二輪車のスタンド装置
【課題】駐車状態を得るための起立位置ならびに駐車状態を解除するための格納位置間での回動可能なスタンドを、操作子の操作に応じて少なくとも起立位置から格納位置に回動させ得るようにした二輪車のスタンド装置において、小さな操作力でスタンドを容易に格納可能とする。
【解決手段】固定係止部43への係合部45の係合によってスタンド支持部材33の下限回動位置を保持する回動ロック手段41のロック状態ならびに係合部45の固定係止部43への係合を解除するアンロック状態が操作子の操作に応じて切換えられ、スタンド支持部材33の下限回動位置に向かっての回動途中では係合部45を固定係止部43に係合させる側への係合アーム46の回動がロック作動規制機構70で規制され、スタンド支持部材33の下限回動位置で起立位置に回動したときに駐車状態を得るようにしたスタンド37がスタンド支持部材33に回動自在に連結される。
【解決手段】固定係止部43への係合部45の係合によってスタンド支持部材33の下限回動位置を保持する回動ロック手段41のロック状態ならびに係合部45の固定係止部43への係合を解除するアンロック状態が操作子の操作に応じて切換えられ、スタンド支持部材33の下限回動位置に向かっての回動途中では係合部45を固定係止部43に係合させる側への係合アーム46の回動がロック作動規制機構70で規制され、スタンド支持部材33の下限回動位置で起立位置に回動したときに駐車状態を得るようにしたスタンド37がスタンド支持部材33に回動自在に連結される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車状態を得るための起立位置ならびに駐車状態を解除するための格納位置間での回動可能なスタンドを、操作子の操作に応じて少なくとも起立位置から格納位置に回動させ得るようにした二輪車のスタンド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車体フレームに回動可能に連結されたスタンドが操作レバーにロッドを介して連結され、操作レバーの回動操作により、乗車姿勢のままでスタンドを起立位置に容易に回動させるようにした二輪車のスタンド装置が、特許文献1で知られている。
【特許文献1】特開昭63−279981号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記特許文献1で開示されるものでは、操作レバーの戻し操作もしくは二輪車の前方への押し出し操作によって、スタンドを格納位置に回動せしめるようにしており、操作レバーを戻すときには車重によって起立位置に保持されているスタンドを格納する側に回動させるために大きな操作力が必要であった。
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、小さな操作力でスタンドを容易に格納し得るようにした二輪車のスタンド装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、駐車状態を得るための起立位置ならびに駐車状態を解除するための格納位置間での回動可能なスタンドを、操作子の操作に応じて少なくとも起立位置から格納位置に回動させ得るようにした二輪車のスタンド装置において、
前記操作子の格納操作に連動して上方に回動するようにして車体フレームに上下に回動可能に支承されるスタンド支持部材と;
車体フレームの固定位置に配置される固定係止部、該固定係止部に係合可能な係合部が設けられるとともに前記操作子の格納操作に連動して前記係合部の前記固定係止部への係合を解除するようにして前記スタンド支持部材に回動可能に支承される係合アーム、ならびに前記係合部を前記固定係止部に係合させる側に前記係合アームを付勢する弾発力を発揮する弾発部材を有し、前記係合部を前記固定係止部に係合させて前記スタンド支持部材を下限回動位置に保持するロック状態ならびに前記スタンド支持部材を前記下限回動位置から上方に回動させることを可能とすべく前記係合部の前記固定係止部への係合を解除するアンロック状態を前記操作子の操作に応じて切換える回動ロック手段と;
前記スタンド支持部材の上限回動位置から前記下限回動位置に向かっての回動途中では前記係合部を前記固定係止部に係合せしめる側に前記係合アームが回動することを規制するものの前記スタンド支持部材が前記下限回動位置となったときには前記係合部を前記固定係止部に係合せしめる側に前記係合アームが回動することを許容するようにして前記係合アームの回動を規制するロック作動規制機構と;を備え、
前記スタンドが、前記スタンド支持部材の前記下限回動位置で前記起立位置に回動したときに駐車状態を得ることを可能として、前記起立位置および前記格納位置間での回動を可能として前記スタンド支持部材に連結されることを特徴とする。
【0006】
また請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加えて、前記回動ロック手段が、前記固定係止部、前記係合アームおよび前記弾発部材に加えて、前記操作子に連結される操作子連結部を有して前記スタンド支持部材に回動可能に支承される制御レバーと、該制御レバーの回動に連動して前記係合アームを回動せしめるようにして前記制御レバーおよび前記係合アーム間を連結する連結リンクとを備え、前記弾発部材が前記係合部を前記固定係止部に係合させる側に前記係合アームを回動する側に前記制御レバーを回動付勢するようにして前記スタンド支持部材および前記制御レバー間に設けられることを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の構成に加えて、前記ロック作動規制機構が、前記車体フレームの固定位置に配置される車体側カム当接部と、前記制御レバーに設けられる制御レバー側カム当接部と、前記車体側カム当接部に当接可能な車体側腕部ならびに前記制御レバー側カム当接部に当接可能な制御レバー側腕部を有して前記スタンド支持部材に回動可能に支承されるカムと、前記車体側腕部を前記車体側カム当接部に当接させる側に前記カムを回動付勢するようにして前記カムおよび前記スタンド支持部材間に設けられるカム付勢部材とを備え、前記スタンド支持部材の上限回動位置から前記下限回動位置に向かっての回動途中では前記車体側カム当接部に前記車体側腕部が当接した状態にある前記カムの前記制御レバー側腕部が前記制御レバー側カム当接部に当接することで前記係合部を前記固定係止部に係合せしめる側に前記係合アームが回動する側への前記制御レバーの回動が規制され、前記スタンド支持部材の下限回動位置では前記車体側カム当接部に前記車体側腕部が当接した状態にある前記カムがその制御レバー側腕部を前記制御レバー側カム当接部から外れる位置まで回動するのに応じて前記弾発部材で付勢された前記制御レバーの回動が許容されることで前記係合部を前記固定係止部に係合せしめるように前記係合アームが回動することを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明の構成に加えて、前記係合部を係合させる係止面が、前記スタンド支持部材の上方への回動方向に対向する側に臨むようにして前記固定係止部に形成され、前記係止面に係合する位置ならびに該係止面との係合を解除して前記固定係止部の側方に移動する係合解除位置間で前記回動方向に直交する作動方向に前記係合部を作動せしめるようにして、前記係合アームが前記スタンド支持部材に回動可能に支承されることを特徴とする。
【0009】
さらに請求項5記載の発明は、請求項3記載の発明の構成に加えて、前記カムが前記制御レバーの回動軸線と平行な軸線を有する支軸を介して前記スタンド支持部材に回動可能に支承され、前記制御レバーおよび前記カムの回動軸線に直交する平面で、前記スタンド支持部材が前記下限回動位置にある状態では前記支軸から前記スタンド支持部材の回動軸線側に延びる前記車体側腕部の前記車体側カム当接部への当接点および前記支軸の軸線を通る第1直線と、前記固定係止部との係合を解除する位置に前記係合部が在る状態に前記係合アームを回動させている前記制御レバーの回動軸線および前記制御レバー側カム当接部を通る第2直線とが平行になるように設定され、前記制御レバー側腕部が、該制御レバー側腕部の前記制御レバー側カム当接部に当接した位置と、前記制御レバー側カム当接部から外れる位置との間で前記第1および第2直線と平行な方向に作動するようにして、前記車体側腕部と角度をなす方向に延びて前記カムに設けられることを特徴とする。
【0010】
なお実施例のケーブル連結部39aが本発明の操作子連結部に対応し、実施例の操作レバー40が本発明の操作子に対応し、実施例のコイルばね49が本発明の弾発部材に対応し、実施例の第2支軸52が本発明の支軸に対応し、実施例のねじりばね74が本発明のカム付勢部材に対応する。
【発明の効果】
【0011】
請求項1〜3記載の発明によれば、スタンド支持部材を下限回動位置としつつスタンドを起立位置とした駐車状態で、操作子を格納操作すると、スタンド支持部材が上方に回動するので、スタンド支持部材に連結されているスタンドもスタンド支持部材とともに地面から離間するようにして上昇することになり、小さな操作力で駐車状態を解除して、スタンドを格納することができる。
【0012】
また操作子の操作に応じて作動する回動ロック手段により、駐車時にはスタンド支持部材の下限回動位置が保持されるので、二輪車の駐車状態をより確実に維持することができる。しかもスタンド支持部材の上限回動位置から下限回動位置に向かっての回動途中では回動ロック手段における係合アームの回動がロック作動規制手段で規制され、スタンド支持部材が下限回動位置となったときには係合アームが回動することを許容するようにして係合アームの回動がロック作動規制機構で規制されるので、係合アームの回動開始時期を確実に定め易く、回動ロック手段の確実性および円滑な作動性の向上を図ることができる。
【0013】
また請求項4記載の発明によれば、スタンド支持部材の上方への回動方向に対向する側に臨むようにして固定係止部に係止面が形成され、係止面に係合する位置ならびに係止面との係合を解除して固定係止部の側方に移動する係合解除位置間でスタンド支持部材の回動方向に直交する作動方向に係合部を作動せしめるようにして、係合アームがスタンド支持部材に回動可能に支承されるので、スタンド支持部材が回動ロック手段によって下限回動位置に保持された状態で、スタンド支持部材に上方に回動せしめる側の外力が作用してもその力が、係止面から係合部を離脱させる側に係合アームを回動させる方向の力となって該係合アームに作用することを防止し、スタンド支持部材の下限回動位置のロック状態を確実に保持することができる。しかも係合アームは、係止面に係合部を係合する位置ならびに係合部の係止面との係合を解除する係合解除位置間でスタンド支持部材の回動方向に直交する作動方向に係合部を作動せしめるように回動するので、係合アームの必要回動量を小さくし、係合アームを配置するのに必要なスペースを小さくしてスタンド装置の小型化に寄与することができる。
【0014】
