説明

二輪車

【課題】ハンドルを自転車本体から取り外すなど、自転車の機能を一時的に失わせることにより、その自転車を操縦することができないようにして盗難の動機を減退させて盗難防止を図る技術があるが、利用者にとってそのような作業は容易なものではない。簡易かつ確実に行うことのできる防犯効果の高い乗り物を提供する。
【解決手段】進行方向操作をするためのハンドル本体0101と、ハンドル本体に着脱自在なグリップ0102と、ハンドル本体に対して固定され、グリップに手をかけ指で引くことでブレーキ操作などをするための操作レバー0103とを有する乗り物などを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドル本体に備えられるグリップを着脱自在とすることにより、ハンドル本体に備えられる操作レバーの操作を不能にすることで盗難などを防止することのできる乗り物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康増進や地球環境保護などの観点から自転車の利用が盛んになっている。その一方で、自転車に対する盗難やいたずらは跡を絶たない。そこで、盗難などを防止するための様々な器具が存在する。代表的なものとしては、施錠器具がある。これは、自転車の車輪のスポークに金具やワイヤーを通すことにより、車輪の回転を規制して盗難を防止するものである。しかしながら、このような手段では、ワイヤーを切断したり施錠器具を破壊することで容易に盗難されてしまう。
【0003】
従来の施錠器具の問題は、ブレーキ操作やハンドル操作などの自転車を操縦するための各種の機能を損なうことなく、車輪の回転を規制するにとどまっていることにある。すなわち、施錠器具さえ取り外すことができれば、自転車の各機能はすべて発揮され操縦することができてしまい、盗難などに対する抑止力が働かない。そこで、特許文献1には、自転車の機能を一時的に失わせることにより、盗難したとしても、その自転車を操縦することができないようにすることで盗難の動機を減退させて盗難防止を図る技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−20370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した先行技術は、ハンドルを左右の外側部分と内側部分とに分断し、外側部分と内側部分とを係止環にて着脱自在に構成したものである。駐輪の際は、係止環を回動させてハンドルの各部分を分離させる。分離した双方のハンドルの外側部分は車体の適所に取り付けておき、係止環を所持しておく。係止環のない限りは、ハンドルの外側部分を中央部分に取り付けることができなくなり、自転車の操縦が不能になり運転をすることができなくなる。
【0006】
しかしながら、上述の先行技術では、駐輪の際のハンドルの取り付けや取り外しに手間がかかるという問題がある。また、軽量なハンドルを採用する自転車においてはまだしも、自動二輪車などの比較的重いハンドルを備える乗り物については、取り付けや取り外しがより困難になってしまう。また、自転車本体の盗難を防止することができたとしても、本体に取り付けられた外側ハンドル部分に対する盗難やいたずらなどの別の被害を生じさせるおそれもある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、上記課題を解決するために本発明において、以下の乗り物を提供する。すなわち、第一の発明としては、進行方向操作をするためのハンドル本体と、ハンドル本体に着脱自在なグリップと、ハンドル本体に対して固定され、グリップに手をかけ指で引くことでブレーキ操作などをするための操作レバーとを有する乗り物を提供する。
【0008】
第二の発明としては、ハンドル本体は、錠部を備え、グリップは、前記錠部に符合する鍵部を備える第一の発明に記載の乗り物を提供する。
【0009】
第三の発明としては、前記錠部はグリップに備えられる鍵部によりハンドル回転をロック、アンロックするために用いられる第二の発明に記載の乗り物を提供する。
【0010】
第四の発明としては、前記錠部はグリップに備えられる鍵部によりブレーキ操作をロック、アンロックするために用いられる第二の発明又は第三の発明のいずれか一に記載の乗り物を提供する。
【0011】
