説明

二次イオン質量分析法の深さ校正用試料、その製造方法及び二次イオン質量分析方法

【課題】遷移領域程度の浅い領域に不純物濃度分布を有する二次イオン質量分析法の深さ校正用の標準試料を提供する。
【解決手段】本標準試料は、シリコン基板1にIn又はGaをイオン注入してイオン注入層2を形成する工程と、シリコン基板1に酸素イオン3を照射して、イオン注入された前記In又はGaをシリコン基板1の表面近傍に集積させて再分布層4を形成する工程とを有することで製造される。酸素イオン3の照射角及び照射エネルギーにより、既知のIn又はGa濃度分布を有する標準試料が作製される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次イオン質量分析の深さ校正に使用される深さ校正用試料、その製造方法及びその校正用試料を用いる二次イオン質量分析方法に関し、とくに製造容易でかつ遷移期間内の深さを校正するに適した深さ校正用試料、その製造方法及びその校正用試料を用いる二次イオン質量分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二次イオン質量分析(SIMS:secondary Ion Mass Spectrometry)は、一次イオンビームを被分析試料表面に照射して、試料表面からスパッタリングされて放出される二次イオンを質量分析する元素濃度分布の分析方法である。この二次イオン質量分析法では、スパッタリングを進行させつつ二次イオン強度を検出する。従って、二次イオン、即ち被検元素イオン又は被検元素と結合した分子イオンのイオン強度の時間推移のデータに対して、推移時間を深さに換算することで、試料表面の深さ方向の被検元素の濃度分布を知ることができる。
【0003】
従来、推移時間の深さへの換算は、一次イオンの照射により試料表面に形成された窪みの深さを表面粗さ計を用いて測定し、この窪みの深さと推移時間とから平均スパッタ速度を算出し、スパッタ速度が一定であるとの仮定の下に、照射時間(即ち、推移時間)を深さ(スパッタ量)に換算することでなされていた。
【0004】
しかし、今日では高い検出感度を得るために、一次イオンとして反応性イオン、例えば酸素又はセシウムイオンが多用されている。かかる反応性の一次イオンを用いた場合、試料表面から数nm程度の浅い表面層でスパッタ速度が時間推移に伴い変動する遷移期間(transient period)と呼ばれる期間が存在することが知られている。かかるスパッタ速度の変動は照射時間と深さとの比例関係を乱し、スパッタ速度一定の仮定を崩すので、照射時間から深さへの正確な換算を困難にしてしまう。その結果、二次イオン質量分析による深さ方向の濃度分布の精密な分析が困難になる。
【0005】
二次イオン質量分析では、このような遷移期間のスパッタ速度の変動による深さの誤差を補正するために、通常、照射時間と深さ(スパッタ量)の関係を標準試料を用いて校正している。
【0006】
標準試料は深さ方向の不純物濃度分布を有し、その濃度及び深さ(例えばピーク位置あるいは一定濃度領域の深さ)が予め知られている。この標準試料を二次イオン質量分析し、その不純物を含むイオンのイオン強度の時間推移を測定し、その測定されたイオン強度の時間推移パターンが標準試料の既知の濃度分布に対応していると仮定することで、例えばイオン強度のピーク位置の照射時間とイオン強度が、それぞれ標準試料のピーク位置の既知の深さと不純物濃度に対応するとして、二次イオン質量分析におけるスパッタ量(即ちスパッタ速度)及び不純物濃度を校正する。
【0007】
かかる標準試料として、従来、表面に不純物をイオン注入したシリコン基板が用いられていた。しかし、遷移期間にスパッタされる表面から数nm程度の浅い領域のスパッタ量の校正には、この表面近傍の浅い領域内にピーク濃度を有するイオン注入層を形成する必要がある。
【0008】
ところで、浅いイオン注入層を形成するにはイオン注入エネルギーを低くしなければならない。しかし、低いイオン注入エネルギーではシリコン基板表面でのイオンの反射が大きくなり、正確なドーズ量でのイオン注入が困難になる。このため、表面から数nm以下の浅い領域に正確な不純物濃度を有する標準試料をイオン注入により作製することは難しい。
【0009】
他に、不純物をデルタドープしたシリコン基板が標準試料として使用されている。(例えば、特許文献1参照。)。この標準試料は、シリコン基板上に、MBE(分子線エピタキシャル)法を用いて、シリコン層と1原子層の不純物(例えばSb)からなるデルタドープ層を交互に複数層堆積して形成される。
【0010】
