説明

乳幼児食品を作製する方法

一定範囲の乳幼児食品を作製するUHT無菌方法が、少なくとも2つのステップを含み、第1段階で、野菜を調理し、肉又は魚を野菜から分別して調理して、事前調理成分を提供し、第2段階で、事前調理成分を混合し、約130℃から140℃までの温度で約30秒から約240秒までの時間、UHT加工を施して、製品を滅菌し、プラスチック容器中に無菌で充填する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は一般に乳幼児食品を作製する方法、及び特に成分の独特な自然の色及び自然の味が加工後に保持されるように、各成分を必要最小限で加工する乳幼児食品を作製する無菌方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]生後最初の6ヶ月間の完全母乳育児は、乳幼児の健康的な成長及び発達にとって、理想的な栄養を供給する最良の方法であると考えられる。母乳育児はまた、乳幼児の免疫系を強化し、感染症の罹患率及び重症度を軽減する。
【0003】
[0003]母親には、母乳育児ができない母親もいるし、一方、個人的、文化的、社会経済的、又は健康上の理由で、母乳育児を選択しない母親もいる。これらの場合、世界保健機構(WHO)は、母親が乳幼児の栄養を最適化するように援助されるべきであると述べている。
【0004】
乳児用調製粉乳
[0004]WHO/食物のための国際的な基準を定める国連機関である、国連食料農業機関(FAO)の国際食品規格委員会は、乳児用調製粉乳は母乳の最高の代用品であると認めている。工業的に調製される乳児用調製粉乳は、母乳の全ての品質を厳密に複製することはできないが、栄養的に不十分で危険なことがある伝統的な代用品より、かなりの改善を示す。伝統的な代用品としては、改質されていない(ウシ、ヤギ、又はバッファローからの)動物の乳及び様々な種類の穀物粥が挙げられる。
【0005】
[0005]工業的に調製される乳児用調製粉乳は、母乳の部分的又は完全な代替品として誕生から使用するために考案された。国際食品規格委員会は、乳児用調製粉乳を「乳幼児の食事として与えるのに適すると証明された、魚又は植物由来の物を含む、ウシ若しくは他の動物の乳、及び/又は動物の他の可食構成物質をベースにした製品」と、定義している。栄養分の唯一の供給源として使用される場合、乳児用調製粉乳は、生後最初の6ヶ月間の乳児の全てのエネルギー及び栄養の要求量を満たさなければならない。
【0006】
補助食品
[0006]最初の6ヶ月間の完全母乳育児の後、乳幼児は、栄養的に十分で、安全で、適切な補助食品を摂り始めるべきである。
【0007】
[0007]補助食品は離乳のために使用され、「母乳又は乳児用調製粉乳のどちらかが、乳幼児の栄養要求量を満足させるのに不十分となる場合、大量生産されるのであれ、局地的に調製されるのであれ、母乳又は乳児用調製粉乳を補完するものとして適する任意の食物」と定義することができる。補助食品としては、例えば乳製品、自家製食品、並びに、穀物、果物、野菜、肉、魚、及び炭水化物をベースにした加工食品が挙げられる。
【0008】
[0008]補助食品は、母乳又は母乳代用品が乳幼児の栄養要求量をもはや満足させない場合、乳幼児の食事に導入すべきである。乳幼児の消化器官が発達するこの移行期間に、乳幼児の食事は、次第に乳のみの食事から、大人と同様の完全に多様化した食事に進化させることができる。
【0009】
[0009]異なる味及び質感は、例えば、乳幼児の普通の乳又はピューレにした果物及び野菜、肉、並びに魚と混合した穀物を通じて、徐々に食事に導入することができる。その後、だんだん、固形の食物を添加することができる。
【0010】
[0010]多くの母親は家庭で補助食品を調製する。しかし、これらの食物が、月齢6〜24ヶ月の乳幼児が必要とする、全てのカロリー、鉄分、及び他の微量栄養素を供給する可能性は非常に低い。これに鑑みて、食品製造業者は、これらの要求量を満たすために、微量栄養素を強化し、カロリーを最適化した補助食品を開発してきた。その補助食品は、様々な量のタンパク質、炭水化物、及び脂肪を含む。
【0011】
[0011]従来、乳幼児食品の常温貯蔵寿命の間の製品の無菌性を保証するために、既知の食品は、必要な無菌性に到達するまで、長期間、加圧及び高温下の調理器中で、小型容器(典型的にはガラス瓶)に成分を密封する方法によって作製される。しかし、この方法は、熱に弱い栄養素の消失又は劣化を引き起こす可能性がある。従来の滅菌の方法を示す略図を、図1に示す。
【0012】
[0012]例えばレトルト処理などの伝統的な調理技術は、食物を滅菌するが、栄養素、味質、及び見た目の特性を失うという犠牲を払う。レトルト処理は、残留酸素の存在下のビタミンC、β−カロテン、チアミン、及びポリ不飽和脂肪酸を含む易熱性栄養素の破壊をある程度まで促進する。糖が破壊され、苦味又は酸味(例えば、缶詰食品の味)が複雑な化学反応の結果として発生するので、味質もまたレトルト処理の間に消失する。レトルト処理はまた、製品の見た目の魅力を低下させる、製品からの色の消失という問題ももたらす。
【0013】
[0013]さらに、乳幼児は必須栄養素の豊富な食物を必要とし、加工の間に調理によって生成される可能性のある有害な化合物に曝露されるべきではないと考えられる。
【0014】
[0014]したがって、加工後に保持されるより自然の味及びより多くの栄養素を有する製品をもたらす一定範囲の食品を作製する新規の方法が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
[0015]したがって、本発明の目的は、加工後に保持される、より自然の味及びより多くの栄養素を有する製品をもたらす一定範囲の食品を作製する新規の方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
[0016]これらの及び他の目的は、本発明の1つの態様において、タンパク質成分及び野菜成分を含む乳幼児食品を作製する方法を提供することによって対処され、その方法は、第1段階において、分別して野菜を調理し、分別して肉又は魚を調理して、事前調理成分を提供するステップ、及び第2段階において、事前調理成分を混合し、高温で短時間、UHT加工を施して、製品を滅菌するステップを含む。好ましくは、製品はその後、無菌で容器中に充填される。
【0017】
[0017]好ましくは、野菜の分別調理は、冷凍野菜を蒸して、急速に解凍し、それと同時に「穏やかに」調理することによって達成される。有利なことに、これは、植物の細胞構造の破壊を最小限にし、有害な化学反応を最小限にし、水溶性ビタミンの浸出を減少させることになる。
【0018】
[0018]好ましくは、肉又は魚の分別調理は、肉又は魚を揚げることによって達成される。
【0019】
[0019]さらに、野菜を事前調理すること、及び肉又は魚を分別して揚げることによって、それら自体の独特な風味のプロファイルが生成/達成される。UHT加工前にそれらを組み合わせて、最終製品を作製することによって、製品の味のプロファイルが改善するという付加的な利点がもたらされる。
