説明

二次電池セル、二次電池装置、車両、電気機器及び二次電池セルの製造方法

【課題】二次電池セルにおいて、給電時や充電時の発熱に伴う温度上昇を抑制する。
【解決手段】二次電池セル1は、外装容器2と、外装容器2内に収納された電極体8と、外装容器2に設けられて電極体8に接続された電極端子4、5と、外装容器2内に電極体8に囲まれて配置され、電極体8より高い熱伝導率を有して外装容器2に繋がった放熱体9と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、二次電池セル、その二次電池セルを複数備えた二次電池装置、その二次電池装置を搭載した車両、電気機器及び二次電池セルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、電動自転等の車両の電源、あるいは、テレビ等の電気機器の電源として、二次電池セルが広く用いられている。例えば、非水系二次電池セルであるリチウムイオン二次電池セルは、高出力、高エネルギー密度を有することから、電気自動車等の電源として注目されている。
【0003】
一般に、二次電池セルは、アルミニウム等で形成された外装容器と、この外装容器内に電解液とともに収納された電極体と、外装容器に設けられて電極体に接続された電極端子とを備えている。
【0004】
また、二次電池セルを電源として利用する場合には、高容量化、高出力化を図るため、複数の二次電池セルをケース内に収容した二次電池装置を構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−76936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
二次電池セルは給電時及び充電時に発熱し、温度が上昇する。このような温度上昇は二次電池セルの寿命低下などの要因となるため、給電時及び充電時における二次電池セルの温度上昇の抑制が要求される。
【0007】
本発明の実施形態は、給電時や充電時の発熱に伴う温度上昇を抑制することができる二次電池セル、その二次電池セルを複数備えた二次電池装置、その二次電池装置を搭載した車両、電気機器及び二次電池セルの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の二次電池セルは、外装容器と、外装容器内に収納された電極体と、外装容器に設けられて電極体に接続された電極端子と、外装容器内に電極体に囲まれて配置され、電極体より高い熱伝導率を有して外装容器に繋がった放熱体と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る二次電池セルを示す斜視図である。
【図2】その二次電池セルを示す縦断正面図である。
【図3】その二次電池セルを示す水平断面図である。
【図4】その二次電池セルを用いた二次電池装置を示す斜視図である。
【図5】トップカバーを取外して示すその二次電池装置の分解斜視図である。
【図6】各ケース、二次電池セルに分解して示すその二次電池装置の分解斜視図である。
【図7】その二次電池装置を構成するケースの一つであるアッパーケースの内側面を示す斜視図である。
【図8】その二次電池装置における二次電池セルおよびバスバーの配列、接続状態を示す平面図である。
【図9】その二次電池装置を搭載した車両を示す模式図である。
【図10】その二次電池装置を搭載したテレビを示す模式図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る二次電池セルを示す斜視図である。
【図12】その二次電池セルを示す縦断正面図である。
【図13】その二次電池セルを示す水平断面図である。
【図14】本発明の第3の実施形態に係る二次電池セルを示す縦断正面図である。
【図15】その二次電池セルを示す水平断面図である。
【図16】その二次電池セルの変形例を示す縦断正面図である。
【図17】本発明の第4の実施形態に係る二次電池セルを示す縦断正面図である。
【図18】その二次電池セルを示す水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態を図1ないし図3に基づいて説明する。図1は、第1の実施形態に係る二次電池セル1を示す斜視図である。この二次電池セル1はリチウムイオン電池等の非水電解質二次電池であり、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されて外形形状が扁平な直方体形状の外装容器2を備えている。この外装容器2は、上端が開口した容器本体2aと、容器本体2aの上端部に溶接されて容器本体2aの開口部を閉塞した矩形板状の蓋体2bとから構成され、液密に形成されている。外装容器2の外周部には、容器本体2aの上端側および下端側を除いて絶縁性のフィルム3が巻装されている。このフィルム3は、外装容器2内にガスが発生した場合に外装容器2が膨張することを抑制することができる。また、このフィルム3は、隣接して配置された他の二次電池セル1や他の部材との短絡を防止することができる。なお、このフィルム3を巻く代わりに、隣接して配置される二次電池セル1の間に絶縁板を入れてもよい。
