説明

二多段式駐車装置の設備状態表示装置

【課題】二多段式駐車装置が故障した場合に、どのパレット落下防止装置が故障しているのかを速やかに把握できるようにする設備状態表示装置を提供する。
【解決手段】二多段式駐車装置のパレット落下防止装置は、昇降パレットが、停止時に万一落下しようとした場合に、該パレットの落下を防止するために、該パレットに下方から係合し得るように、パレット前方側の左右2箇所、およびパレット後方側の左右2箇所の4箇所に設けられている。設備状態表示装置20は、表示領域25A、25B、25Cを有し、該表示領域には、これら4箇所にそれぞれ対応した4つの箇所において、対応するパレット落下防止装置の故障状態をそれぞれ表示する故障表示手段27a、27b、27c、27dが配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二多段式駐車装置の設備状態表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二多段式駐車装置は、車両積載用のパレットを2段または3段以上に配置している機械式駐車装置である。図1は、下記の特許文献1に記載された二多段式駐車装置の構成例を示す。図1(A)は正面図であり、図1(B)は側面図である。図1に示すように、二多段式駐車装置には、複数段のパレット51、昇降駆動装置53、ピット55などが設けられている。
【0003】
各パレット51は、昇降可能であり、所定の入・出庫高さに位置する時に、当該パレット51に車両3が自走して車路1から縦方向(図1(B)の左右方向)に乗り込み可能または車路1へ縦方向に乗り出し可能となっている。これにより、車両3がパレット51に積載される。複数段のパレット51は、支柱57に組み付けられて支柱57に支持される。
【0004】
昇降駆動装置53は、パレット51を昇降駆動する。即ち、昇降駆動装置53は、主支柱59に設けられ、支柱57を昇降させることで、パレット51を昇降する。
【0005】
ピット55は、入・出庫高さより低い位置に設けられる。ピット55内へ、車両3が積載されたパレット51が下降することで、該車両3をピット55に収容できるようになっている。
【0006】
上述のような各二多段式駐車装置には、図2に示す表示盤63が設けられていた。図2において、表示盤63には、電源ランプ65、上昇ボタン66、および下降ボタン67が設けられている。電源ランプ65は、昇降駆動装置53へ電源から電力が供給可能である時に点灯し、二多段式駐車装置が動作可能である状態を示す。電源ランプ65が点灯している時に、上昇ボタン66を人が押すことで、パレット51が上昇し、下降ボタン66を人が押すことで、パレット51が下降する。
【0007】
なお、本願の他の先行技術文献として、例えば下記の特許文献2、3がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−279632号公報
【特許文献2】特開2006−37538号公報
【特許文献3】特開2001−164778号公報
【特許文献4】特開2003−105998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、図2の表示盤63においては、二多段式駐車装置の故障状態を表示する機能がない。また、図2の表示盤63では、どの箇所の設備・部品が故障したのかを把握できない。従って、二多段式駐車装置が故障した場合には、作業者が、どの設備・部品が故障しているのかを検査しなければならない。その結果、二多段式駐車装置の復旧に時間がかかっていた。
【0010】
特に、図2の表示盤63では、どの位置に設けられたパレット落下防止装置が故障したのかを把握できない。
【0011】
パレット落下防止装置70の一例を図3に示す。図3は、下記の特許文献4に記載されたものである。
パレット落下防止装置70は、駐車装置の構造体(例えば図1の主支柱59)に取り付けられ、係止部材71および駆動装置73を備える。係止部材71は、パレット1に下方から係合して該パレット1の落下を防止する(図1(A)参照)。駆動装置73は、係合部材71がパレット1に係合する図3(A)の係合位置と係合しない図3(B)の退避位置との間で係合部材71を移動させる。駆動装置73は、バネ73a、ソレノイド73b、プランジャ73c,連結部材73dを有する。バネ73aは、係合部材71を係合位置へ押し、これにより、係止部材71を係合位置に位置させる。このように係止部材71が係合位置にある状態から、ソレノイド73bに電流が流れると、磁力が発生し、この磁力で、バネの弾性力に抗してプランジャ73cを上方に移動させ、これにより、連結部材73dを介して係止部材71を退避位置に位置させる。係止部材71は、退避位置で、ケーシング73e内に退避している。
