説明

亜鉛及び亜鉛系合金被膜を有する鋼板用コーティング組成物、これを利用した被膜形成方法、及びこれにより形成された被膜を有する鋼板

【課題】接着力、アルカリ脱膜性及び潤滑性に優れ、なおかつ外観も美麗なコーティング被膜を形成できる亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板用コーティング組成物、これを利用した鋼板への被膜形成方法、及びこれにより形成されたコーティング被膜を有する鋼板を提供する。
【解決手段】亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板用コーティング組成物であって、次亜リン酸:1〜30重量%、マンガン:0.1〜10重量%、ポリビニール化合物:0.01〜5重量%、酸化亜鉛、及び残部:水を含み、必要に応じて20重量%以下のアルコールをさらに含み、上記酸化亜鉛は、上記コーティング組成物50mlを0.1NのNaOHで中和滴定する場合、中和滴定に消費されるNaOHの量が10.0ml以下になる量で含まれ、上記コーティング組成物中の遊離酸の含有量は、上記コーティング組成物50mlを0.1NのNaOHで中和滴定する場合、中和滴定に消費されるNaOHの量が10.0ml以下になる量に制御される亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板用コーティング組成物である。このコーティング組成物を利用して形成されたコーティング被膜は、優れた潤滑性、接着性及び脱膜性を表し、なお表面外観も美麗である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板にコーティング被膜を形成するコーティング組成物、これを利用した被膜形成方法、及びこれにより形成された被膜を有する亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板に関する。
【0002】
さらに詳細には、本発明は、亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板に潤滑性と接着性及び脱膜性に優れ、なお、表面の外観が美麗なコーティング被膜を形成するためのコーティング組成物、これを利用した被膜形成方法、及びこれにより形成された被膜を有する亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板に関する。
【背景技術】
【0003】
亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板としては、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、亜鉛系合金電気めっき鋼板及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板などを例に挙げることができる。
【0004】
上記亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板は、亜鉛めっき層の犠牲防蝕の作用によって、鋼板を保護する能力に優れている。
【0005】
特に、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(Galvannealed steel sheet;以下、GA鋼板と称することがある)の鉄(Fe)の中の含有量は合金化度に応じて差はあるが、GA鋼板は、通常9〜12重量%のFeを有する場合、鉄(―0.44V)より低い標準電極電位を有する。この場合、GA鋼板上に亜鉛めっき層が形成されれば、犠牲防蝕作用によって鋼板を保護する能力に優れ、かつ低コストで製造が容易なため、GA鋼板は主に自動車用鋼板として使用される。
【0006】
しかしながら、亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板は、被膜が極めて粗くもろいゆえに、加工時にダイとの接触面積が広く、かつ、接着が容易であるから、摩擦力が大きいため、すなわち、摩擦係数が高いため、加工性が悪いという短所を有する。
【0007】
したがって、亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板をプレス成形するときに高い摩擦荷重によって鋼板自体に亀裂が入る現象が発生することがあるが、これは、自動車製造工程上、生産性及び作業性を低下させる要因として作用する。
【0008】
これに関して、摩擦係数を低くして加工性を向上させた鋼板の例として、フラッシュ鋼板を例に挙げることができる。
【0009】
上記フラッシュ鋼板は、亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板上に、鉄又はリンが90重量%以上含有されるように、電気めっき法で鉄−亜鉛(Fe−Zn)、鉄−マンガン(Fe−Mn)又はリン−鉄(P−Fe)のような合金を3000〜5000mg/mの被膜量で薄くめっきした鋼板である。
【0010】
しかしながら、上記フラッシュ鋼板は、製造原価が高価なため、自動車業界では、製造原価の側面で使用が望まれない状況である。
【0011】
摩擦係数を低くして加工性を向上させた鋼板の他の例として、リン酸塩系潤滑鋼板を例に挙げることができる。
【0012】
上記潤滑鋼板は、作業性に優れたニッケル、マンガン、亜鉛の2元系又は3元系金属化合物が含有されたリン酸塩溶液を亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板に塗布したものであって、加工性に優れており、かつ低コストであるという長所を有する。
【0013】
しかしながら、リン酸は弱酸であるから、リン酸塩溶液中の遊離酸をある限界以上に減らすことは不可能であり、それによって被膜中に遊離リン酸が多量に残留することがある。
【0014】
上記遊離リン酸は、自動車製造工場で車体を組立てるときに、内・外板又はヘムフランジ部位の鋼板を接着させるために使用される接着剤の接着力を顕著に低下させる。
【0015】
すなわち、上記遊離リン酸は、鋼板の表面と接着剤との間の結合力を妨害して接着剤の密着力を落とし、これによって接着剤の接着性を顕著に低下させることがある。
【0016】
したがって、コーティング後に水洗をしないリン酸塩系潤滑塗布型鋼板の場合は、加工性をはじめとする溶接性、塗装性及び耐食性は良好であるが、被膜中に遊離リン酸が多いから、接着剤の接着性が非常によくないという問題点を有している。
【0017】
本発明者らは、特許文献1で、加工性、溶接性、塗装性及び耐食性を有し、かつ接着性を改善させた鋼板を提案している。
【0018】
しかしながら、上記特許文献1に開示された鋼板では、一部の接着剤において接着性が多少低下することを確認することができた。
【0019】