【0011】
蓋体2bの長手方向に沿った両端側には、一対の電極端子(正極端子4、負極端子5)が設けられ、それぞれ蓋体2bの上面より上方へ突出している。正極端子4は蓋体2bに電気的に接続され、外装容器2と同電位となっている。負極端子5は蓋体2bを貫通して設けられ、負極端子5と蓋体2bとの間には、合成樹脂、ガラス等の絶縁体からなるシール材、例えば、ガスケット6が設けられている。ガスケット6は、負極端子5と蓋体2bとの間を液密にシールし、及び、電気的に絶縁して負極端子5と外装容器2との間で短絡することを防止している。
【0012】
蓋体2bの中央部には、矩形状の安全弁7が設けられている。この安全弁7は、蓋体2bの一部を約半分程度の厚さに薄くした薄肉部であり、外装容器2内にガスが発生して外装容器2内の圧力が所定値以上に上昇した場合に開放され、外装容器2内の圧力を下げて外装容器2が破裂等の不具合を生じることを防止する。
【0013】
図2は二次電池セル1を示す縦断正面図、図3は二次電池セル1を示す水平断面図である。二次電池セル1の外装容器2内には、図2及び図3に示すように、非水電解液と共に電極体8が収納され、及び、放熱体9が設けられている。
【0014】
電極体8は、正極シート8aと負極シート8bとをセパレータ8cを介在させて渦巻状に捲回することにより形成されている。正極シート8aは正極リードタブ10を介して正極端子4に接続され、負極シート8bは負極リードタブ11を介して負極端子5に接続されている。
【0015】
放熱体9は、充電時や給電時に二次電池セル1の内部で発生した熱を外装容器2に伝熱
するための凸状の部材であり、本実施形態では、平板状に形成されている。放熱体9の形状に関しては、この平板状の他、円柱状、円筒状、楕円筒状など各種形状に形成しても良い。
【0016】
さらに、この放熱体9は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成された容器本体2aと一体に形成されることにより容器本体2aに繋がっており、電極体8より高い熱伝導率を有している。また、放熱体9は外装容器2の中心部に配置され、この放熱体9の周囲に電極体8が渦巻状に捲回されている。
【0017】
また、凸状の放熱体9は電極体8を渦巻状に捲回するための芯として用いることができる。この場合、放熱体9の位置を固定しやすくなり、二次電池セル1ごとの製作誤差の軽減にもつながる。
【0018】
なお、本実施形態の放熱体9と容器本体2aとは一体に形成されることにより繋がっているが、放熱体を容器本体2aと別体に形成した後に溶接や圧入等により連結することにより放熱体と容器本体2aとを繋げてもよい。放熱体を容器本体2aと別体に形成する場合には、放熱体を容器本体2aより熱伝導率が高い材料、例えば、銅やカーボンで形成することが好ましい。放熱体を容器本体2aより熱伝導率が高い銅やカーボンで形成することにより、二次電池セル1の内部で発生した熱を外装容器2に伝熱する効果を高めることができる。
【0019】
図4〜図8は、上述した二次電池セル1を複数用いた二次電池装置12の説明図であり、図4は二次電池装置12の全体の外観を示す斜視図、図5は二次電池装置12のトップカバーを取外して二次電池装置12のバスバー取付け構造を示す分解斜視図、図6は二次電池装置12を各ケース、二次電池セル1に分解して示す分解斜視図、図7は二次電池装置12を構成するケースの一つであるアッパーケースの内側面を示す斜視図、図8は二次電池装置12における二次電池セル1およびバスバーの配列、接続状態を示す平面図である。
【0020】
図4〜図6に示すように、二次電池装置12は、矩形箱状のケース13と、ケース13内に収容された複数、例えば、30個の二次電池セル1とを備え、組電池として構成されている。ケース13は、上下が開放した矩形枠状のセンターケース14、矩形板状に形成されて底壁を構成するロワーケース15、および、矩形板状に形成されて天井壁を構成するアッパーケース16の3つの分割部材を有している。そして、ロワーケース15とセンターケース14とアッパーケース16とをこの順で互いに接合することにより、矩形箱状のケース13が構成されている。アッパーケース16の上面側は、矩形板状のトップカバー17によって覆われている。ケース13の各構成要素およびトップカバー17は、それぞれ絶縁性を有する合成樹脂、例えば、ポリフェニレンエーテル(PPE)により形成されている。
