説明

乾燥装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば、まな板やふきん等を乾燥する乾燥装置に係り、特に、レンジフードフィルタに付着した油を二酸化炭素と水とに分解する機能も具有する乾燥装置に関する。
【0002】
【従来技術とその課題】従来のまな板やふきん等を乾燥する乾燥装置は、温風ユニットから供出される温風をまな板やふきんに照射してこれらを乾燥させる機能しか有していないのが現状である。
【0003】一方、レンジフードの中には、レンジフードフィルタに光触媒をコーティングし、この光触媒を紫外線ランプから照射された紫外線で励起し、活性化させることで、該フィルタに付着した調理油を分解して、気化させる自己油浄化機能を有するものが公知である。
【0004】しかしながら、上記自己油浄化機能を有する従来のレンジフードの場合、紫外線ランプをレンジフード内に配設しているため、長い間には、該紫外線ランプや反射体に調理油が付着して分解効率が低下する、という問題を有していた。
【0005】この発明は、かかる現状に鑑み創案されたものであって、その目的とするところは、例えば、まな板やふきん等を乾燥することができる乾燥装置に、レンジフードフィルタが調理油で汚れたときに、このレンジフードフィルタを取り外して紫外線でレンジフードフィルタに付着した油を二酸化炭素と水とに分解する機能を持たせることで、常に安定した分解効率が得られ、かつ、必要なときに紫外線照射体を作動させるだけでよい経済性に優れた自己油浄化機能を備えた乾燥装置を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、この発明にあっては、庫内の収納部に温風ユニットを介して温風を供給・循環可能に構成されてなる乾燥装置の庫内に紫外線照射体と反射体を配設し、紫外線を照射させて、上記収納部に収納された光触媒コーティング体の光触媒を励起、活性化させることで、光触媒コーティング体に付着した油を二酸化炭素と水に分解させ、該分解により生成された水を上記温風で乾燥させるように構成したことを特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に基づき、この発明の好適な形態例を詳細に説明する。
【0008】図1乃至図3には、この実施の第1形態例に係る乾燥装置1が示されており、該乾燥装置1は、断面形状が略コ字状に形成され内側面全面に反射層(体)9が形成されてなる乾燥庫本体2と、この乾燥庫本体2に引き出し自在に配設された扉体3と、該扉体3の一側下段側に配設されたラック状のまな板収納部4と、このまな板収納部4の上段に配設されたハンガー部5と、上記扉体3の他側上下に形成されたラック状のレンジフードフィルタ収納部6,7と、該レンジフードフィルタ収納部6,7の上下両側及び上記まな板収納部4とハンガー部5の外側に配設された紫外線照射ランプ8と、から構成されている。尚、特に図示はしないが、上記乾燥庫本体2内には、公知の温風ユニットで生成された温風が供給・循環されて、乾燥庫本体2内に収納されたまな板やふきんを乾燥することができるように構成されている。
【0009】上記まな板収納部4とハンガー部5およびレンジフードフィルタ収納部6,7は、公知のガイドレール(図示せず)によって乾燥庫本体2から引き出し自在に取り付けられた上記扉体3の裏面側に着脱自在に止着されており、従って、この扉体3を手前側に引き出すことでふきん10やまな板11およびレンジフードフィルタ12の収納・取り出し作業を容易に行うことができるように構成されている。勿論、上記扉体3と各収納部とを切り放し、扉体3を開けることで、各収納部を引き出すことができるように形成してもよい。
【0010】まな板収納部4とハンガー部5は、一対の主枠線材14,14と、この主枠線材14,14の底辺部に架設された一対のまな板保持枠線材15と、上記主枠線材14,14の中間位置(上記まな板11を立てかけた時にまな板11が収納部から脱落しない位置)に周回させて取り付けられた補強枠線材16と、から構成されており、上記主枠線材14,14の上水平辺部がふきん10のハンガー部5として用いられる。勿論、上記主枠線材14,14の底辺部四隅には、脚片13が突設され、水切りが円滑に行われるように構成されている。
【0011】レンジフードフィルタ収納部6,7は、一対の主枠線材17,17と、この主枠線材17,17の上下方向に沿って所定間隔毎に周回させて取り付けられた補強枠線材18A,18B,18C,18Dと、上記主枠線材17,17の底辺部に架設されたフィルタ保持枠線材19と、から構成されており、上記補強枠線材18Aと18Cとの上下間隔寸法がレンジフードフィルタ12の高さ寸法よりも若干大きくなるように形成されている。
【0012】また、上記補強枠線材18Bは、上記補強枠線材18Aと18Cとの上下間隔寸法の略半分の高さ寸法位置に取りつけられていると共に、上記補強枠線材18Dは、上段のレンジフードフィルタ収納部7にレンジフードフィルタ12を立てかけた時に、該レンジフードフィルタ12が倒れない高さ位置に周回させて取り付けられている。勿論、上記補強枠線材18Cが周回されて取り付けられた位置には、上段のレンジフードフィルタ収納部7にレンジフードフィルタ12が収納された時に、該レンジフードフィルタ12が下段のレンジフードフィルタ収納部6へと落下させないためのフィルタ保持枠線材20が架設されている。
