説明

二輪車判別装置及び方法

【課題】駐輪場の出入り口等を通過しようとする二輪車の種別(自転車か自動二輪車か)を正確に判別しつつ、そのスムーズな通行を可能にする二輪車判別装置及び方法を提供する。
【解決手段】駐輪場の出入り口等における通路の途中に、そこを通過する二輪車の種別にかかわらずそのタイヤ部を検知してオンする第1のセンサを配置し、
また、この第1のセンサの上方の所定の高さに、そこを通過する物体の有無を検知する第2のセンサを配置し、第1のセンサがオン状態にある時に第2のセンサが物体無しを検知した場合には自転車であると判別し、一方、第1のセンサがオン状態にある時に第2のセンサが物体有りを検知したままである場合には自動二輪車であると判別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自転車と自動二輪車(ここで、「自動二輪車」とはいわゆる「バイク」の意味であり、狭義の自動二輪車のみならず、原動機付自転車をも含むものとする)の兼用駐輪場等において使用される、自転車と自動二輪車の判別をする装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自転車・自動二輪車兼用駐輪場において管理を行う際は、所要駐車スペースに応じて料金に差を設けて徴収している。そのような自転車・自動二輪車兼用駐輪場において無人化管理するためには、駐輪場の出入り口(出口又は入口)に自転車と自動二輪車の判別装置を設置することが必要になる。この種の判別装置としては、例えば特許文献1に記載されているような溝式の判別装置が知られている。
【0003】
この溝式の判別装置は、駐輪場における出入り口の進行通路に、自転車のタイヤ幅よりも広く、自動二輪車のタイヤ幅よりも狭い幅の溝を設け、この溝へのタイヤの進入の可否を検知することで、二輪車の種別(自転車か自動二輪車か)を判断しようとするものである。
【特許文献1】特開平8−296336号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の溝式のものでは、溝の幅が自転車のタイヤ幅よりも若干広い程度であり、非常に狭く設定されているため、そのような狭い溝に自転車の車輪を通すには、針穴に糸を通すが如く、細心の注意を払わなければならず、特に初めての利用者にこのような繊細な操作を確実に実行させることは容易ではないため、利用者に混乱が生じてしまう。また、自動二輪車の場合は、タイヤの幅が広くて溝内を通行できないために、溝とは別個に設けられた斜面を昇り降りさせるという力作業が必要となる。その結果、駐輪場に出入りする際の通行の能率が著しく下がり、出入り口での渋滞の発生原因となっていた。
【0005】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、自転車・自動二輪車兼用駐輪場等の無人化管理を実現するために、駐輪場の出入り口等を通過しようとする二輪車の種別(自転車か自動二輪車か)を正確に判別しつつ、そのスムーズな通行を可能にする二輪車判別装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を採用する。
まず、本発明の二輪車判別装置は、例えば自転車・自動二輪車兼用駐輪場の出入り口等における所定の通路を通過する二輪車が自転車か自動二輪車かを判別する装置において、 上記通路を通過する二輪車のタイヤ部の厚み(ここで言う「タイヤ部の厚み」とは、タイヤの内周部を支持するリムの厚みをも含めたタイヤ及びリムの全体の厚みのことである)が所定値よりも厚いか否かを検知する厚み検知手段と、この厚み検知手段による検知結果に基づき、上記通路を通過する二輪車が自転車か自動二輪車かを判別する判別手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0007】
このような構成からなる本発明の装置によれば、所定の通路を二輪車が通過する際に、そのタイヤ部の厚みが厚み検知手段により検知され、その検知結果に基づいて二輪車の種別の判別がなされる。すなわち、自転車と自動二輪車とでは、それらのタイヤ部の厚みが相違する(前者よりも後者の方が厚い)という点に着目し、その厚みが所定値よりも厚いか否かに応じて、二輪車の種別を明確に識別できるようにしている。よって、二輪車を駐輪場等に出入りさせる際は、十分に広い幅の通路に沿って二輪車を単に通過させるだけで、利用者が何ら意識せずとも、二輪車の種別の判別が自動的かつ正確に行われることになる。その結果、前述した従来の技術と比べ、利用者は自転車のタイヤを狭い溝に通すといった繊細な作業を強いられることがなくなり、また、大重量の自動二輪車を引っ張って斜面を昇り降りさせるといった力作業も不要になる。