【0021】
ケース13の長手方向の一端側に位置する側壁、例えば、前端壁13aには、図4に示すように、合成樹脂で形成された矩形板状のターミナルベース18がねじ止め固定されている。ターミナルベース18には、二次電池装置12の正極出力端子19、負極出力端子20、および二次電池セル1の電圧、温度等を監視する電池監視基板21が取り付けられている。
【0022】
ケース13内に収容される二次電池セル1は、図6に示すように、例えば、3つの二次電池セル1を並列に接続して1つのセルユニットCとされ、10個のセルユニットCが直列に接続されている。
【0023】
ロワーケース15の内面には、図6に示すように、ケース13内に収容される二次電池セル1の数に対応した数、ここでは、30個の係合溝22が形成されている。各係合溝22は、二次電池セル1の外装容器2の断面形状に対応した細長い矩形状に形成され、その長手方向がロワーケース15の幅方向に沿って伸びている。複数の係合溝22は、ロワーケース15の長手方向に所定の間隔を置いて、2列に並んで設けられている。2列の間にはセンターリブ23が形成され、このセンターリブ23はロワーケース15の長手方向の全長に亘って延びている。
【0024】
センターケース14は、図6に示すように、矩形枠状に形成され、長手方向に延びて互いに対向する一対の側壁14a、14bと、幅方向に延びて互いに対向する一対の側壁14c、14dを有している。センターケース14内には、4つの仕切り壁24が形成されている。これらの仕切り壁24は、それぞれセンターケース14の幅方向の全長に亘って延び、また、センターケース14の長手方向に沿って等間隔に設けられ、センターケース14内はこれらの仕切り壁24により5つの空間に仕切られている。更に、各仕切り壁24の中央部および側壁14c、14dの中央部には、センターケース14の高さ方向に延びる支持ポスト25が形成されている。センターケース14内の各空間は、支持ポスト25により、左右2つの収容室26に分けられている。これにより、センターケース14内には、それぞれ1つのセルユニットCを収容可能な10個の収容室26が2列に並んで形成されている。
【0025】
センターケース14の長手方向に延びる2つの側壁14a、14bには、図5及び図6に示すように、それぞれ複数の通気孔27が形成されている。例えば、1つの収容室26に対応して上下2つずつ4つの通気孔27が形成され、それぞれ収容室26に連通している。これらの通気孔27を通して、ケース13内に冷却用空気が通風可能となっている。
【0026】
アッパーケース16の内面側には、図7に示すように、ケース13内に収容する二次電池セル1の数に対応した数、ここでは、30個の係合溝28が形成されている。各係合溝28は、二次電池セル1の外装容器2の断面形状に対応した細長い矩形状に形成され、その長手方向がアッパーケース16の幅方向に沿って延びている。また、複数の係合溝28は、アッパーケース16の長手方向に所定の間隔を置いて、2列に並んで設けられている。2列の間にはセンターリブ29が形成され、このセンターリブ29はアッパーケース16の長手方向の全長に亘って延びている。
【0027】
アッパーケース16において、各係合溝28の底には、二次電池セル1の電極端子(正極端子4、負極端子5)に対応する矩形状の透孔30、31が形成され、更に、二次電池セル1の安全弁7に対向する排気孔32が形成されている。透孔30、31は、係合溝28の両端部に位置し、排気孔32は、これらの透孔30、31間の真ん中に位置している。本実施形態において、二次電池セル1の正極端子4は、負極端子5よりも大きく形成されており、これに対応して、正極端子4を挿通するための透孔30は、負極端子5を挿通する透孔31よりも大きく形成されている。
【0028】
上記のように構成されたアッパーケース16は、センターケース14の上面側にねじ止めされてセンターケース14に固定され、ケース13の天井壁を構成している。また、ロワーケース15は、センターケース14の下面側にねじ止めされてセンターケース14に固定され、ケース13の底壁を構成している。
【0029】
二次電池セル1は、図6に示すように、各々のセルユニットC毎にケース13の各収容室26内に収容されている。各二次電池セル1の下端部は、ロワーケース15の係合溝22に嵌合され、接着剤等によりロワーケース15に固定されている。各二次電池セル1の上端部、つまり、電極端子(正極端子4、負極端子5)が設けられている端部は、アッパ
ーケース16の係合溝28に嵌合され、接着剤等によりアッパーケース16に固定されている。列方向に隣り合う2つのセルユニットC間には、センターケース14の仕切り壁24が挟まれ、セルユニットC間の短絡を防止している。また、1列のセルユニットCと他の列のセルユニットCとの間には、ロワーケース15のセンターリブ23、アッパーケース16のセンターリブ29、センターケース14の支持ポスト25が挟まれ、セルユニットC間の短絡を防止している。
