説明

二酸化炭素分離用複合体の製造方法及び製造装置

【課題】帯状の支持体を一定方向に搬送しながら、支持体上に二酸化炭素分離膜を高い生産性で安定して製造する。
【解決手段】帯状の支持体12が送り出しローラ14により送り出され、支持体12が複数の裏面支持ローラ24に支持されて一定方向に搬送される。吸水性ポリマーと、二酸化炭素キャリアと、ゲル化剤と、水とを含み、かつ、溶液膜厚1mm以下において12℃で放置したときに120秒以内でゲル化し、液が重力により落下しないような性質を有する二酸化炭素分離膜形成用の塗布液が50℃以上で調製され、塗布装置16により塗布液が支持体12上に塗布される。支持体12は冷却ユニット18に搬送され、塗布膜が12℃以下で冷却されてゲル膜が得られる。さらに、支持体12が乾燥ユニット20に搬送され、支持体12上のゲル膜が温風器32の温風及びハロゲンヒータ34により乾燥されることで二酸化炭素分離膜が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素分離用複合体の製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、混合ガス中の二酸化炭素を選択的に分離する技術の開発が進んでいる。例えば、地球温暖化対策として排ガス中の二酸化炭素を回収して濃縮する技術や、水蒸気改質により炭化水素を水素と一酸化炭素(CO)に改質し、さらに一酸化炭素と水蒸気を反応させて二酸化炭素と水素を生成させ、二酸化炭素を選択的に透過する膜によって二酸化炭素を排除することで水素を主成分とする燃料電池用等のガスを得る技術が開発されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、未架橋のビニルアルコール−アクリル酸塩共重合体水溶液を、二酸化炭素透過性支持体上へ膜状に塗布した後、加熱して架橋させて水不溶化し、この水不溶化物に二酸化炭素キャリア水溶液を吸収させてゲル化することにより二酸化炭素分離ゲル膜を製造する方法が開示されている。
【0004】
下記特許文献2には、繰り返し単位中に嵩高い構造部分と親水性官能基とを有する溶媒可溶性の高分子材料で形成された支持膜中に、水あるいはCO親和性物質の水溶液を実質的に均一に保持せしめた含水ゲル状気体分離膜が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平7−102310号公報
【特許文献2】特開平6−210145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1では、二酸化炭素分離ゲル膜を小さい面積(例えば、有効面積9.62cm)で形成することができるが、広い面積の二酸化炭素透過性支持体上に二酸化炭素分離ゲル膜をほぼ均一な膜厚で安定して形成することが難しい。また、上記特許文献2でも同様に、含水ゲル状気体分離膜を広い面積でほぼ均一な膜厚で安定して形成することが難しい。
【0007】
このため、上記特許文献1、2に記載の発明を、例えば、広い面積を有する帯状の支持体を連続して搬送し、支持体上に二酸化炭素分離ゲル膜又は含水ゲル状気体分離膜を形成する構成に適用しても、二酸化炭素分離ゲル膜又は含水ゲル状気体分離膜をほぼ均一な膜厚で安定して製造することは困難である。
【0008】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、帯状の支持体を一定方向に搬送しながら、支持体上に二酸化炭素分離膜を高い生産性で安定して製造することができる二酸化炭素分離用複合体の製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明に係る二酸化炭素分離用複合体の製造方法は、支持体上に二酸化炭素分離膜を備えた二酸化炭素分離用複合体を製造する製造方法であって、吸水性ポリマーと、二酸化炭素キャリアと、ゲル化剤とを含み、かつ、溶液膜厚1mm以下において12℃で放置したときに120秒以内でゲル化し、液が重力により落下しないような性質を有する二酸化炭素分離膜形成用の塗布液を50℃以上で調製する塗布液調整工程と、帯状の支持体上に前記塗布液を塗布する塗布工程と、前記塗布工程で得られた塗布膜を12℃以下で冷却してゲル膜を得る冷却工程と、前記ゲル膜を少なくとも温風により乾燥して二酸化炭素分離膜を得る乾燥工程と、を有し、前記塗布工程から前記乾燥工程までを前記支持体を一定方向に搬送しながら連続して行うものである。
【0010】
