二段式駐輪装置
【課題】上段収納部の昇降手段の設定荷重の変更が容易であり、修理や調整等のメンテナンスも容易であり、装置を省スペース化することができ、安全で故障が少なく、長期間に亘って安定した昇降動作を行わせることができる二段式駐輪装置を提供すること。
【解決手段】上段収納部と下段収納部を有する二段式駐輪装置であって、上段収納部は、上下方向に延びる支柱と、支柱に沿って昇降可能な昇降体と、昇降体に対して上方向の引張力を付与する牽引手段と、牽引手段により付与される引張力に抗して昇降体を支柱の下方位置に固定する固定手段と、昇降体に対して前端部が取り付けられた自転車載置台を備えており、牽引手段は、滑車と錘と線状体からなり、線状体は、支柱内の上方位置に固定された滑車を屈曲点として、昇降体と前記錘とを接続しており、昇降体及び牽引手段は支柱内に配設されていることを特徴とする二段式駐輪装置である。
【解決手段】上段収納部と下段収納部を有する二段式駐輪装置であって、上段収納部は、上下方向に延びる支柱と、支柱に沿って昇降可能な昇降体と、昇降体に対して上方向の引張力を付与する牽引手段と、牽引手段により付与される引張力に抗して昇降体を支柱の下方位置に固定する固定手段と、昇降体に対して前端部が取り付けられた自転車載置台を備えており、牽引手段は、滑車と錘と線状体からなり、線状体は、支柱内の上方位置に固定された滑車を屈曲点として、昇降体と前記錘とを接続しており、昇降体及び牽引手段は支柱内に配設されていることを特徴とする二段式駐輪装置である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車を上段収納部と下段収納部の上下二段で収納することができる二段式駐輪装置に関し、より詳しくは上段収納部が昇降可能に構成されている二段式駐輪装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自転車を上段収納部と下段収納部の上下二段で収納することができる二段式駐輪装置は、狭いスペースで多数台の自転車を収納することができるため、集合住宅や駅の駐輪場等において広く利用されている。
【0003】
二段式駐輪装置は、上段収納部が高い位置にあり、そのままでは上段収納部に自転車を載せることができない。そのため、通常、自転車を収納する際には上段収納部を低位置まで下降させる一方、自転車を収納した後には上段収納部を高位置まで上昇させることができる昇降手段を備えている。
【0004】
特許文献1に記載された二段式駐輪装置は、昇降手段として、上端にある自転車ラックに対して当該ラックの重量とバランスする牽引力を付与する定荷重装置(定荷重バネ)を備えている。
しかし、このような定荷重装置(定荷重バネ)を用いた昇降手段は、設定荷重の変更が困難であるとともに、修理や調整等のメンテナンスも容易ではないという問題があった。
また、2つの定荷重装置を設けるための設置スペースを必要とすることから、駐輪装置が大型化するという問題もあった。
更に、自転車により踏み板が下方に押されることによって、鍵装置が開錠されてバネの牽引力により自転車ラック(自転車載置台)が自動的に上昇する構成であるため、自転車が充分に前方位置まで達していないときでも踏み板が下方に押されて自転車ラックが上昇する虞があり、危険であるという問題もあった。
【0005】
一方、特許文献2には、液体を入れたバランサー容器を錘として利用し、バランサー容器と昇降台(自転車載置台)とをワイヤーにより連結して、昇降台を昇降させるように構成された二段式駐輪装置が記載されている。
しかし、この装置は、ワイヤーや昇降台(自転車載置台)の台車などが外部に露出した構造となっており、またワイヤーが昇降台の後方に向けて長い距離に亘って延出しているため、故障が生じやすいという問題があった。即ち、駐輪装置は屋外に設置して使用されることも多いため、土砂や塵埃、落ち葉等の異物がワイヤーや台車に挟まったり、悪戯されたり等の外的要因により故障が生じる虞がある。
また、昇降台(自転車載置台)は中央部でワイヤーにより吊り下げられているため、前後のバランスをとることが難しく、昇降台の台車に大きな荷重が加わって走行を阻害したり破損したりする虞があるという問題もあった。
更に、液体を入れた1つのバランサー容器により昇降台(自転車載置台)との重量バランスをとっているため、バランス調整が困難であり且つ不安定であるという問題があった。
また、昇降台(自転車載置台)を上昇させるためにはスイッチ操作を必要とするため、面倒であるとともに、誤ってスイッチが操作されることにより昇降台が上昇する虞があり、危険であるという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−227441号公報
【特許文献2】特開平10−25917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記したような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、自転車を上段収納部と下段収納部の上下二段で収納することができる二段式駐輪装置において、上段収納部を昇降させるための昇降手段の設定荷重の変更が容易であり、修理や調整等のメンテナンスも容易であり、しかも装置を省スペース化することができ、安全で故障が少なく、長期間に亘って安定した昇降動作を行わせることができる二段式駐輪装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、上段収納部と下段収納部を有する二段式駐輪装置であって、前記上段収納部は、上下方向に延びる支柱と、前記支柱に沿って昇降可能な昇降体と、前記昇降体に対して上方向の引張力を付与する牽引手段と、前記牽引手段により付与される引張力に抗して前記昇降体を前記支柱の下方位置に固定する固定手段と、前記昇降体に対して前端部が取り付けられた自転車載置台を備えており、前記牽引手段は、滑車と錘と線状体からなり、前記線状体は、前記支柱内の上方位置に固定された滑車を屈曲点として、前記昇降体と前記錘とを接続しており、前記昇降体及び前記牽引手段は前記支柱内に配設されていることを特徴とする二段式駐輪装置に関する。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記支柱は、幅方向中央に上下方向に延びるスリットを有し、前記昇降体は、前記自転車載置台の取付部分が前記スリットに面するように配置されており、前記線状体は、前記幅方向中央を挟んで上下方向に延びる左右一対の線状体からなり、前記滑車は、前記幅方向中央を挟んで配置された左右一対の滑車からなり、前記錘は、前記スリットの幅方向外側に夫々配置された左右一対の錘からなることを特徴とする請求項1記載の二段式駐輪装置に関する。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記固定手段は、前記支柱内の下方位置に固定された貫通穴を有するストッパ固定板と、前記貫通穴に対して挿脱されるストッパピンと、略くの字状に屈曲し、該屈曲部が前記昇降体に対して回動自在に取り付けられるとともに、一端部に前記ストッパピンが取り付けられ、他端部が前記スリットの開口部近傍に位置し、前記屈曲部を支点として回動可能な可動ストッパと、前記可動ストッパに対して一方向に回動する力を付勢する付勢手段とからなり、前記一方向は、前記ストッパピンが前記貫通穴に挿入される方向であることを特徴とする請求項1又は2記載の二段式駐輪装置に関する。
【0011】
請求項4に係る発明は、前記貫通穴が、上下方向に間隔をあけて配置された複数の貫通穴からなることを特徴とする請求項3記載の二段式駐輪装置に関する。
【0012】
請求項5に係る発明は、前記昇降体は、前記支柱の内面に沿って転動する車輪を備えており、前記車輪は、前記幅方向中央を挟んだ位置に配置された左右の車輪からなる車輪対が、上下に間隔をあけて複数対設けられ且つ前後に間隔をあけて複数対設けられていることを特徴とする請求項2乃至4いずれかに記載の二段式駐輪装置に関する。
【0013】
請求項6に係る発明は、前記自転車載置台を前記スリット内に収容可能とする収容手段を備えており、前記収容手段は、前記自転車載置台を、前記昇降体への取付部分を支点として上方向に回動させることにより前記スリット内に収容することを特徴とする請求項2乃至5いずれかに記載の二段式駐輪装置に関する。
【0014】
請求項7に係る発明は、前記収容手段は、前記昇降体の前記取付部分より上方部と、前記自転車載置台の長さ方向中途部とを連結する屈曲可能な連結棒と、前記昇降体の前記取付部分より上方部と、前記自転車載置台の前記取付部分より前方位置とを連結する流体圧シリンダとからなり、前記自転車載置台を、前記取付部分を支点として上方向に回動させたときに、前記連結棒が屈曲するとともに前記流体圧シリンダが伸長することを特徴とする請求項6記載の二段式駐輪装置に関する。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によれば、昇降体に対して上方向の引張力を付与する牽引手段が、滑車と錘と線状体からなり、線状体が支柱内の上方位置に固定された滑車を屈曲点として、昇降体と錘とを接続していることから、錘を交換することより牽引力を簡単に変更することができるとともに、構造が簡単であるため修理や調整等のメンテナンスも容易である。