【0030】
このように係合溝22、28に嵌合させて各二次電池セル1の位置が決まると、隣り合う二次電池セル1は、その外装容器2の主面同士、すなわち、外装容器2の幅の広い表面同士が所定の隙間を置いて平行に対向した状態で配置される。隣り合うセルユニットCも所定の隙間を置いて、平行に対向して配置される。そして、このような隙間を置いて平行に並んだ複数の二次電池セル1の列が、2列平行に配置される。
【0031】
センターケース14の両側壁14a、14bは、それぞれ2列に並んだ二次電池セル1の側面に僅かな隙間をもって対向している。各二次電池セル1の列において、隣り合う二次電池セル1間の隙間は、センターケース14の両側壁14a、14bに形成されている通気孔27にそれぞれ対向している。これにより、側壁14aに形成された通気孔27、二次電池セル1間の隙間、および側壁14bに形成された通気孔27が整列して並んでいる。一方の通気孔27からセンターケース14内に流入した外気あるいは冷却空気は、二次電池セル1間の隙間を通り、二次電池セル1を冷却した後、他方の通気孔27から排気される。
【0032】
二次電池セル1の正極端子4および負極端子5は、それぞれ透孔30、31に挿通され、アッパーケース16の上面側に突出している。二次電池セル1の安全弁7は、アッパーケース16の排気孔32と対向して位置している。
【0033】
アッパーケース16の上面側には後述する複数のバスバーが設けられ、これらのバスバーにより、セルユニットC内の複数の二次電池セル1が並列に接続され、更に、複数のセルユニットC同士が直列に接続されている。詳細には、図5に示すように、アッパーケース16の上面は一段低く形成され、その上面の周縁に沿って周壁16aが立設されている。アッパーケース16の上面には、その幅方向の中央にセンターリブ33が形成され、このセンターリブ33はアッパーケース16の長手方向の一端側から他端側まで延びている。アッパーケース16の上面において、センターリブ33の両側には、それぞれ一対の仕切り壁34、35が立設されている。一対の仕切り壁34は、アッパーケース16に形成された各排気孔32の両側に位置し、アッパーケース16の長手方向に沿ってその一端側から他端側まで互いに平行に延びている。同様に、一対の仕切り壁35は、アッパーケース16に形成された各排気孔32の両側に位置し、アッパーケース16の長手方向に沿ってその一端側から他端側まで互いに平行に延びている。センターリブ33、仕切り壁34、35、周壁16aはほぼ同一の高さに形成されている。
【0034】
アッパーケース16の上面側には、さらに、それぞれ周壁16aと仕切り壁34との間、周壁16aと仕切り壁35との間、センターリブ33と仕切り壁34との間、センターリブ33と仕切り壁35との間に、それぞれ複数の仕切り壁36が立設されている。仕切り壁36は、周壁16aとほぼ同一の高さに形成されている。これらの周壁16a、センターリブ33、仕切り壁34、35、仕切り壁36により、アッパーケース16の上面側には複数のバスバー装着室37a、37b、37c、38a、38b、39、40a、40b、41a、41b、41cが区画されている。
【0035】
アッパーケース16に形成された複数のバスバー装着室には、図5及び図6に示すように、各二次電池セル1を電気的に接続するための接続金具であるバスバーが装着され、二
次電池セル1の電極端子(正極端子4、負極端子5)に接続されている。本実施形態において、バスバーは、4種類のものが用いられている。すなわち、1つのセルユニットCにおける3つの二次電池セル1の正極端子4同士を接続するとともに一端にクランク状に折曲げられた正極側出力端部42aを有する正極バスバー42、他の一つのセルユニットCにおける3つの二次電池セル1の負極端子5同士を接続するとともに一端にクランク状に折曲げられた負極側出力端部43aを有する負極バスバー43、それぞれ6つの二次電池セル1の電極端子(正極端子4、負極端子5)同士を接続する8つの共通バスバー44、および、3つのバスバーを連結したバスバーユニット45を備えている。これらのバスバー42、43、44、およびバスバーユニット45は、導電材料、例えば、アルミニウム等からなる金属板を折曲げて形成されている。
【0036】
図8に概略的に示すように、前述した複数のバスバー42、43、44およびバスバーユニット45により、各セルユニットCの3つの二次電池セル1が並列に接続され、かつ、10個のセルユニットCが互いに直列に接続されている。また、正極出力端子19および負極出力端子20は、ケース13の同一壁面、つまり、前端壁13a側に設けられ、10個のセルユニットCは、正極出力端子19から負極出力端子20まで、U字状に並んで接続されている。
