乾電池ケース
【目的】 電池交換等が簡易、かつ、安全に行いうる乾電池ケースを提供する。
【構成】 先端出口側を開口1aした有底筒状の乾電池ケース1を器体Aの前面一側に、前記乾電池ケース1に収納された乾電池が自重で滑り動く程度に傾斜して設置し、この乾電池ケース1の出口側開口1aに乾電池2の支承を兼ねた蓋体8を脱着可能に設けるとともに、乾電池ケース1の出口側開口1aの近くには蓋体8を開けることにより出口側に滑り動く乾電池2を出口近くで受止め停止するストッパー10を設けて、電池交換等の乾電池の取り出し及び収納が簡易、かつ、安全に行いうる構成とする。
【構成】 先端出口側を開口1aした有底筒状の乾電池ケース1を器体Aの前面一側に、前記乾電池ケース1に収納された乾電池が自重で滑り動く程度に傾斜して設置し、この乾電池ケース1の出口側開口1aに乾電池2の支承を兼ねた蓋体8を脱着可能に設けるとともに、乾電池ケース1の出口側開口1aの近くには蓋体8を開けることにより出口側に滑り動く乾電池2を出口近くで受止め停止するストッパー10を設けて、電池交換等の乾電池の取り出し及び収納が簡易、かつ、安全に行いうる構成とする。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この考案は、たとえば、ガステーブルこんろ等のガス燃焼器具に適用して有益な乾電池ケースに関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、ガステーブルこんろ等のガス燃焼器具にあっては、一般に器具の底面又は後面に乾電池ケースを水平状に設けている。したがって、電池交換等に際しては、器具を持上げたり、器具を前方へ引き出したり、器具の後面をのぞき込んだりしなければならず、しかも、乾電池ケースに対する乾電池の脱着も困難である。したがって、器具の正面から乾電池ケースの位置が確認し難いこともあって電池交換等に多くの手間がかかり、取扱い上甚だ不便、かつ、面倒なものであった。
【0003】
そこで、従来、ガス燃焼器具の前面側に乾電池ケースを設けて前記不具合を解消したものが提案されているが、乾電池を予め嵌めつけ支持したケースユニットを器具側に設けた収納ケースに脱着する構造となっている(以下単に従来例という)。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
前記従来例は、電池交換時等に、先ず器具側の収納ケースの蓋を開け、収納ケース内のケースユニットを取り出し、さらに、ケースユニットから乾電池を取り出す手順と、ケースユニットに乾電池を嵌めつけ支持し、乾電池が嵌めつけ支持されたケースユニットを器具側の収納ケースに挿着し、収納ケースの蓋を閉める手順とが必要なため、電池交換等に多くの手間がかかり、しかも、乾電池を予め嵌めつけ支持するケースユニットを有するので、部品点数が多くなり、加えて、接続端子構造も複雑となるために、コスト的に極めて高価となるという問題点があった。
【0005】
この考案は、電池交換等が簡易、かつ、安全に行えるとともに、部品点数は少なく、しかも、構造的にも簡略化して従来の技術の有する問題点の解消を目的とする乾電池ケースを提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この考案の乾電池ケースは、乾電池を収納する乾電池ケースを乾電池が出口側へ自重で滑り動く程度に傾斜して設け、この乾電池ケースの出口側に乾電池の支承を兼ねた蓋体と、滑り動く乾電池を出口近くで受止め停止するストッパーとを設けたことを主要な特徴とする。
【0007】
そして、滑り動く乾電池を出口近くで受止め停止するストッパーを乾電池ケースの出口又は乾電池ケースの蓋体に設けたことを特徴とする。
【0008】
また、複数の乾電池を直列状又は並列状に収納する乾電池ケースであることをも特徴とする。
【0009】
【作用】
上記構成を有するこの考案の乾電池ケースは、乾電池ケースの蓋体を開けると、乾電池ケースが傾斜しているので、蓋体で支承されていた乾電池ケース内の乾電池はその自重で出口側へ滑り動いて乾電池ケースの出口又は蓋体に設けられたストッパーで受止め停止される。この結果、乾電池の取り出しが容易となり、乾電池が滑り落ちる危険もない。
【0010】
