二酸化炭素吸着剤
【課題】多孔性金属錯体を利用して二酸化炭素のみを高選択的かつ大量に吸着するための材料を提供する。
【解決手段】二価の銅イオン及びルイス塩基性アニオン分子から構築される分極ユニットを結晶性金属錯体骨格中に導入して、金属錯体骨格に柔軟性を付与した結晶性金属錯体は、二酸化炭素のみを高選択的かつ大量に吸着する。
【解決手段】二価の銅イオン及びルイス塩基性アニオン分子から構築される分極ユニットを結晶性金属錯体骨格中に導入して、金属錯体骨格に柔軟性を付与した結晶性金属錯体は、二酸化炭素のみを高選択的かつ大量に吸着する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、二価の銅イオンを含む結晶性金属錯体から成る二酸化炭素吸着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
細孔を有する機能性材料としては、従来においては活性炭などの炭素材料やゼオライトなどの無機材料が代表的であったが、クリスタルエンジニアリングの急激な進歩により、近年では、金属イオンと架橋配位子とで構築される多孔性金属錯体が注目されてきている。この多孔性金属錯体は、炭素材料が有する高空隙率・無機材料が有する骨格構造の均一性に加え、金属イオンと有機架橋配位子を合理的に組み合わせることによる骨格構造の高設計性・多様性を有している。さらに、炭素材料・無機材料では実現困難な外場に応答する柔軟性細孔の構築が可能である。そのため各種の有用な用途が考えられ、その用途に応じた効率的な合成法の開発が望まれる。
近年、多孔性物質を用いた二酸化炭素分離材料の開発研究が精力的に行われてきた。二酸化炭素は、地球温暖化ガスのなかでも最も温暖化の影響度が大きな(60.1%)ガスとして知られており、混合ガス中からの二酸化炭素の分離は環境問題の観点から重要な研究課題である。一方で、二酸化炭素を大気中へ拡散させずに炭素燃料として使用し続ける炭素隔離技術は、資源問題の観点から早急に開発されるべき課題である。高性能二酸化炭素分離材料を構築するためには、空隙率及び選択性を向上させる必要がある。これまでは、従来用いられてきた多孔性材料(活性炭、ゼオライト)を中心に二酸化炭素分離材料の開発が実施されてきた。しかしながら、活性炭などの多孔性炭素材料は、空隙率が高い反面、構造設計性・均一性に乏しいため選択性を向上させることが困難であり、ゼオライトなどのような多孔性無機材料は空隙率が低いために大量分離に不向きである。最近、高空隙率・構造均一性・高設計性・多様性・柔軟性を兼ね備えた多孔性金属錯体の二酸化炭素分離材料への応用についても検討され始めてきたが、その設計はいかに大量の二酸化炭素を貯蔵できるかという視点に基づいていた(非特許文献1など)。
また本発明者らは、2価の銅イオンと弱ルイス塩基性アニオンであるPF6−と2座の有機架橋配位子1,2-bis(4-pyridyl)ethane(bpetha)から構築される1次元金属錯体[Cu(PF6)2(bpetha)2]nが、構造転移を伴った可逆的なルイス塩基性中性ゲスト分子(アセトン、アセトニトリル)の形状選択的取り込み能を持つことを過去に報告している(非特許文献2)。
【0003】
【非特許文献1】J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 17998-17999.
【非特許文献2】Inorg. Chem. 2006, 45, 9290-9300
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、多孔性金属錯体を利用して二酸化炭素のみを高選択的かつ大量に吸着するための材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
二価の銅イオン及びルイス塩基性アニオン分子から構築される分極ユニットを結晶性金属錯体骨格中に導入して、金属錯体骨格に柔軟性を付与することにより、当該結晶性金属錯体が二酸化炭素のみを高選択的かつ大量に吸着することを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、下記一般式
[Cu(A)x(L)y]n
(式中、Cuは二価の銅イオン、Aはルイス塩基性アニオン、Lは含窒素芳香環を含む有機配位子、xは(A)xが二価となるような数、yは1.5、2又は4、nは0次元(単核)構造の場合は1、高分子型構造の場合は103〜1020の分子量に相当する数を表す。)で表され、粉末XRDの(220)面、及び(040)面、及び(131)面の回折ピークが、2θ(200)=8.5〜17.5度、及び2θ(040)=10.5〜20度、及び2θ(131)=11.5〜18度である結晶性金属錯体から成る二酸化炭素吸着剤である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の二酸化炭素吸着剤である結晶性金属錯体において、分極性の強い二酸化炭素は細孔サイズを拡張しながら選択的に金属錯体骨格中に取り込まれるが、分極性の低いガス(窒素、酸素、メタン、エタン、プロパン、水素、希ガス)は細孔の拡張が起きないため金属錯体骨格中にほとんど取り込まれないと考えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の二酸化炭素吸着剤である結晶性金属錯体は、下記一般式で表される。
[Cu(A)x(L)y]n
Cuは、二価の銅イオン(陽イオン)を表す。
Aは、ルイス塩基性アニオンを表す。
このルイス塩基性アニオンとして、A1F6−(式中、A1は、P、As、Sb又はTaを表す。)、A2F62−(式中、A2は、Si、Ge、Ti、Sn又はZrを表す。)A3F63−(式中、A3は、V、Al又はFeを表す。)、A4F72−(式中、A4は、Ta又はNbを表す。)、BF4−、HCO2−、CH3CO2−、CF3CO2−、CF3SO3−、FSO3−、Ph−SO3−、Ph−SO2−、SO42−、FPO32−、H2PO4−、HPO42−、PO43−、
が挙げられ、好ましくは、PF6−、BF4−、AsF6−、SbF6−である。
Aとして、上記アニオン単体を用いてもよく、また複数のアニオンを用いてもよい。
xは(A)xが二価となるような数であり、例えば、Aが一価アニオンであればxは2、Aが2価アニオンであればxは1、Aが3価アニオンであればxは2/3である。
【0008】
Lは、含窒素芳香環を含む有機配位子を表す。
この含窒素芳香環とは、例えば、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、ベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、インドレニンピラゾール、オキサジアゾール、ピラゾロトリアゾール、イソオキサゾール、トリアゾール、チアジアゾール、ピロロトリアゾール、イミダゾトリアゾールなどの含窒素芳香環が挙げられ、好ましくはピリジン環、ピラジン環又はピリミジン環である。
【0009】
本発明の含窒素芳香環を含む有機配位子とは、置換基を有していてもよいピリジン、ピラジン若しくはピリミジン(該置換基としては、ハロゲン原子、アミノ基、炭素数が6以下のアルキル基、又はアリール基が挙げられる。)、又は下記一般式
B−R1−B
(式中、Bは、それぞれ同じであっても異なってもよく、好ましくは同じであって、下式
【化1】
で表される含窒素芳香属基を表し、R1は、−(CH2)m−(式中、mは1〜4、好ましくは2又は3を表す。)、−CH=CH−、−C≡C−、−N=N−、−S−、−S−S−、−NHCO−、−NHCOCH2−、−CH(OH)CH(OH)−、1,4−フェニレン基又は1,3−フェニレン基を表す。)で表される化合物が挙げられる。
本発明で用いられる好ましい含窒素芳香環を含む有機配位子として、下式で表されるpyridine(以下「py」という。)、4-phenylpyridine(以下「4-phpy」という。)、4,4’-bipyridine(以下「4,4'-bpy」という。)、1,2-bis(4-pyridyl)ethane(以下「bpetha」という。)、4,4'-dipyridyldisulfide(以下「dpds」という。)及び1,3-bis(4-pyridyl)propane(以下「bpp」という。)の化合物が挙げられる。
【化2】
yは、1.5、2又は4を表す。
nは、0次元(単核)構造の場合は1、高分子型構造の場合は、分子量が103〜1020に相当するような数を表す。
【0010】
また、本発明の二酸化炭素吸着剤である金属錯体は結晶性であり、その形態は単結晶又は微結晶の集合体である。この金属錯体では、含窒素芳香環を含む配位子が銅イオンのエクアトリアルサイトに配位し、ルイス塩基性アニオンが銅イオンのアキシャルサイトに弱く配位、又は銅イオンに配位せずに骨格内に存在した構造を持つ。これら金属錯体は、含窒素芳香環を含む配位子の種類により0次元単核構造から1次元・2次元・3次元無限構造をとる。
この結晶の粉末XRDの(220)面、及び(040)面、及び(131)面の回折ピークは、2θ(200)=8.5〜17.5度、及び2θ(040)=10.5〜20度、及び2θ(131)=11.5〜18度である。
その結晶の格子定数は単結晶または粉末X線回折測定から以下のようになる。
格子定数がa、b、c=8〜42オングストローム、
α、β、γ=90又は91〜135度、
V=2000〜12000オングストローム3
【0011】
これら金属錯体は、次のような製法により合成することができる。2価の銅イオンとルイス塩基性アニオンを含む溶液中に、含窒素芳香環を含む配位子の溶液を加え、攪拌又は濃縮することによって微結晶が析出する。析出した微結晶をろ過、洗浄、真空加熱乾燥させることにより目的の金属錯体を得ることができる。
以下、実施例にて本発明を例証するが本発明を限定することを意図するものではない。
【実施例1】
【0012】
本実施例では[Cu(PF6)2(bpetha)2]nを合成し、その気体吸着特性を調べた。
室温・大気圧下で、Cu(ClO4)2・6H2O(シグマ・アルドリッチ社)とKPF6(和光純薬工業株式会社製)をメタノール溶液中で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液に水をメタノールと同体積加え、さらにbpetha(シグマ・アルドリッチ社)のアセトン溶液を加えると、瞬時に高結晶性の1次元金属錯体{[Cu(bpetha)2(acetone)2]・2PF6}nが70%以上の収率で得られた。得られた金属錯体を真空加熱処理(100Pa, 353K)することにより、1次元金属錯体[Cu(PF6)2(bpetha)2]nが得られた。
得られた結晶性金属錯体の分析結果を以下に示す:
