説明

乾燥することにより着色性を得る唐辛子の特性を利用し加熱工程を必要としないで唐辛子本来の辛味成分と赤色色素を抽出する辛味調味料の製造方法。

【課題】加熱すると著しくその成分と風味を損なうアルコール類と食酢を加熱工程を行わない状態で唐辛子本来の辛味成分カプサイシンと赤色色素を抽出した辛味調味料の製造方法を提供する。
【解決手段】乾燥することにより着色性を得る唐辛子の特性を利用し加熱工程を必要としないで唐辛子本来の辛味成分と赤色色素を抽出する辛味調味料の製造方法で、過熱工程を行わないアルコール類、食酢に乾燥した唐辛子を使用し着色料を使用しないで漬けることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥することにより着色性を得る唐辛子の特性を利用し加熱工程を必要としないで唐辛子本来の辛味成分と赤色色素を抽出する辛味調味料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
沖縄の特産品には生の唐辛子を使用した「コーレーグースー」と言う辛味調味料がある。それらは生の唐辛子を洗浄し、水気を取り除いた後に容器に充填し、その後に食塩、にがりなどを充填、さらに「漬け原材料」である泡盛や食酢で容器を満たし打栓し唐辛子の成分であるカプサイシンが浸透するまで保管して完成するが、完成した「コーレーグースー」の色見は漬け原材料の持つ透明感のある色彩または琥珀色である。
【0003】
唐辛子を使用した辛味調味料としては乾燥した唐辛子を破砕した一味調味料、一味調味料にその他の香辛料をブレンドして作る七味調味料、ごま油などの食油に混ぜ合わせ加熱して作るラー油などがある。
【0004】
生の唐辛子を使用した調味料としては、生の唐辛子を破砕し食酢、食塩などを加えてミキシングする「練り唐辛子」がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
生の唐辛子を使用した練り唐辛子や加熱することで唐辛子の辛味成分と赤色色素を抽出したラー油などの辛味調味料については唐辛子本来の辛味成分と赤色が見事に残っているのに比較し、加熱工程をすることで漬け原材料の成分や風味が損なわれてしまうアルコール類、食酢を使用する辛味調味料においては、加熱工程が省かれるため唐辛子の辛味成分は抽出できても赤色色素が抽出できていないのが現状である。本発明の技術的課題は、このような問題に着目し、漬け原材料としてのアルコール類、食酢の成分と風味を損なうことなく唐辛子本来の辛味成分と赤色色素を抽出することを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の技術的課題は次のような手段によって解決される。請求項1は、少なくとも乾燥した唐辛子とアルコール類を含み加熱工程のないことを特徴とする辛味調味料である。唐辛子を漬けて製造する調味料は漬け原材料としてアルコール類、食酢、食油の液体が主であるのは、唐辛子の辛味成分であるカプサイシンが容易に浸透する理由からである。しかし、それらの漬け原材料は加熱することにより各種の特長的な成分と風味が著しく損なわれるため、食油を除く、アルコール類、食酢に関しては加熱工程がなく製造される。加熱工程が省かれても漬け原材料の持つ酸度により、一般細菌や大腸菌群の繁殖はないため一般的に過熱殺菌の必要はないが唐辛子の赤色色素は抽出できない。そこで、乾燥をした唐辛子と生の唐辛子を常温のアルーコール類の漬け原材料にそれぞれ漬けた結果、生の唐辛子を漬けたものは辛味成分は抽出できたものの赤色色素は抽出が出来ないままであった。一方、乾燥させた唐辛子を漬けたものは辛味成分の抽出も実現したうえに、生の唐辛子に比べて著しく赤色色素が浸透することが独自の研究により官能検査と視覚検査で容易に確認でき実現した。その結果、加熱工程を行わないで漬け原材料であるアルコール類の成分や風味を損なうことなく唐辛子本来の辛味成分であるカプサイシンを抽出しながらも、さらに赤色色素などの着色料を使用せず、唐辛子本来の赤色色素も抽出することに成功した。乾燥した唐辛子を破砕したり、半割り状態にすることで、その効果はより有効である。また、完成した辛味調味料をパッケージ後に加熱殺菌することにより、さらに安全な辛味調味料となる。
【0007】
請求項2は、少なくとも食塩、にがり、にんにく、生姜、わさび、みょうが、唐辛子、食酢、含蜜糖もしくは分蜜糖その他の砂糖を含む甘味料の中の1以上を含むことを特長とする請求項1に記載の調味料である。このように、食塩、にがり、にんにく、生姜、わさび、みょうが、唐辛子、食酢、含蜜糖もしくは分蜜糖その他の砂糖を含む甘味料の中の1以上を含むことを特長とする請求項1に記載の調味料は、これらの副原材料から発する各種の塩分や香り、辛味、甘味などの各種の味を容易に調整し強調できる。