【0008】
ここで、上記の厚み検知手段や判別手段の構成は、タイヤ部の厚みに基づき二輪車の種別を判別可能な範囲内で各種のものを採用可能であるが、その望ましい一例を以下に示す。
【0009】
厚み検知手段の一例としては、上記通路を挟んで互いに対面し、上記通路の路面に対して第1の高さに配置された、第1の投光器及び第1の受光器からなる第1の光電センサと、 上記通路を挟んで互いに対面し、上記第1の光電センサの真下又はその近傍にあり、上記通路の路面に対して第2の高さに配置された、第2の投光器及び第2の受光器からなる第2の光電センサとを備え、上記第1の高さが、自転車のタイヤ部の厚みよりも高く、自動二輪車のタイヤ部の厚みよりも低い位置に設定され、一方、上記第2の高さが、自転車のタイヤ部の厚みよりも低い位置に設定されているものが考えられる。
【0010】
その場合、判別手段としては、上記第2の光電センサが遮光状態にある間に上記第1の光電センサが透光状態になった場合、上記通路を通過する二輪車が自転車であると判別し、一方、上記第2の光電センサが遮光状態にある間に上記第1の光電センサも遮光状態のままである場合、上記通路を通過する二輪車が自動二輪車であると判別するようにすることが望ましい。
【0011】
このような判別処理を行うのは、次の理由による。すなわち、二輪車の通路の途中に、上記のように第1の光電センサを第1の高さ(すなわち、自転車のタイヤ部の厚みよりも高く、自動二輪車のタイヤ部の厚みよりも低い位置)に設置し、かつ、第2の光電センサを第2の高さ(すなわち、自転車のタイヤ部の厚みよりも低い位置)に設置した場合、そこを二輪車が通過する際は、そのタイヤ部の厚みに応じて第1及び第2の光電センサの状態が遷移するので、その遷移パターンの相違に基づき二輪車の種別を正確に判別することが可能となる。
【0012】
具体的に述べれば、まず、第2の高さに設置された第2の光電センサは二輪車の種別にかかわらず、そこを通過するタイヤ部によって必ず一時的に遮光状態(投光器からの光が遮断されて、受光器へ入射しない状態)となり、この状態を検知することによって、二輪車がそこを通過しようとしていることが判別される。その状態において、そのまま二輪車が通過しようとすると、そのタイヤ部の厚みと第1の光電センサの設置高さ(第1の高さ)との関係から、その二輪車が自転車であれば第1の光電センサが一時的に透光状態(投光器からの光が遮断されずに受光器に入射されている状態)となり、一方、自動二輪車であれば第1の光電センサが遮光状態のままとなる。よって、第2の光電センサが遮光状態になっている期間において第1の光電センサの状態を確認するだけで、通路を通過する二輪車の種別を正確に判別することが可能となる。
【0013】
上記の厚み検知手段の他の望ましい例としては、上記第1及び第2の光電センサを複数組備え、その各組が上記通路の進行方向に沿った別々の位置に(すなわち、互いに或る程度の間隔を置いて)配置されるようにすることも考えられる。
【0014】
そしてその場合、判別手段としては、上記複数組の第1及び第2の光電センサのうちの少なくとも1組において、第2の光電センサが遮光状態にある間に第1の光電センサが透光状態になった場合、上記通路を通過する二輪車が自転車であると判別し、一方、上記複数組の第1及び第2の光電センサの全ての組において、第2の光電センサが遮光状態にある間に第1の光電センサも遮光状態のままである場合、上記通路を通過する二輪車が自動二輪車であると判別するようにすることが望ましい。
【0015】
このようにすれば、もし仮に、通路を通過中の自転車のタイヤ部からその車輪中心部へ向けて突出している空気入れノズル等が障害物となって、本来ならば透光状態となるべき第1の光電センサが遮光状態になってしまったような場合であっても、通路の進行方向に対して位置的にずらして配置された他の第1の光電センサにとっては上記の空気入れノズル等が障害物とはならず、正確な検知が可能となる。よって、複数組設けられた第1及び第2の光電センサの状態を総合的に判断することにより、第1及び第2の光電センサを1組だけ配置した場合と比べ、障害物による誤判定を極力回避して、一層正確な判別が可能となる。
