説明

乳児ケアシステムおよび乳児ケア装置

【課題】乳児に微環境を与えるシステムおよび装置を提供する。
【解決手段】乳児ケアシステム30および乳児ケア装置は、乳児を支持する水平面34を含む。微環境領域44は、水平面の周りで少なくとも1つの壁46によって画定される。グラフィカルディスプレイ装置70は、微環境領域内に配置されている。診断用撮像デバイス66は、微環境領域内に配置された乳児の診断用画像を取得するために少なくとも部分的に微環境領域内に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、乳児ケアの分野に関する。より詳細には、本開示は、乳児に微環境を与えるシステムおよび装置に関する。
【背景技術】
【0002】
早産により出生した乳児は、体が小さく臓器および生理器官が発育中なので、専門の治療およびケアを必要とする。したがって、早産児は、患者の周りに注意深く制御される微環境を作り出すデバイスに置かれる。
【0003】
あるタイプのデバイスは、通常、保育器と呼ばれ、患者が物理的な容器内に置かれ、容器内の温度は、加熱した空気を容器中に強制的に流すことでもたらされる対流式の暖房によって注意深く制御される。
【0004】
別のデバイスは放射型加温装置と呼ばれる。放射型加温装置は、下向きに患者に向けられた放射熱を生成するCalrod型加熱要素を備えたオーバーヘッドキャノピを有する。
【0005】
対流式暖房システムおよび放射型暖房システムの両方を組み込んだハイブリッド型システムも提供されている。
【0006】
微環境は温度調整を含むが、一部の微環境は、熱調整を超えるものを包含することもできる。これらの微環境は、酸素濃縮環境または湿度制御を含むことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7282022号公報
【発明の概要】
【0008】
乳児ケア装置が、乳児を支持するように構成された水平面を含む。その水平面から概して垂直に延びる少なくとも1つの壁によって微環境領域が画定される。その微環境領域内には、グラフィカルディスプレイ装置が配置されている。診断用撮像デバイスが、少なくとも部分的にその微環境領域内に配置されている。そのディスプレイ装置および診断用撮像デバイスにはプロセッサが接続されている。
【0009】
乳児ケア装置の代替の実施形態が、乳児を支持するように構成された面を備えた乳児ケアプラットフォームを含む。その乳児プラットフォームから概して上方向に、少なくとも1つの壁が延在している。乳児プラットフォームおよび少なくとも1つの壁は、3次元の微環境領域を画定する。熱源が、その微環境領域を所定の温度に加温するように構成されている。微環境領域内には、第1のグラフィカルディスプレイ装置が配置されている。診断用撮像デバイスが、少なくとも部分的に微環境領域内に配置されている。その診断用撮像デバイスは、乳児プラットフォームの表面にある第1のポートを通して微環境領域中に延在している。そのディスプレイ装置および診断用撮像デバイスにはプロセッサが接続されている。そのプロセッサは、診断用画像を取得するように診断用撮像デバイスを動作させ、グラフィカルディスプレイ装置上に診断用画像を表示するようにグラフィカルディスプレイ装置を動作させる。
【0010】
乳児ケアシステムが、乳児を支持するように構成された面を有する乳児プラットフォームを含む。その面から概して上方向に少なくとも1つの壁が延在している。その面および少なくとも1つの壁は、微環境領域を画定する。診断用撮像デバイスが、少なくとも部分的に微環境領域内に配置されている。その診断用撮像デバイスは、微環境領域中の乳児の診断用画像を取得するように構成されている。少なくとも1つの生理トランスデューサが、少なくとも部分的に微環境領域内に配置されている。その生理トランスデューサは、微環境領域中の乳児から生理データを取得するように構成されている。第1のグラフィカルディスプレイ装置が、乳児の診断用画像を表示するために微環境領域内に配置されている。第2のグラフィカルディスプレイ装置が、生理データを表示するために微環境領域の外側に配置されている。