また、車体組立が終われば、電着塗装のためにアルカリ脱脂及び化成処理工程を経るが、アルカリ脱脂工程にて潤滑コーティング被膜が完全に除去されないと、化成皮膜の結晶粒形態や大きさなどが不均一であるから、電着塗装時にピンホールや噴火口形態のクレーターのような塗膜表面の欠陥を引き起こすことがある。
【0020】
そして、ロールコーターを利用して潤滑鋼板を製造する場合にも、コーティング溶液が鋼板に対して濡れ性が低下し、乾燥速度が遅いと、表面に多数の微細縞を作るという現象が現れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】韓国特許出願第2006−135682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
そこで、本発明は、上記した問題点を解決するために提案されたものであって、本発明の目的は、亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板に接着剤の接着力、アルカリ脱膜性及び潤滑性に優れたコーティング被膜を形成することができる亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板用コーティング組成物を提供することにある。
【0023】
本発明の他の目的は、亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板の表面に接着剤の接着力、アルカリ脱膜性及び潤滑性に優れたコーティング被膜を形成する方法を提供することにある。
【0024】
本発明のさらに他の目的は、接着剤の接着力、アルカリ脱膜性及び潤滑性に優れたコーティング被膜を有する亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板を提供することにある。
【0025】
本発明のさらに他の目的は、亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板に接着剤の接着力、アルカリ脱膜性及び潤滑性に優れ、かつ表面の外観も美麗なコーティング被膜を形成することができる亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板用コーティング組成物を提供することにある。
【0026】
本発明のさらに他の目的は、亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板の表面に接着剤の接着力、アルカリ脱膜性及び潤滑性に優れ、かつ表面が美麗なコーティング被膜を形成する方法を提供することにある。
【0027】
本発明のさらに他の目的は、接着剤の接着力、アルカリ脱膜性及び潤滑性に優れ、かつ表面の外観が美麗なコーティング被膜を有する亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0028】
以下、本発明について説明する。
【0029】
本発明の一側面によれば、亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板用コーティング組成物であって、次亜リン酸:1〜30重量%、マンガン:0.1〜10重量%、ポリビニール化合物:0.01〜5重量%、酸化亜鉛、及び残部:水を含み、必要に応じて20重量%以下のアルコールをさらに添加し、前記酸化亜鉛は、前記コーティング組成物50mlを0.1NのNaOHで中和滴定する場合に、中和滴定に消費されるNaOHの量が10.0ml以下になる量で含まれ、前記コーティング組成物中の遊離酸の含有量は、前記コーティング組成物50mlを0.1NのNaOHで中和滴定する場合に、中和滴定に消費されるNaOHの量が10.0ml以下になる量に制御されることを特徴とする、亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板用コーティング組成物が提供される。
【0030】
本発明の他の側面によれば、亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板に本発明の亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板用コーティング組成物を被膜付着量が100〜2000mg/mになるように塗布するステップと、塗布後、30〜200℃の温度で前記鋼板を乾燥するステップとを含む、亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板への被膜形成方法が提供される。
【0031】
本発明のさらに他の側面によれば、本発明の亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板への被膜形成方法によって形成された被膜であって、片面当たりの被膜付着量が100〜2000mg/mである被膜を有する、亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板が提供される。
【発明の効果】
【0032】
本発明によるコーティング組成物を利用して、亜鉛及び亜鉛系合金メッキ鋼板に形成されたコーティング被膜は、亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板に対する優れた潤滑性、接着性及び脱膜性を表し、かつ表面の外観も美麗である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】コーティング組成物のうち、ポリビニール化合物の添加量に応じる接着剤の凝集破壊率の変化を示すグラフである。
【図2】アルカリ溶液のpHがコーティング被膜のアルカリ溶液脱膜性に及ぼす影響を示すグラフである。
【図3】コーティング組成物のうち、遊離酸の濃度変化に応じる接着剤の凝集破壊率の変化を示すグラフである。
【図4】溶液中のアルコールの濃度に応じる表面縞の発生の程度を示したグラフである。
【図5】被膜付着量の変化に応じる摩擦係数の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0035】
亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板にコーティング被膜、具体的にリン−亜鉛−マンガンに添加剤としてポリビニール化合物が含有された被膜を形成するために使用される本発明の一実施形態のコーティング組成物(被膜形成組成物)は、酸化力が極めて大きい次亜リン酸を主成分とし、遊離酸の含有量が制御されたものであって、本発明のコーティング組成物を利用して亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板に形成された被膜は、潤滑性、脱膜性はもちろん、優れた接着性を示す。
【0036】