【0037】
図5に戻って、アッパーケース16の上面に立設された一対の仕切り壁34上には、細長い矩形状の閉塞板46aが固定され、この閉塞板46aはアッパーケース16の長手方向の全長に亘って延びている。この閉塞板46aにより仕切り壁34間の空間が閉じられ、この空間により、アッパーケース16の長手方向の全長に亘って延びる排気流路47aが形成されている。アッパーケース16に形成されて一列に並んだ排気孔32は、排気流路47aに連通している。
【0038】
同様に、アッパーケース16の上面に立設された一対の仕切り壁35上には、細長い矩形状の閉塞板46bが固定され、この閉塞板46bはアッパーケース16の長手方向の全長に亘って延びている。この閉塞板46bにより仕切り壁35間の空間が閉じられ、この空間により、アッパーケース16の長手方向の全長に亘って延びる排気流路(図示せず)が形成され、アッパーケース16に形成されて一列に並んだ排気孔32がこの排気流路に連通している。
【0039】
閉塞板46a、46bの上面には、二次電池セル1の電圧、温度を測定するためのフレキシブル配線基板(以下、FPCという。)48がそれぞれ貼付されている。各FPC48は、閉塞板46a、46bとほぼ等しい幅の帯状に形成され、アッパーケース16の長手方向のほぼ全長に亘って延びている。FPC48の前端壁13a側の端部にコネクタ49が実装されている。
【0040】
FPC48のコネクタ49から複数のハーネス50が延出し、これらのハーネス50の延出端にコネクタ51が接続されている。二つのコネクタ51は、電池監視基板21に接続されている。
【0041】
図9は、二次電池装置12を搭載した電気自動車の車両52を示したものである。この車両52の駆動輪53には駆動部としてモータ54が連結され、モータ54に対して二次電池装置12から給電される。車両52には複数の二次電池装置12が搭載され、搭載された複数の二次電池装置12は直列に接続されている。
【0042】
図10は、電源として二次電池装置12を搭載した電気機器であるテレビ55を示したものである。なお、このテレビ55の電源としては、二次電池装置12と商用電源とを使用可能とすることができる切替機構を備えることが望ましい。
【0043】
このような構成において、本実施形態の二次電池セル1には、外装容器2の内部に電極体8より高い熱伝導率を有する放熱体9が設けられ、この放熱体9は外装容器2と一体に形成されることにより外装容器2に繋がっている。このため、充電時や給電時に二次電池セル1が発熱した場合、二次電池セル1の内部の熱が放熱体9を介して外装容器2に伝わり易く、外装容器2の表面から放熱され易い。しかも、放熱体9が外装容器2の中心部に配置されているため、二次電池セル1の内部から外装容器2への伝熱効果を上げることができる。したがって、この二次電池セル1は、内部に熱がこもりにくくなり、内部に熱がこもることによる温度上昇を抑制することができ、二次電池セル1の温度上昇を抑制することに伴い二次電池セル1の寿命を延ばすことができる。
【0044】
そして、この二次電池セル1を二次電池装置12のケース13内に収納した場合、センターケース14に形成された通気孔27を通って二次電池セル1の周囲を流れる空気により二次電池セル1の冷却性能を向上させることができる。
【0045】
さらに、この二次電池セル1をケース13内に収納した二次電池装置12を車両52やテレビ55に搭載して電源として用いた場合には、その二次電池セル1の温度上昇を抑制することができ、二次電池セル1及び二次電池装置12の寿命を延ばすことができる。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態を図11ないし図13に基づいて説明する。なお、第2の実施形態及びその他の実施形態において、先行して説明した実施形態の構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付け、重複する説明は省略する。
【0046】
第2の実施形態の二次電池セル61の基本的な構成は、第1の実施形態の二次電池セル1と同じであり、これらの二次電池セル1、61の異なる点は外装容器の外形形状である。
【0047】
第1の実施形態の二次電池セル1が直方体形状の外装容器2を備えているのに対し、第2の実施形態の二次電池セル61は、図11に示すように、外形形状が円柱形状の外装容器62を備えている。外装容器62は外装容器2と同様にアルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されている。この外装容器62は、図12に示すように、上端が開口した容器本体62aと、容器本体62aの上端部に絶縁性のガスケット63を介してかしめられた封口板64、封口板64に固定された正極端子65から構成され、液密に形成されている。なお、この二次電池セル61では、容器本体62aが負極端子を兼ねている。