上記の発明によれば、吸水性ポリマーと、二酸化炭素キャリアと、ゲル化剤とを含み、かつ、溶液膜厚1mm以下において12℃で放置したときに120秒以内でゲル化し、液が重力により落下しないような性質を有する二酸化炭素分離膜形成用の塗布液を、塗布液調整工程により50℃以上で調製する。さらに、帯状の支持体を一定方向に搬送しながら、塗布工程により帯状の支持体上に調整後の塗布液を塗布し、冷却工程により塗布工程で得られた塗布膜を12℃以下で冷却して支持体上にゲル膜を得る。すなわち、支持体上の塗布膜が乾燥前にゲル化されることで、支持体上に固定化される。その後、乾燥工程により支持体上のゲル膜を少なくとも温風により乾燥して支持体上に二酸化炭素分離膜を得る。乾燥工程では、支持体上にゲル膜が形成されていることで、温風によりゲル膜が飛散することが阻止される。これによって、帯状の支持体を一定方向に搬送しながら、支持体上に二酸化炭素分離膜を備えた二酸化炭素分離用複合体を安定して製造することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の二酸化炭素分離用複合体の製造方法において、前記塗布工程から前記乾燥工程までの前記支持体の搬送速度が20m/min以上であるものである。
【0012】
上記の発明によれば、塗布工程から乾燥工程までの前記支持体の搬送速度が20m/min以上であり、高い生産性で帯状の支持体上に二酸化炭素分離膜を備えた二酸化炭素分離用複合体を製造することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の二酸化炭素分離用複合体の製造方法において、前記ゲル化剤が、多糖類であるものである。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の二酸化炭素分離用複合体の製造方法において、前記ゲル化剤が、寒天類であるものである。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の二酸化炭素分離用複合体の製造方法において、前記二酸化炭素キャリアがアルカリ金属炭酸塩を有するものである。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の二酸化炭素分離用複合体の製造方法において、前記二酸化炭素キャリアがセシウムを含む化合物であるものである。
【0017】
請求項7に記載の発明に係る二酸化炭素分離用複合体の製造装置は、支持体上に二酸化炭素分離膜を備えた二酸化炭素分離用複合体を製造する製造装置であって、帯状の支持体を複数のローラで支持し、前記支持体を一定方向に搬送する搬送手段と、吸水性ポリマーと、二酸化炭素キャリアと、ゲル化剤とを含み、かつ、50℃以上で調製した二酸化炭素分離膜形成用の塗布液を、前記搬送手段で搬送される前記支持体上に塗布する塗布装置と、前記塗布装置よりも前記支持体の搬送方向下流側に設けられ、前記塗布装置により前記支持体上に塗布された塗布膜を12℃以下で冷却してゲル膜を得る冷却装置と、前記冷却装置よりも前記支持体の搬送方向下流側に設けられ、前記支持体上に形成された前記ゲル膜を少なくとも温風により乾燥して二酸化炭素分離膜を得る乾燥装置と、を有するものである。
【0018】
上記の発明によれば、帯状の支持体が複数のローラに支持された状態で、搬送手段により支持体が一定方向に搬送される。搬送手段で搬送される支持体上に、塗布装置によって、吸水性ポリマーと、二酸化炭素キャリアと、ゲル化剤とを含み、かつ、50℃以上で調製した二酸化炭素分離膜形成用の塗布液がほぼ均一な膜厚で塗布される。さらに、冷却装置により支持体上に塗布された塗布膜が12℃以下で冷却され、支持体上にゲル膜が得られる。すなわち、支持体上の塗布膜が乾燥前にゲル化されることで、支持体上に固定化される。そして、支持体上に形成されたゲル膜が、乾燥装置の温風により乾燥され、支持体上に二酸化炭素分離膜が得られる。その際、支持体上にゲル膜が形成されていることで、温風によりゲル膜が飛散することが阻止される。これによって、帯状の支持体を一定方向に搬送しながら、支持体上に二酸化炭素分離膜を備えた二酸化炭素分離用複合体を安定して製造することができる。
【0019】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の二酸化炭素分離用複合体の製造装置において、前記搬送手段による前記支持体の搬送速度が20m/min以上であるものである。
【0020】
上記の発明によれば、搬送手段による前記支持体の搬送速度が20m/min以上であり、高い生産性で帯状の支持体上に二酸化炭素分離膜を備えた二酸化炭素分離用複合体を製造することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、帯状の支持体を一定方向に搬送しながら、支持体上に二酸化炭素分離膜を高い生産性で安定して製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】一実施形態に係る二酸化炭素分離用複合体の製造装置を示す構成図である。