【0020】
[0020]食品の滅菌は、(高温処理が、短時間で実行されるので)食品中の最小限のビタミン消失、及び熱に弱い化合物の最小限の化学反応を引き起こすUHT(超高温)加工によって達成される。有利なことに、熱に弱いビタミンの消失及び反応生成物の発生が、乳幼児食品の作製のために典型的に使用される伝統的なレトルト処理法と比較して、本発明の方法に従うと、実質的により少ないことがわかった。さらに、本発明は、使用される個々の成分からの風味及び味の強い保持という利点をもたらす。本発明に従って作製された一定範囲の製品は、様々な独特の味を有し、シチューのようにより控え目な味である。
【0021】
[0021]本発明による食品の調理及び滅菌に対する新規のアプローチは、食物の構成成分に、より軽度の熱処理を施すことであることが見いだされている。さらに、存在する野菜の種類に応じて調理時間を個別化して、野菜を他の成分から分別して調理する。これは、風味の融合が初期の加工の間、防止されるという利点をもたらす。
【0022】
[0022]さらに、本発明の調理技術は野菜の味及び栄養素量を保存し、UHT熱処理は調理時間を最小化し、無菌性を達成するが、加工中の食物中に起こる化学反応を最小化する。
【0023】
[0023]さらに、官能分析及びビタミン分析試験の結果は、本発明の方法が成分の個々の風味を保持することを明らかにした。さらに、本発明は、使用される成分の自然の甘味が保持され、すっぱい風味が加工中に発生せず、より高レベルのチアミンが加工後も維持され、ポリ不飽和脂肪酸が維持され、加工中の錯化合物の発達が最小化されるという利点をもたらす。
【0024】
[0024]さらに、本発明は、その方法が、従来のレトルト処理によって作製される比較の製品より健康的な製品を提供するという利点をもたらす。
【0025】
[0025]本発明の他の及びさらなる目的、特徴、及び利点は、当業者によって容易に見いだされる。
【0026】
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を重ねた結果、…することにより、…することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】レトルト処理を含む食品の作製及び滅菌の従来の方法を示す図である。
【図2】本発明による一定範囲の食品の作製及び滅菌の方法を示す図である。従来の方法と対照的に、本発明の方法はUHT処理及び無菌充填を含む。
【図3】様々な食品を加工する前後のビタミンB1の保持を調査するために実施した試験の結果を示す図である。
【図4】様々なF0値でのクッキング値を調査するために実施した試験の結果を示し、レトルト処理を含む従来の方法に対する本発明による加工の結果を比較する図である。
【図5】従来のレトルト処理及び本発明による加工を含む熱加工を製品に施した後で、3つの異なる各製品中で測定されるフランのレベルを調査するために実施した試験の結果を示す図である。
【図6】3つのレベルの熱処理での副産物として生成するフランの濃度を調査するために実施した試験の結果を示す図である。ニンジンを含む野菜製品を評価し、その結果を示す図である。
【図7】3つのレベルの熱処理での副産物として生成するフランの濃度を調査するために実施した試験の結果を示す図である。タラ及び混合野菜を含む塩味製品を評価し、その結果を示す図である。
【図8】Lab色空間図中で得られた結果を示す図である。
【図9】本発明による方法の実施形態を示す略図を示す図である。
【図10】製品を従来のレトルト処理及び本発明による加工を含む熱加工を施した後で、製品の味の相違を調査するために実施した官能プロファイリングの試験の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
定義
[0035]本明細書の文脈の中で、用語「約」は、プラス又はマイナス20%、より好ましくはプラス又はマイナス10%、さらにより好ましくはプラス又はマイナス5%、最も好ましくはプラス又はマイナス2%を意味する。
【0029】
[0036]用語「一定範囲の乳幼児食品」は、乳及び/又は穀物とともに、乳幼児に栄養要求量を与える複数の包装された栄養組成物(例えば、1つ又は複数、好ましくは2つ以上)のことを言う。範囲は部分からなるキットを形成すると解釈できる。
【0030】
[0037]定義できる乳幼児の発達段階が認められており、第1段階は月齢約4から約6ヶ月までのことを言い、第2段階は月齢約6から約8ヶ月までのことを言い、第3段階は月齢約8から約12ヶ月までのことを言い、第4段階(ジュニア段階とも言われる)は月齢約12から約36ヶ月までのことを言う。これらの異なる発達段階中に該当する乳幼児は、異なる栄養要求量を有する。
【0031】
[0038]本発明は多様であってもよいので、本明細書に記載の特定の方法、手順、及び試薬に限定されない。さらに、本明細書に使用される用語は、特定の実施形態を記載するだけの目的のためであり、本発明の範囲を限定することを意図しない。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される通り、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数の言及を含む。
【0032】
[0039]別段の定義がない限り、本明細書に使用される全ての専門及び科学用語、並びにいずれの頭字語も、本発明の分野の当業者によって、一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様又は均等のいずれかの方法及び材料を、本発明の実施において使用できるが、好ましい方法、装置、及び材料は、本明細書に記載される。
【0033】
[0040]本明細書に挙げられる全ての特許、特許出願、及び出版物は、本発明とともに使用してもよいそれらの中に報告される化合物及び方法を記載し開示する目的のために、法律が許す範囲内で、参照により本明細書に組み込まれる。しかし、本明細書の何も、本発明が先行発明によって、かかる開示に先行する資格がないという承認として解釈されるべきではない。
【0034】
[0041]本明細書に表現される全ての重量パーセントは、具体的に、別段の指示がない限り、食品の総重量による。
【0035】
[0042]本明細書内の実施形態は、明白で簡潔な明細書を書くことができるように記載されたが、実施形態は、本発明から乖離することなく、様々に組み合わせ又は分離されてもよいと意図され、理解される。
発明
【0036】
[0043]1つの態様において、本発明は、タンパク質成分及び野菜成分を含む乳幼児食品を作製する方法であって、第1段階において、野菜成分を調理し、タンパク質成分を野菜成分から分別して調理して、事前調理成分を提供し、第2段階において、事前調理成分を混合し、約130℃から約140℃までの温度で、約30秒から約240秒までの時間でUHT加工を施して、製品を滅菌する方法を提供する。
