説明

二流体ノズルおよびその二流体ノズルを備える微細化装置

【解決課題】気体供給圧が低圧下で、二流体混合の液微粒子の噴霧を可能とする二流体ノズルおよび、この二流体ノズルから噴霧された液微粒子を微細化可能な微細化装置を提供する。
【課題解決手段】外ノズルの外オリフィスおよび内ノズルの内オリフィスのそれぞれの中心軸が一致または略一致するように、外オリフィスと内オリフィスが所定の間隔(L1)をあけて直列配置され、内ノズルの第1流通路から流通する第1流体の流通方向に対し、この第1流体と混合される第2流体の流通方向を角度(α)に形成するように、外ノズル内壁面と内ノズル外壁面との間に第2流体の第2流通路を構成する。二流体ノズルから噴霧された液微粒子を微細化する第1微細化部と、第1微細化部から装置本体外へ通じる開口部と、二流体ノズルで使用される第2流体の供給源であって、装置本体下部に設けられる液供給部とを備える微細化装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外ノズルの内部に内ノズルが配設された二流体ノズルおよびその二流体ノズルを備える微細化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の二流体ノズルは、図12に示すように、外ノズル101の外オリフィス101a内に内ノズル102のニードル(内オリフィス102a)が配置され、内ノズル102の液体流通部102bから液体が供給され、外ノズル101の内壁と内ノズル102の外壁との隙間で構成される気体流通部101bから気体が供給される。そして、気体の供給圧と液体の供給圧との2つの圧力を作用させて液体を微粒化(平均粒子径は、例えば10〜50μm程度)させている。
【0003】
図12のような二流体ノズルでは、液体の供給圧をフリー(すなわち圧力をかけない)の状態にした場合、気体供給圧を高圧(例えば、100kPaを越える)に設定すれば、強い負圧力を発生させて液体を吸い込ませて気液混合を行える。しかしながら、気体供給圧が低圧(例えば、100kPa以下)の場合は、負圧力が弱いために、液体を十分に吸い込ませることができず、微粒子が噴霧されないか、あるいは気液混合が不十分となり大きい粒子径の粒子が噴霧されてしまい、特に、液体の液面から内ノズル102までの吸い上げヘッドが高くなるに比例して噴霧されなくなる。
【0004】
また、二流体ノズルの使用方法として、上方向、横方向、下方向に噴霧する場合があり、いずれの噴霧方向においても所定の粒子径の液微粒子を噴霧させたいとの要望がある。また、液体の供給圧力がフリーで、かつ気体供給圧が低圧(例えば、100kPa以下)の場合でも所定の粒子径の液微粒子を噴霧させたいとの要望がある。また、気体供給圧を低圧にしても、製品仕様上満足しうる所望の液微粒子の噴霧量を得たいとの要望がある。
【0005】
また、医療機器(例えば、吸入機)、半導体(成膜技術)、スプレードライヤー(セラミック新素材)、燃焼用バーナー等の分野で液滴径がサブミクロン(1〜10μm)またはナノ(1μm未満)粒子のニーズが普及しつつある。現状の霧化技術は、気液混合式(二流体式)、超音波式、超高圧式(100MPa〜300MPa)、蒸発式等があるが、いずれも装置コストが高く、小型化が困難である。
【0006】
また、微粒子ミストを生成するための噴霧ノズル装置が知られている(特許文献1)。この噴霧ノズル装置は、第1ノズル部と第2ノズル部を有し、第1ノズル部からの噴霧液と第2ノズル部からの噴霧液とを衝突させて、微粒子ミストを形成することができる。しかしながら、2流体ノズル部を2つ備えるため、コスト高であり、小型化にも適していない。また、気体供給圧を低圧にするのに適した構成ではない。
【0007】
また、他の二流体ノズルとして特許文献2が知られている。特許文献2の二流体ノズルは、中心軸線に沿って液体流路(20B)を設け、外周に環状の外側気体流路(21B)を設け、液体流路の途中に液体分岐流路(23)を介設し、液体分岐流路の再合流位置に旋回手段(28)を配置して液体を一次微粒化させ、かつ、液体分岐流路で囲まれた中央部位に中央気体流入部(25)を形成し、中央気体流入部に外側気体流路より気体を導入して、旋回して環状膜となった液体の中央に気体を衝突混合で導入して、二次微粒化させながら第1混合を行わせ、さらに、再合流されて気液混合流路(30)となる流路周面に、外側気体流路を連通する気体流入孔(15d)を設けて、気液混合流路の混合流体に対して外周面より気体を衝突混合で流入して三次微粒化しながら第2混合を行わせて、噴霧口(16g)より気液混合ミストとして噴霧させている。しかしながら、ノズル内部の構造が複雑であり、コスト高である。また、噴霧流量を230〜700L/時間とした条件下において気水比100とすると、得られた噴霧液の平均粒子径が50μm程度であり、サブミクロンサイズの噴霧粒子を得ることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−126587号公報
【特許文献2】特開2002−159889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の二流体ノズルは、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、気体供給圧が低圧下でも、二流体混合の液微粒子の噴霧を可能とする二流体ノズルを提供することにある。また、他の発明の微細化装置の目的は、二流体ノズルから噴霧された液微粒子を微細化可能な微細化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(二流体ノズル)
本発明の二流体ノズルは、外ノズルの内部に内ノズルが配設された二流体ノズルであって、
外ノズルの外オリフィスおよび内ノズルの内オリフィスのそれぞれの中心軸が一致または略一致するように、外オリフィスと内オリフィスが所定の間隔をあけて直列配置され、
