説明

二色性色素組成物、これを含む液晶組成物および液晶素子

【課題】液晶に対する二色性色素の溶解性が充分に高く、広い波長範囲において吸光度の波長分散の少ない二色性色素組成物、これを用いた高いオーダーパラメーターを示す黒色のゲストホスト型液晶組成物および高いコントラストを有する液晶素子を提供する。
【解決手段】下記一般式[I−1]、更には他の特定の構造を有するアゾ系二色性色素を各々少なくとも1種ずつ含むことを特徴とする二色性色素組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示素子や調光素子等に用いられる液晶素子に使用する二色性色素組成物およびゲストホスト型液晶組成物と、このゲストホスト型液晶組成物を用いた液晶素子に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶組成物を電極間に狭持してなる液晶素子は、その特徴である省スペース性・軽量性から、ノートパソコンや携帯情報端末(PDA)等の表示素子や、視野切り替え可能なカメラファインダー等の調光素子など広く用いられており、その応用範囲は年々広がりをみせている。
【0003】
現在用いられている液晶素子の多くはTN型やSTN型が主流である。しかし、これらの素子は偏光板を用いるため、光の利用効率が低いという欠点がある。これに対して、二色性色素を用いるゲストホスト型液晶組成物を適用した液晶素子は、二色性色素の吸収異方性を利用するため、偏光板不要で光の利用効率が高く、特にバックライトを用いない反射型表示素子の場合は明るい表示が可能となる。
【0004】
二色性色素は、その色素構造により様々な吸収特性を示すが、その多くは赤・青・黄等の特定の波長を吸収するため、単一の色素で黒色を出すことは困難である。そこで、通常3種以上の複数個の二色性色素を混合することにより黒色を得る。一般的に可視光の波長範囲は380〜780nmと考えられており、この範囲において光吸収が一定であれば「黒」となるが、人間の視覚感度を考慮した暗順応標準比視覚感度曲線を考慮すれば、400〜650nmの波長範囲で吸収が一定となることが望ましい。
【0005】
また、ゲストホスト型表示素子に用いられる二色性色素にはオーダーパラメーターが高いこと、液晶に対する溶解度が高いこと等、種々の特性が要求される。ゲストホスト型液晶組成物のオーダーパラメーターおよび二色性色素の液晶に対する溶解度は、コントラストや色再現性等、ゲストホスト型表示素子の表示品位を大きく左右する。このうち、コントラストは二色性色素の濃度を上げることにより向上できるが、それに伴って抜け色の透過率(又は反射率)が低下し、ゲストホスト型表示素子の特徴である明るい表示が損なわれてしまう。このため、上記2つの特性が同時に要求されることとなる。
【0006】
しかしながら、従来において二色性色素単体の諸特性が様々なことから、複数の二色性色素の混合系において、溶解性・二色性を満足しながら、広い波長範囲において吸光度の波長分散を少なくすることは困難であった。特に、ホスト液晶がフッ素系液晶組成物の場合は、色素の溶解度の低下が顕著であった。このため、フッ素系液晶を用いた高いオーダーパラメーターを示すゲストホスト型液晶組成物の開発は困難であった。
【0007】
比較的高いオーダーパラメーターを有するゲストホスト型液晶組成物として、特許文献1〜4に提案されているものが挙げられるが、これらは、吸収波長600〜650nm領域に比較して、400〜500nm波長域のオーダーパラメーターが低下しており、400〜650nmの全波長域で高いオーダーパラメーターを有するゲストホスト型液晶組成物は提供されていないのが現状である。
【特許文献1】特開2000−313881
【特許文献2】特開2000−17266
【特許文献3】特開2000−73064
【特許文献4】特開平10−95980
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、液晶に対する二色性色素の溶解性が充分に高く、広い波長範囲において吸光度の波長分散の少ない二色性色素組成物、これを用いた高いオーダーパラメーターを示す黒色のゲストホスト型液晶組成物および高いコントラストを有する液晶素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、フッ素系液晶材料をホスト液晶としたゲストホスト型液晶組成物のオーダーパラメーターが充分でないために、ゲストホスト型表示素子のコントラストが高くないという上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の分子構造を有する複数の二色性色素をフッ素系液晶材料と組み合わせることにより、ゲストホスト型液晶組成物のオーダーパラメーターが良好になることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、以下を要旨とする。
【0010】
[1] 下記(I)群ないし(III)群で示される二色性色素を各々の群から少なくとも1種ずつ含むことを特徴とする二色性色素組成物。
(I)群:下記一般式[I−1]で表されるアゾ系二色性色素
【化5】