【図2】二酸化炭素分離用複合体を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態である二酸化炭素分離用複合体の製造装置及び製造方法を図1及び図2を参照しながら説明する。
【0024】
本発明者は、二酸化炭素分離膜を高効率(高速、低コスト)で生産するためには、帯状の支持体(基材フィルム)を用いたロールトゥロール(Roll−to−Roll、以下、「RtoR」と略記する場合がある。)方式が適していると考えた。RtoRにおける水系塗布を採用する場合、乾燥工程で乾燥用の風を当てたときに塗布膜の一部が飛ばされたり、膜厚のバラツキを抑制するため、乾燥前に塗布膜をセット(固定化)する必要がある。そこで、本発明者は、帯状の支持体を一定方向に搬送しながら支持体上に塗布膜を塗布し、支持体上の塗布膜を即座にセットすることができ、これに乾燥用の風を当てても硬化前の膜が飛ばされず、膜厚均一性に優れ、ガス分離特性に優れた二酸化炭素分離膜を得ることができる製造装置及び製造方法を見出した。
【0025】
(製造装置の全体構成)
図1には、二酸化炭素分離用複合体の製造装置の全体構成が示されている。この図に示されるように、二酸化炭素分離用複合体の製造装置10は、帯状の支持体12を一定方向に送り出す搬送手段の一例としての送り出しローラ14と、支持体12を支持する複数の裏面支持ローラ(ローラ)16、26と、を備えている。送り出しローラ14には、支持体12が巻かれた軸部14Aが設けられており、軸部14Aが矢印方向に回転することで支持体12が送り出される。そして、支持体12の裏面側が複数の裏面支持ローラ24に巻き掛けられた状態で、支持体12が一定方向に搬送される。
【0026】
また、二酸化炭素分離用複合体の製造装置10は、送り出しローラ14から送り出された支持体12の搬送方向に沿って上流側から下流側の順に、支持体12の表面に後述する二酸化炭素分離膜形成用の塗布液を塗布する塗布装置16と、支持体12上に塗布された二酸化炭素分離膜形成用の塗布液を非接触状態で冷却してゲル膜を得る冷却装置の一例としての冷却ユニット18と、支持体12上のゲル膜を非接触状態で乾燥して二酸化炭素分離膜を得る乾燥装置の一例としての乾燥ユニット20と、を備えている。
【0027】
さらに、二酸化炭素分離用複合体の製造装置10は、乾燥ユニット20よりも支持体12の搬送方向下流側に、支持体12上に二酸化炭素分離膜42が形成された二酸化炭素分離用複合体40(図2参照)を巻き取る搬送手段の一例としての巻き取りローラ22を備えている。巻き取りローラ22には、二酸化炭素分離用複合体40を巻き取る軸部22Aが設けられており、図示しないモータにより軸部22Aを矢印方向に回転させることで、支持体12が所定の速度で一定方向(矢印方向)に搬送されるようになっている。
【0028】
(支持体)
支持体12は、二酸化炭素分離膜42を支持するものであり、二酸化炭素透過性を有し、本発明に係る二酸化炭素分離膜形成用の塗布液(水系組成物)を塗布して二酸化炭素分離膜42(図2参照)を形成することができ、さらにこの膜を支持することができるものであれば特に限定されない。
支持体の材質としては、紙、樹脂(ポリエステル、ポリオレフィンなど)、不織布、セラミックス、金属、ガラス等が挙げられる。
支持体12の形状は、RtoRによって量産するため、長尺帯状の紙又は不織布、樹脂フィルムを用いることが好ましいが、PETフィルムのような気体透過性の乏しい支持体を用いた場合は、形成した二酸化炭素分離膜を支持体上から剥離しなければならないため、紙、不織布が特に好ましい。
【0029】
支持体12は厚すぎるとガス透過性が低下し、薄すぎると強度に難がある。支持体12の厚さは、強度、ガス透過性、搬送性などの点から、30〜1000μmが好ましく、75〜500μmがより好ましい。
支持体12の大きさ(面積)は限定されないが、支持体12が大きいほど塗布膜の膜厚がばらつき易く、ピンホールなどガス選択性の無い孔が形成され易い。しかし、本発明では良好なゲル膜を形成して膜厚のばらつきや孔の発生を効果的に防ぐことができる。また、生産性の観点から、支持体12の面積は30cm以上であることが好ましい。
【0030】
支持体12の搬送速度は、支持体12の種類や塗布液(水系組成物)の粘度などにもよるが、支持体の搬送速度が高すぎると塗布工程における塗布膜の膜厚均一性が低下するおそれがあり、遅過ぎると生産性が低下するほか、冷却工程の前に塗布液(水系組成物)の粘度が上昇して塗布膜の均一性が低下するおそれもある。支持体12の搬送速度は、上記の点も考慮して支持体12の種類や塗布液(水系組成物)の粘度などに応じて決めればよいが、20m/min以上が好ましく、30〜200m/minが好ましい。
【0031】
(二酸化炭素分離膜形成用の塗布液)