本発明の一実施形態のコーティング組成物は、次亜リン酸、マンガン、ポリビニール化合物、酸化亜鉛、及び残部:水を含み、遊離酸の濃度が制御され、必要に応じてアルコールをさらに含有することができる。
【0037】
なお、本発明の一実施形態のコーティング組成物には、ワックス、潤滑剤などが必要に応じて任意に添加されうる。
【0038】
もちろん、本発明の一実施形態のコーティング組成物には、ワックス、潤滑剤の他にも、この技術分野にて必要に応じて任意に添加されうる成分が含まれることができる。
【0039】
本発明の一実施形態のコーティング組成物において次亜リン酸とマンガンは、潤滑性を決定する因子である。次亜リン酸は、組成物の総重量うち、1〜30重量%、好ましくは、5〜15重量%、さらに好ましくは、5〜10重量%で配合され、及びマンガンは、組成物の総重量うち、0.1〜10重量%、好ましくは、0.1〜1重量%、さらに好ましくは、0.1〜0.5重量%で配合される。
【0040】
上記次亜リン酸の含有量が1重量%未満であると、潤滑性が低下し、30重量%を超過すれば、溶液管理が難しく、遊離酸の濃度を落とすための酸化亜鉛の投入量が多くなるため、極めて非経済的である。
【0041】
潤滑性及び経済性などを考慮すれば、上記次亜リン酸の含有量は、1〜30重量%、好ましくは、5〜15重量%、さらに好ましくは、5〜10重量%にするものである。
【0042】
上記マンガンの含有量が0.1重量%未満であると、潤滑性が悪く、10重量%を超過すれば、マンガンが完全に溶解され難く、非経済的である。
【0043】
潤滑性及び経済性などを考慮すれば、上記マンガンの含有量は、0.1〜10重量%、好ましくは、0.1〜1重量%、さらに好ましくは、0.1〜0.5重量%にするものである。
【0044】
一方、コーティング組成物中にマンガンを適切な量で確保する方法には、金属マンガンを組成物に直接溶解する方法と、炭酸マンガンや過マンガン酸カリウムなどを目標とするマンガン量に換算して溶解することもできる。
【0045】
上記ポリビニール化合物は、鋼板の接着性を向上させるために添加するものであって、ポリ酢酸ビニール(PVA)、ポリビニールアルコール(PVAL)、ポリビニールブチラール(PVB)、ポリビニールホルマール(PVF)、ポリビニルエーテル(PVE)のような物質がここに該当し、これらのうち、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
【0046】
上記ポリビニール化合物は、0.01%以下で添加すると、接着性が向上することができず、5%以上で添加すると、非経済的なものはもちろん、溶液に気泡発生量が多くなるから作業性が大きく低下し、接着性もこれ以上向上しない。
【0047】
図1は、コーティング組成物のうち、ポリビニール化合物(ポリビニールアルコール)の濃度変化に応じる接着剤の凝集破壊率をグラフにて示したものである。
【0048】
図1に示したように、ポリビニールアルコールの濃度が0.05重量%以上になってこそ、接着剤の凝集破壊率が100%に達して、接着性に優れるが、0.5重量%以上では、一定の接着性を示すことが分かる。
【0049】
接着性、経済性及び作業性などを考慮すれば、上記ポリビニール化合物の含有量は、0.01〜5重量%、好ましくは、0.05〜0.5重量%、さらに好ましくは、0.05〜0.1重量%にする。
【0050】
上記酸化亜鉛は、組成物中の遊離酸の含有量を最小化するために添加するものであって、コーティング組成物中に酸化亜鉛は、上記コーティング組成物50mlを0.1NのNaOHで中和滴定する場合に、中和滴定に消費されるNaOHの量が10.0ml以下、好ましくは、8.3〜8.8mlになる量で添加する。
【0051】
したがって、本発明の一実施形態によるコーティング組成物において遊離酸の濃度は、コーティング組成物50mlを0.1NのNaOHで中和滴定する場合に、中和滴定に消費されNaOHの量が10ml以下、好ましくは、8.3〜8.8mlになる量に制御される。
【0052】
また、上記遊離酸の濃度は、溶液のpHを決定し、遊離酸は、酸化亜鉛の添加量に応じて変化するため、遊離酸の濃度を10ml以下に維持するために、上記のような酸化亜鉛が添加されれば、このときの遊離酸の濃度10mlが溶液pH2.5に該当する。
【0053】
遊離酸の濃度を10ml超過に上昇させれば、溶液のpHが2.5以下に減少し、これは、溶液の反応性が大きくなる結果を引き起こすため、結局、コーティング被膜がアルカリ脱脂溶液によって完全に除去されない現象が発生する。しかしながら、溶液のpHを3以上に増大させれば、脱膜性は良くなるが、溶液中に沈殿物が生成され始めるため、溶液の安定性が悪くなり長期的には使用が難しくなる。
【0054】
図2は、アルカリ溶液のpHが被膜の脱膜性に及ぼす影響を示したグラフであって、pH2.5を基準に2.5未満では、脱膜性が100%に到達しないことが分かる。
【0055】
図3は、コーティング組成物のうち、遊離酸の濃度変化に応じる接着剤の凝集破壊率をグラフにて示した。グラフの横軸は、コーティング組成物50mlの中和滴定に使用された0.1NのNaOHの量を示す。
【0056】
図3のように、コーティング溶液のうち、遊離酸の含有量が10ml超過では、接着剤の凝集破壊率が落ちることが分かる。
【0057】
本明細書では、便宜上上記コーティング組成物中の遊離酸の含有量をコーティング組成物が0.1NのNaOHで滴定するときに消費される量で示したが、これに限定するものではなく、他のアルカリ溶液などで滴定して同じ酸濃度を表す場合を含むことはもちろんである。
【0058】
コーティング組成物50ml中の遊離酸の含有量が10mlの0.1NのNaOHに該当する濃度を超過すれば、亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板に対するコーティング被膜、すなわち、リン−亜鉛−マンガン被膜の接着性が落ちる。
【0059】
また、コーティング組成物のうち、遊離酸の濃度は、少ないほど好ましく、その下限が限定されない。ただし、コーティング組成物50ml中の遊離酸の含有量が8.3mlの0.1NのNaOHに該当する濃度未満であると、コーティング組成物とめっき鋼板との反応性が少なくて潤滑被膜の密着力が弱くなり、溶液に沈殿物が形成されることがある。
【0060】
コーティング組成物50ml中の遊離酸の含有量が10mlの0.1NのNaOHに該当する濃度未満になるように概略的にするために、コーティング組成物の中で酸化亜鉛は、ほぼ飽和状態の溶解度で組成物に使用される。
【0061】
これに限定するものではないが、例えば、本発明の一実施形態によるコーティング組成物(被膜形成組成物)にて次亜リン酸が7重量%であるとき、酸化亜鉛を2重量%添加すれば、コーティング組成物50ml中の遊離酸の含有量を10mlの0.1NのNaOHに該当する濃度未満に管理できる。