(式中、R、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基;炭素数1〜10のアルコキシ基;炭素数2〜12のアルコキシアルキル基;これらのアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基で置換されていてもよいシクロアルキル基またはフェニル基;を示し、
環Aおよび環Bは、それぞれ独立に、1,4−シクロヘキサンジイル基または1,4−フェニレン基を示す。)
(II)群:下記一般式[II−1]で表されるアゾ系二色性色素
【化6】

(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基;炭素数1〜10のアルコキシ基;炭素数2〜12のアルコキシアルキル基;これらのアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基で置換されていてもよいシクロアルキル基またはフェニル基;を示し、
は水素原子、メチル基、メトキシ基、ハロゲン原子またはフルオロメチル基を示し、
環Cは、1,4−シクロヘキサンジイル基又は1,4−フェニレン基を示し、
環Dは1,4−フェニレン基又は1,4−ナフチレン基を示す。)
(III)群:下記一般式[III−1]で表されるアゾ系二色性色素
【化7】

(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基;炭素数1〜10のアルコキシ基;炭素数2〜12のアルコキシアルキル基;これらのアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基で置換されていてもよいシクロアルキル基またはフェニル基;を示し、
は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を示し、
がアルキル基の場合、Rは炭素数1〜10のアルキル基を示し、RとRの炭素数を合わせた総炭素数は2〜8である。
また、Rが水素原子の場合、Rは炭素数1〜10のアルキル基;或いは4位が置換基Rで置換されていてもよいシクロヘキシルメチル基またはベンジル基;を示す。ここでRは炭素数1〜10のアルキル基;炭素数1〜10のアルコキシ基;炭素数2〜12のアルコキシアルキル基;これらのアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基で置換されていてもよいシクロアルキル基またはフェニル基;を示す。
環Eは1,4−フェニレン基又は1,4−ナフチレン基を示す。)
【0011】
[2] 更に、下記(IV)群で示される二色性色素を少なくとも1種含むことを特徴とする[1]に記載の二色性色素組成物。
(IV)群:下記一般式[IV−1]で表されるアゾ系二色性色素
【化8】

(式中、R、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基;炭素数1〜10のアルコキシ基;炭素数2〜12のアルコキシアルキル基;これらのアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基で置換されていてもよいシクロアルキル基またはフェニル基;を示し、
環Fは1,4−シクロヘキサンジイル基または1,4−フェニレン基を示す。)
【0012】
[3] [1]または[2]に記載の二色性色素組成物とホスト液晶を含むことを特徴とするゲストホスト型液晶組成物。
【0013】
[4] ホスト液晶がフッ素系液晶組成物であることを特徴とする[3]に記載のゲストホスト型液晶組成物。
【0014】
[5] [3]または[4]に記載のゲストホスト型液晶組成物を、少なくとも一方が透明な1対の電極基板間に狭持したことを特徴とする液晶素子。
【0015】
なお、本発明において、上記一般式[I−1]〜[IV−1]における環A〜Fの環構造は次の通りである。
【0016】
【表1】

【0017】
また、一般式[III−1]において、Rが水素原子の場合の、4位が置換基Rで置換されていてもよいシクロヘキシルメチル基またはベンジル基は、下記一般式(a)又は(b)で表される。
【0018】
【化9】

(式中、R'は水素原子;炭素数1〜10のアルキル基;炭素数1〜10のアルコキシ基;炭素数2〜12のアルコキシアルキル基;これらのアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基で置換されていてもよいシクロヘキシル基またはフェニル基;を示す。)
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、溶解性と高い二色性を確保し、通常450〜650nm、好ましくは500〜650nmという広い波長範囲において吸光度の波長分散の少ない黒色の二色性色素組成物と、これを用いた高いオーダーパラメーターを有する黒色ゲストホスト型液晶組成物および高いコントラストを有する液晶素子が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更して実施することができる。
【0021】
本発明の液晶組成物はブラックの色素を有するものであり、本発明で用いられる色素は上記のような(I)〜(III)群、好ましくは更に(IV)群の各群で示されている二色性色素の組み合わせにより効果を奏するものである。
【0022】
[二色性色素組合物]
<二色性色素>
本発明で用いられる色素について詳細に説明する。
【0023】
(I)群:下記一般式[I−1]で表されるアゾ系二色性色素
【化10】