塗布装置16により支持体12の表面に塗布する二酸化炭素分離膜形成用の塗布液(水系組成物)は、少なくとも吸水性ポリマーと、二酸化炭素キャリアのほか、良好なセット性を付与する特定のゲル化剤をそれぞれ水に適量添加して構成されている。本発明の二酸化炭素分離膜形成用の塗布液は、溶液膜厚1mm以下において12℃で放置したときに120秒以内でゲル化し、液が重力により落下しないような性質を有しており、二酸化炭素分離膜形成用の塗布液は、後述するように50℃以上で調製されている。
【0032】
(吸水性ポリマー)
本発明の塗布液(水系組成物)に含まれる吸水性ポリマーはバインダーとして機能するものであり、二酸化炭素分離膜として使用するときに水分を保持して二酸化炭素キャリアによる二酸化炭素の分離機能を発揮させる。吸水性ポリマーは、水に溶けて塗布液を形成することができるとともに、二酸化炭素分離膜が高い吸水性(保湿性)を有する観点から、吸水性が高いものが好ましく、10倍以上の吸水性を有することが好ましい。
【0033】
本発明の塗布液(水系組成物)に含まれる吸水性ポリマーとしては、吸水性、製膜性、強度などの観点から、例えば、ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸(PVA−PAA)共重合体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリビニルブチラール、ポリーN−ビニルピロリドン、ポリーN-ビニルアセトアミド、ポリアクリルアミドが好適であり、特にPVA−PAA共重合が好ましい。PVA−PAA共重合体は、吸水能が高い上に、高吸水時においてもハイドロゲルの強度が大きい。PVA−PAA共重合体におけるポリアクリル酸塩の含有率は、例えば5〜95モル%、好ましくは30〜70モル%である。ポリアクリル酸塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩の他、アンモニウム塩や有機アンモニウム塩等が挙げられる。
市販されているPVA−PAA共重合体として、例えば、スミカゲルL−5H(住友化学工業社製)が挙げられる。
【0034】
塗布液(水系組成物)中の吸水性ポリマーの含有量としては、その種類にもよるが、バインダーとして膜を形成し、二酸化炭素分離膜が水分を十分保持できるようにする観点から、1〜30質量%であることが好ましく、2〜15質量%であることがより好ましい。
【0035】
(二酸化炭素キャリア)
本発明の塗布液(水系組成物)に含まれる二酸化炭素キャリアは、二酸化炭素と親和性を有し、かつ水溶性を示すものであればよく、公知のものを用いることができる。この場合の二酸化炭素キャリアは、二酸化炭素と親和性を有する物質であり、塩基性を示す各種の水溶性の無機及び有機物質が用いられる。例えば、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩、アルカリ金属水酸化物が挙げられる。
【0036】
アルカリ金属炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウムを挙げられる。
アルカリ金属重炭酸塩としては、例えば、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ルビジウム、炭酸水素セシウムを挙げられる。
アルカリ金属水酸化物としては、例えば、水酸化セシウム、水酸化ルビジウムなどが挙げられる。
これらの中でもアルカリ金属炭酸塩が好ましく、セシウム、ルビジウムを含む化合物が好ましい。
また、二酸化炭素キャリアは2種以上を混合して使用してもかまわない。
【0037】
塗布液(水系組成物)中の二酸化炭素キャリアの含有量としては、その種類にもよるが、塗布前の塩析を防ぐとともに、二酸化炭素の分離機能を確実に発揮させるため、0.5〜30質量%であることが好ましく、さらに3〜20質量%であることがより好ましく、さらに5〜15質量%であることが特に好ましい。
【0038】
(ゲル化剤)
本発明の塗布液(水系組成物)に含まれるゲル化剤としては、吸水性ポリマーと二酸化炭素キャリアを含む水溶液にゲル化剤を加えた塗布液を支持体上に塗布して形成した塗布膜を冷却することにより、膜厚均一性が高いゲル膜(セット膜)を形成することができるものを使用する。
具体的には、吸水性ポリマーと、二酸化炭素キャリアと、ゲル化剤と、水とを含む塗布液(水系組成物)を50℃以上で調製し、溶液膜厚1mm以下において12℃で放置したときに120秒以内でゲル化し、液が重力により落下しないような性質を有するゲル化剤を含むことが好ましい。120秒よりも長い時間でゲル化すると、冷却ユニット18を通過する間により確実に支持体12上にゲル膜として固定させることが困難となる。
【0039】