さらに請求項5記載の発明によれば、カムの車体側腕部は、スタンド支持部材の下限回動位置では制御レバーの回動軸線と平行なカムの回動軸線からスタンド支持部材の回動軸線側に延びているので、スタンド支持部材の回動に応じてカムを確実に回動させることができ、また制御レバーおよびカムの回動軸線に直交する平面で、スタンド支持部材が下限回動位置にある状態での車体側腕部の車体側カム当接部への当接点およびカムの回動軸線を通る第1直線と、固定係止部との係合を解除する位置に係合部が在る状態に前記係合アームを回動させている制御レバーの回動軸線および制御レバー側カム当接部を通る第2直線とが平行であり、制御レバー側腕部が、制御レバー側腕部の制御レバー側カム当接部に当接した位置と、前記制御レバー側カム当接部から外れる位置との間で第1および第2直線と平行な方向に作動するようにして車体側腕部と角度をなす方向に延びるので、カムの回動によって制御レバーの回動を規制する状態およびその規制を解除する状態を切換える機構を簡単に構成することができるとともに、カムの回動に伴う制御レバーの回動量を小さくし、スタンド装置の小型化に寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
【0016】
図1〜図12は本発明の一実施例を示すものであり、図1はスクータ型自動二輪車の側面図、図2はスタンド付近の拡大側面図、図3はスタンド付近の拡大斜視図、図4はスタンド支持部材、回動ロック手段およびロック作動規制機構の連結状態を示すための分解斜視図、図5は図2の要部拡大図、図6は操作レバー付近の側面図、図7は図2の7−7線拡大断面図、図8はロック作動規制機構の作用を説明するための図、図9は駐車状態でのスタンド装置の側面図、図10は前輪が接地するまでスタンド支持部材が上昇した状態でのスタンド装置の側面図、図11は図10の状態からスタンド支持部材がさらに上昇した状態でのスタンド装置の側面図、図12はスタンドが格納された状態でのスタンド装置の側面図である。
【0017】
先ず図1において、スクータ型自動二輪車の車体フレームFは、前端にヘッドパイプ11が固着されたメインフレームパイプ12と、該メインフレームパイプ12の後端に直角に固着されるクロスパイプ13と、クロスパイプ13の両端部に前端がそれぞれ連設される左右一対のリヤフレームパイプ14…とを備える。
【0018】
メインフレームパイプ12は、ヘッドパイプ11から後ろ下がりに傾斜したダウンフレーム部12aと、ダウンフレーム部12aの後端からほぼ水平にして後方に延びるロアフレーム部12bとが一体に連設されて成る。クロスパイプ13は車体フレームFの左右方向に延びるものであり、該クロスパイプ13の軸方中央部がメインフレームパイプ12の後端部すなわちロアフレーム部12bの後端部に直角に固着される。
【0019】
前記ヘッドパイプ11には前輪WFを跨ぐフロントフォーク15が操向可能に支承され、フロントフォーク15の上端には操向ハンドル16が連結される。
【0020】
車体フレームFにおける両リヤフレームパイプ14…の前部には、後輪WRの前方側に配置されるエンジンEと、後輪WRの左側方に配置される伝動装置Mとから成るパワーユニットPが、リンク17を介して上下揺動可能に支承され、後輪WRはパワーユニットPの後部に軸支される。
【0021】
前記伝動装置Mは、エンジンEのクランクケース18に連設されて後輪WRの左側方に延びる伝動ケース20内に収納され、この伝動ケース20の後部と、左右一対のリヤフレームパイプ14…のうち左側のリヤフレームパイプ14との間にはリヤクッションユニット21が設けられる。またエンジンEにおけるシリンダヘッド19の下部から排気ガスを導く排気管22がエンジンEから後輪WRの右側方側に延出されており、この排気管22は、後輪WRの右側方に配置される排気マフラー23に接続される。エンジンEにおけるシリンダヘッド19の上部には吸気管24を介して気化器25が接続されており、この気化器25は、該気化器25よりも後方で後輪WRの左側方に配置されるエアクリーナ26に接続される。
【0022】
両リヤフレームパイプ14…の前部間には、ヘルメット等を収納可能な収納ボックス27が前記エンジンEの上方に配置されるようにして支持され、収納ボックス27を上方から覆う乗員用シート28が、開閉可能として前記収納ボックス27の前側上部に支持される。
【0023】
また前記エンジンEの一部および車体フレームFは、乗員用シート28上の乗員の足を乗せるためのステップフロア29を有する車体カバー30で覆われる。
【0024】
図2および図3を併せて参照して、車体フレームFの前記メインフレームパイプ12におけるロアフレーム部12bの前後方向中間上部には、下方に開いた略U字状の横断面形状を有して車幅方向に延びる支持ステー31の長手方向中央部が溶接等によって固着される。而して前記ロアフレーム部12bから左右両側に突出した前記支持ステー31の両端前部には、第1ブラケット32,32がそれぞれ設けられる。また前記支持ステー31には、図1〜図3で示す位置を下限回動位置としたスタンド支持部材33が上下に回動可能に支承される。
【0025】
図4を併せて参照して、スタンド支持部材33は、同軸の第1支軸34,34を介して前記両第1ブラケット32,32に後端部が回動可能に支承されて相互に平行に延びる左右一対の腕部33a,33aと、それらの腕部33a…の前端間を結ぶ連結部33bとを一体に有するものであり、パイプが略U字状に屈曲成形されて成る。
【0026】
前記スタンド支持部材33の連結部33bに固着された第2ブラケット35には、前記第1支軸34…と平行なスタンド軸36を介してスタンド37が回動可能に連結される。このスタンド37は、左右一対の脚部37a,37bと、両脚部37a,37bの一端間を連結する連結部37cとを有し、連結部37cに固定されたスタンド軸36が第2ブラケット35に回動可能に支承される。また両脚部37a,37bのうち左側の脚部37aの他端部には足をかけるための足掛け部37dが一体に連設される。
【0027】
このスタンド37は、起立位置および格納位置間での回動を可能として前記スタンド支持部材33の第2ブラケット35に回動自在に連結されるものであり、前記スタンド支持部材33の下限回動位置で起立位置(図1〜図3で示す位置)に回動したときに後輪WRを接地させたまま前輪WFを地面から浮かせるようにした姿勢での駐車状態を得ることが可能であり、前記スタンド支持部材33が前記下限回動位置から上方に回動したときに前記駐車状態を解除するための格納位置(図12で示す位置)に前記起立位置から回動することが可能である。
【0028】
またスタンド支持部材33が下限回動位置にある状態で前記スタンド37を格納位置から起立位置に回動して駐車状態を得るときには、前記スタンド37の足掛け部37dに足をかけて回動操作すればよい。
【0029】
而して駐車状態では後輪WRを接地させたまま前輪WFを地面から浮かせるので、運転者は乗員用シート28への着座状態のままでスタンド37を起立位置に回動操作することができる。その際に、重量物であるエンジンEの重量および運転者の自重がスタンド37に作用することはないので、スタンド37を楽に起立操作することができる。
【0030】
図1で示すように、ヘッドパイプ11の前方で車体フレームFには、乗員用シート28側から乗員が上下に手動操作することを可能として操作子である操作レバー40が支持されており、該操作レバー40の手動操作に応じて前記スタンド支持部材33が上下に回動する。
【0031】
前記車体フレームFおよび前記スタンド支持部材33間には、前記操作レバー40の駐車操作時に前記スタンド支持部材33を下限回動位置に保持するロック状態と、前記操作レバー40の格納操作時に前記スタンド支持部材33を前記下限回動位置から上方に回動させることを可能としたアンロック状態とを、前記操作レバー40の操作に応じて切換える回動ロック手段41が設けられる。
【0032】
図5を併せて参照して、回動ロック手段41は、メインフレームパイプ12と、スタンド支持部材33の連結部33bに固着された第2ブラケット35に連設される支持板42との間に設けられるものであり、前方に突出した固定係止部43を前面上部に有して前記ダウンフレーム部12aおよびロアフレーム部12bの連設部に固着される係止部材44と、前記固定係止部43に係脱可能に係合する係合部45を有して前記支持板42に回動可能に支承される係合アーム46と、該係合アーム46の回動軸線と平行な軸線まわりに回動することを可能として前記係合アーム46の前方で前記支持板42に支承される制御レバー47と、該制御レバー47および前記係合アーム46間を連結する連結リンク48と、支持板42および制御レバー47間に設けられるコイルばね49とで構成される。
【0033】
前記係止部材44は、前記メインフレーム12におけるダウンフレーム部12aおよびロアフレーム部12bの左側に固着されたステー50に、たとえば一対のボルト51,51で締結される。また前記支持板42は、前記係止部材44に対応して前記第2ブラケット35の左側端部に立設されるものであり、前記係合アーム46、前記制御レバー47および前記連結リンク48は前記支持板42の内方側に配置される。
【0034】
前記係止部材44の前方で上下に長く延びる前記係合アーム46の上端部は、前記スタンド軸36および前記支軸34と平行な軸線を有して前記支持板42に植設される第2支軸52で揺動可能に支承されており、前記固定係止部43に係合し得る係合部45が係合アーム46の長手方向中間部から後方に向けて突設される。
【0035】
前記固定係止部43には、前記スタンド支持部材33の上方への回動方向80に対向する側に臨む係止面43a、この実施例では下方側に臨む係止面43aが前記係合部45を係合させるようにして形成され、前記係止面43aに係合する位置ならびに該係止面43aとの係合を解除して前記固定係止部43の側方に移動する係合解除位置間で前記回動方向80に直交する作動方向81に前記係合部45を作動せしめるようにして、前記係合アーム46がスタンド支持部材33の支持板42に第2支軸52を介して回動可能に支承される。
【0036】
制御レバー47は、第1レバー部材38と、第1レバー部材39よりも支持板42側に配置される第2レバー部材39とが相対角変位を不能として相互に係合されて成るものであり、この制御レバー47は、前記係合アーム46の前方に配置され、第2支軸52と平行な第3支軸53を介して前記支持板42に回動可能に支承される。而して支持板42に植設された第3支軸53は、第2レバー部材39との間にワッシャ68を介在させて第2レバー部材39の一端部および第1レバー部材38の一端部を貫通し、第1レバー部材38からの第3支軸53の突出部に第1レバー部材38に当接、係合する止め輪69が装着される。
【0037】
前記係合アーム46の下部は、制御レバー47における第1レバー部材38の一端部に連結リンク48を介して連結される。また制御レバー47における第2レバー部材39の他端部は側面視では前記支持板42から前方側に突出しており、前記コイルばね49は、前記制御レバー47における第2レバー部材39の前記支持板42から前方への突出部に植設されたピン66と、前記支持板42の外面側に植設されたピン67との間に設けられ、このコイルばね49のばね力によって前記制御レバー47は、前記係合部45を固定係止部43に係合させる側に前記係合アーム46を回動するように回動付勢される。
【0038】