【0048】
封口板64の中央部には孔66が形成され、封口板64と正極端子65との間には孔66を覆うゴム製の安全弁67が設けられている。正極端子65には、複数のガス抜き孔68が形成されている。容器本体62aの外周部には絶縁性のフィルム69が巻装されている。このフィルム69は、外装容器62内にガスが発生した場合に外装容器62が膨張することを抑制することができる。また、このフィルム69は、隣接して配置された他の二次電池セル61や他の部材との短絡を防止することができる。なお、このフィルム69を巻く代わりに、隣接して配置される二次電池セル61の間に絶縁板を入れてもよい。
【0049】
外装容器62内には、図12及び図13に示すように、非水電解液と共に電極体8が収納され、及び、放熱体70が設けられている。
【0050】
電極体8は、正極シート8aと負極シート8bとをセパレータ8cを介在させて渦巻状に捲回することにより形成されている。正極シート8aは正極リードタブ71と封口板64とを介して正極端子65に接続され、負極シート8bは負極端子として機能する容器本体62aに接触している。
【0051】
放熱体70は、充電時や給電時に二次電池セル61で発生した内部の熱を外装容器62に伝熱するための凸状の部材であり、本実施形態では丸棒状に形成されている。さらに、この放熱体70は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成された容器本体62aと一体に形成されることにより容器本体62aに繋がっており、電極体8より高い熱伝導率を有している。また、放熱体70は外装容器62の中心部に配置され、この放熱体70に電極体8が渦巻状に捲回されている。
【0052】
なお、本実施形態の放熱体70と容器本体62aとは一体に形成されることにより繋がっているが、放熱体を容器本体62aと別体に形成した後に溶接や圧入等により容器本体62aに連結することにより放熱体と容器本体62aとを繋げてもよい。放熱体を容器本体62aと別体に形成する場合には、放熱体を容器本体62aより熱伝導率が高い材料、例えば、銅やカーボンで形成することが好ましい。放熱体を容器本体62aより熱伝導率が高い銅やカーボンで形成することにより、二次電池セル1の内部で発生した熱を外装容器2に伝熱する効果を高めることができる。
【0053】
このような構成において、この二次電池セル61には、外装容器62の内部に電極体8より高い熱伝導率を有する放熱体70が設けられ、この放熱体70は外装容器62と一体に形成されることにより外装容器62に繋がっている。このため、充電時や給電時に二次電池セル61が発熱した場合、二次電池セル61の内部の熱が放熱体70を介して外装容器62に伝わり易く、外装容器62の表面から放熱され易い。しかも、放熱体70が外装容器62の中心部に配置されているため、二次電池セル61の内部から外装容器62への伝熱効果を上げることができる。したがって、この二次電池セル1は、内部に熱がこもりにくくなり、内部に熱がこもることによる温度上昇を抑制することができ、二次電池セル1の温度上昇を抑制することに伴い二次電池セル1の寿命を延ばすことができる。
【0054】
複数の二次電池セル61をケース内に収容して二次電池装置を構成し、その二次電池装置を車両や電気機器に搭載して電源として使用することができる。その場合には、放熱体70の作用によって各二次電池セル61の温度上昇を抑制することができ、二次電池セル61及びその二次電池セル61を用いた二次電池装置の寿命を延ばすことができる。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態を図14及び図15に基づいて説明する。第3の実施形態の二次電池セル81の基本的な構成は第1の実施形態で説明した二次電池セル1と同じであり、直方体形状の外装容器2を有し、外装容器2内に電極体8が収納されている。さらに、外装容器2と一体に形成されることにより外装容器2に繋がった凸状の放熱体82が外装容器2の中心部に配置されている。
【0055】
第3の実施形態の二次電池セル81と第1の実施形態の二次電池セル1との異なる点は、第1の実施形態の放熱体9が平板状であるのに対し、第3の実施形態の放熱体82にはその内部に、外装容器2の外部空間に連通した中空部83が形成されている点である。
【0056】
内部に中空部83が形成された放熱体82の板厚は、容器本体2aの板厚より薄く形成され、放熱体82の強度は、外装容器2内の圧力が上昇した場合に、放熱体82が外装容器2より先に変形する強度に設定されている。