したがって、たとえば、2本の乾電池が直列状に収納される乾電池ケースの場合、乾電池ケースの蓋体を開けると、蓋体で支承されていた2本の乾電池は出口側へ自重で滑り動き1本目の乾電池(手前の乾電池)がストッパーに当って受止められると、2本の乾電池はその場で一旦停止する。そこで、1本目の乾電池をその先端側を持上げてストッパーから外し乾電池ケースから取り出すと、2本目の乾電池は1本目の乾電池の取り出しに連れて出口側へ滑り動きストッパーに受止め停止される。その後、2本目の乾電池をその先端側を持上げてストッパーから外し乾電池ケースから取り出せば、2本の乾電池の取外しが簡易、かつ、安全に行いうる。
【0011】
また、2本の乾電池が並列状に収納される乾電池ケースの場合は、乾電池ケースの蓋体を開けると、蓋体で支承されていた2本の乾電池は出口側へ自重で同時に滑り動きそれぞれの乾電池がそれぞれのストッパーに当って受止め停止される。そこで、各々の乾電池をその先端側を持上げてストッパーから外し乾電池ケースから各別に取り出せば、乾電池の取外しが簡易、かつ、安全に行いうる。
【0012】
次に、乾電池を乾電池ケースに取付け収納するときは、乾電池ケースの蓋体を開け、乾電池ケース内に乾電池を直列状又は並列状に挿入すれば、直列状にあっては手前の乾電池が、並列状にあっては各々の乾電池が乾電池ケースの出口又は蓋体に設けられたストッパーに係合されてその自重による脱出を防ぎ、その後、蓋体を閉めると、蓋体で乾電池を適正位置に支承する。この結果、乾電池の取付け収納も簡易、確実に行いうる。
【0013】
【実施例】
以下この考案の乾電池ケースの実施例について図面を参照して説明する。
【0014】
図1〜図7は乾電池ケースが2本の乾電池を直列状に収納する筒状のケースである場合の第1実施例であって、1は先端出口側を開口1aした有底筒状の乾電池ケースで、図1及び図2に示されているようにこの乾電池ケース1は器体Aの前面一側に、直列状に収納された2本の乾電池2がその出口側へ自重で滑り動く程度に前下り状に傾斜して器体Aに固定された支持板3により取付け設置され、その出口側の開口1aを器体Aの前面板4に設けた挿脱口5と同一軸心を保って連通させている。そして、前記乾電池ケース1の基端底部にマイナス側の接続端子6を設け、前記挿脱口5には開閉蓋7を備えている。
【0015】
8は前記乾電池ケース1の先端出口側の開口1aに設けた蓋体で、乾電池ケース1内に直列状に収納される2本の乾電池2の支承を兼ねており、図1及び図3に示した実施例は、ツマミ8aを有する蓋体8を乾電池ケース1の出口側開口1aに挿脱可能に設け、この蓋体8の上下に係合凸起8bを設けるとともに、上部にはプラス側端子金具8cを備え、一方、乾電池ケース1の出口側開口1aには、前記蓋体8の係合凸起8bが挿入係止されるL状の係合溝1bと蓋体8に備えたプラス側端子金具8cが接するプラス側端子金具1cを備えて、蓋体8の係合凸起8bを乾電池ケース1の出口側開口1aの係合溝1bに挿入して押し込み図示時計方向へ回動することで係合溝1bに係合凸起8bが係合されて乾電池ケース1の開口1aに蓋体8が取付けられ、かつ、両端子金具8c、1cが接してプラス側の接続端子9を形成する構成となっている。
【0016】
また、図4及び図5に示した実施例は、乾電池ケース1の出口側開口1aに蓋体8を被着状に着脱する構成となし、この蓋体8自体をプラス側接続端子となしており、図7に示した実施例は、乾電池ケース1の出口側開口1aに蓋体8をヒンジ8dにより片開き状に開閉できるように備えた構成となし、この蓋体8自体をプラス側接続端子となしている。
【0017】
10は前記蓋体を開けることにより滑り動く乾電池2を乾電池ケース1の出口近くで受止め停止するためのストッパーで、図1に示した実施例は、乾電池ケース1の出口側開口1aと器体Aの前面4の挿脱口5との間の連通部11に凸起を設けた構成となっており、図3〜図6に示した実施例は、乾電池ケース1の出口側開口1aの下部に凸起を設けた構成となっている。そして、図7に示した実施例は蓋体8の内面先端部に凸起を設けた構成となっている。なお、前記各々のストッパー10は乾電池2の先端側を僅かに持上げることによりその係止が外れる程度の高さとなっている。
【0018】
前記第1実施例において、乾電池ケース1としては実施例の断面真円状の筒体のほか、断面正四角形状の筒体でもよく、また、乾電池ケース1の出口側開口1aを器体Aの前面板4の挿脱口5に直接接続した構成としてもよい。さらに、直列状に収納する乾電池2も2本に限らないこと勿論である。