内ノズルの第1流通路から流通する第1流体の流通方向に対し、この第1流体と混合される第2流体の流通方向を45〜90°の角度に形成するように、外ノズル内壁面と内ノズル外壁面との間に第2流体の第2流通路を構成することを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、従来のように内オリフィスのニードルが外オリフィス内に配置された構成とは異なり、外オリフィスおよび内オリフィスのそれぞれの中心軸を一致または略一致させて、外オリフィスと内オリフィスが所定の間隔(図1(b)、図9のL1)をあけて直列に配置されて、さらに、第1流体の流通方向に対し第2流体の流通方向が45〜90°の角度(図9のα)で交差することにより、第1流体と第2流体の混合を好適に行え、所定の平均粒子径の液微粒子を噴霧することができる。角度αに代替し二流体ノズルの噴霧方向に対する第2流体の流入角度(2α)として定義すれば、第2流体の流入角度2αは90°〜180°の構成となる。また、液体供給圧がフリー(圧力なし)かつ低圧の気体供給圧(例えば、10kPa〜100kPa以下)で、液微粒子を噴霧できる。また、液面から内ノズルまでの吸い上げヘッドが高く、従来の機構では噴霧できなくとも、本発明の二流体ノズルの機構では、低圧の気体供給圧(例えば、10kPa〜100kPa以下)においても液微粒子を噴霧できる。また、従来の内ノズルの内オリフィスのニードル形状をなくしたことで、樹脂成形による製作を可能にし、コストダウン効果も大きい。
【0012】
内オリフィスおよび第1流通路を流通する「第1流体」を気体にした場合、外オリフィスおよび第2流通路を流通する「第2流体」は液体である(この場合を、「内エア方式」という。)。また、この逆のパターンとして、内オリフィスおよび第1流通路を流通する「第1流体」を液体にした場合、外オリフィスおよび第2流通路を流通する「第2流体」は気体である(この場合を、「外エア方式」という。)。本発明では、特に制限されず、いずれのパターンでも液微粒子を噴霧できるが、内エア方式の場合、低圧の気体供給圧(例えば、10kPa〜100kPa以下)の場合においても外エア方式より平均粒子径の小さい液微粒子を噴霧でき、噴霧される液微粒子の粒子径範囲(最大、最小、偏差)を好適に調整可能である。
【0013】
「中心軸を一致または略一致」は、それぞれの中心軸同士が実質的に同軸であればよく、完全に同軸である必要はなく、量産化やノズル形成材料による組み立て誤差、寸法誤差等も許容できる範囲である。
【0014】
「第1流体の流通方向に対し、第2流体の流通方向を45〜90°の角度に形成する」とは、図9に示すように、第1流体の流通方向は、内オリフィスの軸91(一点鎖線)であり、第2流体の流通方向は、内オリフィスの軸91と交差する軸92(一点鎖線)であり、軸91に対する軸92の角度αが45〜90°であることを意味する。この角度αは、60〜90°が好ましく、75〜90°がより好ましく、80〜90°がさらに好ましい。第2流体の流入角度2αとして、90°〜180°であり、120〜180°が好ましく、150〜180°がより好ましく、160〜180°がさらに好ましい。
【0015】
図9に示すように、外オリフィス入口端面と内オリフィス出口端面と間の「所定の間隔」L1は、例えば、0.01mm〜1mmの範囲で設定できる。L1は、液体や気体の種類、気体供給圧(必要に応じて液体供給圧)の圧力値、内オリフィスの径、外オリフィスの径等のパラメータに応じて設定でき、例えば、それらパラメータを固定にして、液微粒子の噴霧量Qwを任意に設定し、Qwが満足するように、L1を設定する。L1は、0.05mm〜0.5mmが好ましく、0.1mm〜0.3mmがより好ましく、0.15mm〜0.25mmがさらに好ましい。L1は、ノズルの量産化、形成方法(例えば、樹脂成形、樹脂加工、金属板加工等)、部品組み立て等の誤差を吸収し、かつ、微粒子噴霧を可能にする値が好ましく、例えば0.15mm〜0.25mmが好ましい。
【0016】
外オリフィス径と内オリフィス径との関係として、外オリフィス径が内オリフィス径よりも大きいことが好ましく、例えば、液体(水)供給圧がフリーかつ低圧の気体(空気)供給圧(例えば100kPa以下)の外エア方式において、外オリフィス径が内オリフィス径よりも小さい場合には液微粒子は噴霧されない。また、図9に示すように、外オリフィス径(φd1)は、内オリフィス径(φd2)の1.2倍〜2.0倍の範囲であることが好ましく、1.5倍〜1.7倍の範囲がより好ましい。
【0017】
外オリフィス長(L2)は、コンパクト性から短いほうがよく、例えば、0.1mm〜5.0mmの範囲が例示され、液微粒子噴霧の好適化のため、0.15〜1.0mmが好ましく、0.18mm〜0.5mmがより好ましい。
【0018】
上記二流体ノズルの一実施形態として、内ノズルの内オリフィスが形成された先端部分は台錘形状であり、当該台錘形状に応じた形状となるように、かつ所定の間隔(L1)をあけるように、外ノズルの内壁面形状を形成する構成がある。また、他の実施形態として、この台錘形状の天面の径は、外ノズルの外オリフィス径よりも大きい構成である(図9(b)参照)。従来のニードル状の内オリフィスのように尖った形状ではなく、台錘形状の内オリフィスであることにより、それが外オリフィス内部に配置されることはない。
【0019】
また、上記二流体ノズルの一実施形態として、第2流通路は、内ノズルの外壁面に形成された凹溝あるいは凸溝が外ノズル内壁面と接触することで形成される流通路を一部に含む、および/または前記第2流通路は、外ノズルの内壁面に形成された凹溝あるいは凸溝が内ノズル外壁面と接触することで形成される流通路を一部に含む構成である。この構成によれば、内ノズル外壁面および/または外ノズル内壁面に凹溝あるいは凸溝を形成することで流通路を簡単に形成でき、また、第2流体(内エア方式の場合に液体)の流通がスムーズで乱流が起こり難いので好ましい。また、内ノズル外壁面の一部と外ノズル内壁面の一部とが当接する構成であり、上記の所定の間隔(L1)を精度良く設定できる。
【0020】
また、上記二流体ノズルの一実施形態として、外オリフィスを含む外ノズル先端部分を外ノズル本体から着脱自在に構成する、および/または内オリフィスを含む内ノズル先端部分を内ノズル本体から着脱自在に構成する。この構成によれば、外オリフィスを含む外ノズル先端部分および/または内オリフィスを含む内ノズル先端部分を使い捨て部材で簡単に構成できる。着脱可能にする方法としては、例えば、嵌め込み、ネジ式等が挙げられ、接着剤やシーリング剤を用いることもできる。外オリフィスを含む外ノズル先端部分と内オリフィスを含む内ノズル先端部分は、寸法精度が高く要求されるため、金属板のプレス加工で製作し、他の外ノズル本体、内ノズル本体を樹脂成形で製作する構成が例示される。また、この構成により、液体の目詰まり時の交換を簡単にでき、また、利便性が向上する。
【0021】
二流体ノズルの他の構成部材としては、公知の部材を用いることができ、例えば、金属製、プラスチック製、ゴム製、それらが混在したもので構成できる。二流体ノズルに供給される「気体」は、特に制限されず、例えば、空気、清浄空気、高酸素濃度空気、不活性ガス等の気体が挙げられる。また、二流体ノズルに供給される「液体」は、特に制限されないが、水、イオン化水、化粧水等の化粧薬液、医薬液、殺菌液、除菌液等の薬液、塗料、燃料油、コーティング剤、溶剤、樹脂等が挙げられる。
