説明

二重カップ

【課題】本発明は、文字や図柄などからなる情報を筒体などの簡単に見えない部位に印刷し、その筒体を切り取ると前記情報が表れるようにした二重カップを提供することを目的とする。
【解決手段】胴部(11)と底部(12)とからなり、開口部周縁が外側にカールした口縁部(13)を有し、該底部(12)の外周縁部を下方へ屈曲し、該屈曲部(14)をはさんで胴部(11)の下端部を内側に折り込み、加熱圧着して接合して形成させた、紙カップ本体(10)と、該紙カップ本体(10)の胴部外周に巻きつけて貼り合わせ部で貼着される筒体(20)とから構成される二重カップ(1)であって、前記筒体(20)には切り取り部(21)が形成され、該筒体(20)の切り取り部(21)、又は/及び該筒体(20)の切り取り部(21)と重なる紙カップ本体(10)の胴部(11)には、表示部(22)が設けられていることを特徴とする二重カップである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙カップ本体とその胴部外周に巻かれて貼着される筒体から構成される二重カップに関するものであり、さらに詳しくは、文字や図柄などからなる情報を筒体などの簡単に見えない部位に印刷し、その筒体を切り取ると前記情報が表れるようにした二重カップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カップラーメンにおけるキャンペーン方法としては、購入後、カップラーメンを喫食するにあたり、紙カップ容器から蓋材を開封した際、「当たり」の場合は、紙カップ容器内に景品(袋入り)自体が入っているか、当選を告知する書面などが入っているのに対し、「ハズレ」の場合は、何も入っていないか、または落選を告知する書面が入っているという方法がほとんどである。しかし、容器内に景品自体または書面を封入する場合、衛生面の点から別途個包装が必要となり、作業性も悪く、コストも高くなるという問題がある。また、当落の判定が単純であり、娯楽性などにも欠ける。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決しようとするものであり、文字や図柄などからなる情報を筒体などの簡単に見えない部位に印刷し、その筒体を切り取ると前記情報が表れるようにした二重カップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、本発明の請求項1に係る発明は、胴部(11)と底部(12)とからなり、開口部周縁が外側にカールした口縁部(13)を有し、該底部(12)の外周縁部を下方へ屈曲し、該屈曲部(14)をはさんで胴部(11)の下端部を内側に折り込み、加熱圧着して接合して形成させた、紙カップ本体(10)と、該紙カップ本体(10)の胴部外周に巻きつけて貼り合わせ部で貼着される筒体(20)とから構成される二重カップ(1)であって、前記筒体(20)には切り取り部(21)が形成され、該筒体(20)の切り取り部(21)、又は/及び該筒体(20)の切り取り部(21)と重なる紙カップ本体(10)の胴部(11)には、表示部(22)が設けられていることを特徴とする二重カップである。
【0005】
本発明の請求項2に係る発明は、請求項1記載の二重カップにおいて、前記表示部(22)には、文字と絵柄による当落情報、クイズのヒント、迷路による当落決定、ミニロト方式くじ、応募した川柳・俳句などの掲載、他社とのタイアップ広告(クーポン券付き等)、雑学・豆知識・運勢等の情報が印刷されていることを特徴とする二重カップである。
【0006】
本発明の請求項3に係る発明は、請求項1又は2記載の二重カップにおいて、前記切り取り部(21)が、ジッパー線またはミシン目線からなる切り取り線(a)により区画形成されていることを特徴とする二重カップである。
【0007】
本発明の請求項4に係る発明は、請求項1又は2記載の二重カップにおいて、前記切り取り部(21)が、ジッパー線またはミシン目線からなる切り取り線(a)と折り目線(b)とにより区画形成されていることを特徴とする二重カップである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る二重カップは、胴部と底部とからなり、開口部周縁が外側にカールした口
