説明

二重袋

【課題】内袋に収容された内容物の清浄度を維持しながら外袋を容易に、かつ確実に取り外すことが可能な二重袋を提供する。
【解決手段】内袋10を構成するチューブ状フィルム11の長手方向の一端側に挿入口12が設けられ、挿入口12と対向する他端側に第1の端部シール部2が設けられ、挿入口12の近傍は第2の端部シール部を形成することが可能であり、第1の端部シール部2から前記第2の端部シール部が形成される箇所までの間は、内袋10と外袋20との間が未シールとされ、この未シール部3には、内容物収容空間13を底部の側で閉鎖する第1の内袋シール部15と、内容物収容空間13を挿入口12の側で閉鎖する第2の内袋シール部が形成される際に内袋10と外袋20との間のシールを防ぐ非接着処理部23とが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内袋と外袋を備える包装用の二重袋に関する。
【背景技術】
【0002】
高い清浄度が求められるクリーンルームに資材、部品、機器等を搬入する際、搬入物やその包装に付着した塵埃等が汚染物質として放出されることを可能な限り抑制する必要がある。このため、搬入物の梱包に用いる包装は、外部環境と接触することなく物品等を収容することが可能な内袋と、内袋をさらに梱包する外包装とを備える、二重包装が用いられている。
特許文献1には、中間層の表裏両面にこれらの面から界面剥離を起こす接着剤を塗布して接着剤層を形成し、各接着剤層上にカバーフィルム層を積層し、該カバーフィルム層が上記の接着剤層とともに剥離除去されることにより清浄面が露出する包装用クリーンフィルムを得る方法が開示されている。
また、特許文献2には、チューブ状フィルムからなる内袋と、易剥離層を最内面に持つ複層フィルムからなる外袋とを備える二重構造の包装袋において、外袋の端部が開口部以外の一辺又は二辺においてある程度の間隔を空けて外袋同士のみで熱封緘され、且つ残りの辺は内袋と外袋を重ねて熱封緘されてなるクリーン包装用二重袋が開示されている。
【0003】
一方、内容物の取出しが容易な二重袋として、特許文献3には、表と裏のフィルムを重合して1ないし3辺がシールされて1辺が開口する外層と、外層の表と裏のフィルムの内面に外面が接する表と裏のフィルムを有する内層から成り、外層の開口縁内面と、この外層の開口縁に接する内層の端縁の外面を幅広にヒートシールして開口シール部を備える開口部を有する少なくとも二層袋を形成し、内層内に内容物を充填後、開口端縁を含み開口シール部より幅狭に内層と外層を同時にヒートシールして封緘部を形成すると共に、封緘部が占める開口シール部の残余の開口シール部で開封切断部を形成されている袋が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−285947号公報
【特許文献2】特開2009−132417号公報
【特許文献3】特開平6−278757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の包装用クリーンフィルムは、カバーフィルム層とともに接着剤層が完全に除去されることで、中間層の表裏両面が清浄面として露出されるので、カバーフィルム層や接着剤層が一部でも除去されないで残ると、高いクリーン度が得られない。このため、界面剥離を起こす接着剤の剥離強度を適切にコントロールするとともに、清浄面への糊残りのない接着剤を選択する必要がある。また、物品を梱包した袋などの形状によっては、カバーフィルム層や接着剤層を確実に除去できないおそれがある。
特許文献2に記載のクリーン包装用二重袋は、内層に対して外層が易剥離層によって熱封緘されるため、意図せずに外層が剥がれると、内層と外層との間に汚染物質が侵入するおそれがある。
特許文献3に記載の二重袋は、開封後に内層が裏返ることにより、あんこや味噌などの粘性のある内容物の取出しが容易とされるものであるが、クリーンルームに搬入する物品等の清浄度を維持できるものではない。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、内袋に収容された内容物の清浄度を維持しながら外袋を容易に、かつ確実に取り外すことが可能な二重袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、インフレーション法で製造されたチューブ状フィルムを偏平状とした内袋と、前記偏平状の内袋の両面を覆う外袋とを有する包装用の二重袋であって、前記内袋を構成するチューブ状フィルムの長手方向の一端側には、内容物を挿入するための挿入口が設けられ、前記挿入口と対向する前記長手方向の他端側には、前記長手方向に交差する方向に沿って前記内袋