【0037】
[0044]好ましくは、野菜成分は少なくとも1種の野菜を含む。より好ましくは、野菜成分は、少なくとも2種又は3種の野菜を含む。
【0038】
[0045]好ましくは、野菜成分の分別調理は、冷凍又は生野菜に蒸気処理を施すことによって達成される。これは、野菜が冷凍の場合は、迅速に解凍されるという利点をもたらす。さらに、栄養素は野菜から浸出しない。さらに、使用される野菜に応じた時間の蒸気処理を野菜に施すので、有利である。
【0039】
[0046]好ましくは、少なくとも2種類の野菜を、互いに分別して調理し、調理の後で混合する。
【0040】
[0047]好ましくは、約1分から約5分までの時間、約85℃から約95℃までで、野菜を調理する。これは野菜を「穏やかに」調理するという利点を有する。有利なことに、これは、植物の細胞構造の破壊を最小限にし、有害な化学反応を最小限にし、水溶性ビタミンの浸出を減少させることになる。
【0041】
[0048]好ましくは、タンパク質成分は、肉及び魚から選択されるタンパク質源を含む。
【0042】
[0049]野菜成分と肉とを分別調理することによって、肉を揚げて、肉の風味を生成することができ、野菜は分別して調理し、野菜の風味の混合を避け、より強い風味を与え、栄養素の消失を減少させることができる。
【0043】
[0050]好ましくは、肉又は魚の分別調理は、肉又は魚を揚げること又は加圧調理することによって達成される。1つの実施形態において、肉はタマネギと一緒に揚げる。
【0044】
[0051]好ましくは、肉又は魚は、約10分間で揚げるか、又は加圧調理する。
【0045】
[0052]好ましくは、肉又は魚は、使用される肉又は魚に応じた時間、揚げる。揚げる時間は、使用される肉又は魚のための最高の結果をもたらすように対象に合わせて設定することができるので、これは有利である。さらに、伝統的なレトルト処理法と対照的に、肉又は魚の風味は、野菜を調理してしまう後まで、野菜の風味と混合しない。
【0046】
[0053]本発明の好ましい実施形態において、パスタ又は、例えば米などの穀物ベースの成分は、野菜成分とタンパク質成分とから分別して調理し、事前調理された成分のための土台又はベースとして混合し、使用する。
【0047】
[0054]好ましくは、月齢約4から約6ヶ月まで(第1段階)の乳児のための乳幼児食品は、アーティチョーク、ニンジン、キュウリ、ウイキョウ、サヤマメ、セイヨウネギ、レタス、パースニップ、ジャガイモ、黄カボチャ、カボチャ、及びズッキーニから選択される1種又は複数種の野菜を含む。
【0048】
[0055]好ましくは、月齢約4から約6ヶ月まで(第1段階)の乳児のための乳幼児食品は、牛肉、子牛の肉、鶏肉、子羊の肉、豚肉、七面鳥の肉、及び鴨肉から選択される1種又は複数種の肉を含む。
【0049】
[0056]好ましくは、月齢約4から約6ヶ月まで(第1段階)の乳児のための乳幼児食品は、リンゴ、アプリコット、バナナ、ブラックベリー、クロフサスグリ、コケモモ、サクランボ、ナツメヤシ、ブドウ、グーズベリー、グアバ、レモン、ライム、マンダリン、マンゴー、メロン、ネクタリン、オリーブ、オレンジ、モモ、ナシ、パイナップル、プラム、マルメロ、ラズベリー、アカフサスグリ、及びスイカから選択される1種又は複数種の果物を含む。
【0050】
[0057]好ましくは、月齢約4から約6ヶ月まで(第1段階)の乳児のための乳幼児食品は、アニス、バームミント、カモミール、キャラウェー、ガーキン、オレンジブロッサム、及びソレルから選択される1種又は複数種の香草及びスパイスを含む。
【0051】
[0058]好ましくは、月齢約6から約8ヶ月まで(第2段階)の乳児のための乳幼児食品は、アーティチョーク、ニンジン、キュウリ、ウイキョウ、サヤマメ、セイヨウネギ、レタス、パースニップ、ジャガイモ、黄カボチャ、カボチャ、ズッキーニ、ブロッコリー、カリフラワー、ナスビ、サツマイモ、トマト、エンドウマメ、及びホウレンソウから選択される1種又は複数種の野菜を含む。
【0052】
[0059]好ましくは、月齢約6から約8ヶ月まで(第2段階)の乳児のための乳幼児食品は、ダイズ、ブラックグラムシード、ヒヨコマメ、ササゲ、インゲンマメ、ヒラマメ、ヤエナリ、及びキマメから選択される1種又は複数種の豆果を含む。
【0053】
[0060]別の実施形態において、月齢約6から約8ヶ月まで(第2段階)の乳児のための乳幼児食品は、牛肉、子牛の肉、鶏肉、子羊の肉、豚肉、七面鳥の肉、及び鴨肉から選択される1種又は複数種の肉、及び/又は魚を含む。
【0054】
[0061]好ましくは、月齢約6から約8ヶ月まで(第2段階)の乳児のための乳幼児食品は、リンゴ、アプリコット、バナナ、ブラックベリー、クロフサスグリ、コケモモ、サクランボ、ナツメヤシ、ブドウ、グーズベリー、グアバ、レモン、ライム、マンダリン、マンゴー、メロン、ネクタリン、オリーブ、オレンジ、モモ、ナシ、パイナップル、プラム、マルメロ、ラズベリー、アカフサスグリ、スイカ、イチジク、パパイヤ、パッションフルーツ、イチゴ、及びタンジェリンから選択される1種又は複数種の果物を含む。
【0055】
[0062]好ましくは、月齢約6から約8ヶ月まで(第2段階)の乳児のための乳幼児食品は、アニス、バームミント、カモミール、キャラウェー、ガーキン、オレンジブロッサム、ソレル、カルダモン、アサツキ、クミン、タマネギ、サフラン、サボリー、エシャロット、及びタイムから選択される1種又は複数種の香草及びスパイスを含む。
【0056】
[0063]好ましくは、月齢約6から約8ヶ月まで(第2段階)の乳児のための乳幼児食品は、ココナッツを含む。
【0057】
[0064]好ましくは、月齢約8から約12ヶ月まで(第3段階)の乳児のための乳幼児食品は、アーティチョーク、ニンジン、キュウリ、ウイキョウ、サヤマメ、セイヨウネギ、レタス、パースニップ、ジャガイモ、黄カボチャ、カボチャ、ズッキーニ、ブロッコリー、カリフラワー、ナスビ、サツマイモ、トマト、エンドウマメ、ホウレンソウ、アスパラガス、ビート(の根)、芽キャベツ、キャベツ、ガーデンピー、ダイコン、及びカブから選択される1種又は複数種の野菜を含む。
【0058】
[0065]好ましくは、月齢約8から約12ヶ月まで(第3段階)の乳児のための乳幼児食品は、ダイズ、ブラックグラムシード、ヒヨコマメ、ササゲ、インゲンマメ、ヒラマメ、ヤエナリ、キマメ、ライマメ、及びシカクマメから選択される1種又は複数種の豆果を含む。
【0059】
[0066]好ましくは、月齢約8から約12ヶ月まで(第3段階)の乳児のための乳幼児食品は、牛肉、子牛の肉、鶏肉、子羊の肉、豚肉、七面鳥の肉、及び鴨肉から選択される1種又は複数種の肉、及び/又は魚、及び/又は卵を含む。
【0060】