【0013】紫外線照射ランプ8は、例えば、近紫外線を照射する公知の紫外線照射ランプで構成されている。
【0014】反射層9は、光の反射率の高い材料、例えば、アルミニウム等を用いた材料が貼着され、或は、アルミニウム粉末が含有された塗料が塗布されて形成されている。
【0015】レンジフードフィルタ12は、油煙中の油滴を捕捉するパンチングメタルで形成されており、該レンジフードフィルタ12の表面には、触媒、例えば、酸化チタン等の光触媒が予めコーテイングされている。
【0016】本形態例に係る乾燥装置1は、以上のように構成されているため、温風ユニットから供出される温風によってふきん10やまな板11を乾燥させることができると共に、紫外線照射ランプ8から放射される励起光によって殺菌を行うことができ、また、紫外線照射ランプ8から放射される励起光をレンジフードフィルタ12の表面に設けられた触媒と反応させ、レンジフードフィルタ12に付着した油滴を、常温状態で低炭素分子や二酸化炭素および水蒸気に分解、気化させることができるので、手を汚すことなくレンジフードフィルタ12を浄化することができる。
【0017】図4は、この発明の第2形態例に係る乾燥装置1を示しており、この形態例では、第1形態例の反射層9に代えて、放物線状に湾曲形成された反射体29を乾燥庫本体2内に配設し、該反射体29の焦点位置に前記紫外線照射ランプ8を配設した他は、他の構成は第1形態例と同じであるので、図面には第1形態例と同一の符号を付してその詳細な説明をここでは省略する。
【0018】図5は、この発明の第3形態例に係る乾燥装置1を示しており、この形態例では、乾燥庫本体2内に配設された汚れ検知センサー30からの情報に基づき第2形態例の反射体29および紫外線照射ランプ8を上下方向に移動自在に配設すると共に、上記反射体29の反射角度を自動的に可変できるように構成した他は、他の構成は第2形態例と同じであるので、図面には第2形態例と同一の符号を付してその詳細な説明をここでは省略する。
【0019】上記汚れ検知センサー30は、紫外線照射ランプ8から照射され、レンジフードフィルタ12の表面で反射される紫外線量を捕捉することによって、レンジフードフィルタ12の汚れを検知し、これに基づき反射体29および紫外線照射ランプ8を上下方向に移動させ、かつ、反射体29の角度を代えて汚れが集中している部分に集中的に励起光を照射して、分解効率を向上させるように構成されている。
【0020】尚、上記各形態例では、この発明をふきんやまな板を乾燥させる乾燥装置1に適用した場合を例にとり説明したが、この発明にあってはこれに限定されるものではなく、油分が分解されて生成される水分を乾燥除去できる装置であれば種々の乾燥装置に適用することができる。
【0021】
【発明の効果】本発明に係る乾燥装置は、以上説明したように構成されているので、例えば、まな板やふきん等を乾燥することができる乾燥装置に、調理油で汚れたレンジフードフィルタの付着油を二酸化炭素と水とに分解する機能を持たせることで、手を汚すことなくレンジフードフィルタを浄化し、かつ、浄化に伴い発生した水分を温風で強制的に乾燥することができる、という非常に優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の第1形態例に係る乾燥装置の斜視図である。
【図2】同乾燥装置の内部の構成を透視して示す斜視図である。
【図3】同乾燥装置の縦断面図である。
【図4】この発明の実施の第2形態例に係る乾燥装置の縦断面図である。
【図5】この発明の実施の第3形態例に係る乾燥装置の縦断面図である。
【符号の説明】
1 乾燥装置
2 乾燥庫本体
3 扉体
6,7 レンジフードフィルタ収納部
8 紫外線照射体
9 反射層
12 レンジフードフィルタ
29 反射体

【特許請求の範囲】
【請求項1】 庫内の収納部に温風ユニットを介して温風を供給・循環可能に構成されてなる乾燥装置の庫内に紫外線照射体と反射体を配設し、紫外線を照射させて、上記収納部に収納された光触媒コーティング体の光触媒を励起、活性化させることで、光触媒コーティング体に付着した油を二酸化炭素と水に分解させ、該分解により生成された水を上記温風で乾燥させるように構成したことを特徴とする乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【特許番号】特許第3152874号(P3152874)
【登録日】平成13年1月26日(2001.1.26)
【発行日】平成13年4月3日(2001.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−35789
【出願日】平成8年1月31日(1996.1.31)
【公開番号】特開平9−206537
【公開日】平成9年8月12日(1997.8.12)
【審査請求日】平成10年4月30日(1998.4.30)
【出願人】(000002222)サンウエーブ工業株式会社 (196)
【参考文献】
【文献】特開 平7−280314(JP,A)
【文献】特開 平4−306440(JP,A)