その診断用撮像デバイス、少なくとも1つの生理トランスデューサ、第1のグラフィカルディスプレイ装置、および第2のグラフィカルディスプレイ装置には、プロセッサが通信連絡される。プロセッサは、診断用画像を取得するように診断用撮像デバイスを制御し、その取得した診断用画像を表示するように第1のグラフィカルディスプレイ装置を制御することができる。プロセッサは、さらに、少なくとも1つの生理トランスデューサを通して生理データを取得し、その生理データを表示するために第2のグラフィカルディスプレイ装置を制御するように動作可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】乳児ケア装置の環境図である。
【図2】乳児ケア装置の一実施形態を示す。
【図3】乳児ケアシステムの電気部品の一実施形態の系統図である。
【図4】乳児ケア装置の代替の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、乳児ケア装置10の一実施形態の環境図である。乳児ケア装置10は、新生児集中治療室(NICU)の一部でよい病室12内に配置されている。
【0013】
図1に乳児ケア装置10を示す。その乳児ケア装置10は保育器タイプの乳児ケア装置であり、微環境領域16を画定する容器14を含む。乳児ケア装置10は、車輪またはキャスタ18、およびハンドル20から推測できるように可動式である。
【0014】
保育器10は、他の対流ベースのヒータと同様に、容器14の下に暖房システム22を含む。
【0015】
病室12は、X線機器24およびX線表示ステーション26を含む。患者に行われる様々なカテーテル処置では、処置が終わる前にカテーテルが適切に配置されていることを確認する必要がある。X線は、こうした確認のために特に大人に使用されることが多い。乳児、特に早産児のX線を取得するときに、患者全身のX線を、首尾よく標準的な8×11のX線フレームで取得することができる。
【0016】
乳児ケア装置10が可動式であるにもかかわらず、早産の患者をできるだけ移動しないことが望ましい場合が多い。というのは、移動することは、早産児の健康状態に対する有害な影響を有することがあるからである。したがって、乳児ケア装置10を、病室を横断してX線機器24まで不必要に移動させないことさえ望ましい場合もある。患者を移動させずに患者に関してカテーテルで確認できる場合は、これを実現することができる。
【0017】
したがって、NICUでは、ほとんどの撮像装置または治療用機器が、可動式のユニットであるか、またはカート上に配置され、患者をモニタまたは治療するために乳児ケア装置まで運ばれる。
【0018】
治療用機器は、撮像デバイスまたは他の診断デバイスとは対照的に患者を治療するデバイスを含む。したがって、治療用機器は、(例えば経静脈的に)ある物質を患者に供給すること、またはある物質を患者から取り出すこと含むことが多い。これは、カテーテルの配置および動作を必要とすることが多い。
【0019】
患者の体内に配置できるカテーテルの非限定的な例には、末梢挿入中心静脈カテーテル(PICC)、臍静脈カテーテル(UVC)、臍動脈カテーテル(UAC)、末梢静脈カテーテル(PIV)、末梢動脈カテーテル(PAC)がある。これらの例示的なカテーテルは、薬および栄養を届けることを含む診断または治療のために、患者の血管構造へのアクセスを提供する。さらに、他の臓器系を治療するためのより大きいカテーテルを患者の体内に挿入することができる。これらのカテーテルには、例示的に、膀胱に挿入されるフォーリーカテーテル、肺に挿入される胸腔チューブ、気管内(Et)チューブ、胃に挿入される経鼻胃(NG)チューブが含まれる。
【0020】
図2に、本明細書で開示される乳児ケア装置30のより詳細な実施形態を示す。乳児ケア装置30は、水平面34上に患者32を支持する。水平面34がある程度の傾斜に調節可能であってよいが、患者32を支持するときは事実上水平のままであることが理解されよう。さらに、水平面34はマットレス36を含むことができ、そのマットレス36は、患者32を支持し緩衝するように設計されている。図2に、患者32に治療処置を行っているときの臨床医38を示す。臨床医38の行為は本明細書でさらに詳細に説明する。
【0021】