【0012】
図4(A)は、図1(A)の4A−4A矢視図である。図4(A)では、パレット51、主支柱59、パレット落下防止装置70、係止部材71、ケーシング73eのみを示している。図4(A)において、各パレット落下防止装置70の係合部材71は係合位置にある。図4(B)は、図4(A)に対応するが、各パレット落下防止装置70の係合部材31が退避位置(ケーシング73e内)にある状態を示す。なお、上述のようなパレット落下防止装置は、図4(A)に示すように、各二多段式駐車装置のパレット51前方側(図の下側)の左右2箇所、およびパレット51後方側(図の上側)の左右2箇所に設けられている。
【0013】
このようにパレット落下防止装置が複数設けられている場合に、図2の表示盤63では、どの位置に設けられたパレット落下防止装置が故障したのかを把握できない。
【0014】
そこで、本発明の目的は、二多段式駐車装置が故障した場合に、どの設備・部品(特に、どのパレット落下防止装置)が故障しているのかを速やかに把握できるようにする設備状態表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明によると、駐車のために車両を積載するパレットを、昇降可能に上下に複数配置した二多段式駐車装置の設備状態表示装置であって、
前記二多段式駐車装置は、パレット落下防止装置を備え、該パレット落下防止装置は、前記パレットが、停止時に万一落下しようとした場合に、該パレットの落下を防止するために、該パレットに下方から係合し得るように4箇所に設けられており、該4箇所は、パレット前方側の左右2箇所、およびパレット後方側の左右2箇所であり、
前記設備状態表示装置は、表示領域を有し、該表示領域には、前記4箇所にそれぞれ対応した4つの箇所において、対応するパレット落下防止装置の故障状態をそれぞれ表示する故障表示手段が配置されている、ことを特徴とする設備状態表示装置が提供される。
【0016】
本発明の好ましい実施形態によると、前記表示領域において、パレット前方側に対応する一方側の左右2箇所、および、パレット後方側に対応する他方側の左右2箇所に、前記故障表示手段が配置されている。
【0017】
また、本発明の好ましい実施形態によると、複数の前記二多段式駐車装置が、互いに隣接して左右に配列されており、
各二多段式駐車装置毎に、前記表示領域が設けられ、
これら表示領域は、複数の前記二多段式駐車装置の配列に従って配列されている。
【0018】
好ましくは、前記表示領域には、前記二多段式駐車装置の動作状態を表示する動作状態表示手段が設けられ、
故障表示状態手段は、動作状態表示手段による動作状態表示色と異なる色で前記故障状態を表示する。
【発明の効果】
【0019】
上述した本発明によると、パレット落下防止装置が配置される4箇所にそれぞれ対応した4つの箇所において、対応するパレット落下防止装置の故障状態をそれぞれ表示する故障表示手段が配置されるので、どのパレット落下防止装置が故障しているのかを速やかに把握でき、その結果、故障状態から短時間で復旧することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】特許文献1に記載された二多段式駐車装置を示す。
【図2】二多段式駐車装置に設けられる表示盤を示す。
【図3】特許文献4に記載されたパレット落下防止装置を示す。
【図4】図1の4A−4A矢視図であり一部の構成を示す。
【図5】本発明の適用対象となり得る二多段式駐車装置の構成例である。
【図6】図5(A)の部分拡大図である。
【図7】図5(A)のVII−VII矢視図であり一部の構成を示す。
【図8】本実施形態による二多段式駐車装置の設備状態表示装置を示す。
【図9】ロック機構の構成例を示す。
【図10】本実施形態による設備状態表示装置を用いた二多段式駐車装置の運転方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0022】
図5は、本発明の適用対象となり得る二多段式駐車装置10の構成を示す。図5(A)は図5(B)のA−A線矢視図(正面図)であり、図5(B)は図5(A)のB−B線矢視図(側面図)である。