【0008】
請求項3は、少なくとも乾燥した唐辛子ともろみ及びリンゴ酢、黒酢、ブドウ酢などその他の食酢の中の1以上を含むことを特徴とする調味料である。それらの漬け原材料は加熱することにより各種の特長的な成分と風味が著しく損なわれるため加熱工程がなく、加熱工程が省かれても漬け原材料の持つ酸度により、一般細菌や大腸菌群の繁殖はないため過熱殺菌の必要はないが唐辛子本来の赤色色素は抽出できない。そこで、乾燥をした唐辛子と生の唐辛子を常温の食酢に漬けた結果、生の唐辛子を漬けたものは辛味成分は抽出できたものの赤色色素は抽出が出来ないままであった。乾燥させた唐辛子を漬けたものは辛味成分の抽出も実現したうえに、生の唐辛子に比べて著しく赤色色素が浸透することが独自の研究により官能検査と視覚検査で容易に確認でき実現した。その結果、加熱工程を行わないで漬け原材料である食酢の成分や風味を損なうことなく唐辛子本来の辛味成分であるカプサイシンを抽出し、さらに赤色色素などの着色料を使用せず、赤色色素も抽出することに成功した。乾燥した唐辛子を破砕したり、半割り状態にすることで、その効果はより有効である。また、パッケージ後の完成した辛味調味料を加熱殺菌することで、さらに安全な辛味調味料となる。
【0009】
泡盛を製造する工程で生じるカシジェーと呼ばれるもろみは、アミノ酸やクエン酸などが、もろみ酢以上に豊富であり、カシジェーを使用した場合は辛味調味料としての効果はもちろんのこと、豊富な栄養素を一緒に摂取することが可能な栄養補助食品としての機能も有する。カシジェーを使用する場合は、カシジエーの灰色を生かした状態で製造するため赤色色素の抽出できる乾燥唐辛子に限らず生の唐辛子を使用することもできる。食酢にはもろみの他、もろみ酢、リンゴ酢、黒酢、ブドウ酢など種類が豊富であり、各種の特徴を生かした豊富な味付けが実現できる。
【0010】
請求項4は、唐辛子、食塩、にがり、にんにく、薬草、含蜜糖もしくは分蜜糖その他の砂糖を含む甘味料、アルコール類の中の1以上を含むことを特徴とする請求項4に記載の調味料は、これらの副原材料から発生する各種の塩分や香り、辛味、甘味などの味を容易に調整し強調できる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1のように、少なくとも乾燥した唐辛子とアルコール類を含み加熱工程のないことを特徴とする辛味調味料は、漬け原材料が常温のままで加熱工程を行わない状態であっても唐辛子の辛味成分であるカプサイシンが容易に浸透する理由と、さらに常温のままで過熱工程を行わない状態のアルーコール類に乾燥をした唐辛子と生の唐辛子をそれぞれ漬けた結果、乾燥させた唐辛子の方が生の唐辛子に比べて著しく赤色色素が浸透することが独自の研究で分かった。過熱工程を行わないアルーコール類であっても乾燥した唐辛子を漬けることにより、赤色色素などの着色料を使用せずに漬け原材料に漬けても唐辛子本来の辛味成分であるカプサイシンを抽出しながら赤色色素も抽出することが実現できる。乾燥した唐辛子を破砕したり、半割り状態にすることで、その効果はより有効である。
【0012】
請求項2のように、これらの副原材料から発する各種の塩分や香り、辛味、甘味などの各種の味を容易に調整し強調できる。
【0013】
請求項3のように、少なくとも乾燥した唐辛子ともろみ及びリンゴ酢、黒酢、ブドウ酢などその他の食酢の中の1以上を含み加熱工程のないことを特徴とする辛味調味料は、乾燥した唐辛子を使用することで辛味成分カプサイシンや赤色色素が漬け原材料各種に含まれた酢酸に容易に抽出することが可能であり、特にアミノ酸やクエン酸などが、もろみ酢以上に豊富である泡盛を製造する工程で生じるカシジェーと呼ばれるもろみを漬け原材料に使用した場合は、辛味調味料としての効果はもちろんのこと、豊富な栄養素を一緒に摂取することが可能な栄養補助食品としての機能も有する。また、食酢にはもろみの他、もろみ酢、リンゴ酢、黒酢、ブドウ酢など種類が豊富であり、各種の特徴を生かした豊富な味付けが実現できる。
【0014】
請求項4のように、唐辛子、食塩、にがり、にんにく、薬草、含蜜糖もしくは分蜜糖その他の砂糖を含む甘味料、アルコール類の中の1以上を含むことを特徴とする請求項4に記載の調味料は、これらの副原材料から発生する各種の塩分や香り、辛味、甘味などの味を容易に調整し強調できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に本発明による乾燥することにより着色性を得る唐辛子の特性を利用し加熱工程を必要としないで唐辛子本来の辛味成分と赤色色素を抽出する辛味調味料の製造方法が実際上どのように具体化されるか実地形態を説明する。図1は本発明による乾燥することにより着色性を得る唐辛子の特性を利用し加熱工程を必要としないで唐辛子本来の辛味成分と赤色色素を抽出する辛味調味料の製造方法の実地形態を示すフローチャートである。ステップS1は辛味成分としての主原料である。