なお、単結晶X線構造解析は、株式会社リガク製イメージングプレート単結晶自動X線構造解析装置R-AXIS RAPIDを用いて測定し、元素分析は、ヤナコ分析工業株式会社製炭素・水素・窒素同時定量装置CHNコーダーMT-6及びDionex製イオンクロマトグラフ DX-500を用いて測定し、粉末XRDは、株式会社リガク製自動X線回折装置RINT 2000/PCを用いて測定し、TG-DTAは、株式会社リガク製熱分析装置Thermo plus 2シリーズ TG-DTA TG8120を用いて測定し、IRは、Perkin Elmer製フーリエ変換赤外分光分析装置 Spectrum 2000を用いて測定し、31P-NMRは、Bruker製 DSX 300 Solid State NMR SPectrometerを用いて測定し、19F-NMRは、Bruker製 DSX 300 Solid State NMR SPectrometerを用いて測定し、ESRは、JEOL製JES-FA100電子スピン共鳴装置を用いて測定した(他の実施例も同じ)。
(1)元素分析:[Cu(PF6)2(bpetha)2]nで計算(C24H24Cu1F12N4P2)、計算値 C: 39.93, H: 3.35, N:7.76 (%)、実測値 C: 39.99, H: 3.42, N:7.79 (%)
(2)粉末XRD:ピーク位置2θ (度):10.32, 11.20, 12.82, 13.48, 16.90, 18.12, 19.02, 20.24, 21.40, 22.60, 24.34, 25.86, 26.94, 27.22, 29.02, 30.82, 32.94, 33.90, 35.92, 37.72、ピーク帰属:10.32 度 = (220)面、11.20 度 = (040)面、12.82 度 = (131)面
(3)TG-DTA:分解温度:201度
(4)IR:ピーク位置 Wavenumber (cm-1):1621, 1562, 1507, 1433, 1229, 1122, 1069, 1033, 840, 740, 602, 558, 533
(5)31P-NMR:chemical shift (ppm): -169 (singlet)
(6)19F-NMR:chemical shift (ppm): -67 (singlet), -89 (singlet)
(7)ESR:g値:2.060
得られた結晶性金属錯体の気体吸着試験を以下の方法で行なった。
この結晶性金属錯体を、測定前に約363Kで6時間ほど真空加熱処理を行った後、吸着装置に装着した。吸着測定は、298KにおけるCO2吸着実験を除いてすべて容量法によって行なった。298KにおけるCO2吸着実験は、重量法によって行なった。測定は、すべて市販の吸着装置(日本ベル及びユアサイオニクス製)を用いて行なった。その結果を図1に示す。
得られた結晶性金属錯体は、細孔サイズの拡張を伴いながらCO2を195Kで大量に吸着した(67kPaで約130 mL/g)が、N2を77Kでほとんど吸着しなかった。比表面積は882 m2/gであり、一般的なゼオライトの値(〜500 m2/g)よりもはるかに大きかった。N2及びO2を195Kでほとんど吸着しないため(CO2/O2 : 〜5300, CO2/N2 : 〜3900)、CO2とN2・O2の分離材料として応用可能である。また298Kにおいても細孔サイズの拡張を伴いながらCO2を吸着した(3000kPaで約65 mL/g)。COを77Kでほとんど吸着しないため、CO2とCOの分離材料として応用可能である。また繰り返し使用が可能であった。
【実施例2】
【0013】
本実施例では[Cu(PF6)1.9(BF4)0.1(bpetha)2]nを合成し、その気体吸着特性を調べた。
室温・大気圧下で、Cu(BF4)2・6H2O(Lancaster製)とNH4PF6(和光純薬工業株式会社製)の水溶液(混合比、1:1.8)にbpethaのアセトン溶液を加えると、瞬時に高結晶性の1次元金属錯体{[Cu(bpetha)2(acetone)1.9]・(PF6)1.9(BF4)0.1}nが70%以上の収率で得られた。得られた金属錯体を真空加熱処理(100Pa, 373K)することにより、1次元金属錯体[Cu(PF6)1.9(BF4)0.1(bpetha)2]nが得られた。
得られた結晶性金属錯体の分析結果を以下に示す:
(1)元素分析:{[Cu(PF6)1.9(BF4)0.1(bpetha)2]・0.8H2O}nで計算(C24H25.6B0.1Cu1F11.8N4O0.8P1.9)、計算値 C: 39.46, H: 3.53, N:7.67 (%)、実測値 C: 39.41, H: 3.38, N:7.72 (%)
(2)粉末XRD:ピーク位置2θ(度):10.32, 11.20, 12.84, 13.44, 16.90, 18.16, 20.14, 21.42, 22.64, 24.36, 25.86, 27.02, 27.26, 29.18, 30.86, 33.06, 34.00, 35.90, 37.74、ピーク帰属:10.32 度 = (220)面、11.20 度 = (040)面、12.84 度 = (131)面
(3)TG-DTA:分解温度:172度
(4)IR:ピーク位置 Wavenumber (cm-1):1621, 1561, 1507, 1433, 1230, 1083, 1069, 1033, 846, 740, 558, 533
得られた結晶性金属錯体の気体吸着試験を以下の方法で行なった。
この結晶性金属錯体を、測定前に約373Kで6時間ほど真空加熱処理を行った後、吸着装置に装着した。吸着測定は、すべて容量法によって市販の吸着装置(日本ベル及びユアサイオニクス製)を用いて行なった。その結果を図2に示す。
得られた結晶性金属錯体は、細孔サイズの拡張を伴いながらCO2を195Kで大量に吸着した(72kPaで約128 mL/g)が、N2を77Kでほとんど吸着しなかった。比表面積は835 m2/gであり、一般的なゼオライトの値(〜500 m2/g)よりもはるかに大きかった。吸着等温線は、[Cu(PF6)2(bpetha)2]nの吸着等温線と非常に類似していた。
【実施例3】
【0014】
本実施例では[Cu(PF6)1.4(BF4)0.6(bpetha)2]nを合成し、その気体吸着特性を調べた。
室温・大気圧下で、Cu(BF4)2・6H2OとNH4PF6の水溶液(混合比、1:1.5)にbpethaのアセトン溶液を加えると、瞬時に高結晶性の1次元金属錯体{[Cu(bpetha)2(acetone)x]・(PF6)1.4(BF4)0.6}nが70%以上の収率で得られた。得られた金属錯体を真空加熱処理(100Pa, 373K)することにより、1次元金属錯体[Cu(PF6)1.4(BF4)0.6(bpetha)2]nが得られた。
得られた結晶性金属錯体の分析結果を以下に示す:
(1)元素分析:{[Cu(PF6)1.4(BF4)0.6(bpetha)2]・0.9H2O}nで計算(C24H25.8B0.6Cu1F10.8N4O0.9P1.4)、計算値 C: 40.99, H: 3.70, N:7.97 (%)、実測値 C: 41.21, H: 3.66, N:7.95 (%)
(2)粉末XRD:ピーク位置2θ(度):10.02, 11.70, 13.30, 14.36, 16.98, 18.10, 18.38, 19.46, 20.24, 20.66, 22.76, 23.96, 25.96, 26.84, 27.60, 28.80, 29.70, 30.78, 32.78, 34.10、ピーク帰属:10.02 度 = (220)面、11.70 度 = (040)面、13.30 度 = (131)面
(3)TG-DTA:分解温度:180度
(4)IR:ピーク位置 Wavenumber (cm-1):1620, 1563, 1504, 1435, 1231, 1214, 1118, 1101, 1084, 1071, 1032, 847, 833, 559
得られた結晶性金属錯体の気体吸着試験を以下の方法で行なった。
この結晶性金属錯体を、測定前に約373Kで6時間ほど真空加熱処理を行った後、吸着装置に装着した。吸着測定は、すべて容量法によって市販の吸着装置(日本ベル及びユアサイオニクス製)を用いて行なった。その結果を図3に示す。
得られた結晶性金属錯体は、細孔サイズの拡張を伴いながらCO2を195Kで大量に吸着した(96kPaで約90 mL/g)が、N2を77Kでほとんど吸着しなかった。比表面積は615 m2/gであり、一般的なゼオライトの値(〜500 m2/g)よりも大きかった。吸着等温線は、[Cu(PF6)2(bpetha)2]nの吸着等温線と比較して吸着閾値圧が小さくなっていたが、比表面積値も小さくなった。
【実施例4】
【0015】
本実施例では[Cu(PF6)0.7(BF4)1.3(bpetha)2]nを合成し、その気体吸着特性を調べた。
室温・大気圧下で、Cu(BF4)2・6H2OとNH4PF6の水溶液(混合比、1:0.75)にbpethaのアセトン溶液を加えると、瞬時に高結晶性の金属錯体{[Cu(bpetha)2(acetone)x]・(PF6)0.7(BF4)1.3}nが70%以上の収率で得られた。得られた金属錯体を真空加熱処理(100Pa, 373K)することにより、金属錯体[Cu(PF6)0.7(BF4)1.3(bpetha)2]nが得られた。
得られた結晶性金属錯体の分析結果を以下に示す:
(1)元素分析:{[Cu(PF6)0.7(BF4)1.3(bpetha)2]・1.8H2O}nで計算(C24H27.6B1.3Cu1F9.4N4O1.8P0.7)、計算値 C: 42.47, H: 4.10, N: 8.25 (%)、実測値 C: 42.46, H: 4.25, N: 8.27 (%)
(2)粉末XRD:ピーク位置2θ(度):10.02, 11.74, 13.32, 14.06, 14.50, 15.02, 17.12, 18.08, 18.52, 19.62, 20.66, 22.80, 23.98, 24.60, 26.04, 27.70、ピーク帰属:10.02 度 = (220)面、11.74 度 = (040)面、13.32 度 = (131)面
(3)TG-DTA:分解温度:175度
(4)IR:ピーク位置 Wavenumber (cm-1):1619, 1564, 1506, 1455, 1435, 1231, 1214, 1123, 1084, 1071, 1031, 870, 847, 833, 559, 550
得られた結晶性金属錯体の気体吸着試験を以下の方法で行なった。
この結晶性金属錯体を、測定前に約373Kで6時間ほど真空加熱処理を行った後、吸着装置に装着した。吸着測定は、すべて容量法によって市販の吸着装置(日本ベル及びユアサイオニクス製)を用いて行なった。その結果を図4に示す。