[0067]好ましくは、月齢約8から約12ヶ月まで(第3段階)の乳児のための乳幼児食品は、リンゴ、アプリコット、バナナ、ブラックベリー、クロフサスグリ、コケモモ、サクランボ、ナツメヤシ、ブドウ、グーズベリー、グアバ、レモン、ライム、マンダリン、マンゴー、メロン、ネクタリン、オリーブ、オレンジ、モモ、ナシ、パイナップル、プラム、マルメロ、ラズベリー、アカフサスグリ、スイカ、イチジク、パパイヤ、パッションフルーツ、イチゴ、タンジェリン、及びルバーブから選択される1種又は複数種の果物を含む。
【0061】
[0068]好ましくは、月齢約8から約12ヶ月まで(第3段階)の乳児のための乳幼児食品は、アニス、バームミント、カモミール、キャラウェー、ガーキン、オレンジブロッサム、ソレル、カルダモン、アサツキ、クミン、タマネギ、サフラン、サボリー、エシャロット、タイム、コリアンダー、クルクマ、ガーデンソレル、ニンニク、ミント、及びバニラから選択される1種又は複数種の香草及びスパイスを含む。
【0062】
[0069]好ましくは、月齢約8から約12ヶ月まで(第3段階)の乳児のための乳幼児食品は、ココナッツ及び/又はココアを含む。
【0063】
[0070]好ましくは、月齢約12から約36ヶ月まで(ジュニア段階)の幼児のための乳幼児食品は、アーティチョーク、ニンジン、キュウリ、ウイキョウ、サヤマメ、セイヨウネギ、レタス、パースニップ、ジャガイモ、黄カボチャ、カボチャ、ズッキーニ、ブロッコリー、カリフラワー、ナスビ、サツマイモ、トマト、エンドウマメ、ホウレンソウ、アスパラガス、ビート(の根)、芽キャベツ、キャベツ、ガーデンピー、ダイコン、カブ、マッシュルーム、及びクレソンから選択される1種又は複数種の野菜を含むことが好ましい。
【0064】
[0071]好ましくは、月齢約12から約36ヶ月まで(ジュニア段階)の幼児のための乳幼児食品は、ダイズ、ブラックグラムシード、ヒヨコマメ、ササゲ、インゲンマメ、ヒラマメ、ヤエナリ、キマメ、ライマメ、及びシカクマメから選択される1種又は複数種の豆果を含む。
【0065】
[0072]好ましくは、月齢約12から約36ヶ月まで(ジュニア段階)の幼児のための乳幼児食品は、牛肉、子牛の肉、鶏肉、子羊の肉、豚肉、七面鳥の肉、鴨肉から選択される1種又は複数種の肉、及び/又は魚、及び/又は卵、及び/又は甲殻類を含む。
【0066】
[0073]好ましくは、月齢約12から約36ヶ月まで(ジュニア段階)の幼児のための乳幼児食品は、リンゴ、アプリコット、バナナ、ブラックベリー、クロフサスグリ、コケモモ、サクランボ、ナツメヤシ、ブドウ、グーズベリー、グアバ、レモン、ライム、マンダリン、マンゴー、メロン、ネクタリン、オリーブ、オレンジ、モモ、ナシ、パイナップル、プラム、マルメロ、ラズベリー、アカフサスグリ、スイカ、イチジク、パパイヤ、パッションフルーツ、イチゴ、タンジェリン、ルバーブ、グレープフルーツ、及びキーウィから選択される1種又は複数種の果物を含む。
【0067】
[0074]好ましくは、月齢約12から約36ヶ月まで(ジュニア段階)の幼児のための乳幼児食品は、アニス、バームミント、カモミール、キャラウェー、ガーキン、オレンジブロッサム、ソレル、カルダモン、アサツキ、クミン、タマネギ、サフラン、サボリー、エシャロット、タイム、コリアンダー、クルクマ、ガーデンソレル、ニンニク、ミント、バニラ、バジル、ゲッケイジュ、チャービル、シナモン、クローブ、ショウガ、カンゾウ、メース、マジョラム、ナツメグ、オレガノ、パセリ、コショウ、ローズマリー、セージ、及びテラゴンから選択される1種又は複数種の香草及びスパイスを含む。
【0068】
[0075]好ましくは、月齢約12から約36ヶ月まで(ジュニア段階)の幼児のための乳幼児食品は、ココナッツ、ココア、アーモンド、ブナの木の実、ブラジルナッツ、カシューナッツ、クリ、ヘーゼルナッツ、マカデミアナッツ、ピーカンナッツ、ピスタチオナッツ、及びクルミから選択される1種又は複数種のナッツを含む。
【0069】
[0076]好ましい実施形態において、方法はさらに、食品のための包装材を滅菌する(無菌充填技術)ステップ及び無菌環境下で食品を包装材に充填するステップを含む。充填された包装材は、製品と一緒に高熱処理を施されず、包装を高温で行わないことは、有利である。この方法は、プラスチック(例えば、ポリプロピレン)などの新規の包装材料に、理想的に適している。これは、ガラス容器を必要としないという利点、すなわち、ガラスとふたとの間の密封から食品までの移動が減少し、ガラスの破片が食品に入り込む危険が除去されるという利点をもたらす。さらに、包装材料が滅菌しやすい。特に、過酸化水素の除去は、プリフォームされた容器中で達成するのは困難である。
【0070】
[0077]好ましくは、食品用容器は食品と同一の生産ラインで作製され、その結果、食品用容器の作製が方法の不可欠の部分となる。これは、容器が食品を充填する直前に形成され、汚染の危険が減少するという利点をもたらす。
【0071】
[0078]さらなる態様において、本発明は、本発明に従って作製される一定範囲の乳幼児食品を提供する。
【0072】
[0079]好ましくは、一定範囲の製品は、乳幼児の各発達段階に適する少なくとも1種の食品を含む。
【0073】
[0080]好ましくは、一定範囲の製品は、乳幼児の各発達段階に適する2種以上の食品を含む。より好ましくは、一定範囲の製品は、乳幼児の各発達段階のために、少なくとも1種の野菜ベースの製品及び1種の果物ベースの製品を含む。より好ましくは一定範囲の製品は、乳幼児の各発達段階のために、複数種の野菜ベースの製品及び果物ベースの製品を含む。
【0074】
[0081]好ましくは、一定範囲の製品は、乳幼児の発達の第1段階のために、少なくとも1種の野菜ベースの製品及び1種の果物ベースの製品を含む。
【0075】
[0082]好ましくは、一定範囲の製品は、乳幼児の発達の第2段階のために、少なくとも1種の野菜ベースの製品、1種の完全食、及び1種の果物ベースの製品を含む。
【0076】
[0083]好ましくは、一定範囲の製品は、乳幼児の発達の第3段階のために、少なくとも1種の野菜ベースの製品、1種の完全食、及び1種の果物ベースの製品を含む。
【0077】
[0084]好ましくは、一定範囲の製品は、乳幼児の発達の第4段階のために、少なくとも1種の野菜ベースの製品、1種の完全食、及び1種の果物ベースの製品を含む。
【0078】
[0085]さらなる態様において、本発明は、本発明による一定範囲の乳幼児食品を作製するのに適する設備を提供する。
【0079】
[0086]好ましくは、設備は、野菜を調理するための調理機、肉又は魚を揚げるための揚げ機、ミキサー、UHT装置、及び無菌容器に食品を低温無菌充填するのための装置を含み、UHT装置は、ミキサーから低温無菌充填のための装置及び好ましくはテキスチャライザー(texturizer)まで、食品を移送するための管を含む。
【0080】
[0087]好ましくは、管は、固形の小片を有する食品(第3段階及びジュニア段階の製品)にUHT処理を実行するために、環状断面の導管、又は均質な食品(第1段階及び第2段階の製品)にUHT処理を実行するために、複数の円形断面の導管を含む。
【0081】
[0088]他の態様において、本発明は、本発明の方法を使用して作製される一定範囲の製品、及び本発明の装置を使用して作製される製品を提供する。