縁部を有し、該底部の外周縁部を下方へ屈曲し、該屈曲部をはさんで胴部の下端部を内側に折り込み、加熱圧着して接合して形成させた、紙カップ本体と、該紙カップ本体の胴部外周に巻きつけて貼り合わせ部で貼着される筒体とから構成される二重カップであって、前記筒体には切り取り部が形成され、該筒体の切り取り部、又は/及び該筒体の切り取り部と重なる紙カップ本体の胴部には、表示部が設けられていることにより、各種のキャンペーンに利用可能となり、娯楽性も備え、且つ、キャンペーンにおける告知および当落情報などもブランクス時における表面印刷と同時に印刷工程で行なうことができるため、コスト面でも安価なキャンペーン機能を有し、さらに切り取った紙片だけでなく、カップ本体にも印刷することで様々なキャンペーンなどの実施が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施の形態を図1〜図8に基づいて詳細に説明する。
【0010】
図1は本発明に係る二重カップ(1)の筒体(20)に切り離し可能な切り取り部(21)を設けた1実施例を示す部分側断面図であり、図2は本発明に係る二重カップ(1)の筒体(20)に折り目線(b)を介して、折り曲げ可能な切り取り部(21)を設けたその他の実施例を示す部分側断面図であり、図3は本発明に係る二重カップ(1)の筒体(20)の切り取り部(21)を切り取った状態の1実施例を示す部分側断面図であり、図4は本発明に係る二重カップ(1)の筒体(20)の切り取り部(21)を一部切り取り後、折り目線(b)を介して折り曲げた状態のその他の実施例を示す部分側断面図であり、図5は本発明に係る二重カップ(1)の筒体(20)に折り目線(b)を介して、折り曲げ可能で裏面にあみだくじ等の部分絵柄(A)を印刷した切り取り部(21)とその右端に前記部分絵柄(A)に連動する部分絵柄(B)を印刷した状態のまたその他の実施例を示す部分側断面図であり、図6は本発明に係る二重カップ(1)の筒体(20)の切り取り部(21)を一部切り取り後、折り目線(b)を介して折り曲げ、裏面のあみだくじ等の最終結果の状態のまたその他の実施例を示す部分側断面図であり、図7は本発明に係る二重カップ(1)の筒体(20)に折り目線(b)を介して、折り曲げ可能で、裏面にあみだくじ等の部分絵柄(A)を印刷した切り離し可能な切り取り部(21)とその右端に前記部分絵柄(A)に連動する部分絵柄(B)を印刷した切り離し可能な切り取り部(21)を設けた状態のさらにまたその他の実施例を示す部分側断面図であり、図8は本発明に係る二重カップ(1)の筒体(20)の切り取り部(21)を一部切り取り後、折り目線(b)を介して折り曲げ、裏面のあみだくじ等の最終結果の状態のさらにまたその他の実施例を示す部分側断面図である。
【0011】
本発明に係る1実施例の二重カップ(1)は、図1に示すように、胴部(11)と底部(12)とからなり、開口部周縁が外側にカールした口縁部(13)を有し、該底部(12)の外周縁部を下方へ屈曲し、該屈曲部(14)をはさんで胴部(11)の下端部を内側に折り込み、加熱圧着して接合して形成させた、紙カップ本体(10)と、該紙カップ本体(10)の胴部外周に巻きつけて貼り合わせ部で貼着される筒体(20)とから構成される二重カップ(1)であって、前記筒体(20)には切り取り部(21)が形成され、該筒体(20)の切り取り部(21)、又は/及び該筒体(20)の切り取り部(21)と重なる紙カップ本体(10)の胴部(11)には、表示部(22)が設けられている二重カップである。
【0012】
前記表示部(22)には、文字と絵柄による当落情報、クイズのヒント、迷路による当落決定、ミニロト方式くじ、応募した川柳・俳句などの掲載、他社とのタイアップ広告(クーポン券付き等)、雑学・豆知識・運勢等の情報が印刷されている。
【0013】
具体的には、先ず、前記文字と絵柄による当落情報は、切り取り部(21)の裏面の表示部(22)に当たり、ハズレの記載が文字、又は/及び絵柄で表現されている。または
、該切り取り部(21)の表面に当たりの絵柄が印刷されており、その切り取り部(21)を剥離して、その裏面に同一の絵柄が印刷されていれば、当たりという絵合わせ方式である。クイズのヒントは、裏面にクイズのヒントが記載されており、そのクイズの回答を書いて応募する方式である。迷路による当落決定は、切り取り部(21)周縁部近傍の筒体(20)表面に迷路のスタートとゴールが記載されており、且つ該切り取り部(21)裏面に予め、迷路図が描かれているので、該切り取り部(21)を剥離し、裏面の迷路をたどりゴールにたどりつけば当たりとなる。ミニロト方式くじは、切り取り部(21)の裏面に数字が記載されており、その数字をマークシート方式で選んで応募する。応募した川柳・俳句などの掲載は、消費者などが予め、応募した川柳・俳句などが切り取り部(21)の裏面に掲載されている。他社とのタイアップ広告(クーポン券付き等)は、例えば、切り取り部(21)の表面に旅行券プレゼントの募集を掲載し、その裏面に当たり、ハズレが記載されている。雑学・豆知識・運勢等は、切り取り部(21)の裏面にそれぞれの項目に対応した内容が記載されている。