しかし、数nm程度の浅い領域に複数のデルタドープ層を形成するには、その間に挿入されるシリコン層の厚さが極めて薄くなる。このため、薄いシリコン層への不純物拡散を抑制するために堆積温度を低くしなければならない。一方、堆積温度が低いと堆積したシリコン層の表面粗さが大きくなり、堆積層の界面に凹凸が発生する。かかる界面の凹凸は、デルタドープの正確な深さの検出を難しくする。このため、数nm以下の浅い領域内の正確な深さに濃度ピークを有する標準試料を作製することは難しい。
【0011】
さらに、不純物をイオン注入した後、再結晶化することで表面近傍にピーク濃度を形成した標準試料が用いられている。この標準試料では、表面から数nm以下の領域にピークを有する不純物濃度分布を容易に形成することができる。従って、この標準試料を用いて、推移期間の校正をすることができる。(例えば特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2006−343244号公報
【特許文献2】特開2008−066648号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述したように、不純物のイオン注入により作製される従来の標準試料では、数nm以下の浅い領域にピークを有する不純物濃度分布を形成することが難しい。このため、遷移期間内での時間と深さの関係を精密に校正することが難しい。
【0013】
不純物をデルタドープした従来の標準試料は、エピタキシャル堆積法により作製される。しかし、遷移期間にスパッタされるような浅い領域にデルタドープするには、不純物拡散を抑制するために低温で堆積せねばならず、かかる低温では界面の凹凸を生じやすく急峻な界面を有する標準試料の作製が難しいという問題がある。
【0014】
不純物イオン注入層の再結晶化により表面近傍にピーク濃度を有する再結晶層を形成することで作製される従来の標準試料は、数nm以下の浅い再結晶層を有する。しかし、再結晶化のために高温に加熱し、その後冷却しなければならず、標準試料の作製作業が煩雑である。また、高温での不純物拡散により、浅い位置に鋭いピークを有する不純物濃度分布を形成することが難しい。さらに、再結晶層の不純物濃度分布を正確に制御するために、結晶化温度及び時間を正確に制御しなければならない。このため、精密な温度制御が可能な高価な再結晶化装置を用意しなければならないという問題もある。
【0015】
本発明は、標準試料作製のために特別な装置を用いることなく、簡易かつ容易に製造することができる標準試料であって、遷移期間にスパッタされる浅い領域(以下「遷移領域」という。)に不純物のピーク濃度を有する標準試料、その製造方法及びその標準試料を用いた二次イオン質量分析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の第1の構成は、表面に不純物のイオン注入層が形成されたシリコン層に、酸素イオンを照射して形成された酸素含有層と、前記不純物が前記酸素含有層の表面近傍に集積して形成された再分布層とを有することを特徴とする二次イオン質量分析法の深さ校正用試料として提供される。
【0017】
本構成の標準試料では、不純物のイオン注入により形成されたイオン注入層を有するシリコン基板に、酸素イオンを照射することで形成される不純物の再分布層を、濃度分布の基準として用いる。この再分布層は、酸素イオン照射により形成される酸素含有層の表面近傍に形成され、後述するように、酸素イオンを一次イオンとして照射する二次イオン質量分析で見られる遷移領域(遷移期間でスパッタされる領域)と略同じ深さに形成される。そして、この深さは、照射する酸素イオンのエネルギー及び入射角により精密に制御することがてきる。従って、浅い遷移領域内に、精密に制御された深さ方向の不純物濃度分布を有する標準試料が容易に作製される。
【0018】
また、酸素イオンの照射は加熱することなく例えば室温でなされる。このため、不純物の拡散による濃度分布の変化が小さく、濃度分布を精密に制御して作製することが容易である。
【0019】
さらに、酸素イオンの照射は二次イオン質量分析装置による酸素イオンの照射によりなすことができる。従って、イオン注入工程を除き、製造用の特別な装置、例えば再結晶化装置又はエピタキシャル堆積装置を用いることなく作製することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、特別な製造装置を用いることなく、浅い遷移領域に予め知られた深さ方向の不純物濃度分布を有する標準試料を容易に製造することができる。このため、二次イオン質量分析における照射時間と深さとの関係を簡便にかつ精密に校正することができるので、被検元素の深さ方向の濃度分布を精密に測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の第1実施形態は、Inを不純物とし、そのIn濃度分布を酸素イオンの照射エネルギーにより制御して製造された、二次イオン質量分析法の深さ校正用標準試料に関する。なお、本明細書では、「不純物」を標準試料に含まれる校正に用いられる不純物の意味で用いる。この不純物の標準試料中での濃度分布は、二次イオン質量分析の校正のための基準濃度分布として利用される。