【0082】
[0089]乳幼児食品を作製する伝統的な方法は、製品の滅菌及びガラス瓶への包装を含む。これは、図1に略図として示されている。既知の方法と比較して、本発明の方法は、製品に、より低い全体的な熱処理をして、無菌性を実現することを必要とする。本発明による方法は、図2に略図として示されている。理論に拘束されることを望まず、これは、温度上昇に伴う微生物の熱不活化(F−値)の増加率が、調理反応の増加率より大きいという事実からの結果であると考えられる。その結果、速い加熱速度及び高い最終温度により、より短い時間でF0(無菌性)に到達し、製品は、加熱速度が遅く、F0が無菌性に到達するのに長い時間を必要とする場合より、製品の受ける調理全体がより少なくなる。(F0値は、ボツリヌス菌を殺すために必要とされる時間の既知の尺度である。)
【実施例】
【0083】
[0090]本発明はさらに、以下の実施例によって説明することができるが、これらの実施例は、説明の目的だけのために含まれており、別段に具体的な指示がない限り、本発明の範囲を限定することを意図しないことが理解される。
【0084】
見本となる食品
実施例1
[0091]以下の成分を第2段階の完全食の作製に使用した。
【0085】
【表1】

【0086】
実施例2
[0092]以下の成分を第3段階の完全食の作製に使用した。
【0087】
【表2】

【0088】
実施例3
[0093]以下の成分をジュニア段階の完全食を作製するために使用した。
【0089】
【表3】

【0090】
試験及びデータ
[0094]最終製品の品質への本発明の方法の影響を調べるために、いくつかの試験を以下のように実施した。
1)チアミン(ビタミンB1−主要な熱に弱い栄養素)の保持。
2)UHT加工に対するレトルト処理の「クッキング値」の評価
これらの試験は両者とも、本発明に従って作製された製品中で、成分/栄養素の破壊がより少ないことを示す。
3)フラン形成。
調理過程のこの望ましくない副産物は、本発明に従って作製された製品中でより少ないことを証明することができる。
4)製品の色の保持。
無菌性を達成するために、食品の熱加工はしばしば、主要な原料の色の劣化をもたらす。これは消費者によって注目される主要な視覚的品質のパラメーターである。
【0091】
1)チアミン(ビタミンB1)の保持
[0095]加工による消失を評価するために、製品における「追跡子」として熱に弱い栄養素を使用することは、食品科学においてよく認識された方法である。チアミン(ビタミンB1)を、詳細評価のための主要な熱に弱い栄養素として選択した。この栄養素の自然のレベルが最終製品において低いので、使用量を試験の目的のために補強した。
【0092】
[0096]4つの異なる製品の種類を使用して試験を実施した。全ての製品を、100gにつき0.7から1mgの間のチアミンのレベルに補強した。各製品をガラス瓶中でのレトルト処理、及び本発明の方法によって調理し、次に結果として起こるチアミンの保持を比較した。結果は図3に示されている。
【0093】
[0097]結果は、
ガラス瓶中のレトルト処理後のチアミンの平均保持が67%であり、
本発明による加工後のチアミンの平均保持が89%であった
ことを示す。
【0094】
[0098]したがって、本発明の方法が、製品に添加されたチアミンの89%を保持して、チアミンの消失を実質的に減少させたことは、明らかである。理論に拘束されることを望まず、
a)本発明の方法が、成分を過剰量の水で調理する場合に起きるような、水溶性ビタミンの浸出を最小化し、
b)食品マトリックスの破壊を限定し、すなわち、それは穏やかな方法であり、
c)従来のレトルト処理と比較して、熱処理が、本発明の方法を使用して、実質的に少なくなり、
d)ガラス瓶中のレトルト処理された製品と比較して、本発明による方法のより低い熱処理、及び成分の分別事前調理の使用は、より高レベルで水溶性の熱に弱いビタミンを保存し、より多くの天然成分を保存するのを助ける
ので、本発明によるこの改善された保持が達成されると考えられる。
【0095】
2)クッキング値の評価
[0099]製品の品質のパラメーター(例えば、質感、味、色、栄養素量)に対する温度及び時間の効果(計算されたクッキング値−C値)について製品を評価することができる。品質のパラメーターのいくらかの劣化は、熱加工中の加工滅菌値(F0)の達成とともに起こる。より低いC−値を有する製品は、成分及び栄養素の破壊がより少なく、視覚的により良い外見である。
【0096】
[0100]クッキング値について加工状態の影響を評価するために、タラ及び混合野菜の塩味の食事で試験を実施した。
【0097】
[0101]図4は、3つのF0(製品無菌性)値の全てで、同一製品をレトルト処理すると、本発明による加工より高いC−値が出ることを示す。実際、最高の滅菌値(F0=100)で、UHT加工された製品は、レトルト処理によって調理及び滅菌された同一製品より、実質的により低いC−値を有する。これは、広範な滅菌状態において、UHT加工が、同様の加工レトルト処理より優れた結果をもたらすことを証明する。
3)フラン形成
【0098】
[0102]フランは、食物中の大きな芳香族分子の熱分解から派生する複素環有機化合物である。フランは典型的には、食物マトリックス中の高級グリコシル化最終生成物(AGE)の形成の例として測定される。長鎖ポリ不飽和脂肪酸(LC−PUFA)及びビタミンCは、乾燥及び水性食物系におけるフランの主要な前駆物質である。食物中に形成されるフラン化合物は、その毒性に関して広く多様であるが、一般にフラン化合物は、成長及び発達(特に、免疫及び神経系)を害することが知られており、時間がたつにつれて、ガンになることもある。したがって、低いフラン濃度を有する食物が望ましい。したがって、本発明による加工中のフランの形成の測定値を、過剰加工及びAGEの形成のためのマーカーとして使用した。
【0099】
[0103]製品のマトリックス中に添加される魚油(豊富なLC−PUFA源)及びビタミンCに対する加工の効果を観察するための試験を実施した。試験の目的は、食品加工中に形成されるフランの量を測定することであった。
【0100】
[0104]試験に使用された製品は、添加魚油及びビタミンCを有する/がない野菜及び子牛の肉の塩味の食事であった。
【0101】
[0105]図5は、従来のレトルト処理及び本発明による加工を含む熱処理を製品に施した後で、3つの各製品中で測定されたフランのレベルを示す。
【0102】
[0106]顕著なことに、長期間UHT処理を実行することによって食品を「過剰加工」して、本発明の方法を使用した場合ですら、レトルト処理によって作製された同様の製品と比較して、フランの生成は減少した。結果は、魚油及びビタミンCの添加が、より高レベルのフラン生成をもたらしたが、この効果は投与量に依存しなかったことを示す。
【0103】