【0014】
該表示部(22)は、筒体(20)の切り取り部(21)の表裏のみならず、該筒体(20)の切り取り部(21)と重なる紙カップ本体(10)の胴部(11)にも印刷が可能であるので娯楽性を備えた、様々なキャンペーンなどを行なうことができる。前記筒体(20)の切り取り部(21)の文字と絵柄による当落情報、クイズのヒント、迷路による当落決定、ミニロト方式くじ、応募した川柳・俳句などの掲載、他社とのタイアップ広告(クーポン券付き等)、雑学・豆知識・運勢等の見えてはいけない情報の裏面印刷は、表面デザインを印刷する工程で同時に行なうことができるので低コストのキャンペーンが可能となる。
【0015】
尚、前述のように該筒体(20)の切り取り部(21)と重なる紙カップ本体(10)の胴部(11)にも印刷が可能であるが、キャンペーンの種類によっては、当落情報などをメーカーに郵便で送付することやカード形態で収集することなどを考慮すると、該筒体(20)の切り取り部(21)の裏面に表示部(22)を設けることが好ましい。
【0016】
また、前記切り取り部(21)が、ジッパー線またはミシン目線からなる切り取り線(a)により区画形成されているので、図3に示すように、該切り取り部(21)を容易に切り取ることができる。尚、該切り取り部(21)の形状は、長方形状に限定されるものではなく、楕円形状、短冊形状、円形状、星形状など任意である。さらに切り取り易いように部分的に全切れ線を付加してもよいし、該切り取り部(21)に隣接して指を入れる開口部を設けても構わない。
【0017】
以上のように、本発明に係る1実施例の二重カップ(1)は、胴部(11)と底部(12)とからなり、開口部周縁が外側にカールした口縁部(13)を有し、該底部(12)の外周縁部を下方へ屈曲し、該屈曲部(14)をはさんで胴部(11)の下端部を内側に折り込み、加熱圧着して接合して形成させた、紙カップ本体(10)と、該紙カップ本体(10)の胴部外周に巻きつけて貼り合わせ部で貼着された筒体(20)とから構成される二重カップ(1)であって、前記筒体(20)には、ジッパー線またはミシン目線からなる切り取り線(a)で切り取り部(21)が形成され、該筒体(20)の切り取り部(21)の裏面、及び該筒体(20)の切り取り部(21)と重なる紙カップ本体(10)の胴部(11)には、表示部(22)が設けられていることにより、各種のキャンペーンに利用可能となり、娯楽性も備え、且つ、キャンペーンにおける告知および当落情報などもブランク時における表面印刷と同時に印刷工程で行なうことができるため、コスト面でも安価なキャンペーン機能を有し、さらに切り取った紙片だけでなく、カップ本体にも印刷することで様々なキャンペーンなどの実施が可能となる。
【0018】
次に、本発明に係るその他の実施例の二重カップ(1)は、図2に示すように、1実施
例において、前記長方形状などの切り取り部(21)を完全に切り取らずに一部分、折り曲げて一体化できるように、ジッパー線またはミシン目線からなる切り取り線(a)と折り目線(b)で切り取り部(21)を設けるようにした以外は1実施例と同様にして二重カップ(1)を作製する。
【0019】
このようにその他の実施例の二重カップ(1)は、前記切り取り部(21)が、ジッパー線またはミシン目線からなる切り取り線(a)と折り目線(b)とにより区画形成されているので、図4に示すように、全てを切り取らずに該折り目線(b)を介して、該切り取り部(21)を折り曲げて使用することができる。
【0020】
次に、本発明に係るまたその他の実施例の二重カップ(1)は、図5に示すように、胴部(11)と底部(12)とからなり、開口部周縁が外側にカールした口縁部(13)を有し、該底部(12)の外周縁部を下方へ屈曲し、該屈曲部(14)をはさんで胴部(11)の下端部を内側に折り込み、加熱圧着して接合して形成させた、紙カップ本体(10)と、該紙カップ本体(10)の胴部外周に巻きつけて貼り合わせ部で貼着された筒体(20)とから構成される二重カップ(1)であって、前記筒体(20)には、ジッパー線またはミシン目線からなる切り取り線(a)と折り目線(b)で切り取り部(21)が形成され、該筒体(20)の切り取り部(21)の裏面の表示部(22)には、あみだくじや迷路等の部分絵柄(A)が設けられ、且つ該切り取り部(21)の右端に前記あみだくじや迷路等の部分絵柄(A)と連動する部分絵柄(B)が印刷されている二重カップ(1)である。