【0022】
初めに、第1実施形態の標準試料の製造工程を説明する。
【0023】
図1は本発明の第1実施形態の標準試料の製造工程断面図であり、標準試料の断面を表している。
【0024】
まず、図1(a)を参照して、イオン注入装置を用いてシリコン基板1に不純物としてInをイオン注入し、シリコン基板1の表面にInが注入されたイオン注入層2を形成する。本第1実施形態では、Inイオンをシリコン基板1に垂直に入射した。
【0025】
このInのイオン注入では、注入エネルギーを5keV以上、10keV以下とすることが好ましい。注入エネルギーが5keV未満では、シリコン基板1表面での注入イオンの反射が多く、イオン注入層2の精密なドーズ量及び濃度分布の制御が難しい。また、10keVを超えるとイオン注入層2が深くなり、表面近傍のIn濃度が低くなので校正時に十分なInイオン強度が得られず、校正精度が劣化する。
【0026】
また、Inのドーズ量(イオン注入量)は、1×1014cm-2以上、1×1015cm-2以下とすることが好ましい。ドーズ量が1×1014cm-2より少ないと、イオン注入層2のIn濃度が低く、校正に必要なInイオン強度が得らない。また、ドーズ量が1×1015cm-2を超えると、イオン注入層2の濃度分布がシュミレーションにより求められる予想分布と異なる分布となるので、結果として、予定された濃度分布を有する標準試料を形成することが困難になる。
【0027】
本第1実施形態では、ドーズ量を1×1015cm-2、イオン注入エネルギーを5keVとしてイオン注入層2を形成した。
【0028】
次いで、図1(b)を参照して、イオン注入層2が形成されたシリコン基板1を、被検試料と共に二次イオン質量分析装置内に配置する。次いで、室温で、シリコン基板1表面に酸素イオン3を1×1017cm-2〜1×1018cm-2のドーズ量で照射した。この酸素イオン3の照射により、図1(c) を参照して、シリコン基板1表面から酸素がシリコン基板1内に侵入し、シリコンと結合した酸素を含有する酸素含有層5が形成される。
【0029】
この酸素イオン3の照射により酸素含有層5が形成されると同時に、イオン注入層2中の不純物(In)の再分布が起こり、酸素含有層5の表面近傍にInが集積した再分布層4が形成される。
【0030】
照射に用いられる酸素イオン3は、二次イオン質量分析装置の一次イオンの発生器により生成され、照射エネルギー及び照射角(照射イオンがシリコン基板1表面の垂線となす角)を必要に応じて設定することができる。なお、酸素イオン3には、酸素原子イオンの他、各種の酸素分子イオンも含まれる。
【0031】
本第1実施形態では、酸素イオン3の照射エネルギーを、O2 + の照射に換算して、250eV以上かつ5keV以下とすることが好ましい。後述するように、遷移領域乃至それより浅い領域に再分布層4を形成するには、照射エネルギーを低くすることが望ましい。しかし、照射エネルギーが250eVより低いと表面反射が起こりやすく、酸素イオンのドーズ量を精密に制御し難くなる。また、5keVを超える照射エネルギーでは、酸素含有層5が深くなり、浅い再分布層を形成することができない。
【0032】
本第1実施形態では、1枚のシリコン基板1の複数の領域に、それぞれ異なる照射エネルギーで酸素イオン3を照射した。そして、これら複数の領域にそれぞれ異なる照射エネルギーの酸素イオン3照射により形成された再分布層4及び酸素含有層2を有するシリコン基板を、深さ校正用の標準試料として作製した。
【0033】
次に、上述の工程により作製された第1実施形態の標準試料の不純物濃度分布を説明する。
【0034】
図2は本発明の第1実施形態の標準試料の不純物濃度分布を表す図であり、二次イオン質量分析により観測された標準試料のIn濃度の深さ分布を表している。図2中、○、●、△、▲、□、■及び◇を通る曲線はそれぞれ、標準試料作製工程における酸素イオン3の照射エネルギーを250eV、500eV、1keV、1.5keV、2keV、3keV及び5keVとしたときの各領域の不純物濃度分布に対応してる。なお、図2の横軸は、不純物のイオン注入後に再結晶化して作製された既述の従来の標準試料を用いて校正されている。
【0035】
図2を参照して、本第1実施形態の標準試料の深さ方向のIn(不純物)濃度分布は、、表面近傍に濃度のピークを有し、ピークに続く深部に生ずる極小を経た後、深さとともに緩やかに増加する。
【0036】
この濃度ピークは、照射エネルギーが低い場合に顕著である。例えば、△を通る曲線で表される1keVの照射イオンエネルギーの場合では、表面からほぼ0.5nmの深さにピーク濃度を有し、深さほぼ1nmで極小となったのち、深さとともに徐々に増加することが明瞭に認められる。