と前記外袋との間および前記内袋の内面同士がシールされてなる第1の端部シール部が設けられ、前記挿入口の近傍は、前記長手方向に交差する方向に沿って前記内袋と前記外袋との間および前記内袋の内面同士をシールして第2の端部シール部を形成することが可能であり、前記第1の端部シール部から前記第2の端部シール部が形成される箇所までの間では、前記内袋と前記外袋との間が未シールとされ、前記内袋の前記内容物を収容する空間を底部の側で閉鎖する第1の内袋シール部が、前記内袋のみのシールにより、前記内袋と前記外袋との間が未シールとされた領域に設けられ、前記内袋の前記内容物を収容する空間を前記挿入口の側で閉鎖する第2の内袋シール部が形成される際に前記内袋と前記外袋との間のシールを防ぐ非接着処理部が、前記内袋と前記外袋との間が未シールとされた領域に設けられていることを特徴とする二重袋を提供する。
この二重袋を密封する場合、前記非接着処理部に重なる部分において、前記第2の内袋シール部が、前記内袋のみのシールにより、前記内袋と前記外袋との間が未シールとされた領域に設けられているとともに、前記挿入口において前記内袋と前記外袋との間および前記内袋の内面同士をシールして第2の端部シール部が形成されている構成とすることができる。
【0008】
前記第1の内袋シール部と前記第1の端部シール部との間には、前記長手方向に交差する方向に沿って前記内袋のうち前記内容物を収容する部分を前記第1の端部シール部から分離可能とする、第1の破断手段が設けられ、前記非接着処理部と前記第2の端部シール部との間には、前記長手方向に交差する方向に沿って前記内袋のうち前記内容物を収容する部分を前記第2の端部シール部から分離可能とする、第2の破断手段が設けられていることが好ましい。
前記外袋は、前記長手方向に交差する方向の両側又は片側の側縁部に沿って前記外袋同士のみがシールされる側縁シール部を有し、前記側縁シール部には、前記第1の破断手段に向かって開封可能なノッチからなる第1の開封手段と、前記第2の破断手段に向かって開封可能なノッチからなる第2の開封手段とが設けられていることが好ましい。
前記挿入口側の端部と前記第2の破断手段との間の少なくとも一部において、前記内袋の外面と前記外袋の内面とが接着されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の二重袋によれば、第1の端部シール部および第2の端部シール部を切り離すことにより、内袋と外袋との間のシールを易剥離としなくても内袋を外袋から容易に分離することができるので、内袋に封入された内容物の清浄度を維持しながら外袋を容易に、かつ確実に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(a)は、本発明の一形態例に係る二重袋の正面図、(b)は、(a)のA1−A1線に沿う断面図、(c)は、(a)のB1−B1線に沿う断面図である。
【図2】(a)は、図1に示す二重袋の挿入口を密封した状態を示す正面図、(b)は、(a)のC1−C1線に沿う断面図である。
【図3】(a)は、図1に示す二重袋の第1の破断手段および第2の破断手段を破断した状態を示す正面図、(b)は、内袋を取り出した状態を示す正面図である。
【図4】(a)は、本発明の別の形態例に係る二重袋の正面図、(b)は、(a)のA2−A2線に沿う断面図、(c)は、(a)のB2−B2線に沿う断面図である。
【図5】(a)は、本発明のさらに別の形態例に係る二重袋の正面図、(b)は、(a)のC2−C2線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、好適な実施の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1に本発明の一形態例に係る二重袋1を示す。この二重袋1は、インフレーション法で製造されたチューブ状フィルム11を偏平状とした内袋10と、偏平状の内袋10の両面を覆う外袋20とを有する。
内袋10は、インフレーション法で製造されたチューブ状フィルム11から構成される。チューブの内面は、製造時に外部の環境や部材と接触することがないため清浄度が高いため、チューブ状フィルム11の内側に、内容物を収容する収容空間13が設けられる。
内袋10を構成するフィルム11は、両面においてヒートシール性を有するものであればよく、特に限定されるものではないが、例えば厚さ10〜200μm程度のポリエチレン等の単層フィルムや、外層にポリオレフィン樹脂を配し中間層にバリア性樹脂を挟んだ多層インフレフィルムなどが挙げられる。
【0012】