また、昇降体及び牽引手段が支柱内に配設されていることから、外的要因による影響を排除することができて故障が生じにくく且つ安全であり、長期間に亘って動作が安定し、メンテナンスの手間を大幅に省くことが可能となる。
更に、支柱内に配設されて支柱に沿って昇降可能な昇降体に対して自転車載置台の前端部が取り付けられているため、自転車載置台の前後の重量バランスを調整する必要が無く、安定した昇降動作が可能となる。
また、牽引手段により付与される引張力に抗して昇降体を支柱の下方位置に固定する固定手段を備えているため、不意に昇降体及び自転車載置台が上昇する虞が無く非常に安全である。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、支柱が幅方向中央に上下方向に延びるスリットを有し、昇降体は自転車載置台の取付部分がスリットに面するように配置されていることから、自転車載置台の前端部(昇降体への取付部分)をスリット内(支柱内)に位置させた状態で昇降させることが可能となる。そのため、自転車載置台の昇降体への取付部分に対して外的要因が影響することが防がれて故障が生じにくくなり、安定した昇降動作を長期間に亘って維持することができる。
また、線状体が幅方向中央を挟んで上下方向に延びる左右一対の線状体からなり、滑車が幅方向中央を挟んで配置された左右一対の滑車からなり、錘がスリットの幅方向外側に夫々配置された左右一対の錘からなることから、1つの錘とワイヤーを用いた場合に比べて重量バランスの調整が容易であり、昇降動作を安定させることができる。更に、錘等の牽引手段を左右に分けて配置することにより、支柱の奥行き(前後方向長さ)を小さく(薄く)することが可能となり、設置スペースを小さくすることができる。
【0017】
請求項3に係る発明によれば、自転車が収納されていない状態では、ストッパピンがストッパ固定板に挿入されるとともに、付勢手段が可動ストッパをストッパピンが貫通穴に挿入される方向(一方向)に回動するように付勢するため、昇降体及び自転車載置台が上昇することがなく安全である。
また、自転車を収納する際には、自転車の前輪でスリットの開口部近傍に位置する可動ストッパの他端部を押すことにより、可動ストッパが付勢手段の付勢力に抗して屈曲部を支点として回動し、ストッパ固定板に挿入されたストッパピンが抜かれ、固定手段が解除されて昇降体及び自転車載置台が上昇する。これにより、特別な操作を必要とせずに自転車を前方に移動させるだけで自動的に自転車載置台を上昇させることができ、操作の煩わしさが無い。しかも、自転車を前輪が可動ストッパの他端部を押すまで前進させない限り、固定手段による固定は解除されないため、自転車が完全に載っていない状態で自転車載置台が上昇することがなく、非常に安全である。
【0018】
請求項4に係る発明によれば、ストッパ固定板の貫通穴が上下方向に間隔をあけて配置された複数の貫通穴からなることから、ストッパピンを挿入する貫通穴を変えることにより、自転車載置台が固定される高さを変化させることができ、様々な大きさや種類の自転車に対応することが可能となる。
【0019】
請求項5に係る発明によれば、昇降体が支柱の内面に沿って転動する車輪を備えており、前記車輪は前記幅方向中央を挟んだ位置に配置された左右の車輪からなる車輪対が上下に間隔をあけて複数対設けられ且つ前後に間隔をあけて複数対設けられていることから、自転車載置台及び自転車の重さによる昇降体の傾きやぶれを確実に防止することができ、昇降体の昇降動作を安定させることが可能となる。
【0020】
請求項6に係る発明によれば、自転車載置台をスリット内に収容可能とする収容手段を備えており、収容手段は、自転車載置台を昇降体への取付部分を支点として上方向に回動させることによりスリット内に収容することから、不使用時や搬送時には自転車載置台をスリット内に収容して支柱内に収めることにより、駐輪装置を非常にコンパクト化することが可能となる。
【0021】
請求項7に係る発明によれば、収容手段は、昇降体の前記取付部分の上方部と、自転車載置台の長さ方向中途部とを連結する屈曲可能な連結棒と、昇降体の前記取付部分の上方部と、自転車載置台の前記取付部分よりも前方位置とを連結する流体圧シリンダとからなり、自転車載置台を、前記取付部分を支点として上方向に回動させたときに、連結棒が屈曲するとともに流体圧シリンダが伸長することから、自転車載置台を上方に回動させる際に、流体圧シリンダによる抵抗力が加わり、使用時において不用意に自転車載置台が上方に回動することを防止することができる。また連結棒が設けられていることにより、自転車載置台が水平位置よりも下方に回動することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る二段式駐輪装置の上段収納部の側面図である。
【図2】本発明に係る二段式駐輪装置の上段収納部の正面図である。
【図3】本発明に係る二段式駐輪装置の要部拡大図であって、(a)は図1の要部拡大図、(b)は図2の要部拡大図である。
【図4】昇降体の本体を示す図であって、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は底面図である。
【図5】ストッパ固定板を示す図であって、(a)は正面図、(b)は底面図である。
【図6】ストッパピンを示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
【図7】可動ストッパを示す図であって、(a)は側面図、(b)は正面断面図である。
【図8】付勢手段を示す図であって、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は取付状態を示す図である。
【図9】固定手段の作用を説明する図である。
【図10】延出部材を示す図であって、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図11】収容手段の作用について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る二段式駐輪装置の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
本発明に係る二段式駐輪装置は、自転車を上段収納部と下段収納部の上下二段で収納することができるものであり、上段収納部が昇降可能に構成されている。
図1は本発明に係る二段式駐輪装置の上段収納部を示す側面図であり、図2は本発明に係る二段式駐輪装置の上段収納部を示す正面図である。尚、図1では支柱を上下方向全体に亘って切り欠いて内部を示しており、図2では支柱の上方部分と下方部分の一部(車輪(22)部分)を切り欠いて内部を示している。図3(a)は図1の要部拡大図、(b)は図2の要部拡大図である。
以下、本明細書において、図1の左側を前方、右側を後方と称し、図2の右側を右方、左側を左方と称する。
【0024】
上段収納部は、上下方向に延びるように床面上に立設される支柱(1)と、支柱(1)に沿って昇降可能な昇降体(2)と、昇降体(2)に対して上方向の引張力を付与する牽引手段(3)と、牽引手段(3)により付与される引張力に抗して昇降体(2)を支柱(1)の下方位置に固定する固定手段(4)と、昇降体(2)に対して前端部が取り付けられた自転車載置台(5)と、自転車載置台(5)を支柱(1)に設けられたスリット(11)内に収容可能とする収容手段(6)を備えている。
【0025】
支柱(1)は、内部に空間を有する四角柱状であって、自転車載置台(5)が位置する側(後方側)の面の幅方向中央に上下方向に延びるスリット(11)を有している。
支柱(1)の内部空間には、昇降体(2)及び牽引手段(3)が配設されている。
昇降体(2)は、自転車載置台(5)の取付部分がスリット(11)に面するように配置されている。これにより、自転車載置台(5)の前端部をスリット内(支柱内)に位置させた状態で昇降させることが可能となる。そのため、外的要因の影響を受けにくくすることができて故障が生じにくくなり、安定した昇降動作を長期間に亘って維持することができる。
【0026】
図4は昇降体(2)の本体(21)を示す図であって、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は底面図である。
本体(21)は、左右一対の側板(211)と、左右一対の側板を連結する前板(212)を備えている。
左右一対の側板(211)には、四隅(上下前後)に夫々車輪取付用の穴(211a)が設けられており、これらの穴(211a)に対して夫々車軸が挿通されて車輪(22)が取り付けられる(図3参照)。
これにより、支柱(1)の幅方向中央を挟んだ位置に配置された左右一対の車輪(22)からなる車輪対が、上下に間隔をあけて二対設けられ且つ前後に間隔をあけて二対設けられることとなる。
これら合計四対(八個)の車輪(22)が支柱(1)の内面に沿って転動することにより、昇降体(2)が支柱(1)に沿って昇降する。