【0037】
このIn濃度のピーク濃度位置及びピークに続く濃度極小位置は、酸素イオン3の照射エネルギーに依存する。例えば、酸素イオン3の照射エネルギーが250eVと低い場合は、0.2nmより浅い位置にピーク濃度を有し、かつ、深さほぼ0.7nmに濃度極小を有する。そして、ピーク濃度位置及び濃度極小位置は、照射エネルギーが高くなるに従い深い位置へ移動し、1.5keVの照射エネルギーの場合のピーク濃度位置は深さほぼ1.0nm、濃度極小位置は深さほぼ1.8nmの深さに達する。
【0038】
照射エネルギーが1.5keVを超えると、In濃度分布は鋭いピーク状からプラトー状に変化する。このプラトーの形成領域は、照射エネルギーが2keVのとき、表面から深さほぼ2.0nmの範囲にあり、プラトーに続く深さほぼ2.3nmの位置に濃度極小がある。この濃度極小の位置より深い領域では、深さとともに緩やかに濃度が増加する。
【0039】
プラトーの形成領域及び濃度極小位置は、照射エネルギーの増加と共に深くなり、5keVの照射エネルギーではそれぞれ深さ4.5nm及び深さ5.6nmに達する。
【0040】
このようなピーク乃至プラトーとそれに続く濃度極小とを有するIn濃度分布は、イオン注入層2中のInが再分布して表面近傍に集積し、その結果、高濃度のInを含む再分布層4が形成されたことを強く示唆している。即ち、表面から10nm程度以上の深さまでほぼ一様濃度にイオン注入されているイオン注入層中のIn原子が、極小値付近から表面近傍へ移動し表面近傍へ集積したことを示唆している。
【0041】
上述した酸素イオン照射による不純物の再分布層4の形成機構は未だ明確にされていない。しかし、本発明の発明者は、二次イオン質量分析において酸素イオンを一次イオンとして照射した場合に見られる遷移領域との関係から、再分布層4の形成は、酸素含有層5から不純物が排出されることに起因すると推測している。以下、遷移領域と再分布層4との関係を説明する。
【0042】
図3はシリコン基板の遷移領域を表す図であり、シリコン基板に酸素イオン3を一次イオンとして異なる照射エネルギーで照射したときに、二次イオンとして検出される44SiO+ のイオン強度を表している。図3中、○、●、△、▲、□、■及び◇を通る曲線はそれぞれ、照射エネルギーを250eV、500eV、1keV、1.5keV、2keV、3keV及び5keVとしたときに検出された二次イオン強度に対応してる。なお、図3の縦軸は、深さ10nmにおいて検出されるイオン強度を基準値として規格化されている。また、図3の横軸は、図2と同様に、不純物のイオン注入後に再結晶化して作製された従来の標準試料を用いて校正されている。
【0043】
図3を参照して、シリコン基板への酸素イオンの照射により二次イオンとして生成される44SiO+ のイオン強度は、表面から2nm以下の浅い位置に極小を有し、極小位置より深くなるに従い緩やかに増加して規格化の基準値である一定値に近づく。
【0044】
かかる表面近傍に極小を有する二次イオン(44SiO+ )のイオン強度分布(即ち、二次イオン強度の時間推移)は、一次イオンとして反応性を有するイオン、例えば酸素イオン又はセシウムイオンを用いた二次イオン質量分析においてしばしば観察され、この表面近傍での二次イオン強度の減少する期間及び領域は、遷移期間及び遷移領域として広く知られている。
【0045】
遷移領域の発生機構は、以下のように理解されている。酸素イオンがシリコン基板表面に照射されると、表面近傍のシリコンが酸化されて酸素含有層5が形成される。酸素含有層5は、遷移期間を十分に経過した後は安定した定常状態を保持するので、遷移領域より深い領域では二次イオン収率は一定に維持され、本来観測されるべきイオン強度(図3の基準値)である一定の二次イオン強度を与える。
【0046】
しかし、照射直後では供給された酸素量が少ないため、定常状態の酸素含有層5を形成するに至らず、酸素含有量が少ない不安定な未定常状態の酸素含有層5が形成される。このため、照射の初期(即ち、遷移領域)に検出される二次イオン強度は、酸化したシリコンイオン(例えば44SiO+ )強度が定常状態に比べて弱く観測される。この領域、即ち二次イオン強度が基準値まで回復する深さまでが遷移領域として観測される。なお、他の反応性イオンを一次イオンとして照射した場合も同様に推移領域が発生する。
【0047】