しかも前記係合アーム46および前記制御レバー47は、係合部45を固定係止部43に係合させる側(図1および図2の反時計方向)に所定角度だけ制御レバー47が回動したときに、係合アーム45および制御レバー47が相互に当接するようにして連結リンク48で連結されており、係合アーム46および制御レバー47が相互に当接した状態では係合部45を係止部材44から遠ざける側に、係合アーム46および制御レバー47がスタンド支持部材33に対して回動することはない。
【0039】
図6において、前記操作レバー40は、車体フレームFに回動可能に支承されたドラム54に固定される。前記回動ロック手段41の制御レバー47および前記ドラム54は、前記操作レバー40を下方に押し上げるのに応じて牽引されるケーブル55を介して連結されるものであり、該ケーブル55は、アウターケーブル56内にインナーケーブル57が移動自在に挿通されて成る。
【0040】
前記アウターケーブル56の一端は前記ドラム54の下方で車体フレームFに固定されたケーブル支持板58に固定され、このアウターケーブル56の一端から突出したインナーケーブル57の一端部は、操作レバー40を図4の実線で示す起立操作位置から図4の鎖線で示す格納操作位置まで下方に押し下げ操作するのに応じて前記ドラム54への巻きかけ量が多くなるようにしてドラム54に巻きかけ、連結される。
【0041】
また前記アウターケーブル56の他端は、メインフレームパイプ12におけるダウンフレーム部12aの中間部に固定されたケーブル支持板59(図1参照)に固定されており、このアウターケーブル56の他端から突出したインナーケーブル57の他端が、制御レバー47における第2レバー39の他端部すなわち前記係合アーム46とは反対側の端部に設けられる操作子連結部としてのケーブル連結部39aに連結される。
【0042】
したがって操作レバー40を起立操作位置から格納操作位置まで下方に回動操作するのに応じて制御レバー47がコイルばね49のばね力に抗して図1および図2の時計方向に回動し、それにより、係合アーム46が係合部45を固定係止部43から離脱させる側に回動することになる。
【0043】
ところで、前記スタンド支持部材33の上限回動位置から前記下限回動位置に向かっての回動途中では前記係合部45を前記固定係止部43に係合せしめる側に前記係合アーム46が回動することは、ロック作動規制機構70によって規制される。
【0044】
図7を併せて参照して、ロック作動規制機構70は、車体フレームFの固定位置に配置される車体側カム当接部71と、制御レバー47に設けられる制御レバー側カム当接部72と、車体側カム当接部71に当接可能な車体側腕部73aならびに制御レバー側カム当接部72に当接可能な制御レバー側腕部73bを有してスタンド支持部材33に回動可能に支承されるカム73と、車体側腕部73aを車体側カム当接部71に当接させる側にカム73を回動付勢するようにしてカム73およびスタンド支持部材33間に設けられるカム付勢部材であるねじりばね74とを備える。
【0045】
前記車体側カム当接部71は、車体フレームFの前記ダウンフレーム部12aおよびロアフレーム部12bの連設部に固着されている係止部材44の上面に平坦面として設けられ、前記制御レバー側カム当接部72は、前記制御レバー47における第2レバー部材39の一端部に設けられる。
【0046】
前記カム73は、前記係合アーム46とともに第2支軸52で回動可能に支承されるものであり、カム73は係合アーム46および支持板42間に配置され、ねじりばね74はカム73および支持板42間に配置される。而して第2支軸52は、ワッシャ76、ねじりばね74、ワッシャ77、カム73、係合アーム46およびワッシャ78に挿通され、第2支軸52のうち前記ワッシャ78から突出した部分に、前記ワッシャ78に当接、係合する止め輪79が装着される。
【0047】
このようなロック作動機構70によれば、前記スタンド支持部材33の上限回動位置から下限回動位置に向かっての回動途中では、図8(a)で示すように、車体側カム当接部71に前記車体側腕部73aが当接した状態にある前記カム73の前記制御レバー側腕部73bが前記制御レバー側カム当接部72に当接することで、前記係合部45を前記固定係止部43に係合せしめる側に係合アーム46が回動する側への制御レバー47の回動が規制され、前記スタンド支持部材33の下限回動位置では、図8(b)で示すように、車体側カム当接部71に前記車体側腕部73aが当接した状態にある前記カム73がその制御レバー側腕部73bを前記制御レバー側カム当接部72から外れる位置まで回動するのに応じてコイルばね49で付勢された前記制御レバー47の回動が許容されることで、前記係合部45を固定係止部43の前記係止面43aに係合せしめるように前記係合アーム46が回動することになる。
【0048】
前記カム73は、前記制御レバー47を回動可能に支承する第3支軸53と平行な軸線を有する第2支軸52で回動可能に支承されることによって、制御レバー47の回動軸線と平行な軸線まわりに回動することを可能として前記スタンド支持部材33の支持板42に回動可能に支承されており、前記制御レバー47およびカム73の回動軸線に直交する平面(図8の紙面と平行な平面)で、スタンド支持部材33が下限回動位置にある状態での前記カム73の回動軸線(第2支軸52の軸線)からスタンド支持部材33の回動軸線(第1支軸34の軸線)側に延びる車体側腕部73aの車体側カム当接部71への当接点およびカム73の回動軸線を通る第1直線L1と、図8(b)で示すように、固定係止部43との係合を解除する位置に係合部45が在る状態に係合アーム46を回動させている制御レバー47の回動軸線(第3支軸53の軸線)および制御レバー側カム当接部72を通る第2直線L2とが平行になるように設定されており、制御レバー側腕部73bの前記制御レバー側カム当接部72に当接した位置と、制御レバー側カム当接部72から外れる位置との間で制御レバー側腕部73bが前記第1および第2直線L1,L2と平行な方向に作動するようにして、制御レバー側腕部73bが車体側腕部73aと角度をなして延びるようにカム73に設けられる。
【0049】
第2ブラケット35には、前記スタンド37の起立位置で該スタンド37に前方から当接するストッパ60が固設されており、ストッパ60に当接した状態にあるスタンド37の両脚部37a,37bの下端すなわちスタンド37の接地点はスタンド軸36を通る鉛直線L3よりも前方に在り、スタンド支持部材33が下限回動位置にある状態で起立位置側に回動したスタンド37を接地させたときには、自動二輪車の車重によってスタンド37の起立位置が保持される。
【0050】
しかもスタンド37が備える一対の脚部37a,37bのうち右側の脚部37bの中間部と、スタンド支持部材33との間には、該スタンド37を格納位置側に付勢するコイル状のばね61が設けられる。すなわちばね61の一端は、スタンド支持部材33に固着された第2ブラケット35の右側側面に植設された第1連結ピン62に連結され、ばね61の他端は、前記右側の脚部37bの中間部に植設された第2連結ピン63に連結されるのであるが、第1および第2連結ピン62,63間を結ぶ直線L4はスタンド軸36の後方に配置される。
【0051】
ところで駐車状態および非駐車状態にかかわらず後輪WRは常時接地状態にあり、駐車状態で自動二輪車が不所望に発進してしまうことがないようにするために、スタンド37のスタンド軸36が起立位置に回動したことを検出するスタンド位置検出スイッチ64が、スタンド軸36を挿通させるようにして第2ブラケット35の外面に取付けられる。而してスタンド37が起立位置となったことをスタンド位置検出スイッチ34で検出したときには、前記エンジンEおよび前記伝動装置M間に設けられている遠心クラッチ(図示せず)が接続状態となるエンジン回転数未満にエンジン回転数を抑制すべく、エンジンEの点火制御が実行される。
【0052】
このようなスタンド装置において、図9で示すように、スタンド支持部材33の下限回動位置でスタンド37を起立位置に回動した駐車状態では、操作レバー40を操作しない限り回動ロック手段41でスタンド支持部材33の下限回動位置が保持されており、スタンド37の起立位置は自動二輪車の車重によって保持され、自動二輪車は前輪WFを地面から浮かせた姿勢となっている。
【0053】
駐車状態を解除すべく、図10で示すように操作レバー40を押し下げるようにして格納操作すると、ケーブル55が牽引されることにより制御レバー47がばね49のばね力に抗して回動し、それに応じて係合アーム46が係合部45を固定係止部43から離脱させる側に回動し、回動ロック手段41は、スタンド支持部材33を下限回動位置から上方に回動させることを可能としたアンロック状態となり、係合アーム45および制御レバー47が相互に当接した状態でのケーブル55の牽引によってスタンド支持部材33が上方に回動し、前輪WFが接地する。
【0054】
操作レバー40をさらに押し下げて、図11で示すように、スタンド37を地面から浮かせるまでスタンド支持部材33を上方に回動すると、スタンド37は、ばね61のばね力によってスタンド軸36の軸線まわりに起立位置から格納位置に回動する。そこで操作レバー40から手を離すと、スタンド支持部材33は、自重によって図12で示すように第1支軸34…の軸線まわりに下方に回動して下限回動位置に戻り、操作レバー40は上方の元の位置に戻る。この状態で回動ロック手段41は係合部45を固定係止部43に係合させたロック状態となり、スタンド支持部材33の下限回動位置が保持されることになる。
【0055】
次にこの実施例の作用について説明すると、操作レバー40の格納操作に連動して上方に回動するスタンド支持部材33が上下に回動することを可能として車体フレームFのメインフレームパイプ12に支承され、該スタンド支持部材33の下限回動位置で起立位置に回動したときに駐車状態を得ることを可能としたスタンド37が、起立位置および格納位置間での回動を可能としてスタンド支持部材33に回動自在に連結される。
【0056】
したがってスタンド支持部材33を下限回動位置としつつスタンド37を起立位置とした駐車状態で、操作レバー40を格納操作すると、スタンド支持部材33が上方に回動することになり、スタンド支持部材33に連結されているスタンド37もスタンド支持部材37とともに地面から離間するようにして上昇することになり、小さな操作力で駐車状態を解除して、スタンド37を格納することができる。
【0057】
またスタンド支持部材33を前記下限回動位置に保持するロック状態と、スタンド支持部材33を下限回動位置から上方に回動させることを可能としたアンロック状態とを、操作レバー40の操作に応じて切換える回動ロック手段41が、車体フレームFのメインフレームパイプ12およびスタンド支持部材33間に設けられるので、操作レバー40の操作に応じて作動する回動ロック手段41によって駐車時にはスタンド支持部材33の下限回動位置が保持されることになり、自動二輪車の駐車状態を確実に維持することができる。
【0058】
しかもスタンド37を格納位置側に付勢するばね61がスタンド支持部材33およびスタンド37間に設けられるので、駐車状態からスタンド支持部材33を上方に回動したときにスタンド37が前記ばね61のばね力によって起立位置から格納位置に回動することになり、スタンド37を格納するのに煩雑な操作を必要とせず、格納操作がより一層容易となる。
【0059】