(式中、R、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基;炭素数1〜10のアルコキシ基;炭素数2〜12のアルコキシアルキル基;これらのアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基で置換されていてもよいシクロアルキル基またはフェニル基;を示し、
環Aおよび環Bは、それぞれ独立に、1,4−シクロヘキサンジイル基または1,4−フェニレン基を示す。)
【0024】
(I)群を構成する一般式[I−1]で示される色素は通常黄色であり、前記一般式[I−1]におけるR、Rとしては、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、ドデシル基等の直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、オクトキシ基等の直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜10のアルコキシ基;メトキシメチル基、ブトキシメチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基等の直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数2〜12のアルコキシアルキル基;これらのアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基で置換されていてもよい炭素数3〜10のシクロアルキル基;またはこれらのアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基で置換されていてもよいフェニル基が挙げられる。
【0025】
好ましいR、Rとしては、それぞれ独立に、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキル基;直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜10のアルコキシ基;これらのアルキル基、アルコキシ基で置換されたシクロヘキシル基;またはこれらのアルキル基、アルコキシ基で置換されたフェニル基であり、更に好ましくは、それぞれ独立に直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキル基;直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜10のアルコキシ基;これらのアルキル基、アルコキシ基で置換されたシクロヘキシル基である。なお、シクロヘキシル基またはフェニル基が置換基を有する場合、その置換位置は4位であることが好ましく、シクロヘキサン環の立体化学はE−体が好ましい。
【0026】
環Aおよび環Bは、それぞれ独立に、1,4−シクロヘキサンジイル基又は1,4−フェニレン基であり、1,4−シクロヘキサンジイル基が好ましく、(E)−1,4−シクロヘキサンジイル基が更に好ましい。
【0027】
(II)群:下記一般式[II−1]で表されるアゾ系二色性色素
【化11】

(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基;炭素数1〜10のアルコキシ基;炭素数2〜12のアルコキシアルキル基;これらのアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基で置換されていてもよいシクロアルキル基またはフェニル基;を示し、
は水素原子、メチル基、メトキシ基、ハロゲン原子またはフルオロメチル基を示し、
環Cは、1,4−シクロヘキサンジイル基又は1,4−フェニレン基を示し、
環Dは1,4−フェニレン基又は1,4−ナフチレン基を示す。)
【0028】
(II)群を構成する一般式[II−1]で表される色素は、通常赤色であり、前記一般式[II−1]におけるRとしてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、ドデシル基等の直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、オクチルオキシ基等の直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜10のアルコキシ基;メトキシメチル基、ブトキシメチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基等の直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数2〜12のアルコキシアルキル基;これらのアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基で置換されていてもよい炭素数3〜10のシクロアルキル基;またはこれらのアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基で置換されていてもよいフェニル基が挙げられる。
【0029】
好ましいRとしては、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキル基;直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜10のアルコキシ基;これらのアルキル基、アルコキシ基で置換されたシクロヘキシル基;またはこれらのアルキル基、アルコキシ基で置換されたフェニル基が挙げられ、更に好ましくは、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキル基;直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜10のアルコキシ基;これらのアルキル基、アルコキシ基で置換されたシクロヘキシル基である。なお、シクロヘキシル基が置換基を有する場合、その置換位置は4位であることが好ましく、立体化学はE−体が好ましい。
【0030】
としては水素原子;メチル基;メトキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子およびモノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等のフルオロメチル基が挙げられる。
好ましいRとしては、メチル基、メトキシ基、フルオロメチル基が挙げられ、更に好ましくは、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基が挙げられる。
【0031】
環Cは、1,4−シクロヘキサンジイル基又は1,4−フェニレン基であり、好ましくは1,4−シクロヘキサンジイル基であり、さらに好ましくは(E)−シクロヘキサンジイル基である。
環Dは1,4−フェニレン基又は1,4−ナフチレン基であり、好ましくは1,4−ナフチレン基である。
【0032】
(III)群:下記一般式[III−1]で表されるアゾ系二色性色素
【化12】