このように、昇降体(2)が、上下前後左右に間隔をあけて配置された合計四対(八個)の車輪(22)を用いて支柱(1)の内面に沿って転動するように構成されていることにより、自転車載置台(5)及び自転車の重さによる昇降体(2)の傾きやぶれが確実に防止され、昇降体(2)の昇降動作が非常に安定する。
【0027】
昇降体(2)の本体(21)において、側板(211)の上方位置を左右方向に貫通する穴(211b)には後述する連結棒(61)の一端部が回動自在に取り付けられる。また、側板(211)の下方位置を左右方向に貫通する穴(211c)は自転車載置台(5)の昇降体(2)への取付部分となり(以下、取付部分(211c)という場合がある。)、後述するピン(64)が挿通される。
また、前板(212)を前後方向に貫通する穴(212a)は後述するストッパピン(42)が挿入される穴となる。
穴(212a)は前後方向に延びる円筒状に形成されている。この円筒状部は、ストッパピン(42)の動きを前後方向にガイドして、後述するストッパ固定板(41)の貫通穴(411)に対して確実に挿入できるようにする役割を果たしている。
前板(212)の略中央には矩形状の穴(212b)が設けられている。この穴(212b)は、後述する付勢手段(ねじりコイルバネ)(44)を通すための穴となる。
また、前板(212)の上方部分には、後述する流体圧シリンダ(62)の基端部を取り付けるための左右一対の取付板(212c)が後方に向けて突出している。
【0028】
牽引手段(3)は、滑車(31)と錘(32)と線状体(33)から構成されている(図2参照)。
線状体(33)は金属製のワイヤー等からなり、支柱(1)内の上方位置に固定された滑車(31)を屈曲点として逆U字状に屈曲し、昇降体(2)と錘(32)とを接続している。
錘(32)は、自転車を載せた状態の自転車載置台(5)の重さより重いものであり、例えば金属製ブロック等からなる。錘(32)は線状体(33)から容易に取り外すことができ、必要に応じて異なる重さのものに交換することができる。
【0029】
図2に示すように、線状体(33)は支柱(1)の幅方向中央を挟んで上下方向に延びる左右一対の線状体からなり、滑車(31)は前記幅方向中央を挟んで配置された左右一対の滑車からなり、錘(32)は前記幅方向中央を挟んで配置された左右一対の錘からなる。
左右一対の線状体(33)は支柱(1)のスリット(11)に沿って上下方向に延びており、左右一対の錘(32)はスリット(11)の幅方向外側に夫々配置されている。
このように滑車(31)と錘(32)と線状体(33)を左右一対ずつ設けるとともに、錘(32)をスリット(11)の幅方向外側に配置することにより、1つの錘とワイヤーを用いた場合に比べて重量バランスが非常に安定し、昇降台(2)のブレを抑制して昇降動作を安定させることができる。また、支柱(1)の奥行き(前後方向長さ)を小さく(薄く)することが可能となり、設置スペースを小さくすることができる。
【0030】
固定手段(4)は、ストッパ固定板(41)と、ストッパピン(42)と、可動ストッパ(43)と、付勢手段(44)とから構成されている。
図5はストッパ固定板(41)を示す図であって、(a)は正面図、(b)は底面図である。
ストッパ固定板(41)は断面コの字状の金属板からなり、コの字の開放側が支柱(1)の前方内面に当接するように、支柱(1)内の下方位置に固定されている(図3(a)参照)。
ストッパ固定板(41)は左右対になった貫通穴(411)を有している。貫通穴(411)は上下方向に間隔をあけて三対(六個)設けられている。
これらの貫通穴(411)に対してストッパピン(42)が挿脱される。
【0031】
図6はストッパピン(42)を示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
ストッパピン(42)は、前方側が後方側に比べて小径となる段付きピンであり、後方側の大径部分には上下方向に且つ上方に向かうにつれて前方に傾斜した貫通穴(421)が形成されている。
この貫通穴(421)には、可動ストッパ(43)の下端部(一端部)が挿入される。
【0032】
図7は可動ストッパ(43)を示す図であって、(a)は側面図、(b)は正面断面図である。
可動ストッパ(43)は、側面視において略くの字状に屈曲しており、該屈曲部が昇降体(2)に対して回動自在に取り付けられている。具体的には、可動ストッパ(43)の屈曲部には穴(431)が設けられており、この穴(431)には回動支点となるピン(46)が挿通され(図3参照)、ピン(46)の両端は昇降体(2)の本体(21)に回動可能に支持されている。
可動ストッパ(43)は左右一対(2つ)設けられており、これら左右一対の可動ストッパ(43)は上端部(他端部)に設けられた穴(432)に挿通された連結ピン(45)により連結されている(図3(b)参照)。
可動ストッパ(43)の上端部(他端部)を連結する連結ピン(45)は、通常の状態(自転車の前輪が当たっていない状態)では、スリット(11)の開口部近傍に位置している(図3(a)参照)。
可動ストッパ(43)の下端部(一端部)は、上述したようにストッパピン(42)の貫通穴(421)に挿入される。尚、可動ストッパ(43)及びストッパピン(42)は左右一対(2つ)設けられている(図3(b)参照)。
【0033】
図8は付勢手段(44)を示す図であって、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は取付状態を示す図である。
付勢手段(44)は、図示の如く、ねじりコイルバネからなる。
付勢手段(44)(ねじりコイルバネ)は、コイル部(441)に可動ストッパ(43)の回動支点となるピン(46)が挿通される。また、コイル部(441)の上方部(442)が可動ストッパ(43)の屈曲部上方に係止され、コイル部(441)の下方部(443)が本体(21)の前板(212)の後面に係止される(図8(c)参照)。
これにより、付勢手段(44)は、可動ストッパ(43)を屈曲部に挿通されたピン(46)を支点として一方向(図8(c)の時計回り方向)に回動するように付勢している。可動ストッパ(43)が付勢された方向(一方向)は、可動ストッパ(43)の下端部(一端部)に取り付けられたストッパピン(42)がストッパ固定板(41)の貫通穴(411)に挿入される方向となる。
【0034】
次に、図9を参照しながら固定手段(4)の作用を説明する。
図9(a)に示すように、自転車の前輪(F)が可動ストッパ(43)の上端部を連結する連結ピン(45)に当たっていない状態では、付勢手段(44)の付勢力により可動ストッパ(43)は上記一方向(図9(a)時計回り方向)に付勢され、これによりストッパピン(42)がストッパ固定板(41)の貫通穴(411)に挿入された状態が維持されている。そのため、昇降体(2)は、錘(32)による上方向の引張力が加わっているが、上昇することなく下方位置に固定され、自転車載置台(5)も下方位置に留まる。
【0035】
図9(b)に示すように、自転車が前進して前輪(F)が可動ストッパ(43)の上端部を連結する連結ピン(45)を押すと、可動ストッパ(43)が付勢手段(44)の付勢力に抗して上記一方向と反対方向(図9(b)反時計回り方向)に回動し、これによりストッパピン(42)がストッパ固定板(41)の貫通穴(411)から抜ける。すると、昇降体(2)は錘(32)による上方向の引張力によって上昇し、これに伴って自転車載置台(5)も上昇する。
【0036】
上記したように、自転車の前輪(F)が可動ストッパ(43)の上端部を連結する連結ピン(45)を押さない限りは、固定手段による昇降体(2)の固定が解除されないため、自転車の未収納時において昇降体(2)及び自転車載置台(5)が上昇することがなく、安全である。
また、自転車を収納する際には、自転車の前輪(F)で連結ピン(45)を押すことにより、固定手段が解除されて昇降体(2)及び自転車載置台(5)が上昇する。これにより、特別な操作を必要とせずに自転車を前方に移動させるだけで自動的に自転車載置台(5)を上昇させることができ、操作の煩わしさが無い。しかも、自転車を前輪(F)が連結ピン(45)を押すまで前進させない限り、固定手段による固定は解除されないため、自転車が完全に載っていない状態で自転車載置台(5)が上昇することがなく、非常に安全である。
【0037】
また、ストッパ固定板(41)が上下方向に間隔をあけて複数対の貫通穴(411)を有しているため、図9(a)に示す固定状態において、ストッパピン(42)を挿入する貫通穴(411)の高さを変えることにより、自転車載置台(5)が固定される高さを変化させることができる。そのため、様々な大きさや種類の自転車に対応することが可能となる。また、ストッパピン(42)が上下方向に並んだ複数の貫通穴(411)のいずれかに挿入されれば自転車載置台(5)が固定されるため、容易に固定状態とすることができ、固定に失敗する虞が少なくて安全である。
【0038】
自転車載置台(5)は自転車を載せる縦断面凹字状の台であって、自転車の前輪と後輪を載せることができる幅と長さを有している。
自転車載置台(5)は、前端部が昇降体(2)に対して取り付けられており、これにより昇降体(2)と共に昇降する。