また操作レバー40は、スタンド37を格納する際には下方に押し下げるようにして車体フレームFに上下に揺動可能に支持されるものであり、スタンド37の格納時には操作レバー40を押し下げればよく、格納操作に必要な力が、押し上げる操作に比べて小さくてすみ、格納操作がより楽になる。
【0060】
さらにスタンド支持部材33の上限回動位置から下限回動位置に向かっての回動途中では係合部45を固定係止部43に係合せしめる側に係合アーム46が回動することは、ロック作動規制機構70で規制され、スタンド支持部材33が下限回動位置となったときにロック作動規制機構70は、係合部45を固定係止部43に係合せしめる側に係合アーム46が回動することを許容するので、係合アーム46の回動開始時期を確実に定め易く、回動ロック手段41の確実性および円滑な作動製の向上を図ることができる。
【0061】
またスタンド支持部材33の上方への回動方向80に対向する側に臨むようにして固定係止部43に係止面43aが形成され、係止面43aに係合する位置ならびに係止面43aとの係合を解除して固定係止部43の側方に移動する係合解除位置間でスタンド支持部材33の回動方向80に直交する作動方向81に係合部45を作動せしめるようにして、係合アーム46がスタンド支持部材33に回動可能に支承されるので、スタンド支持部材33が回動ロック手段41によって下限回動位置に保持された状態で、スタンド支持部材33に上方に回動せしめる側の外力が作用しても、その力が、係止面43aから係合部45を離脱させる側に係合アーム46を回動させる方向の力となって該係合アーム46に作用することを防止し、スタンド支持部材33の下限回動位置のロック状態を確実に保持することができる。
【0062】
しかも係合アーム46は、係止面43aに係合部45を係合する位置ならびに係合部45の係止面43aとの係合を解除する係合解除位置間でスタンド支持部材33の回動方向80に直交する作動方向81に係合部45を作動せしめるように回動するので、係合アーム46の必要回動量を小さくし、係合アーム46を配置するのに必要なスペースを小さくしてスタンド装置の小型化に寄与することができる。
【0063】
またカム73の車体側腕部73aは、スタンド支持部材33が下限回動位置にある状態での制御レバー47の回動軸線と平行なカム73の回動軸線からスタンド支持部材33の回動軸線側に延びているので、スタンド支持部材33の回動に応じてカム73を確実に回動させることができる。
【0064】
さらに制御レバー47およびカム73の回動軸線に直交する平面で、スタンド支持部材33が下限回動位置にある状態での車体側腕部73aの車体側カム当接部71への当接点および第2支軸52の軸線を通る第1直線L1と、固定係止部43との係合を解除する位置に係合部45が在る状態に前記係合アーム46を回動させている制御レバー47の回動軸線および制御レバー側カム当接部72を通る第2直線L2とが平行であり、制御レバー側腕部73bの制御レバー側カム当接部72に当接した位置と、前記制御レバー側カム当接部72から外れる位置との間で、制御レバー側腕部73bが、第1および第2直線L1,L2と平行な方向に作動するようにして制御レバー側腕部73bが車体側腕部73aと角度をなす方向に延びるので、カム73の回動によって制御レバー47の回動を規制する状態およびその規制を解除する状態を切換える機構を簡単に構成することができるとともに、カム73の回動に伴う制御レバー47の回動量を小さくし、スタンド装置の小型化に寄与することができる。
【0065】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】スクータ型自動二輪車の側面図である。
【図2】スタンド付近の拡大側面図である。
【図3】スタンド付近の拡大斜視図である。
【図4】スタンド支持部材、回動ロック手段およびロック作動規制機構の連結状態を示すための分解斜視図である。
【図5】図2の要部拡大図である。
【図6】操作レバー付近の側面図である。
【図7】図2の7−7線拡大断面図である。
【図8】ロック作動規制機構の作用を説明するための図である。
【図9】駐車状態でのスタンド装置の側面図である。
【図10】前輪が接地するまでスタンド支持部材が上昇した状態でのスタンド装置の側面図である。
【図11】図10の状態からスタンド支持部材がさらに上昇した状態でのスタンド装置の側面図である。
【図12】スタンドが格納された状態でのスタンド装置の側面図である。
【符号の説明】
【0067】
33・・・スタンド支持部材
37・・・スタンド
39a・・・操作子連結部であるケーブル連結部
40・・・操作子である操作レバー
41・・・回動ロック手段
43・・・固定係止部
43a・・・係止面
45・・・係合部
46・・・係合アーム
47・・・制御レバー
48・・・連結リンク
49・・・弾発部材であるコイルばね
52・・・支軸である第2支軸
70・・・ロック作動規制機構
71・・・車体側カム当接部
72・・・制御レバー側カム当接部
73・・・カム
73a・・・車体側腕部
73b・・・制御レバー側腕部
74・・・カム付勢部材であるねじりばね
80・・・回動方向
81・・・作動方向
F・・・車体フレーム
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車状態を得るための起立位置ならびに駐車状態を解除するための格納位置間での回動可能なスタンドを、操作子の操作に応じて少なくとも起立位置から格納位置に回動させ得るようにした二輪車のスタンド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車体フレームに回動可能に連結されたスタンドが操作レバーにロッドを介して連結され、操作レバーの回動操作により、乗車姿勢のままでスタンドを起立位置に容易に回動させるようにした二輪車のスタンド装置が、特許文献1で知られている。
【特許文献1】特開昭63−279981号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記特許文献1で開示されるものでは、操作レバーの戻し操作もしくは二輪車の前方への押し出し操作によって、スタンドを格納位置に回動せしめるようにしており、操作レバーを戻すときには車重によって起立位置に保持されているスタンドを格納する側に回動させるために大きな操作力が必要であった。
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、小さな操作力でスタンドを容易に格納し得るようにした二輪車のスタンド装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、駐車状態を得るための起立位置ならびに駐車状態を解除するための格納位置間での回動可能なスタンドを、操作子の操作に応じて少なくとも起立位置から格納位置に回動させ得るようにした二輪車のスタンド装置において、
前記操作子の格納操作に連動して上方に回動するようにして車体フレームに上下に回動可能に支承されるスタンド支持部材と;
車体フレームの固定位置に配置される固定係止部、該固定係止部に係合可能な係合部が設けられるとともに前記操作子の格納操作に連動して前記係合部の前記固定係止部への係合を解除するようにして前記スタンド支持部材に回動可能に支承される係合アーム、ならびに前記係合部を前記固定係止部に係合させる側に前記係合アームを付勢する弾発力を発揮する弾発部材を有し、前記係合部を前記固定係止部に係合させて前記スタンド支持部材を下限回動位置に保持するロック状態ならびに前記スタンド支持部材を前記下限回動位置から上方に回動させることを可能とすべく前記係合部の前記固定係止部への係合を解除するアンロック状態を前記操作子の操作に応じて切換える回動ロック手段と;
前記スタンド支持部材の上限回動位置から前記下限回動位置に向かっての回動途中では前記係合部を前記固定係止部に係合せしめる側に前記係合アームが回動することを規制するものの前記スタンド支持部材が前記下限回動位置となったときには前記係合部を前記固定係止部に係合せしめる側に前記係合アームが回動することを許容するようにして前記係合アームの回動を規制するロック作動規制機構と;を備え、
前記スタンドが、前記スタンド支持部材の前記下限回動位置で前記起立位置に回動したときに駐車状態を得ることを可能として、前記起立位置および前記格納位置間での回動を可能として前記スタンド支持部材に連結されることを特徴とする。
【0006】
また請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加えて、前記回動ロック手段が、前記固定係止部、前記係合アームおよび前記弾発部材に加えて、前記操作子に連結される操作子連結部を有して前記スタンド支持部材に回動可能に支承される制御レバーと、該制御レバーの回動に連動して前記係合アームを回動せしめるようにして前記制御レバーおよび前記係合アーム間を連結する連結リンクとを備え、前記弾発部材が前記係合部を前記固定係止部に係合させる側に前記係合アームを回動する側に前記制御レバーを回動付勢するようにして前記スタンド支持部材および前記制御レバー間に設けられることを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の構成に加えて、前記ロック作動規制機構が、前記車体フレームの固定位置に配置される車体側カム当接部と、前記制御レバーに設けられる制御レバー側カム当接部と、前記車体側カム当接部に当接可能な車体側腕部ならびに前記制御レバー側カム当接部に当接可能な制御レバー側腕部を有して前記スタンド支持部材に回動可能に支承されるカムと、前記車体側腕部を前記車体側カム当接部に当接させる側に前記カムを回動付勢するようにして前記カムおよび前記スタンド支持部材間に設けられるカム付勢部材とを備え、前記スタンド支持部材の上限回動位置から前記下限回動位置に向かっての回動途中では前記車体側カム当接部に前記車体側腕部が当接した状態にある前記カムの前記制御レバー側腕部が前記制御レバー側カム当接部に当接することで前記係合部を前記固定係止部に係合せしめる側に前記係合アームが回動する側への前記制御レバーの回動が規制され、前記スタンド支持部材の下限回動位置では前記車体側カム当接部に前記車体側腕部が当接した状態にある前記カムがその制御レバー側腕部を前記制御レバー側カム当接部から外れる位置まで回動するのに応じて前記弾発部材で付勢された前記制御レバーの回動が許容されることで前記係合部を前記固定係止部に係合せしめるように前記係合アームが回動することを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明の構成に加えて、前記係合部を係合させる係止面が、前記スタンド支持部材の上方への回動方向に対向する側に臨むようにして前記固定係止部に形成され、前記係止面に係合する位置ならびに該係止面との係合を解除して前記固定係止部の側方に移動する係合解除位置間で前記回動方向に直交する作動方向に前記係合部を作動せしめるようにして、前記係合アームが前記スタンド支持部材に回動可能に支承されることを特徴とする。
【0009】