第五の発明としては、前記錠部はグリップに備えられる鍵部により前輪の回転をロック、アンロックするために用いられる第二の発明から第四の発明のいずれか一に記載の乗り物を提供する。
【0012】
第六の発明としては、前記錠部は符合する鍵部を備えるグリップのみが挿しこみ可能に構成されている第二の発明から第五の発明のいずれか一に記載の乗り物を提供する。
【0013】
第七の発明としては、前記錠部は符合する鍵部を備えるグリップ以外が挿しこまれた場合はグリップが前回り又は後ろ回りに滑り回転し固定されない第二の発明から第六の発明のいずれか一に記載の乗り物を提供する。
【0014】
第八の発明としては、前記錠部は、符合する鍵部を備えるグリップが挿しこまれた場合に前記グリップの脱却を防止する第二の発明から第七の発明のいずれか一に記載の乗り物を提供する。
【0015】
第九の発明としては、前記グリップに備えられる鍵部は、乗り物の正当な利用者を認証するための認証手段を備え、前記錠部は、前記認証手段により認証された鍵部を備えるグリップだけを着脱自在とする認証確認手段を備える第二の発明から第八の発明のいずれか一に記載の乗り物を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、盗難やいたずらなどの防止を、簡易かつ確実に行うことのできる防犯効果の高い乗り物を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態1に係る乗り物の概念図
【図2】実施形態2に係るハンドル本体とグリップの概念図
【図3】グリップの脱却を防止する錠部と鍵部とを示す概念図
【図4】実施形態1に係る当板の概念図
【図5】実施形態3に係る乗り物の概念図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を用いて説明する。なお、本発明は、これら実施形態に何ら限定されるべきものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
【0019】
実施形態1は、主に請求項1などに関する。実施形態2は、主に請求項2、6、7、8などに関する。実施形態3は、主に請求項3などに関する。実施形態4は、主に請求項4などに関する。実施形態5は、主に請求項5などに関する。実施形態6は、主に請求項9などに関する。
<実施形態1>
<実施形態1 概要>
【0020】
本実施形態は、グリップをハンドル本体と着脱自在に構成し、グリップを外しておくことにより、グリップに手をかけレバーを指で引いて行うブレーキ操作などをすることができないようにして、盗難やいたずらを防止するものである。図5は、ブレーキ操作などを行う際の手の動作を説明するための概念図である。ハンドル本体(0501)にはグリップ(0502)が備えられている。そして、ブレーキ操作などをするための操作レバー(0503)は、グリップに沿うようにハンドル本体に備えられる。そして、手(0504)をグリップにかけるとともに、指を操作レバーにかけてグリップ側に引くことでブレーキ操作などを行う。このように、グリップが存在することにより、握力を働かせることができ操作レバーを握ることができるのである。したがって、グリップを外してしまえば、操作レバーを握ることができず運転することができなくなる。運転することのできない自転車は、盗難の動機を減退させることになり、盗難防止が図られることになる。
<実施形態1 構成>
【0021】
本実施形態の乗り物は、進行方向操作をするためのハンドル本体と、ハンドル本体に着脱自在なグリップと、ハンドル本体に対して固定され、グリップに手をかけ指で引くことでブレーキ操作などをするための操作レバーとを有する。
【0022】
「乗り物」とは、人や物を乗せて移動や輸送を行うための機器や器具をいう。本実施形態においては、「ハンドル本体」、「グリップ」、「操作レバー」を有する乗り物である。具体的には、主に、自転車、三輪自転車、自動二輪車、自動三輪車、などが該当する。その他にも、例えば、水上バイクやスノーモービル、車両としての農業機器なども該当し得る。
【0023】