【0057】
このような構成において、この二次電池セル81には、外装容器2の内部に電極体8より高い熱伝導率を有する放熱体82が設けられ、この放熱体82は外装容器2と一体に形成されることにより外装容器2に繋がっている。このため、充電時や給電時に二次電池セル81が発熱した場合、二次電池セル81の内部の熱が放熱体82を介して外装容器2に伝わり易く、外装容器2の表面から放熱され易い。しかも、放熱体82が外装容器2の中
心部に配置されているため、二次電池セル81の内部から外装容器2への伝熱効果を上げることができる。したがって、この二次電池セル81は、内部に熱がこもりにくくなり、内部に熱がこもることによる温度上昇を抑制することができ、二次電池セル81の温度上昇を抑制することに伴い二次電池セル81の寿命を延ばすことができる。
【0058】
さらに、放熱体82の内部に中空部83が形成されているため、放熱体82からの放熱面積が広くなり、放熱体82による放熱効果を高めることができる。これにより、二次電池セル81の温度上昇をより一層抑制することができる。
【0059】
また、放熱体82の板厚が容器本体2aの板厚より薄く形成れ、放熱体82の強度は、外装容器2内の圧力が上昇した場合に放熱体82が外装容器2より先に変形する強度に設定されている。このため、二次電池セル81の内部でガスが発生して二次電池セル81内の圧力が上昇した場合、外装容器2が外向きに膨らむ前に中空部83が圧縮され、二次電池セル81の外向きの膨張が抑制される。これにより、二次電池セル81が外向きに一定量膨張することが耐久性の基準との一つとされている場合において、二次電池セル81の耐久性を向上させることができる。
【0060】
さらに、この二次電池セル81は内部でのガス発生時に外向きの膨張が抑制されるため、複数の二次電池セル81を配列して二次電池装置を構成する場合、内部でのガス発生に伴う二次電池セル81の外向きの膨張を考慮して設定される隣り合う二次電池セル81間の隙間寸法を小さくすることができる。これにより、使用する二次電池セル81の数が同じである二次電池装置では、二次電池装置の外形寸法の小型化を図ることができる。
【0061】
なお、図16に示すように、放熱体82の中空部83内に熱伝導率が空気より高い伝熱部材84、例えば、冷却用ジェルやゴムを充填してもよい。このような伝熱部材84を充填することにより、中空部83において空気に伝熱することにより行われていた放熱をより一層高めることができる。
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態を図17及び図18に基づいて説明する。第4の実施形態の二次電池セル91の基本的な構成は第2の実施形態の二次電池セル61と同じであり、円柱形状の外装容器62を有し、外装容器62内に電極体8が収納されている。さらに、外装容器62と一体に形成されることにより外装容器62に繋がった凸状の放熱体92が外装容器62の中心部に配置されている。
【0062】
第4の実施形態の二次電池セル91と第2の実施形態の二次電池セル61との異なる点は、第2の実施形態の放熱体70が丸棒状であるのに対し、第4の実施形態の放熱体92にはその内部に、外装容器62の外部空間に連通した中空部93が形成されている点である。
【0063】
内部に中空部93が形成された放熱体92の板厚は、容器本体62aの板厚より薄く形成され、放熱体92の強度は、外装容器62内の圧力が上昇した場合に、放熱体92が外装容器62より先に変形する強度に設定されている。
【0064】
このような構成において、この二次電池セル91には、外装容器62の内部に電極体8より高い熱伝導率を有する放熱体92が設けられ、この放熱体92は外装容器62と一体に形成されることにより外装容器62に繋がっている。このため、充電時や給電時に二次電池セル91が発熱した場合、二次電池セル91の内部の熱が放熱体92を介して外装容器62に伝わり易く、外装容器62の表面から放熱され易い。しかも、放熱体92が外装容器62の中心部に配置されているため、二次電池セル91の内部から外装容器62への伝熱効果を上げることができる。したがって、この二次電池セル91は、内部に熱がこも
りにくくなり、内部に熱がこもることによる温度上昇を抑制することができ、二次電池セル91の温度上昇を抑制することに伴い二次電池セル91の寿命を延ばすことができる。
【0065】
さらに、放熱体92の内部に中空部93が形成されているため、放熱体92からの放熱面積が広くなり、放熱体92による放熱効果を高めることができる。これにより、二次電池セル91の温度上昇をより一層抑制することができる。
【0066】