【0019】
前記第1実施例の構成において、その作用を図4〜図7を用いて説明すると、乾電池ケース1内に直列状に収納されている2本の乾電池2は、乾電池2の自重とマイナス側の接続端子6のバネ力とで出口側に付勢されて蓋体8により支承されている(図4参照)。
【0020】
そこで、電池交換等に際し蓋体8を開けると、蓋体8で支承されていた2本の乾電池2はマイナス側の接続端子6のバネ力とその自重とで出口側へ滑り動いて1本目の乾電池2の先端部がストッパー10に当って受止められると、2本の乾電池2はその場で停止する(図5及び図7参照)。
【0021】
その後、1本目の乾電池2をその先端側を持上げてストッパー10から外し乾電池ケース1から取り出すと、2本目の乾電池2は1本目の乾電池2の取り出しに連れて出口側へ滑り動きその先端部がストッパー10に当って受止め停止される(図6の実線参照)。その後、2本目の乾電池2をその先端側を持上げてストッパー10から外し乾電池ケース1から取り出せば(図6の実線参照)、直列状に収納されている2本の乾電池2の取り出しは完了する。
【0022】
次に、2本の乾電池2を乾電池ケース1に直列状に収納するときは、乾電池ケース1の蓋体を開け、出口側開口1aから乾電池ケース1内へ2本の乾電池2を順次挿入してて押し込み、手前の乾電池2の先端側がストッパー10を越えたところで手を離すとその先端側がストッパー10に係合されて2本の乾電池2がその自重により滑り落ちることのないよう保持される(図5及び図7参照)。その後、蓋体8を閉めると、蓋体8で2本の乾電池2は若干押上げられて乾電池2のプラス側とマイナス側にそれぞれの接続端子6、9が確実に接触された状態を保って蓋体8で支承される(図4参照)。
【0023】
図8〜図12は乾電池ケースが2本の乾電池を並列状に収納する箱状のケースである場合の第2の実施例であって、1は先端出口側を開口1aした有底箱状の乾電池ケースで、図8〜図12に示されているように、この乾電池ケース1は器体Aの前面一側に、並列状に収納された2本の乾電池2がその出口側へ自重で滑り動く程度に前下り状に傾斜して器体Aに固定された支持板3により取付け設置され、その出口側の開口1aを器体Aの前面板4に設けた挿脱口5に直接接続している。そして、前記乾電池ケース1の基端底部にはマイナス側の接続端子6を設けている。
【0024】
8は前記乾電池ケース1の先端出口側の開口1aに設けた蓋体で、器体Aの前面板4の挿脱口5の蓋をも兼ねている。この蓋体8は、乾電池ケース1内に並列状に収納される乾電池2の支承を兼ねており、図8及び図9に示した実施例は、ツマミ8aを有する蓋体8を乾電池ケース1の出口側開口1aに着脱可能に設け、この蓋体8の内側にプラス側の接続端子9を備え、下部には後述するストッパー10を避けるためのスリット溝(図示せず)を設けた構成となっている。また、図10及び図11に示した実施例は乾電池ケース1の出口側開口1aに蓋体8をヒンジ8dにより片開き状に開閉できるように備えた構成となっている。
【0025】
10は前記蓋体8を開けることによりその支承が解かれて出口側へ滑り動く乾電池2を乾電池ケース1の出口近くで受止め停止するためのストッパーで、図8及び図9に示した実施例は、乾電池ケース1の出口側開口1aの下部に別体の凸起を設けた構成となっており、図10及び図11に示した実施例は、蓋体8の内面に凸起を設け、この凸起にプラス側の接続端子9を備えた構成となっている。
なお、前記各々のストッパーは乾電池2の先端側を僅かに持上げることによりその係止が外れる程度の高さとなっている。
【0026】
前記第2実施例において、乾電池ケース1としては断面楕円形状の箱体のほか、断面矩形状の箱体でもよく、並列状に収納する乾電池も2本に限らないこと勿論である。
【0027】
前記第2実施例において、その作用を図8〜図11を用いて説明すると、乾電池ケース1内に並列状に収納されている2本の乾電池は、乾電池2の自重とマイナス側の接続端子6のバネ力とで出口側に付勢されて蓋体8により支承されている(図8及び図10参照)。
【0028】
そこで、電池交換等に際し蓋体8を開けると、蓋体8で支承されていた2本の乾電池2はマイナス側の接続端子6のバネ力とその自重とで出口側へ滑り動いて各々の乾電池2の先端部が各々のストッパー10に当って受止め停止される(図9及び図11参照)。
