事象位置データの提供方法、及び事象データ共有システム
【課題】距離標が設置された路線において、事象地点を通常の距離標間隔よりも高い精度で識別することを可能ならしめる事象位置データの提供方法及び事象データ共有システムを提供する。
【解決手段】情報共有サーバは、道路法所定の道路種別及び路線名を含む路線線分の属性データ、路線線分を構成している両端点の位置座標及び両端点の距離標の値を含む線分構成点データを、道路網を構成している路線線分ごとに記憶している。事象地点の位置座標データが入力されたとき、その事象地点に対応する一の路線線分を決定し、その路線線分に対して事象地点に対応する詳細距離標の値を算出し、その詳細距離標の値を路線線分の属性データと関連付けた事象位置データを生成し、携帯端末に向けて出力する。携帯端末から取得した事象を撮影した画像データを事象位置データと関連付けて格納する。検索端末からの要求に応じてこれらのデータを検索し、結果を転送する。
【解決手段】情報共有サーバは、道路法所定の道路種別及び路線名を含む路線線分の属性データ、路線線分を構成している両端点の位置座標及び両端点の距離標の値を含む線分構成点データを、道路網を構成している路線線分ごとに記憶している。事象地点の位置座標データが入力されたとき、その事象地点に対応する一の路線線分を決定し、その路線線分に対して事象地点に対応する詳細距離標の値を算出し、その詳細距離標の値を路線線分の属性データと関連付けた事象位置データを生成し、携帯端末に向けて出力する。携帯端末から取得した事象を撮影した画像データを事象位置データと関連付けて格納する。検索端末からの要求に応じてこれらのデータを検索し、結果を転送する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末から受信する事象地点の位置座標データをもとに、道路網を構成している複数の路線線分のうち、事象地点に対応する一の路線線分の属性データと関連付けられた事象位置データを提供する事象位置データの提供方法、及び事象データ共有システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在広く普及している第3世代の携帯電話をはじめ、近年市販されているほとんどの携帯電話やPHS(Personal Handy−phone System)が、GPS(Global Positioning System)を用いる測位機能を標準で備えており、携帯電話等のユーザは、現在位置の緯度・経度を自立で取得することができるようになった。これにより、移動体通信事業者が整備する通信インフラを利用して、携帯電話等で撮影した写真をメール等のメッセージに添付して、インターネット等の通信回線を介して、遠方へ送信できるようになった。
【0003】
例えば、携帯電話のGPS測位機能及びカメラ撮影機能が付いた携帯電話機に、専用アプリケーションをインストールし、写真の撮影、GPS情報の取得、及びインターネット接続機能を利用して、現地にて撮影した写真に現在位置の緯度・経度を付加して情報公開サーバに送信し、それをインターネット上で閲覧できるようにする技術が、すでに提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、道路設備データベースの利用者向けのシステムにおいて、道路設備情報を検索する者が携帯端末を操作して、GPS装置から位置座標データを取得し、センタに設置された通信装置へ電話回線を介して接続し、位置座標データを送信する技術、並びに、センタの通信装置では、パトロール現場の携帯端末からの位置座標データを受信し、位置座標データを道路距離標へ変換する条件句を含むSQL文を発行し、道路設備データベースからデータを検索し、検索結果を携帯端末へ送信し、携帯端末で検索結果を受信し、検索結果を表示する技術が、提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−205755号公報
【特許文献2】特開2001−92833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2が開示する従来技術によれば、パトロール先において、GPS装置から取得する2次元位置座標(緯度経度)と距離標との2地点間距離が最小となる距離標を検索条件として、道路設備データを検索する。ここで、距離標は、道路の起点からの距離を表わすために道路管理者が設置した地点標であり、道路沿いに設置されている距離標の間隔は、通常、1kmまたは100mである。
【0007】
特許文献2が開示する従来技術では、GPS装置から取得する2次元位置座標を、そこから最も近い距離標に変換しているが、パトロール先付近の道路設備を検索するという目的であれば、かかる変換で足りる。しかしながら、2つの距離標の中間の地点付近や、距離標が設置されていない路線付近において、例えば自然災害や事故等の異常事象を通報し、または記録する場合、一意の距離標を識別するだけのこの従来技術では、不十分である。より具体的には、距離標が設置された路線においては、事象地点を、通常の距離標間隔よりも高い精度で識別することを可能ならしめる、新たな技術を開発する必要である。加えて、かかる事象地点の識別方法を、距離標が設置されていない路線にも適用することを可能ならしめる技術拡張を開発する必要がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、距離標が設置された路線において、事象地点を通常の距離標間隔よりも高い精度で識別することを可能ならしめる、事象位置データの提供方法、及び事象データ共有システムを提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、かかる事象地点の識別方法を、距離標が設置されていない路線にも適用することを可能ならしめる、事象位置データの提供方法、及び事象データ共有システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明に係る、事象位置データの提供方法は、携帯端末から受信する事象地点の位置座標データをもとに、道路網を構成している複数の路線線分のうち、事象地点に対応する一の路線線分の属性データと関連付けられた事象位置データを、演算手段と記憶手段とを備えるコンピュータを用いて提供する方法であって、
道路法所定の道路種別及び路線名を含む路線線分の属性データと、路線線分を構成している両端点の位置座標及び両端点の距離標の値を含む線分構成点データとを、道路網を構成している路線線分ごとに記憶手段に記憶しており、
前記演算手段が実行する処理が、
(a)少なくとも一の事象地点の位置座標データが入力されたとき、その事象地点に対応する一の路線線分を決定するステップと、
(b)前記(a)の路線線分決定ステップにより決定された路線線分に対して、事象地点に対応する詳細距離標の値を算出するステップと、
(c)前記(b)の算出ステップにより算出された詳細距離標の値を路線線分の属性データと関連付けた事象位置データを生成して、前記携帯端末に向けて出力するステップと、
を含むことを特徴とする。
【0011】
本明細書における「事象」の用語は、主に道路維持管理業務における、道路設備(舗装面、付属物)の破損、路上散乱物、道路災害等の発生を意味するが、これらは例示であって限定されない。本発明において、「事象地点」とは、事象が発生した位置を指し、「事象地点の位置座標データ」とは、一般的に、2次元位置座標データ、例えば緯度経度データをいうが、3次元の位置座標データであっても良く、緯度経度以外の座標系に基づく位置座標データであっても良い。
【0012】
道路法第3条は、道路の種類を表す「道路種別」を、高速自動車国道、一般国道、都道府県道、及び市町村道の4つに区分している。また、道路法第13条は、一般国道の内、政令で指定する区間(以下、一般国道[指定区間]という。)については、国土交通大臣が一般国道の維持、修繕、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法第2条第2項に規定する災害復旧事業、その他の管理を行い、その他の区間(以下、一般国道[指定区間外]という。)については、都道府県がその路線の当該都道府県の区域内に存する部分について行うことと定めている。したがって、高速自動車国道、または一般国道[指定区間]上で一意の路線位置(通常は、距離標を両端に持つ「路線線分」)を特定ないし識別するためには、「道路種別」、「路線名」、「上下区分」、「現旧新区分」、「距離標」といった路線線分の属性データが必要であり、このために、記憶手段は、道路法所定の道路種別及び路線名を含む路線線分の属性データを、道路網を構成している路線線分ごとに記憶している。加えて、携帯端末から取得する事象地点の位置座標データをもとに、事象地点に対応する一の路線線分を決定するために、路線線分を構成している両端点の位置座標及び両端点の距離標の値を含む線分構成点データを、路線線分ごとに記憶している。なお、「路線名」は、“道路種別+路線番号+号(例:一般国道○号)”の形式、もしくは、路線通称名称で表される。また、「上下区分」は、上下線共通、上り線、下り線の3つに区分される。さらに「現旧新区分」は、旧道(バイパス等の建設に伴い建設前の道路が、他の道路として編成(編入)されずに存在する場合の元の道路)、新道(バイパス部分が現道に連結されないで部分的に供用されている区間)、現道(旧道及び新道以外の道路)の3つに区分される。上記のとおり、「距離標」は、一般的に、道路の起点からの距離を表わすために道路管理者が1kmまたは100mごとに設置した地点標をいうが、本発明における「詳細距離標」とは、この道路管理者により設置される距離標に対して、より高精度に、例えば、10m、もしくは1m単位で決定される仮想の距離標をいう。
【0013】
本発明の事象位置データの提供方法の一つの実施形態において、前記記憶手段がさらに、地先名エリアを構成している複数の点における位置座標の値と前記地先名エリアに対応する地先名とを含む地先名データを、地先名エリアごとに記憶しており、
前記演算手段が実行する処理が、
(d)前記事象地点または事象地点に対応する詳細距離標の地点が含まれる地先名エリアを決定するステップをさらに含み、
前記(c)の出力ステップが、前記(d)の地先名決定ステップにより決定された地先名エリアに対応する地先名を前記携帯端末に向けて出力するステップを含んで良い。
【0014】
高速自動車国道、または一般国道[指定区間]とは対照的に、一般国道[指定区間外]、都道府県道、及び市町村道には、一般的に距離標は割り振られていない。したがって、これら道路上で一意の路線位置や路線区間を特定ないし識別するために、距離標の代わりに「地先名」を用いる必要がある。この目的のために、記憶手段は、地先名エリアを構成している複数の点における位置座標の値と地先名エリアに対応する地先名とを含む地先名データを、地先名エリアごとに記憶しておくことができる。
【0015】
また、本発明の事象位置データの提供方法の一つの実施形態において、前記(b)の算出ステップが、路線線分の両端点の距離標の値をもとに事象地点に対応する詳細距離標の値を算出するステップを含んで良い。
【0016】
また、本発明の事象位置データの提供方法の一つの実施形態において、前記(a)の路線線分決定ステップが、
(e)前記事象地点の位置座標をもとに所定の検索対象範囲を設定するステップと、
(f)前記設定された検索対象範囲に含まれる路線線分を検索し、前記事象地点に最も近い路線線分を決定するステップと
を含んで良い。
【0017】
また、本発明の事象位置データの提供方法の一つの実施形態において、前記(f)の最も近い路線線分決定ステップが、検索対象範囲に含まれる各路線線分について、路線線分に対して事象地点を通る垂線を下ろしたときの路線線分と垂線との交点の位置座標を求め、事象地点と交点との距離を算出することにより、事象地点に最も近い路線線分を決定するステップを含んで良い。
【0018】
また、本発明の事象位置データの提供方法の一つの実施形態において、前記(b)の算出ステップが、事象地点に最も近い路線線分の両端点の距離標の値をもとに、その路線線分と垂線との交点における距離標の値を求めることにより、事象地点に対応する詳細距離標の値を算出するステップを含んで良い。
【0019】
また、本発明の事象位置データの提供方法の一つの実施形態において、前記(d)の地先名エリア決定ステップが、事象地点の位置座標と、地先名エリアを構成している複数の点における位置座標をもとに、その事象地点が含まれる地先名エリアを識別するステップを含んで良い。
【0020】
さらに、本発明の事象位置データの提供方法の一つの実施形態において、前記演算手段が実行する処理が、
(g)前記(c)の出力ステップ後に、前記携帯端末から取得する、事象地点における事象を撮影した画像データを、前記事象位置データと関連付けて前記記憶手段に格納するステップと、
(h)検索端末からの要求に応じて、事象位置データ及び画像データを検索し、結果を転送するステップと
をさらに含むことができる。
【0021】
他方、本発明の事象データ共有システムは、携帯端末から受信する事象地点の位置座標データをもとに、道路網を構成している複数の路線線分のうち、事象地点に対応する一の路線線分の属性データと関連付けられた事象位置データを提供する事象データ共有システムであって、