得られた結晶性金属錯体は、細孔サイズの拡張を伴いながらCO2を195Kで大量に吸着した(97kPaで約149 mL/g)が、N2を77Kでほとんど吸着しなかった。比表面積は1049 m2/gであり、一般的なゼオライトの値(〜500 m2/g)よりもはるかに大きかった。吸着等温線は、[Cu(PF6)2(bpetha)2]nの吸着等温線と比較して、吸着閾値圧が小さくなり、比表面積値は増大した。
【実施例5】
【0016】
本実施例では[Cu(BF4)2(bpetha)2]nを合成し、その気体吸着特性を調べた。
室温・大気圧下で、Cu(BF4)2・6H2Oの熱水溶液にbpethaのアセトン溶液を加えしばらく攪拌すると、高結晶性の金属錯体{[Cu(BF4)2(bpetha)2]・(acetone)x}nが70%以上の収率で得られた。得られた金属錯体を真空加熱処理(100Pa, 353K)することにより、金属錯体[Cu(BF4)2(bpetha)2]nが得られた。
得られた結晶性金属錯体の分析結果を以下に示す:
(1)元素分析:{[Cu(BF4)2(bpetha)2]・2H2O}nで計算(C24H28B2Cu1F8N4O2)、計算値 C: 44.92, H: 4.40, N: 8.73 (%)、実測値 C: 44.98, H: 4.11, N: 8.73 (%)
(2)粉末XRD:ピーク位置2θ(度):6.56, 8.76, 9.36, 10.20, 11.20, 13.38, 13.82, 15.48, 16.76, 17.32, 17.96, 18.84, 19.94, 21.24, 22.30, 24.18, 25.62, 26.84, 27.78、ピーク帰属:10.20 度 = (220)面、11.20 度 = (040)面、13.38 度 = (131)面
(3)TG-DTA:分解温度:152度
(4)IR:ピーク位置 Wavenumber (cm-1):1619, 1561, 1508, 1435, 1285, 1232, 1214, 1073, 1030, 834, 550
得られた結晶性金属錯体の気体吸着試験を以下の方法で行なった。
この結晶性金属錯体を、測定前に約353Kで25時間ほど真空加熱処理を行った後、吸着装置に装着した。吸着測定は、容量法によって市販の吸着装置(ユアサイオニクス製)を用いて行なった。その結果を図5に示す。
得られた結晶性金属錯体は、細孔サイズの拡張を伴いながらCO2を195Kで大量に吸着した(100kPaで約133 mL/g)。比表面積は886 m2/gであり、一般的なゼオライトの値(〜500 m2/g)よりもはるかに大きかった。吸着等温線は、[Cu(PF6)2(bpetha)2]nの吸着等温線と比較して、吸着閾値圧が大きくなり、比表面積値は同程度であった。
【実施例6】
【0017】
本実施例では[Cu(PF6)2(bpp)2]nを合成し、その気体吸着特性を調べた。
室温・大気圧下で、Cu(ClO4)2・6H2O(シグマ・アルドリッチ社製)とKPF6をメタノール溶液中で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液に水をメタノールと同体積加え、さらにbpp(シグマ・アルドリッチ社製)のアセトン溶液を加えると、瞬時に高結晶性の1次元金属錯体{[Cu(bpp)2(acetone)2]・2PF6}nが70%以上の収率で得られた。得られた金属錯体を真空加熱処理(100Pa, 373K)することにより、1次元金属錯体[Cu(PF6)2(bpp)2]nが得られた。
得られた結晶性金属錯体の分析結果を以下に示す:
(1)元素分析:[Cu(PF6)2(bpp)2]nで計算(C26H28Cu1F12N4P2)、計算値 C: 41.64, H: 3.76, N: 7.47 (%)、実測値 C: 41.55, H: 3.70, N: 7.46 (%)
(2)粉末XRD:ピーク位置2θ(度):8.98, 11.36, 14.02, 15.04, 17.02, 18.18, 19.58, 20.18, 21.90, 22.84, 24.24, 24.74, 25.72, 26.36, 26.96, 28.34, 33.36, 39.14、ピーク帰属:8.98 度 = (220)面、11.36 度 = (040)面、14.02 度 = (131)面
(3)TG-DTA:分解温度:211度
(4)IR:ピーク位置 Wavenumber (cm-1):1701, 1620, 1561, 1511, 1439, 1365, 1235, 1069, 1034, 836, 752, 627, 558, 523
得られた結晶性金属錯体の気体吸着試験を以下の方法で行なった。
この結晶性金属錯体を、測定前に約363Kで12時間ほど真空加熱処理を行った後、吸着装置に装着した。吸着測定は、容量法によって市販の吸着装置(日本ベル製)を用いて行なった。その結果を図6に示す。
得られた結晶性金属錯体は、CO2を195Kで吸着した(101kPaで約68 mL/g)。吸着等温線は、低圧領域(P/P0:〜0.001)で吸着量の急激な増加を示した。比表面積は393 m2/gであった。
【実施例7】
【0018】
本実施例では[Cu(BF4)2(bpp)2]nを合成し、その気体吸着特性を調べた。
室温・大気圧下で、Cu(BF4)2・6H2Oの水溶液にbppのアセトン溶液を加えると、瞬時に高結晶性の金属錯体{[Cu(BF4)2(bpp)2]・(acetone)x(H2O)y}nが70%以上の収率で得られた。得られた金属錯体を真空加熱処理(100Pa, 373K)することにより、金属錯体[Cu(BF4)2(bpp)2]nが得られた。
得られた結晶性金属錯体の分析結果を以下に示す:
(1)元素分析:{[Cu(BF4)2(bpp)2]・1.4H2O・1.1acetone}nで計算(C29.3H37.4B2Cu1F8N4O2.5)計算値 C: 48.69, H: 5.22, N: 7.75 (%)、実測値 C: 49.29, H: 4.97, N: 7.68 (%)
(2)粉末XRD:ピーク位置2θ(度):8.78, 10.74, 12.06, 14.24, 15.40, 16.92, 17.64, 19.52, 20.92, 22.22, 23.94, 24.32, 25.06, 25.86, 26.68, 28.34, 29.40, 30.26, 30.90, 31.64, 32.34, 34.68, 35.86, 36.42, 37.74, 38.22, 39.26、ピーク帰属:8.78 度 = (220)面、10.74 度 = (040)面、12.06 度 = (131)面
(3)TG-DTA:分解温度:196度
(4)IR:ピーク位置 Wavenumber (cm-1):1622, 1560, 1508, 1457, 1435, 1284, 1234, 1151, 1118, 1082, 1029, 986, 067, 827, 801, 764, 581, 526, 501
得られた結晶性金属錯体の気体吸着試験を以下の方法で行なった。
この結晶性金属錯体を、測定前に約363Kで12時間ほど真空加熱処理を行った後、吸着装置に装着した。吸着測定は、容量法によって市販の吸着装置(日本ベル製)を用いて行なった。その結果を図7に示す。
得られた結晶性金属錯体は、CO2を195Kで吸着した(101kPaで約86 mL/g)。吸着等温線は、低圧領域(P/P0:〜0.01)で吸着量の急激な増加を示した。比表面積は502 m2/gであった。
【実施例8】
【0019】
本実施例では[Cu(AsF6)2(bpetha)2]nを合成し、その気体吸着特性を調べた。
室温・大気圧下で、Cu(ClO4)2・6H2OとKAsF6(Vision Fluorochem社製)をメタノール溶液中で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液に水をメタノールと同体積加え、さらにbpethaのアセトン溶液を加えると、瞬時に高結晶性の1次元金属錯体{[Cu(bpetha)2(acetone)2]・2AsF6}nが70%以上の収率で得られた。得られた金属錯体を真空加熱処理(100Pa, 373K)することにより、1次元金属錯体[Cu(AsF6)2(bpetha)2]nが得られた。
得られた結晶性金属錯体の分析結果を以下に示す:
(1)元素分析:{[Cu(AsF6)2(bpetha)2]・1.6acetone}nで計算(C28.8H33.6As2Cu1F12N4O1.6)、計算値 C: 38.32, H: 3.75, N: 6.21 (%)、実測値 C: 37.87, H: 3.73, N: 6.19 (%)
(2)粉末XRD:ピーク位置2θ(度):10.32, 11.02, 12.74, 16.78, 17.78, 19.00, 19.70, 21.36, 22.28, 23.94, 25.78, 28.88, 30.14, 37.50、ピーク帰属:10.32 度 = (220)面、11.02 度 = (040)面、12.74 度 = (131)面
(3)TG-DTA:分解温度:256度
(4)IR:ピーク位置 Wavenumber (cm-1):1621, 1560, 1508, 1432, 1232, 1068, 1034, 943, 839, 819, 704, 674, 601, 569, 550, 533
得られた結晶性金属錯体の気体吸着試験を以下の方法で行なった。
この結晶性金属錯体を、測定前に約363Kで12時間ほど真空加熱処理を行った後、吸着装置に装着した。吸着測定は、容量法によって市販の吸着装置(日本ベル製)を用いて行なった。その結果を図8に示す。
得られた結晶性金属錯体は、CO2を195Kで吸着した(100kPaで約71 mL/g)。吸着等温線は、低圧領域(P/P0:〜0.01)で吸着量の急激な増加を示した。比表面積は411 m2/gであり、[Cu(PF6)2(bpetha)2]nの約半分であった。
【実施例9】
【0020】
本実施例では[Cu(SbF6)2(bpetha)2]nを合成し、その気体吸着特性を調べた。
室温・大気圧下で、Cu(ClO4)2・6H2OとKSbF6(シグマ・アルドリッチ社製)をメタノール溶液中で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液に水を同体積加え、さらにbpethaのアセトン溶液を加えると、瞬時に高結晶性の1次元金属錯体{[Cu(bpetha)2(acetone)2]・2SbF6}nが70%以上の収率で得られた。得られた金属錯体を真空加熱処理(100Pa, 373K)することにより、1次元金属錯体[Cu(SbF6)2(bpetha)2]nが得られた。
得られた結晶性金属錯体の分析結果を以下に示す:
(1)元素分析:{[Cu(SbF6)2(bpetha)2]・1.7acetone}nで計算(C29.1H34.2Cu1F12N4O1.7Sb2)、計算値 C: 34.87, H: 3.44, N: 5.59 (%)、実測値 C: 33.24, H: 3.37, N: 5.55 (%)