【0016】
なお、上記の第2の光電センサは、二輪車の通過の有無を検知することだけが目的であることから、必ずしも光電センサである必要はなく、例えば通路の路面内に配置された圧力スイッチであってもよい。
【0017】
次に、本発明の二輪車判別方法は、例えば自転車・自動二輪車兼用駐輪場の出入り口等における所定の通路を通過する二輪車が自転車か自動二輪車かを判別する方法において、上記通路の途中に、上記通路を通過する二輪車の種別にかかわらずそのタイヤ部を検知してオンする第1のセンサ(上述した第2の光電センサや圧力スイッチに対応)を配置し、上記通路の進行方向に対して上記第1のセンサと同一位置又はその近傍であって、自転車のタイヤ部の厚みよりも高く自動二輪車のタイヤ部の厚みよりも低い所定の高さに、この所定の高さを通過する物体の有無を検知する第2のセンサ(上述した第1の光電センサに対応)を配置し、上記第1のセンサがオン状態にある時に上記第2のセンサが物体無しを検知した場合には、上記通路を通過する二輪車が自転車であると判別し、一方、上記第1のセンサがオン状態にある時に上記第2のセンサが物体有りを検知したままである場合には、上記通路を通過する二輪車が自動二輪車であると判別することを特徴とするものである。
【0018】
このような構成からなる本発明の方法によっても、上述した本発明の装置の場合と同様な原理により、通路に沿って二輪車を単に通過させるだけで、利用者が何ら意識せずとも、二輪車の種別を自動的かつ正確に判別することが可能になる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、駐輪場等の利用者は自転車のタイヤを狭い溝に通すといった繊細な作業を強いられることがなくなり、また、大重量の自動二輪車を引っ張って斜面を昇り降りさせるといった力作業も不要になるため、駐輪場等に出入りする際の通行の能率を著しく向上させることができ、出入り口での渋滞の発生を極力抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る二輪車判別装置を駐輪場出入り口に設置した場合の平面図である。
【0021】
図1に示された駐輪場出入り口の構成はほんの一例であって、無人化管理に対応した一般的な構成を有するものであり、すなわち、駐輪場の外から内へ(または、内から外へ)二輪車6が通過可能なように通路Sが設けられ、この通路Sを挟んだ一方の側に精算機(または発券機)1が設置され、他方の側にゲートA7及びゲートB8が設置されている。ここで、精算機(または発券機)1は、自転車と自動二輪車の駐車料金を徴収したり、駐車券を発行するための装置である。また、2つのゲートA7及びゲートB8は、二輪車6の通行を順番に整理するためのものであり、通路Sの進行方向に沿って二輪車一台分弱の間隔を隔てて配置され、互いに90度の回転位相差を有するように連動回転可能な構成となっており、一方が二輪車6の進行を禁止する位置にある時には他方が二輪車6の進行を可能にする位置となることで、二輪車6を一台ずつ順番に誘導可能である。
【0022】
このような駐輪場出入り口の通路に設置された二輪車判別装置は、以下のような構成からなっている。
すなわち、通路Sを通過する二輪車6のタイヤ部の厚みが所定値よりも厚いか否かを検知する厚み検知手段として上下2段の光電センサを有しており、この光電センサは投光器及び受光器から構成され、投光器側を光電センサ投光器2−(a)、受光器側を光電センサ受光器3−(a)と称する。これらの光電センサ投光器2−(a)及び光電センサ受光器3−(a)は外部の汚れを遮断するために保護カバーが設けられており、これを光電センサカバー4と称する。光電センサ投光器2−(a)からは投光ビーム5−(a)が照射されており、この投光ビームを受光するために二輪車6の進行通路を挟んで対面位置に来るように光電センサ受光器3−(a)が設置される。
【0023】
図2は光電センサ投光器2−(a)及び光電センサ受光器3−(a)の詳細位置を示す図である。光電センサ投光器2−(a)は2段で構成されており、上段を判別投光器2−1、下段を判別指令投光器2−2と称し、判別指令投光器2−2は判別投光器2−1の下方位置(真下またはその近傍)に設置されている。同様に光電センサ受光器3−(a)も2段で構成されており、上段を判別受光器3−1、下段を判別指令受光器3−2と称し、判別指令受光器3−2は判別受光器3−1の下方位置(真下またはその近傍)に設置されている。なお、「真下またはその近傍」とは、後述する検知および判別処理が可能な範囲内で真下位置から少々ずれていてもかまわない、という意味である。