撮像手段により取得した事象に関する画像データと、位置座標取得手段により取得した位置座標データを転送する携帯端末と、
検索端末と、
道路法所定の道路種別及び路線名を含む路線線分の属性データ、路線線分を構成している両端点の位置座標及び両端点の距離標の値を含む線分構成点データを、道路網を構成している路線線分ごとに記憶する記憶手段と、演算手段とを有するセンタ装置とを備え、
前記演算手段が実行する処理が、
(a)少なくとも一の事象地点の位置座標データが入力されたとき、その事象地点に対応する一の路線線分を決定するステップと、
(b)前記(a)の路線線分決定ステップにより決定された路線線分に対して、事象地点に対応する詳細距離標の値を算出するステップと、
(c)前記(b)の算出ステップにより算出された詳細距離標の値を路線線分の属性データと関連付けた事象位置データを生成して、前記携帯端末に向けて出力するステップと、
(d)前記(c)の出力ステップ後に、前記携帯端末から取得する、事象地点における事象を撮影した画像データを、前記事象位置データと関連付けて前記記憶手段に格納するステップと、
(e)検索端末からの要求に応じて、事象位置データ及び画像データを検索し、結果を転送するステップと
を含むことを特徴とする。
【0022】
さらに、本発明の事象データ共有プログラムは、携帯端末から受信する事象地点の位置座標データをもとに、道路網を構成している複数の路線線分のうち、事象地点に対応する一の路線線分の属性データと関連付けられた事象位置データを提供する処理を、演算手段と記憶手段とを備えるコンピュータに行わせる、事象データ共有プログラムであって、
前記記憶手段が、道路法所定の道路種別及び路線名を含む路線線分の属性データ、路線線分を構成している両端点の位置座標及び両端点の距離標の値を含む線分構成点データを、道路網を構成している路線線分ごとに記憶しており、
前記演算手段が実行する処理が、
(a)少なくとも一の事象地点の位置座標データが入力されたとき、その事象地点に対応する一の路線線分を決定するステップと、
(b)前記(a)の路線線分決定ステップにより決定された路線線分に対して、事象地点に対応する詳細距離標の値を算出するステップと、
(c)前記(b)の算出ステップにより算出された詳細距離標の値を路線線分の属性データと関連付けた事象位置データを生成して、前記携帯端末に向けて出力するステップと、
(d)前記(c)の出力ステップ後に、前記携帯端末から取得する、事象地点における事象を撮影した画像データを、前記事象位置データと関連付けて前記記憶手段に格納するステップと、
(e)検索端末からの要求に応じて、事象位置データ及び画像データを検索し、結果を転送するステップと
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、道路維持業者の作業者は、現地にて、GPS測位機能、写真や動画等の撮像機能、及びインターネット等の通信回線接続機能を有する携帯電話等の携帯端末を用いて、事象の記録や報告を行う際、GPS測位機能を利用して取得した事象地点の位置座標データをもとに、詳細距離標の値を路線線分の属性データと関連付けた事象位置データを、直ちに取得することができる。この事象位置データを用いれば、道路網上の事象地点を、通常の距離標間隔よりも高い精度で識別することができる。
【0024】
次いで、作業員は、携帯端末が備える撮像機能により生成した事象に係る画像データを、そのようにして取得した事象位置データに添付して、情報共有サーバ等の情報センタに速やかに転送し、報告することができる。また、道路維持業者の管理者や道路管理者は、検索端末を用いて、インターネット等の通信回線経由で情報を検索し参照することができる。
【0025】
上記した本発明の目的および利点並びに他の目的および利点は、以下の実施の形態の説明を通じてより明確に理解される。もっとも、以下に記述する実施の形態は例示であって、本発明はこれらに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一つの実施の形態における事象データ共有システムの一例を示すシステム構成図である。
【図2】本実施形態に係る事象データ共有システムが備える情報共有サーバの機能ブロック図である。
【図3】本実施形態にしたがい実行される、事象位置データ提供処理の一例の全体フローを示すフローチャートである。
【図4】路線線分決定処理の一例を説明する図である。
【図5】路線線分決定処理の一例を説明する図である。
【図6】詳細距離標算出処理の一例を説明する図である。
【図7】地先名エリア決定処理の一例を説明する図である。
【図8】本実施形態にしたがい実行される、事象データ共有処理の一例の全体フローを示すフローチャートである。
【図9】本実施形態にしたがい、携帯端末の操作に対応して携帯端末に搭載される専用アプリケーション・プログラムが実行する事象位置データ取得処理の一例を示す、フローチャートである。
【図10】本実施形態にしたがい、携帯端末の操作に対応して携帯端末に搭載される専用アプリケーション・プログラムが実行する他の処理の例を示す、フローチャートである。
【符号の説明】
【0027】
10 情報センタ
11 情報共有サーバ
12 ダウンロードサーバ
20a、20b 携帯端末
30a、30b PC端末
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
以下の説明において、主に、本発明の実施の形態における事象データ共有システムを、携帯端末及びPC(Personal Computer)端末が通信回線を介して接続されるWebシステムとして構成する例、より具体的には、Webシステムを構成している情報センタが、情報共有サーバとダウンロードサーバとを含んでおり、携帯端末のユーザ(例えば、道路維持業者の作業員)が、これらサーバに通信回線を介して接続されている携帯端末を操作して、ダウンロードサーバから専用アプリケーション・プログラムをダウンロードし、携帯端末を操作して、情報共有サーバに、後述する事象位置データ提供処理及び事象データ共有処理を実行させ、情報共有サーバが生成した事象位置データを携帯端末において受信し、次いで、事象を撮影した画像データを、その事象位置データと関連付けて携帯端末から情報共有サーバに送信して、情報共有サーバにそのデータを格納させる一方、PC端末(「検索端末」に相当する。)のユーザ(例えば、道路維持業者の管理者や道路管理者)が、PC端末を操作して、事象位置データ及び画像データを検索し、その結果を表示装置に表示させて閲覧する例について述べる。ただし、これは一例であって、本発明はそれに限定されるものではない。
【0029】
図1は、本発明の実施の形態における事象データ共有システムの一例を示すシステム構成図である。事象データ共有システムは、情報センタ10と、携帯端末20a、20bと、PC端末30a、30bを含む。情報センタ10が備える情報共有サーバ11は、インターネット、移動体通信網等の通信回線40を介して、携帯端末20a、20b、PC端末30a、30bのそれぞれから接続可能に構成されている。また、情報センタ10が備えるダウンロードサーバ12は、通信回線40を介して、携帯端末20a、20bのそれぞれから接続可能に構成されている。
【0030】
情報共有サーバ11は、主に後述する事象位置データ提供処理及び事象データ共有処理を実行する。他方、ダウンロードサーバ12は、主に携帯端末20a、20bにダウンロードされる専用アプリケーション・プログラムを格納し、携帯端末20a、20bからの要求に応じて専用アプリケーション・プログラムを転送する。携帯端末20a、20bは、それぞれ、道路維持業者の担当者が、対象路線上の現地A、Bにおいて操作する携帯端末であり、PC端末30a、30bは、それぞれ、道路維持業者の管理者、または道路管理者が、事業者A、Bにおいて操作するPC端末を示している。なお、以下の説明において、PC端末を「検索端末」と呼ぶ場合がある。なお、図1に示す携帯端末及びPC端末の台数は任意であり、図1に示す例によりこれを限定するものではない。
【0031】
携帯端末20a、20bは、少なくともGPS測位機能及びインターネット接続機能を利用可能な携帯電話、PHS、スマートフォン、携帯型情報端末その他の移動端末により構成することが出来る。すなわち、携帯端末20a、20bは、図示しないCPU、RAM、所定のプログラムおよびデータを格納したROM、ハードディスク等の記憶装置、表示装置、入力装置、及び通信装置と、GPS装置を有している。携帯端末20a、20bは、好ましくは、デジタルカメラの機能に相当する写真及び/または動画の撮像機能を有する。なお、デジタルカメラにおいて記録した写真及び/または動画の画像データを、携帯端末20a、20bに読み込むようにしても良い。携帯端末20a、20bが備える、図示しないCPUは、記憶装置に格納されたプログラムを読み出し、RAMが有するワークエリアに展開して実行し、RAM、表示装置、入力装置、記憶装置、通信装置、GPS装置の各部を制御する。携帯端末20a、20bが備える、図示しないCPUは、特に、ダウンロードサーバ12からダウンロードされ、図示しない記憶装置に格納された専用アプリケーション・プログラムを読み出し、RAMが有するワークエリアに展開して、本発明に固有の各種処理を実行する。
【0032】
より具体的には、携帯端末20a、20bの専用アプリケーション・プログラムは、情報共有サーバ11が提供する事象位置データ提供サービス、及び事象データ共有サービスを利用可能に構成されている。すなわち、この専用アプリケーション・プログラムは、情報共有サーバ11と通信し、携帯端末20a、20bから、情報共有サーバ11に対し、各種のデータおよび要求コマンドを送信する機能に加えて、情報共有サーバ11に事象位置データ提供処理、及び情報共有処理のプログラムを実行させたときに、情報共有サーバ11から受信する図示しないログイン画面、事象内容報告画面等を、図示しない表示装置に表示させる機能を提供する。
【0033】
PC端末30a、30bは、汎用PCにより構成することが出来る。すなわち、PC端末30a、30bは、図示しないCPU、RAM、所定のプログラムおよびデータを格納したROM、ハードディスク等の記憶装置、表示装置、入力装置、および通信装置を有している。PC端末30a、30bが備える、図示しないCPUは、記憶装置に格納されたプログラムを読み出し、RAMが有するワークエリアに展開して実行し、RAM、表示装置、入力装置、記憶装置、および通信装置の各部を制御する。
【0034】
PC端末30a、30bが備える、図示しない記憶装置には、Webブラウザのプログラムおよびデータが格納されている。このWebブラウザは、情報共有サーバ11が提供する事象データ共有サービスを利用可能に構成されている。すなわち、このWebブラウザは、PC端末30a、30から、情報共有サーバ11に対し、各種のデータおよび要求コマンドを送信する機能に加えて、情報共有サーバ11に情報共有処理のプログラムを実行させたときに、情報共有サーバ11から受信する図示しない検索画面や検索結果画面を、図示しない表示装置に表示させる機能を提供する。なお、PC端末30a、30は、特許請求の範囲に記載した「検索端末」の一例にすぎず、例えば、携帯電話、PHS、スマートフォン、携帯型情報端末その他の移動端末が、Webブラウザを搭載し、そのWebブラウザを用いて上記の機能を利用し得る場合、これら移動端末も検索端末に含まれるものである。
【0035】
通信回線40は、専用線、公衆電話回線、移動体通信網、衛星通信回線等の各種通信回線や図示しない各種サーバ等を含んで構成され、その具体的様態は特に限定されない。また、情報センタ10、携帯端末20a、20b、及びPC端末30a、30bと通信回線40との間には、ISP(Internet Service Provider)やNSP(Network Service Provider)、携帯電話事業者等が提供するサーバやファイアーウォール、ゲートウェイ装置等の各種機器が介在する構成としても良いが、ここでは図示しない。通信回線30の典型的な例としては、移動体通信網とインターネットが挙げられるが、さらにLAN(Local Area Network)を含んでも良い。
【0036】
図2は、情報共有サーバ11の機能ブロック図である。図2に示すように、情報共有サーバ11は、CPU110、RAM120、道路網データ記憶部130、通信制御部140、路線線分決定部150、事象位置データ生成部160、地先名エリア決定部170、情報収集・配信部180、報告データ記憶部190、及び認証部200から構成され、それぞれバスに接続されている。
【0037】