[0107]比較のために、本発明に従って作製された食品と同一の成分を有する食品をレトルト処理によって加工した。これは、食品のフラン濃度の増加をもたらし、魚油を添加した後の作製において100%増加し、より高レベルで魚油を添加するとさらに少量増加した。
【0104】
[0108]過剰加工の効果を調べるために、さらに第2の試験を実施した。
【0105】
[0109]ニンジンを含む野菜製品、並びにタラ及び混合野菜を含む塩味製品を、3つのレベルの熱処理におけるフランについて評価をした。結果は図6及び7にそれぞれ示されている。
【0106】
[0110]最初の試験で、高い滅菌状態、すなわち最高の滅菌処理(図中では、これをF0=100で表す)でレトルト処理することによって、食品を加工した。
【0107】
[0111]第2の試験で、中間の滅菌状態、すなわち中間の滅菌(図中では、これをF0=15で表す)でレトルト処理することによって、食品を加工した。
【0108】
[0112]第3の試験で、低い滅菌状態、すなわち低い滅菌処理(図中では、これをF0=8で表す)でレトルト処理することによって、食品を加工した。
【0109】
[0113]直接比較のために、同一成分を有する製品を本発明に従って加工し、UHT処理の温度を変化させた。
【0110】
[0114]結果は、
a)F0=100までのレトルト処理による食品の加工は、野菜及び塩味製品の両者に高レベルのフランをもたらした。このF0レベルは典型的ではないが(典型的な値はF0=8からF0=15の間である)フラン形成を測定するための極端な条件下で、製品を試験するために使用した、
b)図6及び7に示す通り、低レベルのフランだけが、F0=8及び15の両者での本発明による加工の後に発生した、
c)全ての試験において、塩味の食事は加工後に、野菜のレシピより高レベルのフランを有したが(おそらく、自然に生じるLC−PUFAの存在に起因する)、これらの相違は、レトルト処理によって加工された食品対本発明に従って作製された同一成分を有する食品の間の比較によって示される通り、製品への熱処理の効果に比較して小さかった
ことを示した。
【0111】
4)製品の色の保持。
[0115]食品におけるいくつかの主要な原料は、自然に明るい色をした野菜(及び果物)である。最終製品におけるこれらの色の存在は、製品が高品質であるということを消費者に示す。これを考慮して、加工後に成分の自然な色を保持する製品が必要である。
【0112】
[0116]色に対する熱加工の影響を評価するために、一定範囲の塩味の食事製品に対して試験を実施した。製品の色の特徴の指標として、三刺激(trimulus)色パラメーターL、a及びbを、カラースフィア(Color Sphere)を使用して記録した。加工前、次にレトルト処理及び本発明による加工の両方の後に、製品を評価した。図8はLab色空間図で得られた結果を示す。
【0113】
[0117]以下の表は、加工後の色に対する影響の数値形式での結果を示す。「HT前」は、熱処理前に得られた値を示す。「UHT」は、本発明による加工後に得られた値を示し、「レトルト」は、従来のレトルト処理によって製品を加工した後に得られた値を示す。
【0114】
【表4】

【0115】
【表5】

【0116】
【表6】

【0117】
【表7】

【0118】
[0118]L、a、及びbを組み合わせる全てのハンター色差デルタEは一般に、2つの製品の間の全体的な色差を比較するために使用される。熱処理前及び後の色差デルタEは、本発明による加工によって作製された同一成分を有する全ての製品より、従来のレトルト処理によって加工された製品のほうが高かった。
【0119】
[0119]これは明らかに、同一成分を有するが、従来のレトルト処理によって加工された製品と比較して、本発明による加工の後に、製品がより良く自然の色を保持することが発見されたことを示す。
5)味
【0120】
[0120]食品をレトルト処理することによって必要とされる高レベルの熱処理は、より強い「肉のような」風味の発生とともに、メイラード反応の増加を引き起こす。しかし、長時間の調理はまた、苦味又は酸味を伴う錯化合物を発生させることもある。「オフノート(off−note)」(例えば、缶詰食品の味)と言われる味が、発生することがある。例えば、野菜は、冷凍によって抑制されているリポキシゲナーゼの活性によって、酸敗の不味い味を発生させることがある。
【0121】
[0121]同一成分を使用して作製するが、従来のレトルト処理によって加工された食品と比較して、本発明に従って加工された食品の官能分析は、特異な味の相違を示す。官能プロファイリングの試験結果は、図10に示されている。結果は、子羊の肉、緑色野菜、及びジャガイモを含むレトルト処理された製品と同一成分を有する本発明に従って作製された製品との間の官能プロファイルにおける相違を示す。
【0122】
[0122]要約すると、官能分析の結果は、
本発明に従って加工された製品が、
−香り:よりデンプンのような、より甘い
−食感:より乾燥した
−風味:よりエンドウマメのような、より甘い、より粉のような
−後味:よりデンプンのような、より乾燥しており
従来のレトルト処理により加工された製品が、
−外見:より暗い、より多くのオレンジ色の小片
−香り:より子羊のような、よりすっぱい、より良く調味された
−風味:よりすっぱい、より子羊のような、より塩辛い、
−後味:よりすっぱい、よりいつまでも残る
ことを示す。
【0123】
[0123]本明細書において、本発明の典型的な好ましい実施形態を開示しており、具体的な用語が使用されるが、それらは一般的及び記述的な意味においてのみ使用され、限定の目的で使用されておらず、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲において記載される。明らかに、本発明の多くの変更例及び改変例は、上記の教示に鑑み可能である。したがって、添付の特許請求の範囲内において、本発明は具体的に記載されたのとは別の方法で実施されてもよいことが理解されるはずである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質成分及び野菜成分を含む乳幼児食品を作製する方法であって、第1段階で、野菜成分を調理し、タンパク質成分を野菜成分から分別して調理して、事前調理成分を提供し、第2段階で、事前調理成分を混合し、約130℃から約140℃までの温度で、約30秒から約240秒までの時間、UHT加工を施して製品を滅菌する方法。
【請求項2】
野菜成分が、少なくとも1種の野菜を含み、少なくとも2種又は3種の野菜を場合によって含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
野菜成分の分別調理が、冷凍又は生野菜に蒸気処理を施すことによって達成される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも2種類の野菜が、互いから分別して調理され、調理後に混合される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