図1は本実施形態の乗り物の概念図である。「ハンドル本体」(0101)は、進行方向操作をするために備えられている。「進行方向操作」とは、乗り物の進行方向を定めるための操作である。具体的には、ハンドル本体を左右に切って乗り物を操縦するために行う操作である。ハンドル本体は軽量化のためパイプ状の部材により造られる場合が多い。ハンドル本体の形状は、例えば、自転車においては、直線状のハンドル形状を採用するフラットバータイプのハンドルや、左右に伸びたハンドルのバーが途中から前方へ急角度で曲がり、さらに円弧を描いて下方に落ちていく形状のドロップタイプのハンドルなどがある。なお、ハンドルには、進行方向操作の他、乗員の体を支える機能も果たす。
【0024】
「グリップ」(0102)は、ハンドル本体に着脱自在に構成されている。グリップは、進行方向操作を行ったり体を支えるために乗員が握る部材である。グリップもハンドル本体と同様にパイプ状の部材により形成されることが多い。グリップとハンドル本体とは、例えば、グリップの一端に雄ねじ加工を施すとともにハンドル本体に雌ねじを切っておいたり、あるいは、公知の掛止部材を用いて着脱自在に構成される。なお、ハンドル本体には左右2つのグリップが備えられるが、いずれか一方が着脱自在に構成されていてもよいし、両方とも着脱自在に構成されていてもよい。
【0025】
「操作レバー」(0103)は、グリップに手をかけ指で引くことでブレーキ操作などを行うためのものである。ブレーキ以外の操作としては、クラッチ操作や変速機のシフト操作などが挙げられる。これらの操作は、いずれも乗り物を操縦するために必要な操作である。グリップが脱却されることにより、これらの必要な操作を行うことができなくなる。このように、操縦できない状態で駐輪等をすることができ、盗難防止を図ることができる。
<実施形態1 効果>
【0026】
本実施形態の乗り物により、グリップをハンドル本体から脱却するという簡易な操作で、乗り物を操縦不能にして盗難防止を図ることができる。
<実施形態2>
<実施形態2 概要>
【0027】
本実施形態は、ハンドル本体に錠部を備えるとともに、グリップに鍵部を備えることにより、ハンドル本体の錠部と符合する鍵部を備えるグリップ以外は着脱することができないように構成することを特徴とする乗り物である。このように構成することにより、第三者により改造されたグリップ等を用いて盗難されることを防止することができる。
<実施形態2 構成>
【0028】
本実施形態の乗り物は、実施形態1を基本とし、ハンドル本体は錠部を備え、グリップはハンドル本体の錠部に符合する鍵部を備える。錠部と鍵部以外の構成については、実施形態1と同様であるので、ここでの説明を省略する。
【0029】
図2は、本実施形態のハンドル本体とグリップを示す概念図である。「錠部」(0203)は、ハンドル本体(0201)に備えられる。「錠」とは、「鍵」とともに用いて開閉や取外し等の所定の動作等を固定または解除するものであり、固定または解除を行う機構を備える側をいう。図においては、シリンダーなどの錠の機構の図示は省略し、錠孔を示している。「錠部」は、このような「錠」の機能を備えるものである。なお、グリップに錠部を備え、ハンドル本体に鍵部を備える構成も考えられるが、この場合には、鍵部がむき出しの状態で駐車等されることになり、鍵部を破壊されてしまったり、錠部の偽造が行われてしまうおそれが生じる。したがって、ハンドル本体に錠部を備え、グリップに鍵部を備える構成とする方が防犯の観点からより好ましい。
【0030】
「鍵部」(0204)は、グリップ(0202)に備えられ、錠部と符合するように構成される。「錠部と符合する」とは、その錠部とぴったり合って固定を解除して開閉等を行えることをいう。錠部と符合する鍵部を備えるグリップの場合には、鍵部を錠部の錠孔に挿しこみ所定の位置まで回すことにより、グリップがハンドル本体に固定して装着され脱却することのないようにできる。一方、錠部と符合しない鍵部の場合には、鍵部を錠孔に挿したとしても所定の位置まで回すことができなかったり、あるいは、回すことができたとしてもハンドル本体に固定できないようにすることができる。このように錠部に符合しない鍵部を備えるグリップの場合には、ハンドル本体に適正に装着することができないようにすることで盗難などを防止することができる。
【0031】
図において、錠部と鍵部とは、ディンプルキーを採用した例を示したものである。ディンプルキーは、シリンダーキーの一種であるが、従来の鍵山ではなく鍵の表面にくぼみ(ディンプル)を設けたものである。配列の組み合わせが多く複製が困難であるといわれている。なお、ディンプルキーに限定するものではなく、ピンシリンダーやディスクシリンダーなど他種存在する錠の機構を採用して錠部と鍵部とを構成することができる。