このようなゲル化剤としては、製膜性、入手容易性、コスト、膜強度などの点から多糖類が好ましく、増粘性多糖類がより好ましく、特に寒天類がより好ましい。このような多糖類としては、製膜性、入手容易性、コスト、膜強度などの点から寒天が好ましく、市販品として、伊那寒天UP−37、UM−11S、SY−8、ZY−4、ZY−6(以上、伊那寒天社製)、Agarose H、Agarose S(以上、ニッポンジーン社製)などが挙げられる。
【0040】
塗布液(水系組成物)中の多糖類の含有量としては、その種類にもよるが、多糖類の含有量が多過ぎると塗布液が短時間で高粘度となって塗布し難くなる場合があり、また、膜厚均一性の低下を抑制する観点から、10質量%以下が好ましく、0.1〜8質量%であることがより好ましく、さらには0.3〜5質量%であることが最も好ましい。
【0041】
(その他の成分)
本発明の塗布液(水系組成物)は、製膜性(塗布性、セット性)やガス分離特性に悪影響しない範囲で、吸水性ポリマー、二酸化炭素キャリア、及び多糖類以外の他の成分(添加剤)を含むことができる。
例えば、架橋剤、界面活性剤、触媒、補助溶剤、膜強度調整剤、欠陥検出剤が挙げられる。
吸水性ポリマーの架橋は熱架橋、紫外線架橋、電子線架橋、放射線架橋など従来公知の手法が実施することができる。特に、ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸塩共重合体と反応し熱架橋し得る官能基を2以上有する架橋剤としては、多価グリシジルエーテル、多価アルコール、多価イソシアネート、多価アジリジン、ハロエポキシ化合物、多価アルデヒド、多価アミン等が挙げられる。
【0042】
塗布液(水系組成物)の調製は、前記した吸水性ポリマー、二酸化炭素キャリア、及びゲル化剤、さらに必要に応じて他の添加剤を、それぞれ適量で水(常温水又は加温水)に添加して十分攪拌して行い、必要に応じて攪拌しながら加熱することで溶解を促進させる。なお、吸水性ポリマー、二酸化炭素キャリア、及びゲル化剤を別々に水に添加してもよいし、予め混ぜ合わせたものを添加してもよい。例えば、ゲル化剤を水に加えて溶解させた後、これに吸水性ポリマー、二酸化炭素キャリアを徐々に加えて攪拌することで吸水性ポリマーや多糖類の析出(塩析)を効果的に防ぐことができる。
【0043】
(塗布装置)
塗布装置16は、一定方向に搬送される支持体12の表面に、50℃以上で調整された二酸化炭素分離膜形成用の塗布液(水系組成物)を塗布するものである。
塗布装置16のよる塗布工程における塗布液の温度が低下すると、ゲル化剤による凝固作用によって粘度が上昇したり、吸水性ポリマーが析出(塩析)して支持体への塗布が困難となったり、膜厚のバラツキが大きくなるおそれがある。そのため、本発明の塗布液(水系組成物)を調製した後、塗布するまでの間はゲル化や塩析が生じないように保温することが好ましい。塗布工程における塗布液(水系組成物)の温度は、組成や濃度に応じてゲル化や塩析が生じないように決めればよいが、温度が高すぎると水系組成物から水が多量に蒸発して組成濃度が変化したり、局所的にゲル化が進行する恐れがあるので、通常は50℃以上であり、60〜85℃程度が好ましい。
【0044】
本実施形態の塗布装置16は、50℃以上で調製された二酸化炭素分離膜形成用の塗布液が貯留される貯留部16Aと、貯留部16Aに貯留された塗布液が流れ出て、塗布時に裏面支持ローラ26に接近する塗布ダイ36を備えている。塗布ダイ36は、塗布液の流量と、支持体との隙間幅を自由に調節可能で、様々な厚みの支持体について様々な厚みで塗布可能である。貯留部16Aには、図示を省略するが、塗布液を50℃以上に保持するヒータと、塗布液を攪拌する攪拌装置と、が設けられている。
【0045】
塗布装置16は、上記構成に限定されるものではなく、例えば、カーテンフローコーター、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等が適宜選択される。特に、膜厚均一性、塗布量などの観点から、エクストルージョンダイコーターが好ましい。
【0046】
塗布量は、水系組成物の組成、濃度などにもよるが、単位面積あたりの塗布量が少なく過ぎると冷却工程又は加熱工程で膜に孔が形成されたり、二酸化炭素分離膜としての強度が不十分となるおそれがある。一方、上記塗布量が多過ぎると、膜厚のバラツキが大きくなったり、得られる二酸化炭素分離膜の膜厚が大きくなり過ぎて二酸化炭素の透過性が低下するおそれがある。
これらの観点から、冷却工程で得られるゲル膜の厚さが30μm以上、より好ましくは50μm以上、特に好ましくは100μm以上であり、加熱工程で得られる二酸化炭素分離膜の厚さが5〜50μm、より好ましくは10〜40μm、特に好ましくは15〜30μmになるように塗布量を調整することが好ましい。
【0047】
(冷却ユニット)