道路網データ記憶部130には、路線データ格納部と、地先名データ格納部が設けられている。路線データ格納部は、道路法所定の道路種別及び路線名を含む路線線分の属性データを、道路網を構成している路線線分ごとに格納する路線線分データ格納部131と、路線線分を構成している両端点の位置座標及び両端点の距離標の値を含む線分構成点データを、道路網を構成している路線線分ごとに格納する線分構成点データ格納部132とを備えている。ここで、路線線分の属性データは、道路種別及び路線名を必須のデータとして含み、上下区分、現旧新区分のデータを任意のデータとして含む。これら路線線分の属性データは、各路線線分に割り当てられた一意の線分番号(この線分番号は、例えば、財団法人日本デジタル道路地図協会が提供するデジタル道路地図の基本道路データに含まれる、一意の「リンク番号」に相当するものであって良い。)と対応付けられて、路線線分データ格納部131に格納される。また、線分構成点データは、路線線分の両端点(この両端点は、例えば、財団法人日本デジタル道路地図協会が提供するデジタル道路地図の基本道路データに含まれる、リンク起終点の「ノード」に相当するものであって良い。)の番号、路線線分の両端点における位置座標(緯度経度)と距離標の値を含み、これらの線分構成点データが、上記線分番号と対応付けられて、線分構成点データ格納部132に格納されている。
【0038】
地先名データ格納部は、地先名格納部133とエリア構成点データ格納部134とを備えている。地先名格納部133は、地先名エリアに対応する地先名を、地先名エリアと対応づけて格納する。ここで、地先名エリアは、例えば、行政上の管理域(行政区域)に相当するもので良く、行政区域に割り当てられた一意の番号やコードによって識別することができる。また、エリア構成点データ格納部134は、地先名エリアを構成している複数の点(行政区域の境界を構成する線分の端点に相当するもので良い。)における位置座標の値を、地先名エリアと対応付けて格納する。
【0039】
路線線分決定部150は、CPU110の命令により、携帯端末20a、20bから受信する、少なくとも一の事象地点の位置座標データが、通信制御部140を介して入力されたとき、その事象地点に対応する一の路線線分を決定する。
【0040】
事象位置データ生成部160は、CPU110の命令により、路線線分決定部150により決定された路線線分に対して、事象地点に対応する詳細距離標の値を算出する。加えて、事象位置データ生成部160は、CPU110の命令により、このようにして算出された詳細距離標の値を路線線分の属性データと関連付けた事象位置データを生成して、携帯端末20a、20bに向けて、通信制御部140を介して出力する。
【0041】
地先名エリア決定部170は、CPU110の命令により、事象地点または事象地点に対応する詳細距離標の地点が含まれる地先名エリアを決定する。そして、事象位置データ生成部160は、地先名エリア決定部170により決定された地先名エリアに対応する地先名を、地先名格納部133から読み出して、携帯端末20a、20bに向けて、通信制御部140を介して出力する。
【0042】
情報収集・配信部180は、CPU110の命令により、携帯端末20a、20bから送られてくる、事象地点における事象を撮影した画像データを、事象位置データと関連付けて報告データ記憶部190に格納する。加えて、情報収集・配信部180は、CPU110の命令により、PC端末30a、30b(「検索端末」に相当する。)からの要求に応じて、事象位置データ及び画像データを検索し、結果をPC端末30a、30bに転送する。
【0043】
報告データ記憶部190は、携帯端末20a、20bから随時送られてくる、事象位置データと、事象を報告する日付、時刻、作業者のコメント等の基本データを格納する、事象基本データ格納部191と、上記の通り、携帯端末20a、20bから送られてくる、事象地点における事象を撮影した画像データを格納する画像データ格納部192とを備えている。
【0044】
認証部200は、携帯端末20a、20b、PC端末30a、30bのそれぞれから、図示しないログイン画面を介した接続要求があったときに、IDとパスコードによるユーザ認証を行い、その結果を、通信制御部140を介して、携帯端末20a、20b、PC端末30a、30bに返すとともに、正規ユーザによるログインに対しては、以降、事象データ共有システムが提供する機能の利用を許可するものである。
【0045】
次に、本実施形態にしたがい、事象データ共有システムが備える情報共有サーバ11により実行される事象位置データ提供処理を、図3以下を参照して、詳しく説明する。
図3は、事象位置データ提供処理の全体フローを示すフローチャートである。ここでは、携帯端末20a、20bの操作により、携帯端末20a、20bにおいて取得された、事象地点の位置座標データが、情報共有サーバ11に向けてまさに送信されたものとし、その後に情報共有サーバ11により実行される事象位置データ提供処理の手順を、図3、および図4を参照して、詳しく説明する。
【0046】
ステップS31において、CPU110の命令により、路線線分決定部150は、通信制御部140を介して携帯端末20a、20bから受信した、事象地点の位置座標データを入力する。ステップS32において、路線線分決定部150は、事象地点の位置座標をもとに所定の検索対象範囲を設定する。
【0047】
図4を参照して、図4は、路線線分決定処理の一例のうち、ステップS32の検索対象範囲を設定する部分を説明する図である。図4に示すように、道路網は、路線線分(LAB、LBC、LBE、LBH、LCD、LCG、LFA、・・・)の両端部(NA、NB、NC、ND、NE、NF、NG、NH、・・・)の位置座標データをもとに、少なくとも2次元位置座標の道路地図に表すことができる。したがって、事象地点IPの位置座標データが入力されたとき、かかる事象地点IPの位置を、道路地図上の一意の点(図4中、黒十字で示す点)として表すことができる。そして、この事象地点IPから緯度方向及び経度方向に所定距離D(例えば、1km、数100m等、利用用途、取得した位置座標データの測位精度ないし誤差に応じて、任意に設定して良い。)の領域を、検索対象範囲400に設定することができる。ステップS32により、事象地点IPを中心点に持つ、緯度方向経度方向の距離がそれぞれ2Dの矩形領域に両端点の位置座標が含まれる路線線分(図4に示す例において、路線線分LAB、LBC、及びLCD)に絞り込むことができるので、次の、路線線分を検索し、事象地点に最も近い路線線分を決定するステップS33を効率良く行うことができる。なお、検索対象範囲400については、図4に示すように矩形領域に設定するほかに、事象地点IPを中心点に持つ、所定距離Dの円領域を設定するようにしても良い。
【0048】
図3のフローチャートに戻って、次のステップS33において、CPU110の命令により、路線線分決定部150は、路線線分を検索し、事象地点に最も近い路線線分を決定する。図5を参照して、図5は、路線線分決定処理の一例のうち、ステップS33の路線線分を決定する部分を説明する図である。本実施形態においては、ステップS32において設定した検索対象範囲400に含まれる路線線分(図5に示す例において、路線線分LAB、LBC、及びLCD)について、路線線分に対して事象地点(図5に示すIPの点)を通る垂線を下ろしたときの路線線分と垂線との交点(図5に示す例においてQ、R)の位置座標を求め、事象地点と各路線線分上の交点との距離を算出することにより、事象地点に最も近い路線線分を決定することができる。図5に示す例においては、路線線分LABを通る直線と事象地点IPを通る垂線との交点Pを見いだすことができるが、交点Pは路線線分LAB上に無いため、仮に事象地点IPと交点Pとの距離を算定できるときでも、その距離を無視して良い。図5に示す例においては、事象地点IPと路線線分LBC上の交点Q(図5中、白十字で示す点)との距離が最も短いことから、路線線分LBCを、事象地点IPに最も近い路線線分と決定する。なお、路線線分LBC上の交点Qは、本発明における「詳細距離標」の地点に相当する点である。
【0049】
事象地点IPに最も近い路線線分LBC上の交点Qを求めることは、事象地点IPに対応する位置座標として、携帯端末20a、20bが有するGPS装置から取得される位置座標データが、実際にはある範囲の測位誤差を含んでいることに鑑みると、極めて有利である。なぜなら、現場では、事象地点がその路線線分上で明らかに重なるにもかかわらず、GPS装置が提供する位置座標データが、GPS装置が有する不可避な測位誤差のために、その路線線分上から外れた事象地点IPを指す場合があるからである。このような場合、測位結果(GPS装置が提供する位置座標データ)に対応する事象地点IPの地点よりも、交点Qに対応する「詳細距離標」の地点のほうが、現実の事象地点に近いといえる。
【0050】
次に、ステップS34において、CPU110の命令により、事象位置データ生成部160は、事象地点に最も近い路線線分の両端点の距離標の値をもとに、その路線線分と垂線との交点における距離標の値を求める。図6を参照して、図6は、本実施形態における詳細距離標算出処理の一例を説明する図である。ステップS33にしたがい決定された、事象地点IPに最も近い路線線分と決定された路線線分LBCの両端点NB、NCの距離標の値を用いて、以下のようにして、路線線分LBC上の交点Qにおける距離標の値を求めることができる。
[交点Qの距離標]=[端点NBの距離標]+([端点NCの距離標]−[端点NBの距離標])×dBQ/(dBQ+dQC)
ここで、端点NBは、端点NCよりも起点に近いものとし、dBQは、端点NBと交点Qの距離、dQCは、交点Qと端点NCの距離とする。
【0051】
次いで、ステップS35において、CPU110の命令により、地先名エリア決定部170は、事象地点または事象地点に対応する詳細距離標の地点が含まれる地先名エリアを決定する。図7を参照して、図7は、本実施形態における地先名エリア決定処理の一例を説明する図である。既に説明したように、地先名エリアを構成している複数の点(図7の例における、境界点AB1〜AB9に相当する。)における位置座標の値は、道路網データ記憶部130のエリア構成点データ格納部134に格納されている。したがって、これら複数の点の位置座標データを、道路網データ記憶部130のエリア構成点データ格納部134から読み出して、これら複数の点を結ぶ線分(隣接する地先名エリアとの境界線に相当する)で囲まれる領域内に、事象地点IP(または事象地点に対応する詳細距離標の地点、すなわち交点Q)が含まれるかを、以下のようにして判定することができる。
【0052】
図7を参照して、事象地点IPを含んでいると推定される、識別対象の一つまたは複数の地先名エリアについて、事象地点IPから、その識別対象の地先名エリアを明らかに逸脱していると扱うに十分な距離だけ離れた位置に、仮想地点I0を設定する。ここで、事象地点IPから仮想地点I0に向かう方向線(ベクトル)の向きは、任意に設定して良い。そして、事象地点IPから仮想地点I0に向かう方向線と、識別対象の地先名エリアの境界線との交点(図7の例における、N1〜N3)を求める。そして、交点の数が奇数の場合は、その識別対象の地先名エリアに、事象地点IPが存在すると判断し、交点の数が偶数の場合は、事象地点IPが存在しないと判断し、事象地点IPが含まれる一の地先名エリアを決定する。なお、事象地点IPに対応する詳細距離標の地点Qの位置座標は、簡単に求めることができるので、事象地点IPに代えて、詳細距離標の地点Qが含まれる地先名エリアを決定することができることは、勿論である。
【0053】
図3のフローチャートに戻って、次いでステップS36において、CPU110の命令により、事象位置データ生成部160は、ステップS34において算出された詳細距離標の値を、ステップS33において決定された一の路線線分の属性データと関連付けた、事象位置データ生成し、出力する。具体的には、事象位置データ生成部160は、路線線分決定部150のステップS33の処理により決定された路線線分について、その路線線分の属性データ(少なくとも、道路種別及び路線名を含む。必要に応じて上下区分、現旧新区分を含んで良い。)を、道路網データ記憶部130の路線線分データ格納部131から読み出し、取得する。そして、事象位置データ生成部160は、このようにして取得した路線線分の属性データに、先にステップS34にしたがい算出した詳細距離標の値を関連付けて、事象位置データを生成し、次いで、その事象位置データを、携帯端末20a、20bに向けて、通信制御部140を介して出力する。
【0054】
以上で、情報共有サーバ11により実行される事象位置データ提供処理は終了する。なお、一般的に距離標が割り振られていない一般国道[指定区間外]、都道府県道、及び市町村道を対象路線として、システム運用を行うときには、ステップS33及びS34における路線線分の決定と詳細距離標の値の算出が困難な場合がある。かかる場合において、本実施形態によれば、ステップS35にしたがい、事象地点に対応する「地先名」が決定されるので有利である。
【0055】
本実施形態においては、情報共有サーバ11により実行される上記の事象位置データ提供処理は、携帯端末20a、20bの操作に対応して、携帯端末20a、20bに搭載される専用アプリケーション・プログラムが実行する事象位置データ取得処理にしたがい、自動的に実行される。かかる携帯端末20a、20bの操作に対応する、事象位置データ取得処理の一例は、図9に示すフローチャートにより後述する。
【0056】