自転車載置台(5)の下面には、上昇した位置にある自転車載置台(5)を人力で引っ張って下降させる際の持ち手となる把持部(51)が設けられている。
【0039】
収容手段(6)は、自転車載置台(5)を、昇降体(2)への取付部分(211c)を支点として上方向に回動させることによりスリット(11)内(支柱(1)内)に収容するための手段である。
収容手段(6)は、左右一対の連結棒(61)と、流体圧シリンダ(62)とを備えている。
【0040】
連結棒(61)は長さ方向中途部に屈曲可能部(611)を有する棒であって(図3(a)参照)、屈曲可能部(611)はチェーン等から形成されている。
連結棒(61)の一端部は、昇降体(2)の本体(21)の側板(211)に対して回動可能に取り付けられている。具体的には、側板(211)の自転車載置台(5)の取付部分(211c)より上方部に設けられた穴(211b)に回動可能に取り付けられている。
連結棒(61)の他端部は、自転車載置台(5)の長さ方向中途部に対して回動可能に取り付けられている。
これにより、連結棒(61)は、昇降体(2)と自転車載置台(5)とを前方から後方に向けて下向きに傾斜するように連結している(図1、図3(a)参照)。
【0041】
流体圧シリンダ(62)はガスシリンダや油圧シリンダ等からなり、ロッド(621)が略上下方向に伸縮するように配設されている。
流体圧シリンダ(62)の基端部は、昇降体(2)の本体(21)の前板(212)に対して回動可能に取り付けられている。具体的には、本体(21)の自転車載置台(5)の取付部分(211c)より上方部であって且つ連結棒(61)の一端部の近傍位置において、左右一対の取付板(212c)に対して取り付けられている。
流体圧シリンダ(62)の先端部(ロッド(621)の先端部)は、延出部材(63)を介して自転車載置台(5)に対して回動可能に取り付けられている。具体的には、自転車載置台(5)は、前端部が本体(21)に対する取付部分(211c)よりもやや前方位置にあり、当該前端部より上方に向けて延びる延出部材(63)が取り付けられている(図3(a)参照)。
【0042】
図10は延出部材(63)を示す図であって、(a)は側面図、(b)は正面図である。
延出部材(63)は、側面視L字状に屈曲して一端部に貫通穴(631a)を有する左右一対の側板(631)と、左右一対の側板(631)を連結するように側板(631)の他端部に設けられた円筒部(632)とから構成されている。
円筒部(632)にはピン(64)が挿通される(図3(a)(b)参照)。このピン(64)は、昇降体(2)の側板(211)の穴(211c)及び自転車載置台(5)にも挿通されており、自転車載置台(5)を上方向に回動させる際の回動支点となる。
延出部材(63)の貫通穴(631a)にはピン(65)が挿通される(図3(a)参照)。このピン(65)は、流体圧シリンダ(62)の先端部(ロッドの先端部(621))に設けられた穴に挿通されており、延出部材(63)と流体圧シリンダ(62)のロッド(621)の先端部とを連結している。
【0043】
次に図11を(a)〜(g)の順に参照しながら、収容手段(6)の作用について説明する。
図11(a)の初期状態では自転車載置台(5)が水平状態にある。
この状態では、流体圧シリンダ(62)にはロッド(621)が短縮しようとする力が働いており、延出部材(63)は上方向に引っ張られている。これにより、自転車載置台(5)には下方向に回動しようとする力が作用するが、連結棒(61)により水平状態より下方に回動することが防がれている。
【0044】
図10(a)の状態から、使用者が自転車が載っていない状態の自転車載置台(5)の後方部分を持って上方向に押し上げると、自転車載置台(5)は昇降体(2)の本体(21)への取付部分(211c)のピン(64)を支点として上方向に回動する。
自転車載置台(5)の上方向への回動に伴って、流体圧シリンダ(62)のロッド(621)が伸長するとともに、連結棒(61)の屈曲可能部(611)の屈曲角度が大きくなり、自転車載置台(5)の床面に対する角度も大きくなる(図10(b)〜(f)参照)。
そして、自転車載置台(5)が上方向に90°回動すると、自転車載置台(5)はスリット(11)内(支柱(1)内)に収容された状態となる。
【0045】
このように自転車載置台(5)をスリット(11)内に収容して支柱(1)内に収めることにより、不使用時や搬送時には駐輪装置を非常にコンパクト化することが可能となる。また、自転車載置台(5)を上方に回動させる際には流体圧シリンダ(62)による抵抗力が加わるため、使用時において不用意に自転車載置台(5)が上方に回動することが防がれて安全である。また連結棒(61)により、自転車載置台(5)が基準位置(水平位置)よりも下方に回動することを確実に防ぐことができる。
【0046】
本発明に係る二段式駐輪装置は、従来の二段式駐輪装置(例えば上記特許文献1,2参照)と同様に、上段収納部は幅方向に複数並んで設置され、上段収納部の下方には下段収納部(図示略)が設けられる。
下段収納部の構成は特に限定されないが、例えば、本願出願人が特開2008−296784号公報、特開2004−256110号公報、実用新案登録第3045190号公報において開示した自転車載置台を横方向にスライドすることができるスライド式の自転車収納装置が好適に使用される。
下段収納部としてスライド式の自転車収納装置を使用すると、上段収納部の自転車載置台(5)を下降させる場合には、その下方にある下段収納部の自転車載置台を横方向にスライドさせて移動させることにより、下段収納部の自転車載置台が下降の邪魔になることがない。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明に係る二段式駐輪装置は、集合住宅や駅の駐輪場等の狭いスペースで多数の自転車を駐輪することが必要な場所において好適に使用される。
【符号の説明】
【0048】
1 支柱
11 スリット
2 昇降体
211c 自転車載置台の取付部分
22 車輪
3 牽引手段
31 滑車
32 錘
33 線状体
4 固定手段
41 ストッパ固定板
42 ストッパピン
43 可動ストッパ
44 付勢手段
5 自転車載置台
6 収容手段
61 連結棒
611 屈曲可能部
62 流体圧シリンダ
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車を上段収納部と下段収納部の上下二段で収納することができる二段式駐輪装置に関し、より詳しくは上段収納部が昇降可能に構成されている二段式駐輪装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自転車を上段収納部と下段収納部の上下二段で収納することができる二段式駐輪装置は、狭いスペースで多数台の自転車を収納することができるため、集合住宅や駅の駐輪場等において広く利用されている。
【0003】
二段式駐輪装置は、上段収納部が高い位置にあり、そのままでは上段収納部に自転車を載せることができない。そのため、通常、自転車を収納する際には上段収納部を低位置まで下降させる一方、自転車を収納した後には上段収納部を高位置まで上昇させることができる昇降手段を備えている。
【0004】
特許文献1に記載された二段式駐輪装置は、昇降手段として、上端にある自転車ラックに対して当該ラックの重量とバランスする牽引力を付与する定荷重装置(定荷重バネ)を備えている。
しかし、このような定荷重装置(定荷重バネ)を用いた昇降手段は、設定荷重の変更が困難であるとともに、修理や調整等のメンテナンスも容易ではないという問題があった。
また、2つの定荷重装置を設けるための設置スペースを必要とすることから、駐輪装置が大型化するという問題もあった。
更に、自転車により踏み板が下方に押されることによって、鍵装置が開錠されてバネの牽引力により自転車ラック(自転車載置台)が自動的に上昇する構成であるため、自転車が充分に前方位置まで達していないときでも踏み板が下方に押されて自転車ラックが上昇する虞があり、危険であるという問題もあった。
【0005】
一方、特許文献2には、液体を入れたバランサー容器を錘として利用し、バランサー容器と昇降台(自転車載置台)とをワイヤーにより連結して、昇降台を昇降させるように構成された二段式駐輪装置が記載されている。
しかし、この装置は、ワイヤーや昇降台(自転車載置台)の台車などが外部に露出した構造となっており、またワイヤーが昇降台の後方に向けて長い距離に亘って延出しているため、故障が生じやすいという問題があった。即ち、駐輪装置は屋外に設置して使用されることも多いため、土砂や塵埃、落ち葉等の異物がワイヤーや台車に挟まったり、悪戯されたり等の外的要因により故障が生じる虞がある。
また、昇降台(自転車載置台)は中央部でワイヤーにより吊り下げられているため、前後のバランスをとることが難しく、昇降台の台車に大きな荷重が加わって走行を阻害したり破損したりする虞があるという問題もあった。
更に、液体を入れた1つのバランサー容器により昇降台(自転車載置台)との重量バランスをとっているため、バランス調整が困難であり且つ不安定であるという問題があった。