二多段式駐車装置10は、それぞれ、昇降駆動され、所定の入・出庫高さ(図5では、車路1の上面の高さ)に位置する時に、車両3が車路1から縦方向に乗り込み可能または車路1へ縦方向に乗り出し可能である上下複数段のパレット5、7を有する。図5の例では、上下複数段のパレット5、7は,上段パレット5と下段パレット7である。また、図5の例では、前記入・出庫高さより低い位置に車両収容用のピット9が設けられる。前記複数段のパレット5、7のうち少なくとも最下段のパレット(図5の例では、下段パレット7)は、車両3を積載してピット9内へ下降することで、該車両3をピット9に収容できるようになっている。なお、ピット9は、コンクリート等のピット形成部11により形成された車両収納用の空間または窪みであり、入・出庫高さより低い位置に設けられる。
【0023】
本実施形態では、同じ構成を有する複数の前記二多段式駐車装置10が、互いに隣接して左右に配列されている。図5(A)において、左側の二多段式駐車装置10を符号10Aで示し、中央の二多段式駐車装置10を符号10Bで示し、右側の二多段式駐車装置10を符号10Cで示す(以下、同様)。図5(A)において、左側と中央の二多段式駐車装置10A、10Bでは、各パレット5、7が下限位置にあり、上段パレット5が入・出庫高さに位置している。図5(A)において、右側の二多段式駐車装置10Cでは、各パレット5、7が上限位置にあり、下段パレット7が入・出庫高さに位置している。
【0024】
図5の例では、各二多段式駐車装置10A、10B、10Cにおいて、上段パレット5と下段パレット7は、支柱13に挟まれるように支柱13に組み付けられることで、支柱13に支持される。また、上段パレット5と下段パレット7とは、主支柱15に設けられた昇降駆動装置17(図5では省略しているが図6に示す)により一体的に昇降させられる。図6は、図5(A)の部分拡大図である。図6のように、昇降駆動装置17は、例えば、主支柱15に固定されワイヤー(またはチェーン)17aを巻き出しまたは巻き戻すドラム17bと、このドラム17bを回転駆動するモータ17cとを有する。なお、符号19は、上段パレット5および下段パレット7を水平に保つバランスチェーンを示す。
【0025】
前記各二多段式駐車装置10A、10B、10Cは、パレット落下防止装置21a、21b、21c、21dを備え、各パレット落下防止装置は、前記パレット7が、その下限位置から上昇した位置(図5の例では、上限位置)で停止している時に、(例えば、チェーン17a,19が切れて)万一落下しようとした場合に、該パレット7の落下を防止するために、該パレット7に下方から係合し得るように4箇所に設けられている。この例では、各パレット落下防止装置21a、21b、21c、21dの機能と構成は、図3を参照して説明したパレット落下防止装置70と同じであるので、その説明を省略するが、各パレット落下防止装置21a、21b、21c、21dの構成部材を図3と同じ符号で示す。図7は、図5(A)のVII−VII矢視図であるが、主支柱15、パレット7、パレット落下防止装置21a、21b、21c、21d、係止部材71、ケーシング73eのみを示す。図7に示すように、各二多段式駐車装置10A、10B、10Cについて、パレット落下防止装置21a、21b、21c、21dがそれぞれ設けられる前記4箇所は、パレット7前方側(図7の上側)の左右2箇所、およびパレット7後方側(図7の下側)の左右2箇所である。
【0026】
各二多段式駐車装置10A、10B、10Cにおいて、パレット5、7が停止している時には、パレット落下防止装置21a、21b、21c、21d(すなわち、図3の駆動装置73)に電流が電源から供給されるように制御装置(図示せず)に制御される。これにより、パレット5、7の停止時において、図3の場合と同様に、各パレット落下防止装置21a、21b、21c、21dの係合部材71が図5(A)や図7のように係合位置に位置させられる。一方、各二多段式駐車装置10A、10B、10Cにおいて、パレット5、7が昇降する時には、パレット落下防止装置21a、21b、21c、21dへの電流が遮断されるように前記制御装置に制御される。これにより、図3の場合と同様に、パレット5、7の昇降時において、各パレット落下防止装置21a、21b、21c、21dの係合部材71が退避位置に位置させられる。
【0027】