さらに請求項5記載の発明は、請求項3記載の発明の構成に加えて、前記カムが前記制御レバーの回動軸線と平行な軸線を有する支軸を介して前記スタンド支持部材に回動可能に支承され、前記制御レバーおよび前記カムの回動軸線に直交する平面で、前記スタンド支持部材が前記下限回動位置にある状態では前記支軸から前記スタンド支持部材の回動軸線側に延びる前記車体側腕部の前記車体側カム当接部への当接点および前記支軸の軸線を通る第1直線と、前記固定係止部との係合を解除する位置に前記係合部が在る状態に前記係合アームを回動させている前記制御レバーの回動軸線および前記制御レバー側カム当接部を通る第2直線とが平行になるように設定され、前記制御レバー側腕部が、該制御レバー側腕部の前記制御レバー側カム当接部に当接した位置と、前記制御レバー側カム当接部から外れる位置との間で前記第1および第2直線と平行な方向に作動するようにして、前記車体側腕部と角度をなす方向に延びて前記カムに設けられることを特徴とする。
【0010】
なお実施例のケーブル連結部39aが本発明の操作子連結部に対応し、実施例の操作レバー40が本発明の操作子に対応し、実施例のコイルばね49が本発明の弾発部材に対応し、実施例の第2支軸52が本発明の支軸に対応し、実施例のねじりばね74が本発明のカム付勢部材に対応する。
【発明の効果】
【0011】
請求項1〜3記載の発明によれば、スタンド支持部材を下限回動位置としつつスタンドを起立位置とした駐車状態で、操作子を格納操作すると、スタンド支持部材が上方に回動するので、スタンド支持部材に連結されているスタンドもスタンド支持部材とともに地面から離間するようにして上昇することになり、小さな操作力で駐車状態を解除して、スタンドを格納することができる。
【0012】
また操作子の操作に応じて作動する回動ロック手段により、駐車時にはスタンド支持部材の下限回動位置が保持されるので、二輪車の駐車状態をより確実に維持することができる。しかもスタンド支持部材の上限回動位置から下限回動位置に向かっての回動途中では回動ロック手段における係合アームの回動がロック作動規制手段で規制され、スタンド支持部材が下限回動位置となったときには係合アームが回動することを許容するようにして係合アームの回動がロック作動規制機構で規制されるので、係合アームの回動開始時期を確実に定め易く、回動ロック手段の確実性および円滑な作動性の向上を図ることができる。
【0013】
また請求項4記載の発明によれば、スタンド支持部材の上方への回動方向に対向する側に臨むようにして固定係止部に係止面が形成され、係止面に係合する位置ならびに係止面との係合を解除して固定係止部の側方に移動する係合解除位置間でスタンド支持部材の回動方向に直交する作動方向に係合部を作動せしめるようにして、係合アームがスタンド支持部材に回動可能に支承されるので、スタンド支持部材が回動ロック手段によって下限回動位置に保持された状態で、スタンド支持部材に上方に回動せしめる側の外力が作用してもその力が、係止面から係合部を離脱させる側に係合アームを回動させる方向の力となって該係合アームに作用することを防止し、スタンド支持部材の下限回動位置のロック状態を確実に保持することができる。しかも係合アームは、係止面に係合部を係合する位置ならびに係合部の係止面との係合を解除する係合解除位置間でスタンド支持部材の回動方向に直交する作動方向に係合部を作動せしめるように回動するので、係合アームの必要回動量を小さくし、係合アームを配置するのに必要なスペースを小さくしてスタンド装置の小型化に寄与することができる。
【0014】
さらに請求項5記載の発明によれば、カムの車体側腕部は、スタンド支持部材の下限回動位置では制御レバーの回動軸線と平行なカムの回動軸線からスタンド支持部材の回動軸線側に延びているので、スタンド支持部材の回動に応じてカムを確実に回動させることができ、また制御レバーおよびカムの回動軸線に直交する平面で、スタンド支持部材が下限回動位置にある状態での車体側腕部の車体側カム当接部への当接点およびカムの回動軸線を通る第1直線と、固定係止部との係合を解除する位置に係合部が在る状態に前記係合アームを回動させている制御レバーの回動軸線および制御レバー側カム当接部を通る第2直線とが平行であり、制御レバー側腕部が、制御レバー側腕部の制御レバー側カム当接部に当接した位置と、前記制御レバー側カム当接部から外れる位置との間で第1および第2直線と平行な方向に作動するようにして車体側腕部と角度をなす方向に延びるので、カムの回動によって制御レバーの回動を規制する状態およびその規制を解除する状態を切換える機構を簡単に構成することができるとともに、カムの回動に伴う制御レバーの回動量を小さくし、スタンド装置の小型化に寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
【0016】
図1〜図12は本発明の一実施例を示すものであり、図1はスクータ型自動二輪車の側面図、図2はスタンド付近の拡大側面図、図3はスタンド付近の拡大斜視図、図4はスタンド支持部材、回動ロック手段およびロック作動規制機構の連結状態を示すための分解斜視図、図5は図2の要部拡大図、図6は操作レバー付近の側面図、図7は図2の7−7線拡大断面図、図8はロック作動規制機構の作用を説明するための図、図9は駐車状態でのスタンド装置の側面図、図10は前輪が接地するまでスタンド支持部材が上昇した状態でのスタンド装置の側面図、図11は図10の状態からスタンド支持部材がさらに上昇した状態でのスタンド装置の側面図、図12はスタンドが格納された状態でのスタンド装置の側面図である。
【0017】
先ず図1において、スクータ型自動二輪車の車体フレームFは、前端にヘッドパイプ11が固着されたメインフレームパイプ12と、該メインフレームパイプ12の後端に直角に固着されるクロスパイプ13と、クロスパイプ13の両端部に前端がそれぞれ連設される左右一対のリヤフレームパイプ14…とを備える。
【0018】
メインフレームパイプ12は、ヘッドパイプ11から後ろ下がりに傾斜したダウンフレーム部12aと、ダウンフレーム部12aの後端からほぼ水平にして後方に延びるロアフレーム部12bとが一体に連設されて成る。クロスパイプ13は車体フレームFの左右方向に延びるものであり、該クロスパイプ13の軸方中央部がメインフレームパイプ12の後端部すなわちロアフレーム部12bの後端部に直角に固着される。
【0019】
前記ヘッドパイプ11には前輪WFを跨ぐフロントフォーク15が操向可能に支承され、フロントフォーク15の上端には操向ハンドル16が連結される。
【0020】
車体フレームFにおける両リヤフレームパイプ14…の前部には、後輪WRの前方側に配置されるエンジンEと、後輪WRの左側方に配置される伝動装置Mとから成るパワーユニットPが、リンク17を介して上下揺動可能に支承され、後輪WRはパワーユニットPの後部に軸支される。
【0021】
前記伝動装置Mは、エンジンEのクランクケース18に連設されて後輪WRの左側方に延びる伝動ケース20内に収納され、この伝動ケース20の後部と、左右一対のリヤフレームパイプ14…のうち左側のリヤフレームパイプ14との間にはリヤクッションユニット21が設けられる。またエンジンEにおけるシリンダヘッド19の下部から排気ガスを導く排気管22がエンジンEから後輪WRの右側方側に延出されており、この排気管22は、後輪WRの右側方に配置される排気マフラー23に接続される。エンジンEにおけるシリンダヘッド19の上部には吸気管24を介して気化器25が接続されており、この気化器25は、該気化器25よりも後方で後輪WRの左側方に配置されるエアクリーナ26に接続される。
【0022】
両リヤフレームパイプ14…の前部間には、ヘルメット等を収納可能な収納ボックス27が前記エンジンEの上方に配置されるようにして支持され、収納ボックス27を上方から覆う乗員用シート28が、開閉可能として前記収納ボックス27の前側上部に支持される。
【0023】
また前記エンジンEの一部および車体フレームFは、乗員用シート28上の乗員の足を乗せるためのステップフロア29を有する車体カバー30で覆われる。
【0024】
図2および図3を併せて参照して、車体フレームFの前記メインフレームパイプ12におけるロアフレーム部12bの前後方向中間上部には、下方に開いた略U字状の横断面形状を有して車幅方向に延びる支持ステー31の長手方向中央部が溶接等によって固着される。而して前記ロアフレーム部12bから左右両側に突出した前記支持ステー31の両端前部には、第1ブラケット32,32がそれぞれ設けられる。また前記支持ステー31には、図1〜図3で示す位置を下限回動位置としたスタンド支持部材33が上下に回動可能に支承される。
【0025】
図4を併せて参照して、スタンド支持部材33は、同軸の第1支軸34,34を介して前記両第1ブラケット32,32に後端部が回動可能に支承されて相互に平行に延びる左右一対の腕部33a,33aと、それらの腕部33a…の前端間を結ぶ連結部33bとを一体に有するものであり、パイプが略U字状に屈曲成形されて成る。
【0026】
前記スタンド支持部材33の連結部33bに固着された第2ブラケット35には、前記第1支軸34…と平行なスタンド軸36を介してスタンド37が回動可能に連結される。このスタンド37は、左右一対の脚部37a,37bと、両脚部37a,37bの一端間を連結する連結部37cとを有し、連結部37cに固定されたスタンド軸36が第2ブラケット35に回動可能に支承される。また両脚部37a,37bのうち左側の脚部37aの他端部には足をかけるための足掛け部37dが一体に連設される。
【0027】
このスタンド37は、起立位置および格納位置間での回動を可能として前記スタンド支持部材33の第2ブラケット35に回動自在に連結されるものであり、前記スタンド支持部材33の下限回動位置で起立位置(図1〜図3で示す位置)に回動したときに後輪WRを接地させたまま前輪WFを地面から浮かせるようにした姿勢での駐車状態を得ることが可能であり、前記スタンド支持部材33が前記下限回動位置から上方に回動したときに前記駐車状態を解除するための格納位置(図12で示す位置)に前記起立位置から回動することが可能である。
【0028】
またスタンド支持部材33が下限回動位置にある状態で前記スタンド37を格納位置から起立位置に回動して駐車状態を得るときには、前記スタンド37の足掛け部37dに足をかけて回動操作すればよい。
【0029】
而して駐車状態では後輪WRを接地させたまま前輪WFを地面から浮かせるので、運転者は乗員用シート28への着座状態のままでスタンド37を起立位置に回動操作することができる。その際に、重量物であるエンジンEの重量および運転者の自重がスタンド37に作用することはないので、スタンド37を楽に起立操作することができる。
【0030】
図1で示すように、ヘッドパイプ11の前方で車体フレームFには、乗員用シート28側から乗員が上下に手動操作することを可能として操作子である操作レバー40が支持されており、該操作レバー40の手動操作に応じて前記スタンド支持部材33が上下に回動する。
【0031】
前記車体フレームFおよび前記スタンド支持部材33間には、前記操作レバー40の駐車操作時に前記スタンド支持部材33を下限回動位置に保持するロック状態と、前記操作レバー40の格納操作時に前記スタンド支持部材33を前記下限回動位置から上方に回動させることを可能としたアンロック状態とを、前記操作レバー40の操作に応じて切換える回動ロック手段41が設けられる。
【0032】