図2に示す乳児ケア装置30は、ハイブリッド式暖房システムを含む。したがって、乳児ケア装置30は、放射型ヒータキャノピ40を含む。上記で説明したように、キャノピ40は、放射熱を患者32、マットレス36、および水平面34に向けるCalrod型加熱要素などの加熱要素を収容している。しかし、さらに、乳児ケア装置30は対流式暖房システム42を含み、その対流式暖房システム42は、患者32に対して対流によって熱を制御するように動作可能である。対流式暖房システム42は、加熱要素を通して空気流を強制的に流して、患者32の周りの微環境を加熱する。
【0022】
放射型ヒータキャノピ40を含む乳児ケア装置30のいくつかの実施形態では、乳児ケア装置は垂直フレーム52を含み、その垂直フレーム52は、水平面34および患者32の上方のある位置に放射型ヒータキャノピ40を支持する。放射型ヒータキャノピ40および対流式暖房システム42の両方を含む乳児ケア装置のハイブリッドの実施形態では、キャノピ40は、垂直フレーム52に沿って垂直に移動可能である。降下した位置では、キャノピ40は、本明細書でさらに詳細に説明するように、対流式暖房システム42の効率を向上させるために降下している。ハイブリッド型システムが放射による暖房で動作するときは、放射型ヒータキャノピ40は、患者32への臨床医38のアクセスが改善されるように垂直支持体52に沿って上昇する。乳児ケア装置30の内部制御機構は、どの暖房システムが患者32に対して温度を調整するかを制御することができる。したがって、一実施形態では、患者32を暖めるために一度に単一の暖房システムしか動作することができない。
【0023】
乳児ケア装置30では、微環境領域44は患者32の周りの領域であり、その領域内で装置30が環境状態を制御する。概して、微環境領域44は、水平面34とキャノピ40との間の空間として画定されている。追加として、1つまたは複数の壁46がさらに、微環境領域44を画定している。それらの壁46は、例えば臨床医38が患者32にアクセスできるように選択的に動かすことができる。他の実施形態では、壁46は、臨床医38が患者32をケアしている間に微環境領域44を維持することを容易にするために、臨床医38がそれを通して手を伸ばすことができる1つまたは複数のアームポート48を含む。
【0024】
乳児ケア装置30はベース50によって支持されており、そのベース50は、乳児ケア装置の高さ、具体的には水平面34の高さを垂直方向に調節する。調節可能なベース50は、乳児ケア装置30を可動式にできるキャスタ54に取り付けられている。一実施形態では、キャスタ54により、乳児ケア装置30を所望の位置に簡単に移動させるために、乳児ケア装置30は可動式である。同じ実施形態において、患者32が乳児ケア装置30にいるときは、キャスタ54をロックすることができ、乳児ケア装置30の移動を緊急の状況のみに制限されており、一方通常の状況では、乳児ケア装置30は、患者32のケアに必要な診断および治療の機能の多くを提供する。
【0025】
乳児ケア装置30はさらに、患者32をモニタしケアするための様々なデバイスおよび特性を含む。乳児ケア装置30は生理モニタ56を含む。いくつかの実施形態では、その生理モニタ56は、完全に微環境領域44内に配置されている。他の実施形態では、生理トランスデューサ58など、生理モニタの一部分が、微環境44内に配置されているか、またはそうではなく、患者32から生理的信号を取得するために微環境44中に延在し、患者32に取り付けられる。乳児ケア装置で使用できる生理モニタの非限定的な例には、心電計(ECG)、脳波計(EEG)、SPO2、体温、非観血式血圧(NIBP)が含まれるが、これらは単に例示的なものであり、多くの他のタイプの患者モニタリングデバイスを現在開示している方式で使用できることが理解されよう。生理モニタ56はグラフィカルディスプレイ装置60に接続されている。グラフィカルディスプレイ装置60は、同様に、完全にまたは部分的に微環境領域44内に配置されている。代替の実施形態では、グラフィカルディスプレイ装置60は、微環境領域44の外側に配置されている。グラフィカルディスプレイ装置60は、取得した生理的情報を臨床医38に対して視覚的に表示するように動作する。
【0026】