【0024】
図2において、判別投光器2−1及び判別受光器3−1の設置の高さH1は、詳しくは後述するが、二輪車の種別が自転車か自動二輪車かをそのタイヤ部の厚みに基づいて判別するための閾値に相当し、すなわち、自転車のタイヤ部の厚みよりも高く、自動二輪車のタイヤ部の厚みよりも低い位置に設定されている。なお、この高さH1は、判別の正確さを担保するために、さまざまな車種のタイヤ厚を参考にして最適値に設定されるものであり、例えば60から70mmが適当であるが、これに限定されるものではない。
【0025】
また、図2において、判別指令投光器2−2及び判別指令受光器3−2は、詳しくは後述するが、二輪車の通過の有無を検知して判別指令を出すためのものであり、その設置の高さH2は、自転車のタイヤ部の厚みよりも十分に低い位置に設定されている。
【0026】
本実施形態における二輪車判別装置は、以上に述べた厚み検知手段としての光電センサの他に、その検知結果に基づき二輪車の種別を判別する判別手段を有している。この判別手段は、図11に示される制御部によって実現される。
【0027】
次に、上記制御部によって実行される判別処理について、図3及び図4を用いて説明する。なお、図3は通路Sを自転車が通過する場合の状態遷移を示しており、図4は通路Sを自動二輪車が通過する場合の状態遷移を示している。
【0028】
まず、自転車の場合について、図3を用いて説明する。判別の対象となる車輪は、或る程度の厚みを有する円形環状体であることから、それが回転しながら光電センサの検知領域まで到達すると、図3(a)に示すように、まず上段位置(高さH1)にある判別投光器2−1の投光ビームがタイヤ9で遮光される。さらに、車輪の中心が、図3(a)に示した位置であるA点を超えると、今度は、下段位置(高さH2)にある判別指令投光器2−2の投光ビームがタイヤ9又はリム10で遮光され始め、車輪の中心が図3(c)に示すようにB点に達する直前まで判別指令投光器2−2の遮光状態が継続する。
【0029】
このように判別指令投光器2−2の投光ビームが遮光されている間は、判別指令が継続して出力されているものとして認識される。ここで、H1は、上述したように自転車のタイヤ部(タイヤ9及びリム10)の厚みよりも高く、自動二輪車のタイヤ部の厚みよりも低い位置に設定されているので、図3に示すように自転車が通過する場合は、そのタイヤ部によって判別指令投光器2−2の投光ビームが遮光されている期間(すなわち、判別指令が継続して出力されている期間)におけるいずれかの時点、例えば図3(b)に示すように車輪の中心が判別投光器2−1の位置に到達する以前及び到達した瞬間等には、判別投光器2−1の投光ビームが判別受光器3−1に到達し、遮光状態から透光状態に切り替わる。よって、判別指令が出力されている状態において判別投光器2−1の投光ビームを判別受光器3−1が受光した場合、二輪車の種別は自転車であると判断する。
【0030】
すなわち、自転車を検知・判別する場合の工程は、以下の通りである。
第1に、判別投光器2−1の投光ビームが遮光される(図3(a))。
第2に、判別指令投光器2−2の投光ビームが遮光されたのを認識して(図3(b))、判別指令を出力する。
【0031】
第3に、判別指令の出力中に、判別投光器2−1の投光ビームが判別受光器3−1にて受光される(図3(b))。
第4に、判別投光器2−1の投光ビームが遮光される(図3(c))。
【0032】
第5に、判別指令投光器2−2の投光ビームが判別指令受光器3−2にて受光される(図3(c))。
第6に、判別投光器2−1の投光ビームが判別受光器3−1にて受光される(図3(d))。
【0033】
ここで、第3の工程(図3(b))においては、判別指令投光器2−2から判別指令が出されていて、かつ、判別投光器2−1の投光ビームが判別受光器3−1にて受光されるため、二輪車が自転車と判定される。
【0034】
一方、図4に示す自動二輪車の場合、タイヤ部の厚みはH1よりも大きくなるため、その検知・判別の工程は以下の通りである。
第1に、判別投光器2−1の投光ビームが遮光される(図4(a))。
【0035】
第2に、判別指令投光器2−2の投光ビームが遮光されたのを認識して(図4(b))、判別指令を出力する。
第3に、判別指令投光器2−2の投光ビームが判別指令受光器3−2にて受光される(図4(c))。