次に、本実施形態にしたがい、事象データ共有システムが備える情報共有サーバ11により実行される事象データ共有処理を、図8を参照して簡潔に説明する。図8は、事象データ共有処理の一例の全体フローを示すフローチャートである。ステップS81において、CPU110の命令により、情報収集・配信部180は、通信制御部140を介して携帯端末20a、20bから受信する、事象位置データ及び画像データを取得する。また、情報収集・配信部180は、これらデータに加えて、携帯端末20a、20bから受信する、事象を報告する日付、時刻、作業者のコメント等の基本データを取得する。次いで、ステップS82において、情報収集・配信部180は、事象位置データ及び基本データと関連付けて、画像データを報告データ記憶部190に格納する。
【0057】
次に、ステップS83において、CPU110の命令により、情報収集・配信部180は、PC端末30a、30b(「検索端末」に相当する。)からの要求に応じて、報告データ記憶部190に格納されている事象位置データ及び画像データを検索する。そして、ステップS84において、情報収集・配信部180は、結果をPC端末30a、30bに転送する。この結果は、例えば、PC端末30a、30bのユーザ(例えば、道路維持業者の管理者や道路管理者)が所属するグループに所属する、携帯端末20a、20bのユーザ(例えば、道路維持業者の作業員)が、後述する図10に示すフローにしたがい登録した事象内容を、一覧形式で示す、図示しない事象内容一覧画面とすることができる。さらに、PC端末30a、30bの図示しない表示装置に表示させた、この事象内容一覧画面から、一の事象が選択されたときに、その選択された事象に係わる詳細内容を示す、図示しない事象内容詳細画面とすることができる。以上で、情報共有サーバ11により実行される事象データ共有処理は終了する。
【0058】
本実施形態においては、情報共有サーバ11により実行される上記の事象データ共有処理の一部(ステップS81及びS82)は、携帯端末20a、20bの操作に対応して、自動的に実行され、また、同処理の他の部分(ステップS83及びS84)は、PC端末30a、30b(「検索端末」に相当する。)の操作に対応して、自動的に実行される。このうち、携帯端末20a、20bの操作に対応する、事象データ共有処理の一部(ステップS81及びS82)の一例は、図10に示すフローチャートにより後述する。
【0059】
最後に、図9及び図10を参照して、携帯端末20a、20bの操作に対応して、そこに搭載される専用アプリケーション・プログラムが実行する処理の一例を、簡単に説明する。図9は、事象位置データ取得処理の一例を示すフローチャートである。まず、携帯端末20a、20bの図示しない表示装置にログイン画面を表示し、キーコードの入力を促す(ステップS91)。キーコードの入力を受けて、情報共有サーバ11から、ユーザ認証の結果を受信する(ステップS91)。次に、今まさに、事象位置データを取得しようとしている事象地点において、通信回線(移動体通信網及びインターネット)に接続可能かを判定する(ステップS93)。携帯端末20a、20bを操作する場所が、移動体通信網の基地局からの電波が届かない山間部等の路線区間等、不感地帯である可能性があるからである。通信回線に接続できない場合は、携帯端末20a、20bが有するGPS測位機能を用いて、その地点での位置座標を取得し(ステップS94)、事象内容報告画面表示に推移させる(ステップS100)。通信回線に接続可能な場合、携帯端末20a、20bの図示しない記憶装置に一時保存データがあるかを判定する(ステップS95)。この一時保存データがある場合、これを送信する(ステップS96)。ここでの一時保存データ送信とは、例えば、事象地点が、上記のように不感地帯に所在し、通信回線に接続できないときに、とりあえず携帯端末20a、20bが有するGPS測位機能を用いて、事象地点の位置座標を取得し、また、携帯端末20a、20bが有する撮像機能を用いて、事象に係る写真や動画を撮影し、これらのデータを記憶装置に一時保存する一方、後述する図10に示すように、事象を撮影した画像データの添付(ステップS103)や、基本データのうちのコメントの入力や編集(ステップS194)を行い、これらのデータを記憶装置に一時保存(ステップS107)しておいた未完成データがあり、通信回線に接続可能な場所に移動した後に、取得済みの事象地点の位置座標データを情報共有サーバ11に送信し、情報共有サーバ11から事象位置データを取得して、事象位置データと画像データの組を完成し、これを再び、記憶装置に一時保存しておく場合等、適宜ユーザが一時保存しておいた事象位置データと画像データの組を事後に送信する場合に相当する。
【0060】
一時保存データがない場合、あるいは一時保存データを送信後、GPS測位機能を用いて位置座標を取得する(ステップS97)。次いで、取得した位置座標データを、情報共有サーバ11に向けて送信する(ステップS98)。その応答として、情報共有サーバ11から事象位置データを取得し(ステップS99)、次いで事象内容報告画面表示に推移させる(ステップS100)。
【0061】
図10は、携帯端末20a、20bの操作に対応して、そこに搭載される専用アプリケーション・プログラムが実行する、携帯端末側の処理の一部の例を示す、フローチャートである。まず、携帯端末20a、20bの図示しない表示装置に事象内容報告画面を表示し(ステップS101)、次の操作を待つ(ステップS102)。携帯端末20a、20bの操作に応じて、事象を撮影した画像データの添付(ステップS103)、基本データの編集、コメントの入力(ステップS104)を行い、次いで、通信回線(移動体通信網及びインターネット)に接続可能なときに(ステップS105)、事象位置データ及び画像データを、情報共有サーバ11に向けて送信し(ステップS106)、処理を終了する。なお、通信回線に接続できない場合、データを一時保存し(ステップS107)、処理を終了する。
【0062】
本実施形態によると、以下のような利点がある。
(1)道路維持業者の作業者は、現地にて、GPS測位機能、写真や動画等の撮像機能、及びインターネット等の通信回線接続機能を有する携帯電話等の携帯端末を用いて、事象の記録を行う際、GPS測位機能を利用して取得した事象地点の位置座標データをもとに、道路網上の位置を一意に特定する、詳細距離標の値を路線線分の属性データと関連付けた事象位置データを、直ちに取得することができる。
(2)道路維持業者の作業員は、携帯端末が備える撮像機能により生成した事象に係る画像データを、そのようにして取得した事象位置データに添付して、情報共有サーバ等の情報センタに速やかに送信し、報告することができる。
(3)また、道路維持業者の管理者や道路管理者は、検索端末を用いて、インターネット等の通信回線経由で情報を検索し参照することができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、道路維持管理に関わる事象、特に自然災害や事故等の異常事象に係る情報を、迅速に伝達しかつ記録することに役立つため、道路維持管理の効率を高め、道路維持業者−道路管理者間の情報共有を支援するために好適に利用される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末から受信する事象地点の位置座標データをもとに、道路網を構成している複数の路線線分のうち、事象地点に対応する一の路線線分の属性データと関連付けられた事象位置データを提供する事象位置データの提供方法、及び事象データ共有システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在広く普及している第3世代の携帯電話をはじめ、近年市販されているほとんどの携帯電話やPHS(Personal Handy−phone System)が、GPS(Global Positioning System)を用いる測位機能を標準で備えており、携帯電話等のユーザは、現在位置の緯度・経度を自立で取得することができるようになった。これにより、移動体通信事業者が整備する通信インフラを利用して、携帯電話等で撮影した写真をメール等のメッセージに添付して、インターネット等の通信回線を介して、遠方へ送信できるようになった。
【0003】
例えば、携帯電話のGPS測位機能及びカメラ撮影機能が付いた携帯電話機に、専用アプリケーションをインストールし、写真の撮影、GPS情報の取得、及びインターネット接続機能を利用して、現地にて撮影した写真に現在位置の緯度・経度を付加して情報公開サーバに送信し、それをインターネット上で閲覧できるようにする技術が、すでに提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、道路設備データベースの利用者向けのシステムにおいて、道路設備情報を検索する者が携帯端末を操作して、GPS装置から位置座標データを取得し、センタに設置された通信装置へ電話回線を介して接続し、位置座標データを送信する技術、並びに、センタの通信装置では、パトロール現場の携帯端末からの位置座標データを受信し、位置座標データを道路距離標へ変換する条件句を含むSQL文を発行し、道路設備データベースからデータを検索し、検索結果を携帯端末へ送信し、携帯端末で検索結果を受信し、検索結果を表示する技術が、提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−205755号公報
【特許文献2】特開2001−92833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2が開示する従来技術によれば、パトロール先において、GPS装置から取得する2次元位置座標(緯度経度)と距離標との2地点間距離が最小となる距離標を検索条件として、道路設備データを検索する。ここで、距離標は、道路の起点からの距離を表わすために道路管理者が設置した地点標であり、道路沿いに設置されている距離標の間隔は、通常、1kmまたは100mである。
【0007】
特許文献2が開示する従来技術では、GPS装置から取得する2次元位置座標を、そこから最も近い距離標に変換しているが、パトロール先付近の道路設備を検索するという目的であれば、かかる変換で足りる。しかしながら、2つの距離標の中間の地点付近や、距離標が設置されていない路線付近において、例えば自然災害や事故等の異常事象を通報し、または記録する場合、一意の距離標を識別するだけのこの従来技術では、不十分である。より具体的には、距離標が設置された路線においては、事象地点を、通常の距離標間隔よりも高い精度で識別することを可能ならしめる、新たな技術を開発する必要である。加えて、かかる事象地点の識別方法を、距離標が設置されていない路線にも適用することを可能ならしめる技術拡張を開発する必要がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、距離標が設置された路線において、事象地点を通常の距離標間隔よりも高い精度で識別することを可能ならしめる、事象位置データの提供方法、及び事象データ共有システムを提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、かかる事象地点の識別方法を、距離標が設置されていない路線にも適用することを可能ならしめる、事象位置データの提供方法、及び事象データ共有システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明に係る、事象位置データの提供方法は、携帯端末から受信する事象地点の位置座標データをもとに、道路網を構成している複数の路線線分のうち、事象地点に対応する一の路線線分の属性データと関連付けられた事象位置データを、演算手段と記憶手段とを備えるコンピュータを用いて提供する方法であって、
道路法所定の道路種別及び路線名を含む路線線分の属性データと、路線線分を構成している両端点の位置座標及び両端点の距離標の値を含む線分構成点データとを、道路網を構成している路線線分ごとに記憶手段に記憶しており、
前記演算手段が実行する処理が、
(a)少なくとも一の事象地点の位置座標データが入力されたとき、その事象地点に対応する一の路線線分を決定するステップと、
(b)前記(a)の路線線分決定ステップにより決定された路線線分に対して、事象地点に対応する詳細距離標の値を算出するステップと、
(c)前記(b)の算出ステップにより算出された詳細距離標の値を路線線分の属性データと関連付けた事象位置データを生成して、前記携帯端末に向けて出力するステップと、
を含むことを特徴とする。
【0011】
本明細書における「事象」の用語は、主に道路維持管理業務における、道路設備(舗装面、付属物)の破損、路上散乱物、道路災害等の発生を意味するが、これらは例示であって限定されない。本発明において、「事象地点」とは、事象が発生した位置を指し、「事象地点の位置座標データ」とは、一般的に、2次元位置座標データ、例えば緯度経度データをいうが、3次元の位置座標データであっても良く、緯度経度以外の座標系に基づく位置座標データであっても良い。
【0012】