【0029】
その後、一方の乾電池2をその先端側を持上げてストッパー10から外し乾電池ケース1から取り出し、次いで他方の乾電池2をその先端側を持上げてストッパー10から外し乾電池ケース1から取り出せば、並列状に収納されている2本の乾電池2の取り出しは完了する。
【0030】
次に、2本の乾電池2を乾電池ケース1に並列状に取付け収納するときは、乾電池ケース1の蓋体8を開け、出口側開口1aから乾電池ケース1内へ2本の乾電池2を各別に押し込み手を離せば、各々の乾電池2の先端側がストッパー10に係合されてその自重により滑り落ちることのないよう保持される(図9及び図11参照)。その後、蓋体8を閉めると、蓋体8で2本の乾電池2は若干押上げられて乾電池2のプラス側とマイナス側に各々の接続端子6、9が確実に接触された状態を保って支承される(図8及び図10参照)。
【0031】
以上この考案の実施例について説明したが、この考案はこうした実施例に何等限定されるものではなく、この考案の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。たとえば、乾電池が乾電池ケースから自重で滑り落ちるのを防ぐストッパーとして実施例では乾電池ケース1の出口側開口1aの下部又は蓋体8の内面に一体的に設けた凸起からなるストッパー10を設けて、電池交換時等に乾電池2の先端側を持上げてその係合を外すようにしているが、乾電池ケース1の出口側開口1aの下部又は蓋体8の内面に上下可動自由なストッパー、たとえば、板バネ製の凸起からなるストッパーを設けて、電池交換時等にはストッパー自体をその復元力に抗して下方へ移動させることにより乾電池との係合を外す構成としてもよい(図示しない)。この場合、乾電池を乾電池ケースへ収納するときもその収納がストッパーに抗して簡易に行える。
【0032】
【考案の効果】
以上説明したこの考案の乾電池ケースによれば、乾電池ケースを器体の前面一側に傾斜して設け、乾電池を蓋体で支承したから、その蓋体を開けると乾電池はその自重で滑り動いて出て来るためにその取り出しが容易に行え、また、乾電池を出口近くでストッパーにより受止めて一旦停止するから、乾電池が滑り落ちて指先等に当ることがないために取扱い上安全である。したがって、電池交換等が器体前面から簡易、かつ、安全に行いうる。
【0033】
また、部品点数が少なく、しかも、、接続端子を含む全体構造が簡略化できるから、コスト的にも極めて安価となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この考案の乾電池ケースの第1実施例としての使用状態を示した要部の断面図である。
【図2】その全体正面図である。
【図3】ストッパーの位置を異にする要部の分解斜視図である。
【図4】蓋体を異にする要部の乾電池収納状態の断面図である。
【図5】同蓋体を開けた状態の断面図である。
【図6】同乾電池取り出し状態の断面図である。
【図7】蓋体を異にし、ストッパーの位置をも異にする要部の断面図である。
【図8】第2実施例としての使用状態を示した要部の断面図である。
【図9】その蓋体を取り外した状態の断面図である。
【図10】蓋体を異にし、ストッパーの位置をも異にする要部の断面図である。
【図11】その蓋体開放時の断面図である。
【図12】使用状態の全体正面図である。
【符号の説明】
1 乾電池ケース
2 乾電池
8 蓋体
10 ストッパー
【0001】
【産業上の利用分野】
この考案は、たとえば、ガステーブルこんろ等のガス燃焼器具に適用して有益な乾電池ケースに関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、ガステーブルこんろ等のガス燃焼器具にあっては、一般に器具の底面又は後面に乾電池ケースを水平状に設けている。したがって、電池交換等に際しては、器具を持上げたり、器具を前方へ引き出したり、器具の後面をのぞき込んだりしなければならず、しかも、乾電池ケースに対する乾電池の脱着も困難である。したがって、器具の正面から乾電池ケースの位置が確認し難いこともあって電池交換等に多くの手間がかかり、取扱い上甚だ不便、かつ、面倒なものであった。
【0003】