【0032】
錠部と、この錠部に符合する鍵部とにより、種々の動作等の固定と解除を行うことが可能になる。例えば、符合する鍵部を備えるグリップのみを錠部への挿しこみ可能にすることもできる。このように構成することにより、符合しない鍵部を備えるグリップの装着を不能にすることができ、改造グリップなどの不正なグリップの装着を不能にしてより防犯効果を高めることができる。また、例えば、自転車の防犯登録とともに鍵の番号を登録することのできる制度等が今後実現することになれば、より防犯効果は高まるものと考えられる。
【0033】
また、符合する鍵部を備えるグリップが挿しこまれた場合に、当該グリップの脱却を防止するように錠部を構成することもできる。図3は、この場合の構成を示す概念図である。ハンドル本体(0301)には錠部(0303)が備えられるとともに脱却防止のための掛止孔(0306)が設けられている。グリップ(0302)には、鍵部(0304)が備えられ、掛止孔に嵌合することによりグリップの脱却を防止するための突起(0305)が設けられている。この突起を、例えば、ばね等を用いて立設退避自在にすることで、図3(b)に示すように、まず、鍵部を錠部に挿しこんだ後に、図3(c)に示すように、グリップを捻ることにより、退避していた突起が掛止孔に至った際に再び立設して嵌合することにより、グリップがハンドル本体から脱却することを防止するようにできる。グリップを脱却する際には、突起を退避させるためのボタン(0307)などにより、嵌合を解きグリップを再度捻ることでグリップをハンドル本体から脱却する。このように構成することにより、符合する鍵部を備えるグリップを挿しこんだ場合にだけ、グリップが脱却することなく安全に運転をすることができ、符合しない場合は、グリップが脱却してしまい運転することができなくなり、結果的に盗難やいたずら等の防止を図ることができる。このような脱却防止のための構成を多重的に設けることは、安全の観点からより好ましい。
【0034】
また、錠部を、符合する鍵部を備えるグリップ以外が挿しこまれた場合はグリップが前回り又は後ろ回りに滑り回転し固定されないように構成することもできる。グリップが固定されず回転してしまうと、操作レバーによる操作を的確に行うことができなくなり盗難やいたずら等の防止を図ることができる。
【0035】
上述した、符合する鍵部を備えるグリップのみを錠部への挿しこみ可能にする構成、符合する鍵部を備えるグリップが挿しこまれた場合に当該グリップの脱却を防止する構成、符合する鍵部を備えるグリップ以外が挿しこまれた場合はグリップが前回り又は後ろ回りに滑り回転し固定されないような構成、の各構成は、それらのいずれか一を錠部が備えるものとしてもよいし、それらを重複して備えるものとしてもよい。
<実施形態2 効果>
【0036】
本実施形態の乗り物により、改造グリップなどの不正なグリップの装着を不能にしてより防犯効果の高い乗り物を提供することができる。
<実施形態3>
<実施形態3 概要>
【0037】
本実施形態は、錠部が、グリップに備えられる鍵部により、ハンドル回転を一時的に不全にすることで、乗り物の操縦を不能にして盗難やいたずら等を防止するものである。
<実施形態3 構成>
【0038】
本実施形態の乗り物は、実施形態1又は2を基本とし、錠部が、グリップに備えられる鍵部によりハンドル回転をロック、アンロックするために用いられるものであることを特徴とする。この点以外の構成については、実施形態1又は2と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0039】
錠部は、グリップに備えられる鍵部によりハンドル回転をロック、アンロックするために用いられる。ハンドル回転のロックとはハンドルの回転を所定の位置で規制して固定することを意味し、アンロックは、ロックされた状態を解除することを意味する。図4を用いて説明する。
【0040】
図4は、鍵部によるハンドル回転のロック、アンロックを説明するための概念図である。ハンドル本体(0401)に備えられる錠部には、この錠部と符合する鍵部が備えられるグリップ(0402)が装着されている。この状態においては、ハンドル本体は、乗り物本体に対して回転自在となっている。ここで、例えば、ハンドル本体を左方向一杯に切った状態でグリップを脱却して、鍵部を錠部から抜くことにより、この位置にてハンドルの回転をロックするように構成する。一方、鍵部を錠部に挿しこむことにより、このロックが解除されるように構成する。このように構成することにより、グリップの脱却により操作レバーによる操作を不能にするとともに、ハンドル回転をロックさせ、乗り物の操作を多重的に不能にすることができ、防犯効果をさらに高めることができる。