【0062】
一方、本発明の一実施形態の被膜形成組成物にアルコールを添加すれば、溶液の表面張力が大きくなって、広がり性と濡れ性が向上し、溶液の揮発性が高くなって乾燥速度を増大させる機能を果たすので、コーティング時に縞やむらのない均一し美麗なコーティング被膜を得ることができる。
【0063】
上記の特性を考慮して、20重量%以下のアルコールが本発明の一実施形態のコーティング組成物にさらに含有されることができる。
【0064】
好ましいアルコールの含有量は、3.0〜20重量%で、さらに好ましいアルコールの含有量は、5〜10重量%である。
【0065】
上記アルコール含有量が20重量%を超過すれば、組成物の熟成が促進されるので好ましくない。アルコールを添加して充分な表面張力の増加効果と乾燥能力を確保することによって、表面の外観が美麗なコーティング被膜を得るためには、5重量%を超過して添加することが好ましい。
【0066】
アルコールには、エチルアルコールが通常使用されうる。
【0067】
図4は、溶液中のアルコールの濃度が鋼板の表面の外観に及ぼす影響を示したものである。縦軸の縞の発生程度は、任意に等級を設定したものであって、等級が高いほど縞の発生が激しいことを意味し、5等級は、非常に多くの縞の発生、4等級は多くの縞の発生、3等級は、普通の縞の発生、2等級は、わずかな縞の発生、及び1等級は、縞のない良好な状態を表す。
【0068】
図4から分かるように、溶液中にアルコールを5.0%超過して添加するときから、縞が発生しないことが分かる。
【0069】
これに限定するものではないが、本発明の一実施形態のコーティング組成物は、例えば、次亜リン酸:10重量%、酸化亜鉛:2重量%、マンガン:0.5重量%、ポリビニール化合物:0.1%、エチルアルコール:9重量%、及び残部:水を含み、上記コーティング組成物中の遊離酸の含有量がコーティング組成物50mlを0.1NのNaOHで中和滴定する場合に、中和滴定に消費されるNaOHの量が10ml以下になる量に制御される。
【0070】
上記のように組成されたコーティング組成物を利用して、めっき鋼板にコーティング被膜を形成すれば、優れた接着力、潤滑性及び脱膜性を有し、表面の外観が美麗なコーティング被膜を得ることができる。
【0071】
本発明によれば、上記本発明の一実施形態の被膜形成組成物を鋼板、具体的には、亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板にコーティングし乾燥することによって、めっき鋼板にコーティング被膜、具体的にリン−亜鉛−マンガンにポリビニール化合物が添加された被膜が形成される。
【0072】
本発明の一実施形態の被膜形成組成物は、亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板に被膜付着量が100〜2000mg/m、好ましくは、100〜1000mg/m、さらに好ましくは、200〜400mg/mになるように塗布する。
【0073】
本発明の一実施形態のコーティング組成物は、めっき鋼板の一面又は両面に被覆されうる。
【0074】
被膜付着量が100mg/m未満であると、潤滑鋼板本来の目的である潤滑性が悪くなり、2000mg/mを超過すれば、潤滑性及び脱脂性の向上効果がなく、溶接性及び塗装性などにもよくない。
【0075】
図5は、被膜付着量の変化に応じる摩擦係数の変化をグラフにて示したものである。
【0076】
図5に示すように、本発明の片面被膜付着量の範囲で低い摩擦係数を表すことが分かる。
【0077】
潤滑性、溶接性、脱脂性及び塗装性などを考慮すれば、コーティング組成物の付着量は、片面被膜付着量が100〜2000mg/m、好ましくは、100〜1000mg/m、さらに好ましくは、200〜400mg/mになるようにするものである。
【0078】
一方、コーティングはこれに限定するものではないが、例えば、ロールコーターを利用するか、又は組成物を鋼板の表面に噴射して行なうことができる。しかしながら、何れの場合にも、コーティング後に鋼板を水洗してはいけない。コーティングは、通常、常温で行なうことができる。コーティング後、乾燥は、30〜200℃、好ましくは、70〜100℃の温度で行なうことができる。鋼板の温度が30℃以下であると、被膜が完全に乾燥されず、200℃以上であると、非経済的である。
【0079】
乾燥性及び経済性などを考慮すれば、乾燥温度は、30〜200℃、好ましくは、70〜100℃にすることが良い。
【0080】
被膜形成組成物の乾燥被膜付着量100〜2000mg/m、好ましくは、100〜1000mg/m、さらに好ましくは、200〜400mg/mの被膜を有する亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板は、優れた加工性、接着性及び脱膜性を有し、かつ美麗な外観も有する。
【実施例】
【0081】
以下、実施例にて本発明をさらに詳細に説明する。
【0082】
(実施例1)
厚さが0.8mmであるGA鋼板を100×150mmに切断して脱脂し、バーコーター3番を利用して下記の表1の組成で配合されたコーティング組成物(被膜形成組成物)を下記の表1の付着量でGA鋼板の一面にコーティングし、50℃で乾燥してリン酸塩被膜を形成して試片を製造した。
【0083】
下記の表1にてコーティング組成物中の遊離酸の含有量は、コーティング組成物50mlの滴定に使用された0.1NのNaOHの量で表した。
【0084】
酸化亜鉛は、コーティング組成物50ml中の遊離酸の含有量がそれぞれ下記の表1に示した量になる量でコーティング組成物に配合された。
【0085】
その後、製造された組成物に対する接着性、摩擦係数及び経済性を評価し、その結果を下記の表1に示した。
【0086】
接着性は、試片を一個当たり100×25mmに3個ずつ切断して、酢酸アルコールで脱脂し、R303−PX2洗浄油に浸漬した後、24時間放置し、評価した。
【0087】
24時間経過後に、25×25mmの試片の1片にのみ1mm厚さにヘムフランジ用接着剤(PV5308、セメダインヘンケル社製、トヨタ自動車社用)を塗布し、150℃で20分間乾燥した後、50mm/分の速度でせん断引張強度試験を実施し、試験を終えた試片に対して破壊が起きた形態を観察することによって、接着剤の凝集破壊率を決定した。
【0088】
使用したPV5308ヘムフランジ用接着剤の凝集破壊率は、100%を達成しなければならず、これは、接着剤と鋼板との界面剥離が発生しない状態を意味する。
【0089】
従来例と一部比較例では、次亜リン酸の代わりにリン酸8.1重量%を含むコーティング組成物を使用した。
【0090】
大部分の比較例と発明例では、次亜リン酸を使用した。
【0091】
