例として提供されており、本発明の一般的な概念を限定しない。
実施例
【実施例1】
【0138】
【表1】

塩酸トラマドールおよびポリエチレンオキサイド粉末をフリーフォールミキサーで混合した。次いで、以下に記載する超音波処理および力の適用によって、混合物を錠剤に圧縮した。この目的のために以下の機械を使用した:
プレス:Branson WPS, 94−003−A、空気圧式(Branson Ultraschall, Dietzenbach, Germany)
発電機(2000W):Branson PG−220A,94−001−Aアナログ(Branson Ultraschall)
【0139】
ソノトロードの径は12mmであった。プレス面は平坦であった。
【0140】
径12mmの成形型に混合物を置いた。成形型の底面は、径12mmの平面的なプレス面を有する底面パンチを形成する。
【0141】
以下のパラメーターを混合物の可塑化のために選択した:
周波数:20Hz
振幅:50%
力:250N
超音波処理および力の適用は0.5秒継続し、超音波処理および力の適用はソノトロードの助けにより同時に進行した。
【0142】
記載されている方法により記載されている装置を用いて錠剤の破壊強度を求める。500Nの力を適用したとき、破壊は生じなかった。ハンマーを使用しても、乳棒および乳鉢の助けによっても錠剤を粉砕することができなかった。
【0143】
欧州薬局方により、シンカーを備えたパドルスターラー装置において、製剤からの活性成分のインビトロにおける放出を求めた。放出媒体の温度は37℃であり、スターラーの回転速度は75(1/分)であった。使用した放出媒体は600mlの腸液、pH 6.8であった。各場合において任意の時間に媒体に放出される活性成分の量を分光法によって求めた。
【表2】

【実施例2】
【0144】
【表3】

塩酸トラマドールおよびポリエチレンオキサイド粉末をフリーフォールミキサーにおいて粉末として混合した。次いで、実施例1に記載するように、超音波処理および力の適用により混合物を錠剤にプレス成形した。この目的のために以下の機械を使用した:
プレス:Branson 2000 awmc(Branson Ultraschall, Dietzenbach, Germany)
発電機(2000W):Branson 2000b,デジタル20:2.2(Branson Ultraschall)
【0145】
ソノトロードの径は10mmであり、凹面の曲率はN-系は8mmであった。
【0146】
混合物を3段階で可塑化し、圧縮するために、以下のパラメーターを選択した:
第1段階:
振幅レベル 75%、0.15秒
周波数: 20Hz
力: 970N
第2段階:
振幅レベル 32.5%、0.55秒
周波数: 20Hz
力: 970N
第3段階:
力: 970N、2.3秒
超音波処理は実施せず
【0147】
記載されている方法により記載されている装置を用いて、錠剤の破壊強度を求める。500Nの力を適用したとき、破壊は生じなかった。ハンマーを使用しても、乳棒および乳鉢を用いても錠剤を粉砕することができなかった。
【0148】
欧州薬局方により、シンカーを備えたパドルスターラー装置において、製剤からの活性成分のインビトロにおける放出を求めた。放出媒体の温度は37℃であり、スターラーの回転速度は75(1/分)であった。使用した放出媒体は600mlの腸液、pH 6.8であった。各場合において任意の時間に媒体に放出される活性成分の量を分光法によって求めた。
【表4】