冷却ユニット18では、支持体12上に塗布された塗布膜を冷却してゲル膜を得る。塗布膜が形成された支持体12が冷却ユニット18に搬送されて直ちに冷却されることで、ゲル化剤の凝固作用によって塗布膜がゲル化(固定化)し、安定したゲル膜(セット膜)が得られる。
【0048】
冷却工程における冷却温度は、高過ぎると固定化に時間がかかって膜厚均一性が低下するおそれがあり、低すぎるとゲル膜が凍結し膜質が変化してしまうおそれがある。塗布膜の厚みをほぼ保たったゲル膜が得られるように、塗布膜の成分、濃度(特に多糖類の種類及び濃度)に応じて決めればよいが、冷却工程における冷却温度は、支持体12上の塗布膜を迅速にゲル化してゲル膜を形成する観点から12℃以下が好ましく、5〜10℃がより好ましい。
また、冷却工程における通過時間は、生産性の向上などの観点から、1〜200秒が好ましく、30〜150秒がより好ましい。本実施形態では、冷却工程における通過時間は約110秒としている。
【0049】
本実施形態の冷却ユニット18は、支持体12が搬入及び搬出されるハウジング18Aと、外部から導入される気体を冷却する熱交換器30を備えており、ハウジング18A内が12℃以下に維持される。
熱交換器30は冷媒を循環させ凝縮・蒸発によって気体を冷却するものであるが、これに限定されるものではなく、水流で冷却した熱交換器で冷風を送る装置やぺルチャ素子を利用したものなど、種々の構成を用いることができる。
冷却ユニット18では、塗布装置16により支持体12に塗布された塗布膜を迅速にゲル化してゲル膜とすることができるため、膜厚を精度良く制御することができる。
【0050】
(乾燥ユニット)
乾燥ユニット20では、冷却ユニット18によりゲル化された支持体12上のゲル膜を乾燥させるとともに熱架橋させて二酸化炭素分離膜を得る。例えば、乾燥ユニット20に搬送された支持体12上のゲル膜に温風を当てて乾燥させるとともに架橋させる。冷却工程後の膜はゲル状に固定化されているため、乾燥用の風が直接当たっても崩れずに乾燥する。
風速は、ゲル膜を迅速に乾燥させることができるともにゲル膜が崩れない速度、例えば、1〜80m/分に設定することが好ましく、さらには6〜70m/分がより好ましく、さらには10〜40m/分が特に好ましい。本実施形態では、風速は30m/分としている。
風の温度は、支持体の変形などが生じず、かつ、ゲル膜を迅速に乾燥させることができるように20〜80℃に設定することが好ましく、さらには30〜70℃がより好ましく、さらには40〜60℃が特に好ましい。本実施形態では、風の温度は約50℃としている。
【0051】
加熱工程における乾燥と架橋は同時に行ってもよいし、別々に行ってもよい。例えば、ゲル膜に温風を当てて乾燥させた後、赤外線ヒータなどの加熱手段によって架橋させてもよいし、温風によって乾燥とともに架橋させてもよい。熱架橋は例えば100〜150℃程度に加熱することによって行うことができる。
【0052】
本実施形態の乾燥ユニット20は、支持体12が搬入及び搬出されるハウジング20Aと、このハウジング20A内に配置されて支持体12の表面のゲル膜を乾燥させる複数の温風器32及び複数のハロゲンヒータ34と、を備えている。温風器32は、支持体12の表面に対して所定の間隔をおいて配置されており、支持体12の表面に温風を吹き付けることによって、支持体12上のゲル膜を乾燥させる。
【0053】
ハロゲンヒータ34は、支持体12の表面に対して所定の間隔をおいて配置されており、熱によって支持体12上のゲル膜を乾燥させるものである。本実施形態では、温風器32とハロゲンヒータ34が交互に複数配置されており、これらの温風器32とハロゲンヒータ34によって支持体12の表面のゲル膜を乾燥すると共に熱架橋して二酸化炭素分離膜42(図2参照)を得る。本実施形態では、温風器32とハロゲンヒータ34が交互に複数配置されているが、この構成に限定されず、例えば、複数の温風器32のみを備えた構成でもよい。
【0054】
また、二酸化炭素分離用複合体の製造装置10では、必要に応じて、乾燥ユニット20よりも支持体12の搬送方向下流側に、支持体12の表面に形成された二酸化炭素分離膜42の上にキャリア溶出防止層を形成するための塗布装置(図示省略)及び乾燥装置(図示省略)などを設けてもよい。
【0055】
(作用・効果)
次に、二酸化炭素分離用複合体の製造装置10の作用であって、製造装置10による二酸化炭素分離用複合体の製造方法について説明する。
【0056】
図1に示されるように、二酸化炭素分離用複合体の製造装置10では、送り出しローラ14により帯状の支持体12が送り出され、支持体12が複数の裏面支持ローラ24に支持された状態で一定方向に搬送される。送り出しローラ14から送り出された支持体12は塗布装置16との対向位置に搬送され、塗布装置16により50℃以上で調製された二酸化炭素分離膜形成用の塗布液が支持体12の表面に塗布される。これによって、支持体12上にほぼ均一な膜厚の塗布膜が形成される。