【0021】
すなわち、図6に示すように、該筒体(20)の切り取り部(21)を一部分、切り取り後、折り目線(b)を介して、右側に折り曲げて開口した際、折り曲げられた該切り取り部(21)の裏面に印刷されている前記あみだくじや迷路等の部分絵柄(A)と連動するように右端の相対する位置に該あみだくじや迷路等の最終結果の部分絵柄(B)が印刷されている二重カップ(1)である。
【0022】
以上のように、本発明に係るまたその他の実施例の二重カップ(1)は、胴部(11)と底部(12)とからなり、開口部周縁が外側にカールした口縁部(13)を有し、該底部(12)の外周縁部を下方へ屈曲し、該屈曲部(14)をはさんで胴部(11)の下端部を内側に折り込み、加熱圧着して接合して形成させた、紙カップ本体(10)と、該紙カップ本体(10)の胴部外周に巻きつけて貼り合わせ部で貼着された筒体(20)とから構成される二重カップ(1)であって、前記筒体(20)には、ジッパー線またはミシン目線からなる切り取り線(a)と折り目線(b)で切り取り部(21)が形成され、該筒体(20)の切り取り部(21)の裏面の表示部(22)には、あみだくじや迷路等の部分絵柄(A)が設けられ、且つ該筒体(20)の切り取り部(21)を一部分、切り取り後、折り目線(b)を介して、右側に折り曲げて開口した際、折り曲げられた該切り取り部(21)の裏面に印刷されている前記あみだくじや迷路等の部分絵柄(A)と連動するように右端の相対する位置に該あみだくじや迷路等の最終結果の部分絵柄(B)が印刷されていることにより、各種のキャンペーンに利用可能となり、娯楽性も備え、且つ、キャンペーンにおける告知および当落情報などもブランク時における表面印刷と同時に印刷工程で行なうことができるため、コスト面でも安価なキャンペーン機能を有し、さらに一部分、切り取り、折り曲げた紙片だけでなく、カップ本体にも印刷することで様々なキャンペーンなどの実施が可能となる。
【0023】
次に、本発明に係るさらにまたその他の実施例の二重カップ(1)は、図7に示すように、またその他の実施例において、筒体(20)に設けられた部分絵柄(A)領域および部分絵柄(B)領域が該筒体(20)から切り離すことができるようにした以外はまたその他の実施例と同様にして二重カップ(1)を作製する。
【0024】
すなわち、筒体(20)に設けられた部分絵柄(A)領域は、ジッパー線またはミシン目線からなる切り取り線(a)と該切り取り線(a)の内側に設けられた折り目線(b)とで切り取り部(21)を形成し、また、部分絵柄(B)領域は、ジッパー線またはミシン目線からなる切り取り線(a)で切り取り部(21)を形成して、該筒体(20)から切り離すことができるようにする。このようにすることにより、図8に示すように、最終結果が表示されている状態のまま、二重カップ(1)の筒体(20)から切り離し、郵便ハガキや台紙などに貼って、最終結果などをメーカーに郵便で送付することが容易になり、キャンペーンに参加しやすくなる。
【0025】
次に、本発明に係る二重カップ(1)を構成している紙カップ本体(10)、筒体(20)の構成材料などについて詳細に説明する。
【0026】
前記二重カップ(1)を構成している紙カップ本体(10)は、胴部(11)を形成する胴部材、底部(12)を形成する底部材共に、紙を基材として、最内層にヒートシール性を有する熱可塑性樹脂を形成することを基本としている。
【0027】
例えば、紙層/ポリエチレン樹脂層、ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層、発泡ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層、ポリプロピレン樹脂層/紙層/ポリプロピレン樹脂層などが挙げられる。
【0028】
前記紙層には、木材などの植物原料を化学的、または機械的に処理してセルロースを取り出した状態のパルプを抄造した、カップ原紙、コート紙、アート紙、コートボール、マニラなどを使用することができるが、紙カップ成形適性の良いカップ原紙を使用することが好ましい。坪量は、特に限定されないが、紙カップの成形適性上、170〜400g/m2程度の範囲が好ましい。
【0029】