(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基;炭素数1〜10のアルコキシ基;炭素数2〜12のアルコキシアルキル基;これらのアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基で置換されていてもよいシクロアルキル基またはフェニル基;を示し、
は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を示し、
がアルキル基の場合、Rは炭素数1〜10のアルキル基を示し、RとRの炭素数を合わせた総炭素数は2〜8である。
また、Rが水素原子の場合、Rは炭素数1〜10のアルキル基;或いは4位が置換基Rで置換されていてもよいシクロヘキシルメチル基またはベンジル基;を示す。ここでRは炭素数1〜10のアルキル基;炭素数1〜10のアルコキシ基;炭素数2〜12のアルコキシアルキル基;これらのアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基で置換されていてもよいシクロアルキル基またはフェニル基;を示す。
環Eは1,4−フェニレン基又は1,4−ナフチレン基を示す。)
【0033】
(III)群を構成する一般式[III−1]で表される色素は、通常青色であり、前記一般式[III−1]におけるRとしてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、ドデシル基等の直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、オクチルオキシ基等の直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜10のアルコキシ基;メトキシメチル基、ブトキシメチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基等の直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数2〜12のアルコキシアルキル基;これらのアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基で置換されていてもよい炭素数3〜10のシクロアルキル基;またはこれらのアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基で置換されていてもよいフェニル基が挙げられる。
【0034】
好ましいRとしては、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキル基;直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜10のアルコキシ基;これらのアルキル基、アルコキシ基で置換されたシクロヘキシル基;またはこれらのアルキル基、アルコキシ基で置換されたフェニル基が挙げられ、更に好ましくは、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキル基;直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜10のアルコキシ基;これらのアルキル基、アルコキシ基で置換されたシクロヘキシル基である。なお、シクロヘキシル基が置換基を有する場合、その置換位置は4位であることが好ましく、立体化学はE−体が好ましい。
【0035】
は、水素原子または直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキル基である。ただしRがメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキル基の場合、Rも直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキル基であるが、RとRの炭素数を合わせた総炭素数は2〜8である。
【0036】
一方、Rが水素原子の場合は、Rは直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキル基、或いは4位が置換基Rで置換されていてもよいシクロヘキシルメチル基またはベンジル基を示す。ここでRはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、ドデシル基等の直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、オクチルオキシ基等の直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜10のアルコキシ基;メトキシメチル基、ブトキシメチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基等の直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数2〜12のアルコキシアルキル基;これらのアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基で置換されていてもよい炭素数3〜10のシクロアルキル基;またはこれらのアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基で置換されていてもよいフェニル基である。
【0037】
好ましくは、Rは水素原子で、Rは直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキル基、或いは、無置換又は4位が直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキル基またはこれらのアルキル基で置換されたシクロヘキシル基で置換されたシクロヘキシルメチル基、或いは、無置換又は4位が直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキル基またはこれらのアルキル基で置換されたシクロヘキシル基で置換されたベンジル基である。なお、シクロヘキシル基が置換基を有する場合、その置換位置は4位であることが好ましく、立体化学はE−体か好ましい。
【0038】
環Eは、1,4−フェニレン基または1,4−ナフチレン基であり、好ましくは1,4−ナフチレン基である。
【0039】
(IV)群:下記一般式[IV−1]で表されるアゾ系二色性色素
【化13】

