説明

二酸化塩素水溶液を、使用の都度、使用目的に適合する濃度に水で自動希釈する方法

【課題】安定性が悪く自然劣化が速い二酸化塩素希釈液を消毒作業毎に作成する、構造が簡単で耐久性が高く安価な希釈装置を提供する。
【解決手段】PVC製円筒型の密閉された希釈槽の底部に二酸化塩素原液吸引口と給水口を設け、希釈槽上部に水吸引口および希釈液出口を設け、希釈槽上部の希釈液出口に接続したチューブをPVC製チェックバルブ2を介して器具消毒槽に接続し、強耐酸性電磁弁5を開くと同時にポンプ3を作動させて指定量の水を希釈槽から吸引してPVC製チェックバルブの出口に流し、それによって生じる陰圧により二酸化塩素原液タンク6内の液を指定量希釈槽内に吸引し、強耐酸性電磁弁とポンプの作動が停止したら、給水電磁弁7を開いて水を指定量希釈槽に注入し、二酸化塩素原液を希釈しながらPVC製チェックバルブを経由して器具消毒槽に供給する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、強力な酸化力で微生物細胞を構成する蛋白をごく短時間に分解し、その結果微生物を死滅させる効果のある二酸化塩素の水溶液を、有効適正濃度に自動希釈する方法である。
【0002】
従来から医療施設における医療器具の消毒にはグルタールやフタラールおよび過酢酸など使用されているが、これら薬液は毒劇物指定であるため、時には人体に障害を与えることから管理が重要であるとともに価格が高いため、使用者にとって少なからずの負担になっている。
【0003】
二酸化塩素は化学薬品であり医薬品の承認は受けていないが、米国連邦ビルに対する炭素菌テロの館内消毒やアポロ宇宙船内の滅菌に使用されたり、上水道の消毒で使用されているなど、微生物に対する殺滅効果や人体への安全性は、国際的に認められている。
【0004】
二酸化塩素水溶液の製品は、二酸化塩素ガスが遊離状態で最大2,000ppm溶け込んでいる、それを微生物殺滅などに使用する場合の適正濃度は10〜50ppmであるため、希釈して使用しなければならない。
【0005】
二酸化塩素は10℃以上の温度と紫外線によって単時間で揮発及び分解するため、希釈水を安定保管することが難しい、使用直前に適正濃度に希釈する必要がある。
【0006】
二酸化塩素は強い酸化性刺激臭があるため、呼吸器や眼などに障害を与える可能性があり、人手による希釈作業は防護具の装着が必要である。
また自動希釈するためには、強力な酸化腐食力による影響を避けるため、送液ポンプや電磁弁などを、高度の耐酸性を備えた素材の、高価な器材を使用しなければならない。
【0007】
本発明は、二酸化塩素原液をポンプで直接くみ上げるのではなく、密閉された希釈槽内の水をポンプでくみ上げて、それによる吸引力を利用して二酸化塩素原液を希釈槽内にくみ上げる方法である。
【0008】
このようにすれば、耐酸性ではない低価格のポンプを使用した、耐久性が高く安価な自動希釈装置を作成することが出来、使用の都度精度の高い二酸化塩素希釈液を、安全に供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 希釈槽へ二酸化塩素原液を吸引する図である。
【図2】 希釈槽へ定量給水して、二酸化塩素を希釈する図である。
【符号の説明】
1 PVC製希釈槽
2 PVC製チェックバルブ
3 ポンプ
4 希釈液
5 高耐酸性電磁弁
6 二酸化塩素原液タンク
7 給水電磁弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高濃度の二酸化塩素原液を、消毒使用に適した濃度に希釈する為に、密閉型容器に原液を指定量吸引した後、希釈倍数に応じた量の水を容器に注入して二酸化塩素希釈液を自動で作成する希釈装置。
【請求項2】
二酸化塩素原液は強力な酸化力を持つため吸引するポンプの選定が困難である、そこで密閉型希釈槽に接続したポンプを作動させて希釈槽内に充満している水を吸引し、それによって生じる陰圧により、同量の二酸化塩素原液を、ポンプを介さず希釈槽内に吸引する方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−200589(P2012−200589A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89578(P2011−89578)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(597118304)株式会社精研 (3)
【Fターム(参考)】