前記最内層に使用する熱可塑性樹脂は、内容物の保護、特に液体の物質を入れても漏れない機能、また、ヒートシールにより胴部を貼り合わせ、そして胴部と底部との接着を可能にする機能をもっている必要がある。例えば、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(L−LDPE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、エチレン−プロピレン共重合体(EP)、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)などの樹脂を使用することができる。厚さとしては、15〜60μmの範囲が好ましい。
【0030】
次に、紙層上に前記熱可塑性樹脂層を形成する方法は、前述した低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)などの熱可塑性樹脂を加熱し、シリンダーと呼ばれる筒の中で溶解し、スクリューで圧力をかけて押し出し、該シリンダーの先端部にあるTダイスと呼ばれる細いスリットからカーテン状に溶解した樹脂を押し出してフィルム状にした後、ラミネート基材にラミネーションするエクストルージョンラミネーション方法(押し出し方法)を使用するのが適当である。
【0031】
次に、筒体(20)は、二重カップ(1)に、例えば、断熱性を持たせるために設けるもので、坪量が50〜310g/m2程度の範囲のコートクラフト紙、特殊マニラ、コートボール、Eフルート段ボールなどを使用することができる。
【0032】
前記切り取り部(21)を形成するための、ジッパー線またはミシン目線からなる切り
取り線(a)や折り目線(b)を施す方法は、例えば、厚いベニヤ合板、或いは合成樹脂板に所定の形に切断するためにレーザー光線を使用する切断装置や糸鋸などで溝部を設け、その溝部に切れ刃或いはミシン刃を組み込み、それらの両側にスポンジゴムを貼り付けた雄型からなる平板の打ち抜き型を使用するか、あるいは円筒形状をしたロータリーダイカッターを使用することができる。
【0033】
前記表示層(22)を形成する印刷インキとしては、表面デザイン印刷に使用する印刷インキと同様にインキに色彩を与える顔料や染料などからなる色材と該色材を微細な粒子に分散・保持しつつ、被印刷体に固着させる樹脂と該樹脂を安定して溶解し、該顔料や染料などの分散性、インキの流動性を保持し、かつ印刷の版からインキの適正量を転移できる溶剤とから構成されるビヒクル、更に色材の分散性、発色性向上や沈殿防止、流動性の改良を目的に界面活性剤などからなる助剤から形成されているが、特に色材は、耐候性の良い顔料が好ましい。
【0034】
また、該表示層(22)を設ける印刷方式は、例えば、グラビア印刷方式、シルクスクリーン印刷方式、フレキソ印刷方式など公知の印刷方式を使用できるが、鉄製の円筒(シリンダー)表面上に銅メッキを施して下地を形成し、該銅メッキ面上に剥離層を設け、更に銅メッキをして、その表面を鏡面状に研磨した銅面に彫刻方式や腐食方式により、凹部(セル)を作成し、該セル内の印刷インキを紙などの基材上に転移させ、調子物でもカラフルに印刷ができ、且つ訴求効果も高いグラビア印刷方式が好ましい。
【0035】
以下に、本発明に係る二重カップ(1)について、具体的に実施例を挙げて、さらに詳しく説明する。
【実施例1】
【0036】
本発明に係る二重カップ(1)は、紙カップ本体(10)を構成する胴部材として、表面からカップ原紙280g/m2/低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)層25μmの構成の材料を使用し、該表面にキャンペーン用として、筒体(20)の切り取り部(21)が重なる部分に当落情報の「当たり」という文字を印刷した。底部材として、表面からカップ原紙220g/m2/低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)層25μmの構成の材料を使用した。該胴部材を扇状に打ち抜き、胴部ブランクを作製し、同様に該底部材を円形状に打ち抜き底部ブランクを作製した。
【0037】
次に、紙カップ本体(10)の胴部外周に巻き付けるための筒体(20)として、巻き取り状のコートボール310g/m2を使用し、グラビア印刷方式により、表面には、商品の表面デザインとキャンペーン用の告知情報として、「宝くじ」という文字を印刷した。同時に裏面の表示部(22)には、キャンペーン用として、当落情報の「当たり」の具体的な内容である「1等賞」という文字を印刷した。
【0038】
次に、該巻き取り状の印刷物を紙カップ本体(10)に合せて扇状に打ち抜き、同時に前記キャンペーン用当落情報を切り取ることができるようにミシン目線からなる切り取り線(a)によって長方形状の切り取り部(21)を形成した筒体(20)用のブランクを作製した。