<実施形態3 効果>
【0041】
本実施形態の乗り物により、グリップの脱却により操作レバーの操作を不能にするとともに、ハンドル回転をも不能にすることで、より高い防犯効果を得ることができる。
<実施形態4>
<実施形態4 概要>
【0042】
本実施形態は、錠部が、グリップに備えられる鍵部により、ブレーキ操作を一時的に不全にすることで、乗り物の操縦を不能にして盗難やいたずら等を防止するものである。
<実施形態4 構成>
【0043】
本実施形態の乗り物は、実施形態1から3のいずれか一を基本とし、錠部が、グリップに備えられる鍵部によりブレーキ操作をロック、アンロックするために用いられるものであることを特徴とする。この点以外の構成については、実施形態1から3のいずれか一と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0044】
錠部はグリップに備えられる鍵部によりブレーキ操作をロック、アンロックするために用いられる。ロック、アンロックの意味するところは実施形態3の場合と同様である。ブレーキ操作のロックとは、ブレーキをかけるための機構の動作自体をロックすることである。すなわち、手をかけるグリップが存在しないことによりブレーキ操作のための操作レバーを握ることができなということを意味するのではなく、例えば、レバー自体を動かないようにして操作できなくすることや、レバーによる伝達経路の一部を一時的に切断するなどして、レバーを握ってもブレーキが利かないようにすることを意味する。このように構成することにより、偽造したグリップをハンドル本体に装着するなどの場合であっても、ブレーキ操作をすることができず、盗難やいたずら等を防止することができる。
<実施形態4 効果>
【0045】
本実施形態の乗り物により、符合する鍵部を備えるグリップ以外が装着されたとしても、ブレーキ操作をすることができず、より高い防犯効果を得ることができる。
<実施形態5>
<実施形態5 概要>
【0046】
本実施形態は、錠部が、グリップに備えられる鍵部により、前輪の回転を一時的に不全にすることで、乗り物の操縦を不能にして盗難やいたずら等を防止するものである。
<実施形態5 構成>
【0047】
本実施形態の乗り物は、実施形態1から4のいずれか一を基本とし、錠部が、グリップに備えられる鍵部により前輪の回転をロック、アンロックするために用いられるものであることを特徴とする。この点以外の構成については、実施形態1から4のいずれか一と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0048】
錠部はグリップに備えられる鍵部により前輪の回転をロック、アンロックするために用いられる。ロック、アンロックの意味するところは実施形態3などの場合と同様である。前輪の回転をロックするとは、前輪の回転を規制して固定することを意味する。このように構成することにより、偽造したグリップをハンドル本体に装着するなどの場合であっても、前輪は回転しないため、盗難やいたずら等を防止することができる。
<実施形態5 効果>
【0049】
本実施形態の乗り物により、符合する鍵部を備えるグリップ以外が装着された場合には、前輪が回転しないため、より高い防犯効果を得ることができる。
<実施形態6>
<実施形態6 概要>
【0050】
本実施形態は、グリップの鍵部に乗り物の正当な利用者を認証するための機能を持たせるとともに、認証されたグリップだけを着脱自在とする錠部を有するものである。これにより、グリップが盗難された場合などであっても、正当な利用者以外の者はグリップをハンドル本体に装着することができなくなり、防犯効果をより高めることができる。
<実施形態6 構成>
【0051】
本実施形態の乗り物は、実施形態1から5のいずれか一を基本とし、グリップに備えられる鍵部は乗り物の正当な利用者を認証するための認証手段を備え、錠部は認証手段により認証された鍵部を備えるグリップだけを装着可能とする認証確認手段を備える。認証手段及び認証確認手段以外の各構成については、実施形態1から5のいずれか一と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0052】