【0016】
ステップ2は前処理工程であり、辛味成分としての主原料である唐辛子を洗浄し水気を取り除いておく。
【0017】
ステップ3は乾燥工程である。洗浄後の唐辛子の青果を食品乾燥機を使用し70度で10時間乾燥をする。その後は自然冷却で乾燥した唐辛子の熱を取り除いておく。
【0018】
ステップ4は充填の工程である。乾燥唐辛子を容器に充填した後に、不可欠な漬け原材料としてアルコール類、食酢をそれぞれ使用する。アルコール類は沖縄の特産品である泡盛をはじめ、飲酒が可能なアルコール類であれば使用でき、沖縄の特産品である辛味調味料「コーレーグースー」と同じ用途である。食酢は種類が豊富であり、多種多様な味が実現できタバスコと同様な用途である。唐辛子の辛味成分カプサイシンが容易に抽出できるアルコール類と食酢は極めて重要な副材である。
【0019】
必要に応じて、任意に使用する副材として、たとえば生の唐辛子、食塩、にがり、にんにく、生姜、わさび、みょうが、薬草、含蜜糖もしくは分蜜糖その他の砂糖を含む甘味料を使用することで、これらの副材から発生する各種の塩分、辛味、香り、甘味などの各種の味を容易に調整し強調できる。
【0020】
ステップ5は瓶容器などにパックする工程である。こうしてアルコール類まはは食酢で充分に満たされた容器は、それぞれの持つ酸度の作用で一般細菌や大腸菌群などの繁殖がなく、安全性の高い加工食品となるが、パック後、辛味成分と赤色色素が充分に抽出された後で、漬け原材料の成分や風味を損なわない低温殺菌を行えば、さらに安全な辛味調味料となる。
【0021】
ステップ6は乾燥唐辛子を使用した辛味調味料である。完成したものは常温のまま保存が出来きる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
以上のように、本発明による乾燥することにより着色性を得る唐辛子の特性を利用し加熱工程を必要としないで唐辛子本来の辛味成分と赤色色素を抽出する辛味調味料の製造方法によると、一般的な加熱しない漬け原材料と生の唐辛子を使用した辛味調味料が琥珀色もしくは漬け原材料とほぼ同等の透明色にちかい色であるのに比較し、乾燥した唐辛子を使用することにより加熱するとその成分や風味が著しく損なわれる漬け原材料を加熱工程を省いた状態で製造しても唐辛子本来の辛味成分カプサイシンと赤色色素を抽出することが実現し、鮮やかで食欲をそそる赤色になる。このことから沖縄などの特産品として知られる「コーレーグースー」の新商品開発の手がかりとなると同時にさらなる市場開拓が期待できる。また沖縄独自のお酒である泡盛を製造する工程で生じるカシジェーなどを使用することで世界的にも希少な辛味調味料として沖縄ブランド化が期待できる。さらにカシジェーを使用すれば辛味調味料の用途のほか栄養補助食品としての機能も果たし、多機能で多種多様な味が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明による乾燥することにより着色性を得る唐辛子の特性を利用し加熱工程を必要としないで唐辛子本来の辛味成分と赤色色素を抽出する辛味調味料の製造方法の実地形態を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも乾燥した唐辛子とアルコール類からなる加熱工程のないことを特徴とする辛味調味料。
【請求項2】
少なくとも食塩、にがり、にんにく、生姜、わさび、みょうが、唐辛子、食酢、食油、含蜜糖もしくは分蜜糖その他の砂糖を含む甘味料の中の1以上を含むことを特長とする請求項1に記載の辛味調味料。
【請求項3】
少なくとも乾燥した唐辛子ともろみ及びリンゴ酢、黒酢、ブドウ酢などその他の食酢の中の1以上を含み加熱工程のないことを特徴とする辛味調味料。
【請求項4】
少なくとも唐辛子、食塩、にがり、にんにく、薬草、食油、アルコール類、含蜜糖もしくは分蜜糖その他の砂糖を含む甘味料の中の1以上を含むことを特徴とする請求項4に記載の辛味調味料。

【図1】
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【公開番号】特開2009−159875(P2009−159875A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−342031(P2007−342031)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(504460751)
【出願人】(504460773)
【出願人】(504460762)
【Fターム(参考)】