そこで、従来、ガス燃焼器具の前面側に乾電池ケースを設けて前記不具合を解消したものが提案されているが、乾電池を予め嵌めつけ支持したケースユニットを器具側に設けた収納ケースに脱着する構造となっている(以下単に従来例という)。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
前記従来例は、電池交換時等に、先ず器具側の収納ケースの蓋を開け、収納ケース内のケースユニットを取り出し、さらに、ケースユニットから乾電池を取り出す手順と、ケースユニットに乾電池を嵌めつけ支持し、乾電池が嵌めつけ支持されたケースユニットを器具側の収納ケースに挿着し、収納ケースの蓋を閉める手順とが必要なため、電池交換等に多くの手間がかかり、しかも、乾電池を予め嵌めつけ支持するケースユニットを有するので、部品点数が多くなり、加えて、接続端子構造も複雑となるために、コスト的に極めて高価となるという問題点があった。
【0005】
この考案は、電池交換等が簡易、かつ、安全に行えるとともに、部品点数は少なく、しかも、構造的にも簡略化して従来の技術の有する問題点の解消を目的とする乾電池ケースを提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この考案の乾電池ケースは、乾電池を収納する乾電池ケースを乾電池が出口側へ自重で滑り動く程度に傾斜して設け、この乾電池ケースの出口側に乾電池の支承を兼ねた蓋体と、滑り動く乾電池を出口近くで受止め停止するストッパーとを設けたことを主要な特徴とする。
【0007】
そして、滑り動く乾電池を出口近くで受止め停止するストッパーを乾電池ケースの出口又は乾電池ケースの蓋体に設けたことを特徴とする。
【0008】
また、複数の乾電池を直列状又は並列状に収納する乾電池ケースであることをも特徴とする。
【0009】
【作用】
上記構成を有するこの考案の乾電池ケースは、乾電池ケースの蓋体を開けると、乾電池ケースが傾斜しているので、蓋体で支承されていた乾電池ケース内の乾電池はその自重で出口側へ滑り動いて乾電池ケースの出口又は蓋体に設けられたストッパーで受止め停止される。この結果、乾電池の取り出しが容易となり、乾電池が滑り落ちる危険もない。
【0010】
したがって、たとえば、2本の乾電池が直列状に収納される乾電池ケースの場合、乾電池ケースの蓋体を開けると、蓋体で支承されていた2本の乾電池は出口側へ自重で滑り動き1本目の乾電池(手前の乾電池)がストッパーに当って受止められると、2本の乾電池はその場で一旦停止する。そこで、1本目の乾電池をその先端側を持上げてストッパーから外し乾電池ケースから取り出すと、2本目の乾電池は1本目の乾電池の取り出しに連れて出口側へ滑り動きストッパーに受止め停止される。その後、2本目の乾電池をその先端側を持上げてストッパーから外し乾電池ケースから取り出せば、2本の乾電池の取外しが簡易、かつ、安全に行いうる。
【0011】
また、2本の乾電池が並列状に収納される乾電池ケースの場合は、乾電池ケースの蓋体を開けると、蓋体で支承されていた2本の乾電池は出口側へ自重で同時に滑り動きそれぞれの乾電池がそれぞれのストッパーに当って受止め停止される。そこで、各々の乾電池をその先端側を持上げてストッパーから外し乾電池ケースから各別に取り出せば、乾電池の取外しが簡易、かつ、安全に行いうる。
【0012】
次に、乾電池を乾電池ケースに取付け収納するときは、乾電池ケースの蓋体を開け、乾電池ケース内に乾電池を直列状又は並列状に挿入すれば、直列状にあっては手前の乾電池が、並列状にあっては各々の乾電池が乾電池ケースの出口又は蓋体に設けられたストッパーに係合されてその自重による脱出を防ぎ、その後、蓋体を閉めると、蓋体で乾電池を適正位置に支承する。この結果、乾電池の取付け収納も簡易、確実に行いうる。
【0013】
【実施例】
以下この考案の乾電池ケースの実施例について図面を参照して説明する。
【0014】
図1〜図7は乾電池ケースが2本の乾電池を直列状に収納する筒状のケースである場合の第1実施例であって、1は先端出口側を開口1aした有底筒状の乾電池ケースで、図1及び図2に示されているようにこの乾電池ケース1は器体Aの前面一側に、直列状に収納された2本の乾電池2がその出口側へ自重で滑り動く程度に前下り状に傾斜して器体Aに固定された支持板3により取付け設置され、その出口側の開口1aを器体Aの前面板4に設けた挿脱口5と同一軸心を保って連通させている。そして、前記乾電池ケース1の基端底部にマイナス側の接続端子6を設け、前記挿脱口5には開閉蓋7を備えている。