道路法第3条は、道路の種類を表す「道路種別」を、高速自動車国道、一般国道、都道府県道、及び市町村道の4つに区分している。また、道路法第13条は、一般国道の内、政令で指定する区間(以下、一般国道[指定区間]という。)については、国土交通大臣が一般国道の維持、修繕、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法第2条第2項に規定する災害復旧事業、その他の管理を行い、その他の区間(以下、一般国道[指定区間外]という。)については、都道府県がその路線の当該都道府県の区域内に存する部分について行うことと定めている。したがって、高速自動車国道、または一般国道[指定区間]上で一意の路線位置(通常は、距離標を両端に持つ「路線線分」)を特定ないし識別するためには、「道路種別」、「路線名」、「上下区分」、「現旧新区分」、「距離標」といった路線線分の属性データが必要であり、このために、記憶手段は、道路法所定の道路種別及び路線名を含む路線線分の属性データを、道路網を構成している路線線分ごとに記憶している。加えて、携帯端末から取得する事象地点の位置座標データをもとに、事象地点に対応する一の路線線分を決定するために、路線線分を構成している両端点の位置座標及び両端点の距離標の値を含む線分構成点データを、路線線分ごとに記憶している。なお、「路線名」は、“道路種別+路線番号+号(例:一般国道○号)”の形式、もしくは、路線通称名称で表される。また、「上下区分」は、上下線共通、上り線、下り線の3つに区分される。さらに「現旧新区分」は、旧道(バイパス等の建設に伴い建設前の道路が、他の道路として編成(編入)されずに存在する場合の元の道路)、新道(バイパス部分が現道に連結されないで部分的に供用されている区間)、現道(旧道及び新道以外の道路)の3つに区分される。上記のとおり、「距離標」は、一般的に、道路の起点からの距離を表わすために道路管理者が1kmまたは100mごとに設置した地点標をいうが、本発明における「詳細距離標」とは、この道路管理者により設置される距離標に対して、より高精度に、例えば、10m、もしくは1m単位で決定される仮想の距離標をいう。
【0013】
本発明の事象位置データの提供方法の一つの実施形態において、前記記憶手段がさらに、地先名エリアを構成している複数の点における位置座標の値と前記地先名エリアに対応する地先名とを含む地先名データを、地先名エリアごとに記憶しており、
前記演算手段が実行する処理が、
(d)前記事象地点または事象地点に対応する詳細距離標の地点が含まれる地先名エリアを決定するステップをさらに含み、
前記(c)の出力ステップが、前記(d)の地先名決定ステップにより決定された地先名エリアに対応する地先名を前記携帯端末に向けて出力するステップを含んで良い。
【0014】
高速自動車国道、または一般国道[指定区間]とは対照的に、一般国道[指定区間外]、都道府県道、及び市町村道には、一般的に距離標は割り振られていない。したがって、これら道路上で一意の路線位置や路線区間を特定ないし識別するために、距離標の代わりに「地先名」を用いる必要がある。この目的のために、記憶手段は、地先名エリアを構成している複数の点における位置座標の値と地先名エリアに対応する地先名とを含む地先名データを、地先名エリアごとに記憶しておくことができる。
【0015】
また、本発明の事象位置データの提供方法の一つの実施形態において、前記(b)の算出ステップが、路線線分の両端点の距離標の値をもとに事象地点に対応する詳細距離標の値を算出するステップを含んで良い。
【0016】
また、本発明の事象位置データの提供方法の一つの実施形態において、前記(a)の路線線分決定ステップが、
(e)前記事象地点の位置座標をもとに所定の検索対象範囲を設定するステップと、
(f)前記設定された検索対象範囲に含まれる路線線分を検索し、前記事象地点に最も近い路線線分を決定するステップと
を含んで良い。
【0017】
また、本発明の事象位置データの提供方法の一つの実施形態において、前記(f)の最も近い路線線分決定ステップが、検索対象範囲に含まれる各路線線分について、路線線分に対して事象地点を通る垂線を下ろしたときの路線線分と垂線との交点の位置座標を求め、事象地点と交点との距離を算出することにより、事象地点に最も近い路線線分を決定するステップを含んで良い。
【0018】
また、本発明の事象位置データの提供方法の一つの実施形態において、前記(b)の算出ステップが、事象地点に最も近い路線線分の両端点の距離標の値をもとに、その路線線分と垂線との交点における距離標の値を求めることにより、事象地点に対応する詳細距離標の値を算出するステップを含んで良い。
【0019】
また、本発明の事象位置データの提供方法の一つの実施形態において、前記(d)の地先名エリア決定ステップが、事象地点の位置座標と、地先名エリアを構成している複数の点における位置座標をもとに、その事象地点が含まれる地先名エリアを識別するステップを含んで良い。
【0020】
さらに、本発明の事象位置データの提供方法の一つの実施形態において、前記演算手段が実行する処理が、
(g)前記(c)の出力ステップ後に、前記携帯端末から取得する、事象地点における事象を撮影した画像データを、前記事象位置データと関連付けて前記記憶手段に格納するステップと、
(h)検索端末からの要求に応じて、事象位置データ及び画像データを検索し、結果を転送するステップと
をさらに含むことができる。
【0021】
他方、本発明の事象データ共有システムは、携帯端末から受信する事象地点の位置座標データをもとに、道路網を構成している複数の路線線分のうち、事象地点に対応する一の路線線分の属性データと関連付けられた事象位置データを提供する事象データ共有システムであって、
撮像手段により取得した事象に関する画像データと、位置座標取得手段により取得した位置座標データを転送する携帯端末と、
検索端末と、
道路法所定の道路種別及び路線名を含む路線線分の属性データ、路線線分を構成している両端点の位置座標及び両端点の距離標の値を含む線分構成点データを、道路網を構成している路線線分ごとに記憶する記憶手段と、演算手段とを有するセンタ装置とを備え、
前記演算手段が実行する処理が、
(a)少なくとも一の事象地点の位置座標データが入力されたとき、その事象地点に対応する一の路線線分を決定するステップと、
(b)前記(a)の路線線分決定ステップにより決定された路線線分に対して、事象地点に対応する詳細距離標の値を算出するステップと、
(c)前記(b)の算出ステップにより算出された詳細距離標の値を路線線分の属性データと関連付けた事象位置データを生成して、前記携帯端末に向けて出力するステップと、
(d)前記(c)の出力ステップ後に、前記携帯端末から取得する、事象地点における事象を撮影した画像データを、前記事象位置データと関連付けて前記記憶手段に格納するステップと、
(e)検索端末からの要求に応じて、事象位置データ及び画像データを検索し、結果を転送するステップと
を含むことを特徴とする。
【0022】
さらに、本発明の事象データ共有プログラムは、携帯端末から受信する事象地点の位置座標データをもとに、道路網を構成している複数の路線線分のうち、事象地点に対応する一の路線線分の属性データと関連付けられた事象位置データを提供する処理を、演算手段と記憶手段とを備えるコンピュータに行わせる、事象データ共有プログラムであって、
前記記憶手段が、道路法所定の道路種別及び路線名を含む路線線分の属性データ、路線線分を構成している両端点の位置座標及び両端点の距離標の値を含む線分構成点データを、道路網を構成している路線線分ごとに記憶しており、
前記演算手段が実行する処理が、
(a)少なくとも一の事象地点の位置座標データが入力されたとき、その事象地点に対応する一の路線線分を決定するステップと、
(b)前記(a)の路線線分決定ステップにより決定された路線線分に対して、事象地点に対応する詳細距離標の値を算出するステップと、
(c)前記(b)の算出ステップにより算出された詳細距離標の値を路線線分の属性データと関連付けた事象位置データを生成して、前記携帯端末に向けて出力するステップと、
(d)前記(c)の出力ステップ後に、前記携帯端末から取得する、事象地点における事象を撮影した画像データを、前記事象位置データと関連付けて前記記憶手段に格納するステップと、
(e)検索端末からの要求に応じて、事象位置データ及び画像データを検索し、結果を転送するステップと
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、道路維持業者の作業者は、現地にて、GPS測位機能、写真や動画等の撮像機能、及びインターネット等の通信回線接続機能を有する携帯電話等の携帯端末を用いて、事象の記録や報告を行う際、GPS測位機能を利用して取得した事象地点の位置座標データをもとに、詳細距離標の値を路線線分の属性データと関連付けた事象位置データを、直ちに取得することができる。この事象位置データを用いれば、道路網上の事象地点を、通常の距離標間隔よりも高い精度で識別することができる。
【0024】
次いで、作業員は、携帯端末が備える撮像機能により生成した事象に係る画像データを、そのようにして取得した事象位置データに添付して、情報共有サーバ等の情報センタに速やかに転送し、報告することができる。また、道路維持業者の管理者や道路管理者は、検索端末を用いて、インターネット等の通信回線経由で情報を検索し参照することができる。
【0025】
上記した本発明の目的および利点並びに他の目的および利点は、以下の実施の形態の説明を通じてより明確に理解される。もっとも、以下に記述する実施の形態は例示であって、本発明はこれらに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一つの実施の形態における事象データ共有システムの一例を示すシステム構成図である。
【図2】本実施形態に係る事象データ共有システムが備える情報共有サーバの機能ブロック図である。
【図3】本実施形態にしたがい実行される、事象位置データ提供処理の一例の全体フローを示すフローチャートである。
【図4】路線線分決定処理の一例を説明する図である。
【図5】路線線分決定処理の一例を説明する図である。
【図6】詳細距離標算出処理の一例を説明する図である。
【図7】地先名エリア決定処理の一例を説明する図である。
【図8】本実施形態にしたがい実行される、事象データ共有処理の一例の全体フローを示すフローチャートである。
【図9】本実施形態にしたがい、携帯端末の操作に対応して携帯端末に搭載される専用アプリケーション・プログラムが実行する事象位置データ取得処理の一例を示す、フローチャートである。
【図10】本実施形態にしたがい、携帯端末の操作に対応して携帯端末に搭載される専用アプリケーション・プログラムが実行する他の処理の例を示す、フローチャートである。
【符号の説明】
【0027】
10 情報センタ
11 情報共有サーバ
12 ダウンロードサーバ
20a、20b 携帯端末
30a、30b PC端末
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
以下の説明において、主に、本発明の実施の形態における事象データ共有システムを、携帯端末及びPC(Personal Computer)端末が通信回線を介して接続されるWebシステムとして構成する例、より具体的には、Webシステムを構成している情報センタが、情報共有サーバとダウンロードサーバとを含んでおり、携帯端末のユーザ(例えば、道路維持業者の作業員)が、これらサーバに通信回線を介して接続されている携帯端末を操作して、ダウンロードサーバから専用アプリケーション・プログラムをダウンロードし、携帯端末を操作して、情報共有サーバに、後述する事象位置データ提供処理及び事象データ共有処理を実行させ、情報共有サーバが生成した事象位置データを携帯端末において受信し、次いで、事象を撮影した画像データを、その事象位置データと関連付けて携帯端末から情報共有サーバに送信して、情報共有サーバにそのデータを格納させる一方、PC端末(「検索端末」に相当する。)のユーザ(例えば、道路維持業者の管理者や道路管理者)が、PC端末を操作して、事象位置データ及び画像データを検索し、その結果を表示装置に表示させて閲覧する例について述べる。ただし、これは一例であって、本発明はそれに限定されるものではない。
【0029】
図1は、本発明の実施の形態における事象データ共有システムの一例を示すシステム構成図である。事象データ共有システムは、情報センタ10と、携帯端末20a、20bと、PC端末30a、30bを含む。情報センタ10が備える情報共有サーバ11は、インターネット、移動体通信網等の通信回線40を介して、携帯端末20a、20b、PC端末30a、30bのそれぞれから接続可能に構成されている。また、情報センタ10が備えるダウンロードサーバ12は、通信回線40を介して、携帯端末20a、20bのそれぞれから接続可能に構成されている。
【0030】
情報共有サーバ11は、主に後述する事象位置データ提供処理及び事象データ共有処理を実行する。他方、ダウンロードサーバ12は、主に携帯端末20a、20bにダウンロードされる専用アプリケーション・プログラムを格納し、携帯端末20a、20bからの要求に応じて専用アプリケーション・プログラムを転送する。携帯端末20a、20bは、それぞれ、道路維持業者の担当者が、対象路線上の現地A、Bにおいて操作する携帯端末であり、PC端末30a、30bは、それぞれ、道路維持業者の管理者、または道路管理者が、事業者A、Bにおいて操作するPC端末を示している。なお、以下の説明において、PC端末を「検索端末」と呼ぶ場合がある。なお、図1に示す携帯端末及びPC端末の台数は任意であり、図1に示す例によりこれを限定するものではない。
【0031】