上記で記載したように、現在開示している乳児ケア装置は、特に、例えば患者32をケアするために臨床医38と患者32との相互作用を容易にするように設計されている。図2では、臨床医38は、例えば末梢IVを配置する処置を行っている。この処置では、臨床医38は、IVバッグ64に見られる栄養または薬物を患者32に送達できるように、カテーテル62を患者32の末梢動脈または静脈に接続する。これらの処置を、通常、血管アクセス術と呼ぶことができ、それらは全て、一般的に患者の血管構造の何らかのタイプのカテーテル法を含む。乳児に対するカテーテルによる治療の難点は、確実に適切に配置するためにこうしたカテーテルの適切な配置を視覚的に確認しなければならないことである。したがって、乳児ケア装置30は診断用撮像デバイス66を備える。図2に示す実施形態では、診断用撮像デバイス66は超音波診断用システムである。しかし、赤外分光法、デジタルX線、または当業者によって認識されるような非侵襲性撮像法の他の形態を含む、他の形態の撮像を利用できることが理解されよう。
【0027】
診断用撮像デバイス66は、撮像の確認が必要なときに、患者の微環境領域44中に外部の撮像デバイスを運ぶ必要がないように、微環境領域44内に配置されている。
【0028】
一実施形態では、超音波撮像ワンドを支持するように構成された支持体68が、水平面34から延在する。こうした実施形態では、この支持体68は、この場合は患者の上腕動脈の周りに、超音波ワンドを適切な位置に保持するために臨床医38に「第3の手」を提供する。支持体68を使用すると、臨床医の手が自由になって、カテーテル処置を行うために注意がより細かくなる。
【0029】
乳児ケア装置30は、少なくとも1つのグラフィカルディスプレイ装置70を含み、そのグラフィカルディスプレイ装置70は、微環境領域44内に配置されている。グラフィカルディスプレイ装置70は、診断用撮像デバイス66によって取得した画像を視覚的に表示するように動作する。図2に示す実施形態では、2つのグラフィカルディスプレイ装置70が微環境領域44内に含まれる。それにより、臨床医がグラフィカルディスプレイ装置70上の診断用画像を見ることが可能になり、これは処置中に臨床医が見るのに最も適している。
【0030】
さらに、グラフィカルディスプレイ装置70は、タッチスクリーンを含むことができ、グラフィカルディスプレイ装置70上に表示されたグラフィカルユーザインタフェース(GUI)は、診断用撮像デバイス66の動作のためのユーザの入力として動作する。このようにして、診断用撮像デバイス66に関する出力および制御手段の両方を、臨床医38が処置を実行しながら便利に使用できるように配置することができる。さらに他の実施形態では、グラフィカルディスプレイ装置70は、可撓性の支持体72上を水平面34から延在する。この可撓性の支持体72は、グーズネックなど、関節結合した支持体でよく、こうした支持体により、臨床医38が臨床医38および患者32の両方に対してグラフィカルディスプレイ装置の位置および向きを調節できるようになる。
【0031】
さらに他の実施形態では、グラフィカルディスプレイ装置70は、使い捨てのプラスチック製シース(図示せず)によって被覆されている。このプラスチック製シースは、グラフィカルディスプレイ装置70を汚染から保護する。こうしたプラスチック製シースを継続的に周期的に交換して、患者32の周りに無菌環境を維持することができる。
【0032】
図3は、構成要素間の電気的接続および通信連絡に注目した乳児ケア装置80の概略図である。乳児ケア装置80はコントローラ82を含む。コントローラ82は、様々な既知のコントローラ、マイクロコントローラ、またはマイクロプロセッサのうちの任意のものでよい。コントローラ82は、コンピュータ可読媒体84に通信連絡されており、そのコンピュータ可読媒体84にコンピュータ可読コードが格納されている。コンピュータ可読媒体84は、それらに限定されるものではないが、EEPROM、フラッシュメモリ、光メモリ、または着脱可能なデータストレージなどの不揮発性メモリを含む、既知の様々なコンピュータメモリのうちの任意のものでよい。コンピュータ可読媒体84は、コンピュータ可読コードを格納し、そのコンピュータ可読コードは、コントローラ82によって実行されるときに、コントローラが本明細書で開示したような機能および動作を実行する命令を含む。