(式中、R、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基;炭素数1〜10のアルコキシ基;炭素数2〜12のアルコキシアルキル基;これらのアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基で置換されていてもよいシクロアルキル基またはフェニル基;を示し、
環Fは1,4−シクロヘキサンジイル基または1,4−フェニレン基を示す。)
【0040】
(IV)群を構成する一般式[IV−1]で表される色素は、通常橙色であり、前記一般式[IV−1]におけるR、Rとしては、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、ドデシル基等の直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、オクチルオキシ基等の直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜10のアルコキシ基;メトキシメチル基、ブトキシメチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基等の直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数2〜12のアルコキシアルキル基;これらのアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基で置換されていてもよい炭素数3〜10のシクロアルキル基;またはこれらのアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基で置換されていてもよいフェニル基が挙げられる。
【0041】
好ましいR、Rとしては、それぞれ独立に、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキル基;直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜10のアルコキシ基;これらのアルキル基、アルコキシ基で置換されたシクロヘキシル基;またはこれらのアルキル基、アルコキシ基で置換されたフェニル基が挙げられ、更に好ましくは、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキル基;直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜10のアルコキシ基;これらのアルキル基、アルコキシ基で置換されたシクロヘキシル基である。なお、シクロヘキシル基が置換基を有する場合、その置換位置は4位であることが好ましく、立体化学はE−体が好ましい。
【0042】
環Fは、1,4−シクロヘキサンジイル基または1,4−フェニレン基であり、好ましくは1,4−シクロヘキサンジイル基であり、さらに好ましくは(E)−1,4−シクロヘキサンジイル基である。
【0043】
<二色性色素の具体例>
以下の表2〜5に本発明で使用できる各群の色素の例をまとめて示すが、本発明で使用できる色素は、本発明の要旨を超えない限りこれらに限定されるものではない。
【0044】
【表2】

【0045】
【表3】

【0046】
【表4】

【0047】
【表5】

【0048】
<二色性色素の溶解性>
液晶デバイスハンドブック(日本学術振興会第142委員会編)に記載されるように、ゲストホスト型の液晶素子を屋外で使用する場合には、温度低下に伴う色素析出を防止するために、色素溶解度の温度依存性を十分に把握しておく必要がある。一般に、室温付近の溶解度のみから、低温での溶解度を推測することは困難であり、低温での溶解度を実測する必要がある。
【0049】
本発明の二色性色素組成物は、後述のホスト液晶材料に対して低温での優れた溶解性を示す。ここで溶解性に優れるとは、−20℃での溶解度が0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上有することをいう。
【0050】
[液晶組成物]
<ホスト液晶>
本発明のゲストホスト型液晶組成物に用いるホスト液晶材料としては、以下に示す一般式[V]〜一般式[IX]で表される液晶化合物を主成分とするNp型液晶材料、Nn型液晶材料が挙げられる。
【化14】