【0057】
その後、支持体12は冷却ユニット18に搬送される。支持体12は、冷却ユニット18のハウジング18A内を通過することで、支持体12上の塗布膜が12℃以下で冷却され、ゲル膜が得られる。すなわち、支持体12上に塗布された塗布膜が乾燥前にゲル化されることで、支持体12上に固定化される。
【0058】
さらに、支持体12は乾燥ユニット20に搬送され、複数の温風器32から温風が吹き付けられると共にハロゲンヒータ34の熱により、支持体12の表面に形成されたゲル膜が乾燥されると共に熱架橋される。乾燥ユニット20では、支持体12上にゲル膜が形成されていることで、温風器32からの温風によりゲル膜が飛散することが阻止される。これによって、図2に示されるように、支持体12の表面に二酸化炭素分離膜42が形成された二酸化炭素分離用複合体40が得られる。このようにして形成された二酸化炭素分離用複合体40は、巻き取りローラ22に巻き取られる。
【0059】
このような二酸化炭素分離用複合体40の製造装置10及び二酸化炭素分離用複合体40の製造方法では、帯状の支持体12を一定方向に搬送しながら、支持体12上にほぼ均一な膜厚の二酸化炭素分離膜42を高い生産性で安定して製造することができる。すなわち、支持体12上に塗布された塗布液を即座に冷却してゲル膜を得ることで、ゲル膜がほぼ均一な膜厚となり、温風器32からの温風等により支持体12上のゲル膜を乾燥してもゲル膜が飛散することが阻止される。このため、支持体12上にある程度膜厚の厚い二酸化炭素分離膜42を簡便な方法により短時間に大面積で形成することができる。
【実施例】
【0060】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の実施例に示される材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0061】
〔第1実施例〕
(塗布液の調整)
水600g中に室温で攪拌しながらゲル化剤を所定量(表1参照)加え、80℃まで加熱し溶解させる。ゲル化剤が完全に溶解した後、吸収性ポリマーの一例としてのポリビニルアルコール−ポリアクリル酸の共重合体の10wt%水溶液を230g加えた後、二酸化炭素キャリアの一例としての炭酸セシウムの40wt%水溶液を150g、グルタルアルデヒドを2g加え、二酸化炭素分離膜形成用の塗布液を調整した。
【0062】
表1に示されるように、実施例1〜3ではゲル化剤として添加量を変えた2種類の寒天(伊那寒天UM−11S、UP37(伊那寒天社製))を用いて試験を行った。また、比較例1ではゲル化剤としての寒天の濃度が低い場合、比較例2ではゲル化剤としてk−カラギーナン(マリン・サイエンス社製:寒天でないもの)を用いた場合、比較例1ではゲル化剤を添加しない場合について試験を行った。
【0063】
(ゲル化試験)
80℃の二酸化炭素分離膜形成用の塗布液を支持体の一例としてのPETフィルム上にベーカーアプリケーターを用いてクリアランス1mmでコーティングした後、12℃の冷却ボックス(冷却装置)に一定時間静置した。静置後、冷却ボックスから取り出し、上下を逆にして60秒静置したときのゲル化の状態を目視により評価し、全く動かなくなった最短の冷却ボックスの低温静置時間をゲル化時間とした。600秒以上静置しても動いてしまう場合は「×」として評価した。
【0064】
(塗布試験)
図1に示されるような塗布装置16、冷却ユニット18、乾燥ユニット20を備え、支持体12を連続走行する製造装置10により二酸化炭素分離膜形成用の塗布液の塗布を行った。
【0065】
条件としては、支持体12の搬送速度を20m/minとし、塗布液の塗布量を変化させることで湿潤膜厚を500μmに調節した。冷却ユニット18は9℃で、支持体12が通過するまでに110秒を要する設定とする。乾燥ユニット20は50℃の風速30m/sの温風を支持体12の膜面に直接400秒当てることで乾燥させる。
【0066】
以上のような塗布試験を行い、巻き取り時の支持体12の二酸化炭素分離膜の面状の状態を評価した。二酸化炭素分離膜の面状の状態は、「○」を面状に問題なし、「△」を膜が消失している部分が存在し連続膜になっていない、「×」を膜が全く消失している、として評価した。
ゲル化試験及び塗布試験の結果を表1に示す。
【0067】
【表1】

表1に示されるように、実施例1〜3のゲル化剤として寒天類を用い所定の濃度で調整した場合は、いずれも120秒以内でゲル化し、状態が良好であることが確認された。
また、表1に示されるように、塗布試験では、二酸化炭素分離膜の面状に問題がないことが確認された。
これに対して、比較例1のゲル化剤の濃度が低い場合、比較例2のゲル化剤としてk−カラギーナンを用いた場合、比較例3のゲル化剤を添加しない場合は、12℃の冷却ボックス(冷却装置)に静置したときのゲル化の状態、及び二酸化炭素分離膜の面状ともに良好でないことが確認された。