摩擦係数は、試片を45×150mmに切断して洗浄油(P−DBH)を塗布した後、3.5cm×3.5cmのダイに650kgfの荷重を加え、引抜速度1000mm/分で引き抜いて、引抜時に加わる荷重を650kgfの荷重で割り算し、測定した。摩擦係数は、各試片に対して3回測定した後、その平均値を下記の表1に示した。
【0092】
一方、次亜リン酸量が30重量%以上、ポリビニール化合物が5重量%以上、マンガンが10重量%以上、又は被膜付着量が2000mg/m以上である場合は、コーティング組成物の特性の向上程度が大きくないため、上記条件のうち、何れか一つに該当すれば、非経済的Xであると判定した。
【0093】
【表1】

【0094】
上記表1に示したように、リン酸を使用するが、ポリビニール化合物が添加されない溶液を使用した従来例1の場合は、摩擦係数は低いが、溶液中の遊離酸が11.8mlで多いため、接着剤の凝集破壊率が0%と接着性がよくないことが分かった。
【0095】
また、比較例2〜8から分かるように、次亜リン酸を使用し遊離酸の濃度が10ml以下に低くても、ポリビニール化合物を使用しないと接着性を確保することができなかった。
【0096】
そして、比較例9〜10のように、従来のリン酸溶液を使用して遊離酸の濃度が高いと、溶液中にポリビニール化合物を適正量添加しても、100%の接着剤の凝集破壊率は確保できないことが分かった。
【0097】
また、比較例11〜17のように、遊離酸の濃度が10ml以下であっても、次亜リン酸、ポリビニール化合物及びマンガンの含有量と被膜付着量のうち、少なくとも一つが本発明の範囲から逸脱する場合には、摩擦係数、接着性及び経済性のうち、少なくとも一つの特性がよくないことが分かった。
【0098】
被膜付着量が200mg/m未満である場合(比較例2、7、11、17)には、摩擦係数が高くて加工性が悪くなると予測できた。
【0099】
一方、発明例1〜10のように、次亜リン酸、マンガン及びポリビニール化合物の含有量、遊離酸の濃度及び被膜付着量が本発明の条件を満たす場合には、PV5308接着剤の凝集破壊率が100%で、摩擦係数も0.157以下と優れた被膜物性を示すことが分かった。
【0100】
(実施例2)
厚さが0.8mmであるGA鋼板を100×150mmに切断して脱脂し、バーコーター3番を利用して下記の表2の組成で配合されたコーティング組成物(被膜形成組成物)を下記の表2の付着量でGA鋼板の一面にコーティングし、50℃で乾燥してリン酸塩被膜を形成して試片を製造した。
【0101】
下記の表2にてコーティング組成物中の遊離酸の含有量は、コーティング組成物50mlの滴定に使用された0.1NのNaOHの量で示した。
【0102】
酸化亜鉛は、コーティング組成物50ml中の遊離酸の含有量がそれぞれ下記の表2に示した量になる量でコーティング組成物に配合された。
【0103】
その後、製造された組成物に対する接着性、摩擦係数及び経済性を測定又は評価し、その結果を下記の表2に示した。
【0104】
接着性は、試片を1個当たり100×25mmに3個ずつ切断して、酢酸アルコールで脱脂し、R303−PX2洗浄油に浸漬した後、24時間放置し、評価した。
【0105】
24時間経過後に25×25mmの試片の1片にのみ1mm厚さにヘムフランジ用接着剤(PV5308、セメダインヘンケル社製、トヨタ自動車社用)を塗布し、150℃にて20分間乾燥した後、50mm/分の速度でせん断引張強度試験を実施し、試験を終えた試片に対して破壊が起きた形態を観察することによって、接着剤の凝集破壊率を決定した。
【0106】
使用したPV5308ヘムフランジ用接着剤の凝集破壊率は、100%を達成しなければならず、これは、接着剤と鋼板との界面剥離が全く発生しない状態を意味する。
【0107】
従来例と一部比較例では、次亜リン酸の代わりにリン酸8.1重量%を含むコーティング組成物を使用した。
【0108】
大部分の比較例と発明例では、次亜リン酸を使用した。
【0109】
摩擦係数は、試片を45×150mmに切断して洗浄油(P−DBH)を塗布した後、3.5cm×3.5cmのダイに650kgfの荷重を加え、引抜速度1000mm/分で引き抜いて、引抜時に加えられる荷重を650kgfの荷重で割り算し、摩擦係数を測定した。摩擦係数は、各試片に対して3回測定した後、平均値を下記の表2に示した。
【0110】
脱膜性は、いずれも韓国H自動車社で使用する脱脂剤である4292L A3%と4292L B0.3%溶液を製造し、50℃にて2分間試片を浸漬した後取り出して、水洗、乾燥した後、鋼板の表面に残っているP成分をICPで定量分析し、脱脂後P量を脱脂前のP量で割り算して脱膜率を計算し、評価した。
【0111】
コーティング時に発生する縞を模擬実験するために、ロールコーターシミュレーター装置を使用した。まず、溶液にアルコールを添加しない状態で10枚以上をコーティングした後、縞が最も激しく発生した場合を5等級と設定し、アルコールの濃度を20重量%まで少しずつ増加させつつコーティングし、得られた試片の縞の発生の程度に応じて等級を付与した。表面縞の正確な等級を付与するために、イメージ分析装置を利用した。
【0112】
一方、次亜リン酸量が30重量%以上、ポリビニール化合物が5重量%以上、マンガンが10重量%以上、又は被膜付着量が2000mg/m以上である場合には、コーティング組成物の特性の向上程度が大きくないため、上記条件のうちの何れか一つに該当すれば、非経済的Xであると判定した。
【0113】
【表2】

【0114】
上記表2に示したように、リン酸を使用するが、ポリビニール化合物が添加されない溶液を使用した従来例1の場合は、摩擦係数は低いが、溶液中の遊離酸が11.8mlと多いため、接着剤の凝集破壊率が0%と接着性が極めて良くないことが分かった。
【0115】
また、比較例2、3a〜8aから分かるように、次亜リン酸を使用し遊離酸の濃度が10ml以下と低くても、ポリビニール化合物を使用しないと、接着性を確保することができなかった。
【0116】
そして、比較例9a〜10aのように、従来のリン酸溶液を使用して遊離酸の濃度が高ければ、溶液中にポリビニール化合物を適正量添加しても、100%の接着剤の凝集破壊率は確保されることができないことが分かった。
【0117】
また、比較例11a〜17aのように、遊離酸の濃度が10ml以下であっても、次亜リン酸、ポリビニール化合物及びマンガンの含有量と被膜付着量のうち、少なくとも一つが本発明の範囲から逸脱する場合には、摩擦係数、接着性及び経済性のうち、少なくとも一つの特性がよくないことが分かった。
【0118】
被膜付着量が200mg/m未満である場合(比較例2、7a、11a、17a)には、摩擦係数が高いから加工性が悪くなるということを予測することができた。
【0119】
そして、比較例及び発明例とも、溶液中の遊離酸の量が10ml未満であると、pHが2.5超過になるため、脱膜率100%を確保したが、反対に遊離酸が10ml超過である場合は、すべて脱膜性が100%未満であり脱膜が完全にならなかったことが分かった。