【0039】
これらの胴部用、底部用、筒体用ブランクを、紙カップ成形機に供給して、図1に示すように、筒状の胴部(11)と底部(12)からなる紙カップ本体(10)を成形すると同時に該紙カップ本体(10)の胴部外周に筒体(20)を巻き付け、該筒体(20)の両端を貼り合せて二重カップ(1)を得た。
【0040】
このようにして得た二重カップ(1)を使用して、キャンペーン機能性などを評価した
。先ず、筒体(20)の表面に「宝くじ」という文字が印刷されている周囲に設けられたミシン目線からなる切り取り線(a)で形成された切り取り部(21)の左端から切り取ったところ、図3に示すように、カップ本体(10)には「当たり」という文字が現れ、切り取った該切り取り部(21)片の裏面には、その「当たり」の具体的な内容である「1等賞」という文字が現れた。
【実施例2】
【0041】
実施例1において、前記長方形状の切り取り部(21)を完全に切り取らずに一部分、折り曲げて一体化できるように、ミシン目線からなる切り取り線(a)と折り目線(b)で切り取り部(21)を設けるようにした以外は実施例1と同様にして、図2に示すように、二重カップ(1)を作製した。
【0042】
このようにして得た二重カップ(1)を使用して、キャンペーン機能性などを評価した。先ず、筒体(20)の表面に「宝くじ」という文字が印刷されている周囲に設けられたミシン目線からなる切り取り線(a)と折り目線(b)で形成された切り取り部(21)の左端から切り取り、右端の折り目線(b)を介して右側に折り曲げて開口したところ、図4に示すように、カップ本体(10)には「当たり」という文字が現れ、折り曲げて開口した該切り取り部(21)の裏面には、その「当たり」の具体的な内容である「1等賞」という文字が現れた。
【実施例3】
【0043】
本発明に係る二重カップ(1)は、紙カップ本体(10)を構成する胴部材として、表面からカップ原紙280g/m2/低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)層25μmの構成の材料を使用し、底部材として、表面からカップ原紙220g/m2/低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)層25μmの構成の材料を使用した。該胴部材を扇状に打ち抜き、胴部ブランクを作製し、同様に該底部材を円形状に打ち抜き底部ブランクを作製した。
【0044】
次に、紙カップ本体(10)の胴部外周に巻き付けるための筒体(20)として、巻き取り状のコートボール310g/m2を使用し、グラビア印刷方式により、表面には、商品の表面デザインとキャンペーン用の告知情報として、「あみだくじ」という文字とその右端の表示部(22)には「あみだくじ」の最終結果を示す部分絵柄(B)を印刷した。同時に裏面の表示部(22)には、キャンペーン用として、「当たり」と「あみだくじ」のスタート部分である、あみだ柄の部分絵柄(A)を印刷した。
【0045】
次に、該巻き取り状の印刷物を紙カップ本体(10)に合せて扇状に打ち抜き、同時に裏面に印刷したキャンペーン用としての、「当たり」と「あみだくじ」のスタート部分である、あみだ柄の部分絵柄(A)と「あみだくじ」の最終結果を示す部分絵柄(B)とが連動して、あみだくじの最終状態が表示される形態になるようにミシン目線からなる切り取り線(a)と折り目線(b)で切り取り部(21)を形成した。
【0046】
これらの胴部用、底部用、筒体用ブランクを、紙カップ成形機に供給して、図5に示すように、筒状の胴部(11)と底部(12)からなる紙カップ本体(10)を成形すると同時に該紙カップ本体(10)の胴部外周に筒体(20)を巻き付け、該筒体(20)の両端を貼り合せて二重カップ(1)を得た。
【0047】
このようにして得た二重カップ(1)を使用して、キャンペーン機能性などを評価した。先ず、筒体(20)の表面に「あみだくじ」という文字が印刷されている周囲に設けられたミシン目線からなる切り取り線(a)と折り目線(b)で形成された切り取り部(21)の左端から一部分、切り取り、右端の折り目線(b)を介して、右側に折り曲げて開口したところ、図6に示すように、折り曲げて開口した該切り取り部(21)の裏面に印
刷されている「当たり」と「あみだくじ」のスタート部分である、あみだ柄の部分絵柄(A)が現出し、予め、該部分絵柄(A)と連動するように右端の相対する位置に印刷されていた「あみだくじ」の最終結果の部分絵柄(B)とセットになった「あみだくじ」が完成した。