図5を併せて参照して、回動ロック手段41は、メインフレームパイプ12と、スタンド支持部材33の連結部33bに固着された第2ブラケット35に連設される支持板42との間に設けられるものであり、前方に突出した固定係止部43を前面上部に有して前記ダウンフレーム部12aおよびロアフレーム部12bの連設部に固着される係止部材44と、前記固定係止部43に係脱可能に係合する係合部45を有して前記支持板42に回動可能に支承される係合アーム46と、該係合アーム46の回動軸線と平行な軸線まわりに回動することを可能として前記係合アーム46の前方で前記支持板42に支承される制御レバー47と、該制御レバー47および前記係合アーム46間を連結する連結リンク48と、支持板42および制御レバー47間に設けられるコイルばね49とで構成される。
【0033】
前記係止部材44は、前記メインフレーム12におけるダウンフレーム部12aおよびロアフレーム部12bの左側に固着されたステー50に、たとえば一対のボルト51,51で締結される。また前記支持板42は、前記係止部材44に対応して前記第2ブラケット35の左側端部に立設されるものであり、前記係合アーム46、前記制御レバー47および前記連結リンク48は前記支持板42の内方側に配置される。
【0034】
前記係止部材44の前方で上下に長く延びる前記係合アーム46の上端部は、前記スタンド軸36および前記支軸34と平行な軸線を有して前記支持板42に植設される第2支軸52で揺動可能に支承されており、前記固定係止部43に係合し得る係合部45が係合アーム46の長手方向中間部から後方に向けて突設される。
【0035】
前記固定係止部43には、前記スタンド支持部材33の上方への回動方向80に対向する側に臨む係止面43a、この実施例では下方側に臨む係止面43aが前記係合部45を係合させるようにして形成され、前記係止面43aに係合する位置ならびに該係止面43aとの係合を解除して前記固定係止部43の側方に移動する係合解除位置間で前記回動方向80に直交する作動方向81に前記係合部45を作動せしめるようにして、前記係合アーム46がスタンド支持部材33の支持板42に第2支軸52を介して回動可能に支承される。
【0036】
制御レバー47は、第1レバー部材38と、第1レバー部材39よりも支持板42側に配置される第2レバー部材39とが相対角変位を不能として相互に係合されて成るものであり、この制御レバー47は、前記係合アーム46の前方に配置され、第2支軸52と平行な第3支軸53を介して前記支持板42に回動可能に支承される。而して支持板42に植設された第3支軸53は、第2レバー部材39との間にワッシャ68を介在させて第2レバー部材39の一端部および第1レバー部材38の一端部を貫通し、第1レバー部材38からの第3支軸53の突出部に第1レバー部材38に当接、係合する止め輪69が装着される。
【0037】
前記係合アーム46の下部は、制御レバー47における第1レバー部材38の一端部に連結リンク48を介して連結される。また制御レバー47における第2レバー部材39の他端部は側面視では前記支持板42から前方側に突出しており、前記コイルばね49は、前記制御レバー47における第2レバー部材39の前記支持板42から前方への突出部に植設されたピン66と、前記支持板42の外面側に植設されたピン67との間に設けられ、このコイルばね49のばね力によって前記制御レバー47は、前記係合部45を固定係止部43に係合させる側に前記係合アーム46を回動するように回動付勢される。
【0038】
しかも前記係合アーム46および前記制御レバー47は、係合部45を固定係止部43に係合させる側(図1および図2の反時計方向)に所定角度だけ制御レバー47が回動したときに、係合アーム45および制御レバー47が相互に当接するようにして連結リンク48で連結されており、係合アーム46および制御レバー47が相互に当接した状態では係合部45を係止部材44から遠ざける側に、係合アーム46および制御レバー47がスタンド支持部材33に対して回動することはない。
【0039】
図6において、前記操作レバー40は、車体フレームFに回動可能に支承されたドラム54に固定される。前記回動ロック手段41の制御レバー47および前記ドラム54は、前記操作レバー40を下方に押し上げるのに応じて牽引されるケーブル55を介して連結されるものであり、該ケーブル55は、アウターケーブル56内にインナーケーブル57が移動自在に挿通されて成る。
【0040】
前記アウターケーブル56の一端は前記ドラム54の下方で車体フレームFに固定されたケーブル支持板58に固定され、このアウターケーブル56の一端から突出したインナーケーブル57の一端部は、操作レバー40を図4の実線で示す起立操作位置から図4の鎖線で示す格納操作位置まで下方に押し下げ操作するのに応じて前記ドラム54への巻きかけ量が多くなるようにしてドラム54に巻きかけ、連結される。
【0041】
また前記アウターケーブル56の他端は、メインフレームパイプ12におけるダウンフレーム部12aの中間部に固定されたケーブル支持板59(図1参照)に固定されており、このアウターケーブル56の他端から突出したインナーケーブル57の他端が、制御レバー47における第2レバー39の他端部すなわち前記係合アーム46とは反対側の端部に設けられる操作子連結部としてのケーブル連結部39aに連結される。
【0042】
したがって操作レバー40を起立操作位置から格納操作位置まで下方に回動操作するのに応じて制御レバー47がコイルばね49のばね力に抗して図1および図2の時計方向に回動し、それにより、係合アーム46が係合部45を固定係止部43から離脱させる側に回動することになる。
【0043】
ところで、前記スタンド支持部材33の上限回動位置から前記下限回動位置に向かっての回動途中では前記係合部45を前記固定係止部43に係合せしめる側に前記係合アーム46が回動することは、ロック作動規制機構70によって規制される。
【0044】
図7を併せて参照して、ロック作動規制機構70は、車体フレームFの固定位置に配置される車体側カム当接部71と、制御レバー47に設けられる制御レバー側カム当接部72と、車体側カム当接部71に当接可能な車体側腕部73aならびに制御レバー側カム当接部72に当接可能な制御レバー側腕部73bを有してスタンド支持部材33に回動可能に支承されるカム73と、車体側腕部73aを車体側カム当接部71に当接させる側にカム73を回動付勢するようにしてカム73およびスタンド支持部材33間に設けられるカム付勢部材であるねじりばね74とを備える。
【0045】
前記車体側カム当接部71は、車体フレームFの前記ダウンフレーム部12aおよびロアフレーム部12bの連設部に固着されている係止部材44の上面に平坦面として設けられ、前記制御レバー側カム当接部72は、前記制御レバー47における第2レバー部材39の一端部に設けられる。
【0046】
前記カム73は、前記係合アーム46とともに第2支軸52で回動可能に支承されるものであり、カム73は係合アーム46および支持板42間に配置され、ねじりばね74はカム73および支持板42間に配置される。而して第2支軸52は、ワッシャ76、ねじりばね74、ワッシャ77、カム73、係合アーム46およびワッシャ78に挿通され、第2支軸52のうち前記ワッシャ78から突出した部分に、前記ワッシャ78に当接、係合する止め輪79が装着される。
【0047】
このようなロック作動機構70によれば、前記スタンド支持部材33の上限回動位置から下限回動位置に向かっての回動途中では、図8(a)で示すように、車体側カム当接部71に前記車体側腕部73aが当接した状態にある前記カム73の前記制御レバー側腕部73bが前記制御レバー側カム当接部72に当接することで、前記係合部45を前記固定係止部43に係合せしめる側に係合アーム46が回動する側への制御レバー47の回動が規制され、前記スタンド支持部材33の下限回動位置では、図8(b)で示すように、車体側カム当接部71に前記車体側腕部73aが当接した状態にある前記カム73がその制御レバー側腕部73bを前記制御レバー側カム当接部72から外れる位置まで回動するのに応じてコイルばね49で付勢された前記制御レバー47の回動が許容されることで、前記係合部45を固定係止部43の前記係止面43aに係合せしめるように前記係合アーム46が回動することになる。
【0048】
前記カム73は、前記制御レバー47を回動可能に支承する第3支軸53と平行な軸線を有する第2支軸52で回動可能に支承されることによって、制御レバー47の回動軸線と平行な軸線まわりに回動することを可能として前記スタンド支持部材33の支持板42に回動可能に支承されており、前記制御レバー47およびカム73の回動軸線に直交する平面(図8の紙面と平行な平面)で、スタンド支持部材33が下限回動位置にある状態での前記カム73の回動軸線(第2支軸52の軸線)からスタンド支持部材33の回動軸線(第1支軸34の軸線)側に延びる車体側腕部73aの車体側カム当接部71への当接点およびカム73の回動軸線を通る第1直線L1と、図8(b)で示すように、固定係止部43との係合を解除する位置に係合部45が在る状態に係合アーム46を回動させている制御レバー47の回動軸線(第3支軸53の軸線)および制御レバー側カム当接部72を通る第2直線L2とが平行になるように設定されており、制御レバー側腕部73bの前記制御レバー側カム当接部72に当接した位置と、制御レバー側カム当接部72から外れる位置との間で制御レバー側腕部73bが前記第1および第2直線L1,L2と平行な方向に作動するようにして、制御レバー側腕部73bが車体側腕部73aと角度をなして延びるようにカム73に設けられる。
【0049】
第2ブラケット35には、前記スタンド37の起立位置で該スタンド37に前方から当接するストッパ60が固設されており、ストッパ60に当接した状態にあるスタンド37の両脚部37a,37bの下端すなわちスタンド37の接地点はスタンド軸36を通る鉛直線L3よりも前方に在り、スタンド支持部材33が下限回動位置にある状態で起立位置側に回動したスタンド37を接地させたときには、自動二輪車の車重によってスタンド37の起立位置が保持される。
【0050】
しかもスタンド37が備える一対の脚部37a,37bのうち右側の脚部37bの中間部と、スタンド支持部材33との間には、該スタンド37を格納位置側に付勢するコイル状のばね61が設けられる。すなわちばね61の一端は、スタンド支持部材33に固着された第2ブラケット35の右側側面に植設された第1連結ピン62に連結され、ばね61の他端は、前記右側の脚部37bの中間部に植設された第2連結ピン63に連結されるのであるが、第1および第2連結ピン62,63間を結ぶ直線L4はスタンド軸36の後方に配置される。
【0051】
ところで駐車状態および非駐車状態にかかわらず後輪WRは常時接地状態にあり、駐車状態で自動二輪車が不所望に発進してしまうことがないようにするために、スタンド37のスタンド軸36が起立位置に回動したことを検出するスタンド位置検出スイッチ64が、スタンド軸36を挿通させるようにして第2ブラケット35の外面に取付けられる。而してスタンド37が起立位置となったことをスタンド位置検出スイッチ34で検出したときには、前記エンジンEおよび前記伝動装置M間に設けられている遠心クラッチ(図示せず)が接続状態となるエンジン回転数未満にエンジン回転数を抑制すべく、エンジンEの点火制御が実行される。