また、比較例3では、上記条件により12℃で放置したときに600秒ではゲル化しないことが確認された。すなわち、ゲル化が遅かったり、しなかったりした場合には、良好な二酸化炭素分離膜をロールトゥロール形態で効率よく得られないことを示唆している。
【0068】
〔第2実施例〕
上記塗布試験で「○」のサンプルについては、PETフィルムから二酸化炭素分離膜を剥離させ、テストガスとしてCO/H=10/90の割合で混合した混合ガスを用い、これを飽和水蒸気下で、圧力1atm、温度100℃で膜に供給したとき、透過してきたガスをガスクロマトグラフで分析した。その結果、COとHの透過率の比率が100:1以上となり、二酸化炭素分離膜のCO分離選択性が優れるという良好な結果を得た。
【0069】
なお、本発明に係る二酸化炭素分離用複合体の製造装置及び製造方法は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0070】
10 二酸化炭素分離用複合体の製造装置
12 支持体
14 送り出しローラ(搬送手段)
16 塗布装置
18 冷却ユニット(冷却装置)
20 乾燥ユニット(乾燥装置)
22 巻き取りローラ(搬送手段)
24 裏面支持ローラ(ローラ)
26 裏面支持ローラ(ローラ)
30 熱交換器(冷却装置)
32 温風器(乾燥装置)
34 ハロゲンヒータ(乾燥装置)
40 二酸化炭素分離用複合体
42 二酸化炭素分離膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に二酸化炭素分離膜を備えた二酸化炭素分離用複合体を製造する製造方法であって、
吸水性ポリマーと、二酸化炭素キャリアと、ゲル化剤とを含み、かつ、溶液膜厚1mm以下において12℃で放置したときに120秒以内でゲル化し、液が重力により落下しないような性質を有する二酸化炭素分離膜形成用の塗布液を50℃以上で調製する塗布液調整工程と、
帯状の支持体上に前記塗布液を塗布する塗布工程と、
前記塗布工程で得られた塗布膜を12℃以下で冷却してゲル膜を得る冷却工程と、
前記ゲル膜を少なくとも温風により乾燥して二酸化炭素分離膜を得る乾燥工程と、を有し、
前記塗布工程から前記乾燥工程までを前記支持体を一定方向に搬送しながら連続して行う二酸化炭素分離用複合体の製造方法。
【請求項2】
前記塗布工程から前記乾燥工程までの前記支持体の搬送速度が20m/min以上である請求項1に記載の二酸化炭素分離用複合体の製造方法。
【請求項3】
前記ゲル化剤が、多糖類である請求項1又は請求項2に記載の二酸化炭素分離用複合体の製造方法。
【請求項4】
前記ゲル化剤が、寒天類である請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の二酸化炭素分離用複合体の製造方法。
【請求項5】
前記二酸化炭素キャリアがアルカリ金属炭酸塩を有する請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の二酸化炭素分離用複合体の製造方法。
【請求項6】
前記二酸化炭素キャリアがセシウムを含む化合物である請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の二酸化炭素分離用複合体の製造方法。
【請求項7】
支持体上に二酸化炭素分離膜を備えた二酸化炭素分離用複合体を製造する製造装置であって、
帯状の支持体を複数のローラで支持し、前記支持体を一定方向に搬送する搬送手段と、
吸水性ポリマーと、二酸化炭素キャリアと、ゲル化剤とを含み、かつ、50℃以上で調製した二酸化炭素分離膜形成用の塗布液を、前記搬送手段で搬送される前記支持体上に塗布する塗布装置と、
前記塗布装置よりも前記支持体の搬送方向下流側に設けられ、前記塗布装置により前記支持体上に塗布された塗布膜を12℃以下で冷却してゲル膜を得る冷却装置と、
前記冷却装置よりも前記支持体の搬送方向下流側に設けられ、前記支持体上に形成された前記ゲル膜を少なくとも温風により乾燥して二酸化炭素分離膜を得る乾燥装置と、
を有する二酸化炭素分離用複合体の製造装置。
【請求項8】
前記搬送手段による前記支持体の搬送速度が20m/min以上である請求項7に記載の二酸化炭素分離用複合体の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−143711(P2012−143711A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4276(P2011−4276)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】