【0120】
溶液中のアルコールを、5重量%を超過して添加した場合は、表面縞がすべて発生しなかったが、アルコールを5重量%未満に添加した場合は、縞が2等級で発生して、表面の外観が悪くなることが分かった。
【0121】
一方、発明例1a〜10aのように、次亜リン酸、マンガン及びポリビニール化合物の含有量、遊離酸の濃度及び被膜付着量が本発明の条件を満たす場合には、PV5308接着剤の凝集破壊率が100%であり、摩擦係数も0.157未満で優れた被膜物性を示すことが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板用コーティング組成物であって、前記コーティング組成物は、次亜リン酸:1〜30重量%、マンガン:0.1〜10重量%、ポリビニール化合物:0.01〜5重量%、酸化亜鉛、及び残部:水を含み、前記酸化亜鉛は、前記コーティング組成物50mlを0.1NのNaOHで中和滴定する場合、中和滴定に消費されるNaOHの量が10.0ml以下になる量で含まれ、前記コーティング組成物中の遊離酸の含有量は、前記コーティング組成物50mlを0.1NのNaOHで中和滴定する場合、中和滴定に消費されるNaOHの量が10.0ml以下になる量に制御される、亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板用コーティング組成物。
【請求項2】
前記コーティング組成物に対して、20重量%以下のアルコールをさらに含む、請求項1に記載の亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板用コーティング組成物。
【請求項3】
前記アルコールの含有量が3.0〜20重量%である、請求項2に記載の亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板用コーティング組成物。
【請求項4】
前記アルコールの含有量が5.0〜10重量%である、請求項2に記載の亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板用コーティング組成物。
【請求項5】
前記次亜リン酸の含有量が5〜15重量%、前記マンガンの含有量が0.1〜1重量%、及び前記ポリビニール化合物の含有量が0.05〜0.5重量%である、請求項1乃至4のうちの何れか1項に記載の亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板用コーティング組成物。
【請求項6】
前記次亜リン酸の含有量が5〜10重量%、前記マンガンの含有量が0.1〜0.5重量%、及び前記ポリビニール化合物の含有量が0.05〜0.1重量%である、請求項5に記載の亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板用コーティング組成物。
【請求項7】
前記ポリビニール化合物は、ポリ酢酸ビニール(PVA)、ポリビニールアルコール(PVAL)、ポリビニールブチラール(PVB)、ポリビニールホルマール(PVF)、及びポリビニルエーテル(PVE)からなるグループから選択された1種又は2種以上である、請求項1乃至4のうちの何れか1項に記載の亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板用コーティング組成物。
【請求項8】
前記ポリビニール化合物は、ポリ酢酸ビニール(PVA)、ポリビニールアルコール(PVAL)、ポリビニールブチラール(PVB)、ポリビニールホルマール(PVF)、及びポリビニルエーテル(PVE)からなるグループから選択された1種又は2種以上である、請求項5に記載の亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板用コーティング組成物。
【請求項9】
前記ポリビニール化合物は、ポリ酢酸ビニール(PVA)、ポリビニールアルコール(PVAL)、ポリビニールブチラール(PVB)、ポリビニールホルマール(PVF)、及びポリビニルエーテル(PVE)からなるグループから選択された1種又は2種以上である、請求項6に記載の亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板用コーティング組成物。
【請求項10】
前記遊離酸の含有量は、前記コーティング組成物50mlを0.1NのNaOHで中和滴定する場合に、中和滴定に消費されるNaOHの量が8.3〜8.8mlになる量に制御される、請求項1乃至4のうちの何れか1項に記載の亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板用コーティング組成物。
【請求項11】
前記遊離酸の含有量は、前記コーティング組成物50mlを0.1NのNaOHで中和滴定する場合に、中和滴定に消費されるNaOHの量が8.3〜8.8mlになる量に制御される、請求項5に記載の亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板用コーティング組成物。
【請求項12】
前記遊離酸の含有量は、前記コーティング組成物50mlを0.1NのNaOHで中和滴定する場合に、中和滴定に消費されるNaOHの量が8.3〜8.8mlになる量に制御される、請求項6に記載の亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板用コーティング組成物。
【請求項13】
前記遊離酸の含有量は、前記コーティング組成物50mlを0.1NのNaOHで中和滴定する場合に、中和滴定に消費されるNaOHの量が8.3〜8.8mlになる量に制御される、請求項7に記載の亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板用コーティング組成物。
【請求項14】
前記遊離酸の含有量は、前記コーティング組成物50mlを0.1NのNaOHで中和滴定する場合に、中和滴定に消費されるNaOHの量が8.3〜8.8mlになる量に制御される、請求項8に記載の亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板用コーティング組成物。
【請求項15】
前記遊離酸の含有量は、前記コーティング組成物50mlを0.1NのNaOHで中和滴定する場合に、中和滴定に消費されるNaOHの量が8.3〜8.8mlになる量に制御される、請求項9に記載の亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板用コーティング組成物。
【請求項16】