図8は、本実施形態による二多段式駐車装置10A、10B、10Cの設備状態表示装置20を示す。図8の設備状態表示装置20は、複数の表示領域25A、25B、25Cを有する。すなわち、各二多段式駐車装置毎に、該二多段式駐車装置の故障状態や制御状態を表示するための前記表示領域が設けられる。これら表示領域25A、25B、25Cは、複数の前記二多段式駐車装置10A、10B、10Cの配列に従って配列されている。図8の例では、表示領域25Aは、図5(A)の左側の二多段式駐車装置10Aについてのものであり、表示領域25Bは、図5(A)の中央の二多段式駐車装置10Bについてのものであり、表示領域25Cは、図5(A)の右側の二多段式駐車装置10Cについてのものである。
各表示領域25A、25B、25Cでは、対応する二多段式駐車装置においてパレット落下防止装置21a、21b、21c、21dがそれぞれ設けられる前記4箇所(図7を参照)に、それぞれ対応した4つの箇所において、対応するパレット落下防止装置の故障状態をそれぞれ表示する故障表示手段27a、27b、27c、27dが配置されている。この例では、各表示領域25A、25B、25Cにおいて、パレット7前方側(図7の上側)に対応する一方側(図8の上側)の左右2箇所、および、パレット7後方側(図7の下側)に対応する他方側(図8の下側)の左右2箇所に、それぞれ、前記故障表示手段27a、27b、27c、27dが配置されている。すなわち、故障表示手段27aは、パレット落下防止装置21aの故障状態を表示するためのものであり、故障表示手段27bは、パレット落下防止装置21bの故障状態を表示するためのものであり、故障表示手段27cは、パレット落下防止装置21cの故障状態を表示するためのものであり、故障表示手段27dは、パレット落下防止装置21dの故障状態を表示するためのものである。
【0028】
各パレット落下防止装置の故障は、例えば、各パレット落下防止装置(駆動装置)と所定の電源との配線における断線であるとして、次のように検知する。各パレット落下防止装置では、対応する二多段式駐車装置のパレット5、7の昇降が停止している時に、該パレット落下防止装置の駆動装置73(ソレノイド73b)には、所定の電源から通電され、これにより、係合部材71が退避位置に位置する。この通電がなされているかを、パレットの昇降停止時に、マグネットスイッチ(電磁スイッチ)により検出する。すなわち、マグネットスイッチを、駆動装置73と所定の電源とを結ぶ電線に電流が流れていることを検出できるように配置し、マグネットスイッチが当該電流を検知しない場合には、故障表示手段27a、27b、27c、27dは、断線が生じているとして、対応するパレット落下防止装置の故障状態を、所定の故障表示色(例えば、赤色)で発光することにより表示する。
【0029】
本実施形態によると、各表示領域25A、25B、25Cには別の故障表示手段29が設けられる。
故障表示手段29は、異常検知センサ31が故障している場合に、異常検知センサ31の故障状態を、所定の故障表示色で発光することにより表示する。
異常検知センサ31は、二多段式駐車装置毎に設けられ、進入禁止領域において、パレット5、7上の車両3のタイヤや、人や、物などの物体が進入していないかを検知する。図5(A)の例では、異常検知センサ31は、発光素子31aと受光素子31bとからなる。発光素子31aは、図5(B)において、検査領域32(破線で描いた円の内部領域)を通過するように、図5(B)の紙面と垂直方向に光を射出する。検査領域32にタイヤや人や物などの物体が存在しない場合には、当該光が受光素子31bに受光される。なお、発光素子31aと受光素子31bは、適宜の構造体(例えば主支柱15)に対し固定して配置されてよい。また、発光素子31aが射出する光は、赤外線であってもよい。発光素子31aは、常時、光を射出していてよい。
【0030】
異常検知センサ31の故障は、例えば、発光素子31aと所定の電源との配線における断線を次のように検知する。発光素子31aは、所定の電源から通電されることにより発光する。この通電がなされているかを、マグネットスイッチ(電磁スイッチ)により検出する。すなわち、マグネットスイッチを、発光素子31aと所定の電源とを結ぶ電線に電流が流れていることを検出できるように配置し、マグネットスイッチが当該電流を検知しない場合には、故障表示手段29は、断線が生じているとして、異常検知センサ31の故障状態を、故障表示色で発光することにより表示する。
【0031】
また、本実施形態によると、各表示領域25A、25B、25Cには、前記二多段式駐車装置の動作状態を表示する動作状態表示手段が設けられる。動作状態表示手段は、上限表示手段33、下限表示手段35、ロック表示手段37、および昇降表示手段39を含む。