【0036】
第4に、判別投光器2−1の投光ビームが判別受光器3−1にて受光される(図4(d))。
ここで、第2の工程(図4(b))から第3の工程(図4(c))の間、判別指令投光器2−2から判別指令が出されていて、かつ、判別投光器2−1の投光ビームは遮光されたままであるので、二輪車が自動二輪車と判定される。
【0037】
このようにして得られた判別結果は、図1に示した精算機(または発券機)1における駐車料金の精算や駐車券の発行等に反映される。
以上に述べたように、本実施形態に係る二輪車判別装置によれば、二輪車を駐輪場に出入りさせる際は、十分に広い幅の通路Sに沿って二輪車を単に通過させるだけで、利用者が何ら意識せずとも、二輪車の種別の判別が自動的かつ正確に行われることになる。特に、判別投光器2−1及び判別受光器3−1、判別指令投光器2−2及び判別指令受光器3−2はそれぞれ進行通路面を基準にして同じ高さH1、H2に設置されており、各投光器からの投光ビームが進行通路面に平行であるために、進行通路の幅方向の位置によらず路面に対する投光ビームの高さが一定となるので、二輪車が幅の広い進行通路の何処を通行しても正確な判別結果が得られる。
【0038】
従って、このように正確な判別を可能にする一方で、従来の溝式の判別装置のように自転車のタイヤを狭い溝に通すといった繊細な作業や、大重量の自動二輪車を引っ張って斜面を昇り降りさせるといった力作業も不要になり、その結果、駐輪場に出入りする際の通行の能率を著しく向上させることができ、出入り口での渋滞の発生を極力抑えることができる。
(第2の実施形態)
図6は、本発明の第2の実施形態に係る二輪車判別装置を駐輪場出入り口に設置した場合の平面図である。なお、駐輪場出入り口の構成は、図1に示した第1の実施形態のものと同じであり、図1と同一の要素には同一の符合を付してある。
【0039】
この実施形態は、上記第1の実施形態において予測される誤判定を極力防止するために、判別投光器及び判別受光器、判別指令投光器及び判別指令受光器を複数組(ここでは一例として3組)設けたものである。すなわち、上記第1の実施形態においては、例えば図5に示すように、たまたま自転車の空気入れノズル11や車輪のスポークに取り付けた反射板12が障害物になって、判別投光器2−1の投光ビームを遮断してしまう場合が考えられ、その場合、判別投光器2−1の投光ビームを判別受光器3−1が受光しない状態となり、自転車を自動二輪車と誤判定してしまう。そこで、誤判定の可能性を低くするために判別投光器及び判別受光器、判別指令投光器及び判別指令受光器を複数組設置し、そのそれぞれの組を通路Sの進行方向に沿った別々の位置に(すなわち、互いに所定距離だけ隔てて)配置する。
【0040】
図6において、各組を構成する上下2段の光電センサはいずれも、上記第1の実施形態と同様、投光器及び受光器から構成され、投光器側を光電センサ投光器2−(b)、受光器側を光電センサ受光器3−(b)と称する。光電センサ投光器2−(b)からは投光ビーム5−(b)が照射されており、この投光ビームを受光するために二輪車6の進行通路を挟んで対面位置に来るように光電センサ受光器3−(b)が設置されている。
図7は光電センサ投光器2−(b)及び光電センサ受光器3−(b)の詳細位置を示す図である。光電センサー投光器2−(b)は3列2段で構成されており、投光器側上段を判別投光器2−1−1、判別投光器2−1、判別投光器2−1−2と称し、投光器側下段を判別指令投光器2−2−1、判別指令投光器2−2、判別指令投光器2−2−2と称する。判別指令投光器2−2−1、判別指令投光器2−2、判別指令投光器2−2−2は、判別投光器2−1−1、判別投光器2−1、判別投光器2−1−2の下方位置(真下又はその近傍)にそれぞれ設置されている。
同様に、光電センサ受光器3−(b)は3列2段で構成されており、受光器側上段を判別受光器3−1−1、判別受光器3−1、判別受光器3−1−2と称し、受光器側下段を判別指令受光器3−2−1、判別指令受光器3−2、判別指令受光器3−2−2と称する。判別指令投光器3−2−1、判.別指令投光器3−2、判別指令投光器3−2−2は判別受光器3−1−1、判別受光器3−1、判別受光器3−1−2の下方位置(真下又はその近傍)にそれぞれ設置されている。この場合も、「真下またはその近傍」とは、後述する検知および判別処理が可能な範囲内で真下位置から少々ずれていてもかまわない、という意味である。
【0041】