【0033】
コントローラ82は診断用撮像デバイス86に接続される。上記で開示したように、一実施形態では診断用撮像デバイス86は、超音波撮像デバイスであるが、代替の実施形態では、デジタルX線または赤外分光法など、他の診断用撮像プラットフォームを利用することができる。コントローラ82は、診断用撮像デバイス86に指示を与え、それを制御し、デバイス86で取得した診断用画像を受け取る。
【0034】
コンピュータ可読媒体84は、コンピュータ可読コードを含み、そのコードにより、コントローラが受け取った診断用画像を処理し、例えば取得した診断用画像を表示するようにグラフィカルディスプレイ装置88を適切に動作させる。取得した診断用画像をグラフィカルディスプレイ装置88上に表示することは、例えばこれらの画像を臨床医が評価するのを容易にするためにそれらの画像をさらに処理することを含むことができる。
【0035】
コントローラ82は生理モニタ90に接続されている。生理モニタ90は、患者から様々な生理的信号および生体電位を取得し、取得した生理的信号を、処理するためにコントローラ82に提供する。コントローラ82は、生理モニタ90から受け取った生理的情報を処理し、取得した生理的情報を視覚的に表示するなどの様式でグラフィカルディスプレイ装置92を動作させる。
【0036】
コントローラ82はさらに、医療記録94のデータベースに通信連絡される。医療記録のこうしたデータベースは、乳児ケア装置80と一体の格納デバイス、またはそれに着脱可能に接続された格納デバイスなどに、局所的に格納することができる。あるいは、医療記録のデータベースは、病院の情報システム(図示せず)の一部である。病院の情報システムに格納された医療記録は、病院内のローカルイントラネットまたはインターネット上で、コントローラ82による通信によって利用可能である。コントローラ82と医療記録のデータベース94との間の通信連絡は、様々な有線または無線の通信プラットフォームのうちの任意のものでよい。
【0037】
コントローラ82はさらに、様々な微環境制御手段96に接続される。これらの微環境制御手段96は、機械的構成要素および電気的構成要素ならびにケア装置80の他のシステムの制御手段を含む。微環境制御手段96は、微環境内の温度、湿度、および酸素を所望のレベルに維持するための、当分野で知られたシステムを含む。さらに、コントローラ82は、上記で説明した放射型ヒータおよび対流式ヒータを制御し、さらに温度、湿度、および酸素の設定したレベルを維持するようになどの様式で動作することができる。コントローラ82はさらに、放射型ヒータおよび対流式ヒータの制御と関連させて、キャノピの上昇および下降を制御することができる。
【0038】
図4に、乳児ケア装置100の代替の実施形態を示す。図4と図2とで同様の参照番号は同様の構造を指すために用いられていることに留意されたい。本明細書では、図4の実施形態と図2の実施形態とで同様の構造は、図4の乳児ケア装置100の実施形態の開示した特性に注目するなどのように、さらに詳細に説明されることはない。
【0039】
乳児ケア装置100は、乳児患者32の周りに微環境領域102を画定する。微環境領域102は、水平面104と、水平面104に事実上垂直に延在する少なくとも1つの壁106A、106Bとの間に画定される。図4に示す乳児ケア装置100の実施形態では、それらの壁106は、臨床医38による患者32へのアクセスを容易にするために1つまたは複数の壁部分が可動式になるように、可撓性のプラスチック材料から構築される。図4では、壁106Bは、臨床医38による患者32へのアクセスを改善するように下側の位置に移動している。壁106Aなどの壁が上側の位置にあるときは、臨床医38は、やはりアームポート108を通して患者32にアクセスする。上記で言及した壁106Bによって例示するように壁が下側の位置にあるときは、臨床医38は、より自由に患者32にアクセスする。壁106の下側部分を選択的に折り畳むことによって、直立したままの壁106Aによって微環境領域102を維持するのに寄与しながら、臨床医38は患者32にアクセスすることができる。