【0051】
(各式中、環Gはシクロヘキサン環、ベンゼン環、ジオキサン環、ピリミジン環を表し、nは1〜3の整数を表す。
−Z−は、単結合、−COO−、−CHCH−、−CH=CH−、または−C≡C−を表す。
11はフッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を置換基として有する、炭素数1〜7の置換アルキル基、置換アルコキシ基、置換アルケニル基、;置換アルキル基、置換アルコキシ基、置換アルケニル基を置換基として有する置換シクロヘキシル基または置換フェニル基を表し、
12、R13は、それぞれ独立に、水素原子;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を表す。
15、R16は、それぞれ独立に、シアノ基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を表す。
10、R14、R17、R18、R19、R20、R21は、それぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルケニル基を表す。)
【0052】
更に上記の液晶化合物はコレステリルノナノエートのような光学活性物質、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の添加物を含有しても良い。
【0053】
<組成>
本発明の液晶組成物は、前記(I)群、(II)群、(III)群、更には必要に応じて(IV)群の各々の群から選ばれる少なくとも1種ずつの二色性色素を、上記のホスト液晶化合物に、公知の方法に従って溶解させることにより、容易に調製することができる。
【0054】
(I)群、(II)群、(III)群および(IV)群で表される各色素群の使用量は、得ようとする色相によって適宜選択されるが、特に高品位のブラック色相を有する組成物を得るためには、全色素量を100重量部とした場合、(I)群色素5〜35重量部、(II)群色素5〜35重量部、(III)群色素15〜40重量部、(IV)群色素0〜25重量部の割合で使用することが好ましく、(I)群色素1重量部に対して(II)群色素が0.1〜7重量部、(III)群色素が0.4〜8重量部、(IV)群色素が0〜5重量部であることが好ましい。
【0055】
二色性色素の全使用量はホスト液晶材料に対して0.1〜15重量%、好ましくは0.5〜8重量%である。二色性色素の全使用量がホスト液晶材料に対して0.1重量%より低いと、着色時の色濃度が低下し、15重量%より高いと、液晶の粘性に影響し駆動特性が悪化する。
【0056】
本発明のゲストホスト型液晶組成物は、このような割合で、液晶組成物と二色性色素および各種添加剤を振とう等の操作により混合、溶解させることによって容易に得ることができる。なお、本発明の液晶組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明に係る前記(I)−(IV)群の二色性色素以外の他の二色性色素を含んでいても良い。
【0057】
このように調製されたゲストホスト型液晶組成物は、400nm〜650nmの波長範囲において高いオーダーパラメーターを示す。ここで二色性色素のオーダーパラメーターSは、分光学的な測定に基づき、液晶デバイスハンドブック(日本学術振興会第142委員会編)に記載の次式から求めることができる。
S=(A//−A⊥)/(2A⊥+A//)
ここでA//およびA⊥は、それぞれ液晶の配向方向に対して平行および垂直に偏光した光に対する色素の吸光度である。色素のオーダーパラメーターは、理論上は0〜1の範囲の値をとり、その値が1に近づくほど、ゲストホスト型液晶素子のコントラストが向上する。
【0058】
本発明のゲストホスト型液晶組成物のオーダーパラメーターは通常0.80以上、好ましくは0.83以上である。
【0059】
このように調製された本発明のゲストホスト型液晶組成物を、少なくとも一方が透明な1対の電極基板間に狭持させることにより、例えば、「液晶デバイスハンドブック、日本学術振興会第142委員会編、日刊工業新聞社発行、第315頁から第329頁」等に記載されているHeilmeier型ゲストホスト、相転移型ゲストホスト等のゲストホスト効果を応用した各種液晶素子を構成することができる。
【0060】
このように、本発明では、液晶素子のモードは種々のものが使用可能であるが、ネマティック液晶組成物中に光学活性物質を加えることにより得られる相転移モードでは、偏光板を用いなくてもコントラストが高く表示が明るいため、反射型液晶表示素子としては特に好ましい。
【0061】
本発明の液晶素子の一例として、図1および図2にアクティブ駆動方式の相転移モードゲストホスト型液晶表示素子の略示的断面図を示す。図1は液晶表示素子の電圧印加状態を表し、図2は電圧無印加状態を表す。図中、1は入射光、3は透明ガラス基板、4は透明電極、5は配向膜、6は液晶化合物分子、7は二色性色素分子、9は反射層、10は反射光を示す。
【0062】
電圧無印加時(図2)では、液晶化合物分子6はコレステリック相を示す。二色性色素分子7も液晶化合物分子6と共にコレステリック構造を示すので、入射光1は自然光であっても、偏光板を用いることなく色素分子7に吸収される。電圧を印加すると(図1)、液晶化合物分子6と二色性色素分子7は電界方向に配列するため、光は透過し反射層9によって反射される。このように、液晶素子では電界の有無によって、光の透過、吸収を制御することができる。
【実施例】
【0063】
以下に、実施例により本発明の実施態様を説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらに限定されるものではない。
なお、以下において、ゲストホスト型液晶組成物および液晶素子の評価は次の方法により行った。
【0064】
(1) 二色性色素組成物のホスト液晶化合物に対する低温保存性の確認
以下の実施例、比較例に示す組成で室温下において調製されたゲストホスト型液晶組成物を、40℃下に96時間放置後、室温に戻した際、目視による析出の有無を確認した。
【0065】
(2) ゲストホスト型液晶組成物を用いた液晶素子の作製およびオーダーパラメーターの測定]
以下の実施例、比較例に示すように調製されたゲストホスト型液晶組成物を、図3、図4に示すような、透明電極4を有し、該液晶組成物(液晶化合物分子6と二色性色素分子7を含む)と接する面にポリイミド系樹脂を塗布乾燥後、ラビングしてホモジニアス配向処理された2枚のガラス基板3をそれぞれ配向処理面(配向膜5)が内側になるように対向配置して構成されたセルに封入し、Heilmeierモードの透過型液晶素子を作製した。なお、図3,4において、図1,2に示す部材と同一機能を奏する部材には同一符号を付してあり、図3は電圧印加状態を示し、図4は電圧無印加状態示す。
【0066】
上記素子内では液晶組成物は、電圧無印加のとき、図4に示す如く、液晶分子電極面に平行かつ一定方向に配列するホモジニアス配向状態をとり、色素分子もホスト液晶組成物に従って同様の配向をとる。このようにして作製したゲストホスト型液晶素子の吸収スペクトルを、液晶分子の配向方向に対して、平行に偏光した光および垂直に偏光した光の各々を用いて測定し、これら各偏光に対する色素の吸光度A//およびA⊥を測定した。
色素の吸光度を測定するに当たっては、液晶組成物およびガラス基板による吸収と、素子の反射損失に関して補正を行った。このようにして求めた上記各偏光に対する色素の吸光度の値A//およびA⊥を用いて下記の式からオーダーパラメーター(S値)を算出した。
S=(A//−A⊥)/(2A⊥+A//)
【0067】
以下において、用いた二色性色素のNo.は、前述の表2〜5に示される化合物No.に対応している。
【0068】
[実施例1]
下記配合の二色性色素組成物−1を商品名MLC−2039(メルクジャパン社製)として市販されているフッ素化合物を主成分とするn型液晶混合物 100gに溶解させて液晶組成物−1を調製した。
【0069】
<色素組成物−1配合>
[I−1−1]:0.71g
[II−1−1]:0.95g
[III−1−1]:1.26g
[IV−1−1]:0.79g
下記構造式[X]で示される色素:0.709g
【化15】