前記亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板が溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、亜鉛系合金電気めっき鋼板及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板からなるグループから選択された1種である、請求項1乃至4のうちの何れか1項に記載の亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板用コーティング組成物。
【請求項17】
前記亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板が溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、亜鉛系合金電気めっき鋼板及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板からなるグループから選択された1種である、請求項5に記載の亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板用コーティング組成物。
【請求項18】
前記亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板が溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、亜鉛系合金電気めっき鋼板及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板からなるグループから選択された1種である、請求項6に記載の亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板用コーティング組成物。
【請求項19】
前記亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板が溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、亜鉛系合金電気めっき鋼板及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板からなるグループから選択された1種である、請求項7に記載の亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板用コーティング組成物。
【請求項20】
前記亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板が溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、亜鉛系合金電気めっき鋼板及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板からなるグループから選択された1種である、請求項8又は9に記載の亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板用コーティング組成物。
【請求項21】
前記亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板が溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、亜鉛系合金電気めっき鋼板及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板からなるグループから選択された1種である、請求項10に記載の亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板用コーティング組成物。
【請求項22】
前記亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板が溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、亜鉛系合金電気めっき鋼板及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板からなるグループから選択された1種である、請求項11乃至15のうちの何れか1項に記載の亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板用コーティング組成物。
【請求項23】
前記亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板が合金化溶融亜鉛めっき鋼板である、請求項16に記載の亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板用コーティング組成物。
【請求項24】
前記亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板が合金化溶融亜鉛めっき鋼板である、請求項17に記載の亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板用コーティング組成物。
【請求項25】
前記亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板が合金化溶融亜鉛めっき鋼板である、請求項18に記載の亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板用コーティング組成物。
【請求項26】
亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板に請求項1乃至請求項4のうちの何れか1項に記載のコーティング組成物を被膜付着量が100〜2000mg/mになるように塗布するステップと、
塗布後、30〜200℃の温度で前記鋼板を乾燥するステップとを含む、亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板への被膜形成方法。
【請求項27】
次亜リン酸の含有量が5〜15重量%、マンガンの含有量が0.1〜1重量%、及びポリビニール化合物の含有量が0.05〜0.5重量%である、請求項26に記載の亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板への被膜形成方法。
【請求項28】
前記次亜リン酸の含有量が5〜10重量%、前記マンガンの含有量が0.1〜0.5重量%、及び前記ポリビニール化合物の含有量が0.05〜0.1重量%である、請求項26に記載の亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板への被膜形成方法。
【請求項29】
前記ポリビニール化合物は、ポリ酢酸ビニール(PVA)、ポリビニールアルコール(PVAL)、ポリビニールブチラール(PVB)、ポリビニールホルマール(PVF)、及びポリビニルエーテル(PVE)からなるグループから選択された1種又は2種以上である、請求項26に記載の亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板への被膜形成方法。