【0032】
上限表示手段33は、パレット5、7が上限位置ある時に、この状態を、所定の上限状態表示色で発光することにより表示する。同様に、下限表示手段35は、パレット5、7が下限位置ある時に、この状態を、所定の下限状態表示色で発光することにより表示する。なお、上限位置または下限位置にあるパレット5、7に接触して、または、パレット5、7に非接触型で検知する適宜のセンサにより、パレット5、7が上限位置または下限位置にあることを検知してよい。この検知に反応でして、上限表示手段33または下限表示手段35は、上述の表示を行う。
【0033】
ロック表示手段37は、ロック機構41の状態を表示する。ロック機構41は、隣接する2つの二多段式駐車装置のうち一方においてにのみ、パレット5、7が昇降できるようにする機構である。
ロック機構41は、例えば、図9の回路により構成され、第1および第2のスイッチ43、45を有する。図9において、第1のスイッチ43は、接点aを接点b、cのいずれか一方にのみ接続可能であり、第2のスイッチ45は、接点dと接点eとの接続、および接点fと接点gとの接続のいずれか一方のみを実行可能である。図9において、符号17Aは、二多段式駐車装置10Aの昇降駆動装置17(モータ17c)を示し、符号17Bは、二多段式駐車装置10Bの昇降駆動装置17(モータ17c)を示し、符号17Cは、二多段式駐車装置10Cの昇降駆動装置17(モータ17c)を示す。また、図9において、後述のスイッチ49がオンになっているとして説明する。
【0034】
第1のスイッチ43が、接点aを接点cに接続している場合には、左側の二多段式駐車装置10Aの昇降駆動装置17Aへ電力が電源から供給不能となり、左側の二多段式駐車装置10Aの表示領域25Aにおいて、ロック表示手段37が、パレット5、7を昇降できない旨を、所定のロック状態表示色で発光することにより表示する。
第2のスイッチ45が、接点dを接点eに接続している場合には、右側の二多段式駐車装置10Cの昇降駆動装置17Cへ電力が電源から供給不能となり、右側の二多段式駐車装置10Cの表示領域25Cにおいて、ロック表示手段37が、パレット5、7を昇降できない旨を、ロック状態表示色で発光することにより表示する。
第1のスイッチ43が、接点aを接点bに接続している場合、または、第2のスイッチ45が、接点fを接点gに接続している場合には、中央の二多段式駐車装置10Bの昇降駆動装置17Bへ電力が電源から供給不能となり、中央の二多段式駐車装置10Bの表示領域25Bにおいて、ロック表示手段37が、パレット5、7を昇降できない旨を、ロック状態表示色で発光することにより表示する。なお、第1のスイッチ43が、接点aを接点bに接続している場合には、図8の表示領域25Bにおいて、左側のロック表示手段37がロック状態表示色で発光し、第2のスイッチ45が、接点fを接点gに接続している場合には、図8の表示領域25Bにおいて、右側のロック表示手段37がロック状態表示色で発光する。
【0035】
なお、左側の二多段式駐車装置10Aに関する表示領域25Aにおいて、ロック表示手段37がロック状態表示色で発光していない時には、接点a,bがスイッチ43により接続されており、この状態で、左側の二多段式駐車装置10Aのパレット5、7を上昇または下降させるように所定の操作盤を人が操作すると、メインスイッチ47Aがオンとなって接点h、iがさらに接続される。これにより、図9において、二多段式駐車装置10Aの昇降駆動装置17Aと電源とが接続されて、当該パレット5、7が上昇または下降する。
同様に、中央の二多段式駐車装置10Bに関する表示領域25Bにおいて、2つのロック表示手段37のいずれも、ロック状態表示色で発光していない時には、接点a,bがスイッチ43により接続されており、接点d、eがスイッチ45により接続されており、この状態で、中央の二多段式駐車装置10Bのパレット5、7を上昇または下降させるように操作盤を操作すると、メインスイッチ47Bがオンとなって接点j、kがさらに接続される。これにより、図9において、二多段式駐車装置10Bの昇降駆動装置17Bと電源とが接続されて、当該パレット5、7が上昇または下降する。
また、同様に、右側の二多段式駐車装置10Cに関する表示領域25Cにおいて、ロック表示手段37がロック状態表示色で発光していない時には、接点f,gがスイッチ45により接続されており、この状態で、右側の二多段式駐車装置10Cのパレット5、7を上昇または下降させるように操作盤を操作すると、メインスイッチ47Cがオンとなって接点m、nがさらに接続される。これにより、図9において、二多段式駐車装置10Cの昇降駆動装置17Cと電源とが接続されて、当該パレット5、7が上昇または下降する。