また、昇降台(自転車載置台)を上昇させるためにはスイッチ操作を必要とするため、面倒であるとともに、誤ってスイッチが操作されることにより昇降台が上昇する虞があり、危険であるという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−227441号公報
【特許文献2】特開平10−25917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記したような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、自転車を上段収納部と下段収納部の上下二段で収納することができる二段式駐輪装置において、上段収納部を昇降させるための昇降手段の設定荷重の変更が容易であり、修理や調整等のメンテナンスも容易であり、しかも装置を省スペース化することができ、安全で故障が少なく、長期間に亘って安定した昇降動作を行わせることができる二段式駐輪装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、上段収納部と下段収納部を有する二段式駐輪装置であって、前記上段収納部は、上下方向に延びる支柱と、前記支柱に沿って昇降可能な昇降体と、前記昇降体に対して上方向の引張力を付与する牽引手段と、前記牽引手段により付与される引張力に抗して前記昇降体を前記支柱の下方位置に固定する固定手段と、前記昇降体に対して前端部が取り付けられた自転車載置台を備えており、前記牽引手段は、滑車と錘と線状体からなり、前記線状体は、前記支柱内の上方位置に固定された滑車を屈曲点として、前記昇降体と前記錘とを接続しており、前記昇降体及び前記牽引手段は前記支柱内に配設されていることを特徴とする二段式駐輪装置に関する。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記支柱は、幅方向中央に上下方向に延びるスリットを有し、前記昇降体は、前記自転車載置台の取付部分が前記スリットに面するように配置されており、前記線状体は、前記幅方向中央を挟んで上下方向に延びる左右一対の線状体からなり、前記滑車は、前記幅方向中央を挟んで配置された左右一対の滑車からなり、前記錘は、前記スリットの幅方向外側に夫々配置された左右一対の錘からなることを特徴とする請求項1記載の二段式駐輪装置に関する。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記固定手段は、前記支柱内の下方位置に固定された貫通穴を有するストッパ固定板と、前記貫通穴に対して挿脱されるストッパピンと、略くの字状に屈曲し、該屈曲部が前記昇降体に対して回動自在に取り付けられるとともに、一端部に前記ストッパピンが取り付けられ、他端部が前記スリットの開口部近傍に位置し、前記屈曲部を支点として回動可能な可動ストッパと、前記可動ストッパに対して一方向に回動する力を付勢する付勢手段とからなり、前記一方向は、前記ストッパピンが前記貫通穴に挿入される方向であることを特徴とする請求項1又は2記載の二段式駐輪装置に関する。
【0011】
請求項4に係る発明は、前記貫通穴が、上下方向に間隔をあけて配置された複数の貫通穴からなることを特徴とする請求項3記載の二段式駐輪装置に関する。
【0012】
請求項5に係る発明は、前記昇降体は、前記支柱の内面に沿って転動する車輪を備えており、前記車輪は、前記幅方向中央を挟んだ位置に配置された左右の車輪からなる車輪対が、上下に間隔をあけて複数対設けられ且つ前後に間隔をあけて複数対設けられていることを特徴とする請求項2乃至4いずれかに記載の二段式駐輪装置に関する。
【0013】
請求項6に係る発明は、前記自転車載置台を前記スリット内に収容可能とする収容手段を備えており、前記収容手段は、前記自転車載置台を、前記昇降体への取付部分を支点として上方向に回動させることにより前記スリット内に収容することを特徴とする請求項2乃至5いずれかに記載の二段式駐輪装置に関する。
【0014】
請求項7に係る発明は、前記収容手段は、前記昇降体の前記取付部分より上方部と、前記自転車載置台の長さ方向中途部とを連結する屈曲可能な連結棒と、前記昇降体の前記取付部分より上方部と、前記自転車載置台の前記取付部分より前方位置とを連結する流体圧シリンダとからなり、前記自転車載置台を、前記取付部分を支点として上方向に回動させたときに、前記連結棒が屈曲するとともに前記流体圧シリンダが伸長することを特徴とする請求項6記載の二段式駐輪装置に関する。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によれば、昇降体に対して上方向の引張力を付与する牽引手段が、滑車と錘と線状体からなり、線状体が支柱内の上方位置に固定された滑車を屈曲点として、昇降体と錘とを接続していることから、錘を交換することより牽引力を簡単に変更することができるとともに、構造が簡単であるため修理や調整等のメンテナンスも容易である。
また、昇降体及び牽引手段が支柱内に配設されていることから、外的要因による影響を排除することができて故障が生じにくく且つ安全であり、長期間に亘って動作が安定し、メンテナンスの手間を大幅に省くことが可能となる。
更に、支柱内に配設されて支柱に沿って昇降可能な昇降体に対して自転車載置台の前端部が取り付けられているため、自転車載置台の前後の重量バランスを調整する必要が無く、安定した昇降動作が可能となる。
また、牽引手段により付与される引張力に抗して昇降体を支柱の下方位置に固定する固定手段を備えているため、不意に昇降体及び自転車載置台が上昇する虞が無く非常に安全である。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、支柱が幅方向中央に上下方向に延びるスリットを有し、昇降体は自転車載置台の取付部分がスリットに面するように配置されていることから、自転車載置台の前端部(昇降体への取付部分)をスリット内(支柱内)に位置させた状態で昇降させることが可能となる。そのため、自転車載置台の昇降体への取付部分に対して外的要因が影響することが防がれて故障が生じにくくなり、安定した昇降動作を長期間に亘って維持することができる。
また、線状体が幅方向中央を挟んで上下方向に延びる左右一対の線状体からなり、滑車が幅方向中央を挟んで配置された左右一対の滑車からなり、錘がスリットの幅方向外側に夫々配置された左右一対の錘からなることから、1つの錘とワイヤーを用いた場合に比べて重量バランスの調整が容易であり、昇降動作を安定させることができる。更に、錘等の牽引手段を左右に分けて配置することにより、支柱の奥行き(前後方向長さ)を小さく(薄く)することが可能となり、設置スペースを小さくすることができる。
【0017】
請求項3に係る発明によれば、自転車が収納されていない状態では、ストッパピンがストッパ固定板に挿入されるとともに、付勢手段が可動ストッパをストッパピンが貫通穴に挿入される方向(一方向)に回動するように付勢するため、昇降体及び自転車載置台が上昇することがなく安全である。
また、自転車を収納する際には、自転車の前輪でスリットの開口部近傍に位置する可動ストッパの他端部を押すことにより、可動ストッパが付勢手段の付勢力に抗して屈曲部を支点として回動し、ストッパ固定板に挿入されたストッパピンが抜かれ、固定手段が解除されて昇降体及び自転車載置台が上昇する。これにより、特別な操作を必要とせずに自転車を前方に移動させるだけで自動的に自転車載置台を上昇させることができ、操作の煩わしさが無い。しかも、自転車を前輪が可動ストッパの他端部を押すまで前進させない限り、固定手段による固定は解除されないため、自転車が完全に載っていない状態で自転車載置台が上昇することがなく、非常に安全である。
【0018】
請求項4に係る発明によれば、ストッパ固定板の貫通穴が上下方向に間隔をあけて配置された複数の貫通穴からなることから、ストッパピンを挿入する貫通穴を変えることにより、自転車載置台が固定される高さを変化させることができ、様々な大きさや種類の自転車に対応することが可能となる。
【0019】
請求項5に係る発明によれば、昇降体が支柱の内面に沿って転動する車輪を備えており、前記車輪は前記幅方向中央を挟んだ位置に配置された左右の車輪からなる車輪対が上下に間隔をあけて複数対設けられ且つ前後に間隔をあけて複数対設けられていることから、自転車載置台及び自転車の重さによる昇降体の傾きやぶれを確実に防止することができ、昇降体の昇降動作を安定させることが可能となる。
【0020】
請求項6に係る発明によれば、自転車載置台をスリット内に収容可能とする収容手段を備えており、収容手段は、自転車載置台を昇降体への取付部分を支点として上方向に回動させることによりスリット内に収容することから、不使用時や搬送時には自転車載置台をスリット内に収容して支柱内に収めることにより、駐輪装置を非常にコンパクト化することが可能となる。
【0021】
請求項7に係る発明によれば、収容手段は、昇降体の前記取付部分の上方部と、自転車載置台の長さ方向中途部とを連結する屈曲可能な連結棒と、昇降体の前記取付部分の上方部と、自転車載置台の前記取付部分よりも前方位置とを連結する流体圧シリンダとからなり、自転車載置台を、前記取付部分を支点として上方向に回動させたときに、連結棒が屈曲するとともに流体圧シリンダが伸長することから、自転車載置台を上方に回動させる際に、流体圧シリンダによる抵抗力が加わり、使用時において不用意に自転車載置台が上方に回動することを防止することができる。また連結棒が設けられていることにより、自転車載置台が水平位置よりも下方に回動することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る二段式駐輪装置の上段収納部の側面図である。