回転式のカルーセル110は水平面104を囲み、その水平面104は患者32を支持する。1つまたは複数のグラフィカルディスプレイ装置70は、カルーセル110に取り付けられている。カルーセル110により、臨床医38が患者32に医療処置を行っている間に、臨床医38が見るのに最適な位置にグラフィカルディスプレイ装置70を配置するために、臨床医38が患者32の周りでグラフィカルディスプレイ装置70を移動させることができる。カルーセル110により、水平面104上に支持された患者32を邪魔することなく、臨床医がグラフィカルディスプレイ装置70を移動させることができる。一実施形態では、グラフィカルディスプレイ装置70は、可撓性の支持体72によってカルーセル110に接続されている。これは、臨床医によるグラフィカルディスプレイ装置70の位置調節を最も促進する。
【0040】
代替の実施形態では、生理モニタ56および診断用撮像デバイス66のうちの1つまたは複数も、回転式のカルーセル110に取り付けられている。これらの構成要素をカルーセル110に取り付けることにより、臨床医38が、患者の邪魔にならないようにして、または臨床医 38が処置を行うのに最も好都合な配置で、患者モニタリングデバイスまたは診断用撮像デバイス 66と患者 32との間の接続位置および角度をさらに制御することが可能になる。生理モニタ56および診断用撮像デバイス66などの追加の構成要素を取り付けると、これらの装備を用いて医療処置を行うときの患者32を移動させる必要性がさらに低減される。
【0041】
上記で開示してきたように、本明細書で開示した乳児ケア装置のいくつかの実施形態を、診断用撮像によって患者をモニタするかまたは機能を生理学的にモニタしながらも、患者を治療または処置する際に臨床医が用いることができる。本明細書で開示した乳児ケア装置の実施形態は、様々な複雑さの様々な処置によって拡張することができる。上記で開示した血管アクセス術は、PICC、UVC、UAC、PIV、またはPACカテーテルの挿入を含む。こうしたカテーテルを適切に案内および配置するには、乳児ケア装置の一部分として設けられた診断用撮像デバイスを用いてカテーテルの位置を確認することが必要である。臨床医はさらに、大型のカテーテルを挿入することによって典型的には臓器または臓器系を治療するチューブ置換術を行うことができる。これらは、ETチューブ、NGチューブ、フォーリーカテーテル、または胸腔チューブの配置を含む。最後に、本明細書で開示した乳児ケア装置の一部として提供される診断用撮像デバイスは、先進の診断用撮像技法を使用する、さらなる臓器診断試験およびテストを実行するための機能を臨床医に提供する。乳児ケア装置のコントローラを、乳児ケア装置を備えた診断用撮像デバイスを使用して、患者の 脳、腎臓、または消化管などの臓器系にこれらの診断分析を行うのに必要なソフトウェアでプログラムすることができる。
【0042】
こうした書面による説明は、ベストモードを含めて本発明を開示するために、さらに、任意のデバイスまたはシステムを作製および使用すること、ならびに任意の組み込まれた方法を実行することを含めて、当業者が本発明を実施することができるように、複数の例を用いている。本発明の特許性のある範囲は、請求項によって定義され、当業者が思いつく他の例を含むことができる。こうした他の例は、請求項の文言と相違のない構造上の要素を有する場合、または請求項の文言と実質的に相違ない等価の構造上の要素を含む場合は、特許請求の範囲内に包含されることが意図される。
【符号の説明】
【0043】
10 乳児ケア装置
12 病室
14 容器
16 微環境領域
18 キャスタ
20 ハンドル
22 暖房システム
24 X線機器
26 表示ステーション
30 乳児ケア装置
32 患者
34 水平面
36 マットレス
38 臨床医
40 キャノピ
42 対流式暖房システム
44 微環境領域
46 壁
48 アームポート
50 調節可能なベース
52 垂直フレーム
54 キャスタ
56 生理モニタ
58 生理トランスデューサ
60 グラフィカルディスプレイ装置
62 カテーテル
64 IVバッグ
66 診断用撮像デバイス
68 支持体
70 グラフィカルディスプレイ装置
72 可撓性の支持体