【0052】
このようなスタンド装置において、図9で示すように、スタンド支持部材33の下限回動位置でスタンド37を起立位置に回動した駐車状態では、操作レバー40を操作しない限り回動ロック手段41でスタンド支持部材33の下限回動位置が保持されており、スタンド37の起立位置は自動二輪車の車重によって保持され、自動二輪車は前輪WFを地面から浮かせた姿勢となっている。
【0053】
駐車状態を解除すべく、図10で示すように操作レバー40を押し下げるようにして格納操作すると、ケーブル55が牽引されることにより制御レバー47がばね49のばね力に抗して回動し、それに応じて係合アーム46が係合部45を固定係止部43から離脱させる側に回動し、回動ロック手段41は、スタンド支持部材33を下限回動位置から上方に回動させることを可能としたアンロック状態となり、係合アーム45および制御レバー47が相互に当接した状態でのケーブル55の牽引によってスタンド支持部材33が上方に回動し、前輪WFが接地する。
【0054】
操作レバー40をさらに押し下げて、図11で示すように、スタンド37を地面から浮かせるまでスタンド支持部材33を上方に回動すると、スタンド37は、ばね61のばね力によってスタンド軸36の軸線まわりに起立位置から格納位置に回動する。そこで操作レバー40から手を離すと、スタンド支持部材33は、自重によって図12で示すように第1支軸34…の軸線まわりに下方に回動して下限回動位置に戻り、操作レバー40は上方の元の位置に戻る。この状態で回動ロック手段41は係合部45を固定係止部43に係合させたロック状態となり、スタンド支持部材33の下限回動位置が保持されることになる。
【0055】
次にこの実施例の作用について説明すると、操作レバー40の格納操作に連動して上方に回動するスタンド支持部材33が上下に回動することを可能として車体フレームFのメインフレームパイプ12に支承され、該スタンド支持部材33の下限回動位置で起立位置に回動したときに駐車状態を得ることを可能としたスタンド37が、起立位置および格納位置間での回動を可能としてスタンド支持部材33に回動自在に連結される。
【0056】
したがってスタンド支持部材33を下限回動位置としつつスタンド37を起立位置とした駐車状態で、操作レバー40を格納操作すると、スタンド支持部材33が上方に回動することになり、スタンド支持部材33に連結されているスタンド37もスタンド支持部材37とともに地面から離間するようにして上昇することになり、小さな操作力で駐車状態を解除して、スタンド37を格納することができる。
【0057】
またスタンド支持部材33を前記下限回動位置に保持するロック状態と、スタンド支持部材33を下限回動位置から上方に回動させることを可能としたアンロック状態とを、操作レバー40の操作に応じて切換える回動ロック手段41が、車体フレームFのメインフレームパイプ12およびスタンド支持部材33間に設けられるので、操作レバー40の操作に応じて作動する回動ロック手段41によって駐車時にはスタンド支持部材33の下限回動位置が保持されることになり、自動二輪車の駐車状態を確実に維持することができる。
【0058】
しかもスタンド37を格納位置側に付勢するばね61がスタンド支持部材33およびスタンド37間に設けられるので、駐車状態からスタンド支持部材33を上方に回動したときにスタンド37が前記ばね61のばね力によって起立位置から格納位置に回動することになり、スタンド37を格納するのに煩雑な操作を必要とせず、格納操作がより一層容易となる。
【0059】
また操作レバー40は、スタンド37を格納する際には下方に押し下げるようにして車体フレームFに上下に揺動可能に支持されるものであり、スタンド37の格納時には操作レバー40を押し下げればよく、格納操作に必要な力が、押し上げる操作に比べて小さくてすみ、格納操作がより楽になる。
【0060】
さらにスタンド支持部材33の上限回動位置から下限回動位置に向かっての回動途中では係合部45を固定係止部43に係合せしめる側に係合アーム46が回動することは、ロック作動規制機構70で規制され、スタンド支持部材33が下限回動位置となったときにロック作動規制機構70は、係合部45を固定係止部43に係合せしめる側に係合アーム46が回動することを許容するので、係合アーム46の回動開始時期を確実に定め易く、回動ロック手段41の確実性および円滑な作動製の向上を図ることができる。
【0061】
またスタンド支持部材33の上方への回動方向80に対向する側に臨むようにして固定係止部43に係止面43aが形成され、係止面43aに係合する位置ならびに係止面43aとの係合を解除して固定係止部43の側方に移動する係合解除位置間でスタンド支持部材33の回動方向80に直交する作動方向81に係合部45を作動せしめるようにして、係合アーム46がスタンド支持部材33に回動可能に支承されるので、スタンド支持部材33が回動ロック手段41によって下限回動位置に保持された状態で、スタンド支持部材33に上方に回動せしめる側の外力が作用しても、その力が、係止面43aから係合部45を離脱させる側に係合アーム46を回動させる方向の力となって該係合アーム46に作用することを防止し、スタンド支持部材33の下限回動位置のロック状態を確実に保持することができる。
【0062】
しかも係合アーム46は、係止面43aに係合部45を係合する位置ならびに係合部45の係止面43aとの係合を解除する係合解除位置間でスタンド支持部材33の回動方向80に直交する作動方向81に係合部45を作動せしめるように回動するので、係合アーム46の必要回動量を小さくし、係合アーム46を配置するのに必要なスペースを小さくしてスタンド装置の小型化に寄与することができる。
【0063】
またカム73の車体側腕部73aは、スタンド支持部材33が下限回動位置にある状態での制御レバー47の回動軸線と平行なカム73の回動軸線からスタンド支持部材33の回動軸線側に延びているので、スタンド支持部材33の回動に応じてカム73を確実に回動させることができる。
【0064】
さらに制御レバー47およびカム73の回動軸線に直交する平面で、スタンド支持部材33が下限回動位置にある状態での車体側腕部73aの車体側カム当接部71への当接点および第2支軸52の軸線を通る第1直線L1と、固定係止部43との係合を解除する位置に係合部45が在る状態に前記係合アーム46を回動させている制御レバー47の回動軸線および制御レバー側カム当接部72を通る第2直線L2とが平行であり、制御レバー側腕部73bの制御レバー側カム当接部72に当接した位置と、前記制御レバー側カム当接部72から外れる位置との間で、制御レバー側腕部73bが、第1および第2直線L1,L2と平行な方向に作動するようにして制御レバー側腕部73bが車体側腕部73aと角度をなす方向に延びるので、カム73の回動によって制御レバー47の回動を規制する状態およびその規制を解除する状態を切換える機構を簡単に構成することができるとともに、カム73の回動に伴う制御レバー47の回動量を小さくし、スタンド装置の小型化に寄与することができる。
【0065】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】スクータ型自動二輪車の側面図である。
【図2】スタンド付近の拡大側面図である。
【図3】スタンド付近の拡大斜視図である。
【図4】スタンド支持部材、回動ロック手段およびロック作動規制機構の連結状態を示すための分解斜視図である。
【図5】図2の要部拡大図である。
【図6】操作レバー付近の側面図である。
【図7】図2の7−7線拡大断面図である。
【図8】ロック作動規制機構の作用を説明するための図である。
【図9】駐車状態でのスタンド装置の側面図である。
【図10】前輪が接地するまでスタンド支持部材が上昇した状態でのスタンド装置の側面図である。
【図11】図10の状態からスタンド支持部材がさらに上昇した状態でのスタンド装置の側面図である。
【図12】スタンドが格納された状態でのスタンド装置の側面図である。
【符号の説明】
【0067】
33・・・スタンド支持部材
37・・・スタンド
39a・・・操作子連結部であるケーブル連結部
40・・・操作子である操作レバー
41・・・回動ロック手段
43・・・固定係止部
43a・・・係止面
45・・・係合部
46・・・係合アーム
47・・・制御レバー
48・・・連結リンク
49・・・弾発部材であるコイルばね
52・・・支軸である第2支軸
70・・・ロック作動規制機構
71・・・車体側カム当接部
72・・・制御レバー側カム当接部
73・・・カム
73a・・・車体側腕部
73b・・・制御レバー側腕部
74・・・カム付勢部材であるねじりばね
80・・・回動方向
81・・・作動方向
F・・・車体フレーム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車状態を得るための起立位置ならびに駐車状態を解除するための格納位置間での回動可能なスタンド(37)を、操作子(40)の操作に応じて少なくとも起立位置から格納位置に回動させ得るようにした二輪車のスタンド装置において、
前記操作子(40)の格納操作に連動して上方に回動するようにして車体フレーム(F)に上下に回動可能に支承されるスタンド支持部材(33)と;
車体フレーム(F)の固定位置に配置される固定係止部(43)、該固定係止部(43)に係合可能な係合部(45)が設けられるとともに前記操作子(40)の格納操作に連動して前記係合部(45)の前記固定係止部(43)への係合を解除するようにして前記スタンド支持部材(33)に回動可能に支承される係合アーム(46)、ならびに前記係合部(45)を前記固定係止部(43)に係合させる側に前記係合アーム(46)を付勢する弾発力を発揮する弾発部材(49)を有し、前記係合部(45)を前記固定係止部(43)に係合させて前記スタンド支持部材(33)を下限回動位置に保持するロック状態ならびに前記スタンド支持部材(33)を前記下限回動位置から上方に回動させることを可能とすべく前記係合部(45)の前記固定係止部(43)への係合を解除するアンロック状態を前記操作子(40)の操作に応じて切換える回動ロック手段(41)と;
前記スタンド支持部材(33)の上限回動位置から前記下限回動位置に向かっての回動途中では前記係合部(45)を前記固定係止部(43)に係合せしめる側に前記係合アーム(46)が回動することを規制するものの前記スタンド支持部材(33)が前記下限回動位置となったときには前記係合部(45)を前記固定係止部(43)に係合せしめる側に前記係合アーム(46)が回動することを許容するようにして前記係合アーム(46)の回動を規制するロック作動規制機構(70)と;を備え、
前記スタンド(37)が、前記スタンド支持部材(33)の前記下限回動位置で前記起立位置に回動したときに駐車状態を得ることを可能として、前記起立位置および前記格納位置間での回動を可能として前記スタンド支持部材(33)に連結されることを特徴とする二輪車のスタンド装置。
【請求項2】