外袋20は、チューブ状フィルム11の長手方向(図1(a)の上下方向)に交差する幅方向の両側の側縁部に沿ってフィルム21,21同士がシールされてなる側縁シール部22,22を有する。側縁シール部22,22において内袋10がフィルム21とシールされることはなく、内袋10と外袋20との間の未シール部3を介して相互に離間可能とされている。
本形態例の外袋20は、内袋10の片面ずつ(図1(b)の上下両面)にそれぞれ配されたフィルム21,21により構成されている。また、2つ折りのフィルム21を用いて内袋10の両面を覆い、必要に応じて折り返し部を切断除去することもできる。
【0013】
外袋20を構成するフィルム21は、少なくとも片面にヒートシール性を有することが必要であり、内面側の片面にヒートシール性を有するものが好ましい。このようなフィルムとしては例えば、延伸フィルムなどからなる基材層の表面にヒートシール性を有する樹脂からなるシーラント層を積層してなるラミネートフィルムを用いることができる。
基材層としては、二軸延伸ナイロンフィルム(Ny)、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、二軸延伸ポリエステルフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルムなどの延伸フィルムが例示される。
前記シーラント層を構成する樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン―酢酸ビニル共重合体(EVA)、環状ポリオレフィン(COP)などのポリオレフィン系のシーラント樹脂や、コポリマーによる変性や添加物等によってヒートシール性を付与したポリエステル系のシーラント樹脂などが挙げられる。また、イージーピールフィルムや、部分的なイージーピール材のコートを用いることもできる。
フィルム21にガスバリア性を付与するため、必要に応じて、アルミ箔などの金属箔、エチレン―ビニルアルコール共重合体などのガスバリア性樹脂フィルム、金属や無機化合物(例えばシリカやアルミナ等のセラミック)の蒸着層などを中間層としたラミネートフィルムを用いることが好ましい。
【0014】
チューブ状フィルム11の長手方向の一端側(図1(a)の上端側)には、内容物(図示せず)を挿入するための挿入口12が設けられている。この挿入口12と対向する前記長手方向の他端側(図1(a)の下端側)には、内袋10と外袋20との間および内袋10の内面同士がシールされてなる第1の端部シール部2が設けられている。
また、挿入口12の近傍は、フィルム11,21同士が重なり合うことにより、シール可能とされている。これにより、内容物の収容後には、図2に示すように、内袋10と外袋20との間および内袋10の内面同士がシールされてなる第2の端部シール部4を形成することができる。
図2(b)に示すように、底部側にある第1の端部シール部2と、挿入口12側にある第2の端部シール部4との間では、チューブ状フィルム11の長手方向に沿った全体で、内袋10の外面と外袋20の内面との間が未シールとされている。この未シール部3においては、内袋10の外面と外袋20の内面とが接触しても接触しなくても良い。
【0015】
端部シール部2,4は、少なくとも内袋10と外袋20とを連結するためには、端部の少なくとも一部に形成されればよいが、前記長手方向に交差する方向に沿って端部の全幅にわたって延在し、内袋10と外袋20との間の隙間を閉鎖することが好ましい。これにより、内袋10と外袋20との間の未シール部3は、長手方向の両端側がそれぞれ端部シール部2,4により閉鎖されるとともに、幅方向の両側は側縁シール部22,22により閉鎖されるため、外部からの異物や汚染物質の侵入が防止され、内袋10の外面が保護される。
さらに端部シール部2,4は、チューブ状フィルム11の内面同士もシールされることが好ましい。本形態例の二重袋1においては、後述する内袋シール部15,17により内容物収容空間13が閉鎖されるため、端部シール部2,4の位置でチューブ状フィルム11の内面同士が開いている状態でも内容物収容空間13が外部に通じることはない。しかし、内袋シール部15,17の外方に接する未シール部が袋の外部に通じたポケット状の空間となれば、そこに侵入した異物や汚染物質が端部シール部2,4を切り離したときに放出され、汚染の原因となりやすい。
図1(a)に示す構成では、未シール部3は、第1の端部シール部2の内縁から挿入口12の端縁に至るまで、内袋10と外袋20との間に未シール部3が設けられている。
【0016】