【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】図1は、本発明による方法において好ましく使用される超音波装置を示す。
【図2】図2は、測定前および測定中にこの目的に使用される錠剤、特に錠剤(4’)調節装置(6’)の破壊強度の測定を示す。
【符号の説明】
【0150】
1 プレス
2 コンバータ
3 ブースター
4 ソノトロード
5 成形型
6 底面パンチ
7 底面プレート
8 超音波発生装置
9 超音波発生装置のコントローラー
1’ 上方圧力プレート
2’ 2パートクランプ装置
3’ 下方圧力プレート
4’ 錠剤
5’ 空間
6’ 調節装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乱用の可能性のある少なくとも1つの活性成分(A)および500N以上の破壊強度を有する少なくとも1つの結合剤を含有する乱用防止固体剤形を製造する方法であって、前記活性成分および前記結合剤を含む混合物を超音波および力に呈することを特徴とする方法。
【請求項2】
剤形が経口剤形、好ましくは、錠剤であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
剤形が、必要に応じて、錠剤にプレス成形されるまたはカプセルに充填される多顆粒剤形で、好ましくは、マイクロ錠剤、マイクロペレット、顆粒、微粒子、回転楕円体、ビーズまたはペレットとして製造されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
使用する結合剤が少なくとも1つの合成または天然ポリマー(C)および必要に応じて、少なくとも1つのワックス(D)であり、各場合において、少なくとも500Nの破壊強度を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
使用するポリマー(C)が、ポリエチレンオキサイド、ポリメチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアクリレート、それらのコポリマーおよびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのポリマーであり、好ましくは、ポリエチレンオキサイドであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
ポリエチレンオキサイド(C)が、少なくとも50万の分子量を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
ポリエチレンオキサイド(C)の分子量が少なくとも100万、好ましくは、100万〜150万、特に好ましくは、少なくとも500万であることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
使用するワックス(D)が、少なくとも60℃、好ましくは、少なくとも80℃の軟化点を有する少なくとも1つの天然、半合成または合成ワックスであることを特徴とする、請求項4〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
使用するワックス(D)がカルナウバワックスまたはミツロウであることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
結合剤成分(C)および必要に応じて(D)が、少なくとも500Nの破壊強度を示す剤形が得られる量使用されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記結合剤成分が、剤形の総質量に対して少なくとも20質量%、好ましくは、少なくとも35質量%、特に好ましくは、50〜99.9質量%の量で使用されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記結合剤成分が、剤形の総質量に対して少なくとも60質量%の量で使用されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
使用する活性成分(A)が、オピオイド、精神安定剤、覚醒剤、バルビツール酸塩、さらに麻薬およびそれらの生理学的に許容される誘導体からなる群から選択される少なくとも1つの活性成分であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
使用する生理学的に許容される誘導体が、塩、溶媒和物、エステル、エーテルまたはアミドであることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
使用する乱用の可能性のある活性成分(A)が、オキシコドン、モルヒネ、ヒドロモルホン、トラマドール、メチルフェニデートまたはそれらの生理学的の許容される塩、好ましくは、塩酸塩であることを特徴とする、請求項13または請求項14に記載の方法。
【請求項16】
さらに従来の補助物質(B)も剤形を製造する際に使用されることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
使用する補助物質が、可塑剤、好ましくは、低分子量ポリエチレングリコール、抗酸化剤および/または親水性ポリマーおよび/または疎水性ポリマーであることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
1kHz〜2MHz、好ましくは、10〜75kHzの周波数の超音波を適用することを特徴とする、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
20〜40kHzの周波数の超音波を適用することを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
超音波処理中に混合物と超音波装置のソノトロードが直接接触されることを特徴とする、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記ソノトロードが、混合物に接触することを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記結合剤が少なくとも軟化するまで、超音波が適用されることを特徴とする、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記混合物への力の適用が、超音波処理中または超音波処理後に混合物を圧密することによって進行することを特徴とする、請求項1〜22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記混合物の圧密中に、剤形が少なくとも500Nの破壊強度を示すまで、力が適用されることを特徴とする、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記混合物が圧密によって成形されることを特徴とする、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記混合物の成形が、成形ダイおよびパンチの助けによって、押出成形によって、ならびに、ローラーおよび/またはカレンダリングの助けによって進行することを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
圧密が、パンチとしてソノトロードの助けによって実施されることを特徴とする、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記混合物が以下の成分a)〜f):
a)鼻腔および/または咽頭を刺激する少なくとも1つの物質、
b)最小必要量の水溶液の助けにより、好ましくは、剤形から得られる水性抽出液として、さらに別の量の水溶液に導入したとき好ましくは、視覚的に識別可能であることを維持しているゲルを形成する少なくとも増粘剤、
c)乱用の可能性のある活性成分の少なくとも1つのアンタゴニスト、
d)少なくとも1つの催吐剤、
e)嫌悪剤としての少なくとも1つの染料、
f)少なくとも1つの苦味物質、
の少なくとも1つをさらに含むことを特徴とする、請求項1〜27のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2007−533692(P2007−533692A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508834(P2007−508834)
【出願日】平成17年4月20日(2005.4.20)
【国際出願番号】PCT/EP2005/004225
【国際公開番号】WO2005/102286
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(506003624)グリューネンタール・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (13)
【Fターム(参考)】