【実施例4】
【0048】
実施例4において、筒体(20)に設けられた部分絵柄(A)領域および部分絵柄(B)領域が該筒体(20)から切り離すことができるようにした以外は実施例4と同様にして二重カップ(1)を作製した。
【0049】
すなわち、筒体(20)に設けられた部分絵柄(A)領域は、ミシン目線からなる切り取り線(a)と該切り取り線(a)の内側に設けられた折り目線(b)とで切り取り部(21)を形成し、また、部分絵柄(B)領域は、ミシン目線からなる切り取り線(a)で切り取り部(21)を形成して、該筒体(20)から切り離すことができるようにした。
【0050】
このようにして得た二重カップ(1)を使用して、キャンペーン機能性などを評価した。先ず、筒体(20)の表面に「あみだくじ」という文字が印刷されている周囲に設けられたミシン目線からなる切り取り線(a)と該切り取り線(a)の内側に設けられた折り目線(b)とで形成された切り取り部(21)の左端から一部分、切り取り、折り目線(b)を介して、右側に折り曲げて開口したところ、図8に示すように、折り曲げて開口した該切り取り部(21)の裏面に印刷されている「当たり」と「あみだくじ」のスタート部分である、あみだ柄の部分絵柄(A)が現出し、予め、該部分絵柄(A)と連動するように右端の相対する位置に印刷されていた「あみだくじ」の最終結果の部分絵柄(B)とセットになった「あみだくじ」が完成した。このセットになった「あみだくじ」を、二重カップ(1)の筒体(20)から切り離し、郵便ハガキに貼って、メーカーに郵便で容易に送付できる状態になった。
【実施例5】
【0051】
実施例1において、ミシン目線からなる切り取り線(a)をジッパー線からなる切り取り線(a)に変更した以外は実施例1と同様にして、二重カップ(1)を作製した。
【0052】
このようにして得た二重カップ(1)を使用して、キャンペーン機能性などを評価した。先ず、筒体(20)の表面に「宝くじ」という文字が印刷されている周囲に設けられたジッパー線からなる切り取り線(a)で形成された切り取り部(21)の左端から切り取ったところ、カップ本体(10)には「当たり」という文字が現れ、切り取った該切り取り部(21)片の裏面には、その「当たり」の具体的な内容である「1等賞」という文字が現れた。
【実施例6】
【0053】
実施例2において、ミシン目線からなる切り取り線(a)をジッパー線からなる切り取り線(a)に変更した以外は実施例2と同様にして、二重カップ(1)を作製した。
【0054】
このようにして得た二重カップ(1)を使用して、キャンペーン機能性などを評価した。先ず、筒体(20)の表面に「宝くじ」という文字が印刷されている周囲に設けられたジッパー線からなる切り取り線(a)と折り目線(b)で形成された切り取り部(21)の左端から切り取り、右端の折り目線(b)を介して右側に折り曲げて開口したところ、図4に示すように、カップ本体(10)には「当たり」という文字が現れ、折り曲げて開口した該切り取り部(21)の裏面には、その「当たり」の具体的な内容である「1等賞」という文字が現れた。
【実施例7】
【0055】
実施例3において、ミシン目線からなる切り取り線(a)をジッパー線からなる切り取り線(a)に変更した以外は実施例3と同様にして、二重カップ(1)を作製した。
【0056】
このようにして得た二重カップ(1)を使用して、キャンペーン機能性などを評価した。先ず、筒体(20)の表面に「あみだくじ」という文字が印刷されている周囲に設けられたジッパー線からなる切り取り線(a)と折り目線(b)で形成された切り取り部(21)の左端から一部分、切り取り、右端の折り目線(b)を介して、右側に折り曲げて開口したところ、図6に示すように、折り曲げて開口した該切り取り部(21)の裏面に印刷されている「当たり」と「あみだくじ」のスタート部分である、あみだ柄の部分絵柄(A)が現出し、予め、該部分絵柄(A)と連動するように右端の相対する位置に印刷されていた「あみだくじ」の最終結果の部分絵柄(B)とセットになった「あみだくじ」が完成した。
【実施例8】
【0057】
実施例4において、ミシン目線からなる切り取り線(a)をジッパー線からなる切り取り線(a)に変更した以外は実施例4と同様にして、二重カップ(1)を作製した。
【0058】