野菜が、約1分から約5分までの時間、約85℃から約95℃までで、調理される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
タンパク質成分が、肉及び魚から選択されるタンパク質源を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
肉又は魚が、約10分の時間、揚げるか又は加圧調理するかによって、分別して調理される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
第1段階で、パスタ又は穀物ベースの成分、例えば米が、野菜成分及びタンパク質成分から分別して調理され、第2段階で、パスタ又は穀物ベースの成分が、事前調理成分と混合される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
月齢約4から約6ヶ月(第1段階)の乳児のための乳幼児食品が、アーティチョーク、ニンジン、キュウリ、ウイキョウ、サヤマメ、セイヨウネギ、レタス、パースニップ、ジャガイモ、黄カボチャ、カボチャ、及びズッキーニから選択される1種又は複数種の野菜を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
月齢約4から約6ヶ月まで(第1段階)の乳児のための乳幼児食品が、豆果のダイズを含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
月齢約4から約6ヶ月まで(第1段階)の乳児のための乳幼児食品が、牛肉、子牛の肉、鶏肉、子羊の肉、豚肉、七面鳥の肉、及び鴨肉から選択される1種又は複数種の肉を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
月齢約4から約6ヶ月まで(第1段階)の乳児のための乳幼児食品が、リンゴ、アプリコット、バナナ、ブラックベリー、クロフサスグリ、コケモモ、サクランボ、ナツメヤシ、ブドウ、グーズベリー、グアバ、レモン、ライム、マンダリン、マンゴー、メロン、ネクタリン、オリーブ、オレンジ、モモ、ナシ、パイナップル、プラム、マルメロ、ラズベリー、アカフサスグリ、及びスイカから選択される1種又は複数種の果物を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
月齢約4から約6ヶ月まで(第1段階)の乳児のための乳幼児食品が、アニス、バームミント、カモミール、キャラウェー、ガーキン、オレンジブロッサム、及びソレルから選択される1種又は複数種の香草及びスパイスを含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
月齢約6から約8ヶ月まで(第2段階)の乳児のための乳幼児食品が、アーティチョーク、ニンジン、キュウリ、ウイキョウ、サヤマメ、セイヨウネギ、レタス、パースニップ、ジャガイモ、黄カボチャ、カボチャ、ズッキーニ、ブロッコリー、カリフラワー、ナスビ、サツマイモ、トマト、エンドウマメ、及びホウレンソウから選択される1種又は複数種の野菜を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
月齢約6から約8ヶ月まで(第2段階)の乳児のための乳幼児食品が、ダイズ、ブラックグラムシード、ヒヨコマメ、ササゲ、インゲンマメ、ヒラマメ、ヤエナリ、及びキマメから選択される1種又は複数種の豆果を含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
月齢約6から約8ヶ月まで(第2段階)の乳児のための乳幼児食品が、牛肉、子牛の肉、鶏肉、子羊の肉、豚肉、七面鳥の肉、及び鴨肉から選択される1種又は複数種の肉、及び/又は魚を含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
月齢約6から約8ヶ月まで(第2段階)の乳児のための乳幼児食品が、リンゴ、アプリコット、バナナ、ブラックベリー、クロフサスグリ、コケモモ、サクランボ、ナツメヤシ、ブドウ、グーズベリー、グアバ、レモン、ライム、マンダリン、マンゴー、メロン、ネクタリン、オリーブ、オレンジ、モモ、ナシ、パイナップル、プラム、マルメロ、ラズベリー、アカフサスグリ、スイカ、イチジク、パパイヤ、パッションフルーツ、イチゴ、及びタンジェリンから選択される1種又は複数種の果物を含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
月齢約6から約8ヶ月まで(第2段階)の乳児のための乳幼児食品が、アニス、バームミント、カモミール、キャラウェー、ガーキン、オレンジブロッサム、ソレル、カルダモン、アサツキ、クミン、タマネギ、サフラン、サボリー、エシャロット、及びタイムから選択される1種又は複数種の香草及びスパイスを含む、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
月齢約6から約8ヶ月まで(第2段階)の乳児のための乳幼児食品が、ココナッツを含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
月齢約8から約12ヶ月まで(第3段階)の乳児のための乳幼児食品が、アーティチョーク、ニンジン、キュウリ、ウイキョウ、サヤマメ、セイヨウネギ、レタス、パースニップ、ジャガイモ、黄カボチャ、カボチャ、ズッキーニ、ブロッコリー、カリフラワー、ナスビ、サツマイモ、トマト、エンドウマメ、ホウレンソウ、アスパラガス、ビート(の根)、芽キャベツ、キャベツ、ガーデンピー、ダイコン、及びカブから選択される1種又は複数種の野菜を含む、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
月齢約8から約12ヶ月まで(第3段階)の乳児のための乳幼児食品が、ダイズ、ブラックグラムシード、ヒヨコマメ、ササゲ、インゲンマメ、ヒラマメ、ヤエナリ、キマメ、ライマメ、及びシカクマメから選択される1種又は複数種の豆果を含む、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
月齢約8から約12ヶ月まで(第3段階)の乳児のための乳幼児食品が、牛肉、子牛の肉、鶏肉、子羊の肉、豚肉、七面鳥の肉、及び鴨肉から選択される1種又は複数種の肉、及び/又は魚、及び/又は卵を含む、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
月齢約8から約12ヶ月まで(第3段階)の乳児のための乳幼児食品が、リンゴ、アプリコット、バナナ、ブラックベリー、クロフサスグリ、コケモモ、サクランボ、ナツメヤシ、ブドウ、グーズベリー、グアバ、レモン、ライム、マンダリン、マンゴー、メロン、ネクタリン、オリーブ、オレンジ、モモ、ナシ、パイナップル、プラム、マルメロ、ラズベリー、アカフサスグリ、スイカ、イチジク、パパイヤ、パッションフルーツ、イチゴ、タンジェリン、及びルバーブから選択される1種又は複数種の果物を含む、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