【0070】
得られた液晶組成物−1を、上記溶解性測定の方法で評価した結果、析出物は確認されなかった。よって、色素組成物−1は、MLC−2039に対して4.2重量%以上の溶解性を有することが分かった。
【0071】
この液晶組成物−1を用いて上記の方法により素子を作製して、スペクトルを測定し、オーダーパラメーター(S値)を求めた結果、表6に示すように、広い波長にわたって良好な値を得た。
【0072】
[実施例2]
下記配合の二色性色素組成物−2を商品名MLC−2039(メルクジャパン社製)として市販されているフッ素化合物を主成分とするn型液晶混合物 100gに溶解させて液晶組成物−2を調製した。
<色素組成物−2配合>
[I−1−1]:0.91g
[II−1−1]:0.91g
[III−1−1]:1.26g
[IV−1−1]:0.76g
下記構造式[X]で示される色素:0.68g
【化16】

下記構造式[XI]で示される色素:0.08g
【化17】

【0073】
得られた液晶組成物−2を、上記溶解性測定の方法で評価した結果、析出物は確認されなかった。よって、色素組成物−2は、MLC−2039に対して4.4重量%以上の溶解性を有することが分かった。
【0074】
この液晶組成物−2を用いて上記の方法により素子を作製して、スペクトルを測定し、オーダーパラメーター(S値)を求めた結果を表6に示した。
【0075】
[比較例1]特開2000−313881の実施例3
下記配合の二色性色素組成物−3を商品名MLC−2039(メルクジャパン社製)として市販されているフッ素化合物を主成分とするn型液晶混合物 100gに溶解させて液晶組成物−4を調製した。
【0076】
<色素組成物−3配合>
下記構造式[XII]で表される色素:0.34g
【化18】

下記構造式[XIII]で表される色素:1.08g
【化19】

下記構造式[XIV]で表される色素:0.34g
【化20】

下記構造式[XV]で表される色素:0.46g
【化21】

下記構造式[XVI]:で表される色素:0.88g
【化22】

【0077】
得られた液晶組成物−3を、上記溶解性測定の方法で評価した結果、析出物は確認されなかった。よって、色素組成物−3は、MLC−2039に対して3.0重量%以上の溶解性を有することが分かった。
【0078】
この液晶組成物−3を用いて上記の方法により素子を作製して、スペクトルを測定し、オーダーパラメーター(S値)を求めた結果を表6に示した。
【0079】
【表6】