【図2】本発明に係る二段式駐輪装置の上段収納部の正面図である。
【図3】本発明に係る二段式駐輪装置の要部拡大図であって、(a)は図1の要部拡大図、(b)は図2の要部拡大図である。
【図4】昇降体の本体を示す図であって、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は底面図である。
【図5】ストッパ固定板を示す図であって、(a)は正面図、(b)は底面図である。
【図6】ストッパピンを示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
【図7】可動ストッパを示す図であって、(a)は側面図、(b)は正面断面図である。
【図8】付勢手段を示す図であって、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は取付状態を示す図である。
【図9】固定手段の作用を説明する図である。
【図10】延出部材を示す図であって、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図11】収容手段の作用について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る二段式駐輪装置の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
本発明に係る二段式駐輪装置は、自転車を上段収納部と下段収納部の上下二段で収納することができるものであり、上段収納部が昇降可能に構成されている。
図1は本発明に係る二段式駐輪装置の上段収納部を示す側面図であり、図2は本発明に係る二段式駐輪装置の上段収納部を示す正面図である。尚、図1では支柱を上下方向全体に亘って切り欠いて内部を示しており、図2では支柱の上方部分と下方部分の一部(車輪(22)部分)を切り欠いて内部を示している。図3(a)は図1の要部拡大図、(b)は図2の要部拡大図である。
以下、本明細書において、図1の左側を前方、右側を後方と称し、図2の右側を右方、左側を左方と称する。
【0024】
上段収納部は、上下方向に延びるように床面上に立設される支柱(1)と、支柱(1)に沿って昇降可能な昇降体(2)と、昇降体(2)に対して上方向の引張力を付与する牽引手段(3)と、牽引手段(3)により付与される引張力に抗して昇降体(2)を支柱(1)の下方位置に固定する固定手段(4)と、昇降体(2)に対して前端部が取り付けられた自転車載置台(5)と、自転車載置台(5)を支柱(1)に設けられたスリット(11)内に収容可能とする収容手段(6)を備えている。
【0025】
支柱(1)は、内部に空間を有する四角柱状であって、自転車載置台(5)が位置する側(後方側)の面の幅方向中央に上下方向に延びるスリット(11)を有している。
支柱(1)の内部空間には、昇降体(2)及び牽引手段(3)が配設されている。
昇降体(2)は、自転車載置台(5)の取付部分がスリット(11)に面するように配置されている。これにより、自転車載置台(5)の前端部をスリット内(支柱内)に位置させた状態で昇降させることが可能となる。そのため、外的要因の影響を受けにくくすることができて故障が生じにくくなり、安定した昇降動作を長期間に亘って維持することができる。
【0026】
図4は昇降体(2)の本体(21)を示す図であって、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は底面図である。
本体(21)は、左右一対の側板(211)と、左右一対の側板を連結する前板(212)を備えている。
左右一対の側板(211)には、四隅(上下前後)に夫々車輪取付用の穴(211a)が設けられており、これらの穴(211a)に対して夫々車軸が挿通されて車輪(22)が取り付けられる(図3参照)。
これにより、支柱(1)の幅方向中央を挟んだ位置に配置された左右一対の車輪(22)からなる車輪対が、上下に間隔をあけて二対設けられ且つ前後に間隔をあけて二対設けられることとなる。
これら合計四対(八個)の車輪(22)が支柱(1)の内面に沿って転動することにより、昇降体(2)が支柱(1)に沿って昇降する。
このように、昇降体(2)が、上下前後左右に間隔をあけて配置された合計四対(八個)の車輪(22)を用いて支柱(1)の内面に沿って転動するように構成されていることにより、自転車載置台(5)及び自転車の重さによる昇降体(2)の傾きやぶれが確実に防止され、昇降体(2)の昇降動作が非常に安定する。
【0027】
昇降体(2)の本体(21)において、側板(211)の上方位置を左右方向に貫通する穴(211b)には後述する連結棒(61)の一端部が回動自在に取り付けられる。また、側板(211)の下方位置を左右方向に貫通する穴(211c)は自転車載置台(5)の昇降体(2)への取付部分となり(以下、取付部分(211c)という場合がある。)、後述するピン(64)が挿通される。
また、前板(212)を前後方向に貫通する穴(212a)は後述するストッパピン(42)が挿入される穴となる。
穴(212a)は前後方向に延びる円筒状に形成されている。この円筒状部は、ストッパピン(42)の動きを前後方向にガイドして、後述するストッパ固定板(41)の貫通穴(411)に対して確実に挿入できるようにする役割を果たしている。
前板(212)の略中央には矩形状の穴(212b)が設けられている。この穴(212b)は、後述する付勢手段(ねじりコイルバネ)(44)を通すための穴となる。
また、前板(212)の上方部分には、後述する流体圧シリンダ(62)の基端部を取り付けるための左右一対の取付板(212c)が後方に向けて突出している。
【0028】
牽引手段(3)は、滑車(31)と錘(32)と線状体(33)から構成されている(図2参照)。
線状体(33)は金属製のワイヤー等からなり、支柱(1)内の上方位置に固定された滑車(31)を屈曲点として逆U字状に屈曲し、昇降体(2)と錘(32)とを接続している。
錘(32)は、自転車を載せた状態の自転車載置台(5)の重さより重いものであり、例えば金属製ブロック等からなる。錘(32)は線状体(33)から容易に取り外すことができ、必要に応じて異なる重さのものに交換することができる。
【0029】
図2に示すように、線状体(33)は支柱(1)の幅方向中央を挟んで上下方向に延びる左右一対の線状体からなり、滑車(31)は前記幅方向中央を挟んで配置された左右一対の滑車からなり、錘(32)は前記幅方向中央を挟んで配置された左右一対の錘からなる。
左右一対の線状体(33)は支柱(1)のスリット(11)に沿って上下方向に延びており、左右一対の錘(32)はスリット(11)の幅方向外側に夫々配置されている。
このように滑車(31)と錘(32)と線状体(33)を左右一対ずつ設けるとともに、錘(32)をスリット(11)の幅方向外側に配置することにより、1つの錘とワイヤーを用いた場合に比べて重量バランスが非常に安定し、昇降台(2)のブレを抑制して昇降動作を安定させることができる。また、支柱(1)の奥行き(前後方向長さ)を小さく(薄く)することが可能となり、設置スペースを小さくすることができる。
【0030】
固定手段(4)は、ストッパ固定板(41)と、ストッパピン(42)と、可動ストッパ(43)と、付勢手段(44)とから構成されている。
図5はストッパ固定板(41)を示す図であって、(a)は正面図、(b)は底面図である。
ストッパ固定板(41)は断面コの字状の金属板からなり、コの字の開放側が支柱(1)の前方内面に当接するように、支柱(1)内の下方位置に固定されている(図3(a)参照)。
ストッパ固定板(41)は左右対になった貫通穴(411)を有している。貫通穴(411)は上下方向に間隔をあけて三対(六個)設けられている。
これらの貫通穴(411)に対してストッパピン(42)が挿脱される。
【0031】
図6はストッパピン(42)を示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
ストッパピン(42)は、前方側が後方側に比べて小径となる段付きピンであり、後方側の大径部分には上下方向に且つ上方に向かうにつれて前方に傾斜した貫通穴(421)が形成されている。
この貫通穴(421)には、可動ストッパ(43)の下端部(一端部)が挿入される。
【0032】
図7は可動ストッパ(43)を示す図であって、(a)は側面図、(b)は正面断面図である。
可動ストッパ(43)は、側面視において略くの字状に屈曲しており、該屈曲部が昇降体(2)に対して回動自在に取り付けられている。具体的には、可動ストッパ(43)の屈曲部には穴(431)が設けられており、この穴(431)には回動支点となるピン(46)が挿通され(図3参照)、ピン(46)の両端は昇降体(2)の本体(21)に回動可能に支持されている。