【0015】
8は前記乾電池ケース1の先端出口側の開口1aに設けた蓋体で、乾電池ケース1内に直列状に収納される2本の乾電池2の支承を兼ねており、図1及び図3に示した実施例は、ツマミ8aを有する蓋体8を乾電池ケース1の出口側開口1aに挿脱可能に設け、この蓋体8の上下に係合凸起8bを設けるとともに、上部にはプラス側端子金具8cを備え、一方、乾電池ケース1の出口側開口1aには、前記蓋体8の係合凸起8bが挿入係止されるL状の係合溝1bと蓋体8に備えたプラス側端子金具8cが接するプラス側端子金具1cを備えて、蓋体8の係合凸起8bを乾電池ケース1の出口側開口1aの係合溝1bに挿入して押し込み図示時計方向へ回動することで係合溝1bに係合凸起8bが係合されて乾電池ケース1の開口1aに蓋体8が取付けられ、かつ、両端子金具8c、1cが接してプラス側の接続端子9を形成する構成となっている。
【0016】
また、図4及び図5に示した実施例は、乾電池ケース1の出口側開口1aに蓋体8を被着状に着脱する構成となし、この蓋体8自体をプラス側接続端子となしており、図7に示した実施例は、乾電池ケース1の出口側開口1aに蓋体8をヒンジ8dにより片開き状に開閉できるように備えた構成となし、この蓋体8自体をプラス側接続端子となしている。
【0017】
10は前記蓋体を開けることにより滑り動く乾電池2を乾電池ケース1の出口近くで受止め停止するためのストッパーで、図1に示した実施例は、乾電池ケース1の出口側開口1aと器体Aの前面4の挿脱口5との間の連通部11に凸起を設けた構成となっており、図3〜図6に示した実施例は、乾電池ケース1の出口側開口1aの下部に凸起を設けた構成となっている。そして、図7に示した実施例は蓋体8の内面先端部に凸起を設けた構成となっている。なお、前記各々のストッパー10は乾電池2の先端側を僅かに持上げることによりその係止が外れる程度の高さとなっている。
【0018】
前記第1実施例において、乾電池ケース1としては実施例の断面真円状の筒体のほか、断面正四角形状の筒体でもよく、また、乾電池ケース1の出口側開口1aを器体Aの前面板4の挿脱口5に直接接続した構成としてもよい。さらに、直列状に収納する乾電池2も2本に限らないこと勿論である。
【0019】
前記第1実施例の構成において、その作用を図4〜図7を用いて説明すると、乾電池ケース1内に直列状に収納されている2本の乾電池2は、乾電池2の自重とマイナス側の接続端子6のバネ力とで出口側に付勢されて蓋体8により支承されている(図4参照)。
【0020】
そこで、電池交換等に際し蓋体8を開けると、蓋体8で支承されていた2本の乾電池2はマイナス側の接続端子6のバネ力とその自重とで出口側へ滑り動いて1本目の乾電池2の先端部がストッパー10に当って受止められると、2本の乾電池2はその場で停止する(図5及び図7参照)。
【0021】
その後、1本目の乾電池2をその先端側を持上げてストッパー10から外し乾電池ケース1から取り出すと、2本目の乾電池2は1本目の乾電池2の取り出しに連れて出口側へ滑り動きその先端部がストッパー10に当って受止め停止される(図6の実線参照)。その後、2本目の乾電池2をその先端側を持上げてストッパー10から外し乾電池ケース1から取り出せば(図6の実線参照)、直列状に収納されている2本の乾電池2の取り出しは完了する。
【0022】
次に、2本の乾電池2を乾電池ケース1に直列状に収納するときは、乾電池ケース1の蓋体を開け、出口側開口1aから乾電池ケース1内へ2本の乾電池2を順次挿入してて押し込み、手前の乾電池2の先端側がストッパー10を越えたところで手を離すとその先端側がストッパー10に係合されて2本の乾電池2がその自重により滑り落ちることのないよう保持される(図5及び図7参照)。その後、蓋体8を閉めると、蓋体8で2本の乾電池2は若干押上げられて乾電池2のプラス側とマイナス側にそれぞれの接続端子6、9が確実に接触された状態を保って蓋体8で支承される(図4参照)。
【0023】