図2及び図3を比較して、図3に示す二次イオン、44SiO+ のイオン強度が基準値(定常値)まで回復する深さは、図2に示すIn濃度分布の極小位置にほぼ対応している。例えば、照射エネルギーが250eV、500eV、1keV、1.5keV、2keV、3keV及び5keVの場合に、図3でイオン強度が基準値に回復する深さは、それぞれ0.1nm以下、ほぼ0.5nm、ほぼ1.0nm、1.7nm、ほぼ2.3nm、ほぼ3.8nm及びほぼ5.5nmであり、図2に示す照射エネルギーが同一のIn濃度分布における極小の深さ、ほぼ0.7nm、ほぼ0.8nm、ほぼ1.0nm、1.8nm、ほぼ2.3nm、ほぼ3.8nm及びほぼ5.6nmに、250eVの場合を除いてよく一致している。なお、250eVの場合に余りよく一致しないのは、深さが浅過ぎて二次イオン質量分析では精密な観測が難しかったためと推測している。
【0048】
44SiO+ のイオン強度が回復する深さは推移領域の深さに対応する。一方、酸素イオンの照射前のイオン注入されたIn原子は、深さ20nm程度の浅い領域ではほぼ一定濃度で分布していると見なすことができる。従って、図2に示すIn濃度分布の濃度極小の深さと、図3に示す推移領域の深さとがよく一致するという上述の事実は、In原子が遷移領域内では大きな速度で表面側に再分布し、他方、遷移領域よりも深い領域、例えば酸素含有層が定常状態となる深さ6nm以上の領域では小さな速度で遷移領域側に再分布したことを示唆している。
【0049】
即ち、遷移領域内ではIn原子が速やかに表面近傍に集積して表面近傍に濃度ピークを形成するとともに、遷移領域の深い位置のIn濃度を減少させる。このIn濃度が減少した遷移領域へその遷移領域よりも深い領域からInが移動して、Inの再分布が生ずる。しかし遷移領域よりも深い領域内の再分布速度は遷移領域内より小さい。このため、遷移領域の底近くではより深い領域から供給されるInよりも、表面近傍へ供給されるInが多くなる。その結果、遷移領域の底の近傍にIn濃度の極小が発生する。本発明の発明者は、Inの再分布についてこのように推測している。
【0050】
本発明の発明者は、かかる酸素イオン照射による不純物の再分布、例えばInの再分布は、酸素含有層5から不純物が排出されることにより生ずると考えている。シリコン基板1へ酸素イオン3照射をすると、シリコン基板1の表面に酸素を含有する酸素含有層5が形成される。この酸素含有層5中では、照射された酸素とシリコンとが結合してシリコン酸化物が形成されている。Inはシリコン酸化物への固溶限が小さく、シリコン酸化物の形成とともに酸素含有層5から排出される。このため、酸素が少ない表面近傍へのInの再分布が生ずる。
【0051】
本発明の第1実施形態では、照射する酸素イオン3のドーズ量を1×1017cm-2〜1×1018cm-2とした。このドーズ量ではシリコン基板1の表面は定常状態ないし定常状態に近い状態に到達している。このとき、酸素イオン照射により形成された酸素含有層5は、遷移領域の深さより深い領域ではシリコン酸化物層を形成するに十分な酸素濃度を有し、遷移領域内では表面に向かって酸素濃度が減少する。その結果、Inは深部に形成されるシリコン酸化物から排出され、表面近傍に集積する。このように再分布層が形成されると本発明の発明者は考察している。
【0052】
上述したように、再分布層4の不純物濃度分布は遷移領域に強く関連している。この遷移領域は、酸素イオンの照射角及びドーズ量が同一ならば、酸素イオンの照射エネルギーにより定まる。言い換えれば、酸素イオンの照射エネルギーにより、再分布層4の不純物濃度分布が決定される。
【0053】
従って、例えば高分解能ラザフォード後方散乱法(high resolution Rutherford backscattering spectroscopy)を用いて再分布層4の不純物濃度分布を一度測定することで、酸素イオンの照射エネルギーと再分布層4の不純物濃度分布の関係を明確にすることができる。この照射エネルギーと不純物濃度分布の関連が一旦明確にされた後は、再分布層4の不純物濃度分布を、実測することなく照射エネルギーから知ることができる。
【0054】
次いで、本第1実施形態の標準試料を用いて深さを校正した二次イオン質量分析について説明する。
【0055】
この分析では、シリコン基板へAs+ を注入エネルギー3keV、ドーズ量1×1015cm-2でイオン注入したのち、700℃、10秒間の熱処理をした被検試料を、二次イオン質量分析した。なお、この被検試料中のAsの深さ方向の濃度分布を測定した。
【0056】
初めに、既述のように、被検試料を標準試料と共に二次イオン質量分析装置内に配置した。次いで、被検試料に一次イオンを試料表面に垂直に照射して、被検試料の二次イオン強度(AsSi- )の時間推移を測定した。なお、ここでは一次イオンとして酸素イオンを用いたが、他の反応性イオン、例えばセシウムイオンを用いることもできる。
【0057】