このように上下2段の光電センサを3組備える構成では、二輪車の種別の判別は次のように行う。すなわち、通路Sを二輪車が通過していくと、3組の光電センサのそれぞれにおいて、上記第1の実施形態の場合と同様、図3又は図4に示したように状態が遷移していくので、3組の光電センサの状態を総合的に判断する。具体的には、3組の光電センサのうちの少なくとも1組において、判別指令投光器から判別指令が出されている状態において判別投光器の投光ビームが判別受光器で受光された場合には、自転車であると判別する。一方、3組の光電センサの全ての組において、判別指令投光器から判別指令が出されている状態において判別投光器の投光ビームが判別受光器で受光されないままである場合には、自動二輪車であると判別する。
【0042】
このようにすることで、もし仮に、図5のように自転車のタイヤ部から突出している空気入れノズル11が障害物となって、投光器2−1からの投光ビームが遮断されてしまったような場合であっても、他の2つの投光器2−1−1、2−1−2からの投光ビームにとっては空気入れノズル11が障害物とはならず、よって、判別指令が出されている状態において確実に投光ビームを受光することができる。また仮に、投光器2−1−2からの投光ビームにとって反射板12が障害物になるような場合であっても、もう1つの投光器2−1−1からの光にとっては何も障害物が存在しないため、確実な検知が可能となる。その結果、光電センサを1組だけ配置した場合と比べ、障害物による誤判定を極力回避して、一層正確な判別を行うことができる。
【0043】
なお、第2の実施形態では上下2段の光電センサを3組用いているが、これに限定されるものではなく、2組又は4組以上使用してもよい。
(第3の実施形態)
図8は、本発明の第3の実施形態に係る二輪車判別装置の要部を示す図である。
【0044】
この実施形態は、第1の実施形態における判別指令投光器2−2及び判別指令受光器3−2の代わりに圧力スイッチ13を路面内に設置したものである。ここで、第1の実施形態において判別指令用の投光器2−2及び受光器3−2を設けた理由は、二輪車の通過の有無をその種別にかかわらず確実に検知することにあり、言い換えれば、二輪車の車輪の中心が判別投光器の近傍にあるときに、判別指令を確実に出し続けることであるので、投光器2−2及び受光器3−2の代替手段として、判別投光器2−1の下方位置(真下又はその近傍)において判別投光器及び判別受光器の間の何処でもタイヤで踏むことでオンする圧力スイッチ13(例えば、いわゆるテープスイッチ等)を設ける。この場合、圧力スイッチ13は進行通路上のベースプレート14上に敷設し、更に、圧力スイッチ13の保護を目的として、緩衝材15、例えばゴム板のカバーを圧力スイッチ13の上に被せることが望ましい。
【0045】
このような構成においては、図12に示すように、判別投光器2−1、判別受光器2−2、及び圧力スイッチ13の状態に基づき、制御部が判別処理を実行する。すなわち、制御部では、図8に示すように圧力スイッチ13が二輪車に踏まれてオン状態となっている間(すなわち、判別指令が出ている間)に判別投光器2−1からの投光ビームが判別受光器3−1で受光された場合、自転車であると判別し、一方、圧力スイッチ13がオン状態となっている間に判別投光器2−1からの投光ビームが判別受光器3−1で受光されないままである場合、自動二輪車であると判別する。
【0046】
このような構成によっても、第1の実施形態と同様な効果が期待できる。
なお、圧力スイッチ13を図9及び図10に示すように通路Sの進行方向に複数設置すると共に、各圧力スイッチに対応した位置にそれぞれ判別投光器及び判別受光器を設置する構成とすることで、第2の実施形態と同様な作用・効果を得るようにすることも可能である。ここで、図9は路面内に設置された複数個(ここでは一例として4個)の圧力スイッチを示す平面図であり、図10はそのA−A断面図である。
【0047】
この場合も、第2の実施形態とほぼ同様、4組の圧力スイッチ及び光電センサの状態を総合的に判断することで、4組のうちの少なくとも1組において、圧力スイッチから判別指令が出されている状態において判別投光器の投光ビームが判別受光器で受光された場合には、自転車であると判別し、一方、4組全てにおいて、圧力スイッチから判別指令が出されている状態において判別投光器の投光ビームが判別受光器で受光されないままである場合には、自動二輪車であると判別する。
【0048】