(2)粉末XRD:ピーク位置2θ(度):10.36, 11.32, 13.52, 14.54, 16.40, 17.22, 18.40, 19.06, 19.58, 21.44, 22.00, 22.96, 23.44, 24.98, 25.24, 25.66, 26.54, 27.52、ピーク帰属:10.36 度 = (220)面、11.32 度 = (040)面、13.52 度 = (131)面
(3)TG-DTA:分解温度:207度
(4)IR:ピーク位置 Wavenumber (cm-1):1698, 1621, 1563, 1539, 1506, 1455, 1432, 1366, 1231, 1210, 1069, 1033, 939, 837, 827, 661, 602, 565, 534
得られた結晶性金属錯体の気体吸着試験を以下の方法で行なった。
この結晶性金属錯体を、測定前に約363Kで12時間ほど真空加熱処理を行った後、吸着装置に装着した。吸着測定は、容量法によって市販の吸着装置(日本ベル製)を用いて行なった。その結果を図9に示す。
得られた結晶性金属錯体は、CO2を195Kで吸着した(99kPaで約54 mL/g)。吸着等温線は、低圧領域(P/P0:〜0.002)で吸着量の急激な増加を示した。比表面積は317 m2/gであった。
【実施例10】
【0021】
本実施例では[Cu(bzsulfo)1.5(BF4)0.5(bpetha)2]nを合成しその気体吸着特性を調べた。
室温・大気圧下で、Cu(BF4)2・6H2OとNabzsulfo・H2O(ベンゼンスルホン酸ナトリウム−水和物、和光純薬工業株式会社製)の水溶液(混合比、1:4)にbpethaのアセトン溶液を加えると、瞬時に高結晶性の金属錯体{[Cu(bzsulfo)1.5(BF4)0.5(bpetha)2](acetone)x(H2O)y}nが70%以上の収率で得られた。得られた金属錯体を真空加熱処理(100Pa, 373K)することにより、1次元金属錯体[Cu(bzsulfo)1.5(BF4)0.5(bpetha)2]nが得られた。
得られた結晶性金属錯体の分析結果を以下に示す:
(1)元素分析:{[Cu(bzsulfo)1.5(BF4)0.5(bpetha)2]・1.2H2O}nで計算(C33H33.9B0.5Cu1F2N4O5.7S1.5)、計算値 C: 54.09, H: 4.66, N: 7.56, S: 6.56 (%)、実測値 C: 54.02, H: 4.65, N: 7.59, S: 6.58 (%)
(2)粉末XRD:ピーク位置2θ(度):9.14, 10.66, 13.22, 14.92, 16.78, 18.34, 20.18, 20.78, 21.90, 23.50, 25.08, 26.66, 29.54, 30.44, 32.18, 37.26, 39.54、ピーク帰属:9.14 度 = (220)面、10.66 度 = (040)面、13.22 度 = (131)面
(3)TG-DTA:分解温度:212度
(4)IR:ピーク位置 Wavenumber (cm-1):1619, 1560, 1506, 1479, 1444, 1431, 1230, 1190, 1122, 1084, 1068, 1035, 1019, 996, 937, 825, 774, 725, 704, 613, 568, 533, 499
得られた結晶性金属錯体の気体吸着試験を以下の方法で行なった。
この結晶性金属錯体を、測定前に約363Kで12時間ほど真空加熱処理を行った後、吸着装置に装着した。吸着測定は、容量法によって市販の吸着装置(日本ベル製)を用いて行なった。その結果を図10に示す。
得られた結晶性金属錯体はCO2を195Kで吸着した(99kPaで約55 mL/g)。吸着等温線は、低圧領域(P/P0:〜0.0001)で吸着量の急激な増加を示した。比表面積は312 m2/gであった。
【実施例11】
【0022】
本実施例では[Cu(PF6)2(4-phpy)4]を合成し、その気体吸着特性を調べた。
室温・大気圧下で、Cu(BF4)2・6H2OとKPF6の水溶液(混合比、1:4)に4-phpy(ACROS ORGANICS社製)のアセトニトリル溶液を加え、その後加熱によりアセトニトリルを蒸発させると高結晶性の0次元金属錯体{[Cu(PF6)2(4-phpy)4](MeCN)x(H2O)y}が70%以上の収率で得られた。得られた金属錯体を真空加熱処理(100Pa, 343K)することにより、0次元金属錯体[Cu(PF6)2(4-phpy)4]が得られた。
得られた結晶性金属錯体の分析結果を以下に示す:
(1)単結晶X線構造解析:
formula = C44H36Cu1F12N4P2, formula weight = 974.27, a = 13.5514(6)オングストローム, b = 17.9893(7)オングストローム, c = 18.7559(8)オングストローム, α= 90.000, β= 108.7060(16), γ= 90.000, V = 4330.8(3)オングストローム3, crystal system = P21/c (No. 14), Z = 4, calculated density = 1.494 g/cm3, μ= 6.672 cm-1, crystal system = monoclinic
(2)元素分析:[Cu(PF6)2(4-phpy)4]で計算(C44H36Cu1F12N4P2)
計算値 C: 54.24, H: 3.72, N: 5.75 (%)、実測値 C: 54.04, H: 3.70, N: 5.73 (%)
(3)粉末XRD:ピーク位置2θ(度):6.88, 7.84, 8.50, 9.64, 10.34, 10.82, 11.92, 13.78, 14.86, 15.38, 16.18, 17.00, 17.62, 18.84, 19.50, 20.52, 21.92, 23.42, 23.92, 24.54, 25.32, 26.92, 28.18、ピーク帰属:17.00 度 = (220)面、19.50 度 = (040)面、17.62 度 = (131)面
(4)TG-DTA:分解温度:189度
(5)IR:ピーク位置 Wavenumber (cm-1):1612, 1541, 1470, 1448, 1422, 1377, 1293, 1226, 1160, 1070, 1046, 1032, 1014, 972, 852, 837, 765, 732, 693, 626, 556, 503, 486
得られた結晶性金属錯体の気体吸着試験を以下の方法で行なった。
この結晶性金属錯体を、測定前に約333Kで7時間ほど真空加熱処理を行った後、吸着装置に装着した。吸着測定は、容量法によって市販の吸着装置(日本ベル及びユアサイオニクス製)を用いて行なった。その結果を図11に示す。
得られた結晶性金属錯体は、CO2を195Kで吸着した(101kPaで約32 mL/g)が、N2を77Kでほとんど吸着しなかった。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】[Cu(PF6)2(bpetha)2]nの気体吸着特性を示す図である。
【図2】[Cu(PF6)1.9(BF4)0.1(bpetha)2]nの気体吸着特性を示す図である。
【図3】[Cu(PF6)1.4(BF4)0.6(bpetha)2]nの気体吸着特性を示す図である。
【図4】[Cu(PF6)0.7(BF4)1.3(bpetha)2]nの気体吸着特性を示す図である。
【図5】[Cu(BF4)2(bpetha)2]nの気体吸着特性を示す図である。
【図6】[Cu(PF6)2(bpp)2]nの気体吸着特性を示す図である。
【図7】[Cu(BF4)2(bpp)2]nの気体吸着特性を示す図である。
【図8】[Cu(AsF6)2(bpetha)2]nの気体吸着特性を示す図である。
【図9】[Cu(SbF6)2(bpetha)2]nの気体吸着特性を示す図である。
【図10】[Cu(bzsulfo)1.5(BF4)0.5(bpetha)2]nの気体吸着特性を示す図である。
【図11】[Cu(PF6)2(4-phpy)4]の気体吸着特性を示す図である。
【技術分野】
【0001】
この発明は、二価の銅イオンを含む結晶性金属錯体から成る二酸化炭素吸着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
細孔を有する機能性材料としては、従来においては活性炭などの炭素材料やゼオライトなどの無機材料が代表的であったが、クリスタルエンジニアリングの急激な進歩により、近年では、金属イオンと架橋配位子とで構築される多孔性金属錯体が注目されてきている。この多孔性金属錯体は、炭素材料が有する高空隙率・無機材料が有する骨格構造の均一性に加え、金属イオンと有機架橋配位子を合理的に組み合わせることによる骨格構造の高設計性・多様性を有している。さらに、炭素材料・無機材料では実現困難な外場に応答する柔軟性細孔の構築が可能である。そのため各種の有用な用途が考えられ、その用途に応じた効率的な合成法の開発が望まれる。
近年、多孔性物質を用いた二酸化炭素分離材料の開発研究が精力的に行われてきた。二酸化炭素は、地球温暖化ガスのなかでも最も温暖化の影響度が大きな(60.1%)ガスとして知られており、混合ガス中からの二酸化炭素の分離は環境問題の観点から重要な研究課題である。一方で、二酸化炭素を大気中へ拡散させずに炭素燃料として使用し続ける炭素隔離技術は、資源問題の観点から早急に開発されるべき課題である。高性能二酸化炭素分離材料を構築するためには、空隙率及び選択性を向上させる必要がある。これまでは、従来用いられてきた多孔性材料(活性炭、ゼオライト)を中心に二酸化炭素分離材料の開発が実施されてきた。しかしながら、活性炭などの多孔性炭素材料は、空隙率が高い反面、構造設計性・均一性に乏しいため選択性を向上させることが困難であり、ゼオライトなどのような多孔性無機材料は空隙率が低いために大量分離に不向きである。最近、高空隙率・構造均一性・高設計性・多様性・柔軟性を兼ね備えた多孔性金属錯体の二酸化炭素分離材料への応用についても検討され始めてきたが、その設計はいかに大量の二酸化炭素を貯蔵できるかという視点に基づいていた(非特許文献1など)。
また本発明者らは、2価の銅イオンと弱ルイス塩基性アニオンであるPF6−と2座の有機架橋配位子1,2-bis(4-pyridyl)ethane(bpetha)から構築される1次元金属錯体[Cu(PF6)2(bpetha)2]nが、構造転移を伴った可逆的なルイス塩基性中性ゲスト分子(アセトン、アセトニトリル)の形状選択的取り込み能を持つことを過去に報告している(非特許文献2)。
【0003】
【非特許文献1】J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 17998-17999.