標準試料は、上述したシリコン基板1へのInのイオン注入及び酸素イオンの照射工程を経て作製されたものを使用した。この標準試料作製工程中の酸素イオン照射は、被検試料の二次イオン質量分析に用いられた装置内で行った。この場合、標準試料の作製(酸素イオン照射工程)は校正時に終了していればよく、被検試料の二次イオン質量分析の前でも後でもかまわない。また、標準試料を予め異なる酸素イオン照射装置を用いて作製してもよい。
【0058】
次いで、被検試料の二次イオン(AsSi- )強度の測定後、被検試料の測定に用いられた一次イオンと同一の一次イオンビーム、例えばイオン種、照射エネルギー、照射角(ここでは試料面に垂直)が同じ一次イオンを標準試料に照射し、標準試料の二次イオンである不純物(In)イオン強度の時間経緯を測定した。このInイオン強度の時間経緯は、照射エネルギーが異なる酸素イオン照射により標準試料表面に形成された複数の領域についてそれぞれ測定された。
【0059】
次いで、標準試料のInイオン強度の時間経緯が、標準試料のIn濃度分布に対応するとして時間軸を深さに換算する。周知のように、二次イオン分析法では、一時イオンの照射により被検試料の表面をエッチングしつつ、エッチングにより表出された被検試料面から放出される被検元素の二次イオン強度の時間経過を観測する。従って、任意時間経過時に観測される二次イオン強度は、その経過時までにエッチングされた深さにおける被検元素の濃度に対応している。言い換えれば、二次イオン強度の時間経過は、時間軸を深さとする被検元素の濃度分布を表している。しかし、時間軸と深さの関係は、エッチング速度の時間変動があると変化するのて、この関係を校正しなければ正確な濃度分布を得ることができない。
【0060】
本第1の実施形態では、エッチング時間(即ち、時間軸)を深さに換算する際、既知のIn濃度分布を有する標準試料を二次イオン分析して、その濃度分布(二次イオン強度の時間経過)がその既知のIn濃度分布に合致するように時間軸と深さとの関係を定める。具体的には、In濃度のピーク又はプラトーの深さ、あるいはIn濃度が極小になる深さが既知であるので、時間軸を深さに換算する際、これらの深さをマーカーとして用いる。即ち、この既知の深さに位置するマーカがInイオン強度の時間経過中に現れる時ををその既知の深さとして、時間軸を深さに換算する。
【0061】
次いで、標準試料により校正された時間軸から深さへの換算値を被検試料の二次イオン強度の時間軸から深さへの変換に適用することで、被検試料の二次イオン質量分析における深さが標準試料により校正される。従って、被検試料内の被検元素の正確な深さ方向の濃度分布が測定される。
【0062】
図4は本発明の第1実施形態の効果を説明する図であり、上述した被検試料のAs濃度分布の二次イオン質量分析結果を表している。曲線Bは本第1実施形態の標準試料を用いて校正された濃度分布を、及び曲線Cはスパッタにより形成された窪みの深さを用いて時間軸を深さに換算する従来法により得られた濃度分布を表している。なお、曲線Aは高分解能ラザフォード後方散乱法を用いて測定された濃度分布であり、浅い領域の精密な濃度分布を表すものとして曲線B、Cとともに示した。
【0063】
図4の曲線A、B、Cを参照して、測定されたAs濃度分布は、いずれも表面近傍にピークを有し、それより深い位置(5〜6nmの深さ)に第2のピークを有する。曲線A、Bを参照して、本第1実施形態の標準試料を用いて校正された二次イオン分析結果は、表面近傍のピーク位置(深さ)と第2のピーク位置とが、高分解能ラザフォード後方散乱法による測定結果とよく一致している。また、2つのピークの間の谷も、高分解能ラザフォード後方散乱法の結果と同様に明瞭に現れている。
【0064】
他方、曲線Cを参照して、従来法により測定された濃度分布は、曲線A、Bと比較して表面近傍のピーク位置が深い位置に移動している。その結果、谷も不明瞭になり第2のピーク位置も不明瞭になっている。この表面近傍のピーク位置の移動は、遷移領域でのスパッタ速度が深い領域より遅いため、深さ間隔に対応する時間軸の間隔が、この遷移領域内で長くなることで生ずる。
【0065】
このように、本第1実施形態の二次イオン質量分析では、従来法に比べて表面近傍の浅い領域でもピークの移動が極めて小さく、その結果、浅い遷移領域内でも深さ方向の濃度分布を精密に測定することができる。
【0066】
本発明の第2実施形態は酸素イオンの照射角を変えて作製された異なる不純物濃度分布を有する標準試料に関する。
【0067】
図5はシリコン基板の遷移領域の酸素イオン照射角依存性を表す図であり、シリコン基板表面に酸素イオンを異なる照射角で照射したときの、二次イオンとして検出される44SiO+ のイオン強度を表している。縦軸のイオン強度は、深さ50nmでの二次イオン強度を基準値として規格化されている。また、横軸の深さは、第1実施形態の図3の横軸と同様の方法により校正されている。なお、酸素イオンの照射エネルギーは、O2 + の照射エネルギーに換算して500eVで一定としている。