このようにして得た二重カップ(1)を使用して、キャンペーン機能性などを評価した。先ず、筒体(20)の表面に「あみだくじ」という文字が印刷されている周囲に設けられたジッパー線からなる切り取り線(a)と該切り取り線(a)の内側に設けられた折り目線(b)とで形成された切り取り部(21)の左端から一部分、切り取り、折り目線(b)を介して、右側に折り曲げて開口したところ、図8に示すように、折り曲げて開口した該切り取り部(21)の裏面に印刷されている「当たり」と「あみだくじ」のスタート部分である、あみだ柄の部分絵柄(A)が現出し、予め、該部分絵柄(A)と連動するように右端の相対する位置に印刷されていた「あみだくじ」の最終結果の部分絵柄(B)とセットになった「あみだくじ」が完成した。このセットになった「あみだくじ」を、二重カップ(1)の筒体(20)から切り離し、郵便ハガキに貼って、メーカーに郵便で容易に送付できる状態になった。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係る二重カップの筒体に切り離し可能な切り取り部を設けた1実施例を示す部分側断面図である。
【図2】本発明に係る二重カップの筒体に折り目線を介して、折り曲げ可能な切り取り部を設けたその他の実施例を示す部分側断面図である。
【図3】本発明に係る二重カップの筒体の切り取り部を切り取った状態の1実施例を示す部分側断面図である。
【図4】本発明に係る二重カップの筒体の切り取り部を一部切り取り後、折り目線を介して折り曲げた状態のその他の実施例を示す部分側断面図である。
【図5】本発明に係る二重カップの筒体に折り目線を介して、折り曲げ可能で、裏面にあみだくじ等の部分絵柄を印刷した切り取り部とその右端に前記部分絵柄に連動する部分絵柄を印刷した状態のまたその他の実施例を示す部分側断面図である。
【図6】本発明に係る二重カップの筒体の切り取り部を一部切り取り後、折り目線を介して折り曲げ、裏面のあみだくじ等の最終結果の状態のまたその他の実施例を示す部分側断面図である。
【図7】本発明に係る二重カップの筒体に折り目線を介して折り曲げ可能で、裏面にあみだくじ等の部分絵柄を印刷した切り離し可能な切り取り部とその右端に前記部分絵柄に連動する部分絵柄を印刷した切り離し可能な切り取り部を設けた状態のさらにまたその他の実施例を示す部分側断面図である。
【図8】本発明に係る二重カップの筒体の切り取り部を一部切り取り後、折り目線を介して折り曲げ、裏面のあみだくじ等の最終結果の状態のさらにまたその他の実施例を示す部分側断面図である。
【符号の説明】
【0060】
1・・・二重カップ
10・・・カップ本体
11・・・胴部
12・・・底部
13・・・口縁部
14・・・屈曲部
20・・・筒体
21・・・切り取り部
22・・・表示部
a・・・切り取り線
b・・・折り目線
A・・・部分絵柄
B・・・部分絵柄

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部と底部とからなり、開口部周縁が外側にカールした口縁部を有し、該底部の外周縁部を下方へ屈曲し、該屈曲部をはさんで胴部の下端部を内側に折り込み、加熱圧着して接合して形成させた、紙カップ本体と、該紙カップ本体の胴部外周に巻きつけて貼り合わせ部で貼着される筒体とから構成される二重カップであって、前記筒体には切り取り部が形成され、該筒体の切り取り部、又は/及び該筒体の切り取り部と重なる紙カップ本体の胴部には、表示部が設けられていることを特徴とする二重カップ。
【請求項2】
前記表示部には、文字と絵柄による当落情報、クイズのヒント、迷路による当落決定、ミニロト方式くじ、応募した川柳・俳句などの掲載、他社とのタイアップ広告(クーポン券付き等)、雑学・豆知識・運勢等の情報が印刷されていることを特徴とする請求項1記載の二重カップ。
【請求項3】
前記切り取り部が、ジッパー線またはミシン目線からなる切り取り線により区画形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の二重カップ。
【請求項4】
前記切り取り部が、ジッパー線またはミシン目線からなる切り取り線と折り目線とにより区画形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の二重カップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−290366(P2006−290366A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−109606(P2005−109606)
【出願日】平成17年4月6日(2005.4.6)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)