第1の端部シール部2の近傍には、内袋10の収容空間13を底部の側で閉鎖する第1の内袋シール部15が設けられている。第1の内袋シール部15は、内袋10のみのシールにより、内袋10と外袋20との間の未シール部3の範囲内に設けられる。第1の内袋シール部15は、外袋フィルム21をチューブ状フィルム11の上に覆う前に形成することができる。また、後述する非接着処理部23と同様な非接着処理を、第1の内袋シール部15が形成される領域にも施すと、チューブ状フィルム11の上を外袋フィルム21で覆った後に、第1の内袋シール部15を形成することができる。
【0017】
挿入口12の近傍には、内容物の収容後に、図2に示すように内袋10の収容空間13を挿入口12の側で閉鎖する第2の内袋シール部17を形成することができる。第2の内袋シール部17は、内袋10のみのシールにより、内袋10と外袋20との間の未シール部3の範囲内に設けられる。
この第2の内袋シール部17が形成される際に、内袋10の外面と外袋20の内面との間のシールを防ぐため、第2の内袋シール部17が形成される範囲を含む領域に非接着処理部23が設けられている。第2の内袋シール部17は、非接着処理部23と重なる少なくとも一部の領域に形成される。
非接着処理部23の幅は、第2の内袋シール部17に必要なシール幅より数倍程度大きい(例えば2倍以上)と、作業者によって第2の内袋シール部17を形成する位置がばらついても非接着処理部23の範囲内に収まりやすくなり、好ましい。
非接着処理部23を施すことなく第2の内袋シール部17を形成しようとすると、例えば挿入口12側で内袋フィルム11と外袋フィルム21との間を広げて適切な部材を挿入する等、複雑な設備や構造が必要になり、あるいは袋を破損するおそれがある。
【0018】
非接着処理部23は、図2(b)に示すように、外袋20を構成するフィルム21の内面に設けると、非接着処理加工が容易となる上、外袋20を取り外した後の内袋10(図3(b)参照)に非接着処理部23が残らないことから、クリーンルームへの影響が抑制され、好ましい。非接着処理部23は、内袋フィルム11の外面に、あるいは内袋10と外袋20の両方に設けることもできる。
非接着処理部23の処理方法は、特に限定されるものではないが、フッ素樹脂やシリコーンなどの剥離剤を塗布したり、内袋フィルム11とのシール強度が低い樹脂や金属等の薄膜を部分的にラミネートしたり、片面が内袋フィルム11とのシール強度が低いフィルムからなる多層フィルムを溶着したりする方法が挙げられる。非接着処理部23による内袋10と外袋20の間のシール強度は、例えば1N/15mm以下が好ましく、なるべく0に近いことが望ましい。
端部シール部2,4や側縁シール部22におけるシール強度は、易剥離とする必要がなく、強いシールが好ましい。例えば15N/15mm以上、さらには23N/15mm以上が好ましい。
【0019】
ハサミやカッター等の工具を用いることなく、端部シール部2,4の切り離しを可能にするため、破断手段14,16を設けることが好ましい。第1の内袋シール部15と第1の端部シール部2との間には、前記長手方向に交差する方向に沿って、内袋10のうち内容物を収容する部分を、第1の端部シール部2から分離可能とする第1の破断手段14が設けられている。また、非接着処理部23と挿入口12との間には、前記長手方向に交差する方向に沿って、内袋10のうち内容物を収容する部分を、第2の端部シール部4から分離可能とする第2の破断手段16が設けられている。
破断手段14,16としては、例えばミシン目やハーフカット溝が挙げられる。また、破断位置を示す印刷線等の表示を設けることもできる。破断手段14,16は、内袋シール部15,17で閉鎖される内容物の収容空間13に通じていないため、チューブ状フィルム11を貫通するミシン目などでも構わない。
第2の端部シール部4は第2の破断手段16と重なることのないよう、第2の破断手段16と挿入口12との間の、前記長手方向に沿った距離は、第2の端部シール部4の形成されるシール予定幅よりも大きく確保することが好ましい。
【0020】
図2のように内容物を封入または充填密封した二重袋1を開封する場合、第1の破断手段14と第2の破断手段16に沿って内袋10および外袋20を破断する。本形態例の場合、第1の破断手段14に向かって開封可能なノッチからなる第1の開封手段25と、前記第2の破断手段に向かって開封可能なノッチからなる第2の開封手段24とが、側縁シール部22に設けられているので、これらの開封手段24,25から開封することにより、破断手段14,16に沿った破断が容易になっている。破断手段14,16と重なる位置の外袋20には、外袋フィルム21の破断を容易にするための開封補助手段を設けたり、破断位置を示す印刷線等の表示を設けたりすることもできる。外袋フィルム21に開封補助手段を設ける場合は、フィルム21を貫通しないハーフカット溝や、一軸延伸による引き裂き容易なフィルムを用いることが好ましい。
【0021】