このようにすることで、第2の実施形態と同様、圧力スイッチ及び光電センサを1組だけ配置した場合と比べ、障害物による誤判定を極力回避して、一層正確な判別を行うことができる。
【0049】
なお、以上に示した実施形態では、タイヤ部の存在の有無を検知するための手段として光電センサや圧力スイッチを用いたが、その他のセンサやスイッチを用いて構成するようにしてもよい。
【0050】
また、本発明を設置する対象は必ずしも自転車・自動二輪車兼用駐輪場の出入り口に限定されるものではなく、必要に応じてその他の場所に設置されてもよい。
更に、本発明における判別手段は、必ずしも厚み検知手段の近くに設置される必要はなく、例えば判別手段を厚み検知手段から遠く離れた場所に設置し、判別手段と厚み検知手段とを有線又は無線の通信回線やネットワークにより接続することで、駐輪場に出入りする二輪車の種別を遠隔管理することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る二輪車判別装置を設置した駐輪場出入り口の平面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る二輪車判別装置の要部を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る二輪車判別装置によって自転車を判別する場合の原理を示す状態遷移図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る二輪車判別装置によって自動二輪車を判別する場合の原理を示す状態遷移図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る二輪車判別装置の要部を表す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る二輪車判別装置を設置した駐輪場出入り口の平面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る二輪車判別装置における投光器と受光器の配置構成を示す図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る二輪車判別装置の要部を表す図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る二輪車判別装置おいて、圧力スイッチを複数用いた場合の平面図である。
【図10】図9におけるA−A断面図である。
【図11】本発明の第1の実施形態に係る二輪車判別装置の検知・判別系を示す概略図である。
【図12】本発明の第3の実施形態に係る二輪車判別装置の検知・判別系を示す概略図である。
【符号の説明】
【0052】
1 精算器または発券機
2−(a),2−(b) 光電センサ投光器
2−1,2−1−1,2−1−2 判別投光器
2−2,2−2−1,2−2−2 判別指令投光器
3−(a),3−(b) 光電センサ受光器
3−1,3−1−1,3−1−2 判別受光器
3−2,3−2−1,3−2−2 判別指令受光器
4 光電センサカバー
5−(a),5−(b) 投光ビーム
6 二輪車
7 ゲートA
8 ゲートB
9 タイヤ
10 リム
11 空気入れノズル
12 反射板
13 圧力スイッチ
14 ベースプレート
15 緩衝材
16 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の通路を通過する二輪車が自転車か自動二輪車かを判別する二輪車判別装置において、
前記通路を通過する二輪車のタイヤ部の厚みが所定値よりも厚いか否かを検知する厚み検知手段と、
該厚み検知手段による検知結果に基づき、前記通路を通過する二輪車が自転車か自動二輪車かを判別する判別手段と、
を備えることを特徴とする二輪車判別装置。
【請求項2】
前記厚み検知手段は、
前記通路を挟んで互いに対面し、前記通路の路面に対して第1の高さに配置された、第1の投光器及び第1の受光器からなる第1の光電センサと、
前記通路を挟んで互いに対面し、前記第1の光電センサの真下又はその近傍にあり、前記通路の路面に対して第2の高さに配置された、第2の投光器及び第2の受光器からなる第2の光電センサとを備え、
前記第1の高さは、自転車のタイヤ部の厚みよりも高く、自動二輪車のタイヤ部の厚みよりも低い位置に設定され、一方、前記第2の高さは、自転車のタイヤ部の厚みよりも低い位置に設定されている、