「認証手段」は、乗り物の正当な利用者を認証する機能を有する。「正当な利用者」とは、乗り物の所有者や、所有者から利用の許諾を受けた者をいう。利用の許諾を受けた者とは、例えば、所有者の家族や友人、あるいは、法人が所有者の場合には、当該法人の従業員などである。
【0053】
「認証」とは、対象が正当な人であるかまたはものであるかを確認することである。認証を行うには、例えば、パスワードの入力や本人に固有の情報の入力を求めたり、あるいは、所定のICカードを通すことにより行うことができる。また、指紋、虹彩、静脈、声紋などの対象者の身体的特徴を利用する生体認証などにより行うことができる。認証手段は、これらの正当な利用者を確認するための情報を読み取るための機器により実現することができる。
【0054】
「認証確認手段」は、認証手段により認証された鍵部を備えるグリップだけを着脱自在とする機能を有する。認証確認手段は、例えば、RFID(Radio Frequency IDentification)を用いて、錠部と鍵部との機器間認証を行うことで認証された鍵部を備えるグリップだけを着脱自在とすることができる。正当な利用者として認証されない場合には、グリップの着脱をすることができなくなるとともに、実施形態2以下で述べたような符合する鍵部が挿しこまれることにより作動する各種機能を不全にすることもできる。錠部と鍵部とをこのように構成することにより盗難などの不正な手段に係るグリップによっては乗り物を使用することができなくなる。
<実施形態6 効果>
【0055】
本実施形態の乗り物により、正当な利用者以外の者による乗り物の使用をできなくすることで、より防犯効果の高い乗り物を提供することができる。
【符号の説明】
【0056】
0101 ハンドル本体
0102 グリップ
0103 操作レバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
進行方向操作をするためのハンドル本体と、
ハンドル本体に着脱自在なグリップと、
ハンドル本体に対して固定され、グリップに手をかけ指で引くことでブレーキ操作などをするための操作レバーと、
を有する乗り物。
【請求項2】
ハンドル本体は、錠部を備え、
グリップは、前記錠部に符合する鍵部を備える請求項1に記載の乗り物。
【請求項3】
前記錠部はグリップに備えられる鍵部によりハンドル回転をロック、アンロックするために用いられる請求項2に記載の乗り物。
【請求項4】
前記錠部はグリップに備えられる鍵部によりブレーキ操作をロック、アンロックするために用いられる請求項2又は3のいずれか一に記載の乗り物。
【請求項5】
前記錠部はグリップに備えられる鍵部により前輪の回転をロック、アンロックするために用いられる請求項2から4のいずれか一に記載の乗り物。
【請求項6】
前記錠部は符合する鍵部を備えるグリップのみが挿しこみ可能に構成されている請求項2から5のいずれか一に記載の乗り物。
【請求項7】
前記錠部は符合する鍵部を備えるグリップ以外が挿しこまれた場合はグリップが前回り又は後ろ回りに滑り回転し固定されない請求項2から6のいずれか一に記載の乗り物。
【請求項8】
前記錠部は、符合する鍵部を備えるグリップが挿しこまれた場合に前記グリップの脱却を防止する請求項2から7のいずれか一に記載の乗り物。
【請求項9】
前記グリップに備えられる鍵部は、乗り物の正当な利用者を認証するための認証手段を備え、
前記錠部は、前記認証手段により認証された鍵部を備えるグリップだけを着脱自在とする認証確認手段を備える請求項2から8のいずれか一に記載の乗り物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−40934(P2012−40934A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183324(P2010−183324)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【特許番号】特許第4700135号(P4700135)
【特許公報発行日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(510224594)
【Fターム(参考)】