【非特許文献2】Inorg. Chem. 2006, 45, 9290-9300
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、多孔性金属錯体を利用して二酸化炭素のみを高選択的かつ大量に吸着するための材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
二価の銅イオン及びルイス塩基性アニオン分子から構築される分極ユニットを結晶性金属錯体骨格中に導入して、金属錯体骨格に柔軟性を付与することにより、当該結晶性金属錯体が二酸化炭素のみを高選択的かつ大量に吸着することを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、下記一般式
[Cu(A)x(L)y]n
(式中、Cuは二価の銅イオン、Aはルイス塩基性アニオン、Lは含窒素芳香環を含む有機配位子、xは(A)xが二価となるような数、yは1.5、2又は4、nは0次元(単核)構造の場合は1、高分子型構造の場合は103〜1020の分子量に相当する数を表す。)で表され、粉末XRDの(220)面、及び(040)面、及び(131)面の回折ピークが、2θ(200)=8.5〜17.5度、及び2θ(040)=10.5〜20度、及び2θ(131)=11.5〜18度である結晶性金属錯体から成る二酸化炭素吸着剤である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の二酸化炭素吸着剤である結晶性金属錯体において、分極性の強い二酸化炭素は細孔サイズを拡張しながら選択的に金属錯体骨格中に取り込まれるが、分極性の低いガス(窒素、酸素、メタン、エタン、プロパン、水素、希ガス)は細孔の拡張が起きないため金属錯体骨格中にほとんど取り込まれないと考えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の二酸化炭素吸着剤である結晶性金属錯体は、下記一般式で表される。
[Cu(A)x(L)y]n
Cuは、二価の銅イオン(陽イオン)を表す。
Aは、ルイス塩基性アニオンを表す。
このルイス塩基性アニオンとして、A1F6−(式中、A1は、P、As、Sb又はTaを表す。)、A2F62−(式中、A2は、Si、Ge、Ti、Sn又はZrを表す。)A3F63−(式中、A3は、V、Al又はFeを表す。)、A4F72−(式中、A4は、Ta又はNbを表す。)、BF4−、HCO2−、CH3CO2−、CF3CO2−、CF3SO3−、FSO3−、Ph−SO3−、Ph−SO2−、SO42−、FPO32−、H2PO4−、HPO42−、PO43−、
が挙げられ、好ましくは、PF6−、BF4−、AsF6−、SbF6−である。
Aとして、上記アニオン単体を用いてもよく、また複数のアニオンを用いてもよい。
xは(A)xが二価となるような数であり、例えば、Aが一価アニオンであればxは2、Aが2価アニオンであればxは1、Aが3価アニオンであればxは2/3である。
【0008】
Lは、含窒素芳香環を含む有機配位子を表す。
この含窒素芳香環とは、例えば、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、ベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、インドレニンピラゾール、オキサジアゾール、ピラゾロトリアゾール、イソオキサゾール、トリアゾール、チアジアゾール、ピロロトリアゾール、イミダゾトリアゾールなどの含窒素芳香環が挙げられ、好ましくはピリジン環、ピラジン環又はピリミジン環である。
【0009】
本発明の含窒素芳香環を含む有機配位子とは、置換基を有していてもよいピリジン、ピラジン若しくはピリミジン(該置換基としては、ハロゲン原子、アミノ基、炭素数が6以下のアルキル基、又はアリール基が挙げられる。)、又は下記一般式
B−R1−B
(式中、Bは、それぞれ同じであっても異なってもよく、好ましくは同じであって、下式
【化1】
で表される含窒素芳香属基を表し、R1は、−(CH2)m−(式中、mは1〜4、好ましくは2又は3を表す。)、−CH=CH−、−C≡C−、−N=N−、−S−、−S−S−、−NHCO−、−NHCOCH2−、−CH(OH)CH(OH)−、1,4−フェニレン基又は1,3−フェニレン基を表す。)で表される化合物が挙げられる。
本発明で用いられる好ましい含窒素芳香環を含む有機配位子として、下式で表されるpyridine(以下「py」という。)、4-phenylpyridine(以下「4-phpy」という。)、4,4’-bipyridine(以下「4,4'-bpy」という。)、1,2-bis(4-pyridyl)ethane(以下「bpetha」という。)、4,4'-dipyridyldisulfide(以下「dpds」という。)及び1,3-bis(4-pyridyl)propane(以下「bpp」という。)の化合物が挙げられる。
【化2】
yは、1.5、2又は4を表す。
nは、0次元(単核)構造の場合は1、高分子型構造の場合は、分子量が103〜1020に相当するような数を表す。
【0010】
また、本発明の二酸化炭素吸着剤である金属錯体は結晶性であり、その形態は単結晶又は微結晶の集合体である。この金属錯体では、含窒素芳香環を含む配位子が銅イオンのエクアトリアルサイトに配位し、ルイス塩基性アニオンが銅イオンのアキシャルサイトに弱く配位、又は銅イオンに配位せずに骨格内に存在した構造を持つ。これら金属錯体は、含窒素芳香環を含む配位子の種類により0次元単核構造から1次元・2次元・3次元無限構造をとる。
この結晶の粉末XRDの(220)面、及び(040)面、及び(131)面の回折ピークは、2θ(200)=8.5〜17.5度、及び2θ(040)=10.5〜20度、及び2θ(131)=11.5〜18度である。
その結晶の格子定数は単結晶または粉末X線回折測定から以下のようになる。
格子定数がa、b、c=8〜42オングストローム、
α、β、γ=90又は91〜135度、
V=2000〜12000オングストローム3
【0011】
これら金属錯体は、次のような製法により合成することができる。2価の銅イオンとルイス塩基性アニオンを含む溶液中に、含窒素芳香環を含む配位子の溶液を加え、攪拌又は濃縮することによって微結晶が析出する。析出した微結晶をろ過、洗浄、真空加熱乾燥させることにより目的の金属錯体を得ることができる。
以下、実施例にて本発明を例証するが本発明を限定することを意図するものではない。
【実施例1】
【0012】
本実施例では[Cu(PF6)2(bpetha)2]nを合成し、その気体吸着特性を調べた。
室温・大気圧下で、Cu(ClO4)2・6H2O(シグマ・アルドリッチ社)とKPF6(和光純薬工業株式会社製)をメタノール溶液中で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液に水をメタノールと同体積加え、さらにbpetha(シグマ・アルドリッチ社)のアセトン溶液を加えると、瞬時に高結晶性の1次元金属錯体{[Cu(bpetha)2(acetone)2]・2PF6}nが70%以上の収率で得られた。得られた金属錯体を真空加熱処理(100Pa, 353K)することにより、1次元金属錯体[Cu(PF6)2(bpetha)2]nが得られた。
得られた結晶性金属錯体の分析結果を以下に示す:
なお、単結晶X線構造解析は、株式会社リガク製イメージングプレート単結晶自動X線構造解析装置R-AXIS RAPIDを用いて測定し、元素分析は、ヤナコ分析工業株式会社製炭素・水素・窒素同時定量装置CHNコーダーMT-6及びDionex製イオンクロマトグラフ DX-500を用いて測定し、粉末XRDは、株式会社リガク製自動X線回折装置RINT 2000/PCを用いて測定し、TG-DTAは、株式会社リガク製熱分析装置Thermo plus 2シリーズ TG-DTA TG8120を用いて測定し、IRは、Perkin Elmer製フーリエ変換赤外分光分析装置 Spectrum 2000を用いて測定し、31P-NMRは、Bruker製 DSX 300 Solid State NMR SPectrometerを用いて測定し、19F-NMRは、Bruker製 DSX 300 Solid State NMR SPectrometerを用いて測定し、ESRは、JEOL製JES-FA100電子スピン共鳴装置を用いて測定した(他の実施例も同じ)。
(1)元素分析:[Cu(PF6)2(bpetha)2]nで計算(C24H24Cu1F12N4P2)、計算値 C: 39.93, H: 3.35, N:7.76 (%)、実測値 C: 39.99, H: 3.42, N:7.79 (%)
(2)粉末XRD:ピーク位置2θ (度):10.32, 11.20, 12.82, 13.48, 16.90, 18.12, 19.02, 20.24, 21.40, 22.60, 24.34, 25.86, 26.94, 27.22, 29.02, 30.82, 32.94, 33.90, 35.92, 37.72、ピーク帰属:10.32 度 = (220)面、11.20 度 = (040)面、12.82 度 = (131)面
(3)TG-DTA:分解温度:201度
(4)IR:ピーク位置 Wavenumber (cm-1):1621, 1562, 1507, 1433, 1229, 1122, 1069, 1033, 840, 740, 602, 558, 533
(5)31P-NMR:chemical shift (ppm): -169 (singlet)
(6)19F-NMR:chemical shift (ppm): -67 (singlet), -89 (singlet)
(7)ESR:g値:2.060
得られた結晶性金属錯体の気体吸着試験を以下の方法で行なった。