74 グラフィカルディスプレイ装置
80 乳児ケア装置
82 コントローラ
84 コンピュータ可読媒体
86 診断用撮像デバイス
88 グラフィカルディスプレイ装置
90 生理モニタ
92 グラフィカルディスプレイ装置
94 医療記録
96 微環境制御手段
100 乳児ケア装置
102 微環境領域
104 水平面
106 壁
108 アームポート
110 カルーセル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳児を支持するように構成された水平面(34)と、
前記水平面(34)から概して垂直に延びる少なくとも1つの壁(46)によって画定された微環境領域(44)と、
前記微環境領域(44)内に配置されたグラフィカルディスプレイ装置(70)と、
少なくとも部分的に前記微環境領域(44)内に配置された診断用撮像デバイス(66)であって、前記微環境領域(44)の前記乳児の診断用画像を取得するように構成された、診断用撮像デバイス(66)と、
前記ディスプレイ装置(70)および前記診断用撮像デバイス(66)に接続されたプロセッサ(82)であって、診断用画像を取得するように前記診断用撮像デバイス(66)を動作させ、前記グラフィカルディスプレイ装置(70)上に前記診断用画像を表示するように前記グラフィカルディスプレイ装置(70)を動作させる、プロセッサ(82)と
を備える乳児ケア装置(30)。
【請求項2】
前記水平面(34)に概して平行であり前記水平面(34)に対向する放射型ヒータ(40)をさらに備え、前記放射型ヒータ(40)がさらに、前記微環境領域(44)を画定し、前記微環境領域(44)を所定の温度に暖める、請求項1記載の乳児ケア装置。
【請求項3】
前記微環境領域(44)を所定の温度に暖める対流式ヒータ(42)であって、前記微環境領域(44)がさらに、前記水平面(34)および前記少なくとも1つの壁(46)を備える容器によって画定される、対流式ヒータ(42)と、
例えば前記微環境領域(44)に酸素を供給するために、前記密閉された微環境領域(44)に接続された酸素供給源と、
前記密閉された微環境領域(44)に接続された加湿器であって、前記微環境領域内の湿度レベルを制御する、加湿器と
をさらに備える、請求項1記載の乳児ケア装置。
【請求項4】
前記グラフィカルディスプレイ装置(70)が、前記微環境領域(44)内に可動式に配置され、前記微環境(44)内の乳児および前記微環境(44)の周りの臨床医の位置に対して移動するように構成されている、請求項1記載の乳児ケア装置。
【請求項5】
少なくとも部分的に前記微環境領域内に配置された治療用機器(62)であって、血管内アクセス術を行うように構成されている治療用機器をさらに備える、請求項4記載の乳児ケア装置。
【請求項6】
前記治療用機器がさらに、挿管処置を行うように構成されている、請求項5記載の乳児ケア装置。
【請求項7】
少なくとも部分的に前記微環境領域(44)内に配置された少なくとも1つの生理トランスデューサ(58)をさらに備え、前記少なくとも1つの生理トランスデューサ(58)が、前記患者から生理データを取得するように構成されている、請求項1記載の乳児ケア装置。
【請求項8】
前記プロセッサ(82)がさらに、前記少なくとも1つの生理トランスデューサ(58)に通信連絡され、前記生理データを前記グラフィカルディスプレイ装置(92)上に表示するように前記グラフィカルディスプレイ装置(92)を動作させる、請求項7記載の乳児ケア装置。
【請求項9】
前記診断用撮像デバイス(66)が超音波撮像デバイスである、請求項1記載の乳児ケア装置。
【請求項10】
前記診断用撮像デバイス(66)が、前記水平面(34)を通って前記微環境領域(44)中に延在する、請求項9記載の乳児ケア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−101059(P2012−101059A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242153(P2011−242153)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】