【0022】
二流体ノズルに供給される気体の供給圧力は、例えば、10kPa〜300kPa、好ましくは10kPa〜250kPa、より好ましくは10kPa〜200kPa、さらに好ましくは10kPa〜100kPaの低圧条件である。さらなる低圧条件としては、10kPa〜60kPa、好ましくは10kPa〜40kPa、より好ましくは10kPa〜30kPa、さらに好ましくは10kPa〜20kPaの条件である。液体の供給圧力は、フリー、例えば、液体の供給圧力等の外的作用がない状態である。この条件において、二流体ノズルを上向き、横向き、下向きに向けて、気体の噴射作用で液体を吸い上げて、気液混合し、液微粒子を発生させ噴霧させることができる。外エア方式および内エア方式の両方が可能である。なお、気体供給圧力を低圧にできるため、二流体ノズルの気体送給に必要な駆動源(例えば、コンプレッサー、エアポンプ、電源、圧縮空気ボンベ、手動の空気送給機構)を小型化できる。
【0023】
(微細化装置)
また、他の発明の微細化装置は、
装置本体上方から下方に噴霧するように設置される、請求項1から5のいずれか1項に記載の二流体ノズルと、
前記装置本体内に形成される第1微細化室であって、前記二流体ノズルから噴霧された液微粒子を微細化する第1微細化部と、
前記第1微細化部の側面から装置本体外へ通じる開口部と、
前記二流体ノズルで使用される第2流体の供給源であって、装置本体下部に設けられる液供給部と、を備える構成である。
【0024】
図12に示すような、従来の外エア方式の二流体ノズル100を装置本体の下部に設置して上方噴霧する場合には、吸い上げヘッドが低く設定できるため(例えば20mm〜30mm)、吸い上げ力が小さくともよく、液微粒子を噴霧することができた。しかし、下から上に噴霧した液微粒子は、やがて液滴に成長して下に流れ落ち、二流体ノズルに付着する。そこで、二流体ノズルを装置本体の上方に設置し、装置本体の下方向に噴霧するように構成することで、落下する液滴を容易に装置本体下部に回収できる。また、低圧の気体供給圧では、装置本体下部の液体を十分に吸い上げることが困難であるため、従来の二流体ノズル100に内エア方式を採用し、吸い上げ力を向上させることができた。
【0025】
そして、吸い上げ力が向上したことにより、時間単位の噴霧量Qwが大きくなり、噴霧された液微粒子の平均粒子径が粗くなる傾向になったため、従来の二流体ノズル100の内オリフィス102aのニードル形状を改良し、上記二流体ノズルのような外オリフィスおよび内オリフィス(ニードル形状なし)の構成とし、従来の二流体ノズル100と同等以上の平均粒子径の液微粒子を噴霧させることができた。
【0026】
液面から外オリフィス部までの高さである吸い上げヘッド(H)は、以下の条件において例えば250mm程度まで可能となる。内エア方式であり、水、空気を用いた。なお、同じ条件で外エア方式にした場合には、空気が水側に逆流し吸い上げできず、水圧がかかっていれば噴霧できた。また、従来の二流体ノズル(ニードル形状、外エア方式)の場合、50mm程度の吸い上げヘッドである。
二流体ノズル(図1(f))、角度α=90°、L1=0.02mm
外オリフィス径φd1=0.4mm
内オリフィス径φd2=0.24mm
空気圧Pa=0.055MPa(コンプレッサーを使用)
空気量Qa=0.51NL/min
吸い上げ量(噴霧量Qw)=4.42ml/min(H=10mm)
吸い上げ量(噴霧量Qw)=3.68ml/min(H=50mm)
吸い上げ量(噴霧量Qw)=3.10ml/min(H=250mm)
【0027】
さらに、二流体ノズルから下方に噴霧された液微粒子を第1微細化部で微細化(一次微細化)し、その側面の開口部から液微粒子を放出することができる。開口部は、装置本体壁の貫通部として構成され、この開口部に連設して装置本体壁から突設する放出用管(例えば、後述する第2微細化部、エルボ状管等)を設けることができる。微細化のメカニズムとして、例えば、第1微細化部の壁面に大きな粒子径の微粒子が接触付着して液滴となり、小さい粒子径の微粒子はそのまま開口部から放出されるため、放出される微粒子の平均粒子径が結果として小さくなる。また、液微粒子を下方へ噴霧することで、重力加速度も加わり、質量の大きい微粒子(粒子径が大きい微粒子)は、下方の液供給部の液面と接触しやすい傾向にあり、液面と接触した大きい粒子径の微粒子は、そのまま液と混じり合うと考えられ、一方、質量の小さい微粒子(粒子径が小さい微粒子)は、下方の液供給部の液面と接触する前に浮遊して開口部(低圧方向)へ移動したり、液面に接触しても液と混じり合わない傾向にあると考えられる。
【0028】
二流体ノズルの噴霧口(外オリフィス出口)から液面までの距離(高さ)は、特に制限されないが、例えば、20mm〜150mmの範囲が挙げられ、平均粒子径制御の観点から30mm〜110mmの範囲が好ましく、30mm〜80mmの範囲がより好ましく、30mm〜60mmの範囲がさらに好ましい。
【0029】
そして、第2流体(内エア方式)の液体を装置本体下部の液供給部から装置本体上方の二流体ノズルの内ノズルまで吸い上げることができる。液体供給圧はフリーであり、気体噴霧による負圧作用が寄与している。液供給部から二流体ノズルまでの液体の通路は、例えば、樹脂管、金属管等で構成でき、またフレキシブルチューブ等で構成できる。また、気体供給源から二流体ノズルまでの気体の通路は、例えば、樹脂管、金属管等で構成でき、またフレキシブル管で構成できる。これら液体、気体の通路用の管は、装置本体壁に埋め込まれていてもよく、装置本体壁面に取り付けられていてもよい。
【0030】
また、上記微細化装置の一実施形態として、装置本体に液供給部の液を二流体ノズルの第2流通部へ流通する液通路を有し、当該液通路が装置本体壁と外壁部との間で形成された凹部で構成されることが挙げられる。この構成によれば、装置本体壁と外壁部との間で形成された凹部で構成することで液通路を簡単に形成でき、また、第2流体(液体)の流通がスムーズで乱流が起こり難いので好ましい。また、装置本体壁と外壁部とが当接する構成であって液通路以外(さらに以下の気体通路以外)はシールされる。また凹部は、装置本体壁または外壁部のいずれか一方の肉厚の大きいほうに形成することが好ましい。外壁部は、装置本体の胴体部のすべてを覆っている必要はなく、液通路部分を少なくとも覆うように形成してあってもよい。
【0031】