図8〜図12は乾電池ケースが2本の乾電池を並列状に収納する箱状のケースである場合の第2の実施例であって、1は先端出口側を開口1aした有底箱状の乾電池ケースで、図8〜図12に示されているように、この乾電池ケース1は器体Aの前面一側に、並列状に収納された2本の乾電池2がその出口側へ自重で滑り動く程度に前下り状に傾斜して器体Aに固定された支持板3により取付け設置され、その出口側の開口1aを器体Aの前面板4に設けた挿脱口5に直接接続している。そして、前記乾電池ケース1の基端底部にはマイナス側の接続端子6を設けている。
【0024】
8は前記乾電池ケース1の先端出口側の開口1aに設けた蓋体で、器体Aの前面板4の挿脱口5の蓋をも兼ねている。この蓋体8は、乾電池ケース1内に並列状に収納される乾電池2の支承を兼ねており、図8及び図9に示した実施例は、ツマミ8aを有する蓋体8を乾電池ケース1の出口側開口1aに着脱可能に設け、この蓋体8の内側にプラス側の接続端子9を備え、下部には後述するストッパー10を避けるためのスリット溝(図示せず)を設けた構成となっている。また、図10及び図11に示した実施例は乾電池ケース1の出口側開口1aに蓋体8をヒンジ8dにより片開き状に開閉できるように備えた構成となっている。
【0025】
10は前記蓋体8を開けることによりその支承が解かれて出口側へ滑り動く乾電池2を乾電池ケース1の出口近くで受止め停止するためのストッパーで、図8及び図9に示した実施例は、乾電池ケース1の出口側開口1aの下部に別体の凸起を設けた構成となっており、図10及び図11に示した実施例は、蓋体8の内面に凸起を設け、この凸起にプラス側の接続端子9を備えた構成となっている。
なお、前記各々のストッパーは乾電池2の先端側を僅かに持上げることによりその係止が外れる程度の高さとなっている。
【0026】
前記第2実施例において、乾電池ケース1としては断面楕円形状の箱体のほか、断面矩形状の箱体でもよく、並列状に収納する乾電池も2本に限らないこと勿論である。
【0027】
前記第2実施例において、その作用を図8〜図11を用いて説明すると、乾電池ケース1内に並列状に収納されている2本の乾電池は、乾電池2の自重とマイナス側の接続端子6のバネ力とで出口側に付勢されて蓋体8により支承されている(図8及び図10参照)。
【0028】
そこで、電池交換等に際し蓋体8を開けると、蓋体8で支承されていた2本の乾電池2はマイナス側の接続端子6のバネ力とその自重とで出口側へ滑り動いて各々の乾電池2の先端部が各々のストッパー10に当って受止め停止される(図9及び図11参照)。
【0029】
その後、一方の乾電池2をその先端側を持上げてストッパー10から外し乾電池ケース1から取り出し、次いで他方の乾電池2をその先端側を持上げてストッパー10から外し乾電池ケース1から取り出せば、並列状に収納されている2本の乾電池2の取り出しは完了する。
【0030】
次に、2本の乾電池2を乾電池ケース1に並列状に取付け収納するときは、乾電池ケース1の蓋体8を開け、出口側開口1aから乾電池ケース1内へ2本の乾電池2を各別に押し込み手を離せば、各々の乾電池2の先端側がストッパー10に係合されてその自重により滑り落ちることのないよう保持される(図9及び図11参照)。その後、蓋体8を閉めると、蓋体8で2本の乾電池2は若干押上げられて乾電池2のプラス側とマイナス側に各々の接続端子6、9が確実に接触された状態を保って支承される(図8及び図10参照)。
【0031】
以上この考案の実施例について説明したが、この考案はこうした実施例に何等限定されるものではなく、この考案の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。たとえば、乾電池が乾電池ケースから自重で滑り落ちるのを防ぐストッパーとして実施例では乾電池ケース1の出口側開口1aの下部又は蓋体8の内面に一体的に設けた凸起からなるストッパー10を設けて、電池交換時等に乾電池2の先端側を持上げてその係合を外すようにしているが、乾電池ケース1の出口側開口1aの下部又は蓋体8の内面に上下可動自由なストッパー、たとえば、板バネ製の凸起からなるストッパーを設けて、電池交換時等にはストッパー自体をその復元力に抗して下方へ移動させることにより乾電池との係合を外す構成としてもよい(図示しない)。この場合、乾電池を乾電池ケースへ収納するときもその収納がストッパーに抗して簡易に行える。
【0032】
【考案の効果】