両方の破断手段14,16を破断すること等により、図3(a)に示すように、内袋10と外袋20とを連結する端部シール部2,4を除去すると、外袋20の両端に開封口5,5が形成される。端部シール部2,4の間で内袋10と外袋20との間が未シールであり、内袋10と外袋20とが連結した部分は端部シール部2,4に限られているため、端部シール部2,4を切り離して除去すれば、外袋20から内袋10を分離することができる。切り離しにより内袋10を分離するため、端部シール部2,4を易剥離とする必要はなく、意図せずに開封しにくい強シールとすることができる。
さらに開封口5を通して、内袋10の周囲から外袋20を取り外し、あるいは筒状の外壁が残った外袋20の中から内袋10を取り出すと、図3(b)に示すように、内容物を収容した内袋10を露出させることができる。この内袋10の外面は、必要に応じて清掃や清浄化を施すことができる。
内袋10は、破断手段14,16よりも内側において、内袋シール部15,17により閉鎖されているため、破断手段14,16を破断して端部シール部2,4を除去した後でも内袋10が開封されず、内袋10の密封状態を維持することができる。これにより、開封前に表面の清浄化が必要となる場合にも、作業中に内容物が汚染されるおそれがない。
【0022】
以上、本発明を好適な実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の形態例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
例えば、図4に示すように、外袋20の片側にのみ側縁シール部22を設け、反対側の側縁シール部22は、フィルム21を2つ折りにした折り返し部26として構成することができる。この場合も、同様に挿入口12を密封し、第2の端部シール部4を形成した後、端部シール部2,4を切り離して外袋20の両端に開封口5,5を形成することにより、内袋10と外袋20とを分離することができる。
【0023】
また、図5に示すように、挿入口12側で、内袋フィルム11の外面と外袋フィルム21の内面とを接着した接着部18を設けることもできる。この場合、収容空間13に向けて挿入口12を開きやすく、内容物を誤って内袋フィルム11と外袋フィルム21との間の未シール部3に挿入することを防止することができる。また、内容物の収容時に内容物の内袋フィルム11の内面に引っかかったり、内容物の荷重が第1の内袋シール部15に加わったりしても、内袋フィルム11が奥へ押し込まれにくくなり、好ましい。
内袋フィルム11の外面と外袋フィルム21の内面との接着は、シール(溶着)のほか、接着剤や粘着剤などを用いた接着・粘着など、特に制限はないが、フィルム11,21以外の材料を用いる必要がなく、衛生や清浄度を維持しやすいことから、シールが好ましい。
図5(a)では接着部18を挿入口12の端部に沿って線状に延在させた例を示したが、1個または複数個の点状、破線状、内袋10の幅未満の短線状など、部分的な接着でもよい。接着部18を形成する際、側縁シール部22の近傍で外袋フィルム21の内面同士が接着されても構わない。接着部18の両端が側縁シール部22または折り返し部26に到達するまで全幅にわたり接着部18を設けた場合、内容物の収納前から未シール部3を閉鎖して、内袋フィルム11の外面の汚染をより確実に防止することができる。
接着部18の位置は、第2の端部シール部4を除去する際、一緒に接着部18を除去できるように選択することが好ましい。第2の破断手段16を設けた場合は、挿入口12側の端部と第2の破断手段16との間が望ましい。第2の破断手段16を設けていない場合は、挿入口12側の端部と非接着処理部23との間でよい。接着部18と第2の内袋シール部17との間で破断することで、第2の端部シール部4を分離すると同時に接着部18を除去することができる。
第2の端部シール部4を形成する予定位置内に接着部18を設けると、第2の端部シール部4の形成の際に接着部18を埋め込むことができるので好ましい。
【0024】
二重袋1の寸法は特に限定されるものではないが、クリーンルーム内または付属する搬出入用領域や仮設室等において、例えば手袋を着用したままでも開封作業が容易なように、寸法に余裕を設けることが好ましい。
袋の高さ(前記長手方向の寸法)および幅(前記長手方向に直交する方向の寸法)としてそれぞれ30〜300cm程度が例示される。高さと幅の大小関係は特に限定されず、高さと幅とが同程度のもの、高さが幅より大きいもの、幅が高さより大きいものなど、いずれも適用可能である。
【0025】
端部シール部2,4と内袋シール部15,17との間は、端部シール部2,4を切り離す際に誤って内袋シール部15,17を開いてしまうトラブルを避けるため、前記長手方向に沿って離間されることが好ましい。