また、放熱体92の板厚が容器本体62aの板厚より薄く形成れ、放熱体92の強度は、外装容器62内の圧力が上昇した場合に放熱体92が外装容器62より先に変形する強度に設定されている。このため、二次電池セル91の内部でガスが発生して二次電池セル91内の圧力が上昇した場合、外装容器62が外向きに膨らむ前に中空部93が圧縮され、二次電池セル91の外向きの膨張が抑制される。これにより、二次電池セル91が外向きに一定量膨張することが耐久性の基準の一つとされている場合において、二次電池セル91の耐久性を向上させることができる。
【0067】
さらに、この二次電池セル91は内部でのガス発生時に外向きの膨張が抑制されるため、複数の二次電池セル91を配列して二次電池装置を構成する場合、内部でのガス発生に伴う二次電池セル91の外向きの膨張を考慮して設定される隣り合う二次電池セル91間の隙間寸法を小さくすることができる。これにより、使用する二次電池セル91の数が同じである二次電池装置では、二次電池装置の外形寸法の小型化を図ることができる。
【0068】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、様々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、二次電池セルに温度制御に利用するPTC素子が備えられていても良い。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0069】
1…二次電池セル、2…外装容器、4…正極端子(電極端子)、5…負極端子(電極端子)、8…電極体、9…放熱体、12…二次電池装置、13…ケース、52…車両、55…電気機器、61…二次電池セル、62…外装容器、62a…容器本体(電極端子)、65…正極端子(電極端子)、70…放熱体、81…二次電池セル、82…放熱体、83…中空部、84…伝熱部材、91…二次電池セル、92…放熱体、93…中空部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装容器と、
前記外装容器内に収納された電極体と、
前記外装容器に設けられて前記電極体に接続された電極端子と、
前記外装容器内に前記電極体に囲まれて配置され、前記電極体より高い熱伝導率を有して前記外装容器に繋がった放熱体と、
を備える二次電池セル。
【請求項2】
外装容器と、
前記外装容器内に収納された電極体と、
前記外装容器に設けられて前記電極体に接続された電極端子と、
前記外装容器内に前記電極体に囲まれて配置され、前記電極体より高い熱伝導率を有して前記外装容器に繋がり、内部に前記外装容器の外部空間に連通した中空部が形成された放熱体と、
を備える二次電池セル。
【請求項3】
前記放熱体の板厚は前記外装容器の板厚より薄く形成され、前記外装容器内の圧力が上昇した場合に前記放熱体が前記外装容器より先に変形する請求項2記載の二次電池セル。
【請求項4】
前記放熱体の中空部内に、熱伝導率が空気よりも高い伝熱部材が充填されている請求項2又は3記載の二次電池セル。
【請求項5】
前記放熱体は、前記外装容器の中心部に配置されている請求項1ないし4のいずれか一項に記載の二次電池セル。
【請求項6】
前記放熱体は、前記外装容器と一体に形成されている請求項1ないし5のいずれか一項に記載の二次電池セル。
【請求項7】
前記放熱体は、前記外装容器より熱伝導率が高い材料で別体に形成され、前記外装容器に連結されている請求項1ないし5のいずれか一項に記載の二次電池セル。
【請求項8】
前記外装容器は、外形形状が直方体形状に形成されている請求項1ないし7のいずれか一項に記載の二次電池セル。
【請求項9】
前記外装容器は、外形形状が円柱形状に形成されている請求項1ないし7のいずれか一項に記載の二次電池セル。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか一項に記載された複数の二次電池セルと、
複数の前記二次電池セルを収容するケースと、
を備える二次電池装置。
【請求項11】
請求項10記載の二次電池装置を搭載した車両。
【請求項12】
請求項10記載の二次電池装置を搭載した電気機器。
【請求項13】
外装容器と、前記外装容器内に収納された電極体と、前記外装容器に設けられて前記電極体に接続された電極端子とを備えた二次電池装置の製造方法であって、
前記外装容器に形成された凸状の放熱体の周囲に前記電極体を渦巻状に捲回する二次電池セルの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2013−4402(P2013−4402A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136267(P2011−136267)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】