以上説明したこの考案の乾電池ケースによれば、乾電池ケースを器体の前面一側に傾斜して設け、乾電池を蓋体で支承したから、その蓋体を開けると乾電池はその自重で滑り動いて出て来るためにその取り出しが容易に行え、また、乾電池を出口近くでストッパーにより受止めて一旦停止するから、乾電池が滑り落ちて指先等に当ることがないために取扱い上安全である。したがって、電池交換等が器体前面から簡易、かつ、安全に行いうる。
【0033】
また、部品点数が少なく、しかも、、接続端子を含む全体構造が簡略化できるから、コスト的にも極めて安価となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この考案の乾電池ケースの第1実施例としての使用状態を示した要部の断面図である。
【図2】その全体正面図である。
【図3】ストッパーの位置を異にする要部の分解斜視図である。
【図4】蓋体を異にする要部の乾電池収納状態の断面図である。
【図5】同蓋体を開けた状態の断面図である。
【図6】同乾電池取り出し状態の断面図である。
【図7】蓋体を異にし、ストッパーの位置をも異にする要部の断面図である。
【図8】第2実施例としての使用状態を示した要部の断面図である。
【図9】その蓋体を取り外した状態の断面図である。
【図10】蓋体を異にし、ストッパーの位置をも異にする要部の断面図である。
【図11】その蓋体開放時の断面図である。
【図12】使用状態の全体正面図である。
【符号の説明】
1 乾電池ケース
2 乾電池
8 蓋体
10 ストッパー
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 乾電池を収納する乾電池ケースを乾電池が出口側へ自重で滑り動く程度に傾斜して設け、この乾電池ケースの出口側に乾電池の支承を兼ねた蓋体と、滑り動く乾電池を出口近くで受止め停止するストッパーとを設けたことを特徴とする乾電池ケース。
【請求項2】 滑り動く乾電池を出口近くで受止め停止するストッパーを乾電池ケースの出口に設けた請求項1記載の乾電池ケース。
【請求項3】 滑り動く乾電池を出口近くで受止め停止するストッパーを乾電池ケースの蓋体に設けた請求項1記載の乾電池ケース。
【請求項4】 複数の乾電池を直列状に収納する乾電池ケースである請求項1記載の乾電池ケース。
【請求項5】 複数の乾電池を並列状に収納する乾電池ケースである請求項1記載の乾電池ケース。
【請求項1】 乾電池を収納する乾電池ケースを乾電池が出口側へ自重で滑り動く程度に傾斜して設け、この乾電池ケースの出口側に乾電池の支承を兼ねた蓋体と、滑り動く乾電池を出口近くで受止め停止するストッパーとを設けたことを特徴とする乾電池ケース。
【請求項2】 滑り動く乾電池を出口近くで受止め停止するストッパーを乾電池ケースの出口に設けた請求項1記載の乾電池ケース。
【請求項3】 滑り動く乾電池を出口近くで受止め停止するストッパーを乾電池ケースの蓋体に設けた請求項1記載の乾電池ケース。
【請求項4】 複数の乾電池を直列状に収納する乾電池ケースである請求項1記載の乾電池ケース。
【請求項5】 複数の乾電池を並列状に収納する乾電池ケースである請求項1記載の乾電池ケース。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図12】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図12】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【登録番号】第3009434号
【登録日】平成7年(1995)1月25日
【発行日】平成7年(1995)4月4日
【考案の名称】乾電池ケース
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平6−12915
【出願日】平成6年(1994)9月22日
【出願人】(000112015)パロマ工業株式会社 (298)
【登録日】平成7年(1995)1月25日
【発行日】平成7年(1995)4月4日
【考案の名称】乾電池ケース
【国際特許分類】
【出願番号】実願平6−12915
【出願日】平成6年(1994)9月22日
【出願人】(000112015)パロマ工業株式会社 (298)
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