【0068】
図5を参照して、シリコン基板に酸素イオンを照射角を設けて照射した場合に観測される二次イオン強度(44SiO+ のイオン強度)は、例えは照射角60°の二次イオン強度(▲を通る曲線)を参照して、深さ数nmに極小を有し、それより深くなるにつれて基準値まで回復する。この二次イオン強度の減少する領域は、図3で説明した酸素が不足した遷移領域に該当する。
【0069】
二次イオン強度の極小の深さ及び基準値(定常状態の値)まで回復する深さは、照射角(シリコン基板の垂線と照射イオンとのなす角)が増加するに従い深くなる。これは、図3を参照して説明した第1実施形態の酸素イオンの照射エネルギの増加とともに深い遷移領域が形成される場合と、照射エネルギーを照射角に代えた点が異なるのみで同様である。従って、酸素イオンの照射角を制御することで、第1実施形態と同様に、遷移領域の特性、例えば遷移領域が形成される深さを精密に制御することができる。
【0070】
本第2実施形態の標準試料の製造工程は、図1(a)を参照して、シリコン基板1へ不純物、例えばInをイオン注入して、Inのイオン注入層2を形成する工程までは第1実施形態と同様である。
【0071】
次いで、Inイオン注入層が形成されたシリコン基板1へ、酸素イオンをO2 + の照射エネルギーに換算して500eVで照射する。このとき、シリコン基板1の複数の領域へ、それぞれ異なる照射角、例えば0°、20°、25°及び30°の照射角で照射する。これにより、図1(c)を参照して、第1実施形態と同様、Inがシリコン基板表面に再分布した再分布層4が形成される。
【0072】
図6は本発明の第2実施形態の標準試料の不純物濃度分布を表す図であり、二次イオン質量分析により観測された標準試料のIn濃度の深さ分布を表している。図6中、○、△、▲及び□を通る曲線はそれぞれ、標準試料作製工程における酸素イオン3の照射角を0°、20°、25°及び30°としたときの不純物濃度分布に対応してる。なお、図2の横軸は、不純物のイオン注入後に再結晶化して作製された既述の従来の標準試料を用いて校正している。
【0073】
図6を参照して、In濃度分布のピークは、照射角が0°のとき深さほぼ1.2nmにあり、照射角が20°、25°、30°と増加するにつれてそれぞれ、深さ1.7nm、2.1nm及び3.3nmと深い位置へ移動する。このように、酸素イオンの照射角の制御により、再分布層4のIn濃度分布が制御される。
【0074】
第1実施形態の説明で述べたように、再分布層4のIn濃度分布は、酸素イオンの照射エネルギにより定まる遷移領域の特性、特にその深さと強く関連している。他方、上述の本第2実施形態の結果は、酸素イオンの照射角により、遷移領域の特性、とくに深さが精密に制御されること、及び、In濃度分布が照射角により精密に制御されることを明らかにしている。
【0075】
これらの事実は、再分布層4の不純物濃度分布は、酸素イオンの照射エネルギー及び酸素イオンの照射角に強く依存すること示している。本第2実施形態では、酸素イオンの照射エネルギー及びドーズ量を一定に保持し、酸素イオンの照射角により再結晶層の不純物濃度分布を制御する。これにより、再分布層4のIn濃度分布を再現性よく制御することができる。このため、実用上は同一と見なせる不純物濃度分布を有する標準試料が容易に作製されるので、二次イオン質量分析の深さ校正を簡便かつ精密に校正することができる。
【0076】
本発明の第3実施形態は、Inに代えてGaを不純物として用いた標準試料に関する。
【0077】
第3実施形態では、初めにシリコン基板へGaを、注入エネルギー5KeV、ドーズ量5×1014cm-2でイオン注入して、Gaがイオン注入されたイオン注入層を形成する。次いで、第1実施形態と同様に、酸素イオンをイオン注入層が形成されたシリコン基板へ照射して、シリコン基板表面近傍にGaが集積した再分布層4を形成する。これにより、Gaの再分布層4を有する標準試料が作製された。
【0078】
この第3実施形態の標準試料は、それぞれ異なる照射エネルギーで酸素イオン照射された複数領域を有する。従って、この標準試料は、第1実施形態と同様に、複数領域にそれぞれ異なるGa濃度分布を有する再分布層が形成されている。かかる標準試料は、第1実施形態の二次イオン分析と同様の手法で深さ校正の濃度分布の基準として使用することができる。
【0079】
図7は本発明の第3実施形態の標準試料の不純物濃度分布を表す図であり、照射エネルギー2keVで酸素イオンを照射して形成した再結晶層のGa濃度分布を表している。
【0080】
図7を参照して、Ga濃度分布は、図2に示す照射エネルギー2keVで酸素イオンを照射して形成した再結晶層のIn濃度分布とよく一致している。例えば、濃度の極小は共に深さ2.3nm付近に見られる。このように、In及びGaの再分布層中の不純物濃度分布は、再分布層の形成に用いられた酸素イオンの照射エネルギー、照射角及びドーズ量が同一ならば、よく一致している。