また、上記微細化装置の一実施形態として、装置本体に前記二流体ノズルの第1流通部へ流通する気体通路を有し、当該気体通路が前記装置本体壁と外壁部との間で形成された凹部で構成されることが挙げられる。この構成によれば、装置本体壁と外壁部との間で形成された凹部で構成することで気体通路を簡単に形成できるので好ましい。また、装置本体壁と外壁部とが当接する構成であって気体通路以外(さらに上記の液通路以外)はシールされる。また凹部は、装置本体壁または外壁部のいずれか一方の肉厚の大きいほうに形成することが好ましい。外壁部は、装置本体の胴体部のすべてを覆っている必要はなく、気体通路部分および上記の液通路部分を少なくとも覆うように形成してあってもよい。
【0032】
また、上記微細化装置の一実施形態として、第1微細化部の上方であって、二流体ノズルの噴霧口付近に通じる貫通部を1または2以上装置本体に形成し、当該貫通部の開口サイズを調整可能なように装置本体外周に設けられる微細化調整用外壁部を有する構成がある。微細化調整用外壁部を装置本体の外周に沿って回動させて貫通部の開口サイズを大小に調整し、二流体ノズルから噴霧される液微粒子の平均粒子径、噴霧量を微調整することができる。開口サイズを大きくするほど、液微粒子の液微粒子の平均粒子径が大きくなり噴霧量が増加する傾向である。
【0033】
また、上記微細化装置の一実施形態として、第1微細化部上部から延び、液供給部の液面から所定の間隔(例えば、図4(a)のL3)をあけて配置する筒状の微細化促進部(バッフル)を第1微細化部内に有し、微細化促進部(バッフル)は、二流体ノズルから噴霧された液微粒子を受け入れて液供給部の液面方向へ案内し、所定の間隔(例えば、図4(a)のL3)から微細化が促進された液微粒子を開口部に導く構成がある。「筒状」は、その断面が真円、楕円でもよく、多角形断面の筒状も含む概念である。
【0034】
この構成によれば、筒状の微細化促進部により、噴霧された液微粒子を下方へ効率よく案内でき、かつ、大きい粒子径の微粒子(飛沫)を微細化促進部の壁面に接触させて液滴に成長させることができる。そして、小さい粒子径の微粒子は、液供給部の液面から所定の間隔(例えば、図4(a)のL3)の隙間から外部に放出され、開口部(低圧方向)に導かれる。「所定の間隔」(L3)は、例えば、0.5mm〜30mmの範囲が例示され、装置本体を水平に静置できない場合(例えば、手持ち状態)には3mm〜30mmの範囲が実用的に好ましいと考えられる。噴霧量、放出される平均粒子径の観点からは、0.5mm〜20mmの範囲が好ましく、1mm〜10mmの範囲がより好ましく、2mm〜8mmの範囲がさらに好ましい。
【0035】
また、上記微細化装置の一実施形態として、液供給部の液内から延び、第1微細化部上部と所定の間隔(図4(b)のL4)をあけて配置する筒状の微細化促進部を第1微細化部内に有し、微細化促進部は、二流体ノズルから噴霧された液微粒子を受け入れて液供給部の液面方向へ案内し、所定の間隔(図4(b)のL4)から微細化が促進された液微粒子を第2微細化部に導く構成である。「筒状」は、その断面が真円、楕円でもよく、多角形断面の筒状も含む概念である。
【0036】
この構成によれば、筒状の微細化促進部により、噴霧された液微粒子を液面に向かって効率よく案内でき、かつ、大きい粒子径の微粒子(飛沫)を微細化促進部の壁面に接触させて液滴に成長させることができる。そして、小さい粒子径の微粒子は、筒状微細化促進部と第1微細化部上部と所定の間隔(図4(b)のL4)の隙間から外部に放出され、開口部(低圧方向)に導かれる。隙間が上方にあることで、粒子径の小さい微粒子が多く放出される傾向にある。「所定の間隔」(L4)は、例えば、0.5mm〜30mmの範囲が例示され、装置本体を水平に静置できない場合(例えば、手持ち状態)には3mm〜30mmの範囲が実用的に好ましいと考えられる。噴霧量、放出される平均粒子径の観点からは、0.5mm〜20mmの範囲が好ましく、1mm〜10mmの範囲がより好ましく、2mm〜8mmの範囲がさらに好ましい。
【0037】
また、上記微細化装置の一実施形態として、第1微細化部内に、二流体ノズルから噴霧された液微粒子の微細化を促進するバッフルを有する構成が挙げられる。バッフルは、例えば、図4(c)の符号52(プレート型)、図5の符号53(ベッセル型)、図6の符号54、61(スリット型)、図7の符号55(直管下開き型バッフル)、図8の符号56(ロート型)が挙げられ、図4の符号50(下隙間直管型)、51(上隙間直管型)もバッフルの一例である。噴霧された液微粒子は、これらバッフルに接触し、大きい粒子径の液微粒子は液滴に成長し、液供給部に落下する。
【0038】
また、上記微細化装置の一実施形態として、液供給部の液面より上方であって開口部より下方に、第1微細化部内を分割するように配置されるバッフルを有し、当該バッフルは、その中央部分に前記液面方向に突設した凸状開口部を有する構成である。このバッフルとして、図8の符号56(ロート型)が例示される。この構成によれば、液微粒子の微細化促進効果に加え、装置が転倒した際にロート部で液流れを止めることができ、装置本体からその外部に液漏れすることを好適に防止できる。
【0039】
また、上記微細化装置の一実施形態として、開口部と連設され、装置本体外に突設される第2微細化部をさらに有する構成がある。この構成によれば、第2微細化部でさらに微細化(二次微細化)することが可能である。微細化促進のメカニズムとして、例えば、第2微細化部の壁面に大きな粒子径の微粒子が接触付着して液滴となり、小さい粒子径の微粒子はそのまま放出されるため、放出される微粒子の平均粒子径が結果として小さくなる。
【0040】
また、上記微細化装置の一実施形態として、第2微細化部は、その長手方向が曲がったエルボ形状で構成される。このエルボ形状によって壁面接触が起こりやすく微細化が促進される。また、エルボ形状の出口を上方に向けることで、経口吸入が容易となり好ましい。また、第2微細化部を複数のパーツで構成することができ、これらパーツを着脱自在に構成でき、さらに、各パーツを使い捨てに構成できる。
【0041】
また、上記微細化装置の一実施形態として、第2微細化部内に、先端が先細り形状の中空のバッフルを有し、バッフルが、配置される第2微細化部の内面形状に応じた形状の連結部と、開口部(スリット部)が形成されるバッフル本体とを有して構成される。図4(c)に示すように、スリットバッフル60は、連結部60bとバッフル本体60aを有して構成される。図6のスリットバッフル61は、スリットバッフル60と同様の形状であって、連結部61bとバッフル本体61aを有して構成され、直管54と連結部61bで連結された構成が例示される。
【0042】
上記の各種バッフルは、装置本体壁面あるいは組み込み対応部材に対し着脱自在に構成され、洗浄が容易であい、また使い捨てに構成することができる。
【0043】