携帯端末20a、20bは、少なくともGPS測位機能及びインターネット接続機能を利用可能な携帯電話、PHS、スマートフォン、携帯型情報端末その他の移動端末により構成することが出来る。すなわち、携帯端末20a、20bは、図示しないCPU、RAM、所定のプログラムおよびデータを格納したROM、ハードディスク等の記憶装置、表示装置、入力装置、及び通信装置と、GPS装置を有している。携帯端末20a、20bは、好ましくは、デジタルカメラの機能に相当する写真及び/または動画の撮像機能を有する。なお、デジタルカメラにおいて記録した写真及び/または動画の画像データを、携帯端末20a、20bに読み込むようにしても良い。携帯端末20a、20bが備える、図示しないCPUは、記憶装置に格納されたプログラムを読み出し、RAMが有するワークエリアに展開して実行し、RAM、表示装置、入力装置、記憶装置、通信装置、GPS装置の各部を制御する。携帯端末20a、20bが備える、図示しないCPUは、特に、ダウンロードサーバ12からダウンロードされ、図示しない記憶装置に格納された専用アプリケーション・プログラムを読み出し、RAMが有するワークエリアに展開して、本発明に固有の各種処理を実行する。
【0032】
より具体的には、携帯端末20a、20bの専用アプリケーション・プログラムは、情報共有サーバ11が提供する事象位置データ提供サービス、及び事象データ共有サービスを利用可能に構成されている。すなわち、この専用アプリケーション・プログラムは、情報共有サーバ11と通信し、携帯端末20a、20bから、情報共有サーバ11に対し、各種のデータおよび要求コマンドを送信する機能に加えて、情報共有サーバ11に事象位置データ提供処理、及び情報共有処理のプログラムを実行させたときに、情報共有サーバ11から受信する図示しないログイン画面、事象内容報告画面等を、図示しない表示装置に表示させる機能を提供する。
【0033】
PC端末30a、30bは、汎用PCにより構成することが出来る。すなわち、PC端末30a、30bは、図示しないCPU、RAM、所定のプログラムおよびデータを格納したROM、ハードディスク等の記憶装置、表示装置、入力装置、および通信装置を有している。PC端末30a、30bが備える、図示しないCPUは、記憶装置に格納されたプログラムを読み出し、RAMが有するワークエリアに展開して実行し、RAM、表示装置、入力装置、記憶装置、および通信装置の各部を制御する。
【0034】
PC端末30a、30bが備える、図示しない記憶装置には、Webブラウザのプログラムおよびデータが格納されている。このWebブラウザは、情報共有サーバ11が提供する事象データ共有サービスを利用可能に構成されている。すなわち、このWebブラウザは、PC端末30a、30から、情報共有サーバ11に対し、各種のデータおよび要求コマンドを送信する機能に加えて、情報共有サーバ11に情報共有処理のプログラムを実行させたときに、情報共有サーバ11から受信する図示しない検索画面や検索結果画面を、図示しない表示装置に表示させる機能を提供する。なお、PC端末30a、30は、特許請求の範囲に記載した「検索端末」の一例にすぎず、例えば、携帯電話、PHS、スマートフォン、携帯型情報端末その他の移動端末が、Webブラウザを搭載し、そのWebブラウザを用いて上記の機能を利用し得る場合、これら移動端末も検索端末に含まれるものである。
【0035】
通信回線40は、専用線、公衆電話回線、移動体通信網、衛星通信回線等の各種通信回線や図示しない各種サーバ等を含んで構成され、その具体的様態は特に限定されない。また、情報センタ10、携帯端末20a、20b、及びPC端末30a、30bと通信回線40との間には、ISP(Internet Service Provider)やNSP(Network Service Provider)、携帯電話事業者等が提供するサーバやファイアーウォール、ゲートウェイ装置等の各種機器が介在する構成としても良いが、ここでは図示しない。通信回線30の典型的な例としては、移動体通信網とインターネットが挙げられるが、さらにLAN(Local Area Network)を含んでも良い。
【0036】
図2は、情報共有サーバ11の機能ブロック図である。図2に示すように、情報共有サーバ11は、CPU110、RAM120、道路網データ記憶部130、通信制御部140、路線線分決定部150、事象位置データ生成部160、地先名エリア決定部170、情報収集・配信部180、報告データ記憶部190、及び認証部200から構成され、それぞれバスに接続されている。
【0037】
道路網データ記憶部130には、路線データ格納部と、地先名データ格納部が設けられている。路線データ格納部は、道路法所定の道路種別及び路線名を含む路線線分の属性データを、道路網を構成している路線線分ごとに格納する路線線分データ格納部131と、路線線分を構成している両端点の位置座標及び両端点の距離標の値を含む線分構成点データを、道路網を構成している路線線分ごとに格納する線分構成点データ格納部132とを備えている。ここで、路線線分の属性データは、道路種別及び路線名を必須のデータとして含み、上下区分、現旧新区分のデータを任意のデータとして含む。これら路線線分の属性データは、各路線線分に割り当てられた一意の線分番号(この線分番号は、例えば、財団法人日本デジタル道路地図協会が提供するデジタル道路地図の基本道路データに含まれる、一意の「リンク番号」に相当するものであって良い。)と対応付けられて、路線線分データ格納部131に格納される。また、線分構成点データは、路線線分の両端点(この両端点は、例えば、財団法人日本デジタル道路地図協会が提供するデジタル道路地図の基本道路データに含まれる、リンク起終点の「ノード」に相当するものであって良い。)の番号、路線線分の両端点における位置座標(緯度経度)と距離標の値を含み、これらの線分構成点データが、上記線分番号と対応付けられて、線分構成点データ格納部132に格納されている。
【0038】
地先名データ格納部は、地先名格納部133とエリア構成点データ格納部134とを備えている。地先名格納部133は、地先名エリアに対応する地先名を、地先名エリアと対応づけて格納する。ここで、地先名エリアは、例えば、行政上の管理域(行政区域)に相当するもので良く、行政区域に割り当てられた一意の番号やコードによって識別することができる。また、エリア構成点データ格納部134は、地先名エリアを構成している複数の点(行政区域の境界を構成する線分の端点に相当するもので良い。)における位置座標の値を、地先名エリアと対応付けて格納する。
【0039】
路線線分決定部150は、CPU110の命令により、携帯端末20a、20bから受信する、少なくとも一の事象地点の位置座標データが、通信制御部140を介して入力されたとき、その事象地点に対応する一の路線線分を決定する。
【0040】
事象位置データ生成部160は、CPU110の命令により、路線線分決定部150により決定された路線線分に対して、事象地点に対応する詳細距離標の値を算出する。加えて、事象位置データ生成部160は、CPU110の命令により、このようにして算出された詳細距離標の値を路線線分の属性データと関連付けた事象位置データを生成して、携帯端末20a、20bに向けて、通信制御部140を介して出力する。
【0041】
地先名エリア決定部170は、CPU110の命令により、事象地点または事象地点に対応する詳細距離標の地点が含まれる地先名エリアを決定する。そして、事象位置データ生成部160は、地先名エリア決定部170により決定された地先名エリアに対応する地先名を、地先名格納部133から読み出して、携帯端末20a、20bに向けて、通信制御部140を介して出力する。
【0042】
情報収集・配信部180は、CPU110の命令により、携帯端末20a、20bから送られてくる、事象地点における事象を撮影した画像データを、事象位置データと関連付けて報告データ記憶部190に格納する。加えて、情報収集・配信部180は、CPU110の命令により、PC端末30a、30b(「検索端末」に相当する。)からの要求に応じて、事象位置データ及び画像データを検索し、結果をPC端末30a、30bに転送する。
【0043】
報告データ記憶部190は、携帯端末20a、20bから随時送られてくる、事象位置データと、事象を報告する日付、時刻、作業者のコメント等の基本データを格納する、事象基本データ格納部191と、上記の通り、携帯端末20a、20bから送られてくる、事象地点における事象を撮影した画像データを格納する画像データ格納部192とを備えている。
【0044】
認証部200は、携帯端末20a、20b、PC端末30a、30bのそれぞれから、図示しないログイン画面を介した接続要求があったときに、IDとパスコードによるユーザ認証を行い、その結果を、通信制御部140を介して、携帯端末20a、20b、PC端末30a、30bに返すとともに、正規ユーザによるログインに対しては、以降、事象データ共有システムが提供する機能の利用を許可するものである。
【0045】
次に、本実施形態にしたがい、事象データ共有システムが備える情報共有サーバ11により実行される事象位置データ提供処理を、図3以下を参照して、詳しく説明する。
図3は、事象位置データ提供処理の全体フローを示すフローチャートである。ここでは、携帯端末20a、20bの操作により、携帯端末20a、20bにおいて取得された、事象地点の位置座標データが、情報共有サーバ11に向けてまさに送信されたものとし、その後に情報共有サーバ11により実行される事象位置データ提供処理の手順を、図3、および図4を参照して、詳しく説明する。
【0046】
ステップS31において、CPU110の命令により、路線線分決定部150は、通信制御部140を介して携帯端末20a、20bから受信した、事象地点の位置座標データを入力する。ステップS32において、路線線分決定部150は、事象地点の位置座標をもとに所定の検索対象範囲を設定する。
【0047】
図4を参照して、図4は、路線線分決定処理の一例のうち、ステップS32の検索対象範囲を設定する部分を説明する図である。図4に示すように、道路網は、路線線分(LAB、LBC、LBE、LBH、LCD、LCG、LFA、・・・)の両端部(NA、NB、NC、ND、NE、NF、NG、NH、・・・)の位置座標データをもとに、少なくとも2次元位置座標の道路地図に表すことができる。したがって、事象地点IPの位置座標データが入力されたとき、かかる事象地点IPの位置を、道路地図上の一意の点(図4中、黒十字で示す点)として表すことができる。そして、この事象地点IPから緯度方向及び経度方向に所定距離D(例えば、1km、数100m等、利用用途、取得した位置座標データの測位精度ないし誤差に応じて、任意に設定して良い。)の領域を、検索対象範囲400に設定することができる。ステップS32により、事象地点IPを中心点に持つ、緯度方向経度方向の距離がそれぞれ2Dの矩形領域に両端点の位置座標が含まれる路線線分(図4に示す例において、路線線分LAB、LBC、及びLCD)に絞り込むことができるので、次の、路線線分を検索し、事象地点に最も近い路線線分を決定するステップS33を効率良く行うことができる。なお、検索対象範囲400については、図4に示すように矩形領域に設定するほかに、事象地点IPを中心点に持つ、所定距離Dの円領域を設定するようにしても良い。
【0048】
図3のフローチャートに戻って、次のステップS33において、CPU110の命令により、路線線分決定部150は、路線線分を検索し、事象地点に最も近い路線線分を決定する。図5を参照して、図5は、路線線分決定処理の一例のうち、ステップS33の路線線分を決定する部分を説明する図である。本実施形態においては、ステップS32において設定した検索対象範囲400に含まれる路線線分(図5に示す例において、路線線分LAB、LBC、及びLCD)について、路線線分に対して事象地点(図5に示すIPの点)を通る垂線を下ろしたときの路線線分と垂線との交点(図5に示す例においてQ、R)の位置座標を求め、事象地点と各路線線分上の交点との距離を算出することにより、事象地点に最も近い路線線分を決定することができる。図5に示す例においては、路線線分LABを通る直線と事象地点IPを通る垂線との交点Pを見いだすことができるが、交点Pは路線線分LAB上に無いため、仮に事象地点IPと交点Pとの距離を算定できるときでも、その距離を無視して良い。図5に示す例においては、事象地点IPと路線線分LBC上の交点Q(図5中、白十字で示す点)との距離が最も短いことから、路線線分LBCを、事象地点IPに最も近い路線線分と決定する。なお、路線線分LBC上の交点Qは、本発明における「詳細距離標」の地点に相当する点である。
【0049】
事象地点IPに最も近い路線線分LBC上の交点Qを求めることは、事象地点IPに対応する位置座標として、携帯端末20a、20bが有するGPS装置から取得される位置座標データが、実際にはある範囲の測位誤差を含んでいることに鑑みると、極めて有利である。なぜなら、現場では、事象地点がその路線線分上で明らかに重なるにもかかわらず、GPS装置が提供する位置座標データが、GPS装置が有する不可避な測位誤差のために、その路線線分上から外れた事象地点IPを指す場合があるからである。このような場合、測位結果(GPS装置が提供する位置座標データ)に対応する事象地点IPの地点よりも、交点Qに対応する「詳細距離標」の地点のほうが、現実の事象地点に近いといえる。