【請求項30】
ポリビニール化合物は、ポリ酢酸ビニール(PVA)、ポリビニールアルコール(PVAL)、ポリビニールブチラール(PVB)、ポリビニールホルマール(PVF)、及びポリビニルエーテル(PVE)からなるグループから選択された1種又は2種以上である、請求項27又は28に記載の亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板への被膜形成方法。
【請求項31】
前記亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板が溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、亜鉛系合金電気めっき鋼板及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板からなるグループから選択された1種である、請求項26に記載の亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板への被膜形成方法。
【請求項32】
前記亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板が溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、亜鉛系合金電気めっき鋼板及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板からなるグループから選択された1種である、請求項27乃至29のうちの何れか1項に記載の亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板への被膜形成方法。
【請求項33】
前記亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板が溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、亜鉛系合金電気めっき鋼板及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板からなるグループから選択された1種である、請求項30に記載の亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板への被膜形成方法。
【請求項34】
前記亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板が合金化溶融亜鉛めっき鋼板である、請求項31に記載の亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板への被膜形成方法。
【請求項35】
前記亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板が合金化溶融亜鉛めっき鋼板である、請求項32に記載の亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板への被膜形成方法。
【請求項36】
前記亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板が合金化溶融亜鉛めっき鋼板である、請求項33に記載の亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板への被膜形成方法。
【請求項37】
請求項26に記載の亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板への被膜形成方法により形成された被膜であって、片面当たりの乾燥被膜付着量が100〜2000mg/mである被膜を有する、亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板。
【請求項38】
請求項27に記載の亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板への被膜形成方法により形成された被膜であって、片面当たりの乾燥被膜付着量が100〜2000mg/mである被膜を有する、亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板。
【請求項39】
請求項28に記載の亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板への被膜形成方法により形成された被膜であって、片面当たりの乾燥被膜付着量が100〜2000mg/mである被膜を有する、亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板。
【請求項40】
片面当たりの乾燥被膜付着量が200〜400mg/mである被膜を有する、請求項37乃至39のうちの何れか1項に記載の亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板。
【請求項41】
前記亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板が溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、亜鉛系合金電気めっき鋼板及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板からなるグループから選択された1種である、請求項40に記載の亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板。
【請求項42】
前記亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板が合金化溶融亜鉛めっき鋼板である、請求項41に記載の亜鉛及び亜鉛系合金めっき鋼板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−515825(P2010−515825A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545506(P2009−545506)
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【国際出願番号】PCT/KR2008/004420
【国際公開番号】WO2009/028801
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(592000691)ポスコ (130)
【Fターム(参考)】