微細化装置を構成する部材は、公知の材料で構成でき、例えば、金属製、プラスチック製、ゴム製、それらが混在したもので構成できる。また、微細化装置の各部材を着脱自在に構成し、各部材をばらばらにして洗浄でき、各部材の一部または全てを使い捨てに構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】二流体ノズルの先端部分の一例の断面模式図である。
【図2】微細化装置の一例を示す断面模式図および外観模式図である。
【図3】微細化装置の二流体ノズルの一例を示す断面模式図である。
【図4】微細化装置の一例を示す断面模式図である。
【図5】微細化装置の一例を示す断面模式図である。
【図6】微細化装置の一例を示す断面模式図である。
【図7】微細化装置の一例を示す断面模式図である。
【図8】微細化装置の一例を示す断面模式図である。
【図9】微二流体ノズルの先端部分を説明するための図である。
【図10】内エア方式および外エア方式における噴霧状態を示す図である。
【図11】他の微細化装置の一例を示す断面模式図である。
【図12】従来の二流体ノズルの先端部分を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
(二流体ノズル)
二流体ノズルについて図1を参照しながら説明する。図1(b)は、二流体ノズル10の断面図であり、図1(a)は、内ノズル12の断面図である。内ノズル12は、内ノズルの天面12c(台錘形状の天面)を形成し、その中央部部分に内オリフィス12aが形成され、内オリフィス12aは内流通部12b(第1流通路に相当する)と通じている。内ノズル12の外壁の4箇所に凸部12dが形成され、この凸部12dが外ノズル11の内壁と当接することで外流通部11b(第2流通路に相当する)を形成する。外オリフィス11aと内オリフィス12aは同軸上に形成されるように、外ノズル11の内部に内ノズル12が組み込まれており、天面12cと、それに対向した外ノズルの内壁部とは、所定間隔L1の隙間が形成される。天面12cの外径(図9のφd3)としては、例えば、外オリフィス径よりも大きいことが好ましく、特に制限されないが例えば、0.2mm〜5.0mmの範囲が例示される。
【0046】
L1=0.2mmに固定し、以下の条件における噴霧された液微粒子の平均粒子径(算術平均粒子径)を表1に示す。内エア方式、水、空気を用い、図1(f)に示す二流体ノズルで試験した。評価方法は、二流体ノズルから下方向に噴霧した微粒子を、噴霧口から10cm距離をおいて静置した15mm×15mmサイズの感水紙(Syngenta社製)に約3秒程度受け、液による斑点面積、斑点の平均直径、斑点総数から、噴霧された液微粒子の平均粒子径を算術した(以下、感水紙評価法という)。予め分かっている粒子径の液微粒子で測定することで相対的に算術できる。以下において、二流体ノズルから噴霧された液微粒子の噴霧量を一次噴霧量(Qw)という。
外オリフィス径(φd1)=0.4mm、
内オリフィス径(φd2)=0.24mm、
空気圧力(Pa)=0.058MPa(空気供給駆動源はコンプレッサー)、
空気流量(Qa)=0.57NL/min、
一次噴霧量(Qw)=3.99ml/min(この値になるように調整)。
【0047】
【表1】

【0048】
図1(c)〜(f)は、第1流体の流通方向に対する第2流体の流通方向である角度αの例を示す。図1(c)のαは45°、図1(d)のαは60°、図1(d)のαは75°、図1(f)のαは90°である。表2に流入角度(2α)に応じた算術平均粒子径(感水紙評価法)を示す。内エア方式で水、空気を用い、外オリフィス径(φd1)=0.4mm、内オリフィス径(φd2)=0.25mm、L1=0.2mm、L2=0.195mm、天面12cの外径(φd3)=2.1mmとした。流入角度(2α)が180°の算術平均粒子径が最も小さい値であった。
【0049】
【表2】

【0050】
図9の二流体ノズルにおいて、外オリフィス径(φd1)、内オリフィス径(φd2)、角度αを変えて、内エア方式で水、空気を用いた場合の噴霧状態を確認した。外オリフィス径が内オリフィス径よりも小さい場合、エアが逆流してしまい噴霧しない。表3に外オリフィス径(φd1)、内オリフィス径(φd2)を変えた場合の算術平均粒子径(感水紙評価法)を示す。条件1は、φd1=0.40、φd2=0.24、α=90°、L1=0.189mm、L2=0.20mm、φd3=1.82mmとし、条件2は、φd1=0.45、φd2=0.30、α=75°、L1=0.099mm、L2=0.56mm、φd3=0.30mmとし、条件3は、φd1=0.57、φd2=0.30、α=75°、L1=0.095mm、L2=0.56mm、φd3=0.30mmとした。条件1は、一次噴霧量が他よりも小さいが、算術平均粒子径が最も小さい値となった。また、後述する液浸法で測定した算術平均粒子径の結果を示す。
【0051】
【表3】

【0052】
図1(f)の二流体ノズルにおいて、エア方式の違いによる算術平均粒子径(感水紙評価法および液浸法)を表4に示す。上段の行が外エア方式であり、下段の行が内エア方式を示す。外エア方式のほうが内エア方式よりも、算術平均粒子径が小さいが、噴霧量が半分以下である。噴霧量を同程度にすると、外エア方式の算術平均粒子径が内エア方式のそれよりも大きくなる。L1=0.2mm、L2=0.195mm、天面12cの外径(φd3)=2.1mmとした。
【0053】
【表4】

【0054】
(飛沫の評価)
表4の上段行の外エア方式と表4の下段行の内エア方式のそれぞれによって噴霧された液微粒子の状態の写真を図10の複写で示す。図10(a)は外エア方式であり、図10(b)は内エア方式である。内エア方式のほうが、飛沫が少ないことが確認され、平均粒子径が小さいことが確認できた。粒子径の小さい液微粒子は、噴霧軸方向に噴出する傾向にあり、粒子径の大きい液微粒子(飛沫)は二流体ノズルからの噴霧方向に対し大きな角度で広がる傾向にある。微細化装置は、この飛沫の発生角度を予め測定し、飛沫が第1微細化部の側壁面に接触させて液滴に成長させ、粒子径の小さい液微粒子を下方の液面方向に向かわせるように、第1微細化部を構成することが好ましい。また、このような第1微細化室の機能を各種ベッセルで機能させるように構成できる。
【0055】
(微細化装置)