この結晶性金属錯体を、測定前に約363Kで6時間ほど真空加熱処理を行った後、吸着装置に装着した。吸着測定は、298KにおけるCO2吸着実験を除いてすべて容量法によって行なった。298KにおけるCO2吸着実験は、重量法によって行なった。測定は、すべて市販の吸着装置(日本ベル及びユアサイオニクス製)を用いて行なった。その結果を図1に示す。
得られた結晶性金属錯体は、細孔サイズの拡張を伴いながらCO2を195Kで大量に吸着した(67kPaで約130 mL/g)が、N2を77Kでほとんど吸着しなかった。比表面積は882 m2/gであり、一般的なゼオライトの値(〜500 m2/g)よりもはるかに大きかった。N2及びO2を195Kでほとんど吸着しないため(CO2/O2 : 〜5300, CO2/N2 : 〜3900)、CO2とN2・O2の分離材料として応用可能である。また298Kにおいても細孔サイズの拡張を伴いながらCO2を吸着した(3000kPaで約65 mL/g)。COを77Kでほとんど吸着しないため、CO2とCOの分離材料として応用可能である。また繰り返し使用が可能であった。
【実施例2】
【0013】
本実施例では[Cu(PF6)1.9(BF4)0.1(bpetha)2]nを合成し、その気体吸着特性を調べた。
室温・大気圧下で、Cu(BF4)2・6H2O(Lancaster製)とNH4PF6(和光純薬工業株式会社製)の水溶液(混合比、1:1.8)にbpethaのアセトン溶液を加えると、瞬時に高結晶性の1次元金属錯体{[Cu(bpetha)2(acetone)1.9]・(PF6)1.9(BF4)0.1}nが70%以上の収率で得られた。得られた金属錯体を真空加熱処理(100Pa, 373K)することにより、1次元金属錯体[Cu(PF6)1.9(BF4)0.1(bpetha)2]nが得られた。
得られた結晶性金属錯体の分析結果を以下に示す:
(1)元素分析:{[Cu(PF6)1.9(BF4)0.1(bpetha)2]・0.8H2O}nで計算(C24H25.6B0.1Cu1F11.8N4O0.8P1.9)、計算値 C: 39.46, H: 3.53, N:7.67 (%)、実測値 C: 39.41, H: 3.38, N:7.72 (%)
(2)粉末XRD:ピーク位置2θ(度):10.32, 11.20, 12.84, 13.44, 16.90, 18.16, 20.14, 21.42, 22.64, 24.36, 25.86, 27.02, 27.26, 29.18, 30.86, 33.06, 34.00, 35.90, 37.74、ピーク帰属:10.32 度 = (220)面、11.20 度 = (040)面、12.84 度 = (131)面
(3)TG-DTA:分解温度:172度
(4)IR:ピーク位置 Wavenumber (cm-1):1621, 1561, 1507, 1433, 1230, 1083, 1069, 1033, 846, 740, 558, 533
得られた結晶性金属錯体の気体吸着試験を以下の方法で行なった。
この結晶性金属錯体を、測定前に約373Kで6時間ほど真空加熱処理を行った後、吸着装置に装着した。吸着測定は、すべて容量法によって市販の吸着装置(日本ベル及びユアサイオニクス製)を用いて行なった。その結果を図2に示す。
得られた結晶性金属錯体は、細孔サイズの拡張を伴いながらCO2を195Kで大量に吸着した(72kPaで約128 mL/g)が、N2を77Kでほとんど吸着しなかった。比表面積は835 m2/gであり、一般的なゼオライトの値(〜500 m2/g)よりもはるかに大きかった。吸着等温線は、[Cu(PF6)2(bpetha)2]nの吸着等温線と非常に類似していた。
【実施例3】
【0014】
本実施例では[Cu(PF6)1.4(BF4)0.6(bpetha)2]nを合成し、その気体吸着特性を調べた。
室温・大気圧下で、Cu(BF4)2・6H2OとNH4PF6の水溶液(混合比、1:1.5)にbpethaのアセトン溶液を加えると、瞬時に高結晶性の1次元金属錯体{[Cu(bpetha)2(acetone)x]・(PF6)1.4(BF4)0.6}nが70%以上の収率で得られた。得られた金属錯体を真空加熱処理(100Pa, 373K)することにより、1次元金属錯体[Cu(PF6)1.4(BF4)0.6(bpetha)2]nが得られた。
得られた結晶性金属錯体の分析結果を以下に示す:
(1)元素分析:{[Cu(PF6)1.4(BF4)0.6(bpetha)2]・0.9H2O}nで計算(C24H25.8B0.6Cu1F10.8N4O0.9P1.4)、計算値 C: 40.99, H: 3.70, N:7.97 (%)、実測値 C: 41.21, H: 3.66, N:7.95 (%)
(2)粉末XRD:ピーク位置2θ(度):10.02, 11.70, 13.30, 14.36, 16.98, 18.10, 18.38, 19.46, 20.24, 20.66, 22.76, 23.96, 25.96, 26.84, 27.60, 28.80, 29.70, 30.78, 32.78, 34.10、ピーク帰属:10.02 度 = (220)面、11.70 度 = (040)面、13.30 度 = (131)面
(3)TG-DTA:分解温度:180度
(4)IR:ピーク位置 Wavenumber (cm-1):1620, 1563, 1504, 1435, 1231, 1214, 1118, 1101, 1084, 1071, 1032, 847, 833, 559
得られた結晶性金属錯体の気体吸着試験を以下の方法で行なった。
この結晶性金属錯体を、測定前に約373Kで6時間ほど真空加熱処理を行った後、吸着装置に装着した。吸着測定は、すべて容量法によって市販の吸着装置(日本ベル及びユアサイオニクス製)を用いて行なった。その結果を図3に示す。
得られた結晶性金属錯体は、細孔サイズの拡張を伴いながらCO2を195Kで大量に吸着した(96kPaで約90 mL/g)が、N2を77Kでほとんど吸着しなかった。比表面積は615 m2/gであり、一般的なゼオライトの値(〜500 m2/g)よりも大きかった。吸着等温線は、[Cu(PF6)2(bpetha)2]nの吸着等温線と比較して吸着閾値圧が小さくなっていたが、比表面積値も小さくなった。
【実施例4】
【0015】
本実施例では[Cu(PF6)0.7(BF4)1.3(bpetha)2]nを合成し、その気体吸着特性を調べた。
室温・大気圧下で、Cu(BF4)2・6H2OとNH4PF6の水溶液(混合比、1:0.75)にbpethaのアセトン溶液を加えると、瞬時に高結晶性の金属錯体{[Cu(bpetha)2(acetone)x]・(PF6)0.7(BF4)1.3}nが70%以上の収率で得られた。得られた金属錯体を真空加熱処理(100Pa, 373K)することにより、金属錯体[Cu(PF6)0.7(BF4)1.3(bpetha)2]nが得られた。
得られた結晶性金属錯体の分析結果を以下に示す:
(1)元素分析:{[Cu(PF6)0.7(BF4)1.3(bpetha)2]・1.8H2O}nで計算(C24H27.6B1.3Cu1F9.4N4O1.8P0.7)、計算値 C: 42.47, H: 4.10, N: 8.25 (%)、実測値 C: 42.46, H: 4.25, N: 8.27 (%)
(2)粉末XRD:ピーク位置2θ(度):10.02, 11.74, 13.32, 14.06, 14.50, 15.02, 17.12, 18.08, 18.52, 19.62, 20.66, 22.80, 23.98, 24.60, 26.04, 27.70、ピーク帰属:10.02 度 = (220)面、11.74 度 = (040)面、13.32 度 = (131)面
(3)TG-DTA:分解温度:175度
(4)IR:ピーク位置 Wavenumber (cm-1):1619, 1564, 1506, 1455, 1435, 1231, 1214, 1123, 1084, 1071, 1031, 870, 847, 833, 559, 550
得られた結晶性金属錯体の気体吸着試験を以下の方法で行なった。
この結晶性金属錯体を、測定前に約373Kで6時間ほど真空加熱処理を行った後、吸着装置に装着した。吸着測定は、すべて容量法によって市販の吸着装置(日本ベル及びユアサイオニクス製)を用いて行なった。その結果を図4に示す。
得られた結晶性金属錯体は、細孔サイズの拡張を伴いながらCO2を195Kで大量に吸着した(97kPaで約149 mL/g)が、N2を77Kでほとんど吸着しなかった。比表面積は1049 m2/gであり、一般的なゼオライトの値(〜500 m2/g)よりもはるかに大きかった。吸着等温線は、[Cu(PF6)2(bpetha)2]nの吸着等温線と比較して、吸着閾値圧が小さくなり、比表面積値は増大した。
【実施例5】
【0016】
本実施例では[Cu(BF4)2(bpetha)2]nを合成し、その気体吸着特性を調べた。
室温・大気圧下で、Cu(BF4)2・6H2Oの熱水溶液にbpethaのアセトン溶液を加えしばらく攪拌すると、高結晶性の金属錯体{[Cu(BF4)2(bpetha)2]・(acetone)x}nが70%以上の収率で得られた。得られた金属錯体を真空加熱処理(100Pa, 353K)することにより、金属錯体[Cu(BF4)2(bpetha)2]nが得られた。
得られた結晶性金属錯体の分析結果を以下に示す:
(1)元素分析:{[Cu(BF4)2(bpetha)2]・2H2O}nで計算(C24H28B2Cu1F8N4O2)、計算値 C: 44.92, H: 4.40, N: 8.73 (%)、実測値 C: 44.98, H: 4.11, N: 8.73 (%)
(2)粉末XRD:ピーク位置2θ(度):6.56, 8.76, 9.36, 10.20, 11.20, 13.38, 13.82, 15.48, 16.76, 17.32, 17.96, 18.84, 19.94, 21.24, 22.30, 24.18, 25.62, 26.84, 27.78、ピーク帰属:10.20 度 = (220)面、11.20 度 = (040)面、13.38 度 = (131)面