【0050】
次に、ステップS34において、CPU110の命令により、事象位置データ生成部160は、事象地点に最も近い路線線分の両端点の距離標の値をもとに、その路線線分と垂線との交点における距離標の値を求める。図6を参照して、図6は、本実施形態における詳細距離標算出処理の一例を説明する図である。ステップS33にしたがい決定された、事象地点IPに最も近い路線線分と決定された路線線分LBCの両端点NB、NCの距離標の値を用いて、以下のようにして、路線線分LBC上の交点Qにおける距離標の値を求めることができる。
[交点Qの距離標]=[端点NBの距離標]+([端点NCの距離標]−[端点NBの距離標])×dBQ/(dBQ+dQC)
ここで、端点NBは、端点NCよりも起点に近いものとし、dBQは、端点NBと交点Qの距離、dQCは、交点Qと端点NCの距離とする。
【0051】
次いで、ステップS35において、CPU110の命令により、地先名エリア決定部170は、事象地点または事象地点に対応する詳細距離標の地点が含まれる地先名エリアを決定する。図7を参照して、図7は、本実施形態における地先名エリア決定処理の一例を説明する図である。既に説明したように、地先名エリアを構成している複数の点(図7の例における、境界点AB1〜AB9に相当する。)における位置座標の値は、道路網データ記憶部130のエリア構成点データ格納部134に格納されている。したがって、これら複数の点の位置座標データを、道路網データ記憶部130のエリア構成点データ格納部134から読み出して、これら複数の点を結ぶ線分(隣接する地先名エリアとの境界線に相当する)で囲まれる領域内に、事象地点IP(または事象地点に対応する詳細距離標の地点、すなわち交点Q)が含まれるかを、以下のようにして判定することができる。
【0052】
図7を参照して、事象地点IPを含んでいると推定される、識別対象の一つまたは複数の地先名エリアについて、事象地点IPから、その識別対象の地先名エリアを明らかに逸脱していると扱うに十分な距離だけ離れた位置に、仮想地点I0を設定する。ここで、事象地点IPから仮想地点I0に向かう方向線(ベクトル)の向きは、任意に設定して良い。そして、事象地点IPから仮想地点I0に向かう方向線と、識別対象の地先名エリアの境界線との交点(図7の例における、N1〜N3)を求める。そして、交点の数が奇数の場合は、その識別対象の地先名エリアに、事象地点IPが存在すると判断し、交点の数が偶数の場合は、事象地点IPが存在しないと判断し、事象地点IPが含まれる一の地先名エリアを決定する。なお、事象地点IPに対応する詳細距離標の地点Qの位置座標は、簡単に求めることができるので、事象地点IPに代えて、詳細距離標の地点Qが含まれる地先名エリアを決定することができることは、勿論である。
【0053】
図3のフローチャートに戻って、次いでステップS36において、CPU110の命令により、事象位置データ生成部160は、ステップS34において算出された詳細距離標の値を、ステップS33において決定された一の路線線分の属性データと関連付けた、事象位置データ生成し、出力する。具体的には、事象位置データ生成部160は、路線線分決定部150のステップS33の処理により決定された路線線分について、その路線線分の属性データ(少なくとも、道路種別及び路線名を含む。必要に応じて上下区分、現旧新区分を含んで良い。)を、道路網データ記憶部130の路線線分データ格納部131から読み出し、取得する。そして、事象位置データ生成部160は、このようにして取得した路線線分の属性データに、先にステップS34にしたがい算出した詳細距離標の値を関連付けて、事象位置データを生成し、次いで、その事象位置データを、携帯端末20a、20bに向けて、通信制御部140を介して出力する。
【0054】
以上で、情報共有サーバ11により実行される事象位置データ提供処理は終了する。なお、一般的に距離標が割り振られていない一般国道[指定区間外]、都道府県道、及び市町村道を対象路線として、システム運用を行うときには、ステップS33及びS34における路線線分の決定と詳細距離標の値の算出が困難な場合がある。かかる場合において、本実施形態によれば、ステップS35にしたがい、事象地点に対応する「地先名」が決定されるので有利である。
【0055】
本実施形態においては、情報共有サーバ11により実行される上記の事象位置データ提供処理は、携帯端末20a、20bの操作に対応して、携帯端末20a、20bに搭載される専用アプリケーション・プログラムが実行する事象位置データ取得処理にしたがい、自動的に実行される。かかる携帯端末20a、20bの操作に対応する、事象位置データ取得処理の一例は、図9に示すフローチャートにより後述する。
【0056】
次に、本実施形態にしたがい、事象データ共有システムが備える情報共有サーバ11により実行される事象データ共有処理を、図8を参照して簡潔に説明する。図8は、事象データ共有処理の一例の全体フローを示すフローチャートである。ステップS81において、CPU110の命令により、情報収集・配信部180は、通信制御部140を介して携帯端末20a、20bから受信する、事象位置データ及び画像データを取得する。また、情報収集・配信部180は、これらデータに加えて、携帯端末20a、20bから受信する、事象を報告する日付、時刻、作業者のコメント等の基本データを取得する。次いで、ステップS82において、情報収集・配信部180は、事象位置データ及び基本データと関連付けて、画像データを報告データ記憶部190に格納する。
【0057】
次に、ステップS83において、CPU110の命令により、情報収集・配信部180は、PC端末30a、30b(「検索端末」に相当する。)からの要求に応じて、報告データ記憶部190に格納されている事象位置データ及び画像データを検索する。そして、ステップS84において、情報収集・配信部180は、結果をPC端末30a、30bに転送する。この結果は、例えば、PC端末30a、30bのユーザ(例えば、道路維持業者の管理者や道路管理者)が所属するグループに所属する、携帯端末20a、20bのユーザ(例えば、道路維持業者の作業員)が、後述する図10に示すフローにしたがい登録した事象内容を、一覧形式で示す、図示しない事象内容一覧画面とすることができる。さらに、PC端末30a、30bの図示しない表示装置に表示させた、この事象内容一覧画面から、一の事象が選択されたときに、その選択された事象に係わる詳細内容を示す、図示しない事象内容詳細画面とすることができる。以上で、情報共有サーバ11により実行される事象データ共有処理は終了する。
【0058】
本実施形態においては、情報共有サーバ11により実行される上記の事象データ共有処理の一部(ステップS81及びS82)は、携帯端末20a、20bの操作に対応して、自動的に実行され、また、同処理の他の部分(ステップS83及びS84)は、PC端末30a、30b(「検索端末」に相当する。)の操作に対応して、自動的に実行される。このうち、携帯端末20a、20bの操作に対応する、事象データ共有処理の一部(ステップS81及びS82)の一例は、図10に示すフローチャートにより後述する。
【0059】
最後に、図9及び図10を参照して、携帯端末20a、20bの操作に対応して、そこに搭載される専用アプリケーション・プログラムが実行する処理の一例を、簡単に説明する。図9は、事象位置データ取得処理の一例を示すフローチャートである。まず、携帯端末20a、20bの図示しない表示装置にログイン画面を表示し、キーコードの入力を促す(ステップS91)。キーコードの入力を受けて、情報共有サーバ11から、ユーザ認証の結果を受信する(ステップS91)。次に、今まさに、事象位置データを取得しようとしている事象地点において、通信回線(移動体通信網及びインターネット)に接続可能かを判定する(ステップS93)。携帯端末20a、20bを操作する場所が、移動体通信網の基地局からの電波が届かない山間部等の路線区間等、不感地帯である可能性があるからである。通信回線に接続できない場合は、携帯端末20a、20bが有するGPS測位機能を用いて、その地点での位置座標を取得し(ステップS94)、事象内容報告画面表示に推移させる(ステップS100)。通信回線に接続可能な場合、携帯端末20a、20bの図示しない記憶装置に一時保存データがあるかを判定する(ステップS95)。この一時保存データがある場合、これを送信する(ステップS96)。ここでの一時保存データ送信とは、例えば、事象地点が、上記のように不感地帯に所在し、通信回線に接続できないときに、とりあえず携帯端末20a、20bが有するGPS測位機能を用いて、事象地点の位置座標を取得し、また、携帯端末20a、20bが有する撮像機能を用いて、事象に係る写真や動画を撮影し、これらのデータを記憶装置に一時保存する一方、後述する図10に示すように、事象を撮影した画像データの添付(ステップS103)や、基本データのうちのコメントの入力や編集(ステップS194)を行い、これらのデータを記憶装置に一時保存(ステップS107)しておいた未完成データがあり、通信回線に接続可能な場所に移動した後に、取得済みの事象地点の位置座標データを情報共有サーバ11に送信し、情報共有サーバ11から事象位置データを取得して、事象位置データと画像データの組を完成し、これを再び、記憶装置に一時保存しておく場合等、適宜ユーザが一時保存しておいた事象位置データと画像データの組を事後に送信する場合に相当する。
【0060】
一時保存データがない場合、あるいは一時保存データを送信後、GPS測位機能を用いて位置座標を取得する(ステップS97)。次いで、取得した位置座標データを、情報共有サーバ11に向けて送信する(ステップS98)。その応答として、情報共有サーバ11から事象位置データを取得し(ステップS99)、次いで事象内容報告画面表示に推移させる(ステップS100)。
【0061】
図10は、携帯端末20a、20bの操作に対応して、そこに搭載される専用アプリケーション・プログラムが実行する、携帯端末側の処理の一部の例を示す、フローチャートである。まず、携帯端末20a、20bの図示しない表示装置に事象内容報告画面を表示し(ステップS101)、次の操作を待つ(ステップS102)。携帯端末20a、20bの操作に応じて、事象を撮影した画像データの添付(ステップS103)、基本データの編集、コメントの入力(ステップS104)を行い、次いで、通信回線(移動体通信網及びインターネット)に接続可能なときに(ステップS105)、事象位置データ及び画像データを、情報共有サーバ11に向けて送信し(ステップS106)、処理を終了する。なお、通信回線に接続できない場合、データを一時保存し(ステップS107)、処理を終了する。
【0062】
本実施形態によると、以下のような利点がある。
(1)道路維持業者の作業者は、現地にて、GPS測位機能、写真や動画等の撮像機能、及びインターネット等の通信回線接続機能を有する携帯電話等の携帯端末を用いて、事象の記録を行う際、GPS測位機能を利用して取得した事象地点の位置座標データをもとに、道路網上の位置を一意に特定する、詳細距離標の値を路線線分の属性データと関連付けた事象位置データを、直ちに取得することができる。
(2)道路維持業者の作業員は、携帯端末が備える撮像機能により生成した事象に係る画像データを、そのようにして取得した事象位置データに添付して、情報共有サーバ等の情報センタに速やかに送信し、報告することができる。
(3)また、道路維持業者の管理者や道路管理者は、検索端末を用いて、インターネット等の通信回線経由で情報を検索し参照することができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、道路維持管理に関わる事象、特に自然災害や事故等の異常事象に係る情報を、迅速に伝達しかつ記録することに役立つため、道路維持管理の効率を高め、道路維持業者−道路管理者間の情報共有を支援するために好適に利用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末から受信する事象地点の位置座標データをもとに、道路網を構成している複数の路線線分のうち、事象地点に対応する一の路線線分の属性データと関連付けられた事象位置データを、演算手段と記憶手段とを備えるコンピュータを用いて提供する方法であって、
道路法所定の道路種別及び路線名を含む路線線分の属性データと、路線線分を構成している両端点の位置座標及び両端点の距離標の値を含む線分構成点データとを、道路網を構成している路線線分ごとに記憶手段に記憶しており、
前記演算手段が実行する処理が、
(a)少なくとも一の事象地点の位置座標データが入力されたとき、その事象地点に対応する一の路線線分を決定するステップと、
(b)前記(a)の路線線分決定ステップにより決定された路線線分に対して、事象地点に対応する詳細距離標の値を算出するステップと、
(c)前記(b)の算出ステップにより算出された詳細距離標の値を路線線分の属性データと関連付けた事象位置データを生成して、前記携帯端末に向けて出力するステップと、
を含むことを特徴とする、事象位置データの提供方法。
【請求項2】
前記記憶手段がさらに、地先名エリアを構成している複数の点における位置座標の値と前記地先名エリアに対応する地先名とを含む地先名データを、地先名エリアごとに記憶しており、