【0036】
昇降表示手段39は、対応する二多段式駐車装置において、パレット5、7の昇降がロック機構41によりロックされていない状態で、当該パレット5、7を上昇または下降させるように人が操作盤を操作すると、パレット5、7が昇降する旨を、昇降表示色で発光することにより表示する。例えば、昇降表示手段39は、対応する二多段式駐車装置の昇降駆動装置に電力が電源から供給されたことを、マグネットスイッチにより検知することで、昇降表示色で発光する。
【0037】
故障表示手段27a、27b、27c、27d、29、および、動作状態表示手段(上限表示手段33、下限表示手段35、ロック表示手段37、昇降表示手段39)は、ランプや電球や発光ダイオードなどの発光体であってよい。代わりに、各表示領域25A、25B、25Cが、表示装置の画面(例えば、液晶画面)であって、故障表示手段27a、27b、27c、27d、29、および、動作状態表示手段(上限表示手段33、下限表示手段35、ロック表示手段37、昇降表示手段39)は、当該画面上の所定数の画素からなる所定領域であってもよい。
【0038】
好ましくは、故障表示手段27a、27b、27c、27d、29による前記故障状態表示色は、前記動作状態表示手段による動作状態表示色と異なる。すなわち、当該故障状態表示色は、上述の上限状態表示色、下限状態表示色、ロック状態表示色、および昇降表示色と異なる。例えば、当該故障状態表示色は、赤色であって、上述の上限状態表示色、下限状態表示色、ロック状態表示色、および昇降表示色は、黄色である。
また、故障表示手段27a、27b、27c、27d、29は、故障状態表示色で発光しない時には、発光しないか、または、正常表示色で発光してよく、上限表示手段33は、上限状態表示色で発光しない時には、発光しないか、または、非上限状態色で発光してよく、下限表示手段35は、下限状態表示色で発光しない時には、発光しないか、または、非下限状態色で発光してよく、ロック表示手段37は、ロック状態表示色で発光しない時には、発光しないか、または、非ロック状態色で発光してよく、昇降表示手段39は、昇降表示色で発光しない時には、発光しないか、または、非昇降表示色で発光してよい。このように発光する場合、正常表示色、非上限状態色、非下限状態色、非ロック状態色、および非昇降表示色は、故障状態表示色、上限状態表示色、下限状態表示色、ロック状態表示色、および昇降表示色と異なる色(例えば、緑色)である。
【0039】
図10は、設備状態表示装置を用いた二多段式駐車装置の運転方法を示す。
ステップS1において、操作盤に設けられた電源キーをオンにする操作を人がすることで、図9におけるスイッチ49がオンになる。これにより、図9において、接点o,pが接続される。
ステップS2において、所望の二多段式駐車装置(以下、駆動対象の二多段式駐車装置という)における停止中のパレット5、7を上昇または下降させるように操作盤を人が操作する。
ステップS3において、駆動対象の二多段式駐車装置に対応する表示領域において、故障表示手段27a、27b、27c、27d、29のいずれもが故障状態表示色で発光しておらず、かつ、ロック表示手段37(二多段式駐車装置10Bについては2つのロック表示手段37のいずれも)が、ロック状態表示色で発光しておらず、(好ましくは、さらに、駆動対象の二多段式駐車装置の異常検知センサ31が、物体を検知していない場合には)、ステップS4へ進み、そうでない場合には、駆動対象の二多段式駐車装置のパレット5、7は昇降しない。
ステップS4において、昇降表示手段39が昇降表示色で発光するとともに、ステップS2の操作に従って、前記制御装置がパレット5、7を上昇または下降させる制御を行う。
ステップS5において、ステップS4でパレット5、7が上昇した場合、パレット5、7が上限位置で停止し、上限表示手段33が上限状態表示色で発光する。一方、ステップS5において、ステップS4でパレット5、7が下降した場合、パレット5、7が下限位置で停止し、下限表示手段33が下限状態表示色で発光する。なお、ステップS5において、パレット5、7が上限位置または下限位置で停止する制御が前記制御装置によりなされてよい。
【0040】