微細化装置について図2〜8を参照しながら説明する。微細化装置の構成は、以下に説明するものに限定されず、本発明の技術思想の範囲に含まれる形態は全て本発明に含まれる。図2(a)は微細化装置1の断面模式図であり、図2(b)は外観図であり、図2(c)は(a)と異なる断面模式図である。二流体ノズル10は、上記で説明した二流体ノズルの特徴構成を有するものを用いる。図3に示すように、二流体ノズル10の天部は半球状であり、手動での摘みを容易にした形状である。内ノズル12は、内オリフィス12a、内流通部12b(第1流通路に相当する)を有し、内オリフィス12aを含むノズル先端部121は、内ノズル12から着脱自在に構成されている。外ノズル11は、Oリング15でシールされて内ノズル12と着脱自在に組み立てられる(例えば、ネジ式、嵌め込み式等が例示される)。外ノズル11は、外オリフィス11a、外流通部11b(第2流通路に相当する)を有し、外オリフィス11aを含むノズル先端部111は、外ノズル11から着脱自在に構成されている。内ノズル12の天面12cが形成され、それと対向する外ノズル内壁部と所定の間隔(L1)を設けて組み立てられる。ノズル先端部111、121は、それぞれ、使い捨て可能に構成でき、また、寸法精度を上げるために、金属加工で製作することができる。
【0056】
図2(a)に戻り、装置本体20は、二流体ノズル10を装置本体20の上部に着脱自在に設け(例えば、ネジ式、嵌め込み式等が例示され、Oリングでシール性を維持する構成が例示される)、その内部に第1微細化部21と、その下部に液供給部22を形成する。装置本体20は、図2では、複数部材(上部、胴部、底部)で構成されているが、一個の部材で構成できる。第1微細化部21の側面(装置本体20の側面)には開口部が形成され、第2微細化部30が連設される。この第2微細化部30は、直管部30aとエルボ部30bの2つの部材で構成されているが、一個の部材で構成してもよい。装置本体20の外周には、外壁部28が装置本体20の凹溝部(202、204)を覆い、液通路204、空気通路202を形成している。液供給部22の底に通路203が形成され、液通路204に通じ、さらに外ノズル11の外流通部11b(第2流通路に相当する)に通じる。また、エア供給源(不図示)からのエアは、エア通路201から空気通路202に通じ、さらに内ノズル12の内流通部12b(第1流通路に相当する)に通じる。
【0057】
微細化調整用外壁部29は、複数の貫通穴29aが形成され、外壁部28の貫通部(不図示)および装置本体20の貫通部20aに通じ、貫通部20aは、二流体ノズル10の噴霧口から下方の位置であって、第2微細化部30の開口部よりも上方の第1微細化部21に通じる。微細化調整用外壁部29は、装置本体20に対し回動自在であり、貫通部20aの開口サイズを調整し、噴霧量、平均粒子径を調整できる。
【0058】
図2の微細化装置において放出された液微粒子の算術平均粒子径を表5に示す。内エア方式で水、空気を用い、以下の条件で行った。液浸法で噴霧粒径を評価した。液浸法は以下の方法である。透明アクリル板(横50mm×縦25mm)に高さ(厚み)3mm、内径18mmのリングを取り付け、リング内部にシリコーンオイル(信越シリコーン社製 KF−96−300CS)を入れ、微細化装置のエルボ部30bを下向きにし、エルボ部30bの微粒子放出方向に向かって30mm程度の距離でシリコーンオイル面を静置し、エルボ部30bから放出される液微粒子をシリコーン面で受ける。透明アクリル板の下部に光源を置き、シリコーンオイル面に形成された液球をCCDカメラで撮影し、画像解析して液球の外径、数を算出し、算術平均粒子径を求めた。エルボ部30bがない場合には、直管部30aから放出される液微粒子を、直管部30a出口から斜め下方向に30mm程度の距離に静置されているシリコーンオイル面へ案内するようにした。
二流体ノズル:図1(f)の角度α=90°、
L1=0.2mm、L2=0.195mm、φd3=2.1mm、
外オリフィス径(φd1)=0.4mm、
内オリフィス径(φd2)=0.24mm、
二流体ノズル噴射口(外オリフィス出口)から液面までの距離=70mm、
第1微細化部の内径(最大径部分)=φ33.5mm、
第2微細化部の内径=φ18mm、
空気圧力(Pa)=0.058MPa(空気供給駆動源はコンプレッサー)、
空気流量(Qa)=0.57NL/min、
一次噴霧量(Qw)=3.99ml/min(この値になるように調整)。
【0059】
【表5】

【0060】
表5より、エルボ部30bの微細化促進の効果を確認することができた。また、表1、3〜4で示した二流体ノズルの算術平均粒子径と比較して明らかなように、液微粒子の平均粒子径が大幅に小さくなり、顕著な微細化促進効果を確認できた。
【0061】
図4(a)は、第1微細化部21に設けた下隙間の直管型バッフルの一例であり、図4(b)は、上隙間の直管型バッフルの一例である。それぞれの第2微細化部30の入口側に、先端先細り形状のスリット付バッフル60が、先端を出口側に向けて着脱自在に設けられ、または固定されるように構成されるが、このバッフル60は必須ではなく、噴霧量や粒子径制御に応じて組み込まれる。連結部60bによって、第2微細化部30の内壁に連設され、スリット部を有するバッフル本体60aによって、液微粒子の微細化が促進される。
【0062】
先端先細り形状のバッフル本体60aは、例えば、円錐形状、多角錘形状、半球状または半楕円球状である。連結部60bは、配置される場所の内面形状に応じた形状であり、第2微細化部内面に連設される。連設手段は、特に制限されず、また第2微細化部とバッフルを一体に構成することもできる(例えは、射出成形による成形)。
【0063】
バッフル本体60aに形成される開口部の形状としては、例えば、円、楕円、矩形、それらの組合せが挙げられる。また、開口部が、正面視で、先細り先端部と中空中心を結ぶ軸(バッフル中心軸)に対し、所定の角度で傾斜(例えば60°〜120°の範囲)した複数のスリットで構成でき、正面視で、バッフル中心軸に対し直交する複数のスリットで構成することがより好ましい。開口部の断面積、スリット数、スリットサイズ等は、ノズル噴霧条件、微細化室の形状、その内部配置条件等で適宜設定できる。
【0064】
開口部の開口方向は、先細り先端部と中空中心を結ぶ軸(バッフル中心軸)に対し、垂直方向、あるいは所定の角度(例えば60°〜120°の範囲)に傾斜している構成がある。傾斜する方向を、噴霧方向に合わせる構成もでき、噴霧方向と逆らう方向に構成することもできる。傾斜する方向によって、微粒子の動き、速度等が変化し、微細化が微調整可能になる。また、バッフルの肉厚を厚くすることで、液微粒子が開口部(スリット)を通る距離および時間を長くするがことで、有効フォッグ量および微細化を調整することができる。例えば、バッフルの肉厚を厚くして液微粒子の通る距離および時間を長くするほど、有効フォッグ量は減少する傾向になるが、微細化する傾向になる。これは、液微粒子に作用するせん断力が増加すると考えられるからである。また、同様の理由により、スリット数を増加させて、多くの液微粒子にせん断力を作用させて、微細化を促進させることができる。