月齢約8から約12ヶ月まで(第3段階)の乳児のための乳幼児食品が、アニス、バームミント、カモミール、キャラウェー、ガーキン、オレンジブロッサム、ソレル、カルダモン、アサツキ、クミン、タマネギ、サフラン、サボリー、エシャロット、タイム、コリアンダー、クルクマ、ガーデンソレル、ニンニク、ミント、及びバニラから選択される1種又は複数種の香草及びスパイスを含む、請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
月齢約8から約12ヶ月まで(第3段階)の乳児のための乳幼児食品が、ココナッツ及び/又はココアを含む、請求項1〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
月齢約12から約36ヶ月まで(ジュニア段階)の幼児のための乳幼児食品が、アーティチョーク、ニンジン、キュウリ、ウイキョウ、サヤマメ、セイヨウネギ、レタス、パースニップ、ジャガイモ、黄カボチャ、カボチャ、ズッキーニ、ブロッコリー、カリフラワー、ナスビ、サツマイモ、トマト、エンドウマメ、ホウレンソウ、アスパラガス、ビート(の根)、芽キャベツ、キャベツ、ガーデンピー、ダイコン、カブ、マッシュルーム、及びクレソンから選択される1種又は複数種の野菜を含む、請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
月齢約12から約36ヶ月まで(ジュニア段階)の幼児のための乳幼児食品が、ダイズ、ブラックグラムシード、ヒヨコマメ、ササゲ、インゲンマメ、ヒラマメ、ヤエナリ、キマメ、ライマメ、及びシカクマメから選択される1種又は複数種の豆果を含む、請求項1〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
月齢約12から約36ヶ月まで(ジュニア段階)の幼児のための乳幼児食品が、牛肉、子牛の肉、鶏肉、子羊の肉、豚肉、七面鳥の肉、鴨肉から選択される1種又は複数種の肉、及び/又は魚、及び/又は卵、及び/又は甲殻類を含む、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
月齢約12から約36ヶ月まで(ジュニア段階)の幼児のための乳幼児食品が、リンゴ、アプリコット、バナナ、ブラックベリー、クロフサスグリ、コケモモ、サクランボ、ナツメヤシ、ブドウ、グーズベリー、グアバ、レモン、ライム、マンダリン、マンゴー、メロン、ネクタリン、オリーブ、オレンジ、モモ、ナシ、パイナップル、プラム、マルメロ、ラズベリー、アカフサスグリ、スイカ、イチジク、パパイヤ、パッションフルーツ、イチゴ、タンジェリン、ルバーブ、グレープフルーツ、及びキーウィから選択される1種又は複数種の果物を含む、請求項1〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
月齢約12から約36ヶ月まで(ジュニア段階)の幼児のための乳幼児食品が、アニス、バームミント、カモミール、キャラウェー、ガーキン、オレンジブロッサム、ソレル、カルダモン、アサツキ、クミン、タマネギ、サフラン、サボリー、エシャロット、タイム、コリアンダー、クルクマ、ガーデンソレル、ニンニク、ミント、バニラ、バジル、ゲッケイジュ、チャービル、シナモン、クローブ、ショウガ、カンゾウ、メース、マジョラム、ナツメグ、オレガノ、パセリ、コショウ、ローズマリー、セージ、及びテラゴンから選択される1種又は複数種の香草及びスパイスを含む、請求項1〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
月齢約12から約36ヶ月まで(ジュニア段階)の幼児のための乳幼児食品が、ココナッツ、ココア、アーモンド、ブナの木の実、ブラジルナッツ、カシューナッツ、クリ、ヘーゼルナッツ、マカデミアナッツ、ピーカンナッツ、ピスタチオナッツ、及びクルミから選択される1種又は複数種のナッツを含む、請求項1〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
方法が、食品のための包装材を滅菌するステップ、及び無菌環境下で包装材に食品を充填するステップをさらに含む、請求項1〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
包装材が、プラスチック容器を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
包装材が、ポリプロピレン容器を含む、請求項32又は33に記載の方法。
【請求項35】
食品及び食品用包装容器が、同一の生産ラインで作製され、その結果、食品用容器の作製が、方法の不可欠の部分となる、請求項22〜34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
請求項1〜35のいずれか一項に記載の方法に従って作製された一定範囲の乳幼児食品。
【請求項37】
乳幼児の各発達段階に適する少なくとも1種の食品を含む、請求項36に記載の一定範囲の製品。
【請求項38】
乳幼児の各発達段階に適する2種以上の食品を含む、請求項36又は37に記載の一定範囲の製品。
【請求項39】
乳幼児の各発達段階のための少なくとも1種の野菜ベースの製品及び1種の果物ベースの製品を含む、請求項36〜38のいずれか一項に記載の一定範囲の製品。
【請求項40】
乳幼児の各発達段階のための複数種の野菜ベースの製品及び果物ベースの製品を含む、請求項39に記載の一定範囲の製品。
【請求項41】
野菜を調理するための調理機、肉又は魚を揚げるための揚げ機、ミキサー、UHT装置、及び食品を無菌容器に低温無菌充填するための装置を含む、請求項36〜40のいずれか一項に記載の一定範囲の乳幼児食品を作製するための設備であって、UHT装置が、ミキサーから低温無菌充填のための装置まで食品を移送するための管を含む設備。
【請求項42】
管が、固形の小片を有する食品(第3段階及びジュニア段階の製品)にUHT処理を実行するための環状断面の導管、又は均質な食品(第1段階及び第2段階の製品)にUHT処理を実行するための複数の円形断面の導管を含む、請求項41に記載の設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−537649(P2010−537649A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−523314(P2010−523314)
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【国際出願番号】PCT/EP2008/007135
【国際公開番号】WO2009/030452
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】