(3)TG-DTA:分解温度:152度
(4)IR:ピーク位置 Wavenumber (cm-1):1619, 1561, 1508, 1435, 1285, 1232, 1214, 1073, 1030, 834, 550
得られた結晶性金属錯体の気体吸着試験を以下の方法で行なった。
この結晶性金属錯体を、測定前に約353Kで25時間ほど真空加熱処理を行った後、吸着装置に装着した。吸着測定は、容量法によって市販の吸着装置(ユアサイオニクス製)を用いて行なった。その結果を図5に示す。
得られた結晶性金属錯体は、細孔サイズの拡張を伴いながらCO2を195Kで大量に吸着した(100kPaで約133 mL/g)。比表面積は886 m2/gであり、一般的なゼオライトの値(〜500 m2/g)よりもはるかに大きかった。吸着等温線は、[Cu(PF6)2(bpetha)2]nの吸着等温線と比較して、吸着閾値圧が大きくなり、比表面積値は同程度であった。
【実施例6】
【0017】
本実施例では[Cu(PF6)2(bpp)2]nを合成し、その気体吸着特性を調べた。
室温・大気圧下で、Cu(ClO4)2・6H2O(シグマ・アルドリッチ社製)とKPF6をメタノール溶液中で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液に水をメタノールと同体積加え、さらにbpp(シグマ・アルドリッチ社製)のアセトン溶液を加えると、瞬時に高結晶性の1次元金属錯体{[Cu(bpp)2(acetone)2]・2PF6}nが70%以上の収率で得られた。得られた金属錯体を真空加熱処理(100Pa, 373K)することにより、1次元金属錯体[Cu(PF6)2(bpp)2]nが得られた。
得られた結晶性金属錯体の分析結果を以下に示す:
(1)元素分析:[Cu(PF6)2(bpp)2]nで計算(C26H28Cu1F12N4P2)、計算値 C: 41.64, H: 3.76, N: 7.47 (%)、実測値 C: 41.55, H: 3.70, N: 7.46 (%)
(2)粉末XRD:ピーク位置2θ(度):8.98, 11.36, 14.02, 15.04, 17.02, 18.18, 19.58, 20.18, 21.90, 22.84, 24.24, 24.74, 25.72, 26.36, 26.96, 28.34, 33.36, 39.14、ピーク帰属:8.98 度 = (220)面、11.36 度 = (040)面、14.02 度 = (131)面
(3)TG-DTA:分解温度:211度
(4)IR:ピーク位置 Wavenumber (cm-1):1701, 1620, 1561, 1511, 1439, 1365, 1235, 1069, 1034, 836, 752, 627, 558, 523
得られた結晶性金属錯体の気体吸着試験を以下の方法で行なった。
この結晶性金属錯体を、測定前に約363Kで12時間ほど真空加熱処理を行った後、吸着装置に装着した。吸着測定は、容量法によって市販の吸着装置(日本ベル製)を用いて行なった。その結果を図6に示す。
得られた結晶性金属錯体は、CO2を195Kで吸着した(101kPaで約68 mL/g)。吸着等温線は、低圧領域(P/P0:〜0.001)で吸着量の急激な増加を示した。比表面積は393 m2/gであった。
【実施例7】
【0018】
本実施例では[Cu(BF4)2(bpp)2]nを合成し、その気体吸着特性を調べた。
室温・大気圧下で、Cu(BF4)2・6H2Oの水溶液にbppのアセトン溶液を加えると、瞬時に高結晶性の金属錯体{[Cu(BF4)2(bpp)2]・(acetone)x(H2O)y}nが70%以上の収率で得られた。得られた金属錯体を真空加熱処理(100Pa, 373K)することにより、金属錯体[Cu(BF4)2(bpp)2]nが得られた。
得られた結晶性金属錯体の分析結果を以下に示す:
(1)元素分析:{[Cu(BF4)2(bpp)2]・1.4H2O・1.1acetone}nで計算(C29.3H37.4B2Cu1F8N4O2.5)計算値 C: 48.69, H: 5.22, N: 7.75 (%)、実測値 C: 49.29, H: 4.97, N: 7.68 (%)
(2)粉末XRD:ピーク位置2θ(度):8.78, 10.74, 12.06, 14.24, 15.40, 16.92, 17.64, 19.52, 20.92, 22.22, 23.94, 24.32, 25.06, 25.86, 26.68, 28.34, 29.40, 30.26, 30.90, 31.64, 32.34, 34.68, 35.86, 36.42, 37.74, 38.22, 39.26、ピーク帰属:8.78 度 = (220)面、10.74 度 = (040)面、12.06 度 = (131)面
(3)TG-DTA:分解温度:196度
(4)IR:ピーク位置 Wavenumber (cm-1):1622, 1560, 1508, 1457, 1435, 1284, 1234, 1151, 1118, 1082, 1029, 986, 067, 827, 801, 764, 581, 526, 501
得られた結晶性金属錯体の気体吸着試験を以下の方法で行なった。
この結晶性金属錯体を、測定前に約363Kで12時間ほど真空加熱処理を行った後、吸着装置に装着した。吸着測定は、容量法によって市販の吸着装置(日本ベル製)を用いて行なった。その結果を図7に示す。
得られた結晶性金属錯体は、CO2を195Kで吸着した(101kPaで約86 mL/g)。吸着等温線は、低圧領域(P/P0:〜0.01)で吸着量の急激な増加を示した。比表面積は502 m2/gであった。
【実施例8】
【0019】
本実施例では[Cu(AsF6)2(bpetha)2]nを合成し、その気体吸着特性を調べた。
室温・大気圧下で、Cu(ClO4)2・6H2OとKAsF6(Vision Fluorochem社製)をメタノール溶液中で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液に水をメタノールと同体積加え、さらにbpethaのアセトン溶液を加えると、瞬時に高結晶性の1次元金属錯体{[Cu(bpetha)2(acetone)2]・2AsF6}nが70%以上の収率で得られた。得られた金属錯体を真空加熱処理(100Pa, 373K)することにより、1次元金属錯体[Cu(AsF6)2(bpetha)2]nが得られた。
得られた結晶性金属錯体の分析結果を以下に示す:
(1)元素分析:{[Cu(AsF6)2(bpetha)2]・1.6acetone}nで計算(C28.8H33.6As2Cu1F12N4O1.6)、計算値 C: 38.32, H: 3.75, N: 6.21 (%)、実測値 C: 37.87, H: 3.73, N: 6.19 (%)
(2)粉末XRD:ピーク位置2θ(度):10.32, 11.02, 12.74, 16.78, 17.78, 19.00, 19.70, 21.36, 22.28, 23.94, 25.78, 28.88, 30.14, 37.50、ピーク帰属:10.32 度 = (220)面、11.02 度 = (040)面、12.74 度 = (131)面
(3)TG-DTA:分解温度:256度
(4)IR:ピーク位置 Wavenumber (cm-1):1621, 1560, 1508, 1432, 1232, 1068, 1034, 943, 839, 819, 704, 674, 601, 569, 550, 533
得られた結晶性金属錯体の気体吸着試験を以下の方法で行なった。
この結晶性金属錯体を、測定前に約363Kで12時間ほど真空加熱処理を行った後、吸着装置に装着した。吸着測定は、容量法によって市販の吸着装置(日本ベル製)を用いて行なった。その結果を図8に示す。
得られた結晶性金属錯体は、CO2を195Kで吸着した(100kPaで約71 mL/g)。吸着等温線は、低圧領域(P/P0:〜0.01)で吸着量の急激な増加を示した。比表面積は411 m2/gであり、[Cu(PF6)2(bpetha)2]nの約半分であった。
【実施例9】
【0020】
本実施例では[Cu(SbF6)2(bpetha)2]nを合成し、その気体吸着特性を調べた。
室温・大気圧下で、Cu(ClO4)2・6H2OとKSbF6(シグマ・アルドリッチ社製)をメタノール溶液中で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液に水を同体積加え、さらにbpethaのアセトン溶液を加えると、瞬時に高結晶性の1次元金属錯体{[Cu(bpetha)2(acetone)2]・2SbF6}nが70%以上の収率で得られた。得られた金属錯体を真空加熱処理(100Pa, 373K)することにより、1次元金属錯体[Cu(SbF6)2(bpetha)2]nが得られた。
得られた結晶性金属錯体の分析結果を以下に示す:
(1)元素分析:{[Cu(SbF6)2(bpetha)2]・1.7acetone}nで計算(C29.1H34.2Cu1F12N4O1.7Sb2)、計算値 C: 34.87, H: 3.44, N: 5.59 (%)、実測値 C: 33.24, H: 3.37, N: 5.55 (%)
(2)粉末XRD:ピーク位置2θ(度):10.36, 11.32, 13.52, 14.54, 16.40, 17.22, 18.40, 19.06, 19.58, 21.44, 22.00, 22.96, 23.44, 24.98, 25.24, 25.66, 26.54, 27.52、ピーク帰属:10.36 度 = (220)面、11.32 度 = (040)面、13.52 度 = (131)面