【0065】
図4(a)の微細化装置において、液面からバッフル底面までのクリアランスL3を変化させた場合における放出された液微粒子の算術平均粒子径を液浸法で評価し、その結果を表6に示す。内エア方式で水、空気を用い、以下の条件で行った。
二流体ノズル:図1(f)の角度α=90°、
L1=0.2mm、L2=0.195mm、φd3=2.1mm、
外オリフィス径(φd1)=0.4mm、
内オリフィス径(φd2)=0.24mm、
二流体ノズル噴射口(外オリフィス出口)から液面までの距離=70mm、
第1微細化部の内径(最大径部分)=φ33.5mm、
第2微細化部の内径=φ18mm、
空気圧力(Pa)=0.058MPa(空気供給駆動源はコンプレッサー)、
空気流量(Qa)=0.57NL/min、
一次噴霧量(Qw)=3.99ml/min(この値になるように調整)。
【0066】
【表6】

【0067】
表6より、クリアランスL3が小さいほどは、算術平均粒子径が小さくなることが確認できた。
【0068】
図4(c)は、噴霧された液微粒子を下方に案内する筒状部52aと、下方に案内された液微粒子に対し衝突するように配置された板状部52bと、筒状部52aと板状部52bとの間に設けた隙間部52cを有して構成されたプレート型バッフル52である。
【0069】
図5は、噴霧された液微粒子を受け止めるように構成されたベッセル状の受け口53aと、中央部に受け口53aより断面が小さい開口部53bと有するベッセル型バッフル53である。図6は、噴霧された液微粒子を下方に案内する筒状部54と、筒状部54と連設される先端先細り形状のスリット付バッフル61を有して構成されるスリット型バッフルである。バッフル61は、上記のバッフル60と同様の構成である。
【0070】
図7は、噴霧された液微粒子を下方に案内する筒状部55aと、筒状部55aと連設されるスカート形状のスリット部55bを有する直管下開き型バッフル55である。図8は、液供給部の液面の上方であって第2微細化部より下方に設けられるロート形状56のロート型バッフルである。
【0071】
図4(c)、図5〜8の微細化装置のそれぞれにおいて放出された液微粒子を目視および液浸法で評価し、その結果を表7に示す。内エア方式で水、空気を用い、以下の条件で行った。但し、第2微細化部にはスリット付バッフル60を組み込んでいない。
二流体ノズル:図1(f)の角度α=90°、
L1=0.2mm、L2=0.195mm、φd3=2.1mm、
外オリフィス径(φd1)=0.57mm、
内オリフィス径(φd2)=0.30mm、
二流体ノズル噴射口(外オリフィス出口)から液面までの距離=70mm、
第1微細化部の内径(最大径部分)=φ33.5mm、
第2微細化部の内径=φ18mm、
空気圧力(Pa)=0.04MPa(空気供給駆動源はコンプレッサー)、
空気流量(Qa)=0.84NL/min、
一次噴霧量(Qw)=7.32ml/min(この値になるように調整)。
【0072】
【表7】

【0073】
表7より、各種バッフルの作用によって液微粒子が効果的に微細化されたことを確認できた。特に図6、7のバッフルによる微細化効果が高いことが確認できた。
【0074】
(別の実施形態)
図11に示す微細化装置は、図2のそれと比較し、二流体ノズルの構造およびそれが組み込まれる装置本体側の構造を変えた例である。150、151は、ネジ部を示す。外ノズル11の構造は、図3よりもコンパクトであり、内ノズル12と着脱自在に組み立てられる(例えば、ネジ式、嵌め込み式等が例示される)。外ノズル11と内ノズル12は、図3ではOリング15でシールする構成であったが、図11ではそれが省略された構成であり、またこの外ノズル11自体が図3のノズル先端部111と同様に使い捨て可能に構成できる。また、内ノズル12のノズル先端部121は、図3と同様に着脱自在に構成されている。図3においては、二流体ノズル10側に2つのOリング用溝を設けてOリングを組み込む構成であったが、図11では、装置本体20側にOリング用溝を設けてOリングを組み込むようにして、二流体ノズル10側にはOリングを組み込まない構成とすることで、二流体ノズル10をシンプルな形状とした。これにより、例えば、装置本体20から外した二流体ノズル10を簡単に洗浄できる。
【0075】
(直管下開き型バッフル)
図7の直管下開き型バッフル55は、すでに説明したように、ストレートの筒状部55aと、この筒状部55aと連設される下開き型のスリット部55bを有している。下開き型のスリット部55bの広がり角度は、特に制限されないが、筒状部55aのストレート軸を中心にして例えば、30°〜150°の範囲、好ましくは60°〜120°の範囲、より好ましくは80°〜100°の範囲である。図7のスリット部55bのスリットは、下開き下端方向に沿って形成されている。また、スリットは、筒状部55aのストレート軸に対し、直交する方向または所定の角度で形成することもできる。スリットの数、スリットサイズ等は、ノズル噴霧条件、微細化室の形状、その内部配置条件等に応じて適宜設定できる。スリット部55bの先端部分は、液面から所定の距離(例えば0.5mm〜30mm)で離間する構成ができ、また、それが液面に接触する構成、液内に浸液する構成もできる。
【0076】
(実験例1)
図4(a)の微細化装置について各種実験を行った結果を示す。まず、空気圧とフォッグ量、算術平均粒子径(液浸法)の関係を評価した。フォッグ量は、初期水量から噴霧後水量の差である。その結果を表8に示す。内エア方式で水、空気を用い、以下の条件で行った。第2微細化部にはスリット付バッフル60を組み込んでいる。空気圧の供給駆動源としてはコンプレッサーを用いた。表8の結果から、空気圧を大きくするほど、フォッグ量が増加し、また微粒子の平均粒子径が小さくなることが確認できた。
二流体ノズル:図1(f)の角度α=90°、
L1=0.2mm、L2=0.195mm、φd3=2.1mm、
外オリフィス径(φd1)=0.57mm、
内オリフィス径(φd2)=0.30mm、
二流体ノズル噴射口(外オリフィス出口)から液面までの距離=70mm、
第1微細化部の内径(最大径部分)=φ33.5mm、
第2微細化部の内径=φ18mm、
吸気孔(貫通部20aおよび貫通孔29a)数=4(内径φ3mm)
【0077】
【表8】

【0078】
(実験例2)
次に、外オリフィス径とフォッグ量、算術平均粒子径(液浸法)の関係を評価した。空気圧を0.05MPaに固定し、他の条件は上記実験例1と同じにした。その結果を表9に示す。表9の結果から、外オリフィス径を小さくするほど、フォッグ量が減少し、また、微粒子の平均粒子径が小さくなることが確認できた。