可動ストッパ(43)は左右一対(2つ)設けられており、これら左右一対の可動ストッパ(43)は上端部(他端部)に設けられた穴(432)に挿通された連結ピン(45)により連結されている(図3(b)参照)。
可動ストッパ(43)の上端部(他端部)を連結する連結ピン(45)は、通常の状態(自転車の前輪が当たっていない状態)では、スリット(11)の開口部近傍に位置している(図3(a)参照)。
可動ストッパ(43)の下端部(一端部)は、上述したようにストッパピン(42)の貫通穴(421)に挿入される。尚、可動ストッパ(43)及びストッパピン(42)は左右一対(2つ)設けられている(図3(b)参照)。
【0033】
図8は付勢手段(44)を示す図であって、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は取付状態を示す図である。
付勢手段(44)は、図示の如く、ねじりコイルバネからなる。
付勢手段(44)(ねじりコイルバネ)は、コイル部(441)に可動ストッパ(43)の回動支点となるピン(46)が挿通される。また、コイル部(441)の上方部(442)が可動ストッパ(43)の屈曲部上方に係止され、コイル部(441)の下方部(443)が本体(21)の前板(212)の後面に係止される(図8(c)参照)。
これにより、付勢手段(44)は、可動ストッパ(43)を屈曲部に挿通されたピン(46)を支点として一方向(図8(c)の時計回り方向)に回動するように付勢している。可動ストッパ(43)が付勢された方向(一方向)は、可動ストッパ(43)の下端部(一端部)に取り付けられたストッパピン(42)がストッパ固定板(41)の貫通穴(411)に挿入される方向となる。
【0034】
次に、図9を参照しながら固定手段(4)の作用を説明する。
図9(a)に示すように、自転車の前輪(F)が可動ストッパ(43)の上端部を連結する連結ピン(45)に当たっていない状態では、付勢手段(44)の付勢力により可動ストッパ(43)は上記一方向(図9(a)時計回り方向)に付勢され、これによりストッパピン(42)がストッパ固定板(41)の貫通穴(411)に挿入された状態が維持されている。そのため、昇降体(2)は、錘(32)による上方向の引張力が加わっているが、上昇することなく下方位置に固定され、自転車載置台(5)も下方位置に留まる。
【0035】
図9(b)に示すように、自転車が前進して前輪(F)が可動ストッパ(43)の上端部を連結する連結ピン(45)を押すと、可動ストッパ(43)が付勢手段(44)の付勢力に抗して上記一方向と反対方向(図9(b)反時計回り方向)に回動し、これによりストッパピン(42)がストッパ固定板(41)の貫通穴(411)から抜ける。すると、昇降体(2)は錘(32)による上方向の引張力によって上昇し、これに伴って自転車載置台(5)も上昇する。
【0036】
上記したように、自転車の前輪(F)が可動ストッパ(43)の上端部を連結する連結ピン(45)を押さない限りは、固定手段による昇降体(2)の固定が解除されないため、自転車の未収納時において昇降体(2)及び自転車載置台(5)が上昇することがなく、安全である。
また、自転車を収納する際には、自転車の前輪(F)で連結ピン(45)を押すことにより、固定手段が解除されて昇降体(2)及び自転車載置台(5)が上昇する。これにより、特別な操作を必要とせずに自転車を前方に移動させるだけで自動的に自転車載置台(5)を上昇させることができ、操作の煩わしさが無い。しかも、自転車を前輪(F)が連結ピン(45)を押すまで前進させない限り、固定手段による固定は解除されないため、自転車が完全に載っていない状態で自転車載置台(5)が上昇することがなく、非常に安全である。
【0037】
また、ストッパ固定板(41)が上下方向に間隔をあけて複数対の貫通穴(411)を有しているため、図9(a)に示す固定状態において、ストッパピン(42)を挿入する貫通穴(411)の高さを変えることにより、自転車載置台(5)が固定される高さを変化させることができる。そのため、様々な大きさや種類の自転車に対応することが可能となる。また、ストッパピン(42)が上下方向に並んだ複数の貫通穴(411)のいずれかに挿入されれば自転車載置台(5)が固定されるため、容易に固定状態とすることができ、固定に失敗する虞が少なくて安全である。
【0038】
自転車載置台(5)は自転車を載せる縦断面凹字状の台であって、自転車の前輪と後輪を載せることができる幅と長さを有している。
自転車載置台(5)は、前端部が昇降体(2)に対して取り付けられており、これにより昇降体(2)と共に昇降する。
自転車載置台(5)の下面には、上昇した位置にある自転車載置台(5)を人力で引っ張って下降させる際の持ち手となる把持部(51)が設けられている。
【0039】
収容手段(6)は、自転車載置台(5)を、昇降体(2)への取付部分(211c)を支点として上方向に回動させることによりスリット(11)内(支柱(1)内)に収容するための手段である。
収容手段(6)は、左右一対の連結棒(61)と、流体圧シリンダ(62)とを備えている。
【0040】
連結棒(61)は長さ方向中途部に屈曲可能部(611)を有する棒であって(図3(a)参照)、屈曲可能部(611)はチェーン等から形成されている。
連結棒(61)の一端部は、昇降体(2)の本体(21)の側板(211)に対して回動可能に取り付けられている。具体的には、側板(211)の自転車載置台(5)の取付部分(211c)より上方部に設けられた穴(211b)に回動可能に取り付けられている。
連結棒(61)の他端部は、自転車載置台(5)の長さ方向中途部に対して回動可能に取り付けられている。
これにより、連結棒(61)は、昇降体(2)と自転車載置台(5)とを前方から後方に向けて下向きに傾斜するように連結している(図1、図3(a)参照)。
【0041】
流体圧シリンダ(62)はガスシリンダや油圧シリンダ等からなり、ロッド(621)が略上下方向に伸縮するように配設されている。
流体圧シリンダ(62)の基端部は、昇降体(2)の本体(21)の前板(212)に対して回動可能に取り付けられている。具体的には、本体(21)の自転車載置台(5)の取付部分(211c)より上方部であって且つ連結棒(61)の一端部の近傍位置において、左右一対の取付板(212c)に対して取り付けられている。
流体圧シリンダ(62)の先端部(ロッド(621)の先端部)は、延出部材(63)を介して自転車載置台(5)に対して回動可能に取り付けられている。具体的には、自転車載置台(5)は、前端部が本体(21)に対する取付部分(211c)よりもやや前方位置にあり、当該前端部より上方に向けて延びる延出部材(63)が取り付けられている(図3(a)参照)。
【0042】
図10は延出部材(63)を示す図であって、(a)は側面図、(b)は正面図である。
延出部材(63)は、側面視L字状に屈曲して一端部に貫通穴(631a)を有する左右一対の側板(631)と、左右一対の側板(631)を連結するように側板(631)の他端部に設けられた円筒部(632)とから構成されている。
円筒部(632)にはピン(64)が挿通される(図3(a)(b)参照)。このピン(64)は、昇降体(2)の側板(211)の穴(211c)及び自転車載置台(5)にも挿通されており、自転車載置台(5)を上方向に回動させる際の回動支点となる。
延出部材(63)の貫通穴(631a)にはピン(65)が挿通される(図3(a)参照)。このピン(65)は、流体圧シリンダ(62)の先端部(ロッドの先端部(621))に設けられた穴に挿通されており、延出部材(63)と流体圧シリンダ(62)のロッド(621)の先端部とを連結している。
【0043】
次に図11を(a)〜(g)の順に参照しながら、収容手段(6)の作用について説明する。
図11(a)の初期状態では自転車載置台(5)が水平状態にある。
この状態では、流体圧シリンダ(62)にはロッド(621)が短縮しようとする力が働いており、延出部材(63)は上方向に引っ張られている。これにより、自転車載置台(5)には下方向に回動しようとする力が作用するが、連結棒(61)により水平状態より下方に回動することが防がれている。
【0044】
図10(a)の状態から、使用者が自転車が載っていない状態の自転車載置台(5)の後方部分を持って上方向に押し上げると、自転車載置台(5)は昇降体(2)の本体(21)への取付部分(211c)のピン(64)を支点として上方向に回動する。
自転車載置台(5)の上方向への回動に伴って、流体圧シリンダ(62)のロッド(621)が伸長するとともに、連結棒(61)の屈曲可能部(611)の屈曲角度が大きくなり、自転車載置台(5)の床面に対する角度も大きくなる(図10(b)〜(f)参照)。
そして、自転車載置台(5)が上方向に90°回動すると、自転車載置台(5)はスリット(11)内(支柱(1)内)に収容された状態となる。
【0045】
このように自転車載置台(5)をスリット(11)内に収容して支柱(1)内に収めることにより、不使用時や搬送時には駐輪装置を非常にコンパクト化することが可能となる。また、自転車載置台(5)を上方に回動させる際には流体圧シリンダ(62)による抵抗力が加わるため、使用時において不用意に自転車載置台(5)が上方に回動することが防がれて安全である。また連結棒(61)により、自転車載置台(5)が基準位置(水平位置)よりも下方に回動することを確実に防ぐことができる。