ことを特徴とする請求項1記載の二輪車判別装置。
【請求項3】
前記判別手段は、前記第2の光電センサが遮光状態にある間に前記第1の光電センサが透光状態になった場合、前記通路を通過する二輪車が自転車であると判別し、一方、前記第2の光電センサが遮光状態にある間に前記第1の光電センサも遮光状態のままである場合、前記通路を通過する二輪車が自動二輪車であると判別することを特徴とする請求項2記載の二輪車判別装置。
【請求項4】
前記厚み検知手段は、前記第1及び第2の光電センサを複数組備え、その各組が前記通路の進行方向に沿った別々の位置に配置されていることを特徴とする請求項2記載の二輪車判別装置。
【請求項5】
前記判別手段は、前記複数組の第1及び第2の光電センサのうちの少なくとも1組において、前記第2の光電センサが遮光状態にある間に前記第1の光電センサが透光状態になった場合、前記通路を通過する二輪車が自転車であると判別し、一方、前記複数組の第1及び第2の光電センサの全ての組において、前記第2の光電センサが遮光状態にある間に前記第1の光電センサも遮光状態のままである場合、前記通路を通過する二輪車が自動二輪車であると判別することを特徴とする請求項4記載の二輪車判別装置。
【請求項6】
前記厚み検知手段は、
前記通路を挟んで互いに対面し、前記通路の路面に対して所定の高さに配置された、投光器及び受光器からなる光電センサと、
前記通路の進行方向に対して前記光電センサと同一位置又はその近傍であって、前記通路の路面内に配置された圧力スイッチとを備え、
前記所定の高さは、自転車のタイヤ部の厚みよりも高く、自動二輪車のタイヤ部の厚みよりも低い位置に設定されている、
ことを特徴とする請求項1記載の二輪車判別装置。
【請求項7】
前記判別手段は、前記圧力スイッチがオン状態である間に前記光電センサが透光状態になった場合、前記通路を通過する二輪車が自転車であると判別し、一方、前記圧力スイッチがオン状態である間に前記光電センサが遮光状態のままである場合、前記通路を通過する二輪車が自動二輪車であると判別することを特徴とする請求項6記載の二輪車判別装置。
【請求項8】
前記厚み検知手段は、前記光電センサ及び前記圧力スイッチを複数組備え、その各組が前記通路の進行方向に沿った別々の位置に配置されていることを特徴とする請求項6記載の二輪車判別装置。
【請求項9】
前記判別手段は、前記複数組の光電センサ及び圧力スイッチのうちの少なくとも1組において、前記圧力スイッチがオン状態である間に前記光電センサが透光状態になった場合、前記通路を通過する二輪車が自転車であると判別し、一方、前記複数組の光電センサ及び圧力スイッチの全ての組において、前記圧力スイッチがオン状態である間に前記光電センサが遮光状態のままである場合、前記通路を通過する二輪車が自動二輪車であると判別することを特徴とする請求項8記載の二輪車判別装置。
【請求項10】
前記通路は、自転車と自動二輪車の兼用駐輪場の出口又は入口における通路であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の二輪車判別装置。
【請求項11】
所定の通路を通過する二輪車が自転車か自動二輪車かを判別する二輪車判別方法において、
前記通路の途中に、前記通路を通過する二輪車の種別にかかわらずそのタイヤ部を検知してオンする第1のセンサを配置し、
前記通路の進行方向に対して前記第1のセンサと同一位置又はその近傍であって、自転車のタイヤ部の厚みよりも高く自動二輪車のタイヤ部の厚みよりも低い所定の高さに、該所定の高さを通過する物体の有無を検知する第2のセンサを配置し、
前記第1のセンサがオン状態にある時に前記第2のセンサが物体無しを検知した場合には、前記通路を通過する二輪車が自転車であると判別し、一方、前記第1のセンサがオン状態にある時に前記第2のセンサが物体有りを検知したままである場合には、前記通路を通過する二輪車が自動二輪車であると判別する、
ことを特徴とする二輪車判別方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−281958(P2006−281958A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−103999(P2005−103999)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(593210064)東海技研株式会社 (3)