【0079】
【表9】

【0080】
(実験例3)
次に、吸気孔(貫通部20aおよび貫通孔29a)とフォッグ量、算術平均粒子径(液浸法)の関係を評価した。外オリフィス径をφ0.57mm、内オリフィス径をφ0.30mm、空気圧を0.05MPa、空気量1.14NL/minに固定し、他の条件は上記実験例1と同じにした。その結果を表10に示す。表10の結果から、吸気孔数を減少させるほど、フォッグ量が減少し、また微粒子の平均粒子径が小さくなることが確認できた。
【0081】
【表10】

【0082】
また、空気圧を0.20MPa、空気量3.34NL/minに固定し、他の条件は上記実験例3と同じにした結果を表11に示す。
【0083】
【表11】

【0084】
なお、上記実験例1から3の結果の傾向は、他のバッフル(図4(b)(c)、図5〜図8)を用いても同様の傾向として確認できた。
【符号の説明】
【0085】
1 微細化装置
10 二流体ノズル
11 外ノズル
11a 外オリフィス
12 内ノズル
12a 内オリフィス
20 装置本体
21 第1微細化部
22 液供給部
28 外壁部
29 微細化調整用外壁部
30 第2微細化部
30a 直管部
30b エルボ部
60 スリット付バッフル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外ノズルの内部に内ノズルが配設された二流体ノズルであって、
外ノズルの外オリフィスおよび内ノズルの内オリフィスのそれぞれの中心軸が一致または略一致するように、外オリフィスと内オリフィスが所定の間隔をあけて直列配置され、
内ノズルの第1流通路から流通する第1流体の流通方向に対し、この第1流体と混合される第2流体の流通方向を45〜90°の角度に形成するように、外ノズル内壁面と内ノズル外壁面との間に第2流体の第2流通路を構成する二流体ノズル。
【請求項2】
前記内ノズルの内オリフィスが形成された先端部分は台錘形状であり、当該台錘形状に応じた形状となるように、かつ前記所定の間隔をあけるように、外ノズルの内壁面形状を形成する構成である請求項1に記載の二流体ノズル。
【請求項3】
前記台錘形状の天面の径は、外ノズルの外オリフィス径よりも大きい構成である請求項2に記載の二流体ノズル。
【請求項4】
(隙間の設定が容易となるとともに、液の流通がスムーズで乱流が起こり難い)
前記第2流通路は、内ノズルの外壁面に形成された凹溝あるいは凸溝が外ノズル内壁面と接触することで形成される流通路を一部に含む、および/または前記第2流通路は、外ノズルの内壁面に形成された凹溝あるいは凸溝が内ノズル外壁面と接触することで形成される流通路を一部に含む構成である請求項1から3のいずれか1項に記載の二流体ノズル。
【請求項5】
前記外オリフィスを含む外ノズル先端部分を外ノズル本体から着脱自在に構成する、および/または前記内オリフィスを含む内ノズル先端部分を内ノズル本体から着脱自在に構成する請求項1から4のいずれか1項に記載の二流体ノズル。
【請求項6】
装置本体上方から下方に噴霧するように設置される、請求項1から5のいずれか1項に記載の二流体ノズルと、
前記装置本体内に形成される第1微細化室であって、前記二流体ノズルから噴霧された液微粒子を微細化する第1微細化部と、
前記第1微細化部から装置本体外へ通じる開口部と、
前記二流体ノズルで使用される第2流体の供給源であって、装置本体下部に設けられる液供給部と、を備える微細化装置。
【請求項7】
前記装置本体に前記液供給部の液を前記二流体ノズルの第2流通部へ流通する液通路を有し、当該液通路が前記装置本体壁と外壁部との間で形成された凹部で構成される請求項6に記載の微細化装置。
【請求項8】
前記装置本体に前記二流体ノズルの第1流通部へ流通する気体通路を有し、当該気体通路が前記装置本体壁と外壁部との間で形成された凹部で構成される請求項6または7に記載の微細化装置。
【請求項9】
前記第1微細化部上部から延び、前記液供給部の液面から所定の間隔をあけて配置する筒状の微細化促進部を前記第1微細化部内に有し、
前記微細化促進部は、前記二流体ノズルから噴霧された液微粒子を受け入れて前記液供給部の液面方向へ案内し、前記所定の間隔から微細化が促進された液微粒子を開口部に導く構成である請求項6から8のいずれか1項に記載の微細化装置。
【請求項10】
前記液供給部の液内から延び、前記第1微細化部上部と所定の間隔をあけて配置する筒状の微細化促進部を前記第1微細化部内に有し、
前記微細化促進部は、前記二流体ノズルから噴霧された液微粒子を受け入れて前記液供給部の液面方向へ案内し、前記所定の間隔から微細化が促進された液微粒子を開口部に導く構成である請求項6から8のいずれか1項に記載の微細化装置。
【請求項11】
前記第1微細化部内に、前記二流体ノズルから噴霧された液微粒子の微細化を促進するバッフルを有する請求項6から8のいずれか1項に記載の微細化装置。
【請求項12】
前記液供給部の液面より上方であって前記開口部より下方に、前記第1微細化部内を分割するように配置されるバッフルを有し、当該バッフルは、その中央部分に前記液面方向に突設した凸状開口部を有する構成である請求項6から8のいずれか1項または請求項11に記載の微細化装置。
【請求項13】
前記第開口部と連設され、装置本体外に突設される第2微細化部をさらに有する請求項6から12のいずれか1項に記載の微細化装置。
【請求項14】
前記第2微細化部は、その長手方向が曲がったエルボ形状で構成される請求項13に記載の微細化装置。
【請求項15】
前記第2微細化部内に、先端が先細り形状の中空のバッフルを有し、
前記バッフルが、配置される第2微細化部の内面形状に応じた形状の連結部と、スリット部が形成されるバッフル本体とを有して構成される請求項13または14に記載の微細化装置。
【請求項16】
前記二流体ノズルの噴霧口付近に通じる貫通部を1または2以上装置本体に形成し、当該貫通部の開口サイズを調整可能なように装置本体外周に設けられる微細化調整用外壁部を有する請求項6〜15のいずれか1項に記載の微細化装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−212649(P2011−212649A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87986(P2010−87986)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【出願人】(503045038)ノズルネットワーク株式会社 (18)
【Fターム(参考)】