(3)TG-DTA:分解温度:207度
(4)IR:ピーク位置 Wavenumber (cm-1):1698, 1621, 1563, 1539, 1506, 1455, 1432, 1366, 1231, 1210, 1069, 1033, 939, 837, 827, 661, 602, 565, 534
得られた結晶性金属錯体の気体吸着試験を以下の方法で行なった。
この結晶性金属錯体を、測定前に約363Kで12時間ほど真空加熱処理を行った後、吸着装置に装着した。吸着測定は、容量法によって市販の吸着装置(日本ベル製)を用いて行なった。その結果を図9に示す。
得られた結晶性金属錯体は、CO2を195Kで吸着した(99kPaで約54 mL/g)。吸着等温線は、低圧領域(P/P0:〜0.002)で吸着量の急激な増加を示した。比表面積は317 m2/gであった。
【実施例10】
【0021】
本実施例では[Cu(bzsulfo)1.5(BF4)0.5(bpetha)2]nを合成しその気体吸着特性を調べた。
室温・大気圧下で、Cu(BF4)2・6H2OとNabzsulfo・H2O(ベンゼンスルホン酸ナトリウム−水和物、和光純薬工業株式会社製)の水溶液(混合比、1:4)にbpethaのアセトン溶液を加えると、瞬時に高結晶性の金属錯体{[Cu(bzsulfo)1.5(BF4)0.5(bpetha)2](acetone)x(H2O)y}nが70%以上の収率で得られた。得られた金属錯体を真空加熱処理(100Pa, 373K)することにより、1次元金属錯体[Cu(bzsulfo)1.5(BF4)0.5(bpetha)2]nが得られた。
得られた結晶性金属錯体の分析結果を以下に示す:
(1)元素分析:{[Cu(bzsulfo)1.5(BF4)0.5(bpetha)2]・1.2H2O}nで計算(C33H33.9B0.5Cu1F2N4O5.7S1.5)、計算値 C: 54.09, H: 4.66, N: 7.56, S: 6.56 (%)、実測値 C: 54.02, H: 4.65, N: 7.59, S: 6.58 (%)
(2)粉末XRD:ピーク位置2θ(度):9.14, 10.66, 13.22, 14.92, 16.78, 18.34, 20.18, 20.78, 21.90, 23.50, 25.08, 26.66, 29.54, 30.44, 32.18, 37.26, 39.54、ピーク帰属:9.14 度 = (220)面、10.66 度 = (040)面、13.22 度 = (131)面
(3)TG-DTA:分解温度:212度
(4)IR:ピーク位置 Wavenumber (cm-1):1619, 1560, 1506, 1479, 1444, 1431, 1230, 1190, 1122, 1084, 1068, 1035, 1019, 996, 937, 825, 774, 725, 704, 613, 568, 533, 499
得られた結晶性金属錯体の気体吸着試験を以下の方法で行なった。
この結晶性金属錯体を、測定前に約363Kで12時間ほど真空加熱処理を行った後、吸着装置に装着した。吸着測定は、容量法によって市販の吸着装置(日本ベル製)を用いて行なった。その結果を図10に示す。
得られた結晶性金属錯体はCO2を195Kで吸着した(99kPaで約55 mL/g)。吸着等温線は、低圧領域(P/P0:〜0.0001)で吸着量の急激な増加を示した。比表面積は312 m2/gであった。
【実施例11】
【0022】
本実施例では[Cu(PF6)2(4-phpy)4]を合成し、その気体吸着特性を調べた。
室温・大気圧下で、Cu(BF4)2・6H2OとKPF6の水溶液(混合比、1:4)に4-phpy(ACROS ORGANICS社製)のアセトニトリル溶液を加え、その後加熱によりアセトニトリルを蒸発させると高結晶性の0次元金属錯体{[Cu(PF6)2(4-phpy)4](MeCN)x(H2O)y}が70%以上の収率で得られた。得られた金属錯体を真空加熱処理(100Pa, 343K)することにより、0次元金属錯体[Cu(PF6)2(4-phpy)4]が得られた。
得られた結晶性金属錯体の分析結果を以下に示す:
(1)単結晶X線構造解析:
formula = C44H36Cu1F12N4P2, formula weight = 974.27, a = 13.5514(6)オングストローム, b = 17.9893(7)オングストローム, c = 18.7559(8)オングストローム, α= 90.000, β= 108.7060(16), γ= 90.000, V = 4330.8(3)オングストローム3, crystal system = P21/c (No. 14), Z = 4, calculated density = 1.494 g/cm3, μ= 6.672 cm-1, crystal system = monoclinic
(2)元素分析:[Cu(PF6)2(4-phpy)4]で計算(C44H36Cu1F12N4P2)
計算値 C: 54.24, H: 3.72, N: 5.75 (%)、実測値 C: 54.04, H: 3.70, N: 5.73 (%)
(3)粉末XRD:ピーク位置2θ(度):6.88, 7.84, 8.50, 9.64, 10.34, 10.82, 11.92, 13.78, 14.86, 15.38, 16.18, 17.00, 17.62, 18.84, 19.50, 20.52, 21.92, 23.42, 23.92, 24.54, 25.32, 26.92, 28.18、ピーク帰属:17.00 度 = (220)面、19.50 度 = (040)面、17.62 度 = (131)面
(4)TG-DTA:分解温度:189度
(5)IR:ピーク位置 Wavenumber (cm-1):1612, 1541, 1470, 1448, 1422, 1377, 1293, 1226, 1160, 1070, 1046, 1032, 1014, 972, 852, 837, 765, 732, 693, 626, 556, 503, 486
得られた結晶性金属錯体の気体吸着試験を以下の方法で行なった。
この結晶性金属錯体を、測定前に約333Kで7時間ほど真空加熱処理を行った後、吸着装置に装着した。吸着測定は、容量法によって市販の吸着装置(日本ベル及びユアサイオニクス製)を用いて行なった。その結果を図11に示す。
得られた結晶性金属錯体は、CO2を195Kで吸着した(101kPaで約32 mL/g)が、N2を77Kでほとんど吸着しなかった。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】[Cu(PF6)2(bpetha)2]nの気体吸着特性を示す図である。
【図2】[Cu(PF6)1.9(BF4)0.1(bpetha)2]nの気体吸着特性を示す図である。
【図3】[Cu(PF6)1.4(BF4)0.6(bpetha)2]nの気体吸着特性を示す図である。
【図4】[Cu(PF6)0.7(BF4)1.3(bpetha)2]nの気体吸着特性を示す図である。
【図5】[Cu(BF4)2(bpetha)2]nの気体吸着特性を示す図である。
【図6】[Cu(PF6)2(bpp)2]nの気体吸着特性を示す図である。
【図7】[Cu(BF4)2(bpp)2]nの気体吸着特性を示す図である。
【図8】[Cu(AsF6)2(bpetha)2]nの気体吸着特性を示す図である。
【図9】[Cu(SbF6)2(bpetha)2]nの気体吸着特性を示す図である。
【図10】[Cu(bzsulfo)1.5(BF4)0.5(bpetha)2]nの気体吸着特性を示す図である。
【図11】[Cu(PF6)2(4-phpy)4]の気体吸着特性を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式
[Cu(A)x(L)y]n
(式中、Cuは二価の銅イオン、Aはルイス塩基性アニオン、Lは含窒素芳香環を含む有機配位子、xは(A)xが二価となるような数、yは1.5、2又は4、nは0次元(単核)構造の場合は1、高分子型構造の場合は103〜1020の分子量に相当する数を表す。)で表され、粉末XRDの(220)面、及び(040)面、及び(131)面の回折ピークが、2θ(200)=8.5〜17.5度、及び2θ(040)=10.5〜20度、及び2θ(131)=11.5〜18度である結晶性金属錯体から成る二酸化炭素吸着剤。
【請求項1】
下記一般式
[Cu(A)x(L)y]n
(式中、Cuは二価の銅イオン、Aはルイス塩基性アニオン、Lは含窒素芳香環を含む有機配位子、xは(A)xが二価となるような数、yは1.5、2又は4、nは0次元(単核)構造の場合は1、高分子型構造の場合は103〜1020の分子量に相当する数を表す。)で表され、粉末XRDの(220)面、及び(040)面、及び(131)面の回折ピークが、2θ(200)=8.5〜17.5度、及び2θ(040)=10.5〜20度、及び2θ(131)=11.5〜18度である結晶性金属錯体から成る二酸化炭素吸着剤。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−208028(P2009−208028A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−55757(P2008−55757)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(504173471)国立大学法人 北海道大学 (971)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(504173471)国立大学法人 北海道大学 (971)
【Fターム(参考)】
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