【0080】
表6より、実施例1および実施例2の色素組成物が液晶化合物に対する溶解性に優れ、良好な低温保存特性を示すと同時に、400〜650nmの波長域全般にわたって0.82以上のオーダーパラメーターを示すことが分かった。
一方、比較例1の色素組成物も、液晶化合物に対して低温における良好な溶解性を示したが、400〜650nm波長域、中でも400〜500nm波長域におけるオーダーパラメーターが、実施例1,2に比べて、明らかに低いことが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明に係わる液晶素子の例として、Np型液晶組成物を用いた相転移モードの反射型液晶素子の電圧印加状態の略示的断面図を表す。
【図2】本発明に係わる液晶素子の例として、Np型液晶組成物を用いた相転移モードの反射型液晶素子の電圧無印加状態の略示的断面図を表す。
【図3】本発明に係わる液晶素子の例として、Np型液晶組成物を用いたHeilmeierモードの透過型液晶素子の電圧印加状態の略示的断面図を表す。
【図4】本発明に係わる液晶素子の例として、Np型液晶組成物を用いたHeilmeierモードの透過型液晶素子の電圧無印加状態の略示的断面図を表す。
【符号の説明】
【0082】
1 入射光
2 偏光板
3 ガラス基板
4 透明電極
5 配向膜
6 ホスト液晶化合物分子
7 二色性色素分子
8 透過光
9 反射層
10 反射光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(I)群ないし(III)群で示される二色性色素を各々の群から少なくとも1種ずつ含むことを特徴とする二色性色素組成物。
(I)群:下記一般式[I−1]で表されるアゾ系二色性色素
【化1】

(式中、R、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基;炭素数1〜10のアルコキシ基;炭素数2〜12のアルコキシアルキル基;これらのアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基で置換されていてもよいシクロアルキル基またはフェニル基;を示し、
環Aおよび環Bは、それぞれ独立に、1,4−シクロヘキサンジイル基または1,4−フェニレン基を示す。)
(II)群:下記一般式[II−1]で表されるアゾ系二色性色素
【化2】

(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基;炭素数1〜10のアルコキシ基;炭素数2〜12のアルコキシアルキル基;これらのアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基で置換されていてもよいシクロアルキル基またはフェニル基;を示し、
は水素原子、メチル基、メトキシ基、ハロゲン原子またはフルオロメチル基を示し、
環Cは、1,4−シクロヘキサンジイル基又は1,4−フェニレン基を示し、
環Dは1,4−フェニレン基又は1,4−ナフチレン基を示す。)
(III)群:下記一般式[III−1]で表されるアゾ系二色性色素
【化3】

(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基;炭素数1〜10のアルコキシ基;炭素数2〜12のアルコキシアルキル基;これらのアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基で置換されていてもよいシクロアルキル基またはフェニル基;を示し、
は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を示し、
がアルキル基の場合、Rは炭素数1〜10のアルキル基を示し、RとRの炭素数を合わせた総炭素数は2〜8である。
また、Rが水素原子の場合、Rは炭素数1〜10のアルキル基;或いは4位が置換基Rで置換されていてもよいシクロヘキシルメチル基またはベンジル基;を示す。ここでRは炭素数1〜10のアルキル基;炭素数1〜10のアルコキシ基;炭素数2〜12のアルコキシアルキル基;これらのアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基で置換されていてもよいシクロアルキル基またはフェニル基;を示す。
環Eは1,4−フェニレン基又は1,4−ナフチレン基を示す。)
【請求項2】
更に、下記(IV)群で示される二色性色素を少なくとも1種含むことを特徴とする請求項1に記載の二色性色素組成物。
(IV)群:下記一般式[IV−1]で表されるアゾ系二色性色素
【化4】

(式中、R、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基;炭素数1〜10のアルコキシ基;炭素数2〜12のアルコキシアルキル基;これらのアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基で置換されていてもよいシクロアルキル基またはフェニル基;を示し、
環Fは1,4−シクロヘキサンジイル基または1,4−フェニレン基を示す。)
【請求項3】
請求項1または2に記載の二色性色素組成物とホスト液晶を含むことを特徴とするゲストホスト型液晶組成物。
【請求項4】
ホスト液晶がフッ素系液晶組成物であることを特徴とする請求項3に記載のゲストホスト型液晶組成物。
【請求項5】
請求項3または4に記載のゲストホスト型液晶組成物を、少なくとも一方が透明な1対の電極基板間に狭持したことを特徴とする液晶素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−179670(P2008−179670A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−12840(P2007−12840)
【出願日】平成19年1月23日(2007.1.23)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】