内袋シール部15,17のシール幅を大きくとるなどして内袋シール部15,17の意図しない開封が起こりにくい場合は、端部シール部2,4と内袋シール部15,17とが接していても良い。また、その場合、端部シール部2,4における内袋10の内面同士のシール部が内袋シール部15,17と連続していても良い。
【符号の説明】
【0026】
1…二重袋、2…第1の端部シール部、3…内袋と外袋との間の未シール部、4…第2の端部シール部、5…開封口、10…内袋、11…チューブ状の内袋フィルム、12…挿入口、13…内容物を収容する空間、14…第1の破断手段、15…第1の内袋シール部、16…第2の破断手段、17…第2の内袋シール部、18…接着部、20…外袋、21…外袋フィルム、22…側縁シール部、23…非接着処理部、24…第2の開封手段、25…第1の開封手段、26…折り返し部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インフレーション法で製造されたチューブ状フィルムを偏平状とした内袋と、前記偏平状の内袋の両面を覆う外袋とを有する包装用の二重袋であって、
前記内袋を構成するチューブ状フィルムの長手方向の一端側には、内容物を挿入するための挿入口が設けられ、
前記挿入口と対向する前記長手方向の他端側には、前記長手方向に交差する方向に沿って前記内袋と前記外袋との間および前記内袋の内面同士がシールされてなる第1の端部シール部が設けられ、
前記挿入口の近傍は、前記長手方向に交差する方向に沿って前記内袋と前記外袋との間および前記内袋の内面同士をシールして第2の端部シール部を形成することが可能であり、
前記第1の端部シール部から前記第2の端部シール部が形成される箇所までの間では、前記内袋と前記外袋との間が未シールとされ、
前記内袋の前記内容物を収容する空間を底部の側で閉鎖する第1の内袋シール部が、前記内袋のみのシールにより、前記内袋と前記外袋との間が未シールとされた領域に設けられ、
前記内袋の前記内容物を収容する空間を前記挿入口の側で閉鎖する第2の内袋シール部が形成される際に前記内袋と前記外袋との間のシールを防ぐ非接着処理部が、前記内袋と前記外袋との間が未シールとされた領域に設けられていることを特徴とする二重袋。
【請求項2】
前記非接着処理部に重なる部分において、前記第2の内袋シール部が、前記内袋のみのシールにより、前記内袋と前記外袋との間が未シールとされた領域に設けられているとともに、前記挿入口において前記内袋と前記外袋との間および前記内袋の内面同士をシールして第2の端部シール部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の二重袋。
【請求項3】
前記第1の内袋シール部と前記第1の端部シール部との間には、前記長手方向に交差する方向に沿って前記内袋のうち前記内容物を収容する部分を前記第1の端部シール部から分離可能とする、第1の破断手段が設けられ、
前記非接着処理部と前記第2の端部シール部との間には、前記長手方向に交差する方向に沿って前記内袋のうち前記内容物を収容する部分を前記第2の端部シール部から分離可能とする、第2の破断手段が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の二重袋。
【請求項4】
前記外袋は、前記長手方向に交差する方向の両側又は片側の側縁部に沿って前記外袋同士のみがシールされる側縁シール部を有し、前記側縁シール部には、前記第1の破断手段に向かって開封可能なノッチからなる第1の開封手段と、前記第2の破断手段に向かって開封可能なノッチからなる第2の開封手段とが設けられていることを特徴とする請求項3に記載の二重袋。
【請求項5】
前記挿入口側の端部と前記非接着処理部との間の少なくとも一部において、前記内袋の外面と前記外袋の内面とが接着されていることを特徴とする請求項1または2に記載の二重袋。
【請求項6】
前記挿入口側の端部と前記第2の破断手段との間の少なくとも一部において、前記内袋の外面と前記外袋の内面とが接着されていることを特徴とする請求項3または4に記載の二重袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−126437(P2012−126437A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280417(P2010−280417)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000224101)藤森工業株式会社 (292)
【Fターム(参考)】