上述した設備状態表示装置20によると、パレット落下防止装置が配置される4箇所にそれぞれ対応した4つの箇所において、対応するパレット落下防止装置の故障状態をそれぞれ表示する故障表示手段27a、27b、27c、27dが配置されるので、どのパレット落下防止装置が故障しているのかを速やかに把握でき、その結果、短時間で修理することができる。
【0041】
本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
【0042】
例えば、上述の実施形態では、3つの二多段式駐車装置が隣接して設けられていたが、1つの二多段式駐車装置、または、隣接して配置された4つ以上の二多段式駐車装置にも本発明を適用してよい。
【0043】
上述の実施形態では、二多段式駐車装置において2つのパレットが上下に配置されていたが、3つ以上のパレットが上下に配置されて昇降駆動される二多段式駐車装置(例えば、図1の二多段式駐車装置)にも本発明を適用してよい。
【0044】
二多段式駐車装置において、パレット落下防止装置は、パレットが上限位置にある時だけ、係止部材が係合位置にあるように構成してもよい。この場合、例えば、次のようにパレット落下防止装置の故障を判断してよい。すなわち、スイッチ49がオンになった状態で、図9の接点a、cまたはfに電圧が印加されているかどうかを適宜の手段で検知し、電圧が印加されていなければ、電源と接点a、cまたはfとの間に断線が生じているとし、パレット落下防止装置が故障していると判断してよい。
【符号の説明】
【0045】
1 車路、3 車両、5、7 パレット、9 ピット、
10、10A、10B、10C 二多段式駐車装置、
11 ピット形成部、13 支柱、15 主支柱、
17 昇降駆動装置、17a ワイヤー(チェーン)、
17b ドラム、17c モータ、19 バランスチェーン、
20 設備状態表示装置、
21a、21b、21c、21d パレット落下防止装置、
25A、25B、25C 表示領域、
27a、27b、27c、27d 故障表示手段、
29 故障表示手段、31 異常検知センサ、
31a 発光素子、31b 受光素子、33 上限表示手段、
35 下限表示手段、37 ロック表示手段、
39 昇降表示手段、41 ロック機構、43 第1のスイッチ、
47A、47B、47C メインスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車のために車両を積載するパレットを、昇降可能に上下に複数配置した二多段式駐車装置の設備状態表示装置であって、
前記二多段式駐車装置は、パレット落下防止装置を備え、該パレット落下防止装置は、前記パレットが、停止時に万一落下しようとした場合に、該パレットの落下を防止するために、該パレットに下方から係合し得るように4箇所に設けられており、該4箇所は、パレット前方側の左右2箇所、およびパレット後方側の左右2箇所であり、
前記設備状態表示装置は、表示領域を有し、該表示領域には、前記4箇所にそれぞれ対応した4つの箇所において、対応するパレット落下防止装置の故障状態をそれぞれ表示する故障表示手段が配置されている、ことを特徴とする設備状態表示装置。
【請求項2】
前記表示領域において、パレット前方側に対応する一方側の左右2箇所、および、パレット後方側に対応する他方側の左右2箇所に、前記故障表示手段が配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の設備状態表示装置。
【請求項3】
複数の前記二多段式駐車装置が、互いに隣接して左右に配列されており、
各二多段式駐車装置毎に、前記表示領域が設けられ、
これら表示領域は、複数の前記二多段式駐車装置の配列に従って配列されている、ことを特徴とする請求項1または2に記載の設備状態表示装置。
【請求項4】
前記表示領域には、前記二多段式駐車装置の動作状態を表示する動作状態表示手段が設けられ、
故障表示状態手段は、動作状態表示手段による動作状態表示色と異なる色で前記故障状態を表示する、ことを特徴とする請求項1、2または3に記載の設備状態表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−127301(P2011−127301A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285085(P2009−285085)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(000198363)IHI運搬機械株式会社 (292)