【0081】
このことは、GaもInと同様に酸素濃度の高い酸素含有層から排出されて酸素含有層の表面(即ち、シリコン基板の表面)近傍に形成される遷移領域に集積して、Ga濃度の高い再分布層4を形成したことを示唆している。従って、第1及び第2実施形態のInに代えて、Gaを標準試料の不純物として用いることができる。このとき、再分布層のGa分布は、酸素イオンの照射エネルギー及び照射角の一方又は両方を用いて制御される。
【0082】
上述したように、本発明の第1実施形態では酸素イオンの照射エネルギーにより、本発明の第2実施形態では酸素イオンの照射角により、再分布層中の不純物濃度分布を制御した。さらに、照射エネルギー及び照射角の両方を制御して、不純物濃度分布を制御することもできる。
【0083】
また、第1及び第2実施形態では、標準試料の不純物としてInを用い、第3実施形態ではGaを用いた。これら標準試料の不純物として、酸素含有層5から排出されるその他の不純物元素を用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明を反応性一次イオンを用いた二次イオン質量分析に適用することで、半導体装置の浅い不純物ドープ層の表層近傍の濃度分布を精密に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の第1実施形態の標準試料の製造工程断面図
【図2】本発明の第1実施形態の標準試料の不純物濃度分布を表す図
【図3】シリコン基板の遷移領域を表す図
【図4】本発明の第1実施形態の効果を説明する図
【図5】シリコン基板の遷移領域の酸素イオン照射角依存性を表す図
【図6】本発明の第2実施形態の標準試料の不純物濃度分布を表す図
【図7】本発明の第3実施形態の標準試料の不純物濃度分布を表す図
【符号の説明】
【0086】
1 シリコン基板
2 イオン注入層
3 酸素イオン
4 再分布層
5 酸素含有層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に不純物のイオン注入層が形成されたシリコン層に、酸素イオンを照射して形成された酸素含有層と、
前記不純物が前記酸素含有層の表面近傍に集積して形成された再分布層とを有することを特徴とする二次イオン質量分析法の深さ校正用試料。
【請求項2】
前記不純物がインジウム又はガリウムであることを特徴とする請求項1記載の二次イオン質量分析法の深さ校正用試料。
【請求項3】
前記不純物の前記再分布層は、前記校正用試料の表面から深さ5nmより浅い領域に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の二次イオン質量分析法の深さ校正用試料。
【請求項4】
深さ方向に不純物濃度分布が形成されたシリコン層を備えた、二次イオン質量分析法の深さ校正用試料の製造方法において、
前記シリコン層に前記不純物をイオン注入する工程と、
前記シリコン層に酸素イオンを照射して、イオン注入された前記不純物を前記シリコン層の表面近傍に集積させる工程とを有することを特徴とする二次イオン質量分析法の深さ校正用試料の製造方法。
【請求項5】
前記不純物がインジウム又はガリウムであることを特徴とする請求項4記載の二次イオン質量分析法の深さ校正用試料の製造方法。
【請求項6】
前記不純物のイオン注入エネルギーは、5keV以上かつ10keV以下であり、
前記不純物のイオン注入ドーズ量は、1×1014cm-2以上かつ1×1015cm-2以下であることを特徴とする請求項5記載の二次イオン質量分析法の深さ校正用試料の製造方法。
【請求項7】
二次イオン質量分析装置内に被分析試料及びインジウム又はガリウムがイオン注入されたシリコン基板を収納する工程と、
前記被分析試料に一次イオンを照射して、前記被分析試料から二次イオンとして放出される被検元素を含むイオンのイオン強度の時間変化を測定する工程と、
2 + の照射に換算して、250eV以上かつ5keV以下の照射エネルギーで前記シリコン基板に酸素イオンを照射する工程と、
前記酸素イオンが照射された前記シリコン基板に前記一次イオンを照射して、インジウム又はガリウムを含むイオンのイオン強度の時間変化を測定する工程と、
前記インジウム又はガリウムを含むイオンのイオン強度の時間変化を基準として、前記被検元素を含むイオンのイオン強度の時間変化の時間軸を前記被分析試料面からの深さに変換する深さ校正工程とを有する二次イオン質量分析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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