前記回動ロック手段(41)が、前記固定係止部(43)、前記係合アーム(46)および前記弾発部材(49)に加えて、前記操作子(40)に連結される操作子連結部(39a)を有して前記スタンド支持部材(33)に回動可能に支承される制御レバー(47)と、該制御レバー(47)の回動に連動して前記係合アーム(46)を回動せしめるようにして前記制御レバー(47)および前記係合アーム(46)間を連結する連結リンク(48)とを備え、前記弾発部材(49)が前記係合部(45)を前記固定係止部(43)に係合させる側に前記係合アーム(46)を回動する側に前記制御レバー(47)を回動付勢するようにして前記スタンド支持部材(33)および前記制御レバー(47)間に設けられることを特徴とする請求項1記載の二輪車のスタンド装置。
【請求項3】
前記ロック作動規制機構(70)が、前記車体フレーム(F)の固定位置に配置される車体側カム当接部(71)と、前記制御レバー(47)に設けられる制御レバー側カム当接部(72)と、前記車体側カム当接部(71)に当接可能な車体側腕部(73a)ならびに前記制御レバー側カム当接部(72)に当接可能な制御レバー側腕部(73b)を有して前記スタンド支持部材(33)に回動可能に支承されるカム(73)と、前記車体側腕部(73a)を前記車体側カム当接部(71)に当接させる側に前記カム(73)を回動付勢するようにして前記カム(73)および前記スタンド支持部材(33)間に設けられるカム付勢部材(74)とを備え、前記スタンド支持部材(33)の上限回動位置から前記下限回動位置に向かっての回動途中では前記車体側カム当接部(71)に前記車体側腕部(73a)が当接した状態にある前記カム(73)の前記制御レバー側腕部(73b)が前記制御レバー側カム当接部(72)に当接することで前記係合部(45)を前記固定係止部(43)に係合せしめる側に前記係合アーム(46)が回動する側への前記制御レバー(47)の回動が規制され、前記スタンド支持部材(33)の下限回動位置では前記車体側カム当接部(71)に前記車体側腕部(73a)が当接した状態にある前記カム(73)がその制御レバー側腕部(73b)を前記制御レバー側カム当接部(72)から外れる位置まで回動するのに応じて前記弾発部材(49)で付勢された前記制御レバー(47)の回動が許容されることで前記係合部(45)を前記固定係止部(43)に係合せしめるように前記係合アーム(46)が回動することを特徴とする請求項2記載の二輪車のスタンド装置。
【請求項4】
前記係合部(45)を係合させる係止面(43a)が、前記スタンド支持部材(33)の上方への回動方向(80)に対向する側に臨むようにして前記固定係止部(43)に形成され、前記係止面(43a)に係合する位置ならびに該係止面(43a)との係合を解除して前記固定係止部(43)の側方に移動する係合解除位置間で前記回動方向(80)に直交する作動方向(81)に前記係合部(45)を作動せしめるようにして、前記係合アーム(46)が前記スタンド支持部材(33)に回動可能に支承されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の二輪車のスタンド装置。
【請求項5】
前記カム(73)が前記制御レバー(47)の回動軸線と平行な軸線を有する支軸(52)を介して前記スタンド支持部材(33)に回動可能に支承され、前記制御レバー(47)および前記カム(73)の回動軸線に直交する平面で、前記スタンド支持部材(33)が前記下限回動位置にある状態では前記支軸(52)から前記スタンド支持部材(33)の回動軸線側に延びる前記車体側腕部(73a)の前記車体側カム当接部(71)への当接点および前記支軸(52)の軸線を通る第1直線(L1)と、前記固定係止部(43)との係合を解除する位置に前記係合部(45)が在る状態に前記係合アーム(46)を回動させている前記制御レバー(47)の回動軸線および前記制御レバー側カム当接部(72)を通る第2直線(L2)とが平行になるように設定され、前記制御レバー側腕部(73b)が、該制御レバー側腕部(73b)の前記制御レバー側カム当接部(72)に当接した位置と、前記制御レバー側カム当接部(72)から外れる位置との間で前記第1および第2直線(L1,L2)と平行な方向に作動するようにして、前記車体側腕部(73a)と角度をなす方向に延びて前記カム(73)に設けられることを特徴とする請求項3記載の二輪車のスタンド装置。
【請求項1】
駐車状態を得るための起立位置ならびに駐車状態を解除するための格納位置間での回動可能なスタンド(37)を、操作子(40)の操作に応じて少なくとも起立位置から格納位置に回動させ得るようにした二輪車のスタンド装置において、
前記操作子(40)の格納操作に連動して上方に回動するようにして車体フレーム(F)に上下に回動可能に支承されるスタンド支持部材(33)と;
車体フレーム(F)の固定位置に配置される固定係止部(43)、該固定係止部(43)に係合可能な係合部(45)が設けられるとともに前記操作子(40)の格納操作に連動して前記係合部(45)の前記固定係止部(43)への係合を解除するようにして前記スタンド支持部材(33)に回動可能に支承される係合アーム(46)、ならびに前記係合部(45)を前記固定係止部(43)に係合させる側に前記係合アーム(46)を付勢する弾発力を発揮する弾発部材(49)を有し、前記係合部(45)を前記固定係止部(43)に係合させて前記スタンド支持部材(33)を下限回動位置に保持するロック状態ならびに前記スタンド支持部材(33)を前記下限回動位置から上方に回動させることを可能とすべく前記係合部(45)の前記固定係止部(43)への係合を解除するアンロック状態を前記操作子(40)の操作に応じて切換える回動ロック手段(41)と;
前記スタンド支持部材(33)の上限回動位置から前記下限回動位置に向かっての回動途中では前記係合部(45)を前記固定係止部(43)に係合せしめる側に前記係合アーム(46)が回動することを規制するものの前記スタンド支持部材(33)が前記下限回動位置となったときには前記係合部(45)を前記固定係止部(43)に係合せしめる側に前記係合アーム(46)が回動することを許容するようにして前記係合アーム(46)の回動を規制するロック作動規制機構(70)と;を備え、
前記スタンド(37)が、前記スタンド支持部材(33)の前記下限回動位置で前記起立位置に回動したときに駐車状態を得ることを可能として、前記起立位置および前記格納位置間での回動を可能として前記スタンド支持部材(33)に連結されることを特徴とする二輪車のスタンド装置。
【請求項2】
前記回動ロック手段(41)が、前記固定係止部(43)、前記係合アーム(46)および前記弾発部材(49)に加えて、前記操作子(40)に連結される操作子連結部(39a)を有して前記スタンド支持部材(33)に回動可能に支承される制御レバー(47)と、該制御レバー(47)の回動に連動して前記係合アーム(46)を回動せしめるようにして前記制御レバー(47)および前記係合アーム(46)間を連結する連結リンク(48)とを備え、前記弾発部材(49)が前記係合部(45)を前記固定係止部(43)に係合させる側に前記係合アーム(46)を回動する側に前記制御レバー(47)を回動付勢するようにして前記スタンド支持部材(33)および前記制御レバー(47)間に設けられることを特徴とする請求項1記載の二輪車のスタンド装置。
【請求項3】
前記ロック作動規制機構(70)が、前記車体フレーム(F)の固定位置に配置される車体側カム当接部(71)と、前記制御レバー(47)に設けられる制御レバー側カム当接部(72)と、前記車体側カム当接部(71)に当接可能な車体側腕部(73a)ならびに前記制御レバー側カム当接部(72)に当接可能な制御レバー側腕部(73b)を有して前記スタンド支持部材(33)に回動可能に支承されるカム(73)と、前記車体側腕部(73a)を前記車体側カム当接部(71)に当接させる側に前記カム(73)を回動付勢するようにして前記カム(73)および前記スタンド支持部材(33)間に設けられるカム付勢部材(74)とを備え、前記スタンド支持部材(33)の上限回動位置から前記下限回動位置に向かっての回動途中では前記車体側カム当接部(71)に前記車体側腕部(73a)が当接した状態にある前記カム(73)の前記制御レバー側腕部(73b)が前記制御レバー側カム当接部(72)に当接することで前記係合部(45)を前記固定係止部(43)に係合せしめる側に前記係合アーム(46)が回動する側への前記制御レバー(47)の回動が規制され、前記スタンド支持部材(33)の下限回動位置では前記車体側カム当接部(71)に前記車体側腕部(73a)が当接した状態にある前記カム(73)がその制御レバー側腕部(73b)を前記制御レバー側カム当接部(72)から外れる位置まで回動するのに応じて前記弾発部材(49)で付勢された前記制御レバー(47)の回動が許容されることで前記係合部(45)を前記固定係止部(43)に係合せしめるように前記係合アーム(46)が回動することを特徴とする請求項2記載の二輪車のスタンド装置。
【請求項4】
前記係合部(45)を係合させる係止面(43a)が、前記スタンド支持部材(33)の上方への回動方向(80)に対向する側に臨むようにして前記固定係止部(43)に形成され、前記係止面(43a)に係合する位置ならびに該係止面(43a)との係合を解除して前記固定係止部(43)の側方に移動する係合解除位置間で前記回動方向(80)に直交する作動方向(81)に前記係合部(45)を作動せしめるようにして、前記係合アーム(46)が前記スタンド支持部材(33)に回動可能に支承されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の二輪車のスタンド装置。
【請求項5】
前記カム(73)が前記制御レバー(47)の回動軸線と平行な軸線を有する支軸(52)を介して前記スタンド支持部材(33)に回動可能に支承され、前記制御レバー(47)および前記カム(73)の回動軸線に直交する平面で、前記スタンド支持部材(33)が前記下限回動位置にある状態では前記支軸(52)から前記スタンド支持部材(33)の回動軸線側に延びる前記車体側腕部(73a)の前記車体側カム当接部(71)への当接点および前記支軸(52)の軸線を通る第1直線(L1)と、前記固定係止部(43)との係合を解除する位置に前記係合部(45)が在る状態に前記係合アーム(46)を回動させている前記制御レバー(47)の回動軸線および前記制御レバー側カム当接部(72)を通る第2直線(L2)とが平行になるように設定され、前記制御レバー側腕部(73b)が、該制御レバー側腕部(73b)の前記制御レバー側カム当接部(72)に当接した位置と、前記制御レバー側カム当接部(72)から外れる位置との間で前記第1および第2直線(L1,L2)と平行な方向に作動するようにして、前記車体側腕部(73a)と角度をなす方向に延びて前記カム(73)に設けられることを特徴とする請求項3記載の二輪車のスタンド装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−76586(P2010−76586A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−246769(P2008−246769)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
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