【0046】
本発明に係る二段式駐輪装置は、従来の二段式駐輪装置(例えば上記特許文献1,2参照)と同様に、上段収納部は幅方向に複数並んで設置され、上段収納部の下方には下段収納部(図示略)が設けられる。
下段収納部の構成は特に限定されないが、例えば、本願出願人が特開2008−296784号公報、特開2004−256110号公報、実用新案登録第3045190号公報において開示した自転車載置台を横方向にスライドすることができるスライド式の自転車収納装置が好適に使用される。
下段収納部としてスライド式の自転車収納装置を使用すると、上段収納部の自転車載置台(5)を下降させる場合には、その下方にある下段収納部の自転車載置台を横方向にスライドさせて移動させることにより、下段収納部の自転車載置台が下降の邪魔になることがない。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明に係る二段式駐輪装置は、集合住宅や駅の駐輪場等の狭いスペースで多数の自転車を駐輪することが必要な場所において好適に使用される。
【符号の説明】
【0048】
1 支柱
11 スリット
2 昇降体
211c 自転車載置台の取付部分
22 車輪
3 牽引手段
31 滑車
32 錘
33 線状体
4 固定手段
41 ストッパ固定板
42 ストッパピン
43 可動ストッパ
44 付勢手段
5 自転車載置台
6 収容手段
61 連結棒
611 屈曲可能部
62 流体圧シリンダ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上段収納部と下段収納部を有する二段式駐輪装置であって、
前記上段収納部は、
上下方向に延びる支柱と、
前記支柱に沿って昇降可能な昇降体と、
前記昇降体に対して上方向の引張力を付与する牽引手段と、
前記牽引手段により付与される引張力に抗して前記昇降体を前記支柱の下方位置に固定する固定手段と、
前記昇降体に対して前端部が取り付けられた自転車載置台を備えており、
前記牽引手段は、滑車と錘と線状体からなり、
前記線状体は、前記支柱内の上方位置に固定された滑車を屈曲点として、前記昇降体と前記錘とを接続しており、
前記昇降体及び前記牽引手段は前記支柱内に配設されている
ことを特徴とする二段式駐輪装置。
【請求項2】
前記支柱は、幅方向中央に上下方向に延びるスリットを有し、
前記昇降体は、前記自転車載置台の取付部分が前記スリットに面するように配置されており、
前記線状体は、前記幅方向中央を挟んで上下方向に延びる左右一対の線状体からなり、
前記滑車は、前記幅方向中央を挟んで配置された左右一対の滑車からなり、
前記錘は、前記スリットの幅方向外側に夫々配置された左右一対の錘からなる
ことを特徴とする請求項1記載の二段式駐輪装置。
【請求項3】
前記固定手段は、
前記支柱内の下方位置に固定された貫通穴を有するストッパ固定板と、
前記貫通穴に対して挿脱されるストッパピンと、
略くの字状に屈曲し、該屈曲部が前記昇降体に対して回動自在に取り付けられるとともに、一端部に前記ストッパピンが取り付けられ、他端部が前記スリットの開口部近傍に位置し、前記屈曲部を支点として回動可能な可動ストッパと、
前記可動ストッパに対して一方向に回動する力を付勢する付勢手段とからなり、
前記一方向は、前記ストッパピンが前記貫通穴に挿入される方向である
ことを特徴とする請求項1又は2記載の二段式駐輪装置。
【請求項4】
前記貫通穴が、上下方向に間隔をあけて配置された複数の貫通穴からなることを特徴とする請求項3記載の二段式駐輪装置。
【請求項5】
前記昇降体は、前記支柱の内面に沿って転動する車輪を備えており、
前記車輪は、前記幅方向中央を挟んだ位置に配置された左右の車輪からなる車輪対が、上下に間隔をあけて複数対設けられ且つ前後に間隔をあけて複数対設けられている
ことを特徴とする請求項2乃至4いずれかに記載の二段式駐輪装置。
【請求項6】
前記自転車載置台を前記スリット内に収容可能とする収容手段を備えており、
前記収容手段は、前記自転車載置台を、前記昇降体への取付部分を支点として上方向に回動させることにより前記スリット内に収容することを特徴とする請求項2乃至5いずれかに記載の二段式駐輪装置。
【請求項7】
前記収容手段は、
前記昇降体の前記取付部分より上方部と、前記自転車載置台の長さ方向中途部とを連結する屈曲可能な連結棒と、
前記昇降体の前記取付部分より上方部と、前記自転車載置台の前記取付部分より前方位置とを連結する流体圧シリンダとからなり、
前記自転車載置台を、前記取付部分を支点として上方向に回動させたときに、前記連結棒が屈曲するとともに前記流体圧シリンダが伸長する
ことを特徴とする請求項6記載の二段式駐輪装置。
【請求項1】
上段収納部と下段収納部を有する二段式駐輪装置であって、
前記上段収納部は、
上下方向に延びる支柱と、
前記支柱に沿って昇降可能な昇降体と、
前記昇降体に対して上方向の引張力を付与する牽引手段と、
前記牽引手段により付与される引張力に抗して前記昇降体を前記支柱の下方位置に固定する固定手段と、
前記昇降体に対して前端部が取り付けられた自転車載置台を備えており、
前記牽引手段は、滑車と錘と線状体からなり、
前記線状体は、前記支柱内の上方位置に固定された滑車を屈曲点として、前記昇降体と前記錘とを接続しており、
前記昇降体及び前記牽引手段は前記支柱内に配設されている
ことを特徴とする二段式駐輪装置。
【請求項2】
前記支柱は、幅方向中央に上下方向に延びるスリットを有し、
前記昇降体は、前記自転車載置台の取付部分が前記スリットに面するように配置されており、
前記線状体は、前記幅方向中央を挟んで上下方向に延びる左右一対の線状体からなり、
前記滑車は、前記幅方向中央を挟んで配置された左右一対の滑車からなり、
前記錘は、前記スリットの幅方向外側に夫々配置された左右一対の錘からなる
ことを特徴とする請求項1記載の二段式駐輪装置。
【請求項3】
前記固定手段は、
前記支柱内の下方位置に固定された貫通穴を有するストッパ固定板と、
前記貫通穴に対して挿脱されるストッパピンと、
略くの字状に屈曲し、該屈曲部が前記昇降体に対して回動自在に取り付けられるとともに、一端部に前記ストッパピンが取り付けられ、他端部が前記スリットの開口部近傍に位置し、前記屈曲部を支点として回動可能な可動ストッパと、
前記可動ストッパに対して一方向に回動する力を付勢する付勢手段とからなり、
前記一方向は、前記ストッパピンが前記貫通穴に挿入される方向である
ことを特徴とする請求項1又は2記載の二段式駐輪装置。
【請求項4】
前記貫通穴が、上下方向に間隔をあけて配置された複数の貫通穴からなることを特徴とする請求項3記載の二段式駐輪装置。
【請求項5】
前記昇降体は、前記支柱の内面に沿って転動する車輪を備えており、
前記車輪は、前記幅方向中央を挟んだ位置に配置された左右の車輪からなる車輪対が、上下に間隔をあけて複数対設けられ且つ前後に間隔をあけて複数対設けられている
ことを特徴とする請求項2乃至4いずれかに記載の二段式駐輪装置。
【請求項6】
前記自転車載置台を前記スリット内に収容可能とする収容手段を備えており、
前記収容手段は、前記自転車載置台を、前記昇降体への取付部分を支点として上方向に回動させることにより前記スリット内に収容することを特徴とする請求項2乃至5いずれかに記載の二段式駐輪装置。
【請求項7】
前記収容手段は、
前記昇降体の前記取付部分より上方部と、前記自転車載置台の長さ方向中途部とを連結する屈曲可能な連結棒と、
前記昇降体の前記取付部分より上方部と、前記自転車載置台の前記取付部分より前方位置とを連結する流体圧シリンダとからなり、
前記自転車載置台を、前記取付部分を支点として上方向に回動させたときに、前記連結棒が屈曲するとともに前記流体圧シリンダが伸長する
ことを特徴とする請求項6記載の二段式駐輪装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−173476(P2011−173476A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38005(P2010−38005)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【特許番号】特許第4634531号(P4634531)
【特許公報発行日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(597107560)株式会社ニチプレ (8)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【特許番号】特許第4634531号(P4634531)
【特許公報発行日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(597107560)株式会社ニチプレ (8)
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