前記演算手段が実行する処理が、
(d)前記事象地点または事象地点に対応する詳細距離標の地点が含まれる地先名エリアを決定するステップをさらに含み、
前記(c)の出力ステップが、前記(d)の地先名決定ステップにより決定された地先名エリアに対応する地先名を前記携帯端末に向けて出力するステップを含むことを特徴とする、事象位置データの提供方法。
【請求項3】
前記(b)の算出ステップが、路線線分の両端点の距離標の値をもとに事象地点に対応する詳細距離標の値を算出するステップを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の事象位置データの提供方法。
【請求項4】
前記(a)の路線線分決定ステップが、
(e)前記事象地点の位置座標をもとに所定の検索対象範囲を設定するステップと、
(f)前記設定された検索対象範囲に含まれる路線線分を検索し、前記事象地点に最も近い路線線分を決定するステップと
を含むことを特徴とする、請求項1または2記載の事象位置データの提供方法。
【請求項5】
前記(f)の最も近い路線線分決定ステップが、検索対象範囲に含まれる各路線線分について、路線線分に対して事象地点を通る垂線を下ろしたときの路線線分と垂線との交点の位置座標を求め、事象地点と交点との距離を算出することにより、事象地点に最も近い路線線分を決定するステップを含むことを特徴とする、請求項4記載の事象位置データの提供方法。
【請求項6】
前記(b)の算出ステップが、事象地点に最も近い路線線分の両端点の距離標の値をもとに、その路線線分と垂線との交点における距離標の値を求めることにより、事象地点に対応する詳細距離標の値を算出するステップを含むことを特徴とする、請求項5記載の事象位置データの提供方法。
【請求項7】
前記(d)の地先名エリア決定ステップが、事象地点の位置座標と、地先名エリアを構成している複数の点における位置座標をもとに、その事象地点が含まれる地先名エリアを識別するステップを含むことを特徴とする、請求項2記載の事象位置データの提供方法。
【請求項8】
前記演算手段が実行する処理が、
(g)前記(c)の出力ステップ後に、前記携帯端末から取得する、事象地点における事象を撮影した画像データを、前記事象位置データと関連付けて前記記憶手段に格納するステップと、
(h)検索端末からの要求に応じて,事象位置データ及び画像データを検索し、結果を転送するステップと
をさらに含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の事象位置データの提供方法。
【請求項9】
携帯端末から受信する事象地点の位置座標データをもとに、道路網を構成している複数の路線線分のうち、事象地点に対応する一の路線線分の属性データと関連付けられた事象位置データを提供する事象データ共有システムであって、
撮像手段により取得した事象に関する画像データと、位置座標取得手段により取得した位置座標データを転送する携帯端末と、
検索端末と、
道路法所定の道路種別及び路線名を含む路線線分の属性データ、路線線分を構成している両端点の位置座標及び両端点の距離標の値を含む線分構成点データを、道路網を構成している路線線分ごとに記憶する記憶手段と、演算手段とを有するセンタ装置とを備え、
前記演算手段が実行する処理が、
(a)少なくとも一の事象地点の位置座標データが入力されたとき、その事象地点に対応する一の路線線分を決定するステップと、
(b)前記(a)の路線線分決定ステップにより決定された路線線分に対して、事象地点に対応する詳細距離標の値を算出するステップと、
(c)前記(b)の算出ステップにより算出された詳細距離標の値を路線線分の属性データと関連付けた事象位置データを生成して、前記携帯端末に向けて出力するステップと、
(d)前記(c)の出力ステップ後に、前記携帯端末から取得する、事象地点における事象を撮影した画像データを、前記事象位置データと関連付けて前記記憶手段に格納するステップと、
(e)検索端末からの要求に応じて、事象位置データ及び画像データを検索し、結果を転送するステップと
を含むことを特徴とする、事象データ共有システム。
【請求項10】
携帯端末から受信する事象地点の位置座標データをもとに、道路網を構成している複数の路線線分のうち、事象地点に対応する一の路線線分の属性データと関連付けられた事象位置データを提供する処理を、演算手段と記憶手段とを備えるコンピュータに行わせる、事象データ共有プログラムであって、
前記記憶手段が、道路法所定の道路種別及び路線名を含む路線線分の属性データ、路線線分を構成している両端点の位置座標及び両端点の距離標の値を含む線分構成点データを、道路網を構成している路線線分ごとに記憶しており、
前記演算手段が実行する処理が、
(a)少なくとも一の事象地点の位置座標データが入力されたとき、その事象地点に対応する一の路線線分を決定するステップと、
(b)前記(a)の路線線分決定ステップにより決定された路線線分に対して、事象地点に対応する詳細距離標の値を算出するステップと、
(c)前記(b)の算出ステップにより算出された詳細距離標の値を路線線分の属性データと関連付けた事象位置データを生成して、前記携帯端末に向けて出力するステップと、
(d)前記(c)の出力ステップ後に、前記携帯端末から取得する、事象地点における事象を撮影した画像データを、前記事象位置データと関連付けて前記記憶手段に格納するステップと、
(e)検索端末からの要求に応じて、事象位置データ及び画像データを検索し、結果を転送するステップと
を含むことを特徴とする、事象データ共有プログラム。
【請求項1】
携帯端末から受信する事象地点の位置座標データをもとに、道路網を構成している複数の路線線分のうち、事象地点に対応する一の路線線分の属性データと関連付けられた事象位置データを、演算手段と記憶手段とを備えるコンピュータを用いて提供する方法であって、
道路法所定の道路種別及び路線名を含む路線線分の属性データと、路線線分を構成している両端点の位置座標及び両端点の距離標の値を含む線分構成点データとを、道路網を構成している路線線分ごとに記憶手段に記憶しており、
前記演算手段が実行する処理が、
(a)少なくとも一の事象地点の位置座標データが入力されたとき、その事象地点に対応する一の路線線分を決定するステップと、
(b)前記(a)の路線線分決定ステップにより決定された路線線分に対して、事象地点に対応する詳細距離標の値を算出するステップと、
(c)前記(b)の算出ステップにより算出された詳細距離標の値を路線線分の属性データと関連付けた事象位置データを生成して、前記携帯端末に向けて出力するステップと、
を含むことを特徴とする、事象位置データの提供方法。
【請求項2】
前記記憶手段がさらに、地先名エリアを構成している複数の点における位置座標の値と前記地先名エリアに対応する地先名とを含む地先名データを、地先名エリアごとに記憶しており、
前記演算手段が実行する処理が、
(d)前記事象地点または事象地点に対応する詳細距離標の地点が含まれる地先名エリアを決定するステップをさらに含み、
前記(c)の出力ステップが、前記(d)の地先名決定ステップにより決定された地先名エリアに対応する地先名を前記携帯端末に向けて出力するステップを含むことを特徴とする、事象位置データの提供方法。
【請求項3】
前記(b)の算出ステップが、路線線分の両端点の距離標の値をもとに事象地点に対応する詳細距離標の値を算出するステップを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の事象位置データの提供方法。
【請求項4】
前記(a)の路線線分決定ステップが、
(e)前記事象地点の位置座標をもとに所定の検索対象範囲を設定するステップと、
(f)前記設定された検索対象範囲に含まれる路線線分を検索し、前記事象地点に最も近い路線線分を決定するステップと
を含むことを特徴とする、請求項1または2記載の事象位置データの提供方法。
【請求項5】
前記(f)の最も近い路線線分決定ステップが、検索対象範囲に含まれる各路線線分について、路線線分に対して事象地点を通る垂線を下ろしたときの路線線分と垂線との交点の位置座標を求め、事象地点と交点との距離を算出することにより、事象地点に最も近い路線線分を決定するステップを含むことを特徴とする、請求項4記載の事象位置データの提供方法。
【請求項6】
前記(b)の算出ステップが、事象地点に最も近い路線線分の両端点の距離標の値をもとに、その路線線分と垂線との交点における距離標の値を求めることにより、事象地点に対応する詳細距離標の値を算出するステップを含むことを特徴とする、請求項5記載の事象位置データの提供方法。
【請求項7】
前記(d)の地先名エリア決定ステップが、事象地点の位置座標と、地先名エリアを構成している複数の点における位置座標をもとに、その事象地点が含まれる地先名エリアを識別するステップを含むことを特徴とする、請求項2記載の事象位置データの提供方法。
【請求項8】
前記演算手段が実行する処理が、
(g)前記(c)の出力ステップ後に、前記携帯端末から取得する、事象地点における事象を撮影した画像データを、前記事象位置データと関連付けて前記記憶手段に格納するステップと、
(h)検索端末からの要求に応じて,事象位置データ及び画像データを検索し、結果を転送するステップと
をさらに含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の事象位置データの提供方法。
【請求項9】
携帯端末から受信する事象地点の位置座標データをもとに、道路網を構成している複数の路線線分のうち、事象地点に対応する一の路線線分の属性データと関連付けられた事象位置データを提供する事象データ共有システムであって、
撮像手段により取得した事象に関する画像データと、位置座標取得手段により取得した位置座標データを転送する携帯端末と、
検索端末と、
道路法所定の道路種別及び路線名を含む路線線分の属性データ、路線線分を構成している両端点の位置座標及び両端点の距離標の値を含む線分構成点データを、道路網を構成している路線線分ごとに記憶する記憶手段と、演算手段とを有するセンタ装置とを備え、
前記演算手段が実行する処理が、
(a)少なくとも一の事象地点の位置座標データが入力されたとき、その事象地点に対応する一の路線線分を決定するステップと、
(b)前記(a)の路線線分決定ステップにより決定された路線線分に対して、事象地点に対応する詳細距離標の値を算出するステップと、
(c)前記(b)の算出ステップにより算出された詳細距離標の値を路線線分の属性データと関連付けた事象位置データを生成して、前記携帯端末に向けて出力するステップと、
(d)前記(c)の出力ステップ後に、前記携帯端末から取得する、事象地点における事象を撮影した画像データを、前記事象位置データと関連付けて前記記憶手段に格納するステップと、
(e)検索端末からの要求に応じて、事象位置データ及び画像データを検索し、結果を転送するステップと
を含むことを特徴とする、事象データ共有システム。
【請求項10】
携帯端末から受信する事象地点の位置座標データをもとに、道路網を構成している複数の路線線分のうち、事象地点に対応する一の路線線分の属性データと関連付けられた事象位置データを提供する処理を、演算手段と記憶手段とを備えるコンピュータに行わせる、事象データ共有プログラムであって、
前記記憶手段が、道路法所定の道路種別及び路線名を含む路線線分の属性データ、路線線分を構成している両端点の位置座標及び両端点の距離標の値を含む線分構成点データを、道路網を構成している路線線分ごとに記憶しており、
前記演算手段が実行する処理が、
(a)少なくとも一の事象地点の位置座標データが入力されたとき、その事象地点に対応する一の路線線分を決定するステップと、
(b)前記(a)の路線線分決定ステップにより決定された路線線分に対して、事象地点に対応する詳細距離標の値を算出するステップと、
(c)前記(b)の算出ステップにより算出された詳細距離標の値を路線線分の属性データと関連付けた事象位置データを生成して、前記携帯端末に向けて出力するステップと、
(d)前記(c)の出力ステップ後に、前記携帯端末から取得する、事象地点における事象を撮影した画像データを、前記事象位置データと関連付けて前記記憶手段に格納するステップと、
(e)検索端末からの要求に応じて、事象位置データ及び画像データを検索し、結果を転送するステップと
を含むことを特徴とする、事象データ共有プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2011−238135(P2011−238135A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−110494(P2010−110494)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【出願人】(594128913)株式会社長大 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【出願人】(594128913